(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-08
(45)【発行日】2023-02-16
(54)【発明の名称】電子膨張弁
(51)【国際特許分類】
F16K 31/04 20060101AFI20230209BHJP
F25B 41/35 20210101ALI20230209BHJP
【FI】
F16K31/04 A
F25B41/35
(21)【出願番号】P 2021507885
(86)(22)【出願日】2019-09-26
(86)【国際出願番号】 CN2019108263
(87)【国際公開番号】W WO2020078192
(87)【国際公開日】2020-04-23
【審査請求日】2021-04-15
(31)【優先権主張番号】201811204134.X
(32)【優先日】2018-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】515266108
【氏名又は名称】浙江盾安人工環境股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Zhejiang DunAn Artificial Environment Co., Ltd
【住所又は居所原語表記】Diankou Industry Zone, Zhuji, Zhejiang, China
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100108213
【氏名又は名称】阿部 豊隆
(72)【発明者】
【氏名】曽 慶軍
【審査官】大内 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-220757(JP,A)
【文献】特開2000-170942(JP,A)
【文献】特開2014-142057(JP,A)
【文献】特開2011-208716(JP,A)
【文献】特開2017-160992(JP,A)
【文献】特開2010-38219(JP,A)
【文献】登録実用新案第3193927(JP,U)
【文献】特開平11-63273(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 31/00-31/05
F25B 41/35
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部にスクリュ(80)が回転しつつ昇降可能に設けられている弁体(10)と、
前記弁体(10)内に回転可能に設けられ、且つ回転すると同時に垂直方向の変位を有し、垂直方向において2つの制限位置を有する制限部材(20)
であって、前記制限部材が回転する時に前記スクリュ(80)が回転しつつ昇降し、前記制限位置にある時に前記スクリュ(80)の作動が制限される、制限部材(20)と、
前記弁体(10)内に設けられ、且つ前記制限部材(20)に接続されて、前記制限部材(20)を動かして前記2つの制限位置の間で回転させるプラスチック駆動部材(30)と、
前記弁体(10)内に回転可能に設けられ、前記プラスチック駆動部材(30)に駆動的に接続されている磁気回転子(90)であって、前記プラスチック駆動部材(30)の全体が前記磁気回転子(90)内に位置
し、前記プラスチック駆動部材(30)と別体に形成され、前記プラスチック駆動部材(30)を回転駆動させるように前記プラスチック駆動部材(30)と回転方向に係合されている磁気回転子(90)と
、
前記プラスチック駆動部材(30)の一端に突出するように固定され、前記スクリュ(80)が設けられているスクリュスリーブ(40)と、
前記磁気回転子(90)を押さえつけるように、中央部が前記スクリュスリーブ(40)の前記プラスチック駆動部材(30)から突出した部分に外嵌されている押圧シート(100)と
を含
み、
前記磁気回転子(90)と前記プラスチック駆動部材(30)との間に前記磁気回転子(90)の軸方向に沿った相対的な揺動の発生を防止するように、前記磁気回転子(90)が前記押圧シート(100)によって押さえつけられているとともに、前記磁気回転子(90)と前記プラスチック駆動部材(30)とがそれぞれに形成された段差構造(110)によって突き合わされている、電子膨張弁。
【請求項2】
前記制限部材(20)はスリップリング(21)であり、前記スリップリング(21)は、スリップリング本体(211)と、前記スリップリング本体(211)の外周面
から突出して設けられている突出部(212)とを含み、
前記プラスチック駆動部材(30)は、接続筒(31)と、前記接続筒(31)の内壁面
から突出して設けられている押付部(32)とを含み、
前記スリップリング(21)は
、移動レールとして前記接続筒(31)内に設けられたバネ(70)に沿って、前記2つの制限位置の間で、回転しつつ垂直方向に変位するように設けられており
、前記突出部(212)に当接
する前記押付部(32)により押し付け
られて駆動されて回転
する、請求項1に記載の電子膨張弁。
【請求項3】
前記制限部材(20)はスリップリング(21)であり、前記スリップリング(21)は、スリップリング本体(211)と、前記スリップリング本体(211)の外周面
から突出して設けられている突出部(212)とを含み、
前記プラスチック駆動部材(30)は接続筒(31)を含み、前記接続筒(31)の軸方向の一端の端面には、前記接続筒(31)の軸方向に沿って延び
ている切欠き(311)が
設けられて
おり、
前記スリップリング(21)は、移動レールとして前記接続筒(31)内に設けられたバネ(70)に沿って、前記2つの制限位置の間で、回転しつつ垂直方向に変位するように設けられており、前記突出部(212)が前記切欠き(311)と係合されて、前記プラスチック駆動部材(30)により駆動されて回転する、請求項1に記載の電子膨張弁。
【請求項4】
前記切欠き(311)は少なくとも2つであり、前記切欠き(311)が2つである場合、2つの前記切欠き(311)は前記接続筒(31)の周方向に沿って間隔を置いて対称的に設けられている、請求項3に記載の電子膨張弁。
【請求項5】
前記制限部材(20)はスリップリング(21)であり、前記スリップリング(21)は、スリップリング本体(211)と、前記スリップリング本体(211)の外周面
から突出するように設けられている突出部(212)とを含み、
前記プラスチック駆動部材(30)は、接続筒(31)と、前記接続筒(31)の内壁面に
設けられている収容溝(312)とを含み、
前記スリップリング(21)は
、移動レールとして前記接続筒(31)内に
設けられたバネ(70)に沿って、前記2つの制限位置の間で、回転しつつ垂直方向に変位するように設けられ、前記突出部(212)
が前記収容溝(312)
と係合されて、前記プラスチック駆動部材(30)により駆動されて回転する、請求項1に記載の電子膨張弁。
【請求項6】
前記スクリュスリーブ(40)は、金属材料からなり、射出プロセスによって前記接続筒(31)に嵌合されて接続され、前記接続筒(31)の一端に位置する、請求項2から5のいずれか1項に記載の電子膨張弁。
【請求項7】
前記スクリュスリーブ(40)は前記接続筒(31)の一端に位置し、
前記接続筒(31)の前記スクリュスリーブ(40)から離れた一端の端面に
前記切欠き(311)が
設けられている、請求項
3又は4に記載の電子膨張弁。
【請求項8】
前記電子膨張弁は、
前記弁体(10)が有する弁口(11)に移動可能に設けられている弁芯(50)と、
互いに接続されている接続セグメント(61)及び支持セグメント(62)を含
むナット座(60)であって、前記接続セグメント(61)は前記接続筒(31)内に延び、前記スリップリング(21)は前記接続セグメント(61)の外周側に外嵌されているナット座(60)と
を更に含み、
前記バネ(70)は、前記接続セグメント(61)の外周側に外嵌され且つ前記スリップリング(21)と前記支持セグメント(62)との間に当接され
ており、
前記スクリュ(80)は、前記ナット座(60)に回転可能に設けられ、第1の端
が前記スクリュスリーブ(40)に
入り込んで前記スクリュスリーブ(40)に接続され、第2の端
が前記弁芯(50)に駆動的に接続されて
おり、
前記磁気回転子(90)は、前記接続筒(31)に駆動的に接続され、前記磁気回転子(90)の内周壁には第1の係止構造が設けられ、前記接続筒(31)の外周壁には第2の係止構造が設けられ、前記磁気回転子(90)が前記プラスチック駆動部材(30)を動かして、同期して回転するように、前記第1の係止構造と前記第2の係止構造とは係止係合されている、請求項6に記載の電子膨張弁。
【請求項9】
前記第1の係止構造は前記磁気回転子(90)の内周壁に突出するように設けられる係止突起(91)であり、前記第2の係止構造は前記接続筒(31)の外周壁に
設けられる係止溝(313)である、請求項8に記載の電子膨張弁。
【請求項10】
前記押圧シート(100)は、
回避開口(102)が開設されている押圧シート本体(101)と、
前記回避開口(102)の周方向に沿って間隔を置いて設けられている複数の止めシート(103)であって、前記複数の止めシート(103)の間には回避空間(104)が形成される複数の止めシート(103)とを含み、
前記スクリュスリーブ(40)は、前記接続筒(31)から離れる方向に沿って順に接続されている取り付けセグメント(41)と止めセグメント(42)とを含み、
前記複数の止めシート(103)は、変形後に前記回避空間(104)を介して前記スクリュスリーブ(40)に外嵌され、変形から回復した後に前記止めセグメント(42)に止め係合され、前記磁気回転子(90)と前記接続筒(31)とは、
前記段差構造(110)によって突き合わされて、前記磁気回転子(90)と前記接続筒(31)との間に前記磁気回転子(90)の軸方向に沿った相対的な揺動の発生を防止する、請求項8に記載の電子膨張弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バルブの技術分野に関し、具体的には、電子膨張弁に関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術において、電子膨張弁は、弁体と、スクリュと、弁体内に回転可能に設けられ、且つ回転すると同時に垂直方向の変位を有し、垂直方向に2つの制限位置を有する制限部材と、制限部材を駆動して、2つの制限位置の間で移動させることにより、駆動部材に接続されるスクリュの移動ストロークを制限する駆動部材とを含む。
【0003】
しかしながら、関連技術における駆動部材と制限部材とはいずれも金属材料からなり、駆動ロッドと制限部材との衝突はノイズを発生させ、これにより電子膨張弁の使用体験の好感度が低下する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、従来技術における駆動部材が金属材料からなり、駆動部材と制限部材との衝突がノイズを発生させ、これにより電子膨張弁の使用体験の好感度が低下するという問題を解決する電子膨張弁を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、弁体と、弁体内に回転可能に設けられ、且つ回転すると同時に垂直方向の変位を有し、垂直方向において2つの制限位置を有する制限部材と、弁体内に設けられ、且つ制限部材に接続されて、制限部材を動かして2つの制限位置の間で回転させるプラスチック駆動部材と、弁体内に回転可能に設けられ、プラスチック駆動部材に駆動的に接続される磁気回転子であって、プラスチック駆動部材の全体が磁気回転子内に位置する磁気回転子とを含む電子膨張弁を提供する。
【0006】
更に、制限部材はスリップリングであり、スリップリングは、スリップリング本体と、スリップリング本体の外周面に突出して設けられる突出部とを含み、プラスチック駆動部材は、接続筒と、接続筒の内壁面に突出して設けられる押付部とを含み、スリップリングは接続筒内に回転可能に設けられ、押付部は、突出部に当接されて、スリップリングを押し付けて回転させる。
【0007】
更に、制限部材はスリップリングであり、スリップリングは、スリップリング本体と、スリップリング本体の外周面に突出して設けられる突出部とを含み、プラスチック駆動部材は接続筒を含み、接続筒の軸方向の一端の端面には、接続筒の軸方向に沿って延びる切欠きが開設されている。
【0008】
更に、切欠きは少なくとも2つであり、切欠きが2つである場合、2つの切欠きは接続筒の周方向に沿って間隔を置いて対称的に設けられる。更に、制限部材はスリップリングであり、スリップリングは、スリップリング本体と、スリップリング本体の外周面に突出して設けられる突出部とを含み、プラスチック駆動部材は、接続筒と、接続筒の内壁面に開設される収容溝とを含み、スリップリングは接続筒内に回転可能に設けられ、突出部は、収容溝内に伸入して、スリップリングがプラスチック駆動部材とともに回転するようにする。
【0009】
更に、電子膨張弁はスクリュスリーブを更に含み、スクリュスリーブは、金属材料からなり、射出プロセスによって接続筒に嵌合されて接続され、且つ接続筒の一端に位置する。
【0010】
更に、接続筒のスクリュスリーブから離れた一端の端面には、接続筒の軸方向に沿って延びる切欠きが開設されている。
【0011】
更に、電子膨張弁は、弁体が有する弁口に移動可能に設けられる弁芯と、互いに接続される接続セグメント及び支持セグメントを含み、接続セグメントは接続筒に伸入し、スリップリングは接続セグメントの外周側に外嵌されるナット座と、接続セグメントの外周側に外嵌され且つスリップリングと支持セグメントとの間に当接されるバネと、ナット座に回転可能に設けられ、第1の端はスクリュスリーブに伸入してスクリュスリーブに接続され、第2の端は弁芯に駆動的に接続されるスクリュとを更に含み、磁気回転子は、接続筒に駆動的に接続され、磁気回転子の内周壁には第1の係止構造が設けられ、接続筒の外周壁には第2の係止構造が設けられ、磁気回転子がプラスチック駆動部材を動かして、同期して回転するように、第1の係止構造と第2の係止構造とは係止係合される。
【0012】
更に、第1の係止構造は磁気回転子の内周壁に突出して設けられる係止突起であり、第2の係止構造は接続筒の外周壁に開設される係止溝である。
【0013】
更に、電子膨張弁は押圧シートを更に含み、押圧シートは、回避開口が開設されている押圧シート本体と、回避開口の周方向に沿って間隔を置いて設けられる複数の止めシートであって、複数の止めシートの間には回避空間が形成される複数の止めシートとを含み、スクリュスリーブは、接続筒から離れる方向に沿って順に接続される取り付けセグメントと止めセグメントとを含み、複数の止めシートは、変形後に回避空間を介してスクリュスリーブに外嵌され、変形から回復した後には止めセグメントに止め係合され、磁気回転子と接続筒とは、段差構造によって突き合わされて、磁気回転子と接続筒との間に磁気回転子の軸方向に沿って相対的な揺動が発生することを防止する。
【0014】
本発明の技術形態を適用して、プラスチック駆動部材が設けられ、プラスチック駆動部材は、制限部材を駆動して2つの制限位置の間で移動させるとき、制限部材と衝突する際にノイズが発生しにくいため、電子膨張弁の使用体験の好感度が向上し、更に、プラスチック駆動部材はすべて磁気回転子内に位置するため、電子膨張弁の高さ方向における構造が十分にコンパクト化される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本出願の一部を構成する明細書の図面は、本発明に対する更なる理解を提供するためのものであり、本発明の概略的な実施例及びその説明は、本発明を解釈するためのものであり、本発明を不適切に限定するものではない。
【0016】
【
図1】本発明の実施例1による電子膨張弁の概略構造図を示す。
【
図2】
図1の電子膨張弁のプラスチック駆動部材とスリップリングとが係合する概略構造図を示す。
【
図3】
図1の電子膨張弁のスクリュスリーブ及びプラスチック駆動部材のある角度の概略構造図を示す。
【
図4】
図1の電子膨張弁のスクリュスリーブ及びプラスチック駆動部材の別の角度の概略構造図を示す。
【
図5】
図1の電子膨張弁の磁気回転子の概略構造図を示す。
【
図6】
図1の電子膨張弁の押圧シートの概略構造図を示す。
【
図7】本発明の実施例2によるプラスチック駆動部材とスリップリングとが係合する概略構造図を示す。
【
図8】
図7の電子膨張弁のスクリュスリーブ、プラスチック駆動部材、磁気回転子及び押圧シートの概略構造図を示す。
【
図9】
図8におけるスクリュスリーブ及びプラスチック駆動部材の概略構造図を示す。
【
図10】
図8における磁気回転子の概略構造図を示す。
【
図11】本発明の実施例3による電子膨張弁のプラスチック駆動部材とスリップリングとが係合する概略構造図を示す。
【
図12】
図11の電子膨張弁のスクリュスリーブ及びプラスチック駆動部材の概略構造図を示す。
【0017】
ここで、上記図面は以下の符号を含む。
10 弁体、11 弁口、20 制限部材、21 スリップリング、211 スリップリング本体、212 突出部、30 プラスチック駆動部材、31 接続筒、32 押付部、311 切欠き、312 収容溝、313 係止溝、40 スクリュスリーブ、41 取り付けセグメント、42 止めセグメント、50 弁芯、60 ナット座、61 接続セグメント、62 支持セグメント、70 バネ、80 スクリュ、90 磁気回転子、91 係止突起、100 押圧シート、101 押圧シート本体、102 回避開口、103 止めシート、104 回避空間、110 段差構造。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施例における図面を参照して、本発明の実施例における技術形態について明確且つ完全に説明するが、説明される実施例は単に本発明の一部の実施例であり、すべての実施例ではないことは明らかである。以下の少なくとも1つの例示的な実施例に対する説明は、実際には単なる例示であり、本発明及びその適用又は使用に対するいかなる制限とされるものではない。本発明における実施例に基づいて、当業者が創造的な労力なしに得られるすべての他の実施例は、いずれも本発明の保護の範囲に属する。
【0019】
従来技術における駆動部材が金属材料からなり、駆動部材と制限部材との衝突がノイズを発生させ、これにより電子膨張弁の使用体験の好感度が低下するという問題を解決するために、本発明は、電子膨張弁を提供している。
【0020】
本出願は、3つの具体的な実施例を提供しているが、以下に詳細に説明する。そのうち、
図1から
図6は、実施例1の電子膨張弁の概略構造図を示し、
図7から
図10は、実施例2の電子膨張弁の概略構造図を示し、
図11から
図12は、実施例3の電子膨張弁の概略構造図を示す。
【0021】
実施例1
図1から
図6に示すように、電子膨張弁は、弁体10と、弁体10内に回転可能に設けられ、且つ回転すると同時に垂直方向の変位を有し、垂直方向において2つの制限位置を有する制限部材20と、弁体10内に設けられ、且つ制限部材20に接続されて、制限部材20を動かして2つの制限位置の間で回転させるプラスチック駆動部材30と、弁体10内に回転可能に設けられ、プラスチック駆動部材30に駆動的に接続される磁気回転子90であって、プラスチック駆動部材30の全体が磁気回転子90内に位置する磁気回転子90とを含む。
【0022】
本出願では、プラスチック駆動部材30が設けられ、プラスチック駆動部材30は、制限部材20を駆動して2つの制限位置の間で移動させるとき、制限部材20と衝突する際にノイズが発生しにくいため、電子膨張弁の使用体験の好感度が向上し、更に、プラスチック駆動部材30はすべて磁気回転子90内に位置するため、電子膨張弁の高さ方向における構造が十分にコンパクト化される。
【0023】
図2に示すように、制限部材20はスリップリング21であり、スリップリング21は、スリップリング本体211と、スリップリング本体211の外周面に突出して設けられる突出部212とを含み、プラスチック駆動部材30は、接続筒31と、接続筒31の内壁面に突出して設けられる押付部32とを含み、スリップリング21は接続筒31内に回転可能に設けられ、押付部32は、突出部212に当接されて、スリップリング21を押し付けて回転させる。このようにして、接続筒31と押付部32とは同期して回転し、押付部32が突出部212を押し付けることにより、スリップリング21は、プラスチック駆動部材30により動かされて回転して、垂直方向の変位を有するようになり、これにより2つの制限位置の間で移動する。
【0024】
図1、
図3及び
図4に示すように、電子膨張弁はスクリュスリーブ40を更に含み、スクリュスリーブ40は、金属材料からなり、射出プロセスによって接続筒31に嵌合されて接続され、且つ接続筒31の一端に位置する。電子膨張弁の加工製造を考慮すると、スクリュスリーブ40は、金属材料からなり、スクリュ80への溶接が容易であり、接続筒31と押付部32とは一体的に射出成形され、射出プロセスによってスクリュスリーブ40とプラスチック駆動部材30とが固定接続される。
【0025】
図1に示すように、電子膨張弁は、弁芯50、ナット座60、バネ70及びスクリュ80を更に含み、弁体10は弁口11を有し、弁芯50は弁口11に移動可能に設けられ、ナット座60は互いに接続される接続セグメント61及び支持セグメント62を含み、接続セグメント61は接続筒31に伸入し、スリップリング21は接続セグメント61の外周側に外嵌され、バネ70は接続セグメント61の外周側に外嵌され且つスリップリング21と支持セグメント62との間に当接され、スクリュ80はナット座60に回転可能に設けられ、スクリュ80の第1の端はスクリュスリーブ40に伸入してスクリュスリーブ40に接続され、スクリュ80の第2の端は弁芯50に駆動的に接続される。スクリュ80は、弁芯50を駆動して弁口11の位置で移動させるために用いられ、これにより電子膨張弁の開閉を制御したり、又は電子膨張弁の開度を制御したりする。
【0026】
ここで、バネ70はスリップリング21の移動軌道を形成する。
【0027】
図1及び
図2に示すように、電子膨張弁は磁気回転子90を更に含み、磁気回転子90は、弁体10内に回転可能に設けられ、接続筒31に駆動的に接続される。
【0028】
選択的には、磁気回転子90の内周壁には第1の係止構造が設けられ、接続筒31の外周壁には第2の係止構造が設けられ、磁気回転子90がプラスチック駆動部材30を動かして、同期して回転するように、第1の係止構造と第2の係止構造とは係止係合される。
【0029】
図3及び
図5に示すように、第1の係止構造は磁気回転子90の内周壁に突出して設けられる係止突起91であり、第2の係止構造は接続筒31の外周壁に開設される係止溝313である。
【0030】
本出願により提供される電子膨張弁の動作原理は以下の通りである。スクリュ80とナット座60とがねじ係合され、磁気回転子90によって接続筒31、押付部32、スクリュスリーブ40及びスクリュ80が駆動されて、同期して回転して、垂直方向の変位を有し、制限部材20の突出部212が押付部32の押し付け作用下で回転して、垂直方向の変位を有し、制限部材20が垂直方向に沿って2つの制限位置の間で移動し、換言すれば、制限部材20が制限位置に移動すると、押付部32は制限部材20を動かして移動させ続けることができなくなり、即ち、制限部材20は、押付部32が移動し続けるのを阻止し、これによりスクリュ80が移動し続けるのを制限する。
【0031】
図1及び
図6に示すように、電子膨張弁は押圧シート100を更に含み、押圧シート100は、押圧シート本体101と複数の止めシート103とを含み、押圧シート本体101には回避開口102が開設されており、複数の止めシート103は回避開口102の周方向に沿って間隔を置いて設けられ、複数の止めシート103の間には回避空間104が形成され、スクリュスリーブ40は、接続筒31から離れる方向に沿って順に接続される取り付けセグメント41と止めセグメント42とを含み、複数の止めシート103は、変形後に回避空間104を介してスクリュスリーブ40に外嵌され、変形から回復した後には止めセグメント42に止め係合され、磁気回転子90と接続筒31のスクリュスリーブ40から離れた一端とは、段差構造110によって突き合わされて、磁気回転子90と接続筒31との間に磁気回転子90の軸方向に沿って相対的な揺動が発生することを防止する。このようにして、押圧シート100と段差構造110とによって、磁気回転子90はプラスチック駆動部材30に固定接続される。
【0032】
本出願の図示しない一実施例においては、接続筒31の軸方向の一端の端面には、接続筒31の軸方向に沿って延びる減量用切欠きが開設されている。このように、プラスチック駆動部材30の構造安定性を確保することを前提として、接続筒31の軸方向の一端の端面に、接続筒31の軸方向に沿って延びる減量用切欠きが開設されており、これにより原材料を節約することに有利となり、プラスチック駆動部材30の生産コストを削減することに有利となる。
【0033】
実施例2
図7から
図10に示すように、実施例2は、実施例1と比べて、制限部材20はスリップリング21であり、スリップリング21は、スリップリング本体211と、スリップリング本体211の外周面に突出して設けられる突出部212とを含み、プラスチック駆動部材30は接続筒31を含み、接続筒31の軸方向の一端の端面には、接続筒31の軸方向に沿って延びる切欠き311が開設されており、突出部212は切欠き311内に位置し、接続筒31は回転するとともに、突出部212を押し付けて回転させる点が異なる。このように、プラスチック駆動部材30の構造安定性を確保することを前提として、接続筒31の軸方向の一端の端面に、接続筒31の軸方向に沿って延びる切欠き311が開設されており、原材料を節約することに有利となり、プラスチック駆動部材30の生産コストを削減することに有利となる。
【0034】
図8及び
図9に示す代替実施例において、接続筒31のスクリュスリーブ40から離れた一端の端面には、接続筒31の軸方向に沿って延びる切欠き311が開設されている。
【0035】
選択的には、切欠き311は少なくとも2つであり、少なくとも2つの切欠き311は接続筒31の周方向に沿って間隔を置いて設けられ、これにより少なくとも2つの凸状リブが形成され、凸状リブの側壁面は突出部212を押し付けて回転させるために用いられる。
【0036】
選択的には、切欠き311は少なくとも2つであり、少なくとも2つの切欠き311は接続筒31の周方向に沿って等間隔で設けられる。
【0037】
切欠き311が2つである場合、2つの切欠き311は接続筒31の周方向に沿って間隔を置いて対称的に設けられる。
【0038】
図8及び
図9に示す代替実施例において、切欠き311は3つであり、これにより等間隔で設けられる3つのリブが形成され、突出部212は3つの切欠き311のうちの1つの内部に選択的に伸入する。
【0039】
図9及び
図10に示すように、プラスチック駆動部材30が磁気回転子90に安定して接続できるようにするために、磁気回転子90と接続筒31のスクリュスリーブ40に近接した一端とを段差構造110によって突き合わせて、磁気回転子90と接続筒31との間に磁気回転子90の軸方向に沿って相対的な揺動が発生することを防止する。
【0040】
実施例3
図11及び
図12に示すように、実施例1と比べて、制限部材20はスリップリング21であり、スリップリング21は、スリップリング本体211と、スリップリング本体211の外周面に突出して設けられる突出部212とを含み、プラスチック駆動部材30は、接続筒31と、接続筒31の内壁面に開設される収容溝312とを含み、スリップリング21は接続筒31内に回転可能に設けられ、突出部212は、収容溝312内に伸入して、スリップリング21がプラスチック駆動部材30とともに回転するようにする点が異なる。このようにして、突出部212は、収容溝312内に伸入して、収容溝312の溝側壁が突出部212を押し付けて移動させ、これにより、プラスチック駆動部材30は、制限部材20を動かして2つの制限位置の間で移動させることを実現する。
【0041】
実施例3では、収容溝312と突出部212とが適合し、即ち、収容溝312の溝側壁と突出部212との間に比較的に小さな係合隙間を有するように制御され、これにより制限部材20の回転を制御する制御精度が向上する。
【0042】
本出願は、電子膨張弁の構造が合理的に最適化され、プラスチック駆動部材30の全体が磁気回転子90の内部に位置し、スリップリング軌道としてのバネ70も全体が磁気回転子90の内部に位置し、これにより電子膨張弁の高さ方向における構造が十分にコンパクト化されると同時に、プラスチック駆動部材30で制限部材20を駆動して回転させ、電子膨張弁の使用ノイズを低減し、電子膨張弁の使用体験の好感度を向上させた。
【0043】
選択的には、収容溝312の2つの溝側壁間の夾角は磁気回転子90のパルス角の10倍以下であり、即ち、スリップリング21の正回転又は逆回転におけるパルス角の差は10パルス以下であり、換言すると、磁気回転子90がプラスチック駆動部材30を動かして正回転又は逆回転させるとき、スリップリング21を迅速に押し付けて回転させることができ、電子膨張弁の開閉における磁気回転子90の回転の回数及び流量曲線は基本的に一致する。
【0044】
選択的には、収容溝312の2つの溝側壁間の夾角は磁気回転子90のパルス角の整数倍ではない。このように、磁気回転子90がプラスチック駆動部材30を動かして回転させるとき、プラスチック駆動部材30はスリップリング21に直接当たらないため、スリップリングが損傷することを回避し、磁気回転子90の慣性を利用してスリップリング21を動かして回転させ、電子膨張弁が開く際に必要な駆動力を低減する。
【0045】
ここで用いられる用語は、具体的な実施形態を説明するためのものにすぎず、本出願による例示的な実施形態を限定することを意図するものではないことに注意すべきである。ここで用いられるように、文脈に別途明確に指摘されていない限り、単数形式は複数形式を含むことも意図し、更に、本明細書において、「包含する」及び/又は「含む」という用語が用いられる場合、特徴、ステップ、操作、デバイス、アセンブリ及び/又はそれらの組み合わせが存在することを意味することも理解されるべきである。
【0046】
別途具体的に説明されていない限り、これらの実施例に記載された部材及びステップの相対的な配置、数式及び数値は、本発明の範囲を限定するものではない。同時に、説明の便宜上、図面に示す各部分の寸法は実際の比率関係で描かれたものではないことは理解されるべきである。当業者に既知の技術、方法及び機器については詳細な説明を省略する場合があるが、必要に応じて、当該技術、方法及び機器は、承認された明細書の一部としてみなされるべきである。ここで示し、且つ説明したすべての例は、いずれの具体的な値も例示的なものにすぎず、限定するためのものではないと解釈すべきである。従って、例示的な実施例の他の例は、異なる値を有してもよい。類似した符号及び文字は、以下の図面において類似したものを表すため、あるものが1つの図面において定義されると、その後の図面においては、それについて更に説明する必要がないことに注意すべきである。
【0047】
本発明の説明において、「前、後、上、下、左、右」、「横方向、縦方向、垂直、水平」及び「頂、底」等のような方位用語で表される方位又は位置関係は、一般的に、図面に示す方位又は位置関係に基づくものであるが、本発明の説明を容易にし、且つ簡潔にするためのものにすぎず、逆の説明がない場合、これらの方位用語は、示された装置又は素子が必ずしも特定の方位を有するか又は特定の方位で構成し操作されることを示すか、或いは暗示するものではないため、本発明の保護範囲を限定するものとして理解されるべきではなく、「内、外」という方位用語は、各部材自体の輪郭に対する内、外である。
【0048】
説明の便宜上、ここでは「…の上に」、「…の上方に」、「…の上面に」、「上側の」等のような空間相対用語を用いて、図に示すような1つのデバイス又は特徴と他のデバイス又は特徴との空間位置関係を説明することができる。空間相対用語は、デバイスの図に記載された方位以外の使用又は操作中の異なる方位を包含することを意図するものであることは理解されるべきである。例えば、図面中のデバイスの上下が倒置されると、「他のデバイス又は構造の上方に」又は「他のデバイス又は構造の上に」と説明されたデバイスは、その後「他のデバイス又は構造の下方に」又は「他のデバイス又は構造の下に」と位置付けられることになる。よって、例示的な用語「…の上方に」は、「…の上方に」及び「…の下方に」の2つの方位を含むことができる。このデバイスは、他の異なる方法で位置付けし(90度回転又は他の方位に位置する)、且つここで用いられる空間の相対的な説明について対応する解釈を行うこともできる。
【0049】
更に、説明すべきことは、「第1」、「第2」等の用語を用いて部品を限定することは、対応する部品を区別するためのものにすぎず、特に説明がない限り、上記用語は特別な意味を持たないため、本発明の保護範囲を限定するものとして理解されるべきではない。
【0050】
ここで用いられる用語は、具体的な実施形態を説明するためのものにすぎず、本出願による例示的な実施形態を限定することを意図するものではないことに注意すべきである。ここで用いられるように、文脈に別途明確に指摘されていない限り、単数形式は複数形式も含むことを意図し、更に、本明細書において、「包含する」及び/又は「含む」という用語が用いられる場合、特徴、ステップ、動作、デバイス、アセンブリ及び/又はそれらの組み合わせが存在することを意味することも理解されるべきである。
【0051】
説明すべきことは、本出願の明細書、特許請求の範囲及び上記図面における「第1」、「第2」等の用語は、類似した対象を区別するためのものであり、特定の順番又は前後の順番を説明するために用いられる必要はない。このように用いられるデータは、必要に応じて、ここで説明する本出願の実施形態をここで図示又は説明した順番以外の順番で実施できるように、取り換えることができることは理解されるべきである。
【0052】
以上の説明は、本発明の好ましい実施例にすぎず、本発明を限定するためのものではなく、当業者にとって、本発明は様々な変更及び変化が可能である。本発明の主旨及び原則内でなされた任意の修正、同等の置換、改良等は、いずれも本発明の保護範囲内に包含されるべきである。