(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-09
(45)【発行日】2023-02-17
(54)【発明の名称】経口組成物
(51)【国際特許分類】
A23L 33/10 20160101AFI20230210BHJP
A23L 33/12 20160101ALI20230210BHJP
A23L 33/105 20160101ALI20230210BHJP
A61K 33/44 20060101ALI20230210BHJP
A61P 3/04 20060101ALI20230210BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230210BHJP
A61K 31/522 20060101ALI20230210BHJP
A61K 31/22 20060101ALI20230210BHJP
A61K 31/197 20060101ALI20230210BHJP
A61K 36/185 20060101ALI20230210BHJP
A61K 36/488 20060101ALI20230210BHJP
A61K 9/16 20060101ALI20230210BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20230210BHJP
A61K 47/46 20060101ALI20230210BHJP
A61K 36/67 20060101ALI20230210BHJP
A23F 5/24 20060101ALN20230210BHJP
【FI】
A23L33/10
A23L33/12
A23L33/105
A61K33/44
A61P3/04
A61P43/00 107
A61K31/522
A61K31/22
A61K31/197
A61K36/185
A61K36/488
A61K9/16
A61K9/20
A61K47/46
A61K36/67
A23F5/24
(21)【出願番号】P 2022136428
(22)【出願日】2022-08-30
【審査請求日】2022-09-22
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】398028503
【氏名又は名称】株式会社東洋新薬
(73)【特許権者】
【識別番号】514027425
【氏名又は名称】株式会社MEJ
(74)【代理人】
【識別番号】100120086
【氏名又は名称】▲高▼津 一也
(72)【発明者】
【氏名】本岡 香奈
(72)【発明者】
【氏名】中山 克大
(72)【発明者】
【氏名】古賀 徹
(72)【発明者】
【氏名】関山 翔太
【審査官】山村 周平
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2002/0018832(US,A1)
【文献】特開2020-019733(JP,A)
【文献】国際公開第2019/235099(WO,A1)
【文献】特開2020-005504(JP,A)
【文献】特開2019-047817(JP,A)
【文献】国際公開第2003/074043(WO,A1)
【文献】特開2008-088187(JP,A)
【文献】国際公開第2008/143182(WO,A1)
【文献】特開2011-246355(JP,A)
【文献】特開2006-262888(JP,A)
【文献】特開2006-304766(JP,A)
【文献】特開2019-176828(JP,A)
【文献】特開2013-224326(JP,A)
【文献】特開2016-189757(JP,A)
【文献】特開平06-166622(JP,A)
【文献】特開2015-017086(JP,A)
【文献】国際公開第2022/058070(WO,A1)
【文献】特開2006-335758(JP,A)
【文献】特開昭60-218318(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 2/00-35/00
A23F 5/00-5/50
A61K 6/00-51/00
A61P 1/00-43/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭、カフェイン、及び中鎖脂肪酸トリグリセリドを含有し、
前記中鎖脂肪酸トリグリセリドの含有量が0.1~5.0質量%であることを特徴とする経口組成物(
マメ科植物タンパク質、ガラクトシダーゼ、メチオニン、及び中鎖脂肪酸又はその誘導体を含有するマメ科植物タンパク質の栄養補助食品を除く)。
【請求項2】
炭、カフェイン、及び中鎖脂肪酸トリグリセリドを含有し、
前記中鎖脂肪酸
トリグリセリドとカフェインとの配合質量比が、1:0.1~10であることを特徴とする経口組成物(
マメ科植物タンパク質、ガラクトシダーゼ、メチオニン、及び中鎖脂肪酸又はその誘導体を含有するマメ科植物タンパク質の栄養補助食品を除く)。
【請求項3】
炭、カフェイン、及び中鎖脂肪酸トリグリセリドを含有し、
さらに、γ-アミノ酪酸、ターミナリア、葛、及びブラックジンジャーからなる群から選ばれる1種以上の素材を含有することを特徴とする経口組成物(
マメ科植物タンパク質、ガラクトシダーゼ、メチオニン、及び中鎖脂肪酸又はその誘導体を含有するマメ科植物タンパク質の栄養補助食品を除く)。
【請求項4】
さらに、食物繊維を含有することを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の経口組成物。
【請求項5】
食物繊維の含有量が、0.5~30.0質量%であることを特徴とする請求項4に記載の経口組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経口組成物に関し、詳しくは、炭、カフェイン、及び中鎖脂肪酸トリグリセリドを含有する経口組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
現代社会においては、食生活の欧米化や運動不足等によって、肥満が増加している。肥満は、糖尿病や生活習慣病等の原因となることが知られており、健康な体を維持するために肥満の予防又は改善は重要である。このような肥満を予防又は改善するため、ダイエットを目的とした健康食品やサプリメント等の需要は高く、より手軽で有効な組成物が求められている。
【0003】
ダイエットに有効な経口組成物として、例えば、乳酸菌発酵物を含む組成物(特許文献1参照)や、コハク酸を含む組成物(特許文献2参照)等が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2022-001590号公報
【文献】特開2021-107400号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、優れた抗肥満効果(ダイエット効果)をもたらす経口組成物を提供することであり、特に、抗肥満効果(ダイエット効果)をもたらす、ヒト肝癌由来細胞株(HepG2)の細胞賦活活性を示す経口組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、炭、カフェイン及び中鎖脂肪酸トリグリセリドを所定条件で配合することにより、HepG2の細胞賦活活性が得られることを見いだし、本発明を完成するに至った。また、炭、カフェイン及び中鎖脂肪酸トリグリセリドに、さらに特定の素材を配合することにより、特定の素材を配合しない場合よりも高い細胞賦活活性が得られることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、以下のとおりのものである。
[1]炭、カフェイン、及び中鎖脂肪酸トリグリセリドを含有し、
前記中鎖脂肪酸トリグリセリドの含有量が0.1~5.0質量%であることを特徴とする経口組成物。
[2]炭、カフェイン、及び中鎖脂肪酸トリグリセリドを含有し、
前記中鎖脂肪酸とカフェインとの配合質量比が、1:0.1~10であることを特徴とする経口組成物。
[3]炭、カフェイン、及び中鎖脂肪酸トリグリセリドを含有し、
さらに、γ-アミノ酪酸、ターミナリア、葛、及びブラックジンジャーからなる群から選ばれる1種以上の素材を含有することを特徴とする経口組成物。
[4]さらに、食物繊維を含有することを特徴とする[1]~[3]のいずれかに記載の経口組成物。
[5]食物繊維の含有量が、0.5~30.0質量%であることを特徴とする[4]に記載の経口組成物。
【発明の効果】
【0008】
本発明の経口組成物は、HepG2の細胞賦活活性を示し、抗肥満効果(ダイエット効果)を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の経口組成物のヒト肝癌由来細胞株(HepG2)の細胞賦活活性を示す図である。
【
図2】本発明の経口組成物の官能評価の結果を示す図である。
【
図3】本発明の経口組成物の官能評価の結果を示す図である。
【
図4】本発明の経口組成物の官能評価の結果を示す図である。
【
図5】本発明の経口組成物の官能評価の結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の経口組成物(第1~第3の経口組成物)は、炭、カフェイン、及び中鎖脂肪酸トリグリセリドを含有する。以下、炭、カフェイン、及び中鎖脂肪酸トリグリセリドをあわせて、本発明の主要成分ということがある。
【0011】
本発明の第1の経口組成物は、組成物中の中鎖脂肪酸トリグリセリド(以下、MCTということがある)の含有量が0.1~5.0質量%の組成物である。このようなMCT配合量であることにより、ヒト肝癌由来細胞株(HepG2)の細胞賦活活性を得ることができる。肝臓は、中性脂肪やコレステロール等の代謝において中心的な役割を担う臓器であり、安静時の代謝量が筋肉に次いで2番目に多いことから、HepG2の細胞賦活活性が高ければ、代謝促進作用が強いため、抗肥満効果が得られる。ここで、本件明細書における抗肥満とは、肥満の予防、肥満の改善を含む。また、本発明の第1の経口組成物は、良好な呈味を示す。
第1の経口組成物中のMCT配合量としては、0.2~4.5質量%であることが好ましく、0.35~4.25質量%であることがより好ましく、0.5~4.0質量%であることがさらに好ましい。
なお、第2及び第3の経口組成物においても、上記MCT配合量が好ましい配合量となる。
【0012】
本発明の第2の経口組成物は、MCTとカフェインとの配合質量比が、1:0.1~10の組成物である。このような配合比であることにより、HepG2の細胞賦活活性を得ることができ、抗肥満効果が得られる。また、良好な呈味を示す。
第2の経口組成物におけるMCTとカフェインとの配合質量比としては、1:0.1~5であることが好ましく、1:0.1~1であることがより好ましい。
なお、第1及び第3の経口組成物においても、上記MCTとカフェインとの配合質量比が好ましい配合比となる。
【0013】
本発明の第3の経口組成物は、本発明の主要成分に加えて、さらに、γ―アミノ酪酸、ターミナリア、葛、及びブラックジンジャーからなる群から選ばれる1種以上の素材(他素材)を含有する組成物である。他素材は、1種単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。本発明の主要成分に対してこのような他素材をさらに配合することにより、HepG2の細胞賦活活性を向上させることができ、抗肥満効果が得られる。また、良好な呈味を示す。
【0014】
本発明の経口組成物は、さらに食物繊維を含有することが好ましい。食物繊維を含有することにより、細胞賦活活性を向上させることができ、より高い抗肥満効果が得られる。また、より良好な呈味を示す。
経口組成物中の食物繊維の含有量は、0.5~30.0質量%であることが好ましく、1.0~25.0質量%であることがより好ましく、5.0~23.0質量%であることがさらに好ましい。
【0015】
以下、本発明の経口組成物に含まれる各素材について説明する。
[炭]
本発明における炭としては、食用のものであれば特に制限されるものではなく、籾殻炭、椰子殻炭、胡桃殻炭、木炭、竹炭、純炭、活性炭等を挙げることができる。これらの炭は、例えば、籾殻、椰子殻、胡桃殻や、松、梅、樫、楢などの樹木、竹、これらから抽出されたセルロース、合成されたセルロースを焼成して炭化し粉砕することにより、得ることができる。炭としては、籾殻炭、椰子殻炭、木炭、竹炭、純炭、活性炭が好ましく、籾殻炭、椰子殻炭、木炭、竹炭、活性炭がより好ましく、木炭、竹炭、活性炭が最も好ましい。活性炭は、籾殻や椰子殻、木、竹等の炭素質物質を熱処理によって炭化させ、賦活した多孔性の炭素物質である。また、木炭においては、松、梅を用いたものが好ましい。
【0016】
[カフェイン]
カフェインは、プリン環を有するアルカロイドの一種である。本発明におけるカフェインとしては、食用のものであれば特に制限されるものではなく、コーヒー豆や茶葉等カフェインを含む食材の粉砕物、抽出物等を挙げることができる。粉砕物としては、乾燥粉末、細片化物及びその乾燥物(乾燥細片化物)等を挙げることができる。抽出物は、液状であってもよいが、ペースト状や乾燥粉末(エキス末)として用いることもできる。抽出物は、適当な溶媒を用いて抽出することで得ることができ、溶媒としては、例えば、水、エタノール、含水エタノールを用いることができる。各溶媒の温度は、常温~沸点以下で適宜設定することができる。
【0017】
[中鎖脂肪酸トリグリセリド]
中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT:Medium Chain Triglyceride)は、脂肪酸及びグリセロールのトリエステルであり、一般的な油よりも消化、吸収が速く、エネルギーに変換されやすい油である。中鎖脂肪酸トリグリセリドの脂肪酸としては、炭素数6~14の脂肪酸が好ましく、炭素数8~12の脂肪酸がより好ましい。具体的に、脂肪酸としては、炭素数6のカプロン酸、炭素数8のカプリル酸、炭素数10のカプリン酸、炭素数12のラウリン酸、炭素数14のミリスチン酸等を挙げることができる。具体的に、中鎖脂肪酸トリグリセリドとしては、パーム、ヤシ、菜種等由来のものを用いることができる。
【0018】
[葛]
葛は、マメ科クズ属のつる性の多年草植物であり、本発明においては、葛花を用いることが好ましい。葛花としては、蕾から全開した花までのいずれの過程で採取したものを用いてもよく、各過程で採取したものを混合して用いることもできる。葛の種類としては、特に制限はないが、プエラリア・トムソニイ(Pueraria thomsonii)、プエラリア・ロバータ(Pueraria lobata)、プエラリア・スンバーギアナ(Pueraria thunbergiana)等を例示することができ、入手のしやすさや各種効果の観点から、プエラリア・トムソニイ(Pueraria thomsonii)が好ましい。
【0019】
具体的に、葛としては、葛花等の粉砕物、抽出物等を挙げることができる。粉砕物としては、乾燥粉末、細片化物及びその乾燥物(乾燥細片化物)等を挙げることができる。抽出物は、液状であってもよいが、ペースト状や乾燥粉末(エキス末)として用いることもできる。抽出物は、適当な溶媒を用いて抽出することで得ることができ、溶媒としては、例えば、水、エタノール、含水エタノールを用いることができる。各溶媒の温度は、常温~沸点以下で適宜設定することができる。好ましい溶媒としては、有効成分を効率よく抽出できる点から、熱水が挙げられる。
【0020】
[γ-アミノ酪酸]
γ-アミノ酪酸(gamma-Aminobutyric acid、以下、「GABA」とも言う)は、生体内でグルタミン酸の脱炭酸によって生成されるアミノ酸の一種であり、哺乳動物の脳や脊髄、植物中に存在する。本発明におけるGABAは、合成品の他、植物から抽出されたものも用いることができる。また、本発明においては、本発明の効果をより享受できる点から、植物から抽出されたものを用いることが好ましい。
【0021】
[ターミナリア]
ターミナリアは、シクンシ科モモタマナ属の広葉樹である。本発明においては、例えば、Terminalia bellirica(belerica)、Terminalia catappa、Terminalia tomentosa、Terminalia citrina、Terminalia phellocarpa、Terminalia copelandii、Terminalia brassi、Terminalia ivorensis、Terminalia superba、Terminalia arjuna、Terminalia chebula等を挙げることができ、これらの中でも、Terminalia bellirica(belerica)、Terminalia chebulaが好ましく、Terminaria belliricca(belerica)が特に好ましい。また、本発明においては、本発明の効果をより享受できる点から、ターミナリアの果実を用いることが好ましい。
【0022】
具体的に、ターミナリアとしては、ターミナリアの果実等の粉砕物、抽出物等を挙げることができる。粉砕物としては、乾燥粉末、細片化物及びその乾燥物(乾燥細片化物)等を挙げることができる。抽出物は、液状であってもよいが、ペースト状や乾燥粉末(エキス末)として用いることもできる。抽出物は、適当な溶媒を用いて抽出することで得ることができ、溶媒としては、例えば、水、エタノール、含水エタノールを用いることができる。各溶媒の温度は、常温~沸点以下で適宜設定することができる。好ましい溶媒としては、有効成分を効率よく抽出できる点から、熱水が挙げられる。
【0023】
[ブラックジンジャー]
ブラックジンジャーは、学名をKaempferia Parvifloraといい、東南アジアに自生するショウガ科バンウコン属の植物である。本発明においては、本発明の効果をより享受できる点から、根茎が好ましい。
【0024】
具体的に、ブラックジンジャーとしては、ブラックジンジャーの根茎等の粉砕物、抽出物等を挙げることができる。粉砕物としては、乾燥粉末、細片化物及びその乾燥物(乾燥細片化物)等を挙げることができる。抽出物は、液状であってもよいが、ペースト状や乾燥粉末(エキス末)として用いることもできる。抽出物は、適当な溶媒を用いて抽出することで得ることができ、溶媒としては、例えば、水、エタノール、含水エタノールを用いることができる。各溶媒の温度は、常温~沸点以下で適宜設定することができる。好ましい溶媒としては、有効成分を効率よく抽出できる点から、含水エタノールが挙げられる。
【0025】
[食物繊維]
本発明における食物繊維としては、食物に含まれる人の消化酵素によって消化されない難消化成分(食物繊維)のうち、水溶性のものが好ましい。本発明における水溶性食物繊維としては、特に限定されず、例えば、難消化性デキストリン、ペクチン、グアーガム、グアーガム分解物(グアー豆酵素分解物)、アガロース、グルコマンナン、ポリデキストロース、アルギン酸及びその塩、βグルカン、イヌリン、カラギーナン、フコイダン、及びこれらの誘導体等を挙げることができる。本発明においては、本発明の効果をより享受できる点から、難消化性デキストリンが好ましい。
【0026】
本発明の経口組成物は、一般食品の他、例えば、医薬品(医薬部外品を含む)や、特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品等の所定機関より効能の表示が認められた機能性食品などのいわゆる健康食品等として用いることができる。
【0027】
すなわち、本発明の経口組成物は、細胞賦活活性を有し、抗肥満に有効であることから、抗肥満用組成物として用いることができる。かかる抗肥満用組成物としては、本発明の主要成分(炭、カフェイン、及びMCT)を含有し、抗肥満機能が発揮される点において、製品として他の製品と区別することができるものであれば特に制限されるものではなく、例えば、本発明に係る製品の本体、包装、説明書、宣伝物(広告媒体)のいずれかに抗肥満の機能を表示したものが本発明の範囲に含まれる。具体的には、例えば、「代謝促進」、「体脂肪が気になる方へ」、「肥満気味な方へ」、「体重(BMI)が気になる方へ」、「体重やお腹の脂肪(内臓脂肪と皮下脂肪)を減らす」、「ウエスト周囲長を減らす」、「ダイエットをサポート」、「スタイルが気になる人に」等を表示したものを例示することができる。
【0028】
なお、本発明の経口組成物は、本発明の主要成分が有効成分として表示されているものであってもよいが、本発明の主要成分が有効成分として表示されているものに限られない。例えば、有効成分が表示されていないものであってもよい。また、一般的な食品であっても、機能・用途を示唆して製造販売されるものは本発明の範囲に含まれる。例えば、摂取した人の個人的感想として機能・用途に言及する体験談をホームページ等に掲載して販売される食品が挙げられる。
【0029】
本発明の経口組成物の形態は特に限定されず、任意の形態とすることができる。例えば、粉末状、粒状、顆粒状、錠状、液状、ジェル状、ペースト状、ハードカプセルやソフトカプセルのようなカプセル状、カプレット状、タブレット状、ゲル状、ゼリー状、グミ状、ウエハース状、ビスケット状、クッキー状、ケーキ状、チュアブル状、シロップ状、スティック状などの各形態が挙げられる。また、使用する形態に合わせて、種々の賦形剤、結合剤、滑沢剤、安定剤、希釈剤、増量剤、増粘剤、ゲル化剤、乳化剤、着色料、香料、甘味料、添加剤などを配合することができる。
【0030】
本発明の経口組成物は、摂取が容易である点から、粉末状、顆粒状、錠状、カプセル状、液状が好ましく、粉末状、顆粒状、錠状、カプセル状がより好ましい。ここで、顆粒状とは粉末を造粒したものをいい、直接飲用してもよく、水などの液体に溶かして飲用してもよい。
【0031】
本発明の経口組成物における炭の含有量としては、その効果の奏する範囲で適宜含有させればよい。例えば、本発明の経口組成物中に、乾物換算で、0.01~10質量%含有させることができ、0.1~7質量%含有させることが好ましく、0.5~5質量%含有させることがより好ましい。
【0032】
本発明の経口組成物におけるカフェインの含有量としては、その効果の奏する範囲で適宜含有させればよい。例えば、本発明の経口組成物中に、乾物換算で、0.0001~9質量%含有させることができ、0.05~6質量%含有させることが好ましく、0.5~3質量%含有させることがより好ましい。
【0033】
炭とカフェインの配合質量比としては、例えば、1:0.01~10であり、1:0.05~7であることが好ましく、1:0.1~4であることがより好ましい。このような配合質量比であることにより、より高い効果を得ることができる。
【0034】
本発明における組成物の摂取量としては特に制限はないが、より高い効果を得ることができる点から、本発明の主要成分の摂取量が、成人の1日当たり、25mg以上となるように摂取することが好ましく、100mg以上となるように摂取することがより好ましく、1000mg以上となるように摂取することがさらに好ましい。その上限は、例えば、10000mgであり、好ましくは5000mgであり、より好ましくは2500mgである。
【0035】
本発明の経口組成物は、本発明の主要成分の1日の摂取量が上記摂取量となるように適宜設計すればよく、1回で上記摂取量を摂取する態様であってもよいし、複数回に分けて上記摂取量を摂取する態様であってもよい。すなわち、例えば、1つの包装容器に、又は2~4の複数の包装容器に分けて、1日分として収容することができる。
【0036】
本発明の経口組成物は、必要に応じて、他の成分を添加して、公知の方法によって製造することができる。
【実施例】
【0037】
以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0038】
<試験1 細胞賦活活性の評価>
ヒト肝癌由来細胞株(HepG2)の細胞賦活活性について評価した。HepG2は、脂質代謝を評価するモデル細胞であり、肝臓の代替として長年にわたり使用されている。HepG2を用いた評価は動物試験の代替としても汎用されており、動物試験代替法としての有効性も評価されている。肝臓は、中性脂肪やコレステロール等の代謝において中心的な役割を担う臓器であり、安静時の代謝量が筋肉に次いで2番目に多いことから、HepG2の細胞賦活活性が高ければ、代謝促進作用が強く、抗肥満効果が得られる。
【0039】
[被験物質]
炭としては、赤松原木又は竹を炭化し粉末化した赤松炭粉末及び竹炭粉末を用いた。
【0040】
カフェインとしては、市販されているカフェイン約3.5%を含有する顆粒状のインスタントコーヒー(コーヒー由来A)、ウーロン茶を含水アルコール抽出し、濃縮したものを乾燥し、粉末状にしたカフェインを約5%含有するウーロン茶加工粉末(ウーロン茶由来)、及び、カフェインを約0.3%含有するカフェインレスインスタントコーヒー(コーヒー由来B)を用いた。
【0041】
MCTとしては、パーム、ヤシ、菜種等に由来する中鎖脂肪酸トリグリセリドを75%含有し、かつ、炭素数8及び炭素数10の中鎖脂肪酸トリグリセリドの含有量が97%以上であるMCT粉末を用いた。
【0042】
葛としては、葛(Pueraria thomsonii)の花を熱水抽出したエキスを乾燥した粉末を用いた。
【0043】
GABAとしては、大麦をアルコール発酵して得られたエキスを乾燥した粉末(GABA90%以上含有)を用いた。
【0044】
ターミナリアとしては、ターミナリアベリリカの果実を熱水抽出したエキスを乾燥した粉末を用いた。
【0045】
ブラックジンジャーとしては、ブラックジンジャー(Kaempferia Parviflora)根茎部の乾燥物を含水エタノール抽出したエキスを乾燥した粉末を用いた。
【0046】
食物繊維としては、パイナップル由来の難消化性デキストリンを用いた。
【0047】
賦形剤としては、デキストリンを用いた。
【0048】
[細胞培養]
37℃、5容量%CO2インキュベーター内で、75cm2フラスコを用いて、ヒト肝癌由来細胞株(HepG2)を10%ウシ胎児血清(FBS)含有DMEM培地で培養した。次いで、トリプシン処理により浮遊させた細胞を、75cm2フラスコから96ウェルプレートの各ウェルに2.0×104cells/wellの細胞密度で播種し、37℃、5容量%CO2インキュベーター内で、24時間前培養した。各ウェルより培地を除去後、所定濃度に調製した被験物質含有培地を100μL/well添加し、5容量%CO2インキュベーター内で24時間培養した。各被験物質の配合は、表1及び表2のとおりであり、被験物質の培地中の合計濃度は5μg/mLとした。
【0049】
【0050】
【0051】
[細胞賦活活性]
24時間培養後、培地を除去し、無血清DMEMで30容量倍に希釈したCell Counting Kit-8(同仁化学製)を各ウェルに150μLずつ添加した。37℃、5容量%CO2インキュベーター内に静置し適度に発色させた後、450nmにおける吸光度を測定した。
得られたデータをもとに、「% of control」を算出した。
【0052】
% of control
= (Data sample- Data blank)/( Data control- Data blank)×100
【0053】
図1にその結果を示す。
図1に示すように、本発明の主要成分(炭、カフェイン、MCT)を配合した場合に、コントロールよりも高い細胞賦活活性が認められた。また、本発明の主要成分に、他素材を添加した場合にも、コントロールよりも高い細胞賦活活性が認められた。さらに、食物繊維を添加すると、全ての処理区において、添加していない処理区よりも細胞賦活活性が向上した。
以上より、本発明の経口組成物は、高い細胞賦活活性を有することが明らかとなり、これにより代謝促進作用が向上することから、抗肥満効果発揮される。
【0054】
<試験2 官能試験>
本発明の経口組成物について、呈味を評価した。
【0055】
[被験物質]
炭として、赤松炭粉末及び竹炭粉末に加えて、梅種原木を炭化し、粉末化した梅種炭粉末を用いたこと以外は、試験1と同様のものを用いた。
また、賦形剤として用いた市販されているデキストリンは、官能試験の評価項目に影響しないことを確認した。
以下の表3~6の含有量となるように各原料を配合して粉末試料を調製し、各粉末試料3gを水100mLと混合して、各試験サンプルを得た。
【0056】
[試験方法]
被験者として、官能評価の訓練を受けた、健常な成人2名を無作為に選出した。これらの被験者2名に対し、各比較例を基準とし、舌触りの良さ、のどごしの良さ及びコーヒー又はウーロン茶の風味の良さについて、-10~基準(0)~10の範囲で点数をつけた。その平均点を算出し、官能評価を行った。
【0057】
【0058】
【0059】
【0060】
【0061】
【0062】
表3~6及び
図2~5に示すように、本発明の経口組成物は、舌触りの良さ、のどごしの良さ及びコーヒー又はウーロン茶の風味の良さの全ての点において、基準となる比較例よりも高い評価であった。
【0063】
[配合実施例1]
(錠剤の製造)
下記成分からなる錠剤(300mg)を製造した。本錠剤は、本発明の効果を奏する。
赤松炭 0.5質量%
カフェイン 0.01質量%
MCT 0.25質量%
難消化性デキストリン 0.1質量%
ブラックジンジャー抽出物 20.0質量%
でんぷん 残部
【0064】
[配合実施例2]
(顆粒剤の製造)
下記成分からなる顆粒剤(4000mg)を製造した。本顆粒剤は、本発明の効果を奏する。
竹炭 3.0質量%
インスタントコーヒー 50.0質量%(カフェインとして 1.5質量%)
MCT 2.5質量%
水溶性食物繊維 20.0質量%
トレハロース 1.0質量%
デキストリン 残量
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明の経口組成物は、健康食品等として用いることができることから、産業上有用である。
【要約】
【課題】抗肥満効果(ダイエット効果)をもたらす、ヒト肝癌由来細胞株(HepG2)の細胞賦活活性を示す組成物を提供すること。
【解決手段】炭、カフェイン、及び中鎖脂肪酸トリグリセリドを含有し、前記中鎖脂肪酸トリグリセリドの含有量が0.1~5.0質量%である経口組成物である。
【選択図】
図1