(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-09
(45)【発行日】2023-02-17
(54)【発明の名称】止血帯の装置
(51)【国際特許分類】
A61B 17/135 20060101AFI20230210BHJP
【FI】
A61B17/135
(21)【出願番号】P 2020571414
(86)(22)【出願日】2019-06-21
(86)【国際出願番号】 IB2019055233
(87)【国際公開番号】W WO2019244111
(87)【国際公開日】2019-12-26
【審査請求日】2022-01-28
(32)【優先日】2018-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505295226
【氏名又は名称】ウエスタン クリニカル エンジニアリング リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】マキューエン、 ジェイムズ アレン
(72)【発明者】
【氏名】ジェームソン、 マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ライ、 トム ユー チア
【審査官】鈴木 敏史
(56)【参考文献】
【文献】特表平10-508215(JP,A)
【文献】特表2017-519596(JP,A)
【文献】特開2012-210359(JP,A)
【文献】特表2010-524521(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/135
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
止血帯の装置であって、
個人の患者の肢を包囲して一定レベルの圧力を適用するカフと、
ユーザが複数のプロトコルシンボルから一のプロトコルシンボルを選択するように適合されたユーザインタフェイスであって、各プロトコルシンボルは、記憶されたプロトコル期間中に複数の記憶された時刻に関連付けられた複数の記憶された圧力レベルを指定する対応安全プロトコルを示し、前記ユーザインタフェイスはさらに、前記ユーザが、前記選択されたプロトコルシンボルが示す前記複数の記憶された圧力レベルのうちの少なくとも一つの圧力レベルを、前記選択されたプロトコルシンボルに関連付けられた安全圧力限界内に調整することを可能にするべく適合される、ユーザインタフェイスと、
前記ユーザによる任意の調整の後に、前記
対応安全プロトコルによって指定された複数の記憶された圧力レベル及び複数の記憶された時刻に応答するコントローラであって、前記記憶されたプロトコル期間の間、前記複数の記憶された時刻において、前記カフによって前記個人の患者に適用される圧力レベルを前記複数の記憶された圧力レベルの近くに維持するべく動作可能であるコントローラと、
前記個人の患者に対する危険が前記ユーザによって知覚される場合、前記コントローラが動作可能である間に任意の時刻において、前記記憶されたプロトコル期間を終了させる前記ユーザによる手動作動のために適合されたプロトコルハザードキーと、
前記コントローラが動作可能である間に前記ユーザによる第2のプロトコルシンボルの選択を防止するように適合されたプロトコル安全インターロックと
を含む装置。
【請求項2】
前記個人の患者の生理学的パラメータのレベルを感知するように適合された生理学的センサをさらに含み、
前記生理学的センサはさらに、前記感知されたレベルが所定のしきい値を超えた場合に前記記憶されたプロトコル期間を終了させるべく適合される、請求項1の装置。
【請求項3】
前記個人の患者の肢閉塞圧を測定するべく適合された生理学的測定装置をさらに含み、
前記プロトコルハザードキーはさらに、前記肢閉塞圧が所定のしきい値を超えた場合に自動作動するように適合される、請求項1の装置。
【請求項4】
前記プロトコルハザードキーの作動が、所定の圧力レベルによって前記複数の記憶された圧力レベルをオーバーライドする、請求項1の装置。
【請求項5】
前記コントローラはさらに、前記複数の記憶された圧力レベル及び前記複数の記憶された時刻に応答するのを、前記記憶されたプロトコル期間の最後において停止する、請求項1の装置。
【請求項6】
前記コントローラはさらに、前記記憶されたプロトコル期間の最後において、前記複数の記憶された圧力レベルを所定の圧力レベルに置換する、請求項1の装置。
【請求項7】
前記コントローラはさらに、前記記憶されたプロトコル期間の最後において、前記複数の記憶された時刻を所定の時刻に置換する、請求項1の装置。
【請求項8】
前記コントローラはさらに、前記記憶されたプロトコル期間の終了後に、前記カフによって前記個人の患者の肢に適用される圧力レベルを所定の圧力レベル近くに維持するべく動作可能となる、請求項1の装置。
【請求項9】
前記プロトコル安全インターロックはさらに、前記カフが前記個人の患者の肢を包囲して
いる間に、前記記憶されたプロトコル期間が終了した後の
前記第2のプロトコルシンボルの選択を防止するように適合される、請求項1の装置。
【請求項10】
前記プロトコル安全インターロックは、前記コントローラが動作可能である間、前記複数の記憶された圧力レベルのいずれか一つが、前記選択されたプロトコルシンボルに関連付けられた安全圧力限界を超えるように調整されることを防止する、請求項1の装置。
【請求項11】
前記プロトコル安全インターロックは、前記コントローラが動作可能である間、前記複数の時刻のいずれか一つが、前記選択されたプロトコルシンボルに関連付けられた安全時刻を超えるように調整されることを防止する、請求項1の装置。
【請求項12】
前記ユーザインタフェイスは、前記
対応安全プロトコルが選択されているというユーザ知覚可能な表示を示すように適合される、請求項1の装置。
【請求項13】
前記ユーザ知覚可能な表示は、前記記憶されたプロトコル期間の最後に前記ユーザインタフェイスから除去される、請求項12の装置。
【請求項14】
前記
対応安全プロトコルはさらに、前記複数の記憶された圧力レベルのそれぞれ一つが前記個人の患者の測定された肢閉塞圧の所定の関数であることを指定する、請求項1の装置。
【請求項15】
前記個人の患者の測定された肢閉塞圧の所定の関数は、パーセンテージである、請求項14の装置。
【請求項16】
前記
対応安全プロトコルはさらに、前記複数の記憶された圧力レベルのそれぞれ一つが前記個人の患者の測定された肢閉塞圧の所定の関数よりも所定のマージンだけ大きいことを指定する、請求項1の装置。
【請求項17】
止血帯の装置であって、
個人の患者の肢を包囲して一定レベルの圧力を適用するカフと、
ユーザが複数のプロトコルシンボルから一のプロトコルシンボルを選択するように適合されたユーザインタフェイスであって、各プロトコルシンボルは、記憶されたプロトコル期間中に複数の記憶された時刻に関連付けられた複数の記憶された圧力レベルを指定する対応安全プロトコルを示し、前記ユーザインタフェイスはさらに、前記ユーザが、前記選択されたプロトコルシンボルが示す複数の記憶された時刻のうちの少なくとも一つの時刻を、選択されたプロトコルシンボルに関連付けられた安全時間制限内に調整することを可能にするべく適合される、ユーザインタフェイスと、
前記ユーザによる任意の調整の後に、前記
対応安全プロトコルによって指定された複数の記憶された圧力レベル及び複数の記憶された時刻に応答するコントローラであって、前記記憶されたプロトコル期間の間、前記複数の記憶された時刻において、前記カフによって前記個人の患者に適用される圧力レベルを前記複数の記憶された圧力レベルの近くに維持するべく動作可能であるコントローラと、
前記個人に対する危険がある場合、前記コントローラが動作可能である間に任意の時刻において、前記記憶されたプロトコル期間を終了させる前記ユーザによる手動作動のために適合されたプロトコルハザードキーと、
前記コントローラが動作可能である間に前記ユーザによる第2のプロトコルシンボルの選択を防止するように適合されたプロトコル安全インターロックと
を含む装置。
【請求項18】
止血帯の装置であって、
個人の患者の肢を包囲して一定レベルの圧力を適用するカフと、
ユーザが複数のプロトコルシンボルから一のプロトコルシンボルを選択するように適合されたユーザインタフェイスであって、各プロトコルシンボルは、記憶されたプロトコル期間中に複数の記憶された時刻に関連付けられた複数の記憶された圧力レベルを指定する対応安全プロトコルを示し、前記ユーザインタフェイスはさらに、前記ユーザが、前記選択されたプロトコルシンボルが示す前記複数の記憶された圧力レベルのうちの少なくとも一つの圧力レベルを、前記選択されたプロトコルシンボルに関連付けられた安全圧力限界内に調整することを可能にするべく適合される、ユーザインタフェイスと、
前記ユーザによる任意の調整の後に、前記
対応安全プロトコルによって指定された複数の記憶された圧力レベル及び複数の記憶された時刻に応答するコントローラであって、前記記憶されたプロトコル期間の間、前記複数の記憶された時刻において、前記カフによって前記個人の患者に適用される圧力レベルを前記複数の記憶された圧力レベルの近くに維持するべく動作可能であるコントローラと、
個人の患者に対する危険が前記ユーザによって知覚される場合、前記コントローラが動作可能である間に任意の時刻において、前記記憶されたプロトコル期間を手動で終了させる前記ユーザによる作動のために適合されたプロトコルハザードキーと、
前記コントローラが動作可能である間に前記ユーザによる第2のプロトコルシンボルの選択を防止するように適合されたプロトコル安全インターロックと、
前記個人の患者への前記止血帯の装置の接続をモニタするように適合された患者モニタであって、前記止血帯の装置はさらに、前記個人の患者へのモニタされる接続が中断された場合、前記記憶されたプロトコル期間を終了させるように適合される、患者モニタと
を含む装置。
【請求項19】
前記患者モニタは、前記個人の患者の生理学的パラメータのレベルを感知するべく適合された生理学的センサを含み、
前記接続は、前記生理学的パラメータのレベルをモニタすることによってモニタされ、前記レベルが記憶されたしきい値を下回った場合に中断が決定される、請求項18の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照によりここに組み入れられる2018年6月22日に出願された米国仮特許出願第62/688,997号の利益を主張する。
【0002】
本発明は、医療処置の安全な実施を容易にするべく患者の肢の一部分への動脈血の流れを制限することを目的として一般に使用される空気圧止血帯システムに関する。詳しくは、本発明は、ユーザ選択可能安全プロトコルを備えた空気圧止血帯装置に関する。各安全プロトコルは、特定の個人の患者のための医療処置の持続期間中に維持される複数の記憶された時間に関連付けられた複数の記憶された圧力レベルを特定する。各安全プロトコルはさらに、危険な動作を防止するプロトコルハザードキー及びプロトコル安全インターロックを含む。
【背景技術】
【0003】
止血帯システムは、外科的設定において、患者の肢の一部分又は一領域への動脈血の侵入を止め、ひいては外科的処置の実行を容易にして結果を改善するきれいな乾燥した外科的領域をもたらすべく一般に使用される。先行技術の外科的止血帯システムは、一肢を所望箇所において包囲する止血帯カフ、止血帯機器、及び当該カフを当該機器に接続する可撓性チューブを含む。止血帯機器は、ユーザが圧力、時間及び他のパラメータを見て調整し、止血帯カフの膨張又は収縮を開始させるためのユーザインタフェイスを包含する。典型的に、ユーザは、外科的処置の実施のための基準圧力レベル及び適切な長さの時間を設定する。ユーザは、外科的処置の持続期間に止血帯カフを基準圧力レベルまで膨張させ、外科的処置の終了時に止血帯カフを収縮させる。かかる空気圧外科用止血帯システムの多くのタイプが、先行技術に記載されてきた。例えば、McEwenが特許文献1~3に記載し、McEwen及びJamesonが特許文献4及び5に記載するものがある。これらは、参照によりここに組み入れられる。
【0004】
基準圧力レベルの設定にはいくつかの方法がある。いくつかの例が以下に記載される。
【0005】
いくつかの場合、基準圧レベルは、上肢に対して250mmHg又は下肢に対して350mmHgのいずれかの標準圧力に設定される。しかしながら、この方法は外科的処置が上肢に行われるか又は下肢に行われるかが考慮されるにすぎない。危険な状態につながり得る可能性のある血圧又は肢の特徴のような患者の生理学的特徴は考慮されない。一例として、この方法は、ユーザが小児患者の下肢に対して350mmHgの基準圧力レベルを設定及び適用することにつながる。典型的に、動脈血流を閉塞するのに必要な圧力は成人患者よりも小児患者の方が低いので、この方法は、過剰な適用圧力及び傷害のリスク増加をもたらし得る。したがって、小児患者に関与する外科的処置については、基準圧レベルを、成人患者に使用されるものより低くしてさらに制限する必要がある。
【0006】
他の方法は、式に基づいて基準圧力レベルを設定することである。典型的に、これらの式は、カフ幅、患者の収縮期血圧及び肢周長のようなパラメータを含む。しかしながら、この方法は複雑であり、ユーザは時間のかかる計算を行う必要がある。さらに、これらの式は特定の止血帯カフにのみ適用可能となり得る。適用されたカフに対して意図しない処方を使用することは、加圧不足又は加圧過剰につながり、神経損傷及び軟組織損傷による出血又はリスク増加をもたらし得る。
【0007】
他の方法は、McEwenが特許文献6に記載するような、患者の肢閉塞圧(LOP)に基づいて基準圧力レベルを設定することである。LOPは、特定の患者の肢の特定の箇所に適用される特定の止血帯カフにおいて特定の時間に、カフより遠位の肢への動脈血の流れを停止するべく必要な最小圧力として定義することができる。LOPは、患者の肢の特徴、選択された止血帯カフの特徴、肢へのカフの適用技法、血圧及び肢温度を含む患者の生理学的特徴、並びに他の臨床的因子(例えばLOP測定中の肢の挙上の程度及び測定中の肢の動きの程度)を含む変数によって影響を受ける。LOPは、ドップラー超音波を使用して手動で測定し、McEwenが特許文献6に記載するような遠位センサを使用して自動的に測定し、又はMcEwenが特許文献7に記載するような二重目的カフを使用して自動的に測定することができる。これらの文献はすべて参照によりここに組み入れられる。LOPに基づいて止血帯圧を設定するべく現在確立されているガイドラインは、外科的処置の持続期間にわたって通常起こると予想される生理学的特性の変動及び他の変化を考慮するための努力の一環として、測定されたLOPに圧力の追加安全マージンが加えられることである。しかしながら、この安全マージンは一般化されており、外科的処置に固有の要件を考慮していない。例えば、使用される麻酔薬ゆえに、又はいくつかの外科的処置の間に経験されるより大きな肢操作ゆえに、さらに高い安全マージンが必要とされ得る。
【0008】
特許文献6において、McEwenらは、単一カフのための単一チャネルを備えた外科用止血帯システムを記載する。しかしながら、止血帯システムはまた、2つのカフのための2つのチャネル、又は2つの空気袋を備えた単一のカフにも一般的に使用される。これらの多カフ又は多空気袋止血帯システムは、静脈内局所麻酔(IVRA)処置又は両側処置を含む手術に対して一般的に使用される。どちらの場合も、基準圧力レベル及び時間は、手術の結果及び患者の安全にとって重要である。
【0009】
IVRA処置において、麻酔薬を所望エリア内に導入した後に保持するべく、二重空気袋カフ又は2カフシステムが使用される。二重空気袋カフ又は2カフシステムの基準圧力レベル又は膨張及び収縮の時間が適切に設定されない場合、麻酔薬が患者の循環系に入って重篤な傷害又は死亡を引き起こし得る。
【0010】
両側処置では、患者の肢にある多数のカフを同時に膨張又は収縮させると、患者の血圧及び深部体温の急激な変化のような望ましくない全身反応を引き起こすことがある。
【0011】
外科的設定の外では、止血帯システムはまた、患者の肢の術前リハビリテーション又は(通常の)リハビリテーションを目的とする血流制限(BFR)療法のために使用され得る。典型的に、ユーザは、BFR治療の実施のために基準圧力レベル及び適切な長さの期間を設定する。BFR療法の所望の効果に応じて、止血帯カフは、一つの膨張時間又は多数の膨張収縮サイクルに関与して患者が静止している間又は多セットの運動反復を行っている間に、上肢又は下肢に、単一肢又は複数肢に適用される。外科的設定において使用される止血帯システムと同様に、基準圧力レベル及び時間の設定は、特定のBFR療法に依存し、BFR療法の安全性及び有効性にとって重要である。
【0012】
その医療処置が手術を目的とするかBFRを目的とするかにかかわらず、事前に選択された安全プロトコルが、異なる医療処置を目的として異なる患者に使用される場合、危険な状態が発生する可能性がある。例えば、下肢肥満患者のために予め選択された安全プロトコルが小児患者に使用される場合、過剰に高い圧力レベル及び過剰に長い時間が使用されて患者の傷害リスクが増大し得る。
【0013】
プロトコル期間中に、止血帯の使用に関係しない危険な状態が生じることもある。したがって、止血帯装置にとって、当該止血帯装置が所定の安全圧力レベル及び時間に復帰するような危険な状況がユーザによって知覚された場合に、ユーザが安全プロトコルを終了できるようにすることが重要となる。
【0014】
したがって、ユーザが複数の安全プロトコルから、外科的処置又はBFR療法のような特定の医療処置の持続期間に対して安全かつ有効な安全プロトコルを選択することを許容する止血帯システムが必要とされている。各安全プロトコルは、特定の外科的処置又はBFR療法に対する患者及びカフの変数、並びに安全要件を考慮するべく、プロトコル期間内の複数回に関連付けられた複数の基準圧力レベルを指定する。各プロトコルはさらに、ユーザによる危険な操作を防止するべく基準圧力レベル及び時間に関連付けられた安全限界を指定する。各安全プロトコルはさらに、危険な操作を防止するためのプロトコルハザードキー及びプロトコル安全インターロックを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【文献】米国特許第4,469,099号明細書
【文献】米国特許第4,479,494号明細書
【文献】米国特許第5,439,477号明細書
【文献】米国特許第5,556,415号明細書
【文献】米国特許第5,855,589号明細書
【文献】米国特許第9,931,126号明細書
【文献】米国特許第9,301,701号明細書
【文献】米国特許第6,682,547号明細書
【発明の概要】
【0016】
以下に記載されるのは、従来の止血帯装置及び方法の欠点に対処する止血帯装置及び方法である。
【0017】
第1実施形態によれば、止血帯装置は、個人の患者の肢を包囲して一定レベルの圧力を適用するカフと、ユーザインタフェイスと、コントローラと、プロトコルハザードキーと、プロトコル安全インターロックとを含む。ユーザインタフェイスは、ユーザが複数のプロトコルシンボルから一のプロトコルシンボルを選択するように適合され、各プロトコルシンボルは、記憶されたプロトコル期間中に複数の記憶された時刻に関連付けられた複数の記憶された圧力レベルを指定する対応安全プロトコルを示す。ユーザインタフェイスはさらに、ユーザが、選択されたプロトコルシンボルが示す複数の記憶された圧力レベルのうちの少なくとも一つの圧力レベルを、当該選択されたプロトコルシンボルに関連付けられた安全圧力限界内に調整することを可能にするべく適合される。コントローラは、ユーザによる任意の調整の後に、安全プロトコルによって指定された複数の記憶された圧力レベル及び複数の記憶された時刻に応答し、記憶されたプロトコル期間の間、複数の記憶された時刻においてカフによって個人の患者に適用される圧力レベルを複数の記憶された圧力レベルの近くに維持するように動作可能である。プロトコルハザードキーは、個人の患者に対する危険がユーザによって知覚される場合、コントローラが動作可能である間に任意の時刻において、記憶されたプロトコル期間を終了させるユーザによる手動作動のために適合される。プロトコル安全インターロックは、コントローラが動作可能である間にユーザによる第2のプロトコルシンボルの選択を防止するように適合される。
【0018】
止血帯装置はさらに、個人の患者の生理学的パラメータのレベルを感知するように適合された生理学的センサを含み、このセンサはさらに、感知されたレベルが所定のしきい値を超えた場合に、記憶されたプロトコル期間を終了させるべく適合される。
【0019】
止血帯装置は、個人の患者の肢閉塞圧を測定するべく適合された生理学的測定装置をさらに含み得る。ここで、プロトコルハザードキーはさらに、肢閉塞圧が所定のしきい値を超えた場合に自動作動するように適合される。
【0020】
止血帯装置は、プロトコルハザードキーの作動が所定の圧力レベルによって複数の記憶された圧力レベルをオーバーライドするように構成されてよい。
【0021】
止血帯装置は、コントローラがさらに、複数の記憶された圧力レベル及び複数の記憶された時刻に応答するのを、記憶されたプロトコル期間の最後において停止するように構成されてよい。
【0022】
止血帯装置は、コントローラがさらに、記憶されたプロトコル期間の最後において、複数の記憶された圧力レベルを所定の圧力レベルに置換するように構成されてよい。
【0023】
止血帯装置は、コントローラがさらに、記憶されたプロトコル期間の最後において、複数の記憶された時刻を所定の時刻に置換するように構成されてよい。
【0024】
止血帯装置は、コントローラがさらに、記憶されたプロトコル期間の終了後に、カフによって個人の患者の肢に適用される圧力レベルを所定の圧力レベル近くに維持するべく動作可能となるように構成されてよい。
プロトコル安全インターロックはさらに、カフが個人の患者の肢を包囲している間に、記憶されたプロトコル期間が終了した後の第2のプロトコルシンボルの選択を防止するように適合されてよい。プロトコル安全インターロックは、コントローラが動作可能である間、複数の記憶された圧力レベルのいずれか一つが、選択されたプロトコルシンボルに関連付けられた安全圧力限界を超えるように調整されることを防止することができる。プロトコル安全インターロックは、コントローラが動作可能である間、複数の時刻のいずれか一つが、選択されたプロトコルシンボルに関連する安全時間制限を超えるように調整されることを防止することができる。
【0025】
ユーザインタフェイスは、安全プロトコルが選択されているというユーザ知覚可能な表示を示すように構成することができる。ユーザ知覚可能な表示は、記憶されたプロトコル期間の最後にユーザインタフェイスから除去することができる。
【0026】
安全プロトコルはさらに、複数の記憶された圧力レベルのそれぞれ一つが個人の患者の測定された肢閉塞圧の所定の関数であることを指定することができる。個人の患者の測定された肢閉塞圧の所定の関数は、そのパーセンテージとしてよい。安全プロトコルはさらに、複数の記憶された圧力レベルのそれぞれ一つが、個人の患者の測定された肢閉塞圧よりも所定マージンだけ大きくなるように指定することができる。
【0027】
他の実装例によれば、止血帯装置は、個人の患者の肢を包囲して一定レベルの圧力を適用するカフ、ユーザインタフェイス、コントローラ、プロトコルハザードキー、及びプロトコル安全インターロックを含む。ユーザインタフェイスは、ユーザが複数のプロトコルシンボルから一のプロトコルシンボルを選択するように適合され、各プロトコルシンボルは、記憶されたプロトコル期間中に複数の記憶された時刻に関連付けられた複数の記憶された圧力レベルを指定する対応安全プロトコルを示す。ユーザインタフェイスは、ユーザが、選択されたプロトコルシンボルが示す複数の記憶された時刻のうちの少なくとも一つの時刻を、選択されたプロトコルシンボルに関連付けられた安全時刻制限内に調整することを可能にするべく適合されてよい。コントローラは、ユーザによる任意の調整の後に、安全プロトコルによって指定された複数の記憶された圧力レベル及び複数の記憶された時刻に応答することができ、記憶されたプロトコル期間の間、複数の記憶された時刻において、カフによって個人の患者に適用される圧力レベルを当該複数の記憶された圧力レベルの近くに維持するべく動作可能である。プロトコルハザードキーは、個人に対する危険がある場合にコントローラが動作可能である間、任意の時刻において、記憶されたプロトコル期間を終了させるユーザによる手動作動のために適合され得る。プロトコル安全インターロックは、コントローラが動作可能である間、ユーザによる第2のプロトコルシンボルの選択を防止するように適合され得る。
【0028】
他の実装例によれば、止血帯装置は、個人の患者の肢を包囲して一定レベルの圧力を適用するカフ、ユーザインタフェイス、コントローラ、プロトコルハザードキー、プロトコル安全インターロック、及び患者モニタを含む。ユーザインタフェイスは、ユーザが複数のプロトコルシンボルから一のプロトコルシンボルを選択するように適合され、各プロトコルシンボルは、記憶されたプロトコル期間中に複数の記憶された時刻に関連付けられた複数の記憶された圧力レベルを指定する対応安全プロトコルを示す。ユーザインタフェイスはさらに、ユーザが、選択されたプロトコルシンボルが示す複数の記憶された圧力レベルのうちの少なくとも一つの圧力レベルを、当該選択されたプロトコルシンボルに関連付けられた安全圧力限界内に調整することを可能にするべく適合され得る。コントローラは、ユーザによる任意の調整の後に、安全プロトコルによって指定された複数の記憶された圧力レベル及び複数の記憶された時刻に応答することができ、記憶されたプロトコル期間の間、複数の記憶された時刻において、カフによって個人の患者に適用される圧力レベルを当該複数の記憶された圧力レベルの近くに維持するべく動作可能である。プロトコルハザードキーは、個人の患者に対する危険がユーザによって知覚される場合、コントローラが動作可能である間に任意の時刻において、記憶されたプロトコル期間を手動で終了させるユーザによる作動のために適合され得る。プロトコル安全インターロックは、コントローラが動作可能である間、ユーザによる第2のプロトコルシンボルの選択を防止するように適合され得る。患者モニタは、個人の患者への止血帯装置の接続をモニタするように適合され得る。ここで、止血帯装置はさらに、個人の患者へのモニタされる接続が中断された場合、記憶されたプロトコル期間を終了させるように適合される。
【0029】
止血帯装置は、個人の患者の生理学的パラメータのレベルを感知するべく適合された生理学的センサを含み得る。ここで、その接続は、生理学的パラメータのレベルをモニタすることによってモニタされ、そのレベルが記憶されたしきい値を下回った場合に中断が決定される。
【0030】
本発明の前述及び他の目的、特徴、及び利点は、添付の図面を参照しながら進める以下の詳細な説明からより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】好ましい実施形態の詳細なブロック図である。
【
図2】複数のプロトコルシンボルから一のプロトコルシンボルを選択するべく手術中に使用される好ましい実施形態の図である。
【
図3】小児の上肢処置に対応するプロトコルシンボルが選択されている間に、手術中に使用される好ましい実施形態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
例示の実施形態は、本発明を、開示された正確な形態に包括又は限定することを意図しない。これらは、本発明の原理、その適用及び実際の使用を説明することにより当業者が本発明を利用できるようにするべく選択及び説明される。
【0033】
図1は、好ましい実施形態の止血帯システムのブロック図を示す。カフ2が、個人の患者4の肢を包囲してホースアセンブリ8を介して機器6に空気圧接続されるように示される。機器6は、コントローラ10、ユーザインタフェイス20、プロトコル安全インターロック30、患者監視モジュール40、及びスピーカ50を含む。
コントローラ10は、カフ2内の空気圧を基準圧力レベル近くに調整する空気圧ポンプ及びバルブアセンブリを含む。
【0034】
ユーザインタフェイス20は、ユーザが機器6の動作を制御できるようにするべくコントローラ10と通信する。
【0035】
好ましい実施形態において、ユーザインタフェイス20は、統合されたタッチ画面を備えたLCDグラフィックディスプレイであり、ユーザ入力を受け取ってシンボルを示すことができる他のタイプのユーザインタフェイスも使用され得ることがわかる。
【0036】
ユーザインタフェイス20はプロトコルシンボル選択器22を含む。プロトコルシンボル選択器22によりユーザは、表示されたプロトコルシンボルの選択から所望のプロトコルを表すプロトコルシンボルにタッチすることによって個人の患者に固有の所望の安全プロトコルを選択し、当該患者に関与する医療処置を容易にすることができる。安全プロトコルは、一連の記憶された圧力レベルを含む記憶されたプロトコル期間を指定する。記憶された圧力レベルはそれぞれが、記憶された圧力レベルが維持される記憶された時間に関連付けられる。プロトコルシンボルの選択時、プロトコルシンボル選択器22は、選択された安全プロトコルを、プロトコル安全インターロック30を介してコントローラ10に通信する。コントローラ10は、安全プロトコルに応答し、記憶されたプロトコル期間中にカフ2内の圧力を、記憶された圧力レベルのそれぞれの近くに維持するべく動作可能である。
【0037】
安全プロトコルはまた、記憶された圧力レベル及び時刻に関連付けられた安全限界を指定してよい。ユーザインタフェイス20は、以下にさらに説明されるように、記憶された圧力レベル及び記憶された時刻を、安全プロトコルにおいて指定された安全限界内となるようにユーザが手動で調整することを許可してよい。ユーザが、記憶された圧力レベル又は記憶された時刻を、関連付けられた安全限界を超えるように調整しようとすると、視覚及び/又は音声の警告が、ユーザインタフェイス20及びスピーカ50により生成され、並びに/又はプロトコル安全インターロック30が、関連付けられた安全限界を超える調整にコントローラ10が作用することを防止する。プロトコル安全インターロック30は、ソフトウェア及び/又はハードウェアを介して実装されてよい。
【0038】
ユーザインタフェイス20はさらに、プロトコルセーフティインターロック30を介してコントローラ10と通信するプロトコルハザードキー24を含む。コントローラ10が動作可能である間、個人の患者に対する危険がユーザによって感知される場合、ユーザは、記憶されたプロトコル期間を終了させることによって、選択された安全プロトコルを手動で終了させるべく、プロトコルハザードキー24を作動させてよい。わかることだが、プロトコルハザードキー24は、ユーザインタフェイス20上に示される以外の実装としてよい。例えば、プロトコルハザードキー24は、遠隔装置上の別個のキーとして実現されてよい。コントローラ10は、記憶されたプロトコル期間がひとたび終了すると、選択された安全プロトコルにもはや応答しない。その後、プロトコル安全インターロック30は、カフ2内の圧力を所定の時間、所定の基準圧力レベル近くに維持するべく、コントローラ10と通信することができる。
【0039】
コントローラ10が動作可能である間、プロトコル安全インターロック30は、ユーザによるプロトコルシンボル選択器22を介した第2のプロトコルシンボルの選択を防止し、個人の患者のための医療処置の途中で、異なる潜在的に不適切かつ危険な安全プロトコルにコントローラ10が従う危険な状況を防止する。
【0040】
機器6は、患者モニタモジュール40を含み得る。患者モニタモジュール40は、個人の患者への止血帯装置の接続をモニタし、個人の患者の生理学的信号をモニタするように適合される。患者モニタモジュール40は、個人の患者へのモニタされる接続が中断された場合、又は生理学的信号が所定のしきい値を上回るか若しくは下回る場合に、記憶されたプロトコル期間を終了させることによって安全プロトコルを停止させることができる。
【0041】
好ましい実施形態において、患者モニタモジュール40は、参照により組み入れられる特許文献8にMcEwenが記載しているように、ホースアセンブリ8のコネクタに担持されるカフ識別装置42を含む。カフ識別装置42は、カフ2が機器6に接続されているか否か、及び幅、長さのようなカフ2の物理的特徴を識別することができる。患者モニタモジュール40は、カフ2がもはや個人の患者4の肢を包囲していない場合にプロトコル危険キー24を自動的に作動させるべく、ユーザインタフェイス20と通信する。患者モニタモジュール40はさらに、プロトコル安全インターロック30と通信してよい。カフが個人の患者4の肢を包囲する間に、記憶されたプロトコル期間が終了した後、プロトコルシンボル選択器22を介して第2のプロトコルシンボルの選択を防止することができる。プロトコル安全インターロック30は、カフ2が個人の患者4の肢から取り外されていることを患者モニタ40がひとたび検出すると、第2のプロトコルシンボルの選択が再び可能とし、第2の患者が機器6に接続される。代替的に、プロトコル安全インターロック30は、ひとたびユーザが動作を確認したときに、第2のプロトコルシンボルの選択を再び可能にしてよい。これにより、ユーザは、第2の患者に対し、不適切かつ危険となり得る同じ安全プロトコルを不注意に使用することが防止される。選択されたプロトコルシンボルに関連付けられた複数の圧力レベル及び複数の時刻、並びにそれらの安全限界は、カフ識別装置42を介してカフ2の検出された物理的特徴に基づいて修正されてよい。わかることだが、カフ2が個人の患者4の肢を包囲するか否かを決定するべく他の装置を使用してよい。
【0042】
患者モニタモジュール40は、個人の患者の生理学的パラメータのレベルを感知するべく適合された生理学的センサを含み得る。好ましい実施形態において、生理学的センサは血流センサ44であり、生理学的パラメータのレベルは、McEwenが特許文献7に記載しているように、個人の患者の肢閉塞圧(LOP)である。前段に記載されたように、患者モニタモジュール40は、個人の患者の生理的パラメータの感知レベルが所定のしきい値を超える場合、プロトコルハザードキー24を自動的に作動させることができる。代替的に、患者モニタモジュール40は、生理学的パラメータのレベルが記憶されたしきい値を下回った場合、記憶されたプロトコル期間を終了させることによって安全プロトコルを自動的に停止させることができる。選択されたプロトコルシンボルに関連付けられた複数の記憶された圧力レベル及び複数の記憶された時刻、並びにそれらの安全限界はまた、個人の患者の生理学的パラメータの測定されたレベルに基づいて修正されてよい。例えば、測定されたLOP値に応じて、複数の記憶された圧力レベルを、LOPプラス安全マージンとしてよい。安全マージンはさらに、LOPの測定値に応じて修正してよい。代替的に、複数の記憶された圧力レベルは、パーセンテージのようなLOPの関数としてよい。わかることだが、個人の患者4の生理学的パラメータのレベルを決定するべく他の装置も使用してよい。
【0043】
ユーザインタフェイス20は、安全プロトコル表示器26を含み得る。コントローラ10が動作可能である間、プロトコル安全インターロック30は、
図3に示すように、安全プロトコルが選択されたというユーザ知覚可能な表示を示すべく、安全プロトコル表示器26と通信することができる。記憶されたプロトコル期間が安全プロトコルの最後に終了すると、安全プロトコル表示器26はユーザインタフェイスから除去され、もはやユーザに知覚されない。
【0044】
本発明を、様々な一意性の患者及び医療処置のために安全に使用することを許容するべく、多数の一意性の安全プロトコルがコントローラ10によって記憶される。コントローラ10によって記憶される一意性の安全プロトコルはそれぞれが、一意性のシンボルに関連付けられる。
【0045】
図2~
図3は、好ましい実施形態の止血帯システムの動作を描く。
【0046】
図2に示されるように、ユーザインタフェイス20は、プロトコルシンボル22a、22b、22c、22dを表示する。プロトコルシンボルはそれぞれが、コントローラ10によって記憶された安全プロトコルに関連付けられる。ユーザインタフェイス20により、機器6のユーザは、関連付けられたプロトコルシンボルにタッチすることによって、又は他の方法で選択を示すことによって、所望の安全プロトコルを選択することができる。
【0047】
図3は、ユーザが
図2からプロトコルシンボル20aを選択した後の、記憶されたプロトコル期間中のユーザインタフェイス22を示す。ユーザインタフェイス20は、安全プロトコル表示器26を介して選択された安全プロトコルのユーザ知覚可能な表示を含む。安全プロトコル表示器26は、小児患者の上肢への外科的処置に適した安全プロトコルに関連付けられた選択されたプロトコルシンボル22aを表示する。
【0048】
ユーザインタフェイス20は、選択された安全プロトコルに関連付けられた記憶されたプロトコル期間全体にわたる複数の記憶された圧力レベル及び記憶された時刻を、グラフ表現100を介して示す。
【0049】
グラフ表現100において、機器6は時点110にある。時点110の左側の実線は、選択された安全プロトコルに応じて機器6が既に完了した圧力及び時間プロファイルを模式的に示す。第一に、時間122の間に血流センサ44を使用して自動LOP測定が行われた。第二に、外科的処置の実施を許容するべく時間132の間に、記憶された圧力レベル130までカフ2が膨張された。
【0050】
時点110の右側の破線は、選択された安全プロトコルに応じて機器6が完了するべく残された圧力及び時間のプロファイルを模式的に示す。期間132の最後において機器6は、カフ2内の圧力レベルを、期間142の間、記憶された圧力レベル140まで、その後、期間152の間、記憶された圧力レベル150まで、そして最後に、記憶されたプロトコル期間162の終わりに0mmHg近くの圧力レベルまで低下させ、ユーザが小児患者内の毒素の放出をチェックできるようにする。
【0051】
記憶されたプロトコル期間162の開始時における自動LOP測定の代替として、ユーザインタフェイス20は、実施されるべき医療処置、患者の年齢、肢の周囲、性別若しくは体重、又は超音波ドップラーを介して手動で測定される患者のLOPのようなパラメータを入力するようユーザに促すことができる。その後、コントローラ10は、選択された安全プロトコルに含まれる所定の式を使用して、記憶された圧力レベル、時刻、及び安全限界を指定する。
【0052】
記憶された圧力レベル130、140、150は、患者の測定されたLOPの関数であり、これは、選択された安全プロトコルによって指定される。この関数は、患者の測定LOPのパーセンテージ、患者の測定LOPに安全マージン又は他の所定の数学的関数を加えたものとしてよい。安全プロトコルはさらに、LOP測定の結果又は方法に基づいて、記憶された圧力レベル、時刻、及び安全調整限界を適合させることができる。ユーザインタフェイス20により、ユーザは、選択された安全プロトコルに関連付けられた記憶された圧力レベル及び時刻を安全圧力及び時刻制限内に調整することができる。例えば、小児患者の上肢手術のための安全プロトコルは、最初に記憶された圧力レベルをLOPプラス50mmHgと指定し、安全圧力限界をLOPプラス100mmHgと指定することができる。ユーザが記憶された圧力レベル又は時刻を、安全限界を超えるように調整しようとすれば、コントローラ10は、ユーザインタフェイス20及び/又はスピーカ50を介して視覚及び/又は音声の警告を生成することができる。この例において、ユーザが最初に記憶された圧力をLOP未満又はLOPプラス100mmHg超過に調整しようとすれば、コントローラ10は、ユーザインタフェイス20及び/又はスピーカ50を介して視覚及び/又は音声の警告を生成する。システムは、第2のカフ及び第2のホースアセンブリを含むように適合されてよい。コントローラ10は、安全プロトコルが指定するように、各カフに対して空気圧を、記憶された圧力レベル近くに調整するように適合されてよい。機器及び安全プロトコルの機能はすべて上記と同じであるが、安全プロトコルが、両方のカフに対する記憶された圧力レベル、時刻、及び安全限界を指定し、ひいては、IVRA処置若しくは両側外科処置、又はBFR療法のための両方のカフの安全かつ効果的な膨張及び収縮を許容するべく、記憶された圧力レベルの制御を各カフにおいて同期させる点が異なる。
【0053】
上記発明は、個人の患者のための安全な止血帯動作を個人のユーザが迅速に指定することを可能にするユーザ選択可能な安全プロトコルを有する止血帯装置を記載する。これにより、患者に関与する医療処置が容易となる一方、患者にとって有害となり得る止血帯の動作が同時に防止される。
【0054】
開示された原理を適用し得る多くの可能な実施形態を考慮すれば、例示の実施形態が好ましい例にすぎず、範囲を限定するものとみなすべきでないことがわかるはずである。むしろ、保護の範囲は、以下の特許請求の範囲によって定義される。