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  • 特許-セントラル空調システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-09
(45)【発行日】2023-02-17
(54)【発明の名称】セントラル空調システム
(51)【国際特許分類】
   F24F 3/044 20060101AFI20230210BHJP
   F24F 5/00 20060101ALI20230210BHJP
【FI】
F24F3/044
F24F5/00 K
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2017149580
(22)【出願日】2017-08-02
(65)【公開番号】P2019027720
(43)【公開日】2019-02-21
【審査請求日】2020-07-10
【審判番号】
【審判請求日】2022-07-27
(73)【特許権者】
【識別番号】397025107
【氏名又は名称】日本住環境株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081558
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 晴男
(74)【代理人】
【識別番号】100154287
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 貴広
(72)【発明者】
【氏名】木村 剛大
(72)【発明者】
【氏名】松沢 弘太
【合議体】
【審判長】平城 俊雅
【審判官】槙原 進
【審判官】間中 耕治
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-90151(JP,A)
【文献】登録実用新案第3178089(JP,U)
【文献】特開2010-223460(JP,A)
【文献】特開2012-57880(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 3/044
F24F 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
小屋裏に配置される断熱材で包囲された蓄熱室と、前記蓄熱室内に配備されるエアコン及びダクト用換気扇と、前記蓄熱室内に配備されて前記ダクト用換気扇に連結される分岐チャンバーと、前記分岐チャンバーの接続口に接続されて、前記蓄熱室から住宅内の各区画空間に延びる複数の断熱ダクトとから成り、
前記蓄熱室は、空気取り入れ口として小屋裏内に流入する室内空気を取り入れる空気取り入れ口のみを有し、
温度調整されて前記エアコンから出る温冷気が前記蓄熱室内において前記ダクト用換気扇内に取り込まれ、前記ダクト用換気扇から前記分岐チャンバーを介して前記断熱ダクトを通って前記各区画空間に給気されるようにしたことを特徴とするセントラル空調システム。
【請求項2】
前記蓄熱室の内面がアルミ蒸着シートで被装されている、請求項1に記載のセントラル空調システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セントラル空調システムに関するものであり、より詳細には、シンプルな構成で大掛かりな工事を要することなく設置可能なセントラル空調システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の一般住宅における空調は、各部屋に空調機器を配設して各部屋を個別に空調する方式が基本である。しかるに近時、住宅の高気密高断熱化が進むにつれ、1台の空調機で住宅内の部屋やトイレ、浴室等の区画空間の空調を行うセントラル空調システムが提案され、実施されるようになってきている。
【0003】
従来提案されているセントラル空調システムは、大まかに言うと、1台又は複数台の空調機器と、各区画に送気するための送風機と、各区画に延びる給気ダクトとで構成され、給気ダクトは床下空間にまで延ばされる(特許文献1:特許第6120231号公報、特許文献2:特許第5094894号公報)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6120231号公報
【文献】特許第5094894号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、従来提案されているセントラル空調システムは、1台又は複数台の空調機器と、各区画に送気するための送風機と、各区画に延びる給気ダクトとで構成されていて、給気ダクトは床下空間にまで延ばされ、また、送風機は給気ダクトごとに配備されるのが一般である。そのため、従来提案されているセントラル空調システムは構成が複雑で、設置コストが嵩むという問題がある。
【0006】
そこで本発明は、シンプルな構成で大掛かりな工事を要することなく、比較的低コストで設置可能で、室内の各区画空間に快適な温度環境を実現し得るセントラル空調システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための請求項1に係る発明は、小屋裏に配置される断熱材で包囲された蓄熱室と、前記蓄熱室内に配備されるエアコン及びダクト用換気扇と、前記蓄熱室内に配備されて前記ダクト用換気扇に連結される分岐チャンバーと、前記分岐チャンバーの接続口に接続されて、前記蓄熱室から住宅内の各区画空間に延びる複数の断熱ダクトとから成り、
前記蓄熱室は、空気取り入れ口として小屋裏内に流入する室内空気を取り入れる空気取り入れ口のみを有し、
温度調整されて前記エアコンから出る温冷気が前記蓄熱室内において前記ダクト用換気扇内に取り込まれ、前記ダクト用換気扇から前記分岐チャンバーを介して前記断熱ダクトを通って前記各区画空間に給気されるようにしたことを特徴とするセントラル空調システムである。
【0008】
一実施形態においては、前記蓄熱室の内面がアルミ蒸着シートで被装される。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るセントラル空調システムは上記構成であるので、部品点数が少なく全体的にシンプルな構成で大掛かりな工事を要することなく、比較的低コストにて設置することができて、各階に快適な温度環境の居住空間を生成し得る効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係るセントラル空調システムの構成を示す概略図である。
図2】本発明に係るセントラル空調システムにおける蓄熱室の構成を示す縦断面図である。
図3】本発明に係るセントラル空調システムにおいて用いるダクト用換気扇の構成例を示す分解斜視図である。
図4】本発明に係るセントラル空調システムにおいて用いる分岐チャンバーの構成例を示す部分縦断平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を実施するための形態について、添付図面に依拠して説明する。本発明に係るセントラル空調システムは、小屋裏31に配置される断熱材4で包囲された蓄熱室1と、蓄熱室1内に配備されるエアコン6及びダクト用換気扇7と、ダクト用換気扇7から住宅内の各区画空間32に延びる断熱ダクト8とで構成されるものであり、浄化され、且つ、温度調整されてエアコン6から出る温冷気がダクト用換気扇7内に取り込まれた後、ダクト用換気扇7から断熱ダクト8を通って各区画空間32に給気されることを特徴とする。
【0013】
蓄熱室1は、その外表面全体が断熱材4で覆われ、また、好ましい実施形態においては、その内面全体が、ポリエチレン等のアルミ蒸着シート5で被装される(図2参照)。この発泡材付きアルミ蒸着シート5は、蓄熱室1の気密性及び蓄熱性を向上させる役目を果たすもので、発泡材が張着されることもある。
【0014】
蓄熱室1には、その適宜個所に、小屋裏内の空気を流入させるための空気取り入れ口2が開設される。蓄熱室1を設置する小屋裏の大きさ(高さ)にもよるが、通例、空気取り入れ口2は蓄熱室1の上面、下面あるいは周側面(図示した例では下面)に形成される。後述するように、ダクト用換気扇7が稼働すると蓄熱室1内が負圧状態となり、それに伴い、小屋裏31内の空気が空気取り入れ口2から蓄熱室1内に自然流入する。
【0015】
ダクト用換気扇7は、周側面に複数の吸入口12を有し、また、1又は複数のダクト接続口11を有する箱形状の本体ケース10内に、ファン13とこれを回転駆動するモーターを装備して成るものである。断熱ダクト8の数(区画空間32の数)が少ない場合(例えば、2~3)は、ダクト接続口11を複数設けてそれぞれに断熱ダクト8を接続することとしてもよい。しかし、通例、断熱ダクト8の数(区画空間32の数)はそれより多くなるので、ダクト接続口11を1つにし、それにフレキシブルダクト15を介して分岐チャンバー14を接続し、各断熱ダクト8を分岐チャンバー14に接続することとする。分岐チャンバー14は、ダクト用換気扇7から出るフレキシブルダクト15の接続口14aを1つと、断熱ダクト8の接続口14bを複数有するものである(図4参照)。
【0016】
エアコン6を経て浄化され、且つ、温度調整された蓄熱室1内の温冷気は、モーターにより駆動されるファン13の作用で、ダクト用換気扇7の吸入口12からダクト用換気扇7内に取り込まれる。そして、ダクト用換気扇7のダクト接続口11からフレキシブルダクト15及び分岐チャンバー14を経て各断熱ダクト8を通り、室内ガラリ16を介して各断熱ダクト8が開口する区画空間32に供出される。
【0017】
上層階と下層階の間の天井裏33に補助換気扇17が配置される。補助換気扇17はダクト用換気扇7と同じ構成のもので、上層階の床ガラリ18から伸びてその吸入口に接続される吸入ダクト19を介して上層階の空気を取り込み、また、下層階の区画空間32の天井ガラリ20から伸びてその吸入口に接続される吸入ダクト19を介して下層階の空気を取り込む。その取り込んだ空気は、補助換気扇17の給気口から排気グリル21を介して大気に放出される。
【0018】
更に、図1に示されるように、外壁には外気を取り込むためのフード付き給気口22が設置され、また、各区画空間32の天井に、各区画空間32内の空気を小屋裏31又は天井裏33に通流させるための通気ガラリ23が設置される。
【0019】
以上述べたように、本発明に係るセントラル空調システムは、部品点数が少なく全体的にシンプルな構成で大掛かりな工事を要することなく、比較的低コストにて設置することができて、各階に快適な温度環境の居住空間を生成し得るものであるので、その産業上の利用可能性は大である。
【符号の説明】
【0020】
1 蓄熱室
2 空気取り入れ口
4 断熱材
5 アルミ蒸着シート
6 エアコン
7 ダクト用換気扇
8 断熱ダクト
10 本体ケース
11 ダクト接続口
12 吸入口
13 ファン
14 分岐チャンバー
16 室内ガラリ
17 補助換気扇
18 床ガラリ
19 吸入ダクト
20 天井ガラリ
21 排気グリル
22 給気口
23 通気ガラリ
31 小屋裏
32 区画空間
33 天井裏
図1
図2
図3
図4