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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-09
(45)【発行日】2023-02-17
(54)【発明の名称】情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/0637 20230101AFI20230210BHJP
【FI】
G06Q10/06 328
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2022547665
(86)(22)【出願日】2021-11-01
(86)【国際出願番号】 JP2021040294
(87)【国際公開番号】W WO2022092318
(87)【国際公開日】2022-05-05
【審査請求日】2022-08-03
(31)【優先権主張番号】P 2020182514
(32)【優先日】2020-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517145120
【氏名又は名称】今泉 竜
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100154748
【弁理士】
【氏名又は名称】菅沼 和弘
(72)【発明者】
【氏名】今泉 竜
【審査官】貝塚 涼
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/004027(WO,A1)
【文献】国際公開第2007/060780(WO,A1)
【文献】特開2002-032393(JP,A)
【文献】特開2003-330946(JP,A)
【文献】特開2005-284548(JP,A)
【文献】特開2012-093870(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の設問が、「イノベーション」の所定の種類又は所定の内容と対応付けられて記憶されている設問記憶部と、
キーワード又は文章を所定の変換方針に従って他のキーワード又は他の文章に変換するデバイスを変換デバイスとして、相異なる変換方針が夫々採用された複数種類の前記変換デバイスの夫々が、「イノベーション」の所定の種類又は所定の内容と夫々対応付けられて記憶されている変換デバイス記憶部と、
の夫々に対してアクセス可能な情報処理装置において、
ユーザに対する事前調査に基づいて、当該ユーザが求める「イノベーション」の種類及び内容の少なくとも一部を推定する推定手段と、
前記推定手段による推定の結果に基づいて、前記設問記憶部から設問を抽出するか、又は、抽出した設問を加工することで、1以上の設問を設定する設問設定手段と、
前記設問設定手段により設定された前記1以上の設問の夫々に対する前記ユーザの回答から、複数の第1キーワード又は第1文章を抽出する探索手段と、
前記推定手段の推定結果に基づいて、前記探索手段により抽出された前記複数の第1キーワード又は第1文章に対して適用する変換デバイスを、前記変換デバイス記憶部から抽出する第1変換デバイス抽出手段と、
前記探索手段により抽出された前記複数の第1キーワード又は第1文章の夫々を、前記第1変換デバイス抽出手段により抽出された前記変換デバイスを用いて、複数の第2キーワード又は第2文章の夫々に変換する第1変換手段と、
前記第1変換手段により変換された前記複数の第2キーワード又は前記第2文章の少なくとも一部についてコンテキスト化することで、1以上の第3文章を生成する定義手段と、
前記定義手段により前記1以上の第3文章が生成された後に所定条件が満たされた場合、前記1以上の第3文章を認識した前記ユーザの入力操作に基づいて、複数の第4キーワード又は第4文章を設定する展開手段と、
所定ルールに基づいて、前記展開手段により抽出された前記複数の第4キーワード又は第4文章に対して適用する前記変換デバイスを、前記変換デバイス記憶部から抽出する第2変換デバイス抽出手段と、
前記展開手段により抽出された前記複数の第4キーワード又は第4文章の夫々を、前記第2変換デバイス抽出手段により抽出された前記変換デバイスを用いて、複数の第5キーワード又は第5文章の夫々に変換する第2変換手段と、
前記第2変換手段により変換された前記複数の第5キーワード又は前記第5文章の少なくとも一部についてコンテキスト化することで、1以上の第6文章を生成する提供手段と、
を備え、
前記推定手段乃至前記定義手段の処理まで実行する第1パターン、
前記推定手段乃至前記定義手段の処理まで実行した後に、前記展開手段の処理まで実行する第2パターン、及び
前記推定手段乃至前記定義手段の処理まで実行した後に、前記展開手段乃至前記提供手段の処理を1回以上繰り返す第3パターン
のうち、前記ユーザに求められるパターンを実行する、
情報処理装置。
【請求項2】
前記第1変換手段により変換された前記複数の第2キーワード又は第2文章の夫々を、所定の観点でスコアリングするスコアリング手段をさらに備え、
前記定義手段は、前記スコアリング手段によるスコアリングの結果を考慮して、コンテキスト化を実行する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば、IT技術や遺伝子改変技術等のあらゆる分野において、技術の発展が著しく進んでいる。
それに伴って、ビジネスの態様も多岐に渡り、IT技術や遺伝子改変技術等に関わらず、あらゆる業界において、様々なビジネスモデルが提案されている。それに伴い、ビジネスモデルを提案するための技術についても、数多く提案がなされている(例えば、特許文献1参照)。
例えば、特許文献1には、ビジネスのモデル化に関し、ビジネスモデルを比較し、又は対比をする技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-285955号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術を含め従来の技術では、既存のビジネスモデルを比較し、その組合せによる効果を検討することができるに過ぎない。このため、ユーザの独創的なアイデアや社会的な変革といったイノベーティブな情報を取り入れた新たなビジネスモデルを創り出すことが想定されていない。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたイノベーション専門のビジネスモデル設計手法であり、イノベーティブな情報が反映された新たなビジネスモデルを創り出すための根源となり得る情報を操作可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一態様の情報処理装置は、
ユーザに対する事前調査により求められた、当該ユーザにとって「イノベーション」と把握するもの並びに当該ユーザが求める「イノベーション」の種類及び内容に基づいて設定された1以上の所定の質問に対する当該ユーザからの回答に含まれる1以上の第1キーワードを抽出する抽出手段と、
前記抽出手段により抽出された前記1以上の第1キーワードの夫々を、所定の変換デバイスを用いて1以上の第2キーワードの夫々に変換する変換手段と、
前記変換手段による変換の結果として出力された前記1以上の第2キーワードに基づいて、前記ユーザにとってのイノベーションの内容を生成する生成手段と、
を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、イノベーティブな情報が反映された新たなビジネスモデルを創り出すための根源となり得る情報を操作することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係る情報処理装置が適用される情報処理システムにより実現される本サービスの概要を示す図である。
図2図1の本サービスにおいて用いられる現状確認書の一例を示す図である。
図3図1の本サービスにおいて用いられる、イノベーションの種類と、切口と、設問と、デバイスの対応関係を示す表の一例を示す図である。
図4】従来の手法による「イノベーション」の内容の創出プロセスを視覚化させたグラフである。
図5】本サービスによる「イノベーション」の内容の創出プロセスを視覚化させたグラフである。
図6図3の「イノベーション」の内容の創出プロセスを応用した、「ビジネス」の内容の創出プロセスを視覚化させたグラフである。
図7図5のイノベーションの創出プロセスにおけるステップSS31乃至SS33のプロセスを示す具体例を示す図である。
図8図5のイノベーションの創出プロセスにおけるステップSS34乃至SS36のプロセスを示す具体例を示す図である。
図9図7のイノベーティブな手段の展開(拡散)の段階においてユーザに提示されるインターフェースの一例を示す図である。
図10】本発明の一実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図11図6の情報処理装置の機能的構成のうち、イノベーション創出支援処理に係る機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。
図12図11の機能的構成を有する情報処理装置により実行されるイノベーション創出支援処理の例を説明するフローチャートである。
図13図12の発散処理のうち、図5に示すキャッツアイの左側のアイのプロセスにおける発散処理の例を説明するフローチャートである。
図14図12の発散処理のうち、図5に示すキャッツアイの右側のアイのプロセスにおける発散処理の例を説明するフローチャートである。
図15図11の情報処理装置により実行されるイノベーション作成処理に用いられる公式(formula)の一例を示す図である。
図16】は、図11の機能的構成を有する情報処理装置において用いられるデバイスのうち、「相対」のデバイスを生成又は更新するための情報処理の一例を示す図である。
図17】は、図11の機能的構成を有する情報処理装置において用いられるデバイスのうち、「等価」のデバイスを生成又は更新するための情報処理の一例を示す図である。
図18】は、図11の機能的構成を有する情報処理装置において用いられるデバイスのうち、「加減」の「加」のデバイスを生成又は更新するための情報処理の一例を示す図である。
図19】は、図11の機能的構成を有する情報処理装置において用いられるデバイスのうち、「加減」の「減」のデバイスを生成又は更新するための情報処理の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。
【0010】
まず、本発明の一実施形態に係る情報処理装置の適用対象となるサービス(以下、「本サービス」と呼ぶ)の概要について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る情報処理装置が適用される情報処理システムにより実現される本サービスの概要を示す図である。
【0011】
本サービスは、サービス提供者(図示せず)によりユーザ(図示せず)に対して提供されるサービスである。本サービスには、イノベーションの内容の提供、イノベーティブな発想の支援等が含まれる。本サービスの提供を受けるユーザには、イノベーションの内容の提供を希望する自然人、及びそのような自然人からの依頼を受けたサービス提供者等が含まれる。
【0012】
ここで、本明細書で用いられる「イノベーション」や「イノベーティブ」の語は、新たな考え方や技術を取り入れて新たな価値を生み出すことで、個人や社会に革新、刷新、変革をもたらすもの、又はその考え方や行動を意味するものとして利用される。
「イノベーション」としては、例えば「プロダクト・イノベーション」、「サービス・イノベーション」、といった種類を設けることができる。
詳細は後述するが、このうち、「プロダクト・イノベーション」とは、手に取ることができる「モノ」の分野における「イノベーション」のことをいう。これに対して、「サービス・イノベーション」とは、手に取ることはできないが、目に見えたり感じたりすることができる「コト」のサービスの分野における「イノベーション」のことをいう。
【0013】
このように、「イノベーション」や「イノベーティブ」の語は、様々な意味を有する多義的な概念として用いられる。このため、「イノベーション」や「イノベーティブ」を具体的にどのようなものとして捉えるかは人夫々であるといえる。例えば、「何か革新されたのか」、「どのような方向性で革新されたのか」、「革新の結果どの程度の変化が生じたのか」といった点の捉え方の違いで、どのようなものを「イノベーション」として捉えるかに差が出てくる。また、ユーザの中には、自分がどのようなものや行動を「イノベーション」として捉え、また、自身がどのような内容の「イノベーション」を求めているのかを明確化させることができない者もいる。
【0014】
そこで、本サービスでは、まずユーザが「イノベーション」をどのようなものとして把握しているのかを明確化させる作業が行われる。そして、ユーザにとって「イノベーション」と把握されると予測される内容が、「イノベーション」の内容として提案される。
【0015】
図1のステップSS1に示すように、本サービスでは、ユーザが「イノベーション」をどのようなものとして把握し、また、どのような種類やどのような内容の「イノベーション」を求めているのかを推定するための手法として、「現状確認書」が採用されている。なお、「現状確認書」とは、テキスト等がユーザに視認可能なものであれば足り、紙媒体に限定されない。例えば、所定のディスプレイに表示されるものでもよい。
即ち、本サービスの提供者は、ユーザに現状確認書を提示し、その現状確認書に対するユーザの回答(例えばそれに含まれるキーワード)に基づいて、ユーザが「イノベーション」をどのようなものとして把握し、どのような種類やどのような内容の「イノベーション」を求めているのかを明確化させる。
また、別途取得されるユーザのプロフィール等を含むユーザに関する情報(以下、「ユーザ情報」と呼ぶ)もユーザが「イノベーション」をどのようなものとして把握し、どのような種類やどのような内容の「イノベーション」を求めているのかを明確化させるための情報として利用される。
【0016】
例えば、ユーザに提示される現状確認書は、図2に示されるように複数の確認内容から構成される。
図2は、図1の本サービスにおいて用いられる現状確認書の一例を示す図である。
その確認内容の具体的な内容としては、例えば、「現在の問題は?」、「業界の問題・または社会問題は?」、「何をしてゆきたいか?(新規事業・更なるビジネス・現状打破、戦略策定・戦略整理)」、「解決したい問題は?また、困りごとは何ですか?」、「貴社の業界の敵は?」、「貴社の商品から余る資源は?廃棄・空き・ゴミなどは?(もったいない)5W1Hで。」等が含まれる。
また、現状確認書には、未だ可視化されていない問題点を可視化させるべくユーザから具体的な事実等を引き出すことを目的としたものとは異なる確認内容が含まれていてもよい。具体的には例えば、図2に示すように、「貴社の商品の進歩の歴史を教えて下さい。」といった、一見イノベーションを直接的に想起させないような確認内容を含んでいてもよい。これにより、ユーザは、提示された確認内容に対して気負わずに回答することができる。
なお詳しくは後述するが、ユーザに提示される確認内容の他の例は、図2に示すとおりである。
【0017】
このような現状確認書に含まれる複数の確認内容の夫々に対して、ユーザからの回答が受け付けられる。例えば回答は、所定の情報処理装置(具体的には例えば後述の図6の情報処理装置1)に対するユーザの操作により入力されて、当該情報処理装置により受付けられる。
【0018】
具体的には例えば、現状確認書における「現在の問題は何だと思いますか?」という確認内容に対するユーザからの回答が、「ティッシュペーパーの新製品のイメージが浮かばない」というものであったとする。この場合、情報処理装置(具体的には例えば後述の図11の情報処理装置1)において、「ティッシュペーパー」、「新製品」、「イメージ」、「浮かばない」といったキーワードが抽出されて解析が行われる。その結果、例えば「このユーザは、新しい製品を開発することを少なくとも「イノベーション」と把握している」という判定結果が出力される。
また例えば、「どのようにイノベーションしたいですか?」という確認内容に対するユーザからの回答が、「今まで存在しなかった新しいものを世に出したい」というものであったとする。この場合、情報処理装置(具体的には例えば後述の図11の情報処理装置1)において、「存在しなかった」、「新しいもの」、「世に出したい」といったキーワードが抽出されて解析が行われる。その結果、例えば「このユーザは、新しいものを公開することを少なくとも「イノベーション」と把握している」という解析結果が出力される。更に言えば、「存在しなかった」を換言すると「既に存在している、既知の常識となっているものではない」ことから、ユーザは常識を覆すイノベーション、即ち、「破壊的イノベーションを「イノベーション」ととらえているといる」という判定結果が出力される。なお、破壊的イノベーションといったイノベーションのタイプの詳細については、後述する。
【0019】
このようにして、図1のステップSS2及びSS3に示すように、ユーザが「イノベーション」をどのようなものとして把握し、どのような種類やどのような内容の「イノベーション」を求めているのかが明確にされた上で、ユーザに対して「切口」に基づいた「設問」が提示される。
【0020】
ユーザに提示される設問がどのようなプロセスで生成されるのかについては特に限定されないが、本サービスでは以下のようなプロセスで設問が作成される。
まず、情報処理装置(具体的には例えば後述の図11の情報処理装置1)において、「ユーザに提示される設問を抽出するための条件としての「切口」」が設定される。例えばイメージとしては、各種設問が円柱(樹木の幹)に分布しているとして、その円柱に対して所定角度で鋸が入れられて所定範囲だけ切り取られた面(切口)に分布している各種設問がユーザに対して提示される。この場合の鋸が入れられる「所定角度」や切り取られる「所定範囲」が、ユーザにとって「イノベーション」として把握されるものや、ユーザが求められている「イノベーション」の種類や内容に応じて可変することになる。
即ち、ユーザにとって「イノベーション」として把握されるもののうち、ユーザが求めている種類や内容のものがユーザに提案されるためには、より適切な問い(質問)がユーザに対してなされる必要がある。
【0021】
そこで、より適切な問い(質問)を抽出すための条件としての「切口」が、ユーザにとって「イノベーション」として把握されるものや、ユーザが求められている「イノベーション」の種類や内容に応じて設定される。
【0022】
「イノベーション」の種類としては、例えば上述した「サービス・イノベーション」や、「プロダクト・イノベーション」が存在する。
「プロダクト・イノベーション」とは、手に取ることができる「モノ」の分野における「イノベーション」のことをいう。
「サービス・イノベーション」とは、手に取ることはできないが、目に見えたり感じたりすることができる「コト」のサービスの分野における「イノベーション」のことをいう。
また、「イノベーション」の種類としては、例えば「破壊的・イノベーション」、「ソーシャル・イノベーション」、「ビジネスモデル・イノベーション」が存在する。
「破壊的・イノベーション」とは、従来の常識や価値観を覆す「イノベーション」のことをいう。
「ソーシャル・イノベーション」とは、社会問題を解決することができる「イノベーション」のことをいう。
「ビジネスモデル・イノベーション」とは、商品の製方法造や役務の提供方法等におけるプロセスを削減することのできる「イノベーション」のことをいう。
【0023】
具体的な「切口」の設定手法は、特に限定されないが、ここでは説明の便宜上、イノベーションの種類と「切口」とが対応付けられている手法が採用されているものとする。即ち、図3に示す表(対応関係)が予め情報処理装置(具体的には例えば後述の図11の情報処理装置1)に格納されており、当該表(対応関係)に基づいて「切口」が設定される手法が採用されているものとする。
図3は、図1の本サービスにおいて用いられる、イノベーションの種類と、切口と、設問と、デバイスの対応関係を示す表の一例を示す図である。
【0024】
以下、図3の表を用いて、切口の具体例について説明する。なお、図3の表に含まれる、設問、及びデバイスについては、後述する。
【0025】
具体的には例えば、情報処理装置(具体的には例えば後述の図11の情報処理装置1)において、現状確認書やユーザ情報に基づいて、「破壊的・イノベーションを「イノベーション」ととらえているといる」という推定結果が出力されたものとする。
この場合、情報処理装置(具体的には例えば後述の図11の情報処理装置1)において、図3の表において「破壊的・イノベーション」に対応付けられた「やられたらまずいこと」や「これをやったらおしまい」といった「切口」が設定される。
【0026】
また例えば、ユーザがティッシュペーパーの製造業者であることが別途取得されたユーザ情報によって特定され、情報処理装置(具体的には例えば後述の図11の情報処理装置1)において、このユーザ情報と現状確認書に基づいて、「プロダクト(モノ)としてのティッシュペーパーが、ユーザが求める「イノベーション」の内容である」という推定結果、即ち、「ティッシュペーパーについてのプロダクト・イノベーションを「イノベーション」ととらえているといる」という推定結果が出力されたものとする。
この場合、情報処理装置(具体的には例えば後述の図11の情報処理装置1)において、図3の表において「プロダクト・イノベーション」に対応付けられた「破壊的」、「新結合」、「科学技術」、「再利用」といった「切口」が設定される。
【0027】
また例えば、別途取得されたユーザ情報の内容が不十分であり、ユーザが製造している製品を特定できないような場合であっても、情報処理装置(具体的には例えば後述の図11の情報処理装置1)において、現状確認書によりユーザが求めている「イノベーション」の内容が「ユーザが製造している製品」という推定結果、即ち、「ユーザが製造している製品についてのプロダクト・イノベーションを「イノベーション」ととらえているといる」という推定結果が出力されたものとする。
この場合、情報処理装置(具体的には例えば後述の図11の情報処理装置1)において、図3の表において「プロダクト・イノベーション」に対応付けられた「破壊的」、「新結合」、「科学技術」、「再利用」といった「切口」が設定される。
【0028】
また例えば、情報処理装置(具体的には例えば後述の図11の情報処理装置1)において、現状確認書により、「ユーザは社会問題解決を含めばイノベーションと認める」という推定結果が出力されたものとする。
この場合、情報処理装置(具体的には例えば後述の図11の情報処理装置1)において、判定結果に含まれるキーワード「社会的問題解決」が図3の表の「切口」に含まれていると認識され、当該「社会問題解決」といった「切口」が設定される。
【0029】
また例えば、情報処理装置(具体的には例えば後述の図11の情報処理装置1)において、現状確認書により、「ユーザ自身のプロダクト(モノ)としてのティッシュペーパーが、ユーザが求める「イノベーション」の内容である」という推定結果が出力されたものとする。
この場合、「ユーザ自身のプロダクト(モノ)としてのティッシュペーパー」に関する設問が抽出されるような「切口」が設定されてもよい。即ち、図3の表には「その商品の常識は?」という設問が存在する。そこで、情報処理装置(具体的には例えば後述の図11の情報処理装置1)において、図3の表において当該設問に対応付けられた「破壊的」という「切口」が設定される。
【0030】
また例えば、別途取得されたユーザ情報の内容が不十分であり、ユーザが製造している製品を特定できないような場合であっても、情報処理装置(具体的には例えば後述の図11の情報処理装置1)において、現状確認書によりユーザが求めている「イノベーション」の内容が「ユーザが製造している製品」という推定結果が出力されたものとする。
この場合、「ユーザが製造している製品」に関する設問が抽出されるような「切口」が設定されてもよい。即ち、図3の表には「その商品の常識は?」という設問が存在する。そこで、情報処理装置(具体的には例えば後述の図11の情報処理装置1)において、図3の表において当該設問に対応付けられた「破壊的」という「切口」が設定される。
【0031】
以上、「切口」の設定手法として、図3の表(対応関係)を用いて設定する手法について説明したが、上述したように当該手法に特に限定されない。
具体的には例えば、現状確認書やユーザ情報に基づいて何らかの手法により設定された「切口」に基づいて、「設問」が実際に抽出又は生成され、この「設問」に基づいて後述する手順により「イノベーション」の内容が実際にユーザに推薦された場合に、当該ユーザの評価(後述するスコア等)が得られる。この場合、「現状確認書やユーザ情報の内容」、「切口」、「設問」、推薦された「イノベーションの内容」、「ユーザの評価」の組を学習データとして、所定の機械学習が行われると、「現状確認書やユーザ情報の内容」を入力すると「切口」を出力するモデルが生成又は更新される。そのモデルを用いて「切口」を設定する、という手法を採用することができる。
【0032】
このようにして1以上の「切口」が設定されると、その1以上の「切口」に基づいて、ユーザに提示するのに適した1以上の「設問」が抽出又は生成される。
ここで、「設問」とは、「切口」に基づいて抽出又は生成された、ユーザに対して提示される質問文である。
また、「抽出」又は「生成」としているのは、例えば本例では図3の表の中に多数の設問が予め用意されているものとされているため、当該設問が単に「抽出」される場合もあるが、1以上の「切口」に基づいて1以上の設問のうち少なくとも一部が「生成」される場合もあるからである。なお、図3の表の設問に含まれるキーワードが変換される程度の加工も、「生成」に含まれるものとする。
【0033】
具体的には例えば、ユーザのプロダクト(モノ)が「ティッシュペーパー」であることが現状確認書により確認されて、切口が「破壊的」である場合には、情報処理装置(具体的には例えば後述の図11の情報処理装置1)において、図3の表の「破壊的」に対応する「その商品の常識は?」という設問が抽出され、当該設問に基づいて、「ティッシュペーパーにおける常識とは何ですか?」といった設問が生成される。
【0034】
また例えば、別途取得されたユーザ情報の内容が不十分であり、ユーザが製造している製品を特定できないような場合であっても、情報処理装置(具体的には例えば後述の図11の情報処理装置1)において、現状確認書によりユーザが求めている「イノベーション」の内容が「ユーザが製造している製品」というという判定結果が出力されたものとする。この場合も、上述したように「切口」が「破壊的」であるならば、情報処理装置(具体的には例えば後述の図11の情報処理装置1)において、図3の表の「破壊的」に対応する「その商品の常識は?」という設問が抽出される。ただし、本例では、上述の「ティッシュペーパー」とは異なり「ユーザが製造している製品」といったように抽象的な情報しか特定できないため、情報処理装置(具体的には例えば後述の図11の情報処理装置1)において、対象を敢えて特定することなく、単に「商品における常識は何ですか?」という設問が、抽出した設問に基づいて生成される。
【0035】
また例えば、イノベーションの種類として、ビジネス分野におけるプロダクト・イノベーションを前提とするものの、「転用」の切口の、「自社の強みの技術は何か?」という設問が存在し得る。
これは、ユーザのビジネス分野におけるプロダクトを前提としたイノベーションの種類であるが、「自社の強みの技術は何か?」という設問を前提に、後述する「加」の「デバイス」を用いて「シフト」することでユーザのビジネス分野以外に対して転用するイノベーションを可能とする設問である。
具体的には例えば、ユーザのビジネス分野は、化学フィルムの製造・販売であったとする。ユーザは、自社の強みの技術は何か?という設問に対して、「ナノ化学」と答えたとする。詳しくは後述するが、このような回答を、他分野に加える(適用する)ことで、ユーザのビジネス分野以外に転用するイノベーションの結果を得ることもできるのである。
即ち、本サービスの技術は、ユーザのビジネス分野におけるイノベーション以外にも適用可能となるのである。
【0036】
ここで、何ら手掛かりとなる情報を持たないユーザが、イノベーションの内容を独自に発想することは容易ではない。このため、広範な内容の回答が認められる抽象的な設問(以下、「オープンクエスチョン」と呼ぶ)をユーザに提示したとしても、多くのユーザはどのように回答してよいのかを迷い、回答に窮してしまう。
そこで、本サービスでは、例えば上述の設問の例(ティッシュペーパーに関する設問)のように、形式的にはオープンクエスチョンではあるものの、実質的には限定的な回答のみが求められる具体的な設問(以下、「クローズドクエスチョン」と呼ぶ)に近い態様の設問が提示される。
即ち、ユーザに提示される設問は、未だ可視化されていない問題点を可視化させるべく、ユーザから具体的な事実等を引き出すことを目的とした内容になっている。このため、本サービスによりユーザに提示される設問は、ユーザにとって回答し易いものになっている。
【0037】
以上のようなプロセスで抽出又は生成された設問は、図1のステップSS4に示すように、情報処理装置(例えば図11の情報処理装置1)に表示されることでユーザに提示される。そして、ユーザが情報処理装置を操作することで、設問に回答するための文章(以下、「回答文章」と呼ぶ)を入力すると、その入力情報が取得される。
【0038】
そして、図1のステップSS6に示すように、回答文章に基づいて、キーワードが抽出される。そして、図1のステップSS7に示すように、キーワードが所定のデバイスを用いて機械的にシフト(変換)される。
【0039】
具体的には、本サービスでは、ユーザにとって「イノベーション」として把握してもらえるような内容を提案するための手法として、「インタンジブル・キーワード」を用いる手法が採用されている。
「インタンジブル・キーワード」とは、設問に対する回答文章に含まれる1以上のキーワードを、所定のデバイスを用いて機械的にシフト(変換)させた結果得られる他のキーワードをいう。
ここでいう「デバイス」とは、所定の変換方式によって回答文章に含まれるキーワードを「インタンジブル・キーワード」にシフト(変換)させる変換器のことをいう。デバイスは、複数種類存在し、所定デバイス(例えば後述の図11のデバイスDB182)に予め記憶されて管理されている。
なお、デバイスの変換の手法は特に限定されない。例えば、「相対」、「加減」、「等価」、「因果」といったものをデバイスとして採用することができる。このうち、「相対」は、回答文章に含まれるキーワードを、反対の意味を持つ「インタンジブル・キーワード」にシフト(変換)させるデバイスである。「加減」は、回答文章に含まれるキーワードに所定要素を加えた「インタンジブル・キーワード」にシフト(変換)させたり、回答文章に含まれるキーワードから所定要素を減らした「インタンジブル・キーワード」にシフト(変換)させたりするデバイスである。「等価」は、回答文章に含まれるキーワードを、同等又は上位概念の意味を持つ「インタンジブル・キーワード」にシフト(変換)させるデバイスである。
また、デバイスの生成又は更新の具体例については、図16乃至図19を参照して後述する。
また、詳細については後述するが、図5のステップSS35において用いられるデバイスは、前段のステップSS34において得られた1以上の文章の夫々を、後段のステップSS36に示す1以上の文章の夫々に変換するものである。即ち、以下、デバイスとは、1以上のキーワード又は1以上の文章を入力すると、所定の変換方式によって変換した1以上のキーワード又は1以上の文章を出力するものをいう。
【0040】
本サービスでは、設定された「切口」の内容に基づいて、シフト(変換)に用いるべき1以上のデバイスが選択される。具体的には例えば、本例では、図3の表において、「切口」、「設問」、及びデバイスが予め対応付けられているため、図3の表(対応関係)に基づいて、デバイスが選択される。
例えば「切口」が「破壊的」である場合には、シフト(変換)に用いるべきデバイスとして、「相対」が選択される。
ここで、例えば上述の「切口」に対して「ティッシュの常識は何ですか?」という設問が生成されたものとし、この設問に対するユーザの回答文章に「白い」、「色がない」、「上から引く」、「四角い」、「箱に入っている」というキーワードが含まれているものとする。
この場合、デバイスとしての「相対」が選択されると、例えば「白い」というキーワードが「黒い」という反対の意味を持つ「インタンジブル・キーワード」にシフト(変換)される。また、同様に、「色がない」、「上から引く」、「四角い」、「箱に入っている」といったキーワードの夫々は、「色がある」、「下から押す」、「丸い」、「箱に入っていない」といった「インタンジブル・キーワード」に夫々シフト(変換)される。
【0041】
上述したように、デバイスによるシフト(変換)は機械的に行われる。ここで、「機械的に行われる」とは、ユーザの意思が伴う操作を介在することなく行われること、即ちユーザの意思とは独立して自動的に行われるという意である。
即ち、デバイスは、社会的常識や個人的常識(ユーザにとっての常識)に囚われることなく、所定の変換式(後述の図13等参照)に従って機械的にシフト(変換)を行う。なお、ここで「所定の変換式に従って機械的にシフトを行う」とは、所定の変換式による演算がリアルタイムに行われることに特に限定されず、例えば後述するように所定の変換式に従って作成された学習データを用いた機械学習により生成されたモデル(デバイス)が自動的に出力することも含む広義な概念である。
このため、シフト(変換)された結果として生成される「インタンジブル・キーワード」は、ユーザにとって社会的常識の範囲を超えた内容になることがある。このようなことから、ユーザにとって社会的常識や個人的常識の範囲を超えた「インタンジブル・キーワード」は、「イノベーション」を創出するためのヒントとして利用することができる。
しかしながら、ユーザは、このようにしてデバイスによるシフト(変換)の結果得られる「インタンジブル・キーワード」の羅列を単に取得したとしても、これに基づいて「イノベーション」の内容を創作することは容易なことではない。そこで、本サービスでは、さらに、「インタンジブル・キーワード」のスコアリングが行われる。
【0042】
即ち、本サービスでは、図1のステップSS8に示すように、回答文章に含まれる複数のキーワードが複数の「インタンジブル・キーワード」にシフト(変換)されると、複数の「インタンジブル・キーワード」の夫々に対するスコアリングが様々な観点で行われる。具体的には例えば、イノベーティブ性、コスト性、実現性、収益性といった観点でスコアリングが行われる。
【0043】
ここで、ユーザにとっての「イノベーション」の意味が、ティッシュペーパーというプロダクト(モノ)の新製品を開発することであり、「イノベーティブ性」という観点で「インタンジブル・キーワード」のスコアリングが行われたとする。この場合、ティッシュは「白い」というキーワードがシフトされた結果得られた「黒い」という「インタンジブル・キーワード」のスコアリングは、例えば以下のような手法を用いて行われる。即ち、インターネットの検索サイトで「黒いティッシュペーパー」についてのキーワード検索を行い、そのヒット件数や検索結果の内容の妥当性に基づいてイノベーティブ性の評価を行う。そして、その評価結果がスコアとして示される。
【0044】
また例えば、「コスト性」という観点で「インタンジブル・キーワード」のスコアリングが行われたとする。この場合、「黒い」という「インタンジブル・キーワード」のスコアリングは、例えば以下のような手法を用いて行われる。
即ち、黒いティッシュペーパーを実際に製造することになった場合に生じ得るコストがどの程度であるかを試算し、その試算結果に基づいてコスト性の評価を行う。
具体的には例えば、黒いティッシュペーパーを製造しようとする場合において、従来の製造ラインを変更したり増設したりすることなく、使用するインクの種類を増やすことで実現できるとする。この場合、低コストで実現可能いう点が評価されるので、スコアは高得点となる。
【0045】
また、「インタンジブル・キーワード」のスコアリングは、ユーザによる直接の評価を反映させることもできる。例えば、「収益性」という観点で「インタンジブル・キーワード」のスコアリングが行われたとする。この場合、「黒い」という「インタンジブル・キーワード」のスコアリングは、ユーザが「黒い」という音の響きに価値を見出した場合には、スコアが高得点となる。
【0046】
「インタンジブル・キーワード」のスコアリングが行われると、夫々スコアリングされた1以上の「インタンジブル・キーワード」に基づいて「タンジブル・センテンス」が生成される。
「タンジブル・センテンス」は、1以上の「インタンジブル・キーワード」を所定方式にしたがって繋ぎ合わせ、調整を加えることで生成される文章である。以下、このような作業のことを「コンテキスト化」と呼ぶ。
なお、1以上の「インタンジブル・キーワード」を繋ぎ合わせる際に用いられる方式は特に限定されず、例えばキーワードの要点同士を接合させる方式(要点接合法)等を採用することができる。
また例えば、テキストマイニングの技術を用いる方式(以下、「テキストマイニング」と略記する)を採用することもできる。即ち、テキストマイニングの一例として、所定のキーワードや文節を文章化したり、文章を要約して短い文章とする技術がAI(Artificial Intelligence)等により実現化されている。そこで1以上の「インタンジブル・キーワード」をこのようなAIに入力することで、当該AIにより繋ぎ合わされた文章が出力される。
上述の所定の要点接合法やテキストマイニングにより、例えば、「ティッシュペーパー」というプロダクト(モノ)について「黒い」、「箱に入っていない」といった「インタンジブル・キーワード」がコンテキスト化されることで、「黒くて箱に入っていないティッシュペーパー」といった「タンジブル・センテンス」が生成される。
なお、本サービスにおいて「インタンジブル・キーワード」をコンテキスト化させて「タンジブル・センテンス」を生成することは必須ではない。
【0047】
「タンジブル・センテンス」が生成されると、「タンジブル・センテンス」、又は「インタンジブル・キーワード」の「具現化」が行われる。「具現化」とは、「タンジブル・センテンス」及び「インタンジブル・キーワード」を、所定分野(業界商品)のビジネスモデルに適用した場合の具体例を生成することをいう。以下、ビジネスモデルとして「具現化」されたものを「タンジブル・アンサー」と呼ぶ。
具体的には例えば、「黒くて箱に入っていないティッシュペーパー」という「タンジブル・センテンス」が生成されたとする。この場合、「黒くて箱に入っていないティッシュペーパー」を、ティッシュペーパーの製品の分野のビジネスモデルに適用した場合の具体例が「タンジブル・アンサー」として生成される。
なお、「タンジブル・アンサー」の生成においても、上述の要点接合法やテキストマイニングを用いることができる。
【0048】
本サービスでは、「インタンジブル・キーワード」、「タンジブル・センテンス」、及び「タンジブル・アンサー」のうち少なくとも1つに基づいて、ユーザのビジネス分野(業界商品)における「イノベーション」の内容が生成される。
この「イノベーション」の内容は、例えば上述の所定の要点接合法やテキストマイニングを採用することで、文章として生成が可能である。そして、生成された「イノベーション」の内容がユーザに提案される。
【0049】
次に、図4及び図5を参照して、「イノベーション」の内容の生成プロセスついて説明する。
図4は、従来の手法による「イノベーション」の内容の創出プロセスを視覚化させたグラフである。図4のグラフは、2つのひし形(ダイヤモンド型)が連なっているため、ダブルダイヤモンドと呼ばれる。
【0050】
図4のグラフには、従来の手法による「イノベーション」の内容の創出プロセスが、時刻t(横軸)と選択肢の幅c(縦軸)との関係によって示されている。なお、図4のある時刻tにおける選択肢の幅cは、縦方向に大きな長さを持つほど、その時点の選択肢の幅cが大きいことを示している。
従来の「イノベーション」の内容の創出プロセスは、解決すべき「正しい問題を見つける」作業と、その問題を解決するための「正しい解決策を見つける」作業とによって実現されていた。
【0051】
具体的には、図4に示すステップSS21からステップSS24のプロセスを経ることで「イノベーション」の内容が生成される。
即ち、問題の洗い出しを行う「探索(Discover)」の段階(ステップSS21)では、いわゆるブレーンストーミング等の手法によって選択肢が発散(選択肢の幅cが増加)する。ここで、選択肢の幅cが1回目のピークP11を迎える。
次に、洗い出された問題の絞り込みを行う「定義(Define)」の段階(ステップSS22)では、選択肢が収束(選択肢の幅cが減少)する。このようにして、解決すべき「正しい問題を見つける」ことができる。
次に、見つけ出された問題の解決策の洗い出しを行う「展開(Develop)」の段階(ステップSS23)では、ブレーンストーミング等の手法によって再び選択肢が発散(選択肢の幅cが増加)する。ここで、選択肢の幅cが2回目のピークP12を迎える。
最後に、洗い出された解決策の絞り込みを行う「提供(Deliver)」の段階(ステップSS24)では、選択肢が収束(選択肢の幅cが減少)する。このようにして、見つけ出された問題を解決するための「正しい解決策を見つける」ことができる。
【0052】
このように、図4に示す従来の手法を用いて「イノベーション」の内容を創出しようとする場合、ステップSS21からステップSS22に移行するタイミング、及びステップSS23からステップSS24に移行するタイミングで選択肢の幅cの瞬間的なピーク(ピークP11及びP12)を迎えることになる。
【0053】
図5は、本サービスによる「イノベーション」の内容の創出プロセスを視覚化させたグラフである。
【0054】
図5のグラフには、本サービスによる「イノベーション」の内容の創出のプロセスが、時刻t(横軸)と選択肢の幅c(縦軸)との関係によって示されている。なお、図5のある時刻tにおける選択肢の幅cは、縦方向に大きな長さを持つほど、その時点の選択肢の幅cが大きいことを示している。また、図5のグラフにおける選択肢の幅cは、回答文章に含まれるキーワード、「インタンジブル・キーワード」、又は「タンジブル・センテンス」等の数を意味する。
本サービスによる「イノベーション」の内容の創出は、図2に示す従来の手法と同様に、解決すべき「イノベーティブな目的」を見つける作業と、その問題を解決するための「イノベーティブな手段」を見つける作業とによって実現される。即ち、本サービスでは、(イノベーション専用の)「設問」から後述のステップSS31乃至SS36を経ることにより、解決すべき「イノベーティブな目的」を見つけると共に、「イノベーティブな手段」を見つけることが可能となる。
【0055】
なお、本実施形態においては、上述のように、ユーザが「イノベーション」をどのようなものとして把握し、どのような種類やどのような内容の「イノベーション」を求めているのかが明確にされた上で、ユーザに対して「切口」に基づいた(イノベーション専用の)「設問」が提示される。つまり、このような設問に対する回答に基づいて、後述する図5の問題の洗い出しを行う「探索(Discover)」の段階(ステップSS31)が行われる。このように、「切口」に基づいた「設問」が提示された上で図5のステップSS31乃至SS36のプロセスを経ることで、「イノベーション」の内容が創出されるため、これを「イノベーション・マスターアルゴリズム」と呼ぶことができる。
【0056】
具体的には、本サービスでは、図5に示すステップSS31からステップSS36のプロセスを経ることで「イノベーション」の内容が創出される。
即ち、問題の洗い出しを行う「探索(Discover)」の段階(ステップSS31)では、問いに対する回答文章に含まれるキーワードの数(選択肢の幅c)が発散(増加)する。ここで、選択肢の幅c(回答文章に含まれるキーワードの数)がピークP21を迎えるが、図5に示すピークP21は、図2に示すピークP11とは異なり、瞬間的ではなく一定時間維持される。これは、本サービスでは、ピークP21を迎えたタイミングで、回答文章に含まれる複数(幅cの数分)のキーワードが所定のデバイスによって複数(幅cの数分)の「インタンジブル・キーワード」にシフト(変換)されるからである(ステップSS32)。
シフト(変換)が完了すると、シフト(変換)の結果生成された複数の「インタンジブル・キーワード」の絞り込みを行う「定義(Define)」の段階(ステップSS33)に進む。ステップSS33では、「インタンジブル・キーワード」を「タンジブル・センテンス」にコンテキスト化させる作業が行われる。これにより、選択肢の幅cが「タンジブル・センテンス」の数だけ収束(減少)する。このようにして、解決すべき「イノベーティブな目的を見つける」ことが可能となる。
【0057】
次に、見つけ出された問題の解決策の洗い出しを行う「展開(Develop)」の段階(ステップSS34)では、例えば「タンジブル・センテンス」の中から選択されたイノベーティブなキーワードについて、具現化の手法(作る手段)を幾つか列挙することで選択肢が発散する。ここで、選択肢の幅cがピークP22を迎えるが、ピークP21と同様に、シフト(変換)が行われるため(ステップSS35)、ピークの状態が一定時間維持される。
最後に、洗い出された解決策の絞り込みを行う「提供(Deliver)」の段階(ステップSS36)では、上述の「具現化」の作業が行われ、「タンジブル・アンサー」が得られる。これにより、選択肢の幅cが「タンジブル・アンサー」の数だけ収束する。このようにして、見つけ出された目的を解決するための「イノベーティブな手段を見つける」ことができる。即ち、「タンジブル・アンサー」が生成される。
このように、本サービスによって「イノベーション」の内容を創出しようとする場合、ステップSS32及びステップSS35の夫々のシフト(変換)が行われている間、選択肢の幅cの継続的なピーク(ピークP21及びP22)を迎えることになる。
【0058】
具体的には例えば、上述の例で示した「黒くて箱に入っていないティッシュペーパー」という「タンジブル・センテンス」が生成されたとする。そして、この「タンジブル・センテンス」の中から、イノベーティブな単語として、黒いティッシュペーパーが選択されたものとする。
この場合、ステップSS34において、黒いティッシュペーパーを作る手段の拡散が行われる。例えば、幾つか列挙された手段として、高価な新しい資材を利用する、黒いインクを多量に使う、という手段があったものとする。
ステップSS35において、黒いティッシュペーパーを作る幾つかの手段の夫々が、所定のデバイスによりシフト(変換)が行われる。そして、ステップSS36において、「タンジブル・アンサー」が得られる。
例えば、所定のデバイスとして、加減の「減」というデバイスが採用され、「高価な新しい資材を利用する」が「安価な廃材を利用する」に変換され、「黒いインクを多量に使う」が「黒いインクを少量使う」に変換されたものとする。
この場合、安価な廃材を利用して、その後のインクも少量で済む方法で作れば、安くて黒いティッシュペーパーの提供が可能になる。即ち、プロダクト・イノベーションとしての「タンジブル・アンサー」が得られることになる。
【0059】
なお、図5のグラフにおける上述のステップSS31乃至SS36に対応する2つの六角形を猫の目に見立てて、「キャッツアイパターン」と呼ぶことができる。このような「キャッツアイパターン」を経ることにより、「タンジブル・アンサー」が、創出される。
【0060】
また、図5のグラフにおける上述のステップSS31乃至SS34に対応する1つの六角形と1つの三角形を魚に見立てて、「フィッシュパターン」と呼ぶことができる。このような「フィッシュパターン」を経ることにより、「具現化の手法(作る手段)」が、創出される。ここで、ユーザが一定の審美眼を有する場合、創出された「具現化の手法(作る手段)」までを把握すれば、実際に今後どのような手段を取ればよいかを把握することが可能となる。即ち、上述の例で言えば、黒いティッシュペーパーを作るいくつかの手段を把握すれば、実際に今後どのような手段を取ればよいかを把握することが可能となる。つまり、一定の審美眼を有するユーザに対してはフィッシュパターンまでが提供されれば、イノベーションの創出の支援が達成され得る。
【0061】
なお、「イノベーティブな目的」を把握することを希望するユーザに対しては、図5のグラフにおける上述のステップSS31乃至SS33に対応する1つの六角形までを経ることでイノベーションの創出の支援が達成され得ることは言うまでもない。
逆に、ステップSS36で満足しないユーザに対しては、キャッツアイのパターンのうち右側のアイに相当するステップSS34乃至SS36のプロセスを複数回繰り返して実行してもよい。
【0062】
また、図5のグラフにおける上述のステップSS31乃至SS36に対応するイノベーションの創出プロセスは、1つの(イノベーション専用の)「設問」に基づく例として説明した。しかしながら、図5のグラフにおける上述のステップSS31乃至SS36に対応するイノベーションの創出プロセスは、複数の(イノベーション専用の)「設問」に基づいて行うことができる。
即ち、図5において、(イノベーション専用の)「設問」という矢印の下部に「・・・」で示されるように、複数の「設問」がユーザに提示され、設問に対する回答の夫々に基づいて、ステップSS31乃至SS36に対応するイノベーションの創出プロセスを経ることにより、複数の「タンジブル・アンサー」を得ることができる。これにより、ユーザは複数の「タンジブル・アンサー」からより好適と思われる「イノベーティブな手段」を選択することが可能となる。また例えば、「タンジブル・センテンス」や「タンジブル・アンサー」に基づいて、適宜複数回のイノベーションの創出プロセスを経ることでより、よりイノベーティブな手段を創出することもできる。即ち、複数の「設問」により図5における縦軸方向に、複数回のイノベーションの創出プロセスを経ることで図5における横軸方向に、更に発展させることができる。このように展開することを、ステップSS31乃至SS36に係る複数の六角形の形状を蜂(Bee:ビー)の巣(Hive:ハイヴ)に見立て、「ビーハイヴパターン」と呼ぶこともできる。
【0063】
以上、図5を用いて、本サービスによる「イノベーション」の内容の創出プロセスについて説明した。
ここで、図6を用いて、本サービスによる「イノベーション」の内容の創出プロセスを、「イノベーション」以外の内容、即ち、問題解決・ブランディング・マーケティングといった「ビジネス」の内容に適用した例について説明する。
【0064】
図6は、図5の「イノベーション」の内容の創出プロセスを応用した、「ビジネス」の内容の創出プロセスを視覚化させたグラフである。
【0065】
図6のグラフには、本サービスによる「ビジネス」の内容の創出のプロセスが、時刻t(横軸)と選択肢の幅c(縦軸)との関係によって示されている。なお、図6のある時刻tにおける選択肢の幅cは、縦方向に大きな長さを持つほど、その時点の選択肢の幅cが大きいことを示している。また、図6のグラフにおける選択肢の幅cは、回答文章に含まれるキーワード、「インタンジブル・キーワード」、又は「タンジブル・センテンス」等の数を意味する。
本サービスによる「ビジネス」の内容の創出は、図5に示す従来の手法と同様に、解決すべき「ビジネスの目的」を見つける作業と、その問題を解決するための「ビジネスの手段」を見つける作業とによって実現される。即ち、図5の「イノベーション」の内容の創出プロセスを応用することにより、(イノベーション以外の)「設問」から図5を用いて説明したのと基本的に同様のステップSS31乃至SS36を経ることにより、解決すべき「ビジネスの目的」を見つけると共に、「ビジネスの手段」を見つけることが可能となる。
【0066】
即ち、図5を用いた本サービスの例と異なり、「イノベーション」に限定されない、ユーザにより求められている「ビジネス」が明確にされた上で、その所定のビジネスに関してユーザに対して「切口」に基づいた「設問」が提示されてもよい。つまり、上述の(イノベーション専用の)「設問」の代わりに、(イノベーション以外の)「設問」、即ち、(問題解決・ブランディング・マーケティングといった、ビジネス専用の)「設問」が提示されてもよい。この場合、同様に図5のステップSS31乃至SS36のプロセスを経ることで、「ビジネス」の内容が創出されるため、これを「ビジネス・マスターアルゴリズム」と呼ぶことができる。
【0067】
ここで、以下、上述のティッシュペーパーに関するイノベーションの創出プロセスの例についてまとめる。本例では、図5のステップSS31乃至SS36のキャッツアイのパターン(六角形が2回繰り返されるパターン)が採用されている。
【0068】
まず、図7を参照して、キャッツアイのパターンのうち左側のアイ(前段)に相当する図5のステップSS31乃至SS33のプロセスについて説明する。
図7は、図5のイノベーションの創出プロセスにおけるステップSS31乃至SS33のプロセスを示す具体例を示す図である。
【0069】
図7に示すように、ステップSS31において、「ティッシュペーパーにおける常識とは何ですか?」という「設問」がユーザに提示される。
具体的には例えば、上述したように、「切口」の1つが「プロダクト(モノ)としてのティッシュペーパー」である場合には、「商品(ここではティッシュペーパー)における常識とは何ですか?」といった設問が抽出される。そして、ユーザに対して「切口」に基づいた(イノベーション専用の)「設問」が提示される。
【0070】
次に、図7に示すように、提示された設問に対するユーザの回答文章に基づいて、「白い」、「色がない」、「上から引く」、「四角い」、「箱に入っている」といったキーワードがティッシュペーパーにおける常識として抽出される。
即ち、上述の「ティッシュの常識は何ですか」という「設問」に対するユーザの回答文章に含まれる「白い」、「色がない」、「上から引く」、「四角い」、「箱に入っている」というキーワードが抽出される。
【0071】
次に、図7に示すように、ステップSS32において、「相対」という「デバイス」を用いたシフト(変換)が実行される。
即ち、上述の場合において、デバイスとしての「相対」が選択されると、例えば「白い」というキーワードが「黒い」という反対の意味を持つ「インタンジブル・キーワード」にシフト(変換)される。また、同様に、「色がない(白い)」、「上から引く」、「四角い」、「箱に入っている」といったキーワードの夫々は、「色がある(黒い)」、「下から押す」、「丸い」、「箱に入っていない」といった「インタンジブル・キーワード」に夫々シフト(変換)される。このように、「相対」という「デバイス」を用いて、回答文章に含まれる「常識」のキーワードが、「非常識」のキーワードにシフト(変換)される。
【0072】
次に、図7に示すように、ステップSS33において、「タンジブル・センテンス」が生成される。
具体的には例えば、まず、ステップSS32におけるシフト(変換)の結果である複数の「インタンジブル・キーワード」の夫々に対するスコアリングが様々な観点で行われる。即ち、「色がある(黒い)」、「下から押す」、「丸い」、「箱に入っていない」といった「インタンジブル・キーワード」の夫々について、イノベーティブ性、コスト性、実現性、収益性といった観点でスコアリングが行われる。
そして、「インタンジブル・キーワード」のスコアリングが行われると、夫々スコアリングされた1以上の「インタンジブル・キーワード」に基づいて「タンジブル・センテンス」が生成される。即ち例えば、「色がある(黒い)」及び「箱に入っていない」という「インタンジブル・キーワード」に基づいて、「黒くて箱に入っていないティッシュペーパー」という「タンジブル・センテンス」が生成される。
【0073】
以上をまとめると、本サービスでは、イノベーティブな目的を見つけるためのステップSS31乃至SS33においては、(1)ユーザに対する設問とその回答、(2)回答に含まれるキーワードの「インタンジブル・キーワード」へのシフト(変換)、(3)「インタンジブル・キーワード」のスコアリング、(4)「インタンジブル・キーワード」のコンテキスト化による「タンジブル・センテンス」の生成、が行われる。
ここで重要な点は、(1)の前処理として、ユーザが「イノベーション」をどのようなものであると把握し、どのような「イノベーション」の内容を望んでいるのかを明確化させる点である。これにより、「イノベーション」の語の多義性に伴い生じ得る、ユーザの意図に沿わないイノベーションの内容が提供されることを防止することができる。また、ユーザ自身がどのようにして「イノベーション」を生み出していくのかを一切知らなくても、ユーザ自身の常識(想像できる範囲)内で(1)をするだけで、後は自動的に(2)乃至(4)の処理がなされ、その結果として、ユーザに対する「イノベーション」の内容の提案が可能となる。ここで、前処理の結果が考慮されて(1)が行われたり(3)が行われるので、その結果として、ユーザに提案される「イノベーション」の内容は、ユーザの意図に沿ったものとなる。それゆえ、ユーザの満足度を向上させることができる。
【0074】
以上、図5のキャッツアイのパターンにおける、左側のアイに相当するステップSS31乃至SS33のプロセスについて図7を参照して説明した。次に、図8及び図9を参照して、右側のアイに相当するステップSS34乃至SS36のプロセスについて説明する。
図8は、図5のイノベーションの創出プロセスにおけるステップSS34乃至SS36のプロセスを示す具体例を示す図である。
図9は、図7のイノベーションのための手段の拡散の段階(ステップSS34)においてユーザに提示されるインターフェースの一例を示す図である。
まず、図8に示すように、ステップSS34において、「黒くて箱に入っていないティッシュペーパーを作るために必要な手段は何ですか?」という「設問」がユーザに提示される。
具体的には例えば、ユーザには、図9に示すインターフェースが提示される。
図9に示すインターフェースには、「黒く箱に入っていないティッシュペーパーを作るために必要な手段をたくさん挙げてください」という設問が表示されている。また、図9に示すインターフェースには、「モノ(材料など)という観点で広げるとよいですよ」「プロセス(作る工程など)という観点で広げるとよいですよ」といったガイドが表示されている。
このように、本サービスでは、ユーザに対して、イノベーションを具体化ための設問が設定される。そして、ユーザは、その設問に対する回答文章を入力することができる。
具体的には例えば、図9に示すインターフェースには、回答欄が複数用意されている。そして、図9の例において、ユーザは、「紙材料(パルプ)を使う」、「黒インクを使う」、「製紙する」、「包装する」といった回答を入力している。
このように、本サービスではさらに、設問が、クローズドエスチョン又はクローズドエスチョンにより近いオープンクエスチョンとなるように、ユーザに対してガイドを表示することができる。
これにより、ユーザは、設問に対してより容易に回答することができるようになる。その結果として、図8に示すように、設問から拡散がなされるのである。
【0075】
次に、図8に示すように、ステップSS35において、ユーザによる回答文章について「デバイス」によるシフト(変換)がなされる。
ステップSS35における「デバイス」によるシフト(変換)においては、回答文章の夫々は、複数の「デバイス」のうち異なる「デバイス」の夫々によりシフト(変換)されてもよい。しかしながら、図8の例の回答文章は、全て、「加減」の「減」のデバイスにより、シフトされるものとして説明する。
【0076】
図8に示すように、「デバイス」として「加減」の「減」のデバイスが採用された場合、上述の回答文章の夫々は、「古紙を使う」、「黒インクを減らす」、「薄く製紙する」、「包装を減らす」といったインタンジブル・キーワードにシフト(変換)される。
即ち、「加減」の「減」の「デバイス」は、『材料』『コスト』『プロセス』『リスク』『人』『手間』『問題』『時間』『空間』等を『減』することのできる「デバイス」である。減のデバイスを生成する方法については、図19を用いて後述する。
【0077】
なお、本サービスでは、情報処理により自動的に「デバイス」によるシフト(変換)をするのみならず、「デバイス」に応じたガイドをユーザに提示することで、ユーザ自身により「デバイス」によるシフト(変換)をさせることもできる。
これにより、ユーザにとって、イノベーションの「具現化の手法(作る手段)」を養うことができる。
【0078】
また、ユーザは、図5のステップSS31乃至SS33のプロセスにより、イノベーティブな目的を導出するのみならず、図5のステップSS34乃至SS36のプロセスにより、イノベーティブな手段を導出することができる。即ち、どのようなイノベーションを実現するかが導出された後に、どのようにイノベーションを実現するかが導出されると言える。
例えばユーザは、ステップSS31乃至SS33のプロセスによりタンジブル・センテンスを導出したとしても、その内容に納得できないことがある。また例えば、ユーザは、その内容を実施できないことがある。そこで、ユーザはステップSS31乃至SS36のプロセスにより、イノベーティブな手段(どのようにイノベーションを実現するか)をより具体的に検討・導出することができるようになる。
このとき、ユーザは、ステップSS34において、イノベーティブな目的を達成するために必要な手段についての設問に回答する。
即ち、本例では、ユーザはティッシュペーパーの製造業者である。即ち、ユーザは、ティッシュペーパーというプロダクトに対するイノベーションを起こそうとしている。そのため、ティッシュペーパーの具体的な製造方法(手段)については一定の理解をしている。従って、ユーザは、ステップSS34の設問に適切に回答することができるのが通常である。
そして、このようにユーザによる回答が、ステップSS35のプロセスによりシフトすることで、イノベーティブな手段が導出され、ユーザにとって実現可能な者と把握される。そして、ユーザ自身が考えたものとして、ユーザによって受け入れられるようになるのである。
【0079】
更に言えば、この具体的に検討・導出することができるようになるという効果は、このステップSS34乃至SS36のプロセスを繰り返し行われることで、より顕著なものとなる。
本サービスでは、このようなプロセスを経た上で、(5)「インタンジブル・キーワード」及び「タンジブル・センテンス」の具現化による「タンジブル・アンサー」の生成、(6)ユーザに対する「タンジブル・アンサー」の提供、が行われる。
これにより、イノベーションを実現するため、どのような手段を取ればよいかが、ユーザに提示される。ただし、ユーザが一定の審美眼を有する場合、創出された「タンジブル・センテンス」までを把握すれば、実際に今後どのように「タンジブル・センテンス」を実現すればよいかを把握することができる。即ち、このようなユーザは、「タンジブル・センテンス」であっても、具体化されていると感じることができる。しかしながら、他のユーザにとっては、「タンジブル・センテンス」であっても、具体化されていると感じないことがある。そこで、本サービスでは、上述の図5の「インタンジブル・キーワード」及び「タンジブル・センテンス」の具現化による「タンジブル・アンサー」の生成、(6)ユーザに対する「タンジブル・アンサー」の提供、が行われるのである。
【0080】
このような本サービスの適用対象となる情報処理装置1は、例えば図11に示すようなハードウェア構成とすることができる。
図10は、本発明の一実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0081】
情報処理装置1は、CPU(Central Processing Unit)11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、バス14と、入出力インターフェース15と、表示部16と、入力部17と、記憶部18と、通信部19と、ドライブ20とを備えている。
【0082】
CPU11は、ROM12に記録されているプログラム、又は、記憶部18からRAM13にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。
RAM13には、CPU11が各種の処理を実行する上において必要な情報等も適宜記憶される。
【0083】
CPU11、ROM12及びRAM13は、バス14を介して相互に接続されている。このバス14にはまた、入出力インターフェース15も接続されている。入出力インターフェース15には、表示部16、入力部17、記憶部18、通信部19及びドライブ20が接続されている。
【0084】
表示部16は、各種液晶ディスプレイ等で構成され、各種情報を出力する。例えば、本実施形態では、ユーザに対して、問い等に関する各種画像を表示する。
入力部17は、キーボード等で構成され、各種情報を入力する。例えば、本実施形態では、ユーザが、表示部16に表示された問い等に対する回答を入力する。
記憶部18は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等で構成され、各種データを記憶する。
通信部19は、インターネットを含むネットワークを介して他の装置(例えば図示せぬサーバ等)との間で行う通信を制御する。
【0085】
ドライブ20は、必要に応じて設けられる。ドライブ20には、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリ等よりなり、リムーバブルメディア30が適宜装着される。
ドライブ20によってリムーバブルメディア30から読み出されたプログラムは、必要に応じて記憶部18にインストールされる。また、リムーバブルメディア30は、記憶部18に記憶されている各種情報も、記憶部18と同様に記憶することができる。
【0086】
図11は、図10の情報処理装置の機能的構成のうち、イノベーション創出支援処理に係る機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。
イノベーション創出支援処理とは、上述の本サービスがユーザに提供される際に実行される一連の処理のことをいう。
【0087】
図12に示すように、情報処理装置1のCPU11においては、切口設定部101と、設問生成部102と、デバイス生成部114と、表示制御部103と、入力受付部104と、入力情報取得部105と、キーワード抽出部106と、推定部107と、デバイス決定部108と、シフト部109と、スコアリング部110と、コンテキスト化部111と、具現化部112と、イノベーション内容生成部113と、デバイス生成部114とが機能する。
また、情報処理装置1の記憶部18の一領域には、設問DB181と、デバイスDB182と、対応関係DB183とが設けられる。なお、図6の例では、設問DB181と、デバイスDB182と、対応関係DB183とが情報処理装置1に設けられているが、これは例示に過ぎない。例えば、図示せぬ他の情報処理装置(例えばサーバ等)に設問DB181と、デバイスDB182と、対応関係DB183とが設けられていてもよい。
【0088】
切口設定部101は、ユーザに提示する設問の「切口」を1以上設定する。具体的には例えば、切口設定部101は、後述する推定部107の推定結果(例えば、ユーザにより把握されるイノベーションの種類)と、図2の表に示す対応関係に基づいて「切口」を設定する。
また、切口設定部101は、後述する入力情報取得部105により取得されたユーザ情報のうち現状確認書に対する回答の内容に基づいて、「切口」のうちいずれの「切口」とするかを設定することもできる。即ち例えば、上述したように、推定部107の推定結果により「ティッシュペーパー」という「プロダクト」のイノベーションという種類が設定される。そして、ユーザ情報のうち現状確認書に対する回答に基づいて、ユーザが破壊的なイノベーションを望んでいることが把握された場合、イノベーションの種類が「プロダクト」であるもののうち、「破壊的」な「切口」とすることが設定されてもよい。
【0089】
設問生成部102は、切口設定部101によりされた1以上の「切口」に基づいて、ユーザに提示するのに適した1以上の設問を抽出又は生成する。ここでいう生成とは、全く新たな設問を生成することの他、予め用意された複数の設問の中から抽出された設問を加工することも含む広義な概念である。
本実施形態では、設問生成部102により生成された1以上の設問が設問DB181に記憶されて管理される。このため、設問生成部102は、設問を1から生成することもできるし、設問DB181に記憶されている設問の中から適当な設問を抽出して採用することもできる。
また、本実施形態では、図2の表に示す対応関係に相当する情報が、対応関係DBに格納されて管理される。即ち、設問生成部102は、後述する推定部107による推定結果として、イノベーションの種類が推定され、対応関係DB183に格納された対応関係の情報に基づいて、設問DB181に格納された設問が抽出される。
【0090】
表示制御部103は、設問生成部102により生成された1以上の設問を表示部16に表示させるための制御を実行する。これにより、設問がユーザに提示される。
また、表示制御部103は、後述するイノベーション内容生成部113により生成された「イノベーション」の内容を表示部16に表示させるための制御を実行する。これにより、「イノベーション」の内容がユーザに提供される。
【0091】
入力受付部104は、回答文章が入力された場合にこれを入力情報として受け付ける。
また、入力受付部104は、ユーザ情報が入力された場合にこれを入力情報として受け付ける。ここで、ユーザ情報には、上述の現状確認書に対するユーザの回答の内容も含まれる。
具体的には、入力受付部104は、入力部17に入力された回答文章とユーザ情報との夫々を入力情報として夫々受け付ける。
【0092】
入力情報取得部105は、入力受付部104により受け付けられた回答文章の入力情報と、ユーザ情報の入力情報とを取得する。
【0093】
キーワード抽出部106は、入力情報取得部105により入力情報として取得された回答文章に含まれる1以上のキーワードを抽出する。
【0094】
推定部107は、入力情報取得部105により取得されたユーザ情報のうち現状確認書に対する回答の内容に基づいて、ユーザが「イノベーション」をどのようなものとして捉えているのかを推定する。即ち、推定部107は、イノベーションの種類を推定する。なお、推定部107は、その推定の精度を高めるべく、キーワード抽出部106により抽出された1以上のキーワード等の情報も参照する場合がある。
推定部107は、例えば、所定のモデルに基づいて、現状確認書に対する回答の内容に基づいて、ユーザが「イノベーション」をどのようなもとして捉えているのかを推定する。
具体的には例えば、他のユーザによる現状確認書に対する回答の内容と、そのユーザが「イノベーション」をどのようなもとして捉えているのが対応付けられた組(データセット)が多数学習用データとして用いられて、学習処理が行われることにより、モデルの生成また更新がなされる。推定部107は、このように生成されたモデルを用いて、を行うことで、ユーザが「イノベーション」をどのようなもとして捉えているのかを推定する。
【0095】
デバイス決定部108は、切口設定部101により決定された切口の内容と、推定部107による推定の結果とに基づいて、キーワード抽出部106により抽出された1以上のキーワードの夫々を「インタンジブル・キーワード」にシフト(変換)するために用いるデバイスを決定する。具体的には、デバイス決定部108は、デバイスDB182に記憶されて管理されている複数のデバイスの中から1以上を選択して決定する。
また、本実施形態では、デバイス決定部108は、対応関係DB183に格納された対応関係の情報に基づいて、デバイスDB182に格納された「デバイス」が抽出される。
【0096】
シフト部109は、デバイス決定部108により決定された1以上のデバイスの夫々を用いて、キーワード抽出部106により抽出された1以上のキーワードの夫々を各デバイスの夫々に応じた1以上の「インタンジブル・キーワード」の夫々にシフト(変換)する。
【0097】
スコアリング部110は、シフト部109によるシフト(変換)の結果として出力された1以上の「インタンジブル・キーワード」の夫々をスコアリングする。
【0098】
コンテキスト化部111は、シフト部109によるシフト(変換)の結果として出力された1以上の「インタンジブル・キーワード」をコンテキスト化させることで「タンジブル・センテンス」を生成する。具体的には、コンテキスト化部111は、スコアリングの結果等を加味しつつ、複数の「インタンジブル・キーワード」を繋ぎ合わせ、調整を加えることで、「タンジブル・センテンス」としてコンテキスト化させる。
上述したように、このようなコンテキスト化は、テキストマイニングの技術を用いることで実現することができる。即ち、テキストマイニングの一例として、所定のキーワードや文節を文章化したり、文章を要約して短い文章とする技術がAI(Artificial Intelligence)等により実現化されている。そこで1以上の「インタンジブル・キーワード」をこのようなAIに入力することで、当該AIにより繋ぎ合わされた文章が出力される。
【0099】
具現化部112は、シフト部109によるシフト(変換)の結果として出力された1以上の「インタンジブル・キーワード」と、コンテキスト化部111により生成された「タンジブル・センテンス」とのうち少なくとも一方を「具現化」させた「タンジブル・アンサー」を生成する。
また、具現化部112は、スコアリング部110によりスコアリングされた「インタンジブル・キーワード」の夫々のスコアに基づいて、「インタンジブル・キーワード」のランキング化したランキングシートを生成することもできる。
【0100】
イノベーション内容生成部113は、シフト部109によるシフト(変換)の結果として出力された1以上の「インタンジブル・キーワード」と、コンテキスト化部111により生成された「タンジブル・センテンス」と、具現化部112により生成された「タンジブル・アンサー」とのうち少なくとも1つに基づいて、ユーザのビジネス分野(業界商品)におけるイノベーションの内容を生成する。生成されたイノベーションの内容は表示部16に表示される。このようにして、イノベーションの内容がユーザに提案される。
なお、上述の説明は、説明の便宜上、図6のステップSS31乃至SS33まででイノベーションの内容が生成される場合について説明した。
ここで、図5のキャッツアイのパターン(又は右側のアイが繰り返されるパターン)でイノベーションの内容が生成される場合には、図13のフローチャートに従って各機能ブロックが機能する。
【0101】
図12は、図11の機能的構成を有する情報処理装置により実行されるイノベーション創出支援処理の例を説明するフローチャートである。
【0102】
具体的には、図5のステップSS31乃至SS33に示すキャッツアイにおける左側のアイのプロセスとして、図13のステップS41乃至SS49が実行される。
【0103】
即ち、ステップSS41において、発散処理が行われる。
ここで、左側のアイのプロセスのステップSS31としての発散処理では、図14の発散処理が実行される。
図13は、図5に示すキャッツアイの左側のアイのプロセスにおける発散処理の例を説明するフローチャートである。
即ち、図13のステップSS51に示すように、イノベーションの種類の推定が行われる。
まず、図13のステップSS51において、図5のステップSS31のプロセスとして、まず、表示制御部103は、現状確認書の内容をユーザに提示するための表示の制御を実行する。
次に、入力受付部104は、ユーザによる現状確認書に対する回答文書を受付ける。
次に、入力情報取得部105は、入力受付部104により受け付けられた回答文章の入力情報を含むユーザ情報を入力情報として取得する。
次に、入力情報取得部105により取得されたユーザ情報のうち現状確認書に対する回答の内容に基づいて、ユーザが「イノベーション」をどのようなものとして捉えているのかを推定する。
次に、推定部107は、入力情報取得部105により取得されたユーザ情報のうち現状確認書に対する回答の内容に基づいて、ユーザが「イノベーション」をどのようなものとして捉えているのかを推定する。
【0104】
そして、図13のステップSS52に示すように、設問の生成・抽出が行われる。
即ち、切口設定部101は、ユーザに提示する設問の「切口」を1以上設定する。具体的には例えば、切口設定部101は、後述する推定部107の推定結果(例えば、ユーザにより把握されるイノベーションの種類)と、図2の表に示す対応関係に基づいて「切口」を設定する。
次に、設問生成部102は、切口設定部101によりされた1以上の「切口」に基づいて、ユーザに提示するのに適した1以上の設問を抽出又は生成する。
【0105】
そして、図13のステップSS53に示すように、入力情報の取得が行われる。
即ち、表示制御部103は、設問生成部102により生成された1以上の設問を表示部16に表示させるための制御を実行する。これにより、設問がユーザに提示される。
次に、入力受付部104は、回答文章が入力された場合にこれを入力情報として受け付ける。
次に、入力情報取得部105は、入力受付部104により受け付けられた回答文章の入力情報と、ユーザ情報の入力情報とを取得する。
次に、キーワード抽出部106は、入力情報取得部105により入力情報として取得された回答文章に含まれる1以上のキーワードを抽出する。
このように、発散処理が実行される。
【0106】
図13のステップSS41として図14の発散処理が実行された結果、処理は図13に戻り、図13のステップSS42、SS43が、図5のステップSS32として実行される。
即ち、図5のステップSS32として、ステップSS42において、デバイス決定部108は、推定部107による推定の結果と、図2の表に示す対応関係に基づいて、キーワード抽出部106により抽出された1以上のキーワードの夫々を「インタンジブル・キーワード」にシフト(変換)するために用いるデバイスを決定する。
次に、ステップSS43において、デバイス決定部108は、切口設定部101により決定された切口の内容に基づいて、キーワード抽出部106により抽出された1以上のキーワードの夫々を「インタンジブル・キーワード」にシフト(変換)するために用いるデバイスを決定する。具体的には、デバイス決定部108は、デバイスDB182に記憶されて管理されているデバイスの中から1以上のデバイスを選択して決定する。
そして、ステップSS44において、シフト部109は、デバイス決定部108により決定された1以上のデバイスの夫々を用いて、キーワード抽出部106により抽出された1以上のキーワードの夫々を「インタンジブル・キーワード」にシフト(変換)する。
【0107】
ステップSS44において、スコアリング部110は、シフト部109によるシフト(変換)の結果として出力された「インタンジブル・キーワード」の夫々をスコアリングする。
【0108】
ステップSS45において、コンテキスト化部111は、コンテキスト化の必要性の有無を判定する。
コンテキスト化が不要である場合には、ステップSS45においてNOであると判定されて、処理はステップSS46に進む。なお、ステップSS46以降の処理については後述する。
これに対して、コンテキスト化が必要である場合には、ステップSS45においてYESであると判定され、処理はステップSS46をスキップしてステップSS47に進む。
なお、コンテキスト化の必要性の有無の判断ロジックは特に限定されない。例えば図示せぬシステム設計者やサービス提供者の思想の下、ユーザのビジネス分野(業界商品)、切口等に基づいて、コンテキスト化の必要の有無が判断されてもよい。
【0109】
そして、ステップSS47において、具現化するか否かが判定される。即ち例えば、本サービスの提供者(イノベーションについての知見を有する者)や、AIモデル、ユーザの希望等に基づいて、具現化するか否かが判定される。
【0110】
まず、上述の図8及び図9を用いて説明した図5のステップSS34乃至SS36のプロセスを含む、キャッツアイパターンの右側のアイが繰り返される場合について説明する。
図5のステップSS34乃至SS36のプロセスを含む、キャッツアイパターンの右側のアイが繰り返される場合ステップSS47において、NOと判定され、処理はステップSS41に戻る。即ち、キャッツアイパターンの右側のアイのプロセスとして、図12のステップSS41乃至SS49が実行される。
なお、ステップSS47においてYESと判定された場合については後述する。
【0111】
図14は、図12の発散処理のうち、図5に示すキャッツアイの右側のアイのプロセスにおける発散処理の例を説明するフローチャートである。
ここで、キャッツアイパターンの右側のアイのプロセスのステップSS34としての発散処理では、図14の発散処理が実行される。
即ち、図14のステップSS51において、図5のステップSS31のプロセスとして、まず、表示制御部103は、上述の図9に示すインターフェースをユーザに提示するための表示の制御を実行する。
具体的には例えば、表示制御部103は、「黒くて箱に入っていないティッシュペーパーを作るために必要な手段は何ですか?」という「設問」がユーザに提示される。また例えば、「黒く箱に入っていないティッシュペーパーを作るために必要な手段をたくさん挙げてください」という設問を表示する制御を実行する。また、表示制御部103は、「モノ(材料など)という観点で広げるとよいですよ」「プロセス(作る工程など)という観点で広げるとよいですよ」といったガイドを表示する制御を実行する。
【0112】
そして、図14のステップSS62に示すように、入力情報の取得が行われる。
次に、入力受付部104は、回答文章が入力された場合にこれを入力情報として受け付ける。
次に、入力情報取得部105は、入力受付部104により受け付けられた回答文章の入力情報と、ユーザ情報の入力情報とを取得する。
次に、キーワード抽出部106は、入力情報取得部105により入力情報として取得された回答文章に含まれる1以上のキーワードを抽出する。
なお、上述の図8図9の例においては、ユーザからの回答文章がそのまま「デバイス」によりシフト(変換)されたが、適宜、キーワード抽出部106により、入力情報取得部105により入力情報として取得された回答文章に含まれる1以上のキーワードを抽出されてもよい。
このように、発散処理が実行される。
【0113】
図13のステップSS41として図15の発散処理が実行された結果、処理は図13に戻り、図13のステップSS42、SS43が、図5のステップSS35として実行される。
即ち、図5のステップSS35として、ステップSS42において、デバイス決定部108は、推定部107による推定の結果と、図2の表に示す対応関係に基づいて、キーワード抽出部106により抽出された1以上のキーワードの夫々を「インタンジブル・キーワード」にシフト(変換)するために用いるデバイスを決定する。
次に、ステップSS43において、デバイス決定部108は、切口設定部101により決定された切口の内容に基づいて、キーワード抽出部106により抽出された1以上のキーワードの夫々を「インタンジブル・キーワード」にシフト(変換)するために用いるデバイスを決定する。具体的には、デバイス決定部108は、デバイスDB182に記憶されて管理されているデバイスの中から1以上のデバイスを選択して決定する。
そして、ステップSS44において、シフト部109は、デバイス決定部108により決定された1以上のデバイスの夫々を用いて、キーワード抽出部106により抽出された1以上のキーワードの夫々を「インタンジブル・キーワード」にシフト(変換)する。
このとき、複数の回答文章の夫々をシフト(変換)するデバイスは、それぞれ異なっていてもよい。
そして、上述のステップSS45及びSS46と同様に、必要に応じてコンテキスト化が行われる。
【0114】
例えば、ステップSS46の処理によりコンテキスト化された結果にユーザが満足しない場合、ステップSS47において、NOと判定され、処理はステップSS41に戻り、繰り返し、キャッツアイパターンの右側のアイが繰り返されるのである。
また例えば、ステップSS46の処理によりコンテキスト化された結果にユーザが満足した場合、ステップSS47において、YESと判定され、処理はステップSS48及びSS49へ進み、イノベーションが具現化される。
【0115】
以下、ステップSS47において、YESと判定されたものとして説明を続ける。ステップSS47において、NOと判定された場合については、後述する。
【0116】
即ち、この場合、ステップSS48及びSS49が、図5のSS33として実行される。
ステップSS48において、具現化部112は、シフト部109によるシフト(変換)の結果として出力された1以上の「インタンジブル・キーワード」と、コンテキスト化部111により生成された「タンジブル・センテンス」とのうち少なくとも一方を「具現化」させた「タンジブル・アンサー」を生成する。
【0117】
ステップSS49において、イノベーション内容生成部113は、シフト部109によるシフト(変換)の結果として出力された1以上の「インタンジブル・キーワード」と、コンテキスト化部111により生成された「タンジブル・センテンス」と、具現化部112により生成された「タンジブル・アンサー」とのうち少なくとも1つに基づいて、ユーザのビジネス分野(業界商品)におけるイノベーションの内容を生成する。これにより、イノベーション創出支援処理が終了する。
このように、図5のキャッツアイにおける左側のアイのみでイノベーションの内容が生成される場合には、ステップSS47においてYESと判定され、ステップSS49に示すようにイノベーションの内容が生成されるのである。
次に、以下、「デバイス」及びシフト(変換)の詳細について説明する。
【0118】
図15は、図11の情報処理装置により実行されるイノベーション作成処理に用いられる公式(formula)の一例を示す図である。
【0119】
図13の公式(formula)は、以下の(1)及び(2)の式により表される。
Ai=ai(cdef) ・・・(1)
Bi=bi ・・・(2)
Aiとは、設問生成部102でi番目に設問DB181から抽出された設問である。ここで、iは、1乃至n(nは、1以上の任意の整数値)のうち、1以上のn以下の任意の整数値である。である。aiとは、設問Aiに対するユーザの回答文章である。
そして、c、d、e、及びfの夫々は、各種のデバイスを示している。例えば、cは「等価」である。サービス提供者は、任意のデバイスc乃至fのうちいずれか1以上のデバイスを選択して決定することができる。ここで、デバイスは、1つの設問Ai毎に選択して採用することができる。つまり、例えば設問A1に対しては、デバイスcのみを採用し、設問A2に対しては、デバイスd,eの組を採用することもできる。
なお、デバイスは、c乃至fの4種類には限られない。即ち、サービス提供者は、デバイスDB182に記憶されて管理されているm種類(mは1以上の任意の整数値)のデバイスの中から、1以上の任意のデバイスを自由に選択して採用することができる。
また、Biとは、ユーザの回答文章aiに含まれる1以上のキーワードをシフト(変換)した「インタンジブル・キーワード」である。さらに、biとは、「インタンジブル・キーワード」Biをコンテキスト化して具現化した結果として生成された「タンジブル・アンサー」である。
このように、サービス提供者は、i種類の設問Aをユーザに提示し、その夫々に対する「タンジブル・アンサー」を取得することができる。
なお、以下では、説明の便宜上、i=1の場合、即ち、1つの設問に対する、1つの「タンジブル・アンサー」を取得して、イノベーションの内容を生成する場合の例について説明する。
また、ビーハイヴパターンで説明したように、複数回のイノベーションの創出プロセスを経ることができる。即ち、公式(formula)を複数回適用(デバイスによりシフト(変換))することができる。複数回適用する場合における公式(formula)の例については、説明を省略する。
【0120】
以下、図11の機能的構成を有する情報処理装置において用いられるデバイスのうち「相対」、「等価」及び「加減」のデバイスを生成又は更新するための方法を説明する。
【0121】
図16は、図11の機能的構成を有する情報処理装置において用いられるデバイスのうち、「相対」のデバイスを生成又は更新するための情報処理の一例を示す図である。
図16に示すように、入力キーワードと対義キーワードの組が複数含まれる学習セットが生成される。即ち、所定の入力キーワードについて、対義語辞典等を用いて変換した結果を対義キーワードとして、入力キーワードと対義キーワードの組が生成される。
このような入力キーワードと対義キーワードの組が、学習セットとして生成される。
【0122】
次に、学習部は、学習セットに基づいて所定の機械学習が行われると、入力キーワードを入力すると対義キーワードを出力する相対デバイス(AIモデル)を生成又は更新する。
このような相対デバイス(AIモデル)は、デバイスDB182に格納されて管理される。
【0123】
シフト部109は、上述のように生成又は更新された相対デバイス(AIモデル)を用いてシフト(変換)を行う。
具体的には、シフト部109は、ユーザにより入力キーワードKWiが入力された場合、対義キーワードKWoを出力する。出力された対義キーワードKWoは、ユーザに提示される。
このように、学習された相対デバイス(AIモデル)によるシフト(変換)が実現される。
【0124】
学習された相対デバイス(AIモデル)は、以下のようにフィードバックを用いて更新されることができる。
即ち、ユーザは、出力された対義キーワードKWoに対する評価をする。
具体的には例えば、ユーザは、入力キーワードKWiを「相対」の「デバイス」によりシフトした結果として妥当と思った場合には、「良」という評価をする。また例えば、ユーザは、入力キーワードKWiを「相対」の「デバイス」によりシフトした結果として妥当ではないと思った場合には、「不良」という評価をする。
なお、評価は、ユーザのみならず、本サービスの提供者(イノベーションについての知見を有する者)が行ってもよい。このとき、本サービスの提供者(イノベーションについての知見を有する者)は、評価する際に、イノベーションのためのシフトとして妥当であるか、という視点により評価してもよい。
【0125】
このような入力キーワードKWiと、出力キーワードKOiと、評価との組を、FBセットとする。学習部は、FBセットを用いて、相対デバイス(AIモデル)を更新する。
これにより、相対デバイス(AIモデル)の出力の精度を向上させることができる。
【0126】
図17は、図11の機能的構成を有する情報処理装置において用いられるデバイスのうち、「等価」のデバイスを生成又は更新するための情報処理の一例を示す図である。
図17に示すように、入力キーワードと類義キーワードの組が複数含まれる学習セットが生成される。即ち、所定の入力キーワードについて、類義語辞典等を用いて変換した結果を類義キーワードとして、入力キーワードと類義キーワードの組が生成される。
このような入力キーワードと類義キーワードの組が、学習セットとして生成される。
【0127】
次に、学習部は、学習セットに基づいて所定の機械学習が行われると、入力キーワードを入力すると類義キーワードを出力する等価デバイス(AIモデル)を生成又は更新する。
このような等価デバイス(AIモデル)は、デバイスDB182に格納されて管理される。
【0128】
シフト部109は、上述のように生成又は更新された等価デバイス(AIモデル)を用いてシフト(変換)を行う。
具体的には、シフト部109は、ユーザにより入力キーワードKWiが入力された場合、類義キーワードKWoを出力する。出力された類義キーワードKWoは、ユーザに提示される。
このように、学習された等価デバイス(AIモデル)によるシフト(変換)が実現される。
【0129】
学習された等価デバイス(AIモデル)は、以下のようにフィードバックを用いて更新されることができる。
即ち、ユーザは、出力された類義キーワードKWoに対する評価をする。
具体的には例えば、ユーザは、入力キーワードKWiを「等価」の「デバイス」によりシフトした結果として妥当と思った場合には、「良」という評価をする。また例えば、ユーザは、入力キーワードKWiを「等価」の「デバイス」によりシフトした結果として妥当ではないと思った場合には、「不良」という評価をする。
なお、評価は、ユーザのみならず、本サービスの提供者(イノベーションについての知見を有する者)が行ってもよい。また、本サービスの提供者(イノベーションについての知見を有する者)は、評価する際に、イノベーションのためのシフトとして妥当であるか、という視点により評価してもよい。
【0130】
このような入力キーワードKWiと、出力キーワードKOiと、評価との組を、FBセットとする。学習部は、FBセットを用いて、等価デバイス(AIモデル)を更新する。
これにより、等価デバイス(AIモデル)の出力の精度を向上させることができる。
【0131】
図18は、図11の機能的構成を有する情報処理装置において用いられるデバイスのうち、「加減」の「加」のデバイスを生成又は更新するための情報処理の一例を示す図である。
図18に示すように、入力キーワードと追加キーワードの組が複数含まれる学習セットが生成される。即ち、所定の入力キーワードについて、技術・名詞・動詞リスト等を用いて変換した結果を追加キーワードとして、入力キーワードと追加キーワードの組が生成される。
このような入力キーワードと追加キーワードの組が、学習セットとして生成される。
【0132】
次に、学習部は、学習セットに基づいて所定の機械学習が行われると、入力キーワードを入力すると追加キーワードを出力する加デバイス(AIモデル)を生成又は更新する。
このような加デバイス(AIモデル)は、デバイスDB182に格納されて管理される。
【0133】
シフト部109は、上述のように生成又は更新された加デバイス(AIモデル)を用いてシフト(変換)を行う。
具体的には、シフト部109は、ユーザにより入力キーワードKWiが入力された場合、追加キーワードKWoを出力する。出力された追加キーワードKWoは、ユーザに提示される。
このように、学習された加デバイス(AIモデル)によるシフト(変換)が実現される。
【0134】
学習された加デバイス(AIモデル)は、以下のようにフィードバックを用いて更新されることができる。
即ち、ユーザは、出力された追加キーワードKWoに対する評価をする。
具体的には例えば、ユーザは、入力キーワードKWiを「加減」の「加」の「デバイス」によりシフトした結果として妥当と思った場合には、「良」という評価をする。また例えば、ユーザは、入力キーワードKWiを「加減」の「加」の「デバイス」によりシフトした結果として妥当ではないと思った場合には、「不良」という評価をする。
なお、評価は、ユーザのみならず、本サービスの提供者(イノベーションについての知見を有する者)が行ってもよい。また、本サービスの提供者(イノベーションについての知見を有する者)は、評価する際に、イノベーションのためのシフトとして妥当であるか、という視点により評価してもよい。
【0135】
このような入力キーワードKWiと、出力キーワードKOiと、評価との組を、FBセットとする。学習部は、FBセットを用いて、加デバイス(AIモデル)を更新する。
これにより、加デバイス(AIモデル)の出力の精度を向上させることができる。
【0136】
図19は、図11の機能的構成を有する情報処理装置において用いられるデバイスのうち、「加減」の「減」のデバイスを生成又は更新するための情報処理の一例を示す図である。
図19に示すように、マニュアルと減対象要素の組が複数含まれる学習セットが生成される。即ち、所定のマニュアルについて、技術・名詞・動詞リスト等を用いて変換した結果を減対象要素として、マニュアルと減対象要素の組が生成される。
このようなマニュアルと減対象要素の組が、学習セットとして生成される。
【0137】
次に、学習部は、学習セットに基づいて所定の機械学習が行われると、マニュアルを入力すると減対象要素を出力する減デバイス(AIモデル)を生成又は更新する。
このような減デバイス(AIモデル)は、デバイスDB182に格納されて管理される。
【0138】
シフト部109は、上述のように生成又は更新された減デバイス(AIモデル)を用いてシフト(変換)を行う。
具体的には、シフト部109は、ユーザによりマニュアルKWiが入力された場合、減対象要素KWoを出力する。出力された減対象要素KWoは、ユーザに提示される。
このように、学習された減デバイス(AIモデル)によるシフト(変換)が実現される。
【0139】
学習された減デバイス(AIモデル)は、以下のようにフィードバックを用いて更新されることができる。
即ち、ユーザは、出力された減対象要素KWoに対する評価をする。
具体的には例えば、ユーザは、マニュアルKWiを「加減」の「減」の「デバイス」によりシフトした結果として妥当と思った場合には、「良」という評価をする。また例えば、ユーザは、マニュアルKWiを「加減」の「減」の「デバイス」によりシフトした結果として妥当ではないと思った場合には、「不良」という評価をする。
なお、評価は、ユーザのみならず、本サービスの提供者(イノベーションについての知見を有する者)が行ってもよい。また、本サービスの提供者(イノベーションについての知見を有する者)は、評価する際に、イノベーションのためのシフトとして妥当であるか、という視点により評価してもよい。
【0140】
このようなマニュアルKWiと、減対象要素KOiと、評価との組を、FBセットとする。学習部は、FBセットを用いて、減デバイス(AIモデル)を更新する。
これにより、減デバイス(AIモデル)の出力の精度を向上させることができる。
【0141】
以上本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0142】
例えば、上述の実施形態で登場する「切口」、「設問」、「デバイス」、「インタンジブル・キーワード」、「タンジブル・センテンス」、「タンジブル・アンサー」、及びスコアリングを行うための観点、はいずれも一例に過ぎない。
【0143】
また例えば、図12に示すイノベーション創出支援処理の流れは例示に過ぎない。即ち、上述したように、ステップSS43におけるシフト(変換)の結果として出力された1以上の「インタンジブル・キーワード」に基づいて「イノベーション」の内容が生成される処理であれば足りる。このため、例えばステップSS46の「コンテキスト化」の処理、及びステップSS48の「具現化」の処理は必須な処理でなく、適宜省略されてもよい。ただし、ステップSS48及びSS49の処理は、「タンジブル・アンサー」を生成するための処理でもあるので、この点で、ステップSS48及びSS49の処理があった方が好適である。
【0144】
また例えば、図2の対応関係には、イノベーションの種類が含まれていたが、イノベーションの内容を項目に加えて、対応関係が設定されていてもよい。
具体的には例えば、「プロダクト・イノベーション」というイノベーションの種類のみならず、「自社製品のプロダクト・イノベーションであって、コトの観点での破壊的イノベーション」といったイノベーションの内容が、対応付けられており、当該内容がユーザの回答から推定されてもよい。
【0145】
また例えば、上述の実施形態で行われるユーザに対する設問は、ユーザに「イノベーション」の内容を提案するためにのみ行われる必要はない。即ち、ユーザに対する設問自体を他の目的で行ってもよい。
【0146】
また例えば、上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実行させることもできる。
換言すると、図11の機能的構成は例示に過ぎず、特に限定されない。
即ち、上述した一連の処理を全体として実行できる機能が情報処理システムに備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのような機能ブロックを用いるのかは特に図11の例に限定されない。
また、機能ブロック及びデータベースの存在場所も、図11の例に限定されず、任意でよい。
例えば、図11の例で、各種処理の実行に必要となる機能ブロック及びデータベースは、情報処理装置1が備える構成となっているが、これは例示に過ぎない。これらの機能ブロック及びデータベースの少なくとも一部を、情報処理装置1以外の装置(例えば、図示せぬ他の情報処理装置)が備える構成としてもよい。
即ち、情報処理装置は、データベースを有さずに、他の情報処理装置に記憶されたデータベースから、各種情報を取得するものであってもよい。
また、1つの機能ブロックは、ハードウェア単体で構成してもよいし、ソフトウェア単体で構成してもよいし、それらの組み合わせで構成してもよい。
【0147】
また例えば、一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータ等にネットワークや記録媒体からインストールされる。
コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであっても良い。
また、コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータ、例えば情報処理装置の他、スマートフォンやパーソナルコンピュータ、又は各種デバイス等であってもよい。
【0148】
また例えば、このようなプログラムを含む記録媒体は、ユーザにプログラムを提供するために装置本体とは別に配布される図示せぬリムーバブルメディアにより構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに提供される記録媒体等で構成される。
【0149】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的或いは個別に実行される処理をも含むものである。
また、本明細書において、システムの用語は、複数の装置や複数の手段等より構成される全体的な装置を意味するものとする。
【0150】
以上を換言すると、本発明が適用される情報処理装置は、次のような構成を有する各種各様の実施形態を取ることができる。
即ち、本発明が適用される情報処理装置(例えば、図11の情報処理装置1)は、
複数の設問が、「イノベーション」の所定の種類(例えば、明細書中の「プロダクト・イノベーション」というイノベーションの種類)又は所定の内容(例えば、「ティッシュペーパーのプロダクト・イノベーションであって、コトに関する破壊的イノベーション」等)と対応付けられて記憶されている設問記憶部(例えば図6の設問DB181)と、
キーワード又は文章を所定の変換方針に従って他のキーワード又は他の文章に変換するデバイスを変換デバイスとして、相異なる変換方針が夫々採用された複数種類の前記変換デバイスの夫々が、「イノベーション」の所定の種類又は所定の内容と夫々対応付けられて記憶されている変換デバイス記憶部(例えば、図11の対応関係DB183)と、
の夫々に対してアクセス可能な情報処理装置において、
ユーザに対する事前調査に基づいて、当該ユーザが求める「イノベーション」の種類及び内容の少なくとも一部を推定する推定手段(例えば、図11の推定部107)と、
前記推定手段による推定の結果に基づいて、前記設問記憶部から設問を抽出するか、又は、抽出した設問を加工することで、1以上の設問(例えば、図7の「ティッシュペーパーにおける常識とは何ですか?」という設問)を設定する設問設定手段(例えば、図11の設問生成部102)と、
前記設問設定手段により設定された前記1以上の設問の夫々に対する前記ユーザの回答から、複数の第1キーワード又は第1文章(例えば、図7の「白い」「色が無い」「上から引く」等)を抽出する第1抽出手段(例えば、図11のキーワード抽出部106)と、
前記推定手段の推定結果に基づいて、前記第1抽出手段により抽出された前記複数の第1キーワード又は第1文章に対して適用する変換デバイス(例えば、「相対」という「デバイス」)を、前記変換デバイス記憶部から抽出する第2抽出手段(例えば、図11のデバイス決定部108)と、
前記第1抽出手段により抽出された前記複数の第1キーワード又は第1文章の夫々を、前記第2抽出手段により抽出された前記変換デバイスを用いて、複数の第2キーワード又は第2文章(例えば、図7の「黒い」「色が有る」「下から押す」等)の夫々に変換する変換手段(例えば、図11のシフト部109)と、
前記複数の第2キーワード又は前記第2文章の少なくとも一部についてコンテキスト化することで、1以上の第3文章(例えば、図7の「黒くて箱に入っていないティッシュペーパー」というタンジブル・センテンス)を生成するコンテキスト化手段(例えば、図11のコンテキスト化部111)と、
を備えれば足りる。
【0151】
これにより、ユーザにとって適切なイノベーティブな情報が反映された新たなビジネスモデルを創り出すための根源となり得る情報を操作することができる。
また、複数の第2キーワードが繋ぎ合わされた文章が第3文章として生成されるので、ユーザにとってイノベーションの内容の理解を容易化させることができる。
【0152】
さらに、
前記コンテキスト化手段により前記1以上の第3文章が生成された後に所定条件(例えば、図12のステップSS47においてNOと判定される条件)が満たされた場合、前記1以上の第3文章を認識した前記ユーザの入力操作に基づいて、複数の第4キーワード又は第4文章(例えば、図8の「紙材料(パルプ)を使う」「黒インクを使う」「製紙する」等)を設定する文章設定手段(例えば、図11の入力受付部104及び入力情報取得部105)を備え、
前記第2抽出手段は、所定ルール(例えば、ユーザが選択するというルールや、イノベーションのアドバイザによる助言に従うというルールといった自然人の判断に基づくというルールの他、AIモデルの判断に従うといったルール等を含むルール)に基づいて、前記複数の第4キーワード又は第4文章に対して適用する変換デバイス(例えば、図8の例では、「減」という「デバイス」)を、前記変換デバイス記憶部から抽出し、
前記変換手段は、前記複数の第4キーワード又は第4文章の夫々を、前記第2抽出手段により抽出された前記変換デバイスを用いて、複数の第5キーワード又は第5文章の夫々(例えば、図8の「古紙を使う」「黒インクを減らす」「薄く製紙する」等)に変換し、
前記コンテキスト化手段は、前記複数の第5キーワード又は前記第5文章の少なくとも一部についてコンテキスト化させることで、1以上の第6文章(例えば、「古紙を使いインクの量を減らす」というタンジブル・センテンス)を生成する、
ことができる。
【0153】
さらに、
前記コンテキスト化手段により前記1以上の第6文章が生成された後に前記所定条件が満たされた場合、
前記第1抽出手段、前記第2抽出手段、前記変換手段、及び前記コンテキスト化手段は、請求項2に記載の処理を夫々繰り返し実行する(例えば、図5のキャツアイパターンの右側のアイを繰り返し実行する)、
ことができる。
【0154】
前記変換手段により変換された前記複数の第2キーワード又は第2文章の夫々を、所定の観点でスコアリングするスコアリング手段(例えば、図11のスコアリング部110)をさらに備え、
前記コンテキスト化手段は、前記スコアリング手段によるスコアリングの結果を考慮して、コンテキスト化を実行する、
ことができる。
【0155】
これにより、個々の第2キーワードの価値が把握され、価値が高い第2キーワードを考慮して、コンテキスト化が実行される。その結果、ユーザにとってより適切なイノベーティブな情報が反映された新たなビジネスモデルを創り出すための根源となり得る情報を操作することができる。
【符号の説明】
【0156】
1・・・情報処理装置11・・・CPU、18・・・記憶部、101・・・切口設定部、102・・・設問生成部、103・・・表示制御部、104・・・入力受付部、105・・・入力情報取得部、106・・・キーワード抽出部、107・・・推定部、108・・・デバイス決定部、109・・・シフト部、110・・・スコアリング部、111・・・コンテキスト化部、112・・・具現化部、113・・・イノベーション内容生成部、デバイス生成部114、181・・・設問DB、182・・・デバイスDB、183・・・対応関係DB
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
図12
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