(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-08
(45)【発行日】2023-02-16
(54)【発明の名称】メディカルデバイス
(51)【国際特許分類】
A61M 25/10 20130101AFI20230209BHJP
A61F 2/958 20130101ALI20230209BHJP
【FI】
A61M25/10 550
A61F2/958
(21)【出願番号】P 2021156678
(22)【出願日】2021-09-27
(62)【分割の表示】P 2020516553の分割
【原出願日】2018-05-31
【審査請求日】2021-10-26
(32)【優先日】2017-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391028362
【氏名又は名称】ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエイツ,インコーポレイティド
【氏名又は名称原語表記】W.L. GORE & ASSOCIATES, INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100093665
【氏名又は名称】蛯谷 厚志
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100147212
【氏名又は名称】小林 直樹
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ブロイルズ
(72)【発明者】
【氏名】ブレット ジェイ.キルグロー
【審査官】竹下 晋司
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-533551(JP,A)
【文献】特表2015-527170(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2001/0035456(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/10
A61F 2/958
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテルと、
拡張可能部材と、
カバーと、
アクチュエータと、
第一の治療剤と、
第二の治療剤と、
を含む、メディカルデバイスであって、
前記カテーテルは近位端、遠位端及びカバー管腔を含み、前記カバー管腔は前記カテーテルの前記遠位端から前記近位端まで延在しており、
前記拡張可能部材は前記カテーテル上に配置されておりおよび作動長を有し、
前記カバーは複数の領域を含みおよび前記拡張可能部材の作動長の少なくとも2倍の長さを有し、前記カバーの第一の端部は前記第一の端部において前記カバー管腔内へおよび前記カバー管腔を通って前記カバーを移すことによって前記カテーテルの遠位端において前記カテーテルの前記カバー管腔内に向けて反転されるように構成されており、
前記アクチュエータは前記カバーの前記第一の端部に結合されておりおよび前記カテーテルの長手方向軸に沿って前記カテーテルの前記近位端に向かって前記カバーの前記第一の端部を移動させるように構成されており、
前記第一の治療剤は前記複数の領域のうちの第一の領域または複数の領域のうちの第二の領域の1つの表面上に配置され、
前記第二の治療剤は前記カバーの前記第一の領域および前記第二の領域のうちの他方の表面上に配置され、
前記第一の治療剤は前記第二の治療剤と異なり、
前記カバーは、前記拡張可能部材の周囲の少なくとも一部および前拡張可能部材の近位端から遠位端までの長さの少なくとも一部を覆う、
メディカルデバイス。
【請求項2】
カテーテルと、
拡張可能部材と、
カバーと、
アクチュエータと、
第一の治療剤と、
第二の治療剤と、
を含む、メディカルデバイスであって、
前記カテーテルは近位端、遠位端及びカバー管腔を含み、前記カバー管腔は前記カテーテルの前記遠位端から前記近位端まで延在しており、
前記拡張可能部材は前記カテーテル上に配置されておりおよび作動長を有し、
前記カバーは複数の領域を含みおよび前記拡張可能部材の作動長の少なくとも2倍の長さを有し、前記カバーの第一の端部は前記第一の端部において前記カバー管腔内へおよび前記カバー管腔を通って前記カバーを移すことによって前記カテーテルの遠位端において前記カテーテルの前記カバー管腔内に向けて反転されるように構成されており、
前記アクチュエータは前記カバーの前記第一の端部に結合されておりおよび前記カテーテルの長手方向軸に沿って前記カテーテルの前記近位端に向かって前記カバーの前記第一の端部を移動させるように構成されており、
前記第一の治療剤は前記複数の領域のうちの第一の領域または複数の領域のうちの第二の領域の1つの表面上に配置され、
前記第二の治療剤は前記カバーの前記第一の領域および前記第二の領域のうちの他方の表面上に配置され、
前記第一の治療剤および前記第二の治療剤の少なくとも一方は配置された領域の表面の摩擦係数を増加させるように構成された高密度化材料を含み、前記第一の治療剤および前記第二の治療剤は同じ治療剤であり、前記第一の治療剤は第一の投与密度であり、前記第二の治療剤は前記第一の投与密度とは異なる第二の投与密度であり、
前記カバーは、前記拡張可能部材の周囲の少なくとも一部および前拡張可能部材の近位端から遠位端までの長さの少なくとも一部を覆う、
メディカルデバイス。
【請求項3】
カテーテルと、
拡張可能部材と、
カバーと、
アクチュエータと、
第一の治療剤と、
を含む、メディカルデバイスであって、
前記カテーテルは近位端、遠位端及びカバー管腔を含み、前記カバー管腔は前記カテーテルの前記遠位端から前記近位端まで延在しており、
前記拡張可能部材は前記カテーテル上に配置されておりおよび作動長を有し、
前記カバーは複数の領域を含みおよび前記拡張可能部材の作動長の少なくとも2倍の長さを有し、前記カバーの第一の端部は前記第一の端部において前記カバー管腔内へおよび前記カバー管腔を通って前記カバーを移すことによって前記カテーテルの遠位端において前記カテーテルの前記カバー管腔内に向けて反転されるように構成されており、
前記アクチュエータは前記カバーの前記第一の端部に結合されておりおよび前記カテーテルの長手方向軸に沿って前記カテーテルの前記近位端に向かって前記カバーの前記第一の端部を移動させるように構成されており、
前記第一の治療剤は前記複数の領域のうちの第一の領域または複数の領域のうちの第二の領域の1つの表面上に配置され、前記複数の領域のうちの前記第一の領域は、前記拡張可能部材の作動長より長い長さを有し、前記複数の領域のうちの前記第二の領域は、前記拡張可能部材の作動長よりも長い長さを有し、
前記カバーは、前記拡張可能部材の周囲の少なくとも一部および前拡張可能部材の近位端から遠位端までの長さの少なくとも一部を覆う、
メディカルデバイス。
【請求項4】
カテーテルと、
拡張可能部材と、
カバーと、
アクチュエータと、
第一の治療剤と、
第二の治療剤と、
第三の領域と、
を含む、メディカルデバイスであって、
前記カテーテルは近位端、遠位端及びカバー管腔を含み、前記カバー管腔は前記カテーテルの前記遠位端から前記近位端まで延在しており、
前記拡張可能部材は前記カテーテル上に配置されておりおよび作動長を有し、
前記カバーは複数の領域を含みおよび前記拡張可能部材の作動長の少なくとも2倍の長さを有し、前記カバーの第一の端部は前記第一の端部において前記カバー管腔内へおよび前記カバー管腔を通って前記カバーを移すことによって前記カテーテルの遠位端において前記カテーテルの前記カバー管腔内に向けて反転されるように構成されており、
前記アクチュエータは前記カバーの前記第一の端部に結合されておりおよび前記カテーテルの長手方向軸に沿って前記カテーテルの前記近位端に向かって前記カバーの前記第一の端部を移動させるように構成されており、
前記第一の治療剤は前記複数の領域のうちの第一の領域または複数の領域のうちの第二の領域の1つの表面上に配置され、
前記第二の治療剤は前記カバーの前記第一の領域および前記第二の領域のうちの他方の表面上に配置され、前記第一の治療剤および前記第二の治療剤の少なくとも一方は配置された領域の表面の摩擦係数を増加させるように構成された高密度化材料を含み、
前記複数の領域のうちの前記第三の領域は内部人工器官をさらに含み、
前記カバーは、前記拡張可能部材の周囲の少なくとも一部および前拡張可能部材の近位端から遠位端までの長さの少なくとも一部を覆う、
メディカルデバイス。
【請求項5】
カテーテルと、
拡張可能部材と、
カバーと、
アクチュエータと、
第一の治療剤と、
第二の治療剤と、
を含む、メディカルデバイスであって、
前記カテーテルは近位端、遠位端及びカバー管腔を含み、前記カバー管腔は前記カテーテルの前記遠位端から前記近位端まで延在しており、
前記拡張可能部材は前記カテーテル上に配置されておりおよび作動長を有し、
前記カバーは複数の領域を含みおよび前記拡張可能部材の作動長の少なくとも2倍の長さを有し、前記カバーの第一の端部は前記第一の端部において前記カバー管腔内へおよび前記カバー管腔を通って前記カバーを移すことによって前記カテーテルの遠位端において前記カテーテルの前記カバー管腔内に向けて反転されるように構成されており、
前記アクチュエータは前記カバーの前記第一の端部に結合されておりおよび前記カテーテルの長手方向軸に沿って前記カテーテルの前記近位端に向かって前記カバーの前記第一の端部を移動させるように構成されており、
前記第一の治療剤は前記複数の領域のうちの第一の領域または複数の領域のうちの第二の領域の1つの表面上に配置され、
前記第二の治療剤は前記カバーの前記第一の領域および前記第二の領域のうちの他方の表面上に配置され、前記第一の治療剤および前記第二の治療剤の少なくとも一方は配置された領域の表面の摩擦係数を増加させるように構成された高密度化材料を含み、
前記第一の治療剤および前記第二の治療剤の他方は高密度化材料を含まず、およびパクリタキセル、ドセタキセル、プロタキセル、三酸化ヒ素、サリドマイド、アトルバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、ジプロピオン酸ベタメタゾン、パルミチン酸デキサメタゾン21、シロリムス、エベロリムス、ゾタロリムス、バイオリムス又はテムシロリムスのうちの少なくとも1つを含み、
前記カバーは、前記拡張可能部材の周囲の少なくとも一部および前拡張可能部材の近位端から遠位端までの長さの少なくとも一部を覆う、
メディカルデバイス。
【請求項6】
カテーテルと、
拡張可能部材と、
カバーと、
アクチュエータと、
第一の治療剤と、
第二の治療剤と、
第三の治療剤と、
を含む、メディカルデバイスであって、
前記カテーテルは近位端、遠位端及びカバー管腔を含み、前記カバー管腔は前記カテーテルの前記遠位端から前記近位端まで延在しており、
前記拡張可能部材は前記カテーテル上に配置されておりおよび作動長を有し、
前記カバーは複数の領域を含みおよび前記拡張可能部材の作動長の少なくとも2倍の長さを有し、前記カバーの第一の端部は前記第一の端部において前記カバー管腔内へおよび前記カバー管腔を通って前記カバーを移すことによって前記カテーテルの遠位端において前記カテーテルの前記カバー管腔内に向けて反転されるように構成されており、
前記アクチュエータは前記カバーの前記第一の端部に結合されておりおよび前記カテーテルの長手方向軸に沿って前記カテーテルの前記近位端に向かって前記カバーの前記第一の端部を移動させるように構成されており、
前記第一の治療剤は前記複数の領域のうちの第一の領域または複数の領域のうちの第二の領域の1つの表面上に配置され、
前記第二の治療剤は前記カバーの前記第一の領域および前記第二の領域のうちの他方の表面上に配置され、
前記第三の治療剤は前記カバーの前記複数の領域のうちの第三の領域の1つの表面上に配置され、前記第三の治療剤は、前記第一の治療剤及び前記第二の治療剤の少なくとも1つとは異なり、
前記カバーは、前記拡張可能部材の周囲の少なくとも一部および前拡張可能部材の近位端から遠位端までの長さの少なくとも一部を覆う、
メディカルデバイス。
【請求項7】
前記第一の治療剤および前記第二の治療剤の少なくとも1つは配置された領域の表面の摩擦係数を増加させるように構成された高密度化材料を含む、請求項1、4~6のいずれか一項記載のメディカルデバイス。
【請求項8】
前記第一の治療剤および前記第二の治療剤は同じ治療剤である、請求項1、4~6のいずれか一項記載のメディカルデバイス。
【請求項9】
前記第一の治療剤は第一の投与密度であり、前記第二の治療剤は前記第一の投与密度とは異なる第二の投与密度である、請求項8記載のメディカルデバイス。
【請求項10】
前記カバーの前記第一の領域および前記第二の領域のうちの他方の表面上に配置された第一の内部人工器官をさらに含む、請求項1~5のいずれか一項記載のメディカルデバイス。
【請求項11】
前記カバーの前記複数の領域のうちの第三の領域の表面上に配置された第二の内部人工器官をさらに含む、請求項10記載のメディカルデバイス。
【請求項12】
前記第一の内部人工器官は第一の長さを有し、前記第二の内部人工器官は前記第一の長さとは異なる第二の長さを有する、請求項11記載のメディカルデバイス。
【請求項13】
第三の治療剤は前記カバーの前記複数の領域のうちの第三の領域の表面上に配置され、前記第三の治療剤は前記第一の治療剤及び前記第二の治療剤の少なくとも1つとは異なる、請求項1~2、5のいずれか一項記載のメディカルデバイス。
【請求項14】
前記複数の領域のうちの前記第一の領域は前記拡張可能部材の作動長より長い長さを有し、前記複数の領域のうちの前記第二の領域は前記拡張可能部材の作動長よりも長い長さを有する、請求項1、2、4~6のいずれか一項記載のメディカルデバイス。
【請求項15】
前記複数の領域のうちの第三の領域をさらに含み、前記第三の領域は内部人工器官をさらに含む、請求項1~3、5のいずれか一項記載のメディカルデバイス。
【請求項16】
前記第一の治療剤および前記第二の治療剤の他方は高密度化材料を含まず、およびパクリタキセル、ドセタキセル、プロタキセル、三酸化ヒ素、サリドマイド、アトルバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、ジプロピオン酸ベタメタゾン、パルミチン酸デキサメタゾン21、シロリムス、エベロリムス、ゾタロリムス、バイオリムス又はテムシロリムスのうちの少なくとも1つを含む、請求項1~2、4、6のいずれか一項記載のメディカルデバイス。
【請求項17】
カテーテルと、
拡張可能部材と、
カバーと、
アクチュエータと、
を含む、メディカルデバイスであって、
前記カテーテルは長手方向軸、近位端、遠位端及びカバー管腔を含み、前記カバー管腔は前記カテーテルの前記近位端から前記カテーテルの前記遠位端まで延在しており、
前記拡張可能部材は近位端及び遠位端を含み、前記拡張可能部材は前記カテーテル上に配置されており、
前記カバーは第一の領域、少なくとも1つの開口部を含む第二の領域、および第三の領域を含み、前記第一の領域は前記第一の領域の表面上に配置された治療剤を含み、前記拡張可能部材は前記開口部を通って拡張でき、前記第三の領域は内部人工器官を含み、前記カバーの第一の端部は前記カバー管腔内に向けて反転しており、
前記アクチュエータは前記カバーの前記第一の端部に結合されておりおよび前記カバー管腔を通って前記カバーを移すことによって前記カテーテルの長手方向軸に沿って前記カテーテルの前記近位端に向かって前記カバーの前記第一の端部を移動させるように構成されており、
前記カバーは、前記拡張可能部材の周囲の少なくとも一部および前拡張可能部材の前記近位端から前記遠位端までの長さの少なくとも一部を覆う、
メディカルデバイス。
【請求項18】
前記カバーはポリテトラフルオロエチレン、延伸ポリテトラフルオロエチレン、またはポリテトラフルオロエチレンの延伸コポリマーの少なくとも1つを含む、請求項
17記載のメディカルデバイス。
【請求項19】
前記カバーは長さを有し、前記拡張可能部材は作動長を有し、前記カバーの前記長さは前記拡張可能部材の前記作動長の少なくとも2倍である、請求項
17記載のメディカルデバイス。
【請求項20】
前記カバーの前記第二の領域の少なくとも一部に沿って配置されたシースをさらに含む、請求項
17記載のメディカルデバイス。
【請求項21】
前記カバーの前記第二の領域は前記拡張可能部材よりも膨張性が低い、請求項
17記載のメディカルデバイス。
【請求項22】
前記治療剤は、パクリタキセル、ドセタキセル、プロタキセル、三酸化ヒ素、サリドマイド、アトルバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、ジプロピオン酸ベタメタゾン、パルミチン酸デキサメタゾン21、シロリムス、エベロリムス、ゾタロリムス、バイオリムス又はテムシロリムスの少なくとも1つを含む、請求項
17記載のメディカルデバイス。
【請求項23】
カテーテルと、
拡張可能部材と、
カバーと、
第一の治療剤と、
第一の内部人工器官と、
を含む、メディカルデバイスであって、
前記カテーテルは近位端
及び遠位
端を含み、
前記拡張可能部材は前記カテーテル上に配置されておりおよび作動長を有し、
前記カバーは複数の領域を含み、
前記第一の治療剤は前記複数の領域のうちの第一の領域または複数の領域のうちの第二の領域の1つの表面上に配置され、
前記第一の内部人工器官は前記カバーの前記第一の領域および前記第二の領域のうちの他方の表面上に配置されており、
前記カバーは、前記拡張可能部材の周囲の少なくとも一部および前拡張可能部材の近位端から遠位端までの長さの少なくとも一部を覆う、
メディカルデバイス。
【請求項24】
前記カバーの前記複数の領域のうちの第三の領域の表面上に配置された第二の内部人工器官をさらに含む、請求項
23記載のメディカルデバイス。
【請求項25】
前記第一の内部人工器官は第一の長さを有し、前記第二の内部人工器官は前記第一の長さとは異なる第二の長さを有する、請求項
24記載のメディカルデバイス。
【請求項26】
前記カバーの前記第一の領域および前記第二の領域のうちの他方の表面上に配置された第二の治療剤をさらに含む、請求項
23記載のメディカルデバイス。
【請求項27】
前記カバーは前記拡張可能部材の作動長の少なくとも2倍の長さを有する、請求項
23記載のメディカルデバイス。
【請求項28】
前記カテーテルは前記カテーテルの前記遠位端から前記近位端まで延在するカバー管腔を画定し、および前記カバーは第一の端部において前記カバー管腔内へおよび前記カバー管腔を通って前記カバーを移すことによって前記カテーテルの遠位端において前記カテーテルの前記カバー管腔内に向けて反転されるように構成されている、請求項
23記載のメディカルデバイス。
【請求項29】
前記カバーの前記第一の端部に結合されておりおよび前記カテーテルの長手方向軸に沿って前記カテーテルの前記近位端に向かって前記カバーの前記第一の端部を移動させるように構成されているアクチュエータをさらに含む、請求項
28記載のメディカルデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権主張
この特許出願は、2017年9月21日に出願された米国特許出願第15/711,265号の優先権を主張し、その開示の全体を参照により本明細書に取り込む。
【0002】
開示の分野
本開示は、一般に、閉塞及び治療剤デリバリーデバイス、システム及び方法に関し、特に、複数の処理又は機能表面を提供するために長手方向に移動可能なカバーを有する単一の拡張可能部材を反復膨張させるように構成された閉塞及び治療剤デリバリーデバイス、システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
関節硬化症、動脈閉塞、血管予防的介入、静脈炎、内膜過形成、プラーク、血管解離、末梢動脈疾患、動脈瘤性疾患、狭窄及び再狭窄などの血管疾患は、ヒトの死亡及び罹病の主要な原因である。血管疾患はさまざまな原因から発生し、幾つかの場合には外科的又は脈管内介入が必要になる。脈管系への外傷はまた、外傷を受けた解剖学的構造を治療するために外科的介入を必要とする可能性がある。血管疾患の一般的な治療は、管内メディカルデバイス(バルーン又はステントなど)との組織の短期又は長期の接触であり、前記メディカルデバイスは接触部位で血管疾患を予防又は軽減する治療剤でコーティングされている。管内メディカルデバイスが罹患した血管組織と接触すると、治療剤は接触部位で管内メディカルデバイスから周囲組織に溶出し、それによって局所レベルで血管疾患を治療する。血管グラフト、ステントグラフト及びステントを含む管内メディカルデバイスの長期接触、例えば移植、及び、カテーテル系バルーンを含む管内メディカルデバイスの短期接触は、しばしば血管疾患及び血管外傷を治療するために行われる。
【0004】
全身レベルではなく局所レベルでの血管疾患の治療はしばしば好ましい。治療剤(例えば、薬物及び高密度化材料)の全身投与は、血管疾患を治療するための治療剤の局所投与と比較した場合に、望ましくない副作用を生じる可能性がある。従来から、薬物コーティングされた管内メディカルデバイスの利用は、標的組織への薬物の局所投与のための標準的な技術となっている。例えば、薬物コーティングされたバルーン(DCB)は、標的組織への薬物の局所投与に使用されて、冠動脈疾患及び末梢動脈疾患を含む血管疾患を治療する(例えば、Drorらの米国特許第5,102,402号明細書(以下、「Dror」)を参照されたい)。Drorは、血管壁を治療するために血管内腔にDCBを配置し、DCBを膨張させ、そしてDCBの外面を管腔血管壁と接触させて薬物を血管壁にデリバリーすることを開示している。
【0005】
しかしながら、Drorに記載されているように、多くの薬物コーティングされた管内メディカルデバイスは、単一の均一な機能表面を有する拡張可能部材の単一の膨張による単一の治療又は療法を行うように構成されている。従来のデバイスは、薬物コーティングされた管内メディカルデバイスを治療部位に通すために侵襲的な外科的手順を必要とし、その部位での単一の治療のみに適している。単一回の治療後に、拡張可能部材は、典型的に収縮され、薬物コーティングされた管内メディカルデバイスは身体から引き抜かれる。しかしながら、幾つかの状況において、治療部位における複数の治療又は複数の治療表面が望ましい場合がある。したがって、治療部位で反復治療を提供することができる閉塞及び治療剤デリバリーデバイス、システム及び方法の必要性が存在する。
【発明の概要】
【0006】
簡単な要旨
様々な実施形態は、(i)長手方向軸、近位端、遠位端及びカバー管腔を含むカテーテルであって、前記カバー管腔がカテーテルの近位端からカテーテルの遠位端まで延在している、カテーテル、及び、(ii)近位端及び遠位端を含む拡張可能部材を含むメディカルデバイスに関する。拡張可能部材はカテーテルの遠位セクションに配置されている。メディカルデバイスは、(iii)第一の領域及び第二の領域を含むカバーをさらに含む。第一の領域は、拡張可能部材に沿って、例えば、オーバーラップ又はカバーするように配置され、第二の領域は、拡張可能部材の近位端を越えてカテーテルの近位端に向かってカテーテルの長さに沿って延在している。カバーの第一の端部は、カテーテルの遠位端に隣接するカバー管腔内に向けて反転する。メディカルデバイスは、(iv)カバーの第一の端部に結合され、カバーの第一の端部をカバー管腔を通してカテーテルの長手方向軸に沿ってカテーテルの近位端に向かって後退させるように構成されたアクチュエータをさらに含む。
【0007】
幾つかの実施形態において、メディカルデバイスは、長手方向軸、近位端、遠位端及びカバー管腔を有するカテーテルであって、前記カバー管腔がカテーテルの近位端からカテーテルの遠位端まで延在しているカテーテルを含む。メディカルデバイスは、近位端及び遠位端を含む拡張可能部材をさらに含む。拡張可能部材はカテーテル上に配置されうる。メディカルデバイスは、第一の領域、第二の領域及び第三の領域を含むカバーをさらに含みうる。カバーの第一の端部は、カバー管腔内に向けて反転することができる。アクチュエータは、カバーの第一の端部に結合されることができ、カバーの第一の端部をカテーテルの長手方向軸に沿ってカテーテルの近位端に向かって移動させるように構成されうる。第一の領域は、カバーの第一の領域の表面上に配置された治療剤を含むことができる。第二の領域は少なくとも1つの開口部を含むことができ、それを通して拡張可能部材が拡張することができる。第三の領域は内部人工器官を含むことができる。
【0008】
特定の実施形態において、カバーは、ポリテトラフルオロエチレン、延伸ポリテトラフルオロエチレン又はポリテトラフルオロエチレンの延伸コポリマーを含む。
【0009】
様々な実施形態において、カバーは、拡張可能部材の作動長の少なくとも2倍の長さを有することができる。幾つかの実施形態において、シースは、カバーの第二の領域の少なくとも一部に沿って配置される。幾つかの実施形態において、カバーの第二の領域は、拡張可能部材よりも膨張性が低い。特定の実施形態において、治療剤としては、パクリタキセル、ドセタキセル、プロタキセル、三酸化ヒ素、サリドマイド、アトルバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、ジプロピオン酸ベタメタゾン、パルミチン酸デキサメタゾン21、シロリムス、エベロリムス、ゾタロリムス、バイオリムス又はテムシロリムスが挙げられる。
【0010】
様々な実施形態において、メディカルデバイスは、カテーテル、拡張可能部材、カバー及びアクチュエータを含む。カテーテルは、近位端、遠位端、カテーテルの遠位端から近位端まで延在しているカバー管腔を含むことができる。拡張可能部材は、カテーテル上に配置されることができ、作動長を有する。カバーは複数の領域を含むことができ、カバーの第一の端部は、カテーテルのカバー管腔内に向けて反転されうる。カバーは、拡張可能部材の作動長の少なくとも2倍の長さを有することができる。アクチュエータは、カバーの第一の端部に結合され、カバーの第一の端部をカテーテルの長手方向軸に沿ってカテーテルの近位端に向けて移動するように構成されうる。
【0011】
幾つかの実施形態において、治療剤は、カバーの複数の領域のうちの第一の領域又は複数の領域のうちの第二の領域に配置される。
【0012】
幾つかの実施形態において、第二の治療剤は、カバーの第一の領域及び第二の領域のうちの他方の表面上に配置されうる。なおもさらに他の実施形態において、第一の内部人工器官は、カバーの第一の領域及び第二の領域のうちの他方の表面上に配置されることができ、さらになおも、第二の内部人工器官は、カバーの複数の領域のうちの第三の領域の表面上に配置されうる。幾つかの実施形態において、第一の内部人工器官は第一の長さを有することができ、第二の内部人工器官は第一の長さとは異なることができる第二の長さを有する。
【0013】
特定の実施形態において、第一の治療剤は、第二の治療剤とは異なることができる。幾つかの実施形態において、第一の治療剤及び第二の治療剤のうちの少なくとも1つは、それが配置される領域の表面上の摩擦係数を増加させるように構成された高密度化材料を含む。特定の実施形態において、高密度化材料を含まない第一の治療剤及び第二の治療剤の他方は、パクリタキセル、ドセタキセル、プロタキセル、三酸化ヒ素、サリドマイド、アトルバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、ジプロピオン酸ベタメタゾン、パルミチン酸デキサメタゾン21、シロリムス、エベロリムス、ゾタロリムス、バイオリムス又はテムシロリムスのうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0014】
幾つかの実施形態において、第一の治療剤及び第二の治療剤は同じ治療剤である。特定の実施形態において、第一の治療剤は第一の投与密度であることができ、第二の治療剤は、第一の投与密度とは異なる第二の投与密度であることができる。
【0015】
様々な実施形態において、第三の治療剤は、カバーの複数の領域のうちの第三の領域の表面上に配置され、第三の治療剤は、第一の治療剤及び第二の治療剤の少なくとも1つとは異なることができる。幾つかの実施形態において、複数の領域のうちの第一の領域は、拡張可能部材の作動長より長い長さを有し、複数の領域のうちの第二の領域は、拡張可能部材の作動長よりも長い長さを有することができる。
【0016】
幾つかの実施形態において、複数の領域のうちの第三の領域は内部人工器官を含むことができる。
【0017】
様々な実施形態において、メディカルデバイスは、カテーテル、拡張可能部材、カバー及びアクチュエータを含む。カテーテルは、長手方向軸、近位端、遠位端及びカテーテルの近位端からカテーテルの遠位端まで延在しているカバー管腔を含むことができる。拡張可能部材は近位端及び遠位端を含むことができ、カテーテル上に配置されうる。カバーは、複数の領域を含むことができ、複数の領域のうちの第一の領域は少なくとも1つの開口部を有することができる。カバーの第一の端部はカバー管腔内に裏返すことができる。アクチュエータは、カバーの第一の端部に結合され、カバーの第一の端部をカテーテルの長手方向軸に沿ってカテーテルの近位端に向かって移動させるように構成されることができる。
【0018】
幾つかの実施形態において、複数の領域のうちの第二の領域は、第二の領域の表面上に配置された治療剤を含む。
【0019】
幾つかの実施形態において、複数の領域のうちの第一の領域は、拡張可能部材よりも膨張性が低い。
【0020】
幾つかの実施形態において、複数の領域の少なくとも2つの領域はそれぞれ、拡張可能部材の作動長と少なくとも同じ長さを有する。
【0021】
幾つかの実施形態において、少なくとも1つの開口部は、複数の領域のうちの第一の領域の残りの部分よりも弱い第一の領域の部分を含む。
【0022】
幾つかの実施形態において、複数の領域のうちの第二の領域は内部人工器官をさらに含む。
【0023】
様々な実施形態において、メディカルデバイスは、カテーテル、拡張可能部材、カバー及びアクチュエータを含む。カテーテルは、長手方向軸、近位端、遠位端、及び、カテーテルの近位端からカテーテルの遠位端まで延在しているカバー管腔を含むことができる。拡張可能部材は、近位端及び遠位端ならびに作動長を含むことができる。拡張可能部材はカテーテル上に配置されうる。カバーは複数の領域を含むことができる。アクチュエータは、カバーの第一の端部をカテーテルの長手方向軸に沿ってカテーテルの近位端に向かって移動させるように構成されたカバーの第一の端部に結合されうる。
【0024】
幾つかの実施形態において、複数の領域のうちの第一の領域及び複数の領域のうちの第二の領域はそれぞれ、拡張可能部材の作動長に少なくとも等しい長さを有する。
【0025】
幾つかの実施形態において、シースは、カバーの第一の領域の少なくとも一部に沿って配置されることができ、ここで、カバーの第一の領域は、拡張可能部材の近位端とカテーテルの近位端との間に延在している。場合により、カバーは、アクチュエータに結合される少なくとも1つのラインを含むことができる。場合により、少なくとも1つのラインはカバーと一体であることができる。
【0026】
幾つかの実施形態において、複数の領域のうちの第三の領域は、拡張可能部材の作動長に少なくとも等しい長さを有することができる。
【0027】
幾つかの実施形態において、複数の領域のうちの第一の領域は第一の公称直径を有し、複数の領域のうちの第二の領域は第一の公称直径とは異なる第二の公称直径を有する。複数の領域のうちの第三の領域は、第一及び第二の公称直径とは異なることができる第三の公称直径を有することができる。
【0028】
幾つかの実施形態において、複数の領域のうちの第一の領域は拡張可能部材の周りに配置され、複数の領域のうちの第二の領域はカテーテルの周りに配置される。
【0029】
様々な実施形態において、治療方法は、拡張可能部材及びカバーを有するメディカルデバイスを提供することを含む。カバーは第一の領域及び第二の領域を含むことができる。この方法は、メディカルデバイスを末梢血管に挿入し、カバーの第一の領域が血管壁に第一の治療を提供するように、カバーの第一の領域が拡張可能部材の上に配置された状態で拡張可能部材を拡張することを含むことができる。アクチュエータを作動させて、第一の領域をメディカルデバイスの管腔内に引き込み、カバーの第二の領域を拡張可能部材の上に配置することができる。拡張可能部材は、カバーの第二の領域が血管壁に第二の治療を提供するように、拡張可能部材の上でカバーの第二の領域とともに拡張することができる。第一の治療は第二の治療とは異なることができ、第一の治療及び第二の治療のそれぞれは、メディカルデバイスアセンブリを体腔から除去する前に血管壁に提供されうる。
【0030】
幾つかの実施形態において、第一の治療及び第二の治療の少なくとも1つは、治療剤を血管壁に移送することを含むことができる。
【0031】
幾つかの実施形態において、カバーの第二の領域は複数の開口部を含み、それを介して拡張可能部材が拡張する。第二の治療を提供することは、血管壁の表面から沈着物に接触してそれを剃ることを含むことができる。場合により、この方法は、カバーの第三の領域が血管壁に第三の治療を提供するように、拡張可能部材上でカバーの第三の領域とともに拡張可能部材を拡張することも含むことができる。第一の治療、第二の治療及び第三の治療のそれぞれは、血管からメディカルデバイスアセンブリを除去する前に血管壁に提供されうる。
【0032】
幾つかの実施形態において、第三の治療は、カバーの第三の領域の周りに配置された内部人工器官を血管壁の少なくとも一部と接触するように配置することを含むことができる。
【0033】
幾つかの実施形態において、第一の治療は、第一の治療剤を血管壁に移行させることを含むことができ、第二の治療は、第二の治療剤を血管壁に移行させることを含むことができ、第一の治療剤は第二の治療剤とは異なる。
【0034】
幾つかの実施形態において、治療方法は、カバーの第三の領域が血管壁に第三の治療を提供するように、拡張可能部材上でカバーの第三の領域とともに拡張可能部材を拡張することを含むことができる。カバーの第三の領域は内部人工器官を含むことができ、第三の治療は内部人工器官を血管壁に展開することを含むことができる。さらに、第一の治療、第二の治療及び第三の治療のそれぞれは、メディカルデバイスアセンブリを体腔から除去する前に、血管壁に提供されうる。
【0035】
幾つかの実施形態において、第一の治療は、第三の治療の前に行われることができ、第一の治療は、血管壁の表面からの沈着物に接触し、削ぐことを含むことができる。
【0036】
幾つかの実施形態において、第一の治療は、第一の治療剤を血管壁に移行させることを含むことができる。
【0037】
幾つかの実施形態において、第一の治療は第三の治療の前に行われ、第二の治療は第三の治療の後に行われることができる。場合により、第二の領域は内部人工器官を含むことができ、第二の治療は血管壁内に第二の内部人工器官を展開することを含むことができる。さらに、場合により、第三の領域の内部人工器官の第一の直径は、第二の領域の第二の内部人工器官の第二の直径とは異なる。また、場合により、第三の領域の内部人工器官の第一の長さは、第二の領域の第二の内部人工器官の第二の長さと異なることができる。
【0038】
幾つかの実施形態において、第二の治療は、血管壁へ治療剤を移行させることを含むことができる。
【0039】
幾つかの実施形態において、方法は、カバーの第四の領域が血管壁に第四の治療を提供するように、拡張可能部材上でカバーの第四の領域とともに拡張可能部材を拡張することを含む。第一の治療、第二の治療、第三の治療及び第四の治療は体腔からメディカルデバイスアセンブリを除去する前に血管壁に提供されうる。
【0040】
幾つかの態様によれば、カバーは、少なくとも部分的に、延伸フルオロポリマーから形成される。場合により、延伸フルオロポリマーとしては、延伸ポリテトラフルオロエチレン、延伸ポリテトラフルオロエチレン、又は、ポリテトラフルオロエチレンの延伸コポリマーが挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図面の簡単な説明
添付の図面は、本明細書で提供される開示の実施形態のさらなる理解を提供するために含まれ、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成し、開示の実施形態を示し、記載とともに、本開示の実施形態の原理を説明するのに役立つ。
【0042】
【
図1】
図1は、本開示の実施形態による、拡張可能部材アセンブリ及びカテーテルを含むメディカルデバイスの斜視図である。
【0043】
【
図2】
図2は、本開示の実施形態による、拡張可能部材アセンブリの遠位領域の側面断面図である。
【0044】
【
図3】
図3は、本開示の実施形態による、カバー管腔を含むカテーテルの正面断面図である。
【0045】
【
図4】
図4は、本開示の実施形態による、拡張可能部材アセンブリの近位領域の側面断面図である。
【0046】
【
図5A】
図5Aは、本開示の実施形態による、膨張状態で拡張可能部材に沿って配置された第一のコーティング又は治療表面を有するカバーの第一の領域を含む拡張可能部材アセンブリの側面図である。
【0047】
【
図5B】
図5Bは、本開示の実施形態による、膨張状態で拡張可能部材に沿って配置された第二のコーティング又は処置表面を有するカバーの第二の領域を含む拡張可能部材アセンブリの側面図である。
【0048】
【
図5C】
図5Cは、本開示の実施形態による、膨張状態で拡張可能部材に沿って配置された第三のコーティング又は処置表面を有するカバーの第三の領域を含む拡張可能部材アセンブリの側面図である。
【0049】
【
図6A】
図6Aは、本開示の実施形態による、第一の公称直径で膨張状態にある拡張可能部材に沿って配置されたカバーの第一の領域を含む拡張可能部材アセンブリの側面図である。
【0050】
【
図6B】
図6Bは、本開示の実施形態による、第二の公称直径で膨張状態にある拡張可能部材に沿って配置されたカバーの第二の領域を含む拡張可能部材アセンブリの側面図である。
【0051】
【
図6C】
図6Cは、本開示の実施形態による、第三の公称直径で膨張状態にある拡張可能部材に沿って配置されたカバーの第三の領域を含む拡張可能部材アセンブリの側面図である。
【0052】
【
図7A】
図7Aは、本開示の実施形態による、膨張状態で拡張可能部材に沿って配置された開口部を有するカバーの第一の領域を含む拡張可能部材アセンブリの側面図である。
【0053】
【
図7B】
図7Bは、本開示の実施形態による、膨張状態で拡張可能部材に沿って配置された刻み目を有するカバーの第二の領域を含む拡張可能部材アセンブリの側面図である。
【0054】
【
図7C】
図7Cは、本開示の実施形態による、第一の膨張状態で拡張可能部材に沿って配置されたカバーの第三の領域を含む拡張可能部材アセンブリの側面図である。
【0055】
【
図7D】
図7Dは、本開示の実施形態による、第二の膨張状態で拡張可能部材に沿って配置されたカバーの第三の領域を含む拡張可能部材アセンブリの側面図である。
【0056】
【
図8A】
図8Aは、本開示の実施形態による、膨張状態で拡張可能部材に沿って配置された開口部を有するカバーの第一の領域を含む拡張可能部材アセンブリの側面図である。
【0057】
【
図8B】
図8Bは、本開示の実施形態による、膨張状態で拡張可能部材に沿って配置されたコーティングを有するカバーの第二の領域を含む拡張可能部材アセンブリの側面図である。
【0058】
【
図9】
図9は、本開示の実施形態による、カテーテルの正面図である。
【0059】
【
図10A】
図10Aは、本開示の実施形態による、第一の膨張位置にある拡張可能部材を含むメディカルデバイスの断面正面図である。
【0060】
【
図10B】
図10Bは、本開示の実施形態による、拡張可能部材が第二の膨張位置にあるメディカルデバイスの断面正面図である。そして、
【0061】
【
図11】
図11は、本開示の実施形態による、拡張可能部材の周りにカバーの第一の領域を含む拡張可能部材アセンブリの側面図である。
【0062】
【
図12】
図12は、本開示の実施形態による、拡張可能部材に沿って配置されたカバーを含む拡張可能部材アセンブリの側面図である。
【0063】
【
図13】
図13は、本開示の実施形態による、拡張可能部材に沿って配置されたカバーを含む拡張可能部材アセンブリの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0064】
詳細な説明
I.はじめに
本明細書に記載される様々な実施形態は、管状構造上の部位を治療するために、管状構造(例えば、血管又は管)の管腔内に拡張可能部材を展開することができ、そして、拡張可能部材を公称直径まで膨張させて、それにより、拡張可能部材の表面(又は拡張可能部材のカバー)が管状構造の壁に接触して、治療又は療法を管状構造上の部位にデリバリーすることができる、閉塞及び治療剤デリバリーデバイス、システム及び方法を対象とする。多くの従来の閉塞及び治療剤デリバリーデバイス、システム及び方法に関連する問題は、拡張可能部材(又は拡張可能部材上のカバー)が単一の治療表面又は療法でのみ構成されることである。単一の治療表面又は療法が施された後に、拡張可能部材は、典型的に収縮され、そしてデバイスは身体から引き抜かれる。
【0065】
本明細書に記載される様々な実施形態は、複数の治療又は機能的表面を提供するために長手方向に移動可能なカバーを有する単一の拡張可能部材の反復膨張が可能な閉塞及び治療剤デリバリーデバイス、システム及び方法を対象とする。例えば、本開示の様々な実施形態は、(i)長手方向軸、近位端、遠位端及びカバー管腔を含むカテーテルであって、前記カバー管腔がカテーテルの近位端から遠位端まで延在している、カテーテル、及び、(ii)近位端及び遠位端を含む拡張可能部材を含む、メディカルデバイスを対象とする。拡張可能部材はカテーテルの遠位セクション上に配置される。メディカルデバイスは、(iii)第一の領域及び第二の領域を含むカバーをさらに含む。第一の領域は、拡張可能部材に沿って、例えば、オーバーラップ又はカバーするように配置され、第二の領域は、カテーテルの長さに沿って拡張可能部材の近位端を超えてカテーテルの近位端に向かって延在し、カバーの第一の端部はカバー管腔内に向けて反転する。メディカルデバイスはさらに、(iv)カバーの第一の端部に結合され、カバーの第一の端部をカバー管腔を通してカテーテルの長手方向軸に沿ってカテーテルの近位端に向かって後退させるように構成されたアクチュエータを含む。カバーの一部がカバー管腔内に引き込まれると、カバーの引き込まれていない外側部分がカテーテルの遠位端に向かって遠位方向に引っ張られ、それにより、カバーの以前に展開されなかった領域は治療部位でその後の治療又は療法を行うために拡張可能部材の上に配置される。
【0066】
有利なことに、このアプローチは、長手方向に移動可能なカバーを有する単一の拡張可能部材の反復膨張が可能であり、それにより、治療部位に複数の治療又は機能表面を提供する閉塞及び治療剤デリバリーデバイス、システム及び方法を提供する。例えば、移動可能なカバーは複数の領域にセグメント化されることができ、各領域は、特定の治療剤コーティング(例えば、同じ又は異なる薬物及び/又は薬物の用量)、膨張プロファイル(例えば、同じ又は異なる公称直径)、機能表面(例えば、同じ又は異なる表面組織及び/又は表面特徴)及び/又は内部人工器官デバイス(例えば、拡張可能なステント、自己拡張ステント、同じ又は異なる直径及び/又は長さを有する1つ以上のステント)を有する。さらに、治療剤デリバリーデバイス、システム及び方法は、場合により、治療部位への展開中に移動可能なカバーの1つ以上の領域にオーバーラップし、それを保護する移動可能なカバーの少なくとも一部に沿って配置される筒状シースを含む。シースは、拡張可能部材が拡張し、拡張可能部材を覆っている露出領域を治療部位に対して半径方向に押している間、移動可能なカバーの1つ以上の領域をさらに保護することができる。
【0067】
II.定義
本明細書で使用されるときに、「a」及び「an」という用語は、本開示が明確に別段の要求をしない限り、1つ又は複数として定義される。
【0068】
値の範囲(例えば、xとyとの間)を規定するために使用されるときに、「間(between)」という前置詞は、所与の範囲の端点(例えば、xとy)と端点の間の値を含むことを意味する。
【0069】
本明細書で使用されるときに、「コーティング」という用語は、基材の表面上に配置される1つ以上の材料を指す。本開示において、基材は、構造層又は基材又は拡張可能部材又はカバーを含むことができる。コーティングは、表面上に完全に存在することができ、又は、基材中に存在する開口部又は細孔内に全体的又は部分的に取り込まれることができる。後者のコーティング構成は、一般に、当該技術分野において「吸収」又は「充填」材料と呼ばれている。
【0070】
本明細書中使用されるときに、「含む(comprise)」(及び「comprises」及び「comprising」などのcompriseの任意の形態)は、「有する(have)」(及び「has」及び「having」などのhaveの任意の形態)、「含む(include)」(及び「includes」及び「including」などのincludeの任意の形態)及び「含む(contain)」(及び「contains」及び「containing」などのcontainの任意の形態)は、非限定的な連結動詞である。結果として、1つ以上の要素を「含む(comprises)」、「有する(has)」、「含む(includes)」又は「含む(contains)」本デバイス、システム及び方法はいずれも、それらの1つ以上の要素を有するが、これらの1つ以上の要素のみを有することに限定されない。同様に、1つ以上の特徴を「含む(comprises)」、「有する(has)」、「含む(includes)」又は「含む(contains)」デバイス、システム又は方法の要素は、1つ以上の特徴を有するが、1つ以上の特徴のみを有することに限定されない。
【0071】
本デバイス、システム及び方法のいずれも、記述された要素及び/又は特徴及び/又は工程のいずれをも含む(comprise)/含む(include)/含む(contain)/有する(have)」ではなく、それから本質的になる、又はそれらからなることができる。したがって、請求項のいずれにおいても、「からなる」又は「から本質的になる」という用語は上記の非限定的な連結動詞の代わりに使用でき、それにより、さもなければ非限定的な連結動詞を用いていた範囲から所与の請求項の範囲を変更することができる。
【0072】
本明細書で使用されるときに、「デリバリー直径」は、膨張前の管構造を介したデリバリー中の管状形態の直径又は断面幅に実質的に等しいか又はそれよりわずかに大きい管状形態の直径又は断面幅を指す。
【0073】
本明細書で使用されるときに、「展開(deployment)」は、治療又は療法部位でのデバイスの作動又は配置を指す。展開プロセスは段階的に行うことができる。
【0074】
本明細書で使用されるときに、「第一」、「第二」、「第三」…「第六」などの用語は、閉塞及び治療剤デリバリーデバイスの特定の領域又は構成要素を識別及び区別し、特に明記されていない限り、特定の展開順序を示すように本明細書で使用されるものでない。
【0075】
本明細書で使用されるときに、「反転する」という用語は、内部的又は外部的にそれ自体を折り返している材料を指す。
【0076】
本明細書で使用されるときに、「微細孔(マイクロポア)」及び「微孔質(マイクロポーラス)」という用語は、材料の開口部を指し、例えば、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)のノード及びフィブリルの間の領域を指す。通常、ePTFEの場合と同様に、材料が「湿潤化されていない」ときに、これらの微細孔は空気を含む。
【0077】
本明細書で使用されるときに、「非形態順応性(非コンプライアント)」バルーンは、公称膨張圧力から定格破裂圧力まで膨張させたときに約10%未満の直径成長を有するバルーンである。
【0078】
本明細書で使用されるときに、「公称直径」は、公称膨張圧力におけるバルーンのおおよその直径を意味する。この状態を超えると、圧力の増加(例えば、定格破裂圧力まで)により、直径の20%未満の増加、直径の15%未満の増加又は直径の10%未満の増加が生じる。典型的には、公称直径は、例えば臨床医などのエンドユーザの指示で示されるラベル付き直径である。
【0079】
本明細書で使用されるときに、「近位」及び「遠位」という用語は、閉塞及び治療剤デリバリーデバイスの特定の領域又は構成要素を識別及び区別する目的で同様に使用される。「近位」は、挿入されたときに医師又は臨床医により近い、及び/又はアセンブリを通過させる入口部位により近いアセンブリの位置又は部分を識別するために使用される。 「遠位」は、医師又は臨床医からより遠く、及び/又は、アセンブリを通過させる入口部位からより遠いアセンブリの位置又は部分を識別するために使用される。用語「長手方向」は、デバイスに対して長さ方向を指し、用語「横方向」は、長手方向に垂直な方向、例えば、デバイスの幅の方向を指す。
【0080】
本明細書で使用されるときに、「準形態順応性」バルーンは、公称膨張から定格破裂圧まで膨張したときに、約20%未満の直径成長(例えば、公称直径に対して20%未満のバルーン直径の増加)を有するものである。
【0081】
本明細書で使用されるときに、「実質的に」、「およそ」及び「約」という用語は、当業者によって理解されるように、ほぼ指定されたものであるが、必ずしも完全に指定されたものでなく(そして完全に指定されたものを含む)と定義される。開示された任意の実施形態において、「実質的に」、「およそ」又は「約」という用語は、指定されたものの「[%]以内」で置き換えることができ、ここで、%は0.1、1、5及び10パーセントを含む。「主に(majority)」という用語は、少なくとも半分を示す。
【0082】
本明細書で使用されるときに、「可変透過性微細構造」という用語は、第一の状態での流体移送に対する抵抗が、第二の状態での同じ構造又は材料の抵抗よりも大きい、そのような抵抗が2つの状態間で変化する構造又は材料を指す。当業者は、第一の状態で試験し、第二の状態で行われた試験と比較することから透過性の変化を特性化する様々な方法を理解するであろう。これらの方法としては、限定するわけではないが、所与の圧力差での微細構造を横切る空気又は液体フラックスの特性評価、水侵入圧又はバブルポイントなどの微細構造を様々な流体が通過する際の圧力差を決定する特性評価、多孔性の特性評価、及び画像から(例えば、走査型電子顕微鏡又は光学顕微鏡から)測定されたノード間又はフィブリル間の間隔などの視覚的特性評価が挙げられる。可変透過性材料の1つの非限定的な実施形態は、材料がひずみを受けていないときに実質的に閉じた微細構造を有し、材料がひずみを受けているときにより開いた微細構造を有する材料を含む。
【0083】
本明細書で使用されるときに、「湿潤(wet)」、「湿潤(set-out)」及び「湿潤(wetted)」という用語は、流体による微孔質材料中の空気の置換を指す。材料を濡らすと、その後の流体移行に対する抵抗が低下し、微孔質材料を通過する流体の流れが促進される。さらに、これらの微孔質材料は、連続気泡構造であることが意図され、微細孔は相互接続されており、独立した微細構造ではないことを意味する。これにより、流体が材料を通って流れることができる。毛細管効果は、特に相互接続された小さな細孔を有する非常に多孔性の材料の場合に、濡れが発生するときに材料を通過する流体流において重要な役割を果たすことができる。湿潤化は、流体に添加された1つ以上の界面活性剤の補助によって達成されうる。界面活性剤は、流体-蒸気、固体-流体及び固体-蒸気の界面に吸収され、そこで、疎水性材料の湿潤挙動を変更する。湿潤化は流体の粘度にも依存するであろう。
【0084】
本明細書で使用されるときに、「作動長」という用語は、拡張可能部材(例えば、バルーン)の実質的に真っ直ぐな本体部分の長さであり、これは、
図1の「W」によって示されるように、対向するショルダー/テーパ部分間の拡張可能部材のおおよその長さに対応する。
【0085】
III.閉塞及び治療剤デリバリーデバイス及びシステム
図1は、拡張可能部材アセンブリ10及びカテーテル15を含むメディカルデバイス5を示す。様々な実施形態において、カテーテル15は筒形を有し、長手方向軸17、近位端18、遠位端19及びカバー管腔32を含み、前記カバー管腔は、場合により、近位端18から遠位端19まで延在している。拡張可能部材アセンブリ10は、カテーテル15の遠位セクション16上に配置された膨張可能部材又は拡張可能部材20を含む。示されるように、拡張可能部材20は、作動長(W)に沿って実質的に筒形であることができる本体セクション21、二つの対向する脚部分22、ならびに、前記本体セクション21及び二つの対向する脚部分22に一体的に接続されうるショルダー/テーパ部分23を含む。本体セクション21、脚部分22及びショルダー/テーパ部分23は、近位端24から遠位端25までの拡張可能部材20の全長を規定する。幾つかの実施形態において、拡張可能部材20は、ウレタン、PET、PEBAX、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ナイロン12、ナイロン11、ナイロン9、ナイロン6/9、ナイロン6/6などのポリアミド、及び、これらの組み合わせを含む熱可塑性ポリマー材料を含む。
【0086】
メディカルデバイス5は、カテーテル15の遠位端19から拡張可能部材20の近位端24まで延在する第一のセクションS1を有する。メディカルデバイス5はまた、拡張可能部材20の近位端24からカテーテル15の近位端18まで延在している第二のセクションS2を有する。メディカルデバイス5はまた、カテーテル15のカバー管腔32内で、カテーテル15の遠位端19からカテーテル15の近位端18まで延在しているカテーテル15の長さに対応する第三のセクションS3を有する。
【0087】
拡張可能部材20の作動長(W)は、約10mm~約400mm、約10mm~約250mm又は約10mm~150mmであることができる。同様に、拡張可能部材20の公称直径は、約2mm~約100mm、約2mm~約60mm、又は約2mm~約30mmであることができる。例として、拡張可能部材20は、約4mm~約10mmの公称直径及び約25mm~約50mmの作動長(W)、又は約6mm~約25mmの公称直径及び約15mm~約75mmの作動長(W)を有することができる。理解されるべきであるとおり、拡張可能部材20は臨床用途のための任意の適切な寸法及びサイズを有することができる。
【0088】
様々な実施形態において、拡張可能部材20は、カテーテル15が拡張可能部材20と流体連通するように、脚部分22でカテーテル15に結合され又は取り付けられる。例えば、カテーテル15は1つ以上の管腔を含むことができ、その1つは、場合によりカテーテル内のオリフィスを介して、患者の脈管構造などの管状構造内の拡張可能部材20バルーンを膨張させるために膨張流体を供給する拡張可能部材20のチャンバと流体連通していることができる。カテーテル15は、例えばポート26を介して、シリンジ、インデフレータ、ポンプ、又はカテーテル15を介して膨張可能部材20内に膨張流体を導くための任意の他の装置などの任意の適切な膨張-収縮デバイスに結合されうる。幾つかの実施形態によれば、膨張-収縮デバイスは、カテーテル15を介して拡張可能部材20のチャンバ中に流体を押し込み、そして前記チャンバから流体を抜き出し、拡張可能部材20を膨張及び収縮させることができる。バルーンの直径の制御を援助するために、膨張流体により拡張可能部材20を膨張させる前に、カテーテル15及び拡張可能部材20を吸引して(空気を除去し、それを流体と置換する)ことができる。カテーテル15及び拡張部材20を吸引し及び/又は拡張部材20を膨張させるために使用される膨張流体はコントラスト剤(例えば、画像形成モダリティによって拡張部材20を画像形成することができる画像形成剤)、又は、コントラスト剤と塩類液を含むことができる。
【0089】
拡張可能部材アセンブリ10はまた、カバー27をさらに含む。カバー27は、メディカルデバイス5の第一のセクションS1、第二のセクションS2及び第三のセクションS3全体にわたって配置されうる複数の領域を含む。様々な実施形態において、カバー27は、メディカルデバイス5の第一のセクションS1に沿って分布する第一の領域を有する。他の実施形態において、カバー27は、メディカルデバイスの第一のセクションS1に沿って分布する第一の領域及びメディカルデバイス5の第二のセクションS2に沿って分布する第二の領域を有する。特定の実施形態において、カバー27は、メディカルデバイス5の第一のセクションS1に沿って分布する第一の領域、メディカルデバイス5の第二のセクションS2のある部分に沿って分布する第二の領域、及び、メディカルデバイスの第二のセクションS2の別の部分に沿って分布する別の領域を有する。カバー27はまた、カバー管腔32内に反転されており、そしてカテーテル15のカバー管腔32内のメディカルデバイス5の第三のセクションS3に沿って分布する領域を有する。様々な実施形態において、メディカルデバイス5の第一のセクションS1及び第二のセクションS2に沿って分布するカバー27の領域の全長は、拡張部材20の全長よりも複数倍(例えば、1倍、2倍、3倍、4倍又は2倍~8倍、又は2倍~4倍)長い。幾つかの実施形態において、メディカルデバイス5の第一のセクションS1及び第二のセクションS2に沿って分布するカバー27の領域の全長は、拡張可能部材20の作動長(W)よりも複数倍(例えば、1倍、2倍、3倍、4倍又は2倍~8倍、又は2倍~4倍)長い。メディカルデバイス5の第一のセクションS1及び第二のセクションS2に沿って分布するカバー27の領域の全長は約50mm~約2000mm、約50mm~約1250mm又は約50mm~750mmであることができる。
【0090】
幾つかの実施形態において、製造又は組立て中に、カバー、例えばカバー27は、最初にカバー管腔内に配置され、その後に、拡張可能部材上で反転又は折り返される。幾つかの実施形態において、製造又は組立て中に、カバー、例えばカバー27は、最初に拡張可能部材の上に配置され、その後に、カバー管腔内に反転され又は折り畳まれる。
【0091】
幾つかの実施形態において、カバー27は、多孔質層、例えば、限定するわけではないが、多孔質フルオロポリマー層を含む。特定の実施形態によれば、多孔質フルオロポリマー層としては、限定するわけではないが、ペルフルオロエラストマーなど、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)など及び延伸フルオロポリマーなどを挙げることができる。延伸型フルオロポリマーの非限定的な例としては、ePTFE、延伸変性ポリテトラフルオロエチレン、及び、ポリテトラフルオロエチレンの延伸コポリマーが挙げられる。例えば、押出ePTFEチューブ、らせん巻きePTFEチューブ又はタバコ巻きePTFEチューブが挙げられる。
【0092】
PTFE、延伸性変性PTFE及びPTFEの延伸コポリマーの様々な延伸性ブレンドは当該技術分野で開示されており、例えば、Brancaに対する米国特許第5,708,044号明細書、Baillieの米国特許第6,541,589号明細書、Sabolらの米国特許第7,531,611号明細書、Fordの米国特許8,637,144号明細書及びXuらの米国特許第8,937,105号明細書に開示されている。米国公開番号US20160143579号明細書は、本明細書での使用に適した追加の実施形態ならびに実施形態を作製する方法を開示している。
【0093】
様々な実施形態によれば、メディカルデバイス5の第一のセクションS1及び第二のセクションS2に沿って分布するカバー27の複数の領域(例えば、第一、第二及び第三の領域)は、患者の管状構造内での拡張可能部材アセンブリ10の展開にわたって、拡張可能部材20上で遠位方向に長手方向に移動するように構成されており、これにより、拡張可能部材20の反復膨張は、体腔内に配置されたアセンブリ10を体腔から除去することなく、カバー27の異なる領域で複数の治療又は機能表面を管状構造に適用させることになりうる。幾つかの実施形態において、カバー27は、拡張可能部材20の周囲全体を包み、近位端24から遠位端25まで拡張可能部材20の全長を覆う。他の実施形態において、カバー27は、拡張可能部材20の周囲の一部を包み、及び/又は、近位端24から遠位端25まで拡張可能部材20の長さの一部を覆う。
【0094】
様々な実施形態によれば、メディカルデバイス5は、カテーテル15のカバー管腔32(カテーテル15の1つ以上の管腔の1つ)内に向けて反転されたカバー27の第一の端部に結合されたアクチュエータ35をさらに含むことができる。アクチュエータ35は、機械システム(例えば、ノブ又はスライダの使用による機械的利点を含む従来の展開ノブ又はハンドル)を介して、拡張可能部材アセンブリ10の展開の全体にわたってカバー27の部分を移動させ、それにより、拡張可能部材20の反復膨張で、カバー27の異なる部分が複数の治療又は機能表面を適用することになる。例えば、カバー27のある長さは、カテーテル15の遠位端19でメディカルデバイス5の第三のセクションS3の少なくとも一部に沿って配置されたカテーテル15の遠位端19でカバー管腔32内に反転されうる。第三のセクションS3内にあるカバー27は、アクチュエータ35を介して、カバー管腔32を通ってカテーテル15の近位端18に向かって移動させる(例えば、引っ張る)ことができる。あるいは、幾つかの実施形態において、カバー27のある長さは、カテーテル15の近位端18でカバー管腔32内に反転され、そして、アクチュエータ35を介して、カバー管腔32を通してカテーテル15の遠位端19に向かって移動される(例えば、引っ張られる)ことができる。結果的に、カバー27がカバー管腔32を通して引っ張られるときに、近位端18に向かってカテーテル15に沿って当初配置されたカバー27の領域は、カテーテル15の長さに沿ってカテーテル15の遠位端19に向かって移動され、それにより、カバー27の領域は拡張可能部材20に沿って配置されるようになる。
【0095】
カバー27が多孔質層を含む幾つかの実施形態において、1つ以上のコーティングを多孔質層に適用することができる。1つ以上のコーティングは、治療剤コーティングが拡張可能部材20の作動長(W)を実質的に覆うように、カバー27の領域に適用することができる治療剤を含むことができる。あるいは、1つ以上の治療剤コーティングは拡張可能部材20の作動長(W)を実質的に覆い、少なくとも対向する脚領域22及び/又はショルダー/テーパ領域23の領域に配置されるように、カバー27の一部に適用される。同一の治療剤コーティングはカバー27の1つ以上の領域に配置されることができ、1つ以上の異なる治療剤コーティングはカバー27の1つ以上の領域に配置されることができ、カバー27の1つ以上の領域にコーティングが配置されなくてもよく、及び/又は、治療剤コーティングは、1つ以上の放射線不透過性要素を含むことができ、本明細書でさらに詳細に記載されるとおりである。
【0096】
幾つかの実施形態において、カバー27及び/又は拡張可能部材20の外面は、表面組織及び/又は表面特徴を有することができる。表面組織及び/又は表面特徴は、表面組織及び/又は表面特徴が拡張可能部材20の作動長(W)に沿って延在するように、カバー27及び/又は拡張可能部材20の領域の一部であることができる。あるいは、表面組織及び/又は表面特徴は、表面組織及び/又は表面特徴が拡張可能部材20の作動長(W)に沿って延在し、対向する脚部分22及び/又はショルダー/テーパ部分23の少なくとも一部に配置されるように、カバー27及び/又は拡張可能部材20の領域の一部であることができる。同一の表面組織及び/又は表面特徴はカバー27の1つ以上の領域に配置されることができ、1つ以上の表面組織及び/又は表面特徴は、カバー27の1つ以上の領域に配置されることができ、カバー27の1つ以上の領域に表面組織及び/又は表面特徴が配置されなくてもよく、及び/又は、表面組織及び/又は表面特徴は、1つ以上の放射線不透過性要素を含むことができ、本明細書にさらに詳細に記載されるとおりである。
【0097】
幾つかの実施形態において、1つ以上の内部人工器官は、カバー27の1つ以上の領域に配置されうる。内部人工器官は、追加の表面特徴及び/又は治療剤コーティングを含む領域に配置されうる。他の実施形態において、内部人工器官は、追加の表面特徴又は治療剤コーティングなしでカバー27の領域に配置されうる。
【0098】
拡張可能部材アセンブリ10は、カバー27の一部の周りのメディカルデバイス5の第二のセクションS2の少なくとも一部に沿って配置された筒状シース37をさらに含むことができる。幾つかの実施形態において、シース37はカバー27の全周囲の周りを包み、メディカルデバイス5の第二のセクションS2に沿って配置されたカバー27の全長を覆う。他の実施形態において、シース37は、カバー27の周囲の一部を包み、及び/又は、メディカルデバイス5の第二のセクションS2に沿って配置されたカバー27の一部を覆う。シース37は、患者の管状構造における拡張可能部材アセンブリ10の配置中に、シース37の下に配置されたカバー27の外面上にある治療剤コーティング(例えば、薬物コーティング又は高密度化コーティング)を保護することができる。シース37はまた、拡張可能部材アセンブリ10の使用中に、デリバリー直径でシース37の下に配置されたカバー27の一部を保持することができる。幾つかの実施形態において、シース37は、接着剤によってカテーテル15の領域に結合される。例えば、シース37は、カテーテル15の近位端18でハンドル又はハブに結合されうる。他の実施形態において、シース37は、カテーテル15に結合されていない。様々な実施形態において、シース37は、ポリマーチューブ又は他の適切な材料を含むチューブを含むことができ、前記適切な材料としては、限定するわけではないが、熱可塑性プラスチックが挙げられ、例えば、限定するわけではないが、ポリメチルメタクリレート(PMMA又はアクリル)、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、変性ポリエチレンテレフタレートグリコール(PETG)、セルロースアセテートブチレート(CAB);ポリエチレン(PE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE又はLLDPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメチルペンテン(PMP)を含む半結晶性汎用プラスチック;ポリカーボネート(PC)、ポリフェニレンオキサイド(PPO)、変性ポリフェニレンオキサイド(Mod PPO)、ポリフェネリンエーテル(PPE)、変性ポリフェネリンエーテル(Mod PPE)、熱可塑性ポリウレタン(TPU);ナイロン-11及びナイロン-12などのポリアミド、ポリオキシメチレン(POM又はアセタール)、ポリエチレンテレフタレート(PET、熱可塑性ポリエステル)、ポリブチレンテレフタレート(PBT、熱可塑性ポリエステル)、ポリイミド(PI、イミド化プラスチック)、ポリアミドイミド(PAI、イミド化プラスチック)、ポリベンゾイミダゾール(PBI、イミド化プラスチック);ポリスルホン(PSU)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリアリールスルホン(PAS);ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK);フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、エチレンクロロトリフルオロエチレン(ECTFE)、エチレン-エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ペルフルオロアルコキシ(PFA)を含むフルオロポリマー、又は、これらの組み合わせ、コポリマーもしくは誘導体である。他の一般に知られている医療グレードの材料としては、エラストマー有機ケイ素ポリマー、ポリエーテルブロックアミド(PEBAX(登録商標)など)が挙げられる。特に、ポリアミドとしては、ナイロン12、ナイロン11、ナイロン9、ナイロン6/9及びナイロン6/6を挙げることができる。特定の実施形態において、PET、ナイロン及びPEは、冠動脈形成術又は他の高圧用途で使用される医療用バルーンのために選択されうる。材料の具体的な選択は、バルーンの望ましい特性/意図する用途による。
【0099】
図2は、カテーテル15の遠位端19にある拡張可能部材アセンブリ10の一部を含むメディカルデバイスの領域の断面図を示す。
図2は、拡張可能部材20の外面上に配置されたカバー27を示しているが、幾つかの実施形態において、拡張可能部材20の外面とカバー27との間に追加の要素、例えば内部人工器官(例えば、ステント)を配置することができる。幾つかの実施形態では、1つ以上の内部人工器官をカバー27の外面上に配置することができる。カバー27は、カテーテル15の遠位端19に反転して、カテーテル15のカバー管腔32に入ることができる。
図2に示される実施形態において、カバー27を受け入れるカバー管腔32は2つの開口部を含む。カバー27は2つのセクションに分割され、各セクションは、一緒にカバー管腔32を画定するそれぞれの開口部に入る。カバー27がカバー管腔32を通して引っ張られると、カバー27はさらに2つのセクションに分離されうる。カテーテル15はまた、ガイドワイヤ管腔38及び膨張管腔40(
図2の断面図ではガイドワイヤ管腔38と視覚的に区別されない)を含む。幾つかの実施形態において、任意要素の先端は、カテーテル15の先端でカテーテル15の遠位端19に接着剤又は別の適切な形態の結合によって固定されうる。
【0100】
図3はカテーテル15の正面断面図を示す。カテーテル15は、カバー27を受容するカバー管腔32を共に画定する開口部を有する。カテーテル15はまた、ガイドワイヤを受容しうるガイドワイヤ管腔38を含む。カテーテル15はまた、拡張可能部材20と流体連通することができる膨張管腔39を含む。
図2に示すように、カバー27の一部は、カバー管腔32内に向けて反転し、カテーテル15の長さに沿ってカバー管腔32を通って延在する。カバー管腔32内に向けて反転するカバー27の部分は、端部(図示せず)でアクチュエータに結合される。
【0101】
幾つかの実施形態において、カバー管腔32は、カバー27を受け入れる、より多い又はより少ない開口部を含む。例えば、
図9に示されるように、幾つかの実施形態において、本開示のメディカルデバイスで使用するためのカテーテル30は単一の開口部を含むカバー管腔31を含むことができる。カテーテル30はまた、膨張管腔33を含むことができる。幾つかの実施形態において、カテーテル30は、ガイドワイヤ用の追加の管腔を含むこともできる。
【0102】
図4は、拡張可能部材20の近位端24におけるメディカルデバイスの別の部分の断面図を描写する。
図4に示すように、シース37は、カテーテル15の長さに沿って延在するカバー27の一部を包囲している。カバー27も、
図2に示すように、拡張可能部材20を包囲している。カテーテル15のカバー管腔32内に向けて反転されたカバー27の長さはまた、カテーテル15の長さに沿ったメディカルデバイスの第三のセクションS3の長さに沿ってカバー管腔32内に延在しているものとして示されている。膨張管腔40(
図3に示される)は、
図4の断面図においてガイドワイヤ管腔38と視覚的に区別されない。
【0103】
1つ以上のコーティングを含む実施形態
図5Aは、本開示の実施形態による、メディカルデバイス41の拡張可能部材アセンブリ40を描写する。拡張可能部材アセンブリ40は、メディカルデバイス41のカテーテル42上に配置される。拡張可能部材アセンブリ40は、カテーテル42の遠位セクション45上に配置された拡張可能部材44を含む。拡張可能部材アセンブリ40はまた、拡張部材44の周りに配置され、カテーテル42の長さに沿って、カテーテル42の近位端43に向けて延在しているカバー48を含む。カバー48は、第一の領域50、第二の領域52及び第三の領域54を含む。幾つかの実施形態において、
図5Aに示すように、第一の領域50、第二の領域52及び第三の領域54はそれぞれ、拡張可能部材44の全長にほぼ等しい長さを有することができる。幾つかの実施形態において、
図5Aに示すように、第一の領域50、第二の領域52及び第三の領域54はそれぞれ、公称直径での拡張可能部材44の作動長(W)にほぼ等しい長さ、例えば、作動長の10%以内又は20%以内の長さを有することができる。幾つかの実施形態において、第一、第二及び第三の領域50、52、54のうちの1つ以上は、拡張可能部材44の全長よりも長い又は短い長さを有することができる。
【0104】
カバー48の端部は、カテーテル42の遠位端46でカバー管腔内に向けて反転されうる。カバー48は、メディカルデバイス41のアクチュエータ(図示せず)に結合されうる。アクチュエータはカテーテル42の遠位端46からカテーテル42の近位端43までカバー管腔内に配置されたカバー48の端部を様々な増分で引っ張ることができる。幾つかの実施形態において、カバー48は、カテーテル42の近位端43内に向けて反転され、アクチュエータによってカテーテル42の遠位端43まで引っ張られることができる。
【0105】
幾つかの実施形態において、1つ以上のコーティングをカバー48の外面上に配置することができる。コーティングは、1つ以上の放射線不透過性要素及び/又は1つ以上の治療剤、例えば治療薬剤を含むことができる。幾つかの実施形態において、コーティングは、カバー48の外面上に配置された高密度化材料を含むことができ、それにより、カバー48の表面の摩擦係数を増加させることができる。幾つかの実施形態において、1つ以上の内部人工器官はカバー48の外面上に配置されうる。幾つかの実施形態において、内部人工器官は、前処理(例えば、治療剤コーティング又はプラーク又は他の沈着物を管腔壁から除去するための表面特徴)を含むカバー48の領域と、後処理(例えば、治療剤コーティング)を含むカバー48の領域との間に配置されうる。さらに他の実施形態において、1つ以上の内部人工器官は、カバー48の任意の長さに沿ってカバー48の外面上に配置されうる。
【0106】
治療剤
治療剤としては、限定するわけではないが、アブシキシマブ、アセメタシン、アセチルビスミオンB、アクラルビシン、アデメチオニン、アドリアマイシン、アエシン、アフロモソン、アカゲリン、アルデスロイキン、アミドロン、アミノグルテヘミド、アムサクリン、アナキンラ、アナストロゾール、アネモニン、アノプテリン、抗真菌剤、抗血栓剤、組織プラスミノーゲン活性化因子(tPA)などの血栓溶解剤、アポシマリン、アルガトロバン、アリストロクタム-AII、アリストロキア酸、ヒ素及びヒ素含有酸化物、塩、キレート及び有機化合物、アスコマイシン、アスパラギナーゼ、アスピリン、アトルバスタチン、オーラノフィン、アザチオプリン、アジスロマイシン、バカチン、バフィロマイシン、バシリキシマブ、ベンダムスチン、ベンゾカイン、ベルベリン、ベツリン、ベツリン酸、ビロボル、ビオリムス、ビスパルテノリジン、ブレオマイシン、ボンブレスタチン、ボスウェリア酸及びそれらの誘導体、ブルセアノールA、B及びC、ビオフィリンA、ブスルファン、アンチトロンビン、ビバリルジン、カドヘリン、カンプトテシン、カペシタビン、o-カルバモイルフェノキシ酢酸、カルボプラチン、カルムスチン、セレコキシブ、セファランチン、セリバスタチン、CETP阻害剤、クロラムブシル、リン酸クロロキン、シクトキシン、シプロフロキサシン、シスプラチン、クラドリビン、クラリスロマイシン、コルヒチン、コンカナマイシン、クマジン、C型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)、クダキサイソフラボンA、クルクミン、シクロホスファミド、シクロスポリンA、シタラビン、ダカルバジン、ダクリズマブ、ダクチノマイシン、ダプソン、ダウノルビシン、ジクロフェナク、1,11-ジメトキシカンチン-6-オン、ドセタキセル、ドキソルビシン、デュナイマイシン、エピルビシン、エポチロンA及びB、エリスロマイシン、エストラムスチン、エトポシド、エベロリムス、フィルグラスチム、フルロブラスチン、フルバスタチン、フルダラビン、フルダラビン-5’-リン酸二水素、フルオロウラシル、フォリマイシン、ホスフェストロール、ゲムシタビン、ガラキノシド、ギンゴール、ギンコール酸、グリコシド1a,4-ヒドロキシオキシシクロホスファミド、イダルビシン、イホスファミド、ジョサマイシン、ラパコール、ロムスチン、ロバスタチン、メルファラン、ミデカマイシン、ミトキサントロン、ニムスチン、ピタバラスタチン、ピラバスタチン、プロカルバジン、マイトマイシン、メトトレキサート、メルカプトプリン、チオグアニン、オキサリプラチン、ビスマス及びビスマス化合物又はキレート、イリノテカン、トポテカン、ヒドロキシカルバミド、ミルテフォシン、ペントスタチン、ペガスパルガーゼ、エキセメスタン、レトロゾール、ホルメスタン、SMC増殖阻害剤-2co、ミトキサントロン、ミコフェノール酸モフェチル、c-mycアンチセンス、b-mycアンチセンス、[3-1アパコン(apachone)、ポドフィロトキシン、ポドフィリル酸-2-エチルヒスチラジド、モルグラモスチム(rhuGM-CSF)、ペグインターフェロンct-2b、ラノグラスチム(r-HuG-CSF)、マクロゴール、セレクチン(サイトキンアンタゴニスト)、サイトキン阻害剤、COX-2阻害剤、NFkB、アンジオペプチン、筋細胞増殖を阻害するモノクローナル抗体、bFGFアンタゴニスト、プロブコール、プロスタグランジン、1-ヒドロキシルl-メトキシカンチン-6-オン、スコポレクチン、NOドナー、ペンタエリチルトールテトラニトレート、シンドロイミン、S-ニトロソデイルバティブ、タモキシフェン、スタウロスポリン、[3-エストラジオール、ct-エストラジオール、エストリオール、エストロン、エチニルエストラジオール、メドロキシプロゲステロン、エストラジオールシピオネート、エストラジオールベンゾエート、トラニラスト、カメバカウリン及び癌の治療に使用される他のテルペノイド、ベラパミル、チロシンキナーゼ阻害剤(チルホスチン)、パクリタキセル、パクリタキセル誘導体、6-c-ヒドロキシパクリタキセル、2'-スクシニルパクリタキセル、2'-スクシニルパクリタキセルチルエタノールアミン、2'-グルタリルパクリタキセル、2'-グルタリルパクリタキセルチルエタノールアミン、パクリタキセルのN-(ジメチルアミノエチル)グルタミドによるT-O-エステル、パクリタキセルのN-(ジメチルアミノエチル)グルタミド塩酸塩によるT-O-エステル、タキソテール、亜酸化炭素(MCS)、亜酸化炭素の大環状オリゴマー、モフェブタゾン、ロナゾラック、リドカイン、ケトプロフェン、メフェナム酸、ピロキシカム、メロキシカム、ペニシラミン、ヒドロキシクロロキン、オーロチオリンゴ酸ナトリウム、オキサセプロール、[3-シトステリン、ミルテカイン、ポリドカノール、ノニバミド、レボメントール、エリプチシン、D-24851(Calbiochem)、コルセミド、サイトカラシンA-E、インダノシン、ノカダゾール、S 100タンパク質、バシトラシン、ビトロネクチン受容体アンタゴニスト、アゼラスチン、金属プロテイナーゼ及び2遊離核酸のグアニジルシクラーゼ刺激剤組織阻害剤(guanidyl cyclase stimulator tissue inhibitor of metal proteinasel and 2, free nucleic acids)、ウイルストランスミッターに組み込まれた核酸、DNA及びRNAフラグメント、プラスミノーゲンアクチベータ阻害剤-l、プラスミノーゲンアクチベータ阻害剤-2、アンチセンスオリゴヌクレオチド、VEGF阻害剤、IGF-1、セファドロキシル、セファゾリン、セファクロル、セフォチキシン、トブラマイシン、ゲンタマイシン、ジクロキサシリンなどのペニシリン、オキサシリン、スルホンアミド、メトロニダゾール、エノキソパリン、脱硫酸化及びN-再アセチル化ヘパリンなどの抗生物質からなる群より選ばれる活性物質、組織プラスミノーゲン活性化因子、GpIIb/IIIa血小板膜受容体、第Xa因子阻害抗体、ヘパリン、ヒルジン、r-ヒルジン、PPACK、プロタミン、プロウロキナーゼ、ストレプトキナーゼ、ワルファリン、ウロキナーゼ、ジピラミドール、トラピジル、ニトロプルシドなどの血管拡張剤、トリアゾロピイルミジン及びセラミンなどのPDGF拮抗薬、カプトプリル、シラザピル、リシノピル、エナラプリル、ロサルタン、チオプロテアーゼ阻害剤、プロスタサイクリン、バピプロスト、インターフェロンa,[3及びyなどのACE阻害剤、ヒスタミンアンタゴニスト、セロトニンブロッカー、アポトーシス阻害剤、p65、NF-kB又はBcl-xLアンチセンスオリゴヌクレオチドなどのアポトーシスレギュレータ、ハロフジノン、ニフェジピン、トコフェロールトラニラスト、モルシドミン、茶ポリフェノール、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート、レフルノミド、エタネルセプト、スルファサラジン、エトポシド、ジクロキサシリン、テトラサイクリン、トリアムシノロン、ムタマイシン、プロカインイミド、レチノイン酸、キニジン、ジソピラミド、フレカイニド、プロパフェノン、ソトロール、イノトジノール、マクイロシドA、ガラキノシド、マンソニン、ストレブロシド、ヒドロコルチゾン、ベタメタゾン、デキサメタゾンなどの天然及び合成由来のステロイド、フェノポルフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ナプロキセン、フェニルブタゾンなどの非ステロイド系物質(NSAIDS)、及び、アシクロビル、ガンシクロビル及びジドブジンなどのその他の抗ウイルス薬、クロチルマゾール、フルチトシン、グリセオフルビン、ケトコナゾール、ミコナゾール、ナイスタチン、テルビナフィン、クロロキン、メフロキン、キニーネなどの抗原虫薬、ヒポカエスクリンなどのさらなる天然テルペノイド、バリングトゲノールC21-アンゲレート、14-デヒドロアグロスティスタチン、アグロスケイリン、アグロスティスタチン、17-ヒドロキシアグロスチスタチン、オバトヂオリド、4,7-オキシシクロアニソメリック酸、バカリノイド(baccharinoids)B1、B2、B3及びB7、ツベイモシド(tubeimoside)、ブルセアンチノシド(bruceantinoside) C、ヤダンジオシド(yadanziosides) N、及びP、イソデオキシエレファントピン、トメンファントピンA及びB、コロナリンA、B、C及びD、ウルソール酸、ヒプタチック酸(hyptatic acid)A、イソ-イリルドゲルマナール(iso-ilildogermanal)、カンテンフォリオル(cantenfoliol)、エフサンチン(effusantin) A、エキシサニンA及びB、ロンギカウイリン(longikauiln) B、スカルポネアチン(sculponeatin) C、カメバウニン、ロイカメニンA及びB、13,18-デヒドロ-6-アルファ-セネシオイルオキシチャパリリン、タキサマイリンA及びB、レゲニロール、トリプトリド、シマリン、ヒドロキシアノプテリン、プロトアネモニン、塩化ケリブリン、シノコクリンA及びB、ジヒドロニチジン、塩化ニチジン、12-ベータ-ヒドロキシプレグナジエン-3,20-ジオン、ヘレナリン、インディシン、インディシンN-オキシド、ラシオカルピン、イノトジオール、ポドフィロトキシン、ジャスティシジンA及びB、ラレアチン、マロテリン、マロトクロマノール、イソブチリルマロトクロマノール、マキロシドA、マルカンチンA、カンタンシン、リコリジシン、マルゲチン、パンクラチスタチン、リロデニン、ビスパルテノリジン、オキソウシンスニン、ペリプロコシドA、ウルソール酸、デオキシプソロスペルミン、プシコルビン、イルシンA、サンギナイル、マヌ小麦酸、メチルソルビフォリン、スファセリアクロメン、スティゾフィリン、マンソニン、ストレブロシド、ジヒドロウサムバラエンシン、ヒドロキシウサンバイルネ、ストリキノペンタミン、ストリキノフィリン、ウサンバリン、ウサンバレンシン、リリオデニン、オキソウシンスニン、ダフノレチン、ラリシレシノール、メトキシライルシレシノール、硬化剤、シリンガレシノール、シロリムス(ラパマイシン)、ヒ素又はヒ素化合物又はヒ素含有錯体と化合されたラパマイシンリン、ソマトスタチン、タクロリムス、ロキシスロマイシン、トロレアンドマイシン、シンバスタチン、ロスバスタチン、ビンブラスチン、ビンシルスチン、ビンデシン、サリドマイド、テニポシド、ビノレルビン、トロホスファミド、トレオスルファン、トレモゾロミド、スロテパ、トレチノイン、スピラマイシン、ウンベリフェロン、デサセチルビスミオンA、ビスミオネA及びB、ゼオイルン、ファスジルを挙げることができる。
【0107】
カバー48の1つ以上の領域50、52、54の外面はコーティングを有することができる。幾つかの実施形態において、
図5Aに示されるように、カバー48の第一の領域50はコーティングを有しなくてよく、カバー48の第二の領域52はコーティング64を有してよく、カバー48の第三の領域54はコーティング66を有してよい。幾つかの実施形態において、コーティング64は第一の治療剤を含むことができ、一方、コーティング66は、第一の治療剤とは異なる第二の治療剤を含むことができる。使用中に、カバー48の第一の領域50はコーティングされていなくてよく、体腔内に治療剤を投与する前に典型的な血管形成術又は他の医療処置を行うために拡張可能部材44の周りに配置されうる。そのような実施形態において、拡張可能部材44の第二の領域52上のコーティング64はパクリタキセルを含むことができ、一方、第三の領域54上のコーティング66はヘパリンを含むことができる。幾つかの実施形態において、カバー48の1つ以上の領域50、52、54の外面はコーティングを有することができ、カバー48の1つ以上の領域50、52、54は内部人工器官を有することができる。カバー48の1つ以上の領域50、52、54上のコーティングは、前処理(内部人工器官を配置する前の施用)又は後処理(内部人工器官を配置した後の施用)として作用することができる。
【0108】
幾つかの実施形態において、カバー48の1つ以上の領域50、52、54は、同じコーティングを有することができる。幾つかの実施形態において、カバー48の1つ以上の領域50、52、54はコーティングを有しなくてよい。1つ以上の領域が同じコーティングを有する実施形態において、コーティングの用量は領域間で異なることができる。例えば、コーティング64は第一の用量で治療剤を含むことができ、カバー48の第三の領域54のコーティング66は、第一の用量とは異なる第二の用量で同じ治療剤を含むことができる。幾つかの実施形態において、第二の用量は、第一の用量の少なくとも約50%を超えることができる。幾つかの実施形態において、第二の用量は、第一の用量の約90%であることができる。そのような実施形態において、拡張可能部材44は、拡張可能部材44を囲む第一の用量の治療剤を有する第二の領域52とともに、第一の場所で膨張することができる。拡張可能部材44を収縮させ、カバー48をカバー管腔を通して引っ張り、第二の用量の治療剤を有するカバー48の第三の領域54を拡張可能部材44の周りに配置させることができる。拡張可能部材44を同位置で再膨張させて、第二の用量を適用することができる。幾つかの実施形態において、拡張可能部材アセンブリ40は、拡張可能部材の周りのカバー48の第三の領域54とともに拡張可能部材44を膨張させる前に、体内の異なる治療部位に再配置して、異なる治療部位で治療処置を提供することができる。
【0109】
シース70は、拡張可能部材44の近位端71から近位に延在するカテーテル42の長さに沿ってカバー48の一部の周りに配置されうる。シース70は、拡張可能部材アセンブリ40を体腔内に配置する間にカバー48の外面上に配置されたコーティング64、66を保護することができる。シース70は、ポリマー材料又は任意の他の適切な材料を含むことができる。シース70は、例えば接着剤を介して、カテーテル42に直接結合されうる。幾つかの実施形態において、シース70はメディカルデバイス41のハブに結合され、又は、他の方法で適所に固定されうる。
【0110】
カバー48の外面上の1つ以上のコーティングは特定の順序で体腔内に施されることができる。例えば、
図5Aを参照すると、メディカルデバイス41は体腔内に配置されることができ、拡張可能部材44は、拡張可能部材44を包囲しているカバー48の第一の領域50とともに治療部位で膨張されうる。カバー48の第一の領域50のコーティングされていない外面は、体腔内で典型的な血管形成術又は他の医療処置を行うために使用されうる。拡張可能部材44は、後に収縮され、カバー48の第一の領域50はカテーテル42のカバー管腔内に反転され、それを通して引っ張られ、それにより、カバー48の第二の領域52はカテーテル42の遠位端46に向かって移動して、拡張可能部材44の周りに配置されることができる。シース70は、それぞれの領域の展開前に、カバー48の第二の領域52及び第三の領域54上のコーティング64、66を保護することができる。
【0111】
図5Bに示すように、拡張可能部材44は、カバー48の第二領域52が拡張可能部材44の周りに配置された状態で再膨張させることができる。拡張可能部材44の再膨張時に、拡張可能部材44の第二の領域52の外面上のコーティング64は治療部位で体腔に投与されうる。幾つかの実施形態において、拡張可能部材44の第二の領域52上のコーティング64はパクリタキセルを含むことができる。幾つかの実施形態において、コーティング64は高密度化材料を含むことができる。コーティング64の高密度化材料は、コーティング64が配置された表面の摩擦係数を増加させうる。コーティング64と管壁との間の増大した摩擦は管壁からのプラーク又は他の沈着物を剃ることができる。拡張可能部材44を再び収縮させることができ、カバー48の第二の領域52をカテーテル42のカバー管腔を通して引っ張ることができ、それにより、カバー48のコーティング64を含む第三の領域54はカテーテル42の遠位端46に向かって移動し、拡張可能部材44の周りに配置される。
【0112】
図5Cに示されるように、カバー48の第二の領域52がカテーテル42のカバー管腔を通して引っ張られると、カバー48の第三の領域54はカテーテル42の遠位端46に向かって移動し、拡張可能部材44の周りに配置される。カバー48の第三の領域54が拡張可能部材44の周りの所定の位置に移動すると、カテーテル42の一部は拡張可能部材44の近位端71で露出することができる。拡張可能部材44の再膨張時に、拡張可能部材44の第三の領域54の外面60上のコーティング66は、治療部位で体腔に投与されうる。幾つかの実施形態において、第三の領域54上のコーティング66はヘパリンを含むことができる。
【0113】
本開示の幾つかの実施形態において、カバー48は、より多い又はより少ない領域を含むことができる。さらに、カバー48の表面上のコーティング64、66は同じであっても又は異なっていてもよい。コーティング64、66のそれぞれは、互いに接触することなく、カバー48の外面60上に配置することができる。幾つかの実施形態において、コーティングは、カバー48の第一の領域50の表面上に配置されうる。幾つかの実施形態において、シース70は含まれないことがある。幾つかの実施形態において、カバー48の第一、第二、第三の領域50、52、54の1つ以上は、拡張可能部材44が公称直径まで膨張したときに、拡張可能部材44の作動長と等しいか又はそれより長い長さを有することができる。
【0114】
様々な膨張プロファイルを有する実施形態
図6A~6Cは、本開示の実施形態による、拡張可能部材アセンブリ80及びカテーテル88を含むメディカルデバイス81を描写する。拡張可能部材アセンブリ80は、カテーテル88の遠位セクション85で拡張可能部材84の周りに配置されたカバー82を含むことができる。カバー82はまた、拡張可能部材84の近位端87を越えてカテーテル88の長さに沿って延在することができる。本開示の幾つかの実施形態において、カバーは、拡張可能部材84及び/又はカテーテル88を完全に包囲しないことがある。幾つかの実施形態において、カバーは、ライン(又はカバーの端部の材料のストリップ)を含むか又はそれに結合されることができる。材料のライン又はストリップは、カバーをカバー管腔内にそしてそれを通して引っ張ることができるアクチュエータ(図示せず)に取り付けられることができる。幾つかの実施形態において、
図6A~6Cに示すように、カバー82はカテーテル88の遠位端86でカバー管腔内に向けて反転されるが、幾つかの実施形態において、カバー82はカテーテル88の近位端89でカバー管腔内に向けて反転されうる。カテーテル88の遠位端86で、カバー管腔内に向けて反転されるカバー82の端部はアクチュエータ(図示せず)に結合され、カテーテル88の長さに沿ってカバー管腔を通ってカテーテル88の近位端89に向かって動かされる。
【0115】
図6Aに示されるように、カバー82は、拡張可能部材84の作動長(W)よりも複数倍長い長さを有することができる。カバー82はePTFEを含むことができ、例えば、カバーは、押出ePTFEチューブ、螺旋巻きePTFEチューブ又はシガレット巻きePTFEチューブを含むことができる。カバー82は、第一の領域90、第二の領域92及び第三の領域94を含むことができる。幾つかの実施形態において、カバー82の第一、第二及び第三の領域90、92、94のそれぞれは、拡張可能部材84の作動長(W)と実質的に等しいことができる。幾つかの実施形態において、カバー82の第一、第二及び第三の領域90、92及び94の1つ以上は、拡張可能部材84の全長にほぼ等しい長さを有することができる。幾つかの実施形態において、カバー82の第一、第二及び第三の領域90、92、94の1つ以上は拡張可能部材84の全長又は拡張可能部材84の作動長のいずれかよりも長い又は短い長さを有することができる。
図6A~6Cに示される実施形態において、第一、第二及び第三の領域90、92、94はそれぞれ、拡張可能部材84の全長とほぼ等しい長さ、例えば、全長の10%又は20%以内を有する。
【0116】
カバー82の第一、第二及び第三の領域90、92、94の1つ以上は様々な公称直径を有することができる。幾つかの実施形態において、カバー82の第一、第二及び第三の領域90、92、94の半径方向強度はカバー82の各領域の公称直径を決定することができる。カバー82は単一の連続材料を含むことができる。幾つかの実施形態において、カバー82はノード及びフィブリル微細構造を有するポリマーを含む。米国特許第3,962,153号明細書を参照されたい。そのような材料のチューブをマンドレル上に配置し、長手方向に圧縮し、熱処理して、圧縮状態を維持することができる(例えば、米国特許第5,308,664号明細書を参照されたい)。長手方向の圧縮の量は半径方向強度の量を決定する。長手方向の圧縮が多いほど、半径方向強度が高くなる(すなわち、圧縮比が高くなる)。それにより、カバーの第一、第二及び第三の領域90、92、94は、長手方向の圧縮量(圧縮比)が様々である区別される領域を有し、カバーの長さに沿って半径方向強度の区別される領域をもたらすことができる。次に、様々な半径方向強度により、カバー82が配置される拡張可能部材の膨張プロファイル(例えば、公称直径)が決まるであろう。
【0117】
別の実施形態において、半径方向の拡張は、フィルムを螺旋状に巻き付け、次いで、フィルムを長手方向に圧縮又はネッキングして直径を小さくすることによって決定されうる。フィルムがバルーンの周りに配置され、次いで拡張されると、フィルムは半径方向の拡張を制限する。幾つかの実施形態において、膨張プロファイルにおけるフィルムの直径(すなわち、公称直径)はフィルムのネッキングによって決定されうる。
【0118】
幾つかの実施形態において、カバー82の第一、第二及び第三の領域90、92、94の1つ以上は、膨張に対して耐性のある材料を含むことができる。そのような実施形態において、第一、第二及び第三の領域90、92、94の1つ以上は同じ半径方向強度を有することができ、領域の直径によって規定される様々な公称直径を有することができる。第一、第二及び第三の領域90、92、94の1つ以上はデリバリー構成で1つ以上のプリーツ又は折り目を含むことができる。プリーツ又は折り目は、それぞれの領域が公称直径まで拡張するときに広がることができる。
【0119】
本開示による半径方向強度の区別される領域を有するカバーを含む実施形態は、様々な壁厚及び断面プロファイルを組み込むことができる。例えば、カバーは、単一のカバーの長さに沿った異なる領域で、円形、楕円形、三角形、正方形、長方形又は多角形の断面形状を有することができる。カバーは、様々な厚さの壁セクションを組み込むこともできる。単一のカバーの長さに沿って、様々な断面プロファイル及び様々な壁厚を組み合わせることができる。特定の態様による半径方向強度の区別される領域を有するカバーはまた、潤滑コーティング、薬剤溶出コーティング、抗菌コーティング、視覚化補助剤又はカバーの長さに沿った様々な領域でのデバイス機能を強化する他の付加物を組み込むことができる。
【0120】
幾つかの実施形態において、カバー82の半径方向強度は、カバー82の第一、第二及び第三の領域90、92、94の間で変化しうる。カバー82は拡張可能部材84の周りに配置され、膨張時に拡張可能部材84の半径方向の拡張を制限し、それにより、拡張可能部材84の公称直径を決定することができる。第一、第二及び第三の領域90、92、94の様々な半径方向強度は、第一、第二及び第三の領域90、92、94のそれぞれが拡張可能部材84の上に配置されたときに、拡張可能部材84の公称直径を決定することができる。
【0121】
幾つかの態様において、カバー(例えば、カバー82)の様々な領域(例えば、領域90、92、94)の公称直径は、特定の内部人工器官をデリバリーするように選択されうる。そのような実施形態において、1つ以上の内部人工器官は体腔内に展開するためにカバーの様々な領域に沿って配置することができる。1つ以上の内部人工器官は、同じ又は異なる長さを有することができる。幾つかの実施形態において、1つ以上の内部人工器官は、各内部人工器官が配置されるカバーの領域の公称直径に対応しうる同一の又は様々な直径を有することができる。
【0122】
図6Aは、拡張可能部材84の周りに配置されたカバー82の第一の領域90を示す。拡張可能部材84及びカバー82は、公称Diまで膨張され、公称直径Diは、拡張部材84を覆うカバー82の第一の領域90の半径方向強度によって決定されうる。公称直径Diは、例えば、約2mm~約4mm、約2mm~約5mm、又は約2mm~約6mmであることができる。1つの態様において、公称直径Diは約4mmであることができる。拡張可能部材84は収縮され、そしてカテーテル88のカバー管腔内に向けて反転されたカバー82の端部は、カバー管腔を通ってカテーテル88の近位端89に向かって移動されうる。カバー82の第一の領域90がカバー管腔内に反転され、カテーテル88の近位端89に向かって移動されるときに、カバー82の第二の領域92は、カテーテル88に沿って遠位端86に向かって移動され、第二の領域92は、拡張可能部材84の周りに配置されうる。
【0123】
図6Bに示されるように、拡張可能部材84は拡張可能部材84の周りのカバー82の第二領域92とともに再膨張されうる。第二の領域92の半径方向強度はカバー82の第一領域90の半径方向強度よりも低いことができる。第二の領域92のより低い半径方向強度は、拡張可能部材84を、公称直径Diよりも大きい公称直径D2に拘束することができ、場合により1~30%大きく、例えば1~10%大きい。例えば、拡張可能部材84は、約3mm~約4mm、約3mm~約5mm又は約3mm~約6mmの公称直径に拘束されうる。幾つかの態様において、公称直径D2は約5mmであることができる。拡張可能部材84は収縮されることができ、カバー82は、カテーテル88のカバー管腔を通って、カテーテル88の近位端89に向かってさらに引っ張ることができる。カバー82の第三の領域94が拡張可能部材84の周りに配置されるまで、カバー82はカテーテル88のカバー管腔を通して引っ張ることができる。カバー82の第三の領域94は、カバー82の第二の領域92よりも低い半径方向強度を有することができる。
【0124】
図6Cに示されるように、拡張可能部材84は、拡張可能部材84を取り囲むカバー82の第三の領域94とともに再膨張されうる。第三の領域94の半径方向強度は、カバー82の第二の領域92の半径方向強度よりも低いことができる。第三の領域94のより低い半径方向強度は、拡張可能部材84を、公称直径D2よりも大きい公称直径D3に拘束することができ、場合により1~30%大きく、又は1~10%大きい。例えば、拡張可能部材84は、約4mm~約5mm、約4mm~約6mm、又は約4mm~約7mmの公称直径に拘束されうる。幾つかの態様において、公称直径D3は約6mmであることができる。カバー82の3つの領域は
図6A~6Cに示されているが、カバー82は、より多い又はより少ない領域を含むことができる。幾つかの実施形態において、カバー82の複数の領域は異なる膨張プロファイルを有することができ、例えば、限定するわけではないが、異なる公称直径、異なる作動長及び/又は異なる膨張形状を有する。なおもさらに他の実施形態において、カバー82の複数の領域は、カバー82の領域90、92、94のそれぞれの異なる部分に沿って異なる膨張シーケンスを有することができる。
【0125】
様々な拡張可能部材プロファイルは、拡張可能部材を覆うカバーの一部に沿って、様々な半径方向強度又は様々な公称直径の区別される領域を有するカバーを使用することによって導き出すことができる。本開示のいくつかの実施形態において、カバーの一部に沿った半径方向強度の区別される領域は、下にある拡張可能部材の拡張プロファイル又はシーケンス拡張を決定付けることができる。幾つかの実施形態において、カバーは、拡張可能部材を覆うカバーの一部に沿って弱い(又は拡張が容易な)領域及び少なくとも1つのより強い(又は拡張が難しい)領域を有するように構成されうる。
【0126】
幾つかの実施形態において、カバーの領域の下に配置された拡張可能部材は、最初に(第一の圧力で)一端で膨張し、次いで、より高い圧力で拡張可能部材のある長さに沿って徐々に膨張する。カバー又はカバーの領域は、様々な半径方向強度の2、3、4、5、6、7、8、9、10又はそれ以上の区別される領域を有することができる。半径方向強度の様々な区別される領域は、カバーの単一の領域又は複数の領域に沿って、所望の任意の順序で配置されてよい。区別される領域の半径方向強度はまた、任意の所望の圧力で拡張するように個別に調整できる。半径方向強度の区別される領域は非拡張性領域又は非常に低い半径方向強度の領域と組み合わせることができる。制御された拡張プロファイル又は拡張シーケンスを使用して、様々な医療及び産業用途を可能にし又は改善することができる。幾つかの実施形態において、カバー82の領域の膨張プロファイル及び/又は膨張シーケンスは、特定の内部人工器官のデリバリーに使用されうる。幾つかの実施形態において、複数の内部人工器官は、複数の領域を含むカバーを有する単一のアセンブリを使用してデリバリーされうる。幾つかの実施形態において、複数の内部人工器官は、同じ又は異なる拡張プロファイルにより拡張されることができ、各拡張プロファイルは、内部人工器官が配置されるカバーの部分によって決定される。各内部人工器官は、上に配置される特定の内部人工器官に望ましい拡張プロファイルを有するカバーの領域上に配置されうる。
【0127】
様々な表面トポグラフィを有する実施形態
幾つかの実施形態において、メディカルデバイスの拡張可能部材アセンブリは様々なトポグラフィを有することができる。拡張可能部材アセンブリのトポグラフィは、拡張可能部材アセンブリと体又は体内のデバイスとの間の物理的相互作用に影響を及ぼすことができる。拡張可能部材アセンブリのトポグラフィ又は三次元表面特性を制御する能力により、拡張可能部材アセンブリは新しいモード又は改善されたモードで体と相互作用することができる。体内で使用される拡張可能部材アセンブリは、一般に、拡張可能部材アセンブリの拡張可能部材の外面との接触を通じて、又は、幾つかの実施形態では、拡張可能部材アセンブリのカバーの外面との接触を通じて、体と相互作用することができる。
【0128】
幾つかの実施形態において、拡張可能部材アセンブリは、拡張可能部材の周りに配置されたカバーの領域によって画定される様々なトポグラフィ及び事前構成された表面組織を有することができる。幾つかの実施形態において、カバーの組織はカバーの長さに沿って変化しうる。例えば、組織加工されたネットワークは、ビーズ、フィラメント、繊維、リング、ニット、製織構造及び/又は編組を含むことができ、これらを、カバーの上又は中に包むか又はさもなければ配置することができる。組織加工されたネットワークは、治療効果を提供できる隆起した表面パターンを作成する。幾つかの実施形態において、内部人工器官を展開する前に、治療効果を管腔の壁に提供することができる。幾つかの実施形態において、内部人工器官を展開した後に、治療効果を管腔の壁に提供することができる。幾つかの実施形態において、内部人工器官を展開する前及び展開した後の両方で、治療効果を提供することができる。内部人工器官を同アセンブリとともに展開し、管腔からアセンブリを除去することなく治療効果を提供することができる。
【0129】
幾つかの実施形態において、カバーの領域は少なくとも1つの開口部と、拡張可能部材よりも半径方向の変形に対してより耐性のある部分とを含む。というのは、カバーは拡張可能部材よりも低い順応性の材料であるか、又は、拡張可能部材の膨張上限よりも小さい膨張上限を有するからである。したがって、拡張可能部材は、所与の体積/圧力で、開口部の周りのカバーを超えて膨張するように構成されている。幾つかの実施形態において、カバーは、カバーの長さに沿った様々な点で様々なトポグラフィ表面を有することができる。幾つかの実施形態において、開口部内にあるのは、好ましくは固体又は粘性形態の治療剤であることができる。膨張すると、下にある拡張可能部材はカバーの開口部を通って突出し、カバーの外部に治療剤を運ぶ。このようにして、血管の内膜などの周囲組織に治療剤をデリバリーすることができる。
【0130】
図7A~7Dは、本開示の実施形態による、カテーテル106上に配置された拡張可能部材アセンブリ101を含むメディカルデバイス100の側面図を描写する。
図7A~7Dは、様々なトポグラフィを有する様々な膨張状態にある拡張可能部材アセンブリ101を示す。拡張可能部材アセンブリ101は、拡張可能部材102及びカバー104を含む。拡張可能部材102及びカバー104はカテーテル106に取り付けることができる。カテーテル106は拡張可能部材102と流体連通し、それにより、流体は、カテーテル106を通して拡張可能部材102中に導入されうる。カテーテル106は、シリンジ、インデフレータ、ポンプ又はカテーテル106を通して拡張可能部材102に流体を導くための他の任意の装置などの任意の適切なメディカルデバイスに結合することができる。
【0131】
カバー104は拡張可能部材102の外面上に配置され、拡張可能部材102の近位端110からカテーテル106の長さに沿ってカテーテル106の近位端112に向かって近位方向に延在している。カバー104は、拡張可能部材102の全長よりも2、3、4倍又はそれ以上長い長さを有することができる。幾つかの実施形態において、カバー104は、公称直径で拡張可能部材102の作動長よりも2、3、4倍又はそれ以上長い長さを有することができる。カバー104は、第一の領域114、第二の領域116及び第三の領域118を含むことができ、近位端109で終了する。カバー104の第一の領域114、第二の領域116及び第三の領域118のそれぞれは、拡張可能部材102に沿って、そして拡張可能部材102の近位端110を超えてカテーテル106の長さに沿って延在している。
【0132】
カバー104の第一、第二及び第三の領域114、116、118は、
図7A~7Dに示されるように、異なる特性を有することができる。シース119は、カバー104の第二の領域116及び第三の領域118の少なくとも一部を取り囲むことができる。幾つかの実施形態において、シース119は、カバー104の表面上のコーティングを保護することができる。幾つかの実施形態において、シース119は、所望の直径でカバーの一部を保持することができ、例えば、カバー104の第二及び第三の領域116、118を、カバー104の第二及び第三の領域116、118のデリバリー直径よりも小さい所望の直径で保持することができる。
【0133】
図7Aに示されるように、カバー104の第一の領域114は少なくとも1つの開口部120を含むことができる。カバー104の第一の領域114は膨張中に拡張可能部材102の領域を拘束することができる。カバー104の第一の領域114の拘束作用により、拡張可能部材102はカバー104の第一の領域114の開口部120で膨張する。
図7Aに示されるように、カバー104の第一の領域114の開口部120を通って膨張している拡張可能部材102の部分は、「D1」として示される直径を有する。拡張可能部材102の上に配置されたカバー104の第一の領域114は、
図7Aに示すように、「D2」の直径を有する。開口部120は、カバー104の第一の領域114に開口部又は弱化部位を含むことができる。これに関して、開口部は、カバー104の第一の領域114の材料の穴、切れ目又は他の任意の不連続部分であることができる。例えば、穴は、カバー104の第一の領域114を穿孔することによって形成されうる。あるいは、開口部120は第一の領域114の領域を含むことができ、ここで、材料の領域は除去又は弱められ、それにより、拡張可能部材102の膨張に応答して弱化領域は少なくとも部分的に変形又は分離し、第一の膨張状態を超えて膨張できる。開口部120は、切断、スタンピング、レーザ切断、穿孔及び/又はパンチング/穿刺などを含む、任意の適切な手段によって形成することができる。様々な実施形態において、カバー104の第一の領域114はネット状構造を含むことができる。
【0134】
幾つかの実施形態において、治療剤は、拡張可能部材102又はカバー104の一部の内面又は外面上、又は拡張可能部材102の内部に配置されうる。例えば、治療剤を含むコーティングは拡張可能部材102の外面108上にコーティングされうる。拡張可能部材102が開口部120を通って突出するときに、治療剤は、体腔の局所的な部分で解放されうる。治療剤は液体又は固体の形態を含むことができる。液体形態は、所望の治療に適した所望の粘度であることができる。幾つかの実施形態において、拡張可能部材アセンブリ101はまた、カバー104の第一の領域114、第二の領域116及び第三の領域118のうちの1つ以上の上に配置され、その内部に配置され、一時的に充填し、又はさもなければ一体化される治療剤を含むコーティングを有することができる。
【0135】
拡張可能部材102は、任意の適切な順応性拡張可能部材を含むことができる。上記のように、順応性拡張可能部材はポリマー材料を含むことができる。順応性拡張可能部材の例示的な材料としては、ポリウレタン及びシリコーンなどのエラストマー、天然ゴム又はラテックス製品、ニトリルブタジエンなどの合成ゴム、又は、他の合成又は天然由来ポリマー材料が挙げられる。様々な実施形態において、拡張可能部材102は完全に順応性でなくてもよいが、カバー104の第一の領域114よりも順応性であり、所定の圧力で拘束性の第一の領域114の直径よりも大きい直径まで膨張するために十分に可撓性があり、これにより、拡張可能部材102の突出部122を生成する。したがって、半順応性又は非順応性の拡張可能部材を使用することができる。場合により、カバー104の第一の領域114は、サイズが変化する開口部を含むことができる。開口部のサイズを大きくすると、より広い(又は「より粗い」)突出が可能になる。様々な開口部サイズをテーパ型カバープロファイルと組み合わせることにより、拡張可能部材102の異なる突起高さのために、アセンブリの「スクレイピング」効果を近位から遠位に、又はその逆に強めることができる。
【0136】
本開示の幾つかの実施形態において、カバー104の第一の領域114は、壁の他のより膨張性のある領域よりも順応性が低下した又は低い領域を有する壁を含むことができる。他の領域は、本質的に「開口部」であり、前記開口部により、下にある拡張可能部材102はカバー104の第一の領域114の順応性が低下した又はより低い領域に対して外側に拡張することができる。より膨張可能な領域は膨張上限を備えることができる。順応性が低下した領域は、レーザ高密度化によって、又は、吸収された領域の順応性を低下させるポリマーを吸収させることによって形成できる。1つの実施形態において、順応性が低下した領域は、より膨張可能な領域と実質的に同じ厚さを有する。同様に、本明細書で記載される他の実施形態では、カバー104の第一の領域114はテープ巻き付け又は押出によって形成でき、ePTFE又は任意の他の材料を含むことができ、順応性は区別される部位で様々であることができる。
【0137】
本開示の様々な実施形態において、カバー104の第一の領域114は、接触点に沿って拡張可能部材102を拘束するように作用する任意のサイズ限定された形態を含むことができる。あるいは、カバー104の第一の領域114は、拡張可能部材102が接触点に沿って拘束されるように、拡張可能部材102よりも順応性が低い形態を含むことができる。したがって、カバー104の第一の領域114は、拡張可能部材102の膨張中に第一の膨張状態を超えて評価可能に変形することができない任意の材料で構築されうる。
【0138】
記載された構成要素を用いて、カバーの少なくとも一部の順応性を適合させ、及び/又は、カバーの少なくとも一部に沿って開口パターンを適合させて、拡張可能部材アセンブリのトポグラフィを制御することができる。例えば、開口パターンは、「微細組織」パターンを得るために多くの小さな開口部を含むことができ、又は、より「粗い組織」パターンを得るためにより少数のより大きな開口部を含むことができる。理解できるように、あらゆる可能な開口パターン又は開口パターンの組み合わせは本明細書で考えられる。例えば、カバーの第一の領域は、開口パターンのような正方形グリッド様開口部を含むことができ、そしてカバーの第二の領域は、ダイヤモンド形状のパターンを含むことができる。
【0139】
本開示の他の実施形態において、カバーを通って拡張する拡張可能部材は、例えば、拡張可能部材の長手方向軸に平行に延びる隆起及び谷を画定することができる。1つの実施形態において、これらは、拡張可能部材が拡張される治療中に、拡張可能部材と血管壁との間の血液灌流を提供する。幾つかの実施形態において、カバー104の第一の領域114は、開口部120を含まなくてもよい。幾つかの実施形態において、カバー104の第一の領域114は治療剤コーティングのみを含むことができ、前記コーティングは、例えば、限定するわけではないが、薬剤コーティングである。
【0140】
図7Aは、膨張プロファイルでの拡張可能部材102を取り囲むカバー104の第一の領域114を示す。
図7Bに示されるように、拡張可能部材102は収縮されることができ、カバー104の第一の領域114は、カテーテル106のカバー管腔内に反転されることができ、アクチュエータ(図示せず)によってカテーテル106の近位端112に向かって引っ張ることができる。カバー104の第一の領域114をカテーテル106のカバー管腔を通して引張ると、カバー104の第二の領域116はカテーテル106の周りのその位置から移動し、拡張可能部材102の周りに配置されるようになる。カバー104の第二の領域116は、カバー104の第一の領域114とは異なる表面トポグラフィを有することができる。
【0141】
幾つかの実施形態において、
図7Bに示されるように、カバー104の第二の領域116は複数の刻み目部分124を含むことができる。膨張時に、
図7Bに示されるように、刻み目部分124はカバー104の表面126から部分的に分離し、外向きに延びる突出部を形成する。刻み目124の破裂によって形成されるカバー104の破裂部分は、拡張可能部材102を少なくとも部分的に露出させることができる開口部128を形成する。様々な実施形態において、1つ以上の刻み目124は、所望の効果を達成するために破裂する必要がないカバーの第二の領域116の材料における貫通カットとして形成することができる。
【0142】
刻み目形成及びその後の刻み目の破裂により、鋭利な物体を実質的に尖っていない状態で体内に挿入し、次いで、特定の時間に鋭利な物体の展開を提供することができる。さらに、刻み目形成及びその後の破裂は治療剤のデリバリーを援助することができる。例えば、治療剤は、拡張可能部材102とカバー104の第二の領域116との間に配置されうる。カバー104は、体内に配置されると、治療剤が実質的に拡張可能部材102とカバー104との間の空間に保持されるように、拡張可能部材102上で治療剤をシールすることができる。カバー104の刻み目部分124が破裂すると、治療剤を体の局所部分に放出することができる。幾つかの実施形態において、カバーの第二の領域116は、管腔の壁からプラーク及び/又は他の沈着物を除去することができる。幾つかの実施形態において、治療用コーティングは第一の領域114によって管腔の壁に適用されることができ、次いで、管腔からメディカルデバイス100を除去せずに、カバー104の第二の領域116の刻み目部分124を用いて壁からプラーク及び/又は他の沈着物を除去する。
【0143】
拡張可能部材102を収縮させることができ、カバー104の第二の領域116をカテーテル106のカバー管腔を通して引っ張ることができる。第二の領域116がカテーテル106内に反転し、カテーテルの近位端112に向かって移動すると、カバー104の第三の領域118は、シース119の下から移動して、拡張可能部材102を取り囲むことができる(
図7Cに示す)。
図7Aに示すように、
図7Cと比較して、カバー104が移動すると、カバー104の近位端109は、拡張可能部材102のより近くに配置される。幾つかの実施形態において、
図7Cに示されるように、カバー104の第三の領域118は、カバー104の第三の領域118の長さに沿って様々な半径方向強度を備え、拡張可能部材102上に配置されたときに第三の領域118の膨張シーケンスを規定することができる。第三の領域118の第一の端部130及び第二の端部132は、第三の領域118の中間部分134よりも高い半径方向強度、又は異なる公称直径を備えることができる。
【0144】
下にある拡張可能部材102が膨張すると、より低い半径方向強度を有する第三の領域118の中間部分134は拡張し、したがって、第三の領域118の第一及び第二の端部130、132がより小さい直径で拘束され、それにより、拡張部材102がより小さい直径で拘束しながら拡張可能部材102を拡張させることができる。拡張可能部材102がより大きな圧力まで膨張されると、カバー104の第三の領域118の第一及び第二の端部130、132が拡張し、拡張可能部材102も
図7Dに示すように膨張されるまで拡張することができる。
【0145】
図7C~7Dに示されるように、カバー104の第三の領域118の下にある拡張可能部材102は、最初に第三の領域118の中間部分134で公称直径まで拡張することができ、圧力が増加すると、拡張可能部材102は第三の領域118の第一及び第二の端部130、132で公称直径に拡張することができる。
図7C及び7Dに示される拡張シーケンスを使用して、様々な医療及び産業用途を可能にし又は改善することができる。例えば、拡張中に長手方向に容易に圧縮されるステントは、本開示の実施形態により記載される拡張可能部材及びカバーによって拡張されうる。ステントは中心から外側に拡張することができるため、拡張時にステントを長手方向に張力をかけた状態に維持できる。そのようなステントの例は、米国特許出願公開US2009/0182413号明細書に記載されている。長手方向の張力は、ステントが長手方向に圧縮されるのを防止する。カバーは、ステントのタイプ、ステントのサイズ、又は、デリバリーされるステントに望まれる膨張シーケンスを規定しうる他のステント特性に従って、シーケンスで膨張させる下方にある膨張可能部材の拡張シーケンスを制御するように構成することができる。幾つかの実施形態において、カバーの複数の領域は特定のステントをデリバリーするように構成されうる。幾つかの実施形態において、カバーは、カバーの様々な領域を介して同じタイプのステントである複数のステントをデリバリーするように構成されうる。幾つかの実施形態において、カバーの様々な領域は、複数の異なるステントをデリバリーするように構成されうる。
【0146】
他の実施形態において、第三の領域118の部分の半径方向強度は、
図7C及び7Dに示される実施形態とは異なることができ、下にある(又は上にある)拡張可能要素の異なる拡張プロファイル又はシーケンスを決定することができる。例えば、幾つかの実施形態において、カバー104の第三の領域118の反対の構成により、拡張可能部材102が端部130、132から中間部分134に向かって拡張し、それによって上に配置されたデバイスを圧縮することができる。心臓弁ステントは、特定の「砂時計」形状で拡張されるステントを必要とすることがあり、ここで、砂時計形状は特定の順序で発現される。他の用途では、拡張は、拡張可能部材102の一端で始まり、反対側の端に進み、それにより、「押し」又は蠕動運動を作り出すことができる。幾つかの実施形態において、コーティングは、第一の領域114、第二の領域116及び第三の領域118のうちの1つ以上に配置されうる。コーティングは治療剤を含むことができ、治療剤の例は、上記の「治療剤」の見出しの下に提供される。
【0147】
本開示のいくつかの実施形態において、カバーの1つ以上の領域はまた、上にカバーが配置される拡張可能部材の一般的なプロファイルに影響を及ぼし得る。例えば、拡張可能部材アセンブリの周りに配置されたカバーの第一の領域が第一の膨張状態にあるときに、例えばテーパを形成するために、拡張可能部材に沿った異なる場所でより大きい又はより小さい直径を有することができる。したがって、拡張可能部材は円筒形状で膨張することができるが、カバーの領域の1つは非円筒形状を有することができ、この非円筒形状は、非円筒形状を有するカバーの領域とともに拡張可能部材が膨張したときの拡張可能部材アセンブリの一般的なプロファイルであることができる。そのような全体的にテーパ型プロファイルは、例えば、長さにわたって変化する心血管の血管直径によりよく適合するように使用することができる。さらに、拡張可能部材アセンブリの病変又は血栓「スクレ―ピング」効果は、プロファイル寸法が変化するために、近位から遠位に、又はその逆に強化することができる。
【0148】
図8A~8Bは、本開示の実施形態による、拡張可能部材アセンブリ201を含むメディカルデバイス200を描写する。拡張可能部材アセンブリ201は、拡張可能部材202を覆うカバー204を含む。メディカルデバイス200は、拡張可能部材202及びカバー204が取り付けられるカテーテル206を含むことができる。カテーテル206は拡張可能部材202と流体連通することができ、それにより、流体をカテーテル206を通して拡張可能部材202中に導入することができる。カバー204は、拡張可能部材202の外面上に配置され、カテーテル206の長さに沿って、カテーテル206の近位端210に向かって、拡張可能部材202の近位端208を超えて延在している。カバー204は、公称直径で、拡張可能部材202の作動長よりも2、3、4倍又はそれ以上長い長さを有することができる。シース212は、カテーテル206に沿って延在しているカバー204の少なくとも一部の周りに配置されうる。
【0149】
カバー204は第一の領域214及び第二の領域216を含むことができる。幾つかの実施形態において、カバー204は、より多い又はより少ない領域を含むことができる。第一の領域214及び第二の領域216は様々な特性を有することができ、前記特性としては、様々な公称直径、様々な表面トポグラフィ及び/又は様々なコーティングが挙げられる。
図8A~8Bに示される本開示の実施形態において、カバー204の第一の領域214は開口部218を含むことができる。カバー204の第一の領域214は、膨張中に拡張可能部材202の領域を拘束することができる。カバー104の第一の領域214の拘束作用により、拡張可能部材202は、カバー204の第一の領域214において開口部218を通って膨張する。
【0150】
病変の治療中、拡張可能部材アセンブリ201は治療部位で膨張されうる。拡張可能部材アセンブリ201は、カバー204の第一の領域214が拡張可能部材202の周りに配置された状態で膨張されうる。第一の領域214及び拡張可能部材202によって規定される拡張可能部材アセンブリ201の組織化表面で治療部位を治療した後に、拡張可能部材202は収縮されうる。カバー204は、カテーテル206内でカバー管腔を通って引っ張られ、カバー管腔を通ってカテーテル206の近位端210に向かって移動することができる。カバー204の第一の領域214が拡張可能部材202からカバー管腔を通して引き出されると、カバー204の第二の領域216は、シース212の下から引っ張られ、拡張可能部材204の周りの所定の位置に移動する。カバー204の第二の領域216はコーティング220を含むことができる。コーティング220は治療剤を含むことができる。コーティング220は、治療部位での拡張可能部材アセンブリ201の初期配置の間に、及び第一の領域214が拡張可能部材202の周りに配置された状態での拡張可能部材アセンブリ201の展開の間に、シース212によって保護され得る。
【0151】
図8Bに示されるように、カバー204の第二の領域216が拡張可能部材202の周りに配置された状態で、拡張可能部材202は再膨張されうる。
図8Bに示す膨脹状態で、カバー204の第二の領域216上のコーティング220は、カバー204の第二の領域216が拡張可能部材202の周りに配置された状態で拡張可能部材202が膨張すると、治療部位に接触して伝達されうる。
【0152】
本開示の幾つかの実施形態において、第一の領域214及び第二の領域216は、
図8A及び8Bに示されるものとは異なる特性を有することができる。例えば、第一の領域214及び第二の領域216の一方又は両方は、図に示されるものとは異なる表面トポグラフィ、特定の膨張シーケンス(例えば、拡張可能部材の中間領域から外側に端部まで膨張する)、特定の膨張形状(例えば、拡張可能部材の作動長に沿った一貫した直径)、又は拡張可能部材アセンブリの膨張プロファイルに関連する他の特性を提供することができる。幾つかの実施形態において、カバー104の第一の領域214及び第二の領域216の一方又は両方はまた、治療剤を含むコーティング、親水性コーティング、疎水性コーティング、又は、拡張可能部材アセンブリのための他の適切なコーティングを含むことができる。治療剤、テクスチャ(質感)、膨張プロファイル及び内部人工器官の様々な組み合わせを、カバー104の領域214、216に使用することができる。
【0153】
図10A及び10Bは、本開示の実施形態によるメディカルデバイスの拡張可能部材アセンブリ300の一部の断面正面図を示す。拡張可能部材アセンブリ300は拡張可能部材302及びカバー304を含む。
図10Aは、非膨張状態の拡張可能部材302を示し、
図10Bは部分的に膨張している状態の拡張可能部材302を示す。カバー304は、2つ以上の領域を含むことができる。カバー304の2つ以上の領域のそれぞれは、異なる特性を有することができる。例えば、
図10A及び
図10Bにおける拡張可能部材302を覆うカバー304の第一の領域305は、カバー304の直径を制御し、それにより、拡張可能部材302が膨張したときに、下にある拡張可能部材302の直径を制御するように構成された半径方向強度又は他の特性を備えることができる。
図10Aに示すように、収縮した又は部分的に膨張した構成の拡張可能部材302はプリーツ又はウィング306を含むことができる。2つのウィング306が
図10Aに示されているが、幾つかの実施形態において、より多い又はより少ないウィングを使用することができ、例えば、限定するわけではないが、5又は6である。幾つかの実施形態において、プリーツ又はウィング306は、拡張可能部材302の長手方向軸に沿って配向されていることができ、他の実施形態において、プリーツ又はウィング306は、長手方向軸に垂直な軸に沿って配向されていることができる。拡張可能部材302が膨張すると、ウィング306は展開することができる。展開しているウィング306のねじれ応力は、それが展開される管壁に力又は応力を与えることができる。拡張可能部材302を覆うカバー304の第一の領域305は、拡張可能部材302の拡張を制御することができ、ウィング306が展開するときにウィング306が管壁に潜在的に損傷応力を与えるのを防ぐことができる。幾つかの実施形態において、カバー304の別の領域(図示せず)は異なる特性、例えば、限定するわけではないが、コーティング、異なる半径方向強度又は異なる表面トポグラフィを備えることができる。カバー304の別の領域(図示せず)は、第一の領域305の前又は後に拡張可能部材302の周りに配置されることができ、第一の領域205とは異なる特徴を備えることができる。例えば、カバー304の他の領域は、コーティング、表面トポグラフィ、他の領域の長さに沿って様々な半径方向強度、他の領域の表面での異なる摩擦係数、又は他の特性を含むことができる。カバー304は、カテーテル310のカバー管腔308内に反転され、カテーテル310の長手方向軸に沿って移動されて、カバー304の他の領域を拡張可能部材302の上に配置することができる。幾つかの実施形態において、カバー304は、カバー304の他の領域と同じ又は異なる特性を有する追加の領域を含むことができる。
【0154】
図11は、本開示の実施形態による、拡張可能部材アセンブリ350及びカテーテル353を含むメディカルデバイスの側面図を描写する。拡張可能部材アセンブリ350は、拡張可能部材354の少なくとも一部の周りに配置されたカバー352を含む。カバー352はまた、拡張可能部材344の近位端355を超えて、カテーテル353の長さに沿って、カテーテル353の近位端355に向かって延在している。カバー352は、拡張可能部材354を包囲するものとして
図11に示される第一の領域357を含むことができる。カバー352はまた、カテーテル353の長さに沿って延在している第二の領域358を含む。第一の領域357及び第二の領域358のそれぞれは、拡張可能部材354の全長にほぼ等しい長さを有することができ、幾つかの実施形態において、第一の領域357及び第二の領域356のうちの1つ以上は異なる長さを有することができる。シース360は、カバー352の第二の領域358の少なくとも一部の周りに配置される。シース360は、ポリマー材料又は他の適切な材料を含むことができる。幾つかの実施形態において、カバー352の第一の領域357及び第二の領域358は異なる特性、例えば、限定するわけではないが、異なる半径方向強度、異なる表面組織、異なる表面トポグラフィ及び/又は異なるコーティングを有することができる。
【0155】
本開示の1つの実施形態において、カバー352の第一の領域357は、可変透過性の微細構造を含むことができる。少なくとも1つの治療剤を含む少なくとも1つの親水性コーティングを拡張可能部材354上に配置することができる。使用中、第一領域357が拡張可能部材354の周りに配置されると、下にある親水性コーティングは水和又は部分的に水和し、カバー352の第一の領域357を横切る流体移動を容易にする。しかしながら、非拡張状態での第一領域357の閉じた微細構造は、非拡張状態での治療剤の望ましくない早期放出を防止する。拡張時に、拡張可能部材の上に配置された第一の領域357を含む材料の微細構造の配向又は構成は、実質的に閉じた微細構造から実質的に開いた微細構造に変わり、水和又は部分的に水和したコーティングを外側に移行させることができる。材料の微細構造のこの特徴は、可変透過性の微細構造を有する材料の1つの実施形態である。水和した又は部分的に水和した親水性コーティングがカバー352の第一の領域357を通過すると、治療剤は治療部位にデリバリーされる。1つの実施形態において、水和した又は部分的に水和したコーティングは治療剤を含み、第一の領域357が拡張されると、治療剤はカバー352の第一の領域357を通って移行する。別の実施形態において、カバー352の第一の領域357は、外側のシースにひずみがないときに、比較的に閉じた微細構造を有する。別の実施形態において、第一の領域357は、第一の領域357が歪んだ(すなわち、直径方向に歪んだ)ときに、より開いた微細構造を有する。第一の領域357上のひずみは、拡張中に、下にある拡張可能部材によって課されることができる。
【0156】
可変透過性の微細構造を示しうる材料は当該技術分野で知られている。これらとしては、限定するわけではないが、延伸フルオロポリマー(例えば、ePTFE)又は発泡ポリエチレン(米国特許第6,743,388号明細書に記載されている)などのフィブリル化構造、繊維構造(織布又は編組布、繊維、マイクロファイバー又はナノファイバーの不織布マット)、エレクトロ紡糸又はフラッシュ紡糸などの方法で作られた材料、フルオロポリマー、ポリアミド、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリグリコール酸(PGA)、ポリ乳酸(PLA)及びトリメチレンカーボネート(TMC)などの溶融又は溶液加工可能な材料から構成されるポリマー材料、処理中に開口部が作成されたフィルム(レーザ又は機械で開けられた穴など)、連続気泡フォーム、フルオロポリマー、ポリアミド、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリエステル、PGA、PLA、TMCなどの材料で作られた微孔質膜など、多孔質ポリグリコリド-コ-トリメチレンカーボネート(PGA:TMC)材料(米国特許第8,048,503号明細書に記載されている)、又は上記の材料の組み合わせを挙げることができる。上記材料の処理を使用して、第一の閉じた状態と第二の拡張状態との間で透過性を調節、強化又は制御することができる。このような処理は、第一の状態で微細構造を閉じることを支援し(したがってより低い透過性)、第二の状態で微細構造を開くことを支援し、又は、両方の組み合わせを支援することができる。微細構造を閉じるのを支援することができるそのような処理としては、限定するわけではないが、カレンダ加工、コーティング(不連続的又は連続的)、圧縮、緻密化、合体、熱サイクル又は収縮などが挙げられる。微細構造を開くのを支援することができるそのような処理としては、限定するわけではないが、拡張、穿孔、スリット形成、パターン化緻密化及び/又はコーティングなどを挙げることができる。別の実施形態において、材料は、ePTFEなどのフィブリルによって相互接続されたノード間の微細孔を含む。別の実施形態において、材料は、米国特許第5,476,589号明細書に記載されているような本質的にノードのないePTFEにおける微細孔を含む。
【0157】
カバー352の第一の領域357の拡張によって治療剤が第一の領域357を通して溶出されると、拡張可能部材は収縮され、カバー352はカテーテル353のカバー管腔を通して引っ張られて、第二の領域358を拡張可能部材354の周りに配置するように移動できる。第二の領域358は、第一の領域357とは異なる透過性の微細構造を有することができる。幾つかの実施形態において、第二の領域356は、第一の領域357と異なる公称直径、第一の領域357と比較して、異なる表面トポグラフィ、異なる膨張プロファイル、異なる膨張シーケンス及び/又は第二の領域356の表面上の追加のコーティングを有することができる。
【0158】
図12は、本開示の実施形態による、拡張可能部材アセンブリ402及びカテーテル404を含むメディカルデバイス400を描写する。拡張可能部材アセンブリ402は、カテーテル404の遠位セクション410で拡張可能部材408の周りに配置されたカバー406を含むことができる。カバー406は、拡張可能部材408の近位端412を超えてカテーテル404の長さに沿って延在することができる。幾つかの実施形態において、カバー406は、遠位端414に示されるように、拡張可能部材408を完全に包囲しないことがある。カバー406は、カテーテル404を完全に包囲しないことがある。拡張可能部材402は、
図12に描写された実施形態において、1つ以上のライン416を含むことができる。ライン416は、カテーテル404の管腔内に反転されてよく、カバー406をカテーテル404のカバー管腔内に及びそれを通して引っ張ることができるアクチュエータ(図示せず)に取り付けられてよい。幾つかの実施形態において、1つ以上のライン416は、カバー406と一体である。幾つかの実施形態において、1つ以上のライン416は、カバー406に結合されている。
【0159】
図13は、本開示の実施形態による、拡張可能部材アセンブリ501を含むメディカルデバイス500を描写する。拡張可能部材アセンブリ501は、拡張可能部材504を覆うカバー502を含む。メディカルデバイス200は、拡張可能部材504及びカバー502が取り付けられるカテーテル506を含むことができる。カテーテル506は、拡張可能部材504と流体連通することができ、それにより、流体はカテーテル506を通して拡張可能部材504に導入されうる。カバー502は、拡張可能部材504の外面上に配置され、拡張可能部材504の近位端508を超えて、カテーテル506の長さに沿って、カテーテル506の近位端510に向けて延在している。カバー502は、公称直径で、拡張可能部材502の作動長よりも2、3、4倍又はそれ以上長い長さを有することができる。
図13には示されていないが、幾つかの実施形態において、シースは、カテーテル506に沿って延在しているカバー502の少なくとも一部の周りに配置されうる。
【0160】
カバー502は、複数の領域、例えば、限定するわけではないが、第一の領域512、第二の領域514、第三の領域516及び第四の領域518を含むことができる。幾つかの実施形態において、カバー502はより多い又はより少ない領域を含むことができる。様々な領域512、514、516及び518は同じ又は異なる特性を有することができ、前記特性としては、公称直径、表面トポグラフィ、内部人工器官及び/又は治療用コーティングが挙げられる。
図13に示す本開示の実施形態において、カバー502の第一の領域512は、カバー502の異なる領域を介して内部人工器官(例えば、ステント)をデリバリーする前に、管壁に対する前処置として作用する特徴を含むことができる。幾つかの実施形態において、前処理として作用する特性としては、治療用コーティング(例えば、パクリタキセル)、表面トポグラフィ(例えば、管壁からプラーク及び/又は他の沈着物を除去するための表面トポグラフィ)、又は他の適切な前処理特性が挙げられる。特定の実施形態において、前処理は、拡張可能部材504の振動の印加であることができ、そのような実施形態において、第一領域512は、カバー502のストリップ又はラインであることができ、拡張可能部材504を完全に包囲しなくてよい。幾つかの実施形態において、第一の領域512の表面トポグラフィは開口部を含むことができ、それを通して、拡張可能部材504は拡張して管壁に接触することができる。
【0161】
カバー502の第一の領域512が拡張可能部材504の周りに配置された状態で拡張可能部材504を拡張して第一の領域512の前処理を提供した後に、拡張可能部材504を収縮させ、カバー502をカテーテル506中でカバー管腔を通して引き、カテーテル506の近位端510に向けてカバー管腔を通して移動させることができる。カバー502の第一の領域514が拡張可能部材504を外れて、カバー管腔を通って引っ張られると、カバー502の第二の領域514は、拡張可能部材504の周りの所定の位置に移動される。
【0162】
拡張可能部材504は、拡張可能な部材504の周りに配置された第二の領域514とともに再膨張されうる。カバー502の第二の領域514は内部人工器官を含むことができ、例えば、限定するわけではないが、ステント520を含むことができる。ステント520はカバー502の第二の領域514の周りに配置されることができ、そして第二の領域514が拡張可能部材504の周りに配置されるときに、拡張可能部材504の周りに配置されうる。ステント520は自己拡張型ステント、拡張可能部材の拡張により拡張される拡張性ステント、又は、任意の他の適切なタイプのステントであることができるが、幾つかの実施形態において、他のタイプの内部人工器官を使用することができる。カバー502の第二の領域514が拡張可能部材504の周りに配置された状態で、ステント520は管壁内に展開されうる。幾つかの実施形態において、カバー502の第二の領域514は、特定の膨張シーケンス(例えば、拡張可能部材の中間領域から外側に端部に向けて膨張する)、特定の膨張形状(例えば、拡張可能部材の作動長に沿って一貫した直径)、又は、展開されている内部人工器官のタイプに対応しうる(例えば、中央から外側に、又は、端から内側に膨張しうる)拡張可能部材アセンブリの膨張プロファイルに関連する他の特性を有することができる。ステント520の展開時に、拡張可能部材504を収縮させることができ、第二領域514をカテーテル506のカバー管腔を通して引っ張って、カバー502の第三領域516を拡張可能部材504の周りに配置することができる。
【0163】
拡張可能部材504は、第三の領域516が拡張可能部材504の周りに配置された状態で再度膨張されうる。カバー502の第三の領域516は、内部人工器官(例えば、ステント520)のデリバリー後に管壁に対する後処理として作用する特性を含むことができる。後処理として作用する特性としては、治療用コーティング、例えば、限定するわけではないが、ステントの再狭窄を最小限に抑え、抗炎症効果をもたらす治療用コーティング、スタチン、アテローム性動脈硬化の逆転、又は、他の適切な後処理特性が挙げられる。第三の領域516が拡張可能部材504の周りに配置された状態での拡張可能部材504の再膨張時に、第三の領域516は、管壁に接触し、後処理を提供することができる。幾つかの実施形態において、カバー502は、後処理を提供するための領域を含まなくてもよい。なおもさらに他の実施形態において、カバー502は、内部人工器官のデリバリー後に1つ以上の後処理を提供するための複数の領域を含むことができる。後処理を提供するための第三の領域516が拡張可能部材504の周りに配置された状態での拡張可能部材504の膨張及び拡張後に、拡張可能部材504を収縮させ、カバー502をカテーテル506のカバー管腔を通して引っ張って、拡張可能部材504の周りにカバー502の第三の領域516を配置することができる。
【0164】
拡張可能部材504は、第四の領域518で拡張可能部材504の周りに配置された状態で再度膨張されうる。カバー502の第四の領域518は、別の内部人工器官を含むことができ、例えば、限定するわけではないが、追加のステント522を含むことができる。追加のステント522は、ステント520と同じタイプのステントであることができ、又は、異なるタイプのステント520であることができる。幾つかの実施形態において、ステント522は、ステント502と同じタイプであることができるが、異なる直径及び/又は異なる長さを有することができる。追加のステント522を含むカバー502の第四の領域518が拡張可能部材504の周りに配置された状態で、拡張可能部材504を膨張させ、ステント522を管壁内に展開することができる。幾つかの実施形態において、カバー502の第四の領域518は、特定の膨張シーケンス(例えば、拡張可能部材の中間領域から外側に端部まで膨張する)、特定の膨張形状(例えば、拡張可能部材の作動長に沿って一貫した直径)、又は、展開されている内部人工器官のタイプに対応しうる(例えば、中央から外側に、又は、端から内側に膨張しうる)拡張可能部材アセンブリの膨張プロファイルに関連する他の特性を有することができる。追加のステント522の展開時に、拡張可能部材504を収縮させ、メディカルデバイス500を患者の血管から除去することができる。
図13を参照して上述したように、カバー504を含むメディカルデバイス500は、メディカルデバイス500を除去することなく、管壁への複数の治療の適用を可能にすることができ、例えば、限定するわけではないが、前処理、ステントの展開、後処理、及び、追加のステントの展開を提供することができる。幾つかの実施形態において、カバー504は、より多い又はより少ない領域を含むことができ、カバー504の様々な領域の特性のそれぞれは、変更、除去又は他の方法で変更されうる。幾つかの実施形態において、追加の内部人工器官を展開することができ、異なる前及び/又は後処理を施すことができ、追加の又はより少ない前又は後処理を施すことができ、及び/又は、カバー504の領域の特性に他の変更が加えられてもよい。
【0165】
本明細書に記載されるように、拡張可能部材アセンブリのカバーは、同じ又は異なる特性を有する複数の領域を含むことができる。以下の表は、本開示の1つ以上の実施形態に関して上記で記載された特徴の様々な組み合わせの例を提供する。以下の表は潜在的な組み合わせの完全な列挙ではない。というのは、追加の特性の組み合わせは本開示によって考えられるからである。さらに、以下に記載される「領域1」、「領域2」、「領域3」及び「領域4」は、カテーテルの長さに沿った領域の配置のいずれの順序をも示していない。例えば、領域3は領域1及び領域4などに隣接して配置できる。「領域1」、「領域2」、「領域3」、「領域4」も、使用中の展開の順序を示さない。さらに、「薬物1」、「薬物2」、「薬物3」、「薬物4」としての薬物の識別、又は同じ実施例で使用されるときに、異なる薬物を示す。したがって、単一の実施例の各薬物1、薬物2、薬物3及び薬物4は、薬物1、薬物2、薬物3及び薬物4のそれぞれがそれらが一緒に現れる各実施例で異なる限り、上記の「治療剤」の見出しの下にある薬物の非排他的列挙から場合により選択される。したがって、1つの実施例で繰り返されている「薬物1」又は同様の表記(たとえば、「形状1」、「組織1」、「内部人工器官1」)は、1つの実施例内では同じ薬物(又は他の特性)を指すが、このような各用語は実施例間で同じ薬物(形状又は組織)を示していない。例えば、実施例1の「薬物1」は、実施例2の「薬物1」とは異なる薬物であることができ、同様に、実施例2の「形状1」は、実施例3の「形状1」とは異なることができる。さらに、この列挙は網羅的なものではない。列挙されている特性は、別の異なる特性で置き換えることができる。
【0166】
以下で使用される組織は表面トポグラフィ、例えば、限定するわけではないが、本明細書で具体的に開示される表面トポグラフィ(例えば、開口部、刻み目部分、ビーズ、フィラメント、繊維、リング、ニット、製織構造、編組、及び/又は、カバーの表面の摩擦係数を変える高密度化材料によって規定される表面トポグラフィ)を指す。下記に使用されるときに、形状は、膨張プロファイル(例えば、特定の公称直径、作動長又は他の膨張形状)又はカバーの領域に沿った膨張シーケンスを指す。内部人工器官は、下記に使用されるときに、カバーの領域に内部人工器官(例えば、ステント)を含めることを指す。以下の幾つかの例において、「x」はカバーが領域を含まないことを示すために使用されている。さらに、以下の各例は、領域の削除、領域の追加、又は、領域の特徴又は特性の変更によって変更できる。
【表1】
【0167】
例示の実施形態を含む特定の実施形態の上記の記載は、例示及び記載の目的でのみ提示されており、網羅的であること又は開示された正確な形態に開示を限定することは意図されていない。本開示の範囲から逸脱することなく、多数の修正、適合及びそれらの使用は当業者に明らかであろう。
(態様)
(態様1)
カテーテルと、
拡張可能部材と、
カバーと、
アクチュエータと、
を含む、メディカルデバイスであって、
前記カテーテルは長手方向軸、近位端、遠位端及びカバー管腔を含み、前記カバー管腔はカテーテルの近位端からカテーテルの遠位端まで延在しており、
前記拡張可能部材は近位端及び遠位端を含み、前記拡張可能部材は前記カテーテル上に配置されており、
前記カバーは複数の領域を含み、前記複数の領域のうちの第一の領域は少なくとも1つの開口部を有し、前記カバーの第一の端部はカバー管腔内に向けて反転しており、
前記アクチュエータは前記カバーの第一の端部を前記カテーテルの長手方向軸に沿って前記カテーテルの近位端に向かって移動させるように構成され、前記カバーの第一の端部に結合されている、
メディカルデバイス。
(態様2)
前記複数の領域のうちの第二の領域は、前記第二の領域の表面上に配置された治療剤を含む、態様1記載のメディカルデバイス。
(態様3)
前記複数の領域のうちの前記第一の領域は前記拡張可能部材よりも膨張性が低い、態様1記載のメディカルデバイス。
(態様4)
前記複数の領域のうちの少なくとも2つの領域はそれぞれ、前記拡張可能部材の作動長と少なくとも同じ長さを有する、態様1記載のメディカルデバイス。
(態様5)
前記少なくとも1つの開口部は、前記複数の領域のうちの前記第一の領域の残りの部分よりも弱い前記第一の領域の部分を含む、態様1記載のメディカルデバイス。
(態様6)
前記複数の領域のうちの第二の領域は内部人工器官をさらに含む、態様1記載のメディカルデバイス。
(態様7)
カテーテルと、
拡張可能部材と、
カバーと、
アクチュエータと、
を含む、メディカルデバイスであって、
前記カテーテルは長手方向軸、近位端、遠位端及びカバー管腔を含み、前記カバー管腔がカテーテルの近位端からカテーテルの遠位端まで延在しており、
前記拡張可能部材は近位端及び遠位端を含み、前記拡張可能部材は作動長を有し、前記拡張可能部材は前記カテーテル上に配置されており、
前記カバーは少なくとも1つの領域を含み、
前記アクチュエータは前記カバーの第一の端部を前記カテーテルの長手方向軸に沿って前記カテーテルの近位端に向かって移動させるように構成され、前記カバーの第一の端部に結合されている、
メディカルデバイス。
(態様8)
前記カバーの第一の領域及び第二の領域はそれぞれ、前記拡張可能部材の作動長に少なくとも等しい長さを有する、態様7記載のメディカルデバイス。
(態様9)
前記カバーの第一の領域の少なくとも一部に沿って配置されたシースをさらに含み、前記カバーの第一の領域は、前記拡張可能部材の近位端と前記カテーテルの近位端との間に延在している、態様7記載のメディカルデバイス。
(態様10)
前記カバーは、前記アクチュエータに結合されている少なくとも1つのラインを含む、態様7記載のメディカルデバイス。
(態様11)
前記少なくとも1つのラインは、前記カバーと一体である、態様10記載のメディカルデバイス。
(態様12)
前記カバーは第三の領域を含み、前記第三の領域は、前記拡張可能部材の作動長に少なくとも等しい長さを有する、態様8記載のメディカルデバイス。
(態様13)
前記カバーの第一の領域は第一の公称直径を有し、前記カバーの第二の領域は前記第一の公称直径とは異なる第二の公称直径を有し、前記カバーの第三の領域は前記第一及び第二の公称直径とは異なる第三の公称直径を有する、態様8記載のメディカルデバイス。
(態様14)
前記カバーの第一の領域は前記拡張可能部材の周りに配置され、前記カバーの第二の領域は前記カテーテルの周りに配置されている、態様8記載のメディカルデバイス。
(態様15)
拡張可能部材及びカバーを有するメディカルデバイスを提供することであって、前記カバーは第一の領域及び第二の領域をさらに含む、メディカルデバイスを提供することと、
前記メディカルデバイスを末梢血管に挿入することと、
前記カバーの第一の領域が血管壁に第一の治療を提供するように、前記カバーの第一の領域が前記拡張可能部材の上に配置された状態で前記拡張可能部材を拡張することと、
アクチュエータを作動させて、前記第一の領域を前記メディカルデバイスの管腔内に引き込み、前記カバーの第二の領域を拡張可能部材の上に配置することと、
前記カバーの第二の領域が前記血管壁に第二の治療を提供するように、前記カバーの第二の領域が前記拡張可能部材の上にある状態で前記拡張可能部材を拡張することと、
を含む治療方法であって、ここで、前記第一の治療は前記第二の治療とは異なり、前記第一の治療及び第二の治療のそれぞれは、体腔からメディカルデバイスアセンブリを除去する前に前記血管壁に提供される、治療方法。
(態様16)
前記第一の治療及び前記第二の治療の少なくとも1つは、治療剤を血管壁に移行させることを含む、態様15記載の治療方法。
(態様17)
前記カバーの第二の領域は複数の開口部を含み、前記開口部を通して拡張可能部材が拡張し、そして前記第二の治療を提供することは血管壁の表面に接触しそしてそこから沈着物を削ぐことを含む、態様16記載の治療方法。
(態様18)
前記カバーの第三の領域が前記拡張可能部材の上にある状態で前記拡張可能部材を拡張することをさらに含み、それにより、前記カバーの第三の領域は血管壁に第三の治療を提供し、前記第一の治療、前記第二の治療及び前記第三の治療のそれぞれは血管からメディカルデバイスアセンブリを除去する前に前記血管壁に提供される、態様17記載の治療方法。
(態様19)
前記第三の治療は前記カバーの前記第三の領域の周りに配置された内部人工器官を配置して前記血管壁の少なくとも一部と接触させることを含む、態様18記載の治療方法。
(態様20)
前記第一の治療は第一の治療剤を前記血管壁に移行させることを含み、前記第二の治療は第二の治療剤を前記血管壁に移行させることを含み、前記第一の治療剤は前記第二の治療剤とは異なる、態様16記載の治療方法。
(態様21)
前記カバーの第三の領域が前記拡張可能部材の上にある状態で前記拡張可能部材を拡張することをさらに含み、それにより、前記カバーの第三の領域は前記血管壁に第三の治療を提供し、前記カバーの第三の領域は内部人工器官を含み、前記第三の治療は前記血管壁に前記内部人工器官を展開することを含み、前記第一の治療、前記第二の治療及び前記第三の治療のそれぞれは、前記メディカルデバイスアセンブリを体腔から除去する前に前記血管壁に提供される、態様16記載の治療方法。
(態様22)
前記第一の治療は前記第三の治療の前に行われ、前記第一の治療は血管壁の表面に接触しそしてそこから沈着物を削ぐことを含む、態様21記載の治療方法。
(態様23)
前記第一の治療は第一の治療剤を前記血管壁に移行させることを含む、態様21記載の治療方法。
(態様24)
前記第一の治療は前記第三の治療の前に行われ、前記第二の治療は前記第三の治療の後に行われる、態様21記載の治療方法。
(態様25)
前記第二の治療は治療剤を前記血管壁に移行させることを含む、態様24記載の治療方法。
(態様26)
前記第二の領域は内部人工器官を含み、前記第二の治療は前記血管壁に第二の内部人工器官を展開することを含む、態様24記載の治療方法。
(態様27)
前記第三の領域の内部人工器官の第一の直径は、前記第二の領域の第二の内部人工器官の第二の直径とは異なる、態様26記載の治療方法。
(態様28)
前記第三の領域の内部人工器官の第一の長さは、前記第二の領域の第二の内部人工器官の第二の長さとは異なる、態様26記載の治療方法。
(態様29)
前記カバーの第四の領域が前記拡張可能部材の上にある状態で前記拡張可能部材を拡張することをさらに含み、それにより、前記カバーの第四の領域は前記血管壁に第四の治療を提供する、態様26記載の治療方法。
(態様30)
前記第一の治療、前記第二の治療、前記第三の治療及び前記第四の治療のそれぞれは、前記メディカルデバイスアセンブリを体腔から除去する前に前記血管壁に提供される、態様29記載の治療方法。