IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ユニバーシティー オブ バースの特許一覧

特許7224648イメージングファイバ装置を製造する方法、および異なるコアサイズを有する光ファイバ装置
<>
  • 特許-イメージングファイバ装置を製造する方法、および異なるコアサイズを有する光ファイバ装置 図1
  • 特許-イメージングファイバ装置を製造する方法、および異なるコアサイズを有する光ファイバ装置 図2
  • 特許-イメージングファイバ装置を製造する方法、および異なるコアサイズを有する光ファイバ装置 図3
  • 特許-イメージングファイバ装置を製造する方法、および異なるコアサイズを有する光ファイバ装置 図4
  • 特許-イメージングファイバ装置を製造する方法、および異なるコアサイズを有する光ファイバ装置 図5
  • 特許-イメージングファイバ装置を製造する方法、および異なるコアサイズを有する光ファイバ装置 図6a
  • 特許-イメージングファイバ装置を製造する方法、および異なるコアサイズを有する光ファイバ装置 図6b
  • 特許-イメージングファイバ装置を製造する方法、および異なるコアサイズを有する光ファイバ装置 図6c
  • 特許-イメージングファイバ装置を製造する方法、および異なるコアサイズを有する光ファイバ装置 図7
  • 特許-イメージングファイバ装置を製造する方法、および異なるコアサイズを有する光ファイバ装置 図8
  • 特許-イメージングファイバ装置を製造する方法、および異なるコアサイズを有する光ファイバ装置 図9
  • 特許-イメージングファイバ装置を製造する方法、および異なるコアサイズを有する光ファイバ装置 図10
  • 特許-イメージングファイバ装置を製造する方法、および異なるコアサイズを有する光ファイバ装置 図11
  • 特許-イメージングファイバ装置を製造する方法、および異なるコアサイズを有する光ファイバ装置 図12
  • 特許-イメージングファイバ装置を製造する方法、および異なるコアサイズを有する光ファイバ装置 図13
  • 特許-イメージングファイバ装置を製造する方法、および異なるコアサイズを有する光ファイバ装置 図14
  • 特許-イメージングファイバ装置を製造する方法、および異なるコアサイズを有する光ファイバ装置 図15
  • 特許-イメージングファイバ装置を製造する方法、および異なるコアサイズを有する光ファイバ装置 図16
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-10
(45)【発行日】2023-02-20
(54)【発明の名称】イメージングファイバ装置を製造する方法、および異なるコアサイズを有する光ファイバ装置
(51)【国際特許分類】
   C03B 37/012 20060101AFI20230213BHJP
   G02B 6/06 20060101ALI20230213BHJP
   A61B 1/00 20060101ALN20230213BHJP
【FI】
C03B37/012 B
G02B6/06 A
G02B6/06 C
A61B1/00 732
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2019539176
(86)(22)【出願日】2018-01-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-03-26
(86)【国際出願番号】 GB2018050173
(87)【国際公開番号】W WO2018134622
(87)【国際公開日】2018-07-26
【審査請求日】2021-01-18
(31)【優先権主張番号】1700936.6
(32)【優先日】2017-01-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】506190658
【氏名又は名称】ユニバーシティー オブ バース
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ストーン,ジェイムス
【審査官】須藤 英輝
(56)【参考文献】
【文献】特開昭60-184209(JP,A)
【文献】特開2005-222087(JP,A)
【文献】特開2015-000267(JP,A)
【文献】特開昭61-026005(JP,A)
【文献】特開2013-202082(JP,A)
【文献】特開平08-094864(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03B 37/00-37/16
C03C 25/00-25/70
G02B 6/02-6/10
G02B 6/44
A61B 1/00-1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イメージングファイバ装置を形成する方法であって、当該方法は、
ロッドを配置して、複数のスタックを形成するステップであって、
各スタックは、それぞれの複数のロッドを有し、
各スタックにおいて、前記それぞれの複数のロッドは、異なるコアサイズのロッドを有し、該異なるコアサイズのロッドは、選択された配置に配置され、複数のロッドの行および複数のロッドの列を有する規則アレイを形成し、各行は、前記複数の異なるコアサイズの各々の少なくとも1つのロッドを有し、各列は、前記複数の異なるコアサイズの各々の少なくとも1つのロッドを有し、前記異なるコアサイズのロッドは、各スタックがそれぞれの規則的な形状を有するように配置され、
前記規則的な形状は、前記スタックが所望の配置で相互に積層されるような正方形または矩形である、ステップ
を有し、
さらに、当該方法は、
前記複数のスタックの各々を引き出すステップと、
前記所望の配置に、前記複数の引き出されたスタックを相互に積層して、別のスタックを形成するステップであって、これにより、前記選択された規則的な形状がタイル化され、実質的に平面が充填され、異なるサイズのロッドの繰り返し配置が形成される、ステップと、
前記別のスタックを引き出すステップと、
前記引き出された別のスタックを用いて、イメージングファイバ装置を形成するステップと、
を有し、
前記規則アレイにおける各スタックにおける前記ロッドの前記選定された配置、および前記スタックの前記規則的な形状は、前記別のスタックの前記ロッドの各々において、前記ロッドに最近接のロッドが、前記ロッドに対して異なるコアサイズを有するようにされ、かつ
前記別のスタックの前記ロッドの各々において、前記ロッドに最近接のロッドの次のロッドが、前記ロッドに対して異なるコアサイズを有するようにされ、
ここで、あるロッドに最近接のロッドの次のロッドとは、前記あるロッドと前記最近接のロッドとを結ぶ列または行に沿った方向における、前記最近接のロッドの次のロッドを意味する、方法。
【請求項2】
各スタックにおいて、前記それぞれの複数のロッドは、少なくとも4種類の異なる外側サイズを有するロッドを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
各スタックにおいて、前記それぞれの複数のロッドは、少なくとも5種類の異なるサイズを有するロッドを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
各スタックにおいて、前記それぞれの複数のロッドの各々は、実質的に等しい外側サイズに対するコアサイズの比を有する、請求項1乃至3のいずれか一つに記載の方法。
【請求項5】
当該方法は、さらに、少なくとも一つのプリフォームを引き出すことにより、前記ロッドを得るステップ有する、請求項1乃至4のいずれか一つに記載の方法。
【請求項6】
前記ロッドを得るステップは、選択されたタイプのプリフォーム引き出すステップを有し、
異なるコアサイズは、同じ選択されたタイプのプリフォームを異なって引き出すことにより得られる、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記引き出された別のスタックを用いて、イメージングファイバ装置を形成するステップは、前記引き出された別のスタックを被覆するステップを有する、請求項1乃至6のいずれか一つに記載の方法。
【請求項8】
前記スタックの各々は、実質的に同じ形状を有する、請求項1乃至7のいずれか一つに記載の方法。
【請求項9】
各または前記スタックは、実質的に同じ選定されたロッドの配置を有する、請求項1乃至8のいずれか一つに記載の方法。
【請求項10】
前記複数の異なるコアサイズは、N個の異なるコアサイズを有し、
各スタックは、ロッドのN×Nのアレイを有し、
各スタックにおいて、前記スタックの各行は、N個の異なるコアサイズの各々の一つのロッドを有し、前記スタックの各列は、N個の異なるコアサイズの各々の一つのロッドを有する、請求項1乃至9のいずれか一つに記載の方法。
【請求項11】
前記複数の異なるコアサイズは、Nの異なるコアサイズを有し、
各スタックは、zNの行×yNの列のアレイを有し、
各スタックにおいて、前記スタックの各行は、各々がNの異なるコアサイズのyのロッドを有し、前記スタックの各列は、各々がNの異なるコアサイズのzのロッドを有する、請求項1乃至10のいずれか一つに記載の方法。
【請求項12】
前記イメージングファイバ装置を形成するステップは、前記引き出された別のスタックの少なくとも一つの別の積層および引き出しを実施するステップを有する、請求項1乃至11のいずれか一つに記載の方法。
【請求項13】
各スタックにおいて、前記それぞれの複数のロッドを配置して、前記スタックを形成するステップは、前記それぞれの複数のロッドの少なくともいくつかの間に、スペーサ素子を配置するステップを有する、請求項1乃至12のいずれか一つに記載の方法。
【請求項14】
各ロッドは、シリカ、Geドープ化シリカ、フッ素ドープ化シリカ、ホウ素ドープ化シリカ、アルミニウムドープ化シリカ、シリケートガラスの少なくとも一つを有する、請求項1乃至13のいずれか一つに記載の方法。
【請求項15】
前記ロッドは、0.5mmから10mmの間、必要な場合、1mmから5mmの間の外側サイズを有する、請求項1乃至14のいずれか一つに記載の方法。
【請求項16】
各スタックの幅は、10mmから100mmの間である、請求項1乃至15のいずれか一つに記載の方法。
【請求項17】
各ロッドの開口数は、0.35未満であり、必要な場合0.32未満であり、さらに必要な場合、0.3未満である、請求項1乃至16のいずれか一つに記載の方法。
【請求項18】
クラッドにより分離された、異なるコアサイズのコアを有する光ファイバ装置であって、
異なるコアサイズの前記コアは、異なるコアサイズの選択された繰り返しパターンを形成するように配置され、
前記繰り返しパターンは、平面を充填するユニットセルの繰り返し配置を有し、
各ユニットセルは、正方形状または矩形状であり、
各ユニットセルは、複数の異なるコアサイズの同じ配置を有し、
各ユニットセルは、複数のコアの行および複数のコアの列を有し、
各行は、前記複数の異なるコアサイズの各々の少なくとも1つのコアを有し、各列は、前記複数の異なるコアサイズの各々の少なくとも1つのコアを有し、
前記コアは、各コアにおいて、前記コア最近接のコアが、前記コアに対して異なるコアサイズを有し、前記コア最近接の次のコアが、前記コアに対して異なるコアサイズを有するように配置され
ここで、あるコアに最近接のコアの次のコアとは、前記あるコアと前記最近接のコアとを結ぶ列または行に沿った方向における、前記最近接のコアの次のコアを意味する、装置。
【請求項19】
前記複数の異なるコアサイズは、少なくとも5種類の異なるコアサイズを有する、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記コアの各々は、1μmから100μmの間の直径を有する、請求項18または19に記載の装置。
【請求項21】
当該装置は、可視光、紫外光、赤外光の少なくとも一つを透過するように構成される、請求項18乃至20のいずれか一つに記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、光ファイバ装置、例えば空間的にコヒーレントなイメージングファイバ、および光ファイバ装置を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コヒーレントなイメージングファイバ(ファイバ束とも称され得る)は、多くの光ガイドコアを有し、その各々は、ファイバ長に沿って、画像の一部を伝送し得る。各コアは、画像を構築する画素として機能し得る。
【0003】
高解像の画像を構築するため、ファイバのコアは、相互に接近して配置され得る。コアを相互に接近して配置させる方法には限界がある。コアが相互に極端に接近し過ぎると、一つのコアにおける光が、そのコアから出て別のコアに結合され得る。そのようなコア間の光の結合は、伝送画像を劣化させるおそれがある。
【0004】
コアとコアの結合を抑制する一つの方法は、コアの開口数を高めることである。しかしながら、ガラス製造の限界が、開口数を増加させることを含む方法のコスト効果に影響を及ぼし得る。コアの開口数の増加は、バックグラウンド蛍光につながり得る。
【0005】
ファイバは、ゲルマニウムドープ化シリカを用いて形成され得る。ただし、ゲルマニウムドープ化シリカを含むファイバの製造は、容易ではなく、および/または高いストレスを含み得る。
【0006】
コアとコアの結合を抑制する別の方法は、隣接するコア同士を異なるようにすることである。例えば、隣接するコア同士が異なる材料で構成され得る。隣接するコアは、異なるサイズを有し得る。
【0007】
イメージングファイバは、異なるコア同士をジャケットチューブにランダムに充填し、コアとジャケットチューブをファイバ状に引き出すことにより、形成することができる。しかしながら、ランダムな充填によるコア分布のランダム性のため、一部に相互に等しい最近接のコアが生じ得る。最近接のコア同士の間で、コアとコアの結合が生じてしまう。
【0008】
Schott AG社から入手できるファイバは、クラッドガラスに比べて高指数コントラスト(high index contrast)を有する特殊なガラスで構成された、均一なコアのアレイを積層している。また、Schott AG社から、吸収性置換元素を有するファイバ、または浸出(leached)ファイバ束が提供されており、置換ガラスがエッチング除去されると、ファイバのいずれかの端部に接合され、ファイバ長に沿って空気により分離された、分離コアの束が残留する。
【0009】
フジクラ株式会社は、ドープ化シリカガラス系のイメージングファイバを製造しており、ランダムなサイズバリエーションおよびランダムな空間分布の、高NA(~0.4)ステップコアを使用することにより、クロストークが抑制される。そのようなファイバを加工する原材料を経済的に得ることは難しい。その結果、製造コストが上昇し得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
生物学および医療において、内視鏡イメージングファイバの幅広い使用が一般的になっている。これらのファイバでは、顕微鏡検査、組織の迅速撮像および外科補助誘導、診断のための組織の侵襲性除去の必要性の潜在的な抑制が可能となり得る。元来1950年代後半に開発された、現在の臨床の最新の内視鏡イメージングファイバは、数千ドルのコストがかかり、使用の間に消毒する必要があり、使用ライフサイクルが限定される。例えば、ある現在のシステムでは、使用回数に対する上限は、20回であり、その後、イメージングファイバは、相応のコストで置換される必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の態様では、光ファイバ装置を形成する方法であって、ロッドを配置して、各々がそれぞれの複数のロッドを有する、複数のスタックを形成するステップを有する方法が提供される。

各スタックにおいて、前記それぞれの複数のロッドは、異なるコアサイズのロッドを有し、該異なるコアサイズのロッドは、選択された配置に配置され、前記異なるコアサイズのロッドは、各スタックがそれぞれの選定された形状を有するように配置されてもよい。前記選定された形状は、前記スタックが所望の配置で相互に積層されるような形状であってもよい。さらに、当該方法は、前記複数のスタックの各々を引き出すステップと、前記所望の配置に、前記複数の引き出されたスタックを相互に積層して、別のスタックを形成するステップと、前記別のスタックを引き出すステップと、を有してもよい。当該方法は、前記引き出された別のスタックを用いて、光ファイバ装置を形成するステップを有してもよい。当該光ファイバ装置は、イメージングファイバ装置を有してもよい。
【0012】
各スタックにおける前記ロッドの前記選定された配置、および前記スタックの前記選定された形状は、前記別のスタックが異なるコアサイズのロッドの繰り返しパターンを有するようにされてもよい。繰り返しパターンは、スタックの全てにわたって、または少なくとも複数にわたって、延在してもよい。全てのまたは少なくとも複数のスタックにおいて、実質的に同じ繰り返しパターンが得られてもよい。従って、光ファイバ装置は、例えば、ファイバ断面積の実質的に全てにわたって、異なるコアサイズのロッドの繰り返しパターンを有してもよい。
【0013】
各スタックにおいて、異なるコアサイズを有するロッドが含まれることにより、ロッドが同じサイズであるスタックに比べて、スタックにおけるロッドの間のクロストークが低減され得る。
【0014】
クロストークを低減する他の方法の代わりに、異なるコアサイズを有するコアを使用することにより、異なる低コストの材料を使用することが可能になる。ある環境では、異なるコアを有する低コスト材料は、均一なコアサイズを有する高コスト材料と同様の特性を発揮し得る。
【0015】
ロッドは、光ファイバの形成に使用され得る、いかなる材料を有してもよい。例えば、所望の特性を有する光ファイバが製造される引き出しプロセスに晒される、いかなる好適なファイバが使用されてもよい。スタックは、ロッドのいかなる好適な配置を有してもよい。例えば、ロッドが全長に沿って、実質的に平行に、相互に隣接して配置される、いかなる好適な配置を有してもよい。ある配置では、ロッドの間に追加の材料が提供されてもよい。
【0016】
複数のロッドの各々は、少なくとも3つの異なるコアサイズを有するロッドを有してもよい。
【0017】
選定された形状により、引き出した際に、スタックが所望の配置で相互に積層されてもよい。所望の配置は、いかなるタイル貼りを有してもよい。所望の配置は、隙間充填配置を有してもよい。形状は、タイル貼りされた、または面内に切りばめられた形状の、いかなる組み合わせを有してもよい。
【0018】
各ロッドは、コアとクラッドを有してもよい。
【0019】
各スタックにおいて、それぞれの複数のロッドは、異なる外側サイズを有するロッドを有してもよい。異なる外側サイズは、異なるクラッドサイズを有してもよい。異なる外側サイズは、異なる外径、異なる外側断面積、異なるクラッド径、異なるクラッド断面積、の少なくとも一つを有してもよい。
【0020】
各スタックにおいて、それぞれの複数のロッドの各々は、実質的に等しい、外側サイズに対するコアサイズの比を有してもよい。異なるコアサイズのロッドは、各々、実質的に等しいクラッドサイズに対するコアサイズの比を有してもよい。例えば、各ロッドは、等しいクラッド径に対するコア径の比を有してもよい。
【0021】
当該方法は、さらに、少なくとも一つのプリフォームを引き出すことにより、ロッドを得るステップ有してもよい。
【0022】
ロッドを得るステップは、選択されたタイプのプリフォーム引き出すステップを有してもよい。異なるコアサイズは、同じ選択されたタイプのプリフォームを異なって引き出すことにより得られてもよい。例えば、異なるコアサイズは、同じ選択されたタイプのプリフォームを異なる速度で引き出すことにより、得られてもよい。例えば再被覆のような他の変更を伴わずに、引き出し速度を変えることにより、単一のプリフォームを異なるサイズのロッドに引き出してもよい。
【0023】
単一の選定されたタイプのファイバプリフォームから異なるコアサイズを得ることにより、異なるファイバプリフォームからロッドが引き出される方法に比べて、コストおよび/または複雑さが抑制される。
【0024】
選定されたタイプのファイバプリフォームは、実質的に同じ材料で構成された、異なるファイバプリフォームを有してもよい。単一のタイプのファイバプリフォームは、実質的に同じ外径およびコア直径を有するファイバプリフォームを有してもよい。ロッドは、実質的に同じタイプの、異なるファイバプリフォームで、または単一長さの選択されたプリフォームから、形成されてもよい。
【0025】
同じプリフォームから引き出された、異なるサイズのロッドを用いて、低コストで所望の特性を発揮する、コヒーレントなイメージングファイバが得られてもよい。イメージングコア間のクロストークは、隣接するロッドの間のサイズ差により、抑制される。
【0026】
当該方法は、例えば、別のスタックを引き出す前または後に、該別のスタックを被覆するステップを有してもよい。引き出された別のスタックを用いて、イメージングファイバ装置を形成するステップは、前記別のスタックを被覆するステップを有してもよい。当該方法は、必要な場合、例えば充填ガラスのような、少なくとも一つの別の素子とともに、別のスタックをジャケットチューブに配置するステップと、例えば、加熱プロセスおよび/または圧縮プロセス、および/または別のスタックとジャケットチューブの組み合わせに対して、別の引き出しプロセスを実施するステップと、を有してもよい。
【0027】
複数のスタックの引き出しプロセスが実施される際に、複数のロッドは、実質的に被覆されなくてもよい。別のスタックは、実質的に被覆されず、または該別のスタックの引き出しが実行される際に、被覆されてもよい。
【0028】
前記選定された配置は、各ロッドにおいて、前記ロッドに最近接のロッドが、前記ロッドに対して異なるコアサイズを有するようにされてもよい。
【0029】
各スタックにおいて、異なるコアサイズを有する、それぞれの複数のロッドを配置するステップは、最近接のロッドが異なるコアサイズを有するように、それぞれの複数のロッドを配置するステップを有してもよい。
【0030】
配置するステップは、ロッドが、同じコアサイズを有するロッドと相互に隣接しないようにされてもよい。
【0031】
最近接のロッドが異なるコアサイズを有するようにロッドを配置するステップでは、コア同士の間のクロストークが抑制され得る。クロストークを抑制することにより、光ファイバ装置を介した信号伝送が改善される。例えば、装置が撮像に使用される場合、撮像品質が改善され得る。
【0032】
前記選定された配置は、各ロッドにおいて、前記ロッドに最近接のものの次のロッドが、前記ロッドに対して異なるコアサイズを有するようにされるてもよい。
【0033】
異なるコアサイズを有する複数のロッドを配置するステップは、規則アレイに複数のロッドを配置するステップを有してもよい。
【0034】
前記または各選定された形状、例えば、スタックの断面の形状は、規則形状を有してもよい。前記または各規則形状は、正方形、矩形、菱形、平行四辺形、六角形、正多角形の少なくとも一つを有してもよい。スタックの各々は、実質的に同じ選択された形状を有してもよい。
【0035】
引き出されたスタックは、相互に積層され、各スタックは、同じ配向であってもよい。別のスタックは、ロッドの周期配置を有してもよい。
【0036】
引き出されたスタックを相互に積層して、別のスタックを形成するステップは、引き出されたスタックの間に実質的に隙間が生じないよう、引き出されたスタックを積層して、所望の空間を実質的に充填するステップを有してもよい。引き出されたスタックは、異なるスタックにおいて、少なくともいくつかの隣接するロッドが接触するように配置されてもよい。
【0037】
各スタックは、同じロッドの配置を有してもよい。スタックの各々は、実質的に等しい選定されたロッドの配置を有してもよい。
【0038】
各引き出されたスタックは、少なくとも一つのユニットセルを有してもよい。別のスタックは、ユニットセルの繰り返し配置を有してもよい。
【0039】
少なくとも一つの選定された形状の引き出されたスタックを積層するステップは、選定された形状をタイル化し、平面を実質的に充填するステップに対応し得る。タイル化するステップは、異なるサイズのロッドの繰り返し配置を形成するようにされてもよい。
【0040】
少なくとも一つの選定された形状を有するスタックの使用の結果、マルチ積層が容易となる。例えば、正方形アレイとして配置されたスタックは、正方形ユニットセルを形成するように引き出され、これは他の正方形ユニットセルとともに、容易に積層されてもよい。
【0041】
スタックは、ロッドのn×nの正方形アレイを有し、ここでnは、4以上であってもよい。
【0042】
各スタックは、複数の行および複数の列を有してもよい。各スタックにおいて、前記スタックの各行は、複数の異なるコアサイズの各々の少なくとも一つのロッドを有してもよい。前記スタックの各列は、複数の異なるコアサイズの各々の少なくとも一つのロッドを有してもよい。
【0043】
正方形アレイまたは矩形アレイを使用して、例えば、単位行または列当たり、異なるコアサイズの各々を有する1または2以上のロッドを含むことにより、異なるコアサイズの、いかなる所望の数nの配置が容易となってもよい。例えば、六角形アレイよりも正方形アレイにおいて、異なるサイズのロッドを配置することが容易となってもよい。
【0044】
複数の異なるコアサイズは、N個の異なるコアサイズを有してもよい。
【0045】
各スタックは、ロッドのN×Nのアレイを有してもよい。
【0046】
各スタックにおいて、前記スタックの各行は、N個の異なるコアサイズの各々の一つのロッドを有してもよい。各スタックにおいて、前記スタックの各列は、N個の異なるコアサイズの各々の一つのロッドを有してもよい。
【0047】
各スタックは、zNの行×yNの列のアレイを有してもよい。各スタックにおいて、前記スタックの各行は、各々がNの異なるコアサイズのyのロッドを有してもよい。各スタックにおいて、前記スタックの各列は、各々がNの異なるコアサイズのzのロッドを有してもよい。
【0048】
5つの異なるコアサイズは、サイズ順に、A乃至Eで表されてもよい。スタックは、以下のロッドの配置を有する正方形アレイを有してもよい:
DACEB
CEBDA
BDACE
ACEBD
EBDAC。
【0049】
複数のロッドは、少なくとも5つの異なるコアサイズを有するロッドを有してもよい。複数のロッドを配置するステップは、最近接のロッドの次のロッドが、異なるコアサイズを有するようにされてもよい。
【0050】
配置するステップは、同じコアサイズの最近接のロッド、または最近接のロッドの次のロッドが存在しないようにされてもよい。
【0051】
最近接の次のロッドが異なるコアサイズを有するように、ロッドを配置するステップでは、さらにクロストークが抑制され得る。
【0052】
複数のロッドは、少なくとも9の異なるコアサイズを有するロッドを有してもよい。複数のロッドを配置するステップは、最近接のロッドの次の次のロッドが、異なるコアサイズを有するようにされてもよい。配置するステップは、ロッドが、同じコアサイズを有する、最近接のロッド、最近接のロッドの次のロッド、または最近接のロッドの次の次のロッドを有さないようにされてもよい。
【0053】
引き出されたスタックを相互に積層して、別のスタックを形成するステップは、引き出されたスタックを相互に積層して、ユニットセルの繰り返し配置を形成するステップを有してもよい。
【0054】
スタックが引き出された後、さらに積層されるプロセスを用いることにより、複数のステージにおいて、多くのコアを有する光ファイバ装置が形成されてもよい。スタックは、積層が容易となるように構成されてもよい。例えば、正方形スタックは、他の正方形スタックとともに、容易に積層され得る。ある環境では、単純な形状を有するスタックの使用により、変形に耐性が生じ、例えば、引き出しの際に生じる変形に、耐性が生じてもよい。
【0055】
光ファイバ装置を形成するステップは、少なくとも一つの別の積層、および引き出された別のスタックの引き出しを実行するステップを有してもよい。
【0056】
各スタックにおいて、それぞれの複数のロッドを配置して、前記スタックを形成するステップは、前記それぞれの複数のロッドの少なくともいくつかの間に、スペーサ素子を配置するステップを有してもよい。例えば、スペーサ素子は、固体ロッドを有してもよい。スペーサ素子は、光透過性である必要はない。
【0057】
各ロッドは、シリカ、Geドープ化シリカ、フッ素ドープ化シリカ、ホウ素ドープ化シリカ、アルミニウムドープ化シリカ、シリケートガラスの少なくとも一つを有してもよい。
【0058】
異なるサイズの複数のロッドの外径は、0.5mmから10mmの間、必要な場合、1mmから5mmの間であってもよい。異なるサイズの複数のロッドの外径は、0.1mm超であり、必要な場合、0.5mm超であり、さらに必要な場合、1mm超であってもよい。異なるサイズの複数のロッドの外径は、20mm未満であり、必要な場合、10mm未満であり、さらに必要な場合、5mm未満であってもよい。
【0059】
スタックの幅は、1mmと1000mmの間であり、必要な場合、5mmと500mmの間であり、さらに必要な場合、10mと100mmの間である。スタックの幅は、1mm超であり、必要な場合、5mm超であり、さらに必要な場合、10mm超である。スタックの幅は、1000mm未満であり、必要な場合、500mm未満であり、さらに必要な場合、100mm未満であってもよい。
【0060】
各ロッドの開口数は、0.35未満であり、必要な場合、0.32未満であり、さらに必要な場合、0.3未満であってもよい。
【0061】
光ファイバ装置は、イメージングファイバ装置を有してもよい。光ファイバ装置は、コヒーレントなイメージングファイバを有してもよい。
【0062】
独立に提供され得る本発明の第2の態様では、クラッドにより分離された異なるコアサイズのコアを有する光ファイバ装置が提供される。異なるコアサイズのコアは、異なるコアサイズの選択された繰り返しパターンが形成されるように配置される。
【0063】
繰り返し配置は、ユニットセルの繰り返し配置を有してもよい。各ユニットセルは、異なるコアサイズの同じ配置を有してもよい。
【0064】
各ユニットセルは、コアのn×nの正方形アレイを有してもよい。nは、4以上であってもよい。
【0065】
各ユニットセルは、複数のコアの行と、複数のコアの列とを有してもよい。各行は、複数の異なるコアサイズの各々の少なくとも一つのコアを有してもよい。各列は、複数の異なるコアサイズの各々の少なくとも一つのコアを有してもよい。
【0066】
コアは、各コアにおいて、前記コアの最近接のコアが、前記コアとは異なるコアサイズを有するように配置されてもよい。
【0067】
コアは、各コアにおいて、前記コアに最近接のコアの次のコアが、前記コアと異なるコアサイズを有するように配置されてもよい。
【0068】
光ファイバ装置は、複数の行および複数の列を有してもよい。各行は、異なるコアサイズの各々の少なくとも一つのコアを有してもよい。各列は、異なるコアサイズの各々の少なくとも一つのコアを有してもよい。
【0069】
複数のコアは、少なくとも5つの異なるサイズを有するコアを有してもよい。コアは、各コアにおいて、前記コアと最近接のコアの次のコアが前記コアと異なるコアサイズを有するように配置されてもよい。
【0070】
コアの各々は、1μmから100μmの間のコア直径を有してもよい。コアの各々は、光を伝送方向に誘導するように構成されてもよい。各コアの直径は、伝送方向に対して実質的に垂直な面内に定められてもよい。コア直径は、例えば、最大直径、最小直径、または平均直径を有してもよい。
【0071】
コアの中心と中心の間隔は、100μm未満であり、必要な場合、10μm未満であり、さらに必要な場合、5μm未満であってもよい。
【0072】
光ファイバ装置は、撮像に使用されるように構成されてもよい。
【0073】
光ファイバ装置は、可視光、赤外光、紫外光の少なくとも一つを透過するように構成されてもよい。
【0074】
光ファイバ装置、光源、および/または光検出器に、光結合器が結合されてもよい。
【0075】
ファイバ組立体が提供されてもよい。ファイバ組立体は、前述の、または前述の方法により形成された、光ファイバ装置と、少なくとも一つの別の光ファイバ、および/または少なくとも一つのキャピラリ管と、前記光ファイバ、および前記少なくとも一つの光ファイバ、および/または少なくとも一つのキャピラリ管を含有するパッケージと、を有する。パッケージは、例えば、ガラスまたはポリマー管を有してもよい。光ファイバ装置は、イメージングファイバ装置を有してもよい。
【0076】
ファイバ組立体は、例えば、イメージングファイバ、検知ファイバ、および/またはサポート素子の任意の組み合わせのような、素子のいかなる組み合わせを有してもよい。ファイバー組立体は、スタックから形成されてもよい。該スタックは、素子の異なるタイプのスタックを有してもよい。例えば、イメージングスタックには、センサスタックが点在されてもよい。ファイバ組立体は、異なる形状および/またはサイズを有するスタックから形成されてもよい。例えば、大きなイメージングスタックには、小さなセンサスタックが点在されてもよい。
【0077】
ファイバ組立体は、さらに、光ファイバ装置を、光源および/または光検出器に結合するように構成された、光結合器を有してもよい。
【0078】
ファイバ組立体は、さらに、前記または各別の光ファイバを、少なくとも一つの検知装置に結合するように構成された、別の結合器を有してもよい。
【0079】
ファイバ組立体は、さらに、前記または各キャピラリ管を、流体挿入装置、例えばシリンジに結合するように構成された、コネクタを有してもよい。
【0080】
ファイバ組立体の遠位端は、人または動物に挿入されるように構成されてもよい。
【0081】
また、添付図面を参照して、実質的に本願に記載された装置または方法が、提供されてもよい。
【0082】
本発明のある態様において、任意の特徴は、いかなる好適な組み合わせにおいて、本発明の他の態様に適用されてもよい。例えば、機器の特徴は、方法の特徴に適用されてもよく、その逆であってもよい。
【0083】
以下、以下の図面に示されている、非限定的な例により、本発明の実施例について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0084】
図1】ファイバプリフォームを引き出し、光ファイバを形成する装置の概略的な図である。
図2】実施例の方法の概略を示したフローチャートである。
図3】5つの異なるサイズに引き出され、正方形スタックに積層された、1つのプリフォームの概略的な図である。
図4】再度引き出され積層された際の、図3のスタックの概略的な図である。
図5】再度引き出され積層され、ジャケットチューブに配置された際の、図4のスタックの概略的な図である。
図6a】実施例によるコヒーレントなイメージングファイバのコアの走査型電子顕微鏡(SEM)画像である。
図6b】実施例によるコヒーレントなイメージングファイバのコアの走査型電子顕微鏡(SEM)画像である。
図6c】実施例によるコヒーレントなイメージングファイバのコアの走査型電子顕微鏡(SEM)画像である。
図7】331のロッドの六角形スタックの概略的な図である。
図8】六角形スタックの第2のステージの概略的な図である。各六角形は、図7に示したような331ロッドのそれぞれの初期スタックを表す。
図9】六角形アレイイメージングファイバのSEM画像である。
図10】引き出された正方形スタックの6×6アレイの概略的な図である。正方形スタックは、図3に示されている。
図11】再積層され、被覆されファイバに引き出された際の、図10のアレイから形成されたファイバのSEM画像である。
図12】520nmから600nmでの六角形アレイファイバから得られたUSAF1951試験ターゲット蛍光画像である。
図13】650nmから750nmでの六角形アレイファイバから得られたUSAF1951試験ターゲット蛍光画像である。
図14】520nmから600nmでの正方形アレイファイバから得られたUSAF1951試験ターゲット蛍光画像である。
図15】650nmから750nmでの正方形アレイファイバから得られたUSAF1951試験ターゲット蛍光画像である。
図16】正方形アレイファイバ、六角形アレイファイバ、およびフジクラ株式会社で製造された市販のイメージングファイバの、波長とともに変化するフリンジ視感測定のプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0085】
図1には、加熱素子20およびファイバ引き出し機構22を有する、ファイバ引き出し装置10の概略図を示す。ファイバ引き出し装置の他の部材は、明確化のため省略されている。図1には、スケールは示されていない。
【0086】
本実施例では、ファイバ引き出し装置10は、通信設備の要素であり、引き出しファイバの直径を数μm以内に制御するように構成される。別の実施例では、いかなる好適なファイバ引き出し装置が使用されてもよい。
【0087】
ファイバ引き出し装置10は、コア領域32およびクラッド領域34を有するファイバプリフォーム30を引き出すように構成される。
【0088】
ファイバプリフォーム30を引き出すため、ファイバプリフォームは、引き出し機構により、矢印40で示された方向に牽引される(図1の下向き)。
【0089】
ファイバプリフォーム30は、加熱素子20により加熱され、軟化して引き出されてもよい。ファイバプリフォーム30は、引き出し機構22により牽引され、長さが増加し、断面が減少する。ファイバプリフォーム機器10の生産品は、ロッド36であり、これは、元のファイバプリフォーム30と実質的に同様の、クラッドサイズに対するコアサイズの比を有する。ただし、断面はより小さくなる。
【0090】
クラッドサイズに対するコアサイズの比(例えば、クラッド直径に対するコア直径の比)は、コア対クラッド比と称され得る。クラッドサイズは、外側サイズとも称される。
【0091】
図2は、実施例による光ファイバ装置を形成する方法の概略を示すフローチャートである。光ファイバ装置は、複数のコアの光ファイバ装置である。この実施例では、光ファイバ装置は、2025の結像コアを有するコヒーレントなイメージングファイバである。別の実施例では、光ファイバ装置は、いかなる数のコアを有する、いかなる好適な光ファイバ装置であってもよい。例えば数百、数千、または数万のコアを有してもよい。
【0092】
図2のステージ50では、引き出し装置10を使用して、単一タイプのファイバプリフォーム30が引き出され、5つの異なるサイズ36A、36B、36C、36D、36Eのロッドが形成される。低指数のクラッドを有する個々のコアのロッドは、単一タイプのファイバプリフォームから引き出される。単一タイプのファイバプリフォームは、ファイバプリフォームの1または2以上のピースを有し、各々は、同じ材料組成、コア直径、およびクラッド直径を有する。
【0093】
本実施例では、ファイバプリフォーム30は、マルチモード電気通信グレードのプリフォームであり、シリカから形成される。ファイバプリフォーム30は、大量生産用に設計される。ファイバプリフォーム30は、放物線傾斜指標プロファイルを有する傾斜指標である。
【0094】
ファイバプリフォーム30は、30mmの外径、1mの長さを有する。ファイバプリフォーム30は、屈折率が1.46のクラッド領域34と、ピーク屈折率が1.49のコア領域32とを有する。コア領域32の直径は、23mmである。ファイバプリフォーム30のコア対クラッド比は、0.72である。別の実施例では、いかなる好適なファイバプリフォームが使用されてもよい。
【0095】
ファイバプリフォーム30は、標準サイズの市販部材であると見なし得る。
【0096】
ファイバプリフォーム30は、ファイバ引き出し装置10を用いて、5つの異なるサイズに引き出される。例えば、ファイバ引き出し装置10は、第1の速度でファイバ引き出し装置10を作動することにより、ファイバプリフォーム30を全長が第1のサイズとなるように引き出し、第1の複数のロッド36Aが形成される。また、1mのロッド長さで切断することにより、第1の複数のロッド36Aが形成される。別の実施例では、いかなるロッドの全長が使用されてもよい。
【0097】
次に、ファイバ引き出し装置10は、第2の速度でのファイバ引き出し装置10の作動により、ファイバプリフォーム30を、全長が第2のサイズとなるように別の長さに引き出し、第2の複数のロッド36Bが形成される。これを1mのロッド長さで切断することにより、第2の複数のロッド36Bが形成されてもよい。装置10は、第3、第4、および第5の速度でのファイバ引き出し装置10の作動により、ファイバプリフォーム30を、全長が第3、第4、および第5のサイズとなるように、別の長さで引き出し、それぞれ、第3、第4、および第5の複数のロッド36C、36D、36Eが形成されてもよい。別の実施例では、ロッドのいかなる全長が使用されてもよく、いかなる数のファイバプリフォームが使用され、ロッドが形成されてもよい。
【0098】
ロッド36A、36B、36C、36D、36Eの異なるサイズは、プリフォームにいかなる他の変更も加えずに、例えば追加の被覆ステージを使用せずに、異なる速度でのファイバ引き出し装置10の作動により、同じプリフォームから形成されてもよい。
【0099】
他の実施例では、いかなる好適な引き出しプロセスおよび引き出し装置が使用されてもよい。例えば、ファイバ引き出しプロセスは、「ファイバ光イメージングに対する導入」、Schott North America,第2版、Schott、2007年の第8頁に記載のようなものであってもよい。
【0100】
以下の記載では、異なるコアサイズおよび/または外側サイズを有するロッドとは、ロッドの長さに対して垂直な方向において異なるコアサイズ、および/または外側サイズを有するロッド、例えば、異なるコア径および/もしくは外径を有し、ならびに/または異なるコア断面積および/もしくは外側断面積を有するロッドを表す。
【0101】
複数のロッド36A、36B、36C、36D、36Eの各々は、異なる外径を有する。複数のロッド36A、36B、36C、36D、36Eの各々は、異なるコア径を有する。ロッド36A、36B、36C、36D、36Eは、同じファイバプリフォーム30から製造されるため、各ロッド36A、36B、36C、36D、36Eは、実質的に同じコア対クラッド比を有する。
【0102】
本実施例では、複数のロッドの外径は、2.23mmから3.17mmの間の範囲である。外径およびコア直径は、中央値から約8%だけ変化する。中央値と比べて、サイズは、最小から最大まで、-16%、-8%、0%、+8%、および+16%である。別の実施例では、異なる外径が使用されてもよい。いかなる好適なサイズの範囲が使用されてもよい。
【0103】
本実施例では、第1の複数のロッド36Aの各々は、2.23mmの外径を有する。第2の複数のロッド36Bの各々は、2.52mmの外径を有する。第3の複数のロッド36Cの各々は、2.74mmの外径を有する。第4の複数のロッド36Dの各々は、2.95mmの外径を有する。第5の複数のロッド36Eの各々は、3.17mmの外径を有する。
【0104】
本実施例では、ロッド36A、36B、36C、36D、36E の5つの異なるサイズは、ファイバプリフォーム30から引き出される。別の実施例では、異なる数のロッドサイズが引き出されてもよい。例えば、nの異なるサイズのロッドが引き出され、ここで、nは、少なくとも3である。本実施例では、同じタイプのファイバプリフォームから、合計5つの異なるロッドサイズが引き出される。別の実施例では、異なるファイバプリフォームから、異なるロッドサイズが引き出されてもよい。光伝送用に構成された、いかなる好適なロッドが使用されてもよく、例えば、赤外線、可視光、および/または紫外線を透過するように構成された、いかなるロッドが使用されてもよい。
【0105】
図2のステージ52では、ロッド36A、36B、36C、36D、36Eの各サイズの5つ(すなわち、合計25ロッド)は、5×5の正方形アレイに積層され、ロッドのスタックが形成される。これは、一次スタック70と称される。配置および積層という用語は、素子の垂直配置を示すため、相互互換的に使用され得ることが留意される。
【0106】
図3には、一次スタック70の断面を示す。本実施例では、ロッドは、いかなる別のロッドの介在もなく、相互に積層されるが、別の実施例では、ロッド36A、36B、36C、36D、36Eの少なくともいくつかの間に、スペーサロッドが介在されてもよい。スペーサロッドは、スペーサ素子とも称される。スペーサロッドは、コアを有する必要はなく、光を透過しなくてもよい。
【0107】
一次スタック70の各行は、5つのロッド36A、36B、36C、36D、36Eを有し、各々は、異なるコアサイズを有し、5つ全てのコアサイズが行に表される。同様に、一次スタック70の各列は、5つのロッド36A、36B、36C、36D、36Eを有し、各々は、異なるコアサイズを有し、5つ全てのコアサイズが列に表される。ロッドは、各ロッドがその最近接のロッドとは異なるコアサイズを有するように積層される。また各ロッドは、その最近接のロッドの次のロッドとも異なるコアサイズを有する。本実施例では、同じコアサイズを有する、最近接のまたは最近接のロッドの次の、別のロッドは存在しない。
【0108】
本実施例では、ロッド36A、36B、36C、36D、36EがA乃至Eで表される場合(A乃至Eは上昇順である)、一次スタックにおけるロッド36A、36B、36C、36D、36Eの配置は、以下に示す文字のアレイとして表され得る:
DACEB
CEBDA
BDACE
ACEBD
EBDAC

ここで、文字の行および列は、ロッドの行および列を表す。
【0109】
5×5アレイは、5サイズの各々の5つのロッドを有する。各異なるロッドサイズは、正方形スタックの各行または列において、一回現れる。隣接するロッドサイズは、同じではない。ロッド36A、36B、36C、36D、36Eの異なるサイズは、一次スタック70の個々の素子のサイズが異なっても、一次スタック70が全体として、実質的に正方形になるように配置される。一次スタックは、選定された形状を有するように考慮され、これは本実施例では、正方形である。別の実施例では、選定された形状は、いかなる規則形状であってもよく、例えば、長方形、平行四辺形、菱形、または六角形であってもよい。選定された形状は、例えば、いかなる正多角形を有してもよい。選定された形状は、選定された形状を有する一次スタックが、選定された形状を有する他の一次スタック、および/または1もしくは2以上の別の選定された形状を有する他の一次スタックとともに積層されるようにされてもよい。
【0110】
図3から、一次スタック70の各個々の行および/または列は、ロッド間のサイズ差のため、完全に直線ではないことがわかる。ただし、一次スタック70の周囲に、実質的に正方形の外境界を描くことは可能である。
【0111】
図3に示すように、ロッド36A、36B、36C、36D、36Eがいったん一次スタック70として積層されると、ロッド36A、36B、36C、36D、36Eの端部が溶融され、ロッド36A、36B、36C、36D、36Eの間の相対的な動きが抑制され、正方形として配置されたロッドの一次スタック70が維持される。本実施例では、ロッド36A、36B、36C、36D、36Eは、PTFEテープを用いてテープ化され、手動で両端部が溶融される。別の実施例では、ロッド36A、36B、36C、36D、36Eは、いかなる好適な方法で、一次スタック70内に相互に保持されてもよい。
【0112】
図3には、一つのスタック70のみが示されているが、実際には、ステージ52において、多くのスタック70が形成されてもよい。各アレイは、図3に示すような、ロッド36A、36B、36C、36D、36Eの5×5アレイである。本実施例では、ステージ52で製作されるスタック70の全数は、81である。
【0113】
図2のステージ54および56では、以下に示すように、均一な正方形を形成する一次スタック70が引き出され、再度積層される。
【0114】
ステージ54では、各一次スタック70は、ファイバ引き出し装置10、または別のファイバ引き出し装置(図示されていない)を用いて引き出される。引き出しプロセスの間、ロッド36A、36B、36C、36D、36Eは、加熱され、これらが接触する位置で、相互に溶融される。ただし、隙間の空気ギャップは、ロッド36A、36B、36C、36D、36Eの間に残る。
【0115】
いったん引き出されると、一次スタック70は、二次ユニットセル72を形成すると考えられる。ロッド36A、36B、36C、36D、36Eは、マルチ積層プロセスにおいて、不均一に寸法化された一次ユニットセルであると考えられる。ステージ52および54では、不均一に寸法化された一次ユニットセル36A、36B、36C、36D、36Eから、均一な寸法の二次ユニットセルが形成されると考えられる。
【0116】
二次ユニットセル72は、引き出される一次スタック70よりも十分に小さな断面積を有する。ただし、二次ユニットセル72は、引き出された後も、実質的に正方形状を維持する。ロッド36A、36B、36C、36D、36Eは、それらの正方形配置を維持する。
【0117】
本実施例では、図3に示された一次スタック70は、14mmの側長を有する。一次スタック70から得られる二次ユニットセル72は、2.5mmの側長を有する。
【0118】
ステージ56では、9個の二次ユニットセル72が3×3アレイに積層され、これは、二次スタック74とも称される。図4には、二次スタック74の断面が示されている。二次スタック74における個々の二次ユニットセル72の範囲は、破線で示されている。二次ユニットセル72の積層により、ロッドの繰り返し配置が形成される。各二次ユニットセル72は、ロッドの5×5アレイから形成され、二次スタック74は、5列おきおよび5行おきに繰り返される、ロッドの繰り返し配置を有する。
【0119】
二次ユニットセル72は、テープ化され、両端で溶融される。別の実施例では、二次ユニットセル72は、いかなる好適な方法で、相互に保持されてもよい。
【0120】
図4には、一つの二次スタック74を示す。これは、5つの二次ユニットセル72から形成される。実際には、別の二次ユニットセル72が相互に積層され、別の二次スタック74が形成される。全部で9個の二次スタック74が形成される。
【0121】
二次ユニットセル72の均一なサイズおよび形状(本実施例では正方形)により、二次ユニットセル72は、容易に積層され得る。二次スタック74は、同じまたはほぼ等しい部材(二次ユニットセル72)のスタックであってもよい。二次ユニットセル72は、それらが空間を埋めるように、タイル張りされることが考えられる。
【0122】
別の実施例では、二次ユニットセルは、相互に積層された、いかなる規則的な幾何形状を有してもよく、例えば、矩形、平行四辺形、菱形、または六角形である。
【0123】
別の実施例では、各二次ユニットセルは、インターロック形状を有する(例えば、ジグゾーパズルに似ていると考えられる形状)。ステージ56では、二次ユニットセルは、これらが連結されるように配置される。
【0124】
ある環境では、引き出された際に、一次または二次スタックのある変形が生じ得る。例えば、スタックの一部のねじれが生じ得る。ある環境では、変形の一部のタイプは、そのようなインターロックユニットセルが、他のユニットセルと連続的に連結されることを抑制する。こインターロックされない規則形状(例えば正方形または六角形)が使用される場合、変形に対して大きな耐性が生じ得る。
【0125】
本実施例では、二次ユニットセル72は、3×3正方形アレイに積層される。別の実施例では、任意の数の二次ユニットセル72が相互に積層されてもよい。二次ユニットセル72のいかなる好適なスタックが使用されてもよい。二次ユニットセル72のスタックは、いかなる規則的幾何形状を有してもよい。
【0126】
ステージ58乃至62では、新たな均一な正方形スタック(二次スタック74)が引き出され、再度積層され、ジャケットチューブ80に配置され、充填ガラス82が添加され、構造が保持される。ステージ58乃至62の各々について、以下、詳しく説明する。
【0127】
ステージ58では、各二次スタック74は、ファイバ引き出し装置10、または別の引き出し装置を用いて引き出される。引き出しプロセスの間、二次ユニットセルは、加熱され、各二次ユニットセル72のロッドが溶融し、他の二次ユニットセル72からの隣接するロッドと、それらが接触する位置で融着される。隙間の空気ギャップは、異なる二次ユニットセル72のロッド間、および各二次ユニットセル72内のロッドの間に残留する。
【0128】
いったん引き出されると、二次スタック74は、三次ユニットセル76を形成すると考えられる。三次ユニットセル76は、均一な形状を有し、このため、相互に積層することが容易になる。本実施例では、三次ユニットセル76は、4.5mmの側長を有する。
【0129】
図5に示すように、ステージ60では、9個の三次ユニットセル76が3×3配置に相互に積層される。図5において、破線は、各三次ユニットセル76の範囲を示す。別の実施例では、いかなる好適なスタックの形状が使用されてもよい。いかなる数の三次ユニットセル46が相互に積層されてもよい。
【0130】
ステージ62では、ジャケットチューブ80に、9個の三次ユニットセルのスタックが配置される。ジャケットチューブと三次ユニットセル82の間に充填ガラス82が追加され、ジャケットチューブ80内に、三次ユニットセル76が3×3の配置で保持される。充填ガラス82は、複数の固体ガラスロッドを有し、これは、光を透過するようには構成されていない。固体ガラスロッドは、三次ユニットセル76の正方形スタックの周囲に配置され、正方形スタックと丸いジャケットチューブ80の間の空間が充填される。三次ユニットセル76、ジャケットチューブ80、および充填ガラス82は、最終組立体78を形成すると考えられる。
【0131】
ステージ64では、最終組立体78は、ファイバ引き出し装置10、または別の引き出し装置を用いて引き出される。真空吸着が使用され、コア間の隙間から空気が吸引され、ロッドの間の隙間が除去される。
【0132】
ステージ64の引き出しプロセスでは、光ファイバ装置が得られ、本実施例では、これは、コヒーレントなイメージングファイバである。コヒーレントなイメージングファイバは、可視光、赤外光、および/または紫外光を透過するように構成されてもよい。コヒーレントなイメージングファイバは、光ガイド素子(この場合、光ガイド素子は、コヒーレントなイメージングファイバを形成するために引き出されたロッドのコアである)のアレイを形成するように考慮され、光ガイド素子の繰り返し配置で配置されてもよい。前述のように、異なるサイズを有する光ガイド素子の繰り返し配置は、光ガイド素子間のクロストークを低下させ得る。例えば、光ガイド素子は、同じサイズの最近接の、または最近接の隣の光ガイド素子を有さない。
【0133】
図6a、6b、および6cには、ある実施例によるコヒーレントなイメージングファイバのコアの走査電子顕微鏡像を示す。図6aには、×1300倍の拡大率のコアを示す。図6bには、×2500倍の拡大率のコアを示す。図6cには、×10,000倍の拡大率のコアを示す。
【0134】
本実施例では、コアは、コヒーレントなイメージングファイバにおける全てのコアがマルチモードとなるように引き出される。コアは、最小のコア36Aが単一モードとならないように引き出される。別の実施例では、コアは、イメージングファイバにおける全てのコアが単一モードとなるように引き出されてもよい。
【0135】
本実施例では、コヒーレントなイメージングファイバにおけるコアの間の空間は、約3.5μmである。一方、マルチモード通信ファイバにおけるコアの間の空間は、約10μmである。コアの間の空間は、光透過の方向と実質的に平行な面内の空間であってもよい。
【0136】
別の実施例では、コヒーレントなイメージングファイバにおけるコアの各々の直径は、例えば、1.5μmから10μmの間であってもよい。コアの直径は、光伝送の方向に対して実質的に垂直な面において測定されてもよい。ある実施例では、コヒーレントなイメージングファイバのコアは、円形でなくてもよい。コアが円形ではない場合、コアの任意の直径が測定されてもよく、例えば、最大径または最小径が測定されてもよい。
【0137】
コアサイズについて検討すると、大きなコアではなく、小さなコアが相互に接近して配置されてもよいことが考慮される。コアを相互に近づけて配置することにより、結像解像度が改善され得る。
【0138】
本実施例では、コヒーレントなイメージングファイバは、400nmから850nmの波長範囲の光を透過するように構成される。別の実施例では、コヒーレントなイメージングファイバは、いかなる好適な波長、例えば350nmから2000nmの波長範囲の光を透過するように構成されてもよい。
【0139】
本実施例では、ファイバの外径は、550μmである。ただし、別の実施例では、ファイバの外径は、コアの追加または削除により、増減してもよい。コアの追加または削除は、ファイバの視野を変化し得る。
【0140】
ある実施例では、ファイバは、1mmを超える直径では可撓性を示さなくなる。ただし、結像を誘導し、または操作する剛性ロッドが形成されてもよい。ある実施例では、80μm未満のファイバは、極めて少量のコアしか含まないため、良好な結像特性を提供しなくなり得る。
【0141】
本実施例では、コヒーレントなイメージングファイバは、1mから5mの間の長さである。別の実施例では、イメージングファイバのいかなる好適な長さが使用されてもよい。多くの実施例、例えば、医療用撮像の実施例では、数mの長さが適用されてもよい。この長さは、kmの長さであり得る、通信用途に使用されるファイバの長さに匹敵し得る。ある環境では、ある実施例によるイメージングファイバのコアは、従来の通信ファイバのコアよりも、相互に接近されてもよい。
【0142】
本実施例では、図2のプロセスで得られるコヒーレントなイメージングファイバは、複数の検知ファイバおよびキャピラリ管とパッケージ化され、多機能ファイバ装置が形成される。コヒーレントなイメージングファイバ、検知ファイバ、およびキャピラリ管は、別のガラスまたはポリマー管内に配置され、これは、パッケージと称され得る。別のガラスまたはポリマー管は、コヒーレントなイメージングファイバ、検知ファイバ、およびキャピラリ管よりも短くてもよい。パッケージは、コヒーレントなイメージングファイバ、検知ファイバ、およびキャピラリ管を有し、これらは、エポキシを用いて適正な場所に固定される。
【0143】
得られたファイバ装置の一端は、遠位端とも称され、エポキシで充填された後に、研磨される。
【0144】
ファイバ装置の他端は、遠位端とも称され、この他端では、コヒーレントなイメージングファイバ、検知ファイバ、およびキャピラリ管は、別のガラスまたはポリマー管を超えて延在する。コヒーレントなイメージングファイバの遠位端には、光結合器、例えばFCコネクタが設置され、これを用いてコヒーレントなイメージングファイバが、例えば光源および光検出器を有する装置のような、光学機器に結合される。
【0145】
検知ファイバの各々の遠位端は、例えば、光学機器および/または分光計のような検知装置に結合されてもよい。
【0146】
コネクタは、キャピラリ管の遠位端に取り付けられる。キャピラリ管に物質を導入するため、例えば蛍光プローブを導入するため、コネクタにより、シリンジがキャピラリ管に結合される。
【0147】
別の実施例では、光ファイバ装置は、いかなる好適な別のファイバおよび/またはキャピラリ管とパッケージ化されてもよい。ある実施例では、光ファイバ装置、別のファイバ、および/またはキャピラリ管は、別個に加工され、その後相互にパッケージ化されてもよい。別の実施例では、別のファイバおよび/またはキャピラリ管は、光ファイバ装置と同じ加工プロセスで加工される。例えば、別のファイバおよび/またはキャピラリ管は、光ファイバ装置のロッドと同じ引き出しプロセスで、引き出されてもよい。
【0148】
使用の際、多機能ファイバ組立体の遠位端は、人または動物の体の内に配置され、例えば、患者の肺の内部に設置される。多機能ファイバ組立体を装着する、いかなる好適な方法が使用されてもよい。例えば、多機能ファイバ組立体は、気管支鏡の作動チャネルを介して挿入され、作動チャネルから遠位肺に配置されてもよい。
【0149】
キャピラリ管は、物質の遠位肺への導入に使用され、例えば、結像を容易にする蛍光プローブが導入される。イメージングファイバを使用して、遠位肺が結像される。検知ファイバを用いて、遠位肺からの信号が検知される。イメージングファイバおよび/または検知ファイバは、遠位肺からの光を分光器に供給し、分光器は、供給された光の分光を行うように構成される。
【0150】
イメージングファイバを使用して、レンズを用いて画像を投影してもよい。イメージングファイバは、対応するセンサに画像を投影するために使用されてもよい。
【0151】
図2の方法は、マルチ積層プロセスにおいて、不均一なサイズの一次ユニットセル(異なるサイズのロッド36A、36B、36C、36D、36E)から、均一なサイズの二次ユニットセル72を形成する製作技術を提供すると考えられる。本技術は、n×nの正方形アレイにおいて、n個の不均一素子をパッケージ化するステップを有し、各行および列は、次のマルチ積層フェーズ用の正方形ユニットセルにおいて得られる、ロッドサイズの同じバリエーションを有する。
【0152】
本実施例では、n=5である。プリフォームが引き出されて、5つの異なるロッドのサイズが形成される。5つの異なるロッドのサイズは、5×5の正方形アレイに実装され、各行または列は、各ロッドのサイズの一つを有する。
【0153】
図2の方法により、単一のプリフォームを用いて、マルチコア光ファイバ装置の全てのコアを製造することができる。図2の方法により、コアのサイズの変更が容易となってもよい。コアサイズに特別なバリエーションを追加することにより、同じサイズのコアを十分に離れた距離に維持することができる。単一のプリフォームの使用により、異なるコア対クラッド直径比を有する異なるプリフィームを使用する方法に比べて、低コストで、および/または簡単なプロセスが得られる。
【0154】
図2の方法では、ある従来の通信プリフォームを使用して光ファイバ装置が形成され、ジャケットチューブは不要である。ある方法では、プリフォームからロッドの引き出しの後、ロッドは、異なるジャケットチューブに配置される。次に、ジャケットチューブは、スタックを構成することにより、再度引き出される。この場合、製造プロセスに、大きな時間が必要となる。図2の方法では、そのような被覆ステップが使用されないため、図2の方法は、そのような被覆ステップを使用する方法に比べて迅速であり得る。
【0155】
図2の方法を用いることにより、製作時間、および/または材料コスト、および/または製造コストに、大きな削減が得られる。通信プリフォームは、安価であり、広く利用されている。通信プリフォームを使用することにより(単一タイプのプリフィームを使用するかどうかに関わらず)、コストが削減され得る。通信プリフォームは、撮像に使用されるあるプリフォームに比べて、低い開口数を有する。異なるコアサイズの使用により、クロス結合が抑制され、全てのコアサイズが等しい場合に可能な、開口数が低い材料を使用することができる。
【0156】
前述の図2を参照して説明したマルチ積層方法を使用することにより、一次スタックを小さなロッドで引き出すことが可能となり、この二次ユニットセルの再積層により(例えば、数千のロッドの積層のような、多数のロッドを最初に積層する代わりに)、ファイバのコアの数を容易に増加することができる。
【0157】
コアが等しい場合、個々のロッドのコアとクラッドの間のコントラストが低い場合、および/または使用される波長が比較的長い場合、マルチコアファイバの結合が低下する場合がある。図2の実施例では、等しいコアの分離が使用され、マルチコアファイバのコアの間の結合が抑制される。同じプリフォームから形成される等しいコアの分離により、コアの間の結合を抑制する、安価で効率的な方法が提供される。
【0158】
ある環境では、異なるサイズのコアの使用は、コア間のクロストークを抑制するため、必ずしも別の方法、例えば侵入素子、を使用することが必要ではないことを意味する。
【0159】
異なるロッド36A、36B、36C、36D、36Eの間のコアサイズの差は、撮像特性に大きな影響を及ぼさない。ある実施例では、図2の方法を用いて製造されるイメージングファイバの撮像特性は、ランダムなコアサイズバリエーションを有する、Geが重ドープされたガラスを用いて得られる撮像特性と同様であってもよい。しかしながら、図2の方法を用いて製造されたイメージングファイバは、ランダムなコアサイズバリエーションを有する、Geが重ドープされたガラスから製造されたイメージングファイバよりも安価であり得る。
【0160】
通信産業により共有される大量生産材料の使用は、イメージングファイバのコストを抑制し得る。イメージングファイバでは、相互にできるだけ接近させて、個々のファイバのコアを配置することが望ましいが、コアとコアの間隔は、コア間の光のクロス結合により制限される。クロス結合を抑制することにより、図2の方法では、コアを相互に配置することが可能となり、これにより、高解像画像を伝送することができるファイバが得られる。
【0161】
図2の方法は、低コストイメージングファイバの開発に使用されてもよい。これは、ロバスト性のある装置にパッケージ化され、単一使用の後に、使い捨てが可能となる。低コスト使い捨てイメージングファイバの製造により、使用の間の殺菌操作の必要性がなくなり、従って、殺菌操作の間に生じ得る、イメージングファイバのいかなる劣化も排除され得る。患者間にまたがる汚染が抑制される。医療作業が大きく改善され得る。
【0162】
ある実施例では、図2の方法を用いて製造されるイメージングファイバは、可撓性のイメージングファイバである。ある実施例では、イメージングファイバは、剛性ファイバ、例えば剛性イメージングロッドである。
【0163】
例えば剛性イメージングロッドのようなイメージングファイバを用いて、センサアレイ上に画像を投影してもよい。イメージングファイバにおけるコアの規則アレイは、画像をセンサアレイに投影する際に使用されてもよい。センサアレイは、センサの規則アレイであり、例えば正方形アレイであってもよい。ある環境では、イメージングファイバの規則アレイは、異なるサイズのコアがランダムに配置されたイメージングファイバに比べて、センサアレイへの投影に好適である。
【0164】
ある環境では、図2の製造方法において、一つのプリフォームの初期の使用により、同じサイズのコアのほぼ任意の分離が達成され得る。いかなる好適な数の異なるコアサイズが使用されてもよい。
【0165】
ある実施例では、ファイバプリフォームが引き出され、4つの異なるコアサイズを有するロッドが形成される。ロッドは、4×4の正方形アレイに積層され、各行または列は、ロッドの各サイズの一つを有する。少なくとも4つの異なるロッドのサイズを使用することにより、各ロッドが同じサイズの最近接のロッドを有さない、ロッドの配置を得ることが可能となる。
【0166】
図2乃至5を参照して説明した前述の実施例では、プリフォーム30が引き出され、5つの異なるサイズのロッドが形成される。ロッドは、5×5の正方形アレイに積層され、各行または列は、ロッドの各サイズの一つを含む。少なくとも5つの異なるサイズのロッドを使用することにより、各ロッドが、同じサイズを有する最近接のロッド、または最近接のロッドの次のロッドを有さない、ロッドの配置を得ることができる。
【0167】
ある実施例では、プリフォームが引き出され、9の異なるサイズのロッドが形成される。ロッドは、ロッドの正方形アレイとして配置され、各行または列は、各サイズのロッドの一つを有する。少なくとも9の異なるサイズのロッドを使用することにより、各ロッドが、同じサイズを有する最近接のロッド、最近接のロッドの次のロッド、または最近接のロッドの次のロッドの次のロッドを有さない、ロッドの配置を得ることができる。
【0168】
別の実施例では、異なるサイズのいかなる数のロッドが使用されてもよい。ある環境では、より多くの数のサイズのロッドが使用され、引き出された際に、より大きなスタックの変形が生じてもよい。同じコアの間隔と歪み効果の間には、トレードオフの関係がある。コアのサイズが増えると、同じコアの間隔が大きくなるものの、歪みも増加するからである。
【0169】
ロッドは、例えば、正方形アレイまたは六角形アレイなど、いかなる好適な態様で配置されてもよい。ロッドは、1または2以上の任意の選択された形状を形成するように配置されてもよい。例えば、ロッドは、正方形、矩形、菱形、平行四辺形、または六角形の形状を有するスタックを形成するように配置されてもよい。
【0170】
いかなる数のロッドが積層されて、一次スタックが形成されてもよい(これが引き出されて、二次ユニットセルが形成される)。いかなる数の二次ユニットセルが積層され、二次スタックが形成されてもよい(これらが引き出されて、三次ユニットセルが形成される)。いかなる数の三次ユニットセルが積層され、三次スタックが形成されてもよい(これが引き出されて、イメージングファイバが形成される)。
【0171】
異なるサイズのロッドを積層して、任意の選択形状を形成し、次にこれらの規則形状を選択形状の周期格子に積層することにより、いかなるユニットセルも形成され得る。ある実施例では、2または3以上の異なる選択形状が積層されてもよい。例えば、正方形スタックは、一つのユニットセル(例えば、一つの二次ユニットセル)を有するように形成され、2つのユニットセルを有する矩形スタックが形成されてもよい。矩形スタックは、2つの正方形スタックのサイズ、およびロッド配置を有してもよい。正方形および矩形は、相互に積層され、別のスタックが形成されてもよい。
【0172】
ある実施例では、5×5のロッドを積層することにより、8000のコアを有するイメージングファイバが形成され、一次スタックが形成される;6×6の二次ユニットセルを積層して、二次スタックが形成される;3×3の三次ユニットセルが積層され、三次スタックが形成され、これを引き出して、イメージングファイバが形成される。
【0173】
別の実施例では、いかなる回数のマルチ積層の繰り返しが使用されてもよい。例えば、ロッドは、2回、3回、4回、または5回引き出されてもよい。
【0174】
いかなる好適な材料を使用して、光ファイバ装置を形成してもよい。例えば、いかなる好適なプリフォームが使用されてもよい。光ファイバ装置は、例えば、シリカ、Geドープ化シリカ、フッ素ドープ化シリカ、ホウ素ドープ化シリカ、アルミニウムドープ化シリカ、またはシリケートガラスを有してもよい。ある実施例では、例えばSchottガラスSF6、およびLLF1のような、シリケートガラスを使用して、極めて高指数のコントラストが得られてもよい。
【0175】
以上、イメージングファイバを有する実施例について示したが、別の実施例では、いかなる好適なマルチモード光ファイバ配置が形成されてもよい。複数コア光ファイバ装置は、いかなる好適な目的に使用されてもよい。
【0176】
前述のある実施例では、ロッドは、異なる外側サイズを有する。別の実施例では、光ファイバ装置は、実質的に同じ外側サイズを有するものの、コアサイズが異なるロッドを用いて、形成されてもよい。異なるコアサイズを使用することにより、ロッドが同じサイズである場合でも、クロス結合が抑制され得る。
【0177】
ある実施例では、異なるプリフォームが得られ(例えば、異なる市販のプリフォーム)、これは、同様のサイズのロッドに引き出される。異なるプリフォームは、異なるコア対クラッド比を有する。従って、いったん同じ外側サイズに引き出されると、ロッドは異なるコアサイズを有する。ロッドは、規則アレイ、例えば正方形または六角形のアレイに積層される。ロッドの配置は、各ロッドが、同じコアサイズの最近接のロッドを有さないようにされる。
【0178】
別の実施例では、単一タイプのプリフォームが得られる。次に、プリフォームは、1または2以上の異なるサイズの別のクラッドで被覆され、異なるコア対クラッド比を有するプリフォームが形成される。次に、異なるプリフォームが、同じサイズのロッドに引き出され、積層され、引き出される。
【0179】
以下、Draka-Prysmian社(OM1 PCVDロッド)から入手できる単一のマルチモード通信プリフォームを用いて、高品質イメージングファイバを用いて製作する方法について説明する。我々の技術は、異なるサイズのコアのマルチスタックアレイを有し、いかなる2つの隣接するコアも、同じサイズではない。
【0180】
我々の第1のファイバでは、我々は、我々のプリフォームから引き出された異なる3つのサイズのロッドを被覆し、これらを六角形アレイに積層する。我々の第2のファイバ実験では、プリフォームを各種サイズのロッドに引き出し、これらのロッドを正方形アレイに積層することにより、広い波長範囲にわたって、低いクロス結合を達成するための技術が得られる。正方形アレイにおけるロッドの分布は、それが引き出された際に、均一な正方形スタックが形成され、次に、数千のコアのイメージングファイバを形成するため、複数回、容易に再積層されるようにされる。これにより、異なるサイズのコアを形成するため、ロッドを被覆し、再引き出しする必要性が排除され、我々の六角形製造方法に比べて、この技術を経済的にし、迅速化することができる。
【0181】
第1のファイバは、六角形アレイイメージングファイバである。我々の第1のファイバ用のコア材料は、通信用途に製造された市販のプリフォームから得られた。これは、傾斜指標ゲルマニウムドープ化コアを有し、周囲は、薄い純シリカの被覆で取り囲まれる。プリフォームのコア-クラッド直径比は、0.74であり、ピーク屈折率コントラストは、0.3のNAに対応する。
【0182】
プリフォームは、3つの異なるサイズのロッドに引き出された。ロッドの2つのサイズは、2つの異なる内径対外径比を有する純シリカ管に被覆され、残りは、未被覆のままである。次に、被覆ロッドが再度引き出され、ロッドが形成される。全てのロッドは、1mmの外径を有するが、3つの異なるコア直径を有する。今度は、均一なロッドは、331の六角形アレイに積層され、ここでは、同じコア径を有する2つの隣接するロッドは、存在しない。図7には、我々の331ロッドの初期スタックの配置を示す。ゲルマニウムドープ化領域は、灰色で示され、純シリカ領域は、白色で示されている。
【0183】
スタックの上端は、PTFEテープで覆われ、適正位置に保持され、これをファイバ引き出しタワーのチャックに把持することができる。また、PTFEテープの小さな区画は、異なる位置で、スタックの周囲に被覆され、それが適正な位置に保持される。スタックは、未被覆の杖状に引き出され、PTFEテープの各区画は、それが炉に到達する前に除去される。図8には、我々の第2ステージスタックの配置を示す。ここで、各六角形は、331コアの初期のスタックを表している。
【0184】
最終ファイバを形成するため、37の杖が積層され、純シリカ管に被覆される。次に、このスタックは、真空を用いて外径が525μmのファイバに引き出され、隙間の空間がつぶされる。図9には、最終ファイバの走査型電子顕微鏡像が示されている。挿入図は、コアパターンを視認するための高倍率を示す。ドープ化領域は、SEMにおいて明るく見える。図9には、コアパターンの拡大区画が示されている。
【0185】
ファイバの最終コア直径は、2.78μm、2.45μm、2.12μmであり、中心対中心分離は、3.71μmである。最終ファイバには、合計12,247のコアが存在する。
【0186】
我々の第2のイメージングファイバは、正方形アレイイメージングファイバであった。第2のイメージングファイバは、第1のファイバの製造に使用されたものと同じパラメータを有する、傾斜指標プリフォームから形成される。異なる外径に引き出されたロッドから、安定なスタックが製造されるため、被覆ステージの必要はない。
【0187】
製造方法では、N×Nアレイに積層された、Nの異なるサイズの素子が使用され、均一な正方形素子が形成される。いったん均一な正方形素子が形成されると、これは、複数回、容易に積層され、コアの大きなアレイが構築される。積層された正方形は、再度容易に引き出すことができ、再積層され、極めて大きなアレイが容易に構築される。
【0188】
3ステージのプロセスが使用された。まず、5つの異なるロッドサイズの5×5のアレイ(2.23mm、2.52mm、2.74mm、2.95mm、および3.17mm)が正方形積層冶具に積層され、各行または列には、各サイズが1回のみ認められる。図3には、このスタックの端面図が示されている。図3は、初期スタックの描写であり、灰色は、ゲルマニウムドープ化コア領域を表し、白色は、純シリカクラッド領域を表す。
【0189】
スタックの端部は、水素トーチを用いて相互に溶融され、全長の周囲には、いくつかの位置にPTFEテープが被覆され、スタックが適正位置に保持される。スタックは、炉内に供給され、2.5mmの面の正方形に引き出され、PTFEテープは、炉に到達する前に取り外される。このプロセスでは、図3に示した断面と同様の断面を有する、正方形ユニット素子の組が形成された。
【0190】
ユニット正方形は、6×6アレイにおいて、同じ配向で再積層された。図10には、プロセスの第2の積層ステージが示されている。端部は、再度溶融され、中心領域は、PTFEテープで適正位置に保持された。このスタックは、4.5mmの面の正方形に引き出され、3×3アレイに再積層された。
【0191】
最終スタックは、外側の周囲の純シリカ充填ロッドとともに、ジャケットチューブに配置され、真空下で杖状に引き出され、侵入隙間が除去された。最後に、杖がファイバに引き出された。
【0192】
図11には、最終ファイバのSEM画像を示す。図において、ドープ化コアは、明るく見える。ファイバのコア直径は、2から3μmの間であり、コアサイズの特定の組に応じて、3μmから4μmの中心対中心分離を有していた。最終ファイバには、合計8,100のコアがあった。ファイバの外径は、550μmであり、撮像正方形サイズは、対角線に沿って450μmであった。撮像領域の端部のスカラップ状(scalloped)の外観は、ガラス充填管の存在によるものである。
【0193】
図7乃至図9の我々の六角形アレイイメージングファイバ、ならびに図3、10、および11の正方形アレイイメージングファイバの特性と比べるため、我々は、2つの試験を実施した。最初の試験は、1951 USAF試験ターゲットの蛍光画像を取得するものであり、2番目の試験は、フリンジパターンを透過させ、波長に対するフリンジの視認性の減衰を測定するものである。
【0194】
試験ターゲット画像を得るため、内視鏡的蛍光結像システムを構築した。画像を使用して、異なる波長での正方形アレイファイバおよび比較用のファイバの解像度を定めることができる。
【0195】
2つの励起バンド(420nm乃至510nm、および600nm乃至650nm)にフィルタ化された超広帯域光源を、我々の実験の光源として使用した。フィルタ化励起光は、ダイクロイックビームスプリッタを通過し、NAが0.5の非対称レンズを介して、正方形アレイファイバ(または比較ファイバ)に結合された。
【0196】
USAF 1951ターゲットは、後方に配置された緑色蛍光または赤色蛍光スライドのいずれかを用いて、正方形アレイファイバ(または比較ファイバ)の遠位端からゼロ作動位置で結像された。正方形アレイファイバ(または比較ファイバ)の遠位端から逆放射される光は、ダイクロイックビームスプリッタ、ならびに520nm乃至600nm(緑色バンド)、および650nm乃至750nm(赤色バンド)の2つの波長バンドを有する第2の収集フィルタを通過した後に、CCDカメラに結像された。これらの収集の波長範囲は、いくつかの記録された化学的撮像プローブの範囲内で選定され、このプローブは、バクテリアまたは菌類病原体の存在指標に使用できる潜在性がある。2つの色(波長バンド)システムを用いることにより、同じ撮像システムを用いて、複数の生物学的ターゲットの検出が可能となる。
【0197】
2つの波長バンドで採取されたUSAF 1951試験ターゲットの画像は、図12乃至15に示されている。図12には、520nm乃至600nmでの六角形アレイファイバを示す。図13には、650nm乃至750nmでの六角形アレイファイバを示す。図14には、520nm乃至600nmでの正方形アレイファイバを示す。図15には、650nm乃至750nmでの正方形アレイファイバを示す。
【0198】
緑色バンド画像(図12および図14)では、いずれのファイバにおいても、グループ7のいくつかの大きな素子は、六角形アレイファイバにおいては素子4まで、正方形アレイファイバにおいては素子2まで、視認可能である。(素子は、それぞれ、2.76μmおよび3.10μmのライン幅を有する。)これらは、コア対コアの分離と比較可能なサイズであり、これは、極めて少ない光も、両方のファイバにおいて、照射コアからその隣接部に結合されることを示唆する。赤色バンド(図13および図15)では、画像コントラストはいずれも、主として、暗領域が視認される高次モードの間のコア対コア結合のため、劣化している。ただし、我々の正方形アレイイメージングファイバでは、緑色バンドにおいて採取された画像に比べて視認性が低下しているにも関わらず、グループ7の大きな素子は、依然素子2まで視認可能である。
【0199】
第2の特徴化方法は、コア対コア結合の広範な影響を測定するために開発された定量法であり、H.A.Wood,J.M.Stone,K.Harrington,T.Birks,J.C.Knight,“内視鏡イメージングファイバの定量化の特徴”レーザおよび電気-光機器に関するカンファレンス、OSA 技術ダイジェスト(2016),SM4P.6に記載の方法を用いて、イメージングファイバの特性を正確に特徴化する。本技術は、イメージングファイバを通過する際の透過フリンジパターンの視認性の劣化の定量化に応じて、撮像システムにおける変調伝達関数の測定と同様に考慮されてもよい。
【0200】
図16には、我々の六角形アレイファイバ(三角形で表されている)と、正方形アレイファイバ(円で表されている)、および市販のイメージングファイバの波長に対して変化するフリンジ視認性測定を示す。市販のイメージングファイバは、フジクラ株式会社からのFGIH-30-650sファイバ(十字で表されている)の区画である。500nmから700nmの間の波長における透過率が示されている。視認性は、いずれの場合も、約90cmのファイバの透過の後に測定される。エラーバーは、各測定の間でシステムを調整し、再配列した後の、単一波長で採取された一連のデータポイントの標準偏差を表す。
【0201】
干渉計の2つのアームは、既知の角度で干渉され、既知の分離の垂直フリンジパターンが形成された。フリンジパターンは、試験ファイバを透過し、CCDカメラ上の出力位置で、視認性が測定された。我々の干渉計の照射光源として、超広帯域光源および単色光分光器を使用して、我々は、波長に対する透過したフリンジの視認性を測定できた。我々の干渉計は、2.29°の角度に設定し、600nmの波長で、15μmのフリンジが提供された。フリンジ分離は、回折のため波長により変化し、対応する変化は、図16の上部軸に認められる。我々のファイバの~90cmの区画の端部に、フリンジパターンが形成された。フリンジパターンおよびCCDアレイの整列のため、放射パターンは、ゴニオメータに取り付けられたCCDカメラに結像された。
【0202】
理想的なファイバでは、全長を通過した際に、フリンジパターンは、いかなる視認性も失わない。しかしながら、コア対コア結合のため、画像におけるコントラストが低下し、さらには測定された視認性が低下する。
【0203】
FGIH-30-650sファイバは、我々の波長バンドにわたって特化された、一般的な市販のシステムである。このファイバの中心対中心コア分離は約3.5μm、コア直径は1.7μmから2.1μmの間と測定され、NAは、0.4であると記録された。ファイバ内のコアは、ランダムな配列を有することが認められた。
【0204】
短波長での我々の六角形アレイファイバのフリンジ視認性は、波長550nmまでは最大であるが、その特性は、波長の増加とともに劣化し始める。本ファイバには、3つのコアサイズしかないため、我々は、フリンジ視認性におけるこの劣化を、同じ最近接のコアに隣接するコアとの光結合によるものであると認定している。
【0205】
これは、図13に示した試験ターゲット画像において、補強される。図では、ある特定サイズのコアが、高次モードにおいて、暗領域に強く結合されている。我々の正方形アレイファイバでは、短波長でのフリンジ視認性は、六角形アレイよりも低いが、概してより一貫性があり、波長範囲全体にわたって高くなっている。ただし、680nmを超えると、市販のFGIH-30-650sファイバ未満の特性が始まる。
【0206】
我々は、通信用に設計された傾斜指標プリフィームを用いて、内視鏡イメージングファイバを製作する2つの方法を示した。等しいコアが近接しないように配置された、いくつかの異なるコアサイズを有する、正方形アレイに基づく我々のファイバは、広く使用されている高い開口数のコアを有する市販のファイバ比べて、広い波長範囲にわたって、有意に改善された結像特性を示した。我々の正方形アレイファイバでは、520nm乃至600nmの波長バンドにおいて、3.1μmの線幅を有するUSAF試験ターゲットの蛍光画像が視認可能であり、650nm乃至750nmの波長範囲では、3.48μmの線幅が視認可能である。このファイバの製造技術は、市販のイメージングファイバ(NAが0.4に比べて0.3)に比べて、低指標コントラストの通信プリフォームから得られるロッドを用いた、単純化された積層手順に基づく。従って、この手順により、比較的低コストの開始材から、イメージングファイバを製造することが可能となり、臨床操作に使用されるコスト効果のある使い捨てイメージングファイバの方法を潜在的に切り開くことができる。
【0207】
単なる一例により、前述の本発明が説明されたが、本発明の範囲内で、細部の変更がなされ得ることが理解される。
【0208】
明細書および(適切な)特許請求の範囲、および図面に記載の各特徴は、独立に提供され、またはいかなる適切な組み合わせにより提供されてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6a
図6b
図6c
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16