(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-10
(45)【発行日】2023-02-20
(54)【発明の名称】入賞装置及びそれを備えた遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20230213BHJP
【FI】
A63F7/02 304D
A63F7/02 312Z
A63F7/02 317
(21)【出願番号】P 2019006508
(22)【出願日】2019-01-18
【審査請求日】2021-12-01
(73)【特許権者】
【識別番号】591150270
【氏名又は名称】日本ぱちんこ部品株式会社
(72)【発明者】
【氏名】大原 和哉
(72)【発明者】
【氏名】原 敬介
(72)【発明者】
【氏名】足立 義一
【審査官】手塚 毅
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-097690(JP,A)
【文献】特開2006-034455(JP,A)
【文献】特開2011-125480(JP,A)
【文献】特開2010-207433(JP,A)
【文献】特開2006-280514(JP,A)
【文献】特開2006-325960(JP,A)
【文献】特開2008-005873(JP,A)
【文献】特開2008-237745(JP,A)
【文献】特開平11-276672(JP,A)
【文献】特開平01-025876(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技領域を流下する遊技球が入賞する入賞装置であって、
入賞口が配された入賞領域と、
遊技球を受け入れる受入位置と、遊技球を前記入賞領域に向けて放出する放出位置と、の間で変位自在な可動部材と、
前記遊技領域を流下する遊技球を受けて前記可動部材に誘導する誘導手段と、
前記可動部材を前記受入位置から前記放出位置に向かう方向に付勢する付勢部材と、
前記可動部材を前記放出位置から前記受入位置に変位させる駆動力を生じさせる駆動源と、
前記可動部材が前記放出位置に移動したときに衝止する規制部と、
前記入賞領域内から遊技球を排出する排出口と、
前記排出口から排出された遊技球を第2入賞口又は外れ口に振り分ける振分手段と、
を備え、
前記可動部材は、前記付勢部材により前記入賞領域に向けて付勢された状態で、前記規制部に衝止することで遊技球を前記入賞領域に向けて放出する
とともに、
前記振分手段は、
回動自在に軸支される回動体と、
前記排出口から排出された遊技球を受けて前記回動体に誘導する誘導路と、
前記回動体を所定の回動軸を中心に回動させる第2駆動源と、
前記回動体の外周面に設けられ、前記誘導路によって誘導された遊技球を保持するとともに、前記回動体の回動に応じて前記回動軸の軸周りに移動して、保持した遊技球を前記第2入賞口又は前記外れ口へと移動させる保持部と、
前記第2駆動源による前記回動体の前記回動軸を中心とする回動に連動して、前記回動体を揺動させる揺動手段と、を備えることを特徴とする入賞装置。
【請求項2】
前記規制部は、弾性体によって構成されていることを特徴とする請求項1に記載の入賞装置。
【請求項3】
前記可動部材は、遊技球の一部が入り込む凹部を有することを特徴とする請求項1
又は請求項
2のいずれか一項に記載の入賞装置。
【請求項4】
前記入賞口は、前記入賞領域内で移動することを特徴とする請求項1から請求項
3のいずれか一項に記載の入賞装置。
【請求項5】
前記入賞領域を前方から覆う被覆部を備え、
前方から前記被覆部を介して前記入賞領域が視認可能であることを特徴とする請求項1から請求項
4のいずれか一項に記載の入賞装置。
【請求項6】
請求項1から請求項
5のいずれか一項に記載の入賞装置を備えていることを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入賞装置及びそれを備えた遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、遊技機として、遊技領域に打ち込まれた遊技球が、釘やステージ等に誘導されながら流下して入賞口へ向かう構成が知られている。このような構成の遊技機では、入賞口へ至る遊技球の経路が、新鮮味に欠けるものであったため、特許文献1,2のような遊技機の構成が考えられている。
【0003】
特許文献1の入賞球装置は、入賞口の下方に、パチンコ玉が嵌入する嵌合孔が形成された保留場所が設けられている。この入賞球装置には、嵌合孔に嵌入したパチンコ玉を、駆動機構の駆動力に基づいて、付勢力に抗して入賞口に向けて打ち上げる打上げ部材が設けられている。特許文献2の遊技機は、的部材の下方に入賞口が設けられており、転動ステージに設けられた射的部材によって遊技球を的部材に向けて打ち出す構成となっている。遊技球は、的部材に当てることで、下方の入賞口に導いて入賞させるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平6-198032号公報
【文献】特許第6283886号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の入賞球装置は、パチンコ玉が打上げ部材によって打ち上げられる前に、保留場所の嵌合孔に嵌入する構成である。そのため、保留場所に多くのパチンコ玉が流入することで、嵌合孔に嵌入しているパチンコ玉が他のパチンコ玉に干渉してしまい、入賞口へ向けて打ち上げられない問題が生じる。
【0006】
特許文献2の遊技機は、射的部材が、ソレノイドの直動ロッドの往復運動に連動して、横倒れ状態から起立状態へ変化し、その勢いで遊技球が的部材に向けて飛ばされる構成である。そのため、飛ばされた遊技球は、勢いにばらつきが生じ、軌道を安定的に制御することができない。したがって、遊技球を入賞口に向けて安定的な軌道で放出が可能な構成が求められている。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、可動部材による入賞領域に向けた遊技球の放出を安定的に制御し得る入賞装置および遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の入賞装置は、
遊技領域を流下する遊技球が入賞する入賞装置であって、
入賞口が配された入賞領域と、
遊技球を受け入れる受入位置と、遊技球を前記入賞領域に向けて放出する放出位置と、
の間で変位自在な可動部材と、
前記遊技領域を流下する遊技球を受けて前記可動部材に誘導する誘導手段と、
前記可動部材を前記受入位置から前記放出位置に向かう方向に付勢する付勢部材と、
前記可動部材を前記放出位置から前記受入位置に変位させる駆動力を生じさせる駆動源と、
前記可動部材が前記放出位置に移動したときに衝止する規制部と、
前記入賞領域内から遊技球を排出する排出口と、
前記排出口から排出された遊技球を第2入賞口又は外れ口に振り分ける振分手段と、
を備え、
前記可動部材は、前記付勢部材により前記入賞領域に向けて付勢された状態で、前記規制部に衝止することで遊技球を前記入賞領域に向けて放出するとともに、
前記振分手段は、
回動自在に軸支される回動体と、
前記排出口から排出された遊技球を受けて前記回動体に誘導する誘導路と、
前記回動体を所定の回動軸を中心に回動させる第2駆動源と、
前記回動体の外周面に設けられ、前記誘導路によって誘導された遊技球を保持するとともに、前記回動体の回動に応じて前記回動軸の軸周りに移動して、保持した遊技球を前記第2入賞口又は前記外れ口へと移動させる保持部と、
前記第2駆動源による前記回動体の前記回動軸を中心とする回動に連動して、前記回動体を揺動させる揺動手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明の遊技機は、上記入賞装置を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の入賞装置および遊技機は、可動部材が駆動源の駆動力によって付勢部材の付勢に抗して放出位置から受入位置に変位することによって、誘導手段を介して遊技領域を流下する遊技球を受け入れることができる。そして、可動部材は、駆動源の駆動力によって放出位置から受入位置に変位した後、受入位置から放出位置に付勢部材の付勢に基づいて変位させることができる。その上で、入賞装置は、可動部材が放出位置に移動したときに衝止する規制部を備えている。可動部材は、付勢部材により入賞領域に向けて付勢された状態で、規制部に衝止することで遊技球を入賞領域に向けて放出する構成である。これにより、遊技球は、入賞領域に向かって十分に付勢された状態で、特定の放出位置において可動部材から放出されることになり、安定した軌道で入賞領域へと到達させることができる。したがって、可動部材による入賞領域に向けた遊技球の放出を安定的に制御することができる。
【0011】
本発明の入賞装置は、規制部が、弾性体によって構成されていてもよい。
【0012】
この構成によれば、規制部は、放出位置で可動部材を衝止する際に、可動部材との衝突の衝撃を緩和することができる。そのため、可動部材の耐久性を向上させることができる。
【0013】
本発明の入賞装置は、入賞領域内から遊技球を排出する排出口を備えていてもよい。
【0014】
この構成によれば、入賞領域内に放出された遊技球は、入賞口に入球するか排出口に入球するかによって、一種の抽選を行うことができる。このような抽選によって、遊技者の興趣を高めることができる。
【0015】
本発明の入賞装置は、排出口から排出された遊技球を第2入賞口又は外れ口に振り分ける振分手段を備えていてもよい。
【0016】
この構成によれば、排出口から排出された遊技球が、第2入賞口に入球するか外れ口に入球するかによって、さらなる抽選を行うことができる。そのため、連続して行われる抽選によって、より一層遊技者の興趣を高めることができる。
【0017】
本発明の入賞装置は、振分手段が、回動自在に軸支される回動体と、排出口から排出された遊技球を受けて回動体に誘導する誘導路と、回動体を所定の回動軸を中心に回動させる第2駆動源と、回動体の外周面に設けられ、誘導路によって誘導された遊技球を保持するとともに、回動体の回動に応じて回動軸の軸周りに移動する保持部と、第2駆動源による回動体の回動軸を中心とする回動に連動して、回動体を揺動させる揺動手段と、を備えていてもよい。保持部は、保持した遊技球を第2入賞口又は外れ口へと移動させてもよい。
【0018】
この構成によれば、回動体の回動に応じて回動軸の軸周りに移動する保持部は、揺動しながら回動移動することになる。そのため、遊技者が保持部の回動軌道を予測することが難しくなり、遊技者の興趣を高めることができる。
【0019】
本発明の入賞装置は、可動部材が、遊技球の一部が入り込む凹部を有していてもよい。
【0020】
この構成によれば、凹部は、遊技球を受け入れて安定して保持することができるとともに、可動部材の放出位置において付勢部材の付勢力に基づいて開口から支障なく放出させることができる。
【0021】
本発明の入賞装置は、入賞口が、入賞領域内で移動してもよい。
【0022】
この構成によれば、入賞領域に放出された遊技球の入賞口への入球が、入賞口の移動に依存することになり、ゲーム性を高めることができる。
【0023】
本発明の入賞装置は、入賞領域を前方から覆う被覆部を備え、前方から被覆部を介して入賞領域が視認可能であってもよい。
【0024】
この構成によれば、入賞領域が前方から被覆部に覆われていても、入賞領域内の遊技球の動きを視認することができる。そのため、入賞領域内の遊技球の動きによって、遊技者の興趣を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施形態に係る遊技機を例示する正面図である。
【
図2】
図2は、
図1の入賞装置の主要部を前方側且つ斜め上方側から見た斜視図である。
【
図3】
図3は、
図1の入賞装置における主要部の背面図である。
【
図4】
図4は、
図2の第1振分装置を前方側且つ斜め上方側から見た分解斜視図である。
【
図5】
図5は、
図2の第2振分装置を前方側且つ斜め上方側から見た分解斜視図である。
【
図6】
図6(A)は、
図2の第3振分装置を前方側且つ斜め上方側から見た斜視図であり、
図6(B)は、後方側且つ斜め上方側から見た斜視図である。
【
図7】
図7は、可動部材が受入位置にあるときの
図3のA-A断面を示す断面図である。
【
図8】
図8は、可動部材が放出位置にあるときの
図3のA-A断面を示す断面図である。
【
図9】
図9は、動作を説明する第1振分装置の正面図である。
【
図10】
図10は、第1振分装置の動作を説明する、
図7のB-B断面を示す断面図である。
【
図11】
図11は、第2振分装置の動作を説明する、
図3のC-C断面を示す断面図である。
【
図12】
図12は、第3振分装置の動作を説明する、
図3のD-D断面を示す断面図である。
【
図13】
図13は、第2ギヤの作用部の他の形態を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
[第1実施形態]
以下、本発明に係る入賞装置、及び遊技機を具現化した第1実施形態について、図面を参照して説明する。
【0027】
図1に示す遊技機1は、いわゆるパチンコ機として構成されており、遊技者側に配される前面枠2に形成された窓部3に透明板(ガラス板等)が配置されている。また、透明板の後方(奥側)には、遊技盤4が配置され、この遊技盤4上にガイドレール等によって区画された遊技領域4a(遊技球が流下可能な領域)が形成され、遊技者が透明板を介して遊技領域4aを視認できるように構成されている。遊技領域4aの中央には、遊技盤4を板厚方向に貫通して中央役物10が設けられている。中央役物10は、遊技盤面より奥側に主体となる入賞装置20が設けられ、遊技盤面の前方に立ち上がる庇状の上壁部11が設けられている。上壁部11の左右両側の縁部分には誘導手段としての回動翼片12が設けられ、回動翼片12に隣接して回動翼片12で受けた遊技球を入賞装置20に導く第1誘導通路13が設けられている。中央役物10の下方には、回動翼片12を開閉させる作動口5a,5bが設けられている。中央役物10の右下側には、アタッカーとして構成される大入賞口6が設けられている。また、窓部3の下方には、遊技球を受ける遊技球受皿7が設けられており、この遊技球受皿7の右側下方には回動操作によって遊技球を打ち出す発射ハンドル8が設けられている。
【0028】
なお、本明細書では、遊技盤4の前面(盤面)と直交する方向を前後方向とし、遊技盤4の前面(盤面)に対し遊技者が位置するべき側を前方側、それとは反対側(即ち、遊技機1奥側)を後方側とする。また、遊技領域4aを遊技球が流下する方向(鉛直方向)を上下方向とする。また、前後方向及び上下方向と直交する方向を左右方向とし、遊技機1前方側から見て左側を左方向、右側を右方向とする。
【0029】
回動翼片12は、図示しない電気的駆動源(例えばソレノイド)の動作に応じて 、略垂直に起立する起立位置(
図1の実線の状態)と、水平方向に傾倒する傾倒位置(
図1の二点鎖線の状態)と、に回動変位する。回動翼片12に隣接する第1誘導通路13は、遊技領域4aの左右方向中央に向かって下方位置となるように傾斜している。第1誘導通路13の下端は、
図2に示すように、後述する誘導手段としての通路部材40の受け部41の上方に位置している。回動翼片12は、起立状態になると、上壁部11と連なり、入賞装置20への入球を阻止する。一方で、回動翼片12は、傾倒状態になると、上壁部11と第1誘導通路13との間が開放された状態となり、遊技領域4aを流下する遊技球が回動翼片12で受けられて、第1誘導通路13によって入賞装置20へと導かれる。
【0030】
作動口5a,5bは、遊技領域4aを流下する遊技球が入球して遊技球を検出すると、図示しない制御装置(CPUやメモリ等を備えた装置)に球検知信号を送信する。作動口5a,5bから球検知信号を受信した制御装置は、所定個数の賞球の払い出しの制御と、回動翼片12の傾倒動作の制御を行う。なお、作動口5aに遊技球が入球した場合は、回動翼片12の傾倒動作が1回行われ、作動口5bに遊技球が入球した場合には、回動翼片12の傾倒動作が2回行われる。
【0031】
以下、入賞装置20について詳しく説明する。
図2~
図12に示す入賞装置20は、第1誘導通路13から受けた遊技球を、移動させながら抽選を行い、大入賞口6が開放される大当たり状態と、大当たり状態とならず入賞装置20から排出される外れ状態と、に遊技機1を変化させるように機能する装置である。入賞装置20は、
図2に示すように、ベース部材30、通路部材40(誘導手段)、第1振分装置50、第2振分装置60、及び第3振分装置70を備えている。以下、入賞装置20の構成要素について詳しく説明する。
【0032】
ベース部材30は、
図2,3,7,8に示すように、入賞装置20を構成する他の部材を支持する土台として構成され、遊技盤4の中央に開設した開口部の奥側に位置して固定されている(
図1参照)。ベース部材30は、第1振分装置50、第2振分装置60、及び第3振分装置70が組み付けられている。ベース部材30は、上枠部31と、下枠部32と、を備え一体的に設けられている。上枠部31は、遊技盤4の盤面と略平行に配される板部を有している。上枠部31の前面における上下方向中央には、第1振分装置50が固定されている。また、上枠部31の上端部側には、第2振分装置60が固定されている。下枠部32には、上枠部31の下端部側における前側に第3振分装置70が設けられている。
【0033】
上枠部31の前側には、
図2,7に示すように、第1振分装置50で外れた遊技球を排出する第1外れ球通路33、及び第2振分装置60で外れた遊技球を第3振分装置70に導く誘導樋38が設けられている。上枠部31の後側には、
図3,7に示すように、第1外れ球通路33の下流端と連通し第1外れ球通路33から送られる遊技球が貯留する外れ球皿34と、上端が外れ球皿34と連通し外れ球皿34に流入した遊技球を排出する第2外れ球通路35と、第2振分装置60で当たった遊技球が貯留する当たり球皿36と、上端が当たり球皿36と連通し当たり球皿36に流入した遊技球を排出する当たり球通路37が設けられている。
【0034】
誘導手段は、遊技領域4aを流下する遊技球を受ける回動翼片12と、回動翼片12で受けた遊技球を入賞装置20に導く第1誘導通路13と、後述する可動部材53に誘導する通路部材40を備えている。通路部材40は、
図2,7,8に示すように、第1振分装置50の前側に固定され、可動部材53又は第1外れ球通路33に誘導するように機能する。通路部材40は、第1誘導通路13からの遊技球を受ける受け部41と、受け部41によって誘導される遊技球を左右方向外側に誘導する一対の第2誘導通路42と、を有している。受け部41から流下する遊技球は、遊技球の流勢により一対の第2誘導通路42のいずれか一方を流下する。一対の第2誘導通路42は、それぞれ左右方向外側の端部に、後方に開口する開口部42aが形成されている。開口部42aから排出される遊技球は、後述する可動部材53が受入位置にあるときには、
図7に示すように、可動部材53の受入部53bへと流下し、可動部材53が放出位置にあるときには、
図8に示すように、可動部材53の下方を通過して第1外れ球通路33へと流下する。
【0035】
次に、第1振分装置50について説明する。
第1振分装置50は、通路部材40から遊技球を受けて、その遊技球を入賞領域ARに向けて放出するように機能する。ここで、
図2に示すように、後述する第2振分装置60の遊技球受入部61の内部の空間領域を、入賞領域ARとする。第1振分装置50は、
図4に示すように、後側本体部51と前側本体部52からなる本体部59、一対の可動部材53、一対の付勢部材54、駆動源55、第1ギヤ55b、一対の第2ギヤ55c、一対の第3ギヤ55e、第1連動部材56、装飾部材57、及び第2連動部材58を備えている。なお、実施例において、第1振分装置50は全体を人形に模した形状として、本体部59が胴部、一対の可動部材53が腕部、第1連動部材56が脚部、第2連動部材58が頭部を模している。
【0036】
後側本体部51及び前側本体部52は、第1振分装置50のベース部材として後側本体部51と前側本体部52の間に他の構成部材が組み付けられ、前後に一体的に組み付けられる。後側本体部51は、
図4に示すように、第1振分装置50の後側の外郭を構成し、前側本体部52は、第1振分装置50の前側の外郭を構成している。後側本体部51は、駆動源55が後方から組み付けられており、駆動源55の回動軸55aを後側から前側に挿通するための貫通孔51aが中心付近に形成されている。また、貫通孔51aの上側に、一対の第2ギヤ55cの軸部52f(
図10参照)をそれぞれ回動可能に支持するための一対の第1軸受部51bが形成され、貫通孔51aの下側に、一対の第3ギヤ55eをそれぞれ回動可能に支持する一対の第2軸受部51dが形成されている。また、後側本体部51の上端部には、後述するばね部材58aの一端が係止される係止部51cが形成されている。
【0037】
前側本体部52は、
図4に示すように、前壁部52a、一対の上壁部52b、及び一対の下壁部52dを有している。前壁部52aには、
図10に示すように、後面における左右方向の外側寄りの位置に、可動部材53の軸受部53cに挿通されて可動部材53の回動軸となる一対の軸部52eが形成されている。また、前壁部52aには、
図10に示すように、後面における左右方向の内側寄りの位置に、第2ギヤ55cに挿通され、後側本体部51の第1軸受部51bに前側から軸受けされる軸部52fが形成されている。また、前壁部52aの下方には、
図4に示すように、後述する第1連動部材56を回動可能に支持する軸受部52gが形成されている。
【0038】
一対の上壁部52bは、
図4に示すように、前壁部52aの上端部における左右両端部側からそれぞれ後方に立ち上がり、上壁部52b間に第2連動部材58が臨む切り欠きが形成されている。上壁部52bの下面には、
図10に示すように、後述する規制部52cが設けられている。規制部52cは、上壁部52bの外側端部の近傍(後側本体部51及び前側本体部52によって構成される左右両側の開口部分の近傍)に設けられている。規制部52cは、後述する可動部材53に対して遊技球を放出する放出位置を規定するように機能する。規制部52cは、可動部材53における規制部52cと当接する部分(可動部材53の上壁部53g)よりも柔らかい材質が用いられている。規制部52cは、実施例では弾性体(例えばエラストマー樹脂等)によって構成され、前後方向を軸方向とする円柱状である。一対の下壁部52dは、
図10に示すように、前壁部52aにおいて、一対の上壁部52bと所定の間隔をもって対向して設けられ、上壁部52bと下壁部52dとの間の空間部が可動部材53の可動範囲となっている。
【0039】
可動部材53は、通路部材40からの遊技球を受け入れる受入位置と、遊技球を入賞領域ARに向けて放出する放出位置と、の間で変位自在に設けられている。可動部材53は、
図7及び
図8に示すように、後側本体部51と前側本体部52との間であって、
図10に示すように、上壁部52bと下壁部52dとの間に回動自在に配されている。一対の可動部材53は、それぞれ軸部52e(
図10参照)を中心に回動する。一対の可動部材53は、
図10に示すように他方の可動部材53に対して左右対称の形状をしており、
図4に示すように、長手の略箱形状の一端に遊技球の受入部53bが設けられ、他端には、可動部材53の長手方向に沿って突出する略円柱状の被作用部53dが形成されている。被作用部53dは、後述する作用部55dから作用を受ける部分であり、常態では作用部55dの回転軌道内に位置している。また、前側本体部52の軸部52eが挿通する軸受部53cは、被作用部53d側に偏位して可動部材53の前面壁53aから後方に延びる中空軸状に形成されている。
【0040】
受入部53bは、
図4,10に示すように、前方及び上方が開放された皿形状の保持部53eを備えている。保持部53eは、前後方向から見て略三角形状で下方に凹んでいる。保持部53eの底部分には、より一層下方に凹む凹部53fが形成されている。凹部53fは、遊技球の一部を入り込ませるように機能する。
【0041】
付勢部材54は、可動部材53を受入位置から放出位置に向かう方向(入賞領域ARに向かう方向)に付勢する。付勢部材54は、
図4に示すように、トーションバネとして構成されている。付勢部材54は、
図10に示すように、軸受部53cに巻装され、アーム部の一端が可動部材53の上壁部53gの下面に係止され、他端が後側本体部51の枠体側壁51eに付勢力を十分に残した状態で当接保持している。これにより、付勢部材54は、常態で可動部材53を受入位置から放出位置に向かう方向(入賞領域AR方向)へ付勢している。
【0042】
駆動源55は、可動部材53を放出位置から受入位置に変位させる駆動力を生じさせるように機能する。駆動源55の回動軸55aは、
図10に示すように、第1ギヤ55bが固定されている。第1ギヤ55bは、回動軸55aを中心に回動する。
【0043】
一対の第2ギヤ55cは、
図10に示すように、それぞれ前側本体部52の一対の軸部52fが挿通され、互いに噛合してそれぞれ軸部52fを中心にそれぞれ反対方向に回動する。第2ギヤ55cは、
図4,10に示すように、後面における外周の近傍の位置において、可動部材53の被作用部53dに作用する作用部55dが後方に突出する円柱状に形成されている。右側の第2ギヤ55c(
図10では左側の第2ギヤ55c)は、
図10に示すように、第1ギヤ55bに噛み合っており、第1ギヤ55bが回動して第2ギヤ55cが回動することで、左側の第2ギヤ55c(
図10では右側の第2ギヤ55c)は、連動して回動する。このとき、一対の第2ギヤ55cは、
図10に示すように、作用部55dの位置をずらして相違した位置(位相がずれた位置)になるように噛合しており、可動部材53の被作用部53dに所定の時間差をもって接触するようにして、可動部材53が交互に作動する。
【0044】
一対の第2ギヤ55cは、
図10に示すように、前側本体部52の後側において、左右の可動部材53の間に配置されている。また、第2ギヤ55cは、可動部材53に対して、前後方向で一部が重なるように隣接して配置されている。具体的には、第2ギヤ55cは、可動部材53の被作用部53dの前方(
図10では奥側)に作用部55dの回動軌跡と被作用部53dの可動軌跡が一部重なるように配され、可動部材53が放出位置にあるときには、軸部52fを中心とする作用部55dの回動軌跡内に、被作用部53dが位置するようになっている。
【0045】
第3ギヤ55eは、
図4に示すように、前面において周方向に沿って凹凸状のカム部55fが形成されている。一対の第3ギヤ55eは、
図10に示すように、それぞれ後側本体部51の一対の第2軸受部51dに、互いに噛合するよう回動自在に軸支され、右側の第3ギヤ55e(
図10では左側の第3ギヤ55e)は、第1ギヤ55bに噛み合っている。したがって、第1ギヤ55bが回動することで、右側の第3ギヤ55eが回動すると共に左側の第3ギヤ55e(
図10では右側の第3ギヤ55e)が回動する。
【0046】
第1連動部材56は、
図9に示すように、第1振分装置50における下側を装飾する部材であって、上端の軸部が前側本体部52の軸受部52g(
図4参照)に揺動自在に軸支され、軸受部52g(軸支部)の前面側を装飾部材57で覆い保持している。第1連動部材56には、
図4に示すように、第3ギヤ55eの波状のカム部55fに当接する当接部56aが形成されている。当接部56aが第3ギヤ55eのカム部55fに当接した状態で第3ギヤ55eが回動することで、カム部55fの波状の凹凸により第1連動部材56が左右方向の回動軸周りに前後方向に交互に揺動することになる。
【0047】
第2連動部材58は、
図9に示すように、第1振分装置50における上側を装飾する部材であって、
図10に示すように、前側本体部52の軸部52hに揺動自在に支持されている。また、
図10に示すように、第2連動部材58と後側本体部51との間には、ばね部材58aが介在している。具体的には、ばね部材58aの一端(上端)が後側本体部51の係止部51cに係止され、他端(下端)が第2連動部材58の係止部58bに係止されている。第2連動部材58は、下端に作用部55dが接触作用する作用片58cが設けられており、常態ではばね部材58aの付勢により左右の第2ギヤ55cの中間に位置し、左右の第2ギヤ55cの作用部55dの回動軌跡内に位置している。そして、第2ギヤ55cの作用部55dが作用片58cに接触・離間することにより、第2連動部材58が頭部を揺らすように左右に揺動変位するようになっている。
【0048】
このように構成される第1振分装置50は、
図10に示すように、駆動源55からの駆動力に基づいて第1ギヤ55bが回動軸55aを中心に回動すると、これに連動して一対の第2ギヤ55cがそれぞれ軸部52fを中心に回動する。また、第2ギヤ55cが回動すると、第2ギヤ55cの作用部55dが可動部材53の被作用部53dを接触押圧することで、可動部材53が付勢部材54の付勢力に抗して放出位置から受入位置に回動変位する。具体的には、
図9に示すように、右側の可動部材53(
図10では左側の可動部材53)は、軸部52eを中心として回動して、放出位置(
図10の状態)から下方に下がった受入位置(
図9鎖線位置)に変位する。同様に、
図9鎖線に示す左側の可動部材53(
図10では右側の可動部材53)は、軸部52eを中心として回動して、放出位置(
図9鎖線位置)から下方に下がった受入位置(
図9及び
図10の状態)に変位する。そして、可動部材53は、第2ギヤ55cがさらに回動することで、被作用部53dが作用部55dの回動軌跡から外れると接触が解除され、付勢部材54の付勢力に基づいて受入位置から放出位置に回動変位する。なお、可動部材53が受入位置(最下位置)で一旦停止して、遊技球が確実に受入部53b(保持部53e)に保持されるように、作用部55dの長さ・傾きが設定され、作用部55dが被作用部53dと接触するようにしている。
【0049】
図7に示すように、可動部材53が受入位置にある状態では、受入部53b(保持部53e)が第2誘導通路42の開口部42aの後方に位置する。そのため、受入部53b(保持部53e)は、第2誘導通路42を流下する遊技球を受け入れて、凹部53fで保持する。一方で、
図8に示すように、可動部材53が放出位置にある状態では、受入部53b(保持部53e)が第2誘導通路42の開口部42aよりも上側に位置する。そのため、第2誘導通路42を流下する遊技球は、受入部53bに受け入れられることなく、受入部53bの下方を通過して第1外れ球通路33に入り込む。第1外れ球通路33に入り込んだ遊技球は、ベース部材30の上枠部31の後側に配される外れ球皿34及び第2外れ球通路35を介して入賞装置20から排出されるようになっている。
【0050】
図10に示すように、受入部53b(保持部53e)に遊技球を受け入れた可動部材53は、第2ギヤ55cがさらに回動することで、被作用部53dが作用部55dの接触から解放され、付勢部材54の付勢力に基づいて受入位置から放出位置に勢いよく回動変位する。そのため、可動部材53は、付勢部材54により上方に付勢された状態で、規制部52cに衝止することになる(
図10の左側の可動部材53を参照)。具体的には、可動部材53の軸支側の上壁部53gが規制部52cに衝止する。可動部材53において規制部52cが当接する箇所は、上壁部53gにおける可動部材53の回動中心(軸部52e)の近傍である。また、可動部材53は、入賞領域ARに向けて、僅かに上向きに傾斜した状態(実施例では2~3度の傾斜角度)で規制部52cに衝止する。なお、一対の第2ギヤ55cが作用部55dを相違した位置になるように?合させているため、左右の可動部材53は時間をずらして交互に遊技球を放出作用する。このとき遊技球は、上方に向かって(入賞領域ARに向かって)十分に付勢された状態で、
図9の左側の可動部材53の鎖線に示すように特定の放出位置(規制部52cに衝止する位置)において可動部材53の受入部53b(保持部53e)から放出される。
【0051】
可動部材53は、
図10に示すように、軸受部53cを除いたほぼ全体(軸受部53cよりも先端側)が、後側本体部51及び前側本体部52から露出している。そのため、可動部材53は、遊技球の放出時に、付勢部材54の付勢に基づく規制部52cとの衝突による衝撃で、腕部分(軸受部53cよりも先端側)が僅かに入賞領域AR側に撓むことになる。これにより、遊技球が入賞領域ARに向かう軌道で放出され易くなり、入賞し易くなる。
【0052】
なお、可動部材53が受入位置(最下位置)で一旦停止して遊技球が確実に受入部53b(保持部53e)に保持されるように、駆動源55の回転を作用部55dと被作用部53dとの接触時に例えば250pps(パルス/秒)から150ppsに制御して第2ギヤ55cを遅く回転させるようにしてもよい。また、作用部55dと被作用部53dとの接触を瞬時に解除して、付勢部材54の付勢力を一気に解放するために、駆動源55の回転を例えば150pps(パルス/秒)から250ppsに加速制御して、作用部55dが被作用部53dから素早く離間するようにしてもよい。また、
図13に示すように、円柱状の作用部55dの代わりに、反回転方向(回転方向の後方側)を半月状に削除した作用部55gを採用して、被作用部53dが作用部55gとの接触を瞬時に解除するようにしてもよい。
【0053】
また、
図10に示す第1ギヤ55bが回動すると、一対の第3ギヤ55eも連動してそれぞれ第2軸受部51dを中心として回動し、第1連動部材56が左右方向を軸線として前後に交互に揺動変位する演出を行う。また、第2ギヤ55cの回動に伴って、作用部55dが作用片58cに接触し第2連動部材58は、軸部52hを中心に左右に揺動変位する演出を行う。
【0054】
次に、第2振分装置60について説明する。
図11に示す第2振分装置60は、入賞領域ARに放出された遊技球を、入賞口63d又は排出口61bに振り分けるように機能する。第2振分装置60は、
図5に示すように、遊技球受入部61、後側ベース部62、回動アーム63、上側支持部64、駆動源65、回動部材66、センサ67、及びリンク68を有している。
【0055】
遊技球受入部61は、
図5に示すように、上方が開口されたかご状に構成され、ベース部材30の上枠部31の前面に固定されている。遊技球受入部61の前壁部は、入賞領域ARを前方から覆う被覆部61aとなっている。被覆部61aは、例えば、メッシュ状の部材や、光透過性の樹脂で形成された部材によって構成されている。そのため、前方から被覆部61aを介して入賞領域ARが視認可能である。遊技球受入部61の底壁部には、後端において左右両端にそれぞれ上下方向に貫通する排出口61b(
図11参照)が形成されている。排出口61bは、入賞領域ARから遊技球を排出する。遊技球受入部61の後壁部には、入賞領域AR内に臨む回動アーム63を揺動可能とする開口部61cが形成されている。
【0056】
後側ベース部62は、
図7,8に示すように、ベース部材30の上枠部31の後面において、遊技球受入部61の後方に固定されている。後側ベース部62には、
図5に示すように、回動アーム63の軸受となる筒状の軸受部62aが形成されている。また、後側ベース部62には、回動アーム63の回動をガイドする円弧状のガイド孔62bが形成されている。また、後側ベース部62には、回動部材66に挿入される駆動源65の駆動軸65aが臨む貫通孔62cが形成されている。また、後側ベース部62には、入賞口63dに入球した遊技球が通過する開口部62dが形成されている。
【0057】
回動アーム63は、
図5に示すように、上方に開口した球通路部63tを有するアーム状に形成される。球通路部63tの一端(後端)側に、上側及び下側に突出する回動軸63aが形成されている。回動軸63aは、上端が上側支持部64によって回動可能に軸受けされ、下端が後側ベース部62の軸受部62aによって回動可能に軸受けされる。また、回動アーム63の一端(後端)には、上側及び下側に突出する被ガイド軸63bが形成されている。被ガイド軸63bは、上端がリンク68に回動可能に軸受され、下端がガイド孔62bに挿通される。また、球通路部63tの他端(先端部)には、上方に開口した球受け部63cが形成されている。球受け部63cは遊技球より一回り大きく形成されている。また、球通路部63tの一端(後端)側には、上下方向に貫通した入賞口63dが形成されている。
【0058】
駆動源65の駆動軸65aは、
図5に示すように、後側ベース部62の貫通孔62cを介して回動部材66に固定されている。回動部材66は、
図11に示すように、駆動源65の駆動軸65aを中心として回動する。回動部材66には、固定された状態で駆動軸65aに対して偏心した位置に中空軸状の突起66aが形成されている。また、回動部材66の外周の所定位置に扇状の検知片66bが設けられ、後側ベース部62の上面において隣接して設けられるセンサ67によって検知片66bを検知して回動位置が検出される。センサ67は、フォトセンサ等の公知の位置検出センサによって構成されている。
【0059】
リンク68は、
図5に示すように、長手板状に形成され、一端に回動部材66の突起66aが回動可能に軸受される上下方向に貫通した孔68aが形成され、他端に回動アーム63の被ガイド軸63bが回動可能に軸受される上下方向に貫通した孔68bが形成されている。これにより、回動アーム63は、リンク68を介して回動部材66と連動する。
【0060】
このように構成される第2振分装置60は、
図11に示すように、駆動源65からの駆動力に基づいて回動部材66が駆動軸65aを中心に回動すると、これに連動してリンク68を介して回動アーム63が回動軸63aを中心に回動する。これにより、回動アーム63の他端側(球受け部63c側)は、入賞領域AR内で左右方向に往復移動する。
【0061】
後側ベース部62の開口部62dの下端部は、当たり球皿36(
図3参照)の上方に位置している。当たり球皿36に流入した遊技球は、例えば図示しない球検出スイッチによって検出され、遊技機1が大入賞口6を開放させる大当たり状態となる。
【0062】
遊技球受入部61の排出口61bの下方には、
図2及び
図10に示すように、誘導樋38が設けられている。誘導樋38の上端38aは、
図10に示すように、排出口61bに下方から対向している。誘導樋38の下端38bは、
図6(A)鎖線に示すように、後述する第3振分装置70の誘導路72の上方に位置している。
【0063】
次に、第3振分装置70について説明する。
第3振分装置(振分手段)70は、
図6に示すように、回動体71、誘導路72、及び枠体73を備え、第2振分装置60の排出口61bから排出された遊技球を、誘導路72を介して回動体71に導き、第2入賞口73d(
図12参照)又は外れ口73eに振り分けるように機能する。
【0064】
回動体71は、
図6に示すように、軸部(回動軸)71aを介して枠体73に回動自在に軸支されている。回動体71は、球体に近い外形であり、外面に遊技球の一部を入り込ませて保持する複数の保持部71bが形成されている。回動体71は、後述する第2駆動源73fによる回動体71の軸部71aを中心とする回動に連動して、回動体71を揺動させる揺動手段(図示略)を有している。揺動手段は、回動体71を軸部71aを中心に回動させつつ、軸部71aとは直交する方向の軸を中心として揺動するように機能する。これにより、回動体71が軸部71aを中心に揺動しつつ回動すると、保持部71bが蛇行しながら移動することになる。
【0065】
誘導路72は、
図6に示すように、回動体71の外周に沿うように溝状に形成され、後方側から前方側に向かって下方に傾斜している。誘導路72は、第2振分装置60で振り分けられ、排出口61bから排出された遊技球(外れ球)を受けて回動体71に誘導する。具体的には、誘導路72は、誘導樋38の下端38bから流下する遊技球を遊動させながら前側に導く。誘導路72によって遊動する遊技球は、保持部71bに対向して保持されるまで、回動体71の回動に基づいて回動体71に接触転動しながら誘導路72に停留する。
【0066】
枠体73は、
図6に示すように、回動体71を回動自在に軸支する土台として構成され、下枠部32の上面に固定されている(
図2参照)。枠体73は、駆動ユニット73a、入賞球通路73b(
図12参照)、及び一対の外れ球通路73cを有している。駆動ユニット73aは、回動体71の回動及び揺動のための駆動力を発生させる。駆動ユニット73aは、
図7及び
図8に示すように、第2駆動源73fからギヤ部73g,73h,73i,73jを介して軸部71aに駆動力を伝達する構成である。入賞球通路73bは、大当たり状態を生じさせる球検出スイッチ73k(
図12参照)に続くように、枠体73の底部分の左右方向中央に形成されている。入賞球通路73bには、前側上方に開口した第2入賞口73dが形成されている。一対の外れ球通路73cは、入賞球通路73bを左右両側から挟むように設けられ、それぞれ前方から後方へ傾斜する底壁を有している。外れ球通路73cには、上端部に外れ口73eが形成されている。
【0067】
次に、入賞装置20の作用について説明する。
遊技領域4aを流下する遊技球は、回動翼片12が傾倒状態(
図1の二点鎖線を参照)になると、回動翼片12で受けられて第1誘導通路13を介して通路部材40の受け部41へと導かれる。受け部41に受けられた遊技球は、いずれか一方の第2誘導通路42を流下し、開口部42aから後方に排出される。このとき、可動部材53が
図7に示す受入位置にある場合、受入部53bは、開口部42aの後方に位置するため、第2誘導通路42を流下する遊技球を受け入れて、凹部53fで保持する。そして、可動部材53は、付勢部材54の付勢力に基づいて、受入位置(
図9の左側の実線の可動部材53を参照)から放出位置(
図9の左側の二点鎖線の可動部材53を参照)に回動変位し、遊技球を入賞領域ARに向けて放出する。具体的には、可動部材53は、付勢部材54により入賞領域ARに向けて付勢された状態で、
図10の左側の可動部材53のように、前側本体部52の規制部52cに衝止することで遊技球を入賞領域ARに向けて放出する。これにより、遊技球は、入賞領域ARに向かって十分に付勢された状態で、特定の放出位置において可動部材53から放出されることになり、安定した軌道で入賞領域ARへと到達させることができる。したがって、可動部材53による入賞領域ARに向けた遊技球の放出を安定的に制御することができる。なお、万一可動部材53の放出動作により遊技球が入賞領域ARに入らなかった場合には、図示しない排出経路を介して外れ球として回収される。
【0068】
一方で、可動部材53が放出位置にある場合に、第2誘導通路42の開口部42aから後方に排出される遊技球は、
図8に示すように、可動部材53の下方を通過して第1外れ球通路33に落下する。第1外れ球通路33を流下する遊技球は、外れ球皿34及び第2外れ球通路35を介して、入賞装置20から排出される。このように、第1振分装置50は、遊技球が受入部53bに入るか否かによって、遊技球の振り分け(第1振分)を行う。
【0069】
続いて、
図10に示すように入賞領域ARに入り込んだ遊技球は、回動アーム63の球受け部63cに受けられると、球通路部63t(
図11参照)を通って入賞口63dに入球し、当たり球皿36及び当たり球通路37を流下して、遊技機1が大入賞口6を開放させる大当たり状態となる。一方で、球受け部63cに受けられない遊技球は、排出口61bから誘導樋38を流下して、第3振分装置70の誘導路72に導かれる。このように、第2振分装置60は、入賞口63dに入るか否か(球受け部63cに受けられるか否か)によって、遊技球の振り分け(第2振分)を行う。
【0070】
続いて、第3振分装置70の誘導路72に導かれた遊技球は、誘導路72を遊動し、回動体71の保持部71bに保持されることになる。保持部71bに保持された遊技球は、
図12に示すように、回動体71の軸部71aを中心とする回動によって、蛇行しながら後方側に移動する。下向きになった保持部71bから落下する遊技球(
図12(C)参照)は、第2入賞口73d又は外れ口73eのいずれかに入球する。なお、
図12(C)は、遊技球が第2入賞口73dに入球する状態を示している。遊技球が第2入賞口73dに入球すると復活当たりとなり、遊技機1が大入賞口6を開放させる大当たり状態となる。このように、第3振分装置70は、第2入賞口73dに入るか、外れ口73eに入るかによって、遊技球の振り分け(第3振分)を行う。
【0071】
(第1実施形態の主な効果)
本第1実施形態の入賞装置20及び遊技機1は、可動部材53が駆動源55の駆動力によって付勢部材54の付勢に抗して放出位置から受入位置に変位することによって、通路部材40(誘導手段)を介して遊技領域4aを流下する遊技球を受け入れることができる。そして、可動部材53は、駆動源55の駆動力によって放出位置から受入位置に変位した後、受入位置から放出位置に付勢部材54の付勢に基づいて変位させることができる。その上で、入賞装置20は、可動部材53が放出位置に移動したときに衝止する規制部52cを備えている。可動部材53は、付勢部材54により入賞領域ARに向けて付勢された状態で、規制部52cに衝止することで遊技球を入賞領域ARに向けて放出する構成である。これにより、遊技球は、入賞領域ARに向かって十分に付勢された状態で、特定の放出位置において可動部材53から放出されることになり、安定した軌道で入賞領域ARへと到達させることができる。したがって、可動部材53による入賞領域ARに向けた遊技球の放出を安定的に制御することができる。
【0072】
また、規制部52cは、弾性体によって構成されている。
これによれば、規制部52cは、放出位置で可動部材53を衝止する際に、可動部材53との衝突の衝撃を緩和することができる。そのため、可動部材53の耐久性を向上させることができる。
【0073】
また、入賞装置20は、入賞領域AR内から遊技球を排出する排出口61bを備えている。
これによれば、入賞領域AR内に放出された遊技球は、入賞口63dに入球するか排出口61bに入球するかによって、一種の抽選を行うことができる。このような抽選によって、遊技者の興趣を高めることができる。
【0074】
また、入賞装置20は、排出口61bから排出された遊技球を第2入賞口73d又は外れ口73eに振り分ける第3振分装置70を備えている。
これによれば、排出口61bから排出された遊技球が、第2入賞口73dに入球するか外れ口73eに入球するかによって、さらなる抽選を行うことができる。そのため、連続して行われる抽選によって、より一層遊技者の興趣を高めることができる。
【0075】
また、第3振分装置70は、回動自在に軸支される回動体71と、排出口61bから排出された遊技球を受けて回動体71に誘導する誘導路72と、回動体71を軸部71aを中心に回動させる第2駆動源73fと、回動体71の外周面に設けられ、誘導路72によって誘導された遊技球を保持するとともに、回動体71の回動に応じて軸部71aの軸周りに移動する保持部71bと、第2駆動源73fによる回動体71の軸部71aを中心とする回動に連動して、回動体71を揺動させる揺動手段と、を備えている。保持部71bは、保持した遊技球を第2入賞口73d又は外れ口73eへと移動させる。
これによれば、回動体71の回動に応じて軸部71aの軸周りに移動する保持部71bは、揺動しながら回動移動することになる。そのため、遊技者が保持部71bの回動軌道を予測することが難しくなり、遊技者の興趣を高めることができる。
【0076】
また、可動部材53は、遊技球の一部が入り込む凹部53fを有する。
これによれば、凹部53fは、遊技球を受け入れて安定して保持することができるとともに、可動部材53の放出位置において付勢部材54の付勢力に基づいて開口から支障なく放出させることができる。
【0077】
また、入賞口63dは、入賞領域AR内で移動する。
これによれば、入賞領域ARに放出された遊技球の入賞口63dへの入球が、入賞口63dの移動に依存することになり、ゲーム性を高めることができる。
【0078】
また、遊技球受入部61は、入賞領域ARを前方から覆う被覆部61aを備えている。前方から被覆部61aを介して入賞領域ARが視認可能である。
これによれば、入賞領域ARが前方から被覆部61aに覆われていても、入賞領域AR内の遊技球の動きを視認することができる。そのため、入賞領域AR内の遊技球の動きによって、遊技者の興趣を高めることができる。
【0079】
[他の実施形態]
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0080】
上述した第1実施形態において、規制部52cは、円柱状であったが、直方体状や球状であってもよい。また、規制部52cは、衝止する他方の部材よりも柔らかい材料であれば、材料の種類は特に限定されることはない。また、規制部52cを円柱状として、点又は線接触で衝止するようにしたが、面接触するようにしてもよい。また、規制部52cを、可動する可動部材53側に設けるようにしてもよい。
【0081】
上述した第1実施形態において、第1誘導通路13及び第2誘導通路42を介して第1振分装置50に遊技球が導かれる構成であったが、第1誘導通路13及び第2誘導通路42を設けることなく、遊技領域4aから直接、可動部材53の受入部53bに遊技球が導かれる構成であってもよい。また、通路部材40(誘導手段)からの遊技球を直接可動部材53の保持部53eで受け入れるようにしたが、長手の略箱形状部を球通路部として、この球通路部で通路部材40からの遊技球を受け、球通路部から保持部53eにうまく保持された場合に入賞領域に向けて放出するようにしてもよい。このようにすることで、遊技者はよりスリルと期待感を味わうことができるようになる。
【符号の説明】
【0082】
1…遊技機
4a…遊技領域
12…回動翼片(誘導手段)
13…第1誘導通路(誘導手段)
30…ベース部材
20…入賞装置
30…ベース部材
40…通路部材(誘導手段)
52c…規制部
53…可動部材
53e…保持部
53f…凹部
54…付勢部材
55…駆動源
60…第2振分装置
61…遊技球受入部
61a…被覆部
61b…排出口
63d…入賞口
70…第3振分装置(振分手段)
71…回動体
72…誘導路
73d…第2入賞口
73e…外れ口
73f…第2駆動源
AR…入賞領域