(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-09
(45)【発行日】2023-02-17
(54)【発明の名称】不用品サイクル管理装置、不用品サイクル管理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20230210BHJP
G06Q 30/0208 20230101ALI20230210BHJP
B09B 5/00 20060101ALI20230210BHJP
【FI】
G06Q50/10
G06Q30/0208
B09B5/00 M ZAB
(21)【出願番号】P 2022084700
(22)【出願日】2022-05-24
【審査請求日】2022-07-29
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522205389
【氏名又は名称】parpar株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000198
【氏名又は名称】弁理士法人湘洋特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】泉 惠介
【審査官】渡邉 加寿磨
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-223814(JP,A)
【文献】特開2003-296478(JP,A)
【文献】特開2007-279948(JP,A)
【文献】特開2020-149257(JP,A)
【文献】特開2016-218654(JP,A)
【文献】特開2022-21651(JP,A)
【文献】特開2019-175447(JP,A)
【文献】特開2013-250750(JP,A)
【文献】特開2001-265912(JP,A)
【文献】特開2003-141244(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
B09B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
提供者から提供された材料を登録する材料登録部と、
登録された前記材料を用いて制作者が制作したプロダクトを登録するプロダクト登録部と、
前記プロダクトの販売額と、前記提供者、及び前記制作者の少なくとも一方に対する還元比率とに基づいて、前記提供者、及び前記制作者の少なくとも一方に還元する対価を決定する対価還元部と、を備え、
前記対価還元部は、前記提供者に対する前記還元比率を、前記提供者から提供された前記材料の前記プロダクトにおける構成比率に基づいて算出する
不用品サイクル管理装置。
【請求項2】
提供者から提供された材料を登録する材料登録部と、
登録された前記材料を用いて制作者が制作したプロダクトを登録するプロダクト登録部と、
前記プロダクトの販売額と、前記提供者、及び前記制作者の少なくとも一方に対する還元比率とに基づいて、前記提供者、及び前記制作者の少なくとも一方に還元する対価を決定する対価還元部と、を備え、
前記対価還元部は、前記制作者に対する前記還元比率を、前記制作者の前記プロダクトの制作における作業比率に基づいて算出する
不用品サイクル管理装置。
【請求項3】
提供者から提供された材料を登録する材料登録部と、
登録された前記材料を用いて制作者が制作したプロダクトを登録するプロダクト登録部と、
前記プロダクトの登録に応じ、前記プロダクトの売買取引に関する取引歴情報を生成する取引管理部と、
前記プロダクトの販売額と、前記提供者、及び前記制作者の少なくとも一方に対する還元比率とに基づいて、前記提供者、及び前記制作者の少なくとも一方に還元する対価を決定する対価還元部と、を備え、
前記取引管理部は、以前に販売された前記プロダクトの転売登録に応じ、前記取引歴情報を生成し、
前記対価還元部は、前記プロダクトの転売時において、前回販売時とは異なる
前記還元比率に基づいて前記対価を決定する
不用品サイクル管理装置。
【請求項4】
請求項
3に記載の不用品サイクル管理装置であって、
同一の
プロダクトに紐づけられた前記取引歴情報を追跡して前記プロダクトの所有者を特定し、所有証明を出力する所有証明部、
を備える不用品サイクル管理装置。
【請求項5】
請求項1
から4のいずれか一項に記載の不用品サイクル管理装置であって、
前記対価還元部は、前記対価としてポイントを還元する
不用品サイクル管理装置。
【請求項6】
請求項
5に記載の不用品サイクル管理装置であって、
前記対価還元部は、前記提供者、及び前記制作者それぞれが指定したタイミングに従って、前記対価としての前記ポイントを還元する
不用品サイクル管理装置。
【請求項7】
請求項
5に記載の不用品サイクル管理装置であって、
前記対価還元部は、前記提供者、及び前記制作者それぞれの指定に従い、前記ポイントを、通貨、電子マネー、暗号通貨、または他のサービスのポイントに変換して所定の口座に出金する
不用品サイクル管理装置。
【請求項8】
不用品サイクル管理装置による不用品サイクル管理方法であって、
提供者から提供された材料を登録する材料登録ステップと、
登録された前記材料を用いて制作者が制作したプロダクトを登録するプロダクト登録ステップと、
前記プロダクトの販売額と、前記提供者、及び前記制作者の少なくとも一方に対する還元比率とに基づいて、前記提供者、及び前記制作者の少なくとも一方に還元する対価を決定する対価還元ステップと、を含み、
前記対価還元ステップは、前記提供者に対する前記還元比率を、前記提供者から提供された前記材料の前記プロダクトにおける構成比率に基づいて算出する
不用品サイクル管理方法。
【請求項9】
コンピュータを、
提供者から提供された材料を登録する材料登録部と、
登録された前記材料を用いて制作者が制作したプロダクトを登録するプロダクト登録部と、
前記プロダクトの販売額と、前記提供者、及び前記制作者の少なくとも一方に対する還元比率とに基づいて、前記提供者、及び前記制作者の少なくとも一方に還元する対価を決定する対価還元部と、して機能させ、
前記対価還元部は、前記提供者に対する前記還元比率を、前記提供者から提供された前記材料の前記プロダクトにおける構成比率に基づいて算出する
プログラム。
【請求項10】
不用品サイクル管理装置による不用品サイクル管理方法であって、
提供者から提供された材料を登録する材料登録ステップと、
登録された前記材料を用いて制作者が制作したプロダクトを登録するプロダクト登録ステップと、
前記プロダクトの販売額と、前記提供者、及び前記制作者の少なくとも一方に対する還元比率とに基づいて、前記提供者、及び前記制作者の少なくとも一方に還元する対価を決定する対価還元ステップと、を含み、
前記対価還元ステップは、前記制作者に対する前記還元比率を、前記制作者の前記プロダクトの制作における作業比率に基づいて算出する
不用品サイクル管理方法。
【請求項11】
コンピュータを、
提供者から提供された材料を登録する材料登録部と、
登録された前記材料を用いて制作者が制作したプロダクトを登録するプロダクト登録部と、
前記プロダクトの販売額と、前記提供者、及び前記制作者の少なくとも一方に対する還元比率とに基づいて、前記提供者、及び前記制作者の少なくとも一方に還元する対価を決定する対価還元部と、して機能させ、
前記対価還元部は、前記制作者に対する前記還元比率を、前記制作者の前記プロダクトの制作における作業比率に基づいて算出する
プログラム。
【請求項12】
不用品サイクル管理装置による不用品サイクル管理方法であって、
提供者から提供された材料を登録する材料登録ステップと、
登録された前記材料を用いて制作者が制作したプロダクトを登録するプロダクト登録ステップと、
前記プロダクトの登録に応じ、前記プロダクトの売買取引に関する取引歴情報を生成する取引管理ステップと、
前記プロダクトの販売額と、前記提供者、及び前記制作者の少なくとも一方に対する還元比率とに基づいて、前記提供者、及び前記制作者の少なくとも一方に還元する対価を決定する対価還元ステップと、を含み、
前記取引管理ステップは、以前に販売された前記プロダクトの転売登録に応じ、前記取引歴情報を生成し、
前記対価還元ステップは、前記プロダクトの転売時において、前回販売時とは異なる前記還元比率に基づいて前記対価を決定する
不用品サイクル管理方法。
【請求項13】
コンピュータを、
提供者から提供された材料を登録する材料登録部と、
登録された前記材料を用いて制作者が制作したプロダクトを登録するプロダクト登録部と、
前記プロダクトの登録に応じ、前記プロダクトの売買取引に関する取引歴情報を生成する取引管理部と、
前記プロダクトの販売額と、前記提供者、及び前記制作者の少なくとも一方に対する還元比率とに基づいて、前記提供者、及び前記制作者の少なくとも一方に還元する対価を決定する対価還元部と、して機能させ、
前記取引管理部は、以前に販売された前記プロダクトの転売登録に応じ、前記取引歴情報を生成し、
前記対価還元部は、前記プロダクトの転売時において、前回販売時とは異なる前記還元比率に基づいて前記対価を決定する
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不用品サイクル管理装置、不用品サイクル管理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
不用品の大量廃棄が社会的な問題となっている。その対策として、従来、不用品は、その一部がリサイクル、リメイク、リユースに供されている。また、昨今においては、不用品に新たな付加価値を持たせるアップサイクルも注目されている。以下、本明細書において、不用品のリサイクル、リメイク、リユース、アップサイクル等を一括して、不用品サイクルと称する。
【0003】
不用品サイクル等に関し、例えば特許文献1には「引越会社が得た引越情報を転出宅最寄りのリサイクルセンター及び転入宅最寄りのリサイクルセンターに伝達し、両地域の販売店が転出宅と転入宅からリサイクル物品を回収することにより、転居者が煩雑な手続きを要することなく、不用品が確実にリサイクルされるようにした転出時のリサイクル方法」が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の技術、町内会等による廃品回収、市中のリサイクルショップ等の存在により、不用品サイクルは徐々に進められている。しかしながら依然として、不用品サイクルに提供されることなく、廃棄されている不用品は多い。その背景には下記の問題が存在する。
【0006】
不用品を提供する側(消費者等)としては、不用品の買取価格が極めて安かったり、場合によっては回収費用が必要であったりするので、不用品を不用品サイクルに提供する動機づけが得られずに、廃棄してしまうことが多い。また、不用品が中古品である場合、基本的には付加価値が付かないため、2次流通、3次流通の際には価格が徐々に下がってしまい、価値が希薄になった段階(価格がつかなくなった段階)で不用品を廃棄してしまうことになる。
【0007】
不用品を利用する側(企業等)としては、回収した不用品に付加価値を持たせることが可能か否かを予測することが難しく、不用品買い取り時の査定にコストがかかり、査定等のコストを含めて採算が合うか否かについても不透明であるため事業化が難しい。
【0008】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、不用品を提供する側と利用する側の双方に動機づけを与え、不用品サイクルを促進する仕組みを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願は、上記課題の少なくとも一部を解決する手段を複数含んでいるが、その例を挙げるならば、以下のとおりである。
【0010】
上記課題を解決すべく、本発明の一態様に係る不用品サイクル管理装置は、提供者から提供された材料を登録する材料登録部と、登録された前記材料を用いて制作者が制作したプロダクトを登録するプロダクト登録部と、前記提供者、及び前記制作者の少なくとも一方に還元する対価を決定する対価還元部と、を備える。
【0011】
前記対価還元部は、前記提供者、及び前記制作者の少なくとも一方に対する還元比率を算出し、前記還元比率に基づいて前記対価を決定することができる。
【0012】
前記対価還元部は、前記提供者に対する前記還元比率を、前記提供者から提供された前記材料の前記プロダクトにおける構成比率に基づいて算出することができる。
【0013】
前記対価還元部は、前記制作者に対する前記還元比率を、前記制作者の前記プロダクトの制作における作業比率に基づいて算出することができる。
【0014】
前記不用品サイクル管理装置は、前記プロダクトの登録に応じ、前記プロダクトの売買取引に関する取引歴情報を生成する取引管理部、を備えることができる。
【0015】
前記取引管理部は、以前に販売された前記プロダクトの転売登録に応じ、前記取引歴情報を生成することができ、前記対価還元部は、前記プロダクトの転売時において、前回販売時とは異なる前記対価を決定することができる。
【0016】
前記不用品サイクル管理装置は、同一のプロジェクトに紐づけられた前記取引歴情報を追跡して前記プロダクトの所有者を特定し、所有証明を出力する所有証明部、を備えることができる。
【0017】
前記対価還元部は、前記対価としてポイントを還元することができる。
【0018】
前記対価還元部は、前記提供者、及び前記制作者それぞれが指定したタイミングに従って、前記対価としての前記ポイントを還元することができる。
【0019】
前記対価還元部は、前記提供者、及び前記制作者それぞれの指定に従い、前記ポイントを、通貨、電子マネー、暗号通貨、または他のサービスのポイントに変換して所定の口座に出金することができる。
【0020】
本発明の他の態様に係る不用品サイクル管理方法は、提供者から提供された材料を登録する材料登録ステップと、登録された前記材料を用いて制作者が制作したプロダクトを登録するプロダクト登録ステップと、前記提供者、及び前記制作者の少なくとも一方に還元する対価を決定する対価還元ステップと、を含む。
【0021】
本発明のさらに他の態様に係るプログラムは、コンピュータを、提供者から提供された材料を登録する材料登録部と、登録された前記材料を用いて制作者が制作したプロダクトを登録するプロダクト登録部と、前記提供者、及び前記制作者の少なくとも一方に還元する対価を決定する対価還元部と、して機能させる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、不用品を提供する側と利用する側の双方に動機づけを与え、不用品サイクルを促進する仕組みを提供できる。
【0023】
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る不用品サイクル管理システムの構成例を示す図である。
【
図2】
図2は、データベースに登録されたユーザ情報、材料情報、プロダクト情報、取引履歴情報、及び還元比率情報のデータ構造の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、ユーザ登録画面の表示例を示す図である。
【
図4】
図4は、ユーザ情報確認画面の表示例を示す図である。
【
図5】
図5は、材料登録画面の表示例を示す図である。
【
図6】
図6は、プロダクト登録画面の表示例を示す図である。
【
図7】
図7は、プロダクト取引管理画面の表示例を示す図である。
【
図8】
図8は、不用品サイクル管理システムによる一連の処理の一例を説明するシーケンス図である。
【
図9】
図9は、プロダクト転売フェーズの一例を説明するシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係る一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、一実施形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合、及び原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではない。また、「Aからなる」、「Aよりなる」、「Aを有する」、「Aを含む」と言うときは、特にその要素のみである旨明示した場合等を除き、それ以外の要素を排除するものでない。同様に、以下の実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合、及び原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含む。
【0026】
<本発明の一実施形態に係る不用品サイクル管理システム10>
図1は、本発明の一実施形態に係る不用品サイクル管理システム10の構成例を示している。
【0027】
不用品サイクル管理システム10は、不用品を提供する側(以下、提供者と称する)と、不用品を材料としてプロダクトを制作する制作者と、当該プロダクトを購入する購入者とをプロダクトIDにより紐づけて一元的に管理し、購入者が支払ったプロダクトの代金を原資として、提供者、及び制作者の少なくとも一方に還元する対価を決定するものである。
【0028】
ここで、プロダクトとは、不用品を材料として再利用した製品の他、例えば、不用品そのもの(不具合箇所を修理したり、汚れた箇所をクリーニングしたりしたものを含む)、不用品を物理的または化学的に分解したり、燃焼したりすることにより得られた熱や電力等の無体物のエネルギを含む。
【0029】
提供者、制作者、及び購入者は、不用品サイクル管理システム10のユーザであり、不用品サイクル管理装置20に対して事前にユーザ登録を行う必要がある。提供者、制作者、及び購入者は、個人でもよいし、企業等の団体であってもよい。さらに、同一のユーザが、提供者、制作者、及び購入者の2者以上を兼ねてもよい。またさらに、ユーザに代わり、不用品サイクル管理システム10の管理者や不用品サイクルのサービス運営者等が各種入力操作を代行してもよい。不用品サイクル管理システム10の管理者や不用品サイクルのサービス運営者等が、提供者、及び制作者の1者以上を兼ねてもよい。
【0030】
不用品サイクル管理システム10は、ネットワーク11を介して接続された不用品サイクル管理装置20、及び端末装置30A,30B,30Cを含む。さらに、不用品サイクル管理システム10は、材料(不用品)やプロダクトを保管する倉庫(不図示)を含んでもよい。
【0031】
ネットワーク11は、インターネット、携帯電話通信網等に代表される双方向通信網である。
【0032】
不用品サイクル管理装置20は、プロダクトの材料となり得る、提供者から提供された不用品に関する情報を管理する。不用品サイクル管理装置20は、不用品(材料)に関する情報を、例えばWebページ等に公開することにより、制作者に対して材料の利用を促すことできる。
【0033】
また、不用品サイクル管理装置20は、不用品(材料)を利用したプロダクトに関する情報を管理する。不用品サイクル管理装置20は、プロダクトに関する情報を、例えばEC(electronic commerce)サイトに公開することにより、プロダクトを販売できる。なお、ECサイトは不用品サイクル管理システム10の運営者が開設してもよいし、既存のECサイトを利用してもよい。
【0034】
不用品サイクル管理装置20は、処理部21、データベース(DB)22、及び通信部23の各機能ブロックを備える。不用品サイクル管理装置20は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等のメモリ、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等のストレージ、キーボード、マウス、タッチパネル等の入力デバイス、ディスプレイ等の出力デバイス、及び、NIC(Network Interface Card)等の通信モジュール(いずれも不図示)を備えるサーバコンピュータ等の一般的なコンピュータからなる。
【0035】
処理部21は、コンピュータのプロセッサにより実現される。処理部21は、操作受付部211、ユーザ登録部212、材料登録部213、プロダクト登録部214、取引管理部215、対価還元部216、及び所有証明部217の各機能ブロックを有する。これらの機能ブロックは、コンピュータのプロセッサがメモリにロードされた所定のプログラムを実行することによって実現される。ただし、これらの機能ブロックの一部または全部を集積回路等によりハードウェアとして実現してもよい。
【0036】
操作受付部211は、提供者が用いる端末装置30A、制作者が用いる端末装置30B、購入者が用いる端末装置30Cに対して、UI(User Interface)画面を表示させ、当該UI画面に入力された情報を受け付ける。
【0037】
ユーザ登録部212は、提供者、制作者、及び購入者がUI画面としてのユーザ登録画面300(
図3)に入力した自身に関する情報を基にしてユーザ情報221を生成し、DB22に登録する。
【0038】
材料登録部213は、UI画面としての材料登録画面500(
図5)に対して提供者が入力した材料(不用品)に関する情報を基にして材料情報222を生成し、DB22に登録する。また、材料登録部213は、制作者に対して材料の利用を促すためのWebページに登録された材料を公開する。
【0039】
プロダクト登録部214は、UI画面としてのプロダクト登録画面600(
図6)に対して制作者が入力したプロダクトに関する情報を基にしてプロダクト情報223を生成し、DB22に登録する。
【0040】
取引管理部215は、制作者によるプロダクトの登録に応じ、プロダクトの売買取引に関する取引履歴情報224を生成してDB22に登録し、当該プロダクトの売買取引の成立に応じて取引履歴情報224を更新する。また、取引管理部215は、プロダクトを購入した購入者によるプロダクトの転売登録に応じ、取引履歴情報224を生成してDB22に登録し、当該プロダクトの転売取引の成立に応じて取引履歴情報224を更新する。また、取引管理部215は、登録(転売登録を含む)されたプロダクトをECサイトに出品し、プロダクトの売買取引(転売を含む)に応じて決済を行う。なお、決済については、外部の決済システムを使用するようにしてもよい。
【0041】
対価還元部216は、制作者によるプロダクトの登録に応じ、プロダクト情報223に含まれる、プロダクトに対する材料(不用品)の構成比率、プロダクトに対する制作者の作業比率等に基づき、プロダクトが販売された際の提供者、及び制作者に対する対価の還元比率を算出し、還元比率情報225としてDB22に登録する。還元比率の詳細については後述する。また、対価還元部216は、プロダクトの売買取引の成立に応じ、プロダクトの販売代金を原資として、提供者、及び制作者の対価を還元する。ただし、プロダクトの売買取引が成立した後、プロダクトの販売代金が着金していない段階(原資がない段階)において、提供者、及び制作者に対価を還元するようにしてもよい。
【0042】
所有証明部217は、同一のプロダクトID(後述)が記録された取引履歴情報224を追跡することによりプロダクトの現在の所有者を特定し、プロダクトの所有者である旨を証明するための書類データ等を作成して出力する。
【0043】
なお、処理部21が有する機能ブロックの一部または全部をAPI(Application Programming Interface)として、他のシステムから呼び出せるようにしてもよい。その場合、後述するユーザ情報221は、当該他のシステムのユーザ情報と紐づけられてもよい。
【0044】
データベース22は、コンピュータのストレージにより実現される。ただし、データベース22の少なくとも一部は、不用品サイクル管理装置20を成すコンピュータ以外のコンピュータ(例えば、クラウドサーバ等)を使用してもよい。
【0045】
データベース22には、ユーザ情報221、材料情報222、プロダクト情報223、取引履歴情報224、及び還元比率情報225が格納される。
【0046】
通信部23は、コンピュータの通信モジュールによって実現される。通信部23は、ネットワーク11を介し、端末装置30A~30C等と接続して各種のデータや情報を通信する。
【0047】
提供者が用いる端末装置30Aは、ネットワーク11を介して不用品サイクル管理装置20に接続可能なパーソナルコンピュータ、スマートフォン等の一般的なコンピュータからなる。制作者が用いる端末装置30B、及び購入者が用いる端末装置30Cについても同様とする。以下、端末装置30A,30B,30Cを個々に区別する必要がない場合、単に端末装置30と称する。
【0048】
提供者、制作者、及び購入者は、不用品サイクル管理装置20に対してユーザ登録を済ませた不用品サイクル管理システム10のユーザである。以下、提供者、制作者、及び購入者を個々に区別する必要がない場合、単にユーザと称する。
【0049】
次に、
図2は、DB22に登録されたユーザ情報221、材料情報222、プロダクト情報223、取引履歴情報224、及び還元比率情報225のデータ構造の一例を示している。
【0050】
ユーザ情報221は、ユーザ登録部212により各ユーザに対応して生成される。ユーザ情報221は、ユーザID、ユーザランク、名前、連絡先、本人確認書類、出金口座、還元タイミング、イント情報、及び本人限定受取郵便の受取確認を含む。
【0051】
ユーザIDは、ユーザを一意に識別するための識別子である。ユーザIDは、ユーザ登録部212が生成してもよいし、ユーザ自身が指定できるようにしてもよい。ユーザID、ユーザランク、名前、連絡先、本人確認書類、出金口座、還元タイミング、及びポイント情報は、ユーザ登録画面300(
図3)に対してユーザが入力した情報に基づいて記録される。
【0052】
ユーザランクは、例えば、ユーザ登録時にユーザが選択した契約プラン(無料プラン、有料プラン、有料プレミアムプラン等)に応じて決定される。ユーザランクは、プロダクト販売時の対価の還元比率の算出の要素となるランク比率に対応する。ランク比率は、無料プラン、有料プラン、有料プレミアムプランの順に、例えば30%、50%、100%と高くなり、より多くの対価を得ることができるように設定されている。なお、ランク比率は、不用品サイクル管理システム10の利用実績に応じて増加したり、減少したりするようにしてもよい。
【0053】
名前は、ユーザの本名の登録を原則とするが、本名以外のニックネーム等を登録できるようにしてもよい。連絡先は、例えば、メールアドレス等である。本人確認書類は、例えば、運転免許書、パスポート、マイナンバーカード等の画像データである。
【0054】
還元タイミングは、プロダクトの販売に応じた対価としてのポイントを提供者または制作者としてのユーザに付与するタイミングである。還元タイミングは、例えば、即時(プロダクト販売成立の直後)、定期(例えば、週毎、月毎等)、任意(ユーザが自由に指定できるタイミング)等を選択できる。
【0055】
ポイント情報は、提供者または制作者であるユーザに対して還元される対価に相当するポイントに関する情報である。ポイント情報は、現時点までに未還元のポイント、現時点までに還元済のポイント、還元や使用、出金等の履歴情報を含む。なお、還元済みのポイントは、任意のタイミングで任意のポイント数を、通貨(円、ドル等)、電子マネー、暗号通貨、他のサービスのポイント等に変換し、ユーザが指定した出金口座に出金することができる。また、ポイントは、ユーザが購入者としてプロダクトを購入する際の代金支払いに使用することができる。
【0056】
本人限定受取郵便の受取確認は、例えば、不用品サイクル管理システム10の運営側からユーザに対して本人限定受取郵便を郵送した際に設けられ、確認済、または未確認が記録される。
【0057】
図3は、提供者、制作者、及び購入者になり得る者(未登録ユーザ)がユーザ登録を行うための、端末装置30に表示されるUI画面としてのユーザ登録画面300の表示例を示している。
【0058】
ユーザ登録画面300は、例えば、未登録ユーザが端末装置30を用い、不用品サイクル管理装置20のログイン用画面にアクセスし、そこに表示された「ユーザ登録」ボタン(いずれも不図示)等を操作することによりに表示される。
【0059】
ユーザ登録画面300には、名前を入力するための入力欄301、契約プランを選択入力するための入力欄302、連絡先を入力するための入力欄303、出金口座を入力するための入力欄304、還元タイミングを選択入力するための入力欄305、本人確認書類を選択入力するための入力欄306、本人確認書類の画像データをアップロードするための「画像アップロード」ボタン307、及び入力欄301等に入力した内容でユーザ登録を指示するための「登録」ボタン308が設けられている。
【0060】
なお、ユーザ登録の段階において、名前、契約プラン、連絡先の入力は必須であるが、出金口座、還元タイミング、及び本人確認書類については必須ではなく、必要に応じて、登録すればよい。例えば、出金口座、及び還元タイミングについては、ユーザが対価を受け取り得る場合、すなわち、ユーザが提供者となって材料を登録したり、制作者となって製品を登録したりする場合に登録すればよい。また例えば、本人確認書類については、ユーザが制作者となり、古物商のように不用品をそのままプロダクトとして登録する場合等に登録すればよい。
【0061】
未登録ユーザがユーザ登録画面300の入力欄301等に名前等を入力して、「登録」ボタン308を操作すると、当該端末装置30には、ユーザ登録が完了した旨と、ユーザアカウント、及びパスワードが表示される。これ以降、未登録ユーザは、不用品サイクル管理システム10のユーザとなり、ユーザアカウント、及びパスワードを用いて不用品サイクル管理装置20にログイン可能となる。
【0062】
次に、
図4は、ユーザが自身のユーザ情報を確認するためのユーザ情報確認画面400の表示例を示している。ユーザ情報確認画面400は、例えば、ユーザが端末装置30を用いて不用品サイクル管理装置20のログイン用画面(不図示)にアクセスし、ユーザアカウント、及びパスワードを入力することによって表示される。
【0063】
ユーザ情報確認画面400には、ユーザID、名前、契約プラン、連絡先、出金口座、還元タイミング、本人確認書類を表示する表示欄401、並びに、これらの設定を変更可能な画面に移動するための「変更」ボタン402が表示される。
【0064】
さらに、ユーザ情報確認画面400には、現時点における未還元ポイント、還元済ポイント、を表示する表示欄403、ポイントの還元や使用の履歴を表示させるための「履歴」ボタン404、未還元ポイントの還元を指示するための「還元」ボタン405、還元済ポイントの出金を指示するための「出金」ボタン406、及び、ユーザ情報確認画面400を閉じるための「閉じる」ボタン407が設けられている。
【0065】
ユーザは、ユーザ情報確認画面400において、自身のユーザ情報を確認、変更することができる。また、ユーザは、ユーザ情報確認画面400において、ポイントに関する履歴を確認したり、未還元ポイントの還元、出金を指示したりすることができる。
【0066】
図2に戻る。材料情報222は、材料登録部213により、提供者から提供された材料(不用品)毎に生成される。材料情報222は、材料ID、材料名、詳細情報、提供者のユーザID(提供者ID)を含む。
【0067】
材料IDは、材料を一意に識別するための識別子である。材料IDは、材料登録部213が生成する。材料名、及び詳細情報は、材料登録画面500(
図5)に対する提供者の入力に基づいて記録される。なお、材料名、及び詳細情報は、制作者に対して材料の利用を促すためのWebページ等に公開される。
【0068】
【0069】
材料登録画面500は、例えば、提供者が端末装置30Aを用いて不用品サイクル管理装置20にログインし、そこに表示された「材料登録」ボタン(不図示)等を操作することにより表示される。
【0070】
材料登録画面500には、提供者のユーザIDを入力するための入力欄501、材料の写真をアップロードするための「写真アップロードボタン」502、アップロード済みの写真のサムネイル503、材料名を入力するための入力欄504、材料の色、柄、柄内容、素材、厚さを選択するための「選択」ボタン505、説明文を入力するための入力欄506、タグを入力するための入力欄507、備考を入力するための入力欄508、及び入力欄501等に入力した内容で材料登録を指示するための「登録」ボタン509が設けられている。
【0071】
提供者は、材料登録画面500において、不要品の情報をより詳細に記述することにより、当該不用品がプロダクトの材料に適しているのかをアピールすることができる。
【0072】
図2に戻る。プロダクト情報223は、プロダクト登録部214により、制作者が登録するプロダクト毎に生成される。プロダクト情報223は、プロダクトID、プロダクト名、詳細情報、1人以上の制作者のユーザID(制作者ID)とその作業比率、1個以上の材料の材料IDとその構成比率を含む。
【0073】
プロダクトIDは、プロダクトを一意に識別するための識別子である。プロダクトIDは、プロダクト登録部214が発行する。プロダクト名、詳細情報、制作者IDと作業比率、及び材料IDと構成比率は、プロダクト登録画面600(
図6)に対する制作者の入力に基づいて記録される。なお、プロダクト名、及び詳細情報は、プロダクトを販売するECサイト等に公開される。
【0074】
図6は、プロダクト登録画面600の表示例を示している。
【0075】
プロダクト登録画面600は、例えば、制作者が端末装置30Bを用いて不用品サイクル管理装置20にログインし、そこに表示された「プロダクト登録」ボタン(不図示)等を操作することにより表示される。
【0076】
プロダクト登録画面600には、代表制作者のユーザIDを入力するための入力欄601、プロダクトの写真をアップロードするための「写真アップロードボタン」602、アップロード済みの写真のサムネイル603、プロダクト名(日本語)を入力するための入力欄604、プロダクト名(英語)を入力するための入力欄605、プロダクトのジャンルを選択入力するための入力欄606、プロダクトの色、柄、サイズ選択入力するための「選択」ボタン607、説明文を入力するための入力欄609、タグを入力するための入力欄610、備考を入力するための入力欄611が設けられている。
【0077】
また、プロダクト登録画面600には、当該プロダクトを制作した制作者のユーザIDと、その作業比率を、制作者毎に入力するための入力欄612、制作者を追加するための「追加」ボタン613が設けられている。
【0078】
さらに、当該プロダクトの制作に利用した材料の材料IDと、その構成比率を、材料毎に入力するための入力欄614、材料を追加するための「追加」ボタン616、及び入力欄601等に入力した内容でプロダクト登録を指示するための「登録」ボタン616が設けられている。
【0079】
図2に戻る。取引履歴情報224は、取引管理部215により、売買取引(転売を含む)の対象となるプロダクトが登録される毎に生成される。取引履歴情報224は、取引ID、プロダクトID、販売者(制作者または転売者)のユーザID(販売者ID)、販売EC、取引日時、購入者のユーザID(購入者ID)、及び購入額を含む。
【0080】
取引IDは、プロダクトの売買取引を一意に識別するための識別子である。取引IDは、取引管理部215が発行する。なお、取引履歴情報224が生成された段階において、取引日時、購入者ID、及び購入額は空欄であり、当該プロダクトの売買取引が成立した段階で追記(更新)される。
【0081】
還元比率情報225は、対価還元部216により、売買取引の対象となるプロダクトが登録される毎に生成され、転売登録に応じて更新される。還元比率情報225は、プロダクトID、1人以上の提供者のユーザID(提供者ID)と還元比率、1人以上の制作者のユーザID(制作者ID)と還元比率を含む。還元比率の計算方法については後述する。
【0082】
次に、
図7は、プロダクトの取引情報を確認できるプロダクト取引管理画面700の表示例を示している。
【0083】
プロダクト取引管理画面700は、例えば、ユーザが端末装置30を用いて不用品サイクル管理装置20にログインし、そこに表示された「プロダクト管理」ボタン(不図示)等を操作することにより表示される。
【0084】
プロダクト取引管理画面700には、プロダクトを検索するための検索条件として、プロダクト名、ジャンル、プロダクトID、及び制作者のユーザID(制作者ID)のうちの少なくとも1つを入力する入力欄701、検索条件に基づくプロダクトの検索を指示するための「検索」ボタン702が設けられている。なお、検索条件として、材料ID、材料名、提供者のユーザID、プロダクトや材料のタグ等を設けてもよい。
【0085】
さらに、プロダクト取引管理画面700には、検索結果としてプロダクトの写真のサムネイルを表示する表示欄703、選択されたサムネイルに対応するプロダクトの取引ID、プロダクトID、販売EC、購入者のユーザID(購入者ID)を示す表示欄704が設けられている。
【0086】
プロダクト取引管理画面700において、ユーザが入力欄701に検索条件を入力し、「検索」ボタン702を操作すると、取引管理部215によってDB22が参照されて検索条件に合致するプロダクト情報223、及び取引履歴情報224が抽出される。そして、抽出されたプロダクト情報223の詳細情報からプロダクトの写真が読み出されて、そのサムネイルが表示欄703に表示される。さらに、ユーザによってサムネイルのいずれかが選択された場合、抽出された取引履歴情報224から取引ID、プロダクトID、材料ID、販売EC、購入者IDが読み出されて表示欄704に表示される。
【0087】
プロダクト取引管理画面700によれば、例えば、材料の提供者は、自身が提供した材料を使用して制作されたプロダクトを知ることができる。また、プロダクトの制作者等は、プロダクトの販売成立の有無や転売の有無、購入者(現在の所有者)を特定することができる。
【0088】
<不用品サイクル管理システム10による一連の処理>
次に、
図8は、不用品サイクル管理システム10による、材料登録フェーズ、プロダクト登録フェーズ、及びプロダクト販売フェーズからなる一連の処理の一例を説明するシーケンス図である。
【0089】
当該一連の処理の前提として、提供者、制作者、及び購入者は、いずれも不用品サイクル管理装置20に対してユーザ登録済みのユーザであるとする。
【0090】
材料登録フェーズでは、提供者が端末装置30Aを用いて不用品サイクル管理装置20にログインし、材料登録画面500(
図5)を表示させて、材料(不用品)に関する情報を入力する(ステップS1)。これに応じて、次に、不用品サイクル管理装置20の材料登録部213が、材料登録画面500に対して提供者が入力した材料に関する情報を基にして材料情報222を生成し、DB22に登録する(ステップS11)。また、材料登録部213は、登録された材料を、制作者に対して材料の利用を促すためのWebページに公開する(ステップS12)。なお、制作者は、当該webページにて、プロダクトの材料になり得る不用品を見つけた場合、所定の手続きによって当該不用品(材料)を入手し、プロダクトの制作に利用できる。
【0091】
プロダクト登録フェーズでは、制作者が端末装置30Bを用いて不用品サイクル管理装置20にログインし、プロダクト登録画面600(
図6)を表示させて、販売するプロダクトに関する情報を入力する(ステップS21)。これに応じて、次に、不用品サイクル管理装置20のプロダクト登録部214が、プロダクト登録画面600に対して制作者が入力したプロダクトに関する情報を基にしてプロダクト情報223を生成し、DB22に登録する(ステップS12)。次に、取引管理部215が、登録されたプロダクトの売買取引に関する取引履歴情報224を生成してDB22に登録する(ステップS13)。次に、対価還元部216が、登録されたプロダクトに関する還元比率情報225を生成してDB22に登録する(ステップS14)。次に、取引管理部215が、登録されたプロダクト情報223の詳細情報に基づき、プロダクトをECサイトに出品する(ステップS15)。ECサイトへの出品処理は、例えば当該ECサイトの提供するAPIを使用して行うことができる。
【0092】
ここで、ステップS14の取引履歴情報224を生成に際して算出される提供者、及び制作者に対する還元比率の例について詳述する。
【0093】
各提供者に対する還元比率は、次式(1)に基づいて算出する。
提供者に対する還元比率
=還元ベース比率×提供者のランク比率×材料の構成比率
・・・(1)
【0094】
各制作者に対する還元比率は、次式(2)に基づいて算出する。
制作者に対する還元比率
=還元ベース比率×制作者のランク比率×制作係数×作業比率
・・・(2)
【0095】
ここで、還元ベース比率、及び制作係数は、不用品サイクル管理システム10の運営側によって予め設定された値である。
【0096】
例えば、還元ベース比率を10%、2人の提供者A,Bそれぞれのランク比率は100%、提供者Aが提供した材料aの構成比率は60%、提供者Bが提供した材料bの構成比率は40%、2人の制作者X,Yの作業比率は70%,30%、制作係数を3と仮定する。
【0097】
この場合、提供者Aの還元比率は、6%(=還元ベース比率10%×提供者Aのランク比率100%×材料aの構成比率60%)となる。提供者Bの還元比率は、4%(=還元ベース比率10%×提供者Bのランク比率100%×材料bの構成比率40%となる。制作者Xの還元比率は、21%(=還元ベース比率10%×制作者Xのランク比率100%×制作係数3×作業比率70%)となる。制作者Yの還元比率は、9%(=還元ベース比率10%×制作者Xのランク比率100%×制作係数3×作業比率30%)となる。
【0098】
したがって、プロダクトの販売額が例えば10000円である場合、提供者Aの対価は600円(=販売額10000円×還元比率6%)、提供者Bの対価は400円(=販売額10000円×還元比率4%)、制作者Xの対価は2100円(=10000円×還元比率21%)、制作者Yの対価は900円(=10000円×還元比率9%)となる。
【0099】
なお、還元比率の算出方法は上述した例に限らない。例えば、材料の構成比率に拘わらず複数の提供者の還元比率を均等にしたり、制作者の作業比率に拘わらず複数の制作者の還元比率を均等したりしてもよい。また、提供者への対価は、プロダクトの販売額に拘わらず固定額としてもよい。さらに、プロダクトがエネルギ等の無体物である場合、プロダクトの販売額ではなく、プロダクトの生産量に応じて、提供者への対価を決定してもよい。
【0100】
なお、プロダクトが転売(2回目以降の販売)された際の還元比率は、1回目の販売された際の還元比率と同じでもよいし、変更してよい。変更する場合、例えば、提供者の還元比率は0とし、制作者の還元比率が前回よりも小さくなるように制作係数の値を減少させればよい。または、制作者の還元比率も0にしてもよい。
【0101】
プロダクト販売フェーズでは、購入者が端末装置30Cを用い、プロダクトを販売するECサイトにてプロダクトを購入する(ステップS41)。これに応じて、次に、不用品サイクル管理装置20の取引管理部215が、ECサイトからの購入情報に基づき、プロダクトの売買取引に応じた決済を行う(ステップS16)。次に、取引管理部215が、DB22の当該プロダクトに対応する取引履歴情報224(ステップS13で登録したもの)に取引日時、購入者ID、及び購入額を追記する(ステップS17)。
【0102】
次に、対価還元部216が、DB22から当該プロダクトのプロダクトIDに対応する還元比率情報225を読み出し、提供者、及び制作者に対して、プロダクトの購入額に還元比率を乗算した対価を決定し、それぞれのユーザ情報221におけるポイント情報に反映する。そして、提供者、及び制作者のユーザ情報221に記録されている還元タイミングに従って還元する(ステップS18)。以上で、材料登録フェーズ、プロダクト登録フェーズ、及びプロダクト販売フェーズからなる一連の処理は終了される。
【0103】
上述した一例の処理によれば、提供者は不用品をプロダクトの材料として提供し、その対価を得ることができる。また、制作者はプロダクトの材料となり得る不用品を容易に発見、入手することができ、制作者による付加価値の予見性を高めることができる。さらに、不用品を利用して制作したプロダクトを販売し、その対価を得ることができる。
【0104】
次に、
図9は、プロダクト転売フェーズの一例を説明するシーケンス図である。
【0105】
プロダクト転売フェーズでは、以前にプロダクトを購入した購入者(転売者)が端末装置30Cを用いて不用品サイクル管理装置20にログインし、プロダクト転売登録画面(不図示)を表示させて、転売するプロダクトに関する情報を入力する(ステップS51)。プロダクト転売登録画面は、例えば、転売者の購入履歴を参照できる機能を有しており、転売者は購入履歴の中のいずれかのプロダクトを選択することにより、転売するプロダクト(プロダクトID)を指定できる。
【0106】
次に、不用品サイクル管理装置20の取引管理部215が、転売登録されたプロダクトの売買取引に関する取引履歴情報224を生成してDB22に登録する(ステップS61)。次に、対価還元部216が、転売登録されたプロダクトに関する還元比率を再度計算し、還元比率情報225を更新する(ステップS62)。次に、取引管理部215が、転売するプロダクトのプロダクトIDに対応するプロダクト情報223を参照し、その詳細情報に基づき、プロダクトをECサイトに出品する(ステップS63)。
【0107】
次に、転売者とは異なる購入者が端末装置30Cを用い、プロダクトを販売するEC使途にサイトにて転売されているプロダクトを購入する(ステップS71)。これに応じて、次に、不用品サイクル管理装置20の取引管理部215が、プロダクトの売買取引に応じた決済を行う(ステップS64)。次に、取引管理部215が、DB22の当該プロダクトに対応する取引履歴情報224(ステップS61で登録したもの)に購入者ID、及び購入額を追記する(ステップS65)。
【0108】
次に、対価還元部216が、DB22から当該プロダクトのプロダクトIDに対応する還元比率情報225を読み出し、提供者、及び制作者に対して、プロダクトの購入額に還元比率を乗算した対価を決定し、それぞれのユーザ情報221におけるポイント情報に反映する。そして、提供者、及び制作者のユーザ情報221に記録されている還元タイミングに従って還元する(ステップS66)。以上で、プロダクト転売フェーズは終了される。
【0109】
上述したプロダクト転売フェーズによれば、以前にプロダクトを購入した転売者は、自身の購入履歴に基づいて容易にプロダクトを転売できる。提供者、及び制作者は、プロダクトの転売に応じて再び対価を得ることができる。
【0110】
よって、不用品サイクル管理システム10は、提供者に対して不用品を提供することについての動機づけ、制作者に対して不用品を材料としてプロダクトを制作することについての動機づけ、以前にプロダクトを購入した転売者に対しては、プロダクトを転売することについての動機づけを与えることができ、不用品サイクルを推進することが可能となる。
【0111】
本実施形態の不用品サイクル管理装置20は、典型的には例えばWebページとして各種の操作画面を用意し、端末装置30のWebブラウザに表示させることができる。しかしながら、この態様に限られない。例えば、端末装置30に各種の操作画面を備える専用アプリケーションをインストールしてもよい。この場合、不用品サイクル管理装置20は、各種の操作画面に表示させる一部内容(ユーザ情報、材料情報、プロダクト情報等のデータ)を端末装置30に送信するだけで、端末装置30の専用アプリケーションに各種操作画面を表示させることができる。すなわち、本発明の不用品サイクル管理装置は、端末装置に画面を表示させることができる様々な態様を含むことができる。
【0112】
また、不用品サイクル管理装置20の一部又は全部の機能は、ECサイト等のシステムに組み込まれてもよいし、APIとして提供されてECサイト等のシステムから呼び出されてもよい。また、不用品サイクル管理装置20のデータベース22の一部又は全部の機能は、ECサイト等のシステムに組み込まれてもよいし、ECサイト等のシステムの保有するデータベースと連携してもよい。
【0113】
本発明は、上述した実施形態や変形例に限定されるものではなく、さらに様々な変形が可能である。例えば、上述した実施形態や変形例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある変形例の一部を他の変形例に置き換えたり、変形例を組み合わせたりすることが可能である。
【0114】
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD等の記録装置、又は、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【0115】
本発明は、システムや装置に限らず、方法、コンピュータ読み取り可能なプログラムなど、様々な態様で提供することができる。
【符号の説明】
【0116】
10・・・不用品サイクル管理システム、11・・・ネットワーク、20・・・不用品サイクル管理装置、21・・・処理部、211・・・操作受付部、212・・・ユーザ登録部、213・・・材料登録部、214・・・プロダクト登録部、215・・・取引管理部、216・・・対価還元部、217・・・所有証明部、22・・・データベース、221・・・ユーザ情報、222・・・材料情報、223・・・プロダクト情報、224・・・取引履歴情報、225・・・還元比率情報、23・・・通信部、30A,30B,30C・・・端末装置、300・・・ユーザ登録画面、400・・・ユーザ情報確認画面、500・・・材料登録画面、600・・・プロダクト登録画面、700・・・プロダクト取引管理画面
【要約】
【課題】 不用品を提供する側と利用する側の双方に動機づけを与え、不用品サイクルを促進する仕組みを提供する。
【解決手段】 不用品サイクル管理装置は、提供者から提供された材料を登録する材料登録部と、登録された前記材料を用いて制作者が制作したプロダクトを登録するプロダクト登録部と、前記提供者、及び前記制作者の少なくとも一方に還元する対価を決定する対価還元部と、を備える。
【選択図】
図1