(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-09
(45)【発行日】2023-02-17
(54)【発明の名称】作業車
(51)【国際特許分類】
B62D 61/10 20060101AFI20230210BHJP
【FI】
B62D61/10
(21)【出願番号】P 2019223724
(22)【出願日】2019-12-11
【審査請求日】2021-12-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】平岡 実
(72)【発明者】
【氏名】石川 淳一
(72)【発明者】
【氏名】玉井 拓也
(72)【発明者】
【氏名】坂野 倫祥
【審査官】長谷井 雅昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-113756(JP,A)
【文献】実開昭56-071410(JP,U)
【文献】特開2018-167689(JP,A)
【文献】特開2015-189441(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0099911(KR,A)
【文献】特開2018-103681(JP,A)
【文献】特開平07-276966(JP,A)
【文献】特開2005-178492(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 61/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部と、前記本体部に設けられた複数の車輪支持機構と、前記車輪支持機構の各々の下部に支持された走行用の車輪とが備えられ、
前記車輪支持機構に、
前記本体部に取り付けられて、前記本体部から下側に延出されるように配置された本体側部と、
前記車輪を支持して、前記本体側部の延伸方向に沿ってスライド可能に、前記本体側部に支持された車輪支持部と、
前記車輪支持部を前記本体側部に固定及び固定解除可能な固定部とが設けられ
、
前記車輪支持部は、前記本体側部に固定及び固定解除可能に接続される接続部と、前記接続部に連結された支持部とを有し、前記支持部における機体幅方向内側の部分に前記車輪を駆動する駆動モータが支持され、前記支持部の機体幅方向外側に前記車輪が支持されている作業車。
【請求項2】
前記本体側部は、前記本体部から上下方向に沿って下側に延伸され、
前記車輪支持部は、上下方向に沿ってスライド可能に、前記本体側部に支持されている請求項1に記載の作業車。
【請求項3】
前記本体側部及び前記車輪支持部のうちの少なくとも一方が、パイプ状に構成され、
前記本体側部及び前記車輪支持部のパイプ状の一方に、前記本体側部及び前記車輪支持部の他方が挿入されることにより、前記車輪支持部が、前記本体側部の延伸方向に沿ってスライド可能に、前記本体側部に支持されている請求項1又は2に記載の作業車。
【請求項4】
前記本体側部及び前記車輪支持部の一方が、角パイプ状に構成され、
前記本体側部及び前記車輪支持部の他方が、丸パイプ状に構成され、
前記本体側部及び前記車輪支持部の角パイプ状の一方に、前記本体側部及び前記車輪支持部の丸パイプ状の他方が挿入されることにより、前記車輪支持部が、前記本体側部の延伸方向に沿ってスライド可能に、前記本体側部に支持されている請求項3に記載の作業車。
【請求項5】
前記本体側部が、前記本体側部の延伸方向に沿ったステアリング軸芯周りに揺動可能に前記本体部に支持され、
前記本体側部を前記本体部に対して前記ステアリング軸芯周りに揺動操作可能なステアリングアクチュエータが設けられている請求項1~4のうちのいずれか一項に記載の作業車。
【請求項6】
前記支持部が、前記駆動モータの側面に沿って上下方向に延び且つ前記駆動モータが取り付けられる上下延出部分と、前記上下延出部分の上端部から前記駆動モータの上面の上方を機体幅方向内側に延びる上方延出部分とを有し、前記支持部が前記上方延出部分の上面に固定されたボス部を介して前記接続部に連結されている請求項1~5のうちのいずれか一項に記載の作業車。
【請求項7】
フェンダが、前記車輪に対して上側に配置されるように、前記車輪支持部に固定又は着脱可能に装着されている請求項1~6のうちのいずれか一項に記載の作業車。
【請求項8】
前記固定部は、前記本体側部の延伸方向に沿った任意の位置又は複数の位置で、前記車輪支持部を前記本体側部に固定及び固定解除可能である請求項1~7のうちのいずれか一項に記載の作業車。
【請求項9】
前記本体側部は、前記本体部に対して着脱可能である請求項1~8のうちのいずれか一項に記載の作業車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車高調整可能な作業車に関する。
【背景技術】
【0002】
前述のような作業車の一例が特許文献1に開示されている。特許文献1の作業車は、本体部の左右両側に位置する複数の油圧駆動式の走行装置と、走行装置を支持する脚部とが設けられており、脚部の各々において、走行装置を各別に昇降可能に本体部に支持する屈折リンク機構が設けられ、屈折リンク機構の一端側が本体部に支持されて、他端側に走行用の車輪が取り付けられている。
支持アームが本体部に対して上下に揺動操作されることにより、本体部に対する車輪の位置が変更されるのであり、作業地や作業状態に適した車高が設定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら特許文献1の技術では、走行装置を支持する脚部の各々に、屈折リンク機構が設けられているので、低コスト化、構造の簡素化及び重量の軽減という面で改善の余地がある。
本発明は、作業車の車高調整機構を低コスト且つ簡素な構成で実現することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様にかかる作業車は、本体部と、前記本体部に設けられた複数の車輪支持機構と、前記車輪支持機構の各々の下部に支持された走行用の車輪とが備えられ、前記車輪支持機構に、前記本体部に取り付けられて、前記本体部から下側に延出されるように配置された本体側部と、前記車輪を支持して、前記本体側部の延伸方向に沿ってスライド可能に、前記本体側部に支持された車輪支持部と、前記車輪支持部を前記本体側部に固定及び固定解除可能な固定部とが設けられ、前記車輪支持部は、前記本体側部に固定及び固定解除可能に接続される接続部と、前記接続部に連結された支持部とを有し、前記支持部における機体幅方向内側の部分に前記車輪を駆動する駆動モータが支持され、前記支持部の機体幅方向外側に前記車輪が支持されている。
【0006】
上記の構成によると、車輪支持機構において、車輪支持部(車輪)が、本体側部の延伸方向に沿って上側にスライド操作されて、固定部により本体側部に固定されると、低い車高の状態が得られる。車輪支持部(車輪)が、本体側部の延伸方向に沿って下側にスライド操作されて、固定部により本体側部に固定されると、高い車高の状態が得られる。
これにより、車高調整機構を低コストで実現することができ、構造の簡素化及びこれに基づく重量の軽減を図った構成で、車高調整機構を実現することができる。
【0007】
本発明において、前記本体側部は、前記本体部から上下方向に沿って下側に延伸され、前記車輪支持部は、上下方向に沿ってスライド可能に、前記本体側部に支持されていると好適である。
【0008】
上述した特許文献1の技術では、前後方向に屈折する屈折リンク機構の先端部に車輪が支持されているので、低い車高状態のときには車輪が本体部に対して前後方向で離れてホイルベースが長くなり、高い車高状態のときには車輪が本体部に対して前後方向で接近してホイルベースが短くなる。
【0009】
これに対して上記の構成によると、車輪支持部(車輪)の位置は、上下方向に沿って直線的に変化するので、本体部に対する車輪支持部(車輪)の前後方向での位置の変化は、小さいものとなるのであり、車高の変更に伴うホイルベースの変化が抑えられる。これにより、作業車において、作業地や作業状態に応じて車高が変更されても、ホイルベースの変化が抑えられるのであり、走行特性の変化が抑えられる。
【0010】
本発明において、前記本体側部及び前記車輪支持部のうちの少なくとも一方が、パイプ状に構成され、前記本体側部及び前記車輪支持部のパイプ状の一方に、前記本体側部及び前記車輪支持部の他方が挿入されることにより、前記車輪支持部が、前記本体側部の延伸方向に沿ってスライド可能に、前記本体側部に支持されていると好適である。
【0011】
上記の構成によると、車輪支持機構において、本体側部及び車輪支持部のパイプ状の一方に、本体側部及び車輪支持部の他方が挿入されることにより、車輪支持部のスライド構造が容易に得られるので、構造の簡素化の面で有利である。
【0012】
本発明において、前記本体側部及び前記車輪支持部の一方が、角パイプ状に構成され、前記本体側部及び前記車輪支持部の他方が、丸パイプ状に構成され、前記本体側部及び前記車輪支持部の角パイプ状の一方に、前記本体側部及び前記車輪支持部の丸パイプ状の他方が挿入されることにより、前記車輪支持部が、前記本体側部の延伸方向に沿ってスライド可能に、前記本体側部に支持されていると好適である。
【0013】
上記の構成によると、車輪支持機構において、本体側部及び車輪支持部の角パイプ状の一方に、本体側部及び車輪支持部の丸パイプ状の他方が挿入されることにより、車輪支持部のスライド構造が得られる。
【0014】
上記の構成によると、丸パイプに丸パイプが挿入される構成に比べて、角パイプの内面と丸パイプの外面との接触面積が小さなものとなるのであり、角パイプの角部において角パイプの内面と丸パイプの外面との間に隙間が生じる。
これにより、土や泥が角パイプの内部に侵入しても、前述の接触面積が小さい点によって、土や泥が角パイプの内面と丸パイプの外面との間に咬み込まれ難いのであり、前述の隙間が生じる点によって、土や泥が排出され易くなる。
【0015】
本発明において、前記本体側部が、前記本体側部の延伸方向に沿ったステアリング軸芯周りに揺動可能に前記本体部に支持され、前記本体側部を前記本体部に対して前記ステアリング軸芯周りに揺動操作可能なステアリングアクチュエータが設けられていると好適である。
【0016】
上記の構成によると、車輪支持機構において、固定部により車輪支持部が本体側部に固定されていることによって、ステアリングアクチュエータにより本体側部がステアリング軸芯周りに揺動操作されると、車輪支持部(車輪)が本体側部と一体で揺動操作されるのであり、作業車の向きの変更が無理なく行われる。
【0017】
本発明において、前記車輪を駆動する駆動モータが、前記車輪支持部に設けられていると好適である。
【0018】
上記の構成によると、車輪支持機構において、車輪と駆動モータとが互いに接近して配置されるのであり、車輪支持部が本体側部の延伸方向に沿ってスライド操作されても、車輪と駆動モータとの位置関係は変化しないので、駆動モータによる車輪の駆動構造の簡素化の面で有利である。
【0019】
本発明において、フェンダが、前記車輪に対して上側に配置されるように、前記車輪支持部に固定又は着脱可能に装着されていると好適である。
【0020】
上記の構成によると、車輪支持機構において、車輪支持部が本体側部の延伸方向に沿ってスライド操作されても、車輪とフェンダとの位置関係は変化しないので、フェンダの機能が安定して発揮されるようになる。
フェンダが車輪支持部に着脱可能に装着されていると、フェンダが不要な場合に、フェンダを車輪支持部から取り外すことができる。
【0021】
本発明において、前記固定部は、前記本体側部の延伸方向に沿った任意の位置又は複数の位置で、前記車輪支持部を前記本体側部に固定及び固定解除可能であると好適である。
【0022】
上記の構成によると、任意の車高又は複数段階の車高に調整可能な車高調整機構を低コストで実現することができ、構造の簡素化及びこれに基づく重量の軽減を図った構成で、車高調整機構を実現することができる。
【0023】
本発明において、前記本体側部は、前記本体部に対して着脱可能であると好適である。
【0024】
上記の構成によると、車高調整機構において、本体側部を本体部から着脱可能に構成にすることにより、長さの異なる本体側部に交換して、作業車の車高を容易に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図4】車輪支持機構の本体側部の分解斜視図である。
【
図5】車輪支持機構の本体側部の接続部と車輪支持部の接続部との固定状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(作業車の全体構成)
図1~
図6に、本実施形態にかかる作業車が示されており、Fは前方向を示し、Bは後方向を示し、Uは上方向を示し、Dは下方向を示し、Rは右方向を示し、Lは左方向を示している。
本実施形態では、本発明をGPSに基づく自律走行及び無線操縦による走行を行う作業車に適用する場合の実施例について説明するが、本発明の適用対象はこれに限るものではない。
【0027】
図1及び
図2に示すように、作業車は、本体部1と、本体部1の前部及び後部における右部及び左部に設けられた4個の車輪支持機構2と、車輪支持機構2の各々の下部に支持された4個の走行用の車輪3とが備えられている。
【0028】
(本体部の構成)
図1,2,3に示すように、本体部1において、左右方向に沿った上及び下の前フレーム4と、左右方向に沿った上及び下の後フレーム5と、前後方向に沿った上及び下の右の横フレーム6と、前後方向に沿った上及び下の左の横フレーム6とが設けられている。
【0029】
上の前フレーム4、後フレーム5、右及び左の横フレーム6が、平面視で四角形の枠状に連結されており、下の前フレーム4、後フレーム5、右及び左の横フレーム6が、平面視で四角形の枠状に連結されている。前述のように構成された上の枠状の構造物と、下の枠状の構造物とが、上下方向に沿った4個の縦フレームに7より連結されている。
【0030】
下の右及び左の横フレーム6に支持フレーム8が連結されており、油圧供給部9が支持フレーム8に支持されている。油圧供給部9には、エンジン(図示せず)、及びエンジンにより駆動される油圧ポンプ(図示せず)等が設けられている。
【0031】
複数の電磁操作型式の制御弁(図示せず)が収納された制御弁部10が、上の右及び左の横フレーム6に支持されている。CPU(図示せず)や各種のセンサー(図示せず)及び受信機(図示せず)等が設けられた制御部11が、制御弁部10に支持されている。
前及び後の上フレーム12が、制御弁部10及び制御部11の上側を覆うように、上の前フレーム4及び後フレーム5に連結されている。
【0032】
(車輪支持機構における本体側部)
図1,2,3に示すように、車輪支持機構2に、本体側部13と、車輪支持部14と、固定ピン15(固定部に相当)とが設けられている。
【0033】
図1~
図4に示すように、本体側部13において、角パイプ状の基部16が設けられており、基部16の上部及び下部に、連結孔16aが開口されている。上及び下のボス部17が基部16に連結され、アーム部18が基部16に連結されている。
【0034】
本体側部13において、丸パイプ状に構成された接続部19が設けられており、接続部19の上部に、2個の連結孔19aが開口され、接続部19の下部に6個の固定孔19bが開口されている。
【0035】
接続部19が基部16に上側から挿入され、基部16の連結孔16aと接続部19の連結孔19aとに亘って、連結ピン20が挿入されることにより、基部16と接続部19とが連結されている。
以上のように、本体側部13に、基部16、ボス部17、アーム部18、接続部19及び連結ピン20等が設けられている。
【0036】
図1,2,3に示すように、上の右及び左の横フレーム6の前部及び後部に、正面視でチャンネル状の支点部21が連結され、下の右及び左の横フレーム6の前部及び後部に、正面視でチャンネル状の支点部21が連結されている。
【0037】
基部16のボス部17が、上下方向(本体側部13の延伸方向)に沿ったステアリング軸芯P1周りに揺動可能に、支点部21に支持されている。上の右及び左の横フレーム6に、ブラケット22が連結されており、復動型の油圧シリンダ23(ステアリングアクチュエータに相当)が、アーム部18とブラケット22とに亘って接続されている。
【0038】
以上のように、本体側部13(基部16及び接続部19)が、本体部1に取り付けられて、本体部1から上下方向(本体側部13の延伸方向)に沿って下側に延伸された状態となる。
【0039】
本体側部13(基部16及び接続部19)が、上下方向に沿ったステアリング軸芯P1周りに揺動可能に本体部1に支持され、油圧シリンダ23の伸縮作動により、本体側部13(基部16及び接続部19)が本体部1に対してステアリング軸芯P1周りに揺動操作される。
【0040】
(車輪支持機構における車輪支持部)
図1,3,6に示すように、車輪支持部14において、角パイプ状に構成された接続部24が設けられており、接続部24に2個の固定孔24aが開口されている。ボス部25が、接続部24の下部の横部に連結されており、正面視でアングル状の支持部26が、ボス部25の下部に連結されている。
【0041】
車輪支持部14において、車輪3が、接続部24の下部の下方に位置するように、支持部26に回転可能に支持されており、車輪3を駆動する油圧モータ型式の駆動モータ27が、支持部26における車輪3の反対側の部分に連結されている。板材が折り曲げられて構成されたフェンダ28が、車輪3に対して上側に配置されるように、接続部24の下部に連結されている。
【0042】
以上のように、車輪支持部14に、接続部24、ボス部25及び支持部26等が設けられおり、車輪3が車輪支持部14に支持されている。
車輪3を駆動する駆動モータ27が、車輪支持部14に設けられており、フェンダ28が、車輪3に対して上側に配置されるように車輪支持部14に固定されている。
【0043】
(車輪支持機構における本体側部と車輪支持部との接続)
本体側部13(
図4参照)と車輪支持部14(
図6参照)とにおいて、
図1,3,5に示すように、車輪支持部14の角パイプ状の接続部24に、本体側部13の丸パイプ状の接続部19が挿入されることによって、車輪支持部14(接続部24)が、本体側部13(接続部19)に上下方向(本体側部13の延伸方向)に沿ってスライド可能に支持される。
【0044】
本体側部13(接続部19)の2個の固定孔19bと、車輪支持部14(接続部24)の固定孔24aとに亘って、固定ピン15が挿入されることにより、車輪支持部14(接続部24)が本体側部13(接続部19)に固定されて、作業車(本体部1)の車高が設定される。
【0045】
固定ピン15が取り外されることにより、車輪支持部14(接続部24)が本体側部13(接続部19)に上下方向(本体側部13の延伸方向)に沿ってスライド可能となる。
本体側部13(接続部19)の別の2個の固定孔19bと、車輪支持部14(接続部24)の固定孔24aとに亘って、固定ピン15が挿入されることにより、車輪支持部14(接続部24)が本体側部13(接続部19)に固定されて、作業車(本体部1)の車高が変更される。
【0046】
作業車が法面等の斜面を等高線に沿って走行する場合、右の前及び後の車輪支持機構2と、左の前及び後の車輪支持機構2とにおいて、車輪支持部14(接続部24)を本体側部13(接続部19)の異なる位置に固定すればよい。これにより、作業車(本体部1)の右部及び左部の車高を異なるものになり、作業車は本体部1を水平に維持しながら等高線に沿って走行することができる。
【0047】
作業車(本体部1)の車高を大きく変更する場合、
図4に示すように、作業者は、連結ピン20を取り外し、接続部19を基部16から取り外して、長さの異なる別の接続部19を基部16に挿入し、基部16の連結孔16aと接続部19の連結孔19aとに亘って連結ピン20を挿入して、基部16と接続部19とを連結すればよい。
【0048】
以上のように、本体側部13において接続部19が基部16に取り付け及び取り外し可能であることにより、本体側部13(接続部19)が本体部1に対して着脱可能となる。
本体側部13において基部16に本体部1に残っても、接続部19が長さの異なる接続部19に交換されることにより、本体側部13が交換されたことになる。
【0049】
(作業車の走行)
図1及び
図2に示すように、油圧供給部9の作動油が、制御弁部10の制御弁を介して4個の駆動モータ27に供給されて、駆動モータ27により車輪3が正方向及び逆方向に駆動される。
【0050】
油圧供給部9の作動油が、制御弁部10の制御弁を介して油圧シリンダ23に供給されて、油圧シリンダ23の伸縮作動により、本体側部13(基部16及び接続部19)が本体部1に対してステアリング軸芯P1周りに揺動操作される。固定ピン15により車輪支持部14(接続部24)が本体側部13(接続部19)に固定されていることによって、車輪支持部14及び車輪3が、本体側部13(基部16及び接続部19)と一体で、ステアリング軸芯P1周りに揺動操作(操向操作)される。
【0051】
GPSによる位置データ、又は作業者が操作する送信機(図示せず)からの操縦信号に基づいて、制御部11は制御弁部10の制御弁を操作するのであり、前述のように車輪3の駆動及び操向操作が行われる。
【0052】
(発明の実施の第1別形態)
図1~
図6では、本体側部13が本体部1から上下方向に沿って下側に延伸されている構成について説明したが、本体側部13の延伸方向は必ずしも鉛直方向の下方でなくてもよく、鉛直方向に対して前後方向又は左右方向に傾斜していてもよい。
この構成において、車輪支持部14が、本体側部13に対して本体側部13の延伸方向に沿ってスライド可能に構成されるとよい。
【0053】
(発明の実施の第2別形態)
本体側部13の接続部19が角パイプ状に構成され、車輪支持部14の接続部24が丸パイプ状に構成されて、本体側部13の角パイプ状の接続部19に、車輪支持部14の丸パイプ状の接続部24が挿入されるように構成されてもよい。
【0054】
図1~
図6に示す構成、並びに、前述の構成によって、本体側部13及び車輪支持部14の一方が、上下方向に沿った角パイプ状に構成され、本体側部13及び車輪支持部14の他方が、上下方向に沿った丸パイプ状に構成され、本体側部13及び車輪支持部14の角パイプ状の一方に、本体側部13及び車輪支持部14の丸パイプ状の他方が挿入されることにより、車輪支持部14が本体側部13に上下方向(本体側部13の延伸方向)に沿ってスライド可能に支持される。
【0055】
(発明の実施の第3別形態)
本体側部13の接続部19及び車輪支持部14の接続部24の一方が、中実の丸棒状に構成され、本体側部13の接続部19及び車輪支持部14の接続部24の他方が、角パイプ状又は丸パイプ状に構成されて、角パイプ又は丸パイプに中実の丸棒が挿入されるように構成されてもよい。
【0056】
本体側部13の接続部19及び車輪支持部14の接続部24の一方が、角パイプ状又は中実の角棒状に構成され、本体側部13の接続部19及び車輪支持部14の接続部24の他方が、角パイプ状に構成されて、角パイプに角パイプ又は中実の角棒が挿入されるように構成されてもよい。
【0057】
本体側部13の接続部19及び車輪支持部14の接続部24の一方が、丸パイプ状又は中実の丸棒状に構成され、本体側部13の接続部19及び車輪支持部14の接続部24の他方が、丸パイプ状に構成されて、丸パイプに丸パイプ又は中実の丸棒が挿入されるように構成されてもよい。
【0058】
図1~
図6に示す構成、並びに、前述の構成によって、本体側部13及び車輪支持部14のうちの少なくとも一方が、上下方向に沿ったパイプ状に構成され、本体側部13及び車輪支持部14のパイプ状の一方に、本体側部13及び車輪支持部14の他方が挿入されることにより、車輪支持部14が本体側部13に上下方向(本体側部13の延伸方向)に沿ってスライド可能に支持される。
【0059】
(発明の実施の第4別形態)
固定ピン15に代えて、固定ボルト(図示せず)やバックル(図示せず)、固定フック(図示せず)等が、固定部として使用されてもよい。本体側部13において、接続部19に7個以上の固定孔19bが開口されてもよい。
【0060】
(発明の実施の第5別形態)
本体側部13の接続部19の固定孔19b、及び車輪支持部14の接続部24の固定孔24aを廃止して、ベルト状の固定部(図示せず)により、本体側部13の接続部19と車輪支持部14の接続部24とを締め付けて、車輪支持部14の接続部24を本体側部13の接続部19に固定するように構成してもよい。
この構成によると、車輪支持部14の接続部24の固定位置を、連続的に任意の位置に設定することができる。
【0061】
(発明の実施の第6別形態)
本体側部13において、接続部19が基部16に固定されたり、接続部19と基部16とが一体的に構成されて、基部16に対して接続部19が取り付け及び取り外しできないように構成されてもよい。
この構成によると、本体側部13(基部16のボス部17)を、本体部1の支点部21に対して着脱可能に構成すればよい。これにより、本体側部13の全体が、接続部19の長さの異なる別の本体側部13に交換される。
【0062】
(発明の実施の第7別形態)
車輪支持部14において、フェンダ28が、車輪支持部14に着脱可能に構成されてもよい。
【0063】
(発明の実施の第8別形態)
油圧シリンダ23に代えて、電動シリンダ(図示せず)や電動モータ(図示せず)が、ステアリングアクチュエータとして使用されてもよい。油圧モータ型式の駆動モータ27に代えて、電動モータ型式の駆動モータ27が使用されてもよい。
この構成によると、油圧供給部9に代えて、バッテリー(図示せず)が備えられると良いのであり、制御弁部10に代えて、電流用のコントローラ(図示せず)が備えられるとよい。
【0064】
(発明の実施の第9別形態)
4個の車輪支持機構2及び車輪3ではなく、6個又は8個の車輪支持機構2及び車輪3が本体部1に設けられてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、作業車に適用できる。
【符号の説明】
【0066】
1 本体部
2 車輪支持機構
3 車輪
13 本体側部
14 車輪支持部
15 固定ピン(固定部)
23 油圧シリンダ(ステアリングアクチュエータ)
27 駆動モータ
28 フェンダ
P1 ステアリング軸芯