(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-08
(45)【発行日】2023-02-16
(54)【発明の名称】2-クロロ-5-トリフルオロメチルピリジンの作製方法
(51)【国際特許分類】
C07D 213/61 20060101AFI20230209BHJP
B01J 29/40 20060101ALI20230209BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20230209BHJP
【FI】
C07D213/61
B01J29/40
C07B61/00 300
(21)【出願番号】P 2021182617
(22)【出願日】2021-11-09
(62)【分割の表示】P 2020534907の分割
【原出願日】2018-12-05
【審査請求日】2021-11-09
(31)【優先権主張番号】201810009301.9
(32)【優先日】2018-01-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201810020465.1
(32)【優先日】2018-01-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201810009294.2
(32)【優先日】2018-01-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520217618
【氏名又は名称】浙江▲藍▼天▲環▼保高科技股▲ふん▼有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】520217629
【氏名又は名称】浙江省化工研究院有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】513016127
【氏名又は名称】中化藍天集団有限公司
【氏名又は名称原語表記】SINOCHEM LANTIAN CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.96, Jiangnan Avenue, Binjiang District, Hangzhou 310051, Zhejiang, China
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100130605
【氏名又は名称】天野 浩治
(72)【発明者】
【氏名】ユ ワンジン
(72)【発明者】
【氏名】リン シェンダ
(72)【発明者】
【氏名】リュウ ミンヤン
(72)【発明者】
【氏名】リュウ ウカン
(72)【発明者】
【氏名】チャン ジェンジュン
(72)【発明者】
【氏名】チェン シェンジン
【審査官】柳本 航佑
(56)【参考文献】
【文献】特表2020-522533(JP,A)
【文献】特表2021-508695(JP,A)
【文献】Production of 2-chloro-5-trifluoromethylpyridine and 3-trifluoromethylpyridine,化工学報,2015年12月,66巻,4843-4849
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 213/00-213/90
B01J 29/00- 29/90
C07B 61/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一触媒が存在する条件下で、第一反応温度を
200~300℃に維持し、3-トリフルオロメチルピリジンと塩素の気相を反応させて、2-クロロ-5-トリフルオロメチルピリジンを得るものであり、
前記第一触媒はZSM-5、5A、β及び13Xモレキュラーシーブから選ばれる少なくとも一つであり、
前記ZSM-5モレキュラーシーブにおいて、そのSi/Alは50~300であり、電荷平衡カチオンは、H
+、Na
+、K
+及びCa
2+から選ばれる少なくとも一つである、
ことを特徴とする2-クロロ-5-トリフルオロメチルピリジンの作製方法。
【請求項2】
前記ZSM-5モレキュラーシーブにおいて、そのSi/Alが80~200であり、電荷平衡カチオンが、H
+、Na
+及びK
+から選ばれる少なくとも一つである、ことを特徴とする請求項1に記載の2-クロロ-5-トリフルオロメチルピリジンの作製方法。
【請求項3】
前記3-トリフルオロメチルピリジンと塩素とのモル比が1:0.1~20である、ことを特徴とする請求項1に記載の2-クロロ-5-トリフルオロメチルピリジンの作製方法。
【請求項4】
前記3-トリフルオロメチルピリジンと塩素とのモル比が1:0.5~5である、ことを特徴とする請求項
3に記載の2-クロロ-5-トリフルオロメチルピリジンの作製方法。
【請求項5】
前記3-トリフルオロメチルピリジンと塩素との触媒層における接触時間が0.5~100秒である、ことを特徴とする請求項1に記載の2-クロロ-5-トリフルオロメチルピリジンの作製方法。
【請求項6】
前記3-トリフルオロメチルピリジンと塩素との触媒層における接触時間が15~70秒である、ことを特徴とする請求項
5に記載の2-クロロ-5-トリフルオロメチルピリジンの作製方法。
【請求項7】
前記反応が、固定床又は流動床反応器にて行われる、ことを特徴とする請求項1に記載の2-クロロ-5-トリフルオロメチルピリジンの作製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2-クロロ-5-トリフルオロメチルピリジンの作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
2-クロロ-5-トリフルオロメチルピリジンは、非常に重要な含フッ素ピリジン系の化学原料であり、医薬品、農業用化学品及び生物学的製剤のためのトリフルオロメチルピリジン系中間体の合成、例えば、2-アミノ-5-トリフルオロメチルピリジン、2-ヒドロキシ-5-トリフルオロメチルピリジン、2-メルカプト-5-トリフルオロメチルピリジン及び2,3-ジクロロ-5-トリフルオロメチルピリジン、殺虫剤ピリダリル、高効率除草剤フルアジホップPブチル(商品名:精穏殺得)、ポポネートメチル、及び高効率滅菌剤フルアジナムなどの重要中間体の合成に使用することができる。これらのフッ素含有農薬はいずれも広域浸透性、高効率かつ低毒性、優れた安全性、長い持続性などの長所を有し、世界中で幅広く応用されており、その市場の展望は開けたものとなっている。
【0003】
2-クロロ-5-トリフルオロメチルピリジンの作製について、既存技術では以下のとおり開示されている。
【0004】
(1)米国特許第4567273号明細書、中国特許第1316423号明細書、米国特許第4745193号明細書、及び英国特許第2045761号明細書は、2-クロロ-5-トリクロロメチルピリジンを原料液相として2-クロロ-5-トリフルオロメチルピリジンを作製する方法を開示している。この方法では、液相のフッ化工程を用いているため、設備の腐食が酷く、安全面に関し危険性があるといえ、触媒寿命が短く、処理が難しく、産業廃棄物の量が多いなどの問題がある。
【0005】
(2)欧州特許第0013474号明細書、米国特許第4448967号明細書、及び中国特許第201510047137号明細書は、3-トリフルオロメチルピリジンを原料として、気相で2-クロロ-5-トリフルオロメチルピリジンを作製する方法を開示している。そのうち、欧州特許第0013474号明細書は、380℃の温度下で3-トリフルオロメチルに対する気相熱塩素化反応を通じて2-クロロ-5-トリフルオロメチルピリジンを作製し、収率が67%であることを開示している。中国特許第201510047137号明細書は活性炭に担持された塩化第二鉄を触媒とし、420℃の温度下で、3-トリフルオロメチルピリジンに対する触媒塩素化反応を通じて、2-クロロ-5-トリフルオロメチルピリジンを作製する方法を開示しているが、2-クロロ-5-トリフルオロメチルピリジンの収率は開示されていない。
【0006】
(3)米国特許第4288599号明細書と米国特許第4417055号明細書は、3-メチルピリジンを原料として2-クロロ-5-トリフルオロメチルピリジンを作製する方法を開示している。そのうち、米国特許第4288599号明細書では、固定床一段法を用い、最高収率が42%であり、米国特許第4417055号明細書では、反応温度は400℃で、最高収率は53.2%である。この方法では、原料の利用率が低く、産業廃棄物の量が多く、エネルギー消費が大きいなどの問題がある。
【0007】
上記作製方法では、触媒の選択性や活性が低いため、反応温度が高く、原料の利用率が低く、産業廃棄物の量が多いなどの問題がある。そのため、選択性と収率が高く、エネルギー消費が小さい2-クロロ-5-トリフルオロメチルピリジンの作製方法の開発が必要である。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、原料が安価で入手し易く、操作が安全で、生成物の収率が高く、触媒を分離・回収し易く、環境に優しく、反応速度が速く、連続且つ大量生産が可能であるなどの特徴を具備した2-クロロ-5-トリフルオロメチルピリジンの作製方法を提供することを目的とする。
【0009】
本発明の前記各種生成物と反応物の省略記号:
3-TF:3-トリフルオロメチルメチルピリジン(3-trifluoromethylpyridine)
3-MP:3-メチルピリジン(3-methylpyridine)
2,5-CTF:2-クロロ-5-トリフルオロメチルピリジン(2-chloro-5-trifluoromethylpyridine)
2,3-CTF:2-クロロ-3-トリフルオロメチルピリジン(2-chloro-3-trifluoromethylpyridine)
2,6,3-DCTF:2,6-クロロ-3-トリフルオロメチルピリジン(2,6-dichloro-3-trifluoromethylpyridine)
【0010】
(1)塩化フッ化反応:塩化フッ化触媒の作用下で、塩化フッ化温度を150~320℃に維持しながら、3-メチルピリジン、塩素、及びフッ化水素を塩化フッ化反応エリアに導入して、3-トリフルオロメチルピリジンを含む混合ガスを得ること、ならびに
(2)塩素化反応:塩素化触媒の作用下で、塩素化温度を220~380℃に維持しながら、工程(1)から得た3-トリフルオロメチルピリジンを含む混合ガスを塩素化反応エリアに導入して、2-クロロ-5-トリフルオロメチルピリジンを得るものであり、前記塩素化触媒は、マグネシウム、カルシウム及びバリウムのフッ化物、酸化物、水酸化物、炭酸塩又は塩化物と、活性炭、酸化アルミニウム又はフッ化アルミニウム上に担持されたパラジウム触媒とから選ばれること、
を含む二段法からなる、2-クロロ-5-トリフルオロメチルピリジンの作製方法。
【0011】
本発明により提供される上記作製方法は二段法の反応であり、塩化フッ化反応工程と塩素化反応工程とが含まれる。そのうち、塩化フッ化反応工程には、塩化フッ化触媒が使用される。
【0012】
前記塩化フッ化触媒は、本分野でよく使用される塩化フッ化触媒を使用することができる。
【0013】
好ましい態様では、前記塩化フッ化触媒は、主触媒、第一助触媒、及び第二助触媒を含み、前記主触媒は、アルミニウム、マグネシウム、及びクロムから選ばれる少なくとも一つであり、前記第一助触媒は、鉄、コバルト、マンガン、ニッケル、銅、ビスマス、及び亜鉛から選ばれる少なくとも一つであり、前記第二助触媒は、ランタン、セリウム、バリウム、カルシウム、ナトリウム、及びカリウムから選ばれる少なくとも一つである。
【0014】
さらに好ましい態様では、前記塩化フッ化触媒において、主触媒はアルミニウム及び/又はクロムであり、第一助触媒は、鉄、ニッケル、及び銅から選ばれる少なくとも一つであり、前記第二助触媒は、ランタン、バリウム、及びカルシウムから選ばれる少なくとも一つである。
【0015】
前記塩化フッ化触媒において、前記主触媒、前記第一助触媒及び前記第二助触媒の三者間の配合比は、反応が順調に進むものであればよい。
【0016】
好ましくは、前記主触媒、前記第一助触媒及び前記第二助触媒の三者間のモル比は50~95:5~42:0.3~8である。
【0017】
さらに好ましくは、前記主触媒、前記第一助触媒及び前記第二助触媒の三者間のモル比は75~90:10~20:1~5である。
【0018】
本発明によって提供される作製方法では、工程(1)の塩化フッ化反応において、原料の3-メチルピリジン、塩素及びフッ化水素間の配合比は、反応が順調に進むものであればよい。
【0019】
好ましくは、前記3-メチルピリジン、塩素及びフッ化水素の三者間のモル比は1:0.1~50:1~30である。
【0020】
さらに好ましくは、前記3-メチルピリジン、塩素及びフッ化水素の三者間のモル比は1:4~10:3~12である。
【0021】
ここで、原料の3-メチルピリジンは、直接ガスの形態で反応に加えることができ、不活性ガスで希釈して混合ガスの形態で反応に加えることもできる。
【0022】
好ましくは、3-メチルピリジンは、不活性ガスで希釈した混合ガスである。
【0023】
ここで、3-メチルピリジンを不活性ガスで希釈した後の混合ガス中の割合は、反応が順調に進むものであればよい。
【0024】
好ましくは、前記3-メチルピリジンと不活性ガスとのモル比は1:0.5~50である。
【0025】
さらに好ましくは、前記3-メチルピリジンと不活性ガスとのモル比は1:5~20である。
【0026】
本発明によって提供される作製方法では、工程(1)の塩化フッ化反応において、原料の3-メチルピリジン、塩素及びフッ化水素と触媒との接触時間は、反応が順調に進むものであればよい。
【0027】
好ましくは、前記3-メチルピリジン、塩素及びフッ化水素と触媒との接触時間は0.5~40秒である。
【0028】
さらに好ましくは、前記3-メチルピリジン、塩素及びフッ化水素と触媒との接触時間は1.5~20秒である。
【0029】
本発明によって提供される作製方法では、工程(2)の塩素化反応において、使用される塩素化触媒は、マグネシウム、カルシウム及びバリウムのフッ化物、酸化物、水酸化物、炭酸塩又は塩化物と、活性炭、酸化アルミニウム又はフッ化アルミニウム上に担持されたパラジウム触媒とから選ばれる。
【0030】
前記マグネシウム、カルシウム及びバリウムのフッ化物、酸化物、水酸化物、炭酸塩と塩化物は、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カリウム、炭酸バリウム、塩化マグネシウム、塩化カリウム、塩化バリウムであってよい。
【0031】
前記活性炭、酸化アルミニウム又はフッ化アルミニウム上に担持された担持型パラジウム触媒は、活性炭素上に担持された担持型パラジウム触媒、酸化アルミニウム上に担持された担持型パラジウム触媒、フッ化アルミニウム上に担持された担持型パラジウム触媒であってよい。
【0032】
好ましくは、前記塩素化触媒は、マグネシウム及びカルシウムの、フッ化物、酸化物又は塩化物と、活性炭又はフッ化アルミニウム上に担持された担持型パラジウム触媒と、から選ばれる。
【0033】
本発明によって提供される作製方法では、工程(2)の塩素化反応において、3-トリフルオロメチルピリジンを含む混合ガスと塩素化触媒との接触時間は、反応が順調に進むものであればよい。
【0034】
好ましくは、前記3-トリフルオロメチルピリジンを含む前記混合ガスと塩素化触媒との接触時間は0.5~40秒である。
【0035】
さらに好ましくは、前記3-トリフルオロメチルピリジンを含む前記混合ガスと塩素化触媒との接触時間は1.5~20秒である。
【0036】
本発明によって提供される作製方法は二段式法であり、塩化フッ化反応工程と塩素化反応工程とを含み、二工程間の温度管理は反応結果に影響を及ぼす。
【0037】
好ましくは、前記塩化フッ化温度は150~320℃であり、塩素化温度は220~380℃である。
【0038】
さらに好ましくは、前記塩化フッ化温度は220~260℃であり、塩素化温度は270~320℃である。
【0039】
本発明によって提供される作製方法は、好ましくは固定床又は流動床反応器にて行われる。
【0040】
本発明によって提供される作製方法において、各化合物収率の計算式は以下のとおりである。
生成物iの収率:Yi=(mi/Mi)/(m3-MP/M3-MP)*100%
その他の生成物の収率:Yその他=(1-ΣYi)*100%
【0041】
ここで、iは3-TF、2,5-CTF、2,3-CTF、2,6,3-DCTFの四つの物質であり、その他の生成物は側鎖メチル基の塩化フッ化不十分や、環上の過塩素化などの副生成物、及び実験中消失する物質である。所定の反応条件において、以下実施例中の3-メチルピリジンの転化率はいずれも100%であるので、本発明中の生成物iの収率は、生成物iの選択性である。
【0042】
上記方法は、先行技術に対して次の利点を有する。塩化フッ化触媒と塩素化触媒とを設計し、これらを用いることにより、目標生成物2-クロロ-5-トリフルオロメチルピリジンの選択性と収率を向上し、2-クロロ-5-トリフルオロメチルピリジンの選択性と収率は76.7%にも達している。第一段反応エリアから出るガスは直接第二段反応エリアに入り、冷却や分離、再気化の操作が不要であるため、操作が簡単で、エネルギー消費も小さい。また、二段式であることによって、各段の反応温度が低くなり、副生成物の含有量も少なくなる。
【0043】
本発明は、原料の転化率と目標生成物の選択性が高く、反応温度が低く、エネルギー消費が小さく、分離が容易であり、有機溶媒や誘発剤及び光塩素化反応器設備など用いる必要がない、2-クロロ-5-トリフルオロメチルピリジンの作製方法を提供することを目的とする。
【0044】
本発明によって提供される2-クロロ-5-トリフルオロメチルピリジンの作製方法の化学反応式は、以下の通りである。
【0045】
【0046】
2-クロロ-5-トリフルオロメチルピリジンの作製方法は、第一触媒が存在する条件下で、反応温度を150~350℃に維持し、3-トリフルオロメチルピリジンと塩素の気相を反応させて、2-クロロ-5-トリフルオロメチルピリジンを得るものであり、前記第一触媒はZSM-5、5A,β、及び13Xモレキュラーシーブから選ばれる少なくとも一つであり、前記ZSM-5モレキュラーシーブにおいて、そのSi/Alは50~300、電荷平衡カチオンは、H+、Na+、K+、及びCa2+から選ばれる少なくとも一つである。
【0047】
本発明によって提供される作製方法において、使用される第一触媒はZSM-5、5A,β、及び13Xモレキュラーシーブから選ばれる少なくとも一つである。
【0048】
前記第一触媒がZSM-5モレキュラーシーブである場合、好ましい態様では、そのSi/Alは50~300であり、電荷平衡カチオンは、H+、Na+、K+、及びCa2+から選ばれる少なくとも一つである。
【0049】
さらに好ましい態様では、前記ZSM-5モレキュラーシーブにおいて、そのSi/Alは80~200であり、電荷平衡カチオンは、H+、Na+及びK+から選ばれる少なくとも一つである。
【0050】
本発明によって提供される作製方法において、反応温度は反応が順調に進むものであればよい。
【0051】
好ましくは、前記反応温度は150~350℃である。
【0052】
さらに好ましくは、前記反応温度は200~300℃である。
【0053】
本発明によって提供される作製方法において、3-トリフルオロメチルピリジンと塩素とのモル比は反応が順調に進むものであればよい。
【0054】
好ましくは、前記3-トリフルオロメチルピリジンと塩素とのモル比は1:0.1~20である。
【0055】
さらに好ましくは、前記3-トリフルオロメチルピリジンと塩素とのモル比は1:0.5~5である。
【0056】
本発明によって提供される作製方法において、3-トリフルオロメチルピリジンと塩素との触媒層における接触時間は反応が順調に進むものであればよい。
【0057】
好ましくは、前記3-トリフルオロメチルピリジンと塩素との触媒層における接触時間は0.5~100秒である。
【0058】
さらに好ましくは、前記3-トリフルオロメチルピリジンと塩素との触媒層における接触時間は15~70秒である。
【0059】
本発明によって提供される作製方法において、前記反応は、固定床又は流動床反応器にて行うことができる。
【0060】
好ましくは、前記反応は、流動床反応器にて行われる。
【0061】
反応器の材質には、石英管やインコネル合金などを使用することができる。
【0062】
上記方法は、先行技術に対して次の利点を有する。目標生成物2-クロロ-5-トリフルオロメチルピリジンの選択性が高く、アトムエコノミーが高い。原料の3-トリフルオロメチルピリジンは直接供給され、有機希釈剤が不要であり、希釈剤に対する余分の気化と分離が不要であり、反応温度が低く、エネルギー消費が小さい。
【0063】
本発明は、原料の転化率と目標生成物の選択性が高く、反応温度が低く、エネルギー消費が小さく、分離が容易で、有機溶媒や誘発剤及び光塩素化反応器などを用いる必要がない、2-クロロ-5-トリフルオロメチルピリジンの作製方法を提供することを目的とする。
【0064】
本発明によって提供される2-クロロ-5-トリフルオロメチルピリジンの作製方法の化学反応式は、以下の通りである。
【0065】
【0066】
2-クロロ-5-トリフルオロメチルピリジンの作製方法は、第二触媒が存在する条件下で、反応温度を220~360℃に維持して、3-トリフルオロメチルピリジンと塩素の気相を触媒層に導入して、2-クロロ-5-トリフルオロメチルピリジンを得るものであり、前記第二触媒は、マグネシウム、カルシウム及びバリウムのフッ化物、酸化物、水酸化物、炭酸塩又は塩化物と、活性炭、酸化アルミニウム又はフッ化アルミニウムに担持された担持型パラジウム触媒とから選ばれる。
【0067】
本発明によって提供される作製方法において、使用される第二触媒は、マグネシウム、カルシウム及びバリウムのフッ化物、酸化物、水酸化物、炭酸塩又は塩化物と、活性炭や酸化アルミニウム又はフッ化アルミニウムに担持された担持型パラジウム触媒とから選ばれる。
【0068】
前記マグネシウム、カルシウム及びバリウムのフッ化物、酸化物、水酸化物、炭酸塩及び塩化物は、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化バリウムであってよい。
【0069】
前記活性炭、酸化アルミニウム又はフッ化アルミニウムに担持された担持型パラジウム触媒は、フッ化アルミニウム上に担持された担持型パラジウム触媒であってよい。
【0070】
好ましい態様では、前記第二触媒は、マグネシウム及びカルシウムのフッ化物、酸化物又は塩化物と、活性炭又はフッ化アルミニウム上に担持されるパラジウム触媒とから選ばれる。
【0071】
使用される第二触媒が、活性炭、酸化アルミニウム又はフッ化アルミニウム上に担持される担持型パラジウム触媒である場合、パラジウムの触媒中における質量百分比は反応が順調に進むものであればよい。
【0072】
好ましくは、前記パラジウムの触媒中における質量百分比は0.1~10重量%である。
【0073】
さらに好ましくは、前記パラジウムの触媒中における質量百分比は0.5~3重量%である。
【0074】
使用される第二触媒が、活性炭、酸化アルミニウム又はフッ化アルミニウム上に担持される担持型パラジウム触媒である場合、好ましい態様では、使用の前に活性化前処理が行われる。
【0075】
前記活性化前処理は、窒素及び/又は塩素を用いて、120~350℃の温度下で、担持型パラジウム触媒に対して行われる活性化前処理であってよい。
【0076】
本発明によって提供される作製方法において、反応温度は、反応が順調に進むものであればよい。
【0077】
好ましくは、前記反応温度は、220~360℃である。
【0078】
さらに好ましくは、前記反応温度は、270~320℃である。
【0079】
本発明によって提供される作製方法において、3-トリフルオロメチルピリジンと塩素とのモル比は、反応が順調に進むものであればよい。
【0080】
好ましくは、前記3-トリフルオロメチルピリジンと塩素とのモル比は1:0.1~50である。
【0081】
さらに好ましくは、前記3-トリフルオロメチルピリジンと塩素とのモル比は1:4~10である。
【0082】
本発明によって提供される作製方法において、3-トリフルオロメチルピリジン及び塩素の触媒層における接触時間は、反応が順調に進むものであればよい。
【0083】
好ましくは、前記3-トリフルオロメチルピリジン及び塩素の触媒層における接触時間は1~60秒である。
【0084】
さらに好ましくは、前記3-トリフルオロメチルピリジン及び塩素の触媒層における接触時間は5~30秒である。
【0085】
本発明によって提供される作製方法において、前記反応は、固定床又は流動床反応器にて行うことができる。
【0086】
好ましくは、前記反応は、流動床反応器にて行われる。
【0087】
本発明によって提供される作製方法において、合成された生成物を、水洗、アルカリ洗浄及び蒸留することによって、オイル状物である、2-クロロ-5-トリフルオロメチルピリジンが得られる。
【0088】
上記方法は、先行技術に対して次の利点を有する。目標生成物2-クロロ-5-トリフルオロメチルピリジンの選択性とアトムエコノミーが高く、原料の3-トリフルオロメチルピリジンは直接供給され、有機希釈剤が不要であり、希釈剤に対する余分の気化と分離が不要であり、反応温度が低く、エネルギー消費が小さい。
【発明を実施するための形態】
【0089】
次に、具体的な実施例を挙げて本発明をさらに説明するが、本発明はこれらの具体的な実施例に限定されるものではない。当業者は、特許請求の範囲に含まれ得るすべての代替案、改良案及び均等案はいずれも本発明の範囲に属していることを理解すべきである。
【0090】
実施例1
内径が30mm、高さが600mmの加熱炉のオーブンを用い、上下両段の温度をそれぞれコントロールした。上段を塩化フッ化反応エリアとし、下段を塩素化反応エリアとした。内径が19mm、長さが700mmのステンレス鋼製の反応管を用いた。上下両段の触媒装填高さはいずれも140mmであり、上下両段触媒層をそれぞれ上下両段加熱炉の定温エリア内に置いた。塩化フッ化触媒層を55.5%MgF2-40.0%Co2O3-0.55%CeO2(55.5%、40%、0.5%は金属原子のモル百分比であり、各構成分の金属原子モル数と金属原子モル数総和との比であり、塩化フッ化触媒の構成分はいずれも金属原子のモル比で表す。以下同様)の触媒で構成し、触媒を直径3mm、高さ4mmのカラム状に成形した。塩素化触媒層を1%Pd/活性炭(1%は金属パラジウムの焼成後、触媒中に占める質量比であり、担持型塩素化触媒の構成はいずれも金属原子の質量が触媒の総質量に占める比率で表す。以下同様)の触媒で構成し、触媒を直径3mm、高さ4mmのカラム状に成形した。
【0091】
塩化フッ化反応エリアを235℃まで加熱し、塩素化反応エリアを290℃まで加熱した。無水フッ化水素の供給速度を10.00g/h(0.500mol/h)にコントロールし、HFを3時間導入して触媒を活性化した後、窒素をキャリアガスとして気化済み3-トリフルオロメチルピリジンと塩素を反応管に導入した。このとき、3-トリフルオロメチルピリジンの流量を4.00g/h(0.043 mol/h)、塩素の流量を7.7 L/h(0.344mol/h)、窒素の流量を12.0L/h(0.536mol/h)にコントロールした。また、反応物の供給モル比を3-トリフルオロメチルピリジン:塩素:フッ化水素:窒素=1:8:11.6:12.5にした。すべての原料反応物と塩化フッ化触媒層及び塩素化触媒層との接触時間はいずれも4.5秒とし、8時間反応させた。
【0092】
反応管から排出されたガスを水洗塔とアルカリ洗浄塔に導入して凝縮させた。得られたオイル層を分離してアンモニア水で中和させるとともに、水蒸気蒸留してオイル状物を得た。得られたオイル状物を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後の質量は63.04gであり、ガスクロマトグラフィー内部標準法で定量分析を行った結果、2,5-CTFの質量含有量は70.8%、反応収率は71.5%(3-MPに基づいて算出、以下同様)であった。
【0093】
実施例2
実施例1において、前記反応管上段に55.5%MgF2-40%ZnO-0.5%K2O触媒を装填し、触媒を直径3mm、高さ4mmのカラム状に成形し、下段に2%Pd/活性炭触媒を装填し、触媒を直径3mm、高さ4mmのカラム状に成形した。
【0094】
塩化フッ化反応エリアを265℃まで加熱し、塩素化反応エリアを320℃まで加熱した。無水フッ化水素の供給速度を10.00g/h(0.500mol/h)にコントロールし、HFを3時間導入して触媒を活性化した後、窒素をキャリアガスとして気化済み3-トリフルオロメチルピリジンと塩素を反応管に導入した。このとき、3-トリフルオロメチルピリジンの流量を4.00g/h(0.043 mol/h)、塩素の流量を7.7L/h(0.344mol/h)、窒素の流量を12.0L/h(0.536 mol/h)にコントロールした。また、反応物の供給モル比を3-トリフルオロメチルピリジン:塩素:フッ化水素:窒素=1:8:11.6:12.5にした。すべての原料反応物と塩化フッ化触媒層及び塩素化触媒層との接触時間はいずれも4.5秒とし、8時間反応させた。
【0095】
反応管から排出されたガスを実施例1と同様の方法で処理し、オイル状物64.35gを得た。ガスクロマトグラフィー分析により、2,5-CTFの質量含有量は65.7%、反応収率は67.8%であった。
【0096】
実施例3
実施例1において、前記反応管上段に77.0%MgF2-20.0%Bi2O3-2.0%Na2O触媒を装填し、触媒を直径3mm、高さ4mmのカラム状に成形し、下段にMgF2触媒を装填し、触媒を直径3mm、高さ4mmのカラム状に成形した。
【0097】
塩化フッ化反応エリアを220℃まで加熱し、塩素化反応エリアを280℃まで加熱した。無水フッ化水素の供給速度を10.00g/h(0.500mol/h)にコントロールし、HFを3時間導入して触媒を活性化した後、窒素をキャリアガスとして気化済み3-トリフルオロメチルピリジンと塩素を反応管に導入した。このとき、3-トリフルオロメチルピリジンの流量を4.00g/h(0.043mol/h)、塩素の流量を7.7L/h(0.344mol/h)、窒素の流量を12.0L/h(0.536mol/h)にコントロールした。また、反応物の供給モル比を3-トリフルオロメチルピリジン:塩素:フッ化水素:窒素=1:8:11.6:12.5にした。すべての原料反応物と塩化フッ化触媒層及び塩素化触媒層との接触時間はいずれも4.5秒とし、8時間反応させた。
【0098】
反応管から排出されたガスを実施例1と同様の方法で処理した。オイル状物61.94gを得た。ガスクロマトグラフィー分析により、2,5-CTFの質量含有量は77.2%、反応収率は76.7%であった。
【0099】
実施例4
実施例1において、前記反応管上段に85.0%CrF3-10.0%CuO-5.0%La2O3触媒を装填し、触媒を直径3mm、高さ4mmのカラム状に成形し、下段にMgO触媒を装填し、触媒を直径3mm、高さ4mmのカラム状に成形した。
【0100】
塩化フッ化反応エリアを235℃まで加熱し、塩素化反応エリアを300℃まで加熱した。無水フッ化水素の供給速度を10.32g/h(0.516mol/h)にコントロールし、HFを3時間導入して触媒を活性化した後、窒素をキャリアガスとして気化済み3-トリフルオロメチルピリジンと塩素を反応管に導入した。このとき、3-トリフルオロメチルピリジンの流量を4.00g/h(0.043 mol/h)、塩素の流量を8.7L/h(0.387mol/h)、窒素の流量を12.0L/h(0.536mol/h)にコントロールした。また、反応物の供給モル比を3-トリフルオロメチルピリジン:塩素:フッ化水素:窒素=1:9:12:12.5にした。すべての原料反応物と塩化フッ化触媒層及び塩素化触媒層との接触時間はいずれも4.0秒とし、6時間反応させた。
【0101】
反応管から排出されたガスを実施例1と同様の方法で処理した。オイル状物40.50gを得た。ガスクロマトグラフィー分析により、2,5-CTFの質量含有量は69.7%、反応収率は74.5%であった。
【0102】
実施例5~7
触媒を除いて、すべての操作条件は実施例3と同様とした。実施例5において、反応管の上段に90.0%CrF3-8.0%Fe2O3-2.0%La2O3触媒を、下段にBaCl2触媒を装填し、実施例6において、反応管の上段に90.0%AlF3-8.0%NiO-2.0%BaO触媒を、下段にCaCl2触媒を装填し、実施例7において、反応管の上段に90.0%CrF3-8.0%NiO-2.0%Na2O触媒を、下段に1.5%Pd/活性炭触媒を装填した。
【0103】
反応によってそれぞれ64.30g、65.34g、64.80gのオイル状物を得、それに対するガスクロマトグラフィー分析結果、2,5-CTFの質量含有量はそれぞれ73.2%、69.9%、73.3%、反応収率はそれぞれ75.5%、73.2%、76.1%であった。
【0104】
実施例8
内径が35mm、高さが500mmの加熱炉のオーブンを用い、上下両段の温度をそれぞれコントロールした。下段を塩化フッ化反応エリアとし、上段を塩素化反応エリアとした。反応管の材質はインコネル合金であり、反応管の内径は30mm、長さは600mmであった。反応管の下段に60mL85%AlF3-10%Mn2O3-5%BaO(平均粒径0.15mm)塩化フッ化触媒を装填し、静止層の高さを89mmとし、反応管の上段に60mL1%Pd/活性炭(平均粒径0.15mm)塩素化触媒を装填し、静止層の高さを89mmとした。反応器の底部と反応器の中央部に分布板を設置して、気流分布と触媒の隔離と支持に用いた。窒素で235℃にて1h流動させた後、8.59g/h(0.430mol/h)の供給速度でHFを4h導入し、触媒に対するフッ化を行った。その後、窒素をキャリアガスとして気化済み3-トリフルオロメチルピリジンと塩素を反応管に導入した。このとき、3-トリフルオロメチルピリジンの流量を4.00g/h(0.043mol/h)、塩素の流量を5.77L/h(0.258mol/h)、窒素の流量を9.62L/h(0.430mol/h)にコントロールした。また、反応物の供給モル比を3-トリフルオロメチルピリジン:塩素:フッ化水素:窒素=1:6:10:10にした。すべての原料反応物と塩化フッ化触媒層及び塩素化触媒層との接触時間はいずれも5.5秒とし、24時間反応させた。
【0105】
反応管から排出されたガスを水洗塔とアルカリ洗浄塔に導入して凝縮させた。得られたオイル層を分離してアンモニア水で中和させるとともに、水蒸気蒸留してオイル状物を得た。得られたオイル状物を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後の質量は166.49gであり、ガスクロマトグラフィー内部標準法で定量分析を行った結果、2,5-CTFの質量含有量は67.3%、反応収率は73.9%であった。
【0106】
実施例9
触媒を除いて、その他の条件は実施例8と同様とした。反応管の下段に60mL90%AlF3-9%ZnCl2-1%CaO(平均粒径0.15mm)塩化フッ化触媒を装填し、反応管の上段に60mL1%Pd/Al2O3(平均粒径0.15mm)塩素化触媒を装填した。生成物処理と分析方法は実施例8と同様であり、オイル状物158.90gを得たが、2,5-CTFの質量含有量は68.8%、反応収率は72.1%であった。
【0107】
実施例10
内径25mm、長さ800mmであるステンレス管を固定床反応器とし、体積40mL、粒度が5~10メッシュ、Si/Alが100であるHZSM-5(H+を電荷平衡カチオンとする)モレキュラーシーブを固定床反応器の中央部に装填して、反応管ラインを連結し、窒素を100mL/分の流量でパージして導入した。反応炉の温度を5℃/分の速度で290℃まで上げ、触媒層が反応温度に達すると、窒素のパージを停止して、塩素をパージして導入すると同時に、固定床反応器に連続で3-トリフルオロメチルピリジンを導入して、反応を開始させた。反応原料の3-トリフルオロメチルピリジンと塩素とのモル比を1:2とし、反応物の触媒層における接触時間を30.9秒とした。反応生成物を氷浴にて凝縮させた後、捕集ボトル中に回収してオイル状物を得た。反応が終わると、水洗・アルカリ洗浄によってオイル状物中の酸を除去した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後蒸留を行い、GC-MSで蒸留成分に対する定性分析を行い、ガスクロマトグラフィー内部標準法で蒸留成分に対する定量分析を行った。
【0108】
定量分析による反応結果は、3-トリフルオロメチルピリジンの転化率が98.7%、2-クロロ-5-トリフルオロメチルピリジンの選択性が93.8%であった。
【0109】
実施例11
触媒を除いて、その他の条件は実施例10と同様とし、触媒は5Aモレキュラーシーブを使用した。
【0110】
定量分析による反応結果は、3-トリフルオロメチルピリジンの転化率が89.2%、2-クロロ-5-トリフルオロメチルピリジンの選択性が89.0%であった。
【0111】
実施例12
触媒を除いて、その他の条件は実施例10と同様とし、触媒は13Xモレキュラーシーブを使用した。
【0112】
定量分析による反応結果は、3-トリフルオロメチルピリジンの転化率が91.5%、2-クロロ-5-トリフルオロメチルピリジンの選択性が88.3%であった。
【0113】
実施例13
触媒を除いて、その他の条件は実施例10と同様とし、触媒はβモレキュラーシーブを使用した。
【0114】
定量分析による反応結果は、3-トリフルオロメチルピリジンの転化率が92.3%、2-クロロ-5-トリフルオロメチルピリジンの選択性が89.2%であった。
【0115】
実施例14
温度を除いて、その他の条件は実施例10と同様とし、反応温度は350℃とした。
【0116】
定量分析による反応結果は、3-トリフルオロメチルピリジンの転化率が99.9%、2-クロロ-5-トリフルオロメチルピリジンの選択性が87.1%であった。
【0117】
実施例15
反応管の材質をインコネル合金とし、反応管の内径を30mm、長さを400mmとした。反応管の中に平均粒度が0.15mm、Si/Alが100であるHZSM-5モレキュラーシーブを60mL装填し、窒素で235℃にて1h流動させた後、反応炉の温度を5℃/分の速度で290℃まで上げ、触媒層が反応温度に達すると、窒素のパージを停止して、塩素をパージして導入すると同時に、固定床反応器に連続で3-トリフルオロメチルピリジンを導入して、反応を開始した。反応原料の3-トリフルオロメチルピリジンと塩素とのモル比を1:2とし、反応物の触媒層における接触時間を58.5秒とした。反応生成物を氷浴にて凝縮させた後、捕集ボトル中に回収してオイル状物を得た。反応が終わると、水洗・アルカリ洗浄によってオイル状物中の酸を除去した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後蒸留を行い、GC-MSで蒸留成分に対する定性分析を行い、ガスクロマトグラフィー内部標準法で蒸留成分に対する定量分析を行った。
【0118】
定量分析による反応結果は、3-トリフルオロメチルピリジンの転化率が97.9%、2-クロロ-5-トリフルオロメチルピリジンの選択性が94.5%であった。
【0119】
実施例16
触媒を除いて、その他の条件は実施例15と同様とし、触媒はSi/Al=50であるHZSM-5モレキュラーシーブを使用した。
【0120】
定量分析による反応結果は、3-トリフルオロメチルピリジンの転化率が99.0%、2-クロロ-5-トリフルオロメチルピリジンの選択性が90.1%であった。
【0121】
実施例17
触媒を除いて、その他の条件は実施例15と同様とし、触媒はSi/Al=100であるNaZSM-5(Na+を電荷平衡カチオンとする)モレキュラーシーブを使用した。
【0122】
定量分析による反応結果は、3-トリフルオロメチルピリジンの転化率が95.7%、2-クロロ-5-トリフルオロメチルピリジンの選択性が92.5%であった。
【0123】
実施例18
触媒を除いて、その他の条件は実施例15と同様とし、触媒はSi/Al=100であるKZSM-5(K+を電荷平衡カチオンとする)モレキュラーシーブを使用した。
【0124】
定量分析による反応結果は、3-トリフルオロメチルピリジンの転化率が92.3%、2-クロロ-5-トリフルオロメチルピリジンの選択性が92.0%であった。
【0125】
実施例19
触媒を除いて、その他の条件は実施例15と同様とし、触媒はSi/Al=100であるCaZSM-5(Ca2+を電荷平衡カチオンとする)モレキュラーシーブを使用した。
【0126】
定量分析による反応結果は、3-トリフルオロメチルピリジンの転化率が94.4%、2-クロロ-5-トリフルオロメチルピリジンの選択性が88.1%であった。
【0127】
実施例20
塩素の配合比を除いて、その他の条件は実施例10と同様とし、原料3-トリフルオロメチルピリジンと塩素とのモル比は1:10とした。
【0128】
定量分析による反応結果は、3-トリフルオロメチルピリジンの転化率が98.5%、2-クロロ-5-トリフルオロメチルピリジンの選択性が85.2%であった。
【0129】
比較例1
実施例10の触媒をSi/Alが22であるHZSM-5モレキュラーシーブに替え、その他の条件は変えなかった。
【0130】
定量分析による反応結果は、3-トリフルオロメチルピリジンの転化率は99.9%であったものの、目標生成物2-クロロ-5-トリフルオロメチルピリジンの選択性は僅か47.3%しかなかった。
【0131】
比較例2
中国特許第104610137号明細書中に開示されているFeCl3/活性炭触媒を触媒とし、反応温度を250℃にコントロールし、その他の操作条件は実施例10と同じとした。
【0132】
定量分析による反応結果は、3-トリフルオロメチルピリジンの転化率は96.2%であったが、目標生成物2-クロロ-5-トリフルオロメチルピリジンの選択性は僅か20.2%しかなかった。
【0133】
実施例21
加熱炉のオーブンの内径を30mm、高さを600mmとし、反応管の内径は19mm、長さは700mm、材質はステンレス製、触媒装填高さは140mmとした。触媒層を1%Pd/活性炭(1%は金属パラジウムの焼成後の触媒中に占める質量比であり、担持型塩化フッ化触媒の構成はいずれも金属原子質量が触媒総質量中に占める比率で表す、以下同様)の触媒で構成し、触媒を直径3mm、高さ4mmのカラム状に成形した。反応エリアを290℃に加熱し、気化済み3-トリフルオロメチルピリジンと塩素を反応管に導入した。このとき、3-トリフルオロメチルピリジンの流量を6.33g/h(0.043mol/h)にコントロールし、塩素の流量を7.7L/h(0.344mol/h)にコントロールした。反応物の供給モル比は3-トリフルオロメチルピリジン:塩素=1:8とし、すべての原料反応物と触媒層との接触時間は16.5秒とし、8時間反応させた。
【0134】
反応管から排出されたガスを水洗塔とアルカリ洗浄塔に導入して凝縮させた。得られたオイル層を分離してアンモニア水で中和させるとともに、水蒸気蒸留してオイル状物を得た。得られたオイル状物を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後の質量は66.28gであり、ガスクロマトグラフィー内部標準法で定量分析を行った結果、2-クロロ-5-トリフルオロメチルピリジンの質量含有量は88.7%、収率は94.1%(3-トリフルオロメチルピリジンに基づいて算出、以下同様)であった。
【0135】
実施例22
実施例21において、前記反応管内には2%Pd/活性炭触媒を装填し、触媒を直径3mm、高さ4mmのカラム状に成形した。反応エリアを320℃に加熱し、気化済み3-トリフルオロメチルピリジンと塩素を反応管に導入した。そのうち、3-トリフルオロメチルピリジンの流量を6.33g/h(0.043mol/h)にコントロールし、塩素の流量を7.7L/h(0.344mol/h)にコントロールした。反応物の供給モル比は3-トリフルオロメチルピリジン:塩素=1:8とし、すべての原料反応物と触媒層との接触時間は16.5秒とし、8時間反応させた。
【0136】
反応管から排出されたガスを実施例21と同様の方法で処理した。オイル状物67.59gを得た。ガスクロマトグラフィー分析により、2-クロロ-5-トリフルオロメチルピリジンの質量含有量は84.8%、収率は91.7%であった。
【0137】
実施例23
実施例21において、前記反応管内にはMgF2触媒を装填し、触媒を直径3mm、高さ4mmのカラム状に成形した。反応エリアを280℃に加熱し、気化済み3-トリフルオロメチルピリジンと塩素を反応管に導入した。このとき、3-トリフルオロメチルピリジンの流量を6.33g/h(0.043mol/h)にコントロールし、塩素の流量を7.7L/h(0.344mol/h)にコントロールした。反応物の供給モル比は3-トリフルオロメチルピリジン:塩素=1:8とし、すべての原料反応物と触媒層との接触時間は16.5秒とし、8時間反応させた。
【0138】
反応管から排出されたガスを実施例21と同様の方法で処理した。オイル状物65.86gを得た。ガスクロマトグラフィー分析により、2-クロロ-5-トリフルオロメチルピリジンの質量含有量は87.8%、収率は92.5%であった。
【0139】
実施例24
実施例21において、前記反応管内にはMgO触媒を装填し、触媒を直径3mm、高さ4mmのカラム状に成形した。反応エリアを300℃に加熱し、気化済み3-トリフルオロメチルピリジンと塩素を反応管に導入した。このとき、3-トリフルオロメチルピリジンの流量を6.33g/h(0.043mol/h)にコントロールし、塩素の流量を8.7L/h(0.387mol/h)にコントロールした。反応物の供給モル比は3-トリフルオロメチルピリジン:塩素=1:9とし、すべての原料反応物と触媒層との接触時間は14.8秒とし、6時間反応させた。
【0140】
反応管から排出されたガスを実施例21と同様の方法で処理した。オイル状物48.49gを得た。ガスクロマトグラフィー分析により、2-クロロ-5-トリフルオロメチルピリジンの質量含有量は86.7%、収率は89.6%であった。
【0141】
実施例25~27
触媒を除いて、その他の操作条件は実施例23と同様とした。実施例25において、反応管にはBaCl2触媒を装填し、実施例26において、反応管にはCaCl2触媒を装填し、実施例27において、反応管には1.5%Pd/活性炭触媒を装填した。反応によってそれぞれ66.25g、61.49g、64.57gのオイル状物を得たが、それに対するガスクロマトグラフィー分析結果、2-クロロ-5-トリフルオロメチルピリジンの質量含有量はそれぞれ85.0%、89.5%、89.8%であり、収率はそれぞれ90.1%、88.0%、92.8%であった。
【0142】
実施例28
加熱炉のオーブンの内径を35mm、高さを500mmとした。反応管の材質はインコネル合金であり、反応管の内径は30mm、長さは600mmであった。反応管に1%Pd/活性炭(平均粒径0.15mm)塩化フッ化触媒を60ml充填し、静止層の高さを89mmとした。窒素で235℃にて1h流動させた後、気化済み3-トリフルオロメチルピリジンと塩素を反応管に導入した。このとき、3-トリフルオロメチルピリジンの流量を6.33g/h(0.043mol/h)にコントロールし、塩素の流量を5.77L/h(0.258mol/h)にコントロールし、窒素の流量を9.62L/h(0.430mol/h)にコントロールした。反応物の供給モル比は3-トリフルオロメチルピリジン:塩素=1:6とし、すべての原料反応物と触媒層との接触時間は13.5秒とし、24時間反応させた。
【0143】
反応管から排出されたガスを水洗塔とアルカリ洗浄塔に導入して凝縮させた。得られたオイル層を分離してアンモニア水で中和させるとともに、水蒸気蒸留してオイル状物を得た。得られたオイル状物を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後の質量は185.88gであり、ガスクロマトグラフィー内部標準法で定量分析を行った結果、2-クロロ-5-トリフルオロメチルピリジンの質量含有量は95.8%、収率は94.9%であった。
【0144】
実施例29
触媒を除いて、その他の条件は実施例28と同様とした。反応管に1%Pd/Al2O3(平均粒径0.15mm)塩化フッ化触媒を60mL装填した。生成物の処理と分析方法は実施例28と同様であり、オイル状物179.69gを得たが、クロマトグラフィー分析結果、2-クロロ-5-トリフルオロメチルピリジンの質量含有量は94.6%、収率は90.7%であった。
【0145】
上記比較例を除いて、既存技術から見れば、米国特許第4417055号明細書の実施例4において、2-クロロ-5-トリフルオロメチルピリジンの最高含有量は僅か58.1%であり、対応する最高収率は53.2%であり、所要の反応温度は400℃である。本発明によって提供される作製方法では、目標生成物2-クロロ-5-トリフルオロメチルピリジンの収率と選択性が著しく向上し、2-クロロ-5-トリフルオロメチルピリジンの収率は少なくとも70%以上に達している。本発明によって提供される方法は、生成物の単位消費量と分離コストを低減できるだけでなく、反応温度は400℃を大きく下回り、エネルギー消費を著しく低減できるとともに、安全性を向上させることができる。