(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-08
(45)【発行日】2023-02-16
(54)【発明の名称】製氷機
(51)【国際特許分類】
F25C 1/22 20180101AFI20230209BHJP
F25C 1/25 20180101ALI20230209BHJP
【FI】
F25C1/22 301B
F25C1/25 Z
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021005239
(22)【出願日】2021-01-15
【審査請求日】2022-04-20
(32)【優先日】2020-01-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515205956
【氏名又は名称】トゥルー・マニュファクチュアリング・カンパニー・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】True Manufacturing Co., Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【氏名又は名称】徳山 英浩
(74)【代理人】
【識別番号】100112911
【氏名又は名称】中野 晴夫
(72)【発明者】
【氏名】ケビン・ナット
【審査官】庭月野 恭
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2006/0026986(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0208792(US,A1)
【文献】中国実用新案第205351888(CN,U)
【文献】特開昭60-082765(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25C 1/22
F25C 1/25
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
製氷機であって、
前記製氷機は、
前記製氷機が氷を形成するように構成された複数の型を画定する凍結プレートを含み、
前記凍結プレートは、
前記型の、開いた前端部を画定する前部と、
前記型の、閉じられた後端部を画定する後部と、
高さに沿って離間して配置された上部及び下部と、
幅に沿って離間して配置された第一の側部及び第二の側部と、を有し、
前記製氷機はまた、
前記凍結プレートの前記上部に隣接する分配器を含み、
前記分配器は、前記分配器を通して付与された水が前記凍結プレートの前記幅に沿って前記凍結プレートの前記前部に沿って下方に流れるよう向けるように構成され、
前記分配器は、
前記分配器の幅に沿って離間して配置された第一の端部及び第二の端部と、
前記第一の端部から前記第二の端部に向かって幅方向に延び、上流側の端部から下流側の端部に向かって概して前方に延びる底壁と、を含み、
前記分配器は、そこを通って付与された水が、前記上流側の端部から前記下流側の端部に向かって概して前方に流れるよう導かれるように構成され、
前記分配器はまた、
前記上流側の端部と前記下流側の端部との間に離間した場所で前記底壁から上方に延びる堰を含み、
前記堰は、前記水が前記上流側の端部から前記下流側の端部へ前記底壁に沿って流れる際に前記堰を横切るように構成され、
前記底壁は、前記堰の直ぐ上流側に、概して前方に向かって上方に傾斜した傾斜面を含む、製氷機。
【請求項2】
前記底壁が前記傾斜面の上流側に上流側区分を含み、
前記傾斜面は前記上流側区分に対してある角度で配向される、
請求項1に記載の製氷機。
【請求項3】
前記堰が区分けされた堰を含む、
請求項1に記載の製氷機。
【請求項4】
前記底壁が、前記堰から前記下流側の端部へ下向きに傾斜する流出部を含む、
請求項1に記載の製氷機。
【請求項5】
前記分配器がさらに、前記流出部の上に離間して配置された下端縁マージンを有する張り出した前壁を、前記流出部と前記張り出した前壁との間に流量制限器を画定するように含む、
請求項4に記載の製氷機。
【請求項6】
前記流量制限器が、前記分配器の前記第一の端部と前記第二の端部との間で幅方向に連続的に延びる隙間を含む、
請求項5に記載の製氷機。
【請求項7】
前記底壁の前記下流側の端部は、前記張り出した前壁の前方に
突出している、
請求項5に記載の製氷機。
【請求項8】
前記底壁の前記下流側の端部は、下向きに延びる表面張力曲線を画定し、
前記表面張力曲線は、前記分配器を通って付与された水が、表面張力により前記表面張力曲線に付着し、前記表面張力曲線により前記凍結プレートの上端部分に向かって下向きに導かれるように構成される、
請求項1に記載の製氷機。
【請求項9】
前記分配器が、前記底壁の前記上流側の端部に隣接した入口開口部を含み、
前記入口開口部は前記分配器の前記第一の端部と前記第二の端部との間で離間して配置される、
請求項1に記載の製氷機。
【請求項10】
前記分配器がさらに、前記入口開口部と前記堰の間に離間して配置される位置で前記底壁から上方に延びる横方向迂回器壁を含み、
前記横方向迂回器壁は、前記分配器の前記第一の端部から離間した第一の端部から、前記分配器の前記第二の端部から離間した第二の端部まで幅方向に延びている、
請求項9に記載の製氷機。
【請求項11】
製氷機であって、
前記製氷機は、
前記製氷機が氷を形成するように構成された複数の型を画定する凍結プレートを含み、
前記凍結プレートは、
前記型の、開いた前端部を画定する前部と、
前記型の、閉じられた後端部を画定する後部と、
高さに沿って離間して配置された上部及び下部と、
幅に沿って離間して配置された第一の側部及び第二の側部と、を有し、
前記製氷機はまた、
前記凍結プレートの前記上部に隣接する分配器を含み、
前記分配器は、前記分配器を通して付与された水が前記凍結プレートの前記幅に沿って前記凍結プレートの前記前部に沿って下方に流れるよう向けるように構成され、
前記分配器は、
前記分配器の幅に沿って離間して配置された第一の端部及び第二の端部と、
前記第一の端部から前記第二の端部に向かって幅方向に延び、上流側の端部から下流側の端部に向かって概して前方に延びる底壁と、を含み、
前記分配器は、そこを通って付与された水が、前記上流側の端部から前記下流側の端部に向かって概して前方に流れるよう導かれるように構成され、
前記底壁の前記下流側の端部は、下向きに湾曲する表面張力曲線を画定し、
前記下向きに湾曲する表面張力曲線は、表面張力により、前記分配器を通って付与された水が前記
下向きに湾曲する表面張力曲線に付着し、前記
下向きに湾曲する表面張力曲線により前記凍結プレートの上端部分に向かって下向きに導かれるように構成され
、
前記表面張力曲線は、少なくとも部分的に、少なくとも1mmの半径で画定される、
製氷機。
【請求項12】
前記分配器がさらに、前記表面張力曲線から前記凍結プレートの前記上端部分まで概して下方に延びる滝面を含み、
前記滝面は、表面張力により、前記分配器を通って付与された水が前記滝面に付着し、前記滝面に沿って下向きに流れて、前記凍結プレートの前記上端部分に到達するように構成されている、
請求項11に記載の製氷機。
【請求項13】
前記分配器がさらに、前記底壁の上に離間して配置された下端縁マージンを有する張り出した前壁を、前記底壁と前記張り出した前壁との間に流量制限器を画定するように含む、
請求項11に記載の製氷機。
【請求項14】
前記流量制限器の隙間が前記分配器の前記第一の端部と前記第二の端部との間で連続的に延びる、
請求項13に記載の製氷機。
【請求項15】
前記表面張力曲線が、前記張り出した前壁の前方に突出している、
請求項13に記載の製氷機。
【請求項16】
前記分配器が前記表面張力曲線の上流側に堰を含む、
請求項11に記載の製氷機。
【請求項17】
製氷機であって、
前記製氷機は、
前記製氷機が氷を形成するように構成された複数の型を画定する凍結プレートを含み、
前記凍結プレートは、
前記型の、開いた前端部を画定する前部と、
前記型の、閉じられた後端部を画定する後部と、
高さに沿って離間して配置された上部及び下部と、
幅に沿って離間して配置された第一の側部及び第二の側部と、を有し、
前記製氷機はまた、
前記凍結プレートの前記上部に隣接する分配器を含み、
前記分配器は、前記分配器を通して付与された水が前記凍結プレートの前記幅に沿って前記凍結プレートの前記前部に沿って下方に流れるよう向けるように構成され、
前記分配器は、
前記分配器の幅に沿って離間して配置された第一の端部及び第二の端部と、
前記第一の端部から前記第二の端部に向かって幅方向に延び、上流側の端部から下流側の端部に向かって概して前方に延びる底壁と、を含み、
前記分配器は、そこを通って付与された水が、前記上流側の端部から前記下流側の端部に向かって概して前方に流れるよう向けるように構成され、
前記分配器はまた、
前記下流側の端部に隣接する前記底壁の上に、前記底壁と張り出した前壁との間に流量制限器を画定するように、前記底壁の上に離間して配置された下端縁マージンを有する前記張り出した前壁を含み、
前記流量制限器は、前記分配器の前記第一の端部と前記第二の端部との間に幅方向に延びる隙間を含み、水が前記流量制限器を通って前記底壁の前記下流側の端部に流れる速度を制限するように構成され、
前記底壁が前記流量制限器を横切って前方及び下方に傾斜する、
製氷機。
【請求項18】
前記隙間が10mmより小さい高さを有する、
請求項17に記載の製氷機。
【請求項19】
前記隙間が前記分配器の前記第一の端部と前記第二の端部との間で連続的に延びる、
請求項17に記載の製氷機。
【請求項20】
前記底壁の前記下流側の端部が、前記張り出した前壁の前方に突出している、
請求項17に記載の製氷機。
【請求項21】
前記分配器が前記流量制限器の上流側に堰を含む、
請求項17に記載の製氷機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、水を氷に凍結させる凍結プレートに沿って水が流れるように向ける分配器を含むタイプの製氷機に関連する。
【背景技術】
【0002】
製氷機はよく知られており、広範囲で商業用および家庭用に使用されている。1つのタイプの製氷機は、二次元の垂直グリッド内に複数の氷型を画定する凍結プレートを含む蒸発器(evaporator)アセンブリを含む。冷媒チューブは、凍結プレートの背面に沿って延び、凍結プレートを冷却するように構成された蒸発器を形成する。水分配器は、凍結プレートの上に配置されており、水を型内で氷に凍結させる凍結プレートに導く。
【発明の概要】
【0003】
ある態様において、製氷機は、製氷機が氷を形成するように構成された複数の型を画定する凍結プレートを含む。凍結プレートは、型の開いた前端部を画定する前部と、型の閉じられた後端部を画定する後部と、高さに沿って離間して配置された上部および下部と、幅に沿って離間して配置された第一の側部と第二の側部とを有する。凍結プレートの上部に隣接する分配器は、分配器を通して付与された水が凍結プレートの幅に沿って凍結プレートの前部に沿って下方に流れるよう向けるように構成される。分配器は、分配器の幅に沿って離間して配置された第一の端部及び第二の端部を含む。底壁は、第一の端部から第二の端部に向かって幅方向に延び、上流側の端部から下流側の端部に向かって概して前方に延びる。分配器は、そこを通って付与された水が、上流側の端部から下流側の端部に向かって概して前方に流れるよう向けるように構成される。堰(weir)は、上流側の端部と下流側の端部との間に離間した場所で底壁から上方に延びる。堰は、水が上流側の端部から下流側の端部へ底壁に沿って流れる際に堰を横切るように構成される。底壁は、堰の直ぐ上流側に、概して前方に向かって上方に傾斜した傾斜面を含む。
【0004】
別の態様において、製氷機は、製氷機が氷を形成するように構成される複数の型を画定する凍結プレートを含む。凍結プレートは、型の開いた前端部を画定する前部と、型の閉じられた後端部を画定する後部と、高さに沿って離間して配置された上部及び下部と、幅に沿って離間して配置された第一の側部と第二の側部とを有する。凍結プレートの上部に隣接する分配器は、分配器を通して付与された水が凍結プレートの幅に沿って凍結プレートの前面に沿って下方に流れるよう向けるように構成される。分配器は、分配器の幅に沿って離間して配置された第一の端部と第二の端部を含む。底壁は、第一の端部から第二の端部に向かって幅方向に延び、上流側の端部から下流側の端部に向かって概して前方に延びる。分配器は、そこを通って付与された水が上流側の端部から下流側の端部に向かって概して前方に流れるよう向けるように構成される。底壁の下流側の端部は、下向きに湾曲する表面張力曲線(surface tension curve)を画定する。下向きに湾曲する表面張力曲線は、表面張力により、分配器を通って付与された水が曲線に付着し、その曲線により凍結プレートの上端部分に向かって下向きに導かれるように構成される。
【0005】
別の態様において、製氷機は、製氷機が氷を形成するように構成された複数の型を画定する凍結プレートを含む。凍結プレートは、型の開いた前端部を画定する前部と、型の閉じられた後端部を画定する後部と、高さに沿って離間して配置された上部および下部と、幅に沿って離間して配置された第一の側部と第二の側部とを有する。凍結プレートの上部に隣接する分配器は、分配器を通って付与された水が凍結プレートの幅に沿って凍結プレートの前面に沿って下方に流れるよう向けるように構成される。分配器は、分配器の幅に沿って離間して配置された第一の端部と第二の端部を含む。底壁は、第一の端部から第二の端部に向かって幅方向に延び、上流側の端部から下流側の端部に向かって概して前方に延びる。分配器は、そこを通って与えられた水が上流側の端部から下流側の端部に向かって概して前方に流れるように構成される。張り出した前壁(overhanging front wall)は、下流側の端部に隣接する底壁の上に、底壁と張り出した前壁との間に流量制限器(flow restriction)を画定するように、底壁の上に離間して配置された下端縁マージンを有する。流量制限器は、分配器の第一の端部と第二の端部との間で幅方向に延びる隙間を含み、水が流量制限器を通って底壁の下流側の端部に流れる速度を制限するように構成される。
【0006】
さらに別の態様において、製氷機は、製氷機が氷を形成するように構成された複数の型を画定する凍結プレートを含む。凍結プレートは、高さに沿って離間して配置された上部および下部と、幅に沿って離間して配置された第一の側部および第二の側部とを有する。分配器は、凍結プレートの上部に隣接して、凍結プレートの幅に沿って延びる。分配器は、分配器を通して付与された水が凍結プレートの上部から凍結プレートの幅に沿って下部に流れるよう向けるように構成される。分配器は、第一の分配器ピースと第二の分配器ピースを含む。第二の分配器ピースは、別個のファスナを使用せずに第一の分配器ピースに取外し可能に連結されるように構成され、分配器を形成する。
【0007】
別の態様において、製氷機は、製氷機が氷を形成するように構成された複数の型を画定する凍結プレートを含む。凍結プレートは、高さに沿って離間して配置された上部および下部と、幅に沿って離間して配置された第一の側部および第二の側部とを有する。凍結プレートの上部に隣接する分配器の幅は、凍結プレートの幅全体にわたって延びる。分配器は、入口と出口を有し、入口から出口まで延びる分配器流路を画定する。分配器は、分配器を通して付与された水が分配器流路に沿って流れ、出口から排出するよう向けるように構成され、水は凍結プレートの上部から凍結プレートの幅に沿って下部に流れる。分配器は、第一の分配器ピースと第二の分配器ピースとを含む。第二の分配器ピースは、第一の分配器ピースに取外し可能に連結されて分配器を形成する。第一の分配器ピースは、幅方向に延びる溝を画定する底壁を含み、第二の分配器ピースは、分配器の幅に沿って離間して複数の開口部を画定する概して垂直な堰を含む。堰は、溝の中に受けられた自由な下端縁マージンを有しており、分配器の流路に沿って流れる水は、堰の下端縁マージンと底壁との間の界面を通って流れることが抑制され、複数の開口部を通って堰を横切って流れるように向けられる。
【0008】
別の態様において、製氷機は、複数の型を画定する凍結プレートを含む蒸発器アセンブリを含み、蒸発器アセンブリは、複数の型の中で氷片を形成するように構成される。凍結プレートは、型の開いた前端部を画定する前部と、型の閉じた後端部に沿って延びる後部とを有する。蒸発器ハウジングは、後部を有し、凍結プレートの後部と蒸発器ハウジングの後部との間の閉鎖空間を画定する。冷媒チューブは、閉鎖空間内で受けられる。断熱材は、冷媒チューブの周りの閉鎖空間を実質的に満たす。給水システム(water system)が、水が型内で氷に形成されるように、凍結プレートに水を供給するように構成されている。蒸発器ハウジングは、モノリシック材料の単一ピースから形成される分配器ピースを含む。分配器ピースは、断熱材と直接接触しており、底壁を有する。給水システムは、水が凍結プレートに供給されると、底壁に沿って流れるように水を向けるように構成されている。
【0009】
さらに別の態様において、製氷機は、複数の型を画定する凍結プレートを含む蒸発器アセンブリを含み、蒸発器アセンブリは、複数の型の中で氷片を形成するように構成される。凍結プレートは、型の開いた前端部を画定する前部と、型の閉じた後端部に沿って延びる後部と、モノリシック材料の単一ピースから形成され、型の少なくとも1つの上端部を画定する上壁と、上壁に接合され、そこから上方に延びる少なくとも1つのスタッドとを有する。分配器は、分配器を通して付与された水を凍結プレート上に分配し、水が型の中で氷に形成されるように構成される。分配器は、モノリシック材料の単一ピースから形成された分配器ピースを含む。分配器ピースは、水が分配器を通って流れるように分配器が向ける流路の一部を画定する底壁を含む。分配器ピースに対してナットを各スタッドに締め付けることで、分配器を凍結プレートに直接取り付ける。
【0010】
別の態様において、分配器を通して付与された水を受け取り、水が凍結プレート上で氷に形成されるように製氷機の凍結プレートに沿って流れるように向けるための分配器は、分配器の上流端に隣接する後壁と、後壁から分配器の下流端に隣接する前端部まで前方に延びる底壁と、後壁から後方に突出するチューブとを含む。後壁は、底壁の直上に開口部を有し、この開口部を介してチューブが分配器と流体連通する。底壁は、後壁に向かって下方に傾斜する後部セクションと、前端部に向かって下方に傾斜する前部セクションとを含む。
【0011】
別の態様において、製氷機は筐体(enclosure)を含む。凍結プレートは、筐体の中で受けられる。凍結プレートは、背面壁と、背面壁に対向する前面とを含む。凍結プレートはさらに、背面壁から前方に延びる周壁を含む。周壁は、上壁部、底壁部、第一の側壁部、および第二の側壁部を含む。第一の側壁部および第二の側壁部は、凍結プレートの幅を画定する。凍結プレートはさらに、底壁部分に接続された下端から上壁部分に接続された上端まで延びる複数の高さ方向の仕切板(divider plate)と、第一の側壁部分に接続された第一の端部から第二の側壁部分に接続された第二の端部まで延びる複数の幅方向の仕切板とを含む。高さ方向の仕切板と幅方向の仕切板とは、周壁の内側に複数の氷型を画定するように相互に連結されている。幅方向の仕切板のそれぞれは、仕切板の直上に複数の氷型を画定し、仕切板の直下に複数の氷型を画定する。幅方向の仕切板のそれぞれは、凍結プレートの背面壁から離れて下方および前方に傾斜しており、各幅方向の仕切板の上面と背面壁との間の夾角(included angle)は、90°より大きく180°未満である。分配器は、分配器を通して付与された水が、凍結プレートの幅方向に沿って凍結プレートに沿って下方に流れるように向けるように構成されている。凍結プレートは、凍結プレートの背面壁が前方に傾斜するように筐体の中で支持される。
【0012】
その他の態様も一部は明らかであり、一部は以下に指摘される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図2】
図2は、氷容器(ice bin)の上に支持される製氷機の斜視図である。
【
図3】
図3は、製氷機のサブアセンブリの斜視図であり、サポート、蒸発器アセンブリ、サンプ(sump)、取付プレート、およびセンサ取付金具が含まれる。
【
図6】
図6は、製氷機の凍結プレートの斜視図である。
【
図13】
図13は、蒸発器アセンブリの背面図であり、蛇行蒸発器チューブを見せるために背壁が省略されている。
【
図14】
図14は、蒸発器アセンブリの、
図11の線14-14で表される平面における断面図である。
【
図15】
図15は、上部の分配器ピースを省いて下部の分配器ピース/上部蒸発器ハウジングピースを見せ、蒸発器アセンブリの残りの部分から関連構成要素を分解した、蒸発器アセンブリの斜視図である。
【
図16】
図16は、
図15に示す蒸発器アセンブリの構成要素を、凍結プレートのスタッドを通る平面で切った垂直断面の拡大図である。
【
図17】
図17は、サポートに取り付けられた蒸発器アセンブリの垂直断面図である。
【
図18】
図18は、蒸発器アセンブリの分配器の斜視図である。
【
図23】
図23は、
図15と同様の垂直断面図であるが、断面は下部の分配器ピースの入口チューブの中心を通る。
【
図24】
図24は、下部の分配器ピースの端部の拡大斜視図である。
【
図28】
図28は、上部の分配器ピースの端部の拡大斜視図である。
【
図29】
図29は、上部の分配器ピースを下部の分配器ピースの前に離した蒸発器アセンブリの斜視図である。
【
図30】
図30は、模式的に示された製氷機の筐体に受けられる
図3のサブアセンブリの垂直断面図であり、断面は、
図3に示されるサポートの垂直側壁の右側壁部の直ぐ内側であり、上部分配器ピースは外されて筐体の外で示されている。
【
図31】
図31は、下部の分配器ピースの細長い溝で受けられる下部の分配器ピースの細長い舌部を通る平面から下方を見た分配器端部の水平方向拡大断面図である。
【
図32】
図32は、区分けされた堰を通る平面で切った分配器の垂直断面図である。
【0014】
図面全体を通して、対応する部品には対応する符号が使われる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1を参照すると、製氷機の一実施形態は、概して符号10で示される。本開示は、個別にまたは組み合わせて使用して、製氷の均一性、氷の採取性能、エネルギー効率、アセンブリ精度、および/または修理またはメンテナンスのためのアクセス性を向上させることができる製氷機10の例示的な特徴を詳しく説明する。本開示の1つの態様は、蒸発器、凍結プレート、および水分配器を含む蒸発器アセンブリに関する。以下でさらに詳細に説明するように、1つ又はそれ以上の実施形態において、蒸発器アセンブリの部品は、単一のユニットに一体化されている。特定の実施形態において、水分配器は、凍結プレートの幅に沿って均一な水流を提供する水分配機能(water distribution features)の構成を含む。例示的な実施形態において、水分配器は、修理またはメンテナンスのために分配器の内部にすぐにアクセスできるように構成されている。1つ又はそれ以上の実施形態において、蒸発器アセンブリは、重力および熱を使用して氷を受動的に採取するのにかかる時間を短縮するような向きで製氷機内に凍結プレートを取り付けるように構成されている。製氷機10の他の態様および特徴も、以下に記載する。本開示は、多数の異なる特徴を組み合わせた製氷機を記載しているが、本明細書に開示された特徴のうちの任意の1つ以上を使用する他の製氷機も、本開示の範囲から逸脱しないことが理解されるであろう。
【0016】
本開示では、はじめに製氷機10の概要説明を行い、その後、蒸発器アセンブリの例示的実施形態の詳細説明が提供される。
【0017】
I.冷凍システム
図1を参照して、製氷機10の冷凍システムは、圧縮機12、熱拒絶熱交換器(heat rejecting heat exchanger)14、冷媒の温度および圧力を下げるための冷媒膨張装置18、蒸発器アセンブリ20(広義には、氷形成装置)、および高温ガスバルブ24を含む。図示されるように、熱拒絶熱交換器14は、圧縮機12から排出される圧縮冷媒蒸気を凝縮するための凝縮器を含んでもよい。他の実施形態において、例えば、拒絶熱(heat of rejection)が遷臨界(trans-critical)である二酸化炭素冷媒を利用する冷凍システムでは、熱拒絶熱交換器は、冷媒を凝縮させることなく冷媒からの熱を拒絶することができる。図示された蒸発器アセンブリ20は、以下でさらに詳細に説明されるように、蒸発器21(例えば、蛇行冷媒チューブ)、凍結プレート22、および水分配器25を1つのユニットに統合している。高温ガスバルブ24は、1つ又はそれ以上の実施形態においては、圧縮機15からの暖かい冷媒を蒸発器21に直接向けるために使用され、氷が所望の厚みに達したときに凍結プレート22から氷のキューブを除去または採取する。
【0018】
冷媒膨張装置18は、キャピラリ管、恒温膨張弁、または電子膨張弁を含む任意の適切なタイプのものであり得る。特定の実施形態において、冷媒膨張装置18が恒温膨張弁または電子膨張弁である場合、製氷機10はまた、冷媒膨張装置18を制御するために蒸発器チューブ21の出口に配置される温度センサ26を含んでもよい。冷媒膨張装置18が電子膨張弁である他の実施形態では、製氷機10は、当技術分野で知られているように、冷媒膨張装置19を制御するために蒸発器チューブ21の出口に配置される圧力センサ(図示せず)を含んでもよい。凝縮器冷却を提供するために気体冷却媒体(例えば、空気)を利用する特定の実施形態においては、凝縮器ファン15は、凝縮器14を横切って気体冷却媒体を吹きつけるように配置されてもよい。冷媒ライン28a、28b、28c、28dを介してこれらの構成要素を通ってある形態の冷媒が循環する。
【0019】
II.給水システム
図1の参照を継続して、図示された製氷機10の給水システムは、水溜めまたはサンプ70、水ポンプ62、水ライン63、および水位センサ64を含むサンプアセンブリ60を含む。製氷機10の給水システムは、水供給ライン(図示せず)と、水源(図示せず)からの水でサンプ70を満たすための水入口バルブ(図示せず)とをさらに含む。図示された給水システムは、排出ライン78と、サンプ70から水を排出するためにそこに配置された排水バルブ79(例えば、パージバルブ、ドレインバルブ)とをさらに含む。サンプ70は、水が水ポンプ62によって再循環され得るように、凍結プレート22から出てくる水を受け止めるために、凍結プレート22の下に配置されてもよい。水ライン63は、水ポンプ62を水分配器25に流体連通させる。製氷サイクルの間、ポンプ62は、水ライン63を通って、および分配器25を通って水を汲み上げるように構成される。以下でより詳細に説明されるように、分配器25は、分配器を通って付与された水を凍結プレート22の前面を横切って均等に分配する水分配機能を含む。例示的な一実施形態において、水ライン63は、氷が作られていないときに、水の少なくとも一部が水ラインを通って分配器からサンプに排水できるように構成される。
【0020】
例示的な実施形態において、水位センサ64は、遠隔空気圧センサ66を含む。しかし、フロートセンサ、音響センサ、または電気導通センサを含むがこれらに限定されないあらゆるタイプの水位センサが製氷機10で使用されて得ることが理解されるであろう。図示された水位センサ64は、センサをサンプ70(
図4も参照)に連結するように構成される取付金具68を含む。取付金具68は、空気圧チューブ69に流体連通する。空気圧チューブ69は、取付金具68と空気圧センサ66との間の流体連通を提供する。サンプ70内の水は、取付金具68内に空気を捕捉し、サンプ内の水位に応じて変化する量だけ空気を圧縮する。したがって、サンプ70内の水位は、空気圧センサ66によって検出された圧力を用いて決定することができる。遠隔空気圧センサを構成する水位センサの例示的な実施形態のさらなる詳細は、米国特許出願公開第2016/0054043号明細書に記載されており、この明細書は、その全体がここに参照により援用される。
【0021】
図示された実施形態において、サンプアセンブリ60は、さらに、水ポンプ62および水位センサ取付金具68の両方をサンプ70上で作動的に支持するように構成された取付プレート72を含む。取付プレート72の例示的な実施形態が、
図4に示されている。ここにその全体が参照により本明細書に組み込まれる、「ICE MAKER」と題する同時係属中の米国特許出願に記載されているように、取付プレート72は、水位センサ64がサンプ内の水の量を検出するように作動する感知位置において、センサ取付金具68をサンプ70上に作動的に取り付けるための一体型センサマウント74を画定してもよい。取付プレート72はまた、サンプから水ライン63および分配器25を通して水を汲み上げるための水ポンプ62をサンプ70上に取り付けるためのポンプマウント76を画定してもよい。センサマウント74およびポンプマウント76のそれぞれは、水位センサ64および水ポンプ62のそれぞれの一方をサンプ70に取外し可能に連結することを容易にするロック機能を含んでいてもよい。
【0022】
III.コントローラ
再び
図1を参照して、製氷機10はまた、コントローラ80を含んでもよい。コントローラ80は、製氷装置20およびサンプ70から離れた場所に配置されてもよく、1つ又はそれ以上の実施形態において、1つ又はそれ以上のオンボードプロセッサを含んでもよい。コントローラ80は、冷凍システムおよび給水システムの様々な構成要素を含む製氷機10の動作を制御するためのプロセッサ82を含んでもよい。コントローラ80のプロセッサ82は、プロセッサに処理を実行させるための命令を表すコードを記憶する非一過性のプロセッサ可読の媒体を含んでもよい。プロセッサ82は、例えば、市販のマイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、または複数のASICの組み合わせであってもよく、これらは、1つ又はそれ以上の特定の機能を達成するように設計されるか、または1つ又はそれ以上の特定のデバイスまたはアプリケーションを可能にするように設計される。特定の実施形態において、コントローラ80は、アナログ回路またはデジタル回路、または複数の回路の組み合わせであってもよい。コントローラ80はまた、コントローラによって回収可能な形態でデータを記憶するための1つ又はそれ以上のメモリ構成要素(図示せず)を含んでもよい。コントローラ80は、1つ又はそれ以上のメモリ構成要素にデータを記憶するか、またはそこからデータを取り出すことができる。
【0023】
様々な実施形態では、コントローラ80はまた、製氷機10の様々な構成要素と通信および/または制御するための入出力(I/O)構成要素(図示せず)を含んでもよい。特定の実施形態において、例えば、コントローラ80は、水位センサ64、氷が採取された時期を判断するための採取センサ(図示せず)、電力源(図示せず)、氷レベルセンサ(図示せず)、および/または圧力変換器、温度センサ、音響センサなどを含むがこれらに限定されない様々なセンサおよび/またはスイッチから、例えば、1つ以上の指示、信号、メッセージ、コマンド、データ、および/または他の任意の情報などの入力を受信してもよい。様々な実施形態において、例えばそれらの入力に基づいて、コントローラ80は、例えば圧縮機12、凝縮器ファン15、冷媒膨張装置18、高温ガスバルブ24、水入口バルブ(図示せず)、排水バルブ79、および/または水ポンプ62を、そのような構成要素に1つ又はそれ以上の指示、信号、メッセージ、コマンド、データ、および/または任意の他の情報を送信することによって制御することができる。
【0024】
IV.筐体/氷容器
図2を参照すると、製氷機10の1つ又はそれ以上の構成要素は、内部空間を画定する製氷機10の筐体29の内部に収納されてもよい。例えば、上述の製氷機10の冷凍システムおよび給水システムの一部または全部を、筐体29の内部空間内に受けることができる。図示された実施形態では、筐体29は、氷貯蔵容器アセンブリ30の上に取り付けられる。氷貯蔵容器アセンブリ30は、製氷機10によって生成された氷が落下する氷穴(図示せず)を有する氷貯蔵容器31を含む。氷は、その後、回収されるまで空洞36内に貯蔵される。氷貯蔵容器31は、空洞36およびそこに貯蔵された氷へのアクセスを提供する開口部38をさらに含む。空洞36、氷穴(図示せず)、および開口部38は、左壁33a、右壁33b、前壁34、背面壁35、および底壁(図示せず)によって形成されている。なお、氷貯蔵容器31の壁面には、氷貯蔵容器31内に貯められた氷の融解を遅らせるために、グラスファイバ断熱材や、例えばポリスチレンやポリウレタン等で構成されたオープンセル発泡体やクローズドセル発泡体等の各種断熱材を用いて断熱してもよい。ドア40は、空洞36へのアクセスを提供するために開くことができる。
【0025】
図示された筐体29は、キャビネット50(広義には固定筐体部分)およびドア52(広義には可動または取り外し可能筐体部分)から構成されている。
図2において、氷貯蔵容器アセンブリ30のドア40は、製氷機ドア52を部分的に目立たなくするように高くなっている。ドア52は、製氷機10の内部空間への選択的なアクセスを提供するために、キャビネット50に対して(例えば、ヒンジ上で)可動である。したがって、技術者は、修理またはメンテナンスのために必要に応じて、ドア52を開いて、出入り口(doorway)(図示せず;広義には、アクセス開口部)を介して製氷機10の内部構成要素にアクセスすることができる。1つまたはそれ以上の他の実施形態において、ドアは、キャビネットからドアアセンブリを取り外すことによってなど、他の方法で開かれてもよい。
【0026】
V.内部サポート
図3~5を参照すると、図示された製氷機10は、筐体29内で製氷機の複数の構成要素を支持するように構成された一体型サポート110を含む。例えば、図示されたサポート110は、これらの構成要素の配置ずれの可能性を制限するために、サンプ70、取付プレート72、および蒸発器アセンブリ20を非常に正確な位置で支持するように構成されている。発明者らは、水位を制御入力として使用する製氷機制御戦略では、サンプ内の水位センサの正確な配置が必要であることを認識している。水位センサの位置が所定の位置からわずかでもずれた場合(例えば、ミリメートル又はそれ以下)、制御戦略が乱れてしまう可能性がある。発明者らはさらに、製氷機内部部品を取り付けるための従来のアセンブリの部品の集合的な寸法公差が、位置ずれを引き起こし得ることを認識している。さらに、発明者らは、製氷機内の蒸発器アセンブリを正確に位置決めすることにより、重力駆動製氷および氷採取性能を向上させることができることを認識している。
【0027】
図示された実施形態において、サポート110は、ベース112と垂直支持壁114とを含む。図示された垂直支持壁は、第一の側壁部分116、第二の側壁部分118、および第一および第二の側壁部分の間に幅方向に延びる背面壁部分120を含む。大きな開口部122は、側壁部分116、118の前端縁マージンの間に幅方向に延びている。製氷機10が完全に組み立てられていると、この開口部122は、ドア52が開いているときに技術者が開口部を通して垂直壁に支持された構成要素にアクセスできるように、筐体29の前面出入口268(
図30)に隣接して配置される。
【0028】
各側壁部分116、118は、一体型の蒸発器マウント124(広義には、凍結プレートマウント)を含む。蒸発器マウント124は、製氷機10の作動位置で蒸発器アセンブリ20を支持するように構成されている。各側壁部分116、118はさらに、蒸発器マウント124の下方に離間して配置された一体型の取付プレートマウント126を含む。取付プレートマウント126は、取付プレートが水位センサ取付金具68およびポンプ62を製氷機10内の作動位置に取り付けることができるように、取付プレート72を支持するように構成されている。製氷機にサンプ70を取り付けるための一体型サンプマウント128が、各側壁部分116、118の取付プレートマウント126の下に離間して配置されている。
図3~5では、右側の側壁部分116によって画定されたマウント124、126、128のみが示されているが、左側の側壁部分118が、図示された実施形態において、実質的に同一の鏡像マウントを有することが理解されるであろう。
【0029】
マウント124、126、128を画定する側壁部分116、118の少なくとも1つは、モノリシック材料の単一ピースから形成される。例えば、1つ以上の実施形態において、垂直支持壁114の全体は、単一のモノリシック材料片から形成される。図示された実施形態では、ベース112および垂直支持壁114を含むサポート110全体は、単一のモノリシック材料片から形成される。1つ又はそれ以上の実施形態において、サポート110は、単一の成形片である。図示された実施形態において、モノリシックサポート110は、圧縮成形によって形成される。単一ピースからサポート110を形成することにより、複数の部品を有するサポートアセンブリで発生する公差の累積がなくなり、それにより、サポートに取り付けられる部品の配置の精度が向上する。
【0030】
蒸発器マウント124は、凍結プレート22が前方に傾斜するように、蒸発器アセンブリ20を筐体29内の垂直支持壁114に取り付けるように構成されている。これを達成するために、図示された実施形態の各蒸発器マウント124は、下部接続点130と、下部接続点から前方に離間して配置される上部接続点132とを含む。
図5に示すように、接続点130、132は、垂直支持壁114の背面壁部分120の平面BPに対して前方に角度αで傾斜して向けられる想像線IL1に沿って離間して配置される。使用時には、製氷機10は、背面壁部分120の平面BPが鉛直線垂直軸(plumb vertical axis)VAに実質的に平行になるように配置される。このように、想像線IL1は、鉛直線垂直軸VAに対して角度αで前方に傾斜している。
【0031】
図示された実施形態において、上側および下側の接続点130、132のそれぞれは、ねじ穴を含む。使用時には、蒸発器20は側壁部分116、118の間に配置され、各ねじ穴を通して、蒸発器アセンブリ20に関連付けられた対応する予備形成されたねじ穴にねじ(図示せず)が配置される。以下に説明するように、予備形成された蒸発器ねじ穴は、蒸発器マウントねじ穴130、132と整列したときに、凍結プレート22が前方に傾斜するように配置される。一体型蒸発器マウントは、1つまたはそれ以上の実施形態において、ねじ穴以外の他のタイプの接続点を含むことができることが理解されるであろう。例えば、ねじ穴130、132のうちの1つまたは両方を、凍結プレートをサポートに適切な位置に位置決めして取り付けるために使用することができる一体型に形成されたスタッドまたは他の構造に、置き換えることが可能であることが明確に考慮されている。
【0032】
各取付プレートマウント126は、概して水平方向に離間した一対のテーパねじ穴134(広義には、接続点)を含む。同様に、各サンプマウント128は、概して水平方向に離間した一対の取付穴136(広義には、接続点)を含む。繰り返して述べると、取付プレートマウント126およびサンプマウント128の穴134、136は、1つ以上の実施形態において、他のタイプの一体型接続点で置き換えることができる。
【0033】
図4に示すように、1つ又はそれ以上の実施形態において、サンプ70は、垂直支持壁114の側壁部分116、118の間の空間内に受けられるように概してサイズ決めされ、配置されている。幅方向に離間して配置されるサンプ70の第一の端部および第二の端部のそれぞれは、離間して配置された位置にある一対の突起138を含む。サンプ70の各端部の突起138は、サンプマウント128のそれぞれの1つによって画定される一対の取付穴136内で受けられるように構成される。突起138は、取付穴136内で受けられることにより、サンプ70をサポート110の高さに沿って正確に特定された位置に位置決めする。さらに、ねじ(図示せず)が各取付穴136を通して挿入され、各突起138にねじ込まれ、サンプ70をサポート110の所定の位置に固定する。
【0034】
サンプ70と同様に、図示された取付プレート72は、幅方向に離間して配置された第一の端部と第二の端部とを含む。取付プレート114の各端部は、サポート110の対応するマウント126のねじ穴134と整列するように構成された一対の予備形成ねじ穴を画定する。ねじ(広義には、機械的ファスナ;図示せず)は、ねじ穴134を通過して、サポートの高さに沿って正確に指定された位置でサポート110に取付プレートを接続するために、取付プレート72に予備形成された穴の中へねじ込まれる。1つ又はそれ以上の実施形態において、取付プレート72をサポート110に接合するために、皿ねじ(countersunk screw)(例えば、先細りの頭部を有するねじ)が使用される。皿ねじは、テーパ付きねじ穴134内で自然に中心合わせされる。
【0035】
一体型マウント124、126、128を有する一体型サポート110は、蒸発器アセンブリ20、取付プレート72、およびサンプ70が製氷機10内で所定の位置に確実に支持されるように使用され得ることが分かる。サポート110は、それによって、製氷中の水の分配および氷採取の容易さ/速度などの所望の性能特性のバランスを最適化するように、凍結プレート22を位置決めしてもよい。さらに、サポート110は、センサ64を使用して水位を正確に検出するために、センサマウント74に取り付けられた圧力センサ取付金具68がサンプに対して正確に位置決めされるように、サンプ70に対して取付プレート72を位置決めしてもよい。同様に、サポート110は、ポンプがポンプマウント76に取り付けられたときに、ポンプ62がサンプ70から製氷機10を通して水を汲み上げるために正確に位置決めされるように、取付プレート72をサンプ70に関して位置決めしてもよい。
【0036】
VI.凍結プレート
図6~8を参照して、凍結プレート22の例示的な実施形態を、凍結プレートをサポート110に取り付ける蒸発器アセンブリ20の他の構成要素の説明に移る前に、ここで説明する。凍結プレート22は、製氷機10が氷を中で形成するように構成される複数の型150を画定する。凍結プレート22は、型150の開いた前端部を画定する前部と、型の閉じた後端部を画定する後部と、高さHFに沿って離間して配置された上部および下部と、幅WFに沿って離間して配置された右側部分(広義には、第一の側部)および左側部分(広義には、第二の側部)とを有する。
【0037】
本開示全体を通して、「前」、「背」、「後」、「前方」、「後方」などの用語が蒸発器アセンブリ20の任意の部分に言及して使用される場合、凍結プレート型150の開いた前端部および閉じた後端部の相対的な位置は、空間的な参照の枠組みを提供する。例えば、凍結プレート型150の開いた前端部を画定する凍結プレート22の前部は、前方向FD(
図8)において凍結プレートの後部から離間して配置されており、型の閉じた後端部に沿って延びる凍結プレートの後部は、後ろ方向RDにおいて凍結プレートの前部から離間して配置されている。
【0038】
図示された実施形態では、凍結プレート22は、凍結プレートの背面を画定する背面壁154を有する皿(pan)152を含む。皿152は、銅などの熱伝導性材料から形成され、任意に、食品安全材料で被覆される1つ又はそれ以上の表面を有することが好適である。当技術分野で知られているように、蒸発器チューブ21は、製氷サイクル中に凍結プレートを冷却し、採取サイクル中に凍結プレートを暖めるために、凍結プレート22の背面壁154に熱伝導するように連結されている。
【0039】
皿152は、さらに、背面壁154から前方に延びる周壁156を含む。周壁156は、上壁部分と、底壁部分と、右側の側壁部分(広義には第一の側壁部分)と、左側の側壁部分(広義には第二の側壁部分)とを含む。周壁156の側壁部分は、凍結プレート22の対向する側部を画定し、周壁部の上壁部分および底壁部分は、凍結プレートの上端部および下端部を画定する。周壁156は、背面壁154または皿152に接合される1つ又はそれ以上の別々のピースから形成されてもよく、または皿全体は、1つ又はそれ以上の実施形態において、単一のモノリシックな材料の部分から形成されてもよい。周壁156は、凍結プレート22を流下する水が凍結プレートの背面を通って漏れないように、背面壁154にシールされることが好適である。
【0040】
複数の高さ方向および幅方向の仕切板160、162が、氷のキューブ型150の格子を形成するために皿に固定されている。例示的な実施形態において、各高さ方向の仕切板160および各幅方向の仕切板162は、モノリシック材料の単一ピースから形成される。各高さ方向の仕切板160は、右側の側方表面(広義には第一の側方表面)と、右側の側方表面に平行に配向した左側の側方表面(広義には第二の側方表面)とを有する。各幅方向仕切板162は、底面と、底面に平行に配向した上面とを有する。高さ方向の仕切板162は、周壁156の底壁部分にシールされて接続される下端から、周壁156の上壁部分にシールされて接続される上端まで延びている。複数の幅方向の仕切板160は、同様に、周壁156の右側壁部分にシールされて接続される第一の端部から、周壁の左側壁部分にシールされて接続される第二の端部まで延びている。
【0041】
概して、高さ方向の仕切板160および幅方向の仕切板162は、周壁156内に複数の氷型150を画定するような方法で相互に連結されている。例えば、図示された実施形態において、高さ方向仕切板160のそれぞれは、垂直方向に離間して前方に開口する複数のスロット164を有し;幅方向仕切板のそれぞれは、水平方向に離間して後方に開口する複数のスロット166を有し;高さ方向仕切板および幅方向仕切板は、格子を形成するためにスロット164、166でインターロックする。各幅方向の仕切板162が、仕切板の直上に複数の型150(例えば、少なくとも3つの型)を画定し、仕切板の直下に複数の型(例えば、少なくとも3つの型)を画定することが好適である。高さ方向の仕切板160それぞれは、同様に、仕切板の一方のすぐ側方に複数の型150(例えば、少なくとも3つの型)を画定し、仕切板の反対側のすぐ側方に複数の型(例えば、少なくとも3つの型)を画定する。
【0042】
仕切板160、162のそれぞれは、前縁部と後縁部とを有する。後縁部は、好適には、凍結プレート皿152の背面壁154にシールされて接合されていてもよい。凍結プレート22が組み立てられたとき、仕切板160、162のいくつか又は全部(例えば、少なくとも幅方向の仕切板)の前縁部は、凍結プレート22の前面FP(
図8)上に実質的に横たわる。1つ又はそれ以上の実施形態において、前面FPは、背面壁154と平行である。
【0043】
凍結プレート22に形成された複数の氷型150は、高さ方向および幅方向の仕切板160、162によって実質的に全体的に画定される周縁を有する内部氷型である。氷型150のその他いくつかは、周縁の一部が凍結プレート皿152の周壁156によって形成される周縁型である。各内部氷型150は、幅方向仕切板162の1つの下面によって実質的に全体的に画定される上端と、幅方向仕切板162の隣接する1つの上面によって実質的に全体的に画定される下端とを有する。さらに、各内部型150は、高さ方向の仕切板162の右側方表面によって実質的に全体的に画定される左側面と、隣接する高さ方向の仕切板の左側方表面によって実質的に全体的に画定される右側面とを有する。
【0044】
図8に示すように、各幅方向仕切板162は、各幅方向仕切板の上面と背面壁との間の夾角βが90°より大きくなるように、凍結プレート22の背面壁154から下方および前方に傾斜している。1つ又はそれ以上の実施形態において、夾角βは、少なくとも100°で、180°未満である。各幅方向仕切板162の上面と前面FPとの間の夾角は、夾角βと実質的に等しいことが分かる。さらに、各幅方向仕切板162の底面と背面壁154との間の夾角(および各幅方向仕切板162の底面と前面FPとの間の夾角も)が、180°からβを引いた値に実質的に等しいことが分かる。皿の周壁156の上端部および下端部は、1つ以上の実施形態において、幅方向仕切板162に対して実質的に平行に配向されている。
【0045】
一連のねじ付きスタッド168が、凍結プレート22周囲の離間した位置で周壁156から外方に延びる。以下でさらに詳細に説明するように、ねじスタッド168は、凍結プレート22を、蒸発器アセンブリ20をサポート110に取り付ける蒸発器ハウジング170に固定するために使用される。スタッド168は、凍結プレートが製氷機10内に設置されたときに凍結プレートの背面壁154および前面FPが前方に傾斜するように、凍結プレート22が蒸発器ハウジング170に、さらにはサポート110に接続されるように、好適な形状と配置を有する。
【0046】
VII.蒸発器ハウジング
図9~14を参照して、蒸発器ハウジング170を次により詳細に説明する。概して、蒸発器ハウジング170は、蒸発器チューブ21および凍結プレート22を支持するように構成されている。以下でさらに詳細に説明するように、水分配器25は、蒸発器ハウジング170に直接組み込まれている(すなわち、その一部を形成している)。蒸発器ハウジング170は、下部ピース172、上部ピース174、および凍結プレート22の周囲に一緒に延びる第一および第二の側部ピース176を含むフレームを含む。下部ピース172、上部ピース174、および対向する側部ピース176のそれぞれは、1つ又はそれ以上の実施形態において、単一ピースのモノリシック材料(例えば、成形プラスチック)から形成されている。下部ピース172、上部ピース174、および対向する側部ピース176の内面は、蒸発器ハウジングの水密シールを補助するためのガスケット(図示せず)を含んでもよい。蒸発器ハウジング170の上部ピース174は、図示された実施形態において、2つのピースによる分配器25の下部ピース(広義には、第一のピース)を形成する。
【0047】
背面壁178は、組み立てられたフレームピース172、174、176、178上に、凍結プレート22の背面壁154と離間した関係で支持されている。
図14に示すように、蒸発器ハウジング170は、凍結プレート22の背面壁154とハウジングの背面壁178との間に閉鎖空間180を画定する。その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2018/0142932号に説明されているように、1つ又はそれ以上の実施形態において、2つの別々の断熱層182、184が閉鎖空間176を満たし、蒸発器チューブ21を完全に断熱する。
【0048】
下部ピース172、上部ピース174、対向する側部ピース176、および/または背面壁178は、スナップ嵌め合い機能、ボルトとナット、などの様々な方法で蒸発器ハウジング170を形成するためにそれらを一緒に組み立てるのを容易にする特徴を有していてもよい。例えば、フレームピース172、174、176のそれぞれは、凍結プレート22の周壁156の対応する壁部分のスタッド168を受けるように配置されたスタッド開口部186を含む。スタッド穴186のいくつかは、
図12に示されている。1つ又はそれ以上の実施形態において、背面壁178は、組み立てられたフレームピース172、174、176に超音波溶接によって接合される。
【0049】
図15および
図16を参照すると、ハウジングピース172、174、176が凍結プレート72にどのように取り付けられるかの一例が、より詳細に示されている。具体的には、上部ハウジングピース174が示されているが、他のハウジングピースが同様の方法で凍結プレートに取り付けられてもよいことが理解されるであろう。上部ハウジングピース174は、スタッド開口部186を画定する前部セクションを含む。図示された実施形態において、各スタッド開口部186は、環状肩部192を含む皿ねじ凹部を含む。上部ピース174は、1つのスタッド168が各スタッド開口部186内に受けられるように、凍結プレート22の上に配置される。図示された実施形態において、ガスケット194が、2つの部分の間の界面をシールするために、凍結プレート22の上部と上部ピース174の下部との間に配置されている。ナット196は、上部ピース174を凍結プレート22に取り付けるために、スタッド168それぞれに締め付けられる。さらに、ハウジング上部ピース174が分配器25の下部ピースを形成するので、スタッドにナット196を締め付けることは、図示された実施形態では、分配器を凍結プレートに直接取り付けることにもなる。各ナット196は、それぞれの皿状凹部186の肩部192に対して締め付けられる(広義には、ナットは、ハウジング上部ピース170または下部分配器ピースに対して直接締め付けられる)。図示された実施形態では、キャップ198は、皿状凹部186の頂部の上に配置されている。好適には、キャップ198の頂部は、分配器25を流れる水に滑らかな表面を提示するために、ピース174の表面と実質的に面一である。
【0050】
VIII.凍結プレートが前傾するような蒸発器アセンブリの取り付け
再び
図9および
図10を参照すると、蒸発器ハウジング170の各側部ピース176は、垂直方向に離間して配置された位置に、予備形成された下側および上側のねじ開口部200、202を含む。上側および下側ねじ開口部200、202は、サポート110のそれぞれの側壁部分116、118のねじ開口部130、132に位置合わせされて配置されるように構成されている。各側部ピース176がスタッド168を介して凍結プレート22に固定されているとき、ねじ開口部200、202は、背面壁部分154および凍結プレート22の前面FPに実質的に平行に配向した想像線IL2に沿って離間して配置されている。
図17を参照すると、ねじ(図示せず)が、整列した下側ねじ開口部130、200および整列した上側ねじ開口部132、202を介して蒸発器アセンブリ20をサポート110に固定するとき、蒸発器ハウジング170の想像線IL2は、サポートの前方に傾斜した想像線IL1と整列している。
【0051】
このように、ねじ開口部130、132、200、202は、サポート110の鉛直線垂直軸VAおよび背面BPの両方に関して、背面壁154および前面FPが前方に傾斜した角度αで配向されるように、サポート110上に凍結プレート22を位置決めする。1つ以上の実施形態において、背面壁154/前面FPと鉛直線垂直軸VA/背面BPとの間の夾角αは、少なくとも約1.5°である。例えば、例示的な実施形態では、夾角αは約2.0°である。したがって、図示された製氷機10は、背面壁154が前方に傾斜するように、凍結プレート22を筐体29内に取り付けるように構成されている。図示された実施形態では、一体型サポート110および蒸発器ハウジング170の側部ピース176が凍結プレート22を傾斜した方向に取り付けるために使用されているが、凍結プレートを取り付ける他の方法が他の実施形態で使用されてもよいことが理解されるであろう。
【0052】
製氷機の分野においては、格子状の仕切板を備えた凍結プレートを、凍結プレートの背面壁が前方に傾斜するように配向させると、製氷機の配水性能に悪影響を及ぼすと考えるのが従来の常識であった。しかし、例えば、後述する水分配機能の1つ以上を使用して達成される水分配器25によって生成される流量分配が高品質であることにより、凍結プレート22が背面壁154を前方に傾斜させて取り付けられているにもかかわらず、水は効果的に型150に分配される。さらに、傾斜した凍結プレート22は、製氷機10が重力を利用して迅速に氷を採取することを可能とする。1つ又はそれ以上の実施形態において、製氷機10は、氷が凍結プレート22の型150から解放される採取サイクルを実行するように構成されており、採取サイクル中に氷に付与される力は実質的に重力のみである。 例えば、採取サイクルは、高温冷媒ガスバルブ24を作動させて、高温冷媒ガスを蒸発器チューブ21に戻るよう方向変更し、それによって凍結プレート22を暖めることによって実行される。型150内の氷は、溶融を開始し、傾斜した幅方向の仕切板162を下って、凍結プレートから外れて、氷容器30内に前方へスライドする。氷に付与される力が実質的に重力のみである採取サイクルにおいては、機械的アクチュエータ、加圧エアジェットなどは、氷を凍結プレート22から強制的に押し出すために使用されない。むしろ、わずかに溶けた氷は、重力によって凍結プレート22から落下する。
【0053】
IX.水分配器
ここで、
図9および
図18~19を参照して、分配器25の例示的な実施形態を説明する。上で説明したように、分配器は、蒸発器ハウジング170の上部ピースを形成する下部ピース174を含む。分配器25は、さらに、下部ピース174に取外し可能に係合して分配器を形成する上部ピース210を含む。図示された分配器25は、蒸発器ハウジング170に直接組み込まれた2つのピースによる分配器を含んでいるが、分配器が、他の数のピースから形成され、他の実施形態では他の方法で製氷機に取り付けられ得ることも理解されるであろう。
図9に示すように、分配器25は、凍結プレート22の上面に隣接して蒸発器アセンブリ20に取り付けられ、凍結プレート22の幅WFに概ね沿って延びる幅WDを有する。分配器25は、凍結プレート22の右側に隣接する右端部(広義には第一の端部)から凍結プレートの左側に隣接する左端部(広義には第二の端部)まで幅方向に延びている。
【0054】
分配器25は、入口212を画定する後側の上流側の端部と、出口214を画定する前側の下流側の端部とを有する。下流側の端部は、凍結プレート22の上面前角部に隣接して幅方向に延び、上流側の端部は、下流側の端部から後方に離間した位置で幅方向に延びている。図示された実施形態において、入口212は、分配器の上流端部分の開口部によって形成され、出口214は、分配器25の露出した下側の前縁によって画定される。使用時には、この縁部は、水が縁部から凍結プレート22の上部に流れ落ちるように配置されている。他の実施形態では、入口および/または出口が他の構成を有し得ることが考えられる。
【0055】
図20に示すように、分配器25は、入口212から出口214に向かって概して前方に延びる分配器流路FPを画定する。分配器25は、概して、水が凍結プレート22の上部から下部へと凍結プレートの幅WFに沿って概して均一に流れるように、分配器流路FPに沿って分配器を通って付与された水を出口214から排出するよう指示するように構成される。以下でさらに詳細に説明されるように、分配器25は、分配器の実質的に全幅に沿って概して均一に分配されるように、分配器流路FPに沿って流れる水を導く多くの水分配機能を含む。
【0056】
下部および上部の各ピース174、210は、分配器25がどのように組み立てられ、凍結プレート22上に水を分配するために使用されるかを説明する前に、ここで詳細に説明される。
【0057】
IX.A.分配器下部ピース
図21~22を参照すると、下部分配器ピース174は、分配器25の右端部分に右端壁216(広義には第一の端壁)を有し、分配器25の左端部分に左端壁218(広義には第二の端壁)を有し、右端壁から左端壁に向かって幅方向に延びる底壁220を有する。
図23を参照すると、上で説明したように、下部分配器ピース174は、凍結プレート22に直接取り付けられている。さらに、図示された実施形態において、下部分配器ピース174は、凍結プレートの背面壁154と蒸発器ハウジング170の背面壁178との間の閉鎖空間180を埋める断熱材184と直接接触している。底壁220の前部セクション222は、上述したように分配器ピース174を凍結プレートに取り付けるために凍結プレート22の概して上方に配置され、底壁の後部セクション224は、断熱材184に直接接触するために閉鎖空間180の概して上方に配置される。
【0058】
図示された実施形態において、後部セクション224は、底壁の後端部分で下方に延びる後部脚226と、後部脚から前方に離間した位置で下方に延びる前部脚228とを含む。前部脚226及び後部脚224のそれぞれは、下部分配器ピース174の左右の端壁216、218の間に幅方向に延びている。後部脚226は、蒸発器ハウジング170の背面壁178とシールして係合している(例えば、後部脚は背面壁に超音波溶接されている)。底壁220は、前部脚226と後部脚228の間に位置する下部凹部230を画定する。下部凹部230は、左右の端壁216、218の間で幅方向に延び、閉鎖空間180の上部を形成する。したがって、断熱材184の一部は、凹部230内で受け止められ、凹部を画定する3つの側面に沿って下部分配器ピースに直接接触する。これは、分配器と蒸発器との間の熱損失と考えられる。
【0059】
図24を参照すると、図示された実施形態における各端壁216、218は、内面に沿って形成された細長い舌部232を含む。左端壁218のみが
図24に示されているが、右端壁216も実質的に同一の鏡像舌部232を有することが理解されるであろう。細長い舌部232は、概して前後方向に、長手方向に平行に延びている。細長い舌部232は、概して、別個のファスナを使用することなく、下部分配器ピース174を上部分配器ピース210に取外し可能に連結する雄金具を形成するよう構成されている。各細長い舌部232は、前端部と、前端部から長手方向に離間した後端部とを有する。前端部と後端部との間に、各舌部はわずかな窪み234を含む。
【0060】
図19および
図20を参照すると、底壁220は、後方の上流側の端部から前方の下流側の端部に向かって概ね前方に延びている。後壁236は、底壁220の上流側の端部から上方に延びている。後壁236には、入口開口部212が形成されている。図示された実施形態では、入口開口部236は、端壁216、218の間の離間した位置で後壁236の、概して中央に位置する。したがって、広義には、水が分配器25の内部に向けられる際に通る入口開口部212は、分配器の第一の端部と第二の端部との間で幅方向に離間して配置されている。使用中、分配器25は、入口開口部212から底壁220に沿って、概して前方向FDに底壁の上流端部分から下流端部分に向かって流れるよう水を向けるように構成されている。
【0061】
一体型の入口チューブ238は、後壁236から後方に突出し、入口開口部212を介して後壁を通って流体連通する。チューブ238は、後壁236から離れて延びるにつれて、下方および後方に傾斜している。入口チューブ238は、製氷機の水ライン63(
図1)に連結されるように構成されている。したがって、氷が作られているとき、ポンプ62は、サンプ70から水を水ライン63を通して、一体型の入口チューブ238を介して分配器25に汲み上げる。製氷が行われていないとき、分配器25内の残留水は、入口チューブ238を通って、水ライン63を下って、サンプ70内に排水されることができる。
【0062】
図示された実施形態において、底壁220の後部セクション224は、底壁の実質的に幅全体に沿って下方および後方に傾斜する。逆に、底壁220の前部セクション222は、実質的に全体の幅に沿って下方および前方に傾斜する。したがって、前部セクション222は、水がそれに沿って底壁220の下流端部分に向かって前方および下方に流れる流出部(runoff section)を形成する。傾斜した後部セクション224と傾斜した前部セクション222との間で、底壁は、幅方向溝240を含む中間セクションを含む。幅方向溝は、上部分配器ピースが下部分配器ピース174に連結されたときに、上部分配器ピース210の一部をシールして受けるように構成されている。1つ又はそれ以上の実施形態において、溝240は、幅方向に凸状である(
図33参照)。底壁220の頂部は、幅方向溝240のすぐ上流に位置している。底壁の後部セクション224は、頂点から後壁236に向かって下方に傾斜している。
図23に示すように、底壁220の後部セクション224は、頂点を画定する傾斜面242と、最後部(または最も上流側の)表面部分244(広義には、上流側区分)とを含む。傾斜面242および最後尾の表面部分244は、右端壁216から左端壁218まで幅方向に延びている。傾斜面242は、概して前方に向かって上方に傾斜し、概して後方に向かって下方に傾斜している。最後尾の表面部分244は、傾斜面242よりも緩やかに、概して前方に向かって上方に傾斜している。最後尾の表面部分244は、図示された実施形態の傾斜面よりも緩やかな角度で、最後尾の表面部分が概して後方方向に下向きに傾斜するように、傾斜面242に対して180°未満の角度で配向されている。
【0063】
底壁220は、製氷機10が製氷を停止したときに分配器25から受動的に水を排出するように構成されている。製氷機10が製氷を停止する度に、分配器25の前側部分の残留水は、底壁220の傾斜した前部セクション222(流出部)に沿って前方に流れ、出口214から凍結プレート22上に排出される。同様に、分配器25の後部セクションの残留水は、傾斜した後部セクション224に沿って後方に流れ、入口212を通って入口チューブ238内に排水される。前方に向けられた水は、凍結プレート22に沿って下方に流れ、凍結プレートから落ちてサンプ70に流れ込む。後方に向けられた水は、水ライン63を通ってサンプ70内に下向きに流れる。このように、分配器25は、製氷機10が製氷していないときに、実質的にすべての残留水をサンプ70に向けるように構成されている。さらに、1つ又はそれ以上の実施形態では、サンプ70は、製氷機10が使用されていないときに、排出ライン78を介して、そこに受けた水の実質的にすべてを排出するように構成されている。見られるように、分配器25の底壁220の形状は、氷が作られていないときに、製氷機10の全体的な受動的な排水を容易にする。
【0064】
図21を参照すると、横方向迂回器(lateral diverter)壁246は、最後尾の表面部分244に沿って底壁220から上方に延びている。横方向迂回器壁246は、後壁236と傾斜面242との間に離間して配置されている。横方向迂回器壁246は、底壁220から、組み立てられた分配器25の上面よりも下に離間して配置された上端部に向かって上方に延びている(
図20参照)。迂回器壁246は、右端壁216から離間した右端部分(広義には第一の端部)から、左端壁216から離間した左端部分(広義には第二の端部)まで幅方向に延びている。横方向迂回器壁246は、入口開口部214の前に配置されている。水が入口開口部を通って分配器25に流入すると、横方向迂回器壁246は、水の少なくとも一部を横方向外側に迂回させるように構成されており、水は横方向迂回器壁の左右の端部の周りに流れるように強制される。
【0065】
図20Aおよび
図23を参照すると、底壁220の下流端の端部は、右端壁216から左端壁218まで幅方向に延びる下向きに湾曲した表面張力曲線247を画定している。下向きに湾曲する表面張力曲線247は、表面張力により、底壁220に沿って流れる水が曲線に付着し、曲線により下方に向けられ、凍結プレート22の上端部分に向かうように構成されている。1つ又はそれ以上の実施形態において、表面張力曲線270は、少なくとも1mmの半径Rによって少なくとも部分的に画定される。特定の実施形態において、表面張力曲線270は、10mm未満の半径によって画定される。1つ又はそれ以上の実施形態において、表面張力曲線270は、1mmから3mmの包含範囲の半径によって画定される。例示的な実施形態では、表面張力曲線270は、1.5mmの半径によって画定される。
【0066】
底壁220はさらに、表面張力曲線274から分配器212の出口214を画定する底縁まで概して下方に延びる滝面(waterfall surface)249を含む。滝面249は、右端壁216から左端壁218まで幅方向に延びている。滝面249は、概して、表面張力により、分配器25を通って付与された水が滝面に付着し、滝面に沿って下向きに流れて、凍結プレート22の上端部分に到達するように構成されている。1つ又はそれ以上の実施形態において、滝面249は、滝面が前方に傾斜した凍結プレート22の背面壁254(および前面FP)に概して平行に配向するように、製氷機10において前方に傾斜している。
【0067】
IX.B.上部分配器ピース
図25~27を参照すると、上部分配器ピース210は、分配器25の右端部分に右端壁250(広義には第一の端壁)を有し、分配器25の左端部分に左端壁252(広義には第二の端壁)を有する。上部分配器ピース210の幅は、上部分配器ピースが下部分配器ピースの端壁216、218の間に入れ子となる(nest)ように構成されるように、下部分配器ピース174の幅よりもわずかに小さい。
【0068】
図28を参照すると、図示された実施形態における各端壁250、252は、外面に沿って細長い溝254を含む。
図28には左端壁252のみが示されているが、右端壁250が実質的に同一の鏡像溝254を有することが理解されるであろう。概して、細長い溝254は、細長い舌部232によって形成された雄金具と嵌合して、別個のファスナを使用することなく、上部分配器ピース210を下部分配器ピース174に取外し可能に連結するための相補的な雌金具を形成するように構成されている。細長い溝254は、概して前後方向に長手方向に延び、概して平行である。各細長い溝254の後端部分は、それぞれの細長い舌部174が溝内へ通過することができる開いた(flared)開口部を画定する。各端壁はさらに、溝254の前端部と後端部との間に離間した位置で溝の中へ突出する突起256を画定する。
【0069】
再び
図25~27を参照すると、上部分配器ピース210は、右端壁250から左端壁252まで幅方向に延びる上部壁258を含む。上壁258は、後端縁マージンから概して前方に延びている。前壁260は、上壁の前端部分から自由な下端縁マージンまで概して下方に延びている。2つのハンドル部分262は、図示された実施形態において前壁260から前方に延びている。
【0070】
図26~27に示すように、上部分配器ピース210は、さらに、後端縁マージンと前壁260との間に離間した位置で上壁258から下方に延びる堰264を含む。堰264は、右端壁250から左端壁252まで幅方向に延びており、下部分配器ピース174の幅方向溝240内で受けるように構成された自由な下端縁マージンを有する。
図27に示すように、堰264の下端縁マージンは、幅方向に凸状である。堰264は、分配器25の幅WDに沿って離間して配置された複数の開口部266を画定する。開口部266の下方にある堰264の下部は、水位が開口部の下部に達するまで水を保持するように構成されている。開口部266は、水が分配器25を通って付与される際に、開口部を通過することができるように構成されている。隣接する開口部は、堰264の部分によって分離されており、堰は、水が分配器25の幅WDに沿って(開口部を通って)離間した区分(segment)で横断することを可能にする区分けされた堰を形成するように構成されている。
【0071】
IX.C.2つのピースによる分配器のアセンブリ
図29~30を参照して、分配器25を組み立てるために、上部分配器ピース210は、下部分配器ピース174の端壁216、218の間の空間に幅方向に整列される。次いで、上部ピース210は、下部ピースの細長い舌部232が上部ピースの細長い溝254内で摺動可能に受けられるように、後壁216、218の間の空間内へ後ろ方向RDに移動される。
【0072】
図30に見られるように、蒸発器アセンブリ20は、上部ピース210がキャビネット50の出入口のようなアクセス開口268を介して取り付け/取り外し可能であるように、製氷機筐体29の内部に好適に配置されている。図示された実施形態において、出入口268は、蒸発器アセンブリ20の前方向FDにおいて、蒸発器アセンブリ20の前方から離間して配置されている。さらに、サポート110の前面開口部122は、蒸発器アセンブリ20の前面と出入口268との間に位置している。このように、上部分配器ピース210は、出入口268および開口部122を通って後ろ方向RDにピースを移動することによって取り付けることができる。上部分配器ピース210は、開口部122及び出入口268を通ってピースを前方向FDに移動させることによって取り外される。
【0073】
各舌部232は、上部分配器ピース210が後ろ方向RDで下部分配器ピース174に向かって移動する際に、それぞれの溝254内で摺動可能に受けられるように構成されている。すなわち、舌部232および溝254の平行な長手方向の配向は、上部分配器ピース210を後ろ方向RDに移動させるだけで、トップ分配器ピース210を下部分配器ピース174に連結することを容易にする。このように、舌部232及び溝254によって形成された相補的な金具は、上部分配器ピース210が出入口268から筐体29の内部に内向きに移動することによって係合するように構成されている。さらに、相補的な金具232、254は、上部分配器ピース210を下部分配器ピース174から出入口268に向かって前方向FDに離れるように付勢するだけで係合が解除されるように構成されている。分配器25のメンテナンスまたは修理が必要な場合、技術者は、単にドア52(
図2)を開き、ハンドル262を握り、上部分配器ピース210を、出入口268を通って前方向FDの外側に引っ張るだけである。上部分配器ピース210を交換するために、技術者はピースを出入口268を通して挿入し、溝254の開いた端部を舌部232と位置合わせし、上部ピースを後方に押し出す。次に、舌部232は、溝254内に摺動可能に受けられ、相補的な金具は、それによって、ねじまたはリベットなどのような追加のファスナを使用することなく、上部分配器ピース210を下部分配器ピース174に連結させる。
【0074】
図示された実施形態では、下部分配器ピースの細長い舌部232を雄金具として、上部分配器ピースの細長い溝254を相補的な雌金具として使用するが、1つ又はそれ以上の実施形態では、1つの分配器ピースを別の分配器ピースに取外し可能に連結するために、他の形態または配置の相補的な一体型金具を使用してもよい。例えば、特定の実施形態では、1つ又はそれ以上の雄金具が上側の分配器ピースに形成され、1つ又はそれ以上の相補的な雌金具が下側の分配器ピースに形成され得ることが明らかに考慮されている。取付金具は、分配器の端部以外の代替的または追加的な位置に形成され得ることもさらに考慮される。
【0075】
図31を参照すると、相補的な取付金具の各対は、それぞれの溝254に沿って、それぞれの舌部232を連結位置に保持するように構成された抑止部(detent)を含む。より具体的には、溝254内に形成された突起256は、相補的な取付金具が連結位置にあるときに舌部232の窪み234内で受けられ、抑止部を提供するように構成されている。抑止部は、上部分配器ピース210の下部分配器ピース174からの不注意な外れに抵抗し、舌部232が溝254に沿って連結位置にスライドするときに触覚的なスナップ感を提供する。抑止部は、1つ又はそれ以上の実施形態において他の方法で形成され得ることが理解されるであろう。
【0076】
図20および
図32を参照すると、上部分配器ピース210が分配器ピースを連結するために後ろ方向RDにスライドすると、堰264の下端縁マージンは、底壁220の下流側(前側)セクション222に沿ってスライドする。上部分配器ピース210が連結位置に達すると、堰264の下端縁マージンは溝240内に受けられる。1つ又はそれ以上の実施形態において、堰264を溝240内に配置することは、上部分配器ピース210を下部ピース174との小さい干渉を越えて後方に押すことを必要とする。堰264の下端縁マージンが溝240内に受けられると、堰は、分配器流路FPに沿って流れる水が堰の下端縁マージンと底壁との間の界面を流れることを抑制し、代わりに複数の開口部266を通って堰を横切るように導かれるように、底壁220とシールして係合する。
【0077】
堰264は、前壁260と後壁236との間に離間した位置で、組み立てられた分配器25の中間セクションに沿って幅方向に延びている。分配器25のこの中間セクションにおける上部分配器ピース210と下部分配器ピース174との間の唯一の連結手段は、分配器の左右の端部に設けられた、さねはぎ(tongue-and-groove)接続部である。したがって、図示された実施形態において、分配器25の中間セクションは、下部分配器ピース174に対する上部分配器ピース210の上方移動を制限する第一および第二の端部における連結部を含むが、これらの連結部の間の位置において、分配器の中間セクションに沿って下部分配器ピースに対する上部分配器ピースの上方移動に対する制限は実質的に存在しない。しかし、堰264の下端縁マージンは凸状であり、対応して溝240は幅方向に凹状であるので(
図32)、使用中に分配器ピース174、210が撓み変形しても、堰と底壁220との間のシールは維持され、水は、堰と底壁との間の界面を通って下向きに流れるのではなく、開口部266を通って流れるように高い信頼性で向けられる。
【0078】
IX.D.分配器を通る水の流れ
図20を参照すると、分配器25は、水が底壁と上壁220、258の間の流路FPに沿って流れ、次に、表面張力曲線247および滝面249に沿って凍結プレート22の上部へ下向きに向けられるように、水が入口212から出口214に流れるよう向けるように構成されている。最初は、水は、入口チューブ238から後壁236の入口開口部212を通って概して前へ流れる。次いで、水は、横方向迂回器壁246にぶつかる。横方向迂回器壁246は、水が横方向迂回器壁の端部と分配器25の端部との間の幅方向の隙間を通って前進し続けるように、水の少なくとも一部を横方向外側に迂回させる。
【0079】
横方向迂回器壁246を流れ過ぎた後、水は、傾斜面242および区分けされた堰264にぶつかる。傾斜面242は、堰264のすぐ上流にあり、分配器25の底壁220に沿って流れる水は、堰を横切る前に傾斜面に沿って上方に流れなければならない。堰264は、開口部266が底壁220の上に離間して配置されるように構成されている(例えば、開口部の下端は、傾斜面242の頂点の上に離間して配置されている)。したがって、図示された実施形態において、水は、堰を横切って開口部266を通って流れることができるようになる前に、傾斜面242に沿って上方に流れ、堰264の高さの一部に沿って上方に流れなければならない。1つ又はそれ以上の実施形態において、堰264は、堰の上流側の分配器25の部分が、水が開口部を通って堰を越えて流出し始める前に、概して開口部266の底縁の高さに対応するレベルまで水を溜め戻す(backfill)ように構成されている。特定の実施形態において、傾斜面242は、分配器25の上流部分が開口部の底縁の高さに対応するレベルまで水で満たされる前に、傾斜面に沿って前方向FDに流れる水の少なくとも一部が開口部266を通って流れるよう向けることができる。水は、堰264を横切って流れた後、底壁220の傾斜した前部流出部222上を下方に落下し、下方及び前方に向かって流れる。
【0080】
示されているように、前部流出部222の後部上端縁は、開口部266の下で、傾斜面242の頂点よりも著しく大きな距離だけ離間して配置されている。したがって、水は、区分けされた堰264から前部流出部222に比較的大きな距離を落下し、これは、衝突時に乱流を生じさせ得て、分配器25内の水の分布を向上させる。1つ又はそれ以上の実施形態において、開口部266の下端縁と前部流出部222の後部上端縁との間の垂直距離は、例えば約12~13mmなどの、例えば少なくとも10mmなどの、例えば少なくとも7mmなどの、少なくとも5mmである。
【0081】
図20Aを参照すると、組み立てられた分配器25において、上部分配器ピース210の前壁260は、底壁220から張り出す、張り出した前壁を形成する。前壁260の下端縁マージンは、底壁220の前方/下方に傾斜した前部流出部222の上に離間して配置され、流出部と張り出した前壁との間に流量制限器270が画定される。流量制限器270は、分配器25の第一の端部と第二の端部との間で幅方向に延びる隙間(例えば、連続的な隙間)を含む。概して、流量制限器270は、水が流量制限器を通って出口214に向かって流れる速度を制限するように構成されている。1つ又はそれ以上の実施形態において、流量制限器270は、流出部222から前壁260の下部まで垂直に延びる高さが、例えば2~3mm程度などの、例えば5mm未満などの、例えば7mm未満などの、10mm未満である。
【0082】
前部セクション222に沿って前方に流れる水は、流量制限器270に達し、流量制限器は、水の流れを停止させるか、または遅くする。1つ以上の実施形態において、張り出した前壁260は、一種の逆の堰として機能する。流量制限器270は、水が分配器25の前側部分をわずかに溜め戻し始める地点まで水の流れを遅くする。これは、流量制限器270の背後に水の小さな貯水池を作成する。計量された量の水が、この溜め戻した貯水池から、分配器25の実質的に全幅WDに沿って、流量制限器270を通って連続的に流れる。
【0083】
表面張力曲線247、およびより広義には底壁220の下流側の端部は、張り出した前壁260および流量制限器270の前方に盛り上がっている。水が流量制限器270を通って流れた後(例えば、計量された後)、水は、概して前方に流れるように、下向きに湾曲した表面張力曲線247に付着する。表面張力曲線247は、水を下向きに滝面249に向ける。水は、滝面249に付着し、それに沿って下向きに流れる。最終的に、水は、滝面249の出口縁214から凍結プレート22の上端部分に排出される。
【0084】
横方向迂回器壁246、傾斜面242、区分けされた堰264、流量制限器270、表面張力曲線247、および滝面249のうちの1つ又はそれ以上のような水分配機能によって、水は、分配器25の幅WDに沿って実質的に均一な流量で排出口214から排出される。このように、分配器25は、分配器を通って付与された水が、製氷サイクルの間、凍結プレート22の前面に沿って、凍結プレートの幅WFに沿って概ね均一に下向きに流れるように向ける。さらに、分配器25は、水が下向きに流れる際に、水が凍結プレート22の前部の表面に概して付着するように、水の流れの動態(dynamics)を制御する。このように、分配器25は、氷が凍結プレート22の高さHFおよび幅WFに沿って概して均一な速度で形成されることを可能にする。
【0085】
X.使用
再び
図1を参照して、使用中、製氷機10は、製氷サイクルと採取サイクルとの間で交互に切り替わる。各製氷サイクルの間、冷凍システムは凍結プレート22を冷却するように作動する。同時に、ポンプ62は、サンプ70から水ライン63を通して、さらに分配器25を通して水を送る。分配器25は、凍結プレート22の上部に沿って水を分配し、凍結プレートは、この水を、凍結プレート22の高さHFおよび幅WFに沿って概して均一な速度で型150内において氷に凍結させる。氷が採取に適した厚さに達すると、ポンプ62は止められ、高温ガスバルブ24は、高温の冷媒ガスを蒸発器チューブ21に方向変更させる。高温ガスは凍結プレート22を暖め、氷を融解させる。溶け始めた氷は、前方に傾斜した凍結プレート22から重力によって容器30内に落下する。採取が完了すると、ポンプ62を再起動して新たな製氷サイクルを開始することができる。しかし、追加の氷が必要でない場合には、排水バルブ79が開かれる。分配器25内の残留水は、上述したようにサンプ70に排出され、サンプからの水は排出ライン78を通って排出される。排水バルブ79は、水位センサ64がサンプ70が空になったことを検出したときに閉じられてもよい。分配器25の修理やメンテナンスが必要な場合、技術者は、上述したように、筐体へのドア52を開けて上部ピース210を引き抜くだけでよい。上部分配器ピース210を取り外して交換する際には、ファスナは使用されない。
【0086】
本発明の要素またはその好ましい実施形態(複数可)を導入する場合、各要素は、1つまたは複数存在することを意味すると意図されている。用語「から成る」、「含む」、および「有する」は、包括的であることが意図されており、記載された要素以外に追加の要素が存在してもよいことを意味する。
【0087】
上記に鑑みると、本発明のいくつかの目的が達成され、他の有利な結果が得られることが明らかであろう。
【0088】
本発明の範囲から逸脱することなく、上記の製品および方法において様々な変更が可能であるため、上記の説明に含まれるすべての事項は、例示的なものとして解釈されるべきであり、限定的な意味ではない。