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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-09
(45)【発行日】2023-02-17
(54)【発明の名称】レーザ装置
(51)【国際特許分類】
   H01S 3/00 20060101AFI20230210BHJP
【FI】
H01S3/00 G
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2021502367
(86)(22)【出願日】2020-02-27
(86)【国際出願番号】 JP2020008039
(87)【国際公開番号】W WO2020175622
(87)【国際公開日】2020-09-03
【審査請求日】2021-02-22
(31)【優先権主張番号】P 2019034377
(32)【優先日】2019-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005186
【氏名又は名称】株式会社フジクラ
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100206081
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 央
(74)【代理人】
【識別番号】100188891
【弁理士】
【氏名又は名称】丹野 拓人
(72)【発明者】
【氏名】阪本 真一
(72)【発明者】
【氏名】千葉 康人
(72)【発明者】
【氏名】清山 航
(72)【発明者】
【氏名】山口 裕
(72)【発明者】
【氏名】蓮沼 孝
【審査官】百瀬 正之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/014068(WO,A1)
【文献】特表2007-514117(JP,A)
【文献】特開2012-127903(JP,A)
【文献】特開2008-284030(JP,A)
【文献】特開2017-059981(JP,A)
【文献】特開2016-076598(JP,A)
【文献】特開2018-022101(JP,A)
【文献】米国特許第06628871(US,B2)
【文献】米国特許第06490389(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 3/00-3/30
B23K 26/00-26/70
H01L 31/00-31/02
H01L 31/08-31/10
H01L 31/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの光源と、
前記光源から出射されたレーザ光を伝搬するデリバリファイバと、
前記デリバリファイバと光学的に結合され、前記デリバリファイバにおいて前記レーザ光の伝搬方向に対して反対方向へ伝搬する光の一部を伝搬するモニタファイバと、
前記デリバリファイバを前記レーザ光の伝搬方向に対して反対方向へ伝搬する光の一部を検出可能な第1光検出部と第2光検出部とを備え、
前記モニタファイバの一端部は、前記第1光検出部に接続され、
前記第1光検出部は、可視光の波長帯域に含まれる第1の光を検出し、
前記第2光検出部は、前記一端部が前記第1光検出部に接続された前記モニタファイバの外周面に対向する位置に配置されたレイリーモニタであり、
前記第2光検出部は、近赤外光の波長帯域に含まれる第2の光を検出する、レーザ装置。
【請求項2】
前記第1光検出部は、前記第1の光の反射率が前記第2の光の反射率よりも低く、かつ、前記第1の光の透過率が前記第2の光の透過率よりも高い近赤外光反射型ミラーと、
前記近赤外光反射型ミラーを透過した光が入射する光電変換部とを備える
請求項1に記載のレーザ装置。
【請求項3】
前記第1光検出部は、前記第1の光の反射率が前記第2の光の反射率よりも高い可視光反射型ミラーと、
前記可視光反射型ミラーによって反射した光が入射する光電変換部とを備える
請求項1に記載のレーザ装置。
【請求項4】
前記可視光反射型ミラーは、前記第2の光の透過率が前記第1の光の透過率よりも高く、
前記第1光検出部を平面視した場合に、前記可視光反射型ミラーを透過した光が伝搬する方向に対する前記可視光反射型ミラーを透過した光が到達する前記第1光検出部の内壁面の傾斜角度は0°より大きく90°未満である
請求項に記載のレーザ装置。
【請求項5】
前記可視光反射型ミラーは、前記第2の光の透過率が前記第1の光の透過率よりも高く、
前記第1光検出部を平面視した場合に、前記可視光反射型ミラーを透過した光が到達する前記第2光検出部の内壁面は曲面である
請求項に記載のレーザ装置。
【請求項6】
前記第1光検出部を平面視した場合に、前記可視光反射型ミラーの入射面は、前記モニタファイバから出射した光の伝搬方向に対して45°傾いている
請求項からのいずれか一項に記載のレーザ装置。
【請求項7】
前記第1光検出部を平面視した場合に、前記近赤外光反射型ミラーの入射面は、前記モニタファイバから出射した光の伝搬方向に対して45°傾いている
請求項に記載のレーザ装置。
【請求項8】
前記光電変換部の可視光の波長帯域の光電変換効率は、近赤外光の波長帯域の光電変換効率よりも高い
請求項からのいずれか一項に記載のレーザ装置。
【請求項9】
前記近赤外光反射型ミラーと前記光電変換部との間に配置され、前記第1の光の透過率が前記第2の光の透過率よりも高いフィルタをさらに備える
請求項またはに記載のレーザ装置。
【請求項10】
前記可視光反射型ミラーと前記光電変換部との間に配置され、前記第1の光の透過率が前記第2の光の透過率よりも高いフィルタをさらに備える
請求項からのいずれか一項に記載のレーザ装置。
【請求項11】
前記第1光検出部を平面視した場合に、前記光電変換部へ入射する光の伝搬方向に対する前記フィルタの入射面の傾斜角度は0°より大きく90°未満である
請求項または10に記載のレーザ装置。
【請求項12】
前記光電変換部は、フォトダイオードを備え、
前記フォトダイオードの前記第1の光の光電変換効率は、前記第2の光の光電変換効率よりも高い
請求項から11いずれか一項に記載のレーザ装置。
【請求項13】
前記光電変換部は、前記フォトダイオードで発生した電流信号を電圧信号に変換するトランスインピーダンス回路を備え、
前記トランスインピーダンス回路は、前記電圧信号のAC成分を除去するローパスフィルタを備える
請求項12に記載のレーザ装置。
【請求項14】
前記第1光検出部の内壁面は、入射した光を熱に変換するダンパー処理が施されている
請求項1から13のいずれか一項に記載のレーザ装置。
【請求項15】
複数の前記光源と光学的に結合された複数の入力ファイバからなる入力ファイバ束と、
入射端面、及び、出射端面を有し、前記入力ファイバ束が前記入射端面に接続されたブリッジファイバと、
を備え、
前記モニタファイバの一端面は前記ブリッジファイバの前記入射端面に接続されており、
前記デリバリファイバの一端面は前記ブリッジファイバの前記出射端面に接続されている、
請求項1から14のいずれか一項に記載のレーザ装置。
【請求項16】
前記ブリッジファイバの前記入射端面を平面視した場合に、前記モニタファイバの一端面は、前記デリバリファイバの一端面に含まれている
請求項15に記載のレーザ装置。
【請求項17】
前記第2の光は、前記レーザ光である
請求項1から16のいずれか一項に記載のレーザ装置。
【請求項18】
前記第1光検出部からの信号に基づいてファイバヒューズが生じたか否かを判定する判定部と、
前記判定部の判定に基づいて前記光源から出力される前記レーザ光のパワーを制御する制御部とを更に備える
請求項1から17のいずれか一項に記載のレーザ装置。
【請求項19】
前記レーザ光のパワーは1kW以上であり、前記判定部においてファイバヒューズが生じたと判定されてから前記制御部が前記レーザ光のパワーを停止させるまでの時間が100msec以下である
請求項18に記載のレーザ装置。
【請求項20】
前記判定部は、前記第2光検出部からの信号に基づいて所定のパワー超える反射光が生じたか否かを判定する
請求項18または19に記載のレーザ装置。
【請求項21】
前記デリバリファイバは、マルチモードファイバである
請求項1から20のいずれか一項に記載のレーザ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ装置に関する。
本願は、2019年2月27日に日本に出願された特願2019-034377号について優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
板金切断または溶接用レーザ加工機として用いられるファイバレーザ装置は、デリバリファイバ内にレーザ光を伝搬させ、外部に出射する。このファイバレーザ装置においては、ワークから反射した反射光がファイバレーザ装置に向かって戻り、光ファイバやレーザダイオード(LD)等の光学部品に意図せぬ加熱等によるダメージを与える場合がある。このため、反射光の光量を正確に検出して、レーザ光出力の制御にフィードバックする必要がある。
【0003】
この点において、特許文献1には、コアを伝搬する反射光とクラッドを伝搬する反射光との両方をモニタし、レーザ光出力の制御へフィードバックする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】日本国特開2018-82045号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、レーザ装置内において、一旦ファイバの焼損が発生すると光源に向かって光ファイバのコアに破損が生じていく「ファイバヒューズ」と呼ばれる現象が知られている。ファイバヒューズが発生すると、発生個所から光源に至るまでに存在する光部品が破損してしまう。近年ではレーザの高出力化に伴いファイバヒューズの進行速度も上昇しており、ファイバヒューズ発生時に装置内でダメージを受けるエリアが増大する傾向にある。
この点において、上記の特許文献1に係る発明は、戻り光としてワークから反射した反射光のみをモニタし、レーザ光出力の制御にフィードバックしている。すなわち、特許文献1においては、ファイバヒューズを検知することは考慮されていない。ファイバヒューズの発生時に高温に加熱されたコアから放出されて光源側へ伝搬する可視光は、波長帯域もパワーもワークから反射した反射光とは異なるため、反射光を検出するための検出器では正確に検知することは難しい。したがって、特許文献1に記載されたレーザ装置では戻り光を正確に検出できておらず光部品を十分に保護することは難しい。
【0006】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、光ファイバを伝搬する戻り光を正確に検出することが可能なレーザ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の第一態様に係るレーザ装置は、少なくとも1つの光源と、前記光源から出射されたレーザ光を伝搬するデリバリファイバと、前記デリバリファイバを前記レーザ光の伝搬方向に対して反対方向へ伝搬する光の一部を検出可能な第1光検出部と第2光検出部とを備え、前記第1光検出部は、可視光の波長帯域に含まれる第1の光を検出し、前記第2光検出部は、近赤外光の波長帯域に含まれる第2の光を検出する。
【0008】
このような構成によれば、デリバリファイバから光源側へ伝搬する戻り光のうち、ファイバヒューズの発生に伴う可視光は第1光検出部によって検出可能であり、ワークから反射した反射光(光源から出射されたレーザ光)は第2光検出部によって検出可能である。これにより、レーザ装置の光ファイバであるデリバリファイバを伝搬する戻り光を正確に検出することができる。また、ファイバヒューズと反射光のパワーとを独立して検出できるため、それぞれを検出した場合に異なる制御を行うことができる。
【0009】
また、上記レーザ装置は、前記デリバリファイバと光学的に結合され、前記デリバリファイバにおいて前記レーザ光の伝搬方向に対して反対方向へ伝搬する光の一部を伝搬するモニタファイバをさらに備え、前記モニタファイバの一端部は、前記第1光検出部に接続されており、前記第2光検出部は、前記モニタファイバの外周面に対向する位置に配置されたレイリーモニタであってもよい。
【0010】
デリバリファイバにおいてファイバヒューズが発生した場合、デリバリファイバのコア内に可視光が発生する。このような構成によれば、当該可視光の一部は、デリバリファイバのコアの内部を、デリバリファイバから光源側へ伝搬する。デリバリファイバのコアの内部を伝搬する当該可視光の一部は、モニタファイバへ結合し、第1光検出部へと伝搬される。このように、ファイバヒューズが第1光検出部へ至るよりも先に可視光が第1光検出部へ伝搬されるため、ファイバヒューズを早期に検出することができる。また、モニタファイバから可視光の検出と反射光の検出との両方を実施できるため、可視光量と反射光量との全量が把握できる。
【0011】
また、発生した可視光は、デリバリファイバのコアの内部及びモニタファイバのコアの内部に閉じ込められながら第1光検出部まで伝搬するため、第1光検出部で受光する光量を多く確保することができる。これにより、ファイバヒューズを正確に検出することができる。
【0012】
また、第1光検出部は、可視光の波長帯域に含まれる第1の光を近赤外光の波長帯域に含まれる第2の光よりも優先的に検出する。これにより、レーザ装置から出力される信号光の波長が近赤外光の波長帯域に含まれる場合(例えば、1070nm)において、信号光の戻り光が第1光検出部へ伝搬される場合であっても、第1光検出部においては当該信号光の戻り光よりも可視光が優先的に検出されるために、ファイバヒューズを誤検出することが抑制されてファイバヒューズを正確に検出することができる。
【0013】
また、第1光検出部は、前記第1光検出部は、前記第1の光の反射率が前記第2の光の反射率よりも低く、かつ、前記第1の光の透過率が前記第2の光の透過率よりも高いミラーと、前記ミラーを透過した光が入射する光電変換部とを備えていてもよい。
【0014】
このような構成によれば、第1光検出部へ伝搬される光から近赤外光(第2の光)と可視光(第1の光)とを分離した上で、分離した可視光を光電変換部へ伝搬させることができる。これにより、ファイバヒューズを誤検出することが抑制されてファイバヒューズを正確に検出することができる。
【0015】
また、前記第1光検出部は、前記第1の光の反射率が前記第2の光の反射率よりも高いミラーと、前記ミラーによって反射した光が入射する光電変換部とを備えてもよい。
【0016】
このような構成によれば、光電変換部へ入射する近赤外光(第2の光)が減少するため、光電変換部へ入射する光における可視光(第1の光)の割合を増やすことができる。これにより、ファイバヒューズを誤検出することが抑制されてファイバヒューズを正確に検出することができる。
【0017】
また、前記ミラーは、前記第2の光の透過率が前記第1の光の透過率よりも高く、前記第1光検出部を平面視した場合に、前記ミラーを透過した光が伝搬する方向に対する前記ミラーを透過した光が到達する前記第1光検出部の内壁面の傾斜角度は0°より大きく90°未満であってもよい。
【0018】
このような構成によれば、ミラーを透過した近赤外光(第2の光)が、第1光検出部の内壁面で反射してモニタファイバ側へ戻ることを抑制することができる。これにより、モニタファイバ近傍で発熱が生じることを抑制できる。
【0019】
また、前記ミラーは、前記第2の光の透過率が前記第1の光の透過率よりも高く、前記第1光検出部を平面視した場合に、前記ミラーを透過した光が到達する前記第2光検出部の内壁面は曲面であってもよい。
【0020】
このような構成によれば、ミラーを透過した近赤外光(第2の光)が、第1光検出部の内壁面で反射してモニタファイバ側へ戻ることを抑制することができる。これにより、モニタファイバ近傍で発熱が生じることを抑制できる。
【0021】
また、前記第1光検出部を平面視した場合に、ミラーの入射面は、前記モニタファイバから出射した光の伝搬方向に対して45°傾いていてもよい。
【0022】
このような構成によれば、第1光検出部を平面視した場合に、モニタファイバから第1光検出部へ入射する光の伝搬方向か、又は、モニタファイバから第1光検出部へ入射する光の伝搬方向に垂直な方向に光電変換部の位置を配置することができる。
【0023】
また、光電変換部の可視光の波長帯域の光電変換効率は、近赤外光の波長帯域の光電変換効率よりも高くてもよい。
【0024】
このような構成によれば、近赤外光よりも可視光を優先的に光電流に変換することができ、ファイバヒューズを正確に検出することができる。
【0025】
第2の光は、光源から出射されたレーザ光であってもよい。
【0026】
このような構成によれば、光源から出射されたレーザ光の戻り光が第1光検出部へ伝搬される場合であっても、上述した構成により、第1光検出部においては当該レーザ光の戻り光よりも可視光が優先的に検出されるために、ファイバヒューズを誤検出することが抑制されてファイバヒューズを正確に検出することができる。
【0027】
複数の光源と光学的に結合された複数の入力ファイバと、入射端面、及び、出射端面を有し、前記複数の入力ファイバが前記入射端面に接続されたブリッジファイバと、を備え、モニタファイバの一端面はブリッジファイバの入射端面に接続されており、デリバリファイバの一端面はブリッジファイバの出射端面に接続されていてもよい。
【0028】
このような構成によれば、複数の光源からの光が合波されるブリッジファイバの空きポートをモニタファイバとして使用できるため、デリバリファイバに光カプラを使用してモニタ用の光を分岐する必要がなく、構成の簡素化が図れる。また、レーザ光に光カプラによる挿入損失が生じないため、レーザ光の出力低下を抑制できる。また、光カプラの挿入損失によって生じる熱の発生がないため、レーザ装置の安全性を高めることができる。
【0029】
また、ブリッジファイバの前記入射端面を平面視した場合に、前記モニタファイバの一端面は、前記デリバリファイバの一端面に含まれていてもよい。
【0030】
このような構成によれば、デリバリファイバから光源側へ(レーザ光の伝搬方向に対して反対方向へ)伝搬する可視光が、モニタファイバに結合しやすくなる。このため、ファイバヒューズを安定して検出することができる。
【0031】
また、ミラーと前記光電変換部との間に配置され、可視光の波長帯域に含まれる第1の光の透過率が第2の光の透過率よりも高いフィルタをさらに備えていてもよい。
【0032】
このような構成によれば、光電変換部へ入射するレーザ光が減少するため、ファイバヒューズを誤検出することが抑制されてファイバヒューズを正確に検出することができる。
【0033】
また、第1光検出部を平面視した場合に、光電変換部へ入射する光の伝搬方向に対するフィルタの入射面の傾斜角度は0°より大きく90°未満であってもよい。
【0034】
このような構成によれば、光電変換部へ入射する光の伝搬方向に対するフィルタの入射面の傾斜角度が90°である場合に比べて、フィルタで反射した光がモニタファイバ側へ戻ることを抑制することができる。これにより、モニタファイバの端面近傍で発熱が生じることを抑制できる。
【0035】
光電変換部は、フォトダイオードで発生した電流信号を電圧信号に変換するトランスインピーダンス回路を備え、トランスインピーダンス回路は、電圧信号のAC成分を除去するローパスフィルタを備えていてもよい。
【0036】
レーザ装置を用いて加工を行う場合に、加工状態によってプラズマがランダムに生じる場合がある。このような構成によれば、プラズマ光によって生じたノイズ信号を除去することができ、ファイバヒューズを正確に検出することができる。
【0037】
また、光電変換部は、フォトダイオードを備え、フォトダイオードの前記第1の光の光電変換効率は、前記第2の光の光電変換効率よりも高くてもよい。
【0038】
このような構成によれば、近赤外光(第2の光)よりも可視光(第1の光)を優先的に光電流に変換することができ、ファイバヒューズを正確に検出することができる。
【0039】
また、光電変換部は、フォトダイオードで発生した電流信号を電圧信号に変換するトランスインピーダンス回路を備え、トランスインピーダンス回路は、電圧信号のAC成分を除去するローパスフィルタを備えていてもよい。
【0040】
レーザ装置を用いて加工を行う場合に、加工状態によってプラズマがランダムに生じる場合がある。このような構成によれば、プラズマ光によって生じたノイズ信号を除去することができ、ファイバヒューズを正確に検出することができる。
【0041】
また、第1光検出部の内壁面は、入射した光を熱に変換するダンパー処理が施されていてもよい。
【0042】
このような構成によれば、第1光検出部の内壁面で反射した光がモニタファイバ側へ戻ることを抑制することができる。これにより、モニタファイバの端面近傍で発熱が生じることを抑制できる。
【0043】
また、レーザ装置は、第1光検出部からの信号に基づいてファイバヒューズが生じたか否かを判定する判定部と、判定部の判定に基づいて光源から出力されるレーザ光のパワーを制御する制御部とを更に備えていてもよい。
【0044】
このような構成により、ファイバヒューズが生じた際に光源からの出力を制御することができる。これにより、レーザ装置の安全性を高めることができる。
【0045】
レーザ光のパワーは1kW以上であり、判定部においてファイバヒューズが生じたと判定されてから制御部がレーザ光のパワーを停止させるまでの時間が100msec以下であってもよい。
【0046】
レーザの高出力化に伴いファイバヒューズの進行速度も上昇する。特に、1kW以上になると10m/sの速度でヒューズが走ることになる。このような構成により、ファイバヒューズ発生時に装置内でダメージを受けるエリアを小さくすることができる。
【0047】
また、判定部は、第2光検出部からの信号に応じて所定のパワー超える反射光が生じたか否かを判定してもよい。
【0048】
所定のパワーを超える反射光が生じたと判断した場合は、光源からの出力を制御することができる。これにより、レーザ装置の安全性を高めることができる。
【0049】
また、デリバリファイバはマルチモードファイバであってもよい。
【発明の効果】
【0050】
レーザ装置によれば、早期にファイバヒューズを検出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
図1】本発明の一実施形態に係るレーザ装置を示す概念図である。
図2】本発明の一実施形態に係る第1光検出部を示す概念図である。
図3図2で示した第1光検出部の一部を変形した変形例を示す概念図である。
図4図2で示した第1光検出部の一部を変形した変形例を示す概念図である。
図5図2で示した第1光検出部の一部を変形した変形例を示す概念図である。
図6図2で示した第1光検出部の変形例を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
以下、本発明に係るレーザ装置の好適な実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0053】
(一実施形態)
本実施形態のレーザ装置の構成について説明する。
【0054】
図1は、本発明の第1実施形態に係るレーザ装置を示す概念図である。図1に示すように、本実施形態のレーザ装置1は、複数の光源10と、ブリッジファイバ20と、デリバリファイバ21と、モニタファイバ31と、第1光検出部40と、第2光検出部70とを主な構成として備える。本実施形態では、デリバリファイバ21として、マルチモードファイバを用いる。
【0055】
光源10は、所定の波長の信号光を出射するレーザ光源であり、例えば、ファイバレーザ装置や固体レーザ装置である。光源10がファイバレーザ装置とされる場合、共振器型のファイバレーザ装置であったり、MO-PA(Master Oscillator Power Amplifier)型のファイバレーザ装置であったりする。それぞれの光源10から出射する信号光は、近赤外光に含まれる波長の第2の光であり、本実施形態においては、1070nmの波長の光である。
【0056】
それぞれの光源10には、光源10から出射するレーザ光を伝搬する入力ファイバ(入力ファイバ束)11が接続されている。それぞれの入力ファイバ11は、例えば、コアの直径が20μm程度のフューモードファイバである。従って、それぞれの光源10から出射するレーザ光は、2から10程度のLPモードで、それぞれの入力ファイバ11を伝搬する。
【0057】
ブリッジファイバ20は、複数の入力ファイバ11のコアとデリバリファイバ21のコアとを接続する部材である。ブリッジファイバ20は、複数の入力ファイバ11が接続された入射端面20a、及び、デリバリファイバ21が接続された出射端面20bを有する。
【0058】
複数の入力ファイバ11を伝搬するレーザ光は、ブリッジファイバ20によって合波され、出力光が生成される。生成された出力光は、デリバリファイバ21を伝搬し、レーザ装置の外部へ出力される。出力光のパワーは、例えば1kW以上とされる。
【0059】
ここで、デリバリファイバ21において「ファイバヒューズ」現象が生じた場合、ファイバヒューズの発生時に高温に加熱されたコアから可視光が放出される。当該可視光の一部は、デリバリファイバ21のコアの内部を、光源10側へ(出力光の伝搬方向に対して反対方向へ)伝搬する。デリバリファイバ21を伝搬する可視光はブリッジファイバ20の出射端面20bに入射し、さらに、ブリッジファイバ20の入射端面20aから出射することになる。
【0060】
このとき、ブリッジファイバ20の入射端面20aに接続されているモニタファイバ31のコアへ当該可視光の一部が結合し、モニタファイバ31を伝搬した当該可視光の一部は第1光検出部40へ伝搬される。このように、ファイバヒューズが発生したデリバリファイバ21のコアと第1光検出部40とが光学的に結合されているため、ファイバヒューズが発生する際に生じる可視光を第1光検出部40へ伝搬させることができる。ファイバヒューズが第1光検出部40へ至るよりも先に可視光が第1光検出部40へ伝搬されるため、ファイバヒューズを早期に検出することができる。
【0061】
また、発生した可視光は、デリバリファイバ21のコアの内部及びモニタファイバ31のコアの内部に閉じ込められながら第1光検出部40まで伝搬するため、第1光検出部40で受光する光量を多く確保することができる。これにより、ファイバヒューズを正確に検出することができる。
【0062】
また、ブリッジファイバ20の入射端面20aを光軸に沿った方向から平面視した場合に、ブリッジファイバ20の入射端面20aに接続されたモニタファイバ31の一端面は、ブリッジファイバ20の出射端面20bに接続されたデリバリファイバ21の一端面に含まれていることが好ましい。
【0063】
このような構成によれば、デリバリファイバ21から光源10側へ(レーザ光の伝搬方向に対して反対方向へ)伝搬する可視光が、モニタファイバ31に結合しやすくなる。このため、ファイバヒューズを安定して検出することができる。
【0064】
第1光検出部40において可視光は光電変換される。光電変換された可視光は、モニタ信号として判定部50に入力される。次に、判定部50において、予め定められた閾値とモニタ信号の値とが比較される。判定部50は、モニタ信号の値が予め定められた閾値を超えている場合は、ファイバヒューズが発生したと判定する。当該判定結果に基づいて制御部60が光源10の電流を制御して光源10の出力パワーを遮断、若しくは低下させる。
本実施形態によれば、早期にファイバヒューズを検出することができるため、当該制御を行うことにより、ファイバヒューズ発生時にレーザ装置1内でダメージを受けるエリアを減少させることができ、部品交換等の修理に伴うコストが低減させることができる。
【0065】
また、判定部50においてファイバヒューズが生じたと判定されてから制御部60がレーザ光のパワーを停止させるまでの時間が100msec以下であることが好ましい。レーザの高出力化に伴いファイバヒューズの進行速度も上昇する。特に、1kW以上になると10m/sの速度でヒューズが走ることになる。この構成により、ファイバヒューズ発生時に装置内でダメージを受けるエリアをさらに小さくすることができる。
【0066】
ところで、レーザ装置1から外部へ出力された出力光が、レーザ光の照射対象物に反射されてレーザ装置1内に反射光として戻ってくる場合がある(以下、反射光)。当該反射光は、デリバリファイバ21から入射し、光源側へ(出力光の伝搬方向に対して反対方向へ)伝搬する。上述した可視光と同様に、当該反射光も第1光検出部40まで伝搬するため、ファイバヒューズの発生を誤検出する可能性がある。
【0067】
ここで、第1光検出部40は、可視光の波長帯域(400nm~700nm)である第1の光を含む光を検出する。具体的には、第1光検出部40は、可視光の波長帯域である第1の光を近赤外光の波長帯域(800~2500nm)である第2の光よりも優先的に検出する。このため、近赤外光の波長帯域に属する出力光の反射光が第1光検出部40へ伝搬される場合であっても、第1光検出部40においては当該反射光よりも可視光が優先的に検出されるために、ファイバヒューズを誤検出することが抑制されてファイバヒューズを正確に検出することができる。
【0068】
なお、本実施形態の第1光検出部は、モニタファイバ31を伝搬する光が入射する構成とされたが、これに限定されない。モニタファイバ31またはデリバリファイバ21の外周面に対向する位置に第1光検出部を配置しても良い。
【0069】
第2光検出部70は、モニタファイバ31の外周面に対向する位置に配置されている。第2光検出部は、所謂レイリーモニタであり、モニタファイバ31を伝搬する光のレイリー光を検出する。
【0070】
上記レイリーモニタは、フォトダイオードと、当該フォトダイオードで発生した光電流を電圧(モニタ信号)に変換するトランスインピーダンス回路を備える。ここで、当該フォトダイオードにおける近赤外光の波長帯域に含まれる光(第2の光)の光電変換効率は、可視光の波長帯域に含まれる光(第1の光)の光電変換効率よりも高い。このため、可視光よりも近赤外光を優先的にモニタ信号へ変換することができる。このように、第2光検出部70は近赤外光の波長帯域に含まれる光を可視光の波長帯域に含まれる光よりも優先的に検出することができるため、正確に反射光を検出することが可能になる。
【0071】
上記近赤外光の波長帯域に属する光は、光源10から出力されるレーザ光であることが好ましい。これにより、上記フォトダイオードに入射した光のうち、可視光よりもワークから反射した反射光を優先的にモニタ信号へ変換することができる。
【0072】
第2光検出部70において反射光は光電変換される。光電変換された反射光は、モニタ信号として判定部50に入力される。次に、判定部50において、予め定められた閾値とモニタ信号の値とが比較される。判定部50において、モニタ信号の値が予め定められた閾値を超えている場合は、所定のパワーを超える反射光が生じたと判定され、当該判定結果に基づいて制御部60が光源10の電流を制御して光源10の出力パワーを遮断、若しくは低下させる。
【0073】
本実施形態の第2光検出部70のレイリーモニタはモニタファイバ31の側方に配置されたが、デリバリファイバ21の側方であってもよい。また、本実施形態の第2光検出部70はレイリーモニタとされたが、これに限定されない。モニタファイバ31またはデリバリファイバ21の最外クラッドを当該クラッドよりも高い屈折率で覆い、当該クラッドを伝搬する反射光を検出してもよいし、当該クラッドの表面を荒らして、当該クラッドから漏洩する散乱光を反射光として検出してもよい。また、光カプラでモニタファイバ31またはデリバリファイバ21のコアを伝搬する光を一部分岐して反射光を検出してもよい。
【0074】
本実施形態によれば、ファイバヒューズと反射光のパワーとを独立して検出できるため、それぞれを検出した場合に異なる制御を行うことができる。例えば、ファイバヒューズを検出した場合と所定のパワーを超える反射光を検出した場合とで、図示しない表示部に表示させるアラームを異ならせてもよい。
【0075】
判定部50において第2光検出部70が所定のパワーを超える反射光が生じたと判定した際に、第1光検出部40で光電変換されたモニタ信号に対する閾値を下げてもよい。これにより、より高速にファイバヒューズを検出することが可能になる。
【0076】
可視光を出射する光源(以下、ガイド光源)を光ファイバを介してブリッジファイバ20の入射端面20aに接続し、可視光をデリバリファイバ21から出力させることによって、レーザ装置の出力光の位置決めを行う場合がある。このような場合において、制御部60は、ガイド光源の出力を遮断した後に、レーザ装置が出力光を出射する制御を行うことが好ましい。これにより、ガイド光源からの可視光が第1光検出部40で光電変換されたモニタ信号にノイズとして現れることを抑制することができる。その結果、判定部50において第1光検出部40で光電変換されたモニタ信号に対する閾値を下げることができ、より高速にファイバヒューズを検出することが可能になる。
【0077】
(第1光検出部)
図2から図6を用いて、一実施形態に係る第1光検出部40を説明する。図2に示すように、第1光検出部40は、第1光検出部本体41と、光電変換部43と、可視光反射型ミラー42と、モニタファイバ31の一部とを主な構成として備える。また、第1光検出部本体41の内部に光電変換部43と、可視光反射型ミラー42と、モニタファイバ31の一部とが配置されている。
なお、図2から図6において、同一又は相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0078】
図2に示すように、モニタファイバ31を伝搬して第1光検出部40に入射した光は、可視光反射型ミラー42に入射する。また、可視光反射型ミラー42の入射面は、第1光検出部40を平面視した場合に、モニタファイバ31の一端部から出射した光の伝搬方向に対して45°傾いている。また、モニタファイバ31から第1光検出部へ入射する光の伝搬方向に垂直な方向であって、可視光反射型ミラー42で反射された光が伝搬する方向に光電変換部43が配置されている。
【0079】
可視光反射型ミラー42は、可視光の波長帯域に属する光(第1の光)の反射率が近赤外光の波長帯域に属する光(第2の光)の反射率よりも高い。そのため、可視光反射型ミラー42に入射した光のうち、可視光の波長帯域に属するレーザ光は、可視光反射型ミラー42によって反射されて光電変換部43に入射する。このような構成により、モニタファイバ31を伝搬した光のうち、近赤外光よりも可視光を優先的に光電変換部43へ入射させることができる。
【0080】
上記近赤外光の波長帯域に属する光は、光源10から出力されるレーザ光であることが好ましい。上述の戻り光が第1光検出部40に入射することを抑制でき、ファイバヒューズを正確に検知することができる。
【0081】
光電変換部43は、入射した光(主に可視光)をモニタ信号に変換する。光電変換部43は、フォトダイオードと、当該フォトダイオードで発生した光電流を電圧(モニタ信号)に変換するトランスインピーダンス回路を備える。ここで、当該フォトダイオードの可視光の波長帯域に含まれる光の光電変換効率は、近赤外光の波長帯域に含まれる光の光電変換効率よりも高い。このため、近赤外光よりも可視光を優先的にモニタ信号へ変換することができる。これにより、正確にファイバヒューズを検出することが可能になる。
【0082】
上記近赤外光の波長帯域に属する光は、光源10から出力されるレーザ光であることが好ましい。これにより、フォトダイオードに入射した光のうち、レーザ光よりも可視光を優先的にモニタ信号へ変換することができ、ファイバヒューズを正確に検知することができる。
【0083】
また、光電変換部43のトランスインピーダンス回路は、モニタ信号のAC成分を除去するローパスフィルタを備えている。具体的には、トランスインピーダンス抵抗に対して並列にコンデンサが挿入されている。レーザ装置を用いて加工を行う場合に、加工状態によってプラズマがランダムに生じる場合がある。このような構成によれば、プラズマ光によるノイズをモニタ信号から除去することができ、ファイバヒューズを正確に検出することができる。
【0084】
また、可視光反射型ミラー42は、近赤外光の波長帯域に属する光(第2の光)の透過率が可視光の波長帯域に属する光(第1の光)の透過率よりも高くされている。より具体的には、光源10から出力されるレーザ光の透過率が、可視光の波長帯域に属する光の透過率よりも高くされている。そのため、可視光反射型ミラー42に入射した光のうち、戻り光の成分(光源10から出力されるレーザ光の成分)は、可視光反射型ミラー42を透過して、第1光検出部本体41の内壁面に入射する。
【0085】
ここで、可視光反射型ミラー42を透過した光が入射する第1光検出部本体41の内壁面は、黒の硬質アルマイト処理が施されている。これにより、内壁面に入射した光は内壁面で吸収されて熱に変換される。また、可視光反射型ミラー42を透過した光が入射する第1光検出部本体41の内壁面は、化学的に表面を荒らした艶消し(梨地)処理が行われている。これにより、入射した光を散乱させることができる。このように、第1光検出部本体41の内壁面に入射した光をモニタファイバ31に戻さないようなダンパー処理が施されていることにより、モニタファイバの被覆に光が吸収されること等に起因する、モニタファイバ31近傍で生じる発熱を抑制できる。
【0086】
さらに、第1光検出部40は、第1光検出部本体41の内壁面に入射した光をモニタファイバ31に戻さない構造を有していてもよい。例えば、第1光検出部40には、図3に示すように、第1光検出部40を平面視した場合に、可視光反射型ミラー42を透過した光が伝搬する方向に対して、傾斜する傾斜面(内壁面)44が形成されていてもよい。傾斜面44には、可視光反射型ミラー42を透過した光が到達する。傾斜面44の傾斜角度αは0°より大きく90°未満とされていることが好ましい。このような構成によれば、可視光反射型ミラー42を透過した近赤外光が、第1光検出部本体41の内壁面で反射してモニタファイバ側へ戻ることをさらに抑制することができる。これにより、モニタファイバ31近傍で生じる発熱を抑制できる。
【0087】
さらに、第1光検出部40は、第1光検出部本体41の内壁面に入射した光をモニタファイバ31に戻さないようにするための構造を有していてもよい。例えば、第1光検出部40には、図4に示すように、第1光検出部40を平面視した場合に、可視光反射型ミラー42を透過した光が伝搬する方向に対して、湾曲する湾曲面(内壁面)47が形成されていてもよい。湾曲面47には、可視光反射型ミラー42を透過した光が到達する。湾曲面47は、第1光検出部本体41の外側に向かって凸である曲面状であることが好ましい。このような構成によれば、可視光反射型ミラー42を透過した近赤外光が第1光検出部本体41の内壁面で反射してモニタファイバ側へ戻ることを抑制することができる。これにより、モニタファイバ近傍で発熱が生じることを抑制できる。
【0088】
また、モニタファイバ31を伝搬した光のうち、近赤外光よりも可視光を優先的に光電変換部43へ入射させるための構造として、図5に示すように、可視光の波長帯域である第1の光をレーザ光よりも優先的に透過させる(言い換えると、第1の光の透過率が第2の光の透過率よりも高い)フィルタ46を可視光反射型ミラー42と光電変換部43との間に配置することが好ましい。
本実施形態では、デリバリファイバ21として、マルチモードファイバを用いて説明したが、特にファイバの種類は限定されない。
【0089】
(第1光検出部の変形例)
図6に、第1光検出部40の変形例を示す。図6に示すように、モニタファイバ31を伝搬した光は、近赤外光反射型ミラー45に入射する。また、近赤外光反射型ミラー45の入射面は、第1光検出部40を平面視した場合に、モニタファイバ31から出射した光の伝搬方向に対して45°傾いている。また、モニタファイバ31から第1光検出部40へ入射する光の伝搬方向であって、近赤外光反射型ミラー45を透過した光が伝搬する方向に光電変換部43が配置されている。なお、近赤外光反射型ミラー45と光電変換部43との間に、可視光の波長帯域に含まれる光を透過させるフィルタをさらに備えていてもよい。
【0090】
近赤外光反射型ミラー45は、近赤外光の波長帯域に属する光(第1の光)の反射率が可視光の波長帯域に属する光(第2の光)の反射率よりも高い。そのため、近赤外光反射型ミラー45に入射した光のうち、主に近赤外光の波長帯域に属する光(主に光源から出力されたレーザ光の戻り光成分)は、近赤外光反射型ミラー45によって反射されて、第1光検出部本体41の内壁面に入射する。当該内壁面には、上述のようにダンパー処理が施されていることが好ましい。
【0091】
また、近赤外光反射型ミラー45は、可視光の波長帯域に属する光(第1の光)の透過率が近赤外光の波長帯域に属する光(第2の光)の透過率よりも高くされている。より具体的には、可視光の透過率が、光源10から出力されるレーザ光の透過率よりも高くされている。そのため、近赤外光反射型ミラー45に入射した光のうち、可視光の成分は、近赤外光反射型ミラー45を透過して、光電変換部43に入射する。
【0092】
このような構成により、モニタファイバ31を伝搬した光のうち、近赤外光よりも可視光を優先的に光電変換部43へ入射させることができる。
【0093】
本変形例で述べた近赤外光の波長帯域に属する光は、光源10から出力されるレーザ光であることが好ましい。
【符号の説明】
【0094】
1・・・レーザ装置
10・・・光源
11・・・入力ファイバ
20・・・ブリッジファイバ
21・・・デリバリファイバ
31・・・モニタファイバ
40・・・第1光検出部
42・・・可視光反射型ミラー
43・・・光電変換部
45・・・近赤外光反射型ミラー
50・・・判定部
60・・・制御部
70・・・第2光検出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6