(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-09
(45)【発行日】2023-02-17
(54)【発明の名称】超音波流量計
(51)【国際特許分類】
G01F 1/667 20220101AFI20230210BHJP
G01F 1/66 20220101ALI20230210BHJP
【FI】
G01F1/667 A
G01F1/66 101
(21)【出願番号】P 2018162224
(22)【出願日】2018-08-31
【審査請求日】2021-02-10
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 志英
(72)【発明者】
【氏名】中井 弘
(72)【発明者】
【氏名】安田 憲司
(72)【発明者】
【氏名】萱場 貴士
(72)【発明者】
【氏名】阿南 裕己
【審査官】羽飼 知佳
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-112377(JP,A)
【文献】特開2011-112378(JP,A)
【文献】特開2011-127948(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0139610(US,A1)
【文献】中国実用新案第202903254(CN,U)
【文献】特開2004-316685(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 1/66-1/667
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被計測流体が流れる流路断面が第1面と前記第1面に対向する第2面と前記第1面と第2面の間に掛け渡された第3面及び第4面からなる矩形の計測流路と、
前記計測流路の上流と下流の前記第1面に
おいて前記計測流路に一体成型された取付部に固定的に配置され、超音波信号の送受信が可能な一対の超音波センサと、
前記超音波センサが超音波信号を送受信するために前記第1面に設けられた開口部と、
前記超音波センサの一方から送信された超音波信号が、前記被計測流体を前記計測流路の前記第2面に少なくとも一回の反射を伴いながら伝搬して、他方の超音波センサが受信するまでの伝搬時間に基づいて、前記被計測流体の流量を検出する流量演算手段と、を備え、
前記計測流路は、流路入口と流路出口のそれぞれから
挿入されて互いの先端部が成型時に前記計測流路内で当接する金型を
成型後に前記流路入口と前記流路出口から抜いて成型され、前記計測流路の内壁面には一体成型の為の金型の抜き勾配が設けられており、
前記一対の超音波センサは、前記第2面の超音波信号の反射する反射面に対して、超音波信号の入射角がどちらも等しくなるように前記計測流路に固定された超音波流量計。
【請求項2】
前記計測流路は、前記流路入口もしくは前記流路出口から抜く金型の抜き方向が、前記反射面に対して傾いていることを特徴とする、請求項1に記載の超音波流量計。
【請求項3】
前記第1面は、2つの前記開口部の角度が、前記反射面に対して、それぞれが逆の方向に傾いている、請求項1または2に記載の超音波流量計。
【請求項4】
前記計測流路は、内部に金型のパーティングラインがついており、前記パーティングラインは、前記反射面から外れた位置にあることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の超音波流量計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計測流路を有し、超音波の伝搬時間を利用して流量を計測する超音波流量計に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の超音波流量計としては、例えば
図7に示すようなものがある。
図7は特許文献1に記載された従来の超音波流量計の構成図で、超音波流量計は、計測流路101と、仕切板102と、巻込み流れ抑制シート103とが別部品として作られている。計測流路101は、部品挿入口106を有し、仕切板102と、巻込み流れ抑制シート103を、計測流路101内に所定の角度で挿入して、超音波センサ取付ブロック104を、溶着などの方法で計測流路101に固定し、一対の超音波センサ105a、105bを超音波センサ取付ブロック104に取付け、部品挿入口106から被計測流体が漏れないように構成されている。
【0003】
そして、超音波センサ105a、105bの片方から送信された超音波信号が、計測流路101の底面を反射してもう片方へ伝搬し、その伝搬時間を元に被計測流体の流量を算出する。
【0004】
図8は従来の超音波流量計の計測流路の金型構成を示すもので、
図8に示すように、計測流路101は、金型109aは部品挿入口106、金型109b、109cは計測流路101の計測流路入口107と計測流路出口108から抜かれて、成型されている。このように、金型109aによって、超音波センサ105a、105bが計測する領域は成型されており、超音波信号の反射する計測流路101の底面101aは抜き勾配がつかないようになっている。
【0005】
そして、超音波センサ105a、105bの、計測流路101の底面101aに対する入射角はどちらも等しくなっており、これによって、超音波センサの放射面の位置ごとの受信波形の位相が揃い、受信波形が安定し、精度よく流量計測を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記従来の構成では、仕切板102、巻込み流れ抑制シート103、超音波センサ取り付けブロック104をそれぞれ別部品としているので部品点数が多くなり、材料費と組立工数によるコストが高くなるという課題を有していた。そこで、複数の部品をひとつに一体成型することで、部品点数を減らし、コストを少なくすることが考えられる。
【0008】
その単純な例を
図9に示す。
図9は、
図8に示す計測流路101の仕切板102、巻込み流れ抑制シート103、超音波センサ取り付けブロック104を一体に成型した計測流路201の斜視図である。
【0009】
しかし、この計測流路201を樹脂成型する場合、計測流路入口207と計測流路出口208から金型を抜くには、超音波信号の計測部分に抜き勾配が必要となる。また、計測
流路入口207側と、計測流路出口208側の金型の当接部で、パーティングラインがつき、その位置は、金型が流路内部への入り込みの深さで決定されるが、抜き勾配とパーティングラインの付き方によっては、流量計測の誤差の原因となることがある。
【0010】
次に、流量計測の誤差の原因となりうる金型の抜き勾配、パーティングラインの付き方について、
図10、
図11、
図12を用いて説明する。
【0011】
図10は計測流路の底面に勾配がある計測流路201の断面図、
図11は上面に勾配がある計測流路201の断面図、
図12は超音波信号の反射面にパーティングラインがある計測流路201の断面図を示している。
【0012】
図10に示す計測流路では、反射面212に勾配がない場合の反射角度をθ、抜き勾配をαとする場合、超音波センサ105aからの超音波信号の放射方向と反射面212の角度θ1はθ+α、超音波センサ105bからの超音波信号の放射方向と反射面212の角度θ2はθ―αとなる。
【0013】
このように、超音波信号の反射面212と、超音波センサ105aの放射方向のなす角度θ1とθ2が異なる場合、超音波センサ105aの放射面209a上で距離dだけ離れた2つの点A,Bから放射される超音波信号は、その伝搬経路P201とP202とで長さに差が生じることになる。
【0014】
そして、超音波センサ105aから放射された超音波信号の伝搬経路P201,P202の超音波センサ105bの放射面209bに対する入射角θ3は、π/2-2αとなり、2α分の角度に相当する伝搬経路の差が生じ、伝搬経路P201の方がdtan2αだけ長くなる。
【0015】
受信波形は、放射面の全体から放射された超音波信号の合成波として受信されるので、僅かな伝搬時間差により位相の異なる超音波信号が重なり合うことで受信波形の位相が安定しなくなるだけでなく、振幅も小さくなることからノイズの影響を受けやすくなり、これが流量計測の誤差の原因となる。
【0016】
超音波信号の周波数は数百kHzと高く、波長が短いため、0.3~0.5°程度の抜き勾配でも、波長と同等オーダーの伝搬経路の長さの差が生まれ、位相の変化の大きさも無視できないものとなっている。
【0017】
次に、
図11に示す計測流路のように、反射面212と開口部203a、203bのある面211が平行ではなく、反射面212に対して角度βの勾配を有する場合、伝搬経路P203とP204の全体の長さが同じであっても、被計測流体を通過する部分(実線で示す)の長さが異なっている。
【0018】
従って、被計測流体が流速vで流れている場合、超音波センサ105aの放射面209a上の距離dだけ離れた2つの点A,Bから放射される超音波信号は、伝搬経路上のうち、被計測流体の流れの影響を受ける距離が変わることになり、P203よりもP204の方が流速vの影響を大きく受ける。
【0019】
受信波形は、放射面の全体から放射された超音波信号の合成波として受信されるので、位相の違う超音波信号が重なり合い、受信波形の位相が安定しなくなるだけでなく、振幅も小さくなり、ノイズの影響を受けやすくなり、これが流量計測の誤差の原因となる。
【0020】
また、
図12に示す計測流路のように、中央に突き合わせる金型で計測流路201を成
形する場合、超音波信号の反射面212上にパーティングライン213ができ、パーティングライン213にできるバリによって、超音波信号が乱反射し、受信波形の形状が安定しなくなる。これによって、流量計測の誤差の原因となる。
【0021】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、一体成型により従来の構成よりも材料費と組立工数を削減しながら、金型の抜き勾配とパーティングラインによって受信波形が不安定となり、流量計測の誤差が生じることを防ぎ、精度よく流量計測を行う超音波流量計を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
前記従来の課題を解決するために、本発明の超音波流量計は、被計測流体が流れる流路断面が第1面と前記第1面に対向する第2面と前記第1面と第2面の間に掛け渡された第3面及び第4面からなる矩形の計測流路と、前記計測流路の上流と下流の前記第1面に配置され、超音波信号の送受信が可能な一対の超音波センサと、前記超音波センサが超音波信号を送受信するために前記第1面に設けられた開口部と、前記超音波センサの一方から送信された超音波信号が、前記被計測流体を前記計測流路の前記第2面に少なくとも一回の反射を伴いながら伝搬して、他方の超音波センサが受信するまでの伝搬時間に基づいて、前記被計測流体の流量を検出する流量演算手段と、を備え、前記計測流路の内壁面には一体成型の為の金型の抜き勾配が設けられており、前記一対の超音波センサは、前記第2面の超音波信号の反射する反射面に対して、の超音波信号の入射角がどちらも等しくなるように前記計測流路に固定されたことを特徴としたものである。
【0023】
これによって、従来の構成よりも材料費と組立工数を削減しながら、超音波センサの放射面の位置によって、放射される超音波信号が経る伝搬経路の長さが変化することを防ぎ、超音波センサの放射面の位置ごとの受信波形の位相が揃うことによって、受信波形が安定し、精度よく流量計測を行うことができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の超音波流量計によると、一体成型により従来発生していた部品のコストを削減しながら、精度よく流量計測を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の実施の形態1、2における超音波流量計の構成図
【
図2】本発明の実施の形態1、2における超音波流量計の計測流路の斜視図
【
図3】本発明の実施の形態1における超音波流量計の要部断面図
【
図4】本発明の実施の形態1における超音波流量計の計測流路の金型挿入時の断面 図
【
図5】本発明の実施の形態2における超音波流量計の要部断面図
【
図6】本発明の実施の形態2における超音波流量計の計測流路の金型挿入時の断面図
【
図8】従来の超音波流量計の計測流路の成型時の金型構成図
【
図10】
図9の計測流路において、底面に勾配がある計測流路の断面図
【
図11】
図9の計測流路において、上面に勾配がある計測流路の断面図
【
図12】
図9の計測流路において、超音波信号の反射面にパーティングラインがある計測流路の断面図
【発明を実施するための形態】
【0026】
第1の発明は、本発明の超音波流量計は、被計測流体が流れる流路断面が第1面と前記
第1面に対向する第2面と前記第1面と第2面の間に掛け渡された第3面及び第4面からなる矩形の計測流路と、前記計測流路の上流と下流の前記第1面に配置され、超音波信号の送受信が可能な一対の超音波センサと、前記超音波センサが超音波信号を送受信するために前記第1面に設けられた開口部と、前記超音波センサの一方から送信された超音波信号が、前記被計測流体を前記計測流路の前記第2面に少なくとも一回の反射を伴いながら伝搬して、他方の超音波センサが受信するまでの伝搬時間に基づいて、前記被計測流体の流量を検出する流量演算手段と、を備え、前記計測流路の内壁面には一体成型の為の金型の抜き勾配が設けられており、前記一対の超音波センサは、前記第2面の超音波信号の反射する反射面に対して、超音波信号の入射角がどちらも等しくなるように前記計測流路に固定されたことを特徴とすることにより、超音波センサの放射面の位置によって、放射される超音波信号が経る伝搬経路長が変化することを防ぎ、超音波センサの放射面の位置ごとの受信波形の位相が揃うことによって、受信波形が安定し、精度よく流量計測を行うことができる。
【0027】
第2の発明は、特に、第1の発明において、前記計測流路は、流路入口と流路出口のそれぞれから金型を抜いて成型されており、前記流路入口もしくは前記流路出口から抜く金型の抜き方向が、前記反射面に対して傾いていることを特徴とするもので、計測流路の底面の、2つの超音波センサに対して同じ入射角を保った部分をより広くすることができ、より受信波形が安定し、精度よく流量計測を行うことができる。
【0028】
第3の発明は、特に、第1または2の発明において、前記第1面は、2つの前記開口部の角度が、前記反射面に対して、どちらも平行か、もしくはそれぞれが逆の方向に傾いていることを特徴とするもので、超音波センサの放射面の位置によって、放射される超音波信号が経る被計測流体中の伝搬経路長が変化することを防ぎ、超音波センサの放射面の位置ごとの受信波形の位相が揃うことによって、受信波形が安定し、精度よく流量計測を行うことができる。
【0029】
第4の発明は、特に、第1~3のいずれか1つの発明において、前記計測流路は、内部に金型のパーティングラインがついており、前記パーティングラインは、前記反射面から外れた位置にあることを特徴とするもので、超音波信号がパーティングラインで乱反射することを防ぎ、受信波形が安定し、精度よく流量計測を行うことができる。
【0030】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0031】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における超音波流量計の構成図、
図2は本発明の実施の形態1における超音波流量計の計測流路の斜視図、
図3は本発明の実施の形態1における超音波流量計の計測流路の要部断面図、
図4は本発明の実施の形態1における超音波流量計の計測流路の金型挿入時の断面図を示すものである。
【0032】
以下に、
図1、
図2を用いて、本実施の形態における超音波流量計の構成について説明する。
【0033】
被計測流体を通す計測流路1は、断面が矩形の配管であり、超音波センサ2a,2bを固定する取付部3a,3bが形成されており、仕切板8によって多層に分割されており、計測流路1、取付部3a,3b、仕切板8は一体に成型されている。なお、超音波センサ2a,2bが配置される側の計測流路1の内面を流路上面4、流路上面4に対抗する面を流路底面5、流路上面4と流路底面5の間に掛け渡された2つの面を側面15,16とする。
【0034】
超音波センサ2a,2bの一方から送信された超音波信号が、流路底面5で反射して、他方の超音波センサまで伝搬する。そして、受信波形として得られた電圧が、所定の電圧に達するタイミングによって伝搬時間を計測しており、その伝搬時間から、流量演算手段7によって被計測流体の流量を算出する。
【0035】
前述したように、超音波信号の反射面12に対する超音波センサ2a,2bのなす角度が違う場合、超音波センサ2a,2bの放射面9a,9b上の、仕切板8と平行な向きへ距離が離れた2つの点から放射される超音波信号は、伝搬経路の長さに差が生じることになる。受信波形は、放射面の全体から放射された超音波信号の合成波として受信されるので、位相の違う超音波信号が重なり合い、受信波形の位相が安定しなくなるだけでなく、振幅も小さくなり、ノイズの影響を受けやすくなる。これによって、流量計測の誤差の原因となる。
【0036】
また、反射面12と開口部6a、反射面12と開口部6bの組み合わせのどちらかが平行ではなく、かつ、開口部6aと開口部6bが平行であり、被計測流体の流量がある場合、超音波センサ2a,2bの放射面上の、仕切板8と平行な向きへ距離が離れた2つの点から放射される超音波信号は、伝搬経路上のうち、被計測流体の流れの影響を受ける距離が変わることになる。受信波形は、放射面の全体から放射された超音波信号の合成波として受信されるので、位相の違う超音波信号が重なり合い、受信波形の位相が安定しなくなるだけでなく、振幅も小さくなり、ノイズの影響を受けやすくなる。これによって、流量計測の誤差の原因となる。
【0037】
また、超音波信号の反射面12にパーティングライン13がある場合、パーティングライン13にできるバリによって、超音波信号が乱反射し、受信波形の形状が安定しなくなる。これによって、流量計測の誤差の原因となる。
【0038】
本発明の実施の形態は、上記の従来例で説明した流量計測の誤差の原因となる形状を回避して一体成型が可能な計測流路を提供するものであり、以下、具体的な構成を説明する。
【0039】
図3は、計測流路1の成型時に、流路入口10及び流路出口11の双方から金型を抜き、内部を成型した場合の流路断面を示しており、流路上面と流路下面に抜き勾配がつけられている。本特許では、特に仕切板8に垂直な面、即ち、流路上面4及び流路底面5の抜き勾配について扱う。なお、実際の金型の抜き勾配は0.3°程度であり、図では抜き勾配が視認できるように強調して図示している。
【0040】
図4は、計測流路1とその内部を成型する金型のみを図示した断面図で、図に示すように流路入口10から挿入される金型14aと流路出口11から挿入される金型14bは、成形時にパーティングライン13で当接し、成形後、流路入口10と流路出口11からD1、D2方向に抜き出される。なお、パーティングライン13は、超音波の反射面12よりも下流側に設けている。
【0041】
流路上面4には、流路入口10側と、流路出口11側に、中心線Aに対して同一な角度αの抜き勾配がつけられており、超音波センサ2a,2bの超音波信号の伝搬経路長、伝搬経路における被計測流体中の伝搬経路の長さが、放射面の各位置で等しくなるようにしている。
【0042】
流路底面5には、流路入口10側に中心線Aに対して角度β、流路出口11側に中心線Aに対して角度γの抜き勾配が付けられており、角度βと角度γは必ずしも同一である必
要はない。また、超音波センサ2a,2bの超音波信号の反射面12には、抜き勾配をつけることを避けており、超音波センサ2a,2bの放射面となす角がどちらもθで同一となっている。
【0043】
以上の構成により、計測流路1を一体成型する場合でも、超音波センサ2a,2bの超音波信号の伝搬経路長、伝搬経路における被計測流体中の伝搬経路の長さが、放射面9a、9bの各位置で等しくなり、更に、反射面12上にも乱反射の原因となるパーティングラインがないので、受信波形が安定し、精度よく流量計測を行うことができる。
【0044】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2は、本発明の実施の形態1で説明した
図1と同様の構成を持ち、計測流路1の形状が本発明の実施の形態1と異なっている。
【0045】
図5は、本発明の実施の形態2における超音波流量計の計測流路の断面図を示すもので、流路上面のみに抜き勾配がつけられている。
【0046】
図6は、計測流路1とその内部を成型する金型のみを図示した断面図で、流路入口10から挿入される金型14aと流路出口11から挿入される金型14bは、成形時にパーティングライン13でと当接し、成形後、流路入口10と流路出口11からD1、D2方向に抜き出される。なお、パーティングライン13は、超音波の反射面12よりも上流側に設けることで、超音波信号の反射する領域(反射面12)を避けている。
【0047】
流路底面5は、金型14a,14bにより、中心線Aに対して平行なひとつの平面を形成しており、超音波センサ2a,2bの放射面との角度が等しい。流路上面4には、流路入口10側、流路出口11側に中心線Aに対して角度βの抜き勾配がついている。そして、金型14a,14bは、流路底面5に対して角度β/2だけ流路上面4側に傾いた方向D1,D2で抜かれる。
【0048】
これによって、流路底面5上に、平面の反射面12をより広く取ることができる。被計測流体が順流で流れている場合は、超音波信号の反射する位置が流路出口11側にずれるが、パーティングライン13が流路入口10側にあるため、パーティングライン13での超音波信号の乱反射の影響も受けにくくなる。これによって、より受信波形が安定し、精度よく流量計測を行うことができる。
【0049】
なお、実際の抜き勾配は0.3°程度であり、図では抜き勾配が視認できるように強調して図示している。
【0050】
以上の構成により、実施の形態1と同様に、計測流路1を一体成型する場合でも、超音波センサ2a,2bの超音波信号の伝搬経路長、伝搬経路における被計測流体中の伝搬経路の長さが、放射面の各位置で等しくなり、更に、反射面12上にも乱反射の原因となるパーティングラインがないので、受信波形が安定し、精度よく流量計測を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
以上のように、本発明にかかる超音波流量計は、計測流路を一体成型することが可能となるので、従来発生していた部品のコストを削減しながら、超音波信号の位相が揃っていない状態で重なり合い、受信波形が不安定になることを防ぎ、精度よく流量計測を行うことができるので、ガスメータ等の用途にも適用できる。
【符号の説明】
【0052】
1 計測流路
2a,2b 超音波センサ
3a,3b 取付部
4 流路上面(第1面)
5 流路底面(第2面)
6a,6b 開口部
7 流量演算手段
9a,9b 放射面
10 流路入口
11 流路出口
12 反射面
13 パーティングライン
14a、14b 金型
15 側面(第3面)
16 側面(第4面)