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特許7224313電子デバイスを自動テストするための装置及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-09
(45)【発行日】2023-02-17
(54)【発明の名称】電子デバイスを自動テストするための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/28 20060101AFI20230210BHJP
   G01R 31/26 20200101ALI20230210BHJP
   H01L 21/66 20060101ALI20230210BHJP
【FI】
G01R31/28 H
G01R31/28 R
G01R31/26 Z
H01L21/66 B
H01L21/66 F
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020025418
(22)【出願日】2020-02-18
(65)【公開番号】P2020160057
(43)【公開日】2020-10-01
【審査請求日】2020-02-18
(31)【優先権主張番号】16/364,243
(32)【優先日】2019-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508197206
【氏名又は名称】新唐科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100102923
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 雄二
(72)【発明者】
【氏名】アラン ビスマス
【審査官】島▲崎▼ 純一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第07029932(US,B1)
【文献】特開平11-133075(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0253162(US,A1)
【文献】特開平07-273156(JP,A)
【文献】特開平09-246332(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0251165(US,A1)
【文献】特開2011-053065(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/28
G01R 31/26
H01L 21/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子デバイスを自動テストするための装置であって、
前記電子デバイスの複数のパッドに接続するように配置され、負荷ボードと、プローブカードと、複数のピンを有し、前記負荷ボードの一方側が前記プローブカードに電気的に接続され、他方側が前記複数のピンに電気的に接続され、前記負荷ボードが前記電子デバイスの抵抗値及び容量値を検査するために配置されるパッドインタフェースユニットと、
前記複数のパッドにおけるデジタル信号が伝送されたデジタル信号パッドにより伝送される前記電子デバイスの回路経路を選択し、
前記パッドインタフェースユニットを使用して電流-電圧の測定を実行することにより、前記回路経路の抵抗を代表する非バイナリ測定値を推定し、
前記非バイナリ測定値に基づいて、前記デジタル信号パッドが接続性テストに合格するかどうかを確認するように
配置された測定回路と、
を備え、
前記回路経路は、前記電子デバイスの静電気放電(ESD)防護回路と、前記パッドに接続されるバッファと、を含み、前記バッファが前記パッドに接続される経路には2つのダイオードが設けられており、一方のダイオードはプラス電源に、他方のダイオードはマイナス電源にそれぞれ電気的に接続されており、
前記デジタル信号パッドが前記接続性テストに合格したことを確認されたことに応答して、前記測定回路は、機能テストを前記電子デバイスに適用させるように配置される、および、前記デジタル信号パッドが前記接続性テストに合格しなかったことを確認されたことに応答して、前記電子デバイスを抜き取った後、再度前記パッドに電気的に接続させることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記回路経路は、前記電子デバイスの前記デジタル信号パッドと電源パッドとの間に延びることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記回路経路は、前記電子デバイスの静電放電保護ダイオードを含み、
前記測定回路は、少なくとも1つの前記静電放電保護ダイオードで前記電流-電圧の測定を実行するように配置されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記電流-電圧の測定を実行する際に、前記測定回路は、2つ以上の異なる電流-電圧動作点を前記デジタル信号パッドに印加するように配置されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項5】
電子デバイスを自動テストするための方法であって、
デジタル信号が伝送された前記電子デバイスのデジタル信号パッドにより伝送される回路経路を選択することと、電流-電圧の測定を実行することにより、前記回路経路の抵抗を代表する非バイナリ測定値を推定することと、
前記非バイナリ測定値に基づいて、前記デジタル信号パッドが接続性テストに合格するかどうかを確認することと、
前記デジタル信号パッドが前記接続性テストに合格したことを確認されたことに応答して、機能テストを前記電子デバイスに適用させることと、
前記デジタル信号パッドが前記接続性テストに合格しなかったことを確認されたことに応答して、前記電子デバイスを抜き取った後、再度前記パッドに電気的に接続させることと、
を備え、
パッドインタフェースユニットは、負荷ボードと、プローブカードと、複数のピンを有し、前記負荷ボードの一方側が前記プローブカードに電気的に接続され、他方側が前記複数のピンに電気的に接続され、前記負荷ボードが前記電子デバイスの抵抗値及び容量値を検査するために配置され、
前記回路経路は、前記電子デバイスの静電気放電(ESD)防護回路と、前記パッドに接続されるバッファと、を含み、前記バッファが前記パッドに接続される経路には2つのダイオードが設けられており、一方のダイオードはプラス電源に、他方のダイオードはマイナス電源にそれぞれ電気的に接続されていることを特徴とする方法。
【請求項6】
前記回路経路は、前記電子デバイスの前記デジタル信号パッドと電源パッドとの間に延びることを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記回路経路は、静電放電保護ダイオードを含み、
前記非バイナリ測定値の推定には、少なくとも1つの前記静電放電保護ダイオードで前記電流-電圧の測定を実行することが含まれることを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記電流-電圧の測定を実行することには、2つ以上の異なる電流-電圧動作点を前記デジタル信号パッドに印加することが含まれることを特徴とする請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動試験装置(ATE)と自動試験装置における接続性テストに関し、特に、電子デバイスを自動テストするための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動試験装置は、デバイスのテストを実行し、以下、このデバイスをテスト対象デバイス又はDUT(Device under testの略称)と呼ぶ。DUTが集積回路(IC)などの電子デバイスである場合、ATEは通常、電圧と電流のパターン(voltage and current pattern)をDUTの入力端に印加し、DUTの出力端で電圧と電流を測定する。
また、ハードウェア及びソフトウェアを含むATEテクノロジーの概要は、F.Liguoriが1999年に出版したWiley Encyclopedia of Electrical and Electronics Engineeringという本の「自動試験装置」の第110~120ページに記載される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】1999年の「Wiley Encyclopedia of Electrical and Electronics Engineering」本に掲載された「自動試験装置」の第110~120ページ
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は既知の自動テストのための装置を改善することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施例は、電子デバイスを自動テストするための装置を提供し、この装置は、パッドインタフェースユニット(pad interface unit)及び測定回路を備える。パッドインタフェースユニットは、電子デバイスの複数のパッドに接続するように配置される。測定回路は、複数のパッドにおけるデジタル信号が伝送されたデジタル信号パッドにより伝送される電子デバイスの回路経路を選択し、パッドインタフェースユニットを使用して電流-電圧の測定を実行することにより、回路経路の抵抗を代表する非バイナリ測定値を推定し、非バイナリ測定値に基づいて、デジタル信号パッドがテストに合格するかどうかを確認するように配置される。
【0006】
いくつかの実施例では、回路経路は、電子デバイスのデジタル信号パッドと電源パッドとの間に延びる。1つの実施例では、回路経路は、電子デバイスの静電放電(ESD)保護ダイオードを含み、測定回路は、少なくとも1つの静電放電保護ダイオードで電流-電圧の測定を実行するように配置される。
【0007】
別の実施例では、電流-電圧の測定を実行する際に、測定回路は、2つ以上の異なる電流-電圧動作点 (operating point)をデジタル信号パッドに印加するように配置される。さらに別の実施例では、デジタル信号パッドがテストに合格するかどうかを確認することに応答して、測定回路は、1つの追加テストを電子デバイスに印加するように配置される。
【0008】
本発明の実施例によれば、さらに電子デバイスを自動テストするための方法を提供する。この方法は、デジタル信号が伝送された電子デバイスのデジタル信号パッドにより伝送される回路経路を選択することと、電流-電圧の測定を実行することにより、回路経路の抵抗を代表する非バイナリ測定値を推定することと、非バイナリ測定値に基づいて、デジタル信号パッドがテストに合格するかどうかを確認すること、とを備える。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の実施例にかかるウエハテストセットアップにおける自動試験装置(ATE)とシリコンウエハとの間の機械的インタフェースを示すブロック図である。
図2図2は、本発明の実施例にかかるパッケージテストセットアップにおける自動試験装置(ATE)とパッケージされた集積回路との間の機械的インタフェースを示すブロック図である。
図3図3は、本発明の実施例にかかるATEの構造を示すブロック図である。
図4図4は、本発明の実施例にかかる集積回路における静電放電(ESD)保護回路を示す図である。
図5図5は、本発明の実施例にかかるダイオードの電気モデルを示す回路図である。
図6図6は、本発明の実施例にかかる直列接触抵抗を有するダイオードの電流-電圧(I-V)曲線を示す図である。
図7図7は、本発明の実施例にかかる集積回路のテスト方法を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明について、図に示す実施形態に基づいて説明する。
【0011】
集積回路に適用される自動試験装置(ATE)は、通常、測定ユニットと、テスト対象デバイス(DUT)のピンに接続された電気/機械的インターフェイスと、を備える。本発明のいくつかの実施例によれば、以下で「パッドインターフェイス」と呼ばれる電気/機械的インターフェイスは、負荷ボード(抵抗及びコンデンサなどの負荷デバイスを含む)、及びプローブカード(半導体ウェーハのテストのために使用され、wafer-sortとも呼ばれる)、又はソケット、例えばゼロ挿入力(ZIF)ソケット(パッケージされた集積回路のテストのために使用され、パッケージテストassembly testとも呼ばれる)によってDUTに接続されるPOGOピンを含む。しかしながら、本発明の実施例は上記機械的インターフェイスに限定されない。逆に、本発明の実施例において、ATEのパッドインタフェースとDUTパッドとの間の任意の形態の機械的接続を使用することができる。
【0012】
本発明のいくつかの実施例によれば、ATEは、複数のDUTをテストすることができる、例えば、シリコンウェハにおける集積回路チップを分類し、又は別の実施例では、パッケージされた半導体デバイスに対して最終テストを実行する。いくつかの実施例において、テストに合格しないデバイスは、欠陥(「不良」)としてマークされる。別の実施例では、このテストは、電気性能によって欠陥のないデバイスを高速、通常、低速などのビンに分類することを含む。
【0013】
いくつかの実施例において、ATEは、多数のデバイスをテストする(例えば、シリコン製造設備で行われるウエハ分類では、各シリコンウエハに数百または数千の集積回路チップを設けてもよい、毎日多くのウエハをテストする必要がある)。各DUTをテストするために、ATEのパッドインタフェースユニットはDUTパッドに機械的に接続され、DUTパッドとATEとの間に低抵抗接触を形成する。通常、負荷ボード及びプローブカードなどの追加ユニットにより前記機械的な接続を形成する。
【0014】
実際には、例えば、テストのセットアップの問題により、一部のDUTパッドはパッドインターフェイスに正しく接続されない場合がある。接続の問題は、例えば、プローブカードがウエハに平行しない場合、又は機械式フィーダーがソケットにデバイスを挿入できない場合に発生する可能性がある。本発明の実施例は、これらの問題を認識し、修正するための技術を提供する。
【0015】
いくつかの実施例では、ATEがDUTをテストする際に、ATEは、全てのDUTパッドがATEパッドに接続されていることをテストして検証し始める(以下、このテストは「接続性テスト」と呼ばれる)。接続性テストが失敗した場合に、問題を修正するように作業者に警告して、テストを再実行することができる。接続性テストが合格すると、ATEは機能テスト(タイミングテストを含む)及びその他のテストを継続して実行する。接続性テストの1つの目的は、よくないテストのセットアップにより良好なDUTが拒絶されるのを防ぐことである。
【0016】
接続性テストは、DUTパッドがATEに接続されていることをチェックするため、単純な広いマージンの接続性テストを実行する場合がある(例えば、広いマージンテストの実行速度が速いため)。例えば、一般的な集積回路デバイスでは、各デジタル信号パッドは静電放電(ESD)保護ダイオードによって正および負の電源パッドに結合される。ATEは、パッドインターフェイス信号パッドから、DUTデジタル信号パッドと、ESD保護ダイオード(順方向)及びDUT電源パッドを通る経路に電流(例えば、100マイクロアンペア)を強制的に流させ、パッドインタフェース電源パッドで終了する。その後、ATEは電源パッドとデジタル信号パッド(パッドインタフェースユニット)との電圧を測定する。例えば、100マイクロアンペアの電流でのダイオードの両端における順方向電圧が0.7V±10%である場合に、1.5Vを超えた測定電圧は、経路がオープンされていることを明確に示す。
【0017】
しかしながら、このような単純なテストでは、経路がオープンされていないが、接触抵抗が低い(例えば、100ohm)であることは検出されない。例えば、プローブカードの針が汚れている場合、このようなケースが発生する可能性がある。上記実施例では、DUTが後の機能テストなどのテストで合格しない場合がある。これは、追加の100ohm抵抗は、デジタル信号パッドのタイミング性能を大幅に低減する可能性があるためだ。
【0018】
本発明の実施例によれば、ATEは、デジタル信号パッド、即ちデジタル信号が伝送されたパッドに接続性テストを適用する。デジタル信号パッドは、入力パッドまたは出力パッド(或いは入出力パッド)を含んでもよい。接続性テストには、接触抵抗の測定が含まれる(例えば、ESD保護ダイオードの接触と順方向抵抗とを含む回路経路における複数の電流-電圧(I-V)ポイントをチェックすることによる)、当該接触抵抗は、通常、正確に推定されることができるように小さいである。測定された抵抗が予定の抵抗を狭いマージンだけ超えた場合には、ATEは、通常、作業者を警告する(作業者が問題を修正した後、通常はテストを繰り返す)。従って、よくないテストのセットアップによりオープンではないが高い抵抗値を示す接点によって引き起こされる故障は修正でき、かつよくないテストのセットアップにより良好なDUTが拒絶されることを大幅に低減できる。
【0019】
システムの説明
【0020】
図1は、本発明の実施例にかかるウエハテストにおける自動試験装置(ATE)とシリコンウエハとの間の機械的インタフェースを示すブロック図である。
【0021】
テストヘッド102は、ATEから延びており、かつテストヘッドから延びる複数のPOGOピン106を有するパッドインタフェースユニット104を含む。
【0022】
負荷ボード108(通常、テストに必要な負荷抵抗及びコンデンサを含む)は、一方側(図1の構成例における上側)のパッドと、他方側(図1の下側)のプローブカード110とを含み、負荷ボードのパッドは、プローブカードの針に配線される。
【0023】
ウエハ112が分類されると、テストヘッドが負荷ボードに押し付けられ、POGOピンと負荷ボードのパッドとが電気的に接触する。ウエハ(チップ)又は複数のチップにおける集積回路をテストする時に、ウエハが負荷ボードに押し付けられるので、チップ(又はチップのグループ)のパッドは、プローブカードの針に電気的に接続され、かつ負荷ボードのパッドを介してパッドインターフェイスのPOGOピンに接続される。
【0024】
図2は、本発明の実施例にかかるパッケージテストセットアップにおける自動試験装置(ATE)とパッケージされた集積回路との間の機械的インタフェースを示すブロック図である。
テストヘッド202は、ATEから延びており、かつテストヘッドから延びるPOGOピン206を有するパッドインタフェースユニット204を含む。いくつかの実施例において、テストヘッド202は、図1における対応するテストヘッドと同じであってもよい。別の実施例では、テストヘッドが異なる。
【0025】
負荷ボード208(通常、テストに必要な負荷抵抗及びコンデンサを含む)は、一方側(図2の構成例における下側)のパッドと、他方側(図2の上側)のソケット210とを含む。メカニカルハンドラー(mechanical handler)(図示せず)は、テストの前にパッケージされた集積回路212をソケット210に挿入する。テスト後、メカニカルハンドラーは、ソケット210から集積回路212を抽出し、テスト結果に対応する集積回路212を良好部品ビン(good-parts bin)又は拒絶部品ビン(rejected-parts bin)に追加する。
【0026】
パッケージテストを実行すると、POGOピンと負荷ボード208のパッドとが電気的に接触するように、テストヘッド202を負荷ボード208に押し付ける。従って、メカニカルハンドラーが集積回路212をソケット210に挿入すると、集積回路212のパッドはパッドインターフェースユニットに電気的に接続される。
【0027】
理解できるのは、図1及び図2に示されるウエハテストセットアップ及びパッケージテストセットアップは、例として引用される実施例である。開示された技術によるテストセットアップは、上記の説明に限定されない。代替実施例では、例えば、負荷ボードを使用しなくて、プローブカード又はソケットがパッドインターフェースに直接接続されてもよい。別の実施例では、類似的な装置はプリント回路基板(PCB)に伝送された集積回路のテストに使用されてもよい。
【0028】
当業者に理解されるように、図1図2及び上記で説明されたウエハテストセットアップ及びパッケージテストセットアップにおいて、機械的に確立された任意の電気的な接続は、いずれも接触不良などの故障を起こしやすい。ウエハテストセットアップにおいて、電気的な接続は、パッドインターフェイスのPOGOピンと負荷ボードのパッドとの接触、及びプローブカードとウエハ上のチップパッドとの接触を含む。パッケージテストセットアップにおいて、電気的な接続は、パッドインターフェイスのPOGOピンと負荷ボードのパッドとの接触、及びソケットとテスト中の集積回路のパッドとの接触を含む。
【0029】
接点のいずれかが不良である場合、DUTはテストに合格しない可能性があるので、生産量が低下し、集積回路の平均価格が上昇する。プローブカードの位置がずれていると、シリコンウエハ全体が拒絶され、かつソケットのピンが破損すると、集積回路のバッチ全体が拒絶される場合がある。
【0030】
本発明の実施例によれば、ATEは、テストの初期段階で実行される接続性テストにおいて電気的な接続障害を検出し、作業者に機械的問題を修正してテストを再実行するように警告することができる。従って、接触不良によるテストでのデバイスの拒絶が大幅に低減される。1つの実施例では、接続性テストは、DUTの各デジタル信号パッドからDUTの電源パッドへの抵抗を示す非バイナリ(ソフト)測定値の推定を含む(以下で説明するように、本発明の実施例において、集積回路のデジタル信号パッドは、ダイオードを介して電源パッドに接続される)。
【0031】
図3は、本発明の実施例にかかるATE302の構造を示すブロック図300である。ATEは、DUT304に結合され、そして測定回路306及びパッドインタフェースユニット308を含む。
【0032】
測定回路は、電流及び電圧源、信号の測定及び制御など、テスターのさまざまな回路を含む。いくつかの実施例では、測定回路はコンピューターを含む。
【0033】
パッドインタフェースユニットは、負荷ボード及びプローブカード又はソケット(図示せず)を介してDUTパッドに接続できる(機械的圧力を加えることにより)POGOピン310を含む。
【0034】
1つの実施例では、DUTのデジタル信号パッドは、データ信号やクロック信号などのデジタル信号を伝送するパッドである。DUTのデジタル信号パッドの接続性テストを実行するために、測定回路306は、パッドインタフェースユニット308を介して既知の電流をDUTのデジタル信号パッドに接続されたPOGOピンAに印加する。電流のリターン経路は、DUTに接続された電源パッドのPOGO Bを通る。測定ユニットは、POGO AとBとの間の既知の電流に対する電圧差を測定し、経路の抵抗を計算する。
【0035】
理解されるように、図3はATE302の構造及びATE302とDUT304との接続を例示的に引用した実施例を示す。記載されたATE(及びATEとDUTとの接続)の技術は、上記の説明に限定されない。代替実施例では、例えば、ATEは、強制的に電圧を経路に印加して電流を測定することにより、又は直列抵抗を通して電圧を印加することにより、接続性テストを実行する。いくつかの実施例では、複数の電源パッドが存在してもよい、かつATEは、電源パッドの全部又は一部を短絡し、短絡した電源パッドとデジタル信号パッドとの抵抗を測定することにより接続性テストを実行できる。1つの実施例では、接続性テストは、デジタル信号パッドから独立の電源パッドまでの独立の抵抗測定を含んでもよい。
【0036】
本発明の実施例によれば、DUTのデジタル信号パッドは、通常、静電放電(ESD)保護ダイオードを介して電源パッドに接続される。
【0037】
図4は、本発明の実施例にかかる集積回路におけるESD保護構造400の回路を示す図である。集積回路のデジタル信号パッド402はバッファ404に結合され、バッファ404は、入力バッファ、出力バッファ又は入出力バッファであってもよい。集積回路は、ダイオード406及び408を含む。ダイオード406は、パッドと正電源(VDD)との間に接続され、集積回路パッドに誘導される可能性のある正の静電荷から集積回路のトランジスタを保護する。ダイオード408は、パッドと負電源(VSS)との間に接続され、負の静電荷から集積回路を保護する。
【0038】
当業者に理解されるように、図4に示されかつ以上のように説明されたESD保護は、例として引用される実施例である。代替実施例に使用されるESD保護回路は変化してもよい、例えば、いくつかの実施例では、ESD保護は、三つ以上のダイオードを含んでもよい、かついくつかの別の実施例では、抵抗が追加されてもよい。
【0039】
いくつかの実施例では、出力バッファのトランジスタは、実際にはパッドを電源に接続するダイオードであるため、出力(又は入力/出力)であるデジタル信号パッドには専用のESD保護回路が配置されない。以下の説明では、集積回路の出力バッファにより形成された専用のESD保護回路のダイオードと、間接保護回路のダイオードと、を区別しない。
【0040】
図5は、本発明の実施例にかかるダイオードのモデル500の電気モデルを示す回路図である。このモデルは、理想ダイオード502(順方向の抵抗がゼロ、逆方向の抵抗が無限大)と、ダイオードによる順導通の閾値電圧を確認する電源504と、ダイオードの内部抵抗をモデル化する順バイアス抵抗RF(506)と、ダイオードの逆バイアス時にダイオード上の漏電をモデル化する逆バイアス抵抗Rr(508)と、を備える(通常、RrはRFより大きい)。
【0041】
図4におけるダイオードポート(port)はa及びbにマークされる。ダイオードがATEに接続されると、信号パッド及び電源パッド(又はパッド)の接触抵抗をモデル化する2つの接触抵抗(510)が追加される。
【0042】
本発明の実施例によれば、ESD保護ダイオードの抵抗及び接触抵抗を測定する際に、RFは通常低い(例えば、10オーム未満)ので、小さい接触抵抗の数値を容易に検出できる。
【0043】
図6は、本発明の実施例にかかる直列接触抵抗を有するダイオードのIーV曲線600を示す図である。ATEによってI-V曲線を観察するため、ダイオードモデルは、接点の抵抗を含む。
【0044】
水平Vd軸602は、ATEがESD保護ダイオードで測定する電圧を表し(つまり、信号パッドから電源パッドまで)、垂直Id軸604は、ダイオードを流れる電流を表す。実線のグラフ606は、接点が良好な場合に観察されるI-V曲線を表し、破線のグラフ606Aは、接点の一方(または両方)が不良な場合(例えば、プローブカードの針が汚れている場合)のI-V曲線を表す。観察できるように、ダイオードは「カットオフ」領域に位置し、Vdが閾値(たとえば0.7V)を下回ると、リーク電流のみ(図4のRrを流れる)を有し、Vdが閾値を上回ると、線形の「導通」領域に位置する。
【0045】
接続性テストを実行するために、ATEは、接点及びESD保護ダイオードを含む経路の抵抗を測定し、かつ結果と閾値とを比較する。図6の実施例によれば、抵抗を測定するために、測定回路306(図3)はダイオードに電流を流し、かつ電流I0(垂直軸の位置608)及び電流I1(垂直軸の位置610)の2つの電流レベルに適用するように、測定回路306はデジタル信号パッドと電源パッドとの電圧を測定する。[I0、I1]の測定電圧は、グラフ606の「電圧V0、V1」及びX軸の位置608「電圧U0、U1」である。電圧V0、V1、U0、U1はそれぞれ水平軸の位置612、614、616及び618に対応する。
【0046】
本発明の実施例によれば、測定回路は、電圧差V1ーV0(またはU1-U0)を電流差I1ーI0で除算することにより、ダイオードが導通領域に位置する時の抵抗を計算することができる。この結果はDUTのタイプ及びDUTのパッド内で変化する場合があるが、同じDUTのタイプ及び同じパッドに対して、DUT内の同じ回路をテストするため、その結果は互いに近くなる。従って、DUTのパッドの抵抗の統計値を収集すると、DUTの各パッドの許容可能な抵抗値に狭いマージンを定義できる。
【0047】
測定は差動であるため、測定の固定バイアスに起因するエラーが解消される。例えば、測定回路が生成する電流I0およびI1が固定バイアスによってシフトされる場合:
I0’=I0+bias (1)
I1’=I1+bias (2)
減算演算I1’-I0 ’= I1-I0によりバイアス誤差が解消され、同様に、V1-V0が計算されると、V0及びV1の測定中の固定バイアスが解消される。
【0048】
差動測定は、ダイオードの閾値電圧504の値の不確実性も解消する(Von、図5を参照)。Vonは異なるパッドにより変化される可能性があるが、V1-V0が計算されると、バイアスが解消される。
【0049】
理解できるのは、図6に示されるIーV曲線及び測定されるI-Vの接点は例として引用される実施例である。開示された技術に従って測定されるIーVの接点は上記の説明に限定されない。代替実施例では、例えば、測定回路306は2つ以上のI-Vの接点を測定でき、測定回路は、電流ではなく電圧を印加し、又は電圧と電流との組み合わせを印加してもよい。1つの実施例では、測定回路306は、直流(DC)バイアスを有する交流(AC)電流を印加し、AC電圧を測定することができる。
【0050】
図7は、本発明の実施例にかかる集積回路のテスト方法を示すフローチャート図である。このフローチャート図は測定回路306により実行される(以下で説明するように、ATE作業者により実行される)。
【0051】
このフローは、接続性テストのステップ702から始まり、ATEが接続性テストを実行する(接続性テストは、抵抗の非バイナリの推定を含む。以下で説明する)。ステップ702でのテストが失敗すると、測定回路は、作業者への警告のステップ704に入り、ここで、測定回路は、接続性テストが失敗したことをテスト作業者に警告する。作業者は、問題を解決するための措置を講じて(例えば、負荷ボードを交換する)、測定回路に信号を送って継続に作動させることができる。
【0052】
作業者により指示されると、測定回路は、第2の接続性テストの実行ステップ706に入り、ここで、測定回路は接続性テストを繰り返す。ステップ706での接続性テストが再び失敗すると、測定回路はDUT-不良のステップ712に入り、ここでのDUTは不良とみなされる(例えば、ウエハにおけるチップの位置はテストデータベースコンピュータファイルで不良としてマークされる)。
【0053】
ステップ702又はステップ706で、DUTが接続性テストに合格した場合、測定回路は機能テストの実行ステップ708に入り、ここで、測定回路はDUTの他のテストを実行する(機能テストはDUTのタイプにより変化し、かつ本発明の保護範囲に含まれない)。DUTはステップ708の機能テストに合格した場合、測定回路はDUT-良好のステップ710に入り、ここでのDUTは良好とみなされる。フローはステップ710又はステップ712の後で終了する。
【0054】
接続性テストのステップ702及び706の詳細は、図7の右側のボックスに示される。説明したように、接続性テストは、デジタル信号パッドにおけるダイオードの抵抗を測定し、測定された抵抗と狭いマージンを有する予想の抵抗とを比較することで抵抗が規格を満たしているかどうかを判断する。
【0055】
IーVの接点714を取得する位置で、測定回路は強制的に2つの電流(図6のI0及びI1)をダイオードに流し、ダイオードの両端の電圧を測定する。測定回路は、抵抗の計算ステップ716に入り、例えば、2つの電圧間の差を2つの電流間の差で割ることにより、抵抗を計算する。次に、測定回路は抵抗と閾値との比較ステップ718に入り、接続性テストに失敗した場合、測定回路は、抵抗が予想の抵抗値よりも大きいかどうかをチェックする(より狭い予め設定されたマージンを有する)。抵抗が予め設定されたマージンを超えて予想の抵抗よりも低い場合、接続性テストに合格する。
【0056】
従って、本発明の実施例によれば、測定回路306は接続性テストを実行し、デジタル信号パッド及び接点のESD保護ダイオードを含む経路の抵抗の非バイナリ測定値を取得するために、少なくとも2つのI-Vの接点が測定される。抵抗値は予想の抵抗よりも大きい場合、DUTがテストに失敗し、機能テストで接続不良のDUTが失敗するケースは大幅に減少する。
【0057】
理解できるのは、図7のフローチャート図にかかるテスト方法は、例として引用される実施例である。開示された技術に従ってテスト方法は上記の説明に限定されない。代替実施例では、例えば、接続性テストは、信号パッドが一方または両方の電源に短絡していることを示す(この場合、測定回路はステップ702から直接ステップ712に進み、DUTがテストに失敗する)。別の実施例では、以前の接続性テストが失敗した場合、3つ以上の接続性テストを実行できる。さらに他の実施例では、作業者が存在せず、接続性テストが失敗した場合、測定回路は自動的に接続を改善しようと試みることができる(例えば、ソケットにDUTを抽出して再挿入することにより)。
【0058】
図1図7の以上で説明されたATE300、測定回路306、パッドインタフェースユニット308、試験装置100及び200、ESD保護構造400、ダイオードのモデル500、I-V曲線600及び方法700の構造は、例として示す実施例のみである。本発明の実施例は、以上の説明に限定されない。測定回路306は、FPGA、ASIC、またはFPGAとASICの組み合わせを備えてもよい。測定回路306の機能は、ハードウェア、ソフトウェア、またはハードウェアとソフトウェアの組み合わせによって実現されてもよい。いくつかの実施例では、測定回路306は汎用プログラマブルプロセッサを含んでもよい、当該汎用プログラマブルプロセッサは、本説明で説明される機能を実行するためにソフトウェアでプログラムされる。例えば、ネットワークを介して電子形式でソフトウェアをプロセッサにダウンロードしてもよい、又は代替的或いは追加的に、ソフトウェアを磁気、光学、または電子メモリなどの非一時的な有形媒体に提供及び/又は保存することができる。
【0059】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0060】
100…機械的インターフェイス、試験装置
102、202…テストヘッド
104、204、308…パッドインタフェースユニット
106、310…POGOピン
108、208…負荷ボード
110…プローブカード
112…ウエハ
200…機械的インターフェイス、試験装置
210…ソケット
212…集積回路
300…ATE、構造を示すブロック図
302…ATE
304…DUT
306…測定回路
400…静電放電(ESD)保護回路を示す図、ESD保護構造
402…デジタル信号パッド
404…バッファ
406、408、502…ダイオード
500…ダイオードの電気モデルを示す回路図、ダイオードのモデル
504…電源、閾値電圧
506…順バイアス抵抗
508…逆バイアス抵抗
510…接触抵抗
600…IーV曲線
602…水平Vd軸
604…垂直Id軸
606…実線のグラフ
608…電流I0
610…電流I1
612、614、616、618…水平軸の位置
700…方法
702、704、706、708、710、712、716、718…ステップ
714…接点
606A…破線のグラフ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7