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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-09
(45)【発行日】2023-02-17
(54)【発明の名称】電源装置および過電流保護装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20230210BHJP
   G05F 1/56 20060101ALI20230210BHJP
【FI】
H02M3/155 C
G05F1/56 320C
G05F1/56 310D
G05F1/56 310W
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019122392
(22)【出願日】2019-06-28
(65)【公開番号】P2021010221
(43)【公開日】2021-01-28
【審査請求日】2021-12-17
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】早川 貴広
(72)【発明者】
【氏名】小豆畑 智
【審査官】東 昌秋
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-79139(JP,A)
【文献】特表2018-509870(JP,A)
【文献】特開2012-159870(JP,A)
【文献】特開2010-226820(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/00-3/44
H02M 7/00-7/40
G05F 1/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力端子と、
前記出力端子と基準電位との間に直列に接続される第1抵抗および第2抵抗と、
前記出力端子および前記第1抵抗と前記第2抵抗との間の参照点に接続され、前記出力端子に第1電圧を供給し、前記参照点に発生する第2電圧を所定値とするように前記第1電圧を制御する電力変換器と、
前記出力端子に供給される出力電流と、予め設定された閾値である制限電流とに応じた保護電流を出力する保護電流出力回路と、
前記保護電流が入力され、設定値に応じた設定電流から前記保護電流を減じた引込電流を、前記参照点から引き込む制御回路と、
を備え
前記保護電流出力回路は、
前記電力変換器と前記出力端子との間に直列に接続される検出抵抗と、
前記検出抵抗に発生する電圧を、予め定められた増幅率で増幅した検出電圧を出力する増幅回路と、
前記検出電圧が前記制限電流に応じた電圧である制限電圧より大きい場合に、前記検出電圧から前記制限電圧を減じた差電圧が大きいほど大きい前記保護電流を出力し、前記検出電圧が前記制限電圧以下である場合に値が0である前記保護電流を出力する電流源と、
を有する電源装置。
【請求項2】
前記制御回路は、
第1端子と第2端子とを備え、前記第1端子が前記基準電位に接続される引込抵抗と、
前記引込電流を前記引込抵抗の前記第2端子に供給し、前記設定値に応じた設定電圧を前記引込抵抗に発生させるように前記引込電流を制御する電流量制御回路と、
を有し、
前記保護電流出力回路は、前記保護電流を前記引込抵抗の前記第2端子に供給する
請求項に記載の電源装置。
【請求項3】
前記電流量制御回路は、
非反転入力端子に前記設定電圧が供給され、反転入力端子が前記引込抵抗の前記第2端子に接続される演算増幅器と、
ゲートが前記演算増幅器の出力端子に接続され、ドレインが前記参照点に接続され、ソースが前記引込抵抗の前記第2端子に接続される電界効果トランジスタと、
を備える
請求項に記載の電源装置。
【請求項4】
前記電力変換器へと供給される電力をオンまたはオフするスイッチ回路と、
前記出力電流が予め設定された値より大きい場合、前記スイッチ回路をオフにするコントローラと、
をさらに備える請求項1からの何れか1項に記載の電源装置。
【請求項5】
前記出力電流が予め設定された値より大きい場合、前記電力変換器に対して前記第1電圧の出力の停止を指示するコントローラをさらに備える
請求項1からの何れか1項に記載の電源装置。
【請求項6】
電源装置における過電流に対する保護をする過電流保護装置であって、
前記電源装置は、
出力端子と、
前記出力端子と基準電位との間に直列に接続される第1抵抗および第2抵抗と、
前記出力端子および前記第1抵抗と前記第2抵抗との間の参照点に接続され、前記出力端子に第1電圧を供給し、前記参照点に発生する第2電圧を所定値とするように前記第1電圧を制御する電力変換器と、
を備え、
前記出力端子から負荷に直流の出力電圧を出力し、
前記過電流保護装置は、
前記出力端子に供給される出力電流と、予め設定された閾値である制限電流に応じた保護電流を出力する保護電流出力回路と、
前記保護電流が入力され、設定値に応じた設定電流から前記保護電流を減じた引込電流を、前記参照点から引き込む制御回路と、
を備え
前記保護電流出力回路は、
前記電力変換器と前記出力端子との間に直列に接続される検出抵抗と、
前記検出抵抗に発生する電圧を、予め定められた増幅率で増幅した検出電圧を出力する増幅回路と、
前記検出電圧が前記制限電流に応じた電圧である制限電圧より大きい場合に、前記検出電圧から前記制限電圧を減じた差電圧が大きいほど大きい前記保護電流を出力し、前記検出電圧が前記制限電圧以下である場合に値が0である前記保護電流を出力する電流源と、
を有する過電流保護装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電源装置および過電流保護装置に関する。
【背景技術】
【0002】
DC-DCコンバータを用いた電源装置が知られている。一般的に、DC-DCコンバータは、出力電圧を抵抗によって分圧した帰還電圧が一定となるように、出力する電圧を制御する。
【0003】
また、外部に設けた制御回路により、DC-DCコンバータの出力電圧を変更することができる電源装置も知られている。例えば、制御回路は、帰還電圧を検出するための抵抗に流れる電流を一定量引き込むことにより、DC-DCコンバータの出力電圧を変更する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-198624号公報
【文献】特許第4805197号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、このような制御回路を備える電源装置は、制御回路が吸い出す電流を制御することにより、DC-DCコンバータ単独での使用において想定される電圧よりも高い出力電圧を出力し得る。従って、このような制御回路を備える電源装置では、DC-DCコンバータに内蔵されている過電流保護機能を用いて過電流からの保護をすることが難しい場合がある。
【0006】
このため、このような制御回路を備える電源装置において、DC-DCコンバータの外部にマイクロコントローラを設けることが考えられる。例えば、過電流を検出した場合に、マイクロコントローラによってDC-DCコンバータへ供給する電力の供給を停止することで、過電流から電源装置を保護することが考えられる。しかし、過電流の発生からマイクロコントローラによる電力の供給の停止までには時間を要する場合がある。その場合、電源装置を高速に過電流から保護するのは難しい。
【0007】
本開示は、高速に過電流に対する保護をすることができる電源装置および過電流保護装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係る電源装置は、出力端子と、第1抵抗および第2抵抗と、電力変換器と、保護電流出力回路と、制御回路とを備える。前記第1抵抗および前記第2抵抗は、前記出力端子と基準電位との間に直列に接続される。前記電力変換器は、前記出力端子および前記第1抵抗と前記第2抵抗との間の参照点に接続され、前記出力端子に第1電圧を供給し、前記参照点に発生する第2電圧を所定値とするように前記第1電圧を制御する。前記保護電流出力回路は、前記出力端子に供給される出力電流と、予め設定された閾値である制限電流とに応じた保護電流を出力する。前記制御回路は、前記保護電流が入力され、設定値に応じた設定電流から前記保護電流を減じた引込電流を、前記参照点から引き込む。前記保護電流出力回路は、前記電力変換器と前記出力端子との間に直列に接続される検出抵抗と、前記検出抵抗に発生する電圧を、予め定められた増幅率で増幅した検出電圧を出力する増幅回路と、前記検出電圧が前記制限電流に応じた電圧である制限電圧より大きい場合に、前記検出電圧から前記制限電圧を減じた差電圧が大きいほど大きい前記保護電流を出力し、前記検出電圧が前記制限電圧以下である場合に値が0である前記保護電流を出力する電流源と、を有する。
【発明の効果】
【0009】
本開示に係る電源装置および過電流保護装置によれば、高速に過電流に対する保護をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施形態に係る電源装置の構成を示す図である。
図2図2は、制御回路が電流を引き込んでいない場合における電源装置の各部の電圧および電流を示す図である。
図3図3は、過電流が発生していない場合における電源装置の各部の電圧および電流を示す図である。
図4図4は、過電流が発生した場合に電源装置に発生する現象を説明する図である。
図5図5は、制御回路の構成の一例を示す図である。
図6図6は、増幅回路および電流源の構成、および、過電流が発生した場合における電源装置の各部の電圧および電流を示す図である。
図7図7は、第1変形例に係る設定回路の構成を示す図である。
図8図8は、第2変形例に係る設定回路の構成を示す図である。
図9図9は、第3変形例に係る過電流保護回路の構成を示す図である。
図10図10は、第4変形例に係る電源装置の構成を示す図である。
図11図11は、第5変形例に係る電源装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本開示に係る電源装置10の実施形態について説明する。
【0012】
図1は、実施形態に係る電源装置10の構成を示す図である。電源装置10は、入力端子22と、電圧出力端子24と、設定端子26と、を備える。なお、電圧出力端子24は、出力端子の一例である。電源装置10は、入力端子22から電力を受け取り、安定化した直流の出力電圧Vを電圧出力端子24から出力する。出力電圧Vは、第1電圧の一例である。また、電源装置10は、電圧出力端子24から負荷に直流の出力電圧Vを供給する。負荷は、パワー半導体等の集積回路、モータまたは発振機等のどのようなデバイスであってもよい。
【0013】
また、電源装置10は、設定端子26から設定値Dを受け取る。電源装置10は、受け取った設定値Dに応じて、出力電圧Vを変化させる。さらに、電源装置10は、予め設定された制限電流ILIMを超える過電流が負荷に流れた場合、出力電圧Vを低下させて、過電流を減少させる。
【0014】
電源装置10は、第1抵抗32と、第2抵抗34と、電力変換器36と、キャパシタ38と、インダクタ40と、過電流検出回路42と、制御回路44とを備える。なお、実施形態の過電流検出回路42は、保護電流出力回路の一例である。
【0015】
電力変換器36は、入力端子22に接続される。また、電力変換器36は、インダクタ40および過電流検出回路42を介して、第2抵抗34および電圧出力端子24に接続される。
【0016】
電力変換器36は、入力端子22から電圧を受け取り、安定化した直流の出力電圧Vを出力する。そして、電力変換器36は、電圧出力端子24に出力電圧Vを供給する。本実施形態において、電力変換器36は、直流の電圧を受け取り、直流の電圧を出力するDC-DCコンバータである。電力変換器36は、交流の電圧を受け取り、直流の電圧を出力するAC-DCコンバータであってもよい。また、電力変換器36は、直流の電圧を受け取り、直流の電圧を出力するシリーズレギュレータであってもよい。
【0017】
インダクタ40は、電力変換器36と電圧出力端子24との間に直列に接続される。インダクタ40は、例えば、電力変換器36から負荷に供給する電圧を平均化する。また、インダクタ40は、電力変換器36から負荷へと流れる出力電流Iに含まれる電流リップル等のノイズを吸収する。なお、電源装置10は、複数のインダクタ40を備える構成であってもよい。
【0018】
キャパシタ38は、電圧出力端子24と基準電位との間に接続される。キャパシタ38は、例えば、電圧出力端子24から負荷に供給する電圧を平均化する。また、キャパシタ38は、例えば、出力電圧Vに含まれる電圧リップル等のノイズを吸収する。
【0019】
第1抵抗32および第2抵抗34は、電圧出力端子24と基準電位との間に直列に接続される。基準電位は、例えばグラウンドである。第1抵抗32は、第1端子32aと第2端子32bとを備え、第1端子32aが基準電位に接続される。第2抵抗34は、第1端子34aと第2端子34bとを備え、第1端子34aが第1抵抗32の第2端子32bに接続され、第2端子34bが電圧出力端子24に接続される。
【0020】
第1抵抗32と第2抵抗34とは、予め定められた抵抗比に設定されている。第1抵抗32および第2抵抗34は、負荷よりも十分高い抵抗値を有する。これにより、第1抵抗32および第2抵抗34の、負荷に供給する電力に対する影響を小さくすることができる。なお、第1抵抗32と第2抵抗34との間の接続点を、参照点Mとする。参照点Mは、電力変換器36に接続される。
【0021】
さらに、電力変換器36は、参照点Mに発生する帰還電圧Vを受け取る。帰還電圧Vは、第2電圧の一例である。そして、電力変換器36は、帰還電圧Vが所定値となるように、出力電圧Vを制御する。例えば、電力変換器36は、帰還電圧Vが所定値より小さい場合には、出力電圧Vを高くする。また、例えば、電力変換器36は、帰還電圧Vが所定値より大きい場合には、出力電圧Vを低くする。
【0022】
過電流検出回路42は、電力変換器36から電圧出力端子24に供給される出力電流Iと、予め設定された閾値である制限電流ILIMとに応じた保護電流Iを出力する。本実施形態においては、過電流検出回路42は、電力変換器36から電圧出力端子24へと供給される出力電流Iが予め設定された閾値である制限電流ILIMより大きい場合、保護電流Iを生成する。保護電流Iは、出力電流Iから制限電流ILIMを減じた過電流に比例する。また、過電流検出回路42は、出力電流Iが制限電流ILIM以下である場合、保護電流Iを生成しない。すなわち、過電流検出回路42は、出力電流Iが制限電流ILIM以下である場合、保護電流Iを0とする。過電流検出回路42は、生成した保護電流Iを制御回路44に供給する。過電流検出回路42は、制御回路44のインピーダンスに関わらず、固定された値の保護電流Iを出力する。
【0023】
制御回路44は、ユーザ等により予め入力された設定値Dを設定端子26から受け取る。また、制御回路44は、過電流検出回路42から保護電流Iを受け取る。また、制御回路44は、参照点Mから引込電流Iを引き込む。そして、制御回路44は、引込電流Iと保護電流Iとを加算した電流を基準電位へと流す。このような制御回路44は、引込電流Iと保護電流Iとを加算した電流を、設定値Dに応じた設定電流Iに一致させるように動作する。すなわち、制御回路44は、設定電流Iから保護電流Iを減じた電流値の引込電流Iを、参照点Mから引き込むように動作する。
【0024】
本実施形態においては、過電流検出回路42は、検出抵抗52と、増幅回路54と、電流源56とを有する。
【0025】
検出抵抗52は、第1端子52aと第2端子52bとを備え、電力変換器36と電圧出力端子24との間に直列に接続される。本実施形態においては、検出抵抗52の第1端子52aは、インダクタ40を介して電力変換器36に接続される。検出抵抗52の第2端子52bは、電圧出力端子24に接続される。
【0026】
増幅回路54は、第1端子54aと第2端子54bとを備える。増幅回路54の第1端子54aは、検出抵抗52の第1端子52aに接続される。増幅回路54の第2端子54bは、検出抵抗52の第2端子52bに接続される。増幅回路54は、検出抵抗52に発生する電圧を検出する。検出抵抗52に発生する電圧とは、検出抵抗52の第1端子52aと検出抵抗52の第2端子52bとの間の電圧である。そして、増幅回路54は、検出抵抗52に発生する電圧を予め定められた増幅率で増幅した検出電圧Vを発生する。増幅回路54は、検出電圧Vを電流源56に供給する。
【0027】
電流源56は、例えば制限電圧VLIMを外部の基準電源等から受け取る。電流源56は、制限電流ILIMに応じた大きさの制限電圧VLIMを生成してもよい。電流源56は、検出電圧Vが制限電圧VLIMより大きい場合に、検出電圧Vから制限電圧VLIMを減じた電圧である差電圧に応じた大きさの保護電流Iを出力する。例えば、電流源56は、差電圧に比例した保護電流Iを出力する。電流源56は、検出電圧Vが制限電圧VLIM以下である場合に、保護電流Iを出力しない。すなわち、電流源56は、検出電圧Vが制限電圧VLIM以下である場合に、保護電流Iを0とする。
【0028】
電流源56は、保護電流Iを制御回路44に供給する。電流源56は、制御回路44のインピーダンスに関わらず、固定された値の保護電流Iを出力する。
【0029】
なお、本実施形態において、過電流検出回路42の検出抵抗52は、インダクタ40と、第2抵抗34の第2端子34bとの間に接続された構成となっているが、第2抵抗34の第2端子34bと電圧出力端子24との間に接続されてもよい。すなわち、第1抵抗32および第2抵抗34は、過電流検出回路42よりも電力変換器36側の配線と、基準電位との間に直列に接続されてもよい。
【0030】
図2は、制御回路44が電流を引き込んでいない場合における電源装置10の各部の電圧および電流を示す図である。電源装置10の動作の説明の前提として、引込電流Iが0である場合、つまり、制御回路44が参照点Mから電流を引き込んでいない場合における電源装置10の動作を、図2を参照して説明する。
【0031】
制御回路44が参照点Mから電流を引き込んでいない場合、第1抵抗32に流れる電流と、第2抵抗34に流れる電流とは同一となる。つまり、第1抵抗32に流れる電流をIR1、第2抵抗34に流れる電流をIR2とした場合、IR1=IR2となる。
【0032】
従って、出力電圧Vの電圧値をV、帰還電圧Vの電圧値をV、第1抵抗32の抵抗値をR、第2抵抗34の抵抗値をRとした場合、出力電圧Vは、式(1)のように表される。
={(R+R)/R}×V…(1)
【0033】
このように、制御回路44が電流を引き込んでいない場合における電源装置10は、予め定められた固定の出力電圧Vを出力する。
【0034】
図3は、過電流が発生していない場合における電源装置10の各部の電圧および電流を示す図である。電源装置10は、負荷に過電流が流れていない場合、すなわち、出力電流Iが制限電流ILIM以下である場合、次のような動作をする。
【0035】
過電流が発生していない場合、過電流検出回路42は、保護電流Iを発生しない。すなわち、保護電流I=0である。
【0036】
保護電流Iが0である場合、参照点Mから引き込まれる引込電流Iは、ユーザにより入力された設定値Dに応じた設定電流Iと同一となる。つまり、設定電流Iと引込電流Iとの関係は、式(3)のようになる。
=I…(3)
【0037】
電力変換器36は、参照点Mに発生する帰還電圧Vを所定値とするように出力電圧Vを制御する。すなわち、電力変換器36は、第1抵抗32に流れる電流を予め定められた値とするように出力電圧Vを制御する。このため、負荷に過電流が流れていない場合、第1抵抗32に流れる電流は、制御回路44により参照点Mから引き込まれる引込電流Iに関わらず一定となる。
【0038】
従って、第2抵抗34に流れる電流は、第1抵抗32に流れる電流と、制御回路44により参照点Mから引き込まれる引込電流Iとを加算した値となる。つまり、第1抵抗32に流れる電流をIR1とし、第2抵抗34に流れる電流をIR2とした場合、式(4)に示す関係が成り立つ。
R2=IR1+I…(4)
【0039】
式(3)を式(4)に代入すると、式(5)のようになる。
R2=IR1+I…(5)
【0040】
また、出力電圧Vは、式(6)のように表される。
=(R×IR1)+{R×(IR1+I)}
={(R+R)×IR1}+(R×I)…(6)
【0041】
電力変換器36がIR1を予め定められた値となるように制御するので、式(6)の第1項の{(R+R)×IR1}は、固定値となる。従って、出力電圧Vは、設定電流Iによって変動する。
【0042】
設定電流Iは、ユーザから予め入力された設定値Dに応じた値の電流である。従って、負荷に過電流が流れていない場合、電力変換器36は、ユーザから予め入力された設定値Dに応じた出力電圧Vを出力することができる。
【0043】
図4は、過電流が発生した場合に電源装置10に発生する現象を説明する図である。負荷に過電流が流れた場合、図4に示すように、電源装置10の各部の電流または電圧が変化する。
【0044】
まず、負荷に過電流が流れた場合、出力電流Iは、予め設定された閾値である制限電流ILIMより大きくなる(S11)。続いて、出力電流Iが制限電流ILIMより大きくなった場合、増幅回路54から出力される検出電圧Vは、予め設定された制限電圧VLIMより大きくなる(S12)。
【0045】
続いて、検出電圧Vが制限電圧VLIMより大きくなった場合、電流源56は、保護電流Iを生成する(S13)。保護電流Iは、検出電圧Vから制限電圧VLIMを減じた差電圧に比例する値である。従って、出力電流Iと制限電流ILIMとの差電圧が大きい程、大きな保護電流Iが流れる。
【0046】
続いて、電流源56が保護電流Iを生成した場合、制御回路44は、引込電流Iと保護電流Iとを加算した電流が、予め入力された設定値Dに応じた設定電流Iとなるように制御する(S14)。引込電流Iと保護電流Iとを加算した電流が設定電流Iとなるように制御された場合、参照点Mから引き込まれる引込電流Iは、保護電流I分減少する(S15)。
【0047】
引込電流Iが保護電流I分減少した場合、第1抵抗32に流れる電流が、保護電流I分増加する(S16)。第1抵抗32に流れる電流が、保護電流I分増加した場合、参照点Mに発生する電圧(帰還電圧V)が増加する(S17)。そして、帰還電圧Vが増加した場合、電力変換器36は、出力電圧Vを減少させる(S18)。
【0048】
このように、電源装置10は、負荷に過電流が流れた場合、出力電圧Vを減少させるように動作することができる。この結果、電源装置10は、過電流を減少させることができる。
【0049】
図5は、制御回路44の構成の一例を示す図である。例えば、制御回路44は、設定端子26に接続された設定回路60と、参照点Mに接続された電流量制御回路64と、電流量制御回路64に接続された引込抵抗62と、を有する。
【0050】
設定回路60は、設定端子26を介して設定値Dを受け付ける。設定回路60は、受け付けた設定値Dに応じた設定電圧Vを発生する。
【0051】
例えば、設定回路60は、DAコンバータ68と、第1分圧抵抗70と、第2分圧抵抗72とを含む。DAコンバータ68は、設定端子26に接続される。DAコンバータ68は、出力端子を備え、設定値Dをデジタルアナログ変換した電圧を出力端子から出力する。
【0052】
第1分圧抵抗70および第2分圧抵抗72は、DAコンバータ68の出力端子と基準電位との間に直列に接続される。第1分圧抵抗70は、第1端子70aと第2端子70bとを備え、第1端子70aが基準電位に接続される。第2分圧抵抗72は、第1端子72aと第2端子72bとを備え、第1端子72aが第1分圧抵抗70の第2端子70bに接続され、第2端子72bがDAコンバータ68の出力端子に接続される。第1分圧抵抗70および第2分圧抵抗72は、DAコンバータ68から出力された電圧を所定の比率で分圧することができる。第1分圧抵抗70と第2分圧抵抗72との間の接続点は、電流量制御回路64に接続される。これにより、設定回路60は、接続点に発生する電圧を、設定電圧Vとして、電流量制御回路64に供給することができる。
【0053】
引込抵抗62は、予め定められた抵抗値を有する。引込抵抗62は、第1端子62aが基準電位に接続され、第2端子62bが過電流検出回路42および電流量制御回路64に接続される。
【0054】
電流量制御回路64は、引込電流Iを、参照点Mから引き込む。電流量制御回路64は、参照点Mから引き込んだ引込電流Iを、引込抵抗62の第2端子62bに供給する。電流量制御回路64は、設定値Dに応じた設定電圧Vを引込抵抗62の第2端子62bに発生させるように、参照点Mから引き込む引込電流Iを制御する。
【0055】
例えば、電流量制御回路64は、第1の演算増幅器74と、電界効果トランジスタ76とを含む。第1の演算増幅器74は、非反転入力端子に設定電圧Vが供給され、反転入力端子が引込抵抗62の第2端子62bに接続される。
【0056】
電界効果トランジスタ76は、例えばN型のMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field effect transistor)である。電界効果トランジスタ76は、ゲートが第1の演算増幅器74の出力端子に接続され、ドレインが参照点Mに接続され、ソースが引込抵抗62の第2端子62bに接続される。
【0057】
さらに、引込抵抗62の第2端子62bは、過電流検出回路42が有する電流源56に接続される。つまり、過電流検出回路42の電流源56は、保護電流Iを引込抵抗62の第2端子62bに供給する。従って、引込抵抗62には、引込電流Iに加えて、保護電流Iが流れる。これにより、引込抵抗62は、引込電流Iと保護電流Iとを加算した電流と、引込抵抗62の抵抗値と、を乗算した電圧を、第2端子62bに発生させる。
【0058】
このような電流量制御回路64は、電界効果トランジスタ76のソースと、第1の演算増幅器74の非反転入力端子とが同一の電位となるように、電界効果トランジスタ76のドレイン-ソース間に流れる電流が制御される。従って、電流量制御回路64は、引込抵抗62に設定電圧Vと等しい電圧を発生させることができる。
【0059】
引込抵抗62に設定電圧Vと等しい電圧が発生した場合、引込抵抗62には、設定値Dに応じた設定電流Iが流れる。ここで、第1の演算増幅器74の非反転入力端子から引込抵抗62へと流れる電流は0である。また、設定電流Iは、引込電流Iと保護電流Iとを加算した電流である。また、電界効果トランジスタ76のドレイン-ソース間には、引込電流Iが流れる。従って、電界効果トランジスタ76は、ドレイン-ソース間に流れる引込電流Iを、設定電流Iから保護電流Iを減じた電流値となるように調整することができる。
【0060】
以上のように、制御回路44は、設定値Dに応じた設定電流Iから保護電流Iを減じた電流値となるように、引込電流Iを制御することができる。なお、設定回路60は、DAコンバータ68を有さない構成であってもよい。この場合、第2分圧抵抗72の第2端子72bは、設定端子26に接続される。このようなDAコンバータ68を有さない構成の設定回路60は、設定端子26を介して外部から、設定値Dとしてアナログの電圧値が供給される。
【0061】
図6は、増幅回路54および電流源56の構成、および、過電流が発生した場合における電源装置10の各部の電圧および電流を示す図である。
【0062】
例えば、増幅回路54は、第2の演算増幅器80と、第3抵抗82と、第4抵抗84と、第5抵抗86と、第6抵抗88とを含む。
【0063】
第3抵抗82は、一端が検出抵抗52の電力変換器36の側の端子に接続され、他端が第2の演算増幅器80の非反転入力端子に接続される。第4抵抗84は、一端が検出抵抗52の電圧出力端子24の側の端子に接続され、他端が第2の演算増幅器80の反転入力端子に接続される。
【0064】
第5抵抗86は、一端が第2の演算増幅器80の非反転入力端子に接続され、他端が基準電位に接続される。第6抵抗88は、一端が第2の演算増幅器80の反転入力端子に接続され、他端が第2の演算増幅器80の出力端子に接続される。
【0065】
第2の演算増幅器80は、検出抵抗52に発生した電圧を、予め定められた増幅率で増幅した検出電圧Vを発生する。第2の演算増幅器80の増幅率は、第3抵抗82、第4抵抗84、第5抵抗86および第6抵抗88のそれぞれの抵抗値により定まる。増幅回路54は、検出電圧Vを電流源56に供給する。
【0066】
例えば、電流源56は、第7抵抗90と、第3の演算増幅器92と、バイポーラトランジスタ94とを含む。第7抵抗90は、一端が増幅回路54に含まれる第2の演算増幅器80の出力端子に接続され、他端が第3の演算増幅器92の反転入力端子に接続される。
【0067】
第3の演算増幅器92は、反転入力端子がバイポーラトランジスタ94のエミッタに接続される。第3の演算増幅器92は、非反転入力端子に、制限電圧VLIMが印加される。制限電圧VLIMは、制限電流ILIMに応じた値に設定される。制限電圧VLIMは、設計者等により予め設定される。
【0068】
バイポーラトランジスタ94は、例えばpnp型である。バイポーラトランジスタ94は、ベースが第3の演算増幅器92の出力端子に接続され、エミッタが第3の演算増幅器92の反転入力端子に接続される。バイポーラトランジスタ94のコレクタは、制御回路44が有する引込抵抗62の第2端子62bに接続される。電流源56は、バイポーラトランジスタ94のコレクタ電流を、保護電流Iとして出力する。
【0069】
このような構成の電流源56は、増幅回路54から出力された検出電圧Vが制限電圧VLIM以下である場合、保護電流Iを出力しない。しかし、電流源56は、増幅回路54から出力された検出電圧Vが制限電圧VLIMより大きくなった場合、検出電圧Vから制限電圧VLIMを減じた差電圧に応じた保護電流Iを出力する。具体的には、電流源56は、増幅回路54から供給された検出電圧Vが制限電圧VLIMより大きくなった場合、検出電圧Vから制限電圧VLIMを減じた差電圧を、第7抵抗90の抵抗値で除算した保護電流Iを出力する。
【0070】
電流源56から出力された保護電流Iは、制御回路44が有する引込抵抗62に供給される。従って、検出電圧Vが制限電圧VLIMより大きくなった場合、引込抵抗62には、参照点Mから引き込まれた引込電流Iと、電流源56から出力された保護電流Iとを加算した電流が流れる。
【0071】
ここで、検出抵抗52の抵抗値をRとし、出力電流Iの電流値をIとし、第3抵抗82および第4抵抗84の抵抗値をRとし、第5抵抗86および第6抵抗88の抵抗値をRとし、第2の演算増幅器80から出力される検出電圧Vの電圧値をVとする。この場合、検出電圧Vは、式(8)のように表される。
=(R/R)×R×I…(8)
【0072】
また、制限電圧VLIMの電圧値をVLIMとし、第7抵抗90の抵抗値をRとし、保護電流Iの電流値をIとする。この場合、保護電流Iは、式(9)および式(10)のように表される。
=0…(9){V≦VLIMの場合}
=(V-VLIM)/R…(10){V>VLIMの場合}
【0073】
また、制限電流ILIMの電流値をILIMとする。この場合、制限電圧VLIMは、式(11)のように表される。
LIM=(R/R)×R×ILIM…(11)
【0074】
従って、設計者は、制限電流ILIMを決定した場合、式(11)に基づき制限電圧VLIMを算出することができる。
【0075】
また、出力電流Iのうち制限電流ILIMを超えた分の電流、すなわち、過電流をΔILIMとする。この場合、出力電流Iは、式(12)により表される。
=ILIM+ΔILIM…(12)
【0076】
式(12)を式(8)に代入すると、検出電圧Vは、式(13)で表される。
=(R/R)×R×(ILIM+ΔILIM)…(13)
【0077】
また、V-VLIMは、式(11)および式(13)に基づき、式(14)のように表される。
-VLIM=(R/R)×R×ΔILIM…(14)
【0078】
ΔILIMに対応する保護電流Iの増分を、ΔIとする。この場合、ΔIは、式(10)および式(14)に基づき、式(15)のように表される。
ΔI=(1/R)×(R/R)×R×ΔILIM…(15){V>VLIMの場合}
【0079】
保護電流Iが発生した場合、電力変換器36は、出力電圧Vを低下させるように動作する。保護電流Iが発生した場合における出力電圧Vの低下分をΔVとする。出力電圧Vの低下分ΔVは、出力電圧Vの低下によって参照点Mから引き込まれなくなった電流量と、第2抵抗34の抵抗値とを乗じた電圧に相当する。参照点Mから引き込まれなくなった電流量は、保護電流Iの増分である。従って、出力電圧Vの低下分ΔVは、式(16)により表される。
ΔV=R×ΔI…(16)
【0080】
式(15)を式(16)に代入すると、出力電圧Vの低下分ΔVは式(17)のように表される。
ΔV=R×(1/R)×(R/R)×R×ΔILIM…(17){V>VLIMの場合}
【0081】
一方、出力電流Iは、式(18)のように表される。
=V/R…(18)
【0082】
負荷の抵抗が一定であるとした場合、過電流ΔILIMは、式(19)のように表される。
ΔILIM=ΔV/R…(19)
【0083】
式(19)を式変形すると、出力電圧Vの低下分ΔVは、式(20)のように表される。
ΔV=ΔILIM×R…(20)
【0084】
ここで、式(17)と式(20)とが等しい、または、式(17)が式(20)より大きい場合、電源装置10は、出力電流Iを下げる方向に動作することができる。つまり、式(21)に示すような関係が成り立つ場合に、電源装置10は、出力電圧Vを下げることができる。
式(17)≧式(20)
≧(R×R×R)/(R×R)…(21)
【0085】
従って、例えば設計者は、図6に示すような回路構成を実施する場合、式(21)に示す関係となるように各パラメータを設定する。
【0086】
以上のように、本実施形態に係る電源装置10は、過電流保護用マイクロコントローラ等を備えずに、過電流に対する保護をすることができる。これにより、電源装置10によれば、簡易な構成で高速に過電流に対する保護をすることができる。
【0087】
また、電源装置10は、出力電圧Vを減少させることにより過電流に対応する保護をするので、電力変換器36の動作を停止させずに過電流に対する保護をすることができる。これにより、電源装置10によれば、電力変換器36を再起動することなく出力電圧Vを出力させ続けることができる。
【0088】
また、電源装置10は、出力電圧Vを減少させることにより過電流に対応する保護をするので、電力変換器36の前段にスイッチ回路等を設けなくても過電流に対する保護をすることができる。これにより、簡易な構成で過電流に対する保護をすることができる。また、スイッチ回路等による電力の消費が生じないため、省電力に過電流に対する保護をすることができる。
【0089】
さらに、電源装置10は、瞬間的に電流が増加した場合であっても、早い応答で出力電圧Vを制御することができる。これにより、電源装置10によれば、例えば、突入電流等を軽減することができる。従って、電源装置10によれば、インダクタ40を突入電流に対応させなくてもよくなるので、インダクタ40の許容電流を大きくしなくてよくなる。つまり、電源装置10によれば、インダクタ40を小さくすることができる。また、電源装置10によれば、電力変換器36が有するスイッチングデバイスを大きな突入電流に対応させなくてもよくなるので、電力変換器36が有するスイッチングデバイスのサイズを小さくすることもできる。
【0090】
また、過電流検出回路42と制御回路44とを備える過電流保護装置を、電力変換器36を備える一般的な電源ユニットに適用してもよい。また、過電流検出回路42を備える過電流保護装置を、電力変換器36と制御回路44とを備える出力電圧Vを制御可能な一般的な電源ユニットに適用してもよい。これにより、このような過電流保護装置は、一般的な電源ユニットに対して、過電流保護機能を提供することができる。
【0091】
(変形例)
つぎに、本実施形態に係る電源装置10の複数の変形例について説明をする。各変形例の説明では、図1から図6を参照して説明した構成要素と略同一の構成要素については相違点を除き詳細な説明を省略する。
【0092】
ユーザの意図しない動作を電源装置10にさせないように、設定回路60は、フィルタを有していてもよい。以下、フィルタを有する設定回路60の一例として、第1変形例および第2変形例を説明する。
【0093】
図7は、第1変形例に係る設定回路60の構成を示す図である。設定回路60は、図7に示すような構成であってもよい。図7に示す設定回路60は、第1分圧抵抗70および第2分圧抵抗72に代えて、第3分圧抵抗110と、第4分圧抵抗112と、第5分圧抵抗114と、第1キャパシタ116と、第2キャパシタ118とを含む。
【0094】
第3分圧抵抗110は、第1端子110aと第2端子110bとを備え、第1端子110aが基準電位に接続される。第4分圧抵抗112は、第1端子112aと第2端子112bとを備え、第1端子112aが第3分圧抵抗110の第2端子110bに接続される。第5分圧抵抗114は、第1端子114aと第2端子114bとを備え、第1端子114aが第4分圧抵抗112の第2端子112bに接続され、第2端子114bがDAコンバータ68の出力端子に接続される。
【0095】
第1キャパシタ116は、基準電位と、第3分圧抵抗110の第2端子110bとの間に接続される。第2キャパシタ118は、基準電位と、第4分圧抵抗112の第2端子112bとの間に接続される。
【0096】
第3分圧抵抗110と第4分圧抵抗112との間の接続点は、電流量制御回路64に接続される。これにより、設定回路60は、接続点に発生する電圧を、設定電圧Vとして、電流量制御回路64に供給することができる。
【0097】
さらに、第3分圧抵抗110、第4分圧抵抗112、第5分圧抵抗114、第1キャパシタ116および第2キャパシタ118は、DAコンバータ68が出力した電圧の高周波数成分を除去するローパスフィルタとして機能する。このため、第1変形例に係る設定回路60は、設定値Dが変更されたことによってDAコンバータ68から出力される電圧が急峻に変更された場合であっても、滑らかに変化する安定した設定電圧Vを出力することができる。従って、第1変形例に係る電源装置10は、設定値Dが急峻に変更された場合であっても、安定した出力電圧Vを出力することができる。
【0098】
図8は、第2変形例に係る設定回路60の構成を示す図である。設定回路60は、図8に示すような構成であってもよい。図8に示す第2変形例に係る設定回路60は、第1分圧抵抗70および第2分圧抵抗72に代えて、アクティブローパスフィルタ120を含む。
【0099】
アクティブローパスフィルタ120は、入力端子120aと出力端子120bとを備え、入力端子120aがDAコンバータ68の出力端子120bに接続され、出力端子120bが電流量制御回路64に接続される。さらに、アクティブローパスフィルタ120は、基準電位に接続される。
【0100】
アクティブローパスフィルタ120は、DAコンバータ68から出力された電圧を所定倍率で増幅または減衰した電圧を出力する。そして、アクティブローパスフィルタ120は、出力した電圧を、設定電圧Vとして、電流量制御回路64に供給することができる。
【0101】
さらに、アクティブローパスフィルタ120は、DAコンバータ68が出力した電圧の高周波数成分を除去した電圧を出力することができる。このため、第2変形例に係る設定回路60は、設定値Dが変更されたことによってDAコンバータ68から出力される電圧が急峻に変更された場合であっても、滑らかに変化する安定した設定電圧Vを出力することができる。従って、第2変形例に係る電源装置10は、設定値Dが急峻に変更された場合であっても、安定した出力電圧Vを出力することができる。
【0102】
なお、設定回路60が有するフィルタは、第1変形例および第2変形例のような構成に限らず、どのような回路であってもよい。例えば、フィルタは、抵抗およびキャパシタにより構成された複数段(複数次)のラダー回路であってもよい。また、例えば、フィルタは、ローパスフィルタとハイパスフィルタとを組み合わせた回路であってもよい。また、例えば、フィルタは、バンドエリミネーションフィルタ回路であってもよい。また、フィルタは、位相フィルタ回路であってもよい。また、フィルタは、コイルとキャパシタとを組み合わせた回路であってもよいし、水晶発振器等を含む回路であってもよい。また、設定回路60がフィルタを有する場合も、設定回路60は、DAコンバータ68を有さない構成であってもよい。
【0103】
図9は、第3変形例に係る過電流検出回路42の構成を示す図である。過電流検出回路42は、図9に示すような構成であってもよい。図9に示す過電流検出回路42は、検出抵抗52と、増幅回路54と、第1から第n(nは2以上の整数)の電流源56-1~56-nを有する。
【0104】
増幅回路54は、第1から第nの電流源56-1~55-nのそれぞれに接続される。増幅回路54は、検出電圧Vを第1から第nの電流源56-1~55-nのそれぞれに供給する。
【0105】
第1から第nの電流源56-1~55-nのそれぞれは、図1から図6を参照して説明した電流源56と同一の構成であって同一の機能を有する。第1から第nの電流源56-1~55-nのそれぞれは、出力端子が制御回路44が有する引込抵抗62に接続される。従って、過電流検出回路42は、第1から第nの電流源56-1~55-nのそれぞれが出力した電流を加算した電流を、保護電流Iとして、制御回路44が有する引込抵抗62に供給する。
【0106】
ここで、第1から第nの電流源56-1~55-nのそれぞれは、制限電圧VLIMの電圧値および第7抵抗90の抵抗値の少なくとも一方が、他の電流源56と異なっていてもよい。例えば、過電流検出回路42が、第1の電流源56-1と第2の電流源56-2とを有するとする。この場合、第1の電流源56-1は、第2の電流源56-2よりも、制限電圧VLIMが高く設定され、第7抵抗90の抵抗値が低く設定される。つまり、第2の電流源56-2は、第1の電流源56-1よりも、制限電圧VLIMが低く設定され、第7抵抗90の抵抗値が高く設定される。このような過電流検出回路42は、過電流が小さい場合、第2の電流源56-2が動作することにより遅い応答で過電流保護を実行し、過電流が大きくなった場合、第1の電流源56-1が動作することにより早い応答で過電流保護を実行することができる。
【0107】
このように過電流検出回路42は、制限電圧VLIMの電圧値および第7抵抗90の抵抗値が異なる複数の電流源56を有する。これにより、第3変形例に係る過電流検出回路42は、過電流保護の応答速度および過電流保護を開始する閾値電流値を複合させて過電流保護を実行することができる。
【0108】
図10は、第4変形例に係る電源装置10の構成を示す図である。第4変形例に係る電源装置10は、電源部210と、スイッチ回路212と、コントローラ214とを備える。
【0109】
電源部210は、図1に示す電源装置10と同一の構成である。スイッチ回路212は、入力端子22から電力を受け取る。そして、スイッチ回路212は、コントローラ214の制御に応じて、電力変換器36へと供給される電力をオンまたはオフする。
【0110】
コントローラ214は、プロセッサ等を有する情報処理回路である。コントローラ214は、電源部210が備える過電流検出回路42において検出された検出電圧Vを取得する。すなわち、コントローラ214は、負荷に流れる出力電流Iに比例した検出電圧Vを電源部210から取得する。なお、コントローラ214は、電源部210とは別個に設けられた検出部から出力電流Iの大きさを表す情報を取得してもよい。
【0111】
コントローラ214は、取得した検出電圧Vに基づき、出力電流Iが予め設定された値より大きいか否かを判断する。そして、コントローラ214は、出力電流Iが予め設定された値より大きい場合、スイッチ回路212をオフにする。これにより、コントローラ214は、電力変換器36による出力電圧Vの出力動作を停止させることができる。
【0112】
このような第4変形例に係る電源装置10は、例えば電源部210によっては保護しきれないような大きな過電流が負荷に流れた場合、過電流に対する保護をすることができる。
【0113】
図11は、第5変形例に係る電源装置10の構成を示す図である。第5変形例に係る電源装置10は、電源部210と、コントローラ214とを備える。
【0114】
電源部210は、図1に示す電源装置10と同一の構成である。第5変形例のコントローラ214は、第4変形例と同様の構成である。そして、コントローラ214は、第4変形例と同様に、電源部210が備える過電流検出回路42において検出された検出電圧Vを取得し、取得した検出電圧Vに基づき出力電流Iが予め設定された値より大きいか否かを判断する。
【0115】
そして、第5変形例に係るコントローラ214は、出力電流Iが予め設定された値より大きい場合、電源部210が有する電力変換器36に対して出力電圧Vの出力の停止を指示する。これにより、コントローラ214は、電力変換器36による出力電圧Vの出力動作を停止させることができる。このような第5変形例に係る電源装置10は、例えば電源部210によっては保護しきれないような大きな過電流が負荷に流れた場合、過電流に対する保護をすることができる。
【0116】
本発明の実施形態および変形例を説明したが、これらの実施形態および変形例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態およびその変形は、発明の範囲および要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0117】
10 電源装置、22 入力端子、24 電圧出力端子、26 設定端子、32 第1抵抗、34 第2抵抗、36 電力変換器、38 キャパシタ、42 過電流検出回路、44 制御回路、52 検出抵抗、54 増幅回路、56 電流源、60 設定回路、62 引込抵抗、64 電流量制御回路、68 DAコンバータ、70 第1分圧抵抗、72 第2分圧抵抗、74 第1の演算増幅器、76 電界効果トランジスタ、80 第2の演算増幅器、82 第3抵抗、84 第4抵抗、86 第5抵抗、88 第6抵抗、90 第7抵抗、92 第3の演算増幅器、94 バイポーラトランジスタ、110 第3分圧抵抗、112 第4分圧抵抗、114 第5分圧抵抗、116 第1キャパシタ、118 第2キャパシタ、120 アクティブローパスフィルタ、210 電源部、212 スイッチ回路、214 コントローラ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11