(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-08
(45)【発行日】2023-02-16
(54)【発明の名称】模型玩具、及び関節構造
(51)【国際特許分類】
A63H 3/04 20060101AFI20230209BHJP
A63H 3/46 20060101ALI20230209BHJP
【FI】
A63H3/04 Z
A63H3/46 A
(21)【出願番号】P 2021141565
(22)【出願日】2021-08-31
【審査請求日】2021-08-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000135748
【氏名又は名称】株式会社バンダイ
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福元 和正
【審査官】池田 剛志
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-228897(JP,A)
【文献】特開2017-200573(JP,A)
【文献】特開2010-017264(JP,A)
【文献】中国実用新案第203183675(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2019/0285112(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63H 1/00~37/00
G09B 23/28~23/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
模型玩具であって、
第1パーツ及び第2パーツと、
前記第1パーツに対して前記第2パーツを回動可能に連結する連結部材とを備え、
前記連結部材は、
前記第1パーツへ接続される一端と、前記第2パーツへ接続される他端とを含み、
前記第1パーツへ接続される前記一端は、該第1パーツに対して回動可能に接続される軸部と、前記軸部とは異なる形状で形成され、前記軸部を回転軸とした前記第1パーツに対する回動を規制する連結部と、を有
し、
前記第1パーツへ接続される前記一端の前記連結部は、多角柱形状または楕円柱形状で形成されることを特徴とする模型玩具。
【請求項2】
前記連結部材は、前記第2パーツに回動可能に接続される前記他端が球形状で形成されることを特徴とする請求項
1に記載の模型玩具。
【請求項3】
前記軸部は、前記連結部である前記多角柱形状または楕円柱形状の中心に円筒部として形成され、前記円筒部を回転軸に前記第1パーツに対して回動可能に接続されることを特徴とする請求項
1又は2に記載の模型玩具。
【請求項4】
前記第1パーツには、前記連結部材の前記一端が接続される被接続部が設けられ、
前記被接続部は、前記連結部材の前記円筒部を軸とした回動を規制する壁によって囲まれていることを特徴とする請求項
3に記載の模型玩具。
【請求項5】
前記第1パーツは胴体のパーツであり、前記第2パーツは四肢の一つのパーツであり、
前記第1パーツの前記被接続部による規制は、前記連結部材の上下方向への可動域を規制することを特徴とする請求項
4に記載の模型玩具。
【請求項6】
前記連結部材は、上下方向への前記可動域の限界まで回動した位置で、前記多角柱形状または楕円柱形状の一角が前記被接続部の前記壁に当接して略固定されることを特徴とする請求項
5に記載の模型玩具。
【請求項7】
前記連結部材の前記一端の前記多角柱形状は、三角柱形状であることを特徴とする請求項
1乃至6の何れか1項に記載の模型玩具。
【請求項8】
関節構造であって、
第1パーツ及び第2パーツと、
前記第1パーツに対して前記第2パーツを回動可能に連結する連結部材とを備え、
前記連結部材は、
前記第1パーツへ接続される一端と、前記第2パーツへ接続された他端とを含み、
前記第1パーツへ接続される前記一端は、該第1パーツに対して回動可能に接続される軸部と、前記軸部とは異なる形状で形成され、前記軸部を回転軸とした前記第1パーツに対する回動を規制する連結部とを有
し、
前記第1パーツへ接続される前記一端の前記連結部は、多角柱形状または楕円柱形状で形成されることを特徴とする関節構造。
【請求項9】
前記連結部材は、前記第2パーツに回動可能に接続される他端が球形状で形成されることを特徴とする請求項
8に記載の関節構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、模型玩具、及び関節構造に関する。
【背景技術】
【0002】
人間や動物などの模型玩具においては、自然な動作や多彩なポージングを実現することが求められている。したがって、人間や動物に近い動作やポージングを実現すべく、模型玩具には種々の関節やより可動域の広い回動部が望まれている。一方で、関節部の可動域をあまり広げすぎてしまうと、人や動物などでは想定されないような範囲まで体の一部が回動してしまい、不自然な印象を与えてしまう。また、必要以上に回動することにより、他のパーツと衝突し破損の虞もある。特許文献1には、単一のボールジョイント構造を採用しつつもリアルな人間の微妙な表情をフィギュア人形に作り出すことが可能な人形の関節構造を提供している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術では、単一のボールジョイントを採用し、前後左右に回転可能な関節構造において、左右方向の回転を阻止する阻止構造を有し、リアルな人間の微妙な表情を実現している。このように上記従来技術では、より自然な動作を実現するために、自在に制限なく回転を行わせるのではなく、左右方向に対しての回転を阻止する阻止構造を設けている。
【0005】
しかし、上記従来技術の構成では、単一のボールジョイント構造に加えて阻止構造を設ける必要があり、パーツ数が増大して複雑な構造となる。更には当該阻止構造が外部に露出する場合には外見に違和感が生じ、不自然な印象を与えてしまう。
【0006】
本発明は、模型玩具において回動可能な関節構造を実現しつつ、簡略した構造でその回動範囲を規制する仕組みを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、例えば、模型玩具であって、第1パーツ及び第2パーツと、前記第1パーツに対して前記第2パーツを回動可能に連結する連結部材とを備え、前記連結部材は、前記第1パーツへ接続される一端と、前記第2パーツへ接続される他端とを含み、前記第1パーツへ接続される前記一端は、該第1パーツに対して回動可能に接続される軸部と、前記軸部とは異なる形状で形成され、前記軸部を回転軸とした前記第1パーツに対する回動を規制する連結部とを有することを特徴とする。
また、本発明は、例えば、模型玩具であって、第1パーツ及び第2パーツと、前記第1パーツに対して前記第2パーツを回動可能に連結する連結部材とを備え、前記連結部材は、前記第1パーツへ接続される一端と、前記第2パーツへ接続される他端とを含み、前記第1パーツへ接続される前記一端は、該第1パーツに対して回動可能に接続される軸部と、前記軸部とは異なる形状で形成され、前記軸部を回転軸とした前記第1パーツに対する回動を規制する連結部と、を有し、前記第1パーツへ接続される前記一端の前記連結部は、多角柱形状または楕円柱形状で形成されることを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、例えば、関節構造であって、第1パーツ及び第2パーツと、前記第1パーツに対して前記第2パーツを回動可能に連結する連結部材とを備え、前記連結部材は、前記第1パーツへ接続される一端と、前記第2パーツへ接続された他端とを含み、前記第1パーツへ接続される前記一端は、該第1パーツに対して回動可能に接続される軸部と、前記軸部とは異なる形状で形成され、前記軸部を回転軸とした前記第1パーツに対する回動を規制する連結部とを有することを特徴とする。
また、本発明は、例えば、関節構造であって、第1パーツ及び第2パーツと、前記第1パーツに対して前記第2パーツを回動可能に連結する連結部材とを備え、前記連結部材は、前記第1パーツへ接続される一端と、前記第2パーツへ接続された他端とを含み、前記第1パーツへ接続される前記一端は、該第1パーツに対して回動可能に接続される軸部と、前記軸部とは異なる形状で形成され、前記軸部を回転軸とした前記第1パーツに対する回動を規制する連結部とを有し、前記第1パーツへ接続される前記一端の前記連結部は、多角柱形状または楕円柱形状で形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、模型玩具において回動可能な関節構造を実現しつつ、簡略した構造でその回動範囲を規制することができ、より自然な動作を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】一実施形態に係る模型玩具の(a)外観正面、及び(b)外観側面の一例を示す図。
【
図3】一実施形態に係る模型玩具の胸、腰関節の(a)斜視図、及び(b)分解図。
【
図5】一実施形態に係る連結部材の(a)平面図、(b)側面図、及び(c)斜視図。
【
図6】一実施形態に係る胸関節による連結部材の可動範囲を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0012】
<模型玩具の外観>
まず、
図1を参照して、本実施形態に係る模型玩具100の外観構成の一例について説明する。
図1(a)は模型玩具100の外観側面を示す。
図1(b)は模型玩具100の外観正面を示す。なお、上下、左右、前後の矢印については図における模型玩具の向きを示し、他の図面についても同様である。
【0013】
模型玩具100は、頭部101、胴体部102、前脚部103a、103b、後脚部104a、104b、及び武具105を備える。模型玩具100は、可動フィギアなどの可動式の模型玩具であり、各パーツは他の部材との関係で生じる制限領域の範囲内で可動させることができる。頭部101は胴体部102に球形状の連結部材によって連結される(以下では、ボールジョイントとも称する。)。胴体部102には、模型玩具100の胸部あたりで、右前脚部103a及び左前脚部103bを含む前脚部103が球形状の連結部材で連結され、模型玩具100の腰部あたりで右後脚部104a、左後脚部104bが連結される。また、模型玩具100の胸部あたりで、前脚部104の接続部の上方に、武具105a、105bが連結される。即ち、前脚部104a、104bと、武具105a、105bとは、それぞれが個別に動作し、前脚部104a、104bに対して本発明に係る関節構造を採用することにより、前脚部104a、104bが武具105a、105bに干渉しない範囲で動作を行うことができる。
【0014】
以下では、本実施形態に係る関節構造として、一端が多角柱形状又は楕円柱形状の連結部材によって前脚部103a、103b及び後脚部104a、104bを胴体部102に対して連結する胸、腰関節構造について説明する。しかしながら、本発明を限定する意図はなく、以下で説明する関節構造は、胸関節や腰関節(股関節)に限らず、他の関節部、例えば首関節、肘関節、膝関節などの関節部に適用することも可能である。
【0015】
<模型玩具全体の組立構造>
次に、
図2を参照して、本実施形態に係る模型玩具100の組立構造について説明する。ここでは、模型玩具100の全体的な組立構造の概要を説明し、パーツ一つ一つの詳細な組立構造についての説明は省略する。
【0016】
図2に示すように、第1パーツである胴体部102に対して各パーツが接続される。接続されるパーツは、頭部101、及び第2パーツである前脚部103a、103b、後脚部104a、104bであり、胴体部102から突き出た球形状の連結部に対して回動可能に連結される。このように、胴体部102に対して各パーツが個別に連結しているため、それぞれのパーツを個別に動作させることができる。また各パーツは、胴体102に対して球形状の連結部を介して連結(以下では、ボールジョイントとも称する。)されているため、他のパーツの干渉による制限の中で自在に動作させることができる。このような構成により、多彩なポージングや動作を実現することができる。上記球形状の連結部を有する連結部材の詳細については後述する。また、胴体部102には、前脚部103a、103bが連結された位置の上方において武具105a、105bが接続される。
【0017】
<胴体部の組立構造>
次に、
図3を参照して、本実施形態に係る胴体部102の組立構造について説明する。
図3(a)は本実施形態に係る胴体部102の一部の斜視図を示し、
図3(b)は
図3(a)の分解図を示す。ここでは、第2パーツ(四肢のパーツ)である前脚部103a、103b、後脚部104a、104bを胴体部102へ連結する連結部材202~205の当該胴体部102への組み込み構成について説明する。
【0018】
図3(b)の矢印で示すように、各連結部材202~205はその一端が胴体部102に設けられた被接続部に対して、
図3(a)に示すように組み込まれて接続される。胴体部102に設けられる被接続部は各連結部材202~205の多角柱形状の一端を受け入れるための空間を有する。なお、詳細については後述するが、各連結部材202~205の一端は多角柱形状で形成され、
図3(b)に示すように、その多角柱形状である三角柱の中心に接続されるパーツの回転軸となる軸部(円筒部)を有する。したがって、胴体部102に設けられる各被接続部は、三角柱形状を受け入れる空間に加えて、三角柱の中心を通る軸部(円筒部)も受け入れるように内壁が形成される。なお、ここで連結部材202~205の一端の軸部(円筒部)は、少なくとも上記一端の多角柱形状とは異なる形状となっている。これらの連結部材202~205及びそれに対応する被接続部についてはいずれも同様の構成であるため、以下では左前脚部103bが接続される連結部材203を用いて詳細に説明する。なお、ここでは各連結部材202~205の一端が三角柱形状である多角柱形状の例で説明するが本発明を限定する意図はなく、例えば楕円柱形状でもよい。
【0019】
<関節の断面>
次に、
図4を参照して、本実施形態に係る模型玩具100の胸関節の断面図について説明する。
図4は
図1(a)のX-X’の切断面を示す。
【0020】
前脚部103a、103bを胴体部102へ連結する連結部材202、203は、胴体部102へ組み込まれる一端が断面図においては多角形(
図4では三角形)の形状で形成され、各前脚部103a、103bが接続される他端が球形状(
図4では円形)に形成される。また、連結部材の軸部材は円筒形状をしており、少なくとも上記一端の多角柱形状(又は、楕円柱形状)とは異なる形状となる。
【0021】
図4に示すように、球形状の上記他端は各前脚部103a、103bに対してその内壁に隙間なく回動可能に組み込まれる一方で、三角柱形状の上記一端が組み込まれる上記被接続部はその内壁が一端の三角柱形状に当接することなく下部に隙間を有して形成される。この隙間により連結部材202、203自体が上下方向に多少回転することができる。即ち、上記他端によるボールジョイントで回動可能に前脚部103a、103bが接続され、さらにその連結部材202、203自体が上下方向に移動することができ、より多彩なポージングや表情付けを行うことができる。しかし、連結部材202、203の可動域があまり大きすぎると、例えば、前脚部103a、103bがその上方に接続された武具105a、105bに衝突し、パーツが破損する虞が出てくる。そこで本実施形態は、連結部材202、203の一端を多角柱形状で形成し、連結部材202、203の可動域を規制している。
【0022】
<連結部材>
以下では、
図5を参照して、本実施形態に係る脚部の回動範囲について説明する。
図5(a)は連結部材の平面図を示し、
図5(b)は連結部材の側面図を示し、
図5(c)は連結部材の斜視図を示す。ここでは、左前脚部103bを胴体部102へ連結するための連結部材203について説明するが、その他の連結部材202、204、205についても同様の構成であるため説明を省略する。
【0023】
連結部材203は、三角柱形状の連結部(回動規制部とも称する。)501、当該三角柱形状の中心から模型玩具100の前後方向に突出した円筒部502、軸部材503、及び球形状の連結部504を含んで構成される。連結部材203の一端である連結部501は胴体部102に接続され、連結部材203の他端である連結部504は左前脚部103bへ接続される。
【0024】
なお、連結部材203は一パーツで形成されており、連結部501及び円筒部502についても一体化して形成されている。従って、連結部501及び円筒部502は個別に移動や回転を行うものではなく一体的に動作するものである。連結部504についても一体的に形成されており、同様である。
【0025】
<連結部材の回動範囲>
次に、
図6を参照して、本実施形態に係る胸関節における連結部材203の可動域である回動範囲について説明する。
図6(a)は
図4の断面図の左前脚部103bの胸関節の部分を示す。
図6(b)は
図6(a)の状態から連結部材203を上方向に回動させた状態を示し、
図6(c)は
図6(a)の状態から連結部材203を下方向に回動させた状態を示す。なお、ここでは、連結部材203の連結部(回動規制部)501が三角柱形状である多角柱形状で構成される例について説明するが、楕円柱形状であっても以下で説明する回動を規制する機能を実現することができる。
【0026】
図6(a)の状態では連結部材203の下部に、点線枠601に示すように若干の隙間が存在する。連結部材203は、連結部501の中心から突出した上記円筒部502が胴体部102の内壁のしぶみで支えられているため下方向へ落下することはない。一方、この隙間を利用することによって、三角柱形状(図では三角形状)の連結部501を回転させる余地が生じる。
【0027】
図6(b)は連結部材203を上方向に限界まで回動させた状態を示す。連結部材203は円筒部502を回転軸として上下に回動することができる。しかし、連結部501が三角柱形状で形成されており、即ち、3つの角を有するものである。連結部材203を上方向に回動させると、点線枠602に示すように、上記3つの角の一つが胴体部102の内壁に引っ掛かって(当接して)上方向への回動が規制される。つまり、連結部501の中心に設けられた円筒部502が連結部材203の上下方向の回転軸として機能する一方で、連結部501は連結部材203の上下方向の回動を規制する回動規制部として機能する。これにより、連結部材203に接続された左前脚部103bが武具105bに衝突しないように、上方向への移動が一定の範囲で規制される。
【0028】
なお、連結部材203の上方向への回動については連結部501の一角が胴体部102の内壁に引っ掛かる(当接する)ことにより規制される一方で、この引っ掛かり(当接)により当該位置で連結部材203が略固定される。ここで連結部材203は、円筒部502と胴体部102の内壁のしぶみによって胴体部102に対して保持することができる。
図6(d)には、連結部材203の変形例として、連結部611が楕円柱形状で形成された連結部材610を示す。このように、連結部611が楕円柱形状で形成される場合には、
図6(d)に示すように楕円柱形状に含まれる楕円形の長軸方向の端部612が胴体部102の内壁に引っ掛かることにより連結部材611の上方向への回動を規制することができる。したがって、左前脚部103bが上方向へ移動した位置で固定されることになり、例えば左前脚部103bと右前脚部103aとの間で、各前脚部を回動させる軸部材となる連結部材の上下位置を異ならせることができ、より多彩なポージングや表情付けを行うことができる。また、連結部501の一角が胴体部102の内壁に引っ掛かることにより円筒部502、軸部材503、球形状の連結部504の上下方向の位置が強制的に少し下方に移動するため、連結部501が存在しない場合に比べて左前脚部103bを下方の位置に配置することができ、例えば左前脚部103bと武具105bとの干渉を低減することができる。
【0029】
図6(c)は連結部材203を下方向に限界まで回動させた状態を示す。上方向の回動と同様に、連結部材203を下方向に回動させると、点線枠603に示すように、上記3つの角の一つが胴体部102の内壁に引っ掛かって下方向への移動が一定の範囲で規制される。また、連結部材203の下方向への回動については連結部501の一角が引っ掛かることにより規制される一方で、この引っ掛かりにより当該位置で連結部材203が略固定される。また、連結部611が楕円柱形状で形成される場合には、
図6(d)に示すように楕円柱形状に含まれる楕円形の長軸方向の端部613が胴体部102の内壁に引っ掛かることにより連結部材611の下方向への回動を規制することができる。
【0030】
以上説明したように、本実施形態に係る模型玩具は、第1パーツ及び第2パーツと、第1パーツに対して第2パーツを回動可能に連結する連結部材とを備える。また、連結部材は、第1パーツへ接続される一端と、第2パーツへ接続される他端と、軸部材とを含む。また、第1パーツへ接続される一端は、第1パーツに対して回動可能に接続される軸部と、軸部とは異なる形状で形成され、軸部を回転軸とした第1パーツに対する回動を規制する連結部とを有する。これにより、模型玩具において回動可能な関節構造を実現しつつ、簡略した構造でその回動範囲を規制する仕組みを実現することができる。
【0031】
<変形例>
本発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。上記実施形態では関節構造を胸関節や腰関節に適用する例について説明したが、本発明を限定する意図はなく他の部位に利用してもよい。例えば、脚部を連結する股関節部や肘関節、膝関節などの関節部にも利用することができる。
【0032】
また、上記実施形態に係る連結部材の一方側が三角柱形状で形成される例について説明したが、これに限定されず多角柱形状や楕円柱形状で形成されればよい。また、多角柱形状としては例えば五角柱形状や六角柱形状などを適用することもでき、その場合には角が壁に衝突するごとにある程度位置が固定され、さらに力を加えると、回動するような構成とすることも可能である。さらに、上記実施形態に係る連結部材の他方側は球形状の連結部(ボールジョイント)を設ける例について説明したが、連結されるパーツが可動可能なものであればどのような連結部が採用されてもよい。適用する関節に適した連結部が構成されることが望ましい。
【0033】
また、模型玩具の形状は、特に限定されるものではなく、人、動物、ロボット、昆虫、恐竜、仮想生命体等、様々な形状を含むものである。
【符号の説明】
【0034】
100:模型玩具、101:頭部、102:胴体部、103a、103b:前脚部、104a、104b:後脚部、105a、105b:武具
【要約】
【課題】本発明は、模型玩具において回動可能な関節構造を実現しつつ、簡略した構造でその回動範囲を規制する仕組みを提供する。
【解決手段】本模型玩具は、第1パーツ及び第2パーツと、第1パーツに対して第2パーツを回動可能に連結する連結部材とを備える。また、連結部材は、第1パーツへ接続される一端と、第2パーツへ接続される他端とを含む。また、第1パーツへ接続される一端は、第1パーツに対して回動可能に接続される軸部と、軸部とは異なる形状で形成され、軸部を回転軸とした第1パーツに対する回動を規制する連結部とを有する。
【選択図】
図5