(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-09
(45)【発行日】2023-02-17
(54)【発明の名称】空対地コンテキストにおいて複数のネットワークを統合する為のアーキテクチャ
(51)【国際特許分類】
H04W 36/32 20090101AFI20230210BHJP
H04W 16/28 20090101ALI20230210BHJP
H04W 36/30 20090101ALI20230210BHJP
H04W 4/42 20180101ALI20230210BHJP
【FI】
H04W36/32
H04W16/28
H04W36/30
H04W4/42
(21)【出願番号】P 2020516569
(86)(22)【出願日】2018-09-19
(86)【国際出願番号】 US2018051649
(87)【国際公開番号】W WO2019060354
(87)【国際公開日】2019-03-28
【審査請求日】2021-09-06
(32)【優先日】2017-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516071365
【氏名又は名称】スマートスカイ ネットワークス エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】SMARTSKY NETWORKS LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】ハイスロップ,ダグラス
【審査官】松野 吉宏
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/137632(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0026849(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0266896(US,A1)
【文献】国際公開第2015/038591(WO,A1)
【文献】Ergin Dinc, Michal Vondra, Sandra Hofmann, Dominic Schupke, Mikael Prytz, Sergio Bovelli, Magnus Frodigh, Jens Zander, and Cicek Cavdar,In-Flight Broadband Connectivity: Architectures and Business Models for High Capacity Air-to-Ground Communications,IEEE Communications Magazine,米国,IEEE Xplore,2017年08月15日,Volume: 55, Issue: 9,Pages 142-149
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24 - 7/26
H04W 4/00 - 99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理回路を備えたネットワーク間通信コントローラであって、前記処理回路が、
追跡対象であり、第1ATGネットワークによって空対地(ATG)無線通信サービスが提供されている飛行中の航空機に関連する所在位置情報を受信し、前記第1ATGネットワークは、前記航空機に指向されるビームフォーミングを用いて前記通信サービスを提供し、
第2ATGネットワークに所在位置情報を提供して、前記第2ATGネットワークが、ビームフォーミングを用いて航空機との無線通信を確立する為に所在位置情報を利用することを可能
にし、
前記所在位置情報が前記第2ATGネットワークに提供されたことに応答して前記第1ATGネットワークから前記第2ATGネットワークへのハンドオーバを開始するように構成され、
前記ハンドオーバの開始は、前記航空機が前記第1ATGネットワークのカバレッジホールに向かっていることを前記航空機の飛行計画及び軌跡が示唆していることに基づいてトリガされ、
前記第1ATGネットワークと前記第2ATGネットワークはそれぞれ無線周波数(RF)スペクトルの異なるレンジに亘って動作するように構成されている、ネットワーク間通信コントローラ。
【請求項2】
前記ハンドオーバの開始は、前記第1ATGネットワークにおける干渉が干渉閾値に達したことの示唆に応答してトリガされる請求項1に記載のコントローラ。
【請求項3】
前記ハンドオーバの開始は、前記第1ATGネットワークと前記第2ATGネットワークそれぞれが所定閾値だけ異なっていることに関連するサービス品質関連スコアリング機能に応答してトリガされる請求項1に記載のコントローラ。
【請求項4】
前記ハンドオーバの開始は、前記第1ATGネットワークのパフォーマンスがパフォーマンス閾値を下回っていることに応答してトリガされる請求項1に記載のコントローラ。
【請求項5】
前記所在位置情報は、所与の将来時刻での前記航空機の将来の所在位置を示す動的位置情報を含む請求項1から4のいずれか一項に記載のコントローラ。
【請求項6】
前記第1ATGネットワークと前記第2ATGネットワークはそれぞれ、前記第2ATGネットワークが前記航空機との無線通信を確立した後の少なくとも所定の期間に亘り、前記航空機を同時に追跡し前記航空機と同時に通信する、請求項1から5のいずれか一項に記載のコントローラ。
【請求項7】
前記第1ATGネットワークは前記所定期間の満了後に前記航空機との通信を停止する、請求項6に記載のコントローラ。
【請求項8】
前記コントローラは、前記第1ATGネットワークと前記第2ATGネットワークそれぞれの基地局にアクセス可能な中央ロケーションに配置される、請求項1から7のいずれか一項に記載のコントローラ。
【請求項9】
前記第1ATGネットワークの個々の基地局が、前記第2ATGネットワークのそれぞれの個々の基地局と併置され、前記コントローラの具体例は、前記第1ATGネットワークの基地局のうち1つが前記第2ATGネットワークの基地局のうち1つと併置されているそれぞれのサイトに配置されている、請求項1から8のいずれか一項に記載のコントローラ。
【請求項10】
ネットワーク間通信を提供する為のシステムであって、
第1空対地(ATG)ネットワーク内で通信するように構成された第1無線機と、第2ATGネットワーク内で通信するように構成された第2無線機とを含む飛行中の航空機と、
前記第1ATGネットワークを定義する複数の第1ATG基地局と、
前記第2ATGネットワークを定義する複数の第2ATG基地局と、
処理回路を備えたネットワーク間通信コントローラを備え、前記処理回路が、
追跡対象であり、第1ATGネットワークによってビームフォーミングを介して通信サービスが提供されている飛行中の航空機に関連する所在位置情報を受信し、
第2ATGネットワークに所在位置情報を提供して、前記第2ATGネットワークが、ビームフォーミングを用いて前記航空機との無線通信を確立する為に所在位置情報を利用することを可能にし、
前記所在位置情報が前記第2ATGネットワークに提供されたことに応答して前記第1ATGネットワークから前記第2ATGネットワークへのハンドオーバを開始するように構成され、
前記ハンドオーバの開始は、前記航空機が前記第1ATGネットワークのカバレッジホールに向かっていることを前記航空機の飛行計画及び軌跡が示唆していることに基づいてトリガされ、
前記第1ATGネットワークと前記第2ATGネットワークはそれぞれ無線周波数(RF)スペクトルの異なるレンジに亘って動作するように構成されているシステム。
【請求項11】
前記ハンドオーバの開始は、前記第1ATGネットワークにおける干渉が干渉閾値に達したことの示唆に応答してトリガされる請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記ハンドオーバの開始は、前記第1ATGネットワークと前記第2ATGネットワークそれぞれが所定閾値だけ異なっていることに関連するサービス品質関連スコアリング機能に応答してトリガされる請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記ハンドオーバの開始は、前記第1ATGネットワークのパフォーマンスがパフォーマンス閾値を下回っていることに応答してトリガされる請求項10に記載のシステム。
【請求項14】
前記第1ATGネットワークと前記第2ATGネットワークはそれぞれ、前記第2ATGネットワークが前記航空機との無線通信の確立後の少なくとも所定の期間に亘り、前記航空機を同時に追跡し前記航空機と同時に通信する、請求項10から13のいずれか一項
に記載のシステム。
【請求項15】
前記コントローラは、前記第1ATG基地局と前記第2ATG基地局両方にアクセス可能な中央ロケーションに配置される、請求項10から14のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項16】
前記第1ATGネットワークの個々の基地局が、前記第2ATGネットワークのそれぞれの個々の基地局と併置され、前記コントローラの具体例は、前記第1ATG基地局と前記第2ATG基地局のペアが併置されているそれぞれのサイトに配置されている、請求項10から15のいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、内容全体が全体の参照により本明細書に組み込まれている、2017年9月21日に出願した米国特許出願第62/561,423号の優先権を主張するものである。
【0002】
例示的実施形態は一般に無線通信に関し、より詳細には、無線空対地(ATG)環境において複数のネットワークの統合を可能にする為の技術に関する。
【背景技術】
【0003】
高速データ通信及びそのような通信を可能にするデバイスが現代社会では至る所に存在するようになっている。これらのデバイスによって、多くのユーザはインターネット及び他の通信ネットワークに殆ど常に接続し続けることが可能となる。これらの高速データ接続は電話回線、ケーブルモデム、又は物理的な有線接続を有する他のデバイスを介して利用可能であるが、無線接続は、移動性を犠牲にすることなく接続状態を維持する我々の能力に革命をもたらした。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、人々は、地上にいる間ネットワークへの常時接続が維持されることに慣れている一方で、一旦航空機に乗り込むと、容易及び/又は安価な接続性が停止する傾向にあることを一般に理解している。航空機プラットフォームは依然として、少なくとも乗客にとっては、容易かつ安価に通信ネットワークへ接続できるようにはなっていない。空中で接続し続ける為の試みは通常高コストであり、帯域幅制限又は高レイテンシの問題がある。更に、航空機の通信能力に関する出費や問題に対処する意思のある乗客が、航空機に設けられた融通の利かない通信アーキテクチャによってサポートされる非常に特殊な通信モードに制限されていることが多い。
【0005】
種々の飛行中受信デバイスとのより良好な通信を可能にする為に、ネットワーク基盤の改善が行われるにつれ、特定の地理的エリアにおいて種々の期間に亘りレガシーATGネットワークがより新規のATGネットワークと重複する可能性が大きくなってきた。異なるネットワークは、無線周波数(RF)スペクトルの異なる部分を使用し得る、及び/又は他の構造を採用し得る。ユーザはレガシーネットワークか、又はより新規のネットワークのいずれかを使用すると予期されるかも知れないが、実際にはユーザは異なる時点又は場所で、ネットワーク間で切り替えている可能性がある。ネットワーク間での切り替えの可能性が発生した場合、切り替えを行う為の方法論が必要となり得る。言い換えると、2つ以上のATGネットワークを、ネットワークオペレータとユーザ両方に益するように統合する比較的シームレスな方式(少なくともユーザの見地から)を開発することが必要であり得る。
【課題を解決するための手段】
【0006】
無線技術の絶え間ない進歩により、潜在的に複数のネットワークからのサービスを統合することによって飛行中の航空機に無線カバレッジを提供する為の新たな可能性が提供される。これに関して、例えば、種々の統合戦略を用いて、航空機上のユーザは、同じ地理的エリアに共存する重複した無線通信ネットワークから改善されたサービスを受けることができる。
【0007】
一例示的実施形態では、処理回路を含むネットワーク間通信コントローラが提供される。処理回路は、追跡対象であり第1ATGネットワークによるATG無線通信サービスが提供されている飛行中の航空機に関連する所在位置情報を受信するように構成されてよい。第1ATGネットワークは、航空機に指向されるビームフォーミングを用いて通信サービスを提供してもよい。処理回路は更に、第2ATGネットワークに所在位置情報を提供して、第2ATGネットワークがビームフォーミングを用いて航空機との無線通信を確立する為に所在位置情報を利用することを可能にするように構成されてもよい。第1ATGネットワークと第2ATGネットワークはそれぞれ無線周波数(RF)スペクトルの異なるレンジに亘り動作してよい。
【0008】
別の例示的実施形態では、ネットワーク間通信を提供する為のシステムが提供される。システムは、ATGネットワーク内で通信するように構成された第1無線機と、第2ATGネットワーク内で通信するように構成された第2無線機を含む飛行中の航空機を含んでよい。システムは更に、第1ATGネットワークを定義する複数の第1ATG基地局と、第2ATGネットワークを定義する複数の第2ATG基地局と、処理回路を備えたネットワーク間通信コントローラを含む。処理回路は、追跡対象でありビームフォーミングを介して第1ATGネットワークによる通信サービスが提供されている航空機に関連する所在位置情報を受信し、又、その所在位置情報を第2ATGネットワークに提供して、第2ATGネットワークがビームフォーミングを用いて航空機との無線通信を確立する為に所在位置情報を利用することを可能にするように構成されてよい。第1ATGネットワークと第2ATGネットワークはそれぞれ無線周波数(RF)スペクトルの異なるレンジに亘り動作してよい。
【0009】
ここまで本発明を大まかに説明してきたが、ここからは、以下に示す添付図面を参照するものであり、添付図面は必ずしも正確な縮尺では描かれていない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】一例示的実施形態による、複数のATGネットワークの統合が達成され得るネットワークトポロジの側面図である。
【
図2】一例示的実施形態のネットワーク間通信コントローラの機能ブロック図である。
【
図3】一例示的実施形態による、ATGネットワークの統合を行う為の方法のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下では幾つかの例示的実施形態を、添付図面を参照しながら、より詳細に説明するが、添付図面では、例示的実施形態の全てではないが幾つかを示す。実際、本明細書に記載及び図示される実施例は、本開示の範囲、適用可能性、又は構成に関して限定的であるように解釈されるべきではない。寧ろ、これらの例示的実施形態は、本開示が該当法的要件を満たすように提供される。全体を通して、類似の参照符号は類似の要素を指して使用され得る。更に、本明細書で使用している「又は(or)」という語は、そのオペランドのうちの1つ以上が真であれば必ず真となる論理演算子として解釈されるべきである。
【0012】
本明細書に記載の幾つかの例示的実施形態は、空対地(ATG)無線通信の改善されたパフォーマンスを提供する。これに関して、幾つかの例示的実施形態は、第1ATGネットワーク又はシステム(例えばレガシーシステム)の、第2ATGネットワーク又はシステム(例えばより新世代のシステム)との統合を提供してよい。しかしながら、当然のことではあるが、関与するシステムの相対的年代は、例示的実施形態の実行に重要ではない。第1ATGネットワークと第2ATGネットワークは、単に異なる特性を有する(例えば異なるスペクトルを用いる、又は他の差別化要因を有する)、同世代又は異なる世代のネットワークであってよく、その異なる特性により、両ネットワークは、同じ地域的エリアでの使用において顕著な干渉又は障害を生じさせずに少なくとも部分的に重複することが可能となる。
【0013】
任意のATGネットワークが本明細書に記載の方式で統合され得るが、第1ATGネットワークが、空中アセットとの無認可帯域無線通信の使用を可能にするアーキテクチャを有し、第2ATGネットワークが、別の通信帯域の認可周波数を使用する1つの特定の非限定的な実施例について説明する。しかしながら、当然のことではあるが、他のネットワークと交換又は他のネットワークが追加されてもよく、例示的実施形態はそのようなシナリオにでも適用可能である。
【0014】
従って、例えば、第1ATGネットワークは、楔形セルを生成するように構成されたアンテナ構造を有する複数の地上基地局を含んでよく、楔形セル内で指向性ビームがフォーカスされ得る。楔形セルは、互いから離隔すると共に高度帯において互いに重複するように配置されて、広域に亘り、且つ飛行中の航空機の巡航高度までのカバレッジを提供してよい。従って楔形セルは、水平線の方且つ水平線の直上に延出する重複する楔を形成してよい。従って、楔形セルのサイズは、基地局からの距離が増加するにつれて高度帯幅が増加する(又は高度における垂直距離が増加する)ことを特徴とする。その一方で、飛行中の航空機は、水平線の方且つ水平線の直下にフォーカスすることが可能なアンテナを用いて、航空機が一般に、その航空機の直下又は近位(例えば最も近い)であり得る基地局の代わりに距離の離れた基地局と通信するようにしてもよい。実際、例えば或る基地局の直上の航空機は代わりに、航空機アンテナが水平線付近にフォーカスし、基地局アンテナが水平線の上にフォーカスする為、より遠くの基地局によってサービスされることになる。これにより、航空機は、航空機の直下にあり得る通信送信機の影響を本質的に受けにくくなる。従って、例えば、航空機が使用しているのと同じRFスペクトル(例えばWiFi)が、又、遠位に位置する基地局と通信する為に航空機が使用しているのと同じ特定周波数も、航空機の直下の地上波ネットワークによって再使用されてよい。その結果、地上波無線通信ネットワークと第1ATGネットワークに対してスペクトル再使用が実行されることが可能となり、第1ATGネットワークは、周波数スペクトルの同じ帯域(例えば、無認可帯域)を、地上波ネットワークとして干渉なく使用できる。
【0015】
第1ATGネットワークにおいて、指向性フォーカスビームを空中アセットの所在位置に操向又は成形する為にビームフォーミングが用いられてよい。これは更に干渉軽減を促進してレンジを増加させる。しかしながら、これは一般に、航空機(又は航空機に搭載されたアセット)にサービスする為にビームフォーミングが正確に行われることを絶えず可能にする為に、航空機(又は航空機に搭載されたアセット)が追跡されるべきであるということも意味する。
【0016】
第2ATGネットワークは、対応する通信セル内の指向性又は集束アンテナアレイを用いて空中アセットと通信する為に別の周波数帯域(例えば認可帯域)を用いてよい。生成されたセルは第1ATGネットワークとは異なる周波数帯域に亘って動作し得る為、干渉を防止する為の他の構造的態様を必ずしも用いなくても干渉が回避され得る。第2ATGネットワークもビームフォーミングを用いるとすれば、第2ATGネットワークもビームを空中アセットのほうに指向的にフォーカスする。こうして、第2ATGネットワークも一般に、空中アセットの所在位置の認識及び/又は追跡を要し得る。
【0017】
上記のように、第1ATGネットワークと第2ATGネットワークは少なくとも何らかの地理的重複を有してよい。従って、地理的重複領域のいずれにおいても、様々な理由から、1つのネットワークから別のネットワークへの空中アセットのハンドオーバを可能にすることが望ましくあり得る。例えば、ネットワーク間ハンドオーバは、負荷分散の為、特定のエリアにおいて他のネットワークに勝る或るネットワークの既知の優れたパフォーマンスを利用する為、ネットワークのうち1つに対してカバレッジが不完全であるか、又は少なくとも存在しないエリアに移行する為、又はそこに向かう為、外部ソースからの干渉を低減する等の為に、望ましくあり得る。ネットワーク間ハンドオーバの実行を準備する場合に、解除されるネットワーク(即ち、他のネットワークにハンドオーバすることになっている、現在サービスしているネットワーク)が、交替ネットワーク(即ちハンドオーバ先のネットワーク、従って、将来のサービスネットワーク)に、少なくとも航空機(又は航空機に搭載されたアセット)の位置を通知して、交替ネットワークがネットワーク間ハンドオーバを見据えたビームフォーミング(例えば、ビームを生成する又は操向する)を実行できるようにすることが望ましくあり得る。例示的実施形態はこのプロセスを助長し得る。
【0018】
図1は、2つの異なるATGネットワークの少なくとも部分的に重複するセル間に統合サービスを提供する為の一例示的ネットワークアーキテクチャを図示している。
図1は2次元(例えば水平面におけるX方向及び垂直面におけるZ方向)のみを示しているが、当然のことながら、第1ATGネットワークの楔形アーキテクチャは、ページ内外の方向に(即ち、Y方向に)もカバレッジを延在させるような構造としてよい。同様に、第2ATGネットワークも3次元のカバレッジを提供してよい。
図1は正確な縮尺率で描かれていないが、当然のことながら、第1ATGネットワークの為に基地局によって生成された楔形セルは、垂直成分よりも遥かに長い水平成分を有するように構成されている。これに関して、楔形セルは数十から100マイル近く又はそれ以上の水平範囲を有してよい。その一方で、垂直成分は基地局からの距離と共に増加するが、いずれの場合でも、通常は約8マイルより短い(例えば約45,000ft)。第2ATGネットワークは類似したアーキテクチャを有しても、又は異なるアーキテクチャを有してもよいが、上記で論じたように、RFスペクトルの異なる部分を使用してよい。
【0019】
図1に示すように、上記で説明したような(例えば、楔形セルを用いた)第1ATGネットワークで用いられる基地局の実例である第1ATG基地局100及び第2ATG基地局110は、特定の地理的エリアで動作してよい。第1ATG基地局100はX軸に沿って第2ATG基地局110と略一直線に並ぶように配備してよく、第2ATG基地局110によって生成された第2楔形セル(境界115の間に画定される)の上に重なり得る第1楔形セル(境界105の間に画定される)を生成してよい。飛行中の航空機120が完全に第1楔形セル内にある場合、航空機120(又は航空機120に搭載された無線通信アセット)は第1の割り当てられたRFスペクトル(例えば無認可スペクトル)を用いて第1ATG基地局100と通信してよく、飛行中の航空機120が完全に第2楔形セル内にある場合、航空機120(又は航空機120に搭載された無線通信アセット)は第1の割り当てられたRFスペクトルを用いて第2ATG基地局110と通信してよい。通信は、航空機120の位置の認識に基づいて、ビームフォーミングを用いて、第1楔形セル又は第2楔形セルいずれかの内の航空機120の方にビームを操向又は成形することによって達成され得る。第1楔形セルと第2楔形セルとの間の重複領域は、それぞれ第1ATG基地局100と第2ATG基地局110との間での飛行中の航空機120のハンドオーバの機会を提供し得る。従って、ビームフォーミングは、第1基地局100と第2基地局110それぞれによって、ハンドオーバの遂行の為にそれぞれのビームを操向又は成形する為に使用される。従って、本明細書に記載するように、重複カバレッジエリアを有する第1ATGネットワークの基地局のカバレッジエリア間を通過しながら、飛行中の航空機120の受信器の途切れないハンドオーバを提供できる。
【0020】
一例示的実施形態では、同じ地理的エリアが、少なくとも1つの他のATG通信ネットワーク(例えば第2ATGネットワーク)からの基地局も含んでよい。第2ATGネットワークは、第3ATG基地局130と第4ATG基地局140を含んでもよい。当然のことながら、第3ATG基地局130と第4ATG基地局140は、必ずしも互いに一直線に並んでいなくても、又は第1ATG基地局100及び第2ATG基地局110と一直線に並んでいなくてもよい。従って、
図1に示す空間的関係は限定として解釈されるべきではない。
【0021】
第3ATG基地局130は、対応する第3セル(境界135の間に画定される)を生成してもよく、第3セルは、第4ATG基地局の対応する第4セル(境界145の間に画定される)と少なくとも部分的に重複してよい。セル形状は様々であってよいが、第3ATG基地局130と第4ATG基地局140に関連する第3セルと第4セルのうち少なくとも1つが、第1ATG基地局100及び第2ATG基地局110の楔形セルのうち少なくとも1つと少なくとも部分的に重複してよい。航空機120が完全に第3セル内にある場合、航空機120(又は機上の無線通信アセット)は、第1ATGネットワークによって用いられる第1の割り当てられたRFスペクトルとは異なる第2の割り当てられたRFスペクトル(例えば認可帯域スペクトル)を用いて第3ATG基地局130と通信してよい。航空機120が完全に第4セル内にある場合、航空機120(又は機上の無線通信アセット)は、第2の割り当てられたRFスペクトルを用いて第4ATG基地局140と通信してよい。通信は、航空機120の所在位置の認識に基づいて、ビームフォーミングを用いて、第3セル又は第4セルいずれかの内の航空機120の方にビームを操向又は成形することによって達成され得る。第3セルと第4セルとの間の重複領域は、それぞれ第3ATG基地局130と第4ATG基地局140との間での飛行中の航空機120のハンドオーバの機会を提供し得る。従って、ビームフォーミングは、第3基地局130と第4基地局140それぞれによって、ハンドオーバの遂行の為にそれぞれのビームを操向又は成形する為に使用される。従って、本明細書に記載するように、重複カバレッジエリアを有する第2ATGネットワークの基地局のカバレッジエリア間を通過しながら、飛行中の航空機120の受信器の途切れないハンドオーバを提供できる。
【0022】
一例示的実施形態では、第1ATGネットワークは、第1ATG基地局100及び第2ATG基地局110に動作可能に接続されてよい第1ATGバックホール及びネットワーク制御コンポーネント150を含んでよい。第1ATGバックホール及びネットワーク制御コンポーネント150は一般に、第1ATGネットワークの、第1の割り当てられたRFスペクトル及びシステムリソースの割り当てを制御してよい。第1ATGバックホール及びネットワーク制御コンポーネント150は更に、航空機120と、航空機120に搭載された任意のUE及び他の無線通信デバイス(即ち、航空機120に搭載された無線通信アセット)が互いに、及び/又はインターネットのようなワイドエリアネットワーク(WAN)160と、通信することを可能にするルーティング及び制御サービスを提供してもよい。
【0023】
一例示的実施形態では、第2ATGネットワークは、第3ATG基地局130及び第4ATG基地局140に動作可能に接続されてよい第2ATGバックホール及びネットワーク制御コンポーネント170を含んでよい。第2ATGバックホール及びネットワーク制御コンポーネント170は一般に、第2ATGネットワークの、第2の割り当てられたRFスペクトル及びシステムリソースの割り当てを制御してよい。第2ATGバックホール及びネットワーク制御コンポーネント170は更に、航空機120と、機上の任意のUE及び他の無線通信デバイス(即ち、航空機120上の無線通信アセット)が互いに、及び/又はWAN160と、通信することを可能にするルーティング及び制御サービスを提供してもよい。
【0024】
地面の湾曲及び第1ATGネットワーク及び第2ATGネットワークの基地局間の距離を考慮して、強化を行ってよい。更に、第1ATGネットワーク及び第2ATGネットワークの基地局は、上述のビームフォーミング技術を用いて生成される比較的小さい指向性ビームを使用して、飛行中の航空機120と通信するように構成されてよい。使用されるビームフォーミング技術は、比較的狭くフォーカスされたビームの生成を含んでよい。これにより、干渉を発生させ得るサイドローブ(例えば主ビームの方向と異なる方向の放射エミッション)の発生を低減できる。しかしながら、これらの比較的狭くフォーカスされたビームの使用は一般に、航空機120の位置をビームに位置特定させ追跡させる為に、そのようなビームの照準又は選択に関して或る程度の正確さを要求する。
【0025】
一例示的実施形態では、ビームフォーミング制御モジュールが、第1ATGネットワーク及び第2ATGネットワークのうちいずれか又は両方の基地局で使用されてよい。これらのビームフォーミング制御モジュールは、それぞれのネットワークのコンポーネントによって提供された所在位置情報を用いて、航空機120の所在位置へのビームフォーミングを指向させてよい。ネットワーク内ハンドオーバ(例えば、第1基地局100と第2基地局110の間のハンドオーバ、又は第3基地局130と第4基地局140の間のハンドオーバ)が行われるとき、それぞれのATGネットワークは、それらのそれぞれのネットワークの基地局間の所在位置情報を共有するように完全に装備されてよい。従って、例えば、第1ATGバックホール及びネットワーク制御部(コンポーネント)150は、第1ATG基地局100及び第2ATG基地局110がそれぞれ、第1ATG基地局100と第2ATG基地局110の間のハンドオーバの為に航空機120の位置を通知される能力を提供するように構成されてよい。その一方で、第2ATGバックホール及びネットワーク制御部(コンポーネント)170は、第3ATG基地局130及び第4ATG基地局140がそれぞれ、第3ATG基地局130と第4ATG基地局140の間のハンドオーバの為に航空機120の位置を通知される能力を提供するように構成されてよい。しかしながら、代わりに、第1ATGネットワークと第2ATGネットワークは完全に独立して動作し、よって如何なる方式でも統合されなくてもよい。例示的実施形態は、第1ATGネットワークと第2ATGネットワークの統合を提供して、本明細書に記載のように両ネットワーク間のハンドオーバを可能にしてもよい。
【0026】
例示的実施形態では、航空機120又は航空機120に搭載された無線通信アセットのいずれかが、第1ATGネットワークの第1ATG基地局100及び第2ATG基地局110とインタフェースするように構成された第1無線機180と、第2ATGネットワークの第3ATG基地局130及び第4ATG基地局140とインタフェースするように構成された第2無線機185を有していなければならない。従って、第1無線機180と第2無線機185はそれぞれ、それらのそれぞれのネットワークコンポーネントと動作可能に接続された状態を保つ為に、対応する第1と第2の割り当てられたRFスペクトルで動作するように構成されてよい。よって、第1ATGネットワークと第2ATGネットワークの間の任意のハンドオーバ(即ちネットワーク間ハンドオーバ)は更に、航空機120が、第1無線機180の使用と第2無線機185の使用の間で(更に恐らくは対応する異なるアンテナ間で)切り替えられ得ることも要求する。
【0027】
ネットワーク間ハンドオーバを可能にする為に、航空機120の所在位置情報は、一方向又は双方向のいずれかで、第1ATGネットワークと第2ATGネットワークの間で共有されてよい。このネットワーク間共有を達成する為に、一例示的実施形態の通信コントローラが使用されてよい。
図2は、一例示的実施形態によるネットワーク間通信コントローラ200のブロック図を示す。
図2に示すように、通信コントローラ200は、航空機120(又は航空機120に搭載された無線通信アセット)のネットワーク間ハンドオーバを促進する為に、異なるネットワークのコンポーネント間での航空機所在位置/位置情報の共有を管理するように構成された処理回路210を含んでよい。
【0028】
処理回路210は、本発明の一例示的実施形態によるデータ処理、制御機能実行及び/又は他の処理及び管理サービスを実行するように構成されてよい。幾つかの実施形態では、処理回路210は、チップ又はチップセットとして具体化されてよい。言い換えると、処理回路210は、構造アセンブリ(例えば、基板)上に材料、コンポーネント、及び/又はワイヤを含む1つ以上の物理パッケージ(例えば、チップ)を含んでよい。構造アセンブリは、その上に含まれるコンポーネント回路の為の物理的強度、サイズの確保、及び/又は電気的相互作用の制限を与えることが可能である。従って、処理回路210は、場合によっては、本発明の一実施形態を単一チップ上で実施するか、単一「システムオンチップ」として実施するように構成されてよい。従って、場合によっては、本明細書に記載の機能性を提供する為の1つ以上のオペレーションを実施する手段が、チップ又はチップセットによって構成されてよい。
【0029】
一例示的実施形態では、処理回路210は、プロセッサ212及びメモリ214の1つ又は複数の具体例を含んでよく、これらは、デバイスインタフェース220及び場合によってはユーザインタフェース230と通信してよく、そうでなければこれらを制御してよい。従って、処理回路210は、(例えばハードウェア、ソフトウェア又はハードウェアとソフトウェアの組み合わせを用いて)本明細書に記載するオペレーションを実行するように構成された回路チップ(例えば集積回路チップ)として具体化してよい。しかしながら、幾つかの実施形態では、処理回路210は、異なるネットワークの、又は異なるネットワーク両方にアクセス可能な中央ロケーションのいずれかのコアネットワークに配置されたコンピュータの一部として具体化してよい。幾つかの実施形態では、処理回路210は、異なるネットワークの種々のコンポーネント、エンティティ及び/又はセンサと通信して、何時ネットワーク間で情報を共有するか、及びどの情報を共有するかを決定する為の情報を受信してよい。従って、例えば、処理回路210は、異なるネットワークのうちいずれか又は両方のセンサネットワーク240と通信してよく、更に、それぞれの異なるネットワークの第1ビームフォーミング制御モジュール250及び第2ビームフォーミング制御モジュール260と通信してもよい、或いはそれらに動作可能に接続されていてよい。
【0030】
デバイスインタフェース220は、他のデバイス(例えば、基地局、モジュール、エンティティ、センサ及び/又は第1及び第2ATGネットワークの他のコンポーネント等)との通信を可能にする1つ又は複数のインタフェースメカニズムを含んでよい。場合によっては、デバイスインタフェース220は、処理回路210と通信している基地局、モジュール、エンティティ、センサ及び/又は第1及び第2ATGネットワークの他のコンポーネントとの間のデータ受信及び/又はデータ送信を行うように構成されたハードウェア又はハードウェアとソフトウェアの組み合わせのいずれかで具体化されたデバイス又は回路のような任意の手段であってよい。
【0031】
プロセッサ212は、幾つかの異なる方式で実施されてよい。例えば、プロセッサ212は、様々な処理手段として実施されてよく、例えば、マイクロプロセッサ又は他の処理要素、コプロセッサ、コントローラ、又は他の様々なコンピューティング装置又は処理装置のうち1つ以上として実施されてよく、これには、例えば、ASIC(特定用途向け集積回路)、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)等のような集積回路が含まれる。一例示的実施形態では、プロセッサ212は、メモリ214に記憶されている命令、又は他の方法でプロセッサ212にアクセス可能な命令を実行するように構成されてよい。従って、プロセッサ212は、ハードウェア、又はハードウェアとソフトウェアの組み合わせで構成されるかに係らず、本発明の実施形態に従って構成されて、本発明の実施形態による動作を実施することが可能なエンティティ(例えば、処理回路210の形式で回路として物理的に実施されるエンティティ)を表すものであってよい。従って、例えば、プロセッサ212がASIC、FPGA等として実施される場合、プロセッサ212は、本明細書に記載の動作を実施することに特化して構成されたハードウェアであってよい。或いは、別の例として、プロセッサ212がソフトウェア命令の実行器として実施される場合、それらの命令は、プロセッサ212を、本明細書に記載の動作を実施することに特化して構成してよい。
【0032】
一例示的実施形態では、プロセッサ212(又は処理回路210)は、航空機120の位置/所在位置(及び/又は所与の時間の航空機120の将来の位置)を示す処理回路210によって受信された入力に基づく通信コントローラ200のオペレーションを含む又は制御するものとして実施されてよい。位置又は所在位置情報は、第1、第2、第3及び/又は第4ATG基地局から、又は、そのコンポーネント/モジュールから、又は第1及び第2ATGネットワークのうち一方又は両方内のそのような情報を把握し得る他のエンティティから受信されてよい。その為、幾つかの実施形態では、プロセッサ212(又は処理回路210)が、プロセッサ212(又は処理回路210)をそれに従って構成する命令又はアルゴリズムの実行に基づいて、ネットワーク間ハンドオーバを促進する為に、ネットワーク間情報共有に関連して通信コントローラ200に関して説明したオペレーションのそれぞれを引き起こすとも言える。特に、命令は、ネットワーク間ハンドオーバを開始して、ネットワーク間ハンドオーバを促進する為に第1ATGネットワークと第2ATGネットワークのコンポーネント間で情報を共有することが望ましいことを決定する命令を含んでよい。
【0033】
一例示的実施形態では、メモリ214は、1つ以上の非一時的メモリデバイス、例えば、固定式でも取り外し可能でもよい揮発性及び/又は不揮発性メモリを含んでよい。メモリ214は、本発明の例示的実施形態に従って処理回路210が様々な機能を実施することを可能にする為の情報、データ、アプリケーション、命令等を記憶するように構成されてよい。例えば、メモリ214は、入力データを、プロセッサ212による処理に備えてバッファリングするように構成されてよい。付加的に又は代替的に、メモリ214は、命令を、プロセッサ212による実行に備えて記憶するように構成されてよい。更に別の代替として、メモリ214は、センサ及びネットワークコンポーネントからの入力に応答して様々なデータセットを記憶してよい1つ以上のデータベースを含んでよい。メモリ214のコンテンツのうち、アプリケーション及び/又は命令は、それぞれのアプリケーション/命令に関連付けられた機能性を実施する為に、プロセッサ212による実行に備えて記憶されてよい。場合によっては、アプリケーションは、本明細書に記載のようにネットワーク間情報共有及び/又はネットワーク間ハンドオーバの実行に関する調整を指令する為の命令を含んでもよい。一例示的実施形態では、メモリ214は、ネットワーク間で共有する為に、航空機120の所在位置(例えば現在及び将来の)を示す動的位置情報を記憶してもよい。メモリ214は更に、又は代替的に、満たされた場合に動的位置情報の共有の実行又はハンドオーバ自体の実行をトリガし得るパラメータ又は他の基準を記憶してもよい。
【0034】
一例示的実施形態では、第1ビームフォーミング制御モジュール250は第1ATGネットワークと関連付けられてよく、又、第2ビームフォーミング制御モジュール260は第2ATGネットワークと関連付けられてよい。更に第1ビームフォーミング制御モジュール250は第1ATG基地局100又は第2ATG基地局110に、又は、第1ATGバックホール及びネットワーク制御コンポーネント150に配置されてよく、その一方で第2ビームフォーミング制御モジュール260は第3ATG基地局130又は第4ATG基地局140に、又は、第2ATGバックホール及びネットワーク制御コンポーネント170に配置されてよい。第1ビームフォーミング制御モジュール250は、任意のソースから(例えば航空機120から、又は第1ATGネットワークの他のネットワークコンポーネントから)受信した所在位置情報を利用して、第1ATG基地局100又は第2ATG基地局110からのビームを航空機120の方に、第1無線機180が受信するように成形又は操向してよい。第2ビームフォーミング制御モジュール260は、任意のソースから(例えば航空機120から、又は第2ATGネットワークの他のネットワークコンポーネントから)受信した所在位置情報を利用して、第3ATG基地局130又は第4ATG基地局140からのビームを航空機120の方に、第1無線機180が受信するように成形又は操向してよい。
【0035】
従って、第1ビームフォーミング制御モジュール250は、第1基地局100と第2基地局110(又は第1ATGネットワークの他の基地局)の間のネットワーク内ハンドオーバのいずれかの(又は両)側でのビーム成形をハンドリングするのに役立つ。同様に、第2ビームフォーミング制御モジュール260は、第3基地局130と第4基地局140(又は第2ATGネットワークの他の基地局)の間のネットワーク内ハンドオーバのいずれかの(又は両)側でのビーム成形をハンドリングするのに役立つ。従って、場合によっては、各基地局は、ビームフォーミング制御モジュールの自身の具体例を有してよく、その一方で他の場合には1つのそのようなモジュールが複数の基地局をサポートしてもよい。しかしながら、ネットワーク間ハンドオーバのコンテキストでは、それぞれの異なるネットワークから1つのみのビームフォーミング制御モジュールが関与し得る。その為、第1及び第2ビームフォーミング制御モジュール250及び260は、それぞれの異なるネットワーク内のそのようなコンポーネントの実例を表す。
【0036】
従って、第1ビームフォーミング制御モジュール250と第2ビームフォーミング制御モジュール260はそれぞれ、ネットワーク間ハンドオーバのいずれかの側でのビームの成形又は操向を担い、その為に両モジュールとも最終的に航空機120の所在位置の認識を得ていなければならない。しかしながら、他のエンティティもそのような認識(即ち、航空機120の所在位置情報)を有してよく、従って、第1ビームフォーミング制御モジュール250及び第2ビームフォーミング制御モジュール260は単に、一例においてそのような情報を共有できる例示的デバイスとしてのみ理解されるべきであり、その一方で他の例では他のデバイスが情報を共有し得る。
【0037】
ネットワーク間ハンドオーバに備えて、解除されるネットワーク(即ちハンドオーバの発生元のネットワーク)は航空機120の所在位置情報を追跡していると想定されてよい。その一方で、交替ネットワーク(即ち、ハンドオーバが行われる先のネットワーク)は航空機120の所在位置情報を追跡していない可能性がある(ことが多い)。しかしながら、解除されるネットワークを解除する為に交替ネットワークが航空機120にビームを操向又は成形する為には、交替ネットワークは航空機120の所在位置情報を必要とする。第1ATGネットワークがATGサービスを航空機120に提供する為に第1ビームフォーミング制御モジュール250を介して最初に航空機120の所在位置を追跡しており、ネットワーク間ハンドオーバが第2ビームフォーミング制御モジュール260に対して行われることになっていた場合、通信コントローラ200は、第1ビームフォーミング制御モジュール250から第2ビームフォーミング制御モジュール260への所在位置情報の提供を制御してよい。次に第2ビームフォーミング制御モジュール260は所在位置情報を用いて航空機120の現在の(更に恐らくは将来の)所在位置を判断して、ハンドオーバが進められ得るように、航空機120の方向にビームを操向又は成形する。
【0038】
場合によっては、通信コントローラ200はハンドオーバの実際の実行に関連するシグナリングをもハンドルしてよい。しかしながら、シグナリング自体は他のエンティティによって管理又は行われてもよい。逆方向への(即ち、第2ビームフォーミング制御モジュール260から第1ビームフォーミング制御モジュール250への)ハンドオーバも通信コントローラ200によって管理されてもよいことにも留意すべきである。
【0039】
幾つかの事例では、ハンドオーバは、同時サービスの期間が確立してから行われてよい。例えば、第2ビームフォーミング制御モジュール260は航空機120の方にビームを操向又は成形してよく、通信サービスは第2ビームフォーミング制御モジュール260と、航空機120上の第2無線機185との間に確立されてよい。所定期間の同時サービスの後で(又は、少なくとも交替ネットワーク(即ちこの例では第2ATGネットワーク)からのサービスの後で)、通信コントローラ200は、航空機120の方へのビームの成形/操向を解除又は停止するように第1ATGネットワークに指示する為に第1ビームフォーミング制御モジュール250に解除メッセージを送信してもよい。
【0040】
更に、当然のことながら、ハンドオーバ遂行よりも同時サービスが好ましい限り、通信コントローラ200は単に解除メッセージを送信することはなく、同時サービスは、第1及び第2ATGネットワーク両方を介して航空機120に維持され得る。この例では、同時サービスは、通信コントローラ200によって異なるネットワーク間での所在位置情報の共有によっても促進される。同時サービスは、冗長性によってサービスの信頼性を増加させる可能性を提供し得るが、同時に、両ATGネットワークの結合された帯域幅能力の影響力を行使して、航空機120(及び航空機120に搭載された無線通信アセット)への提供に利用できる全体的な帯域幅の増加を可能にし得る。
【0041】
通信コントローラ200は更に、場合によっては、ハンドオーバ(又は同時サービスの確立)を何時考慮すべきか、ハンドオーバを見据えた航空機所在位置情報の共有を何時トリガするべきか、又はハンドオーバを何時トリガすべきか、のうち何れか又は全てを決定するのに関連する決断に関与するように構成されてもよい。場合によっては、情報共有又はネットワーク間ハンドオーバの実行の決断は、ネットワーク間負荷分散を促進する為であってよい。例えば、第1ATGネットワークは、ユーザが大量である故に、又は他の理由により帯域幅制限を経験している可能性がある。センサネットワーク240又は第1ATGネットワークの他のアセットが、第1ATGネットワークのパフォーマンス(例えば、帯域幅に関して、又はデバイス毎の帯域幅に関して)がパフォーマンス閾値より下に下がったことを示唆する情報を提供した場合、ネットワーク間ハンドオーバが望ましい(又はトリガされるべきである)ことが決定されてよい。従って、通信コントローラ200は、解除ネットワークから交替ネットワークに(即ち、本例では第1ATGネットワークから第2ATGネットワークに)所在位置情報を送信してよい。従ってこのハンドオーバは、2つのATGネットワーク間の負荷を分散させるように働き得る。
【0042】
別の例では、特定のエリアに関して、対応するエリアにおいて第1ATGネットワークが第2ATGネットワークよりも優れている(一般的に、又は一日のうちの現時間帯に関して)ことを示唆する履歴パフォーマンスデータが入手可能であれば、通信コントローラ200は所在位置情報の共有及び/又はネットワーク間ハンドオーバをトリガしてもよい。場合によっては、通信コントローラ200は、各ネットワークのパフォーマンスに関するデータをセンサネットワーク240から経時的に受信して、各ネットワークの各エリアに関するサービス品質を示すスコアリング機能を提供してもよい。2つのネットワークのスコアリング機能が少なくとも所定閾値分異なっていた場合、通信コントローラ200は所在位置情報共有及び/又はネットワーク間ハンドオーバを開始してもよい。
【0043】
更に別の事例では、航空機の飛行計画情報又は軌道追跡サービスが利用可能である場合、通信コントローラ200が、現在又は計画(即ち将来の)航空機所在位置を評価して、ネットワークのうち1つに関してカバレッジが不完全であるエリア内に航空機120が存在する、又は進入しそうであることを判断することも可能であり得る。従って、例えば、第2ATGネットワークがカバレッジホールを有し、航空機120の飛行計画が、又は航空機120の軌跡が、航空機120がカバレッジホールに入りそうであることを示唆する場合、通信コントローラ200は、所在位置情報共有及び/又はネットワーク間ハンドオーバを開始するように構成されてよい。
【0044】
別の例示的実施形態では、センサネットワーク240又は第1ATGネットワークの他のアセットは、第1ATGネットワーク内で経験された干渉レベルが干渉閾値に達したことを示す情報を提供してよい。干渉閾値に達したことに応答して、通信コントローラ200は、解除されるネットワークから交替ネットワークに(即ち、本例では第1ATGネットワークから第2ATGネットワークに)所在位置情報を送信してもよい。こうして、ネットワーク間ハンドオーバは、2つのATGネットワークのうちいずれかで検出された高干渉状況を軽減又はそれに応動するようにも働き得る。
【0045】
一例示的実施形態では、通信コントローラ200は、第1バックホール及びネットワーク制御コンポーネント150及び第2バックホール及びネットワーク制御コンポーネント170のうちいずれか又は両方の間で、それぞれ独立型又は分散型コンポーネントとして具体化されてよい。代替的に又は付加的に、通信コントローラ200は、両ネットワークにアクセス可能な共通のロケーション(例えば、WAN160又はインターネット)で、又はコアネットワークロケーションで具体化されてよい。しかしながら、異なるネットワークの基地局が併置されている状況では、異なるネットワークの基地局間の情報は、共通のサイトでローカルに共有され得る。そのような例では、
図1の第1ATG基地局100及び第3ATG基地局130に関連付けられたカバレッジエリアは、同じ源から互いの上に重畳されてよい。同様に、第2ATG基地局110及び第4ATG基地局140に関連付けられたカバレッジエリアは、同じ源から互いの上に重畳されてよい。
【0046】
異なるネットワークの基地局が併置されている一例のコンテキストでは、第1ビームフォーミング制御モジュール250は、第2ビームフォーミング制御モジュール260と同じ物理的サイトに配置されてよい。この例において、第1ビームフォーミング制御モジュール250が第2ビームフォーミング制御モジュール260にハンドオーバする場合、第1ビームフォーミング制御モジュール250は、追跡と、それに続く航空機120の方へのビームフォーミングの為に、連続的に又は定期的に所在位置情報をローカルに記憶してもよい。通信コントローラ200も同じサイトに配置されてよく、所在位置情報を、連続的、定期的又はイベント駆動ベースのいずれかで記憶する為に受信してもよい。通信コントローラ200は次に、所在位置情報の提供が指令された場合に(例えば、上記のトリガイベントによって)、記憶された所在位置情報を第2ビームフォーミング制御モジュール260に提供して、ネットワーク間ハンドオーバの実行に関する第2ATGネットワークの為のビームフォーミングを促進する。そのような事例は、別個に配置された(例えばコアネットワーク又は他の場所に)中央データベースなしで、サイトレベルで(即ち、併置が存在するそれぞれの個々のサイトで)コマンドと制御を備えた分散型アーキテクチャを提供し得る。そのような分散型アーキテクチャはより低いレイテンシ制御と、一般にバックホール消費が少ないという利点を有し得る。
【0047】
図3は、上記のような一例示的実施形態に関連し得る一方法のブロック図を示す。技術的見地から、上記の処理回路210が、
図3で説明するオペレーションの一部又は全部をサポートする為に用いられてよい。その為、
図2に説明するプラットフォームが、幾つかのコンピュータプログラム及び/又はネットワーク通信ベースの相互作用の実施を促進する為に用いられてよい。一例として、
図3は本発明の一例示的実施形態による方法及びプログラムプロダクトの流れ図である。流れ図の各ブロック及び流れ図内のブロックの組み合わせが、ハードウェア、ファームウェア、プロセッサ、回路及び/又は1つ以上のコンピュータプログラム命令を含むソフトウェアの実行に関連する他のデバイス等の種々の手段によって実装されてよいことが理解されよう。例えば、上記で説明した手順のうち1つ以上が、コンピュータプログラム命令によって具体化されてよい。これに関して、上記に説明した手順を具体化するコンピュータプログラム命令は、デバイス(例えば、通信コントローラ200等)のメモリデバイスによって記憶され、デバイス内のプロセッサによって実行されてよい。当然のことながら、任意のそのようなコンピュータプログラム命令がコンピュータ又は他のプログラマブル装置(例えばハードウェア)にロードされて機械を形成し、その結果、コンピュータ又は他のプログラマブル装置で実行する命令が、流れ図ブロック(複数のブロック)に明示された機能を実施する為の手段を生成してもよい。これらのコンピュータプログラム命令はコンピュータ可読メモリに記憶されてもよく、コンピュータ可読メモリは、コンピュータ可読メモリに記憶された命令が、流れ図ブロック(複数のブロック)に明示された機能を実施するプロダクトを生成するように、コンピュータ又は他のプログラマブル装置に特定の方式で機能するように指令してもよい。コンピュータプログラム命令はコンピュータ又は他のプログラマブル装置にロードされて、コンピュータ又は他のプログラマブル装置上で一連のオペレーションを実行させて、コンピュータで実施されるプロセスを生成し、その結果、コンピュータ又は他のプログラマブル装置上で実行される命令が、流れ図ブロック(複数のブロック)に明示された機能を実行させてもよい。
【0048】
従って、流れ図のブロックは、明示された機能を実行する手段の組み合わせと、明示された機能を実行する為のオペレーションの組み合わせをサポートする。流れ図の1つ以上のブロック及び流れ図内のブロックの組み合わせが、明示された機能を実行する特定用途ハードウェアベースのコンピュータシステムによって、又は、特定用途ハードウェアとコンピュータ命令の組み合わせによって実施され得ることも理解されよう。
【0049】
これに関して、
図3に示す本発明の一実施形態による方法は、オペレーション300で、追跡対象であり第1ATGネットワークによってATG無線通信サービスが提供されている飛行中の航空機に関連する所在位置情報を受信することを含んでよい。第1ATGネットワークは、航空機に指向されるビームフォーミングを用いて通信サービスを提供してよい。方法は更に、オペレーション310で、第2ATGネットワークに所在位置情報を提供して、第2ATGネットワークがビームフォーミングを用いて航空機との無線通信を確立する為に所在位置情報を利用することを可能にすることを含んでもよい。第1ATGネットワークと第2ATGネットワークはそれぞれ、RFスペクトルの異なるレンジに亘って動作してよい。
【0050】
図3を参照して上記で説明した方法は、場合によっては、付加的なステップ、修正、増補等を含んでもよい。そのような修正、増補又は付加的なステップは随意であってよく、任意の方式で組み合わされてもよい。例えば、場合によっては方法は更に、オペレーション320で所在位置情報が第2ATGネットワークに提供されたことに応答して第1ATGネットワークから第2ATGネットワークへのハンドオーバを開始することを含んでもよい。場合によっては、ハンドオーバの開始は、第1ATGネットワーク内の干渉が干渉閾値に達したことの示唆に応答してトリガされてもよい。付加的に又は代替的に、ハンドオーバの開始は、第1ATGネットワークと第2ATGネットワークのそれぞれが所定閾値だけ異なっていることに関連するサービス品質関連スコアリング機能に応答してトリガされてもよい。付加的に又は代替的に、ハンドオーバの開始は、第1ATGネットワークのパフォーマンスがパフォーマンス閾値を下回っていることに応答してトリガされてもよい。付加的に又は代替的に、ハンドオーバの開始は、航空機が第1ATGネットワークのカバレッジホールに向かっていることを航空機の飛行計画又は軌跡が示唆していることに応答してトリガされてもよい。一例示的実施形態では、所在位置情報は、所与の将来時間での航空機の将来の所在位置を示す動的位置情報を含んでよい。場合によっては、第1ATGネットワークと第2ATGネットワークはそれぞれ、第2ATGネットワークが航空機との無線通信の確立後の少なくとも所定の期間に亘り、航空機を同時に追跡し航空機と同時に通信してもよい。一例示的実施形態では、第1ATGネットワークはその所定期間が満了後に航空機との通信を停止するように指令されてよい。場合によっては、コントローラは、第1ATGネットワークと第2ATGネットワークそれぞれの基地局にアクセス可能な中央ロケーションに配置されてもよい。しかしながら、中央ロケーションパラダイムへの代替案として、分散型パラダイムも使用されてよく、分散型パラダイムでは、第1ATGネットワークの個々の基地局が、第2ATGネットワークのそれぞれの個々の基地局と併置されており、コントローラの具体例は、第1ATGネットワークの基地局のうち1つが第2ATGネットワークの基地局のうち1つと併置されているそれぞれのサイトに配置されている。
【0051】
前述の記載及び関連の図面に提示された教示の利益を有する、これらの発明が属する技術分野における当業者には、本明細書に記載の本発明の多くの修正及び他の実施形態が想起されるであろう。従って、本発明は本開示の特定の実施形態に限定されないこと、並びに修正形態及び他の実施形態が添付の特許請求の範囲に含まれることを意図していることを理解すべきである。更に、前述の記載及び関連の図面は、要素及び/又は機能の特定の例示的な組み合わせとの関連で例示的実施形態を説明しているが、当然のことながら、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、代替実施形態では、要素及び/又は機能の異なる組み合わせが提供され得る。これに関して、例えば、上で明確に記載されたものとは異なる要素及び/又は機能の組み合わせが、添付の特許請求の範囲のうちの幾つかに記載されてよいとも考えられる。本明細書に、利点、利益、又は課題に対する解決策が記載されている場合、当然のことながら、このような利点、利益及び/又は解決策は幾つかの例示的実施形態に適用可能であり得るが、全ての例示的実施形態に適用可能とは限らない。このように、本明細書に記載の任意の利点、利益又は解決策は、全ての実施形態又は請求項の記載にとって重要な、必要な又は必須のものと考えてはならない。本明細書において具体的な用語を使用したが、それらの用語は単に一般的及び説明的な意味で使用されており、限定的な意図はない。
【符号の説明】
【0052】
100 第1ATG基地局
105、115、135、145 境界
110 第2ATG基地局
120 航空機
130 第3ATG基地局
140 第4ATG基地局
150 第1ATGバックホール及びネットワーク制御コンポーネント
160 WAN
170 第2ATGバックホール及びネットワーク制御コンポーネント
180 第1無線機
185 第2無線機
200 ネットワーク内通信コントローラ
210 処理回路
212 プロセッサ
220 デバイスインタフェース
230 ユーザインタフェース
240 センサネットワーク
250 第1ビームフォーミング制御モジュール
260 第2ビームフォーミング制御モジュール