(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-09
(45)【発行日】2023-02-17
(54)【発明の名称】車室認証プログラム及び車室認証装置
(51)【国際特許分類】
G08G 1/14 20060101AFI20230210BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20230210BHJP
【FI】
G08G1/14 A
G06T7/00 650Z
(21)【出願番号】P 2020167508
(22)【出願日】2020-10-02
【審査請求日】2022-01-21
(73)【特許権者】
【識別番号】304021417
【氏名又は名称】国立大学法人東京工業大学
(73)【特許権者】
【識別番号】520375136
【氏名又は名称】株式会社Tech Communications
(73)【特許権者】
【識別番号】515212747
【氏名又は名称】株式会社GOURIKIコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100100011
【氏名又は名称】五十嵐 省三
(72)【発明者】
【氏名】朱 疆
(72)【発明者】
【氏名】張 遠瑞
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 智博
【審査官】上野 博史
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-013924(JP,A)
【文献】特開2017-084364(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
G06T 7/00-7/90
G01C 21/00-21/36
23/00-25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの車室を有する駐車場における前記車室の空満室状態を認証する
コンピュータに実行させるための車室認証プログラムであって、
前記駐車場の初期状態を設定する初期状態設定手順と、
前記初期状態を解除して前記駐車場を非初期状態とする解除手順と、
前記駐車場の前記初期状態の設定のときに、前記車室の空室状態画像データを取得して該空室状態画像データから空室特徴画像データを抽出して車室空室状態特徴画像テンプレートを作成する車室空室状態特徴画像テンプレート作成手順と、
前記駐車場が前記初期状態か前記非初期状態かを判別する初期状態/非初期状態判別手順と、
前記駐車場が前記初期状態のときに、前記車室の画像データを取得して前記車室の車室特徴画像データを抽出する車室特徴画像データ抽出手順と、
前記車室空室状態特徴画像テンプレートの前記空室状態特徴画像データと前記車室特徴画像データとの類似度を演算し、該類似度に応じて前記車室の初期状態時空満室情報を出力する車室空満室情報出力手順と、
前記駐車場の前記初期状態及び前記非初期状態のときに、前記車室の画像データを入力教師データとしかつ前記車室の空満室状態情報を出力教師データとして学習制御モデルを学習させて学習済とする学習手順と、
前記駐車場の前記非初期状態のときに、前記車室の画像データを取得して入力データとして学習済みの前記学習制御モデルに供給し前記学習制御モデルの出力に前記車室の非初期状態時空満室情報を得、出力する推定手順と
を
コンピュータに実行させるための車室認証プログラム。
【請求項2】
前記車室空室状態特徴画像テンプレートの前記空室状態特徴画像データは前記車室の駐車場マークの画像データである請求項1に記載の
コンピュータに実行させるための車室認証プログラム。
【請求項3】
前記車室空室状態特徴画像テンプレートの前記空室状態特徴画像データは前記車室の車止めマークの画像データである請求項1に記載の
コンピュータに実行させるための車室認証プログラム。
【請求項4】
前記車室空室状態特徴画像テンプレートの前記空室状態特徴画像データは前記車室の駐車場マークの画像データ及び車止めマークの画像データであり、
前記類似度は前記駐車場マークの類似度と前記車止めマークの類似度とを所定比で加算したものである請求項1に記載の
コンピュータに実行させるための車室認証プログラム。
【請求項5】
少なくとも1つの車室を有する駐車場における前記車室の空満室状態を認証する車室認証装置であって、
前記駐車場の初期状態を設定する初期状態設定手段と、
前記初期状態を解除して前記駐車場を非初期状態とする解除手段と、
前記駐車場の前記初期状態の設定のときに、前記車室の空室状態画像データを取得して該空室状態画像データから空室特徴画像データを抽出して車室空室状態特徴画像テンプレートを作成する車室空室状態特徴画像テンプレート作成手段と、
前記駐車場が前記初期状態か前記非初期状態かを判別する初期状態/非初期状態判別手段と、
前記駐車場が前記初期状態のときに、前記車室の画像データを取得して前記車室の車室特徴画像データを抽出する車室特徴画像データ抽出手段と、
前記車室空室状態特徴画像テンプレートの前記空室状態特徴画像データと前記車室特徴画像データとの類似度を演算し、該類似度に応じて前記車室の初期状態時空満室情報を出力する車室空満室情報出力手段と、
前記駐車場の前記初期状態及び前記非初期状態のときに、前記車室の画像データを入力教師データとしかつ前記車室の空満室状態情報を出力教師データとして学習制御モデルを学習させて学習済とする学習手段と、
前記駐車場の前記非初期状態のときに、前記車室の画像データを取得して入力データとして学習済みの前記学習制御モデルに供給し前記学習制御モデルの出力に前記車室の非初期状態時空満室情報を得、出力する推定手段と
を具備する車室認証装置。
【請求項6】
前記車室空室状態特徴画像テンプレートの前記空室状態特徴画像データは前記車室の駐車場マークの画像データである請求項5に記載の車室認証装置。
【請求項7】
前記車室空室状態特徴画像テンプレートの前記空室状態特徴画像データは前記車室の車止めマークの画像データである請求項5に記載の車室認証装置。
【請求項8】
前記車室空室状態特徴画像テンプレートの前記空室状態特徴画像データは前記車室の駐車場マークの画像データ及び車止めマークの画像データであり、
前記類似度は前記駐車場マークの類似度と前記車止めマークの類似度とを所定比で加算したものである請求項5に記載の車室認証装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車室認証プログラム及び車室認証装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の車室を有する従来の駐車場管理方法として、駐車場の入場時にID番号を備えた駐車券を発行すると共に、車室への入庫により入庫時刻を取得し、入庫後に利用した車室の番号とID番号とを関連付ける認証を行い、各認証毎に正規利用と不正利用とを判断しているものがある(参照:特許文献1)。
【0003】
しかしながら、上述の従来の駐車場管理方法は大規模の駐車場の管理に適しているが、車室数の少ない駐車場には設備コストが高く、適さない。
【0004】
車室数の少ない小規模の駐車場において、車室の空室状態及び満室状態を認証する従来の車室認証システムは、フラップ、センタコイルを車室毎に設けて車を感知するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の従来の車室認証システムにおいては、フラップ、センタコイルを車室毎に設けなければならず、やはり、設備コストが高いという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の課題を解決するために、本発明に係る車室認証プログラムは、少なくとも1つの車室を有する駐車場における車室の空満室状態を認証するコンピュータに実行させるための車室認証プログラムであって、駐車場の初期状態を設定する初期状態設定手順と、初期状態を解除して駐車場を非初期状態とする解除手順と、駐車場の初期状態の設定のときに、車室の空室状態画像データを取得して該空室状態画像データから空室特徴画像データを抽出して車室空室状態特徴画像テンプレートを作成する車室空室状態特徴画像テンプレート作成手順と、駐車場が初期状態か非初期状態かを判別する初期状態/非初期状態判別手順と、駐車場が初期状態のときに、車室の画像データを取得して車室の車室特徴画像データを抽出する車室特徴画像データ抽出手順と、車室空室状態特徴画像テンプレートの空室状態特徴画像データと車室特徴画像データとの類似度を演算し、該類似度に応じて車室の初期状態時空満室情報を出力する車室空満室情報出力手順と、駐車場の初期状態及び非初期状態のときに、車室の画像データを入力教師データとしかつ車室の空満室状態情報を出力教師データとして学習制御モデルを学習させて学習済とする学習手順と、駐車場の非初期状態のときに、車室の画像データを取得して入力データとして学習済みの学習制御モデルに供給し学習制御モデルの出力に車室の非初期状態時空満室情報を得、出力する推定手順とを実行させるものである。
【0008】
また、本発明に係る車室認証装置は、少なくとも1つの車室を有する駐車場における車室の空満室状態を認証する車室認証装置であって、駐車場の初期状態を設定する初期状態設定手段と、初期状態を解除して駐車場を非初期状態とする解除手段と、駐車場の初期状態の設定のときに、車室の空室状態画像データを取得して該空室状態画像データから空室特徴画像データを抽出して車室空室状態特徴画像テンプレートを作成する車室空室状態特徴画像テンプレート作成手段と、駐車場が初期状態か非初期状態かを判別する初期状態/非初期状態判別手段と、駐車場が初期状態のときに、車室の画像データを取得して車室の車室特徴画像データを抽出する車室特徴画像データ抽出手段と、車室空室状態特徴画像テンプレートの空室状態特徴画像データと車室特徴画像データとの類似度を演算し、該類似度に応じて車室の初期状態時空満室情報を出力する車室空満室情報出力手段と、駐車場の初期状態及び非初期状態のときに、車室の画像データを入力教師データとしかつ車室の空満室状態情報を出力教師データとして学習制御モデルを学習させて学習済とする学習手段と、駐車場の非初期状態のときに、車室の画像データを取得して入力データとして学習済みの学習制御モデルに供給し学習制御モデルの出力に車室の非初期状態時空満室情報を得、出力する推定手段とを具備するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、車室にはフラップ、センタコイルを設ける必要がないので、設備コストを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明に係る車室認証装置の実施の形態を含む駐車場を示す図である。
【
図2】
図1の車室認証装置の接続関係を示す図である。
【
図3】
図1の車室認証装置の詳細なブロック回路図である。
【
図4】
図3の中央処理ユニットの初期状態設定動作を説明するためのフローチャートである。
【
図5】
図4のフローチャートを補足説明するための図である。
【
図6】
図2の中央処理ユニットの初期状態解除動作を説明するためのフローチャートである。
【
図7】
図2の中央処理ユニットの学習動作を説明するためのフローチャートである。
【
図8】
図2の中央処理ユニットの初期状態動作及び非初期状態動作(推定動作)よりなるメイン動作を説明するためのフローチャートである。
【
図9】
図8の初期状態動作を補足するための図である。
【
図10】
図3の車室認証装置の他の例を示すブロック図である。
【
図11】
図1の駐車場に人が入った場合を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は本発明に係る車室認証装置の実施の形態を含む駐車場を示す図である。
【0012】
図1において、駐車場10には少数たとえば4つの車室10-1、10-2、10-3、10-4が設けられ、これら車室10-1、10-2、10-3、10-4の空室状態情報、満室状態情報を駐車場10内の車室認証装置1によって認証する。このため、駐車場10には少なくとも1つのカメラ(たとえば単眼カメラ)2が設けられている。尚、
図1においては、車室10-1、10-2は車が駐車して満室状態となっており、車室10-3、10-4は車が駐車していない空室状態となっている。
【0013】
【0014】
図2において、車室認証装置1にはカメラ2が接続される。また、車室認証装置1は必要に応じてインタネット3を介して情報端末4等に接続される。操作者は情報端末4を介して又は直接的に車室認証装置1及びカメラ2を操作できる。
【0015】
図3は
図2の車室認証装置1の詳細なブロック回路図である。
【0016】
図3において、車室認証装置1は、中央処理ユニット(CPU)101、プログラム等を格納するリードオンリメモリ(ROM)(又はフラッシュメモリ)102、一時的データ等を格納するランダムアクセスメモリ(RAM)103、カメラ2に接続された画像インタフェイス104、インタネット3に接続された通信インタフェイス105、学習制御モデル106等によって構成される。学習制御モデル106は入力層、複数の中間層及び出力層よりなるディープラーニングによるニューラルネットワークである。
【0017】
図4はCPU101が実行する初期状態設定ルーチンであって、操作者の駐車場10のすべての車室10-1、10-2、10-3、10-4の空室状態を確認後に実行される割込みルーチンである。この初期状態設定ルーチンはたとえば駐車場10の立上げ後、少なくとも1回実行される。尚、この初期状態設定ルーチンはROM(又はフラッシュメモリ)102に格納されている。
【0018】
始めに、ステップ401にて、初期状態フラグSをセットする(S←“1”)。
【0019】
次に、ステップ402にて、
図5の(A)に示す駐車場10の車室10-1、10-2、10-3、10-4の空室状態のRGBカラー画像データをカメラ2より取得する。このRGBカラー画像データはグレースケール化される。
【0020】
次に、ステップ403にて、
図5の(B)に示すごとく、グレースケール画像データを黒白2値化データに変換する。この場合、必要に応じて2次元ガウス関数を用いたガウシアンぼかし処理及び最適2値化処理を行う。
【0021】
次に、ステップ404にて、
図5の(C)に示すごとく、黒白2値化データから空室特徴画像データたとえば駐車場を表す「P」マーク10-1a、10-2a、10-3a、10-4aの画像データを抽出して全車室空室状態特徴画像テンプレートを作成し、RAM103に保存する。
【0022】
次に、ステップ405にて、初期状態時間Tたとえば所定時間を設定する。
【0023】
そして、ステップ406にて
図4のルーチンは終了する。
【0024】
図6はCPU101が実行する初期状態解除ルーチンであって、時間ΔTによる時間割込みルーチンである。この初期状態解除ルーチンはROM(又はフラッシュメモリ)102に格納されている。
【0025】
始めに、ステップ601にて、TをΔT減算し、ステップ602にて初期状態時間Tが経過したか否かを判別する。初期状態時間Tが経過していなければ、ステップ605に直接進む。
【0026】
他方、ステップ602にて、初期状態時間Tが経過した(T<0)ときのみ、ステップ603にて、Tを0でガードし、ステップ604にて、初期状態フラグSをリセットして初期状態を解除する。つまり、非初期状態とする(S←“0”)。
【0027】
そして、ステップ605にて
図6のルーチンは終了する。
【0028】
このように、
図4、
図6のルーチンにより、初期状態(S=“1”)は操作者の駐車場10の空室状態の車室10-1、10-2、10-3、10-4の確認後、所定時間Tだけ維持される。尚、初期状態の解除(S=“0”)は操作者による操作によっても行うことができ、この場合、初期状態時間を設定時間Tより短縮することもできる。
【0029】
図7はCPU101が実行する学習ルーチンであって、操作者の駐車場10の各車室10-1、10-2、10-3、10-4の空室状態情報又は満室状態情報の入力によって実行される割込みルーチンである。この場合、操作者は予め情報端末4等を用いてカメラ2の画像から各車室10-1、10-2、10-3、10-4の車室状態情報を確認して入力する必要がある。また、この割込みルーチンは初期状態(S=“1”)であっても非初期状態(S=“0”)であっても、様々な天気、時間、季節の環境の基で実行される。尚、この割込みルーチンはROM(又はフラッシュメモリ)102に格納されている。
【0030】
始めに、ステップ701にて、カメラ2より全車室10-1、10-2、10-3、10-4の車室画像データを取得する。この場合も、カメラ2の画像データがRGBカラーデータであれば、グレースケール化する。
【0031】
次に、ステップ702にて、ステップ701にて取得した全車室の車室画像データを黒白2値化データに変換する。この場合も、必要に応じてガウシアンぼかし処理及び最適2値化処理を行う。
【0032】
次に、ステップ703において、学習処理を行う。すなわち、2値化画像データを入力教師データとしかつ各車室の空室状態情報又は満室状態情報を出力教師データとし、学習制御モデル106をディープラーニングによって学習させる。
【0033】
ステップ704では、ステップ703の学習が実行済であることを示す学習済フラグLをセットする(L=“1”)。尚、学習済フラグLは図示しない初期化ルーチンでリセットされている(L=“0”)。
【0034】
そして、ステップ705にて
図7のルーチンは終了する。
【0035】
図8はCPU101が実行するメインルーチンであって、初期状態であっても非初期状態であっても実行される。このメインルーチンはROM(又はフラッシュメモリ)102に格納されている。
【0036】
始めに、ステップ801にて、
図9の(A)に示すごとく、カメラ2より全車室10-1、10-2、10-3、10-4のRGBカラー画像データを取得する。このRGBカラー画像データはグレースケール化される。
【0037】
次に、ステップ802にて、
図9の(B)に示すごとく、ステップ801にて取得した全車室10-1、10-2、10-3、10-4のグレースケール画像データを黒白2値化データに変換する。この場合も、必要に応じてガウシアンぼかし処理及び最適2値化処理を行う。
【0038】
次に、ステップ803にて、初期状態(S=“1”)か非初期状態(S=“0”)かを判別する。この結果、初期状態(S=“1”)であれば、ステップ804~808に進み、各車室10-1、10-2、10-3、10-4の車室特徴画像たとえば「P」マーク画像による迅速な空満室判定を行う。他方、非初期状態(S=“0”)であれば、ステップ809、810に進み、各車室10-1、10-2、10-3、10-4の十分学習した学習済の学習制御モデル106を用いた推定処理による高精度の空満室判定を行う。
【0039】
ステップ804~808について説明する。
【0040】
ステップ804では、
図9の(C)に示すごとく、
図5の(C)の空室特徴画像データ10-ia(i=1,2,3,4)に対応する車室特徴画像データ10-ibを抽出する。
【0041】
次に、ステップ805では、
図4のステップ404で求めた空室状態車室10-iの空室特徴画像データ(テンプレート)10-iaと車室10-iの現在の車室特徴画像データ10-ibとの類似度(%)を演算し、類似度(%)が一定値αたとえば80%より大きいか否かを判別する。たとえば、空室特徴画像データ(テンプレート)10-ia及び車室特徴画像データ10-ibを同一のサイズのピクセル表示としてブーリアン演算により類似度(%)を演算する。この結果、類似度(%)>αであれば、ステップ806にて当該車室は空室状態と判別し、空室状態情報を出力し、他方、類似度(%)≦αであれば、ステップ807にて当該車室は満室状態と判別し、満室状態情報を出力する。
【0042】
ステップ808は、ステップ804、805、806、807のフローをすべての車室について実行してステップ812に進む。
【0043】
ステップ809、810、811について説明する。
【0044】
ステップ809では、学習制御モデル106が
図7のルーチンによって学習済(L=“1”)か否かを判別し、学習済のときのみ、ステップ810に進む。
【0045】
ステップ810では、推定処理を行う。すなわち、学習済の学習制御モデル106にステップ802にて取得した車室黒白2値化データを入力すると、学習制御モデル106の出力に各車室10-1、10-2、10-3、10-4の空満室状態情報を得られる。
【0046】
次に、ステップ811にて、ステップ810にて学習制御モデル106の出力にて得られた空満室状態情報を出力する。
【0047】
そして、ステップ812にて、
図8のルーチンは終了する。
【0048】
空室状態特徴画像データとして「P」マークの画像データを用いたが、「車止め」マークの画像データを用いてもよい。また、空室状態特徴画像データとして「P」マーク及び2つの「車止め」マークの両方を用いてもよい。この場合には、
図8のステップ805における類似度の演算の際には、たとえば「P」マークの重みを0.6とし、1つの「車止め」マークの重みを0.2とする。つまり、類似度は「P」マークの類似度と「車止め」マークの類似度とを所定比で加算したものとする。
【0049】
尚、上述の実施の形態においては、初期状態設定及び解除、学習制御モデルの学習は全車室に対して一斉に行っているが、各車室毎に行ってもよい。
【0050】
図3の車室認証装置1は
図10に示すハードウェアで構成することもできる。
【0051】
図10は少なくとも1つの車室を有する駐車場における車室の空満室状態を認証する車室認証装置である。初期状態設定手段は駐車場の初期状態を設定する。解除手段は初期状態を解除して駐車場を非初期状態とする。駐車場の初期状態の設定のときに、車室空室状態特徴画像テンプレート作成手段は車室の空室状態画像データを取得して該空室状態画像データから空室特徴画像データを抽出して車室空室状態特徴画像テンプレートを作成する。初期状態/非初期状態判別手段は駐車場が初期状態か非初期状態かを判別する。駐車場が初期状態のときに、車室特徴画像データ抽出手段は車室の画像データを取得して車室の車室特徴画像データを抽出する。車室空満室情報出力手段は車室空室状態特徴画像テンプレートの空室状態特徴画像データと車室特徴画像データとの類似度を演算し、該類似度に応じて車室の初期状態時空満室情報を出力する。駐車場の初期状態及び非初期状態のときに、学習手段は車室の画像データを入力教師データとしかつ車室の空満室状態情報を出力教師データとして学習制御モデルを学習させて学習済とする。駐車場の非初期状態のときに、推定手段は車室の画像データを取得して入力データとして学習済みの学習制御モデルに供給し学習制御モデルの出力に車室の非初期状態時空満室情報を得、出力する。
【0052】
上述の発明の実施の形態によれば、駐車場の立上げ時等の初期状態時には、「P」マーク、「車止め」マーク等のテンプレートを用いた簡易な車室認証を行う。これにより、駐車場の立上げに迅速に対応できる。他方、非初期状態時には、駐車場の初期状態時を含めて常に学習した機械学習モデルを用いて精確な車室認証を行う。つまり、機械学習モデルは常に進化し、たとえリフォーム等で駐車場の環境が変化しても対応できる初期状態及び非初期状態のいずれの場合にあっても、
図11に示すごとく、車室にノイズとしての人間Hが入っても車として判別されず、従って、当該車室は空室状態と判別される。
【0053】
尚、本発明は上述の実施の形態の自明の範囲内でいかなる変更にも適用し得る。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明に係る車室認証装置は、駐車場課金システム等に利用できる。
【0055】
1:車室認証装置
2:カメラ
3:インタネット
4:情報端末
101:CPU
102:ROM
103:RAM
104:画像インタフェイス
105:通信インタフェイス
106:機械学習モデル