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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-08
(45)【発行日】2023-02-16
(54)【発明の名称】電気的特性取得装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 27/02 20060101AFI20230209BHJP
【FI】
G01R27/02 A
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2021175455
(22)【出願日】2021-10-27
(62)【分割の表示】P 2018523075の分割
【原出願日】2016-06-14
(65)【公開番号】P2022016456
(43)【公開日】2022-01-21
【審査請求日】2021-10-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000969
【氏名又は名称】弁理士法人中部国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 明
(72)【発明者】
【氏名】川添 亜里沙
【審査官】續山 浩二
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/155657(WO,A1)
【文献】特開2014-168038(JP,A)
【文献】特開2012-164958(JP,A)
【文献】特開平02-017458(JP,A)
【文献】国際公開第2014/126220(WO,A1)
【文献】特開平06-201748(JP,A)
【文献】特開2014-025772(JP,A)
【文献】国際公開第2014/203331(WO,A1)
【文献】特開2009-115638(JP,A)
【文献】国際公開第2016/051533(WO,A1)
【文献】”LCRメータ IM3536”,日本,日置電機株式会社,2015年01月01日,[online]、[令和3年2月22日検索]、インターネット<URL:https://catalog.orixrentec.jp/pdf/15030
【文献】”E4980A プレシジョンLCRメータ”,日本,キーサイト・テクノロジー合同会社,2015年02月16日,[online]、[令和3年2月22日検索]、インターネット<URL:https://www.keysight.com/jp/ja/assets/7
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 27/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のテープフィーダにより供給される電子部品を回路基板に装着する装着機に用いられ、把持部により前記電子部品を把持した状態で、前記電子部品の電気的特性を取得する電気的特性取得装置であって、
前記電気的特性の測定後の前記把持部に対してエアを供給するエア供給装置と、
前記エアの供給方向に平行な鉛直面に広がり前記エアの拡散を防止するカバー部と、
前記回路基板の段取り替えにより、新たなテープフィーダのセットまたはテープフィーダの交換が行われた場合に、前記セットまたは前記交換が行われた前記テープフィーダにより供給される前記電子部品の周波数を表す情報である入力周波数情報と、前記電子部品のバイアス電流を表す情報である入力バイアス電流情報とが供給されると、前記電気的特性の測定対象の前記電子部品に供給される交流電流の周波数およびバイアス電流を、前記供給された前記入力周波数情報および前記入力バイアス電流情報がそれぞれ表す周波数およびバイアス電流に設定し、前記電気的特性を演算する制御装置
を含むことを特徴とする電気的特性取得装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物の電気的特性を取得する電気的特性取得装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電気的特性取得装置としてのLCR測定装置が記載されている。このLCR測定装置においては、対象物の電気的特性としてのインピーダンスが取得されるが、LCR測定装置の構成要素であるAD交換器の直線性の誤差を小さくするための補正値Gが取得される。標準対象物(予めインピーダンスが既知であるもの)について、供給される電圧が一定に保たれた状態で、周波数を変えつつ、標準対象物に供給された電圧、流れた電流が測定されることによりインピーダンスが取得され、その取得されたインピーダンス、既知であるインピーダンス等を用いて、補正値Gが取得される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-85745号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、対象物の電気的特性を取得する電気的特性取得装置の改良であり、例えば、使い勝手をよくすることである。
【課題を解決するための手段、作用および効果】
【0005】
本発明に係る電気的特性取得装置は、複数のテープフィーダにより供給される電子部品を回路基板に装着する装着機に用いられ、回路基板の段取り替えにより、新たなテープフィーダのセットまたはテープフィーダの交換が行われた場合に、セットまたは交換が行われたテープフィーダにより供給される電子部品の電気的特性を取得するものである。また、本発明に係る電気的特性取得装置において、その電子部品についての周波数を表す情報である入力周波数情報とバイアス電流を表す情報である入力バイアス電流情報とが供給されると、電子部品に供給される交流電流の周波数、バイアス電流が、供給された入力周波数情報、入力バイアス電流情報が表す周波数、バイアス電流に設定されて、電子部品の電気的特性が演算により取得される。
このように、本発明に係る電気的特性取得装置において、供給された入力周波数情報と入力バイアス電流情報とに基づいて、電子部品の電気的特性を取得することができるため、使い勝手が良くなる。
【0006】
測定対象の電子部品(以下、対象物と称する)は、供給される交流信号の周波数の変化に伴って電気的特性の一例であるインピーダンスが変化するものであり、例えば、コイルとコンデンサとの少なくとも一方を含む電子部品等が該当する。また、対象物の電気的特性を取得する際の条件には、例えば、対象物に供給される交流信号の周波数や大きさが該当する。
対象物についての仕様書(スペックと称することもできる。)には、電気的特性のノミナル値(公称値と称することもできる。)、そのノミナル値が取得された場合の条件、例えば、対象物に供給された交流信号の周波数や大きさ(以下、規定周波数、規定信号値と称する。)が記載されているのが普通である。また、対象物がコア入りのコイルを含む場合には、対象物に供給される交流信号の大きさが変化すると電気的特性が変化する場合がある。例えば、交流信号の大きさとしてのバイアス電流(DCバイアス電流と称することもできる。)が大きくなると、磁気飽和に起因して電気的特性の一例であるインダクタンスが低下する。
【0007】
一方、電気的特性取得装置において、対象物に供給される交流信号の周波数や大きさが予め決まっている場合があるが、その予め決められた周波数が規定周波数と異なる場合には、取得された電気的特性の値がノミナル値と異なる場合がある。また、予め決められたバイアス電流が、規定信号値としての規定バイアス電流より大きく、かつ、磁気飽和に起因してインダクタンスが低下する大きさである場合には、インダクタンスを正確に取得することができない。
【0008】
それに対して、例えば、対象物に供給される交流信号の周波数、大きさに、規定周波数、規定信号値が供給された場合には、対象物に規定周波数、規定信号値の交流信号が供給される状態で電気的特性が取得される。その結果、電気的特性を取得する際の条件が異なることに起因して、取得された対象物の電気的特性(以下、測定値と称する場合がある)とノミナル値との差の絶対値が大きくなることを防止できる。対象物がノミナル値に対応する電子部品であるか否かを正確に判定したり、対象物が不良品であるか否か(例えば、測定値とノミナル値との差の絶対値が許容誤差より大きいか否か)を正確に判定したりすることができる。また、対象物の電気的特性が取得される際の条件に所望の条件が供給されるようにすることができ、所望の条件での対象物の電気的特性を取得することができるのである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態である電気的特性取得装置を含む装着機の斜視図である。
図2】上記電気的特性取得装置としてのLCR測定装置の斜視図である。
図3】上記LCR測定装置の一部断面図である。
図4】上記LCR測定装置の一部平面図である。
図5】上記LCR測定装置に含まれるエア回路図である。
図6】上記装着機の制御装置を概念的に示す図である。
図7】上記LCR測定装置の要部を概念的に示す図である。
図8】(a)上記LCR測定装置において電気的特性が取得される対象物の構造を示す図である。(b)上記対象物のインピーダンスの周波数に対する変化を示す図である。(c)上記対象物のインダクタンスのDCバイアス電流に対する変化を示す図である。
図9】上記LCR測定装置の作動を示す図である。(a)初期状態を示す図であり、(b)クランプ状態を示す図であり、(c)測定状態を示す図であり、(d)廃棄状態を示す図である。
図10】上記LCR測定装置のディスプレイを示す図である(入力要求時)。
図11】上記LCR測定装置のディスプレイを示す図である(入力時)。
図12】上記制御装置の記憶部に記憶されたLCR測定プログラムを表すフローチャートである。
図13】上記制御装置の記憶部に記憶された入力設定プログラムを表すフローチャートである。
図14】上記制御装置の記憶部に記憶されたLCR情報処理プログラムを表すフローチャートである。
【発明の実施形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態である電気的特性取得装置を含む装着機について図面に基づいて詳細に説明する。
図1に示す装着機は、部品を回路基板に装着するものであり、装置本体2,回路基板搬送保持装置4,部品供給装置6,ヘッド移動装置8等を含む。
回路基板搬送保持装置4は、回路基板P(以下、基板Pと略称する)を水平な姿勢で搬送して保持するものであり、図1において、基板Pの搬送方向をx方向、基板Pの幅方向をy方向、基板Pの厚み方向をz方向とする。y方向、z方向は、それぞれ、装着機の前後方向、上下方向である。これら、x方向、y方向、z方向は互いに直交する。部品供給装置6は、基板Pに装着される電子部品(以下、部品と略称する)sを供給するものであり、複数のテープフィーダ14等を含む。ヘッド移動装置8は、装着ヘッド16を保持してx、y、z方向へ移動させるものであり、装着ヘッド16は、部品sを吸着して保持する吸着ノズル18を有する。
【0011】
また、符号20はカメラを示す。カメラ20は、吸着ノズル18によって保持された部品sを撮像するものであり、カメラ20によって撮像された画像に基づいて、部品sが回路基板Pに装着される予定のものであるか否かが判定される。符号22は電気的特性取得装置としてのLCR測定装置を示す。LCR測定装置22は、対象物としての部品sの電気的特性を測定するものであり、部品sの電気的特性としては、L(インダクタンス)、C(キャパシタンス)、R(レジスタンス)、Z(インピーダンス)等が該当する。LCR測定装置22においては、例えば、部品sのインピーダンスZが測定され、インピーダンスZに基づいてインダクタンスL,キャパシタンスC,レジスタンスR等が取得されるのが普通である。
【0012】
LCR測定装置22は、収容箱26を介して回路基板搬送保持装置4の本体に設けられる。収容箱26とLCR測定装置22とは部品通路28によって接続されるが、電気的特性が測定された部品sが、部品通路28を経て収容箱26に収容される。LCR測定装置22は、収容箱26に高さ調整可能に設けられる。図2に示すように、収容箱26には、昇降可能にベース部30が係合させられ、ベース部30に本体29がボルトおよびナットを含む締結部31(図3,4参照)によって固定され、これらベース部30および本体29が一体的に昇降可能に保持される。また、本体29、ベース部30には、それぞれ、部品通路28と連通可能な開口29a、30aが設けられる(図3,4参照)。
LCR測定装置22は、図2~4に示すように、(i)上記本体29およびベース部30、(ii)部品sを保持可能な保持台32、(iii)固定子34および可動子36から成る一対の測定子37、(iv)保持台32を移動させる保持台移動装置40、(v)可動子36を固定子34に対して接近・離間させる可動子移動装置41、(vi)部品sの電気的特性を取得するLCR取得部42(図7参照)等を含む。本実施例において、部品sは、両端部に電極を有し、一対の測定子37によって把持可能なものとすることができる。部品sとしては、例えば、角チップと称するものが該当する。また、一対の測定子37は導電性を有するものであり、一対の測定子37を介して部品sに交流信号が供給される。
【0013】
保持台32は、部品載置部44と、部品載置部44を保持する載置部保持体46とを含む。部品載置部44の上面にはV溝44cが形成され、部品sが載せられる。
部品載置部44は、導電性、耐摩耗性を有し、かつ、酸化が進み難い材料で製造されたものとすることができる。部品載置部44は、複数の導電性を有する部材を介してベース部30に電気的に接続されるが、ベース部30が接地されることにより、部品載置部44も接地される。本実施例においては、部品載置部44が載置部保持体46に当接し、かつ、締結部47によって固定されるとともに、載置部保持体46が本体29にストッパ80(図3参照)を介して当接し、本体29がベース部30に締結部31によって固定される。そして、載置部保持体46、ストッパ80、本体29、ベース部30、締結部31、47等は導電性を有するものである。したがって、部品載置部44は接地される。
【0014】
固定子34、可動子36は、それぞれ、互いに対向する対向面34f、36fを有する、固定子34は固定子保持体55を介して本体29に固定される。可動子36は、可動子保持体56に一体的に移動可能に保持されたものであり、固定子34に対して接近・離間可能とされる。本実施例において、対向面36fは、断面が三角形状を成し、V溝44cに沿って移動可能とされる。
また、保持台32と可動子36とは互いに相対移動可能とされ、保持台32は、V溝44の底部が可動子36の下方に位置する状態で、対向面36fの前方へ移動したり後方へ移動したりすることが可能である。
【0015】
保持台32にはカバー部50が取り付けられる。カバー部50は、保持台32の固定子34側に、x方向に隔てて設けられたカバー部材52,54を含む。カバー部材52,54は、y方向およびz方向、すなわち、保持台32、可動子36の移動方向および上下方向に伸びたものである。カバー部50は、固定子34と可動子36とが互いに離間させられる場合の少なくとも一時期に一対の対向面34f、36fの間の空間をx方向の両側から覆い得る大きさとされる。カバー部50は、エアの拡散を防止するとともに、エアの噴出によって落下させられた部品sの飛散を防止する機能を果たす。
【0016】
固定子側の部材{例えば、固定子34の上部または固定子保持体55の固定子34の上方の部分または本体29}には、可動子36の対向面36fに対向するエア通路60の開口60aが形成される。エア通路60は、図3に示すように概してy方向に伸びたエア噴出通路60s、本体29に形成された内部通路60h等を含む。エア噴出通路60sは、可動子36に近づくにつれて下方へいく向きに傾斜して伸び、可動子36が固定子34から離間した位置にある場合に、延長線kが可動子36の対向面36fの部分Rの上方または部分R内に達する状態で伸びたものである。部分Rは、可動子36の対向面36fの部品sを把持する頻度が高い部分であり、把持部と称することができる。エアは、対向面36fの延長線kが交差する部分に、斜め上方から当たる。
エア通路60には、エアシリンダ64,70が接続される。また、エア通路60のエアシリンダ64,70の下流側の部分にはイオナイザ62が設けられる。イオナイザ62は、コロナ放電を生起させて空気をイオン化するものであり、対向面36fにイオン化された空気が供給され得る。
【0017】
保持台移動装置40は、本体29またはベース部30に固定的に設けられた駆動源としてのエアシリンダ64を含む。エアシリンダ64のピストンロッド66(図5参照)には載置部保持体46が連結される。エアシリンダ64は、シリンダハウジングの内部にピストンによって仕切られた2つのエア室64a、64bを含み、2つのエア室64a、64bとエア源68、エア通路60、フィルタ(大気)との間に電磁弁装置69が設けられる。電磁弁装置69は、1つ以上の電磁弁、例えば、図5に示すように、方向切換弁、可変絞りを含むものとすることができる。方向切換弁により、載置部保持体46の移動方向が制御され、可変絞りにより載置部保持体46の移動・停止が制御される。電磁弁装置69によって、エア室64bがエア源68に連通させられエア室64aがエア通路60に連通させられることにより、保持台32が前進(図3の矢印F方向の移動)させられ、エア室64bが大気に開放されエア室64aがエア源68に連通させられることにより、保持台32が後退(図3の矢印B方向の移動)させられる。
【0018】
可動子移動装置41は、本体29に固定的に設けられた駆動源としてのエアシリンダ70を含む。エアシリンダ70のピストンロッド71には可動子と一体的に移動可能な可動子保持体56が連結される。エアシリンダ70のハウジングの内部にピストンによって仕切られた2つのエア室70a、70bには、電磁弁装置72を介して、エア源68、エア通路60、フィルタ(大気)に接続される。電磁弁装置72は、1つ以上の電磁弁を含むものであり、例えば、方向切換弁、可変絞り等を含むものとすることができる。電磁弁装置72により、エア室70bがエア通路60に連通させられエア室70aがエア源68に連通させられることにより、可動子36が後退させられ、エア室70aが大気に開放されエア室70bがエア源68に連通させられることにより、可動子36が前進させられる。
本実施例においては、エアシリンダ64,70、エア通路60(エア噴出通路60sを含む)、開口60a、カバー部50、イオナイザ62等によりエア供給装置73が構成される。
なお、電磁弁装置69,72の構造は、本実施例のそれに限らない。例えば、1つの3位置弁を含むものとしたり、複数の開閉弁を含むものとしたりすること等ができる。また、イオナイザ62を設けることは不可欠ではない。
【0019】
可動子保持体56と本体29との間には、y方向に伸びた一対のガイドロッド74,75が設けられ、保持台32と可動子保持体56との間には、y方向に伸びた一対のガイドロッド76,77が設けられる。ガイドロッド74,75の一端部は、可動子保持体56に連結され、他端部は、本体29に摺動可能に係合させられる。ガイドロッド76,77は、一端部において載置部保持体46に連結されるとともに、可動子保持体56に摺動可能に係合させられる。これらガイドロッド74,75、76,77により保持台32と可動子36とは本体29に対して、y方向に互いに相対移動可能とされるとともに、保持台32と可動子36とは互いにy方向に相対移動可能とされる。
また、図3に示すように、可動子保持体56の固定子側にはストッパ82が設けられ、本体29にはストッパ80が設けられる。ストッパ82は、可動子保持体56と保持台32(載置部保持体46)との接近限度を規定するものであり、ストッパ80は、固定子34(本体29)と保持台32との接近限度を規定するものである。
【0020】
当該装着機は制御装置100を含む。制御装置100は、図6に示すように、コンピュータを主体とするコントローラ102と、複数の駆動回路104とを含む。コントローラ102は、実行部110、記憶部112、入出力部114等を含み、入出力部114には、基板搬送保持装置4、部品供給装置6、ヘッド移動装置8が、それぞれ、駆動回路104を介して接続されるとともに、LCR測定装置22の構成要素である保持台移動装置40、可動子移動装置41の電磁弁装置69,72等が接続される。また、可動子位置センサ118、保持台位置センサ120、ノズル高さセンサ122等が接続される。記憶部112には、LCR取得プログラム等の複数のプログラム、テーブルが記憶されている。また、コントローラ102に設けられたタイマ124によって時間の計測が行われる。可動子位置センサ118、保持台位置センサ120は、可動子36、保持台32の位置を検出するものであり、ノズル高さセンサ112は、ノズル18の高さを検出するものである。
なお、本実施例においては、制御装置100によって装着機全体が制御される場合について説明したが、基板搬送保持装置4、部品供給装置6、ヘッド移動装置8、LCR測定装置22等がそれぞれ互いに個別の制御装置によって制御されるようにすることもできる。
【0021】
上記LCR取得部42は、図7に示すように、上記固定子34および可動子36を含む一対の測定子37、交流信号発生装置130、自動平衡ブリッジ部132、交流信号検出部134、操作入力部136、ディスプレイ116、コントローラ102の一部である交流信号制御部140、電気的特性演算部142等を含み、自動平衡ブリッジ法を利用して、部品sのL,C,R,Z等を取得するものである。交流信号発生装置130、自動平衡ブリッジ部132、交流信号検出部134は、端子58a、bに接続される。
交流信号発生装置130は、部品sに供給する交流信号を発生させるものであり、交流電源150および直流電源151、周波数調整部152、バイアス電流調整部154等を含む。
周波数調整部152は、交流電源150の交流信号(本実施例においては、交流電流とする)の周波数を変更可能なものである。周波数調整部は、例えば、周波数帰還回路を含み、PLL(Phase Locked Loop)技術を利用するものとすることができる。周波数調整部152において、分周器の比率、電圧制御発振器が調整されて、出力される(部品sに供給される)交流電流の周波数が調整される。
バイアス電流調整部154は、交流電流のバイアス電流を変更可能なものであり、例えば、可変抵抗器を含むものとすることができる。可変抵抗器において、直流電源151と直列に設けられた抵抗の抵抗値が調整されることにより、出力される(部品sに供給される)交流電流のバイアス電流値が調整される。
なお、周波数調整部152は、PLL技術を利用するものに限らず、DDC(Direct Digital Synthesizer)技術を利用するものとすることができる等、どのようなものであってもよい。
【0022】
自動平衡ブリッジ部132は、レンジ抵抗155に流れる電流と部品sに流れる電流とが等しくなるように部分Xの電位を0(部分Xに流れる電流を0)とするものであり、部分Xの電位を検出する検出部、発振器等を含む。自動平衡ブリッジ部132において、部分Xの電位が0となるように、発振器の位相、振幅が制御される。
交流信号検出部134は、部品sに供給される電圧Ed、レンジ抵抗155に供給される電圧Erを検出するものであり、検出された電圧Ed,Erは図示しないA/D変換器を介して電気的特性演算部142に供給される。交流信号検出部134は、マルチブレクサを含むものとすることができ、電圧Ed,Erが選択的に検出される。
【0023】
電気的特性演算部142は、交流信号検出部134から供給された電圧Ed,Er、予め設定されたレンジ抵抗155の大きさ(以下、抵抗の大きさを抵抗値と称する)Rzに基づいて、部品sのインピーダンスZを演算により求める。
Xにおける電位が0であり、部品sを流れる電流とレンジ抵抗155を流れる電流とが等しいことから、部品sのインピーダンスZは、下式のようになる。
Z=Rz・Ed/Er
換言すれば、インピーダンスZは、部品sに供給される電圧Edを部品sに流れる電流iで割った値(Z=Ed/i)であり、部品sに流れる電流iは、レンジ抵抗155に供給された電圧Erをレンジ抵抗155の抵抗値Rzで除した大きさとなる(i=Er/Rz)。また、抵抗値Rzは既知であることから、交流信号検出部134において電圧Erが検出されれば、部品sに流れる電流値iが分かる。そのことから、交流信号検出部134によって、部品sに流れる電流が間接的に検出されると考えることができる。以下、このことを、本明細書において、単に、「部品sに流れる電流が検出される」と称する場合がある。
また、電気的特性演算部142においては、インピーダンスZ等に基づいて、インダクタンスL、キャパシタンスC,レジスタンスR等が演算により求められる。
【0024】
対象物である部品sは、一対の測定子37によってクランプされ、その状態において、部品sに交流信号発生装置130から交流電流が供給されるとともに、部品sに供給された電圧Ed、部品sに流れた電流iが検出される。
操作入力部136は、作業者によって操作可能なものであり、部品sのインピーダンスZを取得する際の条件、例えば、部品sに供給される交流電流の周波数、DCバイアス電流(以下、バイアス電流と略称する)を入力する際に操作されるものである。例えば、操作入力部136は、マウス、ディスプレイ(タッチパネル)116、操作キー等とすることができる。操作入力部136は、無線、または、信号線を介してコントローラ102に接続される。操作入力部132を介して入力された情報である入力情報はコントローラ102の交流信号制御部140に供給される。本実施例においては、入力情報には、周波数を表す情報である入力周波数情報と、バイアス電流を表す情報である入力バイアス電流情報とが含まれる。
交流信号制御部140は、交流信号発生装置130から出力される交流電流の周波数、バイアス電流が、操作入力部136を介して供給された入力周波数情報、入力バイアス電流情報が表す周波数、バイアス電流に近づくように、周波数調整部152、バイアス電流調整部154を制御する。本実施例において、交流信号制御部140のうち、周波数調整部152を制御する部分等が周波数制御部156に対応し、バイアス電流調整部154を制御する部分等がバイアス電流制御部158に対応する。
【0025】
本実施例において、部品sが図8(a)に示すように、互いに直列に配設させられたコイル(インダクタと称することもできる)160と、抵抗162とを含むものとする。部品sのインピーダンスZは、抵抗162の大きさである抵抗値R、コア入りコイル160のインダクタンスL、供給される交流電流の周波数ωとした場合に、理論的には、下式に表される大きさとなる。
Z=√{R2+(ωL)2
また、抵抗値Rがほぼ0である場合(R≒0)には、インピーダンスZは、下式のように表すことができるのであり、図8(b)に示すように周波数ωの増加に伴って大きくなる。
Z≒ωL
一方、コア入りコイル160のインダクタンスLは、磁気飽和に起因して、部品sに、大きなバイアス電流の交流電流が供給されると、図8(c)に示すように低下するが、部品sによって、実線で示す特性を有するもの、一点鎖線で示す特性を有するもの等がある。
【0026】
仮に、部品sに供給される交流電流の周波数やバイアス電流が予め決められている場合には、それら予め決められた設定周波数や設定バイアス電流が部品sについてのスペックに記載されていた規定周波数や規定バイアス電流(ノミナル値が取得された場合の条件)と異なる場合がある。例えば、図8(b)に示すように、設定周波数がωaであるのに対して、部品sの規定周波数がωbである場合には、取得されたインピーダンスZaがノミナル値Zbと異なる。また、図8(c)に示すように、設定バイアス電流値がIoaであるのに対して、部品sが一点鎖線で表される特性を有する場合には、取得されたインダクタンスはノミナル値よりΔLa小さい値となる。
【0027】
それに対して、本実施例においては、作業者によって、部品sに供給される交流電流の周波数ω、バイアス電流Ioの大きさが入力可能とされている。作業者は、例えば、周波数を部品sの規格周波数ωs(ωb)に設定することができ、バイアス電流をインダクタンスが低下しない範囲の大きさIosに設定することができる。
【0028】
以下、LCR測定装置22の作動について、図9図12のフローチャートで表されるLCR測定プログラム、図13のフローチャートで表される入力設定プログラム、図14のフローチャートで表されるLCR情報処理プログラムに従って説明する。
段取り替えが行われる場合等、新たなテープフィーダ14のセット、テープフィーダ14の交換等が行われた場合等に、そのテープフィーダ14に保持された部品sである電気部品の電気的特性が測定される。
【0029】
図13のフローチャートのステップ1(以下、S1と略称する。他のステップについても同様とする)において、LCR測定指令が出された否かが判定される。上述のように、段取り替えが行われる場合等に、LCR測定指令が出される。
S2において、入力情報が要求され、S3において、入力情報が供給されるまで待たれる。換言すれば、図10に示すように、frequency(周波数)、current(バイアス電流)の値が空欄であるディスプレイ116が表示され、作業者に、周波数、バイアス電流の入力が要求される。作業者が、操作入力部136の操作により、周波数ωsとバイアス電流Iosとを入力し(入力工程)、これら周波数ωs、バイアス電流Iosを表す入力情報、すなわち、入力周波数情報および入力バイアス電流情報がコントローラ102に供給されると、S3の判定がYESとなり、S4において、周波数調整部152、バイアス電流調整部154が制御されて、部品sに供給される交流電流の周波数、バイアス電流が、周波数ωs、バイアス電流Iosに設定される(交流信号制御工程)。また、S5において、図11に示すように、作業者によって入力された周波数ωs、バイアス電流Iosがディスプレイ116に表示される。
【0030】
この場合に、LCR測定装置22は、図9(a)に示す初期状態にある。可動子36は後退端位置にあり、保持台32は前進端位置、すなわち、ストッパ80に当接した位置にある。この状態において、保持台32は、内部導通等によりアースされた状態にある。保持台32のV溝44cの上方に可動子36が存在せず、部品sを載置可能な状態にある。
そして、図12のフローチャートにおいて、部品sの電気的特性が取得される際の条件、すなわち、部品sに供給される交流電流の周波数、バイアス電流が、作業者によって入力された周波数ωs、バイアス電流Iosに設定されると、S11の判定がYESとなり、S12において、吸着ノズル18によって部品sがV溝44c上に載置させられ、S13において、電磁弁装置72の制御によるエアシリンダ70の作動により可動子36が前進させられる。可動子36は、可動子位置センサ118の状態、タイマ124による計測時間等に基づいて移動させられる。可動子36は、部品載置部44のV溝44cに沿って前進させられ、図9(b)に示すように、部品sが可動子36の対向面36fと固定子34の対向面34fとによってクランプされる。この状態がクランプ状態である。
【0031】
次に、S14において、図9(c)に示すように、電磁弁装置69の制御によるエアシリンダ64の作動により、保持台32が、ストッパ82に当接するまで、ストロークd、後退させられ、その位置で保持される。本実施例においては、ストロークdは設定値Lx以上の大きさとされていて(d≧Lx)、導電性を有する部品載置部44が部品sから設定値Lx以上離間させられる。それにより、導電性を有する部材が部品sの近傍に位置することに起因して生じる電気的特性の測定誤差を小さくすることができる。このように、設定値Lxは、部品載置部44が部品sの電気的特性の測定に影響を及ぼし難い距離であり、予め実験等により取得された値である。この状態が測定状態である。なお、保持台32、保持台位置センサ120の状態、タイマ124の計測値等に基づいて移動させられる。
【0032】
そして、S15において、吸着ノズル18により部品sが開放されて、V溝44c上に載せられた時から、設定時間である除電時間が経過するのが待たれる。除電時間は、部品sが有していると推定される容量の静電気を除去するのに要する時間であり、予め実験等により求めたり、部品sの大きさ、電気的特性等に基づいて理論的に求めたりすること等ができる。
除電時間が経過し、部品sが有する静電気が除去されたと推定されると、S16において、部品sの電気的特性が測定される。作業者によって入力された周波数ωs、バイアス電流Iosの交流電流が部品sに供給されるとともに、部品sに供給される電圧Ed、レンジ抵抗155に供給される電圧Erが(換言すれば、部品sに流れる電流iが間接的に)交流信号検出部134によって検出されて、電気的特性演算部142に供給される。電気的特性演算部142においてインピーダンスZ、インダクタンスL等の電気的特性が演算により求められる(取得工程)。
【0033】
電気的特性の測定後、S17,18において、図9(d)に示すように、可動子36が後退させられ、保持台32が、電磁弁装置69の制御によるエアシリンダ64の作動により後退させられる。保持台32がストッパ82に当接する位置まで後退させられた状態で、保持台32は、可動子36の対向面36fより後方に位置し、一対の対向面34f、36fの間の下方に存在しない。この状態が廃棄状態である。
つぎに、S19において、保持台32が前進させられ、ストッパ80に当たる。保持台32は、一対の対向面34f、36fの間に位置し(V溝44が対向面34f、36fの間の下方に位置し)、V溝44cの上方が空間とされている。そのため、部品sが載置可能とされる。この状態が初期状態である。
【0034】
このように、可動子36の対向面36fが固定子34の対向面34fから離間することにより、これらの間に把持されていた部品sが開放される。また、保持台32が可動子36の対向面36fの後方に移動させられることにより、一対の対向面34f、36fの間の下方に存在しなくなり、一対の対向面34f、36fの間は、開口29a、30a、部品通路28に連通させられる。その結果、部品sは、一対の対向面34f、36fから落下し、開口29a、30a、部品通路28を経て収容箱26へ収容される。収容箱26に収容された部品sは使用されたり、廃棄されたりする。
さらに、S17において可動子36の後退に伴って、エア室70aから流出させられたエアが開口60aから可動子36の対向面36fに斜め上方から供給され、下方へ流れる。そのため、対向面36fから部品sが落下せず、部分Rに付着していても、それを良好に落下させることができる。また、エアが供給される空間、換言すれば、一対の対向面34f、36fの間の空間が、カバー部50によってx方向から覆われるため、エアは、カバー部50の内部を渦状に流れ、仮に、固定子34の対向面34fに部品sが付着していたとしても落下させることができる。
以上のように、本実施例においては、電磁制御弁装置69、保持台位置センサ120、コントローラ102のS14,18,19を記憶する部分、実行する部分等により保持台移動制御装置が構成される。
【0035】
一方、部品sの電気的特性が取得されると、図14のフローチャートのS21の判定がYESとなり、S22において、取得されたインダクタンス(以下、単に測定値と称する場合がある)Ls、ノミナル値Lnが読み込まれる。ノミナル値は、JOB情報に基づいて決められた値であり、図10,11に示すように、予め作業者によって入力されている。そして、S23において、測定値Lsとノミナル値Lnとが比較され、S24において、その比較結果が、ディスプレイ116に表示される。
例えば、測定値Lsとノミナル値Lnとの差の絶対値がしきい値以上大きい場合には、装着されたテープフィーダ14がJOB情報に対応するものではない(誤装着)であると判定されるようにしたり、測定値Lsとノミナル値Lnとの差の絶対値が許容誤差より大きい場合には、対象物は不良品であると判定されるようにしたりすること等ができる。なお、許容誤差(Tolerance)も、予め作業者によって入力されている(図10,11参照)。
【0036】
例えば、作業者によって、部品sの電気的特性が取得される際の条件がその部品sにおいてノミナル値が取得された場合の条件に入力された場合には、部品sのインダクタンスLを取得する際の条件が異なることに起因して、測定値Lsとノミナル値Lnとの差の絶対値が大きくなることを防止することができる。その結果、テープフィーダ14がJOB情報に対応するものではないとの誤判定や、部品sが不良品であるとの誤判定を防止することができる。
【0037】
一方、部品sについて、周波数ωとインピーダンスZとの関係が既知である場合には、設定周波数ωaの交流信号が供給されることによって測定されたインピーダンスZaと上述の関係とに基づいて、規定周波数ωbの交流信号が供給された場合のインピーダンスを取得することも可能である。それに対して、本実施例においては、作業者によって、部品sに供給される交流電流の周波数として規定周波数ωbを入力することができる。そのため、より正確に部品sのインピーダンスを取得することができる。
また、作業者は、部品sの電気的特性が取得される際の交流電流の周波数、バイアス電流に、所望の値を入力することができる。例えば、部品sが実際に使用される場合の周波数、バイアス電流を入力したり、部品sが使用される場合の周波数の変動範囲、バイアス電流の変動範囲の上限値や下限値を入力したりすること等ができ、それぞれ、入力された条件において、電気的特性を取得することができる。
以上のように、作動者によって部品sの電気的特性が取得される場合の条件が入力可能とされることにより、電気的特性取得装置の使い勝手をよくすることができる。
【0038】
さらに、本実施例においては、部品載置部44が導電性を有する材料で製造されるとともに接地される。その結果、電気的特性の測定前に部品載置部44に載せられた部品sの除電を良好に行うことができ、部品sのインピーダンスを良好に測定することができる。
また、エア供給装置からイオン化されたエアが供給される場合には可動子36、固定子34の対向面36f、34fを電気的に中和させることが可能となり、次の部品sの電気的特性の測定精度を向上させることができる。
【0039】
なお、部品sは、コンデンサを含むものとすることもできる等、周波数によってインピーダンスが可変となる成分を備えたものであればよいのであり、部品sの構造は問わない。また、図8(a)において、部品sを、コイル160と抵抗162とが直列に設けられたものとして示したが、実際には、コンデンサ等の寄生成分を含むものである場合もある。
また、上記実施例においては、部品sに供給される交流電流の周波数、バイアス電流が調整される場合について説明したが、交流信号としての交流電圧の周波数、バイアス電圧が調整される場合においても同様に電気的特性を取得することができる。
さらに、LCR取得部42は、自動平衡ブリッジ法を利用するものに限らず、RF I-V法、ネットワーク解析法等を利用するものとすること等もできる。
また、電気的特性取得装置を装着機に取り付けることは不可欠ではなく、装着機とは別箇に用いることもできる等本発明は、前記実施形態に記載の態様の他、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した形態で実施することができる。
【符号の説明】
【0040】
22:LCR測定装置 34:固定子 36:可動子 34f,36f:対向面 40:保持台移動装置 41:可動子移動装置 42:LCR取得部 100:制御装置 102:コントローラ 116:ディスプレイ 130:交流信号発生装置 140:交流信号制御部 142:電気的特性演算部 150:交流電源 151:直流電源 152:周波数調整部 154:バイアス電流調整部 156:バイアス電流制御部 158:周波数制御部
【特許請求可能な発明】
【0041】
以下、特許請求可能な発明について説明する。
【0042】
(1)対象物に交流信号を供給して、前記対象物の電気的特性を取得する電気的特性取得装置であって、
前記対象物に供給される交流信号の大きさと周波数との少なくとも一方を表す情報である入力情報を、作業者の操作によって入力可能な操作入力部を含むことを特徴とする電気的特性取得装置。
操作入力部は、タッチパネルとしたり、マウスとしたり、キーとしたりすること等ができる。また、電気的特性装置が取り付けられた装着機の本体に設けても、装着機とは別に設けてもよい。
(2)当該電気的特性取得装置が、
前記対象物に供給する前記交流信号を発生させる交流信号発生装置と、
その交流信号発生装置を、前記操作入力部を介して入力された前記入力情報に基づいて制御して、前記対象物に供給される交流信号を制御する交流信号制御部と
を含み、前記交流信号制御部によって制御された前記交流信号を前記対象物に供給して、前記対象物の電気的特性を取得するものである(1)項に記載の電気的特性取得装置。
(3)前記入力情報が、前記交流信号の周波数を表す情報である入力周波数情報を含み、
前記交流信号発生装置が、前記交流信号の周波数を変更可能な周波数調整部を含み、
前記交流信号制御部が、前記周波数調整部を制御することにより前記交流信号の周波数を、前記入力周波数情報が表す前記周波数に近づける周波数制御部を含む(2)項に記載の電気的特性取得装置。
交流信号発生装置は、交流電源を含み、周波数調整部よって交流電源から出力される交流信号の周波数が変更される。交流信号は交流電流または交流電圧とすることができる。
(4)前記交流信号発生装置が、前記交流信号である交流電流のバイアス電流を変更可能なバイアス電流調整部を含み、
前記入力情報が、前記交流信号の大きさとしての前記交流電流のバイアス電流の大きさを表す入力バイアス電流情報を含み、
前記交流信号制御部が、前記バイアス電流調整部を制御して、前記交流電流のバイアス電流の大きさを、前記入力バイアス電流情報が表す前記バイアス電流の大きさに近づけるバイアス電流制御部を備えた(2)項または(3)項に記載の電気的特性取得装置。
交流信号発生装置が、直流電源と交流電源とを含み、直流電源から出力される直流電流の大きさがバイアス電流調整部によって調整されるのであり、交流信号発生装置から対象物に、バイアス電流調整部によって調整されたバイアス電流の交流電流が供給される。
バイアス電流とは、交流電流の振幅の中央値であり、交流電流はバイアス電流を中心に振動させられる。
(5)当該電気的特性取得装置が、
前記対象物に供給される電圧と、前記対象物に流れる電流との検出する交流信号検出部と、その交流信号検出部によって検出された前記電圧と前記電流とに基づいて、前記対象物の電気的特性を取得するLCR取得部とを含む(1)項ないし(4)項のいずれか1つに記載の電気的特性取得装置。
対象物に供給される電圧を、対象物に流れる電流で除することにより、インピーダンスが取得され、インピーダンスに基づいて、インダクタンス、キャパシタンス、レジスタンス等が取得される。交流信号検出部は、対象物に流れる電流を直接的に検出するものであっても、間接的に検出するものであってもよい。
(6)前記対象物がコイルを含み、
前記電気的特性取得装置が、前記対象物の前記電気的特性としてのインピーダンスを取得する (1)項ないし(5)項のいずれか1つに記載の電気的特性取得装置。
(7)当該電気的特性取得装置が、前記操作入力部を介して入力された前記入力情報を表示する報知装置を含む(1)項ないし(6)項のいずれか1つに記載の電気的特性取得装置。
報知装置は、ディスプレイとしたり、入力情報を表す音声信号を作成して出力する音声信号出力装置としたりすること等ができる。
(8)当該電気的特性取得装置が、部品供給装置によって供給された部品をピックアップして回路基板に装着する装着機に設けられたものであって、
前記部品を保持可能な保持台と、
互いに接近・離間可能とされるとともに、前記部品を挟む一対の測定子と、
前記保持台を移動させる保持台移動装置と、
その保持台移動装置を制御することにより、前記一対の測定子が前記保持台に保持された前記部品を把持するクランプ状態から、前記保持台を前記部品から設定値以上離間させて、前記部品の電気的特性を測定可能な測定状態とする保持台移動制御装置と
を含み、前記測定状態において、前記対象物としての前記部品に前記一対の測定子を介して前記交流信号を供給して、前記部品の電気的特性を取得するものである(1)項ないし(7)項のいずれか1つに記載の電気的特性取得装置。
保持台は、一対の測定子の接近・離間方向と平行な方向に移動可能としても、交差する方向に移動可能としてもよい。設定値は、例えば、保持台が導電性を有するものである場合において、保持台の影響が部品の電気的特性の測定に及び難い距離とすることができる。
【0043】
(9)対象物に交流信号を供給して、前記対象物の電気的特性を取得する電気的特性取得方法であって、
作業者が前記交流信号に関する情報を入力する入力工程と、
その入力工程において入力された前記情報である入力情報に基づいて前記対象物に供給される交流信号を制御する交流信号制御工程と、
その交流信号制御工程において制御された前記交流信号を前記対象物に供給して、前記対象物の電気的特性を取得する取得工程と
を含む電気的特性取得方法。
本項に記載の電気的特性取得方法は、(1)項ないし(8)項のいずれかに記載の電気的特性取得装置において実行され得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14