(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-09
(45)【発行日】2023-02-17
(54)【発明の名称】電池ケースおよび電池モジュール
(51)【国際特許分類】
H01M 50/209 20210101AFI20230210BHJP
H01M 50/103 20210101ALI20230210BHJP
H01M 50/249 20210101ALI20230210BHJP
H01M 50/289 20210101ALI20230210BHJP
H01M 50/55 20210101ALI20230210BHJP
【FI】
H01M50/209
H01M50/103
H01M50/249
H01M50/289
H01M50/55 101
(21)【出願番号】P 2019124827
(22)【出願日】2019-07-03
【審査請求日】2021-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000207791
【氏名又は名称】大豊工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】徳増 辰弥
(72)【発明者】
【氏名】野中 照美
(72)【発明者】
【氏名】▲薮▼崎 雄太
【審査官】鈴木 雅雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-018995(JP,A)
【文献】特開2007-305426(JP,A)
【文献】特開昭63-024548(JP,A)
【文献】特開2016-134245(JP,A)
【文献】特開2017-111893(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0063809(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/209
H01M 50/103
H01M 50/249
H01M 50/289
H01M 50/55
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極体が扁平な直方体形状のセルケースに収容された複数の角型電池が、当該角型電池の正極端子および負極端子が同一面に面する状態で、セパレータを介して前記角型電池の厚み方向に並べて収納される、前記同一面の方向が開放された箱状の収納部
と、
それぞれが、空間を規定する
、前記同一面とは反対側の底面と
、当該底面から立設する側面とを有し、かつ、互いの前記底面および前記側面が接合されて1以上の前記収納部を構成する複数の部分筐体
と、を備え
て、
前記複数の部分筐体の各々の前記側面のうち、前記収納部に収納された前記
角型電池の
厚み方向の端部が接する側面の少なくとも一つは、前記底面の端部から直角または前記空間を狭くする方向に立設して形成されている、
ことを特徴とする電池ケース。
【請求項2】
前記側面のうち、別々の前記部分筐体に形成された前記
角型電池の両端部が接するそれぞれの側面は、前記底面の端部から直角または前記空間を狭くする方向に立設して形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の電池ケース。
【請求項3】
前記電池ケースは、2個の前記部分筐体を接合して形成された、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の電池ケース。
【請求項4】
前記収納部は、複数の電池セルを前記部分筐体の接合方向に並べた前記
角型電池を収納する、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電池ケース。
【請求項5】
角型電池と、前記
角型電池を収納した電池ケースを備えた電池モジュールであって、
前記電池ケースは、
電極体が扁平な直方体形状のセルケースに収容された複数の角型電池が、当該角型電池の正極端子および負極端子が同一面に面する状態で、セパレータを介して前記角型電池の厚み方向に並べて収納される、前記同一面の方向が開放された箱状の収納部
と、
それぞれが、空間を規定する
、前記同一面とは反対側の底面と
、当該底面から立設する側面とを有し、かつ、互いの前記底面および前記側面が接合されて1以上の前記収納部を構成する複数の部分筐体
と、を備え
て、
前記複数の部分筐体の各々の前記側面のうち、前記収納部に収納された前記
角型電池の
厚み方向の端部が接する側面の少なくとも一つは、前記底面の端部から直角または前記空間を狭くする方向に立設して形成されている、
ことを特徴とする電池モジュール。
【請求項6】
前記側面のうち、別々の前記部分筐体に形成された前記
角型電池の両端部が接するそれぞれの側面は、前記底面の端部から直角または前記空間を狭くする方向に立設して形成されている、
ことを特徴とする請求項5に記載の電池モジュール。
【請求項7】
前記電池ケースは、2個の前記部分筐体を接合して形成された、
ことを特徴とする請求項5または6に記載の電池モジュール。
【請求項8】
前記収納部は、複数の電池セルを前記部分筐体の接合方向に並べた前記
角型電池を収納する、
ことを特徴とする請求項5乃至7のいずれか1項に記載の電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池ケースおよび電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば自動車に搭載されるハイブリッド(HV)用の電池は、多数の電池セルを並べて直列に配線した、高出力が出る電池スタック(以降単に「電池」という)が用いられる。そしてこの電池を電池ケースの収納部に収納して固定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電池ケースは、金型を用いて成形される。そのため、成形された電池ケースから金型を外し易くするために、上記の電池を電池ケースから外す方向に開く傾斜が側面に形成される。そして、電池ケースの収納部に収納された電池は、電池を使用した際に起きる電解質のふくらみによって電池セルの並び方向に膨張する。すると、膨張した電池は、上記傾斜の影響を受けて、電池ケースから電池が外れる方向に外力を受けるため、電池が電池ケースから脱落し易くなるという課題があった。
【0005】
本発明は、電池が脱落しにくい電池ケースおよび電池モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電池ケースは、電極体が扁平な直方体形状のセルケースに収容された複数の角型電池が、当該角型電池の正極端子および負極端子が同一面に面する状態で、セパレータを介して前記角型電池の厚み方向に並べて収納される、前記同一面の方向が開放された箱状の収納部と、それぞれが、空間を規定する、前記同一面とは反対側の底面と、当該底面から立設する側面とを有し、かつ、互いの前記底面および前記側面が接合されて1以上の前記収納部を構成する複数の部分筐体と、を備えて、前記複数の部分筐体の各々の前記側面のうち、前記収納部に収納された前記角型電池の厚み方向の端部が接する側面の少なくとも一つは、前記底面の端部から直角または前記空間を狭くする方向に立設して形成されている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、電池ケースから電池が脱落しにくい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施例に係る電池ケースに収納される電池を示す図である。
【
図2】
図2は、電池ケースの右側筐体を示す図である。
【
図3】
図3は、電池ケースの左側筐体を示す図である。
【
図4】
図4は、金型を用いて部分筐体を成形する説明図である。
【
図5】
図5は、金型を用いて他の部分筐体を成形する説明図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る電池ケースを示す斜視図である。
【
図7】
図7は、収納部に電池を収納した電池モジュールの一例を示す説明図である。
【
図8】
図8は、収納部に電池を収納した電池モジュールの他の例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本実施形態は、本発明の電池ケースおよび電池モジュールを、ハイブリッド型自動車に適用した例である。以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0010】
図1は、本発明の実施形態である電池ケースに搭載される電池12の斜視図である。電池12は、複数個の電池セル18と、樹脂からなる複数個のセパレータ20とを、電池12の長手方向(矢印
Y方向)に交互に並べて略直方体状に構成される。
【0011】
ここで、電池セル18は、充放電可能な二次電池、例えば、リチウムイオン二次電池や、ナトリウムイオン二次電池等である。本実施形態の電池セル18は、電極体が扁平な直方体形状のセルケースに収容された角型電池である。電池セル18の上端面からは、正極端子22pおよび負極端子22nが突出している。この正極端子22pおよび負極端子22nは、幅方向に間隔をあけて配置されている。なお、
図1では、正極端子22pおよび負極端子22nを略円筒形として図示しているが、これら正極端子22p,22nの形状は適宜、変更されてもよい。
【0012】
電池セル18の上端面のうち幅方向中央、すなわち、正極端子22pおよび負極端子22nの間には、ガス放出弁(図示せず)が設けられている。ガス放出弁は、電池セル18の異常反応時に、当該電池セル18の内部で発生したガスを放出する弁である。ガス放出弁は、電池セル18の内圧が一定未満の場合には、閉鎖しているが、内圧が一定以上になれば、開放され、ガスを外部に放出する。このガス放出弁は、例えば、電池セル18のケースのうちの一部を、一定以上の圧力を受けたときに破断するように薄肉に形成する等して構成される。ただし、ガス放出弁の構成は、これに限定されず、適宜、変更されてもよい。
【0013】
複数の電池セル18は、電池セル18の厚み方向に並べられる。このとき、複数の電池セル18は、正極端子22pと負極端子22nが電池12の長手方向に交互に並ぶように、その向きを交互に替えて配される。すなわち、ある電池セル18を、向かって右側に正極端子22pが位置するように配置した場合には、次の電池セル18は、向かって右側に負極端子22nが位置するように配置する。そして、電池12の長手方向に隣接する正極端子22pと負極端子22nをバスバ(図示せず)で順次、連結することで、複数の電池セル18が、電気的に直列に接続される。
【0014】
次に電池ケースについて説明する。電池ケース30(
図6を参照)は、それぞれが、空間(次段落以降で説明)を規定する底面と側面とを有し、かつ、互いの底面および側面が接合されて2個の収納部(次段落以降で説明)を構成する右側筐体31と左側筐体41の部分筐体を備える。電池ケース30は、右側筐体31と左側筐体41の2個の部分筐体を接合して形成される。すなわち、右側筐体31は電池ケース30を2分割した右側の部分筐体である。また、左側筐体41は電池ケース30を2分割した右側の左側の部分筐体である。
【0015】
まず、右側筐体31について説明する。
図2は、電池ケースの右側筐体31を示す図である。
図2に示すように、右側筐体31は、右上側面部32、右下側面部33、上右側面部34、下右側面部35、右上底面部36、右下底面部37を備える。また、右側筐体31は、右上底面部36と右下底面部37の間の略中央部に、右仕切面部38を備える。上右側面部34は、右上底面部36との角度が鈍角となるよう(すなわち、下記右上収納部L1Rを広くする方向)に、多少外側に向けて傾けて立設している。下右側面部35は、右下底面部37との角度が鈍角となるよう(すなわち、下記右下収納部L2Rを広くする方向)に、多少外側に向けて傾けて立設している。すなわち、上右側面部34と下右側面部35は、右側筐体31が底面側から上方に向けて多少広がる形状となるように、外向きに傾斜して立設している。右仕切面部38は、右上底面部36および右下底面部37から直角に立設している。また、右上側面部32、上右側面部34、右上底面部36、右仕切面部38で囲まれた空間が右上収納部L1Rである。右下側面部33、下右側面部35、右下底面部37、右仕切面部38で囲まれた空間が右下収納部L2Rである。
【0016】
また、右上側面部32は、右上底面部36から直角に立設している。また、右下側面部33は、右下底面部37から直角に立設している。なお、右上側面部32は、右上底面部36から右側筐体31の右上収納部L1R側(空間を狭くする方向)に向けて鋭角に立設していてもよい。また、右下側面部33は、右下底面部37から右側筐体31の右下収納部L2R側に向けて鋭角に立設していてもよい。
【0017】
また、右側筐体31は、右上底面部36および右下底面部37の、右上側面部32および右下側面部33とは反対側に、右接合部R1が設けられている。右接合部R1は、左側筐体41と接合部R(
図6を参照)において接合するためのツバである。また、上右側面部34、下右側面部35、右仕切面部38にも右接合部R1が設けられている。
【0018】
次に、左側筐体41について説明する。
図3は、電池ケースの左側筐体41を示す図である。
図3に示すように、左側筐体41は、左上側面部42、左下側面部43、上左側面部44、下左側面部45、左上底面部46、左下底面部47を備える。また、左側筐体41は、左上底面部46と左下底面部47の間の略中央部に、左仕切面部48を備える。上左側面部44は、左上底面部46との角度が鈍角となるよう(すなわち、下記左下収納部L1Lを広くする方向)に、多少外側に向けて傾けて立設している。下左側面部45は、左下底面部47との角度が鈍角となるよう(すなわち、下記左下収納部L2Lを広くする方向)に、多少外側に向けて傾けて立設している。すなわち、上左側面部44と下左側面部45は、左側筐体41が底面側から上方に向けて多少広がる形状となるように、外向きに傾斜して立設している。左仕切面部48は、左上底面部46および左下底面部47から直角に立設している。また、左上側面部42、上左側面部44、左上底面部46、左仕切面部48で囲まれた空間が左上収納部L1Lである。左下側面部43、下左側面部45、左下底面部47左仕切面部48で囲まれた空間が左下収納部L2Lである。
【0019】
また、左上側面部42は、左上底面部46から直角に立設している。また、左下側面部43は、左下底面部47から直角に立設している。なお、左上側面部42は、左上底面部46から左側筐体41の左上収納部L1L側(空間を狭くする方向)に向けて鋭角に立設していてもよい。また、左下側面部43は、左下底面部47から左側筐体41の左下収納部L2L側に向けて鋭角に立設していてもよい。
【0020】
また、左側筐体41は、左上底面部46および左下底面部47の、左上側面部42および左下側面部43とは反対側に、右接合部R2を備えている。左接合部R2は、右側筐体31と接合部Rにおいて接合するためのツバである。また、上左側面部44、下左側面部45、左仕切面部48にも左接合部R2が設けられている。
【0021】
次に、右側筐体31および左側筐体41の成形方法について説明する。
図4は、金型を用いて左側筐体41を成形する説明図である。
図4に示すように、金型LKと金型RKの2個の金型を用意する。金型LKと金型RKを合わせると、左側筐体41の形状に該当する空間が成形される。このように金型LKと金型RKを合わせた後に、金型LKと金型RKの隙間に溶けたアルミニウムを流し込んで左側筐体41の形状に成形する。そして、アルミニウムが固まったら、金型RKを矢印Y2方向に抜く。
【0022】
図4において、左側筐体41における左下側面部43と左下底面部47は直角に形成されている。また、左下側面部43と左下底面部47は、金型RKを抜く矢印Y2方向に対し、いずれも斜めに開いて形成されている。そのため、左下側面部43と左下底面部47は直角に形成されていても、左側筐体41から金型RKを抜く際に左側筐体41に引っかかることがない。
【0023】
なお、右側筐体31についても、左側筐体41の成形方法と同様の成形方法で成形することができる。
【0024】
次に、右側筐体31および左側筐体41の他の成形方法について説明する。
図5は、金型を用いて左側筐体41を成形する説明図である。
図5に示すように、金型LKと金型RKと金型MKの3個の金型を用意する。金型LKと金型RKと金型MKを合わせると、左側筐体41の形状に該当する空間が成形される。このように金型LKと金型RKと金型MKを合わせた後に、金型LKと金型RKと金型MKの隙間に溶けたアルミニウムを流し込んで左側筐体41の形状に成形する。そして、アルミニウムが固まったら、金型RKと金型MKを抜く。
【0025】
図4において、左下側面部43と左下底面部47は相互に鋭角に形成されている。そのため、まず、金型RKを
図5における右側方向(矢印Y3の方向)に抜いて、その後に金型MKを
図5における下側(矢印Y4の方向)に抜くことで、左下側面部43と左下底面部47が鋭角に形成されていても、金型RKおよび金型MKを抜く際にいずれも左側筐体41に引っかかることがない。
【0026】
なお、右側筐体31についても、左側筐体41の成形方法と同様の成形方法で成形することができる。
【0027】
このように成形された右側筐体31と左側筐体41を接合部R(
図6を参照)で接合すると、矢印Y5方向に長手形状の電池ケース30となる。ここからは、電池ケース30について説明する。
図6は、実施形態に係る電池ケース30を示す斜視図である。
図6に示すように、電池ケース30は、全体として箱状の形状である。電池ケース30は、右側筐体31と左側筐体41を接合して形成される。逆に言うと、右側筐体31と左側筐体41は、電池ケース30を2分割した部分筐体である。
【0028】
電池ケース30は、右上側面部32と右下側面部33で右側面部S1を形成し、左上側面部42と左下側面部43で左側面部S2を形成し、上右側面部34と上左側面部44で上側面部S3を形成し、下右側面部35と下左側面部45で下側面部S4を形成し、右仕切面部38と左仕切面部48で仕切部S5を形成し、右上底面部36と左上底面部46で上底面部S6を形成し、右下底面部37と左下底面部47で下底面部S7を形成する。また、電池ケース30は、上方が開放された形状である。
【0029】
そして、右上側面部32、上側面部S3、左上側面部42、仕切部S5、上底面部S6で囲まれた箱状の領域(すなわち、空間である左上収納部L1Lと右上収納部L1Rが連通した領域)が上収納部(収納部)L1である。上収納部L1は、矢印Y5方向を長手方向とした長手形状である。また、右下側面部33、下側面部S4、左下側面部43、仕切部S5、下底面部S7で囲まれた箱状の領域(すなわち、空間である左下収納部L2Lと右下収納部L2Rが連通した領域)が下収納部(収納部)L2である。下収納部L2は、矢印Y5方向を長手方向とした長手形状である。
【0030】
電池ケース30は、上収納部L1と下収納部L2にそれぞれ1個の電池12を収納する。電池12は、長手方向をY5方向として、上収納部L1と下収納部L2にそれぞれ収納される。上収納部L1に収納された電池12両端部は、右上側面部32と左上側面部42に接触する。また、下収納部L2に収納された電池12両端部は、右下側面部33と左下側面部43に接触する。
【0031】
次に、電池ケース30に電池12を収納された電池モジュール10について説明する。
図7は、電池ケース30の下収納部L2に電池12を収納した電池モジュール10の一例を示す説明図である。すなわち、電池モジュール10は、電池ケース30と電池12を含む構成である。電池12は、上収納部L1と下収納部L2に収納可能である。
【0032】
まず、電池ケース30は、接合部Rにおいて、右側筐体31に形成された右接合部R1と、左側筐体41に形成された左接合部R2とが相互に交差して係合する。電池ケース30は、右接合部R1と左接合部R2が重なっている状態において、矢印Y5方向に伸縮が自在となっている。次に、電池ケース30の下収納部L2に電池12を収納する。そして、電池ケース30の両側を、電池12を圧縮する方向(
図7における左右方向)に外部から圧力をかける。この状態において、電池12の両端部が右下側面部33と左下側面部43に接する。そして電池ケース30が伸縮できないように接合する。電池ケース30の接合方法は、ボルトを使用して電池ケース30を左右から締結する方法、または接合部Rを溶接する方法等がある。このように、伸縮自在の電池ケース30に電池12を収納し、その後に電池ケース30を接合するため、電池ケース30の下収納部L2は、左右方向に電池12のサイズに一致したサイズとなる。そのため、電池12が電池ケース30内でがたつくことがない。
【0033】
また、右下側面部33と左下側面部43は、下底面部S7から直角に立設されているため、電池ケース30に収納された電池12は、たとえ矢印Y5方向に膨張しても電池12が電池ケース30から脱落する方向(
図7における上方向)に向けての外力は働かない。したがって、電池12が電池ケース30から脱落することはない。
【0034】
なお、電池12を上収納部L1に収納した場合も、電池12を下収納部L2に収納した場合と同様であって、上収納部L1は電池12のサイズに一致したサイズとなる。この状態において、電池12の両端部が右上側面部32と左上側面部42に接する。そのため、電池12は、上収納部L1内でがたつくことはない。また、右上側面部32と左上側面部42は、上底面部S6から直角に立設されているため、電池ケース30に収納された電池12は、たとえ矢印Y5方向に膨張しても電池12が電池ケース30から脱落する方向(
図7における上方向)に向けての外力は働かないため、電池12が電池ケース30から脱落することはない。
【0035】
次に、電池ケース30に電池12を収納された状態の電池モジュール10の他の例(変形例)について説明する。
図8は、電池ケース30の下収納部L2に電池12を収納した電池モジュール10の他の例を示す説明図である。すなわち、電池モジュール10は、電池ケース30と電池12とを含む構成である。電池12は、上収納部L1と下収納部L2に収納可能である。
【0036】
まず、電池ケース30は、上述と同様に、右接合部R1と左接合部R2が重なっている状態において、矢印Y5方向に伸縮が自在となっている。次に、電池ケース30の下収納部L2に電池12を収納する。そして、電池ケース30の両側を、電池12を圧縮する方向(
図8における左右方向)に外部から圧力をかける。この状態において、電池12の両端部が右下側面部33と左下側面部43に接する。そして右接合部R1と左接合部R2を接合する。このように、伸縮自在の電池ケース30に電池12を収納し、その後に右接合部R1と左接合部R2を接合するため、電池ケース30の下収納部L2は、左右方向に電池12のサイズに一致したサイズとなる。そのため、電池12が電池ケース30内でがたつくことがない。
【0037】
また、右下側面部33と左下側面部43は、下底面部S7から左下収納部L2L側に向けて鋭角に立設されているため、電池ケース30に収納された電池12が矢印Y5方向に膨張した場合に電池12に対して下収納部L2側(
図8における下側)に向けての外力が働き、電池12が電池ケース30から脱落する方向(
図8における上側)に向けての外力は働かない。したがって、電池12は電池ケース30から脱落しにくい。
【0038】
なお、電池12を上収納部L1に収納した場合も、電池12を下収納部L2に収納した場合と同様であって、上収納部L1は電池12のサイズに一致したサイズとなる。この状態において、電池12の両端部が右上側面部32と左上側面部42に接する。そのため、電池12は、上収納部L1内でがたつくことはない。また、また、右上側面部32と左上側面部42は、上底面部S6から左上収納部L1L側に鋭角に立設されているため、電池ケース30に収納された電池12が矢印Y5方向に膨張した場合に電池12に対して内側(
図8における下側)に向けての外力が働き、電池12が電池ケース30から脱落する方向(
図8における上側)に向けての外力は働かないため、電池12は電池ケース30から脱落しにくい。
【0039】
以上説明したように、実施形態の電池ケース30は、互いの底面および側面が接合されて上収納部L1と下収納部L2を構成する右側筐体31と左側筐体41の部分筐体を備え、右上側面部32と左上側面部42が上底面部S6から直角または上収納部L1側に鋭角に立設されている。また、右上側面部33と左上側面部43が上底面部S7から直角または下収納部L2側に鋭角に立設されている。そのため、電池12に対して外側に向けての外力は働かないため、電池12は電池ケース30から脱落しにくい。
【0040】
また、実施形態の電池モジュール10は、互いの底面および側面が接合されて上収納部L1と下収納部L2を構成する右側筐体31と左側筐体41の部分筐体を有する電池ケース30を備え、右上側面部32と左上側面部42が上底面部S6から直角または上収納部L1側に鋭角に立設されている。また、右上側面部33と左上側面部43が上底面部S7から直角または上収納部L2側に鋭角に立設されている。そのため、電池12は電池ケース30から脱落しにくい。
【0041】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態および変形例は例示であり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態および変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態および変形例、およびこれらの変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0042】
例えば、実施形態の電池ケース30は、右下側面部33、左下側面部43を、下底面部S7から直角に立設に立設させた。また、右上側面部32、左上側面部42を、上底面部S6から直角に立設に立設させた。しかしながらこれに限らず、右下側面部33と左下側面部43のいずれか一方を、また、上底面部S7から直角に立設させるようにしてもよい。また右上側面部32と左上側面部42のいずれか一方を、上底面部S6から直角に立設させるようにしてもよい。
【0043】
また、実施形態の電池モジュール10は、右下側面部33と左下側面部43を、下底面部S7から下収納部L2側に鋭角に立設に立設させた。また、右上側面部32と左上側面部42を、上底面部S6から上収納部L1側に鋭角に立設させた。しかしながらこれに限らず、右下側面部33と左下側面部43のいずれか一方を、上底面部S7から下収納部L2側に鋭角に立設させるようにしてもよい。右上側面部32と左上側面部42のいずれか一方を、上底面部S6から上収納部L1側に鋭角に立設させるようにしてもよい。
【0044】
また、実施形態では、電池12を、複数個の電池セル18と複数個のセパレータ20とを並べて構成した。しかしながらこれに限らず、電池12は、矢印Y方向に長手形状の一個の電池で構成されていてもよい。
【0045】
また、実施形態では、収納部として、電池ケース30に上収納部L1と下収納部L2の2個の収納部を形成した。しかしながらこれに限らず、電池ケース30には、矢印Y5方向と直交する方向に、1個以上の収納部が形成されればよい。
【0046】
また、実施形態では、右側筐体31と左側筐体41の2個の部分筐体を接合して電池ケース30および収納部を形成した。しかしながらこれに限らず、電池ケース30および収納部は、2個以上の部分筐体を接合して形成されればよい。
【0047】
また、実施形態では、電池ケース30および電池モジュール10を、ハイブリッド型自動車に適用した例として説明した。しかしながらこれに限らず、例えば電車に搭載する電池等、自動車以外の電池を収納する電池ケースおよび電池モジュールであってもよい。
【0048】
また、実施形態では、電池12および電池ケース30を備えた電池モジュール10として説明した。しかしながらこれに限らず、電池モジュール10は、電池12および電池ケース30に加え、他の構成を備えていてもよい。
【符号の説明】
【0049】
L1 上収納部
L2 下収納部
R1 右接合部
R2 左接合部
S1 右側面部
S2 左側面部
S3 上側面部
S4 下側面部
S5 仕切部
S6 上底面部
S7 下底面部
10 電池モジュール
12 電池
18 電池セル
30 電池ケース
31 右側筐体
32 右上側面部
33 右下側面部
34 上右側面部
35 下右側面部
36 右上底面部
37 右下底面部
38 右仕切面部
41 左側筐体
42 左上側面部
43 左下側面部
44 上左側面部
45 下左側面部
46 左上底面部
47 左下底面部
48 左仕切面部
R 接合部