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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-09
(45)【発行日】2023-02-17
(54)【発明の名称】抗微生物組成物
(51)【国際特許分類】
   A01N 65/08 20090101AFI20230210BHJP
   A23B 4/00 20060101ALI20230210BHJP
   A23L 13/60 20160101ALI20230210BHJP
   A23L 17/00 20160101ALI20230210BHJP
   A23L 3/3508 20060101ALI20230210BHJP
   A23L 3/3544 20060101ALI20230210BHJP
   A01N 65/22 20090101ALI20230210BHJP
   A01N 37/38 20060101ALI20230210BHJP
   A01N 43/16 20060101ALI20230210BHJP
   A01N 43/90 20060101ALI20230210BHJP
   A01N 65/00 20090101ALI20230210BHJP
   A01P 1/00 20060101ALI20230210BHJP
   A01P 3/00 20060101ALI20230210BHJP
【FI】
A01N65/08
A23B4/00 H
A23L13/60 A
A23L17/00 A
A23L3/3508
A23L3/3544
A01N65/22
A01N37/38
A01N43/16 C
A01N43/90 101
A01N65/00 A
A01P1/00
A01P3/00
【請求項の数】 37
(21)【出願番号】P 2020165544
(22)【出願日】2020-09-30
(62)【分割の表示】P 2017541360の分割
【原出願日】2016-02-08
(65)【公開番号】P2021008484
(43)【公開日】2021-01-28
【審査請求日】2020-09-30
(31)【優先権主張番号】14/615,968
(32)【優先日】2015-02-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520145975
【氏名又は名称】ナチュレックス エスアー
【氏名又は名称原語表記】NATUREX SA
【住所又は居所原語表記】250 rue Pierre Bayle Cedex 9 BP 81218,84911 Avignon,France
(74)【代理人】
【識別番号】100102842
【弁理士】
【氏名又は名称】葛和 清司
(72)【発明者】
【氏名】ユードル,メラニー,マリ-ポール,パトリシア
(72)【発明者】
【氏名】ビルティク,シモナ
(72)【発明者】
【氏名】ピエール,フランソワ-グザヴィエ,アンリ
(72)【発明者】
【氏名】メニエル グザヴィエ ピエール フランソワ
(72)【発明者】
【氏名】パスマール,アンヌ
(72)【発明者】
【氏名】ビリ,アントワンヌ シャルル
(72)【発明者】
【氏名】ロルー,マルク
【審査官】三須 大樹
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2004/0131709(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0159085(US,A1)
【文献】国際公開第2012/028928(WO,A2)
【文献】特表2010-539077(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01N
A01P
A23B
A23L
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
Punica抽出物と、Lamiaceae抽出物と、を含む組成物を含む抗微生物組成物であって、揮発性油構成成分の大部分は、前記Lamiaceae抽出物から除去されている、抗微生物組成物。
【請求項2】
前記Lamiaceae抽出物は、カルノシン酸、カルノソールならびにこれらの混合物から選択されるLamiaceaeフェノール系ジテルペンを含み、Punica抽出物対Lamiaceae抽出物の重量比は、0.625~48である、請求項1に記載の抗微生物組成物。
【請求項3】
前記Lamiaceae抽出物は、ローズマリー抽出物、オレガノ抽出物、タイム抽出物、セージ抽出物、ミント抽出物、Salvia抽出物、Rosmarinus抽出物、Lepechinia抽出物、Oreganum抽出物、Thymus抽出物、Hyssopus抽出物、及びこれらの混合物から選択される、請求項2に記載の抗微生物組成物。
【請求項4】
前記Punica抽出物は、プニカラギン及びエラグ酸を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の抗微生物組成物。
【請求項5】
アラビアガム、デキストロース、塩、脂肪酸のモノ及びジグリセリド、MPG、ポリソルベート80、デキストロース、植物油、グルコースシロップ、グリセリン、デカグリセロールモノオレエート、脂肪酸エステル、ベンジルアルコール、エチルアルコール、プロピレン、グリコール、ポリソルベート、ソルビタン、ソルビタントリオレエート、カプリン酸/カプリル酸トリグリセリド、ならびにこれらの組み合わせから選択される担体をさらに含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の抗微生物組成物。
【請求項6】
マルトデキストリンが生じるデンプンとは異なる構造を有するマルトデキストリンの担体をさらに含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の抗微生物組成物。
【請求項7】
前記抗微生物組成物は、乾燥粉末の形態である、請求項5又は6に記載の抗微生物組成物。
【請求項8】
1つ以上の香味料と補助剤とをさらに含む、請求項5に記載の抗微生物組成物。
【請求項9】
前記抗微生物組成物は、液体形態である、請求項5に記載の抗微生物組成物。
【請求項10】
前記抗微生物組成物は、抗菌作用を有する、請求項1~9のいずれか一項に記載の抗微生物組成物。
【請求項11】
前記抗微生物組成物は、Bacillus cereus、Staphylococcus aureus、Streptococcus mutans、Listeria monocytogenes、Clostridium perfringens、Enterococcus hirae、及びMycobacterium bovisからなる群から選択される、グラム陽性菌に対して有効であるか、または、Pseudomonas aeruginosa、Escherichia coli、Salmonella typhimurium、及びEnterobacter cloacaeからなる群から選択される、グラム陰性菌に対して有効である、請求項10に記載の抗微生物組成物。
【請求項12】
前記抗微生物組成物は、抗真菌/抗酵母作用を有する、請求項1~9のいずれか一項に記載の抗微生物組成物。
【請求項13】
前記抗微生物組成物は、Saccharomyces cerevisiae及びCandida albicansからなる群から選択される、酵母に対して有効である、請求項12に記載の抗微生物組成物。
【請求項14】
食品と、請求項1~13のいずれか一項に記載の抗微生物組成物と、を含む食品製品。
【請求項15】
前記食品は、肉、家禽の肉、及び魚からなる群から選択される、請求項14に記載の食品製品。
【請求項16】
前記肉、家禽の肉、及び魚は、生肉、家禽の生肉、及び生魚である、請求項15に記載の食品製品。
【請求項17】
前記Lamiaceae抽出物は、カルノシン酸、カルノソール、及びこれらの混合物から選択される12ppm以上のLamiaceaeフェノール系ジテルペンの量のLamiaceaeフェノール系ジテルペンと、56ppm以上のエラグ酸と、19ppm以上のPunica抽出物からのプニカラギンと、を含む、請求項14~16のいずれか一項に記載の食品製品。
【請求項18】
12~188ppmのLamiaceaeフェノール系ジテルペンと、4~24ppmのエラグ酸と、19~120ppmのPunica抽出物からのプニカラギンと、を含有する、請求項14~16のいずれか一項に記載の食品製品。
【請求項19】
請求項14~18のいずれか一項に記載の食品製品を含む包装食品製品であって、前記食品が20%以上の酸素を含む雰囲気中で包装される、包装食品製品。
【請求項20】
請求項14~18のいずれか一項に記載の食品製品を含む包装食品製品であって、前記食品が雰囲気環境中で包装される、包装食品製品。
【請求項21】
食品を加工するための方法であって、
Punica抽出物とLamiaceae抽出物とを含む抗微生物組成物を食品に適用するか、または食品内に組み込むことを含み、揮発性油構成成分の大部分は、前記Lamiaceae抽出物から除去されている、方法。
【請求項22】
20%以上の酸素を含有する雰囲気中で、前記食品を包装することをさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記食品は、生肉、生魚、または家禽の生肉からなる群から選択される、請求項21又は22に記載の方法。
【請求項24】
食品に適用するか、または食品内に組み込むことは、乾燥粉末の形態の前記抗微生物組成物を前記食品に適用することを含む、請求項21~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
食品に適用するか、または食品内に組み込むことは、前記Lamiaceae抽出物及びPunica抽出物の両方を含む単一の抗微生物組成物を前記食品に適用するか、または食品内に組み込むことを含む、請求項21~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記Lamiaceae抽出物は、カルノシン酸、カルノソール、及びこれらの混合物から選択されるLamiaceaeフェノール系ジテルペンを含む、請求項21~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
Lamiaceae抽出物対Punica抽出物の重量比は、0.625~48である、請求項21~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記抗微生物組成物は、抗微生物効果および色保存効果を有する、請求項21~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
食品を、Lamiaceae抽出物と、およびPunica抽出物と組み合わせて含む食品製品であって、
ここで、Lamiaceae抽出物は、天然精油を本質的に含まず、カルノシン酸、カルノソールならびにこれらの混合物から選択されるLamiaceaeフェノール系ジテルペンを含み、
ここで、Punica抽出物は、プニカラギン及びエラグ酸を含み、
前記食品中に存在するPunica抽出物対前記Lamiaceae抽出物の重量比は、約0.625~約48であり、
ここで、Lamiaceae抽出物は、12~188ppmの量のLamiaceaeフェノール系ジテルペンを食品に提供するように食品中に存在し、
ここで、Punica抽出物は、4~24ppmの量のエラグ酸および19~120ppmの量のプニカラギンを食品に提供するように食品中に存在する、
食品製品。
【請求項30】
前記食品は、肉、家禽の肉、及び魚からなる群から選択される、請求項29に記載の食品製品。
【請求項31】
前記Lamiaceae抽出物及びPunica抽出物は、アラビアガム、デキストロース、塩、脂肪酸のモノ及びジグリセリド、MPG、ポリソルベート80、デキストロース、植物油、グルコースシロップ、グリセリン、デカグリセロールモノオレエート、脂肪酸エステル、ベンジルアルコール、エチルアルコール、プロピレン、グリコール、ポリソルベート、ソルビタン、ソルビタントリオレエート、カプリン酸/カプリル酸トリグリセリド、デキストロース、ならびにこれらの組み合わせからなる群から選択される担体をさらに含有する抗微生物組成物の形態である、請求項29または30に記載の食品製品。
【請求項32】
前記Lamiaceae抽出物及びPunica抽出物は、乾燥形態または液体形態である、請求項29~31のいずれか一項に記載の食品製品。
【請求項33】
食品製品を調製するための方法であって、
Punica抽出物と、Lamiaceae抽出物とを含む抗微生物剤を、食品に適用するか、または食品内に組み込むことを含み、
ここで、Lamiaceae抽出物は、天然精油を本質的に含まず、カルノシン酸、カルノソールならびにこれらの混合物から選択されるLamiaceaeフェノール系ジテルペンを含み、
前記食品中に存在するPunica抽出物対前記Lamiaceae抽出物の重量比は、約0.625~48であり、
Lamiaceae抽出物は、12~188ppmの量のLamiaceaeフェノール系ジテルペンを食品に提供するように食品中に存在し、
Punica抽出物は、4~24ppmの量のエラグ酸及び19~120ppmの量のプニカラギンを食品に提供するように前記食品中に存在する、
前記方法。
【請求項34】
前記食品は、肉、魚、または家禽の肉である、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記肉、魚、または家禽の肉は、生肉、生魚、または家禽の生肉である、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記方法は、色の持続期間を長持ちさせ、前記食品製品中の細菌増殖を阻害、減少、及び/または制限する、請求項33~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
阻害、減少、及び/または制限された前記細菌増殖は、Bacillus cereus、Staphylococcus aureus、Streptococcus mutans、Listeria monocytogenes、Clostridium perfringens、Enterococcus hirae、及びMycobacterium bovisからなる群から選択されるグラム陽性菌、または、Pseudomonas aeruginosa、Escherichia coli、Salmonella typhimurium、及びEnterobacter cloacaeからなる群から選択されるグラム陰性菌の増殖である、請求項36に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、参照により本明細書に組み込まれる、2015年2月6日出願の米国特許出願第14/615,968号の利益を主張する。
【0002】
本発明は、食品に対する色及び/または微生物安定性を長持ちさせるための組成物に関し、より具体的には、肉、魚、または家禽の肉(生/未加工及び加工)が挙げられるがこれらに限定されない食品に対する色及び/または微生物安定性を長持ちさせるための組成物に関する。食品の色及び/または微生物安定性を長持ちさせるのに有効であるこれらの組成物。
【背景技術】
【0003】
食品の安全性及び食品腐敗の防止は、世界中で、特に食肉産業において、絶えず存在する問題である。食品の腐敗は、食品製造業者にとって重大な経済問題である。食品製造業者は、食べるのが安全である製品を届けることによって、一般の人々の健康及び安全を保護する必要がある。そのような食品は、冷蔵貯蔵または周囲温度貯蔵のいずれにおいても、保証された貯蔵寿命を有しなければならない。消費者は、高品質の良い味の食品を好む。これは、化学保存料、厳しい加熱方法、及び他の加工手段を用いて達成するのは困難である。食品の安全性及び保護は、より軽度の加工及び天然保存料の組み合わせたアプローチを使用して、複数の保存システムを用いて最良に達成される。食品媒介性微生物はまた、異なる保存手段を用いて保存された食品中で適応及び増殖する可能性が低下する。
【0004】
食品保護及びListeria monocytogenesなどの食品腐敗生物の増殖に関する大きな懸念がある。この特定の種は、肉において最も問題のある腐敗微生物のうちの1つである。抗微生物剤に対する並外れた耐性などの異常な生理学的特徴は、それらが腐敗を引き起こす能力に大きく関与する。加えて、腐敗生物は時に、異なる保存料及び貯蔵条件に適応することができ、したがって、保存手段の組み合わせは、個々の手段よりも成功する可能性がある。
【0005】
保証された貯蔵寿命を有する便利、天然、安全で健康な高品質の製品に対する一般の需要を満たすために、経済的、天然、かつ有効な保存システムを開発する必要性が高まっている。植物由来などの抗微生物材料が、この必要性を満たすのを補助するために食品中の保存料として使用され得る。そのような植物抽出物は、それらが天然であると見なされるため、望ましいと見なされる。さらに、規制の観点から、長期間の使用のため、植物抽出物は典型的に、GRAS(一般的に安全と認められた)状態を有する。また、より少量の抗微生物材料を利用して微生物保護を提供したいという要望が継続してある。したがって、新しい抗微生物材料または新しくより有効な抗微生物材料の組み合わせを提供する必要性がある。
【0006】
それらの天然源にもかかわらず、植物由来の抗微生物製品は、可能な限り最低量で使用されることが望ましい。これは、費用の理由だけではなく、食料中の「添加剤」の量を最小限に抑えたいという消費者の要望を満たすためにも望ましい。さらに、多くの植物材料は、関連した味を有する。したがって、多くの要求水準の高い食品用途において、植物由来の保護剤の量の低減が有利である。
【0007】
食肉製造業者は、彼らが効率的で、費用効率が高い、中央の加工センターから小売店に供給することを可能にする方法を求めている。腐敗(消費者の安全)に関する貯蔵寿命の増加は、肉がより長い流通経路を通って生産業者から小売業者、消費者へと進むため、これを可能にする必要がある。
【0008】
色の貯蔵寿命は、消費者の承認に重要である。消費者は、明るい赤色のオキシミオグロビン色素の存在によって肉の新鮮さを判断する。生の肉におけるオキシミオグロビンは、それが安定した茶色の色素であるメトミオグロビンに変化するにつれて、貯蔵中経時的に減少する。オキシミオグロビン色素は、暗い貯蔵中、例えば、肉用冷凍庫内で薄くなるが、色素の消失は、小売店における点灯した冷蔵の陳列ケース内で最も顕著である。さらに、色素の損失は、主に本質的に見た目であり、それは、深刻な経済的影響をもたらす。最も新鮮に見えるカットを求めている消費者は、茶色のメトミオグロビンを少量でも含有する肉を購入することを避ける。
【0009】
微生物腐敗と関連した貯蔵寿命は、深刻な問題である。微生物汚染された肉の販売からの食品媒介性疾患の発生と関連した潜在的な負債は、膨大である。食肉産業及び関連した小売店は、製造プロセス全体にわたって微生物汚染を防止することによって、消費者の安全を確実にするための方法を求めている。枝肉洗浄及び注意深く制御された低温加工などのプロセス改善が、現在、本産業において通常である。微生物腐敗と関連した貯蔵寿命を増加させるための一方法は、調整雰囲気包装(MAP)を使用して、食品、例えば、肉を包装することである。
【0010】
本産業において、より天然であると消費者によって認識される抗微生物方法及びプロセスの必要性がある。Lamiaceae抽出物とヘスペリジンとを含む組成物の抗微生物活性は、主な研究対象である。ほとんどの先行技術が、ハーブの抗微生物活性が揮発性精油構成成分中で中心となることを示す。
【0011】
P.M.Davidson and A.S.Naidu(Natural Food Antimicrobial Systems,A.S.Naidu,ed.,2000,CRC Press,Boca Raton,pages 265-294)は、スパイス、ハーブ、食用穀物、及び種子の精油由来の植物フェノール系化合物の抗微生物特性を再考察する。著者らは、スパイス及びハーブの抗微生物効果が、主に精油留分中のフェノール系化合物の存在によるものであり、かつ一部のモノテルペンも同様にある程度の活性を示すように思われることを教示する。カルバクロール、p-シメン、及びチモールは、観察された活性の主要因である可能性が高いオレガノ、タイム、及びセイボリーの主要な揮発性構成成分として特定される。ローズマリーの活性抗微生物剤は、ボルネオール、樟脳、1,8-シネオール、アルファピネン、カンフェン、ベルベノン、及び酢酸ボルニルであることが示唆されている。セージの活性成分は、ツジョンであることが示唆されている。タイム油の精油の最小致死濃度は、培養物中で225~900ppmの範囲であることが示されている。食品中のこれらの精油の濃度は、深刻な香味の問題を引き起こす。培養実験が食品中の有効性に必要な濃度を過小評価するため、食品中の香味の問題は、培養の数が示唆するものよりも深刻である可能性が高い。この参考文献の別の部分において、精油の最小阻害濃度は、ローズマリーに関して1~2%、タイムに関して0.12~2%、スペアミントに関して0.12~2%、セージに関して0.5~2%、ペパーミントに関して0.5~2%、及びオレガノに関して0.12~2%と記述されている。要約において、著者らは、ハーブ及びスパイス中の抗微生物化合物の濃度が、食品の感覚的性質に対する有害効果なしで有効に使用されるには、低すぎることを記述している。
【0012】
Y.Kimura et al.の米国特許第4,380,506号は、抗酸化及び抗微生物活性を有する保存料を生産するためのプロセスを教示する。そのプロセスは、ハーブスパイスの抽出物を極性及び非極性溶媒に分割することを伴う。分割された抽出物のうちの一部は、培養培地中のグラム陽性Bacillus subtilis微生物に対して抗微生物活性を示した。Kimura et al.によって試験された唯一の味の基準は、苦味であった。Kimura et al.は、精油の味認識に関しては何も語らなかった。Kimura et al.は、抽出物を脱臭せず、それは、抽出物が精油を含有し、肉の味に影響を及ぼしたことを意味する。味に対するこの影響は、Kimura et al.によって教示されたプロセスによって得られたローズマリー抽出物を使用することに対する阻害要因を教示する。
【0013】
D.Ninkov(WO 01/15680)は、医薬組成物が、Lamiaceae科の植物由来の精油の抽出物を有機酸と組み合わせることによって調製され得ることを教示する。Ninkovは、医薬組成物の抗微生物活性が、植物由来の油抽出物中のイソプロピルo-クレゾールなどの有機フェノールの存在によるものであることを教示する。
【0014】
K.Shetty and R.G.Labbe,(Asia Pacific J.Clin.Nutr.(1998),7(3/4),pages 270-276は、Lamiacae植物をクローン化して、強化されたレベルのカルバクロール及びチモールなどの精油構成成分を生産するための研究を記載する。これらの精油構成成分は、いくつかの抗微生物特性を有するが、それらの商業用途は、これらの揮発性化合物によって食品に付与された強力な香味によって阻止される。
【0015】
J.Campo,M.Amiot and C.Nguyen-the(2000,Journal of Food Protection 63,pages 1359-1368)は、ローズマリー抽出物が培養研究において抗微生物特性を有することを教示する。最小阻害濃度は、試験されている細菌の種によって異なったが、0.06~1%の範囲であった。これらの研究者らは、ローズマリー抽出物が、グラム陽性生物に対して、低脂肪及び低タンパク質含量を有する食品中で効果を発揮し得ることを示唆する。この参考文献において、実際に食品系は研究されなかった。この参考文献は、具体的にListeriaを研究しなかった。
【0016】
1999年10月に出版されたE.Down,et al.,“Comparison of Vitamin E,Natural Antioxidants and Antioxidant Combinations on the Lean Color and Retail Case-Life of Ground Beef Patties”は、非MAP牛挽肉の色の寿命に対する、他の天然抗酸化剤及びビタミンE食事補充と組み合わせたローズマリー抽出物の効果を記載する。この参考文献は、肉の微生物貯蔵寿命を延ばす方法を教示していない。著者らは、ローズマリーを含有する天然抗酸化剤を用いた肉における赤色保存が、統計的に対照と異なることができなかったため、ローズマリーを使用することによる肉の赤色改善を実証できなかった。対照の赤色は、商業的に望ましい期間内に変化した。この参考文献からのローズマリーを用いた肉における消失と同じ程度の、対照における赤色の消失は、肉の赤色を保存することが可能な安定剤としてローズマリー抽出物を使用することに対する阻害要因を教示する。
【0017】
Ahn et al.“Effects of plant extracts on microbial growth,color change,and lipid oxidation in cooked beef”,Food Microbiol.,Vol.24,Issue 1,(2007):7-14は、そのフェノール系ジテルペン中の含量は既知ではないローズマリー抽出物またはローズマリーオレオレジンが、抗リステリア効果を有することを示す。この参考文献において、ブドウ種子抽出物及びマツ樹皮抽出物は、ローズマリーよりも大きい抗リステリア効果を有し、それは、肉における主な抗リステリア天然生成物としてローズマリー抽出物を使用することに対する阻害要因を教示する。さらに、Ahn et al.2007は、肉へのローズマリー抽出物の添加が、赤色をそれほど消失していない対照と比較して、または肉の赤色の保存を有意に改善したブドウ抽出物と比較して、肉の赤色を有意に劣化させたことを示している。したがって、Ahn et al.2007は、肉の赤色を保存することが可能な安定剤としてローズマリー抽出物を使用しないものを教示する。
【0018】
米国特許出願公開第2004/131709号の研究は、揮発性油構成成分の大部分が除去されているHerbalox(登録商標)Seasoningというローズマリー抽出物単独が、あったとしてもごくわずかな抗微生物効果を示すことを示す。この参考文献は、グラム陽性、より正確には肉の抗リステリア貯蔵寿命を延ばす方法を教示していない。
【0019】
加えて、先行技術分野において報告された柑橘類からの植物由来抗微生物剤は、フラボノイドではなく酸である。例えば、柑橘類由来の化合物に関する先行特許は、本質的に酸を対象とする。KR2004/0001441は、細菌増殖の抑制剤としてのオレンジジュースを記載する。しかしながら、KR2004/0001441で報告されたジュースの約50分の1未満のみが、肉を酸っぱいと認識することなく肉において使用され得る。肉が、クエン酸が豊富な溶液の最大7.2%のみを吸収するため、肉に吸収されたヘスペリジンの最終レベルは、0.48%*1/50*7.2%=約0.0007%未満に対応する。この参考文献は、ヘスペリジンが肉において抗リステリア効果を有し得たかどうかを教示していない。
【0020】
Lorente,Jose et al.“Chemical guide parameters for Spanish lemon(Citrus limon(L.)Burm.)juices.”Food chemistry 162(2014):186-191は、柑橘類のジュースが52.4g/Lの滴定酸度を有し、クエン酸が主な構成成分であることを開示する。Lorente et al.(2014)によると、そのようなジュースにおいて、滴定酸度と比較したヘスペリジンレベルは、2桁超低く(257~484.8mg/L)、それは、0.26~0.48%のヘスペリジン(w/v)に対応する。そのような酸性組成物を肉に添加することは、すでに低レベルの肉の味に影響を及ぼす。
【0021】
Aktas,Nesimi,及びMukerrem Kaya.“The influence of marinating with weak organic acids and salts on the intramuscular connective tissue and sensory properties of beef.”European Food Research and Technology 213.2(2001):88-94は、1%弱酸(クエン酸を含む)からの溶液を肉に添加することが、肉に酸味を与えることを示す。また、彼らは、1:1w/v(肉/マリネード)の割合でマリネされたとき、肉が、クエン酸を含有するマリネード中でのマリネ後に最大7.2%重量が増加することを示す。
【0022】
WO2012/112337において、微生物の性質に関して、微生物が細菌であるかどうか、それらがグラム陽性菌であるかどうか、またはそれらがListeriaであるかどうかを報告することなく、ヘスペリジンを含むフラボノイドが、ある程度活性な抗微生物活性を提供し得ることが報告されている。WO2012/112337は、活性な抗微生物化合物が酸であることを教示する。
【0023】
Moulehi,Ikram,et al.“Variety and ripening impact on phenolic composition and antioxidant activity of mandarin(Citrus reticulate Blanco) and bitter orange(Citrus aurantium L.)seedsextracts.”Industrial Crops and Products 39(2012):74-80は、柑橘種子抽出物が、1.31~2.52mgの当量のカテキン類/g DWの総フラボノイドを含有することを報告している。ヘスペリジンが柑橘種子抽出物の総フラボノイドの<16%を表す場合、これは、ヘスペリジンがDW柑橘種子抽出物中に約0.032%存在することを意味する。
【0024】
Mandalari,G.,et al.“Antimicrobial activity of flavonoids extracted from bergamot(Citris bergamia Risso)peel,a byproduct of the essential industry.”Journal of Applied Microbiology 103.6(2007):2056-2064は、インビトロで、フラボノイドが豊富な柑橘系抽出物がグラム陰性菌の増殖のみを阻害し、グラム陽性菌の増殖に影響を及ぼさず、Listeriaの増殖に影響を及ぼさないことを開示する。Mandalari et al.(2007)は、純粋な形態のネオヘスペリジンが、インビトロでのリステリア増殖に影響を及ぼさないことを示す。
【0025】
Fernandez-Lopez,J.,et al.“Antioxidant and antibacterial activities of natural extracts:application in beef meatballs.”Meat science 69.3(2005):371-380は、フラボノイド(主にヘスペリジンである)を含有する柑橘類抽出物が補充された肉が、Listeria monocytogenesの増殖に影響を及ぼさないことを示す。例えば、Fernandez-Lopez et al.(2005)は、そのような抽出物が、Listeria monocytogenesに対してではなく、Listeria innocuaを含む他の細菌の菌株に対して抗微生物効果を及ぼすことを示す。
【0026】
Mandalari et al.及びFernandez-Lopez et al.の教示は、抗リステリア化合物としてヘスペリジンを使用することに対する阻害要因を教示し、肉におけるListeria monocytogenesに対して柑橘類抽出物からのフラボノイドのうちのいずれかまたは組み合わせを使用することを明らかな状態にしていない。例えば、Mandalari et al.(2007)は、抗リステリア化合物としてヘスペリジンを使用することに対する阻害要因を教示し、精製されたフラボノイドが抗リステリア効果を有し得たことを明らかな状態にしていない。
【0027】
エラグ酸が豊富なPunica抽出物は、生のMAP肉に抗微生物効果を有しない。例えば、Hayes et al.(Hayes,J.E.,Stepanyan,V.,Allen,P.,O’Grady,M.N.,&Kerry,J.p.2010).“Effect of lutein,sesamol,ellagic acid and olive leaf extract on the quality and shelf-life stability of packaged raw minced beef patties”,Meat science,84(4),613-620.)(以下、「Hayes et al」)は、エラグ酸(Punica抽出物からの活性化合物のうちの1つ)が、冷蔵された、かつ300ppmで適用されたときの生のMAP牛肉に対して、抗微生物効果を有しないことを教示する。Hayes et al.は、エラグ酸が、冷蔵された、かつ300ppmまたは600ppmで適用されたときの生のMAP牛肉の赤色の保存を改善しなかったことを教示する。Hayes et al.は、抗微生物効果のために、300ppmよりも低い濃度のエラグ酸を使用することに対する阻害要因を教示する。Hayes et al.は、肉の赤色を改善するためにエラグ酸を使用することに対する阻害要因を教示する。
【0028】
味に影響を及ぼすことなく生肉の貯蔵寿命を増進する一般的な問題は依然として、商業的に望ましい貯蔵期間全体にわたる、腐敗生物及び病原体の増殖の防止ならびに肉の赤色の保存にある。
【発明の概要】
【0029】
本発明に従った一態様によると、組成物は、フェノール系ジテルペンを含むLamiaceae(ローズマリー)抽出物(抽出物は天然精油を本質的に含まない)と、Punica抽出物とを含む。1つの有利な組成物において、Punica抽出物は、プニカラギン及びエラグ酸からなる群から選択される。有利に、ヘスペリジン抽出物は、純粋なヘスペリジンであり、すなわち、少なくとも80%の濃度を有する。
【0030】
本方法及び組成物の他の態様は、肉、家禽の肉、及び魚(生/未加工及び加工)が挙げられるがこれらに限定されない食品と使用するためのものであり、本開示の組成物の構成成分、包装食品製品、及び食品を包装する方法を含む。
【0031】
本発明は、その一形態において、Punica抽出物とLamiaceae抽出物とを含む組成物に関し、揮発性構成成分の大部分は、Lamiaceae抽出物から除去されている。
【0032】
本発明は、その別の形態において、Punica抽出物とLamiacea抽出物とを含み、揮発性油構成成分の大部分がLamiaceae抽出物から除去されている組成物を含有する、未加工/生の肉、家禽の肉、及び魚、ならびに加工された肉、家禽の肉、及び魚が挙げられるがこれらに限定されない食品に関する。
【0033】
本発明は、その別の形態において、食品を包装することを含む、食品を加工するための方法に関する。本方法は、Punica抽出物とLamiaceae抽出物とを含み、揮発性油構成成分の大部分がLamiaceae抽出物から除去されている組成物を、未加工/生の肉、家禽の肉、及び魚、ならびに加工された肉、家禽の肉、及び魚が挙げられるがこれらに限定されない食品に適用するか、またはそれ内に組み込むことを含む。任意に、本方法は、20%以上の酸素を含有する雰囲気中で食品を包装することをさらに含むことができる。代替のさらなる実施形態では、酸素の量は、70%ほどの酸素であってもよい。さらなる代替の実施形態では、包装食品製品は、標準的な雰囲気環境中で包装された未加工/生の肉、家禽の肉、及び魚、ならびに加工された肉、家禽の肉、及び魚が挙げられるがこれらに限定されない、食品を含む。
【0034】
本発明は、その別の形態において、食品を包装するための方法に関する。本方法は、Punica抽出物とLamiaceae抽出物とを含み、揮発性油構成成分の大部分がLamiaceae抽出物から除去されている組成物を、肉、魚、または家禽の肉(生/未加工及び加工)が挙げられるがこれらに限定されない、食品に適用するか、またはそれ内に組み込むことを含み、食品は、20%以上の酸素を含む環境中で包装される。
【0035】
本発明は、その別の形態において、有効量のフェノール系ジテルペン及び/またはヘスペリジンを含む抗微生物組成物に関する。1つの有利な形態において、抗微生物組成物は有効である。
【0036】
本発明は、そのさらに別の形態において、有効量のフェノール系ジテルペンならびに/またはプニカラギン及びエラグ酸を含む抗菌組成物に関する。1つの有利なさらなる形態において、抗微生物組成物は、Bacillus cereus、またはStaphylococcus aureus、またはStreptococcus mutans、またはListeria monocytogenes、またはClostridium perfringens、またはEnterococcus hirae、またはMycobacterium bovisを含むグラム陽性菌に対して有効である。代替のさらなる形態において、組成物は、Pseudomonas aeruginosa、またはEscherichia coli、Salmonella typhimirium、またはEnterobacter cloacaeを含むグラム陰性菌に対して有効である。
【0037】
本発明は、その別の形態において、有効量のフェノール系ジテルペンならびに/またはプニカラギン及びエラグ酸を含む、抗真菌/抗酵母組成物に関する。1つのさらなる形態において、組成物は、Saccharomyces cerevisiae及びCandida albicans.を含む酵母に対して有効である。
【0038】
一形態において、本発明は、Listerial monocytogenesの増殖を阻害するために、ローズマリー抽出物と組み合わせて肉に添加され得る、Punica抽出物の存在を対象とする。
【0039】
本発明に従ったローズマリー抽出物は、肉の香味に影響を及ぼすことなく、肉の赤色の保存を改善し、微生物貯蔵寿命を延ばす。実際の肉系での本発明者らの研究は、揮発性精油構成成分の大部分が除去されており、肉の味に影響を及ぼさない抽出物である、脱臭化ローズマリー抽出物を使用する。ヘスペリジンまたはPunica抽出物と組み合わされたとき、予想外に、食品の味に対していかなる影響もなく、相乗的な抗リステリア効果及び相乗的な色保存効果が観察される。
【0040】
本方法及び組成物は、いかなる食品製品または飲料の食品製造業者にも、費用効率が高く、費用効果が高い、中央の加工センターからの製品を小売店に供給するための方法を提供することができる。本方法及び組成物は、生肉、生魚、及び家禽の生肉の貯蔵寿命を延ばすことができ、70%以上の酸素及び30%以上のCOを含有する雰囲気中で、延びた微生物及び色の貯蔵寿命を有する生肉、生魚、及び家禽の生肉を提供することができる。抽出物の組み合わせを使用する本開示に従った方法は、香味への悪影響なしで、肉の色の保存を改善し、生肉、生魚、及び家禽の生肉におけるリステリア増殖を遮断し、かつより低いがより有効な抑制濃度の植物抽出物の使用を可能にするために使用され得る。
【0041】
本方法は特に、調整雰囲気包装(MAP)肉との使用に適している。MAP肉は、製品上の雰囲気を維持するガス不透過性材料中に包装される。酸素及び二酸化炭素の混合物は、多くの場合、MAP肉で使用される。これらのガスの混合物は、本方法と非常に良好に協働する。
【0042】
本方法及び組成物とは際立って対照的に、先行技術は、ヘスペリジンを含有する柑橘類抽出物が、インビトロまたは肉においてリステリア増殖に影響を及ぼさないことを教示する。ヘスペリチンまたはネオヘスペリジンなどの純粋なフラボノイドは、インビトロまたは肉においてリステリア増殖に何の影響も及ぼさない。Mandalari et al.(2007)は、インビトロで、フラボノイドが豊富な柑橘系抽出物がグラム陰性菌の増殖のみを阻害し、グラム陽性菌の増殖に影響を及ぼさず、Listeriaの増殖に影響を及ぼさないことを開示する。Mandalari et al.(2007)は、純粋な形態のネオヘスペリジンが、インビトロでのリステリア増殖に影響を及ぼさないことを示す。
【0043】
Fernandez-Lopez et al.(2005)は、フラボノイド(主にヘスペリジンである)を含有する柑橘類抽出物が補充された肉が、Listeria monocytogenesの増殖に影響を及ぼさないことを示す。Fernandez-Lopez et al.(2005)は、そのような抽出物が、Listeria monocytogenesに対してではなく、Listeria innocuaを含む他の細菌の菌株に対して抗微生物効果を及ぼすことを示す。
【0044】
Mandalari et al.及びFernandez-Lopez et al.の教示は、抗リステリア化合物としてのヘスペリジンに対する阻害要因を教示し、肉におけるListeria monocytogenesに対して柑橘類抽出物からのフラボノイドのうちのいずれかまたは組み合わせを使用することを明らかな状態にしていない。さらに、Mandalari et al.の教示は、抗リステリア化合物としてのヘスペリジンに対する阻害要因を教示し、精製されたフラボノイドが抗リステリア効果を有し得たことを明らかな状態にしていない。
【0045】
本開示は、ヘスペリジンが少なくとも80%、最大99%、好ましくは95%濃縮されたときに、それが肉におけるListeria monocytogenesの増殖を阻害することを示す。先行技術は、ヘスペリジンが肉におけるリステリア増殖に影響を及ぼさないことを教示するか、または少なくとも示唆する。本発明者らは、驚くべきことに、ヘスペリジンが肉(例えば、ミンチ肉)において使用されて、その微生物、色、及び味の貯蔵寿命を延ばすことができることを発見した。ヘスペリジンが単独で使用される場合、ヘスペリジンは、十分な抗リステリア効果を確実にするために、より高い濃度で使用される必要がある。驚くべきことに、かつ予想外に、ヘスペリジンへのフェノール系ジテルペンを含む植物抽出物の添加は、抗リステリア効果を相乗的に改善し、より低用量の各抽出物の使用を可能にする。
【0046】
また、驚くべきことに、ヘスペリジン及びLamiaceae抽出物は、相乗的にMAP牛挽肉の色を保存することがわかっている。低温条件で6日間貯蔵された牛挽肉の試料において、ローズマリー抽出物を加えたヘスペリジンは、ヘスペリジンまたはローズマリー単独の色保存の相加効果を超える。
【0047】
先行技術は、ヘスペリジ含有抽出物が、Listeria monocytogenes生物に対して阻害効果を有しないという記述でいっぱいである。驚くべきことに、本発明者らは、高酸素濃度の存在下でのヘスペリジンが、グラム陽性生物であるListeria monocytogenesを阻害するという証拠を発見した。ヘスペリジン及び高酸素雰囲気の組み合わせは、牛挽肉における主要な腐敗生物として単離されたグラム陽性生物であるListeria monocytogenesを阻害する。さらに驚くべきことに、ローズマリー及びヘスペリジンの組み合わせは、高酸素雰囲気下で、グラム陽性生物であるこれらのListeria monocytogenesの相乗的な阻害を示す。
【0048】
フェノール系ジテルペンを含有するLamiaceae抽出物及びヘスペリジンの組み合わせは、相乗的に、酸素の存在下で生肉、生魚、及び家禽の生肉の色を保存する。
【0049】
ある特定の濃度でのヘスペリジン単独は、生の赤肉の色の寿命を保持せず、許容できない感覚刺激特性をもたらす。ローズマリー抽出物及びヘスペリジンの組み合わせは、冷蔵条件で牛挽肉の色の寿命を延ばすように相乗的に作用する。その組み合わせは、それがヘスペリジン単独及びローズマリー単独の相加作用を超えるため、相加的なだけではなく相乗的でもある。
【0050】
ヘスペリジンへのフェノール系ジテルペンを含むLamiaceae抽出物の添加は、生肉、生魚、及び家禽の生肉において色を保存し、微生物の増殖を阻害するのに有効である、香味が許容できる組成物をもたらす。
【0051】
本開示によると、ヘスペリジン単独は、肉を含む食品におけるリステリア増殖を抑制する。さらに、本開示によると、Lamiaceae抽出物、好ましくはローズマリー抽出物、及びヘスペリジンの組み合わせは、Lamiaceae抽出物またはヘスペリジンのいずれか単独よりも、グラム陽性、好ましくはListeria monocytogenes細菌増殖を抑制するのに有効である。
【0052】
酸素の存在下でのフェノール系ジテルペンを含有するLamiaceae抽出物及びヘスペリジンの組み合わせは、商業的に所望の貯蔵期間後に、パッケージ内の牛挽肉の香味に影響を及ぼさない。フェノール系ジテルペンを含有するLamiaceae抽出物もしくはヘスペリジン単独も、酸素単独も、またはこれらの要因単独のうちの2つの組み合わせのいずれも、香味に影響を及ぼすことなく、商業的に所望の貯蔵期間の終わりに、それらの3つの組み合わせと同じくらい良好に色を保存しない。
【0053】
驚くべきことに、ヘスペリジンへのフェノール系ジテルペンを含む植物抽出物の添加は、抗リステリア効果を相乗的に改善し、より低用量の各抽出物の使用を可能にする。
【0054】
また、驚くべきことに、ヘスペリジン及びLamiaceae抽出物は、相乗的にMAP牛挽肉の色を保存することがわかっている。低温条件で5日間貯蔵された牛挽肉の試料において、ローズマリー抽出物を加えたヘスペリジンは、ヘスペリジンまたはローズマリー単独の色保存の相加効果を超える。
【0055】
本発明者らは、驚くべきことに、プニカラギン及びエラグ酸を含有するPunica抽出物がミンチ肉で使用されて、その微生物、色、及び味貯蔵寿命を延ばすことができることを発見した。プニカラギン及びエラグ酸を含有するPunica抽出物が単独で使用されるとき(すなわち、ローズマリー抽出物なしで)、十分な抗リステリア効果を確実にするために、より高い濃度のPunica抽出物が必要とされる。驚くべきことに、ローズマリー抽出物または他のLamiaceaeの抽出物の添加は、抗リステリア効果を相乗的に改善し、より少量のPunica抽出物(例えば、プニカラギン及びエラグ酸抽出物)の使用を可能にする。
【0056】
また、驚くべきことに、プニカラギン及びエラグ酸を含有するPunica抽出物ならびにLamiaceae抽出物は、相乗的に、MAP牛挽肉の色を保存することがわかっている。低温条件で5日間貯蔵された牛挽肉の試料において、ローズマリー抽出物を加えた、プニカラギン及びエラグ酸を含有するPunica抽出物は、Punicaまたはローズマリー単独の色保存の相加効果を超える。この相乗効果は、各抽出物の異なる濃度において観察された。
【0057】
驚くべきことに、本発明者らは、高酸素濃度の存在下でのプニカラギン及びエラグ酸を含有するPunica抽出物が、グラム陽性生物であるListeria monocytogenesを阻害するという証拠を発見した。プニカラギン及びエラグ酸を含有するPunica抽出物及び高酸素雰囲気の組み合わせは、牛挽肉における主要な腐敗生物として単離されたグラム陽性生物であるListeria monocytogenesを阻害する。さらに驚くべきことに、ローズマリーならびにプニカラギン及びエラグ酸を含有するPunica抽出物の組み合わせは、高酸素雰囲気下で、グラム陽性生物であるこれらのListeria monocytogenesの相乗的な阻害を示す。
【0058】
フェノール系ジテルペンを含有するLamiaceae抽出物、ならびにプニカラギン及びエラグ酸を含有するPunica抽出物の組み合わせは、相乗的に、酸素の存在下で生肉、生魚、及び家禽の生肉の色の貯蔵寿命を延ばす。ローズマリー抽出物または他の有効なLamiaceae抽出物、ならびにプニカラギン及びエラグ酸を含有するPunica抽出物、ならびに酸素の存在の組み合わせは、本発明にとって重要である。
【0059】
ある特定の濃度でのプニカラギン及びエラグ酸を含有するPunica抽出物単独は、生の赤肉の色の寿命を短縮し、許容できない感覚刺激特性をもたらす。ローズマリー抽出物ならびにプニカラギン及びエラグ酸を含有するPunica抽出物の組み合わせは、冷蔵条件で牛挽肉の色の寿命を延ばすように相乗的に作用する。その組み合わせは、それがプニカラギン及びエラグ酸を含有するPunica抽出物単独及びローズマリー単独の相加作用を超えるため、相加的なだけではなく相乗的でもある。
【0060】
プニカラギン及びエラグ酸を含有するPunica抽出物への、フェノール系ジテルペンを含有するLamiaceae抽出物の添加は、生肉、生魚、及び家禽の生肉において色を保存し、微生物の増殖を阻害するのに有効である、香味が許容できる組成物をもたらす。
【0061】
Lamiaceae抽出物、好ましくはローズマリー抽出物、ならびにプニカラギン及びエラグ酸を含有するPunica抽出物の組み合わせは、Lamiaceae抽出物またはプニカラギン及びエラグ酸を含有するPunica抽出物のいずれか単独よりも、グラム陽性、好ましくはListeria monocytogenes細菌増殖を抑制するのに有効である。
【0062】
酸素の存在下でのフェノール系ジテルペンを含有するLamiaceae抽出物ならびにプニカラギン及びエラグ酸を含有するPunica抽出物の組み合わせは、商業的に所望の貯蔵期間後に、パッケージ内の牛挽肉の香味に影響を及ぼさない。フェノール系ジテルペンを含有するLamiaceae抽出物もしくはプニカラギン及びエラグ酸を含有するPunica抽出物単独も、酸素単独も、またはこれらの要因単独のうちの2つの組み合わせのいずれも、香味に影響を及ぼすことなく、貯蔵期間の少なくとも最大6日目に、それらの組み合わせと同じくらい良好かつ相乗的に色を保存しない。
【0063】
驚くべきことに、ローズマリー抽出物または他のLamiaceaeの抽出物の添加は、抗リステリア効果を相乗的に改善し、より低用量の各抽出物の使用を可能にする。
【0064】
また、驚くべきことに、プニカラギン及びエラグ酸を含有するPunica抽出物ならびにLamiaceae抽出物は、相乗的に、MAP牛挽肉の色を保存することがわかっている。低温条件で5日間貯蔵された牛挽肉の試料において、ローズマリー抽出物を加えた、プニカラギン及びエラグ酸を含有するPunica抽出物は、ヘスペリジンまたはローズマリー単独の色保存の相加効果を超える。
【0065】
驚くべきことに、本発明者らは、高酸素濃度の存在下でのプニカラギン及びエラグ酸を含有するPunica抽出物が、グラム陽性生物であるListeria monocytogenesを阻害するという証拠を発見した。プニカラギン及びエラグ酸を含有するPunica抽出物及び高酸素雰囲気の組み合わせは、牛挽肉における主要な腐敗生物として単離されたグラム陽性生物であるListeria monocytogenesを阻害する。さらに驚くべきことに、ローズマリーならびにプニカラギン及びエラグ酸を含有するPunica抽出物の組み合わせは、高酸素雰囲気下で、グラム陽性生物であるこれらのListeria monocytogenesの相乗的な阻害を示す。
【0066】
フェノール系ジテルペンを含有するLamiaceae抽出物、ならびにプニカラギン及びエラグ酸を含有するPunica抽出物の組み合わせは、相乗的に、酸素の存在下で生肉、生魚、及び家禽の生肉の色の貯蔵寿命を延ばす。したがって、ローズマリー抽出物または他の有効なLamiaceae抽出物、ならびにプニカラギン及びエラグ酸を含有するPunica抽出出物、ならびに酸素の存在の組み合わせは、本開示の本方法及び組成物のうちのいくつかにとって有利である。
【0067】
ある特定の濃度でのプニカラギン及びエラグ酸を含有するPunica抽出物単独は、生の赤肉の色の寿命を短縮し、許容できない感覚刺激特性をもたらす。ローズマリー抽出物ならびにプニカラギン及びエラグ酸を含有するPunica抽出物の組み合わせは、冷蔵条件で牛挽肉の色の寿命を延ばすように相乗的に作用する。その組み合わせは、それがプニカラギン及びエラグ酸を含有するPunica抽出物単独及びローズマリー単独の相加作用を超えるため、相加的なだけではなく相乗的でもある。
【0068】
プニカラギン及びエラグ酸を含有するPunica抽出物への、フェノール系ジテルペンを含有するLamiaceae抽出物の添加は、生肉、生魚、及び家禽の生肉において色を保存し、微生物の増殖を阻害するのに有効である、香味が許容できる組成物をもたらす。
【0069】
Lamiaceae抽出物、好ましくはローズマリー抽出物、ならびにプニカラギン及びエラグ酸を含有するPunica抽出物の組み合わせは、Lamiaceae抽出物またはプニカラギン及びエラグ酸を含有するPunica抽出物のいずれか単独よりも、グラム陽性、好ましくはListeria monocytogenes細菌増殖を抑制するのに相乗的に有効である。フェノール系ジテルペンを含有するLamiaceae抽出物もしくはプニカラギン及びエラグ酸を含有するPunica抽出物単独も、酸素単独も、またはこれらの要因単独のうちの2つの組み合わせのいずれも、香味に影響を及ぼすことなく、商業的に所望の貯蔵期間内に、それらの3つの組み合わせと同じくらい良好に、Listeria monocytogenesに対して肉を保存しない。
【0070】
酸素の存在下でのフェノール系ジテルペンを含有するLamiaceae抽出物ならびにプニカラギン及びエラグ酸を含有するPunica抽出物の組み合わせは、商業的に所望の貯蔵期間後に、パッケージ内の牛挽肉の香味に影響を及ぼさない。フェノール系ジテルペンを含有するLamiaceae抽出物もしくはプニカラギン及びエラグ酸を含有するPunica抽出物単独も、酸素単独も、またはこれらの要因単独のうちの2つの組み合わせのいずれも、香味に影響を及ぼすことなく、5日間の冷蔵期間後に、それらの3つの組み合わせと同じくらい良好に色を保存しない。
【0071】
肉、魚、または家禽の肉に対して、添加剤の数を妥当な範囲内で保持するために、Listeria monocytogenesの増殖を阻害する特性を提供する植物性抽出物を使用することが有利であり、より具体的には、肉の味に影響を及ぼすことなく、相乗的な抗リステリア効果を提供し、肉の赤色を保存する、植物性抽出物を組み合わせることが有利である。有利に、それらの個々の寄与の合計よりも優れた組み合わされた抽出物の、本開示に従った異なる植物性抽出物の製剤は、相乗的に、肉の味に影響を及ぼすことなく、全体的な抗リステリア活性を高め、肉の赤色を保存する働きをする。
【0072】
本開示に従った方法及び組成物は、上記で紹介され、以下でより詳細に考察されるように、相乗効果を示す。本開示に従った方法及び組成物の相乗効果とは対照的に、2つの化合物が、作用機構にかかわらず同じ明らかな反応を引き起こし、かつ組み合わされた効果がそれらの個々の効果の代数和であるとき、その化合物は、総和を示すと言われることに留意されたい(Levine et al.,1996)。しかしながら、相乗作用において、2つの化合物の結合は、それらの個々の効果の代数和よりも大きい。
【0073】
Levine et al.(1996)における教示は、化合物の組み合わせの生物学的効果を評価するために使用されている。図1に示される(「先行技術」として認識され、Basic Principles of Pharmacology,Tulane Universityから引用された)、上部グラフの化合物の組み合わせ効果は、同様の機構を有する2つの化合物が一緒に与えられたとき、それらが典型的に相加効果をもたらすことを示す。これはまた、総和と称される。しかしながら、2つの化合物の効果がそれらの個々の効果の合計を超える場合、これは、相乗作用と称される予想外の効果である。
【0074】
類推によって、図1の下部グラフに示されるような半用量に関する相乗的応答は、化合物A及びBの用量の半分の組み合わせがAまたはB単独よりも大きい応答をもたらす場合に生じる。
【0075】
肉などの食品マトリクスのための抗微生物製剤の当業者は、肉における抗微生物相乗作用が予測可能ではないことを認識している。3つの天然植物性抽出物間の異なる組み合わせに関して1つの相乗作用も開示され得なかった。Gutierrez,J.,Barry-Ryan,C.,&Bourke,P.(2008).“The antimicrobial efficacy of plant essential oil combinations and interactions with food ingredients.”International journal of food microbiology,124(1),91-97)。組み合わせの相乗効果は、合成抽出物と天然抽出物との間の組み合わせに関してほとんど開示されていない(例えば、WO2013/169231)を参照されたい)。
【0076】
本開示に従ったいくつかの組成物及び方法の1つの利点は、脱臭によって揮発性化合物を除去するプロセスによって達成される。脱臭プロセスは、ボルネオール、樟脳、1,8-シネオール、アルファピネン、カンフェン、ベルベノン、及び酢酸ボルニルを含む揮発性化合物を除去する。
【0077】
本開示の本方法、システム、及び組成物に従った追加の利点は、lamiaceae抽出物とのヘスペリジンまたはPunica抽出物の組み合わせによって達成される。さらに、米国特許第4,380,506号に記載されるプロセスとは異なり、本開示に従った方法は、分割プロセスを必要とせず、本方法は、追加の加工経費の使用を回避する。
【0078】
本方法及びシステムの一態様に従った追加の利点は、揮発性化合物の濃度を低レベルまで低減して、肉などの組成物が適用される食品製品の味に影響を及ぼさず、それにより肉の味に影響を及ぼさない組成物である。
【0079】
本発明のいくつかの態様の1つのさらなる利点は、(Hayes et alによってすでに報告されているよりも)最大で60超低い濃度のエラグ酸を有し、ローズマリー抽出物と組み合わされたときに抗リステリア効果をもたらす、Punica抽出物の存在である。
【図面の簡単な説明】
【0080】
図1】出典“Basic Principles of Pharmacology”,(Tulane University)であり、上部分は、「Summation:Compounds A and B Produce Equal Effects,And Their Affects Are Additive When Combined”であり、下部分は、“Synergism:The Combination of Half the Dose of Compound A and Compound B Produces a Response Greater Than A or B Alone”である。
図2】本発明に従った、肉におけるListeria monocytogenes増殖を示すグラフである。
図3】本発明に従った、ヘスペリジン及びローズマリー抽出物の組み合わせの抗リステリア相乗効果を示すグラフである。
図4】本発明に従った、Listeria monocytogenes増殖を阻害及び低減する、ローズマリー抽出物及びヘスペリジンの異なる組み合わせの抗微生物表面応答を示すグラフである。
図5】本発明に従ったローズマリー抽出物及びヘスペリジンの組み合わせに関する、本発明に従った肉の赤色値を示す棒グラフである。
図6】本発明に従ったローズマリー及びPunica抽出物の様々な組み合わせに関する、本発明に従った肉の赤色値を示す棒グラフである。
図7】ミンチ牛肉における、植物抽出物によるListeria monocytogenes増殖の阻害を示すチャートである。
図8】9日目の8℃でのミンチ牛肉における、植物抽出物によるListeria monocytogenes増殖の阻害を示すグラフである。
図9】は、6日目の8℃でのミンチ牛肉における、植物抽出物によるListeria monocytogenes増殖の阻害を示すチャートである。
図10】本発明に従った、9日目の8℃でのミンチ牛肉における、植物抽出物によるListeria monocytogenes増殖の阻害を示すチャートである。
図11】本発明に従った、Listeria monocytogenes増殖を阻害及び低減する、ローズマリー抽出物及びPunica抽出物の異なる組み合わせの抗微生物表面応答を示すグラフである。
図12】家禽肉のソーセージにおけるListeria monocytogenesを示すグラフである。
図13】本発明に従った、R/Pの抽出物組み合わせによる、家禽肉のソーセージにおけるListeria増殖の阻害を示すグラフである。
図14】R/Hの抽出物組み合わせによる、家禽肉のソーセージにおけるListeria増殖の阻害を示すグラフである。
図15】ポークソーセージにおけるListeria monocytogenesを示すグラフである(対照)。
図16】R/Pの抽出物組み合わせによる、ポークソーセージにおけるListeria増殖の阻害を示すグラフである。
図17】R/Hの抽出物組み合わせによる、ポークソーセージにおけるListeria増殖の阻害を示すグラフである。
図18】スモークサーモンにおけるListeria monocytogenesの増殖を示すグラフである(対照)。
図19】増殖の30日目のスモークサーモンにおけるListeria monocytogenesの阻害を示すグラフである。
図20】増殖の30日目のスモークサーモンにおけるListeria monocytogenesの阻害を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0081】
本開示に従った組成物は、Lamiaceae抽出物とヘスペリジンとを含み、味に影響を及ぼすことなく、生肉、生魚、及び家禽の生肉の貯蔵寿命を延ばすために組成物を使用するための方法を含む。
【0082】
本発明は、別の形態において、Lamiaceae抽出物とPunica抽出物とを含む組成物、ならびに味に影響を及ぼすことなく、生肉、生魚、及び家禽の生肉の貯蔵寿命を延ばすためにこれらの組成物を使用するための方法を含む。
【0083】
本方法及び組成物は、単独で、またはヘスペリジンと、もしくはエラグ酸及びプニカラギンが豊富なPunica抽出物と組み合わせて、フェノール系ジテルペンが豊富なローズマリー抽出物が、商業的に有意な期間にわたって肉の赤色を保存するという発見に基づく。本発明者らは、柑橘果皮から抽出され、次いで精製された、フラボノイドである純粋なヘスペリジンで肉を加工することが、肉におけるListeria monocytogenesの増殖を防止することを発見した。ヘスペリジンと、もしくはエラグ酸及びプニカラギンを含むPunica抽出物と組み合わせた、フェノール系ジテルペンを含むLamiaceae抽出物は、肉の味に影響を及ぼすことなく、商業的に所望の期間にわたって微生物の増殖を抑制するための、かつ肉の赤色を保存するための新規の解決法を相乗的に提供した。本発明の組成物は、グラム陽性微生物の増殖を阻害することがわかっている。本発明の組成物は、Listeriaの増殖を阻害することがわかっている。本発明の組成物は、Listeria monocytogenesの増殖を阻害することがわかっている。
【0084】
肉の味に影響を及ぼすことなく、肉におけるListeria monocytogenes増殖を相乗的に防止するために使用されてきたであろう、かつ肉の色の保存を相乗的に改善する、フェノール系ジテルペン、カルノシン酸及びカルノソール、ならびにヘスペリジンで標準化された植物抽出物、またはフェノール系ジテルペン、カルノシン酸及びカルノソールで標準化された植物抽出物、ならびにエラグ酸及びプニカラギンで標準化された植物抽出物を含む組み合わせは、先行技術から検索され得なかった。
【0085】
ヘスペリジンとの、またはプニカラギン及びエラグ酸を含むPunica抽出物との、ローズマリーまたはフェノール系ジテルペンを含む他のLamiaceae抽出物の組み合わせの抗微生物使用に関して、先行技術のうちのどれも、本方法及び組成物を予測することも、あるいは明らかな状態にすることもしていない。先行技術は、ハーブ製油の使用、またはクエン酸などの有機酸の使用に焦点を合わせている。本開示で使用されるローズマリー抽出物は、それらを、天然精油を本質的に含まず、フェノール系ジテルペンが豊富なものにする様式で加工される。先行技術は、フェノール系ジテルペンが豊富なLamiaceae抽出物、ならびにプニカラギン及びエラグ酸が豊富なPunica抽出物の相乗的な組み合わせを予測することも、あるいは明らかな状態にすることもしていない。
【0086】
先行技術は、フェノール系ジテルペンが豊富なLamiaceae抽出物及びヘスペリジンの相乗的な組み合わせを予測することも、あるいは明らかな状態にすることもしていない。先行技術は、グラム陽性生物、Listeria monocytogenesに対する、プニカラギン及びエラグ酸を含むPunica抽出物との、またはヘスペリジンとの、フェノール系ジテルペンを含むLamiaceae抽出物の組み合わせの驚くほど有益な抗微生物効果を予測することも、あるいは明らかな状態にすることもしていない。Listeria monocytogenes.先行技術は、プニカラギン及びエラグ酸を含むPunica抽出物との、またはヘスペリジンとの、フェノール系ジテルペンを含むLamiaceae抽出物の組み合わせの驚くほど有益な色保存効果を予測することも、あるいは明らかな状態にすることもしていない。
【0087】
先行技術は、プニカラギン及びエラグ酸を含むPunica抽出物との、またはヘスペリジンとの、フェノール系ジテルペンを含むLamiaceae抽出物の組み合わせの食品の味に対する影響がないことを予測することも、あるいは明らかな状態にすることもしていない。
【0088】
ナリンギン、イソクラメチン(isocurametin)、ネオヘスペリジン、ヘスペリジン、ポンシリン、ネビレチン(nebiletin)、及びタンゲレチンが挙げられるがこれらに限定されない、同じ効果を有する他のフラボノイド。
【0089】
定義
以下は、本開示全体を通じて使用される定義のリストである。
【0090】
「有効量」とは、当業者が日常の実験を通じて容易に決定することが可能であることに従って、特定の効果を達成するために必要な量である。例えば、本開示に関して、生肉、生魚、及び家禽の生肉に適用されて、生肉、生魚、及び家禽の生肉の赤色の寿命を延ばすための、Punica抽出物とLamiaceae抽出物とを含む有効量の組成物は、Punica及びLamiaceae抽出物の濃度、生肉、生魚、及び家禽の生肉の体積及び/または表面積、ならびに生肉、生魚、及び家禽の生肉の雰囲気環境条件が挙げられるがこれらに限定されない、既知のパラメータに基づき、赤色の寿命を提供するために決定される量である。同様に、他の食品の寿命を延ばすためのローズマリー/Punicaの有効量は、同様の方法で決定される。
【0091】
「食品」及び「食品製品」は、ヒトまたは動物が食べる製品を意味する。食品または食品製品としては、生肉、生魚、及び家禽の生肉、ならびに加工肉、加工魚、及び加工家禽肉が挙げられるがこれらに限定されない。
【0092】
「生肉、生魚、及び家禽の生肉」は、肉、魚、及び家禽、枝肉全体、そのカット部分、ならびにその挽いた部分を意味する。生肉、生魚、及び家禽の生肉としては、未加工の肉、魚、及び家禽の肉、ならびに肉、魚、または家禽の肉に組み込まれるポリリン酸塩、塩、水、香味、ブロス、添加タンパク質、糖、デンプンなどの添加剤を含む肉、魚、または家禽の肉の両方が挙げられる。これらの成分を含有し得る生肉、魚、または家禽の肉を、保存加工された肉、魚、家禽の肉と区別することが重要であり、保存加工された肉、魚、家禽の肉は、同じ成分を含有し得るが、以下:エリソルベート、エリソルビン酸、アスコルベート、アスコルビン酸、亜硝酸塩、硝酸塩、または培養物のうちの1つ以上も含有する。生肉、生魚、及び家禽の生肉は、保存加工された肉、魚、または家禽の肉とは区別され、かつそれらとは対照的で、かつそれらを含まないものとする。
【0093】
「ヘスペリジン」とは、天然または合成から抽出された化合物を意味する。
【0094】
「Lamiaceae抽出物」とは、Lamiaceae科、好ましくはローズマリー、セージ、オレガノ、タイム、ミント、及び以下の属:Salvia、Rosmarinus、Lepechinia、Oreganum、Thymus、Hyssopus、及びこれらの混合物の植物由来の抽出物を意味する。最も好ましいのは、ローズマリーである。
【0095】
「肉、魚、及び家禽の肉」は、a)加工された肉、魚、及び家禽の肉、ならびにb)未加工の肉、魚、及び家禽の肉の両方を意味する。
【0096】
「フェノール系ジテルペン」とは、カルノシン酸、カルノソール、カルノシン酸メチル、及び他のフェノール系ジテルペン誘導体(ロスマノール、イソロスマノール、11,12-ジ-O-メチルイソロスマノール、12-O-メチルカルノシン酸、ロスマノール-9-エチルエーテル、シルシマリチン(circimaritin)、カルノシン酸のメチル化、一酸化生成物、ゲンクワニン、エピロスマノール、イピイソロスマノール、カルノシン酸誘導体、エピロスマノールエチルエーテル、クリプトタンシノン)、ならびにこれらの混合物を意味する。
【0097】
「加工された食料」ならびに「加工された肉、魚、及び家禽の肉」などの「加工された」とは、切断面が、製品がもはや生肉、魚、または家禽の肉の特徴を有しないことを示すような、肉、魚、もしくは家禽の肉などの食品の加工、またはそのような加工された製品のさらなる加工によって生じる製品である。加工は、加熱、燻煙、保存加工、熟成、乾燥、マリネ、抽出、押出、またはそれらのプロセスの組み合わせが挙げられる、初期の製品を実質的に変化させるいかなる行為も意味する。プロセスは、非加熱処理及び加熱処理プロセスを含む。
【0098】
「Punica抽出物」は、Punica属、好ましくはPunica granatum及びPunica protoPunica、ならびにこれらの混合物の植物由来の抽出物を意味する。最も好ましいのは、Punica granatumである。
【0099】
「未加工の」(肉、魚、及び家禽の肉など)は、食料(例えば、肉、魚、及び家禽の肉)の元の状態の実質的な変化をもたらすいかなる処理も受けていないことを意味する。しかしながら、食料は、例えば、分離されていても、分割されていても、切断されていても、骨抜きされていても、ミンチされていても、皮剥ぎされていても、そぎ落とされていても、ピーリングされていても、挽かれていても、カットされていても、洗浄されていても、切り取られていても、急速冷凍されていても、冷凍されていても、冷蔵されていても、粉砕もしくは外皮除去されていても、包装されていても、または包装されていなくてもよい。肉、魚、及び家禽の肉を含む未加工の食料としては、それに食料シーズニングもしくは添加剤が添加されているか、または肉、魚、もしくは家禽の肉の内部の筋肉繊維を改質し、したがって生肉、魚、または家禽の肉の特徴を排除するのに不十分な加工を受けている、未処理の生肉、生魚、及び家禽の生肉、ならびに粉砕またはミンチされている生肉、生魚、及び家禽の生肉が挙げられる。
【0100】
本方法及び組成物の開発において、ヘスペリジンがある特定の濃度範囲内で調製されたときに、肉において抗リステリア効果を有することが発見された。
【0101】
本方法及び組成物の開発において、ヘスペリジンまたはPunica抽出物と組み合わされた、フェノール系ジテルペンを含むローズマリー抽出物が、抽出物が単独で適用されるときよりも、肉におけるListeria monocytogenesの増殖を抑制することに対して優れた効果を有することが発見された。
【0102】
本方法及び組成物の開発において、ヘスペリジンと、またはプニカラギン及びエラグ酸を含むPunica抽出物と組み合わされた、ローズマリーの抽出物のある特定の混合物が、ある特定の濃度比の範囲内で調製されたときに、相乗的な抗リステリア効果を提供することが発見された。
【0103】
本方法及び組成物の開発において、ヘスペリジンまたはPunica抽出物と組み合わされた、フェノール系ジテルペンを含むローズマリー抽出物が、抽出物が単独で適用されるときよりも、肉における赤色を保存することに対して優れた効果を有することが発見された。
【0104】
本方法及び組成物の開発において、ヘスペリジンと、またはプニカラギン及びエラグ酸を含むPunica抽出物と組み合わされた、ローズマリーの抽出物のある特定の混合物が、ある特定の濃度比の範囲内で調製されたときに、肉において相乗的な赤色保存効果を提供することが発見された。
【0105】
フェノール系ジテルペンが豊富な抽出物及びヘスペリジンまたはPUNICA抽出物の混合物
カルノシン酸またはカルノソールなどのフェノール系ジテルペンは、特にLamiaceae中で生じる。これまで、カルノシン酸は、Lamiaceaeを除外して、数個の種のみで識別されている。本発明者らの知っている限りでは、Mentheae連の70個の属のうち7つのみがカルノシン酸を含有する:Salvia(Brieskorn and Dumling,1969)、Rosmarinus(Luis and Johnson,2005)、Lepechinia(Bruno et al.,1991)、Oreganum(Hossain et al.,2010)、及びThymus(Achour et al.,2012)。それは、Hyssopus中に存在し得、その考えられる誘導体のうちの1つ、ロスマノール-9-エチルエーテル(7)が特定された(Djarmati et al.,1991)。カルノシン酸はまた、Ocimeae連の1つの属、Ocimum中に少量の化合物として生じる(Jayasinghe et al.,2003)。Brieskorn,C.H.,Dumling,H.J.,1969。Carnosolsaure,der wichtige antioxydativ wirksame Inhaltsstoff des Rosmarin-und Salbeiblattes.Zeitschrift fur Lebensmittel-Untersuchung und Forschung 141,10-16、Luis,J.C.,Johnson,C.B.,2005、Bruno,Maurizio,et al.“Abietane diterpenoids from Lepechinia meyeni and Lepechinia hastata.”Phytochemistry 30.7(1991):2339-2343、Hossain,Mohammad B.,et al.“Characterization of phenolic composition in Lamiaceae spices by LC-ESI-MS/MS.”Journal of agricultural and food chemistry 58.19(2010):10576-10581、Achour,S.,Khelifi,E.,Attia,Y.,Ferjani,E.,Noureddine Hellah A.,2012。Concentration of Antioxidant Polyphenols from Thymus capitatus extracts by Membrane Process Technology.Journal of food science 77,C703-C709、Djarmati,Z.,Jankov,R.M.,Schwirtlich,E.,Djulinac,B.,Djordejevic,A.,1991。High antioxidant activity of extracts obtained from sage by supercritical CO extracton.Journal of the American Oil Chemists Society 68,731-734、Jayasinghe,C.,Gotoh,N.,Aoki,T.,Wada,S.,2003。Phenolic composition and antioxidant activity of sweet basil(Ocimum basilicum L.).Journal of agricultural and food chemistry 51,4442-4449。Seasonal variations of rosmarinic and carnosic acids in rosemary extracts.Analysis of their in vitro antiradical activity.Spanish Journal of Agricultural Research 3,106-112。
【0106】
ここで、本質的にフェノール系のジテルペンを抽出及び濃縮する目的で、これらのフェノール系ジテルペンをローズマリーから抽出した:44~85%。次いで、このようにして得られた抽出物を脱臭して、食品の味に影響を及ぼす精油及び揮発性化合物を排除した。
【0107】
ローズマリー抽出物
ローズマリー(Rosmarinus officinalis)の葉は、様々な溶媒で抽出され得、異なる化合物が豊富である抽出物をもたらすことができる。例えば、水性抽出物がロスマリン酸にかなり富んでいる一方で、有機溶媒を使用した抽出はむしろ、カルノシン酸及びカルノソールなどのフェノール系ジテルペンが豊富な抽出物をもたらす。ローズマリー抽出物の組成物を調製するための詳細な手順は、米国特許第5,859,293号及びWO96/34534に記載され、両方が参照により本明細書に組み込まれる。
【0108】
ローズマリーの葉を室温でアセトンを用いて抽出した。抽出が完了した後、アセトン抽出物を濾過して、ローズマリーの葉から溶液を分離し、減圧下で濃縮して、濃縮天然抽出物を作製した。この時、濃縮抽出物は、軽度の加熱下で、真空中で直接乾燥させられ、約15%~30%カルノシン酸及び1%~3%カルノソールを含む組成物である粉末抽出物を作製することができる。あるいは、濃縮天然抽出物に炭酸ナトリウム水溶液(NaHCO)を添加して、カルノシン酸及び他の有機酸を溶解した一方で、塩基不溶性物質を沈殿させた。
【0109】
その溶液を濾過して固体から分離し、濾液をさらに減圧下で濃縮した。いったん仕上げの濃縮が達成されると、リン酸(HPO)を添加し、酸不溶性物質(カルノシン酸、カルノソール、及びカルノシン誘導体を含む)を濃縮溶液から沈殿させた。活性炭は、濾過前に溶液中のローズマリー抽出物を脱臭するためのプロセス中に使用される。濾過によって、沈殿固体を続いて液体から分離し、水で洗い流して不純物を除去した。
【0110】
最後に、固体を真空オーブン内で乾燥させ、次いで、粉末に粉砕して、約40~65%カルノシン酸、2~10%カルノソール、及び2~10% 12-O-メチルカルノシン酸を含有する組成物を作製した。ここで、使用した抽出物は、>48%のカルノシン酸+カルノソールを含有した。ローズマリー抽出物を脱臭するために最後のステップを行った。それは、アセトン/ヘキサンの混合物を用いた以前の固体の後続の抽出に対応した。このステップの目的は、脂肪分子及び揮発性化合物の排除であった。濾液を減圧下で濃縮し、液体担体上で直接製剤化した。
【0111】
本明細書及び特許請求の範囲内で、フェノール系ジテルペン、カルノシン酸及びカルノソールで標準化されたこの抽出物は、ローズマリー、またはローズマリー抽出物、またはローズマリー(粉末)、またはローズマリー(液体)のいずれかと称される。
【0112】
ヘスペリジン抽出
【0113】
乾燥未熟果実(citrus aurantium L.)を蒸気に曝露して、水での抽出前にペクチンを除去した。続いて、水酸化ナトリウム及び水酸化カルシウムを溶液に添加して、pH値を安定させた。濾過ステップに続いて、HClを使用して濾液の酸性化を誘発した。このステップの後に、ヘスペリジンは沈殿し、溶液は除去され、沈殿物は乾燥させられる。最終生成物は、HPLCで測定して、90%~99%ヘスペリジン、好ましくは95%を超えるヘスペリジンを含有する。
【0114】
得られた抽出物は、本質的にヘスペリジン(>80%)を含有し、純粋であると見なされる。本開示全体を通じて、>95%においてヘスペリジンで標準化されたこの抽出物は、ヘスペリジン、またはヘスペリジン(粉末)、またはヘスペリジン(液体)と称される。
【0115】
Punica抽出
ザクロの皮の苦味(Punica granatum L.)をエタノール/水を用いて抽出した。抽出物を濾過し、次いで濃縮した。乾燥前に、抽出物を担体と、本実施例ではマルトデキストリンと混合した。異なる乾燥技術が適用され得る。この抽出物を、HPLCによって決定される通り、以下のポリフェノール:プニカラギン(HPLCによって>7.5%)及びエラグ酸(1.5~2.5%)で標準化した。
【0116】
本開示全体を通じて、プニカラギン(HPLCによって>7.5%)及びエラグ酸(1.5~2.5%)で標準化されたこの抽出物は、Punica、またはPunica抽出物、またはPunica(粉末)、またはPunica(液体)のいずれかと称される。
【0117】
ローズマリー抽出物/ヘスペリジン及びローズマリー抽出物/Punica抽出物の生成物及び混合物の調製
【0118】
植物抽出物及びそれらの組み合わせを乾燥させて粉末にした。抽出物の組み合わせの好適な乾燥プロセスを確実にするために、マルトデキストリンを使用した。マルトデキストリンは、乾燥プロセスのために一般的に使用される賦形剤または担体である。
【0119】
マルトデキストリンは、20未満のデキストロース当量を有するデンプン加水分解生成物として定義される。デキストロース当量(DE値)は、加水分解物の乾燥物質上でのD-グルコースの割合として表現された、デンプン由来のオリゴ糖の還元力の基準であり、無水グルコース単位の平均重合度(DP)の逆値である。デンプン加水分解の生成物として、マルトデキストリンは、直鎖アミロース及び分岐鎖アミロペクチン分解産物を含有し、したがって、それらは、-(1,4)及び-(1,6)結合によって結合されたD-グルコースポリマーと見なされる。
【0120】
マルトデキストリンは天然化合物(デンプン)由来であるが、それらの構造は、それらが由来する天然分子(デンプン)の初期構造とは異なる。この差は、加水分解プロセスによって誘発される。したがって、マルトデキストリン構造は、自然に発生しない。
【0121】
他の考えられる賦形剤または担体としては、マルトデキストリン、アラビアガム、デキストロース、塩、脂肪酸のモノ及びジグリセリド、MPG、ポリソルベート80、植物油、脂肪酸のモノ及びジグリセリド、グルコースシロップ、グリセリン、水、及びアルコールが挙げられる。
【0122】
組成物を15%脂肪で生のミンチ牛肉に添加した。
【0123】
本方法及び組成物につながる研究の過程で、多くの異なる濃度比のローズマリー抽出物及びヘスペリジンまたはPunica抽出物の混合物を、伝統的な微生物学的方法を使用して、抗リステリア有効性に関して試験した。全てのここで研究された試料における細菌計数を、標準化法に従ってAloa培地上で実施した(NF EN ISO 11-290)。いかなる抗リステリア剤も用いらず、かついかなる植物抽出物も用いらず、肉においてListeria monocytogenesの増殖を評価した(対照)。対照肉におけるリステリア増殖のデータは、図2に表される。6日間の増殖後、Listeriaはわずかに、0.29log CFU/mLだけ増殖した。9日間の増殖後、Listeriaは2.42log CFU/mL増殖した。肉に関する実験を、20%超のO、より正確には70%のO及び30%のCOを含有した調整雰囲気包装(MAP)中で実施した。
【0124】
肉製造に続いて、ミンチプロセスの直後に肉のバッチをサンプリングし、冷蔵条件下で研究所に輸送した。研究所において、肉を2kgの試料にサンプリングし、実験の24時間前に、-20℃において真空下で調節され、2kgの肉試料を2~4℃で移し、中心部温度が-1℃に達するまで、24時間±3時間、この温度で保持した。
【0125】
この段階で、バイオセーフティレベル3の研究所で、2kgの肉試料にListeria monocytogenesを接種して、他の微生物による汚染を回避するようにした。そのような研究所において、肉への任意のさらなる補充を実施した。4℃での接種材料の均質化に続いて、接種された2kgの肉試料に植物抽出物を補充し、均質化した。植物抽出物は粉末形態であり、そのようなものとして肉に添加した。それらを乾燥粉末として保持するために、乾燥プロセス前に、植物抽出物にマルトデキストリンを補充した。
【0126】
植物抽出物は、親油性もしくは親水性液体、またはこれらの組み合わせとして肉に添加され得る。そうするために、植物親油性または親水性抽出物は、可溶化されるか、または液体である必要があり、乾燥していない抽出物は、乾燥ステップを受けることなく直接使用され得る。
【0127】
植物抽出物の補充及び均質化の直後、2片の100gのそのように形成されたミンチ肉を一緒にトレイに配置した。抽出物処置のない対照肉片は、同じ手順を踏んだ。
【0128】
次いで、トレイを、4または8℃で、20%以上の酸素、好ましくは70%のO及び30%のCOの調整雰囲気下で調節した。包装された肉を規定の時間にわたって暗い場所で貯蔵した。
【0129】
ローズマリー及びヘスペリジン抽出物、ローズマリー及びPunica抽出物、典型的な抗リステリア化合物(乳酸ナトリウムまたは酢酸ナトリウム)、ならびに未処置の対照を伴う一連の実験を実施した。ローズマリー及びヘスペリジンの混合物または単独の抽出物を、1.18%で肉に添加した。ローズマリー及びPunicaの混合物または単独の抽出物を、0.48%で肉に添加した。典型的な抗リステリア化合物、乳酸ナトリウム及び酢酸ナトリウムを、別々の実験において、それぞれ25g/kg及び3g/kgの伝統的な濃度で添加した。
【0130】
試験前に、以下の割合及び用量に従って、抽出物の組み合わせを調製し、肉に添加した。
【0131】
【表1】
【0132】
【表2】
【0133】
補充及び均質化の直後、ハンバーグの形状の2片の100gのミンチ肉をトレイに配置した。次いで、トレイを、70%のO及び30%のCOの調整雰囲気下で調節し、リステリア増殖及び赤色を含む感覚刺激特性の分析まで、8℃で貯蔵した。貯蔵の0日目、6日目、及び9日目に、そのような分析を実施した。
【0134】
各抽出物及び化合物に関して、かつそれらの組み合わせに関して、冷蔵条件下での肉において、Listeria monocytogenesの増殖を評価した。実験の開始時に、商業的な貯蔵寿命の3分の2(6日間)において、かつ貯蔵寿命の商業的期間(9日間)に対応する時点で、Listeria monocytogenesの増殖を測定した。リステリア増殖の対数値(log CFU/mL)を各実験及び処置に対して計算した。植物抽出物で処置された肉と未処置の対照との間のリステリア増殖の対数値(log CFU/mL)の差を計算して、最終結果を得た。より負の値が得られるほど、抽出物または抽出物の組み合わせの抗リステリア効果はより高くなった。肉の科学微生物学において、所与の時間にわたって、値は、0.5Log10 CFU・g-1の差が観察されたときに2つの列の間で有意であると見なされる(Chaillou et al.,2014)、(Guide pour la validation de methodes d’essais microbiologiques et l’evaluation de leur incertitude de mesure dans
les domaines de la microbiologie alimentaire et de l’environnement),Schweizerische Eidgenossenschaft,Confederation suisse,Departement federal de l’economie,de la formation et de la recherche DEFR,Document No.328,April 2013,Rev.03)。微生物学において、処置は、その効果が未処置の対照と比較して-0.5log CFU/mLを超える場合、有意な抗菌効果を有することに留意されたい。
【0135】
リステリア増殖中、肉の色を監視し、抽出物の添加直後(0日目)及び増殖6日目に画像を撮影した。標準化された光曝露条件下で、かつ「PackShot Creator」と呼ばれるシステムを使用して画像を撮影した。実際に、この専門的な装置は、単色光を拡散する4つの蛍光灯を含む最適化されたライトボックスからなり、最小限の反射で、同じ条件下で常に撮影される画像をもたらす。
【0136】
異なる時間スケールにおける「試料」を表す各写真を、オープンソース画像解析プログラムImageJに取り込んだ。そのソフトウェアは、色または密度などの異なる食品パラメータを測定するために、食品産業において一般的に使用される(Reineke et al.“The Influence of Sugars on Pressure Induced Starch Gelatinization,Procedia Food Science,1,2011,2040-3046、Kelkar et al.“Developing novel 3D measurement techniques and prediction method for food density determination,Procedia Food Science,1,2011,483-491)。赤色の代表的な値を得るために、RGBモデルの3つの色度、赤(R)、緑(G)及び青(B)のうちの色度赤(R)を使用し、を試料にわたって引いた線の各ピクセルの色を測定した。ビルトインRGBプロファイルプロットプラグインを使用して、この線に沿った各ピクセルの異なる色の値、特に赤色の値を判定した。結果は、この線に沿ったピクセル数の関数としての異なる色の値の変化として表される。結果を、p<0.05におけるANOVA試験を使用して有意差に関して統計的に分析した。したがって、1つの試料当たり、1000を超えるピクセルを分析した。
【0137】
肉の色に対する植物抽出物の効果を評価するために、処置された肉の赤色を未処置の対照と比較した。[抽出物を用いた肉における赤色]-[対照肉における赤色(抽出物なし)]によって、効果を計算した。負の効果とは、抽出物の添加が肉の赤色を保存しないことを意味する。正の効果とは、抽出物の添加が対照と比較して肉の赤色を改善することを意味する。
【0138】
ローズマリー及びヘスペリジンの混合物
生肉におけるListeria monocytogenesの増殖
【0139】
6日目及び9日目のそのような試験の結果は、図7及び図8に示される。データは、2~6回の反復の平均値である。データは、接種対照(未処置の肉)と比較した、処置された肉におけるL.monocytogenes増殖の対数差分を表す。データを、ANOVAを使用してp<0.05における有意性に関して統計的に分析した。異なる文字は、p<0.05における有意差を示す。
【0140】
ローズマリー抽出物及び/またはヘスペリジンを使用した6日目のそのような試験の結果は、以下の表1に記載される。
【0141】
【表3】
【0142】
そのような短い継続時間(低温条件で6日間の増殖)において、logで表現される、未処置の肉と比較した植物抽出物で処置された肉におけるリステリア増殖の差が、-0.5logに到達せず、それが、そのような短い増殖の時間において、抗リステリア効果が認識され得ないことを意味することに留意されたい。そのような短い継続時間(低温条件で6日間の増殖)において、Listeria monocytogenesが対照の肉において、0.29log CFU/mLのみ増殖したことに留意されたい(図2)。
【0143】
組み合わされたとき、ローズマリー抽出物及びヘスペリジンの組み合わせの測定した効果が、組み合わせ効果が予想外に拮抗的であるため、6日間の増殖後に上記の濃度における相乗効果に対応しないことに留意されたい。
【0144】
濃度を半分にしたとき、上記の表から計算された以下の予測した効果及び測定した効果が得られ、表2に示した。
【0145】
【表4】
【0146】
そのような短い継続時間(低温条件で6日間の増殖)において、logで表現される、未処置の肉と比較した植物抽出物で処置された肉におけるリステリア増殖の差が、-0.5logに到達せず、それが、そのような短い増殖の時間において、抗リステリア効果が認識され得ないことを意味することに留意されたい。そのような短い継続時間(低温条件で6日間の増殖)において、Listeria monocytogenesが対照の肉において、0.29log CFU/mLのみ増殖したことに留意されたい(図2)。
【0147】
上記の表2において、半用量で単独で適用されたヘスペリジンが、驚くべきことに、最大用量におけるよりも大きい抗リステリア効果を有することに留意されたい。予想外の効果は、アスタリスクによって示される。一方で、半用量のローズマリーならびに半用量のローズマリー及び最大用量のヘスペリジンの組み合わせの効果は、予測されたものに拮抗した。最後に、半用量のローズマリー及び半用量のヘスペリジンの組み合わせならびに最大用量のローズマリー及び半用量のヘスペリジンの組み合わせの効果は、予測した通り追加の範囲内にとどまった。
【0148】
ローズマリー抽出物及び/またはヘスペリジンを使用した9日目のそのような試験の結果は、以下の表3に記載される。
【0149】
【表5】
【0150】
低温条件で9日間の増殖後、log CFU/mLで表されたリステリア増殖の差が、-0.5log CFU/mLを超え、それが、上記の表に示される全ての抽出物の抗リステリア効果ならびにそれらの濃度及び組み合わせが、商業的に所望の期間内に認識され得ることを意味することに留意されたい。
【0151】
【表6】
【0152】
肉における9日間の増殖後、全ての試験された濃度における抽出物単独またはそれらの組み合わせは、Listeria monocytogenesの増殖を0.5log超阻害し、それは、それらが肉において抗リステリア効果を有したことを意味する。
【0153】
予想外に、先行技術を考慮して、かつインビトロでのデータを考慮して、ヘスペリジンは、全ての試験された濃度において抗リステリア効果を有した。さらに、予想外に、ローズマリー抽出物またはヘスペリジン単独は、最大濃度と比較して半分の濃度で使用されたときに、より大きい抗リステリア効果を有した。さらに、予想外に、半分の濃度でヘスペリジンと組み合わされたローズマリー抽出物は、最大濃度における各抽出物単独よりも大きい抗リステリア効果を有した。これは相乗作用である(図3)。
【0154】
3つのレベルで設計した応答曲面法実験計画法を使用して、異なる濃度及びそれらの応答表面を分析した。これらの結果は、図4に示される。それらは、図5に提供されるように、[植物抽出物で処置された肉における(log(CFU/mL))-(log(CFU/mL)対照の肉(処置なし))]<0.5として決定される、肉において抗リステリア応答を提供する以下の濃度範囲を示す。
【0155】
【表7】
【0156】
抗リステリア効果を確実にするために、上記の抽出物の濃度(表5)のいずれも、組み合わせてまたは単独で肉に添加され得ることに留意されたい。単独でまたは組み合わせて肉に添加された抽出物の全体の割合は、1.18%を超えなかった。
【0157】
リステリア増殖中、肉の色を監視し、抽出物の添加直後(0日目)及び増殖6日目に画像を撮影した。
【0158】
異なる時間スケールにおける「試料」を表す各写真を、オープンソース画像解析プログラムImageJに取り込んだ。そのソフトウェアは、色または密度などの異なる食品パラメータを測定するために、食品産業において一般的に使用される(Reineke et al.2011、Kelkar et al.2011。RGBモデルの3つの色度、赤(R)、緑(G)、及び青(B)の代表的な値を得るために、試料にわたって線を引いた。ビルトインRGBプロファイルプロットプラグインを使用して、この線に沿った各ピクセルの異なる色の値を判定した。結果は、この線に沿ったピクセル数の関数としての異なる色の値の変化として表される。結果を、p<0.05におけるANOVA試験を使用して有意差に関して統計的に分析した。1つの試料当たり、1000を超えるピクセルを分析した。
【0159】
生肉の赤色
【0160】
感覚分析のパネルによって、肉の色を認識した。このパネルは、明るい赤、赤、茶、及び緑の色相の間で肉の色を区別した。全ての肉の試料は、実験の0日目に明るい赤であった。
【0161】
6日目に、全体的なパネル認識は、以下の通り、異なる肉の処置に供された異なる肉の試料の色を記載する。
【0162】
【表8】
【0163】
リステリア増殖中、植物抽出物が補充されたか、またはされていない肉の色を監視し、抽出物の添加直後(0日目)及び増殖6日目に画像を撮影した。
【0164】
単独でまたは組み合わせて、ローズマリー抽出物及びヘスペリジンを使用した6日目のそのような監視の結果は、以下の表6に記載される。
【0165】
【表9】
【0166】
肉における6日間の増殖後の赤肉に対する最大濃度のローズマリー抽出物及びヘスペリジンの効果。効果を、[抽出物を用いた肉の赤色]-[対照肉の赤色(抽出物なし)]を使用して計算した。
【0167】
先行技術からの報告とは対照的に、予想外に、ローズマリー抽出物は、対照と比較して肉の赤色をより良好に保存した。ヘスペリジンはわずかに低かったが同様の効果を有した。
【0168】
組み合わせ効果は、追加の範囲内にとどまり、これらの濃度において相乗的であるとは認められなかった。
【0169】
対照と比較した抽出物の組み合わせは、各抽出物単独よりも赤色の保存を有意に改善する。
【0170】
【表10】
【0171】
図5は、肉に添加されたヘスペリジンの濃度が半分にされたとき、それが対照と比較して肉の赤色の保存を有意に減少させたことを示す。
【0172】
ローズマリーの添加は、未処置の対照の肉と比較して肉の色の保存を有意に改善した。予想外に、ローズマリーの濃度を半分にすることは、最大のローズマリー濃度よりも肉の赤色保存においてより大きい効果を引き起こした。加えて、予想外に、ヘスペリジンの濃度を半分にすることは、予測されたような赤色の保存効果をもたらさなかったが、この濃度で、ヘスペリジンは、対照と比較して赤色の保存を低下させた。さらに、予想外に、肉の赤色の保存に対する最大濃度のローズマリー及び半分の濃度のヘスペリジンの組み合わせの効果は、最大濃度のローズマリーまたは半分にした濃度のヘスペリジン単独の予測した追加の効果を超えた。これは相乗作用である。
【0173】
さらに、予想外に、肉の赤色の保存に対する半分の濃度のローズマリー及び半分の濃度のヘスペリジンの組み合わせの効果は、半分の濃度のローズマリーまたは半分の濃度にしたヘスペリジン単独の予測した追加の効果を超えた。これは相乗作用である。
【0174】
半分にした濃度のローズマリー抽出物及び最大濃度のヘスペリジンに関して、それらの組み合わせ効果は、追加の範囲内にとどまり、したがって、相乗的であるとは認められなかった。
【0175】
図5は、任意のここに示された濃度でのローズマリーとヘスペリジンとの間の全ての組み合わせが、対照と比較して、かつ酢酸ナトリウム及び乳酸ナトリウムなどの典型的な抗リステリア化合物と比較して、肉の赤色の保存を有意に改善したことを示す。ローズマリー及びPUNICAの混合物
【0176】
生肉におけるListeria monocytogenesの増殖
【0177】
6日目及び9日目のそのような試験の結果は、図9及び図10に示される。データは、2~6回の反復の平均値である。データは、接種対照(未処置の肉)と比較した、処置された肉におけるL.monocytogenes 増殖の対数差分を表す。データを、ANOVAを使用してp<0.05における有意性に関して統計的に分析した。異なる文字は、p<0.05における有意差を示す。
【0178】
【表11】
【0179】
そのような短い継続時間(低温条件で6日間の増殖)において、logで表現される、未処置の肉と比較した植物抽出物で処置された肉におけるリステリア増殖の差が、-0.5logに到達せず、それが、そのような短い増殖の時間において、抗リステリア効果が認識され得ないことを意味することに留意されたい。
【0180】
組み合わされたとき、ローズマリー抽出物及びPunica抽出物の組み合わせの測定した効果が相乗効果に対応しなかったことに留意されたい。
【0181】
濃度を半分にしたとき、上記の表から計算された以下の予測した効果及び測定した効果が得られた。
【0182】
【表12】
【0183】
そのような短い継続時間(低温条件で6日間の増殖)において、logで表現されるリステリア増殖における差が、-0.5logに到達せず、それが、そのような短い増殖の時間において、抗リステリア効果が認識され得ないことを意味することに留意されたい。
【0184】
予想外の効果は、アスタリスクによって示される
【0185】
予想外に、半分の濃度のローズマリー及び半分の濃度のPunicaの組み合わせの抗リステリア効果は、半分にした濃度のローズマリーまたは半分にした濃度のPunica単独の予測した追加の効果を超えた。これは相乗作用である。
【0186】
さらに、予想外に、最大濃度のローズマリー及び半分の濃度のPunicaの組み合わせの抗リステリア効果は、最大濃度のローズマリーまたは半分にした濃度のPunica単独の予測した追加の効果を超えた。これは相乗作用である。
【0187】
さらに、予想外に、半分の濃度のローズマリー及び最大濃度のPunicaの組み合わせの抗リステリア効果は、半分にした濃度のローズマリーまたは最大濃度のPunica単独の予測した追加の効果を超えた。これは相乗作用である。
【0188】
ローズマリー抽出物及び/またはPunica抽出物を使用した9日目のそのような試験の結果は、表10に記載される。
【0189】
【表13】
【0190】
上記の通り、微生物学において、処置は、その効果が未処置の対照と比較して-0.5log CFU/mLを超える場合、抗菌効果を有することに留意されたい。低温条件で9日間の増殖後、対照と比較して、log CFU/mLで表されたリステリア増殖の差が、最大濃度のPunicaまたは最大濃度のローズマリー及び最大濃度のPunicaの組み合わせで、肉を処置したときに、-0.5log CFU/mLを超えたことに留意されたい。最大濃度のローズマリー単独は、未処置の対照の肉と比較してリステリア増殖を有意に阻害しなかった。しかしながら、最大濃度のPunicaと最大濃度のローズマリーを組み合わせることは、抽出物を単独で使用したときよりも大きい抗リステリア効果を有し、抗リステリア増殖における有意な効果のために必要とされる-0.5log CFU/mLの閾値を超えることが可能であった。
【0191】
【表14】
【0192】
肉における9日間の増殖後、ほとんど全ての試験された濃度における抽出物単独またはそれらの組み合わせの1つを除いた全てが、対照と比較してListeria monocytogenesの増殖を0.5log CFU/mL超阻害し、それは、それらが肉において抗リステリア効果を有したことを意味する。半分の濃度で試験されたときのローズマリー抽出物単独のみが、対照と比較して-0.5log CFU/mLの差に到達しなかった。
【0193】
予想外に、Punica抽出物単独は、最大濃度と比較して半分の濃度で使用されたときに、より大きい抗リステリア効果を有した。さらに、予想外に、半分の濃度で使用されたときに、ローズマリー抽出物は、予測したよりも大きい抗リステリア効果を有した。さらに、予想外に、半分の濃度のローズマリー及び最大濃度のPunica抽出物の組み合わせの抗リステリア効果は、半分にした濃度のローズマリーまたは半分にした濃度のPunica抽出物単独のそれらの予測した追加の効果を超えた。これは相乗作用である。
【0194】
加えて、予想外に、最大濃度のローズマリー及び半分の濃度のPunica抽出物の組み合わせの抗リステリア効果は、最大濃度のローズマリーまたは半分にした濃度のヘスペリジン単独の予測した追加の効果を超えた。これは相乗作用である。
【0195】
さらに、予想外に、半分の濃度でPunica抽出物と組み合わされたローズマリー抽出物は、最大濃度における各抽出物単独よりも大きい抗リステリア効果を有した。これは相乗作用である(例えば、図1を参照されたい)。
【0196】
3つのレベルで設計した応答曲面法実験計画法を使用して、異なる濃度及びそれらの応答表面を分析した。これらの結果は、図11に示される。それらは、表12に示されるように、[植物抽出物で処置された肉における(log(CFU/mL))-(log(CFU/mL)対照の肉(処置なし))]<-1として決定される、肉において抗リステリア応答を提供する以下の濃度範囲を示す。
【0197】
【表15】
【0198】
抗リステリア効果を確実にするために、上記の抽出物の濃度(表12)のいずれも、組み合わせてまたは単独で肉に添加され得ることに留意されたい。単独でまたは組み合わせて肉に添加された抽出物の全体の割合は、0.18%を超えなかった。
【0199】
生肉の赤色
【0200】
感覚分析のパネルによって、肉の色を認識した。このパネルは、明るい赤、赤、茶、及び緑の色相の間で肉の色を区別した。全ての肉の試料は、実験の0日目に明るい赤色であった。
【0201】
6日目に、全体的なパネル認識は、以下の通り、異なる肉の処置に供された異なる肉の試料の色を記載する。
【0202】
【表16】
【0203】
リステリア増殖中、植物抽出物が補充されたか、またはされていない肉の色を監視し、抽出物の添加直後(0日目)及び増殖6日目に画像を撮影した。赤色ピクセルを、上記の方法の節で説明されるように定量化した。
【0204】
単独でまたは組み合わせて、ローズマリー抽出物及びPunica抽出物を使用した6日目のそのような監視の結果は、以下に記載される。
【0205】
【表17】
【0206】
上記の濃度において(表13)、単独で添加されたとき、ローズマリーまたはPunica抽出物は、対照と比較して肉の色の保存を低下させた。したがって、組み合わされたとき、これらの抽出物が肉の色の保存をさらに低下させ得ると予測された。予想外に、組み合わされたとき、ローズマリー及びPunica抽出物は、対照と比較して肉の色の保存を改善した。
【0207】
予想外に、肉の赤色の保存に対する最大濃度のローズマリー及び最大濃度のPunicaの組み合わせの効果は、最大濃度のローズマリーまたは最大濃度のPunica単独の予測した追加の効果を超えた。これは相乗作用である。
【0208】
【表18】
【0209】
ローズマリー抽出物及びPunica抽出物:肉における6日間のリステリア増殖後の肉の赤色の保存に対する、最大濃度及び半分の濃度ならびに半分の濃度及び最大濃度の組み合わせの効果各効果を、[抽出物を用いた肉の赤色]-[対照肉の赤色(抽出物なし)]によって計算した。
【0210】
最大濃度のローズマリー及びPunica抽出物が肉の赤色の保存を低下させたため、半分にした濃度が肉の赤色の保存を同様に低下させた可能性があると予測された。予想外に、添加したローズマリー濃度を半分にすることは、未処置の対照と比較して肉の赤色の保存を有意に改善した。
【0211】
ローズマリーの添加は、未処置の対照の肉と比較して肉の色の保存を有意に改善した。予想外に、添加したPunica抽出物の濃度を半分にすることは、予測したほど肉の赤色の保存を低下させなかった。
【0212】
さらに、予想外に、半分の濃度のローズマリー及び半分の濃度のPunica抽出物の組み合わせの赤色の保存の改善は、半分にした濃度のローズマリーまたは半分にした濃度のPunica抽出物単独のそれらの予測した追加の効果を超えた。これは相乗作用である。
【0213】
加えて、予想外に、最大濃度のローズマリー及び半分の濃度のPunica抽出物の組み合わせの赤色の保存の改善は、最大濃度のローズマリーまたは半分にした濃度のヘスペリジン単独の予測した追加の効果を超えた。これは相乗作用である。
【0214】
さらに、予想外に、最大濃度Punica抽出物及び半分の濃度のローズマリー抽出物の組み合わせの赤色の保存の改善は、最大濃度のPunica抽出物または半分にした濃度のローズマリー抽出物単独の予測した追加の効果を超えた。これは相乗作用である。
【0215】
予想外に、最大濃度のPunica抽出物及び半分の濃度のローズマリー抽出物の組み合わせは、色の保存がそのような組み合わせの適用後に低下すると予測されたが、肉の色の保存を改善した。
【0216】
図6は、任意のここに示された濃度でのローズマリーとPunica抽出物との間の全ての組み合わせが、対照と比較して、かつ酢酸ナトリウム及び乳酸ナトリウムなどの典型的な抗リステリア剤と比較して、肉の赤色の保存を有意に改善したことを示す。
【0217】
当業者は、現在開示された主題の教示から逸脱することなく、追加の実施形態もまた可能であることを認識するであろう。この発明を実施するための形態、特に本明細書に開示される例示的な実施形態の具体的な詳細は、主に理解を明確にするために示され、修正が本開示を読んだ後に当業者に明らかとなり、かつ現在開示された主題の趣旨及び範囲から逸脱することなく行われ得るため、いかなる不必要な制限もそれから理解されるものではない。
【0218】
当業者は、現在開示された主題の教示から逸脱することなく、追加の実施形態もまた可能であることを認識するであろう。この発明を実施するための形態、特に本明細書に開示される例示的な実施形態の具体的な詳細は、主に理解を明確にするために示され、修正が本開示を読んだ後に当業者に明らかとなり、かつ現在開示された主題の趣旨及び範囲から逸脱することなく行われ得るため、いかなる不必要な制限もそれから理解されるものではない。
【0219】
インビトロ実験:
【0220】
単独の及び組み合わせたローズマリー、Punica、及びヘスペリジン抽出物の抗微生物活性、ローズマリー、ヘスペリジン、Punica、及びそれらの組み合わせの植物抽出物、ローズマリー/ヘスペリジン、ローズマリー/Punicaを、以下のプロトコルに従ってDMSO50%最終で、10%で調製し、そこで、抽出物の組み合わせを調製し、マルトデキストリンを用いて最大100%に仕上げ、試験前に以下の割合及び用量に従って試験溶液に添加した。
【0221】
【表19】
【0222】
【表20】
【0223】
研究/試験溶液の調製
【0224】
200mgの抽出物(組み合わせ)を1mLの100% DMSOと混合し、ボルテックスし、100%、45kHz、通常モードで10分間超音波処理し、よくボルテックスし、再び超音波処理し、100mg/mLのDMSO50%最終の最終濃度で、滅菌水中で1:2に希釈した。
【0225】
100mg/mLでのこれらの調製物を、滅菌した5mLのEppendorf管内で調製した。最小殺菌濃度(MBC)プレートを調製する前に試料を採取した。MBC、最小殺真菌濃度(MFC)、及び最小阻止濃度(MIC)。
【0226】
原理
【0227】
最小殺菌濃度(MBC)は、接種材料の少なくとも99.99%を死滅させるために必要とされる最低試料濃度である(-4log10)。最小殺菌濃度(MBC)は、特定の細菌を死滅させるために必要とされる抗菌剤の最低濃度である。それは、試験薬剤を含有しない寒天平板に継代培養することによって、液体希釈最小阻止濃度(MIC)試験から決定され得る。MBCは、初期の細菌接種材料の生存性を≧99.9%低減する、抗菌剤の最低濃度を決定することによって特定される。MBCはMICに補完的であり、MIC試験が増殖を阻害する抗微生物剤の最低レベルを示す一方で、MBCは、微生物の死滅をもたらす抗微生物剤の最低レベルを示す。これは、特定のMICが阻害を示す場合でさえ、抗微生物が死滅を引き起こさなかったため、細菌を寒天上で平板培養することがなお生物の増殖をもたらす可能性があることを意味する。抗菌剤は通常、MBCがMICの4倍未満である場合、殺菌性と見なされる。この試験は、視覚的に増殖をほとんどまたは全く示さないウェル内の微生物の総数に基づき、次いで平板培養した。10% DMSO50%最終で調製した試料を、1つの当量のDMSO対照(それぞれ12.5、2.5、及び0.5%)に対して、2.5、0.5、及び0.1%の濃度で試験した。
【0228】
酵母の場合、殺真菌最小濃度(CMF)をWCDとして実施した。真菌であるA.brasiliensis菌株の場合、単なる増殖の存在を殺真菌活性の非存在と解釈する。最小阻止濃度(MIC)は、適合されたインキュベーション期間の後、微生物の目に見える増殖を阻害する抗微生物の最低濃度である。最小阻止濃度は典型的に、植物抽出物またはそれらの組み合わせなどの新しい抗微生物剤の効力を決定するために使用される。最小阻止濃度またはMICは、ここで試験した抽出物によって微生物増殖を阻害するのに十分である最低濃度である。この試験は、試験した抽出物ありまたはなし(対照)で研究される微生物菌株を含有するウェルの視覚観察に基づく。微生物増殖の時間の長さ及び条件を、当業者に周知の伝統的な方法に従って実施した。
【0229】
試験を以下の細菌菌株、E.coli、Pseudomonas aeruginosa、Salmonella enterica ser typhimurium、Staphylococcus aureus、Bacillus cereus、Listeria monocytogenes、Streptococcus mutans、Clostridium perfringens、Enterococcus hirae、Enterobacter cloacae、Moraxella bovis、ならびに2つの酵母、Saccharomyces cerevisiae及びCandida albicans、ならびにかび、Aspergillus brasiliensisに対して実施した。細菌及び酵母に対して10-10CFU/mL、及びA.brasiliensisに対して10芽胞/mLの調整された接種材料を用いて、栄養に富んだ培地内で内部手順に従って、殺菌及び殺真菌活性の評価を実施した。
【0230】
抽出物の抗微生物評価の前に、抽出物の無菌性を平板培養によって検証した。いかなる微生物増殖の非存在も必須であった。表17に要約されるように、微生物培養を伝統的に実施した。
【0231】
【表21】
【0232】
結果
【0233】
【表22】
【0234】
【表23】
【0235】
予想外に、ローズマリー及びPunica抽出物の組み合わせの抗salmonella効果は、抽出物が単独で適用されたときのそれらの予測した追加の効果を超えた。実際に、同じ抗salmonella効果を達成し、微生物増殖を4log減少させるために、抽出物が単独で適用されたときのMBCと比較して、MBCが、抽出物が組み合わされたときに最善の状態で半分にされると予測された可能性がある。驚くべきことに、ここで、MBCは、2.5~5倍減少した。これは相乗作用である。
【0236】
さらに予想外に、ローズマリー及びPunica抽出物の組み合わせの抗pseudomonas効果は、抽出物が単独で適用されたときのそれらの予測した追加の効果を超えた。実際に、同じ抗pseudomonas効果を達成し、微生物増殖を4log減少させるために、抽出物が単独で適用されたときのMBCと比較して、MBCが、抽出物が組み合わされたときに最善の状態で半分にされると予測された可能性がある。驚くべきことに、ここで、MBCは、2.5~5倍減少した。これは相乗作用である。
【0237】
さらに予想外に、ローズマリー及びPunica抽出物の組み合わせの抗clostridium効果は、抽出物が単独で適用されたときのそれらの予測した追加の効果を超えた。実際に、同じ抗clostridium効果を達成し、微生物増殖を4log減少させるために、抽出物が単独で適用されたときのMIBと比較して、MIBが、抽出物が組み合わされたときに最善の状態で半分にされると予測された可能性がある。これは相乗作用である。Punica抽出物が0.016%のMIC効果を有したことに留意されたい。これは、そのMBCがMICよりも高くなければならないことを暗示し、0.016%よりも高いことを意味する。いずれにしても、ローズマリー及びPunica抽出物の組み合わせのMBCが、抽出物単独のMICよりも2倍超低いことは、さらに予想外である。
【0238】
【表24】
【0239】
予想外に、組み合わせて適用されたとき、細菌または酵母、S.mutans、S.aureus、C.albicans、及びS.cerevisiaeの微生物増殖を阻害するための組み合わせR/Pの最小濃度は、驚くほど低く、それは、予測よりも2~4倍低かった。驚くべきことに、2つの抽出物が組み合わされたとき、それらの活性は、相乗的に予測よりも2.5~5倍増加する。
【0240】
さらに予想外に、ローズマリー及びPunica抽出物の組み合わせの抗streptococcus効果は、抽出物が単独で適用されたときのそれらの予測した追加の効果を超えた。実際に、同じ抗streptococcus効果を達成し、微生物増殖を阻害するために、抽出物が単独で適用されたときのMICと比較して、MICが最善の状態で最低のMICであると予測された可能性がある。驚くべきことに、ここで、MICは、予測よりも4倍減少した。これは相乗作用である。
【0241】
さらに予想外に、ローズマリー及びPunica抽出物の組み合わせの抗staphylococcus効果は、抽出物が単独で適用されたときのそれらの予測した追加の効果を超えた。実際に、同じ抗staphylococcus効果を達成し、微生物増殖を阻害するために、抽出物が単独で適用されたときのMICと比較して、MICが、抽出物が組み合わされたときに最善の状態で半分にされると予測された可能性がある。驚くべきことに、ここで、MICは、予測よりも2~4.5倍減少した。これは相乗作用である。
【0242】
さらに予想外に、ローズマリー及びPunica抽出物の組み合わせの抗candida効果は、抽出物が単独で適用されたときのそれらの予測した追加の効果を超えた。実際に、同じ抗candida効果を達成し、微生物増殖を阻害するために、抽出物が単独で適用されたときのMICと比較して、MICが最善の状態で最低のMICであると予測された可能性がある。驚くべきことに、ここで、MICは、予測よりも4倍減少した。これは相乗作用である。
【0243】
また、さらに予想外に、ローズマリー及びPunica抽出物の組み合わせの抗saccharomyces効果は、抽出物が単独で適用されたときのそれらの予測した追加の効果を超えた。実際に、同じ抗saccharomyces効果を達成し、微生物増殖を阻害するために、抽出物が単独で適用されたときのMICと比較して、MICが最善の状態で最低のMICであると予測された可能性がある。驚くべきことに、ここで、MICは、予測よりも4倍減少した。これは相乗作用である。
【0244】
P.aeruginosa及びS.typhimiriumがグラム陰性菌であることに留意されたい。C.perfringens、S.mutans、S.aureus、及びL.monocytogenesは、グラム陽性菌である。C.albicans及びS.cerevisiaeは、酵母である。
【0245】
Punica抽出物と組み合わせたローズマリーは、グラム陽性(L.monocytogenes(肉における)、C.perfringens、S.mutans、S.aureusを含む)、グラム陰性(S.typhimirium、P.aeruginosaを含む)の細菌及び酵母(C.albicans、Saccharomyces cerevisiaeを含む)の増殖に対する相乗的な抗微生物効果を明確に示す。
【0246】
【表25】
【0247】
ローズマリーと組み合わせたヘスペリジンが、ここで試験した最高濃度:2.5%でさえ、Listeria monocytogenesに対して、インビトロでの殺菌効果を有しなかったことに留意されたい。
【0248】
それにもかかわらず、驚くべきことに、そのような抽出物の組み合わせは、相乗的に、肉製品におけるListeria monocytogenesの増殖を有意かつ効率的に阻害した。
【0249】
Listeria monocytogenes増殖に対する先行技術で報告されたようなインビトロでの、及び肉(本研究)におけるヘスペリジン効果を比較すると、同様の観察結果が引き出され得る。実際に、インビトロでのヘスペリジンが抗リステリア効果を有しないが、それは、牛肉におけるリステリア増殖を阻害する。
【0250】
肉/家禽の肉/魚マトリクスにおけるローズマリー/PUNICA及びローズマリー/ヘスペリジン抽出物の使用
【0251】
加工方法、抽出物組み込み、リステリア汚染、及び増殖阻害
産業によって使用される標準的なレシピに従って、生のポークソーセージ及び家禽の肉を生産した。スモークサーモンによってここで例示される魚及び海鮮物に関する限り、その加工もまた、その産業手順に従って行った。
【0252】
肉/家禽/魚のバッチ
【0253】
可能な場合はいつでも、各肉/分類に対してpH及び内因性細菌叢(構成叢の速度及び性質)の観点から生の材料の変動性を克服するために、異なる肉/家禽の肉/魚の卸売業者/(サーモン)養殖場からの生の材料の3つのバッチに対して、加工を実施した。植物抽出物またはそれらの組み合わせを、基本的な配合成分と一緒に、各レシピの開始時に組み込んだ。植物抽出物またはそれらの組み合わせを、以下の表23、24、26、27、29、及び30で説明されるように、1~3個の異なる濃度で食品マトリクスに組み込んだ。
【0254】
全ての製品分類に関する限り、対照、すなわち、植物抽出物を含まない製品を試験した。
【0255】
listeria monocytogenesの菌株の性質及び起源/細菌調製条件
【0256】
混合物中のListeria monocytogenesの2つの菌株(50/50)を、標準操作手順NF V01-009に従って、かつ任意の肉/家禽の肉/魚の製品に関して研究した。肉製品における試験に関する限り、参照菌株CIP 7838(血清型4b)、及び生の豚肉において50%超を占めるものである、いわゆる豚肉から単離した野外株(ADIVコレクション)血清型1/2aを使用した。
【0257】
家禽の肉に関する限り、参照菌株7838を家禽の枝肉から単離したListeria monocytogenesの菌株に結合した(ADIVコレクション、血清型1/2b)。サーモンにおける試験に関する限り、参照菌株CIP 7838を、ADIVがそのネットワークの提携企業によって提供されたサーモンから単離した菌株と混合した。ここで研究した食品マトリクスに関する限り、標準操作手順NF V01-009(Version 2014)のガイドラインに従って、2つの菌株を調製及び接種した。
【0258】
cryobilles(-80℃)として保存された冷凍菌株を、個々に再生及び培養した。各菌株を、10mLのBHI培養培地内に0.1mL移植することによって再生した(30℃で24時間)。2回の連続する継代培養は、各菌株の前培養をもたらした。続いて、各菌株を再び30℃で24時間培養した。後者の培養物をマトリクス製品汚染で使用した(対数期の終わりまたは初期静止期に)。2回の連続する遠心分離の後、ペレットを10mLの緩衝ペプトン水(BPW)中に懸濁し、BHI培地上で計算を実施し、細菌溶液を接種前に24時間0℃で保持した。細菌増殖の読み取り後、次いで、2~3log cfu/gで2つの菌株の混合物(50/50)を食品マトリクス製品に接種するために濃度を調節した。
【0259】
接種方法
【0260】
NF V01-009において指定されるように、製品接種様式は、産業汚染の現実と合っているべきである。したがって、ソーセージ(豚肉または家禽の肉)を、肉の混合物の塊における接種によって感染させて、肉からの汚染をシミュレーションした。スモークサーモンの汚染が生の材料の取り扱い中に、またはスライス/包装時に生じるため、ここで、サーモンのスライスの表面の汚染を適用した。
【0261】
製品の表面上の接種方法は、ADIVによって開発されており、製品の表面における所望の濃度を得るための方法で計算された、正確な重量の接種材料が提供された。接種方法とは関係なく(挽きまたは表面)、食品製品の十分な水分活性を維持するために、1/100の重量/体積比を超えないように、食品マトリクスに添加される水性体積を計算した(NF V01-009)。
【0262】
肉/家禽の肉/魚の製品の生産及び抽出物組み込み
【0263】
ポークソーセージ
【0264】
脂肪分が少ない豚肉(86%)及び豚肉の脂肪分(14%)から、実施規則に従って、従来のプロセスに従って、ポークソーセージを製造した。グリッド(6mmグリッド)を通じて低温で、豚肉の脂肪分及び脂肪分が少ない部分を挽く/ミンチにすることによって、ソーセージ製造用の初期の肉の混合物を得た。次いで、表24及び表25に従って、適用可能な場合はいつでも、ここで試験した植物抽出物を添加した。均質化の後、次いで、混合物を天然ケーシングに詰めた(羊料理、直径24/26)。
【0265】
汚染/包装
【0266】
所与のバッチに対して、42kgの肉の混合物を調製し、次いで、試験シリーズの生産のためにそれぞれ5kgの異なる組に分割した。5kgの肉の混合物を、いかなる抗微生物剤も添加剤も含有しなかった、調製された混合物(23g/kgのMix Fraiche 230 South)及び50gの水/kgに添加した。均質化の後、そのように得られた混合物をいくつかの部分に分割した。人工的なリステリア汚染がない部分を、MAP条件下(70%のO/30%のCO)で包装したトレイ内に配置し(1トレイ当たり6本のソーセージ)、保存時間の1/3は4℃であり、保存時間の2/3は8℃である保存時間計画を有した。他の部分を、上記の通り包装及び保存する前に、3log cfu/gの平均速度でListeria monocytogenesによって人工的に汚染した(挽肉の塊における接種)。植物抽出物を含まなかった汚染肉試料を対照と称した。
【0267】
保存中の分析的監視
【0268】
D0及びJDLC(D14)に対して微生物学的分析を実施し、それらは、Listeria monocytogenes、全中温酸化細菌叢(FAM)、及び乳細菌叢の計数に関与した。分析の各時点で、単一の反復バッチをトレイの分析によって実施した(3つのバッチに対してn=3)。
【0269】
家禽肉のソーセージの製造
【0270】
ポークソーセージに関する記載と同じ実験条件に従って、家禽肉のソーセージを生産した。唯一の差は、使用される生の材料の性質及び添加された可能性がある化合物の性質にとどまる。実際に、この場合、鶏モモ肉85%の上部及び皮によって代表される脂肪分を使用して、脂肪分が少ない肉を作製した。
【0271】
挽肉の混合物は、いかなる典型的な抗微生物も含まなかったが、抗微生物または抗酸化活性を有するいかなる成分も除去された混合物を含有した(Mix Chipo Flight 310~31g/kg)。そのように調製した混合物は、植物抽出物を含んだか、または含まなかったか(対照)のいずれかであり、豚肉に関する記載と同じ実験条件及びリステリア/細菌分析に従った。
【0272】
スモークサーモンの調製及び接種
【0273】
スモークサーモンの製造を、当業者に周知かつ利用可能な伝統的な手順に従って実施した。肉製品に関して、3つの異なる起源からの3つの異なるサーモンのバッチを同週中に作製した。製品を、リステリア/細菌分析の前に、産業用地において真空下でトレイ上にスライスして包装した(1トレイ当たり約200g)。
【0274】
試験した海鮮物、すなわち、スモークサーモンを、表29及び30に記載される割合及び濃度に従った、ローズマリー及びヘスペリジン抽出物ならびにローズマリー及びPunica抽出物の組み込んだ抽出物の組み合わせであった。サーモンを計量し、次いで、3±0.5log/gの平均速度の2つの菌株の混合物(50/50)を用いた噴霧によって表面接種した。接種後、プレートを再び真空包装し、30日間8℃で貯蔵庫に入れた。リステリア増殖を接種後(0日目)及び増殖の30日目に監視した。接種されていない対照を、比較目的で、ここで試験した全ての肉/家禽の肉/魚マトリクスに対して、冷蔵で保持した。
【0275】
pH、全中温酸化細菌叢、乳細菌叢を、牛肉、豚肉、家禽の肉、または魚における全ての実験全体を通じて測定した。これらの食品マトリクスにおけるここで試験した植物性抽出物の存在は、pH、全中温酸化細菌叢、乳細菌叢に有意な影響を及ぼさなかった。
【0276】
実施例:家禽肉のソーセージにおけるR/P及びR/Hの抗微生物効果
【0277】
当業者に利用可能であり、ミンチ牛肉に関してかつ上記に記載されたプロトコルに基づいた伝統的な方法を、加工家禽肉のソーセージに適用した。
【0278】
上記の通り、簡潔に、異なる濃度でのR/P及びR/H抽出物の組み合わせを含む、ソーセージに加工した家禽の生肉の3つの異なるバッチに、Listeria monocytogenesを接種した。対照は、植物抽出物を含まなかった。家禽の生肉試料を低温条件で保持し、リステリア増殖を14日目に測定した。
【0279】
【表26】
【0280】
抽出物を以下の通り調製した。上記の半量のR(0.5R)及び半量のH(0.5H)または半量のP(0.5P)抽出物を、表21に従って一緒に混合し、混合物をマルトデキストリンによって最大100%に仕上げた。これらの粉末状混合物を、表23及び24に記載される割合で、ソーセージへの加工時の家禽の生肉に添加した。表23及び24はまた、%及びppmでの抽出物及び抽出物化合物、抽出物、ならびに肉マトリクス中の最終含量を示す。
【0281】
0.5%の0.5R+0.5Hが、ミンチ牛肉において試験した0.5R+0.5Hと称される抽出物化合物における量に対応することに留意されたい。さらに、0.3%の0.5R+0.5Pが、ミンチ牛肉において試験した0.5R+0.5Pと称される抽出物化合物における量に対応することに留意されたい。全ての得られたデータを、ミンチ牛肉に関して伝えた説明に従って、分析及び表現した(すなわち、delta logなど)。
【0282】
【表27】
【0283】
【表28】
【0284】
結果:
【0285】
L.monocytogenesは、対照の肉において明確に増殖した(図12)。抽出物の組み合わせを肉に添加したとき、それらは、リステリア増殖を効率的に阻害した(図13及び図14)。それらのデータは、ローズマリー及びヘスペリジンならびにローズマリー及びPunica抽出物の相乗的な抗リステリア効果を明確に実証した、ミンチ牛肉において見つけたデータを裏付ける。
【0286】
実施例:ポークソーセージにおけるR/P及びR/Hの抗微生物効果。
【0287】
当業者に利用可能であり、ミンチ牛肉に関してかつ上記に記載されたプロトコルに基づいた伝統的な方法を、加工ポークソーセージに適用した。
【0288】
簡潔に、異なる濃度でR/P及びR/H抽出物の組み合わせを含む、ソーセージに加工した生の豚肉の3つの異なるバッチに、Listeria monocytogenesを接種した。対照は、植物抽出物を含まなかった。生の豚肉試料を低温条件(8℃)で保持し、リステリア増殖を14日目に測定した。
【0289】
【表29】
【0290】
抽出物を以下の通り調製した。上記の半量のR(0.5R)及び半量のH(0.5H)または半量のP(0.5P)抽出物を、表24に従って一緒に混合し、混合物をマルトデキストリンによって最大100%に仕上げた。これらの粉末状混合物を、表26及び27に記載される割合で、ソーセージへの加工時の生の豚肉に添加した。表26及び27はまた、%及びppmでの抽出物及び抽出物化合物、抽出物、ならびに肉マトリクス中の最終含量を示す。
【0291】
0.5%の0.5R+0.5Hが、ミンチ牛肉において試験した0.5R+0.5Hと称される抽出物化合物における量に対応することに留意されたい。また、0.3%の0.5R+0.5Pが、ミンチ牛肉において試験した0.5R+0.5Pと称される抽出物化合物における量に対応することに留意されたい。全ての得られたデータを、ミンチ牛肉に関して上記に示された説明に従って、分析及び表現した(すなわち、delta logなど)。
【0292】
【表30】
【0293】
【表31】
【0294】
【表32】
【0295】
結果:
【0296】
L.monocytogenesは、対照の肉において明確に増殖した(図15)。抽出物の組み合わせを肉に添加したとき、それらは、全てのここで試験した濃度において、リステリア増殖を効率的に阻害した(図16及び図17)。それらのデータは、ローズマリー及びヘスペリジンならびにローズマリー及びPunica抽出物の相乗的な抗リステリア効果を明確に実証した、ミンチ牛肉において見つけたデータを裏付ける。
【0297】
当業者に利用可能であり、ミンチ牛肉に関してかつ上記に記載されたプロトコルに基づいた伝統的な方法を、スモークサーモンに適用した。
【0298】
上記の通り、簡潔に、異なる濃度でのR/P及びR/H抽出物の組み合わせを含む、スモークサーモンの3つの異なるバッチに、Listeria monocytogenesを接種した。対照は、植物抽出物を含まなかった。スモークサーモン試料を低温条件で保持し、リステリア増殖を14日目に測定した。
【0299】
家禽肉のソーセージの1バッチ当たりの初期リステリア負荷は、表28に示される通りであった。
【0300】
【表33】
【0301】
【表34】
【0302】
【表35】
【0303】
0.3%の0.5R+0.5Pが、ミンチ牛肉において添加され、かつ0.5R+0.5Pと称される、抽出物の組み合わせの同じ割合及び投与量に対応することに留意されたい。
【0304】
結果:
【0305】
L.monocytogenesは、対照のスモークサーモンにおいて明確に増殖した(図18)。抽出物の組み合わせを肉に添加したとき、それらは、リステリア増殖を効率的に阻害した(図19及び図20)。それらのデータは、ローズマリー及びヘスペリジンならびにローズマリー及びPunica抽出物の相乗的な抗リステリア効果を明確に実証した、ミンチ牛肉において見つけたデータを裏付ける。
【0306】
参考文献
多くの参考文献が本開示全体を通じて列挙されてきた。以下に列挙される追加の参考文献を含む本開示に列挙される全ての参考文献は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0307】
Kai Reineke,Henning Weich,Dietrich Knorr,“The Influence of Sugars on Pressure Induced Starch Gelatinization”,Procedia Food Science,Vol.1,(2011),pages 2040-2046。
【0308】
Shivangi Kelkar,Scott Stella,Carol Boushey,Martin Okos,“Developing novel 3D measurement techniques and prediction method for food density determination”,Procedia Food Science,Vol.1,(2011),pages 483-491。
【0309】
S.Chaillou,S.Christieans,M.Rivollier,I.Lucquin,M.C.Champomier-Verges,M.Zagorec; “Quantification and efficiency of Lactobacillus sakei strain mixtures used as protective cultures in ground beef”;Meat Science 97,(3)(2014),pages 332-338。
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