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特許7224076一定の波長を設定するための方法およびシステム構成
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-09
(45)【発行日】2023-02-17
(54)【発明の名称】一定の波長を設定するための方法およびシステム構成
(51)【国際特許分類】
   H05B 45/28 20200101AFI20230210BHJP
【FI】
H05B45/28
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022085221
(22)【出願日】2022-05-25
(62)【分割の表示】P 2020534455の分割
【原出願日】2019-04-01
(65)【公開番号】P2022105677
(43)【公開日】2022-07-14
【審査請求日】2022-05-25
(31)【優先権主張番号】102018004826.9
(32)【優先日】2018-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】506038073
【氏名又は名称】イノヴァ セミコンダクトルズ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ホフマン、シュテファン
【審査官】野木 新治
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-059706(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0139544(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第02273851(EP,A2)
【文献】特表2008-519266(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 45/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
LEDの一定の波長を設定する方法であって、
予め設定された電流を使用して前記LEDを作動させるステップ(100)と、
作動した(100)前記LEDの直接の近傍に配置された制御ユニットの実際の温度を測定するステップ(101)と、前記直接の近傍は、前記LEDと前記制御ユニットとの間に単なる受動部品が配置されているが、それらの間に能動部品が配置されていないこととして定義され、前記直接の近傍が、接着剤層、シリコーン層、ポリマー層、熱伝導層、アルミニウム層および/または銅層の厚さを使用して設定されており、
前記LEDの温度に応じて経験的に決定された前記LEDの波長変動を提供するステップ(102)と、
前記LEDの一定の波長を設定する(104)ために、前記実際の温度と前記経験的に決定された波長変動とに応じて、前記予め設定された電流を調整するステップ(103)とを含み、前記予め設定された電流が、記憶された誤差関数を使用して調整され(103)、前記誤差関数は、前記制御ユニットの実際の温度に応じた前記LEDの温度を決定する、方法。
【請求項2】
方法が赤色、青色、緑色、および白色の発光LEDの各々に対して実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記方法は、前記予め設定された電流が実質的に2秒ごとに調整される(103)ように反復的に実行される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記予め設定された電流が、パルス幅変調の電流パルスを指定する、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記誤差関数は、前記LEDの波長変動を均一にする補償値を提供する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
補償値は、補償係数の形態をとる、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記予め設定された電流は、実際の波長が目標波長から閾値を超えて逸脱している場合に調整される(103)、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記経験的に決定された波長変動が、LEDの特性を特定する、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
直接の近傍が1ミリメートル未満である、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記制御ユニットが、コントローラ、コントローラチップ、論理回路、論理ゲート、またはマイクロコントローラとして提供される、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
LEDの一定の波長を設定するためのシステム構成であって、
予め設定された電流を使用してLEDを作動させるように構成された制御ユニット(100)と、
作動した(100)前記LEDの直接の近傍に配置された前記制御ユニットの実際の温度を測定する(101)ように構成された少なくとも1つの測定センサと、前記直接の近傍は、前記LEDと前記制御ユニットとの間に単なる受動部品が配置されているが、それらの間に能動部品が配置されていないこととして定義され、前記直接の近傍が、接着剤層、シリコーン層、ポリマー層、熱伝導層、アルミニウム層および/または銅層の厚さを使用して設定されており、
前記LEDの温度に応じて経験的に決定されたLEDの波長変動を提供する(102)ように構成されたインタフェースユニットと、
前記LEDの一定の波長を設定する(104)ために、前記実際の温度と前記経験的に決定された波長変動とに応じて、前記予め設定された電流を調整する(103)ように構成された補償インタフェースとを備え、前記予め設定された電流が、記憶された誤差関数を使用して調整され(103)、前記誤差関数は、前記制御ユニットの実際の温度に応じた前記LEDの温度を決定する、システム構成。
【請求項12】
コンピュータ上での実行時に請求項1乃至10のいずれか1項に記載の方法を実行する制御コマンドを含むコンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人間の肉眼観察者に対して、LEDの一定の色が設定されるように、LEDの一定の波長を設定することを低技術コストで可能にする方法に関する。本発明はさらに、対応してセットアップされたシステム構成、およびこの方法を実行するか、またはシステム構成を作動させる制御コマンドを含むコンピュータプログラム製品に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、照明装置を制御する制御システムを示す。
特許文献2は、いくつかの光ダイオードを備えた光ダイオード構成を示す。
特許文献3は、光ダイオードにおける誤差補正のための方法および構成を示す。
【0003】
特許文献4は、特に、LED制御ユニットに対して、特に、効率的なデータ伝送を提供することを可能にする効率的な制御装置および制御方法を開示している。明細書は、制御ユニットに対応する方法ステップを実行させる対応するプロトコルにも関係している。
【0004】
特許文献5は、コマンドユニットとコマンドユニットに接続された複数のLED制御ユニットとの間の双方向通信のための方法およびデバイスを開示している。これにより、直列に接続された複数のLED制御ユニットに制御コマンドを高速に送信したり、これらの制御ユニットからコマンドユニットに性能結果を返送することが可能になる。
【0005】
特許文献6は、LEDの輝度補償のための方法および装置を開示しており、LEDの一定の輝度が、温度変動に関係なく常に達成される。
既知の方法は、使用される構成部品が不活性であるという事実を利用するパルス幅変調を提供して、LEDが特定の比率でオン/オフされても均一な輝度が設定されるようにしている。この場合、輝度は、オン状態とオフ状態との比率に応じて設定される。このタイプのLEDのパルス的変化は、通常、人間の眼には感知されず、この作動により均一な設定可能な輝度が得られる。
【0006】
さらに、パルス発生器を定電源回路に内蔵し、供給電圧を一定に維持し、かつパルス作動する電源自体を使用してランプのクロックサイクルを供給することが、さらに可能である。この目的のために、LEDを設定可能な目標値に調整する作動回路が既知であり、目標値はコントローラによって設定可能である。LEDは、LEDを流れる電流を減少させることにより、既知の方法で直接減光される。LEDの温度に応じてLEDへの供給電流をさらに調整するための制御ロジックも知られている。
【0007】
LEDは、電球と比較して少なくとも不利にならない多くの応用例で使用される。電球の輝度を減少させることは簡単であるが、LEDについては、例えば、所定の作動パターンを使用してこれらのLEDを作動させて、光学的減光を可能にする方法が知られている。しかしながら、対照的に、例えば、周囲温度が上昇した場合に、LEDがより明るく設定される必要があることが望ましいことがしばしばある。これは、LEDには通常、温度上昇に応じて放出される光度が低下する照明特性があるためである。
【0008】
一般に、赤色、緑色、または青色の発光LEDとして提供されるLEDに関して、温度変動に関連して輝度または色の変動の影響を受けやすいことが知られている。従って、従来技術では、温度変動または輝度変動に応じた色変化が、人間の眼で検出可能なほど十分に強くなり、その結果、望ましくない光学的効果をもたらすことがあるという欠点がある。これらの光学的効果は、例えば、車両の快適化機能に関連する場合があり、応用例では、LEDが安全機能を実行することも提供される。このように、LEDは光学警告信号発生器としても使用され、輝度変動または色変動の欠点は、安全上重要であり得る。
【0009】
従来技術からすると、LEDの製造において提供されなければならない技術的作業は、特に問題である。従って、このタイプのLEDはテストを受ける必要があり、LEDが温度に応じて所定の目標値を達成できない場合、除去率が増加する。このような状況は、自動車の使用例において特に不利である。ここでは特定の欠点、即ち、搭載されたLEDはいつでも交換することができず、代わりに、最終顧客が車両を修理のために持ち込む必要があるという事実が生じる。満たすべき高物流コストに加えて、先行技術では、この欠点により、最終顧客が、このタイプの光学デバイスを受け入れることが減少する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】欧州特許出願公開第2273851号明細書
【文献】米国特許出願公開第2015/002023号明細書
【文献】国際公開第2014/067830号
【文献】国際公開第2017/162323号
【文献】国際公開第2017/162324号
【文献】国際公開第2017/153026号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従って、本発明の目的は、LEDの一定の波長を設定するための改良された方法を提案することであり、これにより、高技術コストを必要とせずに、LEDに可能な限り一定の色を設定することが可能になる。さらに、本発明の目的は、対応してセットアップされたシステム構成と、方法を実行するか、またはシステム構成を作動させる制御コマンドを含むコンピュータプログラム製品とを提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的は、請求項1に記載の特徴によって達成される。さらに有利な実施形態は、従属請求項に記載されている。
従って、LEDの一定の波長を設定するための方法が提案され、方法は、予め設定された電流を使用してLEDを作動させるステップと、作動したLEDの直接の近傍に配置された制御ユニットの実際の温度を測定するステップと、LEDの温度に応じて経験的に決定された波長変動を提供するステップと、LEDの一定の波長を設定するために、実際の温度と経験的に決定された波長変動とに応じて、予め設定された電流を調整するステップとを含む。
【0013】
この場合、当業者は、個々の方法ステップが反復的におよび/または異なる順序で実行され得ることを理解するであろう。特に、方法ステップは異なるサブステップを有し得る。従って、典型的には、LEDは反復的に作動され、制御ユニットにおける温度は反復的に測定される。方法の準備ステップでは、経験的に決定された波長変動が提供される。予め設定された電流は、特定のクロックサイクルまたは予め設定された時間間隔内で調整される。
【0014】
提案された方法によって、LEDの誤差率が検出され、電流がその誤差率に応じて設定されるので、LEDの一定の波長が設定されることが達成される。一定の波長は実質的に一定の波長であり、一定の波長の基準点は人間の眼である。従って、提案された方法によれば、波長が一定ではないが、人間の裸眼に対して一定になるように調整されることが実際には技術的に可能である。従って、一定の波長により、人間の観察者に対して一定である色値が設定される。しかしながら、技術ツールを使用すると、一定の波長は、わずかに変化する実質的に一定の波長であることを検出することができる。
【0015】
LEDは、赤色、緑色、青色、または白色に光るか、または発光するLEDの形態をとる。この場合、構造に応じて、例えば、3つまたは4つの個別のLEDがLEDユニットを形成するような方法で、これらの異なる個別のLEDを1つのLEDユニットに組み合わせることは既知である。この場合、例えば、1つの波長または1つの輝度が生じるように、個々のLEDを作動させるさらなる技術デバイスが提供されてもよい。
【0016】
これは、特定の電流を間接的にLEDに印加するか、またはパルス幅変調を実行する提案された制御ユニットによって提供される。パルス幅変調により、各個々のLEDの輝度または光度が設定され、波長が電流に応じて設定される。従って、提案された電流は、LEDが作動される電流である。これは、パルス幅変調中に少なくとも時々電流が供給されないことと矛盾しない。
【0017】
この電流は、LEDの作動中に予め設定された電流を使用して供給される。これは一般に、提供された仕様に従ってLEDを作動させることを含む。この方法ステップは、従来技術においても行われ、一定の予め設定された電流が、LEDの色が変化することで観察者に視認可能である波長変動をもたらすという欠点を生じさせる。これは、LED内の温度関係の変化の結果として生じる。予め設定された電流は、通常、LEDの記憶ユニットに記憶されるか、または制御ユニットによって提供される。
【0018】
さらなる方法ステップでは、作動したLEDの直接の近傍に配置された制御ユニットの実際の温度が測定される。従って、本発明によれば、温度をLEDにおいて直接測定する必要はなく、むしろ制御ユニットをこの目的のために使用することができることが認識される。本発明によれば、これは、温度を代替点で測定可能にし、この状況では、測定センサまたは温度センサを制御ユニットに配置可能にする構造をもたらす。温度はLEDにおいて直接測定されるのではなく、制御ユニットで測定されるため、1つの側面では、提案された方法は、この距離を考慮に入れて、それに応じて電流を変化させる。制御ユニットはLEDの直接の近傍に配置されているため、作動中のLEDの温度に関する結論を引き出すことができる。
【0019】
この場合、直接の近傍とは、以下に記載されるような例えば、1つの層のみが測定センサと制御ユニットとの間に配置されるような実質的に直接の近傍を意味する。従って、「直接」とは、それ以上能動部品が設置されていないことを意味する。従って、接続層または熱伝導層などの単なる受動部品が、LEDと制御ユニットとの間に配置される。概して、「直接」の近傍という特徴は、LEDと制御ユニットの間に能動的な発熱ユニットが配置されていない限り、任意選択的である。従って、方法ステップは、作動したLEDの近傍に配置された制御ユニットの実際の温度が測定されるように実行され得る。特に、1ミリメートル未満の距離は、直接と見なされる。
【0020】
従って、LEDの温度に応じて経験的に決定されたLEDの波長変動が提供される。これは、LEDの特性曲線を提供することとしても参照される。経験的に決定された波長変動は、温度の上昇または下降とともにLEDの波長がどの程度変化するかを示している。これは、LEDの誤差率とも呼ばれ、LEDの温度が上昇または下降したときに発生する波長値のデルタに対応する技術的条件付値を指定する。この経験値は、データ記憶装置に格納することができる。
【0021】
波長の変動が既知となり、LEDの温度に関する結論に達することができる温度も既知であるため、予め設定された電流が調整される。従って、方法は、LEDを作動させることを提供する第1の方法ステップに戻るように反復的に分岐する。この場合、LEDは、LEDの一定の波長または実質的に一定の波長が設定されるように作動される。
【0022】
従って、この方法ステップでは、温度によって波長変動を補償し、LEDの色値が常に一定に生じるように電流が設定される。
概して、本発明によれば、実際の温度がLEDではなく制御ユニットにおいて測定され、提供された経験的に決定された波長変動は、LEDの温度に関連することを考慮することができる。従って、測定が実際にはLEDにおいて直接行われるのではなく、配置された制御ユニットにおいて行われるという事実を考慮した補償係数をここに含めることが有利である。その結果、本発明によれば、代替構成を提案し、それに応じて方法を処理することが可能である。
【0023】
反復的に実行される最後の方法ステップでは、予め設定された電流を調整する場合、LEDは、この調整された電流によって実際に作動される。従って、時間の経過または温度の変化に亘って、LEDが一定の波長を放出することが保証される。
【0024】
本発明の一態様では、この方法は、赤色、青色、緑色、および白色の発光LEDの各々に対して実行される。これは、提案された方法を使用して、色を設定することができるだけでなく、白色発光LEDを使用して光度を調整することができ、その結果、輝度補償のために別個の方法を使用する必要がないという利点を有する。このように、LEDの輝度も低技術コストで制御することができる。
【0025】
本発明のさらなる態様では、方法は、予め設定された電流が実質的に2秒ごとに調整されるように反復的に実行される。これは、波長が常に実際に調整されるが、必要な計算コストが低いため、基本部品も効率的に設計することができるという利点を有する。本発明によれば、2秒ごとに電流を調整することは、人間の知覚に関して有利であることが認識され、このタイプの時間間隔内では、有意な誤差、即ち目標波長からの実際の波長の偏差が生じず、従って、ごくわずかな誤差率しか発生しない。従って、人間の眼は、波長の偏差を検出せず、全体的に一定の波長を知覚することが保証される。単に技術的には、ツールを使用して2秒以内に波長が変化することを確立することができるため、これは迅速に調整される。従って、ハードウェアコストと人間の知覚との間の適切なバランスが、本発明に従って創出される。
【0026】
本発明のさらなる態様では、予め設定された電流は、パルス幅変調の電流パルスを指定する。これには、パルス幅変調に関連して予め設定された電流をオンおよびオフに切り替えることができ、その結果、輝度も変化させることができるという利点がある。従って、予め設定された電流を使用してLEDを作動させる場合、一時的に無電流を印加して、従って、パルス幅変調を実施することも可能である。
【0027】
本発明のさらなる一態様では、予め設定された電流が、記憶された誤差関数を使用して調整される。これは、波長誤差の逆数を電流に乗算するか、または加算して、結果として生じる誤差、即ち、波長の偏差がキャンセルまたは補償されるようにする関数を経験的に決定することができるという利点を有する。従って、誤差関数は、初期波長が再び作成されるように、予め設定された電流を調整する必要がある値を決定する。
【0028】
本発明のさらなる態様では、誤差関数は、LEDの波長変動を均一にする補償値を提供する。これは、実際の温度に応じて、電流のデルタが作成され、このデルタは、所望の一定の波長が設定されるように、予め設定された電流から取得されるという利点を有する。
【0029】
本発明のさらなる態様では、補償値は、補償係数および/または補償合計の形態をとる。これは、補償値を乗算および/または合計することができるという利点を有し、両方の任意選択的な組み合わせが本発明に従って提案される。従って、電流は、所望の一定の波長が設定されるように、または波長の偏差の誤差が補償されるように、何時でも調整することができる。
【0030】
本発明のさらなる態様では、誤差関数は、制御ユニットの実際の温度に応じたLEDの温度を決定する。これは、温度をLEDにおいて直接得る必要がないという利点を有するが、本発明によれば、温度は制御ユニットにおいて測定され、LEDの温度に関して結論が導かれる。その結果、別の構成を実施することができ、制御ユニットにおけるどの温度に対してどの温度がLEDに存在するかを特定する実験値を引き出すことができる。さらに、温度から、波長に関して結論を導き出すことができ、これは、所望の波長が設定されるように電流を調整することができることを意味する。これは、技術的な理由から、温度によって波長が変化するためである。
【0031】
本発明のさらなる態様において、予め設定された電流は、実際の波長が目標波長から閾値を超えて逸脱している場合に調整される。これは、波長のすべての偏差を直ちに補正する必要はなく、例えば、人間の裸眼の精度に対応する閾値を定義することができるという利点を有する。この閾値を超えるか、または下回ると、電流が調整され、基本ハードウェア部品を特に効率的に構成することができる。これは、すべての偏差を直ちに補正する必要はなく、変動が実際には人間の眼に見えないほど十分に大きい閾値を選択することができるためである。この点に関して、閾値は基本ハードウェアも考慮に入れることができ、これは効率的に構成することができる。
【0032】
本発明のさらなる態様では、経験的に決定された波長変動が、LEDの特性を特定する。これは、特性としても知られている技術仕様が、製造業者によって事前に提供することができるという利点を有する。特性は、LEDの特徴を記述し、従って、温度に応じた波長変動も提供することができ、従って、本発明に従って補正される。
【0033】
本発明のさらなる態様では、直接の近傍は1mm未満である。これは、基本ユニットが実際には直接の近傍であると言うことが可能であるほど十分に小さいものが選択されるという利点を有するが、本発明によれば、より大きな偏差は計算するのが複雑であることが分かっている。従って、1mm未満の近傍は、典型的に、温度の大きな歪みをもたらさず、本発明による方法は、LEDの温度ではなく制御ユニットの温度に基づくことができる。
【0034】
本発明のさらなる態様において、直接の近傍は、接着剤層、シリコーン層、ポリマー層、熱伝導層、アルミニウム層および/または銅層の厚さを使用して設定される。さらに、エアギャップまたはキャスティング樹脂をこの目的に使用することができる。これは、LEDと制御ユニットとの間の距離、あるいは測定センサと制御ユニットとの間の距離が、リストされた層の少なくとも1つが使用されるように設定され得るという利点を有する。提案された公称ユニットの間に電子部品が配置されておらず、新たな熱源も生じていないため、これは、概して、直接の近傍である。従って、本発明によれば、層が導入されているにもかかわらず、直接の近傍であることを説明している。本発明によれば、このタイプの層を考慮しつつ電流が調整され、従って、電流は、本発明によれば、温度がLEDではなく制御ユニットにおいて測定されるという事実を補償する。
【0035】
本発明のさらなる態様では、制御ユニットは、コントローラ、コントローラチップ、論理回路、論理ゲート、またはマイクロコントローラとして提供される。これは、効率的な計算ユニットを1つまたは複数のLEDを作動させる制御ユニットとして使用することができるという利点を有する。対応する制御ユニットにより、LEDをパルス幅変調により作動させることができ、特に、本発明によれば、LEDは、例えば、制御ユニットにより調整することができる予め設定された電流を使用して作動される。
【0036】
この目的は、LEDの一定の波長を設定するためのシステム構成によっても達成され、システム構成は、予め設定された電流を使用してLEDを作動させるように構成された制御ユニットと、作動したLEDの直接の近傍に配置された制御ユニットの実際の温度を測定するように構成された少なくとも1つの測定センサと、LEDの温度に応じて経験的に決定されたLEDの波長変動を提供するように構成されたインタフェースユニットと、LEDの一定の波長を設定するために、実際の温度と経験的に決定された波長変動とに応じて、予め設定された電流を調整するように構成された補償インタフェースユニットとを有する。
【0037】
この目的は、提案された方法を実行するか、または提案されたシステム構成を作動させる制御コマンドを含むコンピュータプログラム製品によっても達成される。
本発明によれば、提案されたシステム構成を作動させるために設定される方法と、提案された方法を実行するように構成されたシステム構成とが特に有利である。従って、方法は、システム構成の構造的特徴によって機能的に反映され得る方法ステップを含む。さらに、システム構成は、提案された方法ステップに従って機能を提供する機能コンポーネントを含む。コンピュータプログラム製品は、方法ステップを実行するため、およびシステム構成を作動させるための両方の役割を果たす。
【0038】
さらなる有利な態様は、添付の図面を参照してより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】本発明の開始点としての温度に応じたLEDの波長の変化を示す図である。
図2】本発明のさらなる出発点として、設定電流に応じたLEDの波長の変化を示す図である。
図3】本発明の一態様による波長の補償を示す図である。
図4】本発明のさらなる態様によるシステム構成を示す図である。
図5】本発明による一定の波長を設定するための提案された方法の概略的なフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1の左側は、LEDの温度がX軸にプロットされ、LEDから放出される波長がY軸にプロットされたグラフである。通常、一定の波長が必要であるが、波長は温度によって変動するという欠点がある。このグラフに示されているように、温度が上昇すると波長が増加し、観察者が望ましくない色の変化を知覚するという結果になる。同様の例が特定の値に関して右側に表示されている。本発明は、波長のこの変動を補償することを目的とする。
【0041】
図2の左側のグラフは、x軸にプロットされた電流と、y軸にプロットされた波長を示している。図2に見られるように、波長は供給される電流に応じて変化し、波長は電流の増加とともに減少する。右側に同様に特性曲線の変化が示されており、波長はy軸に、電流はx軸にプロットされている。
【0042】
本発明によれば、提供される電流によって波長を変更することもできるという事実を利用しつつ、波長が温度の変化に応じて変化するという欠点が克服される。
図3は、本発明の一態様を示し、具体的には、どの波長がどの温度に存在するかを決定することができ、さらに、対応する誤差関数がどのように構成されるかを計算することもできる。従って、例えば、20°Cおよび110°Cの値が考慮される。
【0043】
右側には対応するグラフが表示され、供給される電流がx軸に、波長がy軸にプロットされる。本発明によれば、図3のこれらの2つのグラフが結合され、左側のように温度に応じて増加する波長が、右側のように供給される電流に応じて下降する波長によって解消される。
【0044】
従って、本発明によれば、2つのグラフが組み合わされ、電流は温度の上昇とともに増加する。従って、波長は温度とともに上昇し、本発明によれば、波長の上昇は、左側の増加に応じて、右側の減少が生じるように、誤差関数が設定電流を増加させることで補償される。従って、本発明に従って生成される一定の波長が、2つの曲線上に重ね合わされる。
【0045】
結果として、本発明によれば、電流は、実際の温度変動または波長変動に応じて設定される。この方法は、グラフが各LED、即ち、赤色、緑色、青色、白色のLEDに対して作成されるように、反復的に実行することができる。
【0046】
図4は、提案されたシステム構成を示しており、左上に配置された温度センサは、コントロールユニットにおいて、またはLEDの直接の近傍で温度を測定し、測定値をアナログでアナログデジタルコンバーターに伝達する。このコンポーネントは、デジタル測定値を誤差関数コンポーネントに提供する。左側には、ワンタイムプログラマブルモジュール、即ち、略してOTPと呼ばれる不揮発性メモリが配置されている。誤差関数コンポーネントは、設定されるべき値をデジタルアナログコンバーターに送信し、デジタルアナログコンバーターは、LEDをアドレス指定する。
【0047】
図5は、LEDの一定の波長を設定するための提案された方法の概略フローチャートであり、方法は、予め設定された電流を使用してLEDを作動させるステップ100と、作動した(100)LEDの直接の近傍に配置された制御ユニットの実際の温度を測定するステップ101と、LEDの温度に応じて経験的に決定されたLEDの波長変動を提供するステップ102と、LEDの一定の波長を設定する(104)ために、実際の温度と経験的に決定された波長変動とに応じて、予め設定された電流を調整するステップ103とを含む。
【0048】
本発明の一態様では、温度を測定するための少なくとも1つのセンサが、少なくとも1つの測定場所に提供される。複数の測定場所がこの目的に適しており、例えば、正確に1つのLEDにおける測定場所、各LEDにおける測定場所、LEDに接続されたマイクロコントローラにおける測定場所、またはLEDの直接の近傍における測定場所がこの目的に適している。例えば、提案された方法が、複数の接続されたLEDに対して使用されてもよい。この場合、例えば、複数のLEDを直列に接続することが可能である。この複数のLEDが自動車に設置される場合、異なる使用場所で異なる温度が存在することが起こり得る。従って、LEDはそれら自体の作動によって単に加熱されるだけでなく、隣接する部品から温度が放射され得る。従って、本発明によれば、これを考慮に入れて、複数の測定場所における温度を決定することが可能である。この場合、直接の近傍とは、LEDの温度に関する結論を導き出すことを可能にする近傍を指す。従って、この温度はLEDにおいて直接確定可能である必要はなく、隣接する部品からの温度入力が無視できるように、温度センサがLEDから離間していてもよい。特に、これは、温度センサとLEDの接触という意味での物理的な接触が存在する必要がないことを意味する。
【0049】
本発明のさらなる態様では、LEDは3つのLEDユニットの3重の形を取り、LEDユニットは、各々異なる色を発光する。本発明によれば、個々のLEDも可能である。これには、カラーLEDを使用することができるという利点がある。特に、本発明によれば、従来のLEDを使用し続けることができ、本発明による利点が生じるように、これらの同じLEDの電流レギュレータを単に作動させることができる。さらに、提案された方法は、LEDの色設定とは無関係に輝度補償を行うことができるという利点を有する。この場合、本発明に従って再利用することができるLEDユニットを有するさらなるLEDが当業者に知られている。例えば、LEDユニットは、半導体モジュールの形態または任意の発光部品の形態をとる。異なる色の発光、または異なる波長の光は、所定の色値を設定するために使用される。
【0050】
本発明のさらなる態様では、記憶モジュールは、それぞれに電流が割り当てられる複数の温度値を提供する。これは、複数の温度値を考慮に入れることができ、LEDの同じ輝度値が常に設定されるように、複数の温度値を電流に対して予め決定することができるという利点を有する。特に、電流/温度ペアの数は、方法の準備ステップで決定することができる。
【0051】
従って、記憶モジュールまたは電流の記憶は、任意のタイプの記憶モジュールまたは記憶が可能であるように解釈されるべきである。従って、記憶モジュールは、作動中、即ち、電流レギュレータの作動中に書き込み可能でなければならないような方法で動的に設定されるべきものである必要はない。むしろ、記憶は、対応する情報が何らかの方法でハードウェアモジュールに導入されることを単に必要とするだけである。また、単一の記憶モジュールを提供するのではなく、電流を提供することを可能にするこの目的のためのさらなるコンポーネントを提供することが必要になる場合もある。
【0052】
好ましくは、LEDは、さらなるLEDチップも含み得るデバイスであると理解され得る。従って、本発明によるLEDは、さらなるLEDユニットまたは半導体チップからなる。この目的のために、例えば、RGB色空間に関して設定される、既知の赤色、緑色、および青色のLEDユニットを使用することができる。これらの個々のLEDユニットは、個々のLEDユニットの光が組み合わされて所定の色値を形成するように、LEDハウジング内で組み合わされる。従って、例えば、LEDが全体として白色光を放射するように混合比を設定することが可能である。この目的のために、拡散器などのさらなるデバイスも提供することができる。個々のLEDまたはLEDユニットの組み合わせの場合、個々のコンポーネントを適切に作動させることによって、任意の所望の色の光を設定することができる。従って、例えば、色の遷移も生成することができる。本発明によれば、例えば、マルチLEDコンポーネントを使用することができる。
図1
図2
図3
図4
図5