(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-09
(45)【発行日】2023-02-17
(54)【発明の名称】容器
(51)【国際特許分類】
B65D 81/34 20060101AFI20230210BHJP
A23L 3/36 20060101ALI20230210BHJP
A23L 3/365 20060101ALN20230210BHJP
【FI】
B65D81/34 U
A23L3/36 Z
A23L3/365 A
(21)【出願番号】P 2019125880
(22)【出願日】2019-07-05
【審査請求日】2022-03-25
(73)【特許権者】
【識別番号】390002370
【氏名又は名称】大塚包装工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124039
【氏名又は名称】立花 顕治
(74)【代理人】
【識別番号】100179213
【氏名又は名称】山下 未知子
(74)【代理人】
【識別番号】100170542
【氏名又は名称】桝田 剛
(72)【発明者】
【氏名】島田 健太
(72)【発明者】
【氏名】粟飯原 貴人
(72)【発明者】
【氏名】板東 弘敬
【審査官】宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/121897(WO,A1)
【文献】特開平11-113511(JP,A)
【文献】特開2000-109140(JP,A)
【文献】特開2002-240864(JP,A)
【文献】特開2004-083073(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/34
A23L 3/36
A23L 3/365
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下方に開口が形成されており、冷凍された第1食品を収容するように構成された第1容器と、
上方に開口が形成されており、冷凍された第2食品を収容するように構成された第2容器とを備え、
解凍後の前記第1食品は、コロイド状又は液体状であり、
解凍後の前記第2食品は、固体状であり、
前記第1容器は、前記第2容器の上に配置され、
前記第1容器には、上方から注がれた液体を前記第2容器内に流入させるように構成された第1孔が形成されている、容器。
【請求項2】
前記第1容器は、
第2孔が形成された上面部と、
前記上面部の周囲から下方に延びる第1側面部と、
前記第2孔の周囲から下方に凹んだ少なくとも1つの凹部とを含み、
前記凹部は、
底面部と、
前記底面部の周囲と前記第2孔の周囲との間に延びる第2側面部とを含み、
前記第1食品は、前記上面部、前記第1側面部及び前記第2側面部によって囲まれる領域に収容され、
前記底面部には前記第1孔が形成されている、請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記第2孔は、前記上面部において中央部分以外の位置に形成されている、請求項2に記載の容器。
【請求項4】
前記第1容器は、2つの前記凹部を含む、請求項2又は請求項3に記載の容器。
【請求項5】
前記凹部の深さは、前記第2及び第1孔を介して前記第2容器に所望の量の水が注がれた場合に、水面が前記底面部に接する深さである、請求項2から請求項4のいずれか1項に記載の容器。
【請求項6】
前記第2側面部には、リブが形成されている、請求項2から請求項5のいずれか1項に記載の容器。
【請求項7】
前記上面部には、前記第1孔に向かって斜め下方に傾斜する傾斜部が形成されている、請求項2から請求項6のいずれか1項に記載の容器。
【請求項8】
前記第1容器は、
上面部と、
前記上面部の周囲から下方に延びる側面部とを含み、
前記上面部と前記側面部とによって囲まれる空間に前記第1食品が収容され、
前記上面部には、下方に延びる突条部が形成されており、
前記突条部の高さ方向の長さは、前記側面部の高さ方向の長さの1/6以上である、請求項1に記載の容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器に関する。
【背景技術】
【0002】
国際公開第2016/121897号(特許文献1)は、冷凍食品を収容する容器を開示する。この容器は、上方に開口が形成された容器本体と、該開口を覆う中皿とを含んでいる。この容器においては、容器本体及び中皿の各々に、冷凍食品が配置されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示されているような容器において、たとえば、容器内に収容されている冷凍食品の解凍を促進するために、電子レンジによる解凍時に容器本体内に水を注ぐ場合がある。上記特許文献1に開示されている容器においては、容器本体内に水を注ぐために、中皿を容器本体から取り外す必要がある。すなわち、下方に配置された第2容器内に水を注ぐために、上方に配置された第1容器を第2容器から取り外す必要がある。ユーザは、このような作業を煩わしいと感じる可能性がある。
【0005】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであって、その目的は、冷凍食品を収容する容器であって、第1容器を第2容器から取り外すことなく、第2容器内に水を注ぐことが可能な容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に従う容器は、第1容器と、第2容器とを備える。第1容器は、下方に開口が形成されており、冷凍された第1食品を収容するように構成されている。第2容器は、上方に開口が形成されており、冷凍された第2食品を収容するように構成されている。解凍後の第1食品は、コロイド状又は液体状である。解凍後の第2食品は、固体状である。第1容器は、第2容器の上に配置されている。第1容器には、上方から注がれた液体を第2容器内に流入させるように構成された第1孔が形成されている。
【0007】
この容器においては、第1容器に第1孔が設けられている。第1孔の下方には、第2容器が位置している。したがって、この容器によれば、第2容器の上に配置されている第1容器を第2容器から取り外すことなく、第1孔を介して第2容器内に水を注ぐことができる。
【0008】
上記容器において、第1容器は、第2孔が形成された上面部と、上面部の周囲から下方に延びる第1側面部と、第2孔の周囲から下方に凹んだ少なくとも1つの凹部とを含み、凹部は、底面部と、底面部の周囲と第2孔の周囲との間に延びる第2側面部とを含み、第1食品は、上面部、第1側面部及び第2側面部によって囲まれる領域に収容され、底面部には第1孔が形成されていてもよい。
【0009】
この容器においては、第1容器に第1及び第2孔が設けられている。第1及び第2孔の下方には、第2容器が位置している。したがって、この容器によれば、第2容器の上に配置されている第1容器を第2容器から取り外すことなく、第1及び第2孔を介して第2容器内に水を注ぐことができる。
【0010】
上記容器において、第2孔は、上面部において中央部分以外の位置に形成されていてもよい。
【0011】
第1食品は、冷凍前の状態で第1容器の開口側から第1容器内に充填される。その後、第1食品は、冷凍される。充填時に冷凍前の第1食品が第1容器内に満遍なく広がるためには、第1容器の中央部分に冷凍前の第1食品が注がれることが好ましい。この容器によれば、第2孔が上面部において中央部以外の位置に形成されているため、第1食品の充填時に第1容器の中央部分に冷凍前の第1食品を注ぐことができる。
【0012】
また、第2孔が上面部において中央部に形成されている場合には、たとえば、電気ポットの注ぎ口が第2孔に届かない事態が生じ得る。この容器によれば、第2孔が上面部において中央部以外の位置に形成されているため、電気ポットの注ぎ口が第2孔に届かない事態が生じる可能性を低減することができる。
【0013】
上記容器において、第1容器は、2つの凹部を含んでもよい。
【0014】
この容器によれば、第1容器が2つの凹部を含むため、たとえば、ユーザの利き手に拘わらず、第1及び第2孔に容易に水を注ぐことができる。
【0015】
上記容器において、凹部の深さは、第2及び第1孔を介して第2容器に所望の量の水が注がれた場合に、水面が底面部に接する深さであってもよい。
【0016】
この容器によれば、第2容器に所望の量の水が注がれた時点で凹部の底面部に水面が接するため、ユーザは、底面部に水面が接したことを目視で確認することによって、第2容器に所望の量の水が注がれたことを認識することができる。
【0017】
上記容器において、第2側面部には、リブが形成されていてもよい。
【0018】
第1食品が冷凍されることによって第1食品の体積は増加する。この場合に、第2側面部には凹部内側に向かう力が加わる。この容器によれば、第2側面部にリブが形成されることによって第2側面部が補強されているため、第1食品の冷凍時に第2側面部に凹部内側に向かう力が加わったとしても、凹部の変形を抑制することができる。
【0019】
また、電子レンジによる解凍途中に第1食品は第2容器内に落下する。第1食品は、第1容器内に収容されている場合には、全周囲から電磁波が照射されるため、第2容器内に落下した後よりも解凍が促進される。すなわち、解凍後にコロイド状又は液体状となる第1食品のような解凍に長時間を要する食品は、電子レンジによる解凍時にある程度長時間第1容器内に収容されていることが好ましい。この容器においては、第2側面部にリブが形成されているため、第2側面部にリブが形成されていない場合と比較して、第1食品と第1容器との接触面積が広い。したがって、この容器によれば、第1食品が第1容器に張り付く力がより強いため、電子レンジによる解凍時に、第1食品が第2容器内に落下するまでの時間をより長くすることができる。
【0020】
上記容器において、上面部には、第1孔に向かって斜め下方に傾斜する傾斜部が形成されていてもよい。
【0021】
この容器によれば、第1容器の上面部に傾斜部が設けられているため、傾斜部にかかった水も第1孔に導くことができる。
【0022】
上記容器において、第1容器は、上面部と、上面部の周囲から下方に延びる側面部とを含み、上面部と側面部とによって囲まれる空間に第1食品が収容され、上面部には、下方に延びる突条部が形成されており、突条部の高さ方向の長さは、側面部の高さ方向の長さの1/6以上であってもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、冷凍食品を収容する容器であって、第1容器を第2容器から取り外すことなく、第2容器内に水を注ぐことが可能な容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】実施の形態1における、容器の正面の概略を示す図である。
【
図4】実施の形態1における、上側容器の平面図である。
【
図6】
図4のVI-VI断面の概略を示す図である。
【
図7】実施の形態1における、容器の構成に起因する作用効果を説明するための図である。
【
図8】容器に収容された冷凍食品の加熱調理手順を示すフローチャートである。
【
図9】実施の形態2における、容器の正面の概略を示す図である。
【
図10】実施の形態2における、上側容器の平面図である。
【
図12】実施の形態2における、容器の構成に起因する作用効果を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0026】
[1.実施の形態1]
<1-1.冷凍食品の概要>
図1は、本実施の形態に従う容器10の正面の概略を示す図である。容器10は、冷凍食品を収容するように構成されている。
【0027】
図1に示されるように、容器10は、下側容器100と、上側容器200とを含んでいる。詳細については後述するが、下側容器100及び上側容器200の各々には、たとえば、冷凍された異なる種類の食品が収容される。冷凍食品が収容された容器10は、下側容器100上に上側容器200が配置された状態で、電子レンジによって解凍される。なお、電子レンジによる解凍前には、下側容器100内にお湯(水)が注がれる。電子レンジによる冷凍食品の解凍完了時には、上側容器200に収容されていた食品が下側容器100内に落下している。すなわち、容器10によれば、電子レンジによる冷凍食品の解凍完了後に、解凍前に上側容器200に収容されていた食品を下側容器100にユーザが移す手間を省くことができる。以下、容器10の詳細について説明する。
【0028】
<1-2.下側容器の構成>
図2は、下側容器100の平面図である。
図3は、下側容器100の正面の概略を示す図である。下側容器100は、たとえば、冷凍された、麺類、パスタ類及び米飯等の固体状の食品を収容するように構成されている。
【0029】
図2及び
図3に示されるように、下側容器100は、底面部110と、側面部120と、フランジ部130とを含んでいる。底面部110の形状は、略円形状である。底面部110においては、中央部が僅かに上方に隆起している。側面部120は、底面部110の外周全体から斜め上方に延びている。下側容器100において、側面部120の上端には開口が形成されている。
【0030】
フランジ部130は、下側容器100の上方の開口全周から水平方向外側に延びている。フランジ部130のうち、他の部分と比較して水平方向外側に長く延びている部分(たとえば、
図2中のP1)は、たとえば、容器10の取手として用いられる。フランジ部130の一部には、僅かに凹んだ蒸気溝140が形成されている。下側容器100の上方に上側容器200(
図1)が配置された場合に、蒸気溝140を介して容器10の内部と容器10の外部とが連通する。すなわち、容器10に収容された冷凍食品の解凍時に発生する蒸気は、蒸気溝140を介して容器10の外部に排出される。
【0031】
下側容器100は、たとえば、樹脂製のシート材を熱成形することによって作成されている。樹脂製のシート材は、たとえば、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリエチレン(PE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、ポリウレタン(PUR)、ABS樹脂、AS樹脂、アクリル樹脂(PMMA)、ナイロン、EVOH樹脂、PLA樹脂、及び、ポリカーボネート(PC)等の樹脂をシート状に成形したものである。なお、樹脂製のシート材は、たとえば、主原料が無機物であってもよく、たとえば、無機物(タルク等)、澱粉、紙等のフィラーをシート状に成形したものであってもよい。また、樹脂製のシート材は、たとえば、バリア層を含むような複合材であってもよい。
【0032】
<1-3.上側容器の構成>
図4は、上側容器200の平面図である。
図5は、
図4のV-V断面の概略を示す図である(なお、
図5においては、凹部240(後述)が省略されている。)。
図6は、
図4のVI-VI断面の概略を示す図である。上側容器200は、たとえば、冷凍された、スープ、ソース及びカレー等の液体状又はコロイド状の食品(流動性食品)を収容するように構成されている。上側容器200は、たとえば、下側容器100と同様の材料を用いて作成されてもよいし、下側容器100とは異なる材料を用いて作成されてもよい。
【0033】
図4、
図5及び
図6に示されるように、上側容器200は、上面部210と、側面部220と、フランジ部230と、2つの凹部240とを含んでいる。上面部210の形状は、略円形状である。上面部210には、2つの孔H1が形成されている。各孔H1は、上面部210において、中央部分以外の位置に形成されている。より具体的には、一方の孔H1は、上面部210の中央部分を中心として、他方の孔H1に対して点対称な位置に形成されている。また、上面部210には、傾斜部250A,250Bが形成されている。傾斜部250A,250Bの各々は、上面部210の外周付近から孔H1に向かって斜め下方に傾斜している。
【0034】
側面部220は、上面部210の外周全体から斜め下方に延びている。上側容器200において、側面部220の下端には開口が形成されている。
【0035】
フランジ部230は、上側容器200の開口全周から水平方向外側に延びている。フランジ部230のうち、他の部分と比較して水平方向外側に長く延びている部分(たとえば、
図9中のP2)は、たとえば、容器10の取手として用いられる。
【0036】
凹部240A,240Bの各々(以下、「各凹部240」とも称する。)は、孔H1の周囲から下方に凹んでいる。各凹部240は、底面部242と、側面部244とを含んでいる。底面部242の形状は、略円形状である。底面部242の中央部分には孔H2が形成されている。孔H2と孔H1とは連通している。すなわち、孔H1から注がれた水は、孔H2から下方に落ちる。
【0037】
側面部244は、底面部242の周囲と孔H1の周囲との間に延びている。側面部244の周囲には、複数のリブ246が形成されている。各リブ246は、側面部244の周囲において等間隔で配置されており、縦方向に延びている。
【0038】
<1-4.本容器の構成に起因する作用効果>
図7は、容器10の構成に起因する作用効果を説明するための図である。
図7に示されるように、容器10においては、下側容器100に冷凍状態の食品300(たとえば、ラーメンの麺及び具材)が収容され、上側容器200に冷凍状態の食品400(たとえば、ラーメンのスープ)が収容されている。なお、食品400は、上側容器200の上面部210、上側容器200の側面部220及び凹部240の側面部244によって囲まれる領域に収容されているといえる。
【0039】
電子レンジによる加熱調理時に、下側容器100には、ユーザによってお湯(水)が入れられる。より具体的には、ユーザは、孔H1,H2を介して下側容器100内にお湯を注ぐ。また、加熱調理時に、上側容器200は、開口が下方を向いた状態で、下側容器100の上に配置されるが、この位置関係は、容器10に収容された冷凍食品の販売時と同様である。すなわち、ユーザは、下側容器100から上側容器200を取り外すことなく、下側容器100内にお湯を注ぐことができる。
【0040】
上述のように、上側容器200の上面部210において、各孔H1は、中央部以外の位置に配置されている。この理由について次に説明する。食品400は、冷凍前の状態で上側容器200の開口側から上側容器200内に充填される。その後、食品400は、冷凍される。充填時に冷凍前の食品400が上側容器200内に満遍なく広がるためには、上側容器200の中央部分に冷凍前の食品400が注がれることが好ましい。容器10によれば、各孔H1が上側容器200の上面部210において中央部以外の位置に形成されているため、食品400の充填時に上側容器200の中央部分に冷凍前の食品400を注ぐことができる。
【0041】
また、孔H1が上側容器200の上面部210において中央部に形成されている場合には、たとえば、電気ポットの注ぎ口が孔H1に届かない事態が生じ得る。容器10によれば、孔H1が上側容器200の上面部210において中央部以外の位置に形成されているため、電気ポットの注ぎ口が孔H1に届かない事態が生じる可能性を低減することができる。
【0042】
また、上述のように、上側容器200は、2つの凹部240を含んでいる。容器10によれば、上側容器200が2つの凹部240を含むため、たとえば、ユーザは、ユーザの利き手に拘わらず、都合の良い凹部240を選択することによって、孔H1,H2に容易に水を注ぐことができる。
【0043】
また、各凹部240の深さD1(
図6)は、孔H1,H2を介して下側容器100に所望の量の水が注がれた場合に、水面が凹部240の底面部242に接する深さである。容器10によれば、下側容器100に所望の量の水が注がれた時点で凹部240の底面部242に水面が接するため、ユーザは、底面部242に水面が接したことを目視で確認することによって、下側容器100に所望の量の水が注がれたことを認識することができる。
【0044】
また、上側容器200においては、各凹部240の側面部244にリブ246が形成されている。この理由について次に説明する。食品400が冷凍されることによって食品400の体積は増加する。この場合に、凹部240の側面部244には凹部240内側に向かう力が加わる。容器10によれば、凹部240の側面部244に複数のリブ246が形成されることによって側面部244が補強されているため、食品400の冷凍時に側面部244に凹部240内側に向かう力が加わったとしても、凹部240の変形を抑制することができる。
【0045】
また、電子レンジによる解凍途中に食品400は下側容器100内に落下する。食品400は、上側容器200内に収容されている場合には、全周囲から電磁波が照射されるため、下側容器100内に落下した後よりも解凍が促進される。すなわち、解凍後にコロイド状又は液体状となる食品400のような解凍に長時間を要する食品は、電子レンジによる解凍時にある程度長時間上側容器200内に収容されていることが好ましい。容器10においては、凹部240の側面部244にリブ246が形成されているため、側面部244にリブ246が形成されていない場合と比較して、食品400と上側容器200との接触面積が広い。したがって、容器10によれば、食品400が上側容器200に張り付く力がより強いため、電子レンジによる解凍時に、食品400が下側容器100内に落下するまでの時間をより長くすることができる。
【0046】
また、上述のように、上側容器200の上面部210には、孔H1に向かって斜め下方に傾斜する傾斜部250が設けられている。容器10によれば、上側容器200の上面部210に傾斜部250が設けられているため、誤って傾斜部250に向けて注がれたお湯も孔H1に導くことができる。
【0047】
また、食品400は、たとえば食品300と比較して、解凍に長い時間を要する。容器10においては、食品400が、食品300と距離を置いて食品300の上方に配置されている。したがって、電子レンジによって加熱調理をした場合に、食品400の下方、上方及び側方から食品400に電磁波が照射される。その結果、容器10によれば、たとえば、食品400の上方及び側方のみから食品400に電磁波が照射される場合と比較して、より短時間で食品400を解凍することができる。また、加熱調理時に下側容器100には水が入れられているため、発生した高温の蒸気によって食品400の解凍がさらに促進される。
【0048】
また、上述のように、加熱調理時に、上側容器200の開口は下方を向いている。したがって、加熱調理途中において食品400がある程度解凍された段階で、食品400が食品300上に落下する。すなわち、加熱調理が終了した段階で食品300,400の両方が下側容器100に収容されている。したがって、容器10によれば、加熱調理後にユーザが食品400を下側容器100に移す必要がないため、冷凍食品の調理をより容易に行なうことができる。
【0049】
また、食品400の食品300上への落下後においては、食品300,400のうち高温の食品から低温の食品への熱伝導が生じる。したがって、容器10によれば、食品300,400間での熱伝導が生じ得るため、食品300,400のいずれかが過加熱又は加熱不足となる事態を抑制することができる。
【0050】
また、容器10においては、下側容器100及び上側容器200が互いに嵌合しない。したがって、容器10によれば、加熱調理時に下側容器100及び上側容器200を互いに嵌合させる必要がないため、冷凍食品の調理を容易に行なうことができる。
【0051】
<1-5.加熱調理手順>
図8は、容器10に収容された冷凍食品の加熱調理手順を示すフローチャートである。
図8を参照して、ユーザは、孔H1又は孔H2を介して、下側容器100内に適量のお湯を入れる(ステップS100)。ユーザは、容器10を電子レンジ内にセットし、電子レンジに加熱調理を開始させる(ステップS110)。予め定められた時間が経過して加熱調理が完了すると(ステップS120においてYES)、ユーザは、容器10を電子レンジから取り出す(ステップS130)。ユーザが下側容器100から上側容器200を取り外すことによって、冷凍食品の調理が完了する(ステップS140)。すなわち、容器10に収容された冷凍食品の加熱調理においては、下側容器100から上側容器200を取り外すことなく、下側容器100内にお湯が注がれる。
【0052】
<1-6.特徴>
以上のように、本実施の形態に従う容器10においては、上側容器200に孔H1,H2が設けられている。孔H1,H2の下方には、下側容器100が位置している。したがって、容器10によれば、下側容器100の上に配置されている上側容器200を下側容器100から取り外すことなく、孔H1,H2を介して下側容器100内に水を注ぐことができる。
【0053】
[2.実施の形態2]
<2-1.冷凍食品の概要>
図9は、本実施の形態に従う容器5の正面の概略を示す図である。容器5は、冷凍食品を収容するように構成されている。
【0054】
図9に示されるように、容器5は、下側容器100と、上側容器20とを含んでいる。詳細については後述するが、下側容器100及び上側容器20の各々には、たとえば、冷凍された異なる種類の食品が収容される。冷凍食品が収容された容器5は、下側容器100上に上側容器20が配置された状態で、電子レンジによって解凍される。なお、電子レンジによる解凍前には、下側容器100内にお湯(水)が注がれる。電子レンジによる冷凍食品の解凍完了時には、上側容器20に収容されていた食品が下側容器100内に落下している。すなわち、容器5によれば、電子レンジによる冷凍食品の解凍完了後に、解凍前に上側容器20に収容されていた食品を下側容器100にユーザが移す手間を省くことができる。以下、容器5の詳細について説明する。
【0055】
<2-2.下容器の構成>
下側容器100の構成は、上記実施の形態1における下側容器100の構成と同様である。
【0056】
<2-3.上容器の構成>
図10は、上側容器20の平面図である。
図11は、
図10のXI-XI断面の概略を示す図である。上側容器20は、たとえば、冷凍された、スープ、ソース及びカレー等の液体状又はコロイド状の食品(流動性食品)を収容するように構成されている。上側容器20は、たとえば、下側容器100と同様の材料を用いて作成されてもよいし、下側容器100とは異なる材料を用いて作成されてもよい。
【0057】
図10及び
図11に示されるように、上側容器20は、上面部21と、側面部22,24と、下面部27と、フランジ部23とを含んでいる。上面部21の形状は、略円形状である。上面部21には、縦方向に延びる突条部26と横方向に延びる突条部26とが形成されている。縦方向に延びる突条部26と横方向に延びる突条部26とは互いに交差している。上面部21の外周全体から斜め下方に側面部22が延びている。上側容器20において、側面部22の下端には開口が形成されている。上面部21と側面部22とによって囲まれる空間には、冷凍食品が収容される。なお、各突条部26の高さ方向の長さは、たとえば、該空間の高さ方向の長さの1/6以上である。
【0058】
側面部22の下端から水平方向外側に下面部27が延びており、下面部27の水平方向外側の端部から斜め上方に側面部24が延びている。側面部24は、上側容器20の全周に渡って延びている。
【0059】
冷凍食品が収容される空間と、側面部22を介して隣接する位置に、凹部25が形成されている。より具体的には、凹部25は、側面部22,24及び下面部27によって囲まれる空間に形成されている。凹部25の下方(下面部27)には、孔H3が形成されている。なお、側面部24の高さ方向の長さは、側面部22の高さ方向の長さよりも長い。
【0060】
フランジ部23は、側面部24の上端に形成される開口全周から水平方向外側に延びている。フランジ部23のうち、他の部分と比較して水平方向外側に長く延びている部分は、たとえば、容器5の取手として用いられる。
【0061】
<2-4.本容器の構成に起因する作用効果>
図12は、容器5の構成に起因する作用効果を説明するための図である。
図12に示されるように、容器5においては、下側容器100に冷凍状態の食品300(たとえば、ラーメンの麺及び具材)が収容され、上側容器20に冷凍状態の食品400(たとえば、ラーメンのスープ)が収容されている。
【0062】
電子レンジによる加熱調理時に、下側容器100には、ユーザによってお湯(水)が入れられる。より具体的には、ユーザは、孔H3を介して下側容器100内にお湯を注ぐ。また、加熱調理時に、上側容器20は、側面部22の下端によって形成される開口が下方を向いた状態で、下側容器100の上に配置されるが、この位置関係は、容器5に収容された冷凍食品の販売時と同様である。すなわち、ユーザは、下側容器100から上側容器20を取り外すことなく、下側容器100内にお湯を注ぐことができる。
【0063】
上側容器20において、孔H3は、中央部以外の位置に配置されている。この理由について次に説明する。食品400は、冷凍前の状態で上側容器20のうち側面部22の下端に形成される開口側から上側容器20内に充填される。その後、食品400は、冷凍される。充填時に冷凍前の食品400が上側容器20内に満遍なく広がるためには、上側容器20の中央部分に冷凍前の食品400が注がれることが好ましい。容器5によれば、孔H3が上側容器20の中央部以外の位置に形成されているため、食品400の充填時に上側容器20の中央部分に冷凍前の食品400を注ぐことができる。
【0064】
また、孔H3が上側容器20において中央部に形成されている場合には、たとえば、電気ポットの注ぎ口が孔H3に届かない事態が生じ得る。容器5によれば、孔H3が上側容器20において中央部以外の位置に形成されているため、電気ポットの注ぎ口が孔H3に届かない事態が生じる可能性を低減することができる。
【0065】
また、凹部25の深さD2(
図11)は、孔H3を介して下側容器100に所望の量の水が注がれた場合に、水面が凹部25の下面部27に接する深さである。容器5によれば、下側容器100に所望の量の水が注がれた時点で凹部25の下面部27に水面が接するため、ユーザは、下面部27に水面が接したことを目視で確認することによって、下側容器100に所望の量の水が注がれたことを認識することができる。
【0066】
また、食品400は、たとえば食品300と比較して、解凍に長い時間を要する。容器5においては、食品400が、食品300と距離を置いて食品300の上方に配置されている。したがって、電子レンジによって加熱調理をした場合に、食品400の下方、上方及び側方から食品400に電磁波が照射される。その結果、容器5によれば、たとえば、食品400の上方及び側方のみから食品400に電磁波が照射される場合と比較して、より短時間で食品400を解凍することができる。また、加熱調理時に下側容器100には水が入れられているため、発生した高温の蒸気によって食品400の解凍がさらに促進される。
【0067】
また、上述のように、加熱調理時に、上側容器20のうち側面部22の下端によって形成される開口は下方を向いている。したがって、加熱調理途中において食品400がある程度解凍された段階で、食品400が食品300上に落下する。すなわち、加熱調理が終了した段階で食品300,400の両方が下側容器100に収容されている。したがって、容器5によれば、加熱調理後にユーザが食品400を下側容器100に移す必要がないため、冷凍食品の調理をより容易に行なうことができる。
【0068】
また、食品400の食品300上への落下後においては、食品300,400のうち高温の食品から低温の食品への熱伝導が生じる。したがって、容器5によれば、食品300,400間での熱伝導が生じ得るため、食品300,400のいずれかが過加熱又は加熱不足となる事態を抑制することができる。
【0069】
また、容器5においては、下側容器100及び上側容器20が互いに嵌合しない。したがって、容器5によれば、加熱調理時に下側容器100及び上側容器20を互いに嵌合させる必要がないため、冷凍食品の調理を容易に行なうことができる。
【0070】
<2-5.加熱調理手順>
容器5に収容された冷凍食品の加熱調理手順は、上記実施の形態1における容器10に収容された冷凍食品の加熱調理手順と同様である。
【0071】
<2-6.特徴>
以上のように、本実施の形態に従う容器5においては、上側容器20に孔H3が設けられている。孔H3の下方には、下側容器100が位置している。したがって、容器5によれば、下側容器100の上に配置されている上側容器20を下側容器100から取り外すことなく、孔H3を介して下側容器100内に水を注ぐことができる。
【0072】
[3.変形例]
以上、実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。以下、変形例について説明する。
【0073】
<3-1>
上記実施の形態1,2において、下側容器100及び上側容器20,200の形状は、略円形状であった。しかしながら、下側容器100及び上側容器20,200の形状は、これに限定されない。たとえば、下側容器100及び上側容器20,200の形状は、四角形状であってもよいし、六角形状であってもよいし、楕円形状であってもよい。
【0074】
<3-2>
また、上記実施の形態1,2において、孔H1,H2,H3の形状は円形状であった。しかしながら、孔H1,H2,H3の形状は、これに限定されない。孔H1,H2,H3の形状は、四角形状であってもよいし、六角形状であってもよいし、楕円形状であってもよい。
【0075】
<3-3>
また、上記実施の形態1,2においては、各孔H1,H2,H3が上面部210の中央部分以外に設けられたが、孔H1,H2,H3は、上面部210の中央部分に設けられてもよい。
【0076】
<3-4>
また、上記実施の形態1においては、上側容器200に2つの凹部240が設けられたが、凹部240の数は1つであってもよい。
【0077】
<3-5>
また、上記実施の形態1,2において、凹部25,240の深さは、孔H1,H2,H3を介して下側容器100に所望の量の水が注がれた場合に、水面が凹部25,240の底面部に接する深さとされたが、凹部25,240の深さは必ずしもこのような深さでなくてもよい。
【0078】
<3-6>
また、上記実施の形態1においては、凹部240の側面部244にリブ246が形成されたが、側面部244には必ずしもリブ246が形成されなくてもよい。
【0079】
<3-7>
また、上記実施の形態1においては、上側容器200の上面部210に傾斜部250が設けられたが、上面部210には必ずしも傾斜部250が設けられなくてもよい。
【0080】
<3-8>
また、上記実施の形態1,2においては、下側容器100及び上側容器20,200が互いに嵌合しないこととしたが、下側容器100及び上側容器20,200は互いに嵌合してもよい。
【符号の説明】
【0081】
5,10 容器、20,200 上側容器、21,210 上面部、22,24,120,220,244 側面部、23,130,230 フランジ部、25,240 凹部、26 突条部、27 下面部、100 下側容器、110,242 底面部、140 蒸気溝、246 リブ、250 傾斜部、300,400 食品、D1,D2 深さ、H1,H2,H3 孔。