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特許7223814セラミック素子およびセラミック素子の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-08
(45)【発行日】2023-02-16
(54)【発明の名称】セラミック素子およびセラミック素子の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/30 20060101AFI20230209BHJP
   H01G 4/228 20060101ALI20230209BHJP
   H01G 2/06 20060101ALI20230209BHJP
   B22F 7/08 20060101ALI20230209BHJP
   B32B 9/00 20060101ALI20230209BHJP
   B32B 7/025 20190101ALI20230209BHJP
【FI】
H01G4/30 201H
H01G4/30 311
H01G4/30 517
H01G4/30 516
H01G4/30 513
H01G4/30 201G
H01G4/228
H01G2/06 A
B22F7/08 C
B32B9/00 A
B32B7/025
【請求項の数】 14
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021128500
(22)【出願日】2021-08-04
(62)【分割の表示】P 2019032867の分割
【原出願日】2016-02-25
(65)【公開番号】P2021184489
(43)【公開日】2021-12-02
【審査請求日】2021-08-16
(31)【優先権主張番号】102015102866.2
(32)【優先日】2015-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】300002160
【氏名又は名称】ティーディーケイ・エレクトロニクス・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】TDK ELECTRONICS AG
【住所又は居所原語表記】Rosenheimer Strasse 141e, 81671 Muenchen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コイニ,マルクス
(72)【発明者】
【氏名】アウアー,クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】コンラッド,ユルゲン
(72)【発明者】
【氏名】リンナー,フランツ
(72)【発明者】
【氏名】プフ,マルクス
(72)【発明者】
【氏名】シュタットローバー,モニカ
(72)【発明者】
【氏名】ビッペル,トーマス
【審査官】西間木 祐紀
(56)【参考文献】
【文献】特許第7030730(JP,B2)
【文献】米国特許第06081416(US,A)
【文献】特開昭56-027912(JP,A)
【文献】特開昭58-168214(JP,A)
【文献】実開昭58-175625(JP,U)
【文献】特開2010-161172(JP,A)
【文献】特開2014-179456(JP,A)
【文献】特開平05-243075(JP,A)
【文献】特開昭55-138221(JP,A)
【文献】特開2000-200731(JP,A)
【文献】特開昭62-169317(JP,A)
【文献】実開昭60-119739(JP,U)
【文献】特開2002-313667(JP,A)
【文献】実開平04-059124(JP,U)
【文献】特開平04-364708(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 4/30
H01G 4/228
H01G 2/06
B22F 7/08
B32B 9/00
B32B 7/025
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一列に配置された複数の部分体(20)と、
前記部分体(20)の対向する側面に固定され、互いに電気的に接続されていない2つの電気接続用接点(5)と、を備える、セラミック素子であって、
前記セラミック素子(2)は、より小さな素子に分解可能であり、
前記接続用接点(5)のそれぞれは、金属製薄板から形成されるとともに、複数の部分接続部(22)を備え、
前記部分接続部(22)のそれぞれは前記部分体(20)の1つと接触し、前記電気接続用接点(5)の同じ1つの前記部分接続部(22)は、互いに間隔を空けて分離されているとともに、薄い連結部によって互いに電気的に接続されており、
前記薄い連結部は、一列で隣り合っている部分体(20)の間において、前記2つの電気接続用接点(5)のそれぞれ1つの前記部分接続部(22)を互いから分割して、前記セラミック素子(2)をより小さな素子に分解可能にするために破断可能であり、
前記部分接続部(22)のそれぞれが前記部分体(20)の1つの前記部分体(20)の第1の端部から前記部分体(20)のそれぞれの側面に沿って延在するが、前記部分体(20)のそれぞれの第2の端部までは延在しない、セラミック素子。
【請求項2】
前記電気接続用接点(5)のそれぞれは、2つの接続用部材(18、19)を備え、前記2つの接続用部材(18、19)は、前記部分体(20)の対向する側に配置され、前記部分体(20)の外側接点(17)に固定されている、請求項1に記載のセラミック素子。
【請求項3】
前記接続用接点(5)のそれぞれは、導体基板上への固定のための接続領域(7)を備える、請求項1または請求項2に記載のセラミック素子。
【請求項4】
前記接続領域(7)は、内側または外側に屈曲されている、請求項3に記載のセラミック素子。
【請求項5】
前記接続用接点(5)のそれぞれは、第1材料(M1)を含む第1層(12)と、その上に配置されている第2層(13)と、を備え、
前記第2層(13)は、第2材料(M2)を含み、
前記第1材料(M1)は、少なくとも40m/(Ω・mm)の導電性を有し、
前記第2材料(M2)は、最大5ppm/Kの熱膨張係数を有する、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載のセラミック素子。
【請求項6】
前記第1層(12)の厚さに対する前記第2層(13)の厚さの関係は、1:1~5:1である、請求項5に記載のセラミック素子。
【請求項7】
前記接続用接点(5)のそれぞれは、焼結材料への結合を改良するための少なくとも1つのさらなる層(15)を備える、請求項5または請求項6に記載のセラミック素子。
【請求項8】
前記接続用接点(5)のそれぞれは、銅を含む少なくとも1層と、インバールを含む少なくとも1層と、を備える、請求項1~請求項7のいずれか1項に記載のセラミック素子。
【請求項9】
前記接続用接点(5)のそれぞれは、前記部分体(20)上の焼結材料により固定されている、請求項1~請求項8のいずれか1項に記載のセラミック素子。
【請求項10】
隣り合っている前記部分体(20)の間に空隙が存在する、請求項1~請求項9のいずれか1項に記載のセラミック素子。
【請求項11】
前記部分体(20)が等しい間隔で一列に配置されている、請求項1~請求項10のいずれか1項に記載のセラミック素子(2)。
【請求項12】
請求項1~請求項11のいずれか1項に記載のセラミック素子(2)が設けられて前記部分体(20)の2つの間で分解され、
前記部分体(20)の間の前記接続用接点(5)の前記薄い連結部が破断され、前記部分接続部(22)が互いから分解される、セラミック素子の製造方法。
【請求項13】
前記接続用接点(5)は、前記金属製薄板を打ち抜くことによって形成される、請求項12に記載のセラミック素子の製造方法。
【請求項14】
前記接続用接点(5)は、第1材料(M1)を含む第1層(12)と、第2材料(M2)を含む第2層(13)と、を備え、
前記接続用接点(5)を製造するために、前記第1材料は前記第2材料(M2)上に回転塗布される、請求項12または請求項13に記載のセラミック素子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
セラミック素子用の接続用接点を示す。この接続用接点は、例えば金属製薄板から形成されている。とりわけこの接続用接点は、リードフレームまたは接続用ブラケットとして形成可能である。
【背景技術】
【0002】
セラミック素子には、例えば導体基板を用いて、電子システム中で相互接続をするために、電気的接触が必要である。典型的には、セラミック素子の外側接点が、はんだ材料により導体基板の接点ポイントと結合される。電力工学では特に技術的な課題が存在するが、これは、熱機械的に安定的な結合を実現すると同時に、可能な限り良好な導電性および熱伝導性を提供し、かつ良好な高周波挙動を提供することである。
【0003】
DE 10 2013 108 753 A1中では、接続用部材を備えたセラミック素子が説明されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、セラミック素子用の改良した接続用接点を示すことである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1態様によれば、セラミック素子用の電気接続用接点が示される。この接続用接点は、好ましくは素子を担体に電気的に接続するために機能する。例えば接続用接点は、素子に電圧および電気信号を供給するために機能する。さらに、接続用接点は、担体への機械的な固定も作り、必要な場合には熱結合を行うためにも機能する。
【0006】
セラミック素子は、好ましくは多層素子として形成されている。例えば、この素子は、重ね合わせて配置されているセラミック層と電極層とを備えた基体を有する。これらの層は、好ましくは共に焼結されている。とりわけコンデンサ、好ましくは電力用コンデンサでありえる。
【0007】
接続用接点は、素子に固定するために形成されている。好ましくはこの接続用接点は、金属製薄板から形成されている。この際、まず、例えば平坦な金属製薄板から、接続用接点のサイズを備えた平坦な1片が、例えば打ち抜きにより形成される。続いて、接続用接点は、好ましくは屈曲された形状にされる。例えば接続用接点は、角度を付けた形状を有する。接続用接点は、リードフレームでもありえる。
【0008】
例えば接続用接点は、接続用接点をセラミック素子の基体に固定するための少なくとも1つの接触領域を有する。さらに、この接続用接点は、例えば担体とりわけ導体基板に固定するための少なくとも1つの接続領域を有する。接続領域は、好ましくは接触領域に対してある角度で配置されている。例えば接続領域は、外側または内側に屈曲されている。
【0009】
ある実施形態では、接続用接点は2つの接続用部材を有する。接続用部材は、好ましくは基体の対向する側に固定するために形成されている。接続用接点の特性は、好ましくは各個々の接続用部材に適用される。
【0010】
この接続用接点は、好ましくは複合材料を有する。これらの材料は、この際、例えば複数層の形態で重ね合わせて配置されている。ある実施形態では、接続用接点は、第1材料
と、その上に配置されている第2材料とを有する。第1材料は好ましくは第1層として、かつ、第2材料は第2層として形成されている。
【0011】
第1材料は導電性が大きい。導電性が大きいとは、例えば少なくとも40m/(Ω・mm)であり、好ましくは少なくとも50m/(Ω・mm)である。好ましくは、第1材料は熱伝導性も大きい。熱伝導性が大きいとは、例えば少なくとも250W/(m・K)、好ましくは少なくとも350W/(m・K)である。
【0012】
第2材料は、好ましくは機械的特性および熱機械特性が特に良好である。とりわけ第2材料は熱膨張係数が小さい。熱膨張係数が小さいとは、例えば最大5ppm/K、好ましくは最大2.5ppm/Kである。この熱膨張係数は、好ましくは可能な限りセラミックの熱膨張係数に近い。このようにして、セラミックと良好に温度順応しうる。これにより温度変化時の応力形成を大幅に回避することができ、素子中のクラック形成をほぼ防ぐことができる。
【0013】
ある好適な実施形態では、第1材料は、銅を有しまたは銅からなる。銅は、導電性および熱伝導性が特に良好である。
【0014】
例えば第2材料は、鉄を含む合金を有する。好ましくは、第2材料はインバールを有しまたはインバールからなる。インバールとは、ニッケルが約1/3で鉄が2/3の鉄-ニッケル合金のことである。この材料は、熱膨張係数が特に低い。とりわけ熱膨張係数は、セラミックの膨張係数に近い。第1材料と組み合わせることにより、第2材料の導電性が小さい場合でも、接続用接点用の十分な導電性を確保することができる。
【0015】
ある実施形態では、これに加えて、接続用接点は第3材料を有する。この第3材料は、第2材料上に配置されていて、その結果、第2材料は、第1材料と第3材料との間に配置されている。好ましくは、第3材料は第3層として形成されている。好ましくは、第3材料は第1材料と等しい。好ましくは、第3層の厚さは第1層の厚さと等しい。第3材料を形成することにより、好ましくは温度が変化した際の接続用接点の撓みを防ぐことができる。
【0016】
とりわけ、接続用接点は銅-インバール-銅からなる複合材料を有しうる。この種の複合は、CIC複合体とも称されうる。
【0017】
本発明のさらなる態様によれば、電気接続用接点を有するセラミック素子が示される。この接続用接点と、このセラミック素子とは、上述のように形成可能である。とりわけ接続用接点は、素子の基体に固定されている。セラミック素子は例えばセラミック製多層コンデンサである。
【0018】
接続用接点は、好ましくは素子の基体に固定されている。接続用接点は、例えば基体の対向する側に配置されている2つの接点部材を有する。基体は、例えば外側接点を有し、この外側接点に接続用接点が固定されている。外側接点は、例えば金属層とりわけスパッタされた金属層として形成されている。
【0019】
ある実施形態では、接続用接点は、接点材料により基体に固定されている。この接点材料は、例えば焼結材料とりわけ焼結銀である。接続用接点を基体に固定するために、この接点材料を、例えば基体および/または接続用接点上に塗布する。続いて、接続用接点を基体に配置し、接点材料を焼結する。このようにして高温耐性を有し、低抵抗の結合が、基体と接続用接点との間で達成可能となる。
【0020】
ある実施形態では、接続用接点を担体に固定する際に、基体が担体から距離をあけているように、素子は形成されている。このようにして、基体が担体から熱的および機械的に減結合可能になる。例えば、担体に対して空気間隙が形成されるように、基体は、接続用接点に対して高さ方向では中央に配置されていない。
【0021】
本発明のさらなる態様によれば、セラミック素子と、この素子が固定されている担体とを有する素子システムが示される。この素子は、好ましくは上述のように形成されていて、とりわけ接続用接点を有する。担体は、例えば導体基板として形成されている。これは、セラミック担体でもありえる。
【0022】
接続用接点は、例えば結合材料により担体と結合されている。この結合材料は、例えばはんだまたは焼結材料である。とりわけ接続用接点は、焼結材料を焼結することにより、担体と結合可能である。例えば焼結は、加圧焼結方法または無加圧焼結方法で行われる。
【0023】
本発明のさらなる態様によれば、セラミック素子用の接続用接点の製造方法が示される。この接続用接点は、好ましくは上述の通りに形成されている。
【0024】
接続用接点の製造時には、第2材料を有する金属製薄板を備える。この第2材料は、好ましくはインバールを有しまたはインバールからなる。その後第2材料上に、第1材料を塗布例えば回転塗布する。第2材料は、好ましくは銅を有しまたは銅からなる。続いて、第3材料を、金属製薄板の対向する側で塗布とりわけ回転塗布する。第3材料は、好ましくは第1材料と同一である。
【0025】
その後、接続用接点を所望の形状にする。例えば接続用接点の外側サイズは、打ち抜きプロセスにより決められる。続いて、打ち抜かれた片を所望の形状に屈曲する。とりわけこれにより、接続用接点の角度のついた形状が形成される。
【0026】
本発明のさらなる態様により、接続用接点を備えたセラミック素子の製造方法を記載する。この際、接続用接点と、素子の基体とを備える。基体と接続用接点とは、好ましくは上述のように形成されている。続いて、接続用接点を基体に固定する。このために、例えば接点材料を基体および/または接続用接点上に塗布する。とりわけ接点材料は焼結材料として形成されている。続いて、接続用接点を基体に配置し、焼結方法を実施する。
【0027】
本開示では、発明の複数の態様を記載している。接続用接点、素子、素子システムおよび/または方法に関連して開示されている全ての特性は、各特性が各態様の文脈中で明示的に言及されていない場合でさえ、別の各態様に関連してもそれぞれ相応に開示されていて、逆もまた同様である。
【0028】
以下に、ここで説明した対象物を、概略的で等尺ではない実施形態に基づいて、より詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1A】素子システムのある実施形態の概略断面図である。
図1B図1Aの素子システムの詳細図である。
図1C図1Aの素子システムの詳細図である。
図2】素子の様々な実施形態の透視図である。
図3】素子の様々な実施形態の透視図である。
図4】素子の様々な実施形態の透視図である。
図5】素子の様々な実施形態の透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
好ましくは、以下の図中、同じ参照符号は、様々な実施形態の機能的または構造的に対応する部分を示す。
【0031】
図1Aは、電気素子2と、上にこの素子2が配置されている担体3とを有する素子システム1を示す。
【0032】
電気素子2は基体4を有する。好ましくはこの基体4はセラミック材料を有する。この場合、素子2はセラミック素子と称される。素子2は、例えば多層素子として形成されている。とりわけ基体4は、セラミック層と、この間に配置されていて電極層との積層を有しうる。全ての層は、好ましくは共に焼結されている。例えば電極層は銅を有する。例えば素子2はコンデンサとして、とりわけセラミック多層コンデンサとして形成されている。これは、とりわけ電力用コンデンサでありうる。
【0033】
素子2は、この素子2を電気的に接続するための接続用接点5を有する。例えば接続用接点5は、2つの接続用部材18、19を有する。これらの接続用部材18、19は、例えば基体4の対向する側に配置されている。接続用部材18、19のうちの1つのみを接続用接点5と称することも可能である。
【0034】
接続用接点5は、素子2を担体3と電気的に結合させる。さらに、接続用接点5は、素子2を担体3に機械的に固定するためにも機能しうる。接続用接点5は、担体3への熱的結合も確実に行いうる。
【0035】
接続用接点5は、好ましくは基体4とは別に製造され、続いて基体4に固定される。好ましくは、接続用接点5は金属製薄板から形成されている。とりわけ接続用接点5は、接続用ブラケットまたはリードフレームでありえる。接続用接点5は、好ましくは熱伝導性および導電性が高い以外に、熱膨張係数が可能な限り小さい。これらの異なる特性は、好ましくは接続用接点5の複合材料により、とりわけ多層構造により確保されている。接続用接点5の構造は、図1Bに関連付けて詳細に説明する。
【0036】
接続用接点5は、基体4に固定するための接触領域6と、担体3に固定するための接続領域7とを有する。接触領域6は、例えば接点材料8を用いて基体4に固定されている。例えば、この接点材料8は層状に配置されている。例えばこの接点材料8は焼結材料である。接続用接点5は、好ましくは焼結材料8を基体4に焼結することにより固定されている。例えば、この場合、低温焼結プロセスを、とりわけ温度250℃の範囲で行う。
【0037】
接続領域7は、接触領域6に対してある角度で配置されている。例えば、接続領域7は、接触領域6に対して90°の角度で方向付けられている。接続領域7は、外側または内側に屈曲可能である。接続領域7が内側に屈曲された場合には、接続領域7は好ましくは基体4の下方にある。接続領域7が外側に屈曲された場合には、接続領域7は好ましくは基体4の側方にある。接続用接点5は、好ましくは、基体4が担体3からある距離をとって配置されているように形成されている。とりわけ基体4と担体3との間には空気間隙9が存在する。
【0038】
担体3は、例えば導体基板である。例えば、導体基板はFR4ボードとして形成されている。セラミック基板も可能である。例えば、担体3は、DCB(direct copper bonded(銅直接接合))基板として形成されていて、銅がセラミック上に塗布されている。
【0039】
担体3は、少なくとも1つの接点ポイント10を有し、この接点ポイントに、接続用接
点5の接続領域7が固定される。例えば、この接点ポイント10は、はんだパッドまたは銅接点である。例えば、接続領域7は接点ポイント10とはんだ付けまたは焼結されている。このために、例えば、はんだまたは焼結材料の形態での結合材料11が設けられている。
【0040】
図1Bは、図1Aのある部分の拡大図であり、この部分の位置は図1A中で「1B」の符号で示されている。とりわけ接続用接点5の多層構造を見て取ることができる。接続用接点5は、少なくとも1つの第1材料M1と、その上に配置されている第2材料M2とを有する。第1材料M1は第2材料M2とは異なる。とりわけ材料M1、M2は、第1層12と、その上に配置されている第2層13として形成されている。第1層12は、第2層13よりも基体4の近くに配置されている。
【0041】
第1材料M1、したがって第1層12は、好ましくは導電性および熱伝導性が特に良好である。第1層12は、第1材料M1を有しまたは第1材料M1からなる。好ましくは、第1材料M1は銅である。銅は比導電率が約58m/(Ω・mm)、熱伝導性が約400W/(m・K)かつ熱膨張係数が約18ppm/Kである。
【0042】
第2材料M2、したがって第2層13は、好ましくは熱膨張係数が小さい。さらに、第2層13は、例えば接続用接点5の機械強度を確保する。第2層13は、第2材料M2を有しまたは第2材料M2からなる。例えばこれはインバールである。インバールは比導電率が約1.2m/(Ω・mm)、熱伝導性が約13W/(m・K)、および、熱膨張係数が<2ppm/Kである。
【0043】
したがって、第1材料M1は、第2材料M2よりも導電性および熱伝導性が実質的に大きい。第2材料M1は、第1材料M1よりも熱膨張係数が実質的に小さい。
【0044】
さらに、接続用接点5は、第3材料M3を有しうる。第3材料M3は、第1材料M1と同じ材料でありえる。第3材料M3は、第3層14を形成するが、この第3層14は第2層13上に配置されている。第2層13は、第1層12と第3層14との間に配置されている。好ましくは第3層14の厚さは、第1層12の厚さと同じである。第3層14により、接続用接点5のバイメタル挙動を防ぐことができる。
【0045】
例えば、接続用接点5の厚さは、0.1mm~1mmの範囲である。とりわけこの厚さは、0.15mmでありえる。例えば、第2層13の厚さの、第1層12の厚さに対する関係は、1:1~5:1である。とりわけこの厚さの関係は3:1である。第3層14の形成時には、第3層14の厚さの、第2層13の厚さに対する第1層12の厚さに対する関係は、例えば1:1:1~1:5:1である。とりわけこの厚さの関係は1:3:1である。例えば、第2層13は厚さ90μmのインバールであり、第1層12は厚さ30μmの銅であり、第3層14は厚さ30μmの銅である。この種のCIC接続用接点の熱膨張係数は、選択された厚さの割合に応じて、例えば約5~7ppm/Kの範囲である。
【0046】
さらに、接続用接点5は1つまたは複数のさらなる層15、16を有しうる。さらなる層15、16は、例えば接続用接点5の外側を形成する。例えば、これらは電気メッキ層15、16とりわけ銀層である。電気メッキ層の厚さは、例えばそれぞれ5μm~10μmの範囲である。これらのさらなる層は、例えば第1層ないし第3層12、14の不動態化に機能する。とりわけこれらの層は防食を提供する。さらに、この層は、はんだ付け可能な表面を提供し、または焼結材料への結合を改良することができる。
【0047】
接続用接点5を製造するために、例えば第2層13を備え、これに続いて、その上に第1層12、および、必要な場合には第3層14を配置する。第2層13は、とりわけ金属
製薄板として備える。例えば第1および第3層12、14は、第2層13上に回転塗布する。続いて、例えば両側に電気メッキ層15、16を塗布する。その後、多層の金属製薄板から、例えば1片を打ち抜き、所望の形状に屈曲する。
【0048】
接続用接点5は、好ましくは基体4の外側接点17に固定されている。外側接点17は、基体4の電極層と電気的に接触している。この外側接点17は、例えば少なくとも1つのスパッタされた層を有する。外側接点17は、重ね合わせて配置された複数の層を、とりわけスパッタされた複数の層を有しうる。例えば、外側接点17は、接着仲介のための、拡散遮断のための、および、さらなる接触のための成分を有する。ある実施形態では、これは、Cr/Ni/Ag層構造である。例えば外側接点17の厚さは、1μmの範囲である。
【0049】
接続用接点5は、接点材料8により外側接点17に結合されている。この接点材料8は、好ましくは導電性および熱伝導性が高い。さらに、接点材料8は、好ましくは温度変化負荷に対して高い耐久性を有し、高い接着力を有する。例えば接点材料8は、焼結材料、とりわけ焼結銀を有する。その後、接点材料8を焼結することにより、接続用接点5は基体4と固定される。例えば接点材料8の厚さは、20μmの範囲である。接点材料8は、例えばDE 10 2013 108 753 A1中に記載された接点層のように形成されている。
【0050】
接続用接点5を基体4に固定するために、例えば接点材料8を基体4および/または接続用接点5上に塗布する。接続用接点5、とりわけ接続用部材18、19を、その後基体4に配置し、焼結方法で固定する。この場合も、例えば低温焼結方法を行うことが可能である。
【0051】
図1Cは、図1Aのある部分の拡大された部分を示すが、その位置は、図1A中で「1C」と記されている。とりわけ、ここで、接続用接点5が担体3の接点ポイント10と結合されていることを見て取ることができる。接点ポイント10を備えた担体3は、例えば、接点パッドを備えた導体基板として、または接点面を備えたセラミック基板として、とりわけDCB基板として形成されている。
【0052】
ある実施形態では、この固定は、はんだ付けにより実現される。例えば、このために結合材料11として鉛フリーのSACはんだを用いる。これに代わる実施形態では、固定は、焼結により実現する。例えば、このために、結合材料11として焼結銀材料を用いる。この際、無加圧で焼結または加圧下で焼結を行い得る。接続領域7が外側に屈曲される場合は、この際、圧力焼結プロセスによって特に良好な結合が可能になるが、この理由は、基体4または外側接点17の事前損傷の危険性なしに、圧力を直接接続領域7にかけうるからである。
【0053】
接続用接点5の接続領域7中での構造は、その接触領域6中での構造と一致する。とりわけ接続用接点5は多層構造を有し、例えば電気メッキ層が両側に塗布されたCIC構造を有する。
【0054】
図2図5中には、接続用接点5と、接続用接点5を備えた素子2との様々な実施形態を示す。接続用接点5は、それぞれ図1A図1Cに関連して説明した複合材料を有する。全ての素子2は、SMD実装すなわち表面実装で、担体に固定されうる。
【0055】
図2中では、図1A図1Cでの接続用接点5と同じ実施形態の接続用接点5を示す。
とりわけ接続用接点5は2つの接続用部材18、19を有し、これらは、素子2の基体4の対向する側に配置されている。接続用部材18、19は、それぞれ接触領域6と、外
側に屈曲された接続領域7とを有する。したがって、接続領域7は、基体4から離れた方向に進む。この種の幾何学形状の場合、接続用接点5は、特に良好に加圧焼結プロセスで、担体3に固定されうる。
【0056】
基体4は、平行六面体形状を有する。接続用接点5は、完全に基体4の2つの縦辺に渡って伸張する。接続用接点4は、基体の外側に渡って部分的にのみ伸張することも可能である。基体4の下面と、接続領域7の下面との間には、明らかに高さの差異があり、その結果、基体4は、担体3に対して距離をとって配置されていることができる。
【0057】
図3中では、接続用接点5と、この接続用接点5を有する素子2とのさらなる実施形態を示す。図2の接続用接点5とは異なり、この場合の接続領域7は内側に屈曲されている。接続領域7は、基体4の下方に配置されている。この場合も、基体4の下面と、接続領域7の下面との間には、空気間隙9が存在する。したがって、基体4は、接続用接点5に対して高さ方向では中央に配置されていない。
【0058】
図4中では、接続用接点5と、この接続用接点5を有する素子2とのさらなる実施形態を示す。素子2は、複数の部分体20を備えた基体4を有する。例えば5つの部分体20が設けられている。接続用接点5は、2つの接続用部材18、19を有する。接続用接点5を介して共通の電気的接点が全ての部分体20について作られる。したがって、部分体20は、並列接続されている。
【0059】
接続用部材18、19は、担体に固定するためのそれぞれ複数の接続領域7を有する。これにより、構造形状が大きい場合でも安定した固定が可能になる。接続領域7は外側に屈曲している。
【0060】
接触領域6中には間隙21が設けられている。接触領域6は、基体4の全長辺に渡って伸張している。
【0061】
図5中には、接続用接点5と、この接続用接点5を有する素子2とのさらなる実施形態を示す。素子2は、図4中と同様、複数の部分体20を備えた基体4を有する。
【0062】
素子2は、可変の「エンドレス」設計形態で形成されている。とりわけ素子2は、任意の数の部分体20を有しえ、続いて、より小さな素子2に分解可能である。これに加えて接続用接点5は、例えば分割可能な形態を有する。とりわけ接続用接点5は、複数の部分接続部22を有し、これらがそれぞれ部分体20と接触する。各部分接続部22は、部分体と接触するための接触領域6を有する。接触領域6は、それぞれ2つの接点アームを有し、これらが部分体20に当接している。接続用接点5は、例えば弾性付勢されて形成されている。部分接続部22は、(不図示の)薄い迫台により互いに連結されていることができる。迫台を折ることにより、部分接続部22を分割可能である。
【0063】
機械的な安定性を高めるために、素子2は、台座23、例えばプラスチック台座を有し、この上に基体4が配置されている。接続用接点5は台座23を貫通している。あるいは、接続用接点5は、台座23の狭い辺の周りを周ることも可能である。
【符号の説明】
【0064】
1 素子システム
2 素子
3 担体
4 基体
5 接続用接点
6 接触領域
7 接続領域
8 接点材料
9 空気間隙
10 接点ポイント
11 結合材料
12 第1層
13 第2層
14 第3層
15 さらなる層
16 さらなる層
17 外側接点
18 接続用部材
19 接続用部材
20 部分体
21 間隙
22 部分接続部
23 台座
M1 第1材料
M2 第2材料
M3 第3材料
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4
図5