(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-09
(45)【発行日】2023-02-17
(54)【発明の名称】電池パック
(51)【国際特許分類】
H01M 50/262 20210101AFI20230210BHJP
H01M 50/204 20210101ALI20230210BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20230210BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20230210BHJP
H01M 10/6556 20140101ALI20230210BHJP
H01M 50/209 20210101ALI20230210BHJP
H01M 50/244 20210101ALI20230210BHJP
H01M 50/271 20210101ALI20230210BHJP
H01M 50/291 20210101ALI20230210BHJP
H01M 50/35 20210101ALI20230210BHJP
H01M 50/367 20210101ALI20230210BHJP
H01M 50/264 20210101ALI20230210BHJP
H01M 10/647 20140101ALN20230210BHJP
【FI】
H01M50/262 S
H01M50/204 401H
H01M10/613
H01M10/625
H01M10/6556
H01M50/209
H01M50/244 Z
H01M50/271 Z
H01M50/291
H01M50/35 201
H01M50/367
H01M50/264
H01M10/647
(21)【出願番号】P 2019538049
(86)(22)【出願日】2018-08-07
(86)【国際出願番号】 JP2018029503
(87)【国際公開番号】W WO2019039260
(87)【国際公開日】2019-02-28
【審査請求日】2021-04-02
(31)【優先権主張番号】P 2017161546
(32)【優先日】2017-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123102
【氏名又は名称】宗田 悟志
(72)【発明者】
【氏名】粂 信吾
(72)【発明者】
【氏名】後藤 俊哉
【審査官】多田 達也
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04317497(US,A)
【文献】特開平09-240288(JP,A)
【文献】特開2013-014275(JP,A)
【文献】特開2008-105645(JP,A)
【文献】国際公開第2017/104535(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20
B60K 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層された複数の電池を有する電池積層体と、
前記電池積層体を収容する筐体と、
前記筐体に収容されるとともに前記筐体を補強する骨格部と、
前記電池積層体を固定するエンドプレートと、を備え、
前記骨格部は、
第1方向に延在するとともに、前記複数の電池の積層方向において前記電池と対向する幹部と、
前記幹部から突出するとともに前記第1方向に配列される複数の枝部と、
隣り合う一対の枝部によって区画されて前記電池積層体が収容される複数の収容空間と、を有し、
前記幹部及び前記複数の枝部は、前記筐体に固定され
、
前記エンドプレートは、前記複数の枝部に連結される、電池パック。
【請求項2】
前記エンドプレートは、前記複数の収容空間に対応する複数の本体部と、隣り合う本体部同士を連結する連結部とを有し、
前記連結部は、隣り合う前記本体部の相対的な変位に応じて変形可能である請求項1に記載の電池パック。
【請求項3】
積層された複数の電池を有する電池積層体と、
前記電池積層体を収容する筐体と、
前記筐体に収容されるとともに前記筐体を補強する骨格部と、を備え、
前記骨格部は、
第1方向に延在するとともに、前記複数の電池の積層方向において前記電池と対向する幹部と、
前記幹部から突出するとともに前記第1方向に配列される複数の枝部と、
隣り合う一対の枝部によって区画されて前記電池積層体が収容される複数の収容空間と、を有し、
前記幹部及び前記複数の枝部は、前記筐体に固定され、
前記幹部は中空構造を有し、本電池パックに用いられる部材が収容される
、電池パック。
【請求項4】
積層された複数の電池を有する電池積層体と、
前記電池積層体を収容する筐体と、
前記筐体に収容されるとともに前記筐体を補強する骨格部と、を備え、
前記骨格部は、
第1方向に延在するとともに、前記複数の電池の積層方向において前記電池と対向する幹部と、
前記幹部から突出するとともに前記第1方向に配列される複数の枝部と、
隣り合う一対の枝部によって区画されて前記電池積層体が収容される複数の収容空間と、を有し、
前記幹部及び前記複数の枝部は、前記筐体に固定され、
前記幹部は中空構造を有し、前記電池から排出されるガスの排気ダクトを構成する
、電池パック。
【請求項5】
前記枝部は中空構造を有し、前記電池から排出されるガスの排気ダクトを構成する請求項4に記載の電池パック。
【請求項6】
前記枝部は、中空構造を有するとともに、内部で枝部の延在方向に延びる棒部材を有し、
前記棒部材に前記エンドプレートが固定される請求項
1または2に記載の電池パック。
【請求項7】
積層された複数の電池を有する電池積層体と、
前記電池積層体を収容する筐体と、
前記筐体に収容されるとともに前記筐体を補強する骨格部と、を備え、
前記骨格部は、
第1方向に延在するとともに、前記複数の電池の積層方向において前記電池と対向する幹部と、
前記幹部から突出するとともに前記第1方向に配列される複数の枝部と、
隣り合う一対の枝部によって区画されて前記電池積層体が収容される複数の収容空間と、を有し、
前記幹部及び前記複数の枝部は、前記筐体に固定され、
前記電池積層体の冷却部をさらに備え
、
前記幹部は中空構造を有し、
前記冷却部は、冷媒配管を有し、
前記冷媒配管は、少なくとも一部が前記幹部に収容される、電池パック。
【請求項8】
前記筐体は、開口を有する容器部と、前記容器部の開口を塞ぐ蓋部とを含み、
前記幹部及び前記複数の枝部はそれぞれ、前記容器部に固定される固定部を有する請求項1乃至
7のいずれか1項に記載の電池パック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池パックに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば車両用等の、高い出力電圧が要求される電源として、複数個の電池が直列接続された電池積層体が知られている(例えば特許文献1参照)。一般に電池積層体は、決められた数の電池が積層されてバインドバーで締結されてなるモジュール構造をとっていた。そして、複数の電池積層体が電池パックに収容されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
本発明者は、従来の電池パックについて鋭意検討を重ねた結果、電池積層体の新規な収容技術に想到した。
【0005】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的の1つは、電池積層体の新規な収容技術を提供することにある。
【0006】
本発明のある態様は、電池パックである。当該電池パックは、積層された複数の電池を有する電池積層体と、電池積層体を収容する筐体と、筐体に収容されるとともに筐体を補強する骨格部と、を備える。骨格部は、第1方向に延在する幹部と、幹部から突出するとともに第1方向に配列される複数の枝部と、隣り合う一対の枝部によって区画されて電池積層体が収容される複数の収容空間と、を有し、幹部及び複数の枝部は筐体に固定される。
【0007】
本発明によれば、電池積層体の新規な収容技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態に係る電池パックの概略構造を示す分解斜視図である。
【
図2】骨格部及び電池積層体の概略構造を示す分解斜視図である。
【
図3】
図3(A)は、骨格部の一部を拡大して示す断面図である。
図3(B)は、骨格部及び電池積層体の一部を拡大して示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図に示す各部の縮尺や形状は、説明を容易にするために便宜的に設定されており、特に言及がない限り限定的に解釈されるものではない。また、同一の部材であっても、各図面間で縮尺等が若干相違する場合もあり得る。また、本明細書または請求項中に「第1」、「第2」等の用語が用いられる場合、特に言及がない限りいかなる順序や重要度を表すものでもなく、ある構成と他の構成とを区別するためのものである。
【0010】
図1は、実施の形態に係る電池パックの概略構造を示す分解斜視図である。
図2は、骨格部及び電池積層体の概略構造を示す分解斜視図である。
図3(A)は、骨格部の一部を拡大して示す断面図である。
図3(B)は、骨格部及び電池積層体の一部を拡大して示す断面図である。なお、
図1及び
図2では、電池積層体を他の部材よりも拡大して図示している。
図3(B)では、電池の内部構造の図示を省略している。
【0011】
電池パック1は、筐体2と、電池積層体10と、骨格部100と、冷却部200とを備える。筐体2は、電池積層体10、骨格部100及び冷却部200を収容する容器である。好ましくは、筐体2は防水性を有する。なお、筐体2は、防水性を有しなくてもよい。筐体2は、開口を有する容器部2aと、容器部2aの開口を塞ぐ蓋部2bとを含む。容器部2aは、底板と、底板の周囲から立ち上がる側壁とを有する。筐体2には、電池積層体10及び冷却部200が取り付けられた状態の骨格部100が固定される。また、筐体2は、車体等の取り付け対象(図示せず)に固定される。各部の固定構造については、後に詳細に説明する。
【0012】
電池積層体10は、積層された複数の電池12を有する。各電池12は、例えば、リチウムイオン電池、ニッケル-水素電池、ニッケル-カドミウム電池等の充電可能な二次電池である。電池12は、いわゆる角形電池であり、扁平な直方体形状の外装缶14を有する。外装缶14の一面には図示しない略長方形状の開口が設けられ、この開口を介して外装缶14に電極体や電解液等が収容される。外装缶14の開口には、外装缶14を封止する封口板16が設けられる。
【0013】
封口板16には、長手方向の一端寄りに正極の出力端子18が設けられ、他端寄りに負極の出力端子18が設けられる。以下では適宜、正極の出力端子18を正極端子18aと称し、負極の出力端子18を負極端子18bと称する。また、出力端子18の極性を区別する必要がない場合、正極端子18aと負極端子18bとをまとめて出力端子18と称する。外装缶14、封口板16及び出力端子18は導電体であり、例えば金属製である。
【0014】
本実施の形態では、封口板16が設けられる側を電池12の上面、反対側を電池12の底面とする。また、電池12は、上面及び底面をつなぐ2つの主表面を有する。この主表面は、電池12が有する6つの面のうち面積の最も大きい面である。上面、底面及び2つの主表面を除いた残り2つの面は、電池12の側面とする。また、電池12の上面側を電池積層体10の上面とし、電池12の底面側を電池積層体10の底面とする。また便宜上、電池積層体10の上面側を鉛直方向上方とし、電池積層体10の底面側を鉛直方向下方とする。
【0015】
封口板16には、一対の出力端子18の間に安全弁20が設けられる。安全弁20は、外装缶14の内圧が所定値以上に上昇した際に開弁して、内部のガスを放出できるように構成される。各電池12の安全弁20から排出されるガスは、後述する第1排気ダクト及び第2排気ダクトを介して筐体2の外部に排気される。
【0016】
複数の電池12は、隣り合う電池12の主表面同士が対向するようにして積層される。なお、「積層」は、任意の1方向に複数の部材を並べることを意味する。したがって、電池12の積層には、複数の電池12を水平に並べることも含まれる。また、各電池12は、出力端子18が同じ方向(ここでは便宜上、鉛直方向上方とする)を向くように配置される。隣接する2つの電池12は、一方の正極端子18aと他方の負極端子18bとが隣り合うように積層される。正極端子18aと負極端子18bとは、図示しないバスバーを介して電気的に接続される。なお、隣接する2つの電池12の同極性の出力端子18同士をバスバーで接続する場合もあり得る。
【0017】
また、電池積層体10は、複数のセパレータ22を有する。セパレータ22は、例えば絶縁性を有する樹脂からなる。複数の電池12と複数のセパレータ22とは交互に積層される。セパレータ22は、電池12の主表面に平行な平面部24と、平面部24の端部から電池12の積層方向X(
図1における矢印Xで示す方向)に延在する壁部26とを有する。
【0018】
平面部24は、隣接する2つの電池12の対向する主表面間に延在する。これにより、隣り合う電池12の外装缶14同士が絶縁される。また、平面部24は、電池12と後述するエンドプレート108との間、及び電池12と後述する幹部102との間にそれぞれ延在する。これにより、電池12の外装缶14と、エンドプレート108及び幹部102のそれぞれとが絶縁される。また、壁部26によって電池12の側面が覆われる。これにより、電池12と後述する枝部104とが絶縁される。つまり、セパレータ22によって、隣り合う電池12の外装缶14同士が絶縁され、また電池12の外装缶14と骨格部100とが絶縁される。
【0019】
骨格部100は、筐体2に収容されるとともに筐体2を補強する構造体である。骨格部100は、高剛性の材料、例えば鉄やステンレス等の金属で構成される。骨格部100は、幹部102と、複数の枝部104と、複数の収容空間106と、エンドプレート108とを有する。幹部102は、長尺の部材であり、第1方向に延在する。第1方向は、電池の積層方向Xと交わる方向である。
【0020】
また、幹部102は中空構造を有する。本実施の形態の幹部102は、角管を基本形状とし、一面が第1方向の全域にわたって取り除かれた形状を有する。このため、幹部102の内部空間102aは、周面の一部が開放されている。幹部102は、この開放部分が冷却部200側を向くように配置される。したがって、幹部102の内部空間102aは、冷却部200によって塞がされる。
【0021】
幹部102の内部空間102aには、電池パック1に用いられる部材が収容される。本実施の形態では一例として、各電池12に接続される配線の束、すなわちハーネス4が内部空間102aに収容されている。また、冷却部200の後述する冷媒配管204が内部空間102aに収容されている。また、内部空間102aの一部には、電池12から排出されるガスが通される。したがって、幹部102は、電池12から排出されるガスの排気ダクトを構成する。本実施の形態では、幹部102が構成する排気ダクトを第1排気ダクトとする。好ましくは、排出ガスの流路と、ハーネス4及び冷媒配管204の延在空間とは、内部空間102aにおいて気密に仕切られている。
【0022】
幹部102における冷却部200とは反対側を向く面には、内部空間102aと幹部102の外側とを連通する開口部102bが設けられる。電池パック1に用いられる部材、例えばハーネス4は、開口部102bを介して内部空間102aに引き込まれる。あるいはハーネス4は、開口部102bを介して内部空間102aから外部に引き回される。排出ガスの流路は、開口部102bに対して気密に封止されている。幹部102の第1方向における両端部は、容器部2aの内壁に当接する。したがって、内部空間102aの第1方向における両端部は、容器部2aの内壁によって塞がれる。必要に応じて、容器部2aの内壁には図示しない開口部が設けられ、内部空間102aに延在するハーネス4や冷媒配管204、排出ガスの流路等は、当該開口部を介して筐体2の外部に引き回される。
【0023】
複数の枝部104は、幹部102から突出するとともに第1方向に配列される。具体的には、各枝部104は、幹部102から第1方向と直角に交わる第2方向に突出する。また、各枝部104は、所定の間隔をあけて第1方向に配列される。そして、隣り合う一対の枝部104によって、電池積層体10が収容される複数の収容空間106が区画される。したがって、複数の収容空間106は、第1方向に並ぶように配置される。なお、各収容空間106は、より詳細には一対の枝部104と、幹部102と、エンドプレート108とで区画される。
【0024】
本実施の形態では、電池12の積層方向Xと直交する水平方向Yを第1方向とする。また、電池12の積層方向Xを第2方向とする。複数の枝部104は、幹部102における積層方向Xに並ぶ2つの側壁110の両方から、積層方向Xに突出する。したがって、幹部102の両側で、複数の収容空間106が水平方向Yに配列される。また、各枝部104の水平方向Yにおける間隔は、電池積層体10の水平方向Yの長さのおよそ2倍である。したがって、各収容空間106には、2つの電池積層体10が水平方向Yに並んで収容される。なお、各枝部104の水平方向Yの間隔は、電池積層体10の水平方向Yの寸法1つ分以上であれば特に限定されない。
【0025】
また、枝部104は中空構造を有する。本実施の形態の枝部104は、角管形状を有する。枝部104の内部空間104aには、枝部104の延在方向に延びる棒部材112が収容される。棒部材112は、枝部104の先端部において枝部104の外側に突出する。本実施の形態では、2本の棒部材112が収容されている。また、各棒部材112は、幹部102の側壁110を貫通して、幹部102の一方の側に配置された枝部104の先端から他方の側に配置された枝部104の先端にかけて延在している。側壁110の内側面、すなわち内部空間102aを臨む面には、補強板132が設けられる。棒部材112は、補強板132を貫通する。補強板132を設けることで、幹部102、ひいては骨格部100の剛性を高めることができる。
【0026】
また、枝部104には、内部空間104aと枝部104の外側とを連通する開口部104bが設けられる。そして、枝部104の内部空間104aには、開口部104bを介して、電池12から排出されるガスが通される。内部空間104aは、幹部102の内部空間102aに連通されており、排出ガスは内部空間104aを介して内部空間102aに至る。したがって、枝部104は、電池12から排出されるガスの排気ダクトを構成する。本実施の形態では、枝部104が構成する排気ダクトを第2排気ダクトとする。第2排気ダクトは、電池12から排出されるガスを第1排気ダクトに導く機能を担う。
【0027】
エンドプレート108は、複数の枝部104に連結される。エンドプレート108は、複数の収容空間106に対応する複数の本体部114と、隣り合う本体部114同士を連結する連結部116とを有する。つまり、エンドプレート108は、複数の本体部114が水平方向Yに並び、隣り合う本体部114の間に連結部116が配置された構造を有する。また、エンドプレート108は、両最外側に連結部116を有する。これらの連結部116は、水平方向Yの一端側は本体部114に連結されるが、他端側は開放端となっている。
【0028】
各本体部114は、平板の上下端が折り曲げられた形状を有する。したがって、各本体部114は、収容空間106側を向く主表面を有する。各本体部114は、収容空間106の外郭の一部を構成する。各連結部116は平板状であり、棒部材112に対応する位置に貫通孔116aを有する。各連結部116の貫通孔116aには、棒部材112が挿通される。また、貫通孔116aから突出した棒部材112の先端に、締結部材118が取り付けられる。これにより、棒部材112にエンドプレート108が固定される。エンドプレート108が複数の枝部104に連結されることで、収容空間106に収容された電池積層体10は、本体部114によって押圧される。電池積層体10は、幹部102の側壁110に対して所定の圧力で押し付けられる。つまり、電池積層体10は、エンドプレート108と幹部102とで挟み込まれる。これにより、電池積層体10が固定される。
【0029】
連結部116は、積層方向X及び水平方向Yと交わる方向の寸法、本実施の形態では鉛直方向Zの寸法が、本体部114の当該寸法よりも小さい。したがって、エンドプレート108は、連結部116において柔軟性を有する。これにより、連結部116は、隣り合う本体部114の相対的な変位に応じて変形可能である。電池積層体10は、電池12の膨張等に起因して寸法が変化する場合がある。特に、電池12の積層方向Xにおいて、寸法の変化が大きくなる傾向がある。このため、隣り合う本体部114同士は、各収容空間106に収容される電池積層体10の寸法変化に応じて相対的に変位し得る。これに対し、連結部116が弾性変形することで、隣り合う本体部114の相対的な変位を吸収することができる。その結果、各電池積層体10の寸法の変化を吸収することができる。
【0030】
また、電池積層体10とエンドプレート108の本体部114との間には、スペーサ120が配置される。スペーサ120は、積層方向Xにおける電池積層体10及び収容空間106の寸法の差を埋めるための部材である。エンドプレート108からの圧力は、スペーサ120を介して電池積層体10に伝えられる。スペーサ120を設けることで、積層方向Xにおいて電池積層体10をより確実に固定することができる。また、電池積層体10を構成する電池12の数を、より自由に設定可能となる。好ましくは、スペーサ120は弾性を有する。これにより、スペーサ120によっても電池積層体10の寸法変化を吸収することができる。なお、スペーサ120は、電池積層体10と幹部102との間に配置されてもよい。
【0031】
冷却部200は、電池積層体10を冷却するための機構である。冷却部200は、冷却板202と、冷媒配管204と、分配管206とを有する。冷却板202には、電池積層体10が載置される。したがって、冷却板202は、収容空間106の外郭の一部を構成すると解釈することができる。冷却板202は、容器部2aに収まる外寸を有する。冷却板202には、冷媒の流路(図示せず)が設けられる。
【0032】
冷媒配管204は、電池パック1の外部と冷却板202との間で冷媒を循環させるための管である。冷媒は例えば水やエチレングリコールである。分配管206は、冷媒配管204と冷却板202の流路とを連結する管である。冷媒は、冷媒配管204から分配管206を介して冷却板202の流路に供給され、冷却板202の流路を流れた後に分配管206を介して冷媒配管204に回収される。各電池積層体10は、冷却板202を流れる冷媒との間で熱交換することで冷却される。
【0033】
冷却部200は、鉛直方向Zで骨格部100と重なるように配置されて、骨格部100に固定される。具体的には、骨格部100は、幹部102の側壁110から突出する、板状の第1支持部122を複数有する。一例として、各第1支持部122は、各枝部104と鉛直方向Zで重なる位置に設けられる。各第1支持部122は、貫通孔122aを有する。また、冷却板202には、複数の第1貫通孔208が設けられる。各第1貫通孔208は、骨格部100と冷却部200とが位置合わせされた状態で、鉛直方向Zで各貫通孔122aと重なる位置に設けられる。
【0034】
また、骨格部100は、各枝部104の先端、且つ底面側に第2支持部124を有する。各第2支持部124は、貫通孔124aを有する。また、冷却板202には、複数の第2貫通孔210が設けられる。各第2貫通孔210は、骨格部100と冷却部200とが位置合わせされた状態で、鉛直方向Zで各貫通孔124aと重なる位置に設けられる。骨格部100と冷却部200とが位置合わせされた状態で、第1貫通孔208と貫通孔122aとに締結部材300が挿通される。また、第2貫通孔210と貫通孔124aとに締結部材300が挿通される。これにより、骨格部100と冷却部200とが互いに固定される。なお、骨格部100と冷却部200とは、締結部材300以外の固定機構で固定されてもよい。
【0035】
骨格部100に冷却部200が固定された状態で、収容空間106に収容された電池積層体10は、底面が冷却板202に当接する。これにより、鉛直方向Zにおける電池積層体10の位置決めがなされる。また、本実施の形態では、各収容空間106に2つの電池積層体10が水平方向Yに並んで収容されている。したがって、2つの電池積層体10は、積層方向Xに延在する2つの側面(水平方向Yに並ぶ2つの側面)のうち一方の側面同士が当接する。また、それぞれの他方の側面が枝部104に当接する。これにより、水平方向Yにおける各電池積層体10の位置決めがなされる。
【0036】
また各電池積層体10は、水平方向Yに延在する2つの側面(積層方向Xに並ぶ2つの側面)のうち一方の側面が幹部102の側壁110に当接する。また、他方の側面がスペーサ120を介してエンドプレート108に当接する。これにより、積層方向Xにおける各電池積層体10の位置決めがなされる。各電池積層体10の電池12と、他方の電池積層体10、枝部104、側壁110及びエンドプレート108との間には、セパレータ22が介在する。
【0037】
骨格部100は、筐体2に固定される。これにより、筐体2の剛性を確保することができる。具体的には、骨格部100は、幹部102の両端部から水平方向Yに突出する第1庇部126を有する。各第1庇部126は、容器部2aの側壁に固定される固定部として機能する。各第1庇部126は、貫通孔126aを有する。また、容器部2aには、複数の第1貫通孔6aが設けられる。蓋部2bには、複数の第1貫通孔6bが設けられる。各第1貫通孔6a,6bは、骨格部100と容器部2aと蓋部2bとが位置合わせされた状態で、鉛直方向Zで各貫通孔126aと重なる位置に設けられる。
【0038】
また、骨格部100は、各枝部104の先端から積層方向Xに突出する第2庇部128を有する。各第2庇部128は、容器部2aの側壁に固定される固定部として機能する。各第2庇部128は、貫通孔128aを有する。また、容器部2aには、複数の第2貫通孔8aが設けられる。蓋部2bには、複数の第2貫通孔8bが設けられる。各第2貫通孔8a,8bは、骨格部100と容器部2aと蓋部2bとが位置合わせされた状態で、鉛直方向Zで各貫通孔128aと重なる位置に設けられる。
【0039】
また、骨格部100は、幹部102の水平方向Yにおける略中央部に、貫通孔130を有する。蓋部2bには、第3貫通孔9bが設けられる。第3貫通孔9bは、骨格部100と蓋部2bとが位置合わせされた状態で、鉛直方向Zで貫通孔130と重なる位置に設けられる。
【0040】
骨格部100と容器部2aと蓋部2bとが鉛直方向Zで互いに重なるように位置合わせされた状態で、第1貫通孔6a、貫通孔126a及び第1貫通孔6bに締結部材300が挿通される。また、第2貫通孔8a、貫通孔128a及び第2貫通孔8bに締結部材300が挿通される。また、貫通孔130及び第3貫通孔9bに締結部材300が挿通される。これにより、容器部2a、骨格部100及び蓋部2bが互いに固定される。この状態で、骨格部100、冷却部200及び複数の電池積層体10が筐体2に収容される。また、筐体2と骨格部100とを固定する締結部材300は、筐体2から突出する先端部が電池パック1の取り付け対象にも挿通される。これにより、電池パック1を取り付け対象に固定することができる。なお、骨格部100と筐体2とは、締結部材300以外の固定機構で固定されてもよい。
【0041】
以上説明したように、本実施の形態に係る電池パック1は、電池積層体10と、電池積層体10を収容する筐体2と、筐体2を補強する骨格部100とを備える。骨格部100は、第1方向に延在する幹部102と、幹部102から突出するとともに第1方向に配列される複数の枝部104と、隣り合う一対の枝部104で区画される複数の収容空間106とを有する。そして、幹部102は両端が筐体2に固定され、複数の枝部104はそれぞれの端部が筐体2に固定される。
【0042】
すなわち、本実施の形態では、幹部102及び複数の枝部104を有する骨格部100により筐体2を補強するとともに、骨格部100に電池12の位置決め機能あるいは固定機能を付与している。これにより、積層した電池をバインドバーで締結するモジュール構造をとっていた従来の電池積層体を筐体に収容する場合に比べて、部品点数を削減することができる。また、従来の電池積層体を筐体に敷設する場合とは異なる電池の配列が可能となる。したがって、電池の配列の自由度を高めることができる。その結果、電池パック1を車両等へ搭載する際に、効率的な配置が可能となる。また、筐体2の剛性は骨格部100によって確保されている。このため、容器部2a及び蓋部2bに求められる剛性は小さい。よって、筐体2の形状や寸法を容易に変更することができる。
【0043】
また、電池パック1は、電池積層体10を固定するエンドプレート108を有する。エンドプレート108は、複数の収容空間106に対応する複数の本体部114と、隣り合う本体部114同士を連結する連結部116とを有する。つまり、エンドプレート108は、各収容空間106の電池積層体10に対応するエンドプレートが一体化された構造を有する。これにより、電池パック1の部品点数を削減することができる。また、連結部116は、隣り合う本体部114の相対的な変位に応じて変形可能である。これにより、各電池積層体10の寸法変化を個々に吸収することができる。
【0044】
ただし、エンドプレート108は省略されてもよい。エンドプレート108が用いられない場合、容器部2aの側壁がエンドプレート108の役割を担う。この場合、容器部2aに骨格部100が設置された状態で、電池積層体10が幹部102と容器部2aの側壁と隣り合う枝部104で囲まれる収容空間106に設置される。電池積層体10と容器部2aの側壁との間にスペーサ120が配置されることで、電池積層体10は幹部102の側壁110と容器部2aの側壁とで挟まれる。これにより、収容空間106に収容された電池積層体10は、幹部102及び容器部2aの間で所定の圧力で押し付けられた状態で固定される。
【0045】
容器部2aの側壁がエンドプレート108の役割を担う場合、棒部材112は省略されてもよい。容器部2aの剛性が十分であれば、棒部材112を設置しなくても電池積層体10を幹部102と容器部2aの側壁との間に確実に固定することができる。なお、エンドプレート108を用いない構成において棒部材112を設置する場合、例えば、容器部2aの側壁に貫通孔が設けられる。各棒部材112の先端はこの貫通孔から突出し、貫通孔から突出した各棒部材112の先端に締結部材118が取り付けられる。これにより、複数の枝部104が容器部2aの側壁に連結される。この結果、筐体2の剛性がより向上し、電池積層体10を幹部102と容器部2aの側壁との間により確実に固定することができる。
【0046】
また、幹部102は中空構造を有する。そして、幹部102の内部空間102aには、電池パック1に用いられる部材、例えばハーネス4が収容される。これにより、電池パック1を設置する際の作業性といった、電池パック1の扱いやすさを向上させることができる。また、電池パック1の小型化に寄与し得る。さらに、電池パック1への機能追加にともなって追加される部品を、内部空間102aに収容することができる。このため、より簡単に電池パック1の多機能化を図ることができる。
【0047】
また、幹部102は、電池12から排出されるガスの排気ダクトを構成する。これにより、排気ダクトを別途設ける場合に比べて、電池パック1を小型化することができる。また、排気ダクトの設置に要するスペースを省略できるため、より効率的な電池12の配置に寄与し得る。また、枝部104は中空構造を有する。そして、枝部104の内部空間104aは、電池12から排出されるガスの排気ダクトを構成する。これにより、電池パック1をより小型化することができる。また、より効率的な電池12の配置に寄与し得る。
【0048】
また、枝部104は、内部空間104aに棒部材112を有する。棒部材112は、枝部104の延在方向に延びる。これにより、骨格部100、ひいては筐体2の剛性を高めることができる。また、棒部材112にエンドプレート108が固定される。これにより、骨格部100は、積層方向Xの大きさが様々な電池積層体10を支持することができる。つまり、骨格部100は、電池12の数の変動に柔軟に対応することができる。
【0049】
また、電池パック1は、冷却部200を備える。冷却部200は、筐体2に収容される。これにより、温度上昇による電池12の性能低下を抑制することができる。また、冷却部200の冷媒配管204は、少なくとも一部が幹部102の内部空間102aに収容される。これにより、電池パック1をより小型化することができる。また、冷媒配管204の設置に要するスペースを省略できるため、より効率的な電池12の配置に寄与し得る。
【0050】
また、筐体2は、開口を有する容器部2aと、容器部2aの開口を塞ぐ蓋部2bとを含む。幹部102の両端と複数の枝部104の先端にはそれぞれ、容器部2aに固定される固定部が設けられる。これにより、筐体2をより確実に補強することができる。
【0051】
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を加えることが可能であり、変形が加えられた実施の形態も本発明の範囲に含まれる。上述した実施の形態への変形の追加によって生じる新たな実施の形態は、組み合わされる実施の形態及び変形それぞれの効果をあわせもつ。
【0052】
電池積層体10が備える電池12の数、及び骨格部100が備える枝部104の数は、特に限定されない。また、外装缶14は、シュリンクチューブ等の絶縁シートで被覆されてもよい。外装缶14の表面を絶縁シートで被覆することで、隣り合う電池12間、及び電池12と骨格部100との間の短絡を抑制することができる。電池積層体10と冷却板202とは、任意の伝熱部材を介して熱的に接続されてもよい。
【0053】
以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【符号の説明】
【0054】
1 電池パック
2 筐体
10 電池積層体
12 電池
100 骨格部
102 幹部
104 枝部
106 収容空間
108 エンドプレート
112 棒部材
114 本体部
116 連結部
200 冷却部
204 冷媒配管