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特許7224055マルチプロセスマシン用油圧システム、およびこの油圧システムを使用するマルチプロセスマシン
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  • 特許-マルチプロセスマシン用油圧システム、およびこの油圧システムを使用するマルチプロセスマシン 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-09
(45)【発行日】2023-02-17
(54)【発明の名称】マルチプロセスマシン用油圧システム、およびこの油圧システムを使用するマルチプロセスマシン
(51)【国際特許分類】
   F15B 11/028 20060101AFI20230210BHJP
   F15B 11/02 20060101ALI20230210BHJP
   A01G 23/083 20060101ALI20230210BHJP
   A01G 23/087 20060101ALI20230210BHJP
【FI】
F15B11/028 E
F15B11/02 V
F15B11/02 D
A01G23/083
A01G23/087
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020524401
(86)(22)【出願日】2018-11-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-01-21
(86)【国際出願番号】 FI2018050813
(87)【国際公開番号】W WO2019086769
(87)【国際公開日】2019-05-09
【審査請求日】2021-11-01
(31)【優先権主張番号】20175989
(32)【優先日】2017-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(73)【特許権者】
【識別番号】391065138
【氏名又は名称】ラウリ カレルボ ケトーネン
【氏名又は名称原語表記】LAURI KALERVO KETONEN
【住所又は居所原語表記】Huvilakatu 15,FI-64100 Kristiinankaupunki,Finland
(74)【代理人】
【識別番号】100079980
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 伸行
(74)【代理人】
【識別番号】100167139
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ラウリ カレルボ ケトーネン
【審査官】所村 陽一
(56)【参考文献】
【文献】特開昭52-062798(JP,A)
【文献】特開2007-247727(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0196582(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0125447(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F15B 11/028
F15B 11/02
A01G 23/083
A01G 23/087
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マシン本体(40)、少なくとも一つのブーム(53)を有するブーム部(50)、および樹木を伐採したうえでさらに樹木を処理するジョイント(57)を介して前記ブーム(53)に懸架される丸太処理装置(30)を有するマルチプロセスマシン用の油圧システムであって
この丸太処理装置(30)が、
前記丸太処理装置(30)を回転させる回転体(56);
懸架装置、そのアクチュエータ部および油圧モーター(32)を備えた丸太(18)供給装置(38)を有する前記丸太処理装置(30)のフレームを有し、そして前記油圧システムが、
前記マシン本体(40)上の油圧ポンプ(11);
前記油圧ポンプ(11)から前記丸太処理装置(30)に媒体を供給する専用弁部(12);
圧力(P)側およびタンク(T)側に個別の弁チャネルを有し、前記マシン本体(40)の専用弁部(12)から前記丸太処理装置(30)に至る油圧ライン(26)および戻りライン(29);
前記供給装置(38)を稼働させる少なくとも一つの前記油圧モーター(32);
システム内に設置され、前記油圧モーター(32)を使用して瞬間的に出力を上げる少なくとも一つの圧器(21)を有する油圧システムにおいて、
前記丸太処理装置内に専用供給弁(33)、供給ライン(A/B)および戻りライン(B/A)を有し、前記専用供給弁(33)は前記油圧ライン(26)および前記戻りライン(29)に接続され、前記油圧モーター(32)に媒体を供給する供給ライン(A/B)および前記油圧モーター(32)から媒体を戻す戻りライン(B/A)を作動させ、
前記圧器(21)として、それぞれが異なるプリチャージ圧力を有する、少なくとも2つの圧器(211~214)を使用し、
前記油圧システムが、主にソーイングおよび丸太供給ならびにこれらの補助工程を行う、前記圧器の蓄圧を行うパルス動作論理制御を有し、前記圧器を丸太供給の改善のみのために放圧し、かつ前記油圧システムが前記圧器から前記油圧モーターに至る直接的な供給ラインになり、
前記システムがさらに、
前記ポンプ(11)から前記圧器に至る第1補助供給ラインであって、前記ポンプ(11)と前記専用弁部(12)との間に接続される第1端部を有し、第1制御弁(23)のみを有する直線状ラインである第1補助供給ライン、および
前記直接的な供給ラインが前記圧器(21)から直接前記油圧モーター(32)の順方向側に至り、前記圧器(21)の圧力を直接前記モーターに供給する第2制御弁(24)を有する第2補助供給ライン(25)を有することを特徴とするマルチ油圧システム。
【請求項2】
前記圧器(21)を前記マシン本体(40)に設ける請求項1に記載のマルチプロセスマシン用油圧システム。
【請求項3】
前記圧器(21)を前記ブーム部(50)に設ける請求項1に記載のマルチプロセスマシン用油圧システム。
【請求項4】
前記圧器の平均プリチャージ圧力が運転圧力の40%~60%ある請求項3に記載のマルチプロセスマシン用油圧システム。
【請求項5】
前記圧器(211~214)の異なるプリチャージ圧力範囲が、稼働圧力の8%~16%ある請求項3または4に記載のマルチプロセスマシン用油圧システム。
【請求項6】
前記第1補助供給ライン(14)の前記制御弁(23)が、選択的出力で前記圧器(21)に圧を行う所謂可変流れ制御弁または比例弁である請求項1~5のいずれか1項に記載のマルチプロセスマシン用油圧システム。
【請求項7】
選択されたサイクルにおける部分的出力で比例制御弁(24)を制御する論理制御を行う請求項6に記載のマルチプロセスマシン用油圧システム。
【請求項8】
以下の接続部:前記ポンプからの圧接続部(281)、モーターへの供給接続部(282)、前記タンク(T)への放圧接続部(283)、および圧バッテリー(284)への接続部を有する共通ベースプレート(28)に前記第1補助供給ラインの前記弁、前記制御弁(24)および前記圧バッテリーの放圧弁を設ける請求項1~7のいずれか1項に記載のマルチプロセスマシン用油圧システム。
【請求項9】
前記の第2補助供給ライン(25)が、圧力が前記圧器(21)の方に逃げ出ることを防止する一方向弁(31)を有する請求項1~8のいずれか1項に記載のマルチプロセスマシン用油圧システム。
【請求項10】
マシン本体(40)、少なくとも一つのブーム(53)を備えたブーム部(50)および樹木を伐採し、さらにこの樹木を処理するための、ジョイント(57)を介して前記ブーム(53)に懸架する丸太処理装置(30)を有するマルチプロセスマシンにおいて、請求項1~9のいずれか1項に記載の油圧システムを有するマルチプロセスマシン。
【請求項11】
前記丸太処理装置(30)に油圧モーター(38)によって駆動されるチェーンソー(42)を設けた請求項10に記載のマルチプロセスマシンにおいて、このチェーンソーのモーター出力が前記供給装置の油圧モーター(32)の出力の70%~100%で、圧器(21)からの出力を追加供給しないマルチプロセスマシン。
【請求項12】
前記マシン本体(40)が、重量が7~10トンの掘削機である請求項10または11に記載のマルチプロセスマシン。
【請求項13】
前記マシン本体の前記モーター出力が、供給モーターの定格出力の80%~120%で、前記圧器を使用しない請求項10~12のいずれか1項に記載のマルチプロセスマシン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文に記載した型式のマルチプロセスマシン用の油圧システム、およびこれを使用するマルチプロセスマシンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のマルチプロセスマシンはマシン本体(基礎マシン、base machine)、少なくとも一つのブームを有するブーム部、樹木を伐採し、かつさらに処理する伐採ヘッドを有する。伐採ヘッドはジョイントを介して上記ブームに懸架する。この伐採ヘッドは以下の構成部材を有する。
刈り取り機を回転させる回転部;
懸架装置、アクチュエータ部、および油圧モーターを備えた丸太供給装置を有するアクチュエータ部のフレーム;そして
油圧システムであって、その油圧システムが
マシン本体の油圧ポンプ;
油圧ライン、およびマシン本体から伐採ヘッドの制御弁に至る戻りライン;
丸太送り出し装置を駆動する少なくとも一つの上記油圧モーター;
制御弁によって制御される、上記モーター用の供給ラインおよび戻りライン;および
上記システム内に設けられ、上記モーターを使用して瞬間的な出力を増力する少なくとも一つの圧器を有する油圧システム。
【0003】
伐採ヘッド用としていくつかのマシン本体が存在する。例えば、通常掘削機が使用されている。多くの場合、マシン本体の安定性やブームの使い勝手は十分のものと考えられるが、モーター出力は依然として不十分である。このため、サイズ過剰のマシン本体を選択せざるを得ない。
【0004】
大型の一連の生産マシンの場合、従来公知な伐採ヘッドのマシン本体、即ち掘削機のコストと比較して合理的なものではあるが、マシン本体はサイズ過剰である。多くの場合、本体サイズが大きくなると、本体を作業現場に輸送するさいには、過剰な輸送シャシが必要になる。このような状況は、森林地帯に新たに作業現場を開くさいに発生する。さらに、刈り取り作業を進める間に、新道路を傾斜面に啓く場合には、刈り取り機のシャシは重すぎてはならない。
【0005】
一般的に、樹木を伐採し、大枝を切り取り、切断する“マルチプロセスマシン”なる用語を使用することは可能である。さらに、この伐採ヘッドは丸太を処理するための積み込み機を形成する。用語“刈り取り機”も使用されている。
【0006】
新規に作業現場を開く場合、ツリースタンドは大小の樹木に応じて一般的には可変である。従来、小さな刈り取り機の機台では所謂パルス式ハーベスターを使用することが一般的である。これらは、サイズ過剰の樹木を処理するために一時的に使用されるものであるが、標準的な森林では、これらパルス式ハーベスターは速度が遅い。
【発明の概要】
【0007】
本発明の目的は、特にローラー駆動式かトラック駆動式の伐採ヘッドを増速することである。大枝を切り取る力は速度、特に速度の二乗に大きく依存することを知悉している以上、大枝を切り取る最も簡単な方法は増速することである。実際、重量がほぼ9,000kgの掘削機の場合、可能な大枝を切り取る速度は2.5m/秒である。この速度が過去数年標準であった。長さがほぼ5メートルの丸太を処理することがきわめて多いため、供給/切断の作業サイクルによって圧器の使用に好適なリズムが発生する。
【0008】
本発明の目的は、請求項1に記載の方法を用いると実現できる。
【0009】
圧器はパルス動作が効率的で、これを使用して主に鋸作業(ソーイング)および丸太供給並びにこれらの補助工程を行う。圧器を使用するさいのキーファクターは、丸太供給を改善するためにのみ使用し、圧器から丸太の供給モーターまでの直接的な制御ラインを設けることである。また、対応してポンプから圧器に至る直接的な圧ラインを使用することも有利である。
【0010】
丸太を供給するために必要な付加的なエネルギーは、部分的には供給減速時に得られる。ソーイングを再開すると、エネルギーの一部が圧器に保存されるが、実際のソーイング運転中、ソーイングモーターには考えられるすべてのエネルギーが必要である。ところが、ソーイングが終了し、かつフランジがソーイング室に戻った時には、圧器に再度圧できる。さらに、新しい供給操作を開始する前に、安全性の確保のため遅れが生じ、この間に圧器に圧を行うことができる。実際の作業では、長さが5mの丸太を正常な状態で処理するさいにはほぼ4.6m/秒の供給速度を得ることは可能であった。オイルを追加しない作業と比較した場合(速度2.5m/秒)、運動エネルギーは~3.4倍になる。これは、大枝を切り取る必要がある場合に特に重要である。マシンが小型になる程出力が低下するため、この大枝を切り取る力が明らかなボトルネックになっていた。
【0011】
上記圧器はマシン本体に設けるのが有利であるが、代わりに、一般的には例外としてこの圧器をブーム部に設けることも可能である。
【0012】
上記圧器をそれぞれ異なるプリチャージ圧力をもつ少なくとも2つ(最適には3~6)使用した場合に作業がきわめて円滑になる。
【0013】
圧器の平均プリチャージ圧力は作業(運転)圧力の好ましくは40%~60%、最適には45%~55%で、圧器のプリチャージ圧力範囲は作業圧力の8%~16%、最適には10%~14%である。
【0014】
一般に、上記第2補助制御ラインは油圧モーターを順方向に駆動する側に接続する。
【0015】
第1補助制御ラインの上記制御弁は、所謂可変流れ制御弁または比例弁であり、この弁は圧器に所定の出力を供給する。部分的な出力もいくつかの工程で可能である。このように、マルチプロセスマシンの油圧システムは、選択されたサイクルでの部分出力で比例制御弁を制御する論理制御を有する。
【0016】
チェーンソーモーターの出力については、供給装置の油圧モーターの出力の好ましくは70%~100%であり、圧バッテリーによって付加的な出力を与えない。
【0017】
マシン本体は重量が7~10トンの掘削機であり、モーター出力を約50kW(一般には40kW~55kW)に低く抑えてもほぼ5m/秒の供給速度を実現できる。マシン本体のモーター出力については、供給モーターの定格出力の好ましくは80%~120%であり、圧バッテリーは使用しない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
以下、マルチプロセスマシンにおける本発明に係る懸架装置を示す添付図面を参照して、実施例により本発明を説明する。
【0019】
図1】小型掘削機の文脈における小型のマルチプロセスマシンを示す図である。
図2】マルチプロセスマシンに使用する油圧システムを示す基本図である。
図3】中心油圧システムをより詳細に示す図である。
図4a-4b】 圧バッテリーおよびその格納システムを示す図である。
図5圧バッテリーを制御する弁ブロックを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、マルチプロセスマシンの基本的実施例を示す斜正面図である。マルチプロセスマシン31は全体として、基礎マシン10(マシン本体、本実施例では掘削機50)に設置される作業ブーム部50を有し、このブーム部50はブーム52および53を有し、丸太処理装置30は最後のブーム、即ちブーム53の端に固定する。丸太処理装置30をブーム53にピボット式で取り付けるが、これは例えば、相互に異なる方向を向く2つの横断回転ジョイント、より一般的にはピボット式ジョイントを有する従来技術に従って行う。本実施例では、これをリンク57とも呼ぶ。
【0021】
丸太処理装置30とピボット式ジョイントの間には回転装置56を設けることができ、以下これを“回転体”と呼ぶこともある。丸太処理装置30については、回転装置の回転軸を中心にして制限なく回転装置56によって回転できる。丸太処理装置30のアクチュエータ(例えばソーイングモーター38など)にとって必要な圧力媒体流れについては、マシン本体10の圧力媒体ポンプ11から、ホース、より一般的には圧力媒体ラインを使用する作業ブーム部50を介して供給できる。モーター化マシン本体10はパワー部およびキャビン37を有する。作業ブーム部50は長さが数メートルであり、これによって主に圧力媒体ラインの長さが決まる。マシン本体10には、例えば、図に示すように車輪またはクローラートラック49を設ける。丸太処理装置30はアクチュエータ部44を有し、この基本的な構成成分は切断装置42、供給装置38、および保持クランプとして働く大枝を切り取るブレードを有することも可能である。
【0022】
マシン本体としては、通常のフレームステアリングフォレストマシン(frame-sterred forest machine)を使用することができる。本発明の目的では、マシン本体のモーター出力は驚くほど低くできる。
【0023】
エネルギーの回収は基本的にシンプルであるが、この回収エネルギーの再使用については、正確に行う必要がある。いくつかの実験に基づいて、以下の構成を採用した。
【0024】
図2は、伐採ヘッド30およびマシン本体10を有するマシン全体を示す簡単な油圧図である。以下、本発明の構成のみを説明し、マシンの油圧関係などについては説明を省くことにする。圧器、即ち圧バッテリー21はマシン本体10に設置する。マシン本体10などの専用弁部12の直前で、即ちポンプ11と専用弁部12との間において圧バッテリー21用の油圧オイルを供給する。圧器21の圧力レベルはできるだけ高くするが、当然ながら、保存されたエネルギーの逆流を防止するために、第1アクチュエータには逆止め弁を使用する。ライン中の次の要素は圧用弁23であり、この弁は圧器への流れを阻止する。この圧用弁としては、装填をより正確に制御する比例弁、即ち所謂可変流れ制御弁が好ましい。
【0025】
圧バッテリー21のうちの最小のものの最低圧力は約110バールであるが、システム圧力レベルがこの値以上になり、かつ他の条件が満足された時にのみ圧バッテリーは圧を開始する。即ち、圧バッテリー21の圧は無段階的に制御でき、また所謂急速圧も可能である。圧バッテリー21の場合、異なるプリチャージ圧力を有する2つかそれ以上の圧器を有するのが有利である。実験に基づいて、それぞれが異なるプリチャージ圧力をもつ例えば4つの(一般的には3ないし6)圧器を有する圧バッテリー21を使用する。実施例のマシンの稼働圧力は250バールである。例えば、最少圧力は140バール、次の圧力は150バール、160バールであり、そして最後の圧力は170バールである。このように構成すると、圧器の放圧はスムーズに生じる。一つの圧器を使用した場合、付加的な供給を止めた時に有害な圧力パルスが検出された。重量が約9,000kgの掘削機を使用する場合、圧器211~214の全体容積は約15リットル±3リットルが好適である。圧器の平均プリチャージ圧力は稼働圧力の40%~60%、最適には45%~55%である。圧器(211~214)のプリチャージ圧力は稼働圧力の8%~16%、最適には10%~14%である。
【0026】
油圧オイルは圧バッテリー21から弁24によって専用パイプ25にそって伐採ヘッド30に送られる。この弁24は、圧用弁23および放圧用弁26とともに同じユニット20内に存在する。弁24としては、オン/オフ弁(電源が切られた状態では閉じる)を使用できる。すなわち、この弁は調節する必要がない。図5に示すように、弁23、24および26は、接続部281(チャージ側)、282(供給側)、283(放圧側)、284(圧バッテリー側)を設けた共通ベースプレート28に設置する。さらに、このベースプレート28に必要な圧力センサー15を接続する。
【0027】
圧バッテリーからマシン本体10上の伐採ヘッド30に至るライン26に直接油圧オイルを送る場合、マシン本体10の弁部12内に有害な流れおよび衝撃が発生する。このため、別なパイプ25を使用して、圧バッテリー21から伐採ヘッド30に油圧オイルを直接供給する。当然ながら、緊急時に作業を停止したい場合には、圧バッテリー21からタンク13に放圧するが、これについては同じユニット20のオン/オフ弁26(電源を切った時に開く)を使用して行う。
【0028】
伐採ヘッド30の場合、圧バッテリー21から逆止め弁31を介して供給モーター32の順方向駆動ライン、ここではラインBに直接油圧オイルを送る。換言すると、油圧オイルはモーターラインから圧バッテリー21に向かって流れることはない。油圧オイルがモーターラインに流入するためには、伐採ヘッド30に固有な供給モーター32の供給弁33を稼働させる必要がある。モーター32の稼働後、圧バッテリー21からの付加的なオイルが伐採ヘッド30の専用タンクライン27にそって伐採ヘッド30の専用制御弁33を介してタンク13に戻る。このため、伐採ヘッド30の弁33に対する流れが非対称的になるが、一般的な弁では実際の問題は生じない。
【0029】
この非対称的な流れ、即ち付加的な油圧オイルを有する全体的な流れについては、伐採ヘッド30自身の弁33によって制御する。このようにすると、付加的な油圧オイルを全て正しいタイミングで正確に使用できる。すぐれた制御性が実際の試験で得られている。図2において、弁33のラインBが順方向駆動を示す。
【0030】
さらに、圧バッテリー21を使用した場合、安全性に関するリスクが高くなる。従って、圧バッテリー21の付加的な油圧オイルは、丸太を順方向に供給する場合にのみ使用し、付加的な加圧オイルは順方向供給時にブームパイプ体24にリスクを惹起するに過ぎない。さらに、“誤動作”は順方向である供給方向においてのみ発生し、この場合でも伐採ヘッド30の供給弁33は稼働状態でなければならない。
【0031】
図3に、油圧システムの中心部をより詳細に示す。中央システム20はベースプレート28(図5)に設置された弁部を有する。運転作業からみて必須の構成要素は圧バッテリー21、圧用弁26および放圧用弁24である。図3に、マシン本体からマルチプロセスマシン、一般的には刈り取り機に至る長い個別の圧力ライン25を示す。
【0032】
ポンプから圧器までのほぼ直線状の個別供給ラインを備えた圧システムを有する場合、システムにおいてマシン本体の技術能力を達成できる。システムの圧バッテリー、即ち圧ユニット21については、従って、マシン本体10またはブーム部に設けるのが有利である。図1において、圧バッテリー21の圧器211~214については、キャビン37の後に設けるケーシング218内にそれら自身のユニットとして組み付ける。これら圧器は共通の圧力ライン219に接続する。図4bに、圧バッテリーのケーシング218を示す。このケーシングは、図1においてはキャビンの後に見られる。
【0033】
伐採ヘッドは独立した入力部を有し、直接モーターに至る補助的な制御ラインを有する。圧器を使用すると、上記作業を行うためにきわめて簡単な論理制御のみが必要になる。ソーイングおよび丸太供給作業を有する繰り返しサイクルの時間は約2秒であり、そのうちの0.5秒が丸太供給工程時の放圧時間である。残りの時間で圧器を圧する。
【0034】
この3秒ほどの繰り返しサイクルは、鋸の準備状態をチェックすることによって開始する。
【0035】
ソーイング作業と供給モーター動作との間にある遅延を圧に過不足なく利用できる。マシン本体の全作業時には圧が停止する。
【0036】
本発明に有利なマルチプロセスマシンの場合、チェーンソー42のモーター38の出力は、供給装置の油圧モーター32の全出力の70%~100%であり、圧バッテリー21の付加的な出力は要らない。圧バッテリー21によって供給装置の油圧モーターに与えられる付加的な瞬間的な出力は50%~100%である。
【0037】
図1において、マシン本体(10)としては重量が7~10トンの掘削機を使用できる。驚くべきことに本発明において、掘削機、即ち概してマシン本体のモーター出力は低く45kW~60kWであり、その一方で供給速度は4~5m/秒に達する。
【符号の説明】
【0038】
10:基礎マシン、マシン本体
11:圧力媒体ポンプ
12:弁部
13:タンク
20:ユニット、中央システム
21:圧バッテリー、圧ユニット
23:圧用弁
24:ブームパイプ体、放圧用弁
25:パイプ、圧力ライン
26:放圧用弁、圧用弁
27:専用タンクライン
28:ベースプレート
30:丸太処理装置、伐採ヘッド
31:マルチプロセスマシン、逆止め弁
32:油圧モーター
33:供給弁
37:キャビン
38:ソーイングモーター、供給装置、モーター
42:切断装置、チェーンソー
44:アクチュエータ部
49:クローラートラック
50:掘削機、作業ブーム部
52、53:ブーム
56:回転装置
57:リンク
211~214:圧器
218:ケーシング
219:圧力ライン
281、282、283、284:接続部
B:ライン
図1
図2
図3
図4a
図4b
図5