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特許7224431車両の位置を決定するための方法および装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-09
(45)【発行日】2023-02-17
(54)【発明の名称】車両の位置を決定するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/09 20060101AFI20230210BHJP
   B60W 40/04 20060101ALI20230210BHJP
【FI】
G08G1/09 H
B60W40/04
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021500590
(86)(22)【出願日】2019-05-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-25
(86)【国際出願番号】 EP2019063497
(87)【国際公開番号】W WO2020011440
(87)【国際公開日】2020-01-16
【審査請求日】2021-01-08
(31)【優先権主張番号】102018211326.2
(32)【優先日】2018-07-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100195408
【弁理士】
【氏名又は名称】武藤 陽子
(72)【発明者】
【氏名】ベッテ,フィリップ
【審査官】貞光 大樹
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0345307(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0335263(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0089319(US,A1)
【文献】国際公開第2018/053252(WO,A1)
【文献】特開2007-178271(JP,A)
【文献】特開2007-126086(JP,A)
【文献】国際公開第2016/203515(WO,A1)
【文献】特開2017-84137(JP,A)
【文献】特開2008-298698(JP,A)
【文献】国際公開第2017/057044(WO,A1)
【文献】特開2005-300415(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
G01C 21/00
B60W 40/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(100)の位置を決定するための方法(300)であって、前記方法(300)が、以下のステップ、すなわち
実施機構(152)が前記車両(100)の測位機構(110)を使用して前記車両(100)の自車測位を実施して、前記車両(100)の暫定的な位置(153)を生成するステップ(310)と、
読込機構(154)が位置信号(125)を読み込み(320)、前記位置信号(125)が他車(201、202、203、204、205)の位置を表しているステップと、
前記車両(100)の周辺環境センサ(130)によって提供される、前記車両(100)の周辺環境についての周辺環境データ(135)内で、識別機構(158)が前記他車(201、202、203、204、205)を識別するステップ(340)と、
前記識別のステップ(340)において、前記車両(100)の前記周辺環境内で前記他車(201、202、203、204、205)が識別される場合に、確定機構(156)が、識別された他車に対する前記車両(100)の相対位置を、前記識別された他車の前記位置信号(125)および前記周辺環境データ(135)を使用して確定し、前記暫定的な位置(153)および前記相対位置を使用して前記車両(100)の位置を決定するステップ(330)と、
前記測位機構(110)は、GNSS受信器を含み、
前記読込のステップ(320)では、前記位置信号(125)が、ネットワークを介して接続されたサーバに対するインターフェイスを介して読み込まれ、
前記車両(100)の前記暫定的な位置および/または前記他車(201、202、203、204、205)の位置が、車道(210)の走行中のレーン(211、212、213、214、215)に関する割り当てられたレーン値および割り当てられた信頼値を有し
前記相対位置は、前記識別された他車が走行中のレーンに対する前記車両(100)が走行中のレーンの位置を含み、
前記ステップ(330)で決定される前記車両(100)の位置は、前記レーン(211、212、213、214、215)のうち、前記車両(100)が走行中のレーンの情報を含む、方法(300)。
【請求項2】
前記読込のステップ(320)では、さらなる位置信号(125)が読み込まれ、前記さらなる位置信号(125)が、さらなる他車(201、202、203、204、205)の位置を表しており、この場合、前記確定のステップ(330)では、前記暫定的な位置(153)、前記相対位置、およびさらなる相対位置を使用して前記車両(100)の前記位置を決定するために、前記確定機構(156)が前記さらなる位置信号(125)を使用して前記さらなる他車(201、202、203、204、205)に対する前記車両(100)の前記さらなる相対位置を確定する、請求項1に記載の方法(300)。
【請求項3】
前記確定のステップ(330)では、前記車両(100)の周辺環境センサ(130)によって提供される、前記車両(100)の周辺環境についての周辺環境データ(135)内で識別されている識別された他車(201、202、203、204、205)の位置によって位置集合が構成され、前記識別された他車(201、202、203、204、205)に対する前記車両(100)の相対位置が確定され、前記確定された相対位置を使用して、前記車両(100)の位置に関する推定値によって確定集合が構成され、前記確定集合の要素の集約が実施され、かつ前記暫定的な位置(153)および前記集約が使用されて前記車両(100)の位置が決定される、請求項1または2に記載の方法(300)。
【請求項4】
前記読込のステップ(320)では、前記他車(201、202、203、204、205)を一義的に識別するために前記他車(201、202、203、204、205)のナンバープレートを、前記他車(201、202、203、204、205)の光学的に識別可能な特性もしくはメッセージを、および/または前記他車(201、202、203、204、205)の動作パラメータを表している位置信号(125)が読み込まれる、請求項1からのいずれか一項に記載の方法(300)。
【請求項5】
出力装置(160)が、少なくとも1つの他車(201、202、203、204、205)および/または車両外の処理機構に対するインターフェイス(120)に位置信号(153、170)を出力するステップ(350)を有し、この場合、前記位置信号(153、170)が、前記車両(100)の前記暫定的な位置または前記車両(100)の前記決定された位置を表している、請求項1からのいずれか一項に記載の方法(300)。
【請求項6】
請求項1からのいずれか一項に記載の方法(300)の前記ステップを相応のユニット(152、154、156、158、160)において実行および/または制御するために適応された装置(150)。
【請求項7】
請求項1からのいずれか一項に記載の方法(300)の前記ステップを実行および/または制御するために適応されたコンピュータプログラム。
【請求項8】
請求項に記載のコンピュータプログラムが保存されている機械可読のメモリ媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立請求項の属概念に従う装置または方法を出発点とする。コンピュータプログラムも本発明の対象である。
【背景技術】
【0002】
車両のレーンまで正確である測位は、とりわけ複数レーンの道路で重要であり得る。この場合、例えばナビゲーション衛星からの信号が用いられ得る。
【0003】
独国特許出願公開第102007054509号明細書は、車両の位置を決定するための方法を記載しており、この方法では、位置決定システムによって提供される第1の情報と、少なくとも1つの固定設置された機構によって提供され、かつ第1の情報に依存しない第2の情報とが組み合わされる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
これを踏まえて、ここで紹介されるアプローチにより、主請求項による方法、さらにこの方法を使用する装置、最後に相応のコンピュータプログラムを紹介する。従属請求項に記載した措置により、独立請求項で提示した装置の有利な変形および改善が可能である。
【0005】
実施形態によれば、車両の自車位置は、とりわけ、衛星信号によって確定される車両の自車測位を実施するだけでなく、車両へ伝えられる他車の位置に基づいて確定される車両の相対位置も位置決定に使用することによって決定され得る。言い換えれば、例えば、デジタル地図内の道路上での車両のレーンまで正確である自車測位のための方法が提供され得る。レーンまで正確であることとは、この場合にはとりわけ、車両が、その時々に走行している道路のどのレーン上に存在しているかを確定することを意味する。これに関しては、車両内の捕捉機構、例えば車載の衛星受信器またはGNSS受信器(GNSS=Global Navigation Satellite System;グローバルナビゲーション衛星システム)、ビデオセンサ、および車車間通信(V2V通信;V2V=Vehicle to Vehicle)が使われ得る。
【0006】
実施形態によれば、とりわけ、このために高価なハードウェア、例えばdGPS(Differential Global Positioning System;ディファレンシャルGPS)またはその類似物を使用しなくても、自車測位のロバスト性が、車線の精度に至るまで改善され得ることが有利である。GNSSおよびビデオセンサシステムを使ったこのようなレーンまで正確である自車測位は、車両がどの車線上に存在しているのか、および交通状況がどのようになっているのかに応じて難しさが異なる可能性があり、実施形態によって正確かつ確実に実現され得る。この場合、自車が存在している車線を決定するために、例えばそのほかの道路使用者への自車測位情報の転送およびそのほかの道路使用者の自車測位情報の利用が役立ち得る。その際には、とりわけ、単純なGNSSセンサ、ビデオセンサ、例えばリアビューカメラおよびそれに加えてまたはその代わりにフロントカメラ、ならびにV2V通信モジュールを使うだけでよい。それに加えてオンボードセンサシステム、例えばオドメトリまたはその類似物も使われ得る。
【0007】
車両の位置を決定するための方法を紹介し、この方法は、以下のステップ、すなわち
車両の暫定的な位置を生成するために、車両の測位機構を使用して車両の自車測位を実施するステップ、
位置信号を読み込み、この位置信号が他車の位置を表しているステップ、
自車測位および相対位置を使用して車両の位置を決定するために、位置信号を使用して他車に対する車両の相対位置を確定するステップを有する。
【0008】
この方法は、例えばソフトウェアもしくはハードウェアにおいて、またはソフトウェアおよびハードウェアから成る混合形態において、例えば制御機器において実装され得る。測位機構は、GNSS受信器(GNSS=Global Navigation Satellite System;グローバルナビゲーション衛星システム)またはその類似物であり得る。読込のステップでは、少なくとも1つの他車に対するおよびそれに加えてまたはその代わりに車両外の処理機構に対する、例えばインターネットを介して接続されたサーバもしくはその類似物に対するインターフェイスを介して位置信号が読み込まれ得る。
【0009】
一実施形態によれば、この方法は、車両の周辺環境センサによって提供される、車両の周辺環境についての周辺環境データ内で他車を識別するステップを有し得る。これに関しては、識別のステップにおいて車両の周辺環境内で他車が識別される場合に、確定のステップにおいて位置信号を使用して相対位置が確定され得る。周辺環境センサは、車両カメラ、とりわけ車両のフロントカメラまたはリアビューカメラであり得る。車両カメラは、ビデオカメラとして実施され得る。このような一実施形態は、確実かつ正確である相対位置を確定するために、例えば無線を介して受信された他車の位置データと、カメラデータを通して識別されたそこに属している他車との間の割当てが行われ得るという利点を提供する。
【0010】
読込のステップでは、さらなる位置信号も読み込まれ得る。これに関し、さらなる位置信号は、さらなる他車の位置を表し得る。この場合、確定のステップでは、自車測位、相対位置、およびさらなる相対位置を使用して車両の位置を決定するために、さらなる位置信号を使用してさらなる他車に対する車両のさらなる相対位置が確定され得る。言い換えれば、読込のステップでは、少なくとも1つのさらなる他車の位置を表し得る少なくとも1つのさらなる位置信号を読み込むことができ、かつ確定のステップでは、自車測位、相対位置、および少なくとも1つのさらなる相対位置を使用して車両の位置を決定するために、少なくとも1つのさらなる位置信号を使用して、少なくとも1つのさらなる他車に対する車両の少なくとも1つのさらなる相対位置が確定され得る。このような一実施形態は、位置決定の精度をさらに高めるため、位置データの群または集合が利用されるという利点を提供する。
【0011】
確定のステップではさらに、車両の周辺環境センサによって提供される、車両の周辺環境についての周辺環境データ内で識別され得る識別された他車の位置によって位置集合が構成され得る。この場合、識別された他車に対する車両の相対位置も確定され得る。これに加え、確定された相対位置を使用して、車両の位置に関する推定値によって確定集合が構成され得る。確定集合の要素の集約も実施でき、かつ自車測位および集約を使用して車両の位置が決定され得る。集約の実施では、確定集合のすべての要素の重み付き重心または別の方式の集約が用いられ得る。このような一実施形態は、位置を決定するために、自車測位が確実かつ精密に補正または適合され得るという利点を提供する。
【0012】
一実施形態によれば、車両の暫定的な位置およびそれに加えてまたはその代わりに他車の位置が、車道の走行中のレーンに関する割り当てられたレーン値および割り当てられた信頼値を有し得る。相対位置も、車道の走行中のレーンに関する割り当てられたレーン値および割り当てられた信頼値を有し得る。このような一実施形態は、レーンまで正確である位置の推定または近似の確実性および精度についての判定が追加的に考慮され得るという利点を提供する。
【0013】
加えて読込のステップでは、他車を一義的に識別するために他車のナンバープレートを、他車の光学的に識別可能な特性もしくはメッセージを、およびそれに加えてまたはその代わりに他車の動作パラメータを表している位置信号が読み込まれ得る。この場合、識別のステップでは、このような位置信号を使用して、車両の周辺環境センサによって提供される周辺環境データ内で他車が識別され得る。このような一実施形態は、例えば無線を介して受信された他車の位置データと、カメラデータを通して識別されたそこに属している他車との間の正しくかつ確実な割当てが行われ得るという利点を提供する。
【0014】
この方法は、少なくとも1つの他車に対するおよびそれに加えてまたはその代わりに車両外の処理機構に対するインターフェイスに位置信号を出力するステップも有し得る。この場合、位置信号は、車両の暫定的な位置または車両の決定された位置を表し得る。これにより、ビデオセンサシステムおよび車車間通信またはクラウド(Cloud)との通信をベースとする協調型でレーンまで正確である自車測位のための方法が提供され得る。この場合、協調型の性質は、例えば複数の車両がその自車測位のその時々の推定または近似を、車車間通信によりまたはクラウドを介して周辺の車両へ配信し得ることによって生じ得る。つまりこれらの車両は、例えば周辺の車両の自車測位を所有し得る。これに加えて例えば、車両は、それぞれの車両内のカメラの視野内のそのほかの車両に関し、その相対位置を独自で決定できる。
【0015】
このようなカメラベースで決定された相対位置は、例えば車車間通信を介して受信された位置と一緒に、とりわけ、自車測位、したがって位置決定の、ロバスト性を、したがって品質も改善するために利用され得る。
【0016】
ここで紹介しているアプローチはさらに、ここで紹介している方法の一形態のステップを相応の機構において実施、制御、または実行するために形成された装置を提供する。装置の形態での本発明のこの実施バリエーションによっても、本発明の基礎となる課題が迅速かつ効率的に解決され得る。
【0017】
このために装置は、信号もしくはデータを処理するための少なくとも1つの計算ユニット、信号もしくはデータを保存するための少なくとも1つのメモリユニット、センサからセンサ信号を読み込むためのもしくはアクチュエータにデータ信号もしくは制御信号を出力するための、センサもしくはアクチュエータに対する少なくとも1つのインターフェイス、および/またはデータの読込もしくは出力のための、通信プロトコルに組み込まれた少なくとも1つの通信インターフェイスを有し得る。計算ユニットは、例えば信号プロセッサ、マイクロコントローラ、またはその類似物であることができ、その際、メモリユニットは、フラッシュメモリ、EEPROM、または磁気メモリユニットであり得る。通信インターフェイスは、データのワイヤレスおよび/または有線での読込または出力のために形成することができ、これに関し、有線のデータを読み込み得るまたは出力し得る通信インターフェイスは、これらのデータを例えば電気的または光学的に、相応のデータ伝送線から読み込むことができまたは相応のデータ伝送線に出力することができる。
【0018】
本願において装置とは、センサ信号を処理し、かつそれに応じて制御信号および/またはデータ信号を出力する電気機器のことであり得る。装置は、ハードウェアおよび/またはソフトウェアによって形成され得るインターフェイスを有し得る。ハードウェアによる形成の場合、インターフェイスは、例えば装置の非常に様々な機能を内包しているいわゆるシステムASICの一部であり得る。ただし、インターフェイスが専用の集積回路であるかまたは少なくとも部分的には個別の部品から成ることも可能である。ソフトウェアによる形成の場合、インターフェイスは、例えば1つのマイクロコントローラ上でほかのソフトウェアモジュールと共に存在しているソフトウェアモジュールであり得る。
【0019】
有利な一形態では、この装置により車両のための位置決定が行われる。このために装置は、例えば衛星受信器からの衛星信号、周辺環境センサからの周辺環境データ、より正確に言えばとりわけ車両カメラからの画像データ、および他車からの位置信号のようなセンサ信号にアクセスできる。この場合、レーンまで正確である位置決定が実施され得る。車両の決定された位置は、さらなる車両機構に対するインターフェイスを介して出力するために、自車位置信号の形態で提供され得る。このようなさらなる車両機構は、車両機能、支援機能などを実現するために、車両の決定された位置を必要とする可能性があり、それに加えてまたはその代わりに使用する可能性がある。
【0020】
機械可読の媒体またはメモリ媒体、例えば半導体メモリ、ハードディスクメモリ、もしくは光学メモリ上で保存でき、かつ上述の実施形態の1つに従う方法のステップを実施、実行、および/または制御するために使用されるプログラムコードを有するコンピュータプログラム製品またはコンピュータプログラムも、とりわけこのプログラム製品またはプログラムがコンピュータまたは装置上で実行される場合、有利である。
【0021】
ここで紹介しているアプローチの例示的実施形態を図面に示しており、かつ以下の説明においてより詳しく解説する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】1つの例示的実施形態による装置を備えた車両の概略図である。
図2】交通状況の概略図である。
図3】1つの例示的実施形態による決定方法のフロー図である。
図4】1つの例示的実施形態による位置決定プロセスのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の好適な例示的実施形態の以下の説明では、異なる図に示され類似に作用する要素に対し、同じまたは類似の符号を使用しており、その際、これらの要素を繰り返し説明はしない。
【0024】
図1は、1つの例示的実施形態による装置150を備えた車両100の概略図を示している。車両100は、自動車、とりわけ乗用自動車、トラック、またはそのほかの商用車である。装置150は、車両100の位置を決定するために、とりわけレーンまで正確である位置を決定するために形成されている。装置150は以下に決定装置150とも言う。装置150は、この例示的実施形態によれば、車両100内に配置されている。
【0025】
ここで図示している例示的実施形態により、車両100のうち、決定装置150に加え、例えば衛星信号のための衛星受信器の形態での測位機構110、インターフェイス120、例示的に1つだけの、例えば車両カメラの形態での周辺環境センサ130、ならびに例示的に1つだけの、車両機能、支援機能、および/またはそれに類することを実行するための機能機構140がさらに示されている。これに関し、測位機構110、インターフェイス120、周辺環境センサ130、および機能機構140は、決定装置150と信号伝送可能に接続されている。決定装置150は、実施機構152、読込機構154、および確定機構156を有している。ここで図示している例示的実施形態によれば、決定装置150は、これに加えて識別機構158および出力機構160を有している。
【0026】
以下に、車両100の位置を決定するための、決定装置150と、車両100のそのほかの関与する機構との動作を解説する。
【0027】
測位機構110は、ナビゲーション衛星からの衛星信号112を受信するために形成されている。測位機構110はさらに、衛星信号112を使用して測位信号114を生成し、かつ決定装置150の実施機構152へ転送するために形成されている。実施機構152は、車両100の暫定的な位置を生成するため、測位機構110を使用して、より正確に言えば測位信号114を使用して車両100の自車測位を実施するよう形成されている。実施機構152はさらに、車両100の暫定的な位置を表している仮の自車位置信号153を確定機構156へ転送するために形成されている。
【0028】
インターフェイス120は、例えば信号の双方向伝送のための無線インターフェイスとして実施されている。その際、このインターフェイス120は、他車の位置を表している位置信号125を受信するために形成されている。より正確に言えば、インターフェイス120は、他車からのおよび/または車両外の処理機構、例えばインターネットを介して接続されたサーバからの位置信号125を受信するために形成されている。インターフェイス120はさらに、位置信号125を決定装置150の読込機構154に提供するために形成されている。読込機構154は、位置信号125を読み込むためにまたはインターフェイス120から読み込むために形成されている。読込機構154はさらに、位置信号125を確定機構156へ転送するために形成されている。
【0029】
確定機構156は、仮の自車位置信号153または自車測位および相対位置を使用して車両100の位置を決定するため、位置信号125を使用して他車に対する車両100の相対位置を確定するよう形成されている。確定機構156はさらに、車両100の位置を表している自車位置信号170を生成および提供するために形成されている。
【0030】
1つの例示的実施形態によれば、周辺環境センサ130は、車両100の周辺環境を捕捉するため、とりわけ光学的に捕捉するため形成されている。この場合、周辺環境センサ130は、捕捉された車両100の周辺環境を表している周辺環境データ135を生成し、かつ決定装置150のなかでも識別機構158へ転送するために形成されている。この識別機構158は、この場合、周辺環境データ135内で他車を識別するために形成されている。これに関し識別機構158は、読込機構154から位置信号125を受信し、かつ周辺環境データ135内または車両100の周辺環境内で他車が識別されているかまたは識別される場合にだけ確定機構156へ転送するために形成されている。したがってこの場合、確定機構156は、車両100の周辺環境内で他車が識別された場合に、位置信号125を使用して相対位置を確定するために形成されている。
【0031】
1つの例示的実施形態によれば、決定装置150の出力機構160は、他車および/または車両外の処理機構へ伝送するためのインターフェイス120に、仮の自車位置信号153または自車位置信号170を出力するために形成されている。出力機構160はさらに、1つの例示的実施形態によれば、自車位置信号170を機能機構140に出力するために形成されている。機能機構140は、自車位置信号170を使用して、車両機能、支援機能、および/またはそれに類することを実行または提供するために形成されている。
【0032】
1つの例示的実施形態によれば、仮の自車位置信号153において表された車両100の暫定的な位置、位置信号125において表された他車の位置、および/または自車位置信号170において表された車両100の位置は、車道の走行中のレーンに関する割り当てられたレーン値および割り当てられた信頼値を有している。こうして、協調型でレーンまで正確である位置決定が可能にされ得る。車両100および他車のそれぞれ決定された位置は、この信頼値により、決定された位置の確実性に関して簡単に評価され得る。
【0033】
読込機構154は、図1で明確には示されていないが、1つの例示的実施形態によれば、さらなる位置信号125または複数の位置信号125を読み込むために形成されている。これに関し、各々のさらなる位置信号125は、さらなる他車の位置を表している。この場合、確定機構156は、自車測位、相対位置、およびさらなる相対位置または複数の相対位置を使用して車両100の位置を決定するため、さらなる位置信号125を使用してさらなる他車に対する車両100のさらなる相対位置をまたは複数の他車に対する車両100の複数の相対位置を確定するよう形成されている。
【0034】
したがって、1つまたは複数の衛星信号112、1つまたは複数の周辺環境センサ130、および1つまたは複数の通信システムを使用して、車両100のレーンまで正確である自車測位が実施され得る。
【0035】
1つの例示的実施形態によれば、車両100と少なくとも1つの他車との間での信号125、153、および170の伝送は、ローカルな車車間通信を介して行われる。その代わりに信号伝送は、相応のデータまたはデータが例えば移動無線によりサーバへ伝送されることにより、バックエンド支援システムを介して行われ得る。その後このサーバは、例えばいわゆるジオキャストの場合のように、データをさらに、状況に合ったそのほかの道路使用者または他車へとさらに配信する。
【0036】
通信チャネル上での少なくとも1つの他車の、周辺環境データ135、とりわけビデオ画像への割当ては、1つの例示的実施形態によれば、以下のように容易になり得る。周辺環境データ135内で識別された他車を、通信チャネル上で属しているかまたはその位置信号125が受信された他車に割り当てるために、異なった追加的方法が適用され得る。他車は、例えば無線チャネルを介してそのナンバープレートを知らせることができる。ただし他車に可視光または不可視光のための光源を取り付けることもでき、この光源が周期的に、他車を識別させ得るシーケンスを送る。同じシーケンスが通信チャネル上でも送られ、これにより割当てが行われ得る。これに関してはさらなる追加的方法も考えられ、これらのさらなる追加的方法では、少なくとも1つの他車の軌道および加速値が、無線チャネルを介して伝送され、続いて割当てを達成するために、周辺環境データ135を通して推定された値と比較される。
【0037】
図2は、交通状況200の概略図を示している。交通状況200には、例示的に5つの車両201、202、203、204、205が関与しており、これらの車両は、単に例示的に5つのレーン211、212、213、214、215または車線211、212、213、214、215を有する車道210上で配置または配分されている。この場合、第1の車両201(車両V1とも言う)および第3の車両203は、車道210の一番右の第5のレーン215を走行している。第2の車両202(車両V2とも言う)は、第5のレーン215の左隣の第4のレーン214を走行している。第4の車両204および第5の車両205は、第4のレーン214の左隣の第3のレーン213を走行している。
【0038】
第2の車両202は、周辺環境センサにより、例えば視野222を有するカメラにより、車道110上のそのほかの車両を、より正確に言えば第4の車両204および第1の車両201だけを認識できる。しかしながらこれだけではレーンまで正確である測位には不十分である。第1の車両201は、その周辺環境センサを介し、例えば視野221を有するカメラを介し、遮るもののない視界を有しており、したがってレーンまで正確である自車測位を実施できる。第1の車両201はそのカメラにより、右の区画線を認識できる。それに加え、場合によってはさらに第5の車線215の右隣りの縁石、ガードレール、または柵が検出され得る。これは、カメラまたはビデオセンサをベースとするレーンまで正確である自車測位を、この状況では第1の車両201に対して可能にし得る。
【0039】
第2の車両202は交通の流れが緩慢な5車線の車道の真ん中のレーン上に存在していると仮定する。ビデオセンサによってでは、この車両は自車の左および右にさらなる車線およびさらなる車両しか認識できず、しかしながらこの情報に基づいて、この車両が第2のレーン上にあるのか第3のレーン上にあるのか第4のレーン上にあるのかをロバスト性をもって確定することはできない。周辺環境センサは、フロントカメラ、リアビューカメラ、またはフロントカメラとリアビューカメラの組合せであり得る。
【0040】
車両201、202、203、204、205の少なくとも2つが、図1による車両に相応または類似している場合、各々のこのような車両は、レーンまで正確である位置決定を行うことができる。
【0041】
例えば第2の車両202が、図1に基づいて記載されたような決定装置を有しており、かつ第1の車両201が、その時々の位置を第2の車両202へ伝送するための機構を有していれば、第2の車両202の決定装置が、図1に基づいて記載されたように位置決定を実施できる。
【0042】
これは、第2の車両202がそのビデオセンサにより第1の車両201を識別できることによって可能にされる。示した状況では、第1の車両201は、第2の車両202の視界に基づき、第2の車両202に対して右の車線上を走っている。第1の車両201は第2の車両202に、例えば車車間通信を介し、第1の車両201が最も右の車線、第5のレーン215上にいることを知らせることができる。すると第2の車両202は、第2の車両202が5つのレーンの右から2番目、第4のレーン214上にいると結論付けることができる。
【0043】
図3は、1つの例示的実施形態による決定方法300のフロー図を示している。この方法300は、車両の位置を決定するために実行可能である。この場合、この決定方法300は、図1による装置もしくは決定装置または類似の装置と関連してまたはそれを使用して実行可能である。決定方法300はさらに、図1による車両または類似の車両と関連して実行可能である。
【0044】
決定方法300では、実施のステップ310において、車両の暫定的な位置を生成するために、車両の測位機構を使用して車両の自車測位が実施される。その後、読込のステップ320において位置信号が読み込まれる。この位置信号は他車の位置を表している。また次に確定のステップ330では、自車測位および相対位置を使用して車両の位置を決定するために、位置信号を使用して他車に対する車両の相対位置が確定される。
【0045】
1つの例示的実施形態によれば、決定方法300は、車両の周辺環境センサによって提供される、車両の周辺環境についての周辺環境データ内で他車を識別するステップ340も有している。この識別のステップ340は、ここで、読込のステップ320と確定のステップ330の間で実行可能である。これに関し、識別のステップ340において車両の周辺環境内で他車が識別される場合に、確定のステップ330において位置信号を使用して相対位置が確定される。
【0046】
1つの例示的実施形態によれば、決定方法300は、少なくとも1つの他車および/または車両外の処理機構に対するインターフェイスに位置信号を出力するステップ350をさらに有している。この位置信号は、車両の暫定的な位置または車両の決定された位置を表している。出力のステップ350は、実施のステップ310の後および/または確定のステップ330の後に実行可能である。
【0047】
図4は、1つの例示的実施形態による位置決定プロセス400のフロー図を示している。位置決定プロセス400は、図3による方法との関連でまたは図3による方法の枠内で実行可能である。位置決定プロセス400では、第1のブロック410で、最初の自車測位PV0=(s,k)が実施または入手される。それに基づいて第2のブロック450では、最初の自車測位PV0が、周辺の車両または他車へ送信される。その後、第3のブロック420では、少なくとも1つの他車から、少なくとも1つの位置または位置推定PViが受信されまたは読み込まれる。次に第4のブロック440では、周辺の他車がビデオによって認識または識別される。その後、第5のブロック445では、光学的またはビジュアル的に認識された車両と通信チャネル上での車両が相互に割り当てられる。それに基づいて第6のブロック432では、識別された他車の位置によって位置集合または集合Ρ(ギリシャ文字「ロー」)が構成される。その後、第7のブロック434では、確定集合または集合εが計算され、その際、確定集合または集合εのために、識別された他車に対する車両の相対位置が確定され、かつ確定された相対位置を使用して、車両の位置に関する推定値によって確定集合または集合εが構成される。次に第8のブロック436では、最初の自車測位PV0が、確定集合または集合εからの要素の集約によって改善される。
【0048】
車両Vのレーンまで正確である位置推定PVi=(s,k)は、それぞれレーンsおよび推定に関する信頼値kから成っている。これに関し、演算子spurは位置推定のために相応のレーンを出力し、演算子konfは推定の信頼性を出力する。第1のブロック410では、車両または自車Vのオンボードセンサシステムに基づいて、最初の自車測位PV0=(s,k)がレーンsまで実施され、かつ状況に応じた信頼値kによって注釈を付けられる。続いて第2のブロック450では、PV0が、車車間通信により、通信システムの送信範囲内のすべての他車へ配信される。これらの他車の方ではまた、すべての周辺の車両Vに関する位置推定PViを受信する。
【0049】
第3のブロック420では、受信された位置推定PViが、自車Vのカメラの視野内にある車両Vとマッチングされる。ビジュアル的に見つけられた他車に割り当てられないすべての位置推定は、ここで放棄される。残っている位置推定の集合を、位置集合または集合Ρ(ギリシャ文字「ロー」)={PV1,…,PVn}とする。
【0050】
各々の残っている推定PVi∈Ρ(ギリシャ文字「ロー」)に対し、周辺環境データまたは画像データまたはビデオ画像を解析することにより、他車Vに対する車両または自車Vの相対位置
【数1】
が決定され得る。これらの相対位置も、レーン偏差sおよび信頼値kから成っている。したがって位置集合Ρ(ギリシャ文字「ロー」)からの各々の要素に関しては、車両または自車Vに対する相応の車両または他車の相対位置も、相応の車両または他車の自車測位も、信頼性と共に、車両または自車Vに知られている。
【0051】
位置集合Ρ(ギリシャ文字「ロー」)をベースとして、各々の推定PVi∈Ρ(ギリシャ文字「ロー」)に対し、自車測位に関する新たな候補
【数2】
が計算されることにより、自車測位に関する新たな推定の確定集合ε={e=(s,k),…,e=(s,k)}が計算される。第8のブロック436では、確定集合ε∪{PV0}から、例えばこの集合のすべての要素の、信頼値によって重み付けされた重心が計算されることにより、新たなレーンまで正確である自車測位PV0が計算され得る。ただしここでは、集合ε∪{PV0}からの要素を集約するためのそのほかの方法も考えられる。
【0052】
1つの例示的実施形態が、第1の特徴と第2の特徴の間に「および/または」結合を含む場合、これは、この例示的実施形態が、一実施形態によれば第1の特徴も第2の特徴も有し、さらなる一実施形態によれば第1の特徴だけかまたは第2の特徴だけを有すると読むべきである。
図1
図2
図3
図4