(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-09
(45)【発行日】2023-02-17
(54)【発明の名称】区画線の施工方法
(51)【国際特許分類】
E01C 23/20 20060101AFI20230210BHJP
E01C 23/09 20060101ALI20230210BHJP
E01F 9/524 20160101ALI20230210BHJP
E01F 9/518 20160101ALI20230210BHJP
【FI】
E01C23/20 Z
E01C23/09 Z
E01F9/524
E01F9/518
(21)【出願番号】P 2022152944
(22)【出願日】2022-09-26
【審査請求日】2022-09-28
(31)【優先権主張番号】P 2022025834
(32)【優先日】2022-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522070651
【氏名又は名称】中嶋 芳江
(74)【代理人】
【識別番号】100185270
【氏名又は名称】原田 貴史
(74)【代理人】
【識別番号】100225347
【氏名又は名称】鬼澤 正徳
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 芳江
【審査官】小倉 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-163511(JP,A)
【文献】特開平06-081311(JP,A)
【文献】特開2015-127482(JP,A)
【文献】特開昭52-042631(JP,A)
【文献】特開2003-272087(JP,A)
【文献】国際公開第87/002724(WO,A1)
【文献】特開2008-261089(JP,A)
【文献】特開平03-147904(JP,A)
【文献】特開2006-299540(JP,A)
【文献】特開2015-090057(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 23/20
E01C 23/09
E01F 9/524
E01F 9/518
E01F 9/506
E01F 9/576
E01C 23/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
区画線を舗装路に施工する区画線の施工方法において、
前記舗装路を掘削して溝を形成する第1工程と、
前記溝に複数の補強部を設け、かつ、複数の前記補強部の上端と、前記舗装路の表面である舗装路面とが同じ高さとなるように、複数の前記補強部の上端の高さを調整する第2工程と、
前記第2工程に次いで行われ、かつ、前記溝に前記区画線となる塗料を流し込む第3工程と、
前記第3工程で流し込まれた前記塗料の表面と、前記舗装路面とが同じ高さとなるように、前記塗料の表面の高さを調整する第4工程と、
を実行
し、
前記第2工程は、前記溝内に前記区画線の長手方向および幅方向において複数の前記補強部を点在して設ける区画線の施工方法。
【請求項2】
前記第1工程は、前記溝の形状
を台形状に形成する、請求項1記載の区画線の施工方法。
【請求項3】
前記第1工程より後であり、かつ、前記第3工程より前に行われ、前記溝に光を反射する反射部を設ける第5工程を実行する、請求項1または請求項2記載の区画線の施工方法。
【請求項4】
前記第2工程で設けられる前記補強部と、
前記第4工程で前記溝に流し込まれる前記塗料と、
前記第5工程で設けられる前記反射部と、
が、所定方向で異なる位置に配置される、請求項
3記載の区画線の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、舗装路の上面に区画線を形成する、区画線の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、舗装路の上面に横断歩道や中央線等の区画線を形成する、区画線の施工方法は、知られている。一般に、区画線は、ガラスビーズなどのフィラー、着色顔料、および合成樹脂を含む混合物である塗布材料を専用の施工機械により加熱により流動化された状態で舗装路面上に所定厚みで塗布し、冷めることにより固形化し、形成される。一方、横断歩道や中央線等の区画線が消えている地域や場所が存在し、メンテナンスがなされていないことも事実である。
【0003】
特許文献1には、「区画線を形成するための塗布材料を舗装路面に塗布するに先立って、該区画線を埋設するための埋設溝を該舗装路面に施工するための区画線埋設溝施工方法であって、前記舗装路面に塗布されるべき区画線の両側縁をそれぞれ含み該区画線の幅寸法の半分よりも小さな幅寸法をそれぞれ有する1対の側溝を、ダイヤモンドカッティングホイールにて該舗装路面にそれぞれ形成する側溝形成工程と、該側溝形成工程により形成された1対の側溝の間を、回転削除工具を用いて該側溝と略同様の深さで削除する削除工程とを、含むことを特徴とする区画線埋設溝施工方法。」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願発明者は、特許文献1に記載の施工方法によると、埋設溝内に塗料を形成するが、道路表面上に塗布された区画線の表面が、舗装路面よりも高い所に位置するため、区画線は車両の走行により急激に摩耗してしまう、という課題を認識した。また、本願発明者は、区画線が受ける荷重が過大である、という課題を認識した。
【0006】
本開示の目的は、道路表面上に塗布された区画線の表面が舗装路面と同程度の高さに位置させることにより、車両の走行による区画線の摩耗を最小限に抑えることができ、かつ、区画線が受ける車両の荷重を低減可能な、区画線の施工方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示における区画線の施工方法は、区画線を舗装路に施工する区画線の施工方法において、前記舗装路を掘削して溝を形成する第1工程と、前記溝に複数の補強部を設け、かつ、複数の前記補強部の上端と、前記舗装路の表面である舗装路面とが同じ高さとなるように、複数の前記補強部の上端の高さを調整する第2工程と、前記第2工程に次いで行われ、かつ、前記溝に区画線となる塗料を流し込む第3工程と、前記第3工程で流し込まれた前記塗料の表面と、前記舗装路面とが同じ高さとなるように、前記塗料の表面の高さを調整する第4工程と、を実行する。
【発明の効果】
【0008】
本開示の区画線の施工方法によれば、道路表面上に塗布された区画線の表面が舗装路面と同程度の高さに位置させることにより、車両の走行による区画線の塗料の摩耗を最小限に抑えるという効果を有する。また、区画線が受ける車両の荷重を低減可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1(a)は、本開示に係る一実施形態における区画線を施工した舗装路面の断面図、
図1(b)は、従来の方法において区画線を施工した舗装路面の断面図である。
【
図2】
図2(a),(b),(c)は、本開示に係る一実施形態における区画線を施工する方法を示した舗装路面の断面図である。
【
図3】
図3(a),(b),(c)は、本開示に係る一実施形態における溝の形状を示した舗装路面の断面図である。
【
図4】本開示に係る一実施形態における区画線の表面形状を示した舗装路面の断面図である。
【
図5】本開示に係る一実施形態における区画線のフローチャートである。
【
図6】区画線が形成された舗装路を示す平面図である。
【
図7】
図7(A),(B)は、区画線に補強部を設けた例を示す平面図、
図7(C)は、
図7(A),(B)のそれぞれにおいてVII-VII線に沿った縦断面図である。
【
図8】本開示に係る区画線の施工方法を示すフローチャートである。
【
図9】
図9(A)は、区画線の他の例を示す平面図、
図9(B)は、
図9(A)のIX-IX線における縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示における区画線の施工方法のいくつかの実施形態、及び区画線のいくつかの実施形態を、図を参照しながら説明する。なお、これはあくまでも一例であって、本開示に係る発明の技術的範囲はこれに限られるものではない。また、実施形態を説明するための全図において、同一部には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0011】
[1.構成]
本開示の区画線の施工方法は、
図1(a)及び
図6のように、区画線3を舗装路10の上面、つまり、舗装路面2に施工するための方法である。区画線3は、ガラスビーズ等のフィラー、着色(白色、または黄色)顔料、及び合成樹脂を含む混合物である塗料を固化させたものである。便宜上、舗装路面2は、平坦であり、かつ、略水平である例を説明する。区画線3は、
図6のように、舗装路10の幅方向の両端を示す側線3A、舗装路10に形成される車両の走行領域同士を区画する車線3B、横断歩道11の一部を構成する歩行線3C、横断歩道11の手前の停止線3D、のうちの何れであってもよい。車線3Bは、車両の走行方向に所定の間隔(切れ目)をおいて無数設けられたもの、または、車両の走行方向に切れ目のない連続的なもの、のうち何れでもよい。歩行線3Cは、舗装路10の幅方向に所定の間隔をおいて複数配置されている。舗装路10は、一例としてアスファルトまたはコンクリートの道路である。
【0012】
本開示の区画線の施工方法は、舗装路10に区画線3を構成する塗料が流し込まれる溝5を形成する第1工程と、舗装路10の表面を形成する舗装路面2に区画線3を構成する塗料4が流し込まれる溝を形成する第1工程と、第1工程で形成された溝に複数の補強部を設け、かつ、複数の補強部の上端と、舗装路面とが同じ高さとなるように、複数の補強部の上端の高さを調整する第2工程と、第2工程に次いで行われ、かつ、溝に塗料を流し込む第3工程と、第3工程で流し込まれた塗料の表面と、舗装路面とが同じ高さとなるように、塗料の表面の高さを調整する第4工程と、を実行する。本開示において、高さとは、鉛直方向、つまり、重力の高さ方向を意味する。
【0013】
図1は、本開示に係る一実施形態における方法において区画線を施工した舗装路面(
図1(a))と従来の方法において区画線を施工した舗装路面(
図1(b))とを比較するための断面図である。
図1(a)は、本開示に係る一実施形態における方法において区画線3を施工した舗装路面2の断面図である。溝5に塗料4が流し込まれ、塗料4が固化されて形成される区画線3の高さと、舗装路面2の高さをとが同じになる(
図2参照)。これにより車両の走行による区画線3を構成する塗料4の摩耗を最小限に抑えるという効果を有する。
【0014】
図1(b)は、従来の方法により区画線3を施工した舗装路面2の断面図である。舗装路面2上に区画線3を流し込んで施工しているため、区画線3の高さが舗装路面2よりも高くなっている。このため、区画線3の端部は、車両の走行により舗装路面に比べて摩耗し易い。一度、区画線3に亀裂が入ると、区画線3は、急激に劣化してしまう。したがって、道路の耐久年数よりも早く横断歩道や中央線等の区画線が消えている地域や場所が存在してしまう。
【0015】
図2(a),(b)は、本開示に係る一実施形態における区画線3を施工する区画線施工方法を示した舗装路面の断面図である。
図2(a)は、本開示に係る一実施形態における区画線3を構成する塗料4を流し込む溝5を示した舗装路面の断面図である。溝5は、切削機により舗装路面2上に所定の長さ、所定の幅、及び所定の深さの矩形状の溝を掘削する。舗装路面2上に溝5を掘削する方法は、切削機による路面切削工と切削オーバーレイ工等が知られている。
【0016】
予め、区画線3となる粉末の塗料4を加熱溶解させて液状化させて用意する。液状化させた塗料4を掘削した溝5内に流し込む(
図2(b))。この際、矩形状の溝5に必要、かつ、十分な塗料が流し込むことに点に留意する。なお、液状化させた塗料4の流し込み処理が1回で溝5の深さに対して、十分でない場合には、2回以上の流し込み処理を繰り返してもよい。
【0017】
溝5に流し込んだ塗料4の表面が舗装路面2と平行で、かつ、舗装路面2の表面と同程度の高さになるように処理する(
図2(c))。液状化させた塗料4は、急速に固形化するので、迅速に処理する必要がある。高さとは、溝5の底面から測った高さを意味する。舗装路面2と同程度の高さとは、区画線3の高さと舗装路面2の高さが所定の範囲内で同じ高さを意味し、例えば、区画線3の高さが舗装路面2の高さに対して、±0.5cm等である。
【0018】
区画線3の高さが舗装路面2に対して所定の範囲内になっておらず、区画線3の高さが舗装路面2に比べて低い場合には、再度液状化させた塗料4を溝5流し込む必要がある。区画線3の高さが舗装路面2に対して所定の範囲内になっておらず、区画線3の高さが舗装路面2に比べて高い場合には、区画線3の高い部分を削る必要がある。
【0019】
図3(a),(b),(c)は、本開示に係る一実施形態における溝の形状を示した舗装路面2の断面図である。溝の断面の形状は、矩形形状に限られない。以下は、溝の断面の形状の例示的列挙である。溝6は、塗料4が流し込まれる溝の形状が逆台形状をしているものである(
図3(a))。逆台形状の溝6は、矩形形状の溝5に比べて、溝6の両端の掘削処理が容易である。
【0020】
溝7は、塗料4が流し込まれる溝の形状が台形状をしているものである(
図3(b))。掘削処理が比較的大変ではあるが、溝7の両端に位置する舗装路面2が摩耗しても、区画線3が見える状態となっている。溝8は、塗料4が流し込まれる溝の形状が半楕円形状をしているものである(
図3(c))。
【0021】
図4は、本開示に係る一実施形態における区画線3の表面(上面)9の形状を曲率半径Rの円周曲面とした舗装路面2の断面図である。区画線3の表面9と、舗装路面2とは、同一平面を構成していない。表面9は、
図4の点線A1の交点Q1を中心とする、曲率半径Rの円弧状でもよい。
【0022】
図5は、本開示における区画線の施工方法のフローチャートである。ステップS1は、舗装路面2上に溝5を掘削する工程である。溝5は、掘削機により所定の長さ、所定の幅、所定の深さに掘削される。舗装路面2上に溝5を掘削する方法は、切削機による路面切削工と切削オーバーレイ工等により行われる。溝5の断面の形状は、矩形形状に限られず、逆台形状の溝6、半楕円形状の溝8等がある(
図3参照)。
【0023】
ステップS2は、舗装路面2上に掘削された溝5の深さが所定の深さに対して許容範囲内か否かをチェックする工程である。例えば、舗装路面2上に掘削された溝5の深さが所定の深さに対して、±0.5cm等の許容範囲内であるかをチェックする。
【0024】
ステップS2において、溝5の深さが許容範囲より浅い場合には、再度、舗装路10を掘削する(ステップS1に戻る)。一方、ステップS2において、溝5の深さが許容範囲より深い場合には、溝5を掘削した舗装路10の材料で埋め直す必要がある(S3)。ステップS2の判断は、溝5の深さが所定の深さに対して許容範囲内となるまで繰り返し行われる。
【0025】
ステップS2において、溝5の深さが許容範囲内であると、ステップS4に進む。ステップS4は、掘削された溝5に区画線3が液体化された塗料4を流し込む工程である。流し込む塗料4の量が十分ではない場合には、2回以上にわたって塗料4を流し込んでもよい。
【0026】
ステップS4に次ぐステップS5は、溝5に流し込んだ塗料4の表面と、舗装路面2とが同じ高さになるように、塗料4の表面の高さを調整する。液状化させた塗料4は、急速に固形化するので、迅速に処理する必要がある。舗装路面2と同程度の高さとは、区画線3の高さと舗装路面2の高さが所定の範囲内で同じ高さを意味し、例えば、区画線3の高さが舗装路面2の高さに対して、±0.5cm等である。
【0027】
ステップS5に次ぐステップS6は、区画線3の高さが舗装路面2に対して所定の許容範囲内か否かをチェック(判断)する工程である。ステップS6において、区画線3の高さが舗装路面2に対して所定の範囲内になっておらず、区画線3の高さが舗装路面2に比べて低い場合には、ステップS4に戻り、液状化させた塗料4を再度、溝5に流し込む必要がある。再度、区画線3の高さを調節して、区画線3の高さが舗装路面2に対して所定の許容範囲内か否かをチェックする。
【0028】
ステップS6の判断は、区画線3の高さが舗装路面2に対して所定の許容範囲内になるまで繰り返し行う。ステップS6において、区画線3の高さが舗装路面2に対して所定の範囲内になっておらず、区画線3の高さが舗装路面2に比べて高い場合には、ステップS5に戻り、区画線3の高い部分を削る必要がある。
【0029】
そして、ステップS6において、再度、区画線3の高さが舗装路面2に対して所定の許容範囲内か否かをチェックする。ステップS6において、区画線3の高さが舗装路面2に対して所定の許容範囲内であると、
図5に示す区画線の施工方法を終了する。
【0030】
図5のステップS5の工程において、区画線3の表面(上面)9の形状を曲率半径Rの円周曲面とした舗装路面2の断面図である。区画線3の表面9と、舗装路面2とは、同一平面を構成していない。表面9は、
図4の点線A1の交点Q1を中心とする、曲率半径Rの円弧面でもよい。
【0031】
[2.効果]
本開示の区画線3の施工方法によれば、舗装路10に設けた区画線3の表面が舗装路面2と同じ高さに位置することができ、車両の走行による区画線3の摩耗を最小限に抑えるという効果を有する。よって、舗装路10に設けられた区画線3の寿命が長くなり、メンテナンスの間隔も長くなるという効果を有する。
【0032】
[3.他の例]
区画線3の他の例を、
図7(A),(B),(C)を参照して説明する。ここでは、区画線3が、
図6を参照して説明した車線3Bである例を説明する。
図7(A)は、区画線3の幅方向D1及び長手方向D2に沿って配置した複数の補強部12により、区画線3を補強した例である。長手方向D2における溝5及び区画線3のそれぞれの寸法は、幅方向D1における溝5及び区画線3のそれぞれの寸法より大きい。
図7(B)は、区画線3の幅方向に等間隔で配置した複数の補強部12と、区画線3の長手方向に異なる間隔で配置した複数の補強部12とにより、区画線3を補強した例である。全ての補強部12は、
図7(C)のように、それぞれ、溝5の底面から高さ方向に突出された円柱形状を有する。全ての補強部12の下端は、溝5の底面に固定されている。全ての補強部12の上端は平坦面であり、全ての補強部12の上端は、舗装路面2と同じ高さに位置する。複数の補強部12は、コンクリート製である。
図7(A),(B)のように区画線3を平面視すると、区画線3内に複数の補強部12が複数、具体的には無数が点在して配置されている。
【0033】
図7(A),(B),(C)に示す他の区画線3の施工方法は、
図8のフローチャートに示されている。
図8に示す工程において、
図5に示す工程と同じ工程は、
図5と同様の符号を付してある。
図8のステップS2の工程で、溝5の深さが許容範囲内にあると判断されると、ステップS7の工程において、補強部12が溝5内に設けられる。補強部12は、溝5内に配置される前にコンクリートにより成形され、かつ、固化されていてもよい。また、溝5内に型枠を置き、その型枠へコンクリートを注入することにより、補強部12を成形してもよい。なお、型枠は、ステップS7の工程で溝5内から取り除く。ステップS7の工程が行われた後、ステップS4の工程が行われる。
【0034】
ステップS7の工程において、全ての補強部12の上端と舗装路面2とが同じ高さになるように、全ての補強部12の高さが調整される。補強部12を形成するコンクリートが固化されている場合、補強部12の上端を工具で切削する。補強部12を形成するコンクリートが固化していない場合、補強部12の上端のコンクリートを取り除く。複数の補強部12が設けられ、かつ、全ての補強部12の上端の高さと、区画線3の高さと、舗装路面2の高さとが同じである。このため、舗装路10を走行する車両のタイヤの外周面は、補強部12の上端及び区画線3の表面の両方に接触する。したがって、車両の荷重の一部を補強部12で受けることができ、区画線3が受ける車両の荷重を低減できる。
【0035】
区画線3の他の例を、
図9(A),(B)を参照して説明する。
図9(A)は、区画線3を平面視したものであり、
図9(B)は、
図9(A)のIX-IX線における縦断面図である。ここでは、区画線3が、
図6を参照して説明した車線3Bである例を説明する。溝5内には、2つの反射部13が設けられている。2つの反射部13は、幅方向D1で間隔をおいて配置されている。2つの反射部13は、長尺形状である。2つの反射部13は、基材に、車両のライトの光を反射する反射材、例えば、マイクロプリズムの粉粒を含有させたものである。区画線3は、溝5内に設けられた複数の構成部30を有する。複数の構成部30は、幅方向D1で間隔をおいて配置されており、かつ、複数の構成部30は、長尺状である。また、複数の構成部30は、幅方向D1において2つの反射部13の間に配置されている。
【0036】
さらに、補強部12が、構成部30と構成部30との間に設けられ、補強部12が、反射部13と構成部30との間に設けられている。
図9(A),(B)に示す補強部12、構成部30、反射部13は、舗装路10の幅方向で異なる位置にそれぞれ並べて配置されている。
図9(B)のように、各補強部12の上端、各構成部30の上端、各反射部13の上端は、舗装路面2と同じ高さに位置する。
図9(A),(B)の区画線3は、
図8の施工方法で形成できる。
図8において、ステップS7で反射部13を溝5に設けることができる。また、ステップS7で溝5に設けられる補強部12と、ステップS4で溝5に流し込まれる塗料4と、ステップS7で溝5に設けられる反射部13とが、幅方向D1で異なる位置に配置される。
【0037】
図9(A),(B)に示す区画線3は、車両のタイヤの外周面が、各補強部12の上端及び各構成部30の上端の両方に接触する。したがって、車両の荷重の一部を各補強部12で受けることができ、区画線3が受ける車両の荷重を低減できる。また、区画線3と共に反射部13が設けられていると、車両が夜間に走行する場合、反射部13が車両のライトを反射するため、運転者は区画線3を認識し易い。
【0038】
区画線3の他の例を、
図10(A),(B)を参照して説明する。
図10(A)は、区画線3を平面視したものであり、
図10(B)は、
図10(A)のX-X線における縦断面図である。ここでは、区画線3が、
図6を参照して説明した車線3Bである例を説明する。溝5内には、複数の反射部13が設けられている。複数の反射部13は、長手方向D2で間隔をおいて配置されている。区画線3は、溝5内に設けられた複数の構成部30を有する。複数の構成部30は、長手方向D2で間隔をおいて配置されている。また、複数の構成部30は、長手方向D2において反射部13同士の間に配置されている。さらに、補強部12が、構成部30と構成部30との間に設けられ、補強部12が、反射部13と構成部30との間に設けられている。
【0039】
図10(B)のように、各補強部12の上端、各構成部30の上端、各反射部13の上端は、舗装路面2と同じ高さに位置する。
図10(A),(B)の区画線3は、
図8の施工方法で形成できる。
図8において、ステップS7で反射部13を溝5に設けることができる。
図8のステップS7で溝5に設けられる補強部12と、ステップS4で溝5に流し込まれる塗料と、ステップS7で溝5に設けられる反射部13とが、長手方向D2で異なる位置に配置される。
図10(A),(B)に示す区画線3は、車両のタイヤの外周面が、各補強部12の上端及び各構成部30の上端の両方に接触する。したがって、車両の荷重の一部を各補強部12で受けることができ、区画線3が受ける車両の荷重を低減できる。
【0040】
さらに、本開示における区画線の施工方法により、
図6に示す横断歩道11の歩行線3Cを形成し、かつ、停止線3Dを形成することもできる。停止線3Dは、各走行領域に応じて、舗装路10の幅方向の一部を横断するように設けられる。また、停止線3Dと横断歩道11との間には、車両の走行方向において所定の間隔が設けられる。区画線3の高さは、舗装路10の表面の高さと同じであるため、横断歩道11と停止線3Dとの間に水が溜まることを抑制できる。したがって、車両のタイヤが舗装路10でスリップすることを抑制できる。なお、停止線3Dは、舗装路10の幅方向の全部を横断するように設けられてもよい。
【0041】
[4.補足説明]
図8のステップS1が、第1工程であり、ステップS7が、第2工程及び第5工程である。ステップS4が、第3工程であり、ステップS5が、第4工程である。第5工程は、第1工程より後であり、かつ、第3工程より前に行われる。なお、ステップS1及びステップS7を並行して行ってもよい。つまり、舗装路10を掘削機で削って溝を設ける工程で、補強部12が形成されるように溝を設けてもよい。この場合、補強部12の材料は、舗装路10と同じ材料になる。そして、ステップS1及びステップS7を行った後、ステップS2の工程を行う。
【0042】
また、
図7(C)に示す溝5に代えて、
図3に示す溝6,7,8の何れかであってもよい。さらに、
図4に示す溝6に、補強部12及び区画線3が設けられていてもよい。さらに、
図7(A),(B),(C)に示す補強部12の形状は、円柱でなく四角柱でもよい。幅方向D1及び長手方向D2は、所定方向の一例である。補強部の上端は、高さ方向の上端である。また、舗装路の平面視は、重力の作用方向で舗装路を真上から見ることである。区画線の平面視は、重力の作用方向で区画線を真上から見ることである。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本開示は、舗装路の上面に区画線を形成する、区画線の施工方法として利用可能である。
【符号の説明】
【0044】
2…舗装路面
3…本開示に係る区画線
4…本開示に係る区画線の塗料
5…本開示に係る区画線の塗料が流し込まれる矩形状の溝
6…本開示に係る区画線の塗料が流し込まれる逆台形状の溝
7…本開示に係る区画線の塗料が流し込まれる台形状の溝
8…本開示に係る区画線の塗料が流し込まれる半楕円形状の溝
9…本開示に係る逆台形状の溝に流し込まれた円形状の区画線の表面
10…舗装路
12…補強部
13…反射部
【要約】
【課題】車両の走行による区画線の塗料の摩耗を最小限に抑えることができ、かつ、区画線が受ける車両の荷重を低減可能な区画線の施工方法を提供する。
【解決手段】区画線を舗装路に施工する区画線の施工方法において、舗装路を掘削して溝を形成するステップS1と、溝に複数の補強部を設け、かつ、複数の補強部の上端と、舗装路の表面である舗装路面とが同じ高さとなるように、複数の補強部の上端の高さを調整するステップS7と、ステップS7に次いで行われ、かつ、溝に塗料を流し込むステップS4と、ステップS4で流し込まれた塗料の表面と、舗装路面とが同じ高さとなるように、塗料の表面の高さを調整するステップS5と、を実行する、区画線の施工方法である。
【選択図】
図8