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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-10
(45)【発行日】2023-02-20
(54)【発明の名称】製袋包装機
(51)【国際特許分類】
   B65B 9/20 20120101AFI20230213BHJP
   B65B 61/02 20060101ALI20230213BHJP
   B65B 61/06 20060101ALI20230213BHJP
【FI】
B65B9/20
B65B61/02
B65B61/06
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019154715
(22)【出願日】2019-08-27
(62)【分割の表示】P 2015005931の分割
【原出願日】2015-01-15
(65)【公開番号】P2019218141
(43)【公開日】2019-12-26
【審査請求日】2019-08-27
【審判番号】
【審判請求日】2021-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000147833
【氏名又は名称】株式会社イシダ
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】宮本 秀史
(72)【発明者】
【氏名】近藤 真史
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 良一
(72)【発明者】
【氏名】小池 伸治
【合議体】
【審判長】久保 克彦
【審判官】石田 智樹
【審判官】藤原 直欣
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-272609(JP,A)
【文献】特開2000-203533(JP,A)
【文献】特許第3971833(JP,B2)
【文献】特開2007-69950(JP,A)
【文献】特開2010-235159(JP,A)
【文献】特開平10-203505(JP,A)
【文献】特開昭62-220408(JP,A)
【文献】特開2010-280433(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B61/02
B65B57/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦方向に一定の間隔でマークが印刷されたフィルムから作られた袋で物品を包装する製袋包装機であって、前記間隔は前記袋の第1辺から前記第1辺の反対側の第2辺までの寸法であり、
前記フィルムを上流から下流へ搬送する搬送機構と、
前記フィルムが巻かれているフィルムロールを保持するロール保持部と、
前記ロール保持部の下流に配置され、前記フィルムに所定の情報を印字する印字機構と、
前記印字機構の下流に配置され、前記フィルムの2つの縦辺を重ね合わせるフォーマと、
前記フォーマの下流に配置され、重ねあわされた前記2つの縦辺を固着させてフィルム筒を作る縦シール機構と、
前記縦シール機構の下流に配置され、前記フィルム筒の対向する2つの部位を固着させることによって前記縦方向に垂直な横方向に延びる横シール部を前記フィルム筒に作る横シール機構と、
前記縦シール機構の下流に配置され、前記フィルム筒を前記横シール部において切断する切断機構と、
前記フィルム筒の切断すべき切断位置を特定するために前記マークを検知する第1センサと、
前記フィルムの前記所定の情報を印刷すべき印刷位置を特定するために前記マークを検知する第2センサと、
を備え、
前記第1センサは、前記印字機構よりも下流、かつ前記切断機構の上流に配置され、
前記第2センサは、前記印字機構よりも上流に配置され
フィルムの終端エッジと接合されるフィルムの開始エッジが接合された接合部が前記第1センサと前記第2センサを通過した後、
前記第2センサで前記マークを検知した時刻を基に印字すべきタイミングを計算し、前記印字機構により前記フィルムに印字を行い、その後前記第1センサで前記マークを検知した時刻を基にフィルム筒の切断すべき切断タイミングを計算し、前記切断機構にて切断動作を行う制御部を備えた、
製袋包装機。
【請求項2】
前記第1センサは、前記縦シール機構の下流かつ前記切断機構の上流に配置される、
請求項1に記載の製袋包装機。
【請求項3】
前記第1センサは、前記フォーマの上流に配置される、
請求項1に記載の製袋包装機。
【請求項4】
前記ロール保持部から前記印字機構までの搬送経路の長さが、前記袋の前記寸法の3倍以上である、
請求項1から3のいずれか1つに記載の製袋包装機。
【請求項5】
前記印字機構から前記切断機構までの搬送経路の長さが、前記袋の前記寸法の3倍以上である、
請求項1から4のいずれか1つに記載の製袋包装機。
【請求項6】
前記所定の情報が適切に印字されているか否かを検査する印字検査機構と、
前記印字検査機構を動作させるタイミングを特定するために前記マークを検知する第3センサと、
をさらに備え、
前記第3センサは、前記印字検査機構の上流に配置される、
請求項1から5のいずれか1つに記載の製袋包装機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製袋包装機に関する。
【背景技術】
【0002】
製袋包装機は、フィルムロールから包装用のフィルムを引き出し、そのフィルムで袋を作り、当該袋で物品を包装する。フィルムには、予め、マークが一定の間隔をおいて規則的に印刷されている。製袋包装機は、センサを用いてマークを検出することにより、フィルムの適切な位置に製造年月日などの所定の情報を印字するとともに、袋状にされたフィルムの適切な位置を切断して個別の包装物品を排出する。
【0003】
特許文献1(特許第3971833号公報)が開示する製袋包装機は、マーク検出用のセンサを1個備えている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
包装物品を製造する工場では、1巻のフィルムロールを使い切る直前に、製袋包装機の運転が一旦停止される。次に、作業者によって、製袋包装機に新しいフィルムロールがセットされ、先のフィルムの終端と新しいロールのフィルムの先端が粘着テープなどにより接合される。その後、製袋包装機の運転が再開される。
【0005】
通常、フィルムの接合部では2つのフィルムの位置関係が整合していないので、接合部を挟んで隣接するマークの間隔は不適正になる。このため、フィルムの接合部の付近では、印字や切断の位置ずれが起こりうる。フィルムにおいてこのような位置ずれが起こる範囲は、切断機構、印字機構、マーク検出用のセンサのうち最も離れた2つの間の搬送経路にわたりうる。このような位置ずれを有するフィルム部分は、廃棄しなければならない。
【0006】
本発明の課題は、製袋包装機において、廃棄しなければならないフィルムの量を減らすことである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1観点に係る製袋包装機は、縦方向に一定の間隔でマークが印刷されたフィルムから作られた袋で物品を包装する。間隔は袋の第1辺から第2辺までの寸法である。第2辺は第1辺の反対側の辺である。製袋包装機は、搬送機構と、ロール保持部と、印字機構と、フォーマと、縦シール機構と、横シール機構と、切断機構と、第1センサと、第2センサと、を備える。搬送機構は、フィルムを上流から下流へ搬送する。ロール保持部は、フィルムが巻かれているフィルムロールを保持する。印字機構は、ロール保持部の下流に配置され、フィルムに所定の情報を印字する。フォーマは、印字機構の下流に配置され、フィルムの2つの縦辺を重ね合わせる。縦シール機構は、フォーマの下流に配置され、重ねあわされた2つの縦辺を固着させてフィルム筒を作る。横シール機構は、縦シール機構の下流に配置され、フィルム筒の対向する2つの部位を固着させることによって横方向に延びる横シール部をフィルム筒に作る。横方向は縦方向に垂直である。切断機構は、縦シール機構の下流に配置され、フィルム筒を横シール部において切断する。第1センサは、フィルム筒の切断すべき切断位置を特定するためにマークを検知する。第2センサは、フィルムの所定の情報を印刷すべき印刷位置を特定するためにマークを検知する。第1センサは、印字機構よりも下流に配置される。第2センサは印字機構よりも上流に配置される。
【0008】
この構成によれば、製袋包装機は、切断機構に対応した第1センサ、および、印字機構に対応した第2センサを有する。したがって、印字機構と切断機構は、それぞれ、最適なタイミングで動作をすることができるので、廃棄しなければならないフィルムの量を減らすことができる。
【0009】
本発明の第2観点に係る製袋包装機は、第1観点に係る製袋包装機において、第1センサが、縦シール機構の下流かつ切断機構の上流に配置される。
【0010】
この構成によれば、第1センサから切断機構までの搬送経路の長さが短いので、制御回路が把握するフィルムの位置に測定誤差が影響するおそれが少ない。したがって、切断機構が、より正確なタイミングで動作をすることができる。
【0011】
本発明の第3観点に係る製袋包装機は、第1観点または第2観点に係る製袋包装機において、第1センサが、フォーマの上流に配置される。
【0012】
この構成によれば、切断機構を適切なタイミングで動作させるために用いる第1センサを、取り付けやすい場所に配置することができる。
【0013】
本発明の第4観点に係る製袋包装機は、第1観点から第3観点のいずれか1つに係る製袋包装機において、ロール保持部から印字機構までの搬送経路の長さが、袋の寸法の3倍以上である。
【0014】
この構成によれば、ロール保持部から印字機構までの搬送経路の長さが長いにもかかわらず、廃棄しなければならないフィルムの量を低減できる。
【0015】
本発明の第5観点に係る製袋包装機は、第1観点から第4観点のいずれか1つに係る製袋包装機において、印字機構から切断機構までの搬送経路の長さが、袋の寸法の3倍以上である。
【0016】
この構成によれば、印字機構から切断機構までの搬送経路の長さが長いにもかかわらず、廃棄しなければならないフィルムの量を低減できる。
【0017】
本発明の第6観点に係る製袋包装機は、第1観点から第5観点のいずれか1つに係る製袋包装機において、印字検査機構と、第3センサと、をさらに備える。印字検査機構は、所定の情報が適切に印字されているか否かを検査する。第3センサは、印字検査機構を動作させるタイミングを特定するためにマークを検知する。第3センサは、印字検査機構の上流に配置される。
【0018】
この構成によれば、製袋包装機は、印字検査機構と、それに対応した第3センサとを有する。したがって、印字機構によってフィルムに印字された情報の確認を精度よく行うことができる。
【0019】
本発明の第7観点に係る製袋包装機は、第1観点から第6観点のいずれか1つに係る製袋包装機において、搬送長可変機構をさらに備える。搬送長可変機構は、搬送機構によって搬送されるフィルムの印字機構から切断機構までの長さを変更する。搬送機構は、フィルムを袋の寸法だけ搬送するたびに1回停止することができる。その停止において印字機構および切断機構の両方が動作する。
【0020】
この構成によれば、印字機構と切断機構を同時に動作するタイミングにおいてのみ、フィルムの搬送が停止されるので、製袋包装機の処理速度が改善する。さらに、2つのセンサによってフィルムの位置をダブルチェックするので、搬送状態の確認精度が向上する。
【0021】
本発明の第8観点に係る製袋包装機は、第1観点から第7観点のいずれか1つに係る製袋包装機において、搬送機構が、フィルムを袋の寸法だけ搬送するたびに2回停止することができる。1回目の停止において印字機構および切断機構の一方が動作する。2回目の停止において印字機構および切断機構の他方が動作する。
【0022】
この構成によれば、製袋包装機の処理速度が改善する。
【0023】
本発明の第9観点に係る製袋包装機は、第1観点から第8観点のいずれか1つに係る製袋包装機において、制御部、をさらに備える。搬送機構は、フィルムの搬送と停止を繰り返す間欠動作を行う。制御部は、第2センサがマークを検出した時刻と、第2センサによるマークの検出以降にフィルムが搬送された距離とから、搬送停止のタイミングを決定するとともに、第1センサがマークを検出した時刻を用いて、フィルムが適切なタイミングで搬送されているか否かを確認するように構成されている。
【0024】
この構成によれば、フィルムが適切なタイミングで搬送される。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係る製袋包装機によれば、廃棄しなければならないフィルムの量を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の第1実施形態に係る製袋包装機100の構成を示す概略図。
図2】フィルムFの平面図。
図3】縦シールされたフィルム筒FTの斜視図。
図4】横シールされたフィルム筒FTの斜視図。
図5図1の製袋包装機100に搭載される制御回路200を示すブロック図。
図6】本発明の第2実施形態に係る製袋包装機100Aの構成を示す概略図。
図7】本発明の第3実施形態に係る製袋包装機100Bの構成を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
<第1実施形態>
(1)全体構成
図1は、本発明の第1実施形態に係る製袋包装機100の構成を示す。製袋包装機100は、搬送機構10、ロール保持部20、印字機構30、印字検査機構40、搬送長可変機構50、フォーマ60、縦シール機構70、横シール機構75、切断機構80、第1センサ91、および、第2センサ92を備える。
【0028】
(2)詳細構成
(2-1)搬送機構10
搬送機構10は、ロール保持部20から取り出した包装用のフィルムFを搬送する。
【0029】
図2は、当該フィルムFを示す。フィルムFは、縦方向Lに長く延び、縦方向Lと垂直な横方向Wに広がる一定の幅を有している。フィルムFには、商品包装用の袋として用いるための図柄が、寸法Dごとに繰返し印刷されている。さらに、フィルムFには、縦方向Lに寸法Dの間隔でマークMが印刷されている。フィルムFが最終的に袋に加工されたとき、寸法Dは、袋のデザインによって、袋の上辺と下辺の距離、または袋の左辺と右辺の距離となる。
【0030】
図1に戻り、搬送機構10がフィルムFを搬送する過程で、フィルムFは袋の形に加工される。搬送機構10は、最終的に、袋詰めされた包装物品WPを排出する。
【0031】
搬送機構10は、参照符号を付していない複数のローラ、プルダウンベルト15、排出コンベア19、および、後述する搬送長可変機構50を有している。
【0032】
(2-2)ロール保持部20
ロール保持部20は、搬送機構10が形成する搬送経路の上流に設けられている。ロール保持部20は、フィルムロールFRを保持する。フィルムロールFRは、心材と、心材に巻かれた、縦方向に長いフィルムFを有する。
【0033】
搬送機構10は、フィルムFの一端を保持し、フィルムFをロール保持部20から引き出す。
【0034】
(2-3)印字機構30
印字機構30は、搬送中のフィルムFの適切な位置に製造年月日などの所定の情報を印字する。これにより、最終的に製袋包装機100から排出される包装物品WPの各々に、所定の情報が印字される。
【0035】
ロール保持部20から印字機構30までの搬送経路の長さは、袋の寸法Dの3倍以上である。それにより、ロール保持部20から印字機構30までの機構を配置する空間が得やすい。
【0036】
(2-4)印字検査機構40
印字検査機構40は、カメラからなる。
【0037】
印字検査機構40は、印字機構30が印字した所定の情報が、正しい態様でフィルムFに印字されているか否かを検査する。具体的には、印字検査機構40は、印字の鮮明さ、情報の内容、印字の位置などが、適切か不適切かを判断する。
【0038】
(2-5)搬送長可変機構50
搬送長可変機構50は、搬送機構10の構成要素の一つであり、印字機構30と切断機構80との間のフィルムFの搬送経路の長さを調節するために、部品の位置を変更する。
【0039】
搬送長可変機構50は、可動ローラ51と固定ローラ52を有する。フィルムFは上流から可動ローラ51へ搬送され、次いで固定ローラ52へ搬送され、そこから後段のフォーマ60へ向かう。
【0040】
可動ローラ51の回転軸は、図示しない移動機構によって、移動方向Sに移動させられる。固定ローラ52は、定位置で回転することができる。可動ローラ51の移動により、フィルムFの搬送経路の長さが変化する。
【0041】
(2-6)フォーマ60
フォーマ60は、平面の状態で搬送されてきたフィルムFを丸め、当該フィルムFの2つの縦辺を重ね合わせるためのものである。フォーマ60は、筒状部材を有する。この筒状部材の内部空間は、包装されるべき物品をフィルムFで形成される袋に充填するための充填経路として用いられる。
【0042】
(2-7)縦シール機構70
縦シール機構70は、フォーマ60によって重ねあわされたフィルムFの2つの縦辺を固着させるものである。縦シール機構70は、ヒータを有する。ヒータの発する熱がフィルムFの当該重なり部分を一時的に軟化させることにより、固着が行われる。
【0043】
図3は、固着によって作られた、筒の形状を有するフィルム筒FTを示す。フィルム筒FTには、固着によって縦シール部SLが形成されている。
【0044】
(2-8)横シール機構75
図1に戻り、横シール機構75は、フィルム筒FTにおいて対向する2つの部位を固着させるものである。
【0045】
横シール機構75は、搬送経路を介して対向する第1部材751と第2部材752とを有する。第1部材751と第2部材752は、図示しないモータによって互いに接近したり、互いから離間したりすることが可能である。第1部材751と第2部材752は、いずれも、ヒータを有する。
【0046】
フィルム筒FTの固着は、次のように行われる。まず、第1部材751と第2部材752が互いに接近し、フィルム筒FTを押圧する。押圧されるのは、フィルム筒FTの内部空間を挟んで対向する2つの部位である。この押圧は、フィルム筒FTの幅方向の全寸法に渡って行われる。次に、フィルム筒FTの押圧されている部位に対して、第1部材751および第2部材752のヒータが熱を加える。これによって、押圧されている部位は軟化し、固着する。最後に、第1部材751と第2部材752が押圧をやめ、互いから離間する。
【0047】
図4は、横シール機構75による固着処理を受けたフィルム筒FTを示す。このフィルム筒FTは、横シール機構75の固着処理によって形成された横シール部SWを有している。
【0048】
図1に戻り、横シール機構75の動作が終わるたびに、フィルム筒FTには、フォーマ60の内部空間を介して、1袋分の物品が充填される。
【0049】
(2-9)切断機構80
切断機構80は、横シール機構75に設けられている。切断機構80は、刃801と、受容部802を有する。刃801は、第1部材751に設けられており、延出および退避することができる。受容部802は、第2部材752に設けられており、延出した刃801を受容することができる。
【0050】
図4には、切断機構80が切断する切断位置CPが示されている。切断位置CPは、横シール部SWにある。
【0051】
図1に戻り、切断機構80の切断動作においては、刃801が受容部802に向かって延出する。これにより、個別の包装物品WPが切り離される。
【0052】
印字機構30から切断機構80までの搬送経路の長さは、袋の寸法Dの3倍以上である。それにより、印字機構30から切断機構80までの機構を配置する空間が得やすい。
【0053】
(2-10)第1センサ91
第1センサ91は、フィルム筒FTにおいて切断すべき切断位置CP(図4)を特定するために、フィルムFに印刷されたマークM(図2)を検知するためのものである。
【0054】
第1センサ91は、搬送経路において、切断機構80よりも上流に配置されており、具体的には、印字検査機構40と搬送長可変機構50の間に配置されている。
【0055】
(2-11)第2センサ92
第2センサ92は、フィルムFにおいて所定の情報を印刷すべき印刷位置を特定するために、フィルムFに印刷されたマークM(図2)を検知するためのものである。
【0056】
第2センサ92は、搬送経路において、印字機構30よりも上流に配置されている。
【0057】
(3)制御回路
(3-1)全体構成
図5は、製袋包装機100を制御する制御回路200を示す。制御回路200は、CPU210およびメモリ220を有する。CPU210は、一群の入力ポートおよび一群の出力ポートを有する。
【0058】
(3-2)入力
CPU210の入力ポートには、第1検知ユニット231、第2検知ユニット232、画像処理ユニット233、オペレーションパネル制御ユニット271が接続されている。
【0059】
第1検知ユニット231は、第1センサ91の信号を、マーク検知信号に変換する。
【0060】
第2検知ユニット232は、第2センサ92の信号を、マーク検知信号に変換する。
【0061】
画像処理ユニット233は、印字検査機構40が出力するデータを加工または処理する。
【0062】
オペレーションパネル制御ユニット271は、各種設定をするために製袋包装機100に搭載されているオペレーションパネル270を介してユーザが入力した情報を処理し、CPU210に読み取らせる。
【0063】
(3-3)出力
CPU210の出力ポートには、ローラ用モータ駆動回路251、ローラ回転軸移動モータ駆動回路252、印字機構駆動回路253、ヒータ駆動回路254、モータおよびヒータ駆動回路255、ソレノイド駆動回路256が接続されている。
【0064】
ローラ用モータ駆動回路251は、搬送機構10に含まれる各種ローラを回転させるモータを駆動する電流を発生させる。
【0065】
ローラ回転軸移動モータ駆動回路252は、可動ローラ51の回転軸を移動させる移動機構に含まれるモータを駆動する電流を発生させる。
【0066】
印字機構駆動回路253は、印字機構30を制御する信号または電流を発生させる。
【0067】
ヒータ駆動回路254は、縦シール機構70のヒータを制御する電流を発生させる。
【0068】
モータおよびヒータ駆動回路255は、横シール機構75のモータおよびヒータを制御する信号または電流を発生させる。
【0069】
ソレノイド駆動回路256は、切断機構80の刃801の延出および退避をつかさどるソレノイドを制御する電流を発生させる。
【0070】
(3-4)中央処理
CPU210は、第1センサ91および第2センサ92を介して、フィルムFのマークを検出する。加えて、CPU210は、搬送機構10に含まれる各種ローラを回転させるモータを制御する。
【0071】
したがって、任意のタイミングにおいて、フィルムFのマークがどの位置に存在しているかを、CPU210は把握することができる。
【0072】
(4)動作
図1に戻り、製袋包装機100が実行する「連続動作」について説明する。
【0073】
搬送機構10は、常時一定の搬送速度でフィルムFを搬送する。
【0074】
制御回路200(図5)は、第2センサ92がマークMを検出した時刻と、それ以降にフィルムFが搬送された距離とを把握しているので、これらの値から印字機構30が動作すべきタイミングを計算する。その後、制御回路200は、計算したタイミングで印字機構30を制御し、フィルムFの適切な位置に所定の情報を印字させる。
【0075】
フィルムFはさらに搬送され続ける。制御回路200は、第2センサ92がマークMを検出した時刻と、それ以降にフィルムFが搬送された距離とを把握しているので、これらの値から印字検査機構40が動作すべきタイミングを計算する。その後、制御回路200は、計算したタイミングで印字検査機構40を制御し、検査対象のフィルムFの画像を取得して検査を行う。
【0076】
次いで、フィルムFは、搬送長可変機構50を通過した後、フォーマ60によって丸められ、フィルムFの2つの縦辺が重ねあわされる。縦シール機構70がその重なりを加熱する。これによって、重なりは固着し、縦シール部SL(図3)を有するフィルム筒FTが作られる。
【0077】
フィルム筒FTには前回のサイクルで1袋分の物品が充填されている。横シール機構75は、物品が貯留されている部位よりも高いフィルム筒FTの部位に横シール部SW(図4)を作る。切断機構80は、横シール部SWにある切断位置CP(図4)を切断する。横シール機構75および切断機構80が動作をするタイミングは、制御回路200(図5)により、第1センサ91がマークMを検出した時刻と、それ以降にフィルムFが搬送された距離とから決定される。
【0078】
こうして切断された個別の包装物品WPは、排出コンベア19により製袋包装機100から排出される。
【0079】
(5)特徴
(5-1)
製袋包装機100は、マークMを検知するためのセンサを2つ備えている。すなわち、切断機構80に対応した第1センサ91、および、印字機構30に対応した第2センサ92である。したがって、フィルムロールFRの補充に伴ってできる接合部が搬送機構10に到達し、隣接するマークMの間隔が寸法D以外の不適正な値となった場合であっても、印字機構30と切断機構80は、それぞれ、最適なタイミングで動作をすることができる。したがって、廃棄しなければならないフィルムFの量を減らすことができる。
【0080】
(5-2)
第2センサ92は、印字機構30の上流に配置されている。印字機構30は、印字機構30自身よりも上流に配置された第2センサ92の検出信号を用いることができるので、適切なタイミングで動作をすることができる。
【0081】
(5-3)
切断機構80を適切なタイミングで動作させるために用いる第1センサ91は、印字機構30の下流かつフォーマ60の上流に配置されている。この領域では、搬送経路は直線状に延びている。加えて、この領域では、搬送されているフィルムFはシート状であり、まだ丸められていない。したがって、この領域には、第1センサ91を取り付けやすい。
【0082】
(5-4)
ロール保持部20から印字機構30までの搬送経路の長さが、袋の寸法Dの3倍以上である。この構成によれば、ロール保持部20から印字機構30までの搬送経路が長いにもかかわらず、廃棄しなければならないフィルムFの量を低減できる。
【0083】
(5-5)
印字機構30から切断機構80までの搬送経路の長さが、袋の寸法Dの3倍以上である。この構成によれば、印字機構30から切断機構80までの搬送経路が長いにもかかわらず、廃棄しなければならないフィルムFの量を低減できる。
【0084】
(6)変形例
以下に第1実施形態の変形例を示す。
【0085】
(6-1)第1変形例1A
(6-1-1)動作
第1実施形態の第1変形例1Aに係る製袋包装機100は、機械的な構成においては、図1に示す第1実施形態に係る製袋包装機100と同じである。しかしながら、動作方式においては、第1変形例1Aに係る製袋包装機100は、上述した「連続動作」に代えて「間欠動作」を実行する。すなわち、フィルムFの搬送と停止が繰り返される。
【0086】
搬送機構10は、フィルムFを袋の寸法D(図2)だけ搬送するたびに一時的に1回停止する。停止期間においては、印字機構30および切断機構80の両方が動作する。
【0087】
印字機構30および切断機構80の両方を同時に動作させることを可能にするため、包装動作に先立ち、搬送長可変機構50は、印字機構30から切断機構80までの搬送経路の長さを最適な値になるよう変更する。これにより、印刷と切断の位置の不整合が生じることを抑制できる。
【0088】
搬送停止のタイミングは、第2センサ92がマークMを検出した時刻と、それ以降にフィルムFが搬送された距離とから、制御回路200によって決定される。加えて、制御回路200は、第1センサ91がマークMを検出した時刻を用いて、想定どおりのタイミングでフィルムFが適切に搬送されているか否かを確認することができる。
【0089】
フィルムの接合部が搬送経路に入ってきたときは、第2センサ92は、接合部を挟んで隣接するマークMの離間距離と、袋の寸法Dとの差を算出する。制御回路200は、その差の値に応じて搬送長可変機構50を制御することにより、印字機構30から切断機構80までの搬送距離の長さを調節する。これにより、フィルムFにおいてマークMの間隔に不整合がある部分が来ても、印字と切断を適切に行うことができる。
【0090】
(6-1-2)特徴
この構成によれば、印字機構30と切断機構80を同時に動作するタイミングにおいてのみ、フィルムFの搬送が停止されるので、製袋包装機100の処理速度が改善する。さらに、2つのセンサによってフィルムFの位置をダブルチェックするので、搬送状態の確認精度が向上する。
【0091】
(6-2)第1変形例1B
(6-2-1)動作
第1変形例1Bに係る製袋包装機100は、上述した第1変形例1Aとは異なった間欠動作を実行する。
【0092】
搬送機構10は、第1変形例1Aで説明した1回の一時的搬送停止を伴う間欠動作に加えて、2回の一時的搬送停止を伴う間欠動作をすることができる。すなわち、搬送機構10は、フィルムFを袋の寸法D(図2)だけ搬送するたびに2回停止することができる。1回目の搬送停止期間においては、印字機構30がフィルムFに所定の情報を印字する。2回目の搬送停止期間においては、切断機構80がフィルム筒FTの横シール部SWを切断する。
【0093】
1回目の搬送停止のタイミングは、第2センサ92がマークMを検出した時刻と、それ以降にフィルムFが搬送された距離とから、制御回路200によって決定される。2回目の搬送停止のタイミングは、第1センサ91がマークMを検出した時刻と、それ以降にフィルムFが搬送された距離とから、制御回路200によって決定される。
【0094】
製袋包装機100の包装動作の開始に先立って、搬送長可変機構50によって印字機構30と切断機構80との間のフィルムFの搬送経路の長さが適切に調節される。これにより、製袋包装機100は、通常時には1回の一時的搬送停止を伴う間欠動作を行う一方、フィルムFの接合部の付近では2回の一時的搬送停止を伴う間欠動作を行うことができる。
【0095】
(6-2-2)特徴
この構成によれば、製袋包装機100が同じ種類のフィルムFを用いて同じ種類の包装物品の製造を続ける限りにおいて、搬送長可変機構50は動作する必要がなくなる。この結果、製袋包装機100の処理速度がさらに改善する。
【0096】
<第2実施形態>
(1)構成
図6は、本発明の第2実施形態に係る製袋包装機100Aの構成を示す。製袋包装機100Aは、第1センサ91の配置位置が、第1実施形態に係る製袋包装機100とは異なっている。第1センサ91は、縦シール機構70の下流かつ切断機構80の上流に配置される。
【0097】
(2)特徴
切断機構80は、切断動作を行うタイミングを決定するために、切断機構80自身の上流でかつ切断機構80自身の近傍に配置された第1センサ91の検出信号を用いることができる。したがって、第1センサ91から切断機構80までの搬送経路の長さが短いので、制御回路200が把握するフィルムFの位置に測定誤差が影響するおそれが少ない。結果として、切断機構80は、より正確なタイミングで動作をすることができる。
【0098】
(3)変形例
第1実施形態の第1変形例1Aまたは第2変形例1Bに係る間欠動作を、第2実施形態に係る製袋包装機100Aに適用してもよい。
【0099】
<第3実施形態>
(1)構成
図7は、本発明の第3実施形態に係る製袋包装機100Bの構成を示す。製袋包装機100Bでは、第1センサ91および第2センサ92の配置位置は、第1実施形態に係る製袋包装機100と同じである。しかし、製袋包装機100Bは、さらに第3センサ93を備えている点で、第1実施形態に係る製袋包装機100とは異なっている。
【0100】
第3センサ93は、印字検査機構40を動作させるタイミングを特定するために、マークMを検知するためのものである。第3センサ93は、搬送経路において、印字検査機構40よりも上流に配置されており、具体的には、印字検査機構40と印字機構30の間に配置されている。
【0101】
(2)特徴
製袋包装機100Bは、印字検査機構40と、それに対応した第3センサ93とを有する。したがって、印字機構30によってフィルムFに印字された情報の確認を精度よく行うことができる。
【0102】
(3)変形例
第1実施形態の第1変形例1Aまたは第2変形例1Bに係る間欠動作を、第3実施形態に係る製袋包装機100Bに適用してもよい。
【符号の説明】
【0103】
F フィルム
FR フィルムロール
WP 包装物品
10 搬送機構
20 ロール保持部
30 印字機構
40 印字検査機構
50 搬送長可変機構
51 可動ローラ
52 固定ローラ
60 フォーマ
70 縦シール機構
75 横シール機構
80 切断機構
91 第1センサ(切断用センサ)
92 第2センサ(印字用センサ)
93 第3センサ(印字検査用センサ)
100、100A、100B 製袋包装機
【先行技術文献】
【特許文献】
【0104】
【文献】特許第3971833号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7