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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-08
(45)【発行日】2023-02-16
(54)【発明の名称】血管吻合用無縫合係合具
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/11 20060101AFI20230209BHJP
【FI】
A61B17/11
【請求項の数】 25
(21)【出願番号】P 2021569584
(86)(22)【出願日】2020-01-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-30
(86)【国際出願番号】 CN2020073596
(87)【国際公開番号】W WO2021036199
(87)【国際公開日】2021-03-04
【審査請求日】2021-08-06
(31)【優先権主張番号】201910811226.2
(32)【優先日】2019-08-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521353551
【氏名又は名称】ベイジン パーキュテック セラピューティクス カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リィウ,イン
(72)【発明者】
【氏名】リー,フェイ
(72)【発明者】
【氏名】ドン,ヨンファ
(72)【発明者】
【氏名】ドゥ,チンチン
(72)【発明者】
【氏名】ハン,ウーエン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,ファン
【審査官】槻木澤 昌司
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第107280724(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0247054(US,A1)
【文献】特表昭64-500246(JP,A)
【文献】中国実用新案第205831862(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/11
A61B 17/12
A61B 17/132
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1端部部材(1)と、第2端部部材(2)と、回動軸(3)と、結束バンド(4)と、回動止め構造(5)とを備え、
前記回動軸(3)が前記第1端部部材(1)に回動可能に取り付けられ、前記結束バンド(4)の一端が前記回動軸(3)に固定され、前記結束バンド(4)の他端が前記第2端部部材(2)に固定され、前記第2端部部材(2)が、前記第1端部部材(1)と係合できるように構成され、
前記第1端部部材(1)と前記回動軸(3)との間に、前記回動軸(3)を前記第1端部部材(1)にロックできるように構成される回動止め構造(5)が設置され
前記第2端部部材(2)と前記第1端部部材(1)のうちの一方は、ロッド部(21)と、それぞれ前記ロッド部(21)の両端に形成された端部フランジ(22)とを含み、
前記第2端部部材(2)と前記第1端部部材(1)のうちの他方に係合溝(12)及び円弧状固定部(13)が設けられ、前記係合溝(12)が、前記ロッド部(21)を格納できるように構成され、前記円弧状固定部(13)が、前記係合溝(12)の長手方向における両端に形成され、前記端部フランジ(22)を係止できるように構成され
ことを特徴とする血管吻合用無縫合係合具。
【請求項2】
前記回動止め構造(5)は、ラチェット歯(51)とラチェット爪(52)とを備え、
前記ラチェット歯(51)が前記回動軸(3)の周面に形成され、前記ラチェット爪(52)の一端が前記第1端部部材(1)に接続され、前記ラチェット爪(52)が常に前記ラチェット歯(51)の隣接する2つの歯の歯元の間へ滑ろうとしているように構成される
ことを特徴とする請求項1に記載の血管吻合用無縫合係合具。
【請求項3】
前記ラチェット爪(52)の一端は、前記第1端部部材(1)に取外し可能に接続されることを特徴とする請求項2に記載の血管吻合用無縫合係合具。
【請求項4】
前記第1端部部材(1)は、第1端部部材本体と、前記第1端部部材本体に設けられた位置制限部(7)と、を含む
ことを特徴とする請求項に記載の血管吻合用無縫合係合具。
【請求項5】
前記位置制限部(7)は、前記第1端部部材本体と一体成形する構造であることを特徴とする請求項4に記載の血管吻合用無縫合係合具。
【請求項6】
前記位置制限部(7)は、前記第1端部部材本体に固定される構造であることを特徴とする請求項4に記載の血管吻合用無縫合係合具。
【請求項7】
前記位置制限部(7)は、収納溝を有し、前記第1端部部材本体において、前記位置制限部(7)の前記収納溝に対応する位置に挿着孔が開設されている
ことを特徴とする請求項4~6のいずれか1項に記載の血管吻合用無縫合係合具。
【請求項8】
前記ラチェット爪(52)の一端に挿着部が接続され、前記挿着部が前記第1端部部材本体における前記挿着孔内に挿着されるとともに、前記ラチェット爪(52)の前記挿着部と接続する端の端部が前記位置制限部(7)の前記収納溝内に係止される
ことを特徴とする請求項に記載の血管吻合用無縫合係合具。
【請求項9】
前記ラチェット爪(52)は、弾性材料で作製されたものであることを特徴とする請求項2~8のいずれか1項に記載の血管吻合用無縫合係合具。
【請求項10】
前記弾性材料は、金属材料又は高分子材料であることを特徴とする請求項9に記載の血管吻合用無縫合係合具。
【請求項11】
前記回動止め構造(5)は、ラチェット歯(51)と端部保護キャップ(53)とを備え、
前記ラチェット歯(51)が前記回動軸(3)の周面に形成され、
前記第1端部部材(1)における、前記ラチェット歯(51)の隣接する歯の間に対応する部位に固定孔(11)が開設され、前記端部保護キャップ(53)が蓋体(531)と前記蓋体(531)に接続された挿着脚(532)とを含み、
前記固定孔(11)及び前記挿着脚(532)が、それぞれ少なくとも2つ設けられ、少なくとも2つの前記挿着脚(532)が対応して前記固定孔(11)の内部に挿入される
ことを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載の血管吻合用無縫合係合具。
【請求項12】
前記固定孔(11)及び前記挿着脚(532)は、それぞれ4つ以上設けられたことを特徴とする請求項11に記載の血管吻合用無縫合係合具。
【請求項13】
前記回動軸(3)の中間部に長孔(31)が開設され、前記結束バンド(4)は、一端が前記長孔(31)に通されて前記結束バンド(4)の他の部位に縫合されるように前記回動軸(3)に固定される
ことを特徴とする請求項1~12のいずれか1項に記載の血管吻合用無縫合係合具。
【請求項14】
前記回動軸(3)の中間部に長孔(31)が開設され、前記結束バンド(4)は、一端が前記長孔(31)に通されて前記結束バンド(4)の他の部位に接続されるように前記回動軸(3)に固定される
ことを特徴とする請求項1~12のいずれか1項に記載の血管吻合用無縫合係合具。
【請求項15】
前記結束バンド(4)は、一端が前記長孔(31)に通されて前記結束バンド(4)の他の部位に接着、溶接、熱溶着又は縫合されるように前記回動軸(3)に固定される
ことを特徴とする請求項14に記載の血管吻合用無縫合係合具。
【請求項16】
前記第1端部部材(1)に回動軸取付溝(14)が設けられ、前記回動軸取付溝(14)の両端の端面に取付孔(141)が開設され、前記回動軸(3)の一端が1つの前記取付孔(141)内に挿着され、前記回動軸(3)の他端がもう1つの前記取付孔(141)内に挿着される
ことを特徴とする請求項1~15のいずれか1項に記載の血管吻合用無縫合係合具。
【請求項17】
前記回動軸(3)は、高分子射出成形材料で作製されたものであることを特徴とする請求項1~16のいずれか1項に記載の血管吻合用無縫合係合具。
【請求項18】
前記第1端部部材(1)の人工血管と密接する側が円弧状を呈することを特徴とする請求項1~17のいずれか1項に記載の血管吻合用無縫合係合具。
【請求項19】
前記結束バンド(4)の中間部、前記回動軸(3)及び前記第2端部部材(2)のうちの少なくとも一方に現像部(6)が設置される
ことを特徴とする請求項1~18のいずれか1項に記載の血管吻合用無縫合係合具。
【請求項20】
前記現像部(6)は、金属で作製されたものであることを特徴とする請求項19に記載の血管吻合用無縫合係合具。
【請求項21】
前記回動軸(3)の端部に、手術器具と組み合わせて前記回動軸(3)を回動できるように構成される操作部(32)が設けられる
ことを特徴とする請求項1~20のいずれか1項に記載の血管吻合用無縫合係合具。
【請求項22】
前記操作部(32)は、前記回動軸(3)の端部に開設された多角形の操作孔であることを特徴とする請求項21に記載の血管吻合用無縫合係合具。
【請求項23】
前記操作部(32)は、前記回動軸(3)の端部に形成された多角形突起であることを特徴とする請求項21に記載の血管吻合用無縫合係合具。
【請求項24】
前記結束バンド(4)の外周面に目盛りが設けられることを特徴とする請求項1~23のいずれか1項に記載の血管吻合用無縫合係合具。
【請求項25】
前記結束バンド(4)は、柔らかい材料で作製されたものであることを特徴とする請求項1~24のいずれか1項に記載の血管吻合用無縫合係合具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関係出願の相互参照
本出願は、2019年08月29日に中国専利局に提出された、出願番号が201910811226.2であり、名称が「血管吻合用無縫合係合具」である中国出願に基づいて優先権を主張し、その全ての内容が、参照により本出願に組み込まれる。
【0002】
本開示は、血管吻合の技術分野に属し、殊に、血管吻合用無縫合係合具に関する。
【背景技術】
【0003】
医療分野では、大動脈瘤のような大動脈疾患、特に解離性大動脈瘤は、突然の発症、急速な進行、複雑な病状、非常に高い死亡率の特徴がある。解離性大動脈瘤を含む大動脈瘤患者の大多数に対して、大きい人口血管を使用して病変の動脈を置換する手術治療を行う必要がる。ほとんどの病変において、大動脈組織は、重度の浮腫で脆弱であり、大きい人口血管と患者の病変の大動脈との吻合手術の操作が非常に複雑で、技術的難易度が高く、吻合箇所が出血しやすく、吻合時間が比較的に長いため、超低体温循環停止(DHCA)が長くなり、虚血性脳損傷や脊髄損傷等の重篤な合併症を起こしやすくなる。大動脈吻合の時間を短縮し、吻合箇所の出血可能性を低減して、関連する合併症を減らし、大動脈瘤患者の外科的治療の成功率を上げるため、心臓血管外科の医師たちが大動脈吻合に無縫合の方法を使用し始めた。この無縫合法は、無縫合人工血管腔内移植法(sutureless intraluminal graft、SIGと略称する)であり、患者自身の血管の、人工血管の両端と吻合する位置を患者自身の血管の両断端とし、人工血管の固定リングを備えた両端をそれぞれ患者自身の血管の両断端の内部に入れ、そして自身血管の外側の、固定リングに対応する部位で結束バンドによる結束を行って、固定吻合を完成させるようになる。
【0004】
従来、SIG手術において、血管吻合プロセスは、通常、医師がその場で糸を使用して結び固定することで完成させていたが、結び固定の力が制御できない欠点があり、糸が細すぎて力が強すぎれば、患者自身の血管が切断されてしまうことがあり、力が小さすぎれば、抜け出しや出血が生じて仮性動脈瘤を形成する恐れがある。
【0005】
現在、上記の技術の改良として、医師らは、結び固定に特定の幅のバンドを使用し始めた。しかしながら、糸とバンドのどちらを使用しても、複数回巻回しなければならない。糸又はバンドの巻回の距離を最短にして糸又はバンドの抜け出しまでの期間をできる限り長くするため、医師の視野及び操作方向を患者自身の血管の軸線に対して垂直にする必要がある。しかしながら、大動脈が心臓から延出して傾斜する弓部大動脈が形成されるため、大動脈手術をする医師の視野及び操作スペースが非常に限られているので、手術中、特に弓部大動脈の断端の結束時に、最も有利な結ぶ位置を確保するのが非常に困難である。また、結びが完了後、バンドが患者自身の血管に密接し、医師が解き放したり再調整したりすることは困難である。
【0006】
つまり、医師らがSIG手術において血管吻合に糸の代わりにバンドを使用して結ぶことにより血管の切断が避けられたが、結びの位置及びきつさが操作者によるものであるので、結び操作が困難で、結びが抜け出しやすくて出血して仮性動脈瘤を形成する恐れがあり、結び後に再調整しにくい技術的問題がまだ残っていた。
【発明の概要】
【0007】
本開示は、例えば、血管吻合における医師の人的要因による結びの位置及び結びのきつ
さに対する影響を減らし、従来技術における、結び操作が困難で、結びが抜け出しやすくて出血して仮性動脈瘤を形成する恐れがあり、結び後に再調整しにくい技術的問題を解決できる、血管吻合用無縫合係合具を提供することを目的とする。
【0008】
本開示の実施例は、血管吻合用無縫合係合具を提供する。該血管吻合用無縫合係合具は、第1端部部材と、第2端部部材と、回動軸と、結束バンドと、回動止め構造とを備え、前記回動軸が前記第1端部部材に回動可能に取り付けられ、前記結束バンドの一端が前記回動軸に固定され、前記結束バンドの他端が前記第2端部部材に固定され、前記第2端部部材が、前記第1端部部材と係合できるように構成され、前記第1端部部材と前記回動軸との間に、前記回動軸を前記第1端部部材にロックできるように構成される回動止め構造が設置される。
【0009】
選択可能な実施形態として、前記回動止め構造はラチェット歯とラチェット爪とを備え、前記ラチェット歯が前記回動軸の周面に形成され、前記ラチェット爪の一端が前記第1端部部材に接続され、前記ラチェット爪が常に前記ラチェット歯の隣接する2つの歯の歯元の間へ滑ろうとしているように構成される。
【0010】
選択可能な実施形態として、前記ラチェット爪の一端は、前記第1端部部材に取外し可能に接続される。
【0011】
選択可能な実施形態として、前記第1端部部材は、第1端部部材本体と、第1端部部材本体に設けられた位置制限部と、を含む。
【0012】
選択可能な実施形態として、前記位置制限部は、前記第1端部部材本体と一体成形する構造である。
【0013】
選択可能な実施形態として、前記位置制限部は、前記第1端部部材本体に固定される構造である。
【0014】
選択可能な実施形態として、前記位置制限部は、収納溝を有し、前記第1端部部材本体において、前記位置制限部の前記収納溝に対応する位置に挿着孔が開設されている。
【0015】
選択可能な実施形態として、前記ラチェット爪の一端に挿着部が接続され、前記挿着部が前記第1端部部材本体における前記挿着孔内に挿着されるとともに、前記ラチェット爪の前記挿着部と接続する端の端部が前記位置制限部の前記収納溝内に係止される。
【0016】
選択可能な実施形態として、前記ラチェット爪は、弾性材料で作製されたものである。
【0017】
選択可能な実施形態として、前記弾性材料は、金属材料又は高分子材料である。
【0018】
選択可能な実施形態として、前記回動止め構造は、ラチェット歯と端部保護キャップとを備え、前記ラチェット歯が前記回動軸の周面に形成され、前記第1端部部材における、前記ラチェット歯の隣接する歯の間に対応する部位に固定孔が開設され、前記端部保護キャップが蓋体と前記蓋体に接続された挿着脚とを含み、前記固定孔及び前記挿着脚が、それぞれ少なくとも2つ設けられ、少なくとも2つの前記挿着脚が対応して前記固定孔の内部に挿入される。
【0019】
選択可能な実施形態として、前記固定孔及び前記挿着脚は、それぞれ4つ以上設けられた。
【0020】
選択可能な実施形態として、前記回動軸の中間部に長孔が開設され、前記結束バンドは、一端が前記長孔に通されて前記結束バンドの他の部位に縫合されるように前記回動軸に固定される。
【0021】
選択可能な実施形態として、前記回動軸の中間部に長孔が開設され、前記結束バンドは、一端が前記長孔に通されて前記結束バンドの他の部位に接続されるように前記回動軸に固定される。
【0022】
選択可能な実施形態として、前記結束バンドは、一端が前記長孔に通されて前記結束バンドの他の部位に接着、溶接、熱溶着又は縫合されるように前記回動軸に固定される。
【0023】
選択可能な実施形態として、前記第2端部部材は、ロッド部と、それぞれ前記ロッド部の両端に形成された端部フランジとを含み、前記第1端部部材に係合溝及び円弧状固定部が設けられ、前記係合溝が、前記ロッド部を格納できるように構成され、前記円弧状固定部が、前記係合溝の長手方向における両端に形成され、前記端部フランジを係止できるように構成される。
【0024】
選択可能な実施形態として、前記第1端部部材に回動軸取付溝が設けられ、前記回動軸取付溝の両端の端面に取付孔が開設され、前記回動軸の一端が1つの前記取付孔内に挿着され、前記回動軸の他端がもう1つの前記取付孔内に挿着される。
【0025】
選択可能な実施形態として、前記回動軸は、高分子射出成形材料で作製されたものである。
【0026】
選択可能な実施形態として、前記第1端部部材の人工血管と密接する側が円弧状を呈する。
【0027】
選択可能な実施形態として、前記結束バンドの中間部、前記回動軸及び前記第2端部部材のうちの少なくとも一方に現像部が設置される。
【0028】
選択可能な実施形態として、前記現像部は、金属で作製されたものである。
【0029】
選択可能な実施形態として、前記回動軸の端部に、手術器具と組み合わせて前記回動軸を回動できるように構成される操作部が設けられる。
【0030】
選択可能な実施形態として、前記操作部は、前記回動軸の端部に開設された多角形の操作孔である。
【0031】
選択可能な実施形態として、前記操作部は、前記回動軸の端部に形成された多角形突起である。
【0032】
選択可能な実施形態として、前記結束バンドの外周面に目盛りが設けられる。
【0033】
選択可能な実施形態として、前記結束バンドは、柔らかい材料で作製されたものである。
【0034】
本開示の実施例による血管吻合用無縫合係合具は、下記の有益な効果を有する。
【0035】
本開示の実施例による血管吻合用無縫合係合具は、第1端部部材と、第2端部部材と、回動軸と、結束バンドと回動止め構造とを備え、回動軸が第1端部部材に回動可能に取り
付けられ、結束バンドの一端が回動軸に固定され、結束バンドの他端が第2端部部材に固定され、第2端部部材が、第1端部部材と係合できるように構成され、第1端部部材と回動軸との間に、回動軸を第1端部部材にロックできるように構成される回動止め構造が設置される。
【0036】
使用時に、人工血管の端部を患者自身の血管の断端と固定リングとの間に配置し、そして、患者自身の血管の断端の外側で該血管吻合用無縫合係合具を装着する。装着の過程が下記の通りである。
【0037】
まず、第2端部部材と第1端部部材とを係合させ、そして、回動軸を回して、結束バンドを、患者自身の血管の断端と人工血管とを密接させるまで締め、回動止め構造により回動軸が第1端部部材にロックされて、締まり固定が完了する。再調整するとき、回動止め構造を解除すれば該血管吻合用無縫合係合具を緩めて緊緩を再調整することができる。
【0038】
本開示の実施例において、医師が糸又はバンドを巻く従来の方式の代わりに、第2端部部材と第1端部部材とを係合させたあと回動軸を回して結束バンドを締めて結ぶ方式で血管吻合操作を行う。操作過程において、医師の視野及び操作方向を血管の軸線に垂直するように確保する必要がないため、血管吻合において医師の人的要因に起因した結び位置に対する影響を減らすことができる。また、結束バンドは、一定の幅を有するとともに一定の摩擦力を有するため、比較的に大きい面積においてより大きな圧力をかける場合、糸による切断を防ぎ、血管の部分壊死を防止することができる。回動軸の操作孔の深さ及び大きさを制御することにより医師による結束バンドの締まりきつさを一定の強さ範囲内に収めることができるため、結ぶ力の過小による抜け出し及び出血、力の過大による血管の壊死を避けることができる。回動止め構造によれば、術中の操作をより手軽にし、長期間の留置がより安全である。結束バンドに目盛り及び現像リングが設けられることによれば、術中及び術後に結束バンドの大きさ及び位置を観察し、変位があるかいなかを判断することができる。操作が従来技術に対してより簡単で容易であり、無縫合係合具のロック状態を再調整するとき、回動止め構造を解除すれば、係合具を緩めてその緊緩及び装着位置を再調整でき、又は結束バンドの緩む状態で第2端部部材と第1端部部材との係合を解除することができる。
【0039】
上記のように、本開示の実施例によれば、血管吻合における医師の人的要因による結びの位置及び結びのきつさに対する影響を減らし、従来技術における、結び操作が困難で、結び効果が不安定で、結びが完成後に再調整しにくい等の技術問題を解決でき、操作が容易で、力の制御性が優れ、術中、術後の調整及び観察に寄与し、術後の血管壊死や係合具の抜け出し等のリスクを効果的に低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
本開示における具体的な実施形態又は従来技術の技術案をより明瞭に説明するため、以下、具体的な実施形態又は従来技術の説明に必要な図面を簡単に説明する。明らかに、説明する図面は、本開示のいくつかの実施形態を示すものである。当業者は、発明能力を用いなくても、これらの図面をもとに他の図面を得ることが可能である。
【0041】
図1】本開示の実施例による血管吻合用無縫合係合具の全体構造の分解図である。
図2】本開示の実施例による血管吻合用無縫合係合具の、端部保護キャップなしの全体構造の正面図である。
図3】本開示の実施例による血管吻合用無縫合係合具における第1端部部材の全体構造の模式図である。
図4】本開示の実施例による血管吻合用無縫合係合具における回動軸の全体構造の模式図である。
図5】本開示の実施例による血管吻合用無縫合係合具におけるラチェット爪の全体構造の模式図である。
図6】本開示の実施例による血管吻合用無縫合係合具における端部保護キャップの全体構造の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本開示の実施例の目的、技術案及び利点をより明瞭にするため、以下、本開示の実施例の図面を参照しながら、本開示の実施例における技術案を明瞭且つ完全に説明し、説明される実施例が本開示の一部の実施例にすぎず、すべての実施例ではないことが無論である。ここで図面を用いて示した本開示の実施例における部品は、様々な配置方法で配置、設計することが可能である。
【0043】
このため、以下の、図面に示された本開示の実施例に対する詳細な説明は、本開示の選択された実施例を示すものにすぎず、保護しようとする本開示の範囲を限定するものではない。本開示の実施例をもとに、当業者が発明能力を用いることなく得たすべての他の実施例も、本発明の保護範囲に属する。
【0044】
なお、同様な符号は、図面において同様なものを示すので、1つの図面で定義された場合、その他の図面でさらに定義、解釈することが不要になる。
【0045】
本開示の説明において、「中心」、「内」、「外」等の用語で表された方向又は位置関係は、図面に基づくものであり、或いは該開示に係る製品の通常の配置方向又は位置関係であり、本開示を簡単及び簡略に説明するためのものにすぎず、該当装置又は要素が、必ずしも特定の方向を有したり、特定の方向に構成、操作されたり、することを明示又は暗示するものではないため、本開示を限定するものではないと理解すべきである。また、「第1」、「第2」等の用語は、区別して説明するためのものにすぎず、相対重要性を明示又は暗示するものではない。
【0046】
本開示の説明において、明確な定義や限定がない限り、用語「設置」、「取付」、「接続」を、広義的に理解すべきである。例えば、固定接続でもよいし、取外し可能な接続でもよいし、一体的な接続でもよい。そして、機械的な接続でもよいし、電気的な接続でもよい。また、直接接続してもよいし、中間物を介して間接的に接続してもよいし、2つの素子の内部が連通してもよい。当業者は、本開示における上記用語の具体的な意味を、具体的な状況に応じて理解することができる。
【0047】
以下、図面を参照しながら、本開示のいくつかの実施形態を詳細に説明する。矛盾がない限り、下記の実施例及び実施例における特徴を任意に組み合わせることができる。
【0048】
本実施例は、血管吻合用無縫合係合具を提供する。該血管吻合用無縫合係合具は、図1及び図2に示すように、第1端部部材1と、第2端部部材2と、回動軸3と、結束バンド4と、回動止め構造5とを備える。回動軸3は、第1端部部材1に回動可能に取り付けられる。結束バンド4の一端は、回動軸3に固定され、結束バンド4の他端は、第2端部部材2に固定される。第2端部部材2は、第1端部部材1と係合可能に構成される。第1端部部材1と回動軸3との間には、回動軸3を第1端部部材1にロックできるように構成される回動止め構造5が設置される。
【0049】
使用時に、患者自身の血管の、人工血管の両端と吻合する位置を患者自身の血管の両断端にしておき、患者自身の血管の両断端の内側に固定リングを装着し、人工血管を吻合の位置に配置するとともに、人工血管の両端のそれぞれを患者自身の血管の両端の内側と固定リングとの間に挿入し、そして、患者自身の血管の両断端の外側で該血管吻合用無縫合
係合具を装着する。装着の過程が下記の通りである。
【0050】
まず、第2端部部材2と第1端部部材1とを係合させ、そして、回動軸3を回して、結束バンド4を、人工血管が患者自身の血管の両断端に固定されるまで締め、回動止め構造5により回動軸3が第1端部部材1にロックされて、結びが完了する。結びを再調整するとき、第2端部部材2と第1端部部材1との係合を解除すれば該血管吻合用無縫合係合具を取り出して、結び直すことができる。又は、回動止め構造5の回動軸3に対するロック状態を解除でき、これによって、結束バンド4を改めて緊緩可能になり、結びのきつさを調整して結び直すことができる。
【0051】
本実施例において、医師が糸又はバンドを巻く従来の方式の代わりに、第2端部部材2と第1端部部材1とを係合させたあと回動軸3を回して結束バンド4を締めて結ぶ方式で血管吻合操作を行う。操作過程において、医師の視野及び操作方向を血管の軸線に垂直するように確保する必要がないため、血管吻合において医師の人的要因に起因した結び位置に対する影響を減らすことができる。また、回動軸3を回動して結束バンド4を締める方式によれば、医師による結びのきつさを一定の範囲内に収めることができるため、結ぶ力の過小による結びの抜き出しや結ぶ力の過大による患者自身の血管に対する切断等の状況を避けることができる。そして、従来技術に対して、操作がより簡単で容易であり、また、結びを再調整するとき、第2端部部材2と第1端部部材1との係合を解除すれば該血管吻合用無縫合係合具を取り出して結び直すことができ、又は、回動止め構造5の回動軸3に対するロック状態を解除すれば、結束バンド4を改めて緊緩可能になり、結びのきつさを調整して結び直すことができる。したがって、医師が結びを調整することに寄与できる。
【0052】
上記のように、本実施例は、上記の血管吻合における医師の人的要因による結びの位置及び結びのきつさに対する影響を減らし、従来技術における、結び操作が困難で、結びが抜け出しやすくて出血して仮性動脈瘤を形成する恐れがあり、結び後に再調整しにくい技術的問題を解決できる有益な効果を少なくとも有する。
【0053】
さらに、本実施例において、回動止め構造5は、その構成が様々である。例えば、回動止め構造は、第1端部部材1及び回動軸3のそれぞれに開設された開孔と、第1端部部材1及び回動軸3を順に穿通できる固定ピンとを備え、固定ピンによって第1端部部材1及び回動軸3を固定する。好ましくは、本実施例の選択可能な一実施形態において、上記の回動止め構造5は、図1図5に示すように、ラチェット歯51とラチェット爪52とを備え、ラチェット歯51が回動軸3の周面に形成され、ラチェット爪52の一端が第1端部部材1に接続され、ラチェット爪52が常にラチェット歯51の隣接する2つの歯の歯元の間へ滑ろうとしているように構成される。したがって、全結び過程において、ラチェット爪52が随時にラチェット歯51と係合して回動軸3をロックしたりアンロックしたりすることができるため、必要に応じて結びを随時に中断又は再開することに寄与し、結び過程における操作性を向上させて操作の難易度を低減することができる。
【0054】
ラチェット爪52の設計により、十分の結びのきつさを提供でき、回動軸3の逆回動を効果的に防ぐことができる。ラチェット爪52が第1端部部材1に接続する構成形態は多種あり、例えばラチェット爪52の一端が第1端部部材1に固定接続される形態等が挙げられるが、これに限定されない。好ましくは、上記の選択可能な実施形態において、ラチェット爪52の一端が第1端部部材1に取外し可能に接続される。具体的に、図3に示すように、第1端部部材1は、第1端部部材本体と第1端部部材本体に設けられた位置制限部7とを含む。位置制限部7は、第1端部部材本体と一体成形する構造であってもよく、第1端部部材本体に固定される構造であってもよい。位置制限部7が収納溝を有し、第1端部部材本体において、位置制限部7の収納溝に対応する位置に挿着孔が開設されている
。ラチェット爪52の一端に挿着部が接続され、挿着部が第1端部部材本体における挿着孔内に挿着されるとともに、ラチェット爪52の挿着部と接続する端の端部が位置制限部7の収納溝内に係止される。ラチェット爪52の一端を第1端部部材1に取外し可能に接続される具体的な接続方式は、他の取外し可能な接続形態であってもよく、例えば、上記の位置制限部7が設けられずに、第1端部部材1に挿着孔のみが開設され、ラチェット爪52の一端に挿着部が接続され、挿着部が第1端部部材1における挿着孔内に装着され、挿着部と挿着孔の孔壁とが締まりばめで接続するように構成される形態等が挙げられる。
【0055】
好ましい選択可能な実施形態において、ラチェット爪52の一端が取外し可能な方式で第1端部部材1に接続される。これによって、結びを再調整するとき、第2端部部材2と第1端部部材1との係合を解除して該血管吻合用無縫合係合具を取り出して結び直すことができるとともに、ラチェット爪52を取り外すことにより結束バンド4を解き放し、そしてラチェット爪52を取り付けて結束バンド4を締め直すことによって、結びのきつさの調節機能を実現できる。
【0056】
また、上記の選択可能な実施形態において、ラチェット爪52は、弾性材料で作製されたものである。したがって、回動軸3が正方向に回動すると、ラチェット爪52がその自身の弾性でラチェット歯51と協働して回動し、回動軸3を回して結束バンド4を締める過程において、ラチェット爪52を外さなくても、回動軸3が正方向に回動可能であるとともにその逆回動を防ぐことを実現できるので、構成が簡単で、部品が簡素化されて多数の部品の場合の該血管吻合用無縫合係合具の機能失効を避けることができる有益な効果を有する。該弾性材料は、金属材料又は他の弾性を有する材料であることができ、ここで特に限定しない。
【0057】
また、上記のいずれか1つの選択可能な実施形態において、回動止め構造5は、図1及び図6に示すように、ラチェット歯51と端部保護キャップ53とを備える。ラチェット歯51は、回動軸3の周面に形成される。第1端部部材1におけるラチェット歯51の隣接する歯の間に対応する部位に、固定孔11が開設される。端部保護キャップ53は、蓋体531と蓋体531に接続された挿着脚532とを含む。固定孔11及び挿着脚532は、それぞれ少なくとも2つ設けられ、好ましくは、4つ以上設けられる。少なくとも2つの挿着脚532が対応して固定孔11の内部に挿入され、これによって、端部保護キャップ53により回動軸3を位置決め、保護することができるので、回動軸3の第1端部部材1に対する回動を防いで、結束バンド4による人工血管に対する良好な結束効果を確保することができる。保護キャップ53は、回動軸3の逆回動を防ぐことができるとともに、正回動も防ぐことができるので、結び過程が完了した後に規定位置に設置して定位回動軸3をさらに位置決めすることができる。また、該保護キャップ53がラチェット歯51の外部に覆われるので、作業者がラチェット歯51を直接接触できず、誤操作を防ぐことができる。
【0058】
また、図4に示すように、本実施例の選択可能な一実施形態において、回動軸3の中間部に長孔31が開設され、結束バンド4は、一端が長孔31に通されて結束バンド4の他の部位に接続されるように回動軸3に固定され、接続方式として、例えば接着、溶接、熱溶着又は縫合等が挙げられるが、これらに限定されない。本実施例の他の選択可能な実施形態において、結束バンド4を回動軸3に直接接着してもよいが、それに対して、図4の構成のように結束バンド4の一端を回動軸3に固定することであれば、固定構成がより安定であり、結束バンド4の回動軸3からの抜け出しを防ぐことに寄与できるとともに、回動軸3の回動過程における結束バンド4の滑りを防ぐことができるため、手術の成功率及び手術効果の持続性を向上させることができる。
【0059】
また、本実施例の選択可能な一実施形態において、第2端部部材2は、図1及び図3
示すように、ロッド部21と、それぞれロッド部21の両端に形成された端部フランジ22とを含む。端部フランジ22は、ロッド部21と一体成形された構造であってもよく、ロッド部21に固定される構造であってもよい。第1端部部材1に係合溝12及び円弧状固定部13が設けられ、係合溝12が、ロッド部21を格納できるように構成され、円弧状固定部13が、係合溝12の長手方向における両端に形成され、端部フランジ22を係止できるように構成される。このような構成によれば、第2端部部材2が第1端部部材1に安定に係合することに寄与し、意図しない外れを確実に防ぐことができる。
【0060】
また、本実施例において、回動軸3を第1端部部材1に回動可能に取り付ける取付方式は多種あり、例えば、図1及び図3に示すように、本実施例の選択可能な一実施形態において、第1端部部材1に回動軸取付溝14が設けられ、回動軸取付溝14の両端の端面に取付孔141が開設され、回動軸3の一端が1つの取付孔141内に挿着され、回動軸3の他端がもう1つの取付孔141内に挿着されることにより、回動軸3が第1端部部材1に回動可能に取り付けられる。さらに、図4に示すように、好ましくは、回動軸3は、高分子射出成形材料で作製され、一定の弾性を有し、回動軸3が2つの取付孔141内に装着された状態で、回動軸3の2つの取付孔141の間の部位が回動軸3の装着部位であり、回動軸3の装着部位の断面積が2つの取付孔141の孔径よりも略大きい。したがって、組立過程において、回動軸3の上記の装着部位をその自身の弾性で2つの取付孔141に締まり嵌めによって通すことができ、その後、回動軸3の装着部位が2つの取付孔141の間に位置制限されるため、回動軸3の取付孔141からの抜け出しを防ぐことができ、回動軸3が2つの取付孔141内に確実に接続されることを保証できる。
【0061】
また、該血管吻合用無縫合係合具と人工血管の血管壁とをよく密接させて、出血を防ぐため、本実施例の選択可能な実施形態において、好ましくは、第1端部部材1の人工血管と密接する側が円弧状を呈する。
【0062】
また、図2及び図4に示すように、本実施例の選択可能な一実施形態において、回動軸3の端部に操作部32が設けられ、該操作部32は、手術器具と組み合わせて回動軸3を回動できるように構成される。具体的に、図2及び図4に示すように、回動軸3の端部に操作部32として多角形の操作孔が開設され、したがって、回動軸3を回動しようとするとき、専用の手術用レバーを操作孔内に挿入して回動軸3を回動すればよいので、構成が簡単で、操作が容易で、安定且つ確実に回動できる有益な効果を有する。該操作部32は、他の構造形態に形成してもよく、例えば、上記の操作部32が回動軸3の端部に形成された多角形突起に形成され、専用の手術レバーを該多角形突起の外部に外嵌して回動軸3を回動する形態等が挙げられる。
【0063】
とくに、この選択可能な実施形態において、手術器具で回動軸3を回動する案として1種の回動方式を挙げたが、これに限定されなく、上記の操作部32を設けずに、直接回動軸3の端部を挟んで回動軸3の回動を駆動できる手術器具を使用して手術操作を行ってもよい。しかし、上記の専用の操作部32を設けて手術器具で回動軸3を回動する案がより便利で確実であり、手術時間の短縮、回動の安定実行に寄与するため、手術器具で回動軸3を回動する案の多種の選択肢のうち、上記の選択可能な実施形態における構造を使用し、即ち上記の操作部32を設けることが好ましい。
【0064】
また、本実施例の選択可能な一実施形態において、結束バンド4の中間部、回動軸3及び第2端部部材2のうちの少なくとも一方に現像部6が設置され、図2に示すように、現像部6が結束バンド4の中間部に設置される。術後のファローアップでX線照射により該血管吻合用無縫合係合具の位置に対して現像観察を行って、血管吻合用無縫合係合具の変位、変形等があるか否かを確認可能にするように、上記の現像部6は、通常、金属で作製され、例えば黄金糸又は白金イリジウム合金糸等の貴金属材料を利用できるが、これに限
定されない。現像部6をバンド4の中間部、回動軸3及び第2端部部材2のうちの少なくとも一方に設置する具体的な方式が多種あり、例えば、現像部6を相応の構造部材に溶接又は射出成形するように、相応の部位に接続できればよい。
【0065】
また、本実施例の選択可能な一実施形態において、結束バンド4の結束後の外周面に目盛りが設けられ、該目盛りがセンチメートル、ミリメートル、インチ等を単位とすることができる。よって、第2端部部材2が第1端部部材1に係合されたあと、医師や看護員が、結束バンド4が形成したクローズドループの直径及び周長等の寸法情報を直接観察して得ることができるので、実際の操作時に血管の寸法に応じて結びの位置及び結びのきつさを調節することに寄与できる。
【0066】
また、本実施例の選択可能な一実施形態において、結束バンド4は、血管壁に対して一定の摩擦力を有する柔らかい材料で作製されるため、結びの滑りによる出血で仮性動脈瘤が形成されることを防ぐことができる。
【0067】
最後に要注意には、上記各実施例は、本開示の技術案を説明するためのものにすぎず、それを限定するものではない。上記各実施例を用いて本開示を詳細に説明したが、当業者にとって、上記各実施例に記載された技術案を変更し、又はその内の一部或いは全部の技術的特徴に対して均等置換を行うこともできる。これらの変更又は置換は、該当技術案の本質を本開示の各実施例による技術案の範囲から逸脱させない。
【0068】
産業上の利用可能性
本開示に係る血管吻合用無縫合係合具は、血管吻合における医師の人的要因による結びの位置及び結びのきつさに対する影響を減し、従来技術における、結び操作が困難で、結びが抜け出しやすくて出血して仮性動脈瘤を形成する恐れがあり、結び後に再調整しにくい技術的問題を解決できる。
【符号の説明】
【0069】
1 第1端部部材
11 固定孔
12 係合溝
13 円弧状固定部
14 回動軸取付溝
141 取付孔
2 第2端部部材
21 ロッド部
22 端部フランジ
3 回動軸
31 長孔
32 操作部
4 結束バンド
5 回動止め構造
51 ラチェット歯
52 ラチェット爪
53 端部保護キャップ
531 蓋体
532 挿着脚
6 現像部
7 位置制限部
図1
図2
図3
図4
図5
図6