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  • 特許-扉開閉装置 図1
  • 特許-扉開閉装置 図2
  • 特許-扉開閉装置 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-09
(45)【発行日】2023-02-17
(54)【発明の名称】扉開閉装置
(51)【国際特許分類】
   E05F 15/611 20150101AFI20230210BHJP
【FI】
E05F15/611
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019102507
(22)【出願日】2019-05-31
(65)【公開番号】P2020197023
(43)【公開日】2020-12-10
【審査請求日】2022-02-09
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 上記特許出願の出願人であるリョービ株式会社は、従業者である安倍俊太郎が発明した電気配線を容易にした扉開閉装置を、日本経済新聞社主催の展示会「第25回 建築・建材展2019」(会期:平成31年3月5日~平成31年3月8日)に出品した。 上記特許出願の出願人であるリョービ株式会社は、従業者である安倍俊太郎が発明した電気配線を容易にした扉開閉装置の情報を、令和1年5月7日にリョービ株式会社のウェブサイトへ掲載した。
(73)【特許権者】
【識別番号】000006943
【氏名又は名称】リョービ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117204
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 徳哉
(72)【発明者】
【氏名】安倍 俊太郎
【審査官】河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-315667(JP,A)
【文献】特開2010-144446(JP,A)
【文献】特開2006-083535(JP,A)
【文献】特開平11-131905(JP,A)
【文献】実開昭54-104154(JP,U)
【文献】特開2016-151106(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 15/00-15/79
E06B 7/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
扉を開閉させるためのDCモータと該モータを駆動制御する本体制御部とを備え、扉に取り付けられる装置本体と、
装置本体と商用電源との間に配置され、商用電源の電力を装置本体に供給する電力供給装置とを備え、
電力供給装置は、第一端部が商用電源に接続される第一電源コードと、第一電源コードの第二端部が接続されるAC/DC変換部であるACアダプタと、第一端部がACアダプタに接続される第二電源コードと、第二電源コードの第二端部が接続され、装置本体に近づくようにACアダプタから離れて配置されると共に扉枠又は扉枠の近傍の壁面に取り付けられる中継ボックスと、第一端部が中継ボックスに着脱自在に接続されると共に第二端部が装置本体に着脱自在に接続される第三電源コードと、を備える、扉開閉装置。
【請求項2】
第三電源コードは、カールコードである請求項1記載の扉開閉装置。
【請求項3】
中継ボックス又はACアダプタに、電池を備えている請求項1又は2記載の扉開閉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、扉を電動で開いたり閉じたりするための扉開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、電動で扉を開閉させる駆動装置が記載されている。駆動装置は扉の上部や扉枠の上枠に取り付けられる。同文献の図13には、駆動装置が扉枠の上枠に取り付けられた使用状態が示されている。駆動装置は、電源プラグを有している。このような駆動装置に電力を供給するためには、扉枠に取り付けられた駆動装置の近傍に電源コンセントを設ける必要がある。そのため、駆動装置を設置する場合には、壁面に電気配線工事を施す必要がある。また、駆動装置を扉や扉枠に取り付けるときは、駆動装置から延びる電源コードや電源プラグが取付作業の邪魔にならないようにする必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平11-315667号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、電気配線が容易な扉開閉装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る扉開閉装置は、扉を開閉させるためのモータを備え、扉又は扉枠に取り付けられる装置本体と、装置本体と商用電源との間に配置され、商用電源の電力を装置本体に供給する電力供給装置とを備え、電力供給装置は、商用電源に接続される第一配線部と、装置本体に接続される第二配線部と、第一配線部と第二配線部との間に配置される中継部とを備え、第二配線部は、装置本体と中継部にそれぞれ着脱自在に接続される。尚、扉開閉装置は、開扉動作と閉扉動作の両方を行うものの他、開扉動作のみ、あるいは、閉扉動作のみを行うものであってもよい。
【0006】
該構成の扉開閉装置によれば、装置本体と商用電源とを電力供給装置を介して容易に接続することができ、商用電源から装置本体までの電気配線が容易になる。また、電力供給装置が中継部を備えていて、第二配線部が装置本体と中継部にそれぞれ着脱自在に接続されるので、第二配線部のみを容易に取り付け、取り外しでき、また第二配線部のみを容易に交換することができる。例えば、装置本体を扉の外部に取り付けて第二配線部を露出させて配線する場合には、第二配線部として伸縮性に優れて変形も容易なものを使用することができる。一方、第二配線部を扉や扉枠の内部を通す場合や装置本体を扉枠に取り付ける場合には、第二配線部として細いものを使用することができる。更に、第二配線部を装置本体から外した状態で装置本体を扉等に取り付けることができ、装置本体の取付作業が容易になる。
【0007】
特に、モータはDCモータであり、第一配線部は、AC/DC変換部を備えていることが好ましい。該構成によれば、AC/DC変換部が第一配線部に設けられているので、第二配線部の構成がシンプルになり、第二配線部の配線処理や交換が容易になる。また、装置本体がAC/DC変換部を備える必要がなく、装置本体を容易に小型化でき、装置本体の美感も向上できる。
【0008】
更に、中継部又はAC/DC変換部に、電池を備えていることが好ましい。該構成によれば、停電時に電池から装置本体に電力を供給することができる。そして、中継部又はAC/DC変換部に電池を備えることにより、電池の配置が容易である。また、装置本体が電池を備える必要がなく、装置本体を容易に小型化でき、装置本体の美感も向上できる。
【発明の効果】
【0009】
以上のように、扉開閉装置を設置する際における電気配線が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態における扉開閉装置の使用状態を示す概略構成図。
図2図1の要部拡大図。
図3図1の要部拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態にかかる扉開閉装置について図1図3を参酌しつつ説明する。扉開閉装置は、扉1を電動で開いたり、あるいは、閉じたりする。扉開閉装置は、扉1の開扉動作のみや閉扉動作のみを行う構成であってもよいし、扉1の開扉動作と閉扉動作の両方を行う構成であってもよい。図1に扉開閉装置の全体構成を示している。図1では、一例として左開き(左勝手)の扉1を示しているが、右開き(右勝手)の扉1であってもよい。
【0012】
本実施形態において、扉1は回動する。扉1は、扉枠2に図示しないヒンジを介して回動可能に取り付けられている。扉1は、上下方向の軸線まわりに水平方向に回動する。扉開閉装置は、装置本体3と、リンク機構4と、電力供給装置5とを備えている。装置本体3は、扉1又は扉枠2に取り付けられる。本実施形態において、装置本体3は扉1の外部に取り付けられる。具体的には、装置本体3は、扉1の前面の上部であって、ヒンジ寄りの位置に取り付けられる。装置本体3は、図示しない取付板を介して扉1に取り付けられる。リンク機構4は、装置本体3と扉枠2とを連結する。図2のように、リンク機構4は、アーム6とリンク7とブラケット8とを備えている。
【0013】
<装置本体3>
装置本体3は、駆動軸10を備えている。駆動軸10は、上下方向の軸線まわりに回転する。駆動軸10の上端部にアーム6の一端部が連結される。アーム6は、駆動軸10と一体となって回動する。アーム6は、駆動軸10を中心として水平方向に回動する。アーム6の他端部はリンク7の一端部に回動可能に連結されている。リンク7の他端部はブラケット8に回動可能に連結されている。ブラケット8は扉枠2の上枠2aの下面に取り付けられる。装置本体3は、扉1を開閉させるためのモータ11と、モータ11を駆動制御する図示しない制御ユニット(本体制御部)とを備えている。モータ11は、駆動軸10を駆動する。モータ11は、例えばブラシレスDCモータである。
【0014】
<電力供給装置5>
電力供給装置5は、装置本体3と商用電源9との間に配置される。商用電源9は、建物に配線された例えばAC100V電源である。電力供給装置5は、商用電源9の電力を装置本体3に供給する。電力供給装置5は、その一方の端部が商用電源9に接続され、他方の端部が装置本体3に接続される。
【0015】
電力供給装置5は、商用電源9に接続される第一配線部と、装置本体3に接続される第二配線部と、第一配線部と第二配線部との間に配置される中継部とを備えている。第一配線部は、商用電源9から中継部までの区間であり、第二配線部は、中継部から装置本体3までの区間である。電力供給装置5は、具体的には、第一電源コード20と、ACアダプタ21と、第二電源コード22と、中継ボックス23と、第三電源コード24とを備えている。本実施形態において、第一電源コード20とACアダプタ21と第二電源コード22が第一配線部を構成しており、中継ボックス23は中継部であり、第三電源コード24は第二配線部である。
【0016】
第一電源コード20は、商用電源9とACアダプタ21とを接続する。第一電源コード20は、第一端部20aに電源プラグ25を備えている。電源プラグ25は、商用電源9の差し込み口(コンセント)に差し込まれる。商用電源9の差し込み口は、建物の壁面に設置されている。第一電源コード20の第二端部20bはACアダプタ21に着脱自在に接続される。但し、第一電源コード20の第二端部20bがACアダプタ21と一体に構成されていてもよい。ACアダプタ21は、商用電源9から入力される交流電力を直流電力に変換して出力する。例えば、AC100VをDC12Vに変換する。ACアダプタ21は、例えば扉枠2の縦枠2bやその近傍の壁面に取り付けられる。
【0017】
第二電源コード22は、ACアダプタ21と中継ボックス23とを接続する。第二電源コード22の第一端部22aはACアダプタ21に着脱自在に接続される。但し、第二電源コード22の第一端部22aがACアダプタ21と一体に構成されていてもよい。第二電源コード22の第二端部22bは中継ボックス23に着脱自在に接続される。但し、第二電源コード22の第二端部22bが中継ボックス23と一体に構成されていてもよい。
【0018】
中継ボックス23は、装置本体3の近傍に取り付けられる。中継ボックス23は、例えば扉枠2の縦枠2bの上部や扉枠2の上枠2a、あるいはそれらの近傍の壁面に取り付けられる。中継ボックス23は、扉1の回転軸側(ヒンジ側)の縦枠2bに設置されることが好ましく、また装置本体3と略同一高さに設置されることが好ましい。本実施形態において、中継ボックス23には、電池としての二次電池26と制御板27(電池制御部)が収納されている。二次電池26は、停電時に装置本体3に電力を供給するためのものである。制御板27は、二次電池26の充電と放電の切り替えを制御する。制御板27は、停電時においては二次電池26から電力を放電し、停電ではない通電時(通常時)においては二次電池26に電力を充電する。中継ボックス23は、図示しない蓋を備えることが好ましい。中継ボックス23の蓋を開けて二次電池26や制御板27を交換、メンテナンスできる。尚、二次電池26と制御板27がACアダプタ21に収納されていてもよい。二次電池26は、例えば、ニッケル水素電池の単三型を四個直列配置した構成とすることができる。従って、二次電池26の電圧は1.2V×4=4.8Vとすることができる。また、制御板27は、入力電圧を昇圧して出力する昇圧部を備えることができる。例えば、上述のように二次電池26の電圧が4.8Vであって、モータ11の駆動電圧が12Vである場合には、二次電池26の電圧を昇圧して12Vの電圧を出力する。尚、中継ボックス23に、二次電池26の放電や充電を外部に報知するための報知部として、LED等を設けてもよい。また、本実施形態では、電池として二次電池26を使用しているが、乾電池等の一次電池を使用できるように構成することもできる。電池を一次電池として構成する場合は、制御板27は充電を行う機能が不要となる。
【0019】
第三電源コード24は、中継ボックス23と装置本体3とを接続する。第三電源コード24の第一端部24aは中継ボックス23に着脱自在に接続される。第三電源コード24の第二端部24bは装置本体3に着脱自在に接続される。本実施形態では、第三電源コード24は、伸縮性を有するコードが使用されている。例えば、カールコード(スプリングコード)が好適に使用される。
【0020】
以上のように、電力供給装置5によって、装置本体3と商用電源9とを容易に電気的に接続することができる。そのため、商用電源9から装置本体3までの電気配線が容易になる。また、電力供給装置5が中継ボックス23を備えていて、第三電源コード24が装置本体3と中継ボックス23にそれぞれ着脱自在に接続されるので、第三電源コード24のみを容易に着脱できる。そして、第三電源コード24のみを容易に交換することができる。本実施形態のように装置本体3を扉1の外部に取り付ける場合には、第三電源コード24として伸縮性に優れたカールコードを使用することができる。それによって第三電源コード24が扉1の開閉に容易に追従して伸縮できる。尚、本実施形態では、第三電源コード24を外部に露出して配線しているが、扉枠2及び扉1の内部を通して中継ボックス23と装置本体3とを接続する場合には、第三電源コード24として細いコードを使用することで配線が容易になる。この場合、第三電源コード24は、ヒンジ側あるいはヒンジの内部を経由して扉枠2の内部から扉1の内部へ導入される。この第三電源コード24を扉枠2及び扉1の内部を通す配線は、装置本体3がコンシールドタイプであって装置本体3を扉1の内部に取り付ける場合に好適である。その一方、装置本体3を扉枠2に取り付ける場合にも、第三電源コード24として細いコードを使用することで、露出する第三電源コード24が目立ちにくくなり、また第三電源コード24の処理が容易になる。また更に、装置本体3を扉1等に取り付ける際においても、第三電源コード24の第二端部24bを装置本体3から外した状態としておくことで、装置本体3を扉1等に容易に取り付けることができる。尚、第三電源コード24は、長さ方向の例えば中間部で複数に分離可能な構成としてもよい。即ち、第三電源コード24は、一本構成ではなく、二本以上に分割可能な構成であってもよい。
【0021】
また、電力供給装置5がACアダプタ21を備えているので、装置本体3がAC変換部を備える必要がなく、装置本体3が大型化しなくて済み、装置本体3の外観を向上できる。そして、電力供給装置5のうち中継ボックス23よりも商用電源9側にACアダプタ21が設けられているので、第三電源コード24の構成がシンプルなものとなり、第三電源コード24にカールコード等を容易に使用でき、またその配線処理や交換作業も容易である。
【0022】
更に、電力供給装置5が二次電池26を備えているので、二次電池26に蓄えた電力を使用することにより、停電になっても扉1を開閉することができる。中継ボックス23に二次電池26と制御板27が収納されているので、二次電池26と制御板27の配置が容易であり、交換等のメンテナンスも容易である。装置本体3に二次電池26や制御板27を備える必要がないので、装置本体3を小型化できる。
【符号の説明】
【0023】
1 扉
2 扉枠
2a 上枠
2b 縦枠
3 装置本体
4 リンク機構
5 電力供給装置
6 アーム
7 リンク
8 ブラケット
9 商用電源
10 駆動軸
11 モータ
20 第一電源コード(第一配線部)
20a 第一端部
20b 第二端部
21 ACアダプタ(AC/DC変換部)
22 第二電源コード(第一配線部)
22a 第一端部
22b 第二端部
23 中継ボックス(中継部)
24 第三電源コード(第二配線部)
24a 第一端部
24b 第二端部
25 電源プラグ
26 二次電池
27 制御板
図1
図2
図3