IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ヴァレオ ビジョンの特許一覧

<>
  • 特許-車両の照明デバイス 図1
  • 特許-車両の照明デバイス 図2
  • 特許-車両の照明デバイス 図3
  • 特許-車両の照明デバイス 図4
  • 特許-車両の照明デバイス 図5
  • 特許-車両の照明デバイス 図6
  • 特許-車両の照明デバイス 図7
  • 特許-車両の照明デバイス 図8
  • 特許-車両の照明デバイス 図9
  • 特許-車両の照明デバイス 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-09
(45)【発行日】2023-02-17
(54)【発明の名称】車両の照明デバイス
(51)【国際特許分類】
   F21S 41/275 20180101AFI20230210BHJP
   F21S 43/20 20180101ALI20230210BHJP
   F21S 41/143 20180101ALI20230210BHJP
   F21S 41/16 20180101ALI20230210BHJP
   F21S 41/162 20180101ALI20230210BHJP
   F21S 41/17 20180101ALI20230210BHJP
   F21S 41/13 20180101ALI20230210BHJP
   F21S 43/14 20180101ALI20230210BHJP
   F21S 43/13 20180101ALI20230210BHJP
   F21S 45/00 20180101ALI20230210BHJP
   F21W 102/00 20180101ALN20230210BHJP
   F21W 103/00 20180101ALN20230210BHJP
   F21W 103/55 20180101ALN20230210BHJP
   F21W 103/10 20180101ALN20230210BHJP
   F21W 103/40 20180101ALN20230210BHJP
   F21W 102/30 20180101ALN20230210BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20230210BHJP
   F21Y 115/15 20160101ALN20230210BHJP
   F21Y 115/30 20160101ALN20230210BHJP
   F21Y 101/00 20160101ALN20230210BHJP
【FI】
F21S41/275
F21S43/20
F21S41/143
F21S41/16
F21S41/162
F21S41/17
F21S41/13
F21S43/14
F21S43/13
F21S45/00
F21W102:00
F21W103:00
F21W103:55
F21W103:10
F21W103:40
F21W102:30
F21Y115:10
F21Y115:15
F21Y115:30
F21Y101:00 300
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2022516742
(86)(22)【出願日】2020-09-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-17
(86)【国際出願番号】 EP2020075782
(87)【国際公開番号】W WO2021052972
(87)【国際公開日】2021-03-25
【審査請求日】2022-03-28
(31)【優先権主張番号】1910197
(32)【優先日】2019-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】391011607
【氏名又は名称】ヴァレオ ビジョン
【氏名又は名称原語表記】VALEO VISION
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100106655
【弁理士】
【氏名又は名称】森 秀行
(72)【発明者】
【氏名】ピエール、ルノー
(72)【発明者】
【氏名】グレゴリー、プランシェ
(72)【発明者】
【氏名】アンソニー、ロサノ
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンドル、イェルク
【審査官】安食 泰秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-026305(JP,A)
【文献】特開2018-129266(JP,A)
【文献】特開2018-129259(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0126813(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 41/275
F21S 43/20
F21S 41/143
F21S 41/16
F21S 41/162
F21S 41/17
F21S 41/13
F21S 43/14
F21S 43/13
F21S 45/00
F21W 102/00
F21W 103/00
F21W 103/55
F21W 103/10
F21W 103/40
F21W 102/30
F21Y 115/10
F21Y 115/15
F21Y 115/30
F21Y 101/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(2)のための照明デバイス(1)であって、少なくとも1つの光源(10)と、赤外線に基づいて前記車両(2)の外側の情報を取得するように構成される少なくとも1つのセンサー(11)と、カバー(12)によって閉じられるハウジング(13)と、を備え、前記カバー(12)は、前記少なくとも1つの光源(10)を覆う第1部分(121)と、可視光に対して不透明であり且つ赤外線に対して不透明である第2部分(122)と、を含み、前記カバー(12)は、可視光に対して不透明であり且つ赤外線に対して透明である第3部分(123)であって、前記少なくとも1つのセンサー(11)を実質的に中心として前記第2部分(122)と一体化される第3部分(123)を更に備えることを特徴とする、照明デバイス(1)。
【請求項2】
前記少なくとも1つのセンサー(11)はライダーである請求項1に記載の照明デバイス(1)。
【請求項3】
前記照明デバイス(1)は複数の光源(10)を備える請求項1又は2に記載の照明デバイス(1)。
【請求項4】
前記照明デバイス(1)は複数のセンサー(11)を備える請求項1~3のいずれか一項に記載の照明デバイス(1)。
【請求項5】
前記カバー(12)は、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)又はポリカーボネート(PC)で作られる請求項1~4のいずれか一項に記載の照明デバイス(1)。
【請求項6】
前記第3部分(123)は、前記第1部分(121)よりも低い可視光に関する透過能力を有する請求項1~5のいずれか一項に記載の照明デバイス(1)。
【請求項7】
前記少なくとも1つの光源(10)は、半導体光源、ハロゲン光源、キセノン光源、又はレーザー光源である請求項1~6のいずれか一項に記載の照明デバイス(1)。
【請求項8】
前記照明デバイス(1)は、ヘッドライト又はテールライトである請求項1~7のいずれか一項に記載の照明デバイス(1)。
【請求項9】
前記第2部分(122)及び前記第3部分(123)は、それらにわたって表面が覆われる前記カバー(12)の前記第1部分(121)によって、覆われる請求項1~8のいずれか一項に記載の照明デバイス(1)。
【請求項10】
前記カバー(12)の前記第1部分(121)、前記第2部分(122)及び前記第3部分(123)は、エッジからエッジまで配置される請求項1~8のいずれか一項に記載の照明デバイス(1)。
【請求項11】
前記カバー(12)の前記第1部分(121)、前記第2部分(122)及び前記第3部分(123)は注入される請求項1~10のいずれか一項に記載の照明デバイス(1)。
【請求項12】
前記第1部分(121)、前記第2部分(122)及び前記第3部分(123)はオーバーモールドされる請求項11に記載の照明デバイス(1)。
【請求項13】
前記第1部分(121)、前記第2部分(122)及び前記第3部分(123)は一緒に組み立てられる請求項11に記載の照明デバイス(1)。
【請求項14】
前記第1部分(121)、前記第2部分(122)及び前記第3部分(123)のうちの2つの部分がオーバーモールドされ、前記第1部分(121)、前記第2部分(122)及び前記第3部分(123)のうちの他の部分が、前記2つのオーバーモールドされる部分のうちの少なくとも1つと一緒に組み立てられ、又はその逆も同様である請求項11に記載の照明デバイス(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のための照明デバイスに関する。それは、特に動力車両に適用されるが、動力車両に限定されない。
【発明の概要】
【0002】
動力車両の分野において、当業者に知られている車両用照明デバイスは、ハウジングと、ハウジングに配置された光源と、ハウジングに配置され且つ不可視光に基づいて車両の外側の情報を取得するように構成されたセンサーと、前記ハウジングを閉じるためのカバーであって光源を覆う第1部分及びセンサーを覆う第2部分を含むカバーと、を備え、第2部分は、第1部分よりも低い可視光に関する透過能力を有する。第2部分はグレーや黒の外観を有し、美的機能としても役立つ。
【0003】
この先行技術の1つの欠点は、美的機能を果たす第2部分がそれ故にカバーの大部分を覆い、車両の外側からの赤外線などの光線は、それ故に広い面積にわたって延在する第2部分を通過して、電子部品又は前記ハウジングなどのこの第2部分の背後に位置する照明デバイスの要素を劣化させることである。
【0004】
これに関連して、本発明は、記載された欠点を改善することを可能にする照明デバイスを提供することを目的とする。
【0005】
そのために、発明は車両のための照明デバイスを提供し、当該照明デバイスは、少なくとも1つの光源と、赤外線に基づいて車両の外側の情報を取得するように構成される少なくとも1つのセンサーと、前記少なくとも1つの光源を覆う第1部分及び可視光に対して不透明であり赤外線に対して不透明な第2部分を含むカバーと、を備え、前記カバーが、可視光に対して不透明であり且つ赤外線に対して透明である第3部分であって、前記少なくとも1つのセンサーを実質的に中心として第2部分と一体化される第3部分を更に備えることを特徴とする。
【0006】
このように、以下で詳しく分かるように、第2部分と一体化され且つセンサーを中心とする第3部分は、赤外線が通過することを許容するが大きさの点で制限される領域を持つことが可能である。その結果、車両の外側から到来した光線は、それらがカバーを通過するのに非常に小さなエリアのみを有するため、照明デバイスの内部領域を劣化させることができない。
【0007】
いくつかの非限定的な実施形態によれば、照明デバイスは、以下の中から、単独で又は任意の技術的に可能な組み合わせで受け取られる1つ又は複数の追加の特徴を更に含んでもよい。
【0008】
非限定的な一実施形態によれば、前記少なくとも1つのセンサーはライダーである。
【0009】
非限定的な一実施形態によれば、前記照明デバイスは、複数の光源を備える。
【0010】
非限定的な一実施形態によれば、前記照明デバイスは、複数のセンサーを備える。
【0011】
非限定的な一実施形態によれば、前記カバーは、ポリ(メチルメタクリレート)又はポリカーボネートで作られる。
【0012】
非限定的な一実施形態によれば、前記第3部分は、前記第1部分よりも低い可視光に関する透過能力を備える。
【0013】
非限定的な一実施形態によれば、前記少なくとも1つの光源は、半導体光源、ハロゲン光源、キセノン光源、又はレーザー光源である。
【0014】
非限定的な一実施形態によれば、前記照明デバイスは、ヘッドライト又はテールライトである。
【0015】
非限定的な一実施形態によれば、前記第2部分及び前記第3部分は、それらにわたって表面が覆われる前記カバーの前記第1部分によって覆われる。
【0016】
非限定的な一実施形態によれば、前記カバーの前記第1部分、前記第2部分及び前記第3部分は、エッジからエッジまで配置される。
【0017】
非限定的な一実施形態によれば、前記カバーの前記第1部分、前記第2部分、及び前記第3部分は、注入される。
【0018】
非限定的な一実施形態によれば、前記第1部分、前記第2部分及び前記第3部分は、オーバーモールドされる。
【0019】
非限定的な一実施形態によれば、前記第1部分、前記第2部分及び前記第3部分は一緒に組み立てられる。
【0020】
非限定的な一実施形態によれば、前記第1部分、第2部分及び第3部分のうちの2つの部分はオーバーモールドされ、前記第1部分、第2部分及び第3部分のうちの他の部分は、前記2つのオーバーモールドされる部分の少なくとも1つと一緒に組み立てられ、又はその逆もまた同様である。
【0021】
非限定的な一実施形態によれば、前記第2部分は、前記第1部分よりも低い可視光に関する透過能力を有する。
【0022】
非限定的な一実施形態によれば、前記第2部分は、前記第3部分よりも低い赤外線に関する透過能力を有する。
【0023】
非限定的な一実施形態によれば、前記第3部分は、前記少なくとも1つのセンサーを覆う。それは、前記少なくとも1つのセンサーに面して配置される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
発明及びその様々な応用は、以下の説明を読み、添付の図を参照することで、よりよく理解されるであろう:
図1図1は、発明の非限定的な一実施形態による、車両用の照明デバイスを概略的に示し、前記照明デバイスは、ハウジング、少なくとも1つの光源、少なくとも1つのセンサー、及びカバーを備える。
図2図2は、非限定的な一実施形態による、図1の照明デバイスの正面図を示す。
図3図3は、非限定的な一実施形態による、図2の照明デバイスのハウジングの正面図を示す。
図4図4は、非限定的な一実施形態による、図2の照明デバイスのカバーの背面図を示す。
図5図5は、非限定的な第1実施形態による、図4の前記カバーの第1の断面図を示す。
図6図6は、非限定的な一実施形態による、図5の前記カバーの第1の断面図の一部のクローズアップ図を示す。
図7図7は、非限定的な一実施形態による、図5の前記カバーの第1の断面図の一部のクローズアップ図を示す。
図8図8は、非限定的な第2実施形態による、図4の前記カバーの第2の断面図を示す。
図9図9は、非限定的な一実施形態による、図8の前記カバーの第2の断面図の一部のクローズアップ図を示す。
図10図10は、非限定的な一実施形態による、図8の前記カバーの第2の断面図の一部のクローズアップ図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
車両2のための照明デバイス1は、図1図10を参照して説明される。非限定的な一実施形態において、車両2は、動力車両である。動力車両という用語は、あらゆるタイプの動力装置付き車両を意味すると理解される。この実施形態は、明細書の残りの部分を通して非限定的な例として受け止められる。明細書の残りの部分を通して、このように車両は動力車両とも呼ばれる。
【0026】
いくつかの非限定的な例において、照明デバイス1は、ヘッドライト又はテールライトである。
【0027】
図1に示されるように、非限定的な一実施形態において、照明デバイス1は:
-少なくとも1つの光源10、
-少なくとも1つのセンサー11、
-カバー12、
-ハウジング13、
を含む。
【0028】
照明デバイス1は、前記少なくとも1つの光源10を制御するためのデバイス15を更に備える。非限定的な一実施形態において、照明デバイス1は、複数の光源10を備える。非限定的な一実施形態において、照明デバイス1は、複数のセンサー11備える。
【0029】
図2は、トランクテールライト(trunktaillight)である照明デバイス1の非限定的な一例を示す。それは、2つの光源10及び2つのセンサー11を備える。センサー11は、カバー12の背後に配置される。そのため、それらは図2において破線で示される。
【0030】
図3に示されるように、センサー11はハウジング13において配置される。ハウジング13は、カバー12によって閉じられる。光源10及びセンサー11は、ハウジング13において配置される。制御デバイス15も、図1の非限定的な例に示されるように、ハウジング13において配置される。それは、(示されていない)別の非限定的な例において、遠く離れていてもよい。
【0031】
非限定的な一実施形態において、光源10は、図1に示される光学モジュール14の一部を形成し、前記光学モジュール14は、少なくとも1つのレンズ及び/又は反射器140を更に備える。図1に示すように、光源10は、光線Rを発するように構成される。これらの光線Rは、可視域にある波長を持つ。光線Rは、一次光線F1の全部又は一部を形成するように、前記光学モジュール14のレンズ及び/又は反射器140と相互作用する。したがって、いくつかの非限定的な実施形態において、光学モジュール14は、シグナルビーム(昼間走行灯、位置灯、フォグライト、又は表示灯など)の全部又は一部を及び/又は照明ビーム(ハイビーム又はロービームなど)を形成するように構成される。非限定的な一実施形態において、光源10は、半導体光源である。非限定的な一実施形態において、半導体光源10は、発光ダイオードの一部を形成する。発光ダイオードによって意味されるものは、あらゆるタイプの発光ダイオードであり、すなわち、LED(発光ダイオード)、OLED(有機LED)、AMOLED(アクティブマトリクス有機LED)又はFOLED(フレキシブルOLED)といった複数の非限定的な例を与える。他の非限定的な例において、光源10は、ハロゲン光源、キセノン光源又はレーザー光源である。
【0032】
センサー11は、赤外線に基づいて車両2の外側の情報を取得するように構成される。非限定的な一実施形態において、センサー11は、ライダーである。ライダー11は、動力車両2の外側に位置する物体3(ここでは非限定的な一例における歩行者)からの距離を測定するために、赤外光ビームF2を発するように且つお返しとして(図1に図示される)エコーF2’を受けるように構成される。そのエコーは、前記物体3からの赤外光ビームF2の反射したものである。非限定的な一実施形態において、ライダー11は、発せられた赤外光ビームF2と、赤外光ビームF2からの反射光であるそのエコーF2’との間の移動時間を測定する。したがってそれは、飛行時間(TOF)技術を使う。赤外線は700ナノメートルから1ミリメートルまでの波長を持ち、ライダーの動作波長は905ナノメートルであることが想起される。この移動時間から、当業者に知られている方法で、物体3から動力車両2までの距離が検出されうる。
【0033】
カバー12は、ハウジング13が閉じられることを許容する。図4に示すように、それは光源10からの一次光ビームF1が通過するのを許容するように構成される少なくとも1つの光領域124を含む。受け取られる非限定的な例において、それは2つの光領域124を含む。図5及び図8に示すように、カバー12は、中央部12a、端部12b及びエッジ12cを含む。エッジ12cは、カバー12の中央部12aと各側で隣り合い、端部12bは、各々、カバー12のエッジ12cに隣り合うことが留意される。別の非限定的な実施形態(図示せず)において、カバー12は、端部12bを含まず、中央部12a及びエッジ12cのみを含む。端部12bを有する非限定的な実施形態は、明細書の残りの部分を通して非限定的な例として受け止められる。
【0034】
図1図5及び図8に示すように、カバー12は:
-第1部分121、
-第2部分122、
-第3部分123、
を含む。
【0035】
図5及び図8は、図4に示される軸AAに沿った図4の断面を示す。
【0036】
図1に示されるように、第1部分121は光源10を覆う。図1から分かるように、このように、第1部分121は、光源10に面して配置される。非限定的な一実施形態において、それは光源10から距離を置いて配置される。第1部分121は、透明である。それは、赤外光及び可視光が通過するのを許容する。光学モジュール14によって生成される一次光ビームF1は、車両2の外側の領域を照明するために、カバー12の第1部分121を通過する。図1及び図5に示される非限定的な第1実施形態において、第1部分121はまたセンサー11を覆う。第1部分121は、前記センサー11から距離を置いて配置される。これにより赤外光ビームF2は、第1部分121だけでなく、(後述される)第3部分123も通過する。図8に示される非限定的な第2実施形態において、第1部分121は、センサー11を覆わない。従って、赤外光ビームF2は、第3部分123のみを通過する。
【0037】
図5に示される非限定的な第1実施形態において、第1部分121は、カバー12の全長にわたって延び、それがカバー12の中央部12aであろうとカバー12の端部12bであろうと、第2部分122全体を覆う。図示された非限定的な一実施形態において、第1部分121は、第2部分122に接触する。図6及び図7において、第2部分122を覆う第1部分121を確認することができる。したがって、第1部分121は、第2部分122及び第3部分123を覆う。図8に示される非限定的な第2実施形態において、第1部分121は、カバー12の一部にわたって延び、図9に示されるように端部12bにおいて第2部分122を部分的にのみ覆う。第1部分121は、図8及び図10に示されるように、カバー12の中央部12aにおける第2部分122と隣り合っている。カバー12が端部12bを持たない場合、第1部分121は第2部分122を覆わない。したがって、第1部分121は、カバー12の端部12bにおいて第2部分122を部分的に覆うのみで、第3部分123を覆わない、或いは第2部分122又は第3部分123を覆わない。
【0038】
非限定的な一実施形態において、前記カバー12の第1部分121は、PMMAとしても知られるポリ(メチルメタクリレート)で作られ、又はPCとしても知られるポリカーボネートで作られる。非限定的な一変形実施形態において、照明デバイス1がヘッドライトである場合、第1部分121は、PCで作られる。非限定的な一変形実施形態において、照明デバイス1がテールライトである場合、第1部分121は、PC又はPMMAで作られる。PCの用途は、その機械的強度によって、特に衝撃強度によって、説明される。更に、テールランプにおいて熱が高すぎる場合、非限定的な一変形実施形態において、第1部分121はPCで作られる。
【0039】
第2部分122は、照明デバイス1が他の照明デバイスから美的に区別されることを可能にする美的要素として働く。第2部分122は、可視光に対して及び赤外線に対して、不透明である。非限定的な一実施形態において、それは異なる色であってもよい。したがって、いくつかの非限定的な例において、それは赤、灰色、又は黒である。非限定的な一例として、照明デバイス1がヘッドライトである場合、それは色が黒であり、それがテールライトである場合、それは色が赤、灰色、又は黒である。図1に示されるように、第2部分122は、センサー11又は光源10を覆わない。したがって、それはセンサー11に面して配置されない。また、光源10に面して配置されるわけでもない。第2部分122は、第1部分121よりも低い可視光に関する透過能力を有し;すなわち、それは可視光が通過するのを許容しない。更に、第2部分122は、第3部分123よりも低い赤外線に関する透過能力を有し;すなわち、それは赤外線が通過するのを許容しない。したがって、光学モジュール14によって生成された一次光ビームF1は、この第2部分122を通過することができない。同様に、センサー11で発生した光ビームF2は、この第2部分122を通過することができない。そのため、それは、可視光及び赤外線を、つまりそれらの波長を除去する。このように、美的機能を果たし且つそれ故にカバー12の広い範囲をカバーする第2部分122は、赤外線専用ではなく、それ故にセンサー11専用ではない。
【0040】
図5に示される非限定的な第1実施形態において、第2部分122は、それがカバー12の中央部12aであろうとカバー12の端部12bであろうと、カバー12の全長にわたって第1部分121によって完全に覆われている。図8に示される非限定的な第2実施形態において、第2部分122は、カバー12bの中央部12aにおいて第1部分121に隣り合っており、カバー12の端部12bにおいて第1部分121によって覆われる。図5及び図8に示されるように、第2部分122は、カバー12の中央部12a(第3部分123の場所を除く)にわたって且つカバー12の端部12bにわたって部分的に延在するが、光源10が配置されるカバー12のエッジ12cにわたっては延在しない。
【0041】
非限定的な一実施形態において、前記カバー12の第2部分122は、PMMAとしても知られるポリ(メチルメタクリレート)で作られ、又はPCとしても知られるポリカーボネートで作られる。非限定的な一変形実施形態において、照明デバイス1がヘッドライトである場合、第2部分122は、PCで作られる。非限定的な一変形実施形態において、照明デバイス1がテールライトである場合、第2部分122は、PC又はPMMAで作られる。PCは、PMMAよりも強く、特に、例えば車両2が移動している際に前記照明デバイス1上に与えられる砂利から、照明デバイス1(ヘッドライトの場合)が保護されることを可能にすることに留意される。更に、テールランプにおいて熱が高すぎる場合、非限定的な一変形実施形態において、第2部分122はPCで作られる。
【0042】
第3部分123は、第2部分122とは異なり、赤外線に対して透明であり、すなわちそれは赤外線が通過するのを許容する。第3部分123は、可視光に対して不透明である。それはセンサー11を覆う。図1から分かるように、第3部分123は、このように、センサー11に面して配置される。非限定的な一実施形態において、それは前記センサー11から距離を置いて配置される。したがって、センサー11で発生した赤外光ビームF2は、この第3部分123を通過して、車両2の外側の領域を照射する。ただし、第2部分122に関するのと同様に、可視光は、この第3部分123によって除去される。赤外光ビームF2が物体3に到達すると、物体3で反射した対応する光F2’が第3部分123を通過し、センサー11によって検出される。第3部分123は、第1部分121よりも低い可視光に関する透過能力を具備し;すなわち、第3部分123は可視光が通過することを許容しない。そのため、それは可視光線を、すなわちその波長を、除去する。図1に示されるように、第3部分123は、前記センサー11によって生成された赤外光ビームF2の全てが通過することを許容するように且つ前記センサー11の前を通過する物体3から反射されるように、センサー11を実質的に中心としている。それによりセンサー11はより効果的である。更に、図5及び図8に示すように、第3部分123は、第2部分122に一体化されている。第3部分123は、このように赤外線に対して透明であるカバー12の非常に限られた領域を表している。非限定的な一実施形態において、第3部分123は、確実にセンサー11を完全に覆うようにするために、照明デバイス1におけるセンサー11に関する積分公差εの範囲内で、センサー11のエリアと実質的に同じ大きさのエリアを含む。非限定的な一実施形態において、積分公差εは、数10分の1ミリメートル~1又は2ミリメートルである。これにより、機械的な組み立てセットの部品などの寸法公差を考慮することが可能になる。別の非限定的な実施形態において、複数のセンサー11が互いに近接している場合、第3部分123は、カバー12の設計を単純化し且つその大量生産の容易性を向上させるために、前記複数のセンサー11を覆う。これは、ともに近接するセンサー11間で一体化するような第2部分122の小面積を有することを回避する。
【0043】
このように、外側から赤外線の多い光線が来て第3部分123を通過しても、第3部分123のエリアが限定されているので、それらは、カバー12の背後に位置する照明デバイス1の要素(電子部品やハウジングなど)を劣化させない。したがって、それらの要素が焼かれるリスクはない。この問題は一般に「サンバーン(sunburn)」と呼ばれる。更に、第3部分123は限られたエリアを表すので、製造コストが低減される。すなわち、赤外線に対して透明である第3部分123を得るための材料は、あるコストを表す。第3部分123を第2部分122に一体化することは、カバー12の製造を簡略化することを可能にしうることに留意される。
【0044】
図5に示される非限定的な第1実施形態において、第2部分122が第1部分121によって全体的に覆われる場合、第3部分123は第1部分121によって覆われる。図示された非限定的な一実施形態において、第3部分123は、第1部分121に接触する。図8に示される非限定的な第2実施形態において、第2部分122がカバー12の中央部12aにおいて及びカバー12の端部12bで第1部分121に隣り合う場合、第3部分123は、第1部分121によって覆われない。
【0045】
非限定的な一実施形態において、前記カバー12の第3部分123は、PMMA又はPCで作られる。1つの非限定的な代替実施形態において、照明デバイス1がヘッドライトである場合、第3部分123はPCで作られる。別の非限定的な代替実施形態において、照明デバイス1がテールライトである場合、第3部分123は、PC又はPMMAで作られる。センサー11専用の第3部分123に使用される材料は、第2部分122又は第1部分121に使用されるものよりも高価であることに留意される。
【0046】
カバーは、2つの実施形態によって、以下に説明する製造方法に従って製造される。
【0047】
カバー12を製造するために、カバー12専用のモールド(図示せず)が使用される。そのモールドは、カバー12を製造するために複数のキャビティで構成されており、各キャビティはカバー12の一部に対応する。したがって、モールドは、第1部分121のためのキャビティ、第2部分122のためのキャビティ、及び第3部分123のためのキャビティを含む。第1部分121、第2部分122及び第3部分123は、それらのそれぞれのキャビティに注入される。
【0048】
非限定的な第1実施形態において、第1部分121、第2部分122及び第3部分123は、オーバーモールドされる。このようにして、カバー12は3ショット注入される。したがって、非限定的な一例において、第2部分122及び第3部分123にわたって表面が覆われる第1部分121を得るために、第2部分122の材料は、この目的のために設けられたモールドのキャビティ内に注入される。次に、この目的のために設けられたモールドのキャビティ内に第3部分123の材料が注入され、又はその逆も同様である。最後に、この目的のために設けられるモールドのキャビティ内に、第1部分121の材料が注入される。こうして、第2部分122の材料及び第3部分123の材料にわたって表面が覆われる第1部分が得られる。したがって、前記第2部分122及び前記第3部分123は、それらにわたって表面が覆われる前記第1部分121によって覆われる。したがって、別の非限定的な例において、エッジからエッジに配置された第1部分121、第2部分122及び第3部分123を得るために、第1部分121の材料は、この目的のために設けられたモールドのキャビティ内に注入される。次に、この目的のために設けられたモールドのキャビティ内に第2部分122の材料が注入され、この目的のために設けられたモールドのキャビティ内に第3部分123の材料が注入され、又はその逆も同様である。第2部分122の代わりに第1部分121を最初に注入することは、境界領域で第2部分122の材料の局所的な再溶融であって目に見えすぎてしまうことになる再溶融を有することを、回避する。
【0049】
非限定的な第2実施形態において、第1部分121、第2部分122及び第3部分123は、一緒に組み立てられる。したがって、非限定的な一例において、第1部分121、第2部分122及び第3部分123は、エッジからエッジまで配置される。いくつかの非限定的な例において、その組み立ては、接合、溶接、クリッピングなどによって行われる。
【0050】
非限定的な第3実施形態において、組み立て及びオーバーモールドを組み合わせることが可能である。例えば、2つの部分を一緒にオーバーモールドし、第3部分を他の部分の一方又は両方と一緒に組み立てることが可能である。したがって、前記第1部分121、第2部分122及び第3部分123のうちの2つの部分がオーバーモールドされ、前記第1部分121、第2部分122及び第3部分123のうちの他の部分が、前記2つのオーバーモールドされた部分のうちの少なくとも1つと一緒に組み立てられ、又はその逆も同様である。
【0051】
もちろん、発明の説明は、上述した実施形態及び上述した分野に限定されるものではない。
【0052】
したがって、記載された発明は、特に、以下の利点を有する:
-それは、カバー12の背後に位置する要素(電子部品やハウジングなど)に対するダメージを避ける、
-それは、カバーの美的機能に特化した領域を、赤外線が通過することを許容する機能に特化した領域から区別することを可能にし;それにより、先行技術とは異なり、それは赤外線が通過するのを許すために第2領域の全エリアを使用せず、第3領域の全体エリアという別の領域を赤外線が通過するのを許すために使用する、
-それは、カバー12のうち、センサー12専用のより小さな領域を有することを可能にする。そのため、それはカバー13の製造にかかるコストを低減する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10