(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-10
(45)【発行日】2023-02-20
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20230213BHJP
【FI】
A63F7/02 312Z
(21)【出願番号】P 2020174426
(22)【出願日】2020-10-16
【審査請求日】2021-10-29
(73)【特許権者】
【識別番号】599104196
【氏名又は名称】株式会社サンセイアールアンドディ
(74)【代理人】
【識別番号】100112472
【氏名又は名称】松浦 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100202223
【氏名又は名称】軸見 可奈子
(72)【発明者】
【氏名】宮永 真
【審査官】奥田 雄介
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-139827(JP,A)
【文献】特開2019-177119(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技板とそれを前方から覆う透明な透光窓部との間が、遊技球が流下する流下空間をなし、前記流下空間には、前記遊技板の前面から突出して流下する遊技球と当接する複数の前面突部が備えられ、それら複数の前面突部には、遊技球の入賞により遊技者に利益を付与する複数の入賞役物が含まれている遊技機において、
前記前面突部の前端部に支持されて、前記遊技板を前方から部分的に覆うと共に、前記遊技板との間に前記流下空間を有する前面板部材と、
前記透光窓
部の後面と前記前面板部材の上向き面とにより形成されて横方向又は斜め横方向に延びる前面段差部と、を有し、
前記複数の入賞役物には、前記前面段差部の下方に位置する第1入賞役物が含まれ、
前記前面段差部には、前記第1入賞役物が有する入賞口又は前記入賞口に遊技球を案内する入賞ガイドの上方に位置する入賞容易範囲に含まれる部分と、それ以外の通常範囲に位置する部分とが備えられ、
前記複数の前面突部には、前記前面段差部に乗り上がった状態で
前記入賞容易範囲から前記通常範囲に向かって移動する遊技球が、前記通常範囲に到達する前に当接する特別前面突部が含まれている遊技機。
【請求項2】
前記特別前面突部の下面は、前記前面段差部に向かって膨らんだ円弧状をなし、前記前面段差部と徐々に接近する請求項1に記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、遊技板の前面を遊技球が流下する遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の遊技機として、遊技板の前方のガラス窓の内面に前面板部材を重ねて配置し、その遊技板と前面板部材との間を遊技球が流下するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-37694号公報(
図2,3参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した従来の遊技機では、前面板部材の上縁部に遊技球が乗り上がって転動することが問題になっていた。そこで、本開示では、そのような転動を抑制する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の遊技機は、遊技板とそれを前方から覆う透明な透光窓部との間が、遊技球が流下する流下空間をなし、前記流下空間には、前記遊技板の前面から突出して流下する遊技球と当接する複数の前面突部が備えられ、それら複数の前面突部には、遊技球の入賞により遊技者に利益を付与する複数の入賞役物が含まれている遊技機において、前記前面突部の前端部に支持されて、前記遊技板を前方から部分的に覆うと共に、前記遊技板との間に前記流下空間を有する前面板部材と、前記透光窓部の後面と前記前面板部材の上向き面とにより形成されて横方向又は斜め横方向に延びる前面段差部と、を有し、前記複数の入賞役物には、前記前面段差部の下方に位置する第1入賞役物が含まれ、前記前面段差部には、前記第1入賞役物が有する入賞口又は前記入賞口に遊技球を案内する入賞ガイドの上方に位置する入賞容易範囲に含まれる部分と、それ以外の通常範囲に位置する部分とが備えられ、前記複数の前面突部には、前記前面段差部に乗り上がった状態で前記入賞容易範囲から前記通常範囲に向かって移動する遊技球が、前記通常範囲に到達する前に当接する特別前面突部が含まれている遊技機である。
【発明の効果】
【0006】
本開示に係る遊技機によれば、前面板部材の前面段差部に遊技球が乗り上がったとしても特別前面突部により前面段差部上の遊技球の転動を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を適用したパチンコ遊技機10(本発明の「遊技機」に相当する。)に係る一実施形態を、
図1~
図6に基づいて説明する。
図1に示すように、パチンコ遊技機10は、前面が左縁部を中心に開閉可能な前面扉10Zにて覆われており、その前面枠10Zに形成されたガラス窓10Wを通して
図2に示す遊技板11が視認可能になっている。なお、以下の説明において、特記しない限り「右」及び「左」とは、遊技機10を前方から見た場合の「右」及び「左」を指すものとする。
【0009】
前面枠10Zのうちガラス窓10Wより下方には、上皿26及び下皿27が上下2段にして設けられ、下皿27の右側には操作ノブ28が設けられている。操作ノブ28を回動操作すると、上皿26に収容された遊技球が遊技板11に向けて弾き出される。なお、上皿26に備えた球排出ボタン(図示せず)を押すと上皿26に収容されている遊技球が下皿27へと移動する。
【0010】
図2に示すように、遊技板11には、略円形状をなすガイドレール12が突出し、遊技板11の前面とガラス窓10のガラス板10Gとの間に遊技球が流下可能な流下空間が形成されている。以下、この流下空間のうち、遊技板11の前面に形成され、遊技球か流下可能な領域を遊技領域R1と呼ぶこととする。
【0011】
遊技板11のうち遊技領域R1の中央には、表示開口11Hが貫通形成され、この表示開口11Hを通して、表示装置13の表示画面13Gが前方に臨んでいる。表示開口11Hの開口縁には、表示装飾枠23が取り付けられている。表示装飾枠23は、遊技板11の前面側から表示開口11Hに嵌め込まれ、表示開口11Hの内側に張り出すと共に、遊技板11の前面から突出し、遊技領域R1を流下する遊技球が表示装飾枠23の内側に進入しないようになっている。また、表示装飾枠23には、その右上部に遊技球が1球通過可能な案内路23Rが備えられ、遊技領域R1に弾き出された遊技球は、この案内路23Rを通って表示装飾枠23の右側の流下領域を流下するか、表示装飾枠23の左側の流下領域を流下して、下方へと流下する。
【0012】
遊技領域R1には、複数の入賞口と複数の障害釘17(
図5参照)とが分散配置されると共に、遊技領域R1の下端部にアウト口22が設けられている。そして、遊技領域R1を流下する遊技球は、何れかの入賞口かアウト口22を通して遊技板11の後側に取り込まれる。また、入賞口に遊技球が入球することは「入賞」と呼ばれ、各入賞口への遊技球が入賞すると、複数の遊技球(賞球)が上皿26(
図1参照)に払い出される。
【0013】
上記した複数の入賞口には、ポケット型の入賞口である複数の普通入賞口21A~21C、第1及び第3の始動入賞口14,16と、スライド開閉型の入賞口である第2始動入賞口15と、横回動開閉型の入賞口である大入賞口20とが含まれる。
【0014】
ポケット型の複数の普通入賞口21A~21C、第1及び第3の始動入賞口14,16は、遊技板11の前面から突出する入賞突部(
図4の符号21H参照)の上面に開口し、遊技球が1つずつ入賞可能な大きさをなしている。そして、遊技領域R1のうち表示装飾枠23より下方の領域の横方向中央に第1始動入賞口14が配置されると共に、その右下に第3始動入賞口16が配置されている。また、第1始動入賞口14の左側に1対の普通入賞口21A,21Bが配置されると共に、表示装飾枠23より右側の領域の上部に1つの普通入賞口21Cが配置されている。
【0015】
横回動開閉型の大入賞口20は、遊技板11の前面から突出し、表示装飾枠23の右側面に隣接する前面ダクト20Dの側面に開口していて、回動扉20Tによって開閉される。その回動扉20Tは、大入賞口20の下端開口縁に沿って前後方向に延びる回転軸を中心に回動し、通常は、起立姿勢になって大入賞口20を閉塞していて、大当り遊技又は小当り遊技が実行されると、横に倒れて大入賞口20を開放すると共に、大入賞口20に遊技球を案内する。
【0016】
図2に示すように、遊技領域R1の右下部分には、入賞ユニット30が設けられ、第2始動入賞口15は、入賞ユニット30内の転動路R12に形成されて上方に向かって開口している。また、第2始動入賞口15には、スライド扉15Tが備えられ、そのスライド扉15Tは、前後方向にスライドし、通常は、可動範囲の前端位置に配置されて第2始動入賞口15を閉塞して転動路R12の一部を構成している。そして、後述する普図判定で当りになるとスライド扉15Tが可動範囲の後端位置に移動して第2始動入賞口15を開放する。また、入賞ユニット30への遊技球の入口には始動ゲート18が備えられ、その始動ゲート18に備えた検出スイッチにて始動ゲート18を遊技球が通過したことが検出されるようになっている。なお、前述の第3始動入賞口16は、入賞ユニット30のうち転動路R12を通過した遊技球が排出される排出口30Hの真下には開口している。
【0017】
本実施形態の遊技機10の当否判定に係る遊技は以下のように設定されている。即ち、本実施形態の遊技機10の当否判定には、普図判定と特図判定とがある。普図判定は、遊技球が始動ゲート18を通過することに起因して行われ、その判定結果は、例えば、表示画面13Gに1桁の数字である普通図柄13Dを、奇数と偶数とに交互に切り替わるように変動表示した後、停止表示して、そのときの普通図柄13Dが、例えば、奇数であれば「当り」、偶数であれば「外れ」として報知される。そして、普図判定で当りになると、第2始動入賞口15のスライド扉15Tが一定時間に亘って開く。
【0018】
特図判定は、第1~第3始動入賞口14~16への遊技球の入賞に起因して行われ、その当否判定結果は、表示画面13Gに3つの特別図柄13A,13B,13Cを縦にスクロースさせて変動表示した後、停止表示して、そのときの特別図柄13A,13B,13Cの図柄組み合わせにて報知される。また、特図判定の当りには「大当り」と、「小当り」とがある。「大当り」になると、規定複数回だけ、それら各回につき規定時間に亘って大入賞口20が開放される大当り遊技が実行され、「小当り」になると、大当りの場合より少ない規定複数回だけ、短い規定時間に亘って大入賞口20が開放される小当り遊技が実行される。
【0019】
図3に示すように、本実施形態の遊技機10では、大入賞口20の右側に前面ダクト40が設けられている。前面ダクト40は、遊技板11の前面に重ねられる後面板部材42と、その後面板部材42の前方に隙間を空けて対向する前面板部材41と、これらの間を連絡する連絡壁43,44と有し、これらによって内部流路40Rが形成されている。詳細には、前面ダクト40は、後面板部材42から前方に連絡壁43,44が突出し、これら連絡壁43,44の前端部に前面板部材41が重ねられてビズにて固定されている。なお、前面ダクト40Dの連絡壁43,44は、特許請求の範囲の「前面突部」に相当する。ここで、特許請求の範囲の「前面突部」は、遊技板11の前面から前方に突出するものであれば、例えば、障害釘のように、遊技板11から直接、突出するものでもよいし、連絡壁43,44のように、遊技板11に重ねられて、遊技板11の前面より前方に配置されるものであってもよい。
【0020】
内部流路40Rは、上方に開口する入口40Aと、下方に開口する出口40Bとの間で左右方向に蛇行しながら延び、入口40Aが遊技球3球分程度の幅なす一方、出口40Bが遊技球1球分程度の幅となっている。また、前面ダクト40は、その上端寄り位置に左側に開口する連絡口45を有し、前面ダクト20Dに連絡している。なお、本実施形態では、前面ダクト40の入口40Aを構成する前面板部材41及び後面板部材42の上端部は、
図4に示すように、互いに近づくに従って下方に傾斜した傾斜面41K,42Kになっている。
【0021】
図2に示すように、遊技領域R1のうち、前面ダクト40より上方には、案内路23Rと、拡張流路24Rとが設けられている。
図5に示すように、案内路23Rは、遊技球が1球、流下可能なダクト状をなし、進入規制枠23の開口縁に沿って湾曲しながら延びた後、鉛直に延びている。拡張流路24Rは、案内路23Rに対して右側を拡張してなると共に、前面ダクト40の入口40Aに向かってその拡張された右側部分を絞ってなる。そして、この拡張流路24Rには、左右方向の中央で且つ案内路23Rの出口に対して右側にずれた位置に普通入賞口21Cが配置されている。また、拡張流路24Rには、案内路23Rの出口を挟んだ両側と、普通入賞口21Cの開口の両側と、拡張流路24Rにおける右上角部に障害釘17が植設されている。これにより、本実施形態の遊技機10では、案内路23Rを流下した遊技球の多くは、案内路23Rから普通入賞口21Cの左側開口縁に配置された障害釘に衝突した後、普通入賞口21Cの左側を通過して大入賞口20へと向かうようになっている。
【0022】
図4に示すように、前面ダクト40には、ガラス板10Gの内面と前面板部材41の上縁部とによって前面段差部40Dが形成される。従来の遊技機では、この前面段差部40Dに遊技球(二点鎖線にて示す遊技球)が乗り上がり横方向に転動することが問題となっていた。これに対し、本実施形態の遊技機10では、
図5に示すように、前面段差部40Dに対して遊技球1球分未満の隙間を開けて普通入賞口21Cが配置され、前面段差部40Dに遊技球が乗り上げた際に、普通入賞口21Cが遊技球に当接して、遊技球が前面段差部40Dと普通入賞口21Cとの間の隙間を通過できないようになっている。
【0023】
なお、本実施形態では、
図5に示すように、前面段差部40Dに遊技球が乗り上げて普通入賞口21Cに当接した状態で、上流から流下してきた遊技球が前記遊技球の左側又は右側を通過可能になっている。
【0024】
ここで、
図5に示すように、大入賞口20において、回動扉20Tが横に倒れた姿勢のときの先端部を基準点P0とし、その基準点P0から大入賞口20側に延ばした仮想基準線Hを、基準点P0を中心に上方に回動して、その仮想基準線Hが、普通入賞口21Cに始めて接したときに、その仮想基準線Hと進入規制枠23が交差する交点P1と基準点P0とを結ぶ線分を、大入賞口20の入賞線分Nとして求めることができる。すると、入賞線分Nと進入規制枠23と回動扉20Tに囲まれた入賞容易領域Kは、遊技球が1つ以上進入可能な大きさをなしかつ、入賞線分Nを通過する以外の進入経路を有さずかつ、大入賞口20以外の遊技球の退出経路を有しないので、入賞容易領域Kに進入した遊技球のほとんどが大入賞口20に入賞することになる。つまり、入賞線分Nを、大入賞口20の実質的な入賞入口と見なすことができる。なお、仮想基準線Hは基準点P0を始点として、無限に延びる架空の直線であり、入賞線分Nは仮想基準線Hのうちの基準点P0から交点P1までの線分である。
【0025】
即ち、普通入賞口21Cの左側は、入賞容易領域Kとなっているので、普通入賞口21Cの左側方を通過する遊技球は、普通入賞口21Cの右側方を通過する遊技球に比べて大入賞口20に入賞し易くなっている。
【0026】
本実施形態の遊技機10では、前面段差部40Dに乗り上がった遊技球が入賞容易領域K内で普通入賞口21Cに当接するように、普通入賞口21Cが配置されている。これにより、前面段差部40Dの入賞容易領域K内に乗り上がった遊技球が上方から流下してきた遊技球に衝突して前面段差部40Dから落下しても、遊技球が入賞容易領域K内に落下するので、大入賞口20に入賞する可能性が高くなっている。
【0027】
なお、本実施形態では、前面段差部40Dが水平に延びている一方、普通入賞口21Cの入賞突部21Hが前面段差部40Dに向かって膨らんだ円弧状をなしている。換言すれば、前面段差部40Dと入賞突部21Hとの間を徐々に狭くして、行き場がなくなった前面段差部40D上の遊技球を遊技板11側に逃がす構成となっている。これにより、遊技球の前面段差部40Dの乗り上がりを解消することが可能となっている。
【0028】
図3に示すように、内部流路40Rは、第1流路46と、第2流路47とを有し、第1流路46が遊技球3球分程度の幅で延びる一方、第2流路47は第1流路46の下端部から遊技球1球分の幅をなして延びている。詳細には、第1流路46は、右下がりに延びてから左下がりに屈曲して延び、さらにそこから右下がりに傾斜している。その右下がりに傾斜する部分は、連絡壁43の内側面で転動面43Mが構成され、その転動面43Mが連絡壁44と遊技球1球分程度近づく位置まで延び、その転動面43Mの下端部と連絡壁44との間から第2流路47が延びている。なお、本実施形態では、
図6に示すように、前面板部材41及び後面板部材42に内部流路40R側に突出する突部41T,42Tが設けられ、突部41Tと突部42Tとが前後後方で互いにずれて配置されている。
【0029】
図3に示すように、内部流路40Rに進入した遊技球は、左右方向に蛇行しながら流下した後、転動面43Mに受け止められて転動面43M上を転動してから第2流路47に進入する。このとき、急激に流路の幅が狭まるため、転動面43M上に遊技球が1列に並んだ状態に配置される。その際、遊技球同士が前後方向でずれて配置されると、内部流路40R内で球詰まりを起こすことが考えられる。そこで、本実施形態では、前面板部材41に転動面43Mに沿って長孔48が形成されている。長孔48は、
図3及び
図6に示すように、前面板部材41のうち転動面43Mを転動する遊技球が接触し得る接触ラインL1より下側に配置され、この長孔48に工具を挿入して長孔48に沿って移動させることで球詰まりを解消することが可能となっている。
【0030】
本実施形態の遊技機10の構成に関する説明は以上である。上述したように、本実施形態の遊技機10によれば、前面段差部40Dに対して遊技球1球分未満の隙間を開けて普通入賞口21Cを配置したので、前面板部材41の前面段差部40Dに遊技球が乗り上がったとしても普通入賞口21Cにより前面段差部40D上の遊技球の転動を抑制することが可能となる。
【0031】
[他の実施形態]
(1)上記実施形態では、特許請求の範囲の「特別前面突部」として普通入賞口21Cを例示したが、普通入賞口21Cに替えて、例えば、障害釘や、樹脂突部であってもよい。
【0032】
また、上記実施形態では、前面段差部40Dが水平に延びる一方、特別前面突部(普通入賞口21Cの入賞突部21H)の下面が前面段差部40Dに向かって膨らんだ円弧状をなしていたが、前面段差部40Dと特別前面突部との間の上下方向の距離が徐々に近づく構成であれば、前面段差部40D及び特別前面突部の下面は、どのような構成であってもよい。
【0033】
(2)上記実施形態では、前面段差部40Dの下方に、特許請求の範囲の「第1入賞役物」として大入賞口20が備えられていたが、「第1入賞役物」は、例えば、始動入賞口、普通入賞口、始動ゲート等であってもよい。
【0034】
また、入賞口は、例えば、前面に開口し、その開口の下端部を中心に前方に傾動する回動扉にて閉塞される入賞口と、その入賞口の開口縁に隣接して上面に遊技球を受け止めて入賞口へ案内するガイド傾斜面を有する入賞ガイドとを備えた構成であってもよい。
【0035】
(3)上記実施形態では、特許請求の範囲の「工具挿入孔」である長孔48が長孔形状をなしていたが、例えば、円形であってもよい。
【0036】
(4)上記実施形態では、
図5に示すように、前面段差部40Dと、特別前面突部(普通入賞口21C)の下面との間に隙間があいていたが、
図7及び
図8に示すように、特別前面突部(
図7及び
図8では、普通入賞口21Cを例に示す。)の下面が前面段差部40Dより下側に位置して、前面段差部40Dと、特別前面突部(普通入賞口21C)の下面との間に隙間を有さず、前面段差部40Dに乗り上がった遊技球が特別前面突部(普通入賞口21Cの入賞突部21H)の側面に当接する構成であってもよい。
【0037】
また、
図5及び
図7では、前面段差部40Dが横方向に延びる例を説明したが、前面段差部40Dは斜め横方向に傾斜した構成であってもよい。
【0038】
なお、本明細書及び図面には、特許請求の範囲に含まれる技術の具体例が開示されているが、特許請求の範囲に記載の技術は、これら具体例に限定されるものではなく、具体例を様々に変形、変更したものも含み、また、具体例から一部を単独で取り出したものも含む。
【0039】
<付記>
以下、上述した実施形態から抽出される発明群について、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお、以下では、理解の容易のため、上記実施形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
【0040】
[発明1]
遊技板(11)とそれを前方から覆う透明な透光窓部(10G)との間が、遊技球が流下する流下空間をなし、前記流下空間には、前記遊技板の前面から突出して流下する遊技球と当接する複数の前面突部が備えられ、それら複数の前面突部には、遊技球の入賞により遊技者に利益を付与する複数の入賞役物が含まれている遊技機において、
前記前面突部の前端部に支持されて、前記遊技板を前方から部分的に覆うと共に、前記遊技板との間に前記流下空間を有する前面板部材(41)と、
前記透光窓板の後面と前記前面板部材の上向き面とにより形成されて横方向又は斜め横方向に延びる前面段差部(40D)と、を有し、
前記複数の前面突部には、前記前面段差部に乗り上がった状態で前記前面段差部に沿って移動する遊技球と、前記前面段差部の長手方向の途中位置で当接する位置に配置されている特別前面突部(21C)が含まれている遊技機。
【0041】
発明1の遊技機によれば、前面板部材の前面段差部に遊技球が乗り上がったとしても特別前面突部により前面段差部上の遊技球の転動を抑制することが可能となる。
【0042】
[発明2]
前記複数の入賞役物には、前記前面段差部の下方に位置する第1入賞役物(20)が含まれ、
前記前面段差部には、前記第1入賞役物が有する入賞口又は前記入賞口に遊技球を案内する入賞ガイドの上方に位置する入賞容易範囲(K)に含まれる部分と、それ以外の通常範囲に位置する部分とが備えられ、
前記特別前面突部は、前記前面段差部の前記入賞容易範囲に含まれる部分に乗り上がった状態で前記前面段差部に沿って移動する遊技球と前記入賞容易範囲内で当接する位置に配置されている請求項1に記載の遊技機。
【0043】
発明2によれば、前面段差部に乗り上がった遊技球の転動を前面段差部のうち入賞容易範囲に含まれる部分の範囲内で抑えることが可能となる。
【0044】
[発明3]
前記特別前面突部の下面は、前記前面段差部に向かって膨らんだ円弧状をなし、前記前面段差部と徐々に接近する発明1又は2に記載の遊技機。
【0045】
発明3によれば、前面段差部と特別前面突部との間を徐々に狭くして、行き場がなくなった前面段差部上の遊技球を遊技板側に逃がすことができ、遊技球の前面段差部の乗り上がりを解消することが可能となっている。
【0046】
[発明4]
前記前面板部材と前記遊技板との前記流下空間に配置されて、遊技球が転動する転動部(43M)が備えられ、
前記前面板部材のうち前記転動部を転動する遊技球が接触し得る接触ライン(L1)より下側部分を貫通して、前記転動部上の球詰まりを解消するため工具挿入孔(48)を有する発明1から3の何れか1に記載の遊技機。
【0047】
転動路が前面板部材と遊技板との間に配置されている場合、転動路上で球詰まりが発生したときには、前面板部材を工具を使用して外す必要があり、煩雑であったが、発明4の構成によれば、前面板部材を外さなくても工具挿入孔から工具を挿入することで容易に球詰まりを解消することが可能となる。
【0048】
[発明5]
前記工具挿入孔は、前記接触ラインと平行に延びた長孔形状をなしている発明4に記載の遊技機。
【0049】
発明5によれば、工具を工具挿入口に沿って移動させるだけで容易に球詰まりを解消することが可能となる。
【符号の説明】
【0050】
10 遊技機
10G ガラス板
11 遊技板
21C 普通入賞口
40 前面ダクト
41 前面板部材
41D 前面段差部
48 長孔