(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-09
(45)【発行日】2023-02-17
(54)【発明の名称】発光素子およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 33/50 20100101AFI20230210BHJP
H01L 33/60 20100101ALI20230210BHJP
G02B 5/20 20060101ALI20230210BHJP
F21V 9/30 20180101ALI20230210BHJP
F21V 3/08 20180101ALI20230210BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20230210BHJP
【FI】
H01L33/50
H01L33/60
G02B5/20
F21V9/30
F21V3/08
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2019028489
(22)【出願日】2019-02-20
【審査請求日】2022-02-18
(32)【優先日】2018-02-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】598061302
【氏名又は名称】晶元光電股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Epistar Corporation
【住所又は居所原語表記】21,Li-hsin Rd.,Science-based Industrial Park,Hsinchu 300,TAIWAN
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ミン-シュン シェ
(72)【発明者】
【氏名】チュン-ホン ル
【審査官】小澤 尚由
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-108129(JP,A)
【文献】特開2013-153105(JP,A)
【文献】特開2010-087324(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0094176(US,A1)
【文献】特開2007-173754(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/50
H01L 33/60
G02B 5/20
F21V 9/30
F21V 3/08
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一上表面
、第一下表面および第一側表面を含む発光ユニットと、
前記
第一上表面および前記第一側表面を覆う透光層と、
前記透光層の上に位置し、かつ、波長変換層、前記波長変換層の上方に位置する第一バリア層、前記波長変換層の下方に位置する第二バリア層、および第三バリア層を含む波長変換構造と、
前記波長変換構造と前記発光ユニットとの間に位置する粘着層と、
前記発光ユニットおよび前記波長変換構造を囲む反射層とを含み、
前記第一バリア層と前記第二バリア層の材料が前記第三バリア層の材料と異なり、
前記波長変換層、前記第一バリア層および前記第二バリア層
が共同で第二側表面を形成し、
前記第二バリア層は第二下表面を有し、
前記第三バリア層は前記第二側表面及び前記第二下表面を覆うとともに直接接触する、発光素子。
【請求項2】
前記第一バリア層、前記第二バリア層と前記波長変換層が直接接触する、請求項1に記載の発光素子。
【請求項3】
前記反射層
は一体式構造であり、かつ内表面を有し、
前記内表面は第一部分
及び第二部分を含み、
前記第一部分は前記透光層を覆い、かつ前記第一側表面に対し傾斜
し、
前記第二部分は前記第三バリア層を覆う、請求項1に記載の発光素子。
【請求項4】
前記波長変換構造の幅が前記発光ユニット
の幅より大きい、請求項1に記載の発光素子。
【請求項5】
上面図において、前記波長変換構造と前記発光ユニットの面積比が1.5~10の間にある、請求項1に記載の発光素子。
【請求項6】
前記波長変換構造と前記発光ユニットの前記
第一上表面との間に0より大きい距離を有する、請求項1に記載の発光素子。
【請求項7】
前記波長変換層が量子ドット材料を含む、請求項1に記載の発光素子。
【請求項8】
前記波長変換構造は最上表面を有し、
前記第二部分が前記最上表面に垂直である、請求項
3に記載の発光素子。
【請求項9】
前記反射層と前記
第一下表面が直接接触する、請求項1に記載の発光素子。
【請求項10】
前記発光ユニットはさらに導電電極を含み、
前記導電電極は前記透光層の外に露出される、請求項1に記載の発光素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は発光素子に関し、特に量子ドット材料のパッケージ構造を有する発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(Light-Emitting Diode;LED)は消費電力が低い、発熱量が低い、操作寿命が長い、衝撃に強い、体積が小さい、および反応速度が速いなどの特性を有するため、発光素子を必要とする様々な分野、例えば、車両、家電および照明具などに応用されている。波長変換材料、例えば蛍光体は、フォトルミネセンス物質であり、LEDが発した第一光線を吸収した後、異なるスペクトルの第二光線を発することができる。
【0003】
近年、ディスプレイの映像品質に対する要求が絶えずに高まる中、広色域(wide color gamut)の技術は今ディスプレイの重要な技術発展の一つになっている。一般的に、ディスプレイにおいて蛍光体を使った場合、そのNTSC(National Television System Committee)が約70~80%であり、量子ドット(QD)材料を使用した場合のNTSCが100%に達する。
【0004】
量子ドット材料は別の種類の波長変換材料である。異なる粒径の量子ドット材料が異なる波長の光を発することができる。また、量子ドット材料が発する光線は比較的に小さい半値幅(Full Width at Half Maximum;FWHM)を有する。量子ドット材料が発する光線が比較的に小さい半値幅を有するため、即ち、発した光線が単色光(monochromatic light)により近いことを意味するため、ディスプレイへの応用に適しており、カラーフィルターによって除去される光量を低減させることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は発光素子、特に量子ドット材料のパッケージ構造を有する発光素子を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発光素子は発光ユニット、透光層、波長変換構造および反射層を含む。発光ユニットは上表面および第一側表面を含む。透光層は発光ユニットの上表面および第一側表面を覆う。波長変換構造は透光層の上に位置し、かつ波長変換層、波長変換層の上方に位置する第一バリア層、波長変換層の下方に位置する第二バリア層、および、波長変換層、第一バリア層と第二バリア層の側表面を覆う第三バリア層を含む。反射層は透光層および波長変換構造を囲む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1A】本発明の一実施例に基づく発光素子の断面概略図である。
【
図1B】本発明の一実施例に基づく発光素子の上面図である。
【
図1C】本発明の別の実施例に基づく発光素子の断面概略図である。
【
図2A】本発明の一実施例に基づく波長変換構造の製造工程の概略図である。
【
図2B】本発明の一実施例に基づく波長変換構造の製造工程の概略図である。
【
図2C】本発明の一実施例に基づく波長変換構造の製造工程の概略図である。
【
図2D】本発明の一実施例に基づく波長変換構造の製造工程の概略図である。
【
図2E】本発明の一実施例に基づく波長変換構造の製造工程の概略図である。
【
図2F】本発明の一実施例に基づく波長変換構造の製造工程の概略図である。
【
図3A】本発明の一実施例に基づく発光素子の製造工程の概略図である。
【
図3B】本発明の一実施例に基づく発光素子の製造工程の概略図である。
【
図3C】本発明の一実施例に基づく発光素子の製造工程の概略図である。
【
図3D】本発明の一実施例に基づく発光素子の製造工程の概略図である。
【
図3E】本発明の一実施例に基づく発光素子の製造工程の概略図である。
【
図3F】本発明の一実施例に基づく発光素子の製造工程の概略図である。
【
図4A】本発明の一実施例に基づく発光素子の断面概略図である。
【
図4B】本発明の一実施例に基づく発光素子の上面図である。
【
図5A】本発明の一実施例に基づく発光素子の製造工程の概略図である。
【
図5B】本発明の一実施例に基づく発光素子の製造工程の概略図である。
【
図5C】本発明の一実施例に基づく発光素子の製造工程の概略図である。
【
図5D】本発明の一実施例に基づく発光素子の製造工程の概略図である。
【
図5E】本発明の一実施例に基づく発光素子の製造工程の概略図である。
【
図5F】本発明の一実施例に基づく発光素子の製造工程の概略図である。
【
図5G】本発明の一実施例に基づく発光素子の製造工程の概略図である。
【
図5H】本発明の一実施例に基づく発光素子の製造工程の概略図である。
【
図5I】本発明の一実施例に基づく発光素子の製造工程の概略図である。
【
図6A】本発明の一実施例に基づく発光素子の断面概略図である。
【
図6B】本発明の一実施例に基づく発光素子の上面図である。
【
図7A】本発明の一実施例に基づく発光素子の製造工程の概略図である。
【
図7B】本発明の一実施例に基づく発光素子の製造工程の概略図である。
【
図7C】本発明の一実施例に基づく発光素子の製造工程の概略図である。
【
図7D】本発明の一実施例に基づく発光素子の製造工程の概略図である。
【
図7E】本発明の一実施例に基づく発光素子の製造工程の概略図である。
【
図7F】本発明の一実施例に基づく発光素子の製造工程の概略図である。
【
図7G】本発明の一実施例に基づく発光素子の製造工程の概略図である。
【
図8A】本発明の異なる実施例に基づく発光素子の断面概略図である。
【
図8B】本発明の異なる実施例に基づく発光素子の断面概略図である。
【
図8C】本発明の異なる実施例に基づく発光素子の断面概略図である。
【
図9A】本発明の一実施例に基づく発光素子と回路板の接合製造ステップである。
【
図9B】本発明の一実施例に基づく発光素子と回路板の接合製造ステップである。
【
図9C】本発明の別の実施例に基づく発光素子と回路板の接合製造ステップである。
【
図9D】本発明の別の実施例に基づく発光素子と回路板の接合製造ステップである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の実施例では図面を参照しながら本発明の概念を説明するが、図面または説明における類似または同じ部分に同じ符号を使用し、かつ、図面において、素子の形状、厚さまたは高さを合理的な範囲内に拡大または縮小することができる。本発明で例示する各実施例は本発明の説明のみが目的であり、本発明の範囲を制限するものではない。本発明に対し行った明らかでわかり易い修飾または変更は何れも本発明の趣旨と範囲を離脱しないものとする。
【0009】
図1Aは本発明の一実施例に基づく発光素子100の断面概略図である。発光素子100は発光ユニット1、透光層2、反射層3、波長変換構造5および粘着層4を含む。発光ユニット1は、上表面101、発光ユニット1の上表面101の反対側である下表面103に位置する2つの導電電極102Aと102B、および複数個の側表面104を有する。発光ユニット1は単一のダイオードを有するチップであっても、または複数のダイオードを有するチップであってもよい(例えば、高圧発光ダイオードチップ)。発光ユニット1の上表面101が出光面である。導電電極102A、102Bの最外側表面が発光ユニット1の側表面104を超えない(即ち、導電電極102A、102Bの最外側表面が発光ユニット1の側表面104と同一平面(flush with)になっているか、またはその内側にある)。透光層2は発光ユニット1の側表面104を囲むとともに、上表面101を覆っている。波長変換構造5は透光層2の上方に位置し、粘着層4によって透光層2に固着される。言い換えれば、粘着層4は波長変換構造5と透光層2との間に位置し、波長変換構造5と発光ユニット1の上表面101との間にはゼロより大きい距離がある。反射層3は透光層2、発光ユニット1、粘着層4および波長変換構造5を囲んでいる。反射層3の最下表面303と発光ユニット1の下表面103が直接接触し、かつ略同一平面になっている。言い換えれば、透光層2の下表面が外に露出されていない。別の実施例では、透光層2が少なくとも一部の発光ユニット1の下表面103を覆う。反射層3の内表面は第一部分301、および第一部分301の上方に位置する第二部分302を含む。第一部分301は最下表面303に対し傾斜しており、かつ透光層2を直接覆うものである。そのため、透光層2の幅は第一部分301の傾斜面に従って変化し、発光ユニット1の下表面103から上表面101の方向へ、透光層2の幅が次第に大きくなる。第二部分302は、粘着層4および波長変換構造5と直接接触し、かつ反射層3の最下表面303に対し略垂直である。反射層3の最外側表面304と最下表面303が略垂直である。反射層3の最上表面305は平坦面であり、最外側表面304に対し略垂直であり、かつ幅が最下表面303の幅より小さい。反射層3の最上表面305は波長変換構造5の最上表面505と略同一平面になっている。一実施例では、反射層3の最上表面305が平坦面ではなく、かつ凹部または凸部を有する。別の実施例では、反射層3の最上表面305が波長変換構造5の最上表面505と同一平面ではなく、波長変換構造5の最上表面505より高いか、または低くてもよい。
【0010】
粘着層4と発光ユニット1の上表面101との間に0より大きい距離があるため、透光層2は粘着層4と発光ユニット1の上表面101との間に位置する。粘着層4の最大幅が波長変換構造5の幅と略同じである。別の実施例では、粘着層4の最大幅が波長変換構造5の幅より大きいまたは小さい。粘着層4の厚さが波長変換構造5の厚さより薄くてもよい。一実施例では、粘着層4の厚さが20μmより小さい。粘着層4の材料は熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂、例えば、シリコーン樹脂(silicone resin)であってもよい。
【0011】
波長変換構造5は波長変換層501、第一バリア層502、第二バリア層503および第三バリア層504を有する。第一バリア層502および第二バリア層503が波長変換層501の上下表面を密封するために用いられ、第三バリア層504が波長変換層501の側表面を密封するために用いられ、波長変換層501の外表面がすべてバリア層によって保護され、外部の水気および酸素を遮断し、波長変換層501の信頼性を一層高めるものである。第一バリア層502が波長変換層501の上表面を直接覆い、第二バリア層503が波長変換層501の下表面を直接覆い、波長変換層501が第一バリア層502と第二バリア層503との間に位置する。第一バリア層502、波長変換層501、第二バリア層503の側表面が略同一平面であっても、または同一平面ではなくてもよい(図示せず)。第三バリア層504は、第一バリア層502、波長変換層501、第二バリア層503の側表面、および第二バリア層503の下表面506を覆う。従って、波長変換層501は第一バリア層502、第二バリア層503および第三バリア層504に囲まれている。第二バリア層503は波長変換層501と第三バリア層504との間に位置する。第一バリア層502、波長変換層501と第二バリア層503は略同じ幅を有しても、または異なる幅を有してもよい。第三バリア層504は内側表面5041を有し、内側表面5041が第一バリア層502、波長変換層501、第二バリア層503の側表面と直接接触し、かつ、波長変換構造5の最上表面505に略垂直であっても、または、第一バリア層502、波長変換層501、第二バリア層503の側表面の輪郭に沿って起伏してもよい。
【0012】
波長変換層501は量子ドット材料を含み、量子ドット材料が基質および基質中に分散された量子ドット粒子を含む。基質の材料が熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂、例えば、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、エポキシ樹脂(epoxy resin)、またはシリコーン樹脂(silicone resin)であってもよい。量子ドット粒子の材料は半導体材料で構成されることが可能であり、かつその粒径が通常100ナノメートル(nm)より小さいまたは等しい。半導体材料はII-VI族半導体化合物、III-V族半導体化合物、IV-VI族半導体化合物、または上記材料の組み合わせを含む。量子ドット粒子の構造は発光主体である核部(core)および核部を囲む殻部(shell)を含んでもよい。核部の材料が硫化亜鉛(ZnS)、セレン化亜鉛(ZnSe)、テルル化亜鉛(ZnTe)、酸化亜鉛(ZnO)、塩化セシウム鉛(CsPbCl3)、臭化セシウム鉛(CsPbBr3)、ヨウ化セシウム鉛(CsPbI3)、硫化カドミウム(CdS)、セレン化カドミウム(CdSe)、テルル化カドミウム(CdTe)、窒化ガリウム(GaN)、リン化ガリウム(GaP)、セレン化ガリウム(GaSe)、アンチモン化ガリウム(GaSb)、ヒ化ガリウム(GaAs)、窒化アルミニウム(AlN)、リン化アルミニウム(AlP)、ヒ化アルミニウム(AlAs)、リン化インジウム(InP)、ヒ化インジウム(InAs)、テルル(Te)、硫化鉛(PbS)、アンチモン化インジウム(InSb)、テルル化鉛(PbTe)、セレン化鉛(PbSe)、テルル化アンチモン(SbTe)、セレン化亜鉛カドミウム(ZnCdSe)、硫化亜鉛カドミウムセレン(ZnCdSeS)、または硫化銅インジウム(CuInS)であってもよい。殻部の材料と核部の材料が互いに整合しなければならない(例えば、核部と殻部の材料の格子定数が整合する必要がある)。殻部の材料の選択は、核部の材料の格子定数と整合するほか、量子収量(quantum
yield)を高めるよう、核部の外囲に高いエネルギーバリア領域を形成する。殻部の構造が単層、多層、または材料の組成が次第に変化する構造であってもよい。一実施例では、核部がセレン化カドミウムであり、殻部が単層の硫化亜鉛である。別の実施例では、核部がセレン化カドミウムであり、殻部が内層の(カドミウム、亜鉛)(硫、セレン)および外層の硫化亜鉛を含む。別の実施例では、核部がセレン化カドミウム(CdSe)であり、殻部が内層の硫化カドミウム(CdS)、外層の硫化亜鉛(ZnS)、及び内層と外層の間に位置する組成移行層(compositional transition layer)、例えば、Zn0.25Cd0.75S/Zn0.5Cd0.5S/Zn0.75Cd0.25Sを含む。組成移行層の材料組成比は、例えば、内層と外層の材料組成比の間にある。一実施例において、組成移行層は外層と内層の混合物によって組成される合金層である。
【0013】
波長変換層501は、量子ドット粒子以外の波長変換材料を含んでもよい。一実施例では、その他の種類の蛍光体材料と量子ドット粒子を同時にバインダーの中に混合させる。例えば、4価マンガンを活性中心として赤色光を発するフッ化物蛍光体と、緑色光の量子ドット粒子を同時にバインダーの中に混合させる。別の実施例では、その他の種類の蛍光体材料と量子ドット粒子を層化方式でバインダーの中に混合させる。例えば、緑色光を発する窒素酸化物蛍光体層を発光ユニット1に近いところに形成し、赤色光および/またはその他の色の光を発する量子ドット粒子で蛍光体層の上を被覆する。波長変換層501はさらに光散乱粒子を含んでもよい。一実施例では、複数個の光散乱粒子が基質中に分散される。光散乱粒子は発光ユニット1の入射光を散乱させることで、入射光が波長変換層501内に移動する経路を増やし、入射光が量子ドット材料/蛍光体に吸収される確率を高める。光散乱粒子の材料は酸化ケイ素または酸化チタン粒子を含んでもよい。
【0014】
波長変換層501の上下表面を覆う第一バリア層502および第二バリア層503は類似または同じ材料であってもよく、例えば、PVDF(Polyvinylidene difluoride、ポリフッ化ビニリデン)またはPET(polyethylene terephthalate、ポリエチレンテレフタレート)である。PVDFの熱変形温度(Heat deflection temperature;HDT)はPETより高く、約200℃であり、かつ透光率が92.5%より大きい。一実施例では、第一バリア層502および第二バリア層503はPVDF材料を含む。製造工程にリフロー(reflow)ステップが含まれる場合、第一バリア層502および第二バリア層503の材料特性が高温で破壊され難いため、波長変換層501が高温リフローを経た後も、水気、酸素に対し依然として十分な遮断性を有することを確保できる。第三バリア層504の材料が金属または無機材料を含んでもよい。金属として、金(Au)、アルミニウム(Al)、プラチナ(Pt)、ニッケル(Ni)を含んでもよい。無機材料として、酸化ケイ素(SiOX)、酸化アルミニウム(Al2O3)、窒素酸化ケイ素(SiON)または窒化ケイ素(SiNX)を含んでもよい。
【0015】
透光層2はシリコーン(Silicone)、エポキシ樹脂(Epoxy)、ポリイミド(PI)、ベンゾシクロブテン(BCB)、パーフルオロシクロブタン(PFCB)、SU8、アクリル樹脂(Acrylic Resin)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルイミド(Polyetherimide)、フルオロカーボン重合体(Fluorocarbon Polymer)、酸化アルミニウム(Al2O3)、SINR、スピンオンガラス(SOG)を含む。導電電極102A、102Bの材料は金属、例えば、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、クロム(Cr)、アルミニウム(Al)、プラチナ(Pt)、ニッケル(Ni)、チタニウム(Ti)、錫(Sn)、またはこれらの合金、またはこれらの積層組み合わせ物であってもよい。透光層2は波長変換材料を含まない。なお、別の実施例では、透光層2が波長変換層501と異なる放射波長および/または異なる濃度の波長変換材料を含むことも可能であり、例えば、透光層2が赤色蛍光体を含み、波長変換層501が緑色光の量子ドット粒子を含んでもよい。
【0016】
反射層3の材料が基質および高反射率物質の混合物を含む。基質は、シリコーン基質(silicone-based)またはエポキシ基質(epoxy-based)であってもよい。高反射率物質は、二酸化チタン、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、K2TiO3、ZrO2、ZnS、ZnOまたはMgOを含んでもよい。
【0017】
発光ユニット1は非コヒーレント光を発する半導体発光素子であって、基板、第一型半導体層、活性層、および第二型半導体層を含む。第一型半導体層および第二型半導体層は例えば被覆層(cladding layer)または制限層(confinement layer)であり、それぞれ電子、正孔を提供し、電子と正孔が活性層中に結合して発光する。第一型半導体層、活性層および第二型半導体層は、III-V族半導体材料、例えば、AlxInyGa(1-x-y)NまたはAlxInyGa(1-x-y)Pを含み、かつ、0≦x≦1、0≦y≦1、(x+y)≦1である。活性層の材料によって、発光主体1は、ピーク値が610nmと650nmの間にある赤色光,ピーク値が530nmと570nmの間にある緑色光、ピーク値が450nmと490nmの間にある青色光、またはピーク値が400nmと450nmの間にある紫色光、またはピーク値が280nmと400nmの間にある紫外光を発することができる。基板は、第一型半導体層、活性層および第二型半導体層の成長基板にすることも、または、成長基板を取り除いた後に第一型半導体層、活性層および第二型半導体層のキャリアにすることもできる。基板の材料は、ゲルマニウム(Ge)、ヒ化ガリウム(GaAs)、インジウム化リン(InP)、サファイア(Sapphire)、炭化ケイ素(SiC)、ケイ素(Si)、アルミン酸リチウム(LiAlO2)、酸化亜鉛(ZnO)、窒化ガリウム(GaN)、窒化アルミニウム(AlN)、金属、ガラス、複合材料(Composite)、ダイヤモンド、CVDダイヤモンド、およびダイヤモンドライクカーボン(Diamond-Like Carbon;DLC)などを含むが、これらに限定されない。
【0018】
波長変換構造5と発光ユニット1との間に0より大きい距離があり、透光層2が波長変換構造5と発光ユニット1との間に位置する。波長変換構造5は発光ユニット1に直接接触せず、発光ユニット1で生成された熱が波長変換構造5まで直接伝達されることない。従って、波長変換構造5は、発光ユニット1の直接熱伝導によって温度が急上昇し、信頼性が低下させることになり難い。発光ユニット1から波長変換構造5中に入射された入射光は、波長変換構造5中の波長変換材料に吸収/変換され、吸収/変換されなかった入射光と波長変換材料が発した光線が完全にまたは部分的に混合した後、発光素子100を離れる。
【0019】
図1Bは本発明の一実施例に基づく発光素子100の上面図である。波長変換構造5は発光ユニット1の上を覆い、反射層3は波長変換構造5の周囲を囲んでいる。詳しく言うと、反射層3が第三バリア層504を囲み、第三バリア層504が第一バリア層502を囲む。上面視において、反射層3、第三バリア層504および第一バリア層502の幾何中心が近い位置にある。
図1Bが示すように、発光素子100の外形は矩形であるが、本発明の発光素子100の形状はこれに限定されない。別の実施例において、発光素子100が矩形ではないその他の形状、例えば、三角形、台形、菱形、平行四辺形、正方形、円形またはその他の多角形であってもよい。波長変換構造5中の波長変換材料が発光ユニット1からの入射光に励起される時にも熱エネルギーが発生し、波長変換構造5の温度を上昇させ、波長変換構造5の信頼性を低下させることがある。例えば、波長変換構造5中に位置する量子ドット粒子が耐えられる光エネルギー密度は約0.2W/mm
2であり、入射光の強度が大き過ぎると、量子ドット粒子の発光効率、発光強度などの特性を劣化させる可能性がある。従って、波長変換材料の波長変換によって発生する熱エネルギーを低減させるために、発光素子100の波長変換構造5の面積を発光ユニット1の出光面より大きくして、波長変換構造5が受ける光エネルギー密度を低減させる。上面視において、発光ユニット1の上表面が面積A1を有し、波長変換構造5の上表面が面積A2を有し、A2>A1、かつ、A2/A1が所定の数値範囲にあり、例えば、1.5<A2/A1<10である。
【0020】
第三バリア層504の主な機能は波長変換層501の側表面を密封することであり、そのため、
図1Cが示すように、選択により、第一バリア層502、波長変換層501、第二バリア層503の側表面のみを覆い、第二バリア層503の下表面506を覆わなくもよい。
図1Cは本発明の一実施例に基づく発光素子110の断面概略図であり、発光素子110は発光ユニット1、透光層2、反射層3、波長変換構造5、および粘着層4を含む。波長変換構造5は波長変換層501、第一バリア層502、第二バリア層503、および第三バリア層504を有する。第一バリア層502は波長変換層501の上表面を直接覆い、第二バリア層503は波長変換層501の下表面を直接覆う。第一バリア層502、波長変換層501、第二バリア層503の側表面が略同一平面であるか、または同一平面ではなくてもよい。波長変換層501は第一バリア層502および第二バリア層503の間に位置する。第三バリア層504は第一バリア層502、波長変換層501、第二バリア層503の側表面を覆う。第二バリア層503の下表面506が第三バリア層504に覆われず,かつ粘着層4と直接接触している。発光ユニット1、透光層2、反射層3、波長変換構造5および粘着層4の構造、材料ついて、前記発光素子100の関連段落を参照することができる。
【0021】
図2A~
図2Fは本発明の一実施例に基づく波長変換構造5の製造工程の概略図である。
図2Aが示すように、第一バリア層502および第二バリア層503を有する波長変換層501を第一仮搭載具61上に設置し、かつ、第一バリア層502が第一仮搭載具61に直接接触するか、または粘着層(図示せず)によって第一仮搭載具61上に貼り付けられる。続いて、
図2Bが示すように、切断して、複数個の通路P1を形成し、複数個の波長変換構造の大きさを定義する。
図2Cが示すように、印刷(printing)、塗布(coating)、噴霧(spraying)、分注(dispensing)または金型鋳造(molding)などの方法を利用して、第一バリア層502、波長変換層501および第二バリア層503の側面、第二バリア層503の上表面、および通路P1の中を第三バリア層504で覆う。最後に、
図2Dが示すように、通路P1中の第三バリア層504を除去すると、第一仮搭載具61上に複数個の波長変換構造5が形成される。別の実施例では、
図2Cのステップの代わりに
図2Eを行い、第三バリア層504が第一バリア層502、波長変換層501および第二バリア層503の側面、および通路P1中のみを覆い、かつ第二バリア層503の上表面を露出させる。最後に、
図2Fが示すように、通路P1中の第三バリア層504を除去すると、第一仮搭載具61上に複数個の波長変換構造5が形成される。第一仮搭載具61の材料は、熱除去テープ(thermal release tape)、光分解フィルム(UV tape)、化学除去テープ(Chemical release tape)、耐熱テープ、またはブルーテープ(Blue Tape)であってもよい。
【0022】
図3A~
図3Fは本発明の一実施例に基づく発光素子の製造工程の概略図である。ここで、
図1Aの発光素子100における製造ステップを例示するが、
図1Cの発光素子110は、
図3A~
図3Fの波長変換構造5を
図2Fの構造に替えるだけで、作製することができる。
図3Aが示すように、粘着性を有する第二仮搭載具62を提供し、複数個の発光ユニット1の2つの導電電極102A、102Bを第二仮搭載具62上に設置する。隣接する発光主体1の間の領域を通路エリアと定義する。印刷(printing)、塗布(coating)、噴霧(spraying)、分注(dispensing)または金型鋳造(molding)など方法を利用して、発光ユニット1の上表面101と側表面104、および通路エリアを透光層2で覆う。ここで、平坦化工程、例えば研磨(polish process)またはサンドブラスト(blasting)工程を行って、透光層2の上表面を平坦化してもよい。その後、
図3Bが示すように、透光層2の上方に粘着層4を形成する。
図3Cが示すように、
図3B中の構造を反転させて、発光ユニット1を
図2D中の波長変換構造5と2対2に対応させる。
図2D中の波長変換構造5と粘着層4を接触させて貼り合わせ、波長変換構造5を各発光ユニット1の下方に固定する。第二仮搭載具62を除去し、導電電極102A、102Bを露出させる。次に、
図3Dが示すように、透光層2および粘着層4を切断し、上部が広くて下部が狭いスクライブラインC1を形成し、かつ、隣接する波長変換構造5の間に位置する通路P1を露出させる。上部が広くて下部が狭いスクライブラインC1を形成するためには、それに似たような外形のカッターを用いて切断ステップを行うことが好ましいが、上部が広くて下部が狭いスクライブラインを形成できる切断工具または製造技法はすべて本発明の応用に含まれる。続いて、
図3Eが示すように、スクライブラインC1および通路P1の間に、印刷(printing)、塗布(coating)、噴霧(spraying)、分注(dispensing)、または金型鋳造(molding)などの方法を利用して、反射層3を形成する。その後、さらに平坦化工程、例えば研磨またはサンドブラスト工程を行って、導電電極102A、102Bを露出させる。このステップでは、選択的に、反射層3が発光ユニット1の下表面103覆い、および導電電極102A、102Bの間を充填してもよい。最後に、
図3Fが示すように、反射層3を切断するとともに、第一仮搭載具61を除去して、互いに分離した複数個の発光素子を形成する。第一仮搭載具61および第二仮搭載具62を除去する方法は、レーザー剥離、加熱分離、溶解などの方法を用いることができる。
【0023】
図4Aは本発明の一実施例に基づく発光素子200の断面概略図である。発光素子200は発光ユニット1、透光層2、反射層3、波長変換構造5および保護層7を含む。発光ユニット1は上表面101、発光ユニット1の上表面101の反対側の下表面103に位置する2つの導電電極102Aと102B、および複数個の側表面104を有する。発光ユニット1は、単一のダイオードを有するチップであっても、または複数のダイオードを有するチップであってもよく(例えば、高圧発光ダイオードチップ)、発光ユニット1の上表面101が出光面である。導電電極102A、102Bの最外側表面が発光ユニット1の側表面104を超えない(即ち、導電電極102A、102Bの最外側表面が発光ユニット1の側表面104と同一平面であるか、またはその内側にある)。透光層2は発光ユニット1の側表面104を囲み、かつ上表面101を覆う。波長変換構造5は透光層2の上方に位置し、かつ透光層2と直接接触する。波長変換構造5と発光ユニット1の上表面101との間にゼロより大きい距離がある。別の実施例では、波長変換構造5と透光層2の間に、発光素子100と同様に粘着層(図示せず)を有する。反射層3は透光層2、発光ユニット1および波長変換構造5を囲む。反射層3の最下表面303と発光ユニット1の下表面103が直接接触し、かつ略同一平面になっている。言い換えれば、透光層2の下表面が発光素子100の外に露出していない。別の実施例では、透光層2は少なくとも一部の発光ユニット1の下表面103を覆う。反射層3の内表面306は、反射層3の最下表面303に対し傾斜した傾斜面である。反射層3の最外側表面304は、最下表面303に対し略垂直である。
【0024】
保護層7は反射層3の内表面306上に形成され、その厚さが例えば10μmより大きく、かつ50umより小さく、かつ、波長変換構造5の最上表面505と鋭角をなす。保護層7は、第一部分701および第一部分701の上方に位置する第二部分702を含む。第一部分701は透光層2および反射層3の間に位置し、かつ透光層2の側表面を直接覆う。第二部分702は波長変換構造5と透光層2との間に位置し、かつ波長変換構造5の側表面を直接覆う。保護層7は、さらに、金属または無機材料を含んでもよい。金属として、金(Au)、アルミニウム(Al)、プラチナ(Pt)、ニッケル(Ni)を含んでもよい。無機材料として、酸化ケイ素(SiOX)、酸化アルミニウム(Al2O3)、窒素酸化ケイ素(SiON)または窒化ケイ素(SiNX)を含んでもよい。
【0025】
波長変換構造5は波長変換層501、第一バリア層502および第二バリア層503を有する。第一バリア層502が波長変換層501の上表面を直接覆い、第二バリア層503が波長変換層501の下表面を直接覆い、波長変換層501が第一バリア層502および第二バリア層503の間に位置する。波長変換層501、第一バリア層502および第二バリア層503の側表面が共同で傾斜面を形成し、かつ保護層7の第二部分702に直接覆われる。第一バリア層502および第二バリア層503は、波長変換層501の上下表面を密封するために用いられる。保護層7が波長変換層501の側表面を密封することで、波長変換層501の外表面がすべてバリア層と保護層によって保護され、外部の水気および酸素を遮断して、波長変換層501の信頼性をさらに高める。第一バリア層502、波長変換層501、第二バリア層503が共同で、上方が広くて下方が狭い台形を形成する。詳しく言うと、第二バリア層503の幅が波長変換層501の幅より小さく、波長変換層501の幅が第一バリア層502の幅より小さい。波長変換構造5の最上表面505は、反射層3の最上表面305、保護層7の最上表面703と略同一平面になっている。
【0026】
発光ユニット1、透光層2、反射層3、第一バリア層502、波長変換層501、第二バリア層503の材料について、前記の発光素子100の関連段落を参考することができるため、ここで重複しない。
【0027】
図4Bは本発明の一実施例に基づく発光素子200の上面図である。波長変換構造5は発光ユニット1の上を覆い、保護層7は波長変換構造5の周りを囲み、反射層3は保護層7の周りを囲んでいる(
図4Aが示す通り)。
図4Bが示すように、発光素子200の外形が矩形であるが、本発明の発光素子の形状はこれに限定されない。別の実施例では、発光素子200が矩形ではないその他の形状、例えば、三角形、台形、菱形、平行四辺形、正方形、円形またはその他の多角形であってもよい。波長変換構造5中の波長変換材料が発光ユニット1からの入射光に励起される時にも熱エネルギーが発生するため、波長変換構造5の温度を上昇させ、さらに波長変換構造5の信頼性を低減させることになる。例えば、量子ドット粒子が耐えられる光エネルギー密度の大きさが約0.2W/mm
2であり、入射光の強度が大き過ぎると、量子ドット粒子の発光効率、発光強度などの特性を劣化させる可能性がある。従って、波長変換材料の波長変換によって発生する熱エネルギーを低減させるために、発光素子200の波長変換構造5の面積を発光ユニット1の出光面より大きくして、波長変換構造5が受ける光エネルギー密度を低減させる。上面視において、発光ユニット1の上表面が面積A1を有し、波長変換構造5の上表面が面積A2を有し、A2>A1であり、かつ、A2/A1が所定の数値範囲にあり、例えば、1.5<A2/A1<10である。
【0028】
図5A~
図5Iは本発明の一実施例に基づく発光素子の製造工程の概略図である。
図5Aが示すように、第一バリア層502および第二バリア層503を有する波長変換層501を第一仮搭載具61上に設置し、かつ、第一バリア層502が第一仮搭載具61に直接接触するか、または粘着層(図示せず)によって第一仮搭載具61上に貼り付けられる。続いて、
図5Bが示すように、印刷(printing)、塗布(coating)、噴霧(spraying)、分注(dispensing)または金型鋳造(molding)などの方法を利用して、第二バリア層503上に透光層2を形成する。
図5Cが示すように、粘着性を有する第二仮搭載具62を提供し、複数個の発光ユニット1の2つの導電電極102A、102Bを第二仮搭載具62上に設置し、隣接する発光主体1の間の領域を通路エリアと定義する。続いて、
図5Dが示すように、
図5C中の構造を反転させて、発光ユニット1を
図5Bの透光層2中に埋め込むが、発光ユニット1が第二バリア層503に接触しない。
図5Eが示すように、第二仮搭載具62を除去し、導電電極102A、102Bを露出させる。続いて、
図5Fが示すように、透光層2、第一バリア層502、波長変換層501および第二バリア層503を切断し、上方が広くて下方が狭いスクライブラインC1を形成する。上部が広くて下部が狭いスクライブラインC1を形成するためには、それに似たような外形のカッターを用いて切断ステップを行うことが好ましいが、上部が広くて下部が狭いスクライブラインを形成できる切断工具または製造技法はすべて本発明の応用に含まれる。
図5Gが示すように、スクライブラインC1において、透光層2、第一バリア層502、波長変換層501および第二バリア層503が共同で形成した傾斜面上に、原子層化学気相蒸着(Atomic Layer Chemical Vapor Deposition;ALD)、電気めっきまたは化学めっき方法を利用して保護層7を形成する。その後、
図5Hが示すように、スクライブラインC1および通路P1の間に、印刷(printing)、塗布(coating)、噴霧(spraying)、分注(dispensing)または金型鋳造(molding)などの方法を用いて、反射層3を形成する。そして、再度平坦化工程、例えば、研磨またはサンドブラスト工程を行って、導電電極102A、102Bを露出させる。このステップにおいて、選択的に、反射層3が発光ユニット1の下表面103を覆い、および導電電極102A、102Bの間を充填するようにしてもよい。最後に、
図5Iが示すように、反射層3を切断し、かつ第一仮搭載具61を除去して、それぞれ分離した複数個の発光素子を形成する。
【0029】
図6Aは本発明の一実施例に基づく発光素子300の断面概略図である。発光素子300は発光ユニット1、透光層2、反射層3、波長変換構造5および粘着層4を含む。発光ユニット1は、上表面101、発光ユニット1の上表面101の反対側の下表面103に位置する2つの導電電極102Aと102B、および複数個の側表面104を有する。透光層2は発光ユニット1の側表面104を囲み、かつ上表面101を覆う。波長変換構造5は透光層2の上方に位置し、かつ粘着層4によって透光層2に固着される。言い換えれば、粘着層4が波長変換構造5および透光層2の間に位置し、波長変換構造5と発光ユニット1の上表面101との間にゼロより大きい距離を有する。反射層3は透光層2、発光ユニット1、粘着層4および波長変換構造5を囲む。反射層3は発光ユニット1の側表面104と直接接触せず、かつ側表面104との間にゼロより大きい距離を有する。反射層3の内表面は第一部分301、第一部分301の上方に位置する第二部分302、および第一部分301と第二部分302に接続される第三部分307を含む。第一部分301は最下表面303に対し垂直であり、かつ透光層2を直接覆う。第二部分302は波長変換構造5に直接接触し、かつ反射層3の最下表面303と略垂直である。第三部分307は第一部分301と第二部分302との間に位置し、かつ、第一部分301と第二部分302に平行ではない傾斜面を有する。別の実施例では、第三部分307がアーチ面である。反射層3の最外側表面304は最下表面303と略垂直である。反射層3の内表面の第一部分301と最外側表面304との距離が、第二部分302と最外側表面304との距離より大きい。言い換えれば、反射層3は、透光層2を囲む部分の幅が、波長変換構造5を囲む部分より大きい。反射層3の最上表面305が平坦面ではなく、かつ凹部を有する。また、最上表面305と波長変換構造5とが接触する端点3051は、最上表面305と最外側表面304とが交差する端点3052より高い。別の実施例では、反射層3の最上表面305が傾斜面または平面であり、反射層3の最上表面305が平面である場合、波長変換構造5の最上表面505と同一平面であってもよい。別の実施例では、最上表面305と波長変換構造とが接触する端点3051が、波長変換構造5の最上表面505と接触せず、かつ、波長変換構造5の最上表面505より低い。
【0030】
粘着層4と発光ユニット1の上表面101との間に0より大きい距離を有するため、透光層2が粘着層4と発光ユニット1の上表面101との間に位置する。粘着層4の上表面401の幅が波長変換構造5の幅と略同じで、下表面402の幅が透光層2の幅と略同じ。粘着層4の上表面401の幅が下表面402の幅と同じではない。粘着層4の厚さが比較的に小さい場合、その上下表面の幅の差が大きくない、または同じであることもあり得る。
【0031】
波長変換構造5は波長変換層501、第一バリア層502、第二バリア層503および第三バリア層504を有する。第一バリア層502および第二バリア層503は波長変換層501の上下表面を密封するために用いられ、第三バリア層504は波長変換層501の側表面を密封するために用いられて、波長変換層501の外表面がすべてバリア層によって保護され、外部の水気および酸素を遮断し、波長変換層501の信頼性をさらに高める。第一バリア層502が波長変換層501の上表面を直接覆い、第二バリア層503が波長変換層501の下表面を直接覆い、波長変換層501が第一バリア層502および第二バリア層503の間に位置する。第一バリア層502、波長変換層501、第二バリア層503の側表面が略同一平面であっても、または同一平面ではなくてもよい(図示せず)。第三バリア層504は第一バリア層502、波長変換層501、第二バリア層503の側表面、および第一バリア層502の上表面507を覆う。従って、波長変換層501は第一バリア層502、第二バリア層503および第三バリア層504に囲まれている。第一バリア層502は波長変換層501および第三バリア層504の間に位置する。第二バリア層503は粘着層4の上表面401に直接接触する。
【0032】
発光ユニット1、透光層2、反射層3、粘着層4、第一バリア層502、波長変換層501、第二バリア層503、第三バリア層504の材料について、前記の発光素子100の関連段落を参照できるため、ここで省略する。
【0033】
図6Bは本発明の一実施例に基づく発光素子300の上面図である。波長変換構造5は発光ユニット1の上を覆い、反射層3は波長変換構造5の周りを囲む。詳しく言うと、上面図において、反射層3は第三バリア層504の周りを囲み、かつ第三バリア層504と幾何中心が近い位置にある。波長変換構造5中の波長変換材料が発光ユニット1からの入射光に励起される時にも熱エネルギーが発生するため、波長変換構造5の温度が上昇して、波長変換構造5の信頼性を低下させることになる。例えば、量子ドット粒子が耐えられる光エネルギー密度は約0.2W/mm
2であり、入射光の強度が大き過ぎると、量子ドット粒子の発光効率、発光強度などの特性を劣化させる可能性がある。従って、波長変換材料の波長変換によって発生する熱エネルギーを低減させるために、発光素子300の波長変換構造5の面積を発光ユニット1の出光面より大きくして、波長変換構造5が受ける光エネルギー密度を低減させる。上面視において、発光ユニット1の上表面が面積A1を有し、波長変換構造5の上表面が面積A2を有し、A2>A1、かつ、A2/A1が所定の数値範囲にあり、例えば、1.5<A2/a1<10である。
【0034】
図7A~
図7Gは本発明の一実施例に基づく発光素子の製造工程の概略図である。
図7Aが示すように、粘着性を有する第二仮搭載具62を提供し、複数個の発光ユニット1の2つの導電電極102A、102Bを第二仮搭載具62上に配置し、隣接する発光主体1間の領域を通路エリアと定義し、印刷(printing)、塗布(coating)、噴霧(spraying)、分注(dispensing)、または金型鋳造(molding)などの方法を利用して、発光ユニット1の上表面101と側表面104、および通路エリアを透光層2で覆う。ここで、さらに平坦化工程、例えば研磨またはサンドブラスト工程を行い、透光層2の上表面を平坦化してもよい。その後、
図7Bが示すように、隣接する発光ユニット1の間の通路エリアを切断し、一部の透光層2を除去してスクライブラインC2を形成する。
図7Cが示すように、透光層2の上方に粘着層4を形成する。
図7Dが示すように、
図2D中の波長変換構造5を反転させて、第三仮搭載具63の上に配置し、かつ第一仮搭載具61を除去する。その後、
図7Eが示すように、発光ユニット1と
図7D中の構造を2対2に対応させ、かつ、波長変換構造5を下へ移動させて、粘着層4と接触させて貼り合わせ、波長変換構造5を対応する発光ユニット1の上方に固定する(一つの波長変換構造が一つまたは複数の発光素子を覆ってもよい)。その後、第三仮搭載具63を除去し、スクライブラインC2を露出させる。
図7Fが示すように、スクライブラインC2において、印刷(printing)、塗布(coating)、噴霧(spraying)、分注(dispensing)または金型鋳造(molding)などの方法を用いて、反射層3により波長変換構造5および透光層2の側表面を覆う。このステップにおいて、反射層3の充填高さが波長変換構造5を超えないように制御されるため、波長変換構造5を露出させるための研磨工程を行う必要がない。一方、反射層3の充填高さが波長変換構造5の超えた場合、必要に応じて高さを下げるステップを行ってもよく、即ち、反射層3の最上表面の高さが波長変換構造5の最上表面を超えてもよい。最後に、
図7Gが示すように、反射層3を切断し、かつ第二仮搭載具62を除去して、互いに分離した複数個の発光素子を形成する。第三仮搭載具63の材料および除去方法は、第一仮搭載具61、第二仮搭載具62と同じ、前記の段落を参照できる。
【0035】
前記発光素子100、110、200、300の発光ユニット1はフリップチップを選択することも可能であり、言い換えれば、発光ユニット1の2つの導電電極102A、102Bが発光ユニット1の同じ側に位置する。別の実施例では、
図8A~
図8Cが示すように、発光ユニット1をフェースアップ(face-up)チップに替えてもよい。
図8A~
図8Cは、発光素子300を例に、フリップチップ型の発光ユニット1をフェースアップ型の発光ユニットに替えた構造の例示図である。
図8Aは本発明の一実施例に基づく発光素子400の断面概略図である。発光素子400の反射層3、透光層2、波長変換構造5および粘着層4の構造、材料が発光素子300と同じであるため、前記説明を参照できる。発光素子400は、発光素子300における発光ユニット1を発光ユニット11およびサブ搭載板9に替えたものである。発光ユニット11はサブ搭載板9上に設置されている。サブ搭載板9は、物理的に分離された2つの部分である第一導電部91と第二導電部92、および、第一導電部91と第二導電部92を囲んでこれらに接続される絶縁部93を含む。断面図において、第二導電部92の幅が第一導電部91より大きい。底面図において、絶縁部93は第一導電部91および第二導電部92の側表面を囲み、かつ、選択により、第一導電部91および第二導電部92の上下表面と共同の平面を形成してもよい。詳しく言うと、第一導電部91の上表面911および第二導電部92の上表面921は絶縁部93に覆われず、かつ絶縁部93の上表面931と同一平面になっている。第一導電部91の下表面912および第二導電部92の下表面922は絶縁部93に覆われず、かつ絶縁部93の下表面932と同一平面になっている。発光ユニット11の下表面113は、粘着層(図示せず、例えば、銀コロイド、ケイ素コロイド、エポキシ樹脂などのコロイド)によってサブ搭載板9の第二導電部92上に固定されてもよい。発光ユニット11の幅が第二導電部92より小さい。発光ユニット11は、第一導電電極112Aおよび第二導電電極112Bを有し、下表面113の反対側の上表面上に設置されている。第一導電電極112Aはリード線81によって第一導電部91に電気的に接続され、第二導電電極112Bはリード線82によって第二導電部92に電気的に接続される。透光層2は、発光ユニット11、第一導電電極112A、第二導電電極112B、リード線81、82を囲むとともに覆う。反射層3とサブ搭載板9の最外側辺が直接接触しており、言い換えれば、反射層3とサブ搭載板9の絶縁部93が直接接触する。反射層3の最下表面303と第一導電部91の下表面912、第二導電部92の下表面922、および絶縁部93の下表面932が同一平面になっている。外部電源は、第一導電部91および第二導電部92によって発光ユニット11を導通することができる。別の実施例では(図示せず)、反射層3がサブ搭載板9の最外側辺と直接接触せず、言い換えれば、透光層2がサブ搭載板9の最外側辺を直接覆う。
【0036】
第一導電部91と第二導電部92の材料が金属、例えば、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、クロム(Cr)、アルミニウム(Al)、プラチナ(Pt)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、錫(Sn)、またはこれらの合金、またはこれらの積層組み合わせ物であってもよい。第一導電部91と第二導電部92を固定するために、絶縁部93の材料が透光層2と同じでもよい。別の実施例では、発光素子400の発光強度を高めるように、絶縁部93の材料が反射層3と同じでもよい。
【0037】
別の実施例では、
図8Bが示すように、発光ユニット11がサブ搭載板9の絶縁層上に設置される。
図8Bは本発明の一実施例に基づく発光素子410の断面概略図である。発光素子410は発光素子400に類似するが、サブ搭載板9の構造が発光素子400と若干異なる。発光素子410の発光ユニット11、反射層3、透光層2、波長変換構造5、および粘着層4の構造、材料が発光素子400と同じであるため、前記説明を参照することができる。サブ搭載板9は、物理的に分離した2つの部分である第一導電部91と第二導電部92、および、第一導電部91と第二導電部92を囲むとともに接続される絶縁部93を含む。第二導電部92の幅が第一導電部91の幅と同じでも異なってもよい。絶縁部は、サブ搭載板9の最外側に位置し、第一導電部91および第二導電部92の外側表面を囲んで覆う第一部分を含む。絶縁部の第二部分が第一導電部91と第二導電部92との間に位置し、かつ、第一導電部91と第二導電部92の内側表面を覆う。絶縁部93は、第一導電部91および第二導電部92の上下表面と同一平面を形成する。発光ユニット11は第一導電部91と第二導電部92との間に位置し、発光ユニット11の下表面113が粘着層(図示せず)によって絶縁部の第二部分に固定される。反射層3は絶縁部93の第一部分と直接接触せず、透光層2が絶縁部93の第一部分と反射層3との間に位置する。反射層3、透光層2、サブ搭載板9の下表面が同一平面である。さらに別の実施例では、反射層3と絶縁部93の第一部分が直接接触する。
【0038】
別の実施例では、
図8Cが示すように、第一導電部91と第二導電部92が透光層2に囲まれて固定される。
図8Cは本発明の一実施例に基づく発光素子420の断面概略図である。発光素子420の発光ユニット11、反射層3、透光層2、波長変換構造5、および粘着層4の構造、材料が発光素子400と同じであるため、前記説明を参照することができる。発光ユニット11の下表面113は粘着層(図示せず)によって第二導電部92上に固定される。発光ユニット11の幅が第二導電部92より小さい。第一導電部91と第二導電部92が物理的に分離しており、第二導電部92の幅が第一導電部91より大きい。透光層2は第一導電部91および第二導電部92の側表面と上表面を囲み、第一導電部91および第二導電部92を固定して支持するものである。詳しく言うと、透光層2は第一導電部91、第二導電部92、発光ユニット11、リード線81、82を被覆する。反射層3は第一導電部91および第二導電部92と直接接触しない。透光層2は、反射層3と第一導電部91および第二導電部92との間に位置する。
【0039】
別の実施例において、前記発光素子100、110、200に対応する発光ユニット1の代わりに、
図8A~
図8Cの発光ユニット11およびサブ搭載板9、第一導電部91、第二導電部92を用いることができる。
【0040】
図9A~
図9Bは本発明の一実施例に基づく発光素子と回路板12の接合製造ステップである。
図9Aを参照すると、発光素子100を例示しているが、その他の実施例において、発光素子が発光素子110、200、300、400、410、420であってもよい。発光素子100の2つの導電電極102A、102Bと、回路板12上のボンディングパッド121A、121Bがそれぞれ対応する。ペースト剤13は発光素子100と回路板12との間に塗布されている。
図9Aが示すように、加熱硬化前のペースト剤13は絶縁材料132および絶縁材料132中に分散された複数個の導電粒子131を含む。発光素子100を接合させる方法は加熱硬化ステップを含む。接合過程において、ペースト剤13または工程環境の温度が170℃を超えないため、発光素子100中の波長変換構造5の信頼性への影響が比較的に少ない。絶縁材料132の粘度は一旦低下してから上昇し、かつ、導電粒子131は発光素子100の2つの導電電極102A、102Bおよび回路板12上のボンディングパッド121A、121Bの間または周りに集まる。
図9Bは加熱硬化後の状態を示している。ペースト剤13に覆われた領域は導通領域141および非導通領域142を含む。導通領域141は導電電極102Aとボンディングパッド121Aとの間、および導電電極102Bとボンディングパッド121Bとの間に位置する。導通領域141を除き、その他のペースト剤に覆われる領域は非導通領域142である。
図9Aが示すように、加熱硬化ステップの前、導通領域141内の導電粒子131の平均密度が非導通領域142に類似する。
図9Bが示すように、加熱硬化ステップの後、大部分の導電粒子131は導通領域141中に集まる。導通領域141内の導電粒子131の平均密度が非導通領域142より大きい。一実施例において、導通領域141内の導電粒子131の平均密度が75%より大きく、または、導通領域141が絶縁材料132を有しないことが好ましい。非導通領域142内の導電粒子131の平均密度は40%より小さい、かつゼロではない。つまり、非導通領域142は少量の、互いに離れている導電粒子131を含む。例えば、非導通領域142内の導電粒子131の含有量が0.1%~40%であり、好ましくは2%~10%である。非導通領域142における絶縁材料132の平均密度が60%より高く、好ましくは60%~99.9%である、さらに好ましくは90%~98%である。一実施例において、非導通領域142は10%~40%の導電粒子131および60%~90%の絶縁材料132を含み、また、好ましくは、非導通領域142は20%~30%の導電粒子131および70%~80%の絶縁材料132を含む。別の実施例では、非導通領域142は導電粒子131を含まない。
【0041】
ペースト剤13を複数個のサブ部分(例えば、3~10個のサブ部分)に分けることができる。平均密度の定義は、全てまたは特定のサブ部分の密度の平均値である。サブ部分のサイズは、測定サンプルの大きさまたは測定方法に基づいて調整することができる。例えば、サブ部分は三次元の形状または断面図において二次元の形状を有する。二次元の形状は八角形、六角形、矩形、三角形、円形、楕円形またはこれらの組み合わせであってもよい。三次元の形状は円柱体、立方体、長方体または球体であってもよい。導電粒子131の密度は、ペースト剤13の一サブ部分内に(例えば、20×20μm2)、すべての導電粒子131の数または占める面積(選定された一つの図面において)を計算することで得たものである。
【0042】
導電粒子131は低い融点の金属または低い液化融点(liquidus melting point)の合金を含むことが可能で、その融点または液化温度が210℃より低い。金属材料は元素、化合物または合金、例えば、ビスマス(Bi)、錫(Sn)、銀(Ag)、インジウム(In)またはこれらの合金であってもよい。一実施例において、低い融点の金属または低い液化融点合金の融点または液化温度が170℃より低い。低い液化融点合金の材料は、錫インジウム合金または錫ビスマス合金であってもよい。絶縁材料132は熱硬化性重合体、例えば、エポキシ樹脂(epoxy)、シリコーン樹脂(silicone)、ポリメタクリル酸メチル、およびエピスルフィド(episulfide)であってもよい。絶縁材料132は硬化温度で硬化することができる。本実施例において、導電粒子131の融点が絶縁材料132の硬化温度より低い。
図9Aが示すように、加熱硬化ステップの前、導電粒子131の粒径は導電粒子131の直径と定義され、1μm~20μmの範囲にあり、例えば2μm、10μmである。ペースト剤13に対する導電粒子131の重量比が30%から80%の間にある。一実施例において、導電粒子131の平均粒径が約2μmの時に、ペースト剤13に対する導電粒子131の重量比は30%から70%の間にある。別の実施例では、導電粒子131の平均粒径が約10μmの時に、ペースト剤13に対する導電粒子131の重量比は40%から80%の間にある。導電電極102A、102Bの間の最短距離は好ましくは導電粒子131の粒径の二倍以上である。
【0043】
一実施例において、絶縁材料132は透明である。別の実施例において、絶縁材料132に選択的に光吸収物質を添加し、絶縁材料を濃い色、例えば黒色にして、発光素子をディスプレイ中に応用した際に、ディスプレイのコントラストを高めることができる。別の実施例において、絶縁材料132に選択的に高反射物質を添加し、絶縁材料を白色にして、発光主体から回路板へ射出された光を反射し、発光素子の上への出光強度を高めることができる。光吸収物質はカーボン(carbon)、酸化チタンまたは濃い色の顔料であってもよい。
【0044】
図9Bが示すように、加熱硬化の後、導通領域141内に位置する導電粒子は塊状(bulk)の導通構造133となり、かつ、導電電極102A、102Bとボンディングパッド121A、121Bの少なくとも一つの側表面を覆う。導通構造133は、それぞれ対応する導電電極102A、102Bおよびボンディングパッド121A、121Bに直接接触して電気的に導通し、外部の電源はボンディングパッド121A、121B、導通構造133、および導電電極102A、102Bによって発光素子100まで伝達される。絶縁材料132は導通構造133、導電電極102A、102B、およびボンディングパッド121A、121Bの外側表面を囲む。非導通領域142内の導電粒子131は離散状態で分布し、かつ絶縁材料132に被覆されている。従って、電流は非導通領域142を通過できない。非導通領域142内に充填された絶縁材料132は、発光素子100と回路板12との間の接合強度を高めるとともに、外部環境によって導電材料が酸化することを防ぎ、導通構造133が高温環境で材料が軟化または融解して発生する短絡問題も防止できる。側面図において、対応する導電電極102Aとボンディングパッド121Aを例にすると、導通構造133の下端(ボンディングパッド121Aと接触する一端)がボンディングパッド121Aの上表面を完全覆い、導通構造133の下端に対向する上端(導電電極102Aと接触する一端)が導電電極102Aの下表面を完全に覆っている。導通構造133はネック部(necking)の形状を有し、導通構造133の外側表面は凹部と凸部を有する表面である。別の実施例では、導通構造133の外側表面が外へ突出した円弧状であり、即ち、導通構造133がネック部構造を有しない。別の実施例では、導通構造133の外側表面が平坦面である。
【0045】
図9Bが示すように、ペースト剤13の最外側表面134が湾曲した形状を有し、かつ回路板12から発光素子100の最外側表面1001まで延伸している。ペースト剤13の形状が加熱硬化した後に変化することがあり(
図9Aに比較して)、即ち、ペースト剤13が加熱硬化ステップの前と後で異なる形状を有する。ペースト剤13は一部の発光素子100の最外側表面1001を覆う。より具体的に言うと、加熱硬化した後、
図9Bが示すように、ペースト剤13の最外側表面134と回路板12との間に角度θを有し、角度θは最外側表面134から発光素子100の最外側表面1001へ方向に沿って次第に大きくなる。
【0046】
図9C~
図9Dは本発明の一実施例に基づく発光素子と回路板12の接合製造ステップである。
図9Cが示すように、発光素子100を例にすると、別の実施例では、発光素子が発光素子110、200、300、400、410、420であってもよい。発光素子100の2つの導電電極102A、102Bと回路板12上のボンディングパッド121A、121Bがそれぞれ対応する。はんだ14はボンディングパッド121A、121B上に塗布されている。接合された区域にエネルギーLを提供し、はんだ14を局部加熱する。エネルギーLはレーザー、例えば、赤外線、UV光であってもよい。その後、
図9Dが示すように、発光素子100を熔解したはんだ14の上まで押え、はんだ14によって発光素子100と回路板12を接合させる。エネルギーLははんだ14の領域に対し局部加熱するのみで、発光素子100まで加熱しないため、発光素子100中の波長変換構造5の信頼性を影響することない。はんだ14の材料は錫、銅、銀、ビスマス、インジウム、亜鉛、アンチモン、またはこれらの混合物であってもよい。別の実施例では、はんだ14の材料が異方性導電フィルム(anisotropic conductive film;ACF)、または
図9A~
図9B中の自己集合(self-assembly)機能を有するペースト剤13であってもよい。
【0047】
以上の実施例は本発明の技術思想および特徴を説明するものであり、当業者が本発明の内容を理解し実施できることを目的としており、本発明の請求の範囲を限定するものではない。本発明が開示した思想に基づいて行われた等価な変化または修飾はすべて本発明の請求の範囲内に属する。
【符号の説明】
【0048】
100、110、200、300、400、410、420 発光素子
1、11 発光ユニット
2 透光層
3 反射層
4 粘着層
5 波長変換構造
7 保護層
9 サブ搭載板
12 回路板
13 ペースト剤
14 はんだ
101、401、507、911、921、931 上表面
102A、102B、112A、112B 導電電極
103、113、402、506、912、922、932 下表面
104 側表面
301、701、933 第一部分
302、702、934 第二部分
303 最下表面
304、134、1001 最外側表面
305、505、703 最上表面
306 内表面
307 第三部分
501 波長変換層
502 第一バリア層
503 第二バリア層
504 第三バリア層
5041 内側表面
61 第一仮搭載具
62 第二仮搭載具
63 第三仮搭載具
3051、3052 端点
81、82 リード線
91 第一導電部
92 第二導電部
93 絶縁部
121A、121B ボンディングパッド
131 導電粒子
132 絶縁材料
133 導通構造
141 導通領域
142 非導通領域
P1 通路
C1、C2 スクライブライン
θ 角度
L エネルギー