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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-09
(45)【発行日】2023-02-17
(54)【発明の名称】タッチセンサ
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20230210BHJP
   G06F 3/045 20060101ALI20230210BHJP
【FI】
G06F3/041 400
G06F3/045 F
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018165792
(22)【出願日】2018-09-05
(65)【公開番号】P2020038530
(43)【公開日】2020-03-12
【審査請求日】2021-07-02
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】南 誠一
【審査官】滝谷 亮一
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-044863(JP,A)
【文献】特開2002-196886(JP,A)
【文献】登録実用新案第3048333(JP,U)
【文献】特開2014-235650(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041
G06F 3/045
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板と、
前記第1基板と操作空間を挟んで向かい合う第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板とを、前記操作空間を囲むように前記各基板の周縁部で接続する絶縁部と、
を備え、
前記絶縁部は、前記各基板における対向する二辺に沿ってそれぞれ位置する第1接続部及び第2接続部を含み、
前記第1接続部は、前記各基板と接し且つ前記操作空間の反対側に位置する第1外側部位と、前記各基板と接し且つ前記操作空間側に位置する第1内側部位とを含み、
前記第2接続部は、前記各基板と接し且つ前記操作空間の反対側に位置する第2外側部位と、前記各基板と接し且つ前記操作空間側に位置する第2内側部位とを含み、
前記第1基板における前記第1接続部と前記第2接続部との間の領域に形成された電極部と、
前記電極部と電気的に接続する配線部と、
をさらに備え、
前記第1内側部位の厚みは、前記第1外側部位の厚みよりも厚く、
前記第2内側部位の厚みは、前記第2外側部位の厚みよりも厚く、
前記配線部は、前記第1内側部位に覆われ且つ前記第1外側部位に覆われない第1配線と、前記第2内側部位に覆われ且つ前記第2外側部位に覆われない第2配線とを含む、
タッチセンサ。
【請求項2】
記絶縁部は、前記配線部を覆うオーバーコート層を含み、
前記第1内側部位を構成する前記オーバーコート層の厚みは、前記第1外側部位を構成する前記オーバーコート層の厚みよりも厚く、
前記第2内側部位を構成する前記オーバーコート層の厚みは、前記第2外側部位を構成する前記オーバーコート層の厚みよりも厚い、
請求項1に記載のタッチセンサ。
【請求項3】
前記絶縁部は、前記第1基板と前記第2基板とを接着する粘着層を含み、
前記第1内側部位を構成する前記粘着層の厚みは、前記第1外側部位を構成する前記粘着層の厚みよりも厚く、
前記第2内側部位を構成する前記粘着層の厚みは、前記第2外側部位を構成する前記粘着層の厚みよりも厚い、
請求項1又は2に記載のタッチセンサ。
【請求項4】
第1基板と、
前記第1基板と操作空間を挟んで向かい合う第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板とを、前記操作空間を囲むように前記各基板の周縁部で接続する絶縁部と、
を備え、
前記絶縁部は、前記各基板における対向する二辺に沿ってそれぞれ位置する第1接続部及び第2接続部を含み、
前記第1接続部は、前記各基板と接し且つ前記操作空間の反対側に位置する第1外側部位と、前記各基板と接し且つ前記操作空間側に位置する第1内側部位とを含み、
前記第2接続部は、前記各基板と接し且つ前記操作空間の反対側に位置する第2外側部位と、前記各基板と接し且つ前記操作空間側に位置する第2内側部位とを含み、
前記第1基板における前記第1接続部と前記第2接続部との間の領域に形成された電極部と、
前記電極部と電気的に接続する配線部と、
をさらに備え、
前記第1基板の前記第1内側部位と接する部分と前記第2基板の前記第1内側部位と接する部分との間における前記第2基板の主面法線方向の距離は、前記第1基板の前記第1外側部位と接する部分と前記第2基板の前記第1外側部位と接する部分との間における前記主面法線方向の距離よりも長く、
前記第1基板の前記第2内側部位と接する部分と前記第2基板の前記第2内側部位と接する部分との間における前記主面法線方向の距離は、前記第1基板の前記第2外側部位と接する部分と前記第2基板の前記第2外側部位と接する部分との間における前記主面法線方向の距離よりも長く、
前記配線部は、前記第1内側部位に覆われ且つ前記第1外側部位に覆われない第1配線と、前記第2内側部位に覆われ且つ前記第2外側部位に覆われない第2配線とを含む、
タッチセンサ。
【請求項5】
前記絶縁部は、前記各基板における前記二辺とは異なる他の対向する二辺に沿ってそれぞれ位置する第3接続部及び第4接続部を含み、
前記第4接続部には、フレキシブル基板が取り付けられており、
前記第3接続部は、前記各基板(前記フレキシブル基板は含まれない)と接し且つ前記操作空間の反対側に位置する第3外側部位と、前記各基板(前記フレキシブル基板は含まれない)と接し且つ前記操作空間側に位置する第3内側部位とを含み、
前記第4接続部は、前記各基板(前記フレキシブル基板は含まれない)と接し且つ前記操作空間の反対側に位置する第4外側部位と、前記各基板(前記フレキシブル基板は含まれない)と接し且つ前記操作空間側に位置する第4内側部位とを含み、
前記第1基板の前記第3内側部位と接する部分と前記第2基板の前記第3内側部位と接する部分との間における前記主面法線方向の距離は、前記第1基板の前記第3外側部位と接する部分と前記第2基板の前記第3外側部位と接する部分との間における前記主面法線方向の距離よりも長く、
前記第1基板の前記第4内側部位と接する部分と前記第2基板の前記第4内側部位と接する部分との間における前記主面法線方向の距離は、前記第1基板の前記第4外側部位と接する部分と前記第2基板の前記第4外側部位と接する部分との間における前記主面法線方向の距離と等しい、
請求項に記載のタッチセンサ。
【請求項6】
前記第1基板の前記操作空間と向き合う部分と前記第2基板の前記操作空間と向き合う部分との間における前記主面法線方向の距離は、前記第1基板の前記第1内側部位と接する部分と前記第2基板の前記第1内側部位と接する部分との間における前記主面法線方向の距離、及び、前記第1基板の前記第2内側部位と接する部分と前記第2基板の前記第2内側部位と接する部分との間における前記主面法線方向の距離よりも長い、
請求項又はに記載のタッチセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に各種電子機器の操作に用いられるタッチセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
各種電子機器において、入力操作部として、液晶ディスプレイ等の表示部の上面に透明なタッチセンサを搭載したものが増加している。操作者は、タッチセンサを介して表示部の表示内容を視認し、タッチセンサに指等によってタッチすることによって、電子機器を操作することができる。
【0003】
特許文献1に、抵抗膜方式のタッチセンサの構成例が開示されている。特許文献1に開示されたタッチセンサは、操作空間を挟んで対向する上基板及び下基板を備えている。また、上基板と下基板とは、操作空間を囲むように各基板の周縁部で絶縁部を介して接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-97415号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
タッチセンサの様々な用途において、狭額縁化(入力操作に用いられない基板周縁部の狭小化)への要求が強まっている。
【0006】
しかし、狭額縁化に伴い、基板同士を接続する絶縁部の配置領域が縮小するため、絶縁部による上基板の保持力が低下する。上基板には樹脂フィルムが用いられるが、特に高温・高湿等の厳しい環境下で使用されると、フィルムの膨張・収縮等に起因して絶縁部による上基板の保持力がより一層低下する。その場合、上基板が操作空間側にへこみ、下基板と意図せぬ接触を生じる結果、押圧位置の検出精度の低下が懸念される。
【0007】
本発明は、高温高湿雰囲気下において長時間使用した場合であっても、上基板の形状変形が抑制され、押圧位置の検出精度が低下しないタッチセンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明の一実施形態に係るタッチセンサは、第1基板と、第1基板と操作空間を挟んで向かい合う第2基板と、第1基板と第2基板とを、操作空間を囲むように各基板の周縁部で接続する絶縁部と、を備え、絶縁部は、各基板における対向する二辺に沿ってそれぞれ位置する第1接続部及び第2接続部を含み、第1接続部は、各基板と接し且つ操作空間の反対側に位置する第1外側部位と、各基板と接し且つ操作空間側に位置する第1内側部位とを含み、第2接続部は、各基板と接し且つ操作空間の反対側に位置する第2外側部位と、各基板と接し且つ操作空間側に位置する第2内側部位とを含み、第1内側部位の厚みは、第1外側部位の厚みよりも厚く、第2内側部位の厚みは、第2外側部位の厚みよりも厚い。
【0009】
この態様によると、タッチセンサを構成する基板同士を、操作空間を囲むように各基板の周縁部で接続する絶縁部は、各基板における対向する二辺に沿ってそれぞれ位置する第1接続部及び第2接続部を含み、両接続部とも、操作空間側に位置する内側部位の厚みが、操作空間の反対側に位置する外側部位の厚みより厚い。このため、ユーザに操作される側の基板(上基板)が、絶縁部上よりも操作空間上で持ち上がった膨らみ形状(ドーム形状)を安定的に形成することができる。従って、高温高湿雰囲気下において長時間使用した場合であっても、上基板の形状変形が抑制されるので、押圧位置の検出精度の低下を抑制することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、タッチセンサを高温高湿雰囲気下で長時間使用した場合でも、上基板の形状変形を抑制して押圧位置の検出精度の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係るタッチパネルの断面図
図2】実施形態に係るタッチパネルの断面図
図3】実施形態に係るタッチパネルの平面図
図4】実施形態に係るタッチパネルの平面図
図5】実施形態に係るタッチパネルの分解斜視図
図6】実施形態の変形例に係るタッチパネルの断面図
図7】実施形態の変形例に係るタッチパネルの断面図
図8】実施形態の変形例に係るタッチパネルの平面図
図9】実施形態の変形例に係るタッチパネルの断面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の各図では、タッチセンサを構成する基板の長手方向、短手方向をそれぞれX方向、Y方向とし、タッチセンサを構成する基板が積層される方向をZ方向としている。また、本開示では、タッチセンサについて、ユーザに操作される側を上側とし、その反対側を下側としている。
【0013】
図1は実施形態に係るタッチパネルのX方向の断面図、図2は同タッチパネルのY方向の断面図、図3は同タッチパネルにおける上基板側の配線パターンの平面図、図4は同タッチパネルにおける下基板側の配線パターンの平面図、図5は同タッチパネルの分解斜視図である。尚、図1は、図3図4の線Xの断面図であり、図2は、図3図4の線Yの断面図である。
【0014】
図1及び図2に示すように、タッチパネル1は、操作空間15を挟んで向かい合う第1基板(上基板)11及び第2基板(下基板)21と、第1基板11と第2基板12とを各基板周縁部で接続する絶縁部30とを備えている。操作空間15は、第1基板11と第2基板12と絶縁部30とによって囲まれている。ユーザは、操作空間15上の第1基板11の表面を押圧することにより、各種電子機器の操作を行う。第1基板11は、例えばポリエチレンテレフタレート系樹脂等の光透過性の高い樹脂フィルムから構成される。第2基板21は、例えばガラス材料から構成される。
【0015】
また、図1及び図2に示すように、第1基板11における第2基板21側には第1導電層12が形成されており、第2基板21における第1基板11側には第2導電層22が形成されている。各導電層12、22は、例えば酸化インジウム錫等の光透過性の高い導電膜から構成される。各導電層12、22の操作空間15に露出する部分は抵抗膜方式タッチセンサの電極部となる。第1導電層12の絶縁部30に覆われた周縁部には第1配線部13が第1導電層12と電気的に接続するように形成されており、第2導電層22の絶縁部30に覆われた周縁部には第2配線部23が第2導電層22と電気的に接続するように形成されている。第1配線部13及び第2配線部23は、例えばポリエステル系樹脂等の樹脂に銀を含有させた材料から構成される。第1配線部13を覆うように第1オーバーコート層14が形成されており、第2配線部23を覆うように第2オーバーコート層24が形成されている。第1オーバーコート層14及び第2オーバーコート層24は、例えば、アクリル系樹脂等の絶縁性材料から構成される。
【0016】
尚、第2導電層22における操作空間15に露出する部分(つまり電極部)の上には、半球形状を有する複数のドットスペーサ25が、所定の間隔を空けて配置されている。ドットスペーサ25は、例えばエポキシ樹脂やシリコーン樹脂等の絶縁樹脂から構成される。
【0017】
また、第1基板11側の第1オーバーコート層14と、第2基板21側の第2オーバーコート層24とは、例えばアクリル系接着剤等から構成される粘着層31によって貼り合わされており、これにより、第1基板11と第2基板21とが接続されている。すなわち、本実施形態において、第1基板11と第2基板12とを接続する絶縁部30は、第1オーバーコート層14、粘着層31及び第2オーバーコート層24の積層構造を有する。
【0018】
また、第1基板11及び第2基板12はそれぞれ略方形状を有し、絶縁部30は、各基板11、12におけるX方向で対向する二辺に沿ってそれぞれ位置する接続部30a及び接続部30bと、各基板11、12におけるY方向で対向する二辺に沿ってそれぞれ位置する接続部30c及び接続部30dとを含む。図示は省略しているが、接続部30dには、各配線部13、23と電気的に接続するフレキシブル基板が取り付けられる。
【0019】
図1図3図5に示すように、第1配線部13は、接続部30aに覆われ且つY方向に延びる電極配線13aと、接続部30bに覆われ且つY方向に延びる電極配線13bと、接続部30dに覆われ且つ電極配線13aと接続する引き回し配線13cと、接続部30dに覆われ且つ電極配線13bと接続する引き回し配線13dと、接続部30dに覆われ且つ引き回し配線13c、13dと接続する端子配線13eとを含む。電極配線13a、13bは、第1導電層12の操作空間15に露出する電極部に対しX方向の両側から所定の電圧を印加する。ここで、X方向における低電位側の電圧をスタート電圧といい、高電位側の電圧をエンド電圧という。
【0020】
また、図1図2図4図5に示すように、第2配線部23は、接続部30cに覆われ且つX方向に延びる電極配線23aと、接続部30dに覆われ且つX方向に延びる電極配線23bと、接続部30a、30dに覆われ且つ電極配線23aと接続する引き回し配線23cと、接続部30bに覆われ且つY方向に延びるダミー配線23dと、電極配線23bの外側で接続部30dに覆われ且つX方向に延びるダミー配線23eと、接続部30dに覆われ且つ引き回し配線23c及び電極配線23bと接続する端子配線23fとを含む。電極配線23a、23bは、第2導電層22の操作空間15に露出する電極部に対しY方向の両側から所定の電圧を印加する。ダミー配線23d、23eは、端子配線23fには電気的に接続されていない。
【0021】
尚、図5において、L1、L2はそれぞれ第1導電層12、第2導電層22に例えばレーザーエッチングによって形成された溝である。溝L1、L2の形成によって、各導電層12、22の電極部は、他の導電部から電気的に切り離される。例えば、第2導電層22は、電極部及びその両側の電極配線23a、23bの配置領域となる導電部22aと、引き回し配線23cが形成されている導電部22bと、ダミー配線23dが形成されている導電部22cと、X方向において導電部22bよりも外側に位置する導電部22dと、ダミー配線23eが形成されている導電部22eとを含み、各導電部22a~22eは互いに電気的に切り離されている。
【0022】
本実施形態のタッチパネル1の動作原理は次のとおりである。まず、非操作時において、第1配線部13では、端子配線13eから電極配線13a、13bに所定の正電圧、例えば+5Vを印加する。一方、第2配線部23では、端子配線23fから電極配線23a、23bに0Vを印加する。ここで、ユーザが、第1基板11側から指やペン等で押圧操作すると、第1基板11がたわみ、第1導電層12が第2導電層22に接触する。これにより、第1配線部13と第2配線部23が短絡され、タッチパネル1が操作されたことを検知することができる。このように操作を検知すると、第1配線部13において、端子配線13eから、電極配線13aに0Vを印加すると共に、電極配線13bに+5Vを印加する。そして、第2配線部23によって電位を検出することにより、X方向における操作位置を検出する。また、第2配線部23において、端子配線23fから、電極配線23aに0Vを印加すると共に、電極配線23bに+5Vを印加する。そして、第1配線部13によって電位を検出することにより、Y方向における操作位置を検出する。
【0023】
以上のように、本実施形態によると、第1基板11と第2基板12とを接続する絶縁部30は、各基板11、12におけるX方向で対向する二辺に沿って位置する接続部30a、30bを有し、接続部30a、30bにおいて、操作空間15側に位置する内側部位(以下、単に内側部位という)の厚みは、操作空間15の反対側に位置する外側部位(以下、単に外側部位という)の厚みよりも厚い。言い換えると、接続部30a、30bの内側部位と接する部分での第1基板11と第2基板12との距離(第2基板12の主面法線方向の距離:以下、単に法線方向距離という)は、接続部30a、30bの外側部位と接する部分での第1基板11と第2基板12との法線方向距離よりも長い。このため、図1に示すように、ユーザに操作される側の第1基板11(上基板)が、絶縁部30上よりも操作空間15上で持ち上がった膨らみ形状(ドーム形状)を安定的に形成することができる。すなわち、本実施形態では、操作空間15と向き合う部分での第1基板11と第2基板12との法線方向距離は、接続部30a、30bの内側部位と接する部分での第1基板11と第2基板12との法線方向距離よりも長い。従って、高温高湿雰囲気下において長時間使用した場合でも、第1基板11の形状変形、特に、第1基板11が操作空間15側にへこむ変形が抑制されるので、タッチセンサ1の押圧位置の検出精度の低下を抑制することができる。
【0024】
また、本実施形態において、絶縁部30は、各基板11、12におけるY方向で対向する二辺に沿って位置する接続部30c、30dを有し、接続部30cにおいて、内側部位の厚みは、外側部位の厚みよりも厚い。言い換えると、接続部30cの内側部位と接する部分での第1基板11と第2基板12との法線方向距離は、接続部30cの外側部位と接する部分での第1基板11と第2基板12との法線方向距離よりも長い。この場合にも、接続部30a、30bの場合と同様に、高温高湿雰囲気下での長時間使用に対し、第1基板11の形状変形を抑制して押圧位置の検出精度の低下を抑制する効果を奏する。
【0025】
尚、接続部30dにおいては、フレキシブル基板の取り付けを容易にするために、内側部位の厚みは、外側部位の厚みと同程度であってもよい。言い換えると、接続部30dの内側部位と接する部分での第1基板11と第2基板12との法線方向距離は、接続部30dの外側部位と接する部分での第1基板11と第2基板12との法線方向距離と同程度であってもよい。
【0026】
以下、第1基板11(上基板)を前述のドーム形状にするための構成について説明する。
【0027】
本実施形態では、図1(X方向断面図)に示すように、接続部30aに覆われている第1基板11側の電極配線13aは、接続部30aの内側部位から外側部位まで幅広に形成されているのに対して、接続部30aに覆われている第2基板12側の引き回し配線23cは、接続部30aの内側部位に幅細に形成されている。同様に、接続部30bに覆われている第1基板11側の電極配線13bは、接続部30bの内側部位から外側部位まで幅広に形成されているのに対して、接続部30bに覆われている第2基板12側のダミー配線23dは、接続部30bの内側部位に幅細に形成されている。このため、粘着層31を含む絶縁部30を介して第1基板11と第2基板12とを圧着接続する際に、接続部30a、30bの外側部位に位置する電極配線13a、13bの下側には、絶縁部30の構成材料と比較して硬い材料からなる第2配線部23が存在しないので、接続部30a、30bの外側部位は内側部位よりも大きく圧縮される。その結果、接続部30a、30bにおいて、内側部位の厚みは、外側部位の厚みよりも厚くなり、第1基板11をドーム形状にすることができる。
【0028】
また、図1に示すように、接続部30a、30bにおいて、第1オーバーコート層14と粘着層31との境界面、及び、粘着層31と第2オーバーコート層24との境界面は、第1基板11と同様に、接続部30a、30bの外側部位から内側部位に向けて持ち上がった形状となる。これにより、接続部30a、30b中の各境界面が第2基板21の主面と平行に形成されている場合と比べて、当該各境界面の面積を大きくすることができる。従って、第1オーバーコート層14、粘着層31及び第2オーバーコート層24の積層構造よりなる接続部30a、30bの強度が増大するので、第1基板11をより安定的に保持して押圧位置の検出精度の低下をより一層抑制することができる。
【0029】
また、本実施形態では、図2(Y方向断面図)に示すように、接続部30cに覆われている第1基板11側には第1配線部13は形成されていないのに対して、接続部30cに覆われている第2基板12側の電極配線23aは、接続部30cの内側部位に幅細に形成されている。このため、粘着層31を含む絶縁部30を介して第1基板11と第2基板12とを圧着接続する際に、接続部30cの外側部位には第1配線部13も第2配線部23も存在しないので、外側部位に位置する接続部30cが内側部位よりも大きく圧縮される。その結果、接続部30cにおいて、内側部位の厚みは、外側部位の厚みよりも厚くなり、第1基板11をドーム形状にすることができる。
【0030】
また、図2に示すように、接続部30cにおいて、第1オーバーコート層14と粘着層31との境界面、及び、粘着層31と第2オーバーコート層24との境界面は、第1基板11と同様に、接続部30cの外側部位から内側部位に向けて持ち上がった形状となる。これにより、接続部30c中の各境界面が第2基板21の主面と平行に形成されている場合と比べて、当該各境界面の面積を大きくすることができる。従って、第1オーバーコート層14、粘着層31及び第2オーバーコート層24の積層構造よりなる接続部30cの強度がより増大するので、第1基板11をより安定的に保持して押圧位置の検出精度の低下をより一層抑制することができる。
【0031】
尚、接続部30dは、狭額縁化した場合にもフレキシブル基板を取り付けるために十分な配置面積を有するため、内側部位の厚みと外側部位の厚みが同程度であっても、言い換えると、第1基板11と第2基板12との法線方向距離が略一定であっても、第1基板11の保持力が低下することはない。
【0032】
以上、本発明についての実施形態を説明したが、本発明は前述の実施形態のみに限定されず、発明の範囲内で種々の変更が可能である。すなわち、前述の実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0033】
例えば、本実施形態では、引き回し配線23cを接続部30aの内側部位に幅細に形成し、ダミー配線23dを接続部30bの内側部位に幅細に形成したが、これに代えて、或いは、これに加えて、接続部30a、30bにおいて、内側部位を構成する第2オーバーコート層24の厚みを、外側部位を構成する第2オーバーコート層24の厚みよりも厚くしてもよい。また、電極配線23aを接続部30cの内側部位に幅細に形成したが、これに代えて、或いは、これに加えて、接続部30cにおいて、内側部位を構成する第2オーバーコート層24の厚みを、外側部位を構成する第2オーバーコート層24の厚みよりも厚くしてもよい。この場合、例えば、第2オーバーコート層24を2回に分けて成膜することによって、或いは、成膜材料塗布時のメッシュ穴の大きさを変化させることによって、接続部30a、30b、30cにおいて、第2オーバーコート層24の厚みを変えてもよい。
【0034】
また、引き回し配線23c及びダミー配線23dの形成位置及び線幅並びに第2オーバーコート層24の厚みに関する前述の構成に代えて、或いは、前述の各構成に加えて、例えば図6に示すように、接続部30a、30bにおいて、内側部位を構成する粘着層31の厚みを、外側部位を構成する粘着層31の厚みよりも厚くしてもよい。尚、図6において、図1と同じ構成要素には同じ符号を付している。また、接続部30cにおいて、内側部位を構成する粘着層31の厚みを、外側部位を構成する粘着層31の厚みよりも厚くしてもよい。この場合、例えば、粘着層31を含む絶縁部30を介して第1基板11と第2基板12とを圧着接続する際の圧力を、各接続部30a、30b、30cの内側部位において外側部位よりも低くすることによって、粘着層31の厚みを変えてもよい。
【0035】
また、本実施形態では、図2に示すように、接続部30cに覆われている第1基板11側に第1配線部13を形成しなかったが、これに代えて、例えば図7図8に示すように、接続部30cに覆われている第1基板11側にダミー配線13fを、接続部30cの内側部位から外側部位まで幅広に形成してもよい。尚、図7図8において、図2図3と同じ構成要素には同じ符号を付している。また、図7は、図8に示す平面図の線Yの断面図である。前述のようにダミー配線13fを設けると、粘着層31を含む絶縁部30を介して第1基板11と第2基板12とを圧着接続する際に、接続部30cの外側部位に位置するダミー配線13fの下側には、絶縁部30の構成材料と比較して硬い材料からなる第2配線部23が存在しないので、接続部30cの外側部位は内側部位よりも大きく圧縮される。その結果、接続部30cにおいて、内側部位の厚みは、外側部位の厚みよりも厚くなり、第1基板11をドーム形状にすることができる。
【0036】
また、本実施形態では、図2に示すように、接続部30cにおいて、内側部位の厚みを、外側部位の厚みよりも厚くした。言い換えると、接続部30cの内側部位と接する部分での第1基板11と第2基板12との法線方向距離を、接続部30cの外側部位と接する部分での第1基板11と第2基板12との法線方向距離よりも長くした。しかし、これに代えて、例えば図9に示すように、接続部30cにおいて、内側部位の厚みを、外側部位の厚みと同程度にしてもよい。言い換えると、接続部30cの内側部位と接する部分での第1基板11と第2基板12との法線方向距離を、接続部30cの外側部位と接する部分での第1基板11と第2基板12との法線方向距離と同程度にしてもよい。尚、図9において、図2と同じ構成要素には同じ符号を付している。
【0037】
すなわち、X方向において第1基板11をドーム形状にしていれば、Y方向においては第1基板11を平坦形状にしてもよい。この場合、例えば図9に示すように、接続部30cに覆われている第1基板11側には第1配線部13を形成せず、接続部30cに覆われている第2基板12側に電極配線23aを、接続部30cの内側部位から外側部位まで幅広に形成してもよい。このようにすると、粘着層31を含む絶縁部30を介して第1基板11と第2基板12とを圧着接続する際に、接続部30cの内側部位も外側部位も同程度に圧縮される。その結果、接続部30cにおいて、内側部位の厚みは、外側部位の厚みと同程度になり、第1基板11を平坦形状にすることができる。
【0038】
また、第1基板11の材料としては、ポリエチレンテレフタレート系樹脂以外の光透過性のある材料、例えばポリカーボネート系樹脂等を用いてもよい。また、第1基板11の表裏面に、傷防止のための高硬度薄膜からなるハードコート層、又は、視認性向上のための細かな凹凸を持つアンチニュートンリング層等を設けてもよい。
【0039】
また、第1導電層12、第2導電層22の材料としては、酸化錫、酸化亜鉛、又は、金、銀、銅若しくは導電性ポリマー等を用いた導電層、又は、それを組み合わせた導電層等を用いてもよい。
【0040】
また、第1配線部13、第2配線部23に含有される導電金属として、銀を例示したが、銀以外に、例えば金、銅、ニッケル等又はそれらの混合物等を用いてもよい。尚、銀を選択した場合、入手が比較的容易な銀ペーストを用いることができ、製造が簡便になる。
【0041】
また、オーバーコート層14、24及び粘着層31のそれぞれの材料も前述の実施形態に限定されるものではない。また、オーバーコート層14、24については、絶縁性の高い粘着層31を用いる場合には形成しなくてもよい。
【0042】
また、各導電層12、22のうち電極部及びその両側の電極配線の配置領域となる導電部を、他の導電部から電気的に切り離すために、レーザーエッチングによって溝(図5のL1、L2)を形成したが、これに代えて、例えばウェットエッチングによって各導電層12、22のうちの不要な部分を除去してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明によるタッチパネルは、高温高湿雰囲気下において長時間利用した場合でも検出性能が低下しないという効果を有し、主に各種電子機器の操作用として有用である。
【符号の説明】
【0044】
1 タッチパネル
11 第1基板
12 第1導電層
13 第1配線部
13a、13b 電極配線
13c、13d 引き回し配線
13e 端子配線
13f ダミー配線
14 第1オーバーコート層
15 操作空間
21 第2基板
22 第2導電層
22a~22e 導電部
23 第2配線部
23a、23b 電極配線
23c 引き回し配線
23d、23e ダミー配線
23f 端子配線
24 第2オーバーコート層
30 絶縁部
30a~30d 接続部
31 粘着層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9