(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-08
(45)【発行日】2023-02-16
(54)【発明の名称】香味生成システム、方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
A24F 40/50 20200101AFI20230209BHJP
A24F 40/90 20200101ALI20230209BHJP
【FI】
A24F40/50
A24F40/90
(21)【出願番号】P 2021134554
(22)【出願日】2021-08-20
(62)【分割の表示】P 2020537312の分割
【原出願日】2018-08-13
【審査請求日】2021-08-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000004569
【氏名又は名称】日本たばこ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100138759
【氏名又は名称】大房 直樹
(72)【発明者】
【氏名】赤尾 剛志
(72)【発明者】
【氏名】小田 崇
(72)【発明者】
【氏名】中野 拓磨
(72)【発明者】
【氏名】藤田 創
【審査官】八木 敬太
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0207499(US,A1)
【文献】特表2018-519775(JP,A)
【文献】特表2017-518733(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0357839(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0250552(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00-47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル源を霧化又は香味源を加熱する負荷へ電気的に接続される又は接続可能な電源と、第1制御部と、を備える電源ユニットと、
第2制御部を備え、前記電源を充電可能な充電ユニットと、を有し、
前記電源ユニットは、前記電源の温度の検出値又は推定値を出力可能な第1温度センサを備え、
前記第1制御部は、前記第1温度センサの出力値に基づき前記電源の充電速度を制御するよう構成され、
前記充電ユニットは、入力された電力の電圧又は電流を変換して出力可能な変換部と、第2温度センサと、を備え、
前記変換部は、第1充電モードと、前記変換部が出力可能な単位時間当たりの電力の値又は電流の値が前記第1充電モードよりも大きい第2充電モードと、を実行可能であり、
前記第2制御部は、前記第2温度センサの出力値が閾値以上の場合に前記第2充電モードを前記変換部に実行させ、前記第2温度センサの出力値が前記閾値未満の場合に前記第1充電モードを前記変換部に実行させるよう構成され、
前記電源ユニットは、前記充電ユニットと電気的に接続可能な第1接続部と、前記電源と前記第1接続部との間の開閉器と、を備え、
前記第2制御部は、前記変換部の操作によって前記変換部の出力する電圧の値又は電流の値を調整する第2制御を実行可能に構成され、
前記第1制御部は、前記開閉器の操作によって前記充電速度を0にするか否かを制御する第1制御を実行するよう構成され、
前記充電速度は、前記第1制御と前記第2制御によって制御される、
香味生成システム。
【請求項2】
前記第1制御部は、前記第1温度センサの出力値に基づき、前記第1制御を実行するよう構成され、
前記第2制御部は、前記第2温度センサの出力値に基づき、前記第2制御を実行するよう構成される、請求項1に記載の香味生成システム。
【請求項3】
前記第1制御部は、前記充電ユニットから前記電源へ入力される電流又は電力量を低下させるか否かを制御するよう構成される、請求項1に記載の香味生成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、香味生成システム、香味生成システムを制御する方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
シガレットに代わり、エアロゾル源をヒータのような電気的負荷で霧化することによって生じたエアロゾルを味わうエアロゾル生成装置が知られている(特許文献1)。エアロゾル生成装置は、エアロゾル源を霧化させる加熱素子、加熱素子に電力を供給する電源、負荷や電源を制御する制御部を備える。
【0003】
特許文献1は、エアロゾル生成装置に設けられた電源を充電又は放電する方法も開示する。特許文献1に記載された方法は、周囲温度に依存して充電電流又は放電電流のレートを決定する工程と、決定されたレートで電源を充電、又は電源から放電する工程と、を含む。
【0004】
特許文献2は、二次電池を充電するための充電システムを開示する。特許文献2に記載された充電システムは、二次電池の温度を検出する温度検出部を有する。温度検出部によって検出された二次電池の温度が、二次電池の充電に適した温度として予め設定された好適温度の範囲内であるとき、二次電池の温度が当該好適温度範囲の上限温度を超えないように、充電部から二次電池へ供給させる充電電流が調節される。
【0005】
特許文献3は、バッテリパック内のバッテリを充電するため充電器を開示する。特許文献3に記載された充電方法では、バッテリの温度の検出値と充電器の温度の検出値とに基づき、充電電流の出力の可否が制御される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特表2017-518733号
【文献】特開2009-183105
【文献】特開2017-005830号
【発明の概要】
【0007】
第1の特徴は、香味生成システムであって、エアロゾル源を霧化又は香味源を加熱する負荷へ電気的に接続される又は接続可能な電源と、第1制御部と、を備える電源ユニットと、第2制御部を備え、前記電源を充電可能な充電ユニットと、を有し、前記第1制御部と前記第2制御部は、前記電源の充電速度を制御可能に構成されており、前記充電速度の制御において、前記第1制御部により操作される第1対象は、前記第2制御部により操作される第2対象と異なることを要旨とする。
【0008】
第2の特徴は、第1の特徴における香味生成システムであって、前記電源の状態の検出値又は推定値を出力可能なセンサを有し、前記第1制御部は、前記センサの出力値に基づき前記充電速度を制御するよう構成されることを要旨とする。
【0009】
電源の状態の検出値又は推定値を出力可能なセンサは、例えば電源の温度を測定又は推定する温度センサや、電源の内部抵抗を測定又は推定するセンサなどであってよい。
第3の特徴は、第1の特徴又は第2の特徴における香味生成システムであって、前記充電速度は、0を含むことを要旨とする。
【0010】
第4の特徴は、第1の特徴から第3の特徴のいずれかにおける香味生成システムであって、前記電源ユニットは、前記充電ユニットと電気的に接続可能な第1接続部と、前記電源と前記第1接続部との間の開閉器と、を備え、前記第1制御部は、前記開閉器の操作によって前記充電速度を0にするか否かを制御するよう構成されることを要旨とする。
【0011】
第5の特徴は、第4における香味生成システムであって、前記電源ユニットは、前記電源の温度の検出値又は推定値を出力する第1温度センサを備え、前記第1制御部は、前記第1温度センサの出力値に基づき、前記開閉器の操作によって前記充電速度を0にするか否かを制御するよう構成されることを要旨とする。
【0012】
第6の特徴は、第5の特徴における香味生成システムであって、前記電源は、電解液又はイオン液体を含み、前記第1温度センサの出力値が、前記電解液又は前記イオン液体が凝固する既定温度以下である場合、又は前記電源の温度が前記第1温度センサの出力値に基づき前記既定温度以下であると推定される場合、前記第1制御部は、前記開閉器を開くよう構成されることを要旨とする。
【0013】
第7の特徴は、第5の特徴における香味生成システムであって、前記電源は、リチウムイオン二次電池であり、前記第1温度センサの出力値が、前記電源における電極に電析が生じる既定温度以下の場合、又は前記電源の温度が、前記第1温度センサの出力値に基づき前記既定温度以下であると推定される場合、前記第1制御部は、前記開閉器を開くよう構成されることを要旨とする。
【0014】
第8の特徴は、第5の特徴における香味生成システムであって、前記第1温度センサの出力値が、前記電源における電極の構造又は組成の変化が生じる既定温度以上の場合、又は前記電源の温度が前記第1温度センサの出力値に基づき前記既定温度以上であると推定される場合、前記第1制御部は、前記開閉器を開くよう構成されることを要旨とする。
【0015】
第9の特徴は、第1の特徴から第8の特徴のいずれかにおける香味生成システムであって、前記充電ユニットは、入力された電力の電圧又は電流を変換して出力可能な変換部を備え、前記第2制御部は、前記変換部の操作によって前記変換部が出力する電圧の値又は電流の値を調整可能に構成されることを要旨とする。
【0016】
第10の特徴は、第9の特徴における香味生成システムであって、前記充電ユニットは、第2温度センサを備え、前記第2制御部は、前記第2温度センサの出力値に基づき、前記変換部の操作によって前記変換部が出力する電圧の値又は電流の値を調整可能に構成されることを要旨とする。
【0017】
第11の特徴は、第10の特徴における香味生成システムであって、前記第2制御部は、前記電源の残量に関する値を取得可能であり、前記第2制御部は、前記電源の残量に関する値と前記第2温度センサの出力値に基づき、前記変換部の操作によって前記変換部が出力する電圧の値又は電流の値を調整可能に構成されることを要旨とする。
【0018】
第12の特徴は、第10の特徴又は第11の特徴における香味生成システムであって、前記変換部は、第1充電モードと、前記変換部が出力可能な単位時間当たりの電力の値又は電流の値が前記第1充電モードよりも大きい第2充電モードと、を実行可能であり、前記第2制御部は、前記第2温度センサの出力値が閾値以上の場合に前記第2充電モードを前記変換部に実行させ、前記第2温度センサの出力値が前記閾値未満の場合に前記第1充電モードを前記変換部に実行させるよう構成されることを要旨とする。
【0019】
第13の特徴は、第10の特徴から第12の特徴のいずれかにおける香味生成システムであって、前記第2制御部は、前記温度センサの出力値が閾値以上の場合、定電流充電と定電圧充電を実行し、前記温度センサの出力値が前記閾値未満の場合、定電流充電と定電圧充電のうち定電流充電のみを実行するよう構成されることを要旨とする。
【0020】
第14の特徴は、第10の特徴から第12の特徴のいずれかにおける香味生成システムであって、前記温度センサの出力値が閾値未満の場合に定電流充電から定電圧充電に切替える前記電源の残量に関する値である切替値を、前記温度センサの出力値が閾値以上の場合における前記切替値よりも小さくするよう構成されることを要旨とする。
【0021】
第15の特徴は、第1の特徴における香味生成システムであって、前記電源ユニットは、第1センサを備え、前記充電ユニットは、第2センサを備え、前記第1センサと前記第2センサは、同じ物理量に関する値を出力し、前記第1制御部は、前記第1センサの出力値に基づき前記充電速度を制御するよう構成され、前記第2制御部は、前記第2センサの出力値に基づき前記充電速度を制御するよう構成されることを要旨とする。
【0022】
第16の特徴は、第1の特徴における香味生成システムであって、前記電源ユニットは、第1センサを備え、前記充電ユニットは、第2センサを備え、前記第1センサと前記第2センサは、互いに異なる物理量に関する値を出力し、前記第1制御部は、前記第1センサの出力値に基づき前記充電速度を制御するよう構成され、前記第2制御部は、前記第2センサの出力値に基づき前記充電速度を制御するよう構成される。
【0023】
第17の特徴は、第1の特徴における香味生成システムであって、前記電源ユニットは、前記充電ユニットと電気的に接続可能な第1接続部と、前記電源と前記第1接続部との間の開閉器と、を備え、前記充電ユニットは、入力された電力の電流又は電圧を変換して出力可能な変換部を備え、前記第2制御部は、前記変換部の操作によって前記変換部の出力する電圧の値又は電流の値を調整する第2制御を実行可能に構成され、前記第1制御部は、前記開閉器の操作によって前記充電速度を0にするか否かを制御する第1制御を実行するよう構成され、前記充電速度は、前記第1制御と前記第2制御によって制御されることを要旨とする。
【0024】
第18の特徴は、第17の特徴における香味生成システムであって、前記電源ユニットは、前記電源の温度の検出値又は推定値を出力する第1温度センサを備え、前記充電ユニットは、第2温度センサを備え、前記第1制御部は、前記第1温度センサの出力値に基づき、前記第1制御を実行するよう構成され、前記第2制御部は、前記第2温度センサの出力値に基づき、前記第2制御を実行するよう構成されることを要旨とする。
【0025】
第19の特徴は、第1の特徴における香味生成システムであって、前記第1制御部は、前記充電ユニットから前記電源へ入力される電流又は電力量を低下させるか否かを制御するよう構成されることを要旨とする。
【0026】
第20の特徴は、第1の特徴から第19の特徴のいずれかにおける香味生成システムであって、前記第1制御部と前記第2制御部は、前記電源の充電の制御において、互いに通信することなく動作するよう構成されていることを要旨とする。
【0027】
第21の特徴は、第1の特徴から第20の特徴のいずれかにおける香味生成システムであって、前記電源ユニットと前記充電ユニットは、主正母線と主負母線によってのみ互いに電気的に接続されることを要旨とする。
【0028】
第22の特徴は、エアロゾル源を霧化又は香味源を加熱する負荷へ電気的に接続される又は接続可能な電源を充電する方法であって、前記電源を備える電源ユニットに設けられた第1対象を操作して前記電源の充電速度を制御するステップと、充電ユニットに設けられ、前記第1対象とは異なる第2対象を操作して前記充電速度を制御するステップと、を含むことを要旨とする。
【0029】
第23の特徴は、香味生成システムであって、エアロゾル源を霧化又は香味源を加熱する負荷へ電気的に接続される又は接続可能な電源と、第1制御部と、を備える電源ユニットと、第2制御部を備え、前記電源から出力された電力を受ける外部ユニットと、を有し、前記第1制御部と前記第2制御部は、前記電源からの放電速度を制御可能に構成されており、前記放電速度の制御において、前記第1制御部により操作される対象は、前記第2制御部により操作される対象と異なることを要旨とする。
【0030】
ここで、外部ユニットは、例えばエアロゾル源又は香味源を含む霧化ユニット又は香味ユニットであってもよく、その他のユニットであってもよい。
第24の特徴は、エアロゾル源を霧化又は香味源を加熱する負荷へ電気的に接続される又は接続可能な電源から外部ユニットへ放電する方法であって、前記電源を備える電源ユニットに設けられた第1対象を操作して前記電源の放電速度を制御するステップと、前記外部ユニットに設けられ、前記第1対象とは異なる第2対象を操作して前記放電速度を制御するステップと、を含むことを要旨とする。
【0031】
ここで、外部ユニットは、例えばエアロゾル源又は香味源を含む霧化ユニット又は香味ユニットであってもよく、その他のユニットであってもよい。
第25の特徴は、香味生成システムであって、エアロゾル源を霧化又は香味源を加熱する負荷へ電気的に接続される又は接続可能な電源と、第1制御部と、を備える電源ユニットと、第2制御部を備える外部ユニットと、を有し、前記第1制御部と前記第2制御部は、前記外部ユニットによる前記電源の充電又は前記電源から前記外部ユニットへの放電を制御するよう構成されており、前記充電又は前記放電において行われる判断のうち、前記第1制御部により行われる前記判断の第1選択肢の数は、前記第2制御部により行われる前記判断の第2選択肢の数より少ないことを要旨とする。
【0032】
ここで、外部ユニットは、例えばエアロゾル源又は香味源を含む霧化ユニット又は香味ユニットであってもよく、電源を充電可能な充電ユニットであってもよく、その他のユニットであってもよい。
【0033】
第26の特徴は、エアロゾル源を霧化又は香味源を加熱する負荷へ電気的に接続される又は接続可能な電源を外部ユニットにより充電する、又は前記電源から外部ユニットへ放電する方法であって、前記電源を備える電源ユニットに設けられた第1制御部が、第1選択肢のなかから1つを選択するステップと、前記外部ユニットに設けられた第2制御部が、第2選択肢のなかから1つを選択するステップと、を有し、前記第1選択肢の数は前記第2選択肢の数より少ないことを要旨とする。
【0034】
ここで、外部ユニットは、例えばエアロゾル源又は香味源を含む霧化ユニット又は香味ユニットであってもよく、電源を充電可能な充電ユニットであってもよく、その他のユニットであってもよい。
【0035】
第27の特徴は、香味生成システムであって、エアロゾル源を霧化又は香味源を加熱する負荷へ電気的に接続される又は接続可能な電源と、第1制御部と、前記電源の温度の検出値又は推定値を出力する第1温度センサと、備える電源ユニットと、第2制御部と前記第2温度センサとを備え、前記電源を充電可能な充電ユニットと、を有し、前記第1制御部は、前記第1温度センサの出力値に基づき、前記電源の充電条件を設定する第1相関を備えるよう構成され、前記第2制御部は、前記第2温度センサの出力値に基づき、前記電源の充電条件を設定する前記第1相関とは異なる第2相関を備えるよう構成され、前記第1制御部と前記第2制御部は、前記第1相関と前記第2相関に基づき、前記電源の充電を制御するよう構成されることを要旨とする。
【0036】
第28の特徴は、第27の特徴における香味生成システムであって、前記第1制御部と前記第2制御部は、前記第1相関と前記第2相関のうち前記第1相関を優先して用いて、前記電源の充電を制御するよう構成されることを要旨とする。
【0037】
第29の特徴は、エアロゾル源を霧化又は香味源を加熱する負荷へ電気的に接続される又は接続可能な電源を充電する方法であって、前記電源を備える電源ユニットに設けられた第1温度センサから出力値を取得するステップと、充電ユニットに設けられた第2温度センサから出力値を取得するステップと、前記第1温度センサの出力値に基づき前記電源の充電条件を設定する第1相関と、前記第2温度センサの出力値に基づき前記電源の充電条件を設定する前記第2相関を用いて、前記電源の充電を制御するステップと、を含むことを要旨とする。
【0038】
第30の特徴は、第22の特徴、第24の特徴、第26の特徴又は第29の特徴における方法を香味生成システムに実行させるプログラムであることを要旨とする。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る香味生成装置を示す分解図である。
【
図2】
図2は、一実施形態に係る霧化ユニットを示す図である。
【
図3】
図3は、電源ユニットの一部の拡大斜視図である。
【
図4】
図4は、電源ユニットの一部を分解した分解斜視図である。
【
図6】
図6は、電源ユニットの電気回路を示す図である。
【
図7】
図7は、負荷が接続された状態の霧化ユニット及び電源ユニットの電気回路を示す図である。
【
図8】
図8は、電源ユニットと充電ユニットを含む香味生成システムの電気回路を示す図である。
【
図10】
図10は、電源の温度と充電速度との相関(第1相関)の一例を示すマップである。
【
図11】
図11は、充電ユニットの温度と充電速度との相関(第2相関)の一例を示すマップである。
【
図12】
図12は、充電ユニットの温度と充電速度との相関(第2相関)の別の一例を示すマップである。
【
図13】
図13は、充電ユニットの第2制御部による制御フローの一例を示すフローチャートである。
【
図14】
図14は、電源ユニットの第1制御部による制御フローの一例を示すフローチャートである。
【
図15】
図15は、充電ユニットの第2制御部による制御フローの別の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下において、実施形態について説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なる場合があることに留意すべきである。
【0041】
したがって、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれる場合があることは勿論である。
【0042】
[開示の概要]
一態様によれば、香味生成システムは、エアロゾル源を霧化又は香味源を加熱する負荷へ電気的に接続される又は接続可能な電源と、第1制御部と、を備える電源ユニットと、第2制御部を備え、前記電源を充電可能な充電ユニットと、を有する。前記第1制御部と前記第2制御部は、前記電源の充電速度を制御可能に構成されている。前記充電速度の制御において、前記第1制御部により操作される第1対象は、前記第2制御部により操作される第2対象と異なる。
【0043】
本態様によれば、電源ユニットの第1制御部と、充電ユニットの第2制御部が、電源の充電速度の制御を分担する。特に、電源を備えた電源ユニットの第1制御部が、充電速度の制御の一部を担うことができる。そのため、例えば電源の状況(環境)に応じて、より高度かつ高精度な充電速度の制御が可能になり得る。特に、電源ユニットの第1制御部と充電ユニットの第2制御部との間で通信を行うことなく、高度かつ高精度な充電速度の制御が可能になる。
【0044】
別の一態様によれば、香味生成システムは、エアロゾル源を霧化又は香味源を加熱する負荷へ電気的に接続される又は接続可能な電源と、第1制御部と、を備える電源ユニットと、第2制御部を備え、前記電源から出力された電力を受ける外部ユニットと、を有する。前記第1制御部と前記第2制御部は、前記電源からの放電速度を制御可能に構成されている。前記放電速度の制御において、前記第1制御部により操作される対象は、前記第2制御部により操作される対象と異なる。
【0045】
本態様によれば、電源ユニットの第1制御部と、外部ユニットの第2制御部が、電源の放電速度の制御を分担する。特に、外部ユニットの第2制御部が、放電速度の制御の一部を担うことができる。そのため、例えば外部ユニットの状況(環境)に応じて、より高度かつ高精度な放電速度の制御が可能になり得る。特に、電源ユニットの第1制御部と外部ユニットの第2制御部との間で通信を行うことなく、高度かつ高精度な放電速度の制御が可能になる。
【0046】
さらに別の一態様によれば、香味生成システムは、エアロゾル源を霧化又は香味源を加熱する負荷へ電気的に接続される又は接続可能な電源と、第1制御部と、を備える電源ユニットと、第2制御部を備える外部ユニットと、を有する。前記第1制御部と前記第2制御部は、前記外部ユニットによる前記電源の充電又は前記電源から前記外部ユニットへの放電を制御するよう構成されている。前記充電又は前記放電において行われる判断のうち、前記第1制御部により行われる前記判断の第1選択肢の数は、前記第2制御部により行われる前記判断の第2選択肢の数より少ない。
【0047】
本態様によれば、前述したメリットに加え、次のようなメリットが生じる。すなわち、電源ユニットの第1制御部が判断する第1選択肢の数が外部ユニットが判断する第2選択肢の数より少ないため、電源ユニットの第1制御部は、外部ユニットの第2制御部よりも簡易な構成を有するものであってよい。これにより、第1制御部と第1制御部を含む電源ユニットのサイズと重量を小さくすることができるため、特に携帯型の香味生成システムにとってより好適なものになる。
【0048】
さらに別の一態様によれば、香味生成システムは、エアロゾル源を霧化又は香味源を加熱する負荷へ電気的に接続される又は接続可能な電源と、第1制御部と、前記電源の温度の検出値又は推定値を出力する第1温度センサと、備える電源ユニットと、第2制御部と前記第2温度センサとを備え、前記電源を充電可能な充電ユニットと、を有する。前記第1制御部は、前記第1温度センサの出力値に基づき、前記電源の充電条件を設定する第1相関を備えるよう構成されている。前記第2制御部は、前記第2温度センサの出力値に基づき、前記電源の充電条件を設定する前記第1相関とは異なる第2相関を備えるよう構成されている。前記第1制御部と前記第2制御部は、前記第1相関と前記第2相関に基づき、前記電源の充電を制御するよう構成される。
【0049】
本態様によれば、電源ユニットの第1制御部と、充電ユニットの第2制御部が、電源の充電制御を分担する。特に、第1制御部と第2制御部は、互いに異なる相関(第1相関及び第2相関)に基づき電源の充電を制御するため、例えば電源の様々な状況(環境)に応じて、より複雑な充電の制御が可能になる。特に、電源ユニットの第1制御部と充電ユニットの第2制御部との間で通信を行うことなく、高度な充電の制御が可能になる。
【0050】
[実施形態]
以下において、一実施形態に係る香味生成装置について説明する。
図1は、一実施形態に係る香味生成装置を示す分解図である。
図2は、一実施形態に係る霧化ユニットを示す図である。
図3は、電源ユニットの一部の拡大斜視図である。
図4は、電源ユニットの一部を分解した分解斜視図である。
図5は、香味生成装置のブロック図である。
図6は、電源ユニットの電気回路を示す図である。
図7は、負荷が接続された状態の霧化ユニット及び電源ユニットの電気回路を示す図である。
【0051】
香味生成装置100は、燃焼を伴わずに香味を吸引するための非燃焼型の香味吸引器であってよい。香味生成装置100は、非吸口端E2から吸口端E1に向かう方向である所定方向Aに沿って延びる形状を有していてよい。この場合、香味生成装置100は、香味を吸引する吸口141を有する一方の端部E1と、吸口141とは反対側の他方の端部E2と、を含んでいてよい。
【0052】
香味生成装置100は、電源ユニット110及び霧化ユニット120を有していてよい。霧化ユニット120は、ケース123と、ケース123の内部に配置される負荷121Rと、を有していてよい。ケース123は、香味生成装置の最も外側の外表面の一部を構成していてよい。
【0053】
霧化ユニット120は、電源ユニット110に対して機械的な接続部分111,121を介して着脱可能に構成されていてよい。霧化ユニット120と電源ユニット110とが互いに機械的に接続されたときに、霧化ユニット120内の負荷121Rは、電気的な接続端子(第1接続部)111t,121tを介して、電源ユニット110に設けられた電源10に電気的に接続される。すなわち、電気的な接続端子111t,121tは、負荷121Rと電源10を電気的に接続可能な接続部を構成する。
【0054】
霧化ユニット120は、ユーザにより吸引されるエアロゾル源と、電源10からの電力によりエアロゾル源を霧化する電気的な負荷121Rと、を有する。
負荷121Rは、電源からの電力を用いてエアロゾル源からエアロゾルを発生させることができる素子であればよい。例えば、負荷121Rは、ヒータのような発熱素子、又は超音波発生器のような素子であってよい。発熱素子としては、発熱抵抗体、セラミックヒータ、及び誘導加熱式のヒータ等が挙げられる。
【0055】
以下では、
図1及び
図2を参照しつつ、霧化ユニット120のより詳細な一例について説明する。霧化ユニット120は、リザーバ121Pと、ウィック121Qと、負荷121Rと、を有していてよい。リザーバ121Pは、液状のエアロゾル源を貯留するよう構成されていてよい。リザーバ121Pは、例えば、樹脂ウェブ等材料によって構成される多孔質体であってよい。ウィック121Qは、リザーバ121Pから毛管現象を利用してエアロゾル源を引き込む液保持部材であってよい。ウィック121Qは、例えば、ガラス繊維や多孔質セラミックなどによって構成することができる。
【0056】
負荷121Rは、ウィック121Qに保持されるエアロゾル源を加熱する。負荷121Rは、例えば、ウィック121Qに巻き回される抵抗発熱体(例えば、電熱線)によって構成される。
【0057】
外気を流路に取込む入口125から流入した空気は、流路122A中で、霧化ユニット120の内の負荷121R付近を通過する。負荷121Rによって生成されたエアロゾルは、空気とともに吸口141の方へ流れる。以下、流路122Aは、流体が流れ得る通路のうち、入口125と吸口141との間の通路を意味するものとする。すなわち、この流路122Aは、ユーザによる吸引に伴って生じる気流を通す。本実施形態では、流路122Aは、霧化ユニット120と電源ユニット110との接続部から、霧化ユニット120を通って吸口141に至る。
【0058】
本実施形態では、入口125が霧化ユニット120の接続部分121に設けられる形態について説明した。本実施形態に代えて、入口125は、電源ユニット110の接続部分111に設けられてもよい。また、本実施形態に代えて、入口125は、霧化ユニット120の接続部分121及び電源ユニット110の接続部分111に設けられてもよい。いずれの形態においても、入口125は、霧化ユニット120と電源ユニット110との接続部に設けられる。
【0059】
エアロゾル源は、常温で液体であってよい。例えば、エアロゾル源としては、多価アルコールを用いることができる。エアロゾル源は、加熱することによって香喫味成分を放出するたばこ原料やたばこ原料由来の抽出物を含んでいてもよい。
【0060】
なお、上記実施形態では、常温で液体のエアロゾル源についての例を詳細に説明したが、この代わりに、エアロゾル源は、常温で固体のものを用いることもできる。この場合、負荷121Rは、固体状のエアロゾル源からエアロゾルを発生させるため、固体状のエアロゾル源に接し、又は近接していてよい。
【0061】
霧化ユニット120は、交換可能に構成された香味ユニット(カートリッジ)130を備えていてもよい。香味ユニット130は、香味源を収容する筒体131を有していてよい。筒体131は、空気やエアロゾル等が通過可能な膜部材133とフィルタ132とを含んでいてよい。膜部材133とフィルタ132とにより構成される空間内に香味源が設けられていてよい。
【0062】
好ましい実施形態の一例によれば、香味ユニット130内の香味源は、霧化ユニット120の負荷121Rによって生成されたエアロゾルに香喫味成分を付与する。香味源によってエアロゾルに付与される香味は、香味生成装置100の吸口141に運ばれる。
【0063】
香味ユニット130内の香味源は、常温で固体であってよい。一例として、香味源は、エアロゾルに香喫味成分を付与する植物材料の原料片によって構成される。香味源を構成する原料片としては、刻みたばこやたばこ原料のようなたばこ材料を粒状に成形した成形体を用いることができる。この代わりに、香味源は、たばこ材料をシート状に成形した成形体であってもよい。また、香味源を構成する原料片は、たばこ以外の植物(例えば、ミント、ハーブ等)によって構成されてもよい。香味源には、メントールなどの香料が付与されていてもよい。
【0064】
香味生成装置100は、使用者が吸引成分を吸引するための吸引口を有するマウスピースを含んでいてよい。マウスピースは、霧化ユニット120又は香味ユニット130に着脱可能に構成されていてもよく、一体不可分に構成されていてもよい。
【0065】
以下では、
図1,
図3,
図4を参照しつつ、電源ユニット110のより詳細な一例について説明する。電源ユニット110は、ケース113、電源10、圧力センサ20、第1制御部50及び温度センサ160を有していてよい。電源10、圧力センサ20、第1制御部50及び温度センサ160は、ケース113内に設けられていてよい。ケース113は、香味生成装置の最も外側の外表面の一部を構成していてよい。
【0066】
電源10は、前述したように、エアロゾル源を霧化する負荷121Rへ電気的に接続される又は接続可能に構成されている。電源10は、電源ユニット110に対して交換可能であってよい。電源10は、例えばリチウムイオン二次電池のような再充電可能な電池であってよい。
【0067】
二次電池は、正極と、負極と、正極と負極とを離間するセパレータと、電解液又はイオン液体と、を含んでいてよい。電解液又はイオン液体は、例えば電解質を含む溶液であってよい。リチウムイオン二次電池では、正極は例えばリチウム酸化物のような正極材によって構成され、負極は例えば黒鉛のような負極材によって構成される。電解液は、例えばリチウム塩有機溶媒であってよい。
【0068】
圧力センサ20は、吸口141を通じたユーザの吸引又は吹込みにより生じた香味生成装置100内の圧力変化の値を出力するよう構成されている。具体的には、圧力センサ20は、非吸口側から吸口側に向けて吸引される空気の流量(すなわち、ユーザのパフ動作)に応じて変化する気圧に応じた出力値(例えば、電圧値又は電流値)を出力するセンサであってよい。圧力センサ20の出力値は、圧力の次元を有していてもよく、圧力の次元に代えて吸引される空気の流量や流速を有していてもよい。そのような圧力センサとして、例えば、コンデンサマイクロフォンセンサや公知の流量センサなどが挙げられる。
【0069】
第1制御部50は、香味生成装置100の各種の制御を行う。例えば、第1制御部50は、負荷121Rへ供給する電力を制御してもよい。香味生成装置100は、負荷121Rと電源10とを電気的に接続及び切断可能な第1開閉器172を含んでいてよい(
図6参照)。第1開閉器172は、第1制御部50によって開閉される。第1開閉器172は、例えばMOSFETにより構成されていてよい。
【0070】
第1開閉器172がONになると、電源10から負荷121Rへ電力が供給される。一方、第1開閉器172がOFFになると、電源10から負荷121Rへ電力の供給が停止される。第1開閉器172のON/OFFは、第1制御部50によって制御される。
【0071】
電源ユニット110は、負荷121Rの動作を要求する信号である動作要求信号を出力可能な要求センサを含んでいてよい。要求センサは、例えばユーザにより押される押しボタン30、又は前述した圧力センサ20であってよい。第1制御部50は、負荷121Rへの動作要求信号を取得して負荷121Rを動作させるための指令を生成する。具体的一例では、第1制御部50は、負荷121Rを動作させるための指令を第1開閉器172へ出力し、この指令に応じて第1開閉器172がONになる。このように、第1制御部50は、電源10から負荷121Rへの給電を制御するよう構成されていてよい。電源10から負荷121Rへ電力が供給されると、負荷121Rによりエアロゾル源が気化又は霧化される。
【0072】
また、電源ユニット110は、電源10の出力電圧を取得又は推定可能な電圧センサ150を有していてもよい。この場合、第1制御部50は、電圧センサ150の出力値に応じて所定の制御を行うことができる。例えば、第1制御部50は、電圧センサ150からの出力値によって、電源10の残量や電源10の異常を検知又は推定することができる。第1制御部50は、電源10の残量の低下や電源10の異常を検知したら、通知部40の制御によってユーザに通知を行ってもよい。
【0073】
電圧センサ150は、電源10のアナログ電圧値を既定の相関を用いてデジタル電圧値に変換し、デジタル電圧値を出力するよう構成されていてよい。具体的には、電圧センサ150は、アナログ入力値をデジタル出力値に変換するA/Dコンバータを有していてよい。
【0074】
本実施形態では、電源ユニット110は、互いに電気的に直列に接続された第1抵抗152と第2抵抗153を有していてよい。第1抵抗152は、電源10に電気的に接続されており、一対の電気端子111tどうしを連結するよう設けられている。第2抵抗153の一端は、第1抵抗152に接続されており、第2抵抗153の他端は、電圧センサ150に接続されている。
【0075】
第1抵抗152及び第2抵抗153の電気抵抗値は既知である。好ましくは、第1抵抗150及び第2抵抗152の電気抵抗値は、電源10の状態に拠らず一定である。
通知部40は、各種の情報をユーザに知らせるための通知を発する。通知部40は、例えばLEDのような発光素子であってよい。この代わりに、通知部40は、音を発生する音響素子、又は振動を発するバイブレータであってもよい。さらに、通知部40は、発光素子、音響素子、バイブレータの任意の組み合わせによって構成されていてもよい。通知部40は、香味生成装置100の任意の箇所に設けられていて良い。本実施形態では、通知部40は、第1制御部50に内蔵されていてもよく、第1制御部50とは異なる場所に配置されていてもよい。通知部40は、ユーザに通知を認識させることができれば、どこに設けられていても良い。
【0076】
電源ユニット110は、電源10の状態の検出値又は推定値を出力可能なセンサを有していてよい。このセンサの検出値又は推定値は、第1制御部50に送られる。電源10の状態の検出値又は推定値を出力可能なセンサは、電源10の温度の検出値又は推定値を出力する第1温度センサ160であってよい。第1温度センサ160は、電源10の温度の検出値又は推定値を出力可能であれば、どこに設けられていてもよい。図示した実施形態では、第1温度センサ160は、第1制御部50に内蔵されている。
【0077】
電源10の状態の検出値又は推定値を出力可能なセンサは、第1温度センサ160の代わりに、電源10の内部抵抗(インピーダンスの直流成分)を測定又は推定するセンサであってもよい。電源10の内部抵抗を測定又は推定するセンサとしては、例えば電圧センサ150を用いることができる。
【0078】
図3及び
図4に示す態様では、電源ユニット110は、圧力センサ20、温度センサ160及び第1制御部50を包む第1部材300及び第2部材310を有する。第1部材300及び第2部材310は、例えば筒状に形成されている。第2部材310は、第1部材300の一方の端に嵌められている。第1部材300の一方の端には、キャップ330が設けられている。キャップ330に大気開放の開口114が形成されていてよい。これにより、第1部材300及び第2部材310の内部が大気開放される。
【0079】
電源ユニット110は、電源10を充電可能な充電ユニット200と接続可能に構成されていてもよい(
図8参照)。電源ユニット110と充電ユニット200の組み合わせは、本発明の香味生成システムを構成する。
図8は、電源ユニットと充電ユニットを含む香味生成システムの電気回路を示す図である。
図9は、充電ユニットのブロック図である。
【0080】
充電ユニット200が電源ユニット110に接続されたとき、充電ユニット200は電源ユニット110の電源10と電気的に接続される。充電ユニット200は、電流センサ230、電圧センサ240、第2制御部250及び第2温度センサ260を有していてよい。
【0081】
充電ユニット200は、一対の接続端子211tにより電源ユニット110に電気的に接続される。充電ユニット200を電気的に接続するための電源ユニット110の一対の電気端子は、負荷121Rを電気的に接続するための電源ユニット110の一対の電気端子111tと同じであって良い。この代わりに、充電ユニット200を電気的に接続するための電源ユニット110の一対の電気端子は、一対の電気端子111tとは別個に設けられていてもよい。
【0082】
香味生成装置100の構造を簡易化する目的では、充電ユニット200の第2制御部250は、電源ユニット110の第1制御部50と通信不能に構成されていてもよい。すなわち、充電ユニット200の第2制御部250と電源ユニット110の第1制御部50との間で通信を行うための通信用端子や受信機と送信機からなる通信システムは不要である。換言すれば、充電ユニット200との接続インターフェースにおいて、電源ユニット110が有する電気端子は、主正母線用と主負母線用の2つのみであってよい。この場合、電源ユニット110と充電ユニット200は、主正母線と主負母線によってのみ互いに電気的に接続される。
【0083】
外部電源210が交流電源の場合、充電ユニット200は、交流を直流に変換するインバータ(AC/DCコンバータ)を有していてよい。電流センサ230は、充電ユニット200から電源10へ供給する充電電流の値を取得するセンサである。電圧センサ240は、充電ユニット200の一対の電気端子間の電圧を取得するセンサである。換言すれば、電圧センサ240は、電源ユニットの一対の接続端子111t間に印加する電位差を取得する。
【0084】
第2制御部250は、電源10への充電を制御するよう構成されている。第2制御部250は、温度センサ260、電流センサ230及び/又は電圧センサ240からの出力値を用いて、電源10の充電を制御してよい。なお、充電ユニット200は、インバータが出力する直流の電圧を取得する電圧センサや、インバータや外部電源210が出力する直流の電圧を昇圧及び/又は降圧可能なコンバータを、さらに有していてもよい。
【0085】
電源ユニット110は、電源10と電気的な接続端子(第1接続部)111t,121tとの間に、第2開閉器174を備えていてよい。第2開閉器174は、第1制御部50によって開閉される。第2開閉器174は、例えばMOSFETにより構成されていてよい。第2開閉器174のON/OFFは、第1制御部50によって制御される。
【0086】
第2開閉器174がONになると、充電ユニット200からの充電電流が、電源10まで流れ込むことができる。第2開閉器174がOFFになると、充電ユニット200からの充電電流は、電源10に流れ込むことができない。すなわち、電源ユニット110に充電ユニット200が接続されていたとしても、第1制御部50は、第2開閉器174によって、電源10の充電を一時的又は恒久的に停止することができる。
【0087】
充電ユニット200は、入力された電力の電圧又は電流を変換して出力可能な変換部290を備えていてよい。第2制御部250は、変換部290の操作によって変換部290が出力する電圧の値又は電流の値を調整可能に構成されている。これにより、第2制御部250は、電源10を充電するための充電電流を調整することができる。
【0088】
電源ユニット110の第1制御部50は、充電ユニット200が接続されたか否かを判定可能に構成されていてよい。第1制御部50は、例えば、前述した第2抵抗153における電圧降下量の変化によって、充電ユニット200が接続されたか否かを判定することができる。
【0089】
第2抵抗153における電圧降下量は、一対の電気端子111tに何も接続されていない場合と、一対の電気端子111tに充電ユニット200や霧化ユニット120のような外部ユニットが接続されている場合で異なる。したがって、第1制御部50は、第2抵抗153における電圧降下量を取得することによって、充電ユニット200や霧化ユニット120のような外部ユニットの接続を検知することができる。
【0090】
例えば、第1制御部50は、第2抵抗153のところで高レベルの電圧値Vwakeを検知すると、接続端子111tに充電ユニット200が接続されていないと推定できる。また、第1制御部50は、低レベルの電圧値Vwakeを検知すると、接続端子111tに充電ユニット200が接続されたと推定できる。
【0091】
より詳述すると、接続端子111tに充電ユニット200が接続されていない状態では、第1抵抗152と第2抵抗153を介して電源10から第1制御部50へ向けて電流が流れる。従って、第2抵抗153を貫流する電流によって第2抵抗153において電圧降下が生じるため、第1制御部50は高レベルの電圧値Vwakeを検知する。一方、一対の電気端子111tのうち、第1抵抗152と第2抵抗153との間に接続される充電ユニット200の主負母線が接地によってグラウンド電位に落ちているならば、接続端子111tへの充電ユニット200の接続によって、第1抵抗152と第2抵抗153との間の部分がグラウンド電位に落ちる。従って、接続端子111tに充電ユニット200が接続された状態では、第2抵抗153を電流が貫流しなくなるため、第1制御部50は、低レベルの電圧値Vwakeを検知する。
【0092】
上述した態様の代わりに、第1制御部50は、例えば一対の接続端子111tどうしの間の電位差の変化によって充電ユニット200の接続を検知してもよい。
(電源の充電制御)
本実施形態では、電源ユニット110の第1制御部50と充電ユニット200第2制御部250の両方が、電源10の充電の制御、特に充電の速度の制御を可能に構成されている。すなわち、第1制御部50は、第2開閉器174の操作によって、充電速度の制御を行うことができる。充電速度は、充電レート(いわゆるCレート)や電源10を充電する単位時間当たりの電力の値などで表すことができる。ここで、充電速度の制御は、充電速度を「0」にすることを含む。すなわち、充電速度の制御は、充電を停止することをも含む。
【0093】
例えば、第1制御部50は、第2開閉器174を所望の時間間隔で開閉を繰り返すことによって、充電速度の制御を行うことができる。また、第1制御部50は、第2開閉器174を開いた状態で維持することによって、充電を停止することもできる。いずれの場合でも、第2開閉器174を閉状態に維持し続ける場合よりも充電速度が遅くなることは明らかであろう。
【0094】
第1制御部50は、電源10の状態の検出値又は推定値を出力可能なセンサの出力値に基づき充電速度を制御することが好ましい。そのようなセンサは、例えば、前述した第1温度センサ160であってもよい。この場合、第1制御部50は、電源10の温度に基づき、第2開閉器174の操作によって充電速度を0にするか否かを制御することができる。
【0095】
図10は、電源の温度と充電速度との相関の一例を示すマップである。
図10に示すように、第1制御部50は、第1温度センサ160の出力値が所定の温度範囲内である(
図10の充電許容区間に属する)場合に、第2開閉器174を閉じてよい。第2開閉器174が閉じると電源10の充電が許容され、充電速度は「0」より大きな値になる。また、第1制御部50は、第1温度センサ160の出力値が所定の温度範囲外である(
図10の充電停止区間に属する)場合、第2開閉器174を開いてよい。第2開閉器174が開くと電源10の充電が停止され、充電速度は「0」になる。
【0096】
具体的には、第1制御部50は、第1温度センサ160の出力値が、電解液又はイオン液体が凝固する第1既定温度以下である場合、又は電源10の温度が第1温度センサ160の出力値に基づき第1既定温度以下であると推定される場合、第2開閉器174を開くよう構成されていてよい。これにより、電源10の電解液又はイオン液体が凝固するような温度範囲で、電源10を保護することができる。
【0097】
この第1既定温度は、
図10に示すように、例えば0℃であってよい。電源10の温度が0℃以下になると、電源10内の水分、例えば電解液中の水分が凝固し得るため、電源10の劣化が充電によって促進されやすい。従って、このような温度範囲では電源10の充電を停止することが好ましい。
【0098】
また、第1制御部50は、第1温度センサ160の出力値が、電源10における電極に電析が生じる第2既定温度以下の場合、又は電源10の温度が、第1温度センサ160の出力値に基づき第2既定温度以下であると推定される場合、第2開閉器174を開くよう構成されていてよい。
【0099】
特に、電源10がリチウムイオン二次電池の場合、低温時における充電で電源10に高い負荷がかかると、負極の表面に金属リチウムの析出(電析)が生じることがあるため、充電を停止することが好ましい。ここで、第2既定温度は、リチウムイオン二次電池の種類によって異なり得るため、予め実験により特定しておけばよい。第2既定温度は、第1既定温度と同じであっても良いし、異なっていても良い。
【0100】
さらに、第1制御部50は、第1温度センサ160の出力値が、電源10における電極の構造又は組成の変化が生じる第3既定温度以上の場合、又は電源10の温度が第1温度センサ160の出力値に基づき第3既定温度以上であると推定される場合、第2開閉器174を開くよう構成されていてよい。
【0101】
電源10の温度が極度に高くなると、電極の構造又は組成の変化が生じ得るため、第1制御部50により充電を停止することが好ましい。電極の構造又は組成の変化の一例は、活物質,導電助剤やバインダーの凝集や電極からの脱離である。第3既定温度は、例えば60℃であってよい。
【0102】
図10に示すような電源の温度と充電速度との相関(第1相関)に関する情報は、第1制御部50内のメモリに記憶されていてよい。
前述した態様の代わりに、第1制御部50は、電源10の内部抵抗を測定又は推定するセンサの出力値に基づき充電速度を制御してもよい。すなわち、電源10の状態の検出値又は推定値を出力可能なセンサは、電源10の内部抵抗を測定又は推定するセンサ、例えば電圧センサ150であってもよい。電源10の内部抵抗が高くなると、充放電時における電源10の発熱が増える。この様な場合でも、電源10の内部抵抗が高くなるほど充電速度を低下させるなどの、前述した電源10の内部抵抗に基づき充電速度を制御すれば、電源10を保護することができる。
【0103】
また、第2制御部250は、変換部290の操作によって、充電速度の制御を行うことができる。一例として、変換部290が後述するCV充電や出力電流を制御する電流制御モードを実行している場合、充電速度を制御できることは、当業者にとって明らかであろう。すなわち、第2制御部250は、変換部290が出力する電圧の値又は電流の値を調整可能である。ここで、充電速度の制御は、充電速度を「0」にすることを含む。すなわち、充電速度の制御は、充電を停止することをも含む。
【0104】
変換部290は、充電速度の異なる第1充電モードと第2充電モードとを実行可能に構成されていてよい。第2充電モードは、変換部290が出力可能な単位時間当たりの電力の値又は電流の値が第1充電モードよりも大きいモードであってよい。この場合、第2充電モードは、「急速充電モード」とも呼ばれる。なお、第2充電モードと区別するために、第1充電モードは、「普通充電モード」とも呼ばれる。
【0105】
また、第2制御部250は、変換部290が出力可能な単位時間当たりの電力の値又は電流の値が第1充電モードよりも小さい第3モードを実行可能に構成されていてもよい。
図11に示す例では、第3モードは、電源10の残量が著しく低下している状態、すなわち過放電状態又は深放電状態で実施される。過放電状態又は深放電状態は、電源10の電圧値が放電終止電圧未満の状態であってよい。過放電状態又は深放電状態では、電源10がダメージを負い易いため、第2制御部250は、低速で電源10の充電を行い、電源10の回復(放電終止電圧以上の状態へのリターン)を試みればよい。
【0106】
第2制御部250は、第2温度センサ260の出力値に基づき充電速度を制御することが好ましい。すなわち、第2制御部250は、充電ユニット200の温度に基づいて、前述した充電速度の制御、すなわちモードの選択を行えばよい。
【0107】
図11は、充電ユニット200の温度と充電速度との相関の一例を示すマップである。
図11に示すように、第2制御部250は、第2温度センサ260の出力値が第1閾値以上の場合に、第2充電モードを変換部290に実行させる。一方、第2制御部250は、第2温度センサ260の出力値が上記第1閾値未満の場合に第1充電モードを変換部290に実行させる。
【0108】
図11及び
図12では、充電速度をCレートを用いて表現している。一般的に、放電終止状態の電源10を1時間で満充電状態まで充電する充電速度を、基準として1.0Cで表す。1.0Cより高い充電レートの場合は、1.0Cよりも早く充電が行われる。また、1.0Cよりも低い充電レートの場合は、1.0よりも遅く充電が行われる。一例として、2.0Cで充電すれば、1.0Cに比べて倍の速さで充電が行われる。また、0.5Cで充電すれば、1.0Cに比べて半分の速さで充電が行われる。本実施形態では、一例として第1充電モードでは0.5Cの充電速度を使用し、第2充電モードでは2.0Cの充電速度を使用し、第3充電モードでは0.05Cの充電速度を使用する。
【0109】
第1閾値は、例えば10℃であってよい。これにより、第2制御部250は、低温時に急速充電モードを実行せず、電源10にかかる負荷を低減し、電析のような現象を抑制することができる。
【0110】
より具体的には、第2制御部250は、第2温度センサ260の出力値が上記第1閾値以上の場合には、他の条件にも基づき、第1充電モードと第2充電モードのいずれか選択してもよい。本実施形態では、第2制御部250は、電源10の残量に関する値と第2温度センサ260の出力値に基づき、変換部290の操作によって変換部290が出力する電圧の値又は電流の値を調整可能に構成される。
【0111】
電源10の残量に関する値は、特に制限されないが、例えば電源10の電圧であってもよい。電源10の電圧は、電圧センサ240によって取得可能である。
この場合、第2制御部250は、温度センサ260の出力値が第1閾値未満の場合、定電流充電(CC充電)と定電圧充電(CV充電)のうち定電流充電のみを実行するよう構成されていてよい。なお、定電流充電の充電速度は、0.5~1.0Cの間の任意の値でもよく、一例として1.0Cでもよい。また、第2制御部250は、温度センサ260の出力値が第1閾値以上の場合、定電流充電と定電圧充電を実行してもよい。より具体的には、温度センサ260の出力値が第1閾値以上の場合、かつ電圧センサ240で取得した電源10の電圧が切替電圧以上である場合、第2制御部250は、定電圧充電を実行してよい。温度センサ260の出力値が第1閾値以上の場合、かつ電圧センサ240で取得した電源10の電圧が切替電圧未満である場合、第2制御部250は、定電流充電を実行してよい。ここで、切替電圧は、例えば4.2Vであってよい。
【0112】
このように、
図11に示す相関(第2相関)では、低温時は、電源10の満充電容量が低下するため、定電圧充電を行うことなく、定電流充電のみが行われる。また、低温時は電源10の内部抵抗が増大し、電圧センサ240が取得する電源10の電圧が真値に対して高めになるため、CV充電を省略すれば電源10の過充電を抑制できる。
【0113】
図11に示す相関の代わりに、第2制御部250は、
図12に示すような相関に基づいて充電の速度を制御してもよい。
図12に示す相関では、温度センサ260の出力値が第1閾値未満であっても、定電流充電(CC充電)と定電圧充電(CV充電)の両方が行われる。ただし、温度センサ260の出力値が第1閾値未満の場合における切替電圧が、温度センサ260の出力値が第1閾値以上の場合における切替電圧よりも小さくなっている。すなわち、温度センサ260の出力値が第1閾値未満の場合に定電流充電から定電圧充電に切替える電源の残量に関する値である切替値、例えば電源10の電圧値の切替値(切替電圧)を、温度センサ260の出力値が第1閾値以上の場合における切替値よりも小さくするよう構成されていてよい。これにより、電源10の満充電容量が低下する低温時であっても、充電完了前に定電圧充電を行うことができる。また、過充電を回避しつつ、満充電近傍まで電源10を充電できる。
【0114】
図11又は
図12に示すような充電ユニット200の温度と充電速度との相関(第2相関)に関する情報は、第2制御部250内のメモリに記憶されていてよい。
前述したように、充電速度の制御において、第1制御部50により操作される対象は、第2制御部250により操作される対象と異なる。このように、第1制御部50と第2制御部250は、互いに異なる対象を操作することによって充電速度の制御を分担する。
【0115】
すなわち、充電速度は、第1制御部50と第2制御部250の両方によって制御される。より詳細には、第2制御部250が、変換部290の操作によって変換部290の出力する電圧の値又は電流の値を調整(操作)し、第1制御部50が第2開閉器174の操作によって充電速度を0にするか否かを制御(操作)してもよい。
【0116】
電源10の充電において行われる判断のうち、第1制御部50により行われる判断の第1選択肢の数は、第2制御部250により行われる判断の第2選択肢の数より少ないことが好ましい。例えば、
図10に示すように、第1制御部50は、第1温度センサ160の出力値に基づき、第2開閉器174をONにするか、OFFにするかという2つの選択肢(第1選択肢)を有する。一方、
図11~
図12に示すように、第2制御部250は、第2温度センサ260の出力値に基づき、第1充電モード、第2充電モード、第3充電モード、CV充電及びCC充電のように、2つよりも多い選択肢を有する。電源ユニット110とは異なる外部のユニット、すなわち充電ユニット200に多くの選択肢を持たせることで、第1制御部50として高性能なものを用意する必要がなくなり、電源ユニット110、ひいては香味生成装置100の構成を簡易化することができる。ユーザが日常的に携行し、かつ使用時には口に咥える香味生成装置100では、特にこの効果は好ましい。
【0117】
(充電ユニットの第2制御部による制御フロー1)
図13は、充電ユニット200の第2制御部250による制御フローの一例を示すフローチャートである。まず、第2制御部250は、電源ユニット110に接続されたかどうかを判断する(ステップS300)。第2制御部250は、充電ユニット200が電源ユニット110に接続されるまで待機する。
【0118】
充電ユニット200と電源ユニット110との接続は、公知の方法で検知することができる。例えば、第2制御部250は、充電ユニット200の一対の電気端子211t間の電圧の変化を電圧センサ240により検知することによって、電源ユニット110に接続されたかどうかを判断することができる。電圧センサ240に代えて、充電ユニット200と電源ユニット110の接続時と非接続時で出力が変わる機械的なスイッチを用いてもよい。
【0119】
充電ユニット200が電源ユニット110に接続されると、第2制御部250は、第2温度センサ260の出力値と、電源10の電圧(VBATT)を取得する(ステップS302及びS303)。第2温度センサ260の出力値の取得と、電源10の電圧(VBATT)の取得は、どちらを先に行ってもよいし、同時に行ってもよい。第2制御部250は、電圧センサ240によって電源10の電圧(VBATT)を取得することができる。なお、電圧センサ240によって電源10の電圧を取得する際には、電源ユニット110の第1制御部50は、第2開閉器174を閉じた状態(ON状態)にしておく。
【0120】
次に、第2制御部250は、第2温度センサ160の出力値に基づき、充電モードを設定する(ステップS304)。具体的には、第2制御部250は、
図11又は
図12に示すような電源10の充電条件を設定する相関(第2相関)に基づき、電源10の充電速度(充電モード)を設定する。好ましくは、第2制御部250は、第2温度センサ160の出力値と、電源10の残量に関する値、例えば電圧(V
BATT)の両方に基づき、充電速度(充電モード)を設定する。
【0121】
次に、第2制御部250は、必要に応じて、定電圧充電と定電流充電のいずれを実施するかを判断する(ステップS306)。具体的には、電源10の電圧(VBATT)が、前述した切替電圧未満の場合、定電流充電により電源ユニット110に電流を供給する(ステップS308)。
【0122】
電源10の充電がすすむとともに、電源10の電圧は増大する。したがって、一定期間、定電流充電を行ったら、第2制御部250は、再度、第2温度センサ260の出力値と、電源10の電圧(VBATT)を取得する(ステップS302及びS303)。そして、第2制御部250は、第2温度センサ160の出力値と、電源10の電圧(VBATT)の両方に基づき、再び充電速度(充電モード)を設定すればよい。なお、充電速度は、変換部290の操作によって変換部290が出力する電圧の値又は電流の値を調整することによって実施できる。この後、前述したように、第2制御部250は、必要に応じて、定電圧充電と定電流充電のいずれを実施するかを判断する(ステップS306)。
【0123】
電源10の電圧(VBATT)が、前述した切替電圧以上の場合、第2制御部250は、定電圧充電により電源ユニット110に電流を供給する(ステップS310)。定電圧充電では、電源10の充電がすすむとともに充電電圧と電源10の電圧の差が縮まるため、充電電流が減少する。
【0124】
充電電流が充電完了電流よりも大きい場合(ステップS312)、第2制御部250は、再度、第2温度センサ260の出力値と、電源10の電圧(VBATT)を取得する(ステップS302及びS303)。そして、第2制御部250は、第2温度センサ160の出力値と、電源10の電圧(VBATT)の両方に基づき、再び充電速度(充電モード)を設定すればよい。
【0125】
定電圧充電中に、充電電流が充電完了電流以下になった場合(ステップS312)、第2制御部250は、充電が完了したと判断し、電源10の充電を停止する(ステップS314)。
【0126】
前述したように、第2制御部250は、温度センサ260の出力値だけでなく電源10の電圧(VBATT)を取得し、電源10の電圧にも基づき、充電モードの設定を行うことが好ましい。第2制御部250は、電源10の電圧の代わりに、電源の残量に関する値を利用することもできる。すなわち、ステップS304において、第2制御部250は、電源10の残量に関する値と第2温度センサ260の出力値に基づき、変換部290の操作によって変換部290が出力する電圧の値又は電流の値を調整してもよい。
【0127】
前述した制御フローでは、第2制御部250は、定期的に第2温度センサ260の出力値を取得し、当該出力値に基づき充電モードの選択を行っている。この代わりに、第2制御部250は、電源ユニット110が接続された後に1度取得した第2温度センサ260の出力値を用いて、充電モードの選択を行ってもよい。すなわち、第2制御部250は、充電速度の決定において第2温度センサ260の出力値を一度のみ取得してもよい。この場合、第2制御部250は、充電ユニット200の温度は変化しないと仮定し、電源10の電圧の変化に応じて
図11,12に示す相関に基づき充電モードを決定すればよい。この場合では、ステップS308の実行後、処理はステップS302ではなくステップS306に戻る。また、ステップS312の判断がNoの場合、処理はステップS302ではなくステップS312に戻る。したがって、制御フローを簡素化できる。
【0128】
図13に示す制御フローでは、第2制御部250は、ステップS306で定電圧充電と定電流充電のいずれを実施するかを判断する前に、ステップS304で充電モードを設定している。ステップS304で用いる第2相関は、定電流充電における充電速度を規定しているため、この代わりに、ステップS306で定電流充電を実施すると判断した後に、ステップS304で充電モードを決定してもよい。
【0129】
(充電モードにおける第1制御部による制御)
図14は、電源ユニットの第1制御部による制御フローの一例を示すフローチャートである。
【0130】
まず、第1制御部50は、電源ユニット110に充電ユニット200が接続されたかどうかを判定をする(ステップS402)。電源ユニット110への充電ユニット200の接続は、前述した方法によって検知することができる。
【0131】
続いて、前述したステップS303で第2制御部250が電源10の電圧(VBATT)を取得できるように、第1制御部50は、第2開閉器174をONにすることで、電源ユニット110と充電ユニット200を電気的に接続する(ステップS403a)。その後、第1制御部50は、第2開閉器174をOFFにすることで、電源ユニット110と充電ユニット200の電気的な接続を解除する(ステップS403b)。
【0132】
第1制御部50が電源ユニット110への充電ユニット200の接続を検知すると、第1制御部50は、電源ユニットに設けられた第1温度センサ160の出力値を取得する(ステップS404)。
【0133】
次に、第1制御部50は、第1温度センサ160の出力値に基づき、電源の充電条件を設定する第1相関に基づき、充電速度を設定する(ステップS406,S407,S408)。第1相関については、
図10を用いて説明したとおりである。
【0134】
好ましくは、第1制御部50は、第2開閉器174の操作によって充電速度を0にするか否かを制御する。より具体的には、第1制御部50は、第1温度センサ160の出力値に基づき、第2開閉器174の操作によって充電速度を0にするか否かを制御する。
【0135】
図14に示すフローでは、第1制御部50は、電源10の温度が第1既定温度以下である場合、又は電源10の温度が第1温度センサ160の出力値に基づき第1既定温度以下であると推定される場合、第2開閉器174を開く(ステップS406,S408)。ここで、第1規定温度は例えば0℃であってよい。
【0136】
また、第1制御部50は、電源10の温度が第3既定温度以上である場合、又は電源10の温度が第1温度センサ160の出力値に基づき第3既定温度以上であると推定される場合、第2開閉器174を開く(ステップS406,S408)。
【0137】
第1制御部50は、第1温度センサ160の出力値が規定の温度範囲、例えば0℃~60℃の範囲内である場合、第1制御部50は、第2開閉器174を閉じる(ステップS407)。これにより、第1制御部50は、電源10の温度が充電に適した温度条件にある場合にのみ、充電を許容することができる。
【0138】
電源10の充電中に、第1制御部50は、充電ユニット200が取り外されたかどうかを検知する。充電ユニット200が接続された状態では、第1制御部50は、電圧センサ150によって電源10の電圧を取得する場合を除き、第2開閉器174を閉じた状態に維持する。これにより、電源10の充電が可能な状態が維持される。
【0139】
図13及び
図14に示すフローでは、電源ユニット110の第1制御部50と、充電ユニット200の第2制御部250が、電源10の充電速度の制御を分担する。第1制御部50及び第2制御部250は、それぞれ第1温度センサ160及び第2温度センサ260の出力値、すなわち同じ物理量に関する値に基づき、充電速度を制御するよう構成されている。
【0140】
具体的には、第1制御部50と第2制御部250は、
図10~
図12に示すように第1相関と第2相関に基づき、電源10の充電を制御するよう構成されている。好ましくは、第1制御部50と第2制御部250は、第1相関と第2相関のうち第1相関を優先して用いて、電源10の充電を制御するよう構成される。すなわち、第1相関は、
図10で説明したしたように、充電速度を0にするかどうかを設定するような相関であることが好ましい。これにより、第2制御部250によって充電速度を0より大きい値に調整し、第1制御部50によって充電速度を0にするか否かが設定される。
【0141】
第1温度センサ160は、第2温度センサ260よりも電源10に近い位置に配置されるため、より正確な電源10の温度を取得できる。一方、電源ユニット110の重量やサイズの増大は、ユーザが日常的に携行し、かつ使用時には口に咥える香味生成装置100という物品の特性上好ましくない。そこで、第2制御部250が、第2温度センサ260の出力値に基づき、選択肢の多い充電速度の一次的な決定を行う。第1制御部50が、第1温度センサの出力値に基づき、選択肢の少ない充電速度の二次的(最終的)な決定を行う。
【0142】
これにより、電源10の充電のために操作すべき対象を、電源ユニット110と充電ユニット200とに適切に分散して、例えば電源の状況(環境)に応じたより高度な充電速度の制御が可能になり得る。
【0143】
さらに、第1制御部50と第2制御部250は、電源10の充電の制御において、互いに通信することなく動作してよい。これにより、電源ユニット110の構成を簡易化することができる。この場合であっても、第1制御部50と第2制御部250が、電源の充電速度の制御を分担するため、高度な充電速度の制御が可能になる。
【0144】
高度に制御された充電速度は、他にも次のような点で有利である。第1に、電源10が保護できるため、電源10の寿命が延びる。第2に、電源10の温度が低温又は高温である場合や電源10の内部抵抗が高い場合と比べ、充電ユニット200から供給される電力が浪費されずに電源10を充電するため、充電効率が向上する。つまり、高度に制御された充電速度を持つ香味生成システム、香味生成システムを制御する方法、及びプログラムは、省エネルギー効果を有するものである。
【0145】
(充電ユニットの第2制御部による制御フロー2)
図15は、充電ユニット200の第2制御部250による制御フローの別の一例を示すフローチャートである。以下では、
図13に示すステップと同様のステップについては、同じ符号を付し、その説明を省略することがある。
【0146】
まず、第2制御部250は、電源ユニット110に接続されたかどうかを判断する(ステップS300)。第2制御部250は、充電ユニット200が電源ユニット110に接続されるまで待機する。
【0147】
充電ユニット200が電源ユニット110に接続されると、第2制御部250は、電源ユニット110に向けてテスト電流を流し、電源10の内部抵抗を推定又は測定する(ステップS301)。電源10の内部抵抗は、テスト電流を流した際に電源ユニット110に印加した電圧の値を、テスト電流の値で除算することで求まることは、当業者にとって明らかであろう。これにより、電源10の状態を推定することができる。また、第2制御部250は、電源10の電圧(VBATT)を取得する(ステップS303)。なお、ステップS301とステップS303の間、電源ユニット110の第1制御部50は、前述したステップS403aとステップS403bを実行することで、第2開閉器174を閉じた状態(ON状態)にしておく。
【0148】
次に、第2制御部250は、電源10の内部抵抗に基づき、充電モードを設定する(ステップS304)。
次に、第2制御部250は、必要に応じて、定電圧充電と定電流充電のいずれを実施するかを判断する(ステップS306)。具体的には、電源10の電圧(V
BATT)が、前述した切替電圧未満の場合、定電流充電により電源ユニット110に電流を供給する(ステップS308)。同様に、電源10の電圧(V
BATT)が、前述した切替電圧以上の場合、第2制御部250は、定電圧充電により電源ユニット110に電流を供給する(ステップS310)。なお、これ以降のステップは、
図13と同様であるため、説明を省略する。
【0149】
また、充電ユニット200の第2制御部250が
図15に示すステップを実行する場合であっても、第1制御部50による制御フローは、
図14に示すステップと実質的に同様であってよい。ただし、第2制御部250がテスト電流を流し始めてから電源10の電圧を取得するまで、すなわちステップS301からステップS303までの間、第1制御部50は第2開閉器174を操作してONにしておく。したがって、
図14に示すステップS403aからS403bまでの期間をより長くすればよい。
【0150】
図15に示すように、第2制御部250は、第2温度センサ260の出力値の代わりに、温度とは別の物理量を有する値を取得するセンサの出力値に基づき、充電速度の設定を行ってもよい。この場合であっても、第1制御部50は、第1温度センサ160の出力値に基づき、充電速度の設定を行ってよい。このように、第1制御部50と第2制御部250は、互いに異なる物理量に関する値を出力するセンサの出力値に基づき、充電速度の設定を行うこともできる。
【0151】
第1制御部50は、電源10に近い位置に配置されるため、より正確な電源10の温度を取得できる。一方、電源ユニット110の重量やサイズの増大は、ユーザが日常的に携行し、かつ使用時には口に咥える香味生成装置100という物品の特性上好ましくない。そこで、第2制御部250が、電源10から離れていても正確に取得できる電源10の内部抵抗に基づき、選択肢の多い充電速度の一次的な決定を行う。第1制御部50が、電源10の温度に基づき、選択肢の少ない充電速度の二次的(最終的)な決定を行う。
【0152】
これにより、電源10の充電のために操作すべき対象を、電源ユニット110と充電ユニット200とに適切に分散して、例えば電源の状況(環境)に応じたより高度な充電速度の制御が可能になり得る。
【0153】
高度に制御された充電速度は、他にも次のような点で有利である。第1に、電源10が保護できるため、電源10の寿命が延びる。第2に、電源10の温度が低温又は高温である場合や電源10の内部抵抗が高い場合と比べ、充電ユニット200から供給される電力が浪費されずに電源10を充電するため、充電効率が向上する。つまり、高度に制御された充電速度を持つ香味生成システム、香味生成システムを制御する方法、及びプログラムは、省エネルギー効果を有するものである。
【0154】
(電源の放電制御)
図10~
図15では、第1制御部50と第2制御部250の両方で電源10の充電制御を行う態様について詳細に説明した。このような思想は、可能な限り、第1制御部50と第2制御部250の両方で電源10の放電制御を行う態様にも適用できる。ここで、電源10の放電は、電源ユニット110の接続端子111tに、充電ユニット200以外の外部ユニット、例えば霧化ユニット120を接続した場合に行われる。この場合、霧化ユニット120のような外部ユニットは、電源10から当該外部ユニットへの放電の制御、具体的には放電速度の制御が可能な制御部を有することが好ましい。
【0155】
霧化ユニット120のような外部ユニットに設けられた制御部により操作される対象は、電源ユニット110の第1制御部50により操作される対象と異なっていてよい。この場合、第1制御部50が、電源10を備える電源ユニット110に設けられた第1対象を操作して前記電源の放電速度を制御し、外部ユニットに設けられた別の制御部が、第2対象を操作して放電速度をさらに制御すればよい。それぞれの制御部による放電速度の制御は、充電制御において利用される相関(
図10~
図12)と同様な考えによって実施できる。
【0156】
またこの場合、放電において行われる判断のうち、第1制御部50により行われる判断の第1選択肢の数は、外部ユニット内の制御部により行われる判断の第2選択肢の数より少ないことが好ましい。例えば、第1制御部50は、
図10に示すように、第1温度センサ160の出力値に基づき、放電速度を0にするか否かを判断すればよい。この場、第1制御部50により行われる判断の選択肢の数は「2」である。
【0157】
また、外部ユニット内の制御部は、外部ユニットが霧化ユニットである場合、負荷121Rの温度のフィードバック制御を行ってもよい。具体的には、霧化ユニット内の制御部は、負荷121Rの温度を取得し、負荷121Rの温度が所望の温度範囲内になるようフィードバック制御を行えばよい。フィードバック制御は、例えば、電源10から霧化ユニット130への放電電流の電流パルス又は電圧パルスをパルス幅変調(PWM)又はパルス周波数変調(PFM)により行うことができる。
【0158】
なお、フィードバック制御の所望の温度範囲は、常に一定である必要はなく、負荷121Rによるエアロゾル源の加熱の進捗に従って変化してもよい。または、複数の負荷121Rを有し、エアロゾル源の加熱の進捗に従って、フィードバック制御を適用する負荷121Rを変えたり、フィードバック制御を適用する負荷121Rの数を増減してもよい。また、フィードバック制御に代えてフィードフォワード制御を用いてもよい。
【0159】
ここで、パルス幅変調(PWM)又はパルス周波数変調(PFM)のようなフィードバック制御は、例えばいわゆるPID制御により実施できる。PID制御では、比例制御、積分ゲイン(Iゲイン)及び微分ゲイン(Dゲイン)を算出するため、多数の判断を必要とする。したがって、第1制御部50により行われる判断の第1選択肢の数は、霧化ユニット内の制御部により行われる判断の第2選択肢の数より少なくなる。高度に制御された充電速度と同様に、高度に制御された放電速度を持つ香味生成システム、香味生成システムを制御する方法、及びプログラムは、省エネルギー効果を有するものである。
【0160】
なお、本実施形態では、放電において行われる判断のうち、第1制御部50により行われる判断の第1選択肢の数は、外部ユニット内の制御部により行われる判断の第2選択肢の数より少ない。この代わりに、放電において行われる判断のうち、第1制御部50により行われる判断の第1選択肢の数は、外部ユニット内の制御部により行われる判断の第2選択肢の数より多くてもよい。例えば、外部ユニットが霧化ユニットである場合、選択肢の多い判断を第1制御部50が行えば第2制御部250が簡素な構成で済むため、エアロゾル源の消耗に応じて取り換える必要がある霧化ユニット130のコストを低減できる。
【0161】
(プログラム及び記憶媒体)
前述した任意の方法は、第1制御部50又は第2制御部250が実行することができる。すなわち、第1制御部50又は第2制御部250は、香味生成システムに前述の方法を実行させるプログラム、及び当該プログラムが格納された記憶媒体を有していてよい。
【0162】
[その他の実施形態]
本発明は上述した実施形態によって説明したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、この発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0163】
例えば、前述した実施形態では、香味生成装置100は、エアロゾルを発生するエアロゾル源と、香喫味成分を発生するたばこ原料やたばこ原料由来の抽出物を含む香味源との両方を含む。この代わりに、香味生成装置100は、エアロゾル源と香味源のいずれか一方のみを含んでいてもよい。
【0164】
なお、本明細書において、「香味」という用語は、香味源若しくはエアロゾル源から生成される香喫味成分、又は、香味源又はエアロゾル源に由来する香喫味成分を含む広い概念として規定されてもよいことに留意されたい。
【0165】
また、前述した実施形態では、電気的な負荷121Rは、エアロゾル源に作用しエアロゾル源を気化又は霧化するよう構成されている。この代わりに、電気的な負荷121Rは、香味源又は香味ユニットを加熱し香味を放出するよう構成されていてもよい。この場合、電源10は、香味源を加熱する負荷121Rへ電気的に接続される又は接続可能に構成される。さらに、電気的な負荷121Rは、エアロゾル源と香味源の両方を加熱するよう構成されていてもよい。
【0166】
さらに、前述した第1制御部50による制御フローでは、第1制御部50は、充電速度を0にするかどうかを設定した(
図10の相関も参照)。この代わりに、第1制御部50は、充電速度を高くするか低くするかを設定してもよい。例えば、第1制御部50は、電源10の温度が既定の温度範囲外の場合、電源10の温度が既定の温度範囲内の場合よりも充電速度を遅く設定してもよい。すなわち、第1制御部50は、充電ユニット200のような外部ユニットから電源10へ入力される電流又は電力量を低下させるか否かを制御するよう構成されていてよい。これにより、電源10のまわりの環境がよくない場合に電源10にかかる負荷を低減することができる。なお、第1制御部50による電流量の低下は、電流がより高い電気抵抗を有するラインを通るように開閉器にて制御することにより実現できる。第1制御部50による電力量の低下は、この他にも、充電中に第2開閉器174を一時的に開く、又は放電中に第1開閉器172を一時的に開くことによって実現できる。