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  • 特許-三次元ディスプレイ装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-09
(45)【発行日】2023-02-17
(54)【発明の名称】三次元ディスプレイ装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 33/14 20060101AFI20230210BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20230210BHJP
   H05B 33/06 20060101ALI20230210BHJP
   H05B 33/22 20060101ALI20230210BHJP
   H05B 33/26 20060101ALI20230210BHJP
【FI】
H05B33/14 Z
G09F9/30 365
H05B33/06
H05B33/22 Z
H05B33/26 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018230457
(22)【出願日】2018-12-07
(65)【公開番号】P2019117789
(43)【公開日】2019-07-18
【審査請求日】2021-07-21
(31)【優先権主張番号】P 2017234936
(32)【優先日】2017-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】517428366
【氏名又は名称】株式会社テイデック
(74)【代理人】
【識別番号】100121658
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 昌義
(72)【発明者】
【氏名】岡本 隆太郎
【審査官】辻本 寛司
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-333438(JP,A)
【文献】特開2004-226736(JP,A)
【文献】特開2002-287668(JP,A)
【文献】特開2007-199427(JP,A)
【文献】特開平08-286624(JP,A)
【文献】特開2007-187863(JP,A)
【文献】特開2004-163587(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0009222(US,A1)
【文献】特開平08-136884(JP,A)
【文献】特開平08-280044(JP,A)
【文献】特開平07-261677(JP,A)
【文献】特開2004-127657(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 33/14
G09F 9/30
H05B 33/06
H05B 33/22
H05B 33/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無機EL層と、前記無機EL層を挟む一対の電極層と、を備える平面状の発光層を、透明基板を挟み複数平行に積層して多数の面を備える立体形状となった三次元ディスプレイ装置であって、
波長600nmの光が入射された場合に、70%以上透過し、
前記多数の面の一面において、柔軟なプラスチック基板上に電極が形成された接続端子が設けられており、前記接続端子は制御装置に接続されており、
前記発光層と前記透明基板の間に前記接続端子の厚さよりも厚いカバーガラスを挟みながら前記透明基板は積層されており、
前記多数の面のそれぞれが平滑な面となっており、
前記制御装置は、前記発光層及び前記透明基板を支持する支持体内に収納されている三次元ディスプレイ装置。
【請求項2】
前記無機EL層と前記電極層の間に、絶縁層を設けてなる請求項1記載の三次元ディスプレイ装置。
【請求項3】
前記透明基板の厚さは、10μm以上5mm以下の範囲にあり、前記透明基板は3層以上ある請求項1記載の三次元ディスプレイ装置。
【請求項4】
前記一対の電極層は、それぞれ、帯状の電極を複数並列に配置する一方、他方の電極層と延伸方向が略直行する構造となり、それぞれの交差により重畳する部分を画素として用いるパッシブ型表示装置である請求項1記載の三次元ディスプレイ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は三次元ディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在普及しているテレビやパソコンのモニタ等のディスプレイ装置は、二次元的に画像を表示するものである。
【0003】
しかしながら一方で、立体物を立体物としてそのまま表示させようとする三次元ディスプレイ装置があれば好ましいと考えられている。このような三次元ディスプレイ装置が実現されれば、表示物に対して観測者は視点を変えるだけでその物から異なる情報を得ることができる。
【0004】
三次元ディスプレイ装置に関しては、例えば下記特許文献1に、透明な表示装置を駆動機構によって回転させることで立体像を表示しようとする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第4296918号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献に記載の技術は表示装置を回転させて観測者の目の分解能等と同期をとる等、高度な制御が必要である。またこのような表示装置の場合、残像が生じてしまうといった課題が残る。
【0007】
そこで、本発明は上記課題を鑑み、より簡便な構成で信頼性の高い三次元ディスプレイ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する本発明の一観点に係る三次元ディスプレイ装置は、無機EL層と、無機EL層を挟む一対の電極層と、を備える平面状の発光層を、透明基板を挟み複数平行に積層してなるものである。
【発明の効果】
【0009】
以上、本発明によって、より簡便な構成で信頼性の高い三次元ディスプレイ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態に係る三次元ディスプレイ装置の概略を示す図である。
図2】実施形態に係る三次元ディスプレイ装置の発光層の概略を示す図である。
図3】実施形態に係る三次元ディスプレイ装置の下部の概略断面図である。
図4】実施形態の他の例に係る三次元ディスプレイ装置の接続端子近傍の概略断面図である。
図5】実施形態の他の例に係る三次元ディスプレイ装置の接続端子近傍の概略断面図である。
図6】実施形態の他の例に係る三次元ディスプレイ装置の発光層の概略を示す図である。
図7】実施形態の他の例に係る三次元ディスプレイ装置の実際に作製したものの例を示す写真図である。
図8】実施形態の他の例に係る三次元ディスプレイ装置の実際に作製したものの例を示す写真図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は多くの異なる形態による実施が可能であり、以下に示す実施形態、実施例における具体的な例示にのみ限定されるわけではない。
【0012】
(三次元ディスプレイ装置)
図1は、本実施形態に係る三次元ディスプレイ装置(以下「本装置」という。)1の機能ブロックを示す図であり、図2は、このうちの発光層2のイメージを示す図である。
【0013】
これらの図で示すように、本装置1は、無機EL層21と、無機EL層21を挟む一対の絶縁層22と、これらを挟む一対の電極層23と、を備える平面状の発光層2を、透明基板3を挟み複数平行に積層してなる三次元ディスプレイ装置である。また、本装置1には、この一対の電極層22に発光を制御するための電圧を供給する制御装置4が接続されており、制御装置4は、支持台5に収納されている。
【0014】
本装置1における発光層2は、画像を表示させるための主要な部材であり、上記の通り、無機EL層21と、無機EL層21を挟む一対の絶縁層22、これらを挟む一対の電極層23とを備えている。
【0015】
本装置1の発光層2における無機EL層21は、電圧を印加しない場合においては透明な状態を維持し、電圧を印加した状態において発光を行うことのできる無機エレクトロクロミック材料を含む層である。無機EL層の材料としては、この機能を有する限りにおいて限定されるわけではないが、例えばZnSにTbをドープしたZnS:Tb、MnをドープしたZnS等を例示することができるがこれに限定されない。
【0016】
また、本装置1の発光層2における一対の絶縁層22は、一対の電極間を絶縁するために用いられるものである。絶縁膜22としては特に限定されるわけではないが、透明性を確保しておくことが必要であることが好ましく、例えばAl、TiO、SiOの少なくともいずれかを含むもの等を例示することができる。
【0017】
また、本装置1の発光層2における一対の電極層23は、上記の記載から明らかなように、制御装置からの信号に基づき、無機EL層21に電圧を供給するための部材である。一対の電極層のそれぞれの材質は、透明である限りにおいて限定されず、例えばITO、IZO等を例示することができる。
【0018】
また本装置1において一対の電極層23のそれぞれは、細長い電極が間隙をおいて略平行に複数配置された構成となっており、これら細長い電極の延伸方向が無機EL層を挟んだ他方の電極層の延伸方向と略垂直になっているいわゆるパッシブ型であることが好ましい。このようにすることで複雑な構成を採用することなくディスプレイ全体の透明度を高く維持することができるといった利点がある。
【0019】
上記の場合においては、交差した電極が重複する領域が画素領域となり、この重複した領域に電圧を印加することでこの領域の無機EL層が発光し、画素の表示が可能となる。
【0020】
また、本装置1において、絶縁層22と電極層23は重複する部分を備えていてもよい。電極層23における電極は、電極間に空隙が設けられているため、この部分が空気層となり、屈折率差を大きくさせ、光の反射等により光の利用効率を下げてしまう場合がある。そのため、電極間の空隙に絶縁層22の絶縁材料を設けることで光の利用効率を上げることが可能となるといった利点がある。
【0021】
また本装置1において複数の発光層2は、上記の通り、透明基板3を挟んで積層されている。ここで透明基板とは絶縁性の基板であって、発光層2の間隔を確実に一定間隔として保持することができるものである。透明基板3の材質としては、特に限定されるわけではないが、例えばガラス基板、透明な樹脂基板であることが好ましいが、ガラス基板であることは強度確保の観点からより好ましい。
【0022】
また、本装置1において透明基板3の厚さとしては適宜調整可能であり限定されるわけではないが、10μm以上5mm以下の範囲であることが好ましく、より好ましくは2mm以下である。この範囲とすることで、無機EL層間を近傍とし、立体的に画素を配置することができるようになる。
【0023】
また、本装置1において「透明」とは、入射された光のうち多くの割合の光を透過させることをいう。本装置1においては、多数の発光層、透明基板を平行に配置するものであるため、一つ一つが高い光透過性を備えており、上記複数の透明基板と組み合わされた状態においても十分な光透過性を備えているものであればよい。この場合、例えば可視領域、その具体的な波長として600nmの光が入射された場合、60%以上透過する状態であることが好ましく、より好ましくは70%、更に好ましくは80%以上である。
【0024】
また、本装置1において、全体の形状は三次元的な形状を備えている限りにおいて限定されるわけではないが、上記の図で示すような立方体であってもよいが、これに限られず多面体であってもよい。また、多面体だけではなく、曲面を備えた多数の面を備える立体形状、例えば円柱形状であってもよい。
【0025】
また、本装置1において、正面(透明基板及び発光層の積層方向から見た面)及び背面は既に平滑な面となっている一方、それ以外の面(側面等)については平滑となっていない場合がある。そのため、本装置1では、観測面となりうる面が平滑となるよう構成されていることが好ましい。このようにすることで、凹凸による光の散乱を抑え、表示をより明確にすることが可能となる。
【0026】
また、本装置1において、三次元ディスプレイとしては、尖った角が存在すると当該面により違和感を感じやすくなる。そのため、本装置1では尖った角部を丸くしておく処理を施しておくことが好ましい。
【0027】
また、本装置1では、多面を備えているが、複数の面に上記発光層の制御装置を接続してしまうと視野が狭くなるといった課題がある。そのため、多数の面のうちの一面において接続端子24が設けられており、この面で接続端子24が制御装置4に接続されていることが好ましい。この場合のイメージ図を図3に示しておく。
【0028】
また、本装置1では、上記制御装置4及び接続端子24を隠しておくことが好ましく、例えば、この発光層及び透明基板(発光部)を支持する支持体5内に収納しておくことが好ましい。このようにすることで、不要な構成をコンパクトにまとめることが可能となる。
【0029】
ところで、本装置1では、上記図で示す通り、多数の基板3を積層することにより三次元ディスプレイ装置を実現している一方で、接続端子24の厚みを無視することができない場合が少なくない。具体的に説明すると、接続端子は、一般に、柔軟なプラスチック基板上に電極が形成されたもので構成されており、プラスチック基板自体に厚みがある。特に、発光層2の厚さに比べて十分に接続端子が厚い場合は工夫が必要となる。このような場合、例えば、接続端子24の厚さ(プラスチック基板の厚さ)よりも厚いカバーガラスを挟んで積層してもよいし、また、図4で示すように、接続端子をスペーサーとしてカバーガラスがない状態で配置してもよいし、更には、図5で示すように、複数の基板を、接続端子が配置される分だけ確保しながら、階段状にずらしながら配置し、この段差部分において接続端子を配置するようにしてもよい。このようにすることで、より多くの基板をより薄い厚さで配置することが可能となりカバーガラスを設けずとも十分な分透過性を確保することができる。
【0030】
また、上記の例の他、本装置1では、更に、図6で示すように、発光層2とこれを支える透明基板3の組をより大きな間隙を設けて積層させるため側面側に(発光層が形成される面に対して垂直な面に沿って)、これら透明基板3間の距離を一定に固定するための補強部材6を備えていることも好ましい。このようにすることで、より少ない数の発光層2及び透明基板3でも解像度を得られれば省電力となり、また、光量の損失を抑えることができる。さらに、接続する接続端子の数を減らすことが可能となり、接続端子に必要な体積分を削減することが可能となる。なお、補強部材6としては、所定の強度を得ることができるものである限りにおいて限定されるわけではないが、金属部材であってもよく、ガラスなどの透明部材であってもよい。特にガラスなどの透明部材を設けることで側面側においても十分な側面表示を得ることが可能となる。なお、本装置1について実際に製作し、その効果を確認した。この作成した装置の写真図を図7、8に示しておく。本図の例では、発光層2及び透明基板3の組を10組として設け、この側面側において補強材により補強した。この結果、枚数が少ない場合であっても十分な三次元的表示を行うことができていることを確認した。
【0031】
以上、本発明によって、より簡便な構成で信頼性の高い三次元ディスプレイ装置を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は、三次元ディスプレイ装置として産業上の利用可能性がある。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8