(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-10
(45)【発行日】2023-02-20
(54)【発明の名称】新規なp62リガンド化合物、これを含むタンパク質異常疾患の予防、改善または治療用組成物
(51)【国際特許分類】
C07C 215/12 20060101AFI20230213BHJP
C07C 279/12 20060101ALI20230213BHJP
C07C 275/10 20060101ALI20230213BHJP
C07C 215/10 20060101ALI20230213BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20230213BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20230213BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20230213BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230213BHJP
A61P 25/16 20060101ALI20230213BHJP
A61P 25/08 20060101ALI20230213BHJP
A61P 25/14 20060101ALI20230213BHJP
A61P 9/10 20060101ALI20230213BHJP
A61P 21/00 20060101ALI20230213BHJP
A61P 25/02 20060101ALI20230213BHJP
A61K 31/135 20060101ALI20230213BHJP
A61K 31/155 20060101ALI20230213BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230213BHJP
A23L 33/10 20160101ALI20230213BHJP
【FI】
C07C215/12 CSP
C07C279/12
C07C275/10
C07C215/10
A61P25/28
A61P27/02
A61P3/10
A61P43/00 105
A61P25/16
A61P25/08
A61P25/14
A61P9/10
A61P21/00
A61P25/02
A61K31/135
A61K31/155
A61P35/00
A23L33/10
(21)【出願番号】P 2021503891
(86)(22)【出願日】2019-07-24
(86)【国際出願番号】 KR2019009203
(87)【国際公開番号】W WO2020022783
(87)【国際公開日】2020-01-30
【審査請求日】2021-01-22
(32)【優先日】2018-07-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520373796
【氏名又は名称】プロテック・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】PROTECH INC.
【住所又は居所原語表記】#408, 103, DAEHAK‐RO, JONGNO‐GU, SEOUL 03080, REPUBLIC OF KOREA
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】クォン,ヨン・テ
(72)【発明者】
【氏名】ジ,チャン・フン
(72)【発明者】
【氏名】ガニピセッティ,スリニヴァスラオ
(72)【発明者】
【氏名】キム,ヒ・イオン
(72)【発明者】
【氏名】ムン,ス・ラン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,チャン・フン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,ウィ・ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ソン,ギ・ウン
【審査官】高森 ひとみ
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/030292(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/200827(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0175607(US,A1)
【文献】Registry(STN)[online],1984年11月16日,CAS登録番号 51169-99-4
【文献】Registry(STN)[online],1984年11月16日,CAS登録番号 47689-63-4
【文献】Registry(STN)[online],2004年07月27日,CAS登録番号 717091-45-7
【文献】KAISER,C. et al.,Adrenergic agents. 4. Substituted phenoxypropanolamine derivatives as potential β-adrenergic agonists,Journal of Medicinal Chemistry,1977年,Vol.20, No.5,pp.687-692
【文献】YADAV,J.S. et al.,An efficient protocol for regioselective ring opening of epoxides using samarium triflate: Synthesis of propranolol, atenolol and RO363,Journal of Molecular Catalysis A: Chemical,2007年,Vol.261, No.2,pp.207-212
【文献】NELSON,W.L. et al.,The 3,4-Catechol derivative of propranolol, a minor dihydroxylated metabolite,Journal of Medicinal Chemistry,1984年,Vol.27, No.7,pp.857-861
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
A61P
A61K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の化学式1で表されるp62リガンド化合物、その薬学的に許容可能な塩、立体異性体、
または、水和
物。
【化1】
前記化学式1において、
Wは、
フェニルであり;
-O-(CH
2)
n1-CH(OH)-中の
-O
-は、ベンゼン環の
3位または4位に結合し、この時、n1は1~4の整数であり;
mは、0~2の整数であり;
R
a
は、水素、または
、-O-(CH
2)
n2-R’
1であり、
R’
1は、非置換であるか;またはヒドロキシ、ハロゲン、C
1-4アルキル、C
1-4アルコキシ、ニトロ、アミノ、(C
1-4アルキル)アミノ、またはジ(C
1-4アルキル)アミノで置換されたフェニルであり、
n2は、1~6の整数であり;
R
bは、
-O-(CH
2)
n3-R’
2であり、
R’
2は、非置換であるか;またはヒドロキシ、ハロゲン、C
1-4アルキル、C
1-4アルコキシ、ニトロ、アミノ、(C
1-4アルキル)アミノ、またはジ(C
1-4アルキル)アミノで置換されたフェニルであり、
n3は、1~6の整数であり;
R
cは、-(CH
2)
n4-OH、-(CH
2)
n4-NH-C(=NH)NH
2、-C(=NH)NH
2、C
1-6アルキル、-CH(R
3)-COO-R
4、または-CH(COO-R
4)-CH
2CH
2CH
2-NH-C(=NH)NH
2、-(CH
2)
n4-O-(CH
2)
n4-OR
4、-CONH(CH
2)
n4-OR
4、-CO(CH
2)
n5-OR
4、-(CH
2)
n5-CH(NH
2)-COOR
4、または-(CH
2)
n5-CONHR
4であり、
n4は、2~4の整数であり、
n5は、1~4の整数であり、
R
3は、水素、または、C
1-4アルキルであり、
R
4は、水素、または、C
1-4アルキルであ
り、
ここで、前記p62リガンド化合物は、(R)体である。
【請求項2】
n1は、1または2である、請求項1に記載の化合物、その薬学的に許容可能な塩、立体異性体、
または、水和
物。
【請求項3】
R’
1は、非置換であるか;またはヒドロキシ、フルオロ、クロロ、ブロモ、メチル、エチル、メトキシ、エトキシ、ニトロ、アミノまたはジメチルアミノで置換されたフェニルであり、n2は1~4の整数である、請求項1に記載の化合物、その薬学的に許容可能な塩、立体異性体、
または、水和
物。
【請求項4】
R’
2は、非置換であるか;またはヒドロキシ、フルオロ、クロロ、ブロモ、メチル、エチル、メトキシ、エトキシ、ニトロ、アミノまたはジメチルアミノで置換されたフェニルであり、n3は1~4の整数である、請求項1に記載の化合物、その薬学的に許容可能な塩、立体異性体、
または、水和
物。
【請求項5】
前記R
cは、-(CH
2)
n4-OH、-(CH
2)
n4-NH-C(=NH)NH
2、-C(=NH)NH
2、メチル、エチル、またはイソプロピルであり、n4は2~3の整数である、請求項1に記載の化合物、その薬学的に許容可能な塩、立体異性体、
または、水和
物。
【請求項6】
前記化学式1の化合物は、下記の化合物1)~19)からなる群より選択されるものである、請求項1に記載の化合物、その薬学的に許容可能な塩、立体異性体、
または、水和
物。
1)(R)-1-(3,4-(ビス(ベンジルオキシ)フェノキシ)-3-((2-ヒドロキシエチル)アミノ)プロパン-2-オール(YOK-1106);
2)(R)-1-(3,4-(ビス((4-クロロベンジル)オキシ)フェノキシ)-3-((2-ヒドロキシエチル)アミノ)プロパン-2-オール(YT-6-1);
3)(R)-1-(3-((4-クロロベンジル)オキシ)フェノキシ)-3-((2-ヒドロキシエチル)アミノ)プロパン-2-オール(YT-6-2);
4)(R)-1-(3-((4-クロロベンジル)オキシ)フェノキシ)-3-((2-ヒドロキシエチル)アミノ)プロパン-2-オール(YT-6-7);
5)(R)-1-(3-((4-フルオロベンジル)オキシ)フェノキシ)-3-((2-ヒドロキシエチル)アミノ)プロパン-2-オール(YT-6-8);
6)(R)-1-(2-((3-(3,4-ビス(ベンジルオキシ)フェノキシ)-2-ヒドロキシプロピル)アミノ)エチル)グアニジン(YOK-1109);
7)(R)-1-(2-((3-(3,4-ジフェネトキシフェノキシ)-2-ヒドロキシプロピル)アミノ)エチル)グアニジン(YOK-2209);
8)(R)-1-(2-((3-(3,4-ビス(4-クロロベンジル)オキシ)フェノキシ)-2-ヒドロキシプロピル)アミノ)エチル)グアニジン(YT-9-1);
9)(R)-1-(2-((3-(3,4-ビス(4-フルオロベンジル)オキシ)フェノキシ)-2-ヒドロキシプロピル)アミノ)エチル)グアニジン(YT-9-2);
10)(R)-1-(3-(3,4-ビス(ベンジルオキシ)フェノキシ)-2-ヒドロキシプロピル)グアニジン(YOK-1107);
11)(R)-1-(3-(3,4-ジフェネトキシフェノキシ)-2-ヒドロキシプロピル)グアニジン(YOK-2207);
12)(R)-1-(3,4-ビス(ベンジルオキシ)フェノキシ)-3-(イソプロピルアミノ)プロパン-2-オール(YOK-1104);
13)(R)-1-(3,4-ジフェネトキシフェノキシ)-3-(イソプロピルアミノ)プロパン-2-オール(YOK-2204);
14)(R)-1-(3,4-ビス(3-フェニルプロポキシ)フェノキシ)-3-(イソプロピルアミノ)プロパン-2-オール(YOK-3304);
15)(R)-1-(3,4-ビス(4-フェニルブトキシ)フェノキシ)-3-(イソプロピルアミノ)プロパン-2-オール(YOK-4404);
16)(R)-1-(4-(ベンジルオキシ)-3-フェネトキシフェノキシ)-3-(イソプロピルアミノ)プロパン-2-オール(YOK-1204);
17)(R)-1-(4-(ベンジルオキシ)-3-(3-フェニルプロポキシ)フェノキシ)-3-(イソプロピルアミノ)プロパン-2-オール(YOK-1304);
18)(R)-1-(3,4-ビス((4-クロロベンジル)オキシ)フェノキシ)-3-(イソプロピルアミノ)プロパン-2-オール(YT-4-1);および、
19)(R)-1-(3,4-ビス((4-フルオロベンジル)オキシ)フェノキシ)-3-(イソプロピルアミノ)プロパン-2-オール(YT-4-2)。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の化学式1の化合物、その薬学的に許容可能な塩、立体異性体、
または、水和
物を含む、タンパク質異常疾患の予防、改善または治療用薬学的組成物。
【請求項8】
前記タンパク質異常疾患は、神経変性疾患、抗アルファ1アンチトリプシン欠乏症、角膜症、色素性網膜炎、2型糖尿病または嚢胞性線維症である、請求項7に記載の薬学的組成物。
【請求項9】
前記神経変性疾患は、ライム病(Lyme borreliosis)、致死性家族性不眠症(Fatal familial insomnia)、クロイツフェルト-ヤコブ病(Creutzfeldt-Jakob Disease;CJD)、多発性硬化症(multiple sclerosis;MS)、痴呆(dementia)、アルツハイマー病(Alzheimer’s disease)、てんかん(epilepsy)、パーキンソン病(Parkinson’s disease)、脳卒中(stroke)、ハンチントン病(huntington’s disease)、ピック病(Picks disease)、筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis、ALS)、脊髄小脳失調症、その他、ポリ-Q疾患、遺伝性脳アミロイド血管病症、家族性アミロイド多発神経病症、1次全身アミロイド症(ALアミロイド症)、反応性全身アミロイド症(AAアミロイド症)、2型糖尿病、注射-局所化アミロイド症、ベータ-2マイクログロブリンアミロイド症、遺伝性非-神経病アミロイド症、およびフィンランド遺伝性全身アミロイド症からなる群より選択される1種以上である、請求項8に記載の薬学的組成物。
【請求項10】
請求項1~6のいずれか1項に記載の化学式1の化合物、その薬学的に許容可能な塩、立体異性体、
または、水和
物を含む、変性タンパク質のオートファジー活性増加用薬学的組成物。
【請求項11】
前記タンパク質は、癌誘発タンパク質、プリオンタンパク質、アミロイド前駆体タンパク質(APP)、アルファ-シヌクレイン、スーパーオキシドディスムターゼ、タウ、免疫グロブリン、アミロイド-A、トランスサイレチン、ベータ2-マイクログロブリン、シスタチンC、アポリポタンパク質(Apolipoproteine)A1、TDP-43、島アミロイドポリペプチド(islet amyloid polypeptide)、ANF、ゲルゾリン(gelsolin)、インスリン、リゾチーム、フィブリノゲン、ハンチンチン(huntingtin)およびアタキシンと、Poly-Q延伸を
有するその他タンパク質からなる群より選択される1種以上である、請求項10に記載の薬学的組成物。
【請求項12】
請求項1~6のいずれか1項に記載の化学式1の化合物、その薬学的に許容可能な塩、立体異性体、
または、水和
物を含む、タンパク質異常疾患の予防または改善用食品組成物。
【請求項13】
前記タンパク質異常疾患は、神経変性疾患、抗アルファ1アンチトリプシン欠乏症、角膜症、色素性網膜炎、2型糖尿病または嚢胞性線維症である、請求項12に記載の食品組成物。
【請求項14】
前記神経変性疾患は、ライム病(Lyme borreliosis)、致死性家族性不眠症(Fatal familial insomnia)、クロイツフェルト-ヤコブ病(Creutzfeldt-Jakob Disease;CJD)、多発性硬化症(multiple sclerosis;MS)、痴呆(dementia)、アルツハイマー病(Alzheimer’s disease)、てんかん(epilepsy)、パーキンソン病(Parkinson’s disease)、脳卒中(stroke)、ハンチントン病(huntington’s disease)、ピック病(Picks disease)、筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis、ALS)、脊髄小脳失調症、その他、ポリ-Q疾患、遺伝性脳アミロイド血管病症、家族性アミロイド多発神経病症、1次全身アミロイド症(ALアミロイド症)、反応性全身アミロイド症(AAアミロイド症)、2型糖尿病、注射-局所化アミロイド症、ベータ-2マイクログロブリンアミロイド症、遺伝性非-神経病アミロイド症、アレキサンダー症およびフィンランド遺伝性全身アミロイド症からなる群より選択される1種以上である、請求項13に記載の食品組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なp62リガンド化合物、これを含むタンパク質異常疾患の予防または治療用薬学的または食品組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
N-末端則(N-end rule)経路は特定のタンパク質のN-末端を分解信号として用いるタンパク質分解システムである(
図1)。N-末端則分解信号には、タイプ1であるN-末端アルギニン(Nt-Arg)、リシン(Nt-Lys)およびヒスチジン(Nt-His)を有する塩基残基と、タイプ2であるフェニルアラニン(Nt-Phe)、ロイシン(Nt-Leu)、トリプトファン(Nt-Trp)、チロシン(Nt-Tyr)およびイソロイシン(Nt-Ile)の疎水性残基とがある。これらのN-末端残基は特定の認識要素(N-recognins;N-レコグニン)のリガンド(N-リガンドと名付ける)に結合する。
【0003】
本発明者らは、かつて知られているN-レコグニン、つまり、UBR1、UBR2、UBR4、およびUBR5を最初に発見またはクローニングし、これらが基質認識ドメインとしてUBR boxを有していることを究明した(Tasaki,T.et al.,Mol Cell Biol25,7120-36(2005):非特許文献1)。また、UBR boxがN-末端Arg残基などのtype-1 N-末端則リガンド(Nt-Arg、Nt-Lys、Nt-His)を結合して基質を認識し、基質にユビキチン鎖をくっつけることを究明した。UBR1とUBR2がさらにN-ドメインを有しており、N-ドメインはtype-2 N-末端則リガンド(Nt-Trp、Nt-Phe、Nt-Tyr、Nt-Leu、Nt-Ile)と結合するのに重要な役割を果たすとの事実も究明した(Sriram,S.M.,Kim,B.Y.& Kwon,Y.T.,Nat Rev Mol Cell Biol12,735-47(2011):非特許文献2)。N-レコグニンがN-末端則リガンドと結合することによって作られたユビキチン化された基質は、プロテアソームに伝達されて短いペプチドに分解される。この過程で、特定のN-末端残基(Nt-Arg、Nt-His、Nt-Lys、Nt-Trp、Nt-Phe、Nt-Tyr、Nt-Leu、Nt-Leu)は、N-レコグニンがN-末端則基質をターゲッティングする時に必要な水素結合(hydrogen bond)を大部分提供するため、結合に必ず必要な決定因子である(Sriram,S.M.& Kwon,Y.T.,Nat Struct Mol Biol17,1164-5(2010):非特許文献3)。
【0004】
細胞でフォールディングがうまくなされない変性(misfolded)タンパク質は、長時間放置する場合、凝固して(aggregated)プロテアソームを阻害したり他の細胞機能を低下するなど細胞毒性物質になるため、ユビキチンリガーゼ(ubiquitin ligase)がユビキチン化させることでプロテアソームに伝達させて分解される(Ji,C.H.& Kwon,Y.T.,Mol Cells 40,441-449(2017):非特許文献4)。正常な細胞ではこのような過程が円滑で変性タンパク質による被害を最小化するのに対し、老人の神経細胞は当該過程が遅くなってユビキチン化された変性タンパク質が累積され、これらの余剰タンパク質ゴミは再び凝固体に転換される(Ciechanover,A.& Kwon,Y.T.,Exp Mol Med47,e147(2015):非特許文献5)。また、タンパク質異常疾患の中でも、ハンチントン病、パーキンソン病、ヒト狂牛病、ルーゲーリック病などの退行性脳疾患を病んでいる患者の神経細胞には特定の突然変異タンパク質が凝固体に変形する性質が強くて、前記説明したプロテアソームで分解されない。なぜなら、プロテアソームは内径が13オングストローム(angstrom)程度と狭いため、変性タンパク質が解きほぐされなければならない(unfolding)が、タンパク質が凝固すると解きほぐされないからである。
【0005】
一方、オートファジー(autophagy)は、ユビキチン-プロテアソームシステム(ubiquitin-proteasome system)とともに細胞内の主要タンパク質分解システムである。オートファジーは、老化したり本来の機能を果たせなくなった細胞小器官、および損傷したりフォールディング(folding)がうまくなされなかったタンパク質を分解することによって、細胞の恒常性と遺伝的な安定性を維持するために欠かせないタンパク質分解過程である(Ji,C.H.& Kwon,Y.T.,Mol Cells 40,441-449(2017):非特許文献4)。特に、細胞質に変性タンパク質凝固体が累積される場合は細胞毒性物質になるため、これらをオートファジーが受け入れて分解しなければならない。オートファジーの機序は、大きく、マクロオートファジー(macroautophagy)、マイクロオートファジー(microautophagy)とシャペロン媒介オートファジー(chaperone-mediated autophagy)に分けられ、どのような目的のために細胞内基質を分解するかによって、非選択的オートファジー(bulk autophagy)と選択的オートファジー(selective autophagy)に分けられる(Dikic,I.&Elazar,Z.,Nat Rev Mol Cell Biol19,349-364(2018):非特許文献6)。このうち、選択的オートファジーとシャペロン媒介オートファジーは、細胞内機能異常小器官や不要なタンパク質の選択的分解を起こす。選択的オートファジーを誘導することで、悪性病因タンパク質の蓄積および機能不能小器官ベースの疾患に対する新規治療法の開発が、現在新たなパラダイムを構築している状況である。p62/SQSTM1/Sequestosome-1タンパク質は、選択的オートファジー機序において媒介物のオートファゴソームの形成開始と内容物の伝達に重要である。この時、p62/SQRSM1/Sequestosome-1が変性タンパク質およびその凝固体と結合して、これらをオートファゴソーム(autophagosome)に伝達する。変性タンパク質をオートファゴソームに伝達する時、核心的な過程としてp62が自己オリゴマー化(self-oligomerization)を経る(Ji and Kwon,Mol Cells 40,441-449(2017):非特許文献4)。この時、変性タンパク質は一緒に濃縮されて体積が減少し、オートファジーによる分解が容易になる。p62が自己オリゴマー化を媒介するのはPB1ドメインであるが、その調節メカニズムはよく知られていない。オートファゴソームに伝達された変性タンパク質-p62結合体は、オートファゴソームがリソソームと結合するにつれ、リソソームの酵素によって分解される。このようなメカニズムにより、オートファジーは損傷したタンパク質および細胞小器官の細胞内変動による細胞恒常性の維持のために重要であるが、オートファジーが低下する場合、変性タンパク質(misfolded protein)の蓄積と凝固がもたらされ、これによってタンパク質異常疾患が発生したりもする(Ciechanover,A.& Kwon,Y.T.,Exp Mol Med47,e147(2015):非特許文献5)。本発明の核心的な技術は、タンパク質異常疾患の原因になる変性タンパク質やその凝固体を効果的に除去する方法を提供することである。このために、多様な生物学的経路に広範囲な影響を及ぼす非選択的オートファジーは活性化せず、選択的オートファジーのみ活性化することが必要である。
【0006】
タンパク質異常疾患を治療するためにオートファジーを活性化する研究が活発に進められてきている。非選択的オートファジーを平常時に抑制する調節因子がmTORであるが、mTOR阻害剤を用いてオートファジーを活性化する方法が最も広範囲に使用される(Jung,C.H.,Ro,S.H.,Cao,J.,Otto,N.M.&Kim,D.H.,FEBS Lett584,1287-95(2010):非特許文献7)。具体的には、ラパマイシンを用いてAPPを過発現するAD動物モデルでアミロイドベータ(Ab)およびタウ(tau)を除去すると同時に認知力を増進させ(Caccamo,A.,Majumder,S.,Richardson,A.,Strong,R.&Oddo,S.,J Biol Chem285,13107-20(2010):非特許文献8)、tauを過発現するAD動物モデルでtauを除去し(Rodriguez-Navarro,J.A.et al.,Neurobiol Dis39,423-38(2010):非特許文献9)、PDマウスモデルで過発現した突然変異アルファ-シヌクレイン(α-synuclein)タンパク質凝固体を除去した(Webb,J.L.,Ravikumar,B.,Atkins,J.,Skepper,J.N.&Rubinsztein,D.C.,J Biol Chem278,25009-13(2003):非特許文献10)。ラパマイシン様物質のCCI-779を用いて前記HDマウスにおいてハンチンチン凝固体を効果的に除去し、動物の行動や認知力も改善させることを確認した(Ravikumar,B.,Duden,R.&Rubinsztein,D.C.,Hum Mol Genet11,1107-17(2002):非特許文献11)。しかし、mTORがNF-kBなどの非常に多様な細胞内経路において非常に重要な役割を果たし、よって、タンパク質異常疾患の変性タンパク質凝固体を除去する優れた活性を示しているにもかかわらず、mTORを薬物ターゲットとすることが知られたこれらのオートファジー活性剤を治療剤として使用するには限界があった。
【0007】
以上のように、現在、大部分のタンパク質異常疾患に対する治療剤は皆無であり、主な原因となる変性タンパク質の除去のためのユビキチンリガーゼリガンドの場合、変性タンパク質が凝集する場合は除去が困難であり、また、非選択的オートファジー活性剤として最も多く使用される化合物であるmTOR阻害剤は、オートファジーの調節以外にも、多様な外部環境からの刺激に対して細胞内の全般的な遺伝子発現を調節する広範囲な役割を果たすため、治療剤としては不適であるという不都合があった。したがって、非選択的オートファジーの調節因子であるmTORの活性を低下することなく、選択的オートファジーの核心調節因子であるp62を活性化して変性タンパク質凝固体を除去する方法の開発が必要である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【文献】Tasaki,T.et al.,Mol Cell Biol25,7120-36(2005)
【文献】Sriram,S.M.,Kim,B.Y.& Kwon,Y.T.,Nat Rev Mol Cell Biol12,735-47(2011)
【文献】Sriram,S.M.& Kwon,Y.T.,Nat Struct Mol Biol17,1164-5(2010)
【文献】Ji,C.H.& Kwon,Y.T.,Mol Cells 40,441-449(2017)
【文献】Ciechanover,A.& Kwon,Y.T.,Exp Mol Med47,e147(2015)
【文献】Dikic,I.&Elazar,Z.,Nat Rev Mol Cell Biol19,349-364(2018)
【文献】Jung,C.H.,Ro,S.H.,Cao,J.,Otto,N.M.&Kim,D.H.,FEBS Lett584,1287-95(2010)
【文献】Caccamo,A.,Majumder,S.,Richardson,A.,Strong,R.&Oddo,S.,J Biol Chem285,13107-20(2010)
【文献】Rodriguez-Navarro,J.A.et al.,Neurobiol Dis39,423-38(2010)
【文献】Webb,J.L.,Ravikumar,B.,Atkins,J.,Skepper,J.N.&Rubinsztein,D.C.,J Biol Chem278,25009-13(2003)
【文献】Ravikumar,B.,Duden,R.&Rubinsztein,D.C.,Hum Mol Genet11,1107-17(2002)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記の背景の下、本発明者らは、mTOR非依存的にオートファジーを活性化する物質を用いてタンパク質異常疾患(proteinopathy)に対する予防および治療剤を開発するために重ねて努力した結果、p62、より詳しくは、p62のZZドメインと結合するリガンドがLC3と結合し、オートファジーを活性化させて突然変異ハンチンチンやアルファ-シヌクレインのようなタンパク質の悪性凝固体(pathological aggregates)などを効果的に除去することによって、多様なタンパク質異常疾患の予防、改善または治療に使用できることを確認して、本発明を完成した。
【0010】
本発明の目的は、p62タンパク質の活性化およびオリゴマー化を誘発する新規なp62リガンド化合物を提供することである。
【0011】
また、本発明の目的は、前記新規化合物を用いてp62およびp62が結合した変性タンパク質をオートファゴソームに伝達し、最終的にリソソームに伝達して除去する方法を提供することである。
【0012】
本発明の他の目的は、前記新規化合物を用いてp62タンパク質によるマクロオートファジー活性を増大させる方法を提供することである。
【0013】
また、本発明の目的は、前記新規化合物を有効成分として含む変性タンパク質凝集体除去用薬学的または食品組成物を提供することである。
【0014】
本発明のさらに他の目的は、前記新規化合物を有効成分として含むタンパク質異常疾患の予防、改善または治療用薬学的または食品組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の目的を解決するために、本発明は、p62タンパク質のリガンドとして作用する新規な化合物を提供する。好ましくは、本発明による新規なp62リガンドは、p62タンパク質のZZドメインと結合する。
【0016】
また、本発明は、p62タンパク質のZZドメインと結合するリガンドを有効成分として含有する、神経変性疾患のようなタンパク質異常疾患の予防または治療用薬学的組成物、またはタンパク質異常疾患の予防または改善用健康機能食品を提供する。
【0017】
また、本発明は、p62のZZドメインと結合するリガンドを細胞またはp62タンパク質に処理する段階を含む、(1)p62オリゴマー化および構造的活性化を誘導する方法、(2)p62のLC3との結合を増大させる方法、(3)p62のオートファゴソーム(autophagosome)への伝達を増大させる方法、(4)オートファジーを活性化する方法、および(5)変性タンパク質凝固体を除去する方法を提供する。
【0018】
本発明では、変性タンパク質凝固体を直接オートファゴソームに伝達するp62を活性化することによって、退行性脳疾患の原因因子である変性タンパク質凝固体を除去する技術を提供する。
【0019】
本発明において、核心的な技術は、p62とオートファジーを同時に活性化することによって、退行性脳疾患の原因となる変性タンパク質凝固体を効果的に除去することである。
【0020】
本発明の薬物作用機序および核心的な技術は
図1にまとめられている。
【0021】
具体的には、
図1に示されているように、突然変異ハンチンチンやアルファ-シヌクレインのようなタンパク質異常疾患の主な病因タンパク質は、水に溶けない変性体(misfolded)に変換された後、互いに凝り固まってオリゴマー形態の凝固体に成長する。これらの変性体は、神経細胞において細胞毒性物質として作用しながらさらに成長して、大きなオリゴマーや繊維質(fibrillar)凝固体に成長した後、窮極的にインクルージョン(inclusion)ボディが形成される。前記過程で、BiPなどの小胞体シャペロン(1)がATE1 R-トランスフェラーゼ(R-transferase)によるN-末端アルギニン化(2)によりNt-Argを多量作り出し、以降、アルギニン化されたBiP(R-BiP)は細胞質に出て変性したハンチンチンやアルファ-シヌクレインと結合する(3)。R-BiPのNt-Argは、リガンドとしてp62のZZドメインに結合する。前記結合によって、平常時には閉じられている不活性形態のp62が開かれた形態に変わり構造的な活性化が誘導されることによって(4)、PB1およびLC3-結合ドメインが露出する。この活性化によって、p62のジスルフィドボンド(disulfide bond)によるオリゴマーおよび高分子量凝集体が形成され(5)、オートファゴソーム標識子のLC3と結合が増加することによって、最終的にオートリソソームに伝達される(6)。追加的に、N-末端アルギニンと結合したp62は小胞体膜に移動して、PI3Pで媒介されるオートファゴソーム形成(autophagosome biogenesis)を活性化(7)させることによって、細胞内オートファジーを増加させる(8)。
【0022】
p62は、本発明者らが提案したオートファジー活性剤の革新的な新薬(first-in-class)ターゲットである(
図1、8)。また、p62をオートファジー活性剤の開発や退行性脳疾患などのような変形蛋白疾患に凝固体除去のための薬物ターゲットとして研究した例は皆無である。
【0023】
オートファジーは、細胞内に不要であったり機能を全うした細胞構成成分を分解したり再利用するのに作用するメカニズムであって、栄養素やエネルギー欠乏などの状態では、エネルギーあるいは生合成過程に用いる代謝産物の生産のために作用できる。オートファジーの機序は、大きく、マクロオートファジー(macroautophagy)、マイクロオートファジー(microautophagy)とシャペロン媒介オートファジー(chaperone-mediated autophagy)に分けられ、どのような目的のために細胞内基質を分解するかによって、非選択的オートファジー(bulk autophagy)と選択的オートファジー(selective autophagy)に分けられる。このうち、選択的オートファジーとシャペロン媒介オートファジーは、細胞内機能異常小器官や不要なタンパク質の選択的分解を起こす。選択的オートファジーを誘導することで、悪性タンパク質の蓄積および機能不能小器官ベースの疾患に対する新規治療法の開発が、現在、新たなパラダイムを構築している状況である。
【0024】
p62タンパク質は、選択的オートファジー機序において媒介物であるオートファゴソームの形成開始と内容物の伝達に重要である。本発明による新規p62リガンドの有意なp62活性化は、p62の自己オリゴマー化を誘発することが観察された。また、このような自己オリゴマー化によるp62のオートファゴソームターゲッティングが増加することからみて、本発明による新規p62リガンドがp62タンパク質を細胞内オートファジーによるターゲッティングおよび分解を誘導できるとの証拠である。このような結果は、本発明による新規p62リガンド化合物が既存の抗蛋白体疾患薬物に対するより効果的または補充的な代案として活用できることを意味する。
【0025】
プロタック(PROTAC-PROteolysis Targeting Chimera)は、ターゲットタンパク質を認識するリガンドとE3ユビキチン酵素を認識するリガンドとの化合物キメラである。現存する疾患治療剤のパラダイムはタンパク質酵素の抑制であるので、治療剤のターゲットが不可能なタンパク質に対する新規治療剤の開発が非常に重要な状況である。その観点から、プロタックは、既存の酵素抑制方式でターゲッティングが不可能なタンパク質のユビキチン-プロテアソームシステム下での選択的な分解を可能にすることで魅力的な新規治療剤の開発方法である。しかし、今のところ、プロタックに関する研究は、E3ユビキチン酵素を認識するリガンドだけを活用することでユビキチン-プロテアソームシステムのみに制限されており、よって、先に言及したプロテアソームシステムにおける変性タンパク質のフォールディングに関する問題点を有している。しかし、本発明による新規p62リガンドは、細胞内オートファジーを誘発できるだけでなく、p62と相互作用するカーゴ基質(cargo substrate)タンパク質のオートファゴソーム標的化(targeting)を誘導可能で、既存の酵素抑制方式で標的化が不可能なタンパク質のオートファジー機序下での選択的な分解を可能にする新規治療剤を提供することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明による新規化合物は、p62タンパク質のZZドメインと結合するリガンドとして作用して、p62のオートファゴソームへの伝達を増大させ、オートファジーを活性化させて変性タンパク質凝固体を除去することから、多様なタンパク質異常疾患の予防、改善および治療剤としての有用性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】
図1は、N-末端法則によってアルギニン化されたタンパク質がp62 ZZドメインに結合して、細胞内オートファジー活性によりタンパク質などの細胞内物質を分解することを示す模式図である。
【
図2】
図2は、免疫ブロッティング法を利用して、本発明によるp62リガンド化合物(YOK-1104、YOK-2204、YOK-3304、YOK-1204、YOK-4404、YOK-1107、YOK-1109、YOK-2207、YOK-2209、YT-4-1、YT-4-2、YT-6-1、YT-6-2、YT-6-7、YT-6-8、YT-9-1およびYT-9-2)がp62タンパク質のオリゴマー化活性を増加させる効果を示す結果である。
【
図3】
図3は、免疫ブロッティング法を利用して、本発明によるp62リガンド化合物(YOK-1107、YOK-4404、3301、3302、YOK-1104)がオートファジー活性を増大させる効能を示す結果である。
【
図4】
図4は、免疫ブロッティング法を利用して、本発明によるp62リガンド化合物(YOK-1106、YOK-1107、YOK-1204、YOK-1304、YOK-2204、YOK-4404)がオートファジー活性を増大させる効能を示す結果である。
【
図5】
図5は、免疫ブロッティング法を利用して、対照群化合物(1101、1102、1103、1201、1202、1203、1301、1302、YTK-1105-1、4402、1401、1402、2201、2202)がオートファジー活性を増大させないことを示す結果である。
【
図6A】
図6Aおよび6Bは、免疫蛍光染色法を利用して、本発明によるp62リガンド化合物(YOK-1106、YOK-1204、YOK-1504、YOK-2204、YOK-3304、YOK-4404)がp62タンパク質を活性化およびオリゴマー化させた後、オートファゴソームに伝達させ、同時にオートファジー活性を増大させる効能を示すかを確認した結果である。
【
図6B】
図6Aおよび6Bは、免疫蛍光染色法を利用して、本発明によるp62リガンド化合物(YOK-1106、YOK-1204、YOK-1504、YOK-2204、YOK-3304、YOK-4404)がp62タンパク質を活性化およびオリゴマー化させた後、オートファゴソームに伝達させ、同時にオートファジー活性を増大させる効能を示すかを確認した結果である。
【
図7】
図7は、免疫蛍光染色法を利用して、対照群化合物(YOK-A-1104、YOK-G-1104、YTK-1005、YTK-1105-1)がp62タンパク質を活性化およびオリゴマー化させた後、オートファゴソームに伝達させ、同時にオートファジー活性を増大させる効能を示すかを確認した結果である。
【
図8A】
図8A、8Bおよび9A、9Bは、免疫蛍光染色法を利用して、ターゲットタンパク質のオートファジー伝達効能を示す結果である。化合物を処理した後、漸増的にターゲットタンパク質のマーカーであるFK2(
図8A、8B)やHuntingtinQ103-GFP(
図9A、9B)がp62タンパク質と細胞内斑点と共存性増加することを示す結果である。
【
図8B】
図8A、8Bおよび9A、9Bは、免疫蛍光染色法を利用して、ターゲットタンパク質のオートファジー伝達効能を示す結果である。化合物を処理した後、漸増的にターゲットタンパク質のマーカーであるFK2(
図8A、8B)やHuntingtinQ103-GFP(
図9A、9B)がp62タンパク質と細胞内斑点と共存性増加することを示す結果である。
【
図9A】
図8A、8Bおよび9A、9Bは、免疫蛍光染色法を利用して、ターゲットタンパク質のオートファジー伝達効能を示す結果である。化合物を処理した後、漸増的にターゲットタンパク質のマーカーであるFK2(
図8A、8B)やHuntingtinQ103-GFP(
図9A、9B)がp62タンパク質と細胞内斑点と共存性増加することを示す結果である。
【
図9B】
図8A、8Bおよび9A、9Bは、免疫蛍光染色法を利用して、ターゲットタンパク質のオートファジー伝達効能を示す結果である。化合物を処理した後、漸増的にターゲットタンパク質のマーカーであるFK2(
図8A、8B)やHuntingtinQ103-GFP(
図9A、9B)がp62タンパク質と細胞内斑点と共存性増加することを示す結果である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0029】
本明細書で使用される各基の定義について詳しく説明する。明示しない限り、各基は下記の定義を有する。
【0030】
本明細書において、「ハロゲン」の例は、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードを含む。
【0031】
本明細書において、「アルキル」は、直鎖または分枝鎖の脂肪族飽和炭化水素基を意味し、好ましくは、炭素数1~6のアルキル、さらに好ましくは、炭素数1~4のアルキルであってもよい。このようなアルキルの例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、タート-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、1-エチルプロピル、ヘキシル、イソヘキシル、1,1-ジメチルブチル、2,2-ジメチルブチル、3,3-ジメチルブチルおよび2-エチルブチルを含む。
【0032】
一つの態様として、本発明は、下記の化学式1で表される化合物、その薬学的に許容可能な塩、立体異性体、溶媒和物、水和物またはプロドラッグに関する:
【化1】
前記化学式1において、
WはC6-C10アリールであり;
Lは-O-(CH
2)
n1-CH(OH)-であり、ただし、前記-O-(CH
2)
n1-CH(OH)-中のOがベンゼン環に結合し、この時、n1は1~4の整数であり;
mは0~2の整数であり;
R
aはR
1または-OR
1であり、
この時、R
1は水素、または-(CH
2)
n2-R’
1であり、
R’
1は非置換であるか;またはヒドロキシ、ハロゲン、C
1-4アルキル、C
1-4アルコキシ、ニトロ、アミノ、(C
1-4アルキル)アミノ、またはジ(C
1-4アルキル)アミノで置換されたフェニルであり、
n2は1~6の整数であり;
R
bは-OR
2であり、
この時、R
2はH、または-(CH
2)
n3-R’
2であり、
R’
2は非置換であるか;またはヒドロキシ、ハロゲン、C
1-4アルキル、C
1-4アルコキシ、ニトロ、アミノ、(C
1-4アルキル)アミノ、またはジ(C
1-4アルキル)アミノで置換されたフェニルであり、
n3は1~6の整数であり;
R
cは-(CH
2)
n4-OH、-(CH
2)
n4-NH-C(=NH)NH
2、-C(=NH)NH
2、C
1-6アルキル、-CH(R
3)-COO-R
4、または-CH(COO-R
4)-CH
2CH
2CH
2-NH-C(=NH)NH
2、-(CH
2)
n4-O-(CH
2)
n4-OR
4、-CONH(CH
2)
n4-OR
4、-CO(CH
2)
n5-OR
4、-(CH
2)
n5-CH(NH
2)-COOR
4、-(CH
2)
n5-CONHR
4であり、
n4は2~4の整数であり、
n5は1~4の整数であり、
R
3は水素、またはC
1-4アルキルであり、
R
4は水素、またはC
1-4アルキルである。
【0033】
好ましくは、前記Wはフェニルであってもよい。
【0034】
好ましくは、前記n1は1または2であってもよい。
【0035】
好ましくは、前記Raは水素、または-O-(CH2)n2-R’1であってもよい。
【0036】
好ましくは、前記R’1は非置換であるか;またはヒドロキシ、フルオロ、クロロ、ブロモ、メチル、エチル、メトキシ、エトキシ、ニトロ、アミノまたはジメチルアミノで置換されたフェニルであってもよい。
【0037】
好ましくは、前記n2は1~4の整数であってもよい。
【0038】
好ましくは、前記Rbはヒドロキシ、または-O-(CH2)n3-R’2であってもよい。
【0039】
好ましくは、前記R’2は非置換であるか;またはヒドロキシ、フルオロ、クロロ、ブロモ、メチル、エチル、メトキシ、エトキシ、ニトロ、アミノまたはジメチルアミノで置換されたフェニルであってもよい。
【0040】
好ましくは、前記n3は1~4の整数であってもよい。
【0041】
好ましくは、前記Rcは-(CH2)n4-OH、-(CH2)n4-NH-C(=NH)NH2、-C(=NH)NH2、メチル、エチルまたはイソプロピルであってもよい。
【0042】
好ましくは、前記n4は2~3の整数であってもよい。
【0043】
好ましくは、前記n5は1~3の整数であってもよい。好ましくは、前記R4は水素、またはメチルであってもよい。
【0044】
具体的には、前記化学式1で表される化合物の代表例は下記の通りである:
1)(R)-1-(3,4-(ビス(ベンジルオキシ)フェノキシ)-3-((2-ヒドロキシエチル)アミノ)プロパン-2-オール(YOK-1106);
2)(R)-1-(3,4-(ビス((4-クロロベンジル)オキシ)フェノキシ)-3-((2-ヒドロキシエチル)アミノ)プロパン-2-オール(YT-6-1);
3)(R)-1-(3-((4-クロロベンジル)オキシ)フェノキシ)-3-((2-ヒドロキシエチル)アミノ)プロパン-2-オール(YT-6-2);
4)(R)-1-(3-((4-クロロベンジル)オキシ)フェノキシ)-3-((2-ヒドロキシエチル)アミノ)プロパン-2-オール(YT-6-7);
5)(R)-1-(3-((4-フルオロベンジル)オキシ)フェノキシ)-3-((2-ヒドロキシエチル)アミノ)プロパン-2-オール(YT-6-8);
6)(R)-1-(2-((3-(3,4-ビス(ベンジルオキシ)フェノキシ)-2-ヒドロキシプロピル)アミノ)エチル)グアニジン(YOK-1109);
7)(R)-1-(2-((3-(3,4-ジフェネトキシフェノキシ)-2-ヒドロキシプロピル)アミノ)エチル)グアニジン(YOK-2209);
8)(R)-1-(2-((3-(3,4-ビス(4-クロロベンジル)オキシ)フェノキシ)-2-ヒドロキシプロピル)アミノ)エチル)グアニジン(YT-9-1);
9)(R)-1-(2-((3-(3,4-ビス(4-フルオロベンジル)オキシ)フェノキシ)-2-ヒドロキシプロピル)アミノ)エチル)グアニジン(YT-9-2);
10)(R)-1-(3-(3,4-ビス(ベンジルオキシ)フェノキシ)-2-ヒドロキシプロピル)グアニジン(YOK-1107);
11)(R)-1-(3-(3,4-ジフェネトキシフェノキシ)-2-ヒドロキシプロピル)グアニジン(YOK-2207);
12)(R)-1-(3,4-ビス(ベンジルオキシ)フェノキシ)-3-(イソプロピルアミノ)プロパン-2-オール(YOK-1104);
13)(R)-1-(3,4-ジフェネトキシフェノキシ)-3-(イソプロピルアミノ)プロパン-2-オール(YOK-2204);
14)(R)-1-(3,4-ビス(3-フェニルプロポキシ)フェノキシ)-3-(イソプロピルアミノ)プロパン-2-オール(YOK-3304);
15)(R)-1-(3,4-ビス(4-フェニルブトキシ)フェノキシ)-3-(イソプロピルアミノ)プロパン-2-オール(YOK-4404);
16)(R)-1-(4-(ベンジルオキシ)-3-フェネトキシフェノキシ)-3-(イソプロピルアミノ)プロパン-2-オール(YOK-1204);
17)(R)-1-(4-(ベンジルオキシ)-3-(3-フェニルプロポキシ)フェノキシ)-3-(イソプロピルアミノ)プロパン-2-オール(YOK-1304);
18)(R)-1-(3,4-ビス((4-クロロベンジル)オキシ)フェノキシ)-3-(イソプロピルアミノ)プロパン-2-オール(YT-4-1);および、
19)(R)-1-(3,4-ビス((4-フルオロベンジル)オキシ)フェノキシ)-3-(イソプロピルアミノ)プロパン-2-オール(YT-4-2)。
【0045】
一方、本発明の化合物は、薬学的に許容可能な塩の形態で存在し得る。前記塩としては、薬学的に許容可能な遊離酸(free acid)によって形成された酸付加塩が有用である。本発明の用語「薬学的に許容可能な塩」とは、患者に比較的非毒性であり無害な有効作用を有する濃度として、この塩に起因した副作用が化学式1~3で表される化合物の有利な効能を低下させない前記化合物の任意のすべての有機または無機付加塩を意味する。
【0046】
酸付加塩は、通常の方法、例えば、化合物を過剰の酸水溶液に溶解させ、この塩を水混和性有機溶媒、例えば、メタノール、エタノール、アセトンまたはアセトニトリルを用いて沈殿させて製造する。同モル量の化合物および水中の酸またはアルコール(例、グリコールモノメチルエーテル)を加熱し、次いで、前記混合物を蒸発させて乾燥させるか、または析出した塩を吸引ろ過させることができる。
【0047】
この時、遊離酸としては、有機酸と無機酸を使用することができ、無機酸としては、塩酸、リン酸、硫酸、硝酸、酒石酸などを使用することができ、有機酸としては、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、マレイン酸(maleic acid)、コハク酸、シュウ酸、安息香酸、酒石酸、フマル酸(fumaric acid)、マンデル酸、プロピオン酸(propionic acid)、クエン酸(citric acid)、乳酸(lactic acid)、グリコール酸(glycollic acid)、グルコン酸(gluconic acid)、ガラクツロン酸、グルタミン酸、グルタル酸(glutaric acid)、グルクロン酸(glucuronic acid)、アスパラギン酸、アスコルビン酸、カルボン酸、バニリン酸、ヨウ化水素酸(hydroiodic acid)などを使用することができ、これらに限定されない。
【0048】
また、塩基を用いて薬学的に許容可能な金属塩を作ることができる。アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩は、例えば、化合物を過剰のアルカリ金属水酸化物またはアルカリ土類金属水酸化物溶液中に溶解させ、非溶解化合物塩をろ過した後、ろ液を蒸発、乾燥させて得る。この時、金属塩としては、特に、ナトリウム、カリウム、またはカルシウム塩を製造することが製薬上適合するが、これらに限定されるものではない。また、これに対応する銀塩は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属塩を適当な銀塩(例、硝酸銀)と反応させて得ることができる。
【0049】
本発明の化合物の薬学的に許容可能な塩は、別途に指示されない限り、前記化学式1の化合物に存在し得る酸性または塩基性基の塩を含む。例えば、薬学的に許容可能な塩としては、ヒドロキシ基のナトリウム、カルシウムおよびカリウム塩などが含まれ、アミノ基のその他薬学的に許容可能な塩としては、ヒドロ臭化物、硫酸塩、水素硫酸塩、リン酸塩、水素リン酸塩、二水素リン酸塩、アセテート、スクシネート、シトレート、タートレート、ラクテート、マンデレート、メタンスルホネート(メシレート)およびp-トルエンスルホネート(トシレート)塩などがあり、当業界で知られた塩の製造方法により製造できる。
【0050】
本発明の化学式1の化合物の塩としては、薬学的に許容可能な塩として、化学式1の化合物と同等の薬理活性を示す、例えば、p62のリガンドで細胞内神経変性疾患および腫瘍関連タンパク質のオートファジーによる分解を誘導し、神経変性疾患を予防または治療できる化学式1の化合物の塩であれば制限なくすべて使用可能である。
【0051】
また、本発明による前記化学式1で表される化合物は、その薬学的に許容可能な塩だけでなく、これから製造できる可能な水和物などの溶媒和物および可能なすべての立体異性体を制限なく含む。鏡像異性体形態および部分立体異性体形態を含む、本発明のすべての立体異性体(例えば、多様な置換体において非対称炭素に起因して存在し得るもの)が本発明の範囲に含まれる。本発明の化合物の個別的な立体異性体は、例えば、実質的に異なる異性体がなかったり(例えば、特定の活性を有する純粋または実質的に純粋な光学異性体として)、あるいは例えば、ラセミ体としてまたはすべての他の、または他の選択された立体異性体と混合できる。本発明の化合物のキラル中心は、IUPAC1974勧告によって定義されたSまたはR構造を有することができる。ラセミ形態は、キラルカラムクロマトグラフィーによる分離または部分立体異性体誘導体の分離または結晶化、分別形状結晶化のような物理的方法によって分析できる。個別的な光学異性体は、これに限定されるものではないが、光学的に活性である酸との塩形成に続いて、結晶化を含む任意の適した方法によってラセミ体から得ることができる。
【0052】
前記化学式1で表される化合物の溶媒和物および立体異性体は、当業界で公知の方法を用いて化学式1で表される化合物から製造することができる。
【0053】
さらに、本発明による前記化学式1で表される化合物は、結晶形態または非結晶形態に製造可能であり、結晶形態に製造される場合、任意に水和または溶媒和されてもよい。本発明では、前記化学式1で表される化合物の化学量論的水和物だけでなく、多様な量の水を含有する化合物が含まれる。本発明による前記化学式1で表される化合物の溶媒和物は、化学量論的溶媒和物および非化学量論的溶媒和物のすべてを含む。
【0054】
本発明による化学式1の化合物は、下記の例示的な方法である反応式1~5のような方法で製造可能であり、具体的な一例は、以下、実施例に記載された反応式の通りである。
【0055】
【0056】
【0057】
【0058】
【0059】
【0060】
本発明の製造方法は、前記反応式に使用される反応物として、市販の化合物を購入してそのまま使用するか、当業界で公知の1つ以上の反応をそのまままたは適切に変更して行うことによって合成して使用することができる。例えば、骨格構造に含まれている反応性官能基および/またはヘテロ元素の存在、種類および/または位置を考慮して1つ以上の反応を一連の順序で行って合成することができるが、これに限定されない。
【0061】
本発明による化学式1の化合物は、p62のZZドメインと結合するリガンドとして作用して、p62の機能を活性化させることを特徴とする。このようなp62の機能を活性化することによって、本発明による化学式1の化合物はオートファジーを活性化させることができる。
【0062】
したがって、他の態様として、本発明は、化学式1の化合物、その薬学的に許容可能な塩、立体異性体、水和物、溶媒和物またはプロドラッグを含むオートファジー活性用薬学的組成物を提供する。
【0063】
本発明による化学式1の化合物は、オートファジーの活性化作用によって変性タンパク質の凝集に関連づけられた疾患に関連する凝集タンパク質を除去することができる。同時に、前記化学式1の化合物は、p62リガンドとしてp62 ZZドメインに結合して、p62タンパク質のPB1ドメインおよびLIRドメインを活性化させてp62のオリゴ化および凝集体を誘導し、p62凝集体の誘導によるオートファゴソーム(autophagosome)形成を増大させることを特徴とする。前記過程により変性タンパク質凝固体が円滑に除去される(
図1参照)。このようなタンパク質は、タンパク質異常疾患の主要タンパク質であってもよく、より好ましくは、プリオンタンパク質、アミロイド前駆体タンパク質(APP)、アルファ-シヌクレイン(alpha-synuclein)、スーパーオキシドディスムターゼ(superoxide dismutase1)、タウ(tau)、免疫グロブリン、アミロイド-A、トランスサイレチン、ベータ2-マイクログロブリン、シスタチンC、アポリポタンパク質(Apolipoproteine)A1、TDP-43、島アミロイドポリペプチド(islet amyloid polypeptide)、ANF、ゲルゾリン(gelsolin)、インスリン、リゾチーム、フィブリノゲン、ハンチンチン(huntingtin)、アルファ-1-アンチトリプシンZ、クリスタリン(crystallin)、c9オープンリーディングフレーム72(c9orf72)、グリア原線維酸性タンパク質(glial fibrillary acidic protein)、嚢胞性線維症膜通過伝導率制御タンパク質(cystic fibrosis transmembrane conductance regulator protein)、ロドプシン(rhodopsin)およびアタキシンと、Poly-Q延伸を有するその他タンパク質からなる群より選択される1種以上のものであってもよい。
【0064】
したがって、さらに他の態様として、本発明は、前記化学式1のp62リガンド化合物、その薬学的に許容可能な塩、立体異性体、水和物、溶媒和物またはプロドラッグを含む変形蛋白疾患の予防または治療用薬学的組成物を提供する。
【0065】
本発明により、用語「凝集(aggregation)」は、複合体内に炭水化物、核酸および脂質のような追加的な生体分子の統合と伴うことができる、典型的に1つ以上のタンパク質のオリゴマーまたは多量体複合体の形成を示す。当該凝集されたタンパク質は、特定の組織、より好ましくは、神経組織または脳組織に沈着物を形成し得る。凝集の程度は当該疾患に依存する。
【0066】
ここで使用された用語「タンパク質異常疾患」または「タンパク質の凝集に関連する疾患」は、凝集されたタンパク質の存在を特徴とする疾患を意味するもので、例えば、神経変性疾患、抗アルファ1アンチトリプシン欠乏症、角膜症、色素性網膜炎、タイプ2糖尿病、嚢胞性線維症などを意味するが、これに限定されるものではない。
前記神経変性疾患は、ライム病(Lyme borreliosis)、致死性家族性不眠症(Fatal familial insomnia)、クロイツフェルト-ヤコブ病(Creutzfeldt-Jakob Disease;CJD)、多発性硬化症(multiple sclerosis;MS)、痴呆(dementia)、アルツハイマー病(Alzheimer’s disease)、てんかん(epilepsy)、パーキンソン病(Parkinson’s disease)、脳卒中(stroke)、ハンチントン病(huntington’s disease)、ピック病(Picks disease)、筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis、ALS)脊髄小脳失調症、その他ポリ-Q疾患、遺伝性脳アミロイド血管病症、家族性アミロイド多発神経病症、1次全身アミロイド症(ALアミロイド症)、反応性全身アミロイド症(AAアミロイド症)、注射-局所化アミロイド症、ベータ-2マイクログロブリンアミロイド症、遺伝性非-神経病アミロイド症、アレキサンダー症およびフィンランド遺伝性全身アミロイド症からなる群より選択されることが好ましい。
【0067】
本発明の薬学的組成物の投与量は、患者の体重、年齢、性別、健康状態、食事、投与時間、投与方法、排泄率および疾患の重症度などによってその範囲が多様であり得るが、有効投与量は、通常、成人(60kg)の場合、約1ng~10mg/日、特に約1g~1mg/日である。投与量は様々な条件に応じて変動可能なため、前記投与量に加減があり得ることは当業者にとって自明であり、よって、前記投与量はいかなる面でも本発明の範囲を限定するものではない。投与回数は、所望の範囲内で1日に1回、または数回に分けて投与可能であり、投与期間も特に限定されない。
本発明の用語「治療」とは、本発明の薬学的組成物の投与で変性タンパク質の凝固に関連する多様な疾患、例えば、タンパク質異常疾患が好転または有利に変更されるすべての行為を意味する。
【0068】
上記したように、本発明の化合物は、(1)p62オリゴマー化および構造的活性化を誘導して、(2)p62のLC3との結合を増大させ、(3)p62のオートファゴソーム(autophagosome)への伝達を増大させて、(4)オートファジーを活性化し、最終的に(5)変性タンパク質凝固体を除去する効果を示すので、これを有効成分として含む薬学的組成物は、多様な変性タンパク質の凝集に関連する疾患の予防、改善または治療に使用できる。
【0069】
例えば、本発明の組成物は、薬学的に許容可能な担体、希釈剤または賦形剤を追加的に含むことができ、それぞれの使用目的に合わせて、通常の方法により、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、懸濁剤、エマルジョン、シロップ、エアゾールなどの経口剤形、滅菌注射溶液の注射剤などの多様な形態に剤形化して使用することができ、経口投与するか、静脈内、腹腔内、皮下、直腸、局所投与などを含む多様な経路により投与可能である。このような組成物に含まれる好適な担体、賦形剤または希釈剤の例としては、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、デンプン、アカシアガム、アルギネート、ゼラチン、カルシウムホスフェート、カルシウムシリケート、セルロース、メチルセルロース、微晶質セルロース、ポリビニルピロリドン、水、メチルヒドロキシベンゾエート、プロピルヒドロキシベンゾエート、タルク、マグネシウムステアレートおよび鉱物油などが挙げられる。また、本発明の組成物は、充填剤、抗凝集剤、潤滑剤、湿潤剤、香料、乳化剤、防腐剤などを追加的に含んでもよい。
【0070】
経口投与のための固形製剤には、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤などが含まれ、このような固形製剤は、前記組成物に少なくとも1つ以上の賦形剤、例えば、デンプン、炭酸カルシウム、スクロース、ラクトース、ゼラチンなどを混合して剤形化する。また、単純な賦形剤のほか、マグネシウムステアレート、タルクのような潤滑剤が使用できる。
【0071】
経口用液状製剤としては、懸濁剤、内用液剤、乳剤、シロップ剤などが例示され、よく使用される単純希釈剤である水、液体パラフィンのほか、様々な賦形剤、例えば、湿潤剤、甘味剤、芳香剤、保存剤などが含まれる。
【0072】
非経口投与のための製剤には、滅菌された水溶液剤、非水性溶剤、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥剤、坐剤が含まれる。非水性溶剤、懸濁剤としては、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブオイルのような植物性油、エチルオレートのような注射可能なエステルなどが使用できる。坐剤の基材としては、ウィテップゾール、マクロゴール、トゥイーン61、カカオ脂、ラウリン脂、グリセロゼラチンなどが使用できる。一方、注射剤には、溶解剤、等張化剤、懸濁化剤、乳化剤、安定化剤、防腐剤などのような従来の添加剤が含まれる。
【0073】
前記剤形は、通常の混合、顆粒化またはコーティング方法によって製造可能であり、活性成分を医学的治療、具体的には、変性タンパク質の凝集に関連する疾患の予防、改善または治療に有効な量で含む。
【0074】
この時、本発明の組成物は、薬学的に有効な量で投与する。本発明の用語「薬学的に有効な量」は、医学的治療に適用可能な合理的な恩恵/危険の比率で、疾患を治療するのに十分で副作用を起こさない程度の量を意味し、有効用量の水準は、患者の健康状態、疾患の種類、重症度、薬物の活性、薬物に対する敏感度、投与方法、投与時間、投与経路および排出比率、治療期間、配合または同時使用される薬物を含む要素およびその他医学分野でよく知られた要素に応じて決定可能である。本発明の組成物は、個別治療剤として投与するか、他の治療剤と併用して投与され、従来の治療剤と順次にまたは同時に投与されてもよいし、単一または多重投与されてもよい。前記要素をすべて考慮して副作用なしに最小限の量で最大効果が得られる量を投与することが重要であり、これは当業者によって容易に決定可能である。
【0075】
例えば、投与経路、疾病の重症度、性別、体重、年齢などに応じて増減できるため、前記投与量がいかなる方法でも本発明の範囲を限定するものではない。
【0076】
本発明の化合物の好ましい投与量は、患者の状態および体重、疾病の程度、薬物の形態、投与経路および期間に応じて異なるが、当業者によって適宜選択可能である。
【0077】
さらに他の態様として、本発明は、前記本発明の薬学的組成物をこれを必要とする個体に投与する段階を含む、変性タンパク質の凝集に関連する疾患を予防、改善または治療する方法を提供する。
【0078】
本発明の用語「個体」とは、変性タンパク質の凝集に関連する疾患が発病したヒトを含むサル、ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ、ニワトリ、シチメンチョウ、ウズラ、ネコ、イヌ、マウス、ネズミ、ウサギまたはギニアピッグを含むすべての動物を意味し、本発明の薬学的組成物を個体に投与することによって、変性タンパク質の凝集に関連する疾患を効果的に予防、改善または治療することができる。また、本発明の薬学的組成物は、p62リガンドとして作用してオートファジーを活性化し、このようなオートファジー活性化によって変性タンパク質の凝集体を除去して当該凝集タンパク質に関連する疾患の予防または治療効果を示すため、既存の治療剤と並行して投与することによってシナジー的な効果を示すことができる。
【0079】
本発明の用語「投与」とは、任意の適切な方法で患者に所定の物質を提供することを意味し、本発明の組成物の投与経路は、目的の組織に到達できる限り、いかなる一般的な経路を通して投与可能である。腹腔内投与、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、皮内投与、経口投与、局所投与、鼻内投与、肺内投与、直腸内投与できるが、これに限定されない。また、本発明の薬学的組成物は、活性物質が標的細胞に移動できる任意の装置によって投与されてもよい。好ましい投与方式および製剤は、静脈注射剤、皮下注射剤、皮内注射剤、筋肉注射剤、点滴注射剤などである。注射剤は、生理食塩液、リンゲル液などの水性溶剤、植物油、高級脂肪酸エステル(例、オレイン酸エチルなど)、アルコール類(例、エタノール、ベンジルアルコール、プロピレングリコール、グリセリンなど)などの非水性溶剤などを用いて製造することができ、変質防止のための安定化剤(例、アスコルビン酸、亜硫酸水素ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、BHA、トコフェロール、EDTAなど)、乳化剤、pH調節のための緩衝剤、微生物の発育を阻止するための保存剤(例、硝酸フェニル水銀、チメロサール、塩化ベンザルコニウム、フェノール、クレゾール、ベンジルアルコールなど)などの薬学的担体を含むことができる。
【0080】
さらに他の態様として、本発明は、化学式1のp62リガンド化合物、その薬学的に許容可能な塩、立体異性体、水和物、溶媒和物またはプロドラッグを含む変形蛋白疾患の予防または改善用食品組成物を提供する。前記食品用組成物は、健康機能食品としてそれ自体で剤形化を経て使用されるか、健康機能食品の添加物として他の健康機能食品に含まれる。健康機能食品とは、疾病の予防または改善、生体防御、免疫、病後の回復、老化抑制などの生体調節機能を有する食品をいうもので、長期的に服用した時、人体に無害でなければならない。有効成分の混合量は、使用目的(予防、健康または治療的処置)に応じて適宜決定可能である。
【0081】
前記食品の種類には特別な制限はない。前記物質を添加可能な食品の例としては、肉類、ソーセージ、パン、チョコレート、キャンディー類、スナック類、菓子類、ピザ、ラーメン、その他麺類、ガム類、アイスクリーム類を含む酪農製品、各種スープ、飲料水、お茶、ドリンク剤、アルコール飲料およびビタミン複合剤などがあり、通常の意味での健康機能食品をすべて含む。
【0082】
本発明の食品用組成物は、食品または食品添加物の製造に使用される通常の成分、具体的には、香味剤;天然炭水化物として、ブドウ糖、果糖のようなモノサッカライド、マルトース、スクロースのようなジサッカライド、およびデキストリン、シクロデキストリンのような天然甘味剤や、サッカリン、アスパルテームのような合成甘味剤;栄養剤;ビタミン;電解質;着色剤;有機酸;保護性コロイド増粘剤;pH調整剤;安定化剤;防腐剤;グリセリン;アルコール;炭酸飲料に使用される炭酸化剤などを含むことができる。
【0083】
本発明の具体的な実施例では、化学式1で表される新規なp62リガンドの実施例1~19の化合物を新たに合成した。また、本発明による新規なp62リガンド化合物が培養された細胞で自食現象を増加させることができるかを評価するために、免疫ブロッティング法により、子宮頸癌患者由来の細胞株であるHela細胞株に、本発明による新規なp62リガンド化合物を処理して培養した後、培養細胞内でのオートファジー活性を確認した。その結果、本発明によるp62リガンド化合物を処理した時間に応じて漸増的にオートファジー活性の標識子であるLC3の水準が増加することを確認して、本発明によるp62リガンド化合物は、p62タンパク質を活性化およびオリゴマー化させてオートファゴソームに伝達させると同時に、オートファジー活性を増大させて変性タンパク質の凝集体を効果的に除去することを確認した。
【実施例】
【0084】
以下の実施例を通じて本発明をより詳しく説明する。これらの実施例は本発明をより具体的に説明するためのものであり、本発明の範囲がこれらの実施例に限定されるものではない。
【0085】
下記表1の化合物を以下の実施例1~実施例19による方法により製造した。
【0086】
【0087】
本発明の化合物を合成するための出発物質の場合、多様な合成法が知られており、前記出発物質が市販されている場合は供給先から購入して使用可能である。試薬供給先としては、Aldrich、Sigma、TCI、Wako、Kanto、Fluorchem、Acros、Alfa、Flukaなどの会社があるが、これに限定されるものではない。
【0088】
本発明の化合物は、下記の一般的な方法および過程を用いて簡単に利用可能な出発物質から製造できる。典型的なまたは好ましい工程条件(つまり、反応温度、時間、反応物のモル比、溶媒、圧力)などとしては、別途に言及しない限り、他の工程条件も使用可能である。最適な反応状態は、使用された特定の反応物または溶媒に応じて変化できるが、その状態は通常の最適化過程によって本技術分野における熟練者によって決定可能である。
【0089】
以下、前記実施例1~実施例19の製造方法について記述する。
【0090】
(製造例1)下記の反応式1に開示された方法により、実施例1、2、3、12、13、14、15、18および19の化合物を合成した。
【0091】
【0092】
実施例1:(R)-1-(3,4-(ビス(ベンジルオキシ)フェノキシ)-3-((2-ヒドロキシエチル)アミノ)プロパン-2-オール(YOK-1106)の製造
(段階1)3,4-ビス(ベンジルオキシ)フェノール(1102)の製造
ジクロロメタン(15ml)を3,4-ビス(ベンジルオキシ)ベンズアルデヒド(1101、1.00g、3.0mmol、1当量)に入れて溶解した後、mCPBA(0.78g、4.5mmol、1.5当量)を反応物に入れて、室温で4時間撹拌する。反応物にエチルアセテートを入れて希釈した後、炭酸ナトリウム飽和水溶液を入れて洗った後、有機層を分液する。有機層を塩化ナトリウム水溶液で洗った後、無水硫酸ナトリウムで脱水して減圧ろ過する。ろ過した溶液を濃縮した後、再びメタノール(10ml)に溶解した後、6N NaOHを入れて、30分間室温で撹拌する。反応物に4N HCl溶液を入れた後、30分間さらに撹拌する。反応物にエチルアセテート(50ml)を入れて希釈した後、塩水で洗い落とし、次いで、無水硫酸ナトリウムを入れて脱水および減圧ろ過する。ろ過した溶液を濃縮した後、カラムクロマトグラフィー(ヘキサン/エチルアセテートの比率=7/3)で精製して、3,4-ビス(ベンジルオキシ)フェノール(1102、0.87g、収率90%)を得た。
【0093】
1H-NMR(CDCl3,300MHz):δ7.25-7.42(m,10H),6.80(d,1H,J=9.0Hz),6.48(d,1H,J=3.0Hz),6.29(dd,1H,J=3.0 and 9.0 Hz),5.08(d,4H,J=15Hz),4.55(s,1H);ESI-MS m/z:307.25[M+H]+。
【0094】
(段階2)R-2-((3,4-ビス(ベンジルオキシ)フェノキシ)メチル)オキシラン(1103)の製造
3,4-ジベンジルオキシフェノール(1102、306mg、1.0mmol)をエタノール(10ml)に希釈した後、KOH水溶液(KOH66mg、1.2mmol、1ml)と(R)-2-(クロロメチル)オキシラン(410ul、5.0mmol)を順次に添加する。反応物を室温で5時間撹拌した後、有機溶媒を減圧して除去する。濃縮された反応物を再びエチルアセテートで希釈した後、水で洗い、次いで、塩水で洗った後、抽出した有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水した後、減圧ろ過する。ろ過した有機層を濃縮し、カラムクロマトグラフィーで精製して、純粋なR-2-((3,4-ビス(ベンジルオキシ)フェノキシ)メチル)オキシラン(1103、297mg、収率82%)を得た。ESI-MS m/z:363.5[M+H]+。
【0095】
(段階3)R-2-((3,4-ビス(ベンジルオキシ)フェノキシ)メチル)オキシラン(1103、9mg、25nmol)を無水エタノール(1ml)で希釈した後、2-アミノエタン-1-オール(7.6μL、125nmol)を添加し、4時間室温で撹拌する。TLCで反応を確認した後、反応溶媒を減圧濃縮し、濃縮された反応物に水を入れてジクロロメタン((3×5mL)で抽出する。抽出した有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水した後、減圧ろ過する。ろ過した有機層を濃縮し、カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン:メタノール=19:1)で精製して、(R)-1-(3,4-(ビス(ベンジルオキシ)フェノキシ)-3-((2-ヒドロキシエチル)アミノ)プロパン-2-オール(YOK-1106、9.0mg、収率85%)を得た。
【0096】
1H NMR(CDCl3,300MHz):Δ7.42-7.40(m,2H),7.33-7.27(m,8H),6.82(d,1H,J=9.0Hz),6.42(d,1H,J=3.0Hz),6.28(dd,1H,J=3.0 and 9.0Hz),5.09(d,1H,J=12.9Hz),5.06(s,2H),4.93(d,1H,J=12.9Hz),4.35-4.25(m,1H),3.94(dd,1H,J=3.6 and 9.9Hz),3.89-3.72(m,3H),3.34(T,1H,J=11.4Hz),2.93(brS,2H),2.80(d,1H,J=10.8Hz);ESI-MS m/z:424.67[M+H]+。
【0097】
実施例2:(R)-1-(3,4-(ビス((4-クロロベンジル)オキシ)フェノキシ)-3-((2-ヒドロキシエチル)アミノ)プロパン-2-オール(YT-6-1)の製造
3,4-ビス(ベンジルオキシ)ベンズアルデヒド(1101)の代わりに3,4-ビス((4-クロロベンジル)オキシ)ベンズアルデヒド(1101-1)を出発物質として用いて、実施例19の製造方法と同様の過程により、(R)-1-(3,4-(ビス((4-クロロベンジル)オキシ)フェノキシ)-3-((2-ヒドロキシエチル)アミノ)プロパン-2-オール(YT-6-1)を合成した。
【0098】
1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ(ppm)2.59(m,4H),3.45(s,2H),3.81(m,3H),4.50(B,1H),4.85(B,1H),5.01(s,2H),5.11(s,2H),6.42(dd,J=8Hz and 2.8Hz,1H),6.66(d,J=2.8Hz,1H),6.92(d,J=8Hz,1H),7.42(s,4H),7.45(s,4H);ESI-MS Calcd m/z for C25H27Cl2NO5[M+H]+493.90 Found 492.39
【0099】
実施例3:(R)-1-(3,4-(ビス((4-フルオロベンジル)オキシ)フェノキシ)-3-((2-ヒドロキシエチル)アミノ)プロパン-2-オール(YT-6-2)の製造
3,4-ビス(ベンジルオキシ)ベンズアルデヒド(1101)の代わりに3,4-ビス((4-フルオロベンジル)オキシ)ベンズアルデヒド(1101-2)を出発物質として用いて、実施例19の製造方法と同様の過程により、(R)-1-(3,4-(ビス((4-フルオロベンジル)オキシ)フェノキシ)-3-((2-ヒドロキシエチル)アミノ)プロパン-2-オール(YT-6-2)を合成した。
【0100】
1H NMR(400MHz,CDCl3)δ(ppm)2.82(m,4H),3.69(T,J=5.2Hz,2H),3.91(m,2H),4.05(m,1H),5.00(s,2H),5.06(s,2H),6.41(m,1H),6.58(d,J=2.8Hz,1H),6.84(d,J=8Hz,1H),7.03(m,4H),7.37(m,4H);ESI-MS Calcd m/z for C25H27F2NO5[M+H]+461.0 Found 459.49。
【0101】
実施例12:(R)-1-(3,4-ビス(ベンジルオキシ)フェノキシ)-3-(イソプロピルアミノ)プロパン-2-オール(YOK-1104)の製造
実施例1の製造段階3において、2-アミノエタン-1-オールの代わりにイソプロピルアミンを用いて、(R)-1-(3,4-ビス(ベンジルオキシ)フェノキシ)-3-(イソプロピルアミノ)プロパン-2-オール(YOK-1104)を合成した。
【0102】
1H NMR(300MHz,CDCl3)δ(ppm)1.12(d,J=6Hz,6H),2.81(m,5H),3.88(d,J=3Hz,2H),4.04(m,1H),5.09(d,J=15Hz),6.38(dd,J=9Hz and 3Hz,1H),6.59(s,1H),6.85(d,J=9Hz,1H),7.35(m,10H;ESI-MS Calcd m/z for C26H31NO4[M+H]+422.42 Found 421.54。
【0103】
実施例13:(R)-1-(3,4-ジフェネトキシフェノキシ)-3-(イソプロピルアミノ)プロパン-2-オール(YOK-2204)の製造
実施例1の製造方法のうち、段階1における3,4-ビス(ベンジルオキシ)ベンズアルデヒド(1101)の代わりに3,4-ジフェネトキシベンズアルデヒド(2201)を出発物質として用いたことと、段階3における2-アミノエタン-1-オールの代わりにイソプロピルアミンを用いたことを除けば、実施例1の製造方法と同様の過程により、(R)-1-(3,4-ジフェネトキシフェノキシ)-3-(イソプロピルアミノ)プロパン-2-オール(YOK-2204)を合成した。
【0104】
1H NMR(300MHz,CDCl3)δ(ppm)1.17(d,J=6Hz,6H),2.79(dd,J=9Hz and 3Hz,1H),2.95(m,2H),3.08(m,4H),3.34(B,2H),3.89(m,2H),4.13(m,5H),6.37(dd,J=6Hz and 3Hz,1H),6.52(d,J=3Hz,1H),6.78(d,J=9Hz,1H),7.25(m,10H);ESI―MS Calcd m/z for C28H35NO4[M+H]+451.00 Found 449.59。
【0105】
実施例14:(R)-1-(3,4-ビス(3-フェニルプロポキシ)フェノキシ)-3-(イソプロピルアミノ)プロパン-2-オール(YOK-3304)の製造
実施例1の製造方法のうち、段階1における3,4-ビス(ベンジルオキシ)ベンズアルデヒド(1101)の代わりに3,4-ビス(3-フェニルプロポキシ)ベンズアルデヒド(3301)を出発物質として用いたことと、段階3における2-アミノエタン-1-オールの代わりにイソプロピルアミンを用いたことを除けば、実施例1の製造方法と同様の過程により、(R)-1-(3,4-ビス(3-フェニルプロポキシ)フェノキシ)-3-(イソプロピルアミノ)プロパン-2-オール(YOK-3304)を合成した。
【0106】
1H NMR(300MHz,CDCl3)δ(ppm)1.21(d,J=6Hz,6H),2.12(m,4H),2.83(T,J=9Hz,5H),3.01(m,2H),3.30(B,3H),3.93(m,6H),4.18(m,1H),6.38(dd,J=6Hz and 3Hz,1H),6.52(d,J=3Hz,1H),6.80(d,J=9Hz,1H),7.25(m,10H);ESI-MS Calcd m/z for C30H39NO4[M+H]+479.09 Found 477.65。
【0107】
実施例15:(R)-1-(3,4-ビス(4-フェニルブトキシ)フェノキシ)-3-(イソプロピルアミノ)プロパン-2-オール(YOK-4404)の製造
実施例1の製造方法のうち、段階1における3,4-ビス(ベンジルオキシ)ベンズアルデヒド(1101)の代わりに3,4-ビス(4-フェニルブトキシ)ベンズアルデヒド(4401)を出発物質として用いたことと、段階3における2-アミノエタン-1-オールの代わりにイソプロピルアミンを用いたことを除けば、実施例1の製造方法と同様の過程により、(R)-1-(3,4-ビス(4-フェニルブトキシ)フェノキシ)-3-(イソプロピルアミノ)プロパン-2-オール(YOK-4404)を合成した。
【0108】
1H NMR(300MHz,CDCl3)δ(ppm)1.26(dd,J=6Hz and 3Hz,8H),1.81(m,7H),2.66(T,J=6Hz,4H),2.85(m,1H),3.06(m,2H),3.46(B,2H),3.93(m,6H),4.24(m,1H),6.36(dd,J=6Hz and 3Hz,1H),6.52(d,J=3Hz,1H),6.78(d,J=9Hz,1H),7.23(m,10H),ESI-MS Calcd m/z for C32H43NO4[M+H]+505.70 Found 503.45。
【0109】
実施例18:(R)-1-(3,4-ビス((4-クロロベンジル)オキシ)フェノキシ)-3-(イソプロピルアミノ)プロパン-2-オール(YT-4-1)の製造
実施例1の製造方法のうち、段階1における3,4-ビス(ベンジルオキシ)ベンズアルデヒド(1101)の代わりに3,4-ビス(4-クロロベンジルオキシ)ベンズアルデヒド(1101-1)を出発物質として用いたことと、段階3における2-アミノエタン-1-オールの代わりにイソプロピルアミンを用いたことを除けば、実施例1の製造方法と同様の過程により、(R)-1-(3,4-ビス((4-クロロベンジル)オキシ)フェノキシ)-3-(イソプロピルアミノ)プロパン-2-オール(YT-4-1)を合成した。
【0110】
1H NMR(400MHz,CDCl3)δ(ppm)1.08(d,J=6.4Hz,6H),2.68(dd,J=12Hz and 8Hz,1H),2.83(m,2H),3.88(d,J=5.2Hz,2H),3.95(m,1H),5.01(s,2H),5.06(s,2H),6.40(dd,J=8Hz and 4Hz,1H),6.56(d,J=2.8Hz,1H),6.82(d,J=8Hz,1H),7.31(m,8H);ESI-MS Calcd m/z for C26H29Cl2NO4[M+H]+491.40 Found 490.42。
【0111】
実施例19:(R)-1-(3,4-ビス((4-フルオロベンジル)オキシ)フェノキシ)-3-(イソプロピルアミノ)プロパン-2-オール(YT-4-2)の製造
実施例1の製造方法のうち、段階1における3,4-ビス(ベンジルオキシ)ベンズアルデヒド(1101)の代わりに3,4-ビス(4-フルオロベンジルオキシ)ベンズアルデヒド(1101-2)を出発物質として用いたことと、段階3における2-アミノエタン-1-オールの代わりにイソプロピルアミンを用いたことを除けば、実施例1の製造方法と同様の過程により、(R)-1-(3,4-ビス((4-フルオロベンジル)オキシ)フェノキシ)-3-(イソプロピルアミノ)プロパン-2-オール(YT-4-2)を合成した。
【0112】
1H NMR(400MHz,CDCl3)δ(ppm)1.08(d,J=6.4Hz,6H),2.68(dd,J=12Hz and 8Hz,1H),2.83(m,2H),3.89(d,J=4Hz,2H),3.95(m,1H),5.00(s,2H),5.05(s,2H),6.40(dd,J=8Hz and 2.8Hz,1H),6.59(d,J=2.8Hz,1H),6.83(d,J=9.6Hz,1H),7.03(m,4H),7.37(m,4H);ESI-MS Calcd m/z for C26H29F2NO4[M+H]+457.90 Found 457.52。
【0113】
(製造例2)実施例6-11は、下記の反応式2の過程により合成した。
【0114】
【0115】
実施例6:(R)-1-(2-((3-(3,4-ビス(ベンジルオキシ)フェノキシ)-2-ヒドロキシプロピル)アミノ)エチル)グアニジン(YOK-1109)の製造
(段階1)R-2-((3,4-ビス(ベンジルオキシ)フェノキシ)メチル)オキシラン(1103、500mg、1.38mmol)をメタノール(10ml)に溶解した後、tert-ブチル2-アミノエチルカルバメート(442mg、2.76mmol)を入れて、50℃で10時間撹拌する。反応が終了すると反応溶媒を減圧濃縮する。
【0116】
(段階2)tert-ブチル(R)-(2-((3-(3,4-ビス(ベンジルオキシ)フェノキシ)-2-ヒドロキシプロピル)アミノ)エチル)カルバメート(1105、600mg、1.15mmol)をメタノール(3ml)に溶解した後、メタノール/塩酸(3N、2ml)を添加した後、室温で4時間撹拌する。反応が終了すると反応物を減圧濃縮した後(白色固体、1106)、精製なしに次の段階の出発物質として用いる。
【0117】
(段階3)(R)-1-((2-アミノエチル)アミノ)-3-(3,4-ビス(ベンジルオキシ)フェノキシ)プロパン-2-オール(1106、400g、0.95mmol)をDMF(3ml)に溶解した後、1H-ピラゾール-1-カルボキサミジン塩酸塩(553mg、3.8mmol)とジイソプロピルエチルアミン(0.3g、2.4mmol)を追加的に添加する。反応物を30℃で12時間撹拌した後、減圧濃縮し、高分解能液体クロマトグラフィーで精製して、白色固体の(R)-1-(2-((3-(3,4-ビス(ベンジルオキシ)フェノキシ)-2-ヒドロキシプロピル)アミノ)エチル)グアニジン(YOK-1109、22mg)を合成した。
【0118】
1H NMR(400MHz,DMSO+D2O)δ(ppm)3.13(m,4H),3.47(s,2H),3.89(s,2H),5.04(s,2H),5.12(s,2H),6.46(d,J=8Hz,1H),6.67(s,1H),6.97(d,J=8Hz,1H),7.39(m,10H);ESI-MS Calcd m/z for C26H32N4O4[M+H]+465.00 Found 464.57。
【0119】
実施例7:(R)-1-(2-((3-(3,4-ジフェネトキシフェノキシ)-2-ヒドロキシプロピル)アミノ)エチル)グアニジン(YOK-2209)の製造
実施例6の製造方法のうち、段階1におけるR-2-((3,4-ビス(ベンジルオキシ)フェノキシ)メチル)オキシラン(1103)の代わりにR-2-((3,4-ジフェネトキシフェノキシ)メチル)オキシラン(2203)を用いたことを除けば、実施例6の製造方法と同様の過程により、(R)-1-(2-((3-(3,4-ジフェネトキシフェノキシ)-2-ヒドロキシプロピル)アミノ)エチル)グアニジン(YOK-2209)を合成した。
【0120】
1H NMR(400MHz,CD3OD)δ(ppm)3.00(T,J=6.8Hz,2H),3.06(T,J=6.8Hz,2H),3.23(m,1H),3.28(m,3H),3.62(T,J=6.4Hz,2H),6.46(dd,J=8Hz and 2.8Hz,1H),6.60(d,J=2.8Hz,1H),6.85(d,J=8Hz,1H),7.25(m,10H);ESI-MS Calcd m/z for C28H36N4O4[M+H]+493.00 Found 492.62。
【0121】
実施例8:(R)-1-(2-((3-(3,4-ビス(4-クロロベンジル)オキシ)フェノキシ)-2-ヒドロキシプロピル)アミノ)エチル)グアニジン(YT-9-1)の製造
実施例6の製造方法のうち、段階1における1103の代わりにR-2-((3,4-ビス(4-クロロベンジル)オキシ)フェノキシ)メチル)オキシラン(1103-1)を用いたことを除けば、実施例6の製造方法と同様の過程により、(R)-1-(2-((3-(3,4-ビス(4-クロロベンジル)オキシ)フェノキシ)-2-ヒドロキシプロピル)アミノ)エチル)グアニジン(YT-9-1)を合成した。
【0122】
1H NMR(400MHz,DMSO+D2O)δ(ppm)3.13(m,4H),3.47(T,J=6Hz,2H),3.90(m,2H),4.13(m,1H),5.03(s,2H),5.10(s,2H),6.47(dd,J=8Hz and 2Hz,1H),6.66(d,J=2.4Hz,1H),6.97(d,J=8.8Hz,1H),7.42(s,4H),7.45(s,4H);ESI-MS Calcd m/z for C26H30Cl2N4O4 [M+H]+532.90 Found 533.45。
【0123】
実施例9:(R)-1-(2-((3-(3,4-ビス(4-フルオロベンジル)オキシ)フェノキシ)-2-ヒドロキシプロピル)アミノ)エチル)グアニジン(YT-9-2)の製造
実施例6の製造方法のうち、段階1における1103の代わりにR-2-((3,4-ビス(4-フルオロベンジル)オキシ)フェノキシ)メチル)オキシラン(1103-2)を用いたことを除けば、実施例6の製造方法と同様の過程により、(R)-1-(2-((3-(3,4-ビス(4-フルオロベンジル)オキシ)フェノキシ)-2-ヒドロキシプロピル)アミノ)エチル)グアニジン(YT-9-2)を合成した。
【0124】
1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ(ppm)3.13(m,4H),3.45(T,J=6Hz,2H),3.89(m,2H),4.15(m,1H),5.01(s,2H),5.09(s,2H),6.46(dd,J=8Hz and 2.8Hz,1H),6.68(d,J=2.8Hz,1H),6.96(d,J=9.2Hz,1H),7.20(m,4H),7.46(m,4H);ESI-MS Calcd m/z for C26H30Cl2N4O4[M+H]+ 501.00 Found 500.55。
【0125】
実施例10:(R)-1-(3-(3,4-ビス(ベンジルオキシ)フェノキシ)-2-ヒドロキシプロピル)グアニジン(YOK-1107)の製造
(段階1)R-2-((3,4-ビス(ベンジルオキシ)フェノキシ)メチル)オキシラン(1103、500mg、1.38mmol)をメタノール(10ml)に溶解した後、アンモニア/メタノール(2N、3ml)を入れて、50℃で10時間撹拌する。反応が終了すると反応溶媒を減圧濃縮する。
【0126】
(段階2)(R)-1-アミノ-3-(3,4-ビス(ベンジルオキシ)フェノキシ)プロパン-2-オール(1107、300mg、0.8mmol)をDMF(3ml)に溶解した後、1H-ピラゾール-1-カルボキサミジン塩酸塩(570mg、3.9mmol)とジイソプロピルエチルアミン(0.3g、2.4mmol)を順次に添加する。反応物を30℃で12時間撹拌した後、減圧濃縮し、高分解能液体クロマトグラフィーで精製して、白色固体の(R)-1-(3-(3,4-ビス(ベンジルオキシ)フェノキシ)-2-ヒドロキシプロピル)グアニジン(YOK-1107、23mg)を合成した。
【0127】
1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ(ppm)3.20(m,1H),3.31(m,1H),5.03(s,2H),5.12(s,2H),6.44(dd,J=8.8Hz and 2.8Hz,1H),6.68(d,J=2.8Hz,1H),6.95(d,J=8Hz,1H),7.38(m,10H);ESI-MS Calcd m/z for C24H27N3O4[M+H]+422.00 Found 421.50。
【0128】
実施例11:(R)-1-(3-(3,4-ジフェネトキシフェノキシ)-2-ヒドロキシプロピル)グアニジン(YOK-2207)の製造
実施例10の製造方法のうち、段階1における1103の代わりにR-2-((3,4-ジフェネトキシフェノキシ)メチル)オキシラン(2203)を用いたことを除けば、実施例10の製造方法と同様の過程により、(R)-1-(3-(3,4-ジフェネトキシフェノキシ)-2-ヒドロキシプロピル)グアニジン(YOK-2207、25mg)を合成した。
【0129】
1H NMR(400MHz,CD3OD)δ(ppm)3.00(T,J=8Hz,2H),3.06(T,J=8Hz,2H),3.33(m,1H),3.42(dd,J=24Hz and 4Hz,1H),3.91(m,2H),4.08(m,3H),4.16(T,J=6.4Hz,2H),6.46(dd,J=8Hz and 2Hz,1H),6.60(d,J=2.8Hz,1H),6.84(d,J=8Hz,1H),7.25(m,10H);ESI-MS Calcd m/z for C26H31N3O4 [M+H]+450.00 Found 449.55。
【0130】
(製造例3)下記の反応式3に開示された方法により、実施例4および5の化合物を合成した。
【0131】
【0132】
実施例4:(R)-1-(3-((4-クロロベンジル)オキシ)フェノキシ)-3-((2-ヒドロキシエチル)アミノ)プロパン-2-オール(YT-6-7)の製造
(段階1)1,3-ジヒドロキシベンゼン(5.0g、45.4mmol)をアセトニトリル(100ml)に溶解した後、K2CO3を添加する。次いで、1-(ブロモメチル)-4-クロロベンゼン(9.3g、45.4mmol)を反応物に添加した後、80℃で16時間撹拌する。室温に冷却した後、反応溶媒を減圧して濃縮する。濃縮残留物に水を入れた後、エチルアセテートで抽出した後、有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水および減圧ろ過する。ろ液を取って減圧して濃縮した後、カラムクロマトグラフィー(エチルアセテート/石油エーテル1:15~1:8)で精製して、明るい黄色オイル形態の3-((4-クロロベンジル)オキシ)フェノール(2011、2.3g)を合成した。
【0133】
1H NMR(400MHz,CD3OD)δ(ppm)5.03(s,2H),6.35-6.43(m,3H),7.04(T,1H),7.45(s,4H),9.41(s,1H)。
【0134】
(段階2)3-((4-クロロベンジル)オキシ)フェノール(2011、1.0g、4.2mmol)をエタノール(10ml)に溶かした後、(R)-2-(クロロメチル)オキシラン(1.17g、12.7mmol)、精製水(1ml)、そしてKOH(0.24g、4.2mmol)を添加した後、室温で16時間撹拌する。反応物に水(30ml)を入れてエチルアセテート(30ml)で抽出する。水層をエチルアセテートで2回さらに抽出した後、有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水および減圧ろ過する。ろ過した液を減圧濃縮し、カラムクロマトグラフィー(エチルアセテート/石油エーテル1:15~1:8)で精製して、無色オイル形態の(R)-2-((3-((4-クロロベンジル)オキシ)フェノキシ)メチル)オキシラン(3011、0.85g)を合成した。
【0135】
1H NMR(400MHz,CD3OD)δ(ppm)2.74(m,1H),2.90(m,1H),3.34(m,1H),3.91-3.95(m,1H),4.18-4.22(m,1H),5.01(s,2H),6.52-6.59(m,3H),7.16-7.26(m,1H),7.35(s,4H)。
【0136】
(段階3)(R)-2-((3-((4-クロロベンジル)オキシ)フェノキシ)メチル)オキシラン(3011、300mg、1.03mmol)をメタノール(5ml)に溶かした後、2-アミノエタノール(189mg、3.09mmol)を添加する。反応物を65℃で5時間撹拌する。室温に冷却した後、反応溶媒を減圧濃縮し、高分解能液体クロマトグラフィーで精製して、白色固体の(R)-1-(3-((4-クロロベンジル)オキシ)フェノキシ)-3-((2-ヒドロキシエチル)アミノ)プロパン-2-オール(YT-6-7、15mg)を合成した。
【0137】
1H NMR(400MHz,CDCl3)δ(ppm)2.83(m,4H),3.69(m,2H),2.96(m,2H),4.08(m,1H),5.00(s,2H),6.55(m,3H),7.18(T,J=8Hz,1H),7.35(s,4H);ESI-MS Calcd m/z for C18H22ClNO4[M]+352.00 Found 351.83。
【0138】
実施例5:((R)-1-(3-((4-フルオロベンジル)オキシ)フェノキシ)-3-((2-ヒドロキシエチル)アミノ)プロパン-2-オール(YT-6-8)の製造
実施例4の製造方法のうち、段階1における1-(ブロモメチル)-4-クロロベンゼンの代わりに1-(ブロモメチル)-4-フルオロベンゼンを用いたことを除けば、実施例4の製造方法と同様の過程により、白色固体の((R)-1-(3-((4-フルオロベンジル)オキシ)フェノキシ)-3-((2-ヒドロキシエチル)アミノ)プロパン-2-オール(YT-6-8、20mg)を合成した。
【0139】
1H NMR(400MHz,CDCl3)δ(ppm)2.03(B,3H),2.83(m,4H),3.69(T,J=4.8Hz,2H),3.96(m,2H),4.08(m,1H),4.99(s,2H),6.56(m,3H),7.07(m,2H),7.18(T,J=8Hz,1H),7.40(m,2H);ESI-MS Calcd m/z for C18H22FNO4[M+H]+336.00 Found 335.38
【0140】
(製造例4)下記の反応式4に開示された方法により、実施例16、17の化合物を合成した。
【0141】
【0142】
実施例16:(R)-1-(4-(ベンジルオキシ)-3-フェネトキシフェノキシ)-3-(イソプロピルアミノ)プロパン-2-オール(YOK-1204)の製造
(段階1)4-(ベンジルオキシ)-3-フェネトキシベンズアルデヒド(1201、332mg、1.0mmol)をジクロロメタンに溶解した後、m-クロロペル安息香酸(mCPBA、260mg、1.5mmol)を添加した後、室温で4時間撹拌する。反応物に過剰のエチルアセテートを入れた後、飽和炭酸ナトリウム飽和水溶液を入れて洗った後、有機層を分液する。有機層を塩化ナトリウム水溶液で洗った後、無水硫酸ナトリウムで脱水して減圧ろ過する。ろ過した溶液を濃縮した後、再びメタノール(10ml)に溶解した後、6N NaOHを入れて、30分間室温で撹拌する。反応物に4N HCl溶液を入れた後、30分間さらに撹拌する。反応物にエチルアセテート(50ml)を入れて希釈した後、塩水で洗い落とし、次いで、無水硫酸ナトリウムを入れて脱水および減圧ろ過する。ろ過した溶液を濃縮した後、カラムクロマトグラフィー(ヘキサン/エチルアセテートの比率=7/3)で精製して、4-(ベンジルオキシ)-3-フェネトキシフェノール(1202、310mg、収率90%)を得た。
【0143】
1H NMR(CDCl3,300MHz)δ(ppm):7.23-7.42(m,10H),6.77(d,1H,J=9.0Hz),6.46(d,1H),6.28(dd,1H,J=3.0 and 9.0Hz),4.98(s,2H),4.58(s,1H),4.20(T,2H,J=6Hz),3.14(T,2H,J=6Hz)。
【0144】
(段階2)4-(ベンジルオキシ)-3-フェネトキシフェノール(1202、320mg、1.0mmol)をエタノール(5ml)で希釈した後、KOH水溶液(KOH66mg、1.2mmol、1ml)と(R)-2-(クロロメチル)オキシラン(410ul、5.0mmol)を順次に添加する。反応物を室温で5時間撹拌した後、有機溶媒を減圧して除去する。濃縮された反応物を再びエチルアセテートで希釈した後、水で洗い、次いで、塩水で洗った後、抽出した有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水した後、減圧ろ過する。ろ過した有機層を濃縮し、カラムクロマトグラフィーで精製して、純粋なR-2-((4-(ベンジルオキシ)-3-フェネトキシフェノキシ)メチル)オキシラン(1203、308mg、収率82%)を得た。
【0145】
1H NMR(300MHz,CDCl3)δ(ppm)7.44-7.47(m,2H),7.26-7.39(m,5H),7.19-7.22(m,3H),6.84(d,1H,J=6.0Hz),6.54(d,1H,J=3.0Hz),6.36(dd,1H),5.07(s,2H),4.15(dd,1H),4.00(T,2H,J=6.0Hz),2.84(T,2H,J=9.0Hz),2.73(dd,1H),2.10-2.19(m,2H);ESI-MS m/z:363.5[M+H]+。
【0146】
(段階3)R-2-((4-(ベンジルオキシ)-3-フェネトキシフェノキシ)メチル)オキシラン(1203、9.4mg、25nmol)を無水エタノール(1ml)で希釈した後、イソプロピルアミン(10μL、125nmol)を添加し、4時間室温で撹拌する。TLCで反応を確認した後、反応溶媒を減圧濃縮し、濃縮された反応物に水を入れてジクロロメタン(3×5mL)で抽出する。抽出した有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水した後、減圧ろ過する。ろ過した有機層を濃縮し、カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン:メタノール=19:1)で精製して、(R)-1-(4-(ベンジルオキシ)-3-フェネトキシフェノキシ)-3-(イソプロピルアミノ)プロパン-2-オール(YOK-1204、9.3mg、収率86%)を得た。
【0147】
1H NMR(300MHz,CDCl3)δ(ppm)1.15(d,J=6Hz,6H),2.71(m,4H),2.80(m,2H),3.14(T,J=6Hz,2H),3.91(d,J=3Hz,2H),4.09(m,1H),4.21(T,J=6Hz,2H),4.99(s,2H),6.35(dd,J=6Hz and 3Hz,1H),6.54(d,J=3Hz,1H),6.82(d,J=9Hz,1H),7.26(m,10H);ESI-MS Calcd m/z for C27H33NO4[M+H]+437.00 Found 435.56。
【0148】
実施例17:(R)-1-(4-(ベンジルオキシ)-3-(3-フェニルプロポキシ)フェノキシ)-3-(イソプロピルアミノ)プロパン-2-オール(YOK-1304)の製造
実施例16の製造方法のうち、段階1において、出発物質を4-(ベンジルオキシ)-3-フェネトキシベンズアルデヒド(1201)の代わりに4-(ベンジルオキシ)-3-(3-フェニルプロポキシ)ベンズアルデヒド(1301、346mg、1.0mmol)を用いて、実施例16の製造方法と同様の過程により、白色固体の(R)-1-(4-(ベンジルオキシ)-3-(3-フェニルプロポキシ)フェノキシ)-3-(イソプロピルアミノ)プロパン-2-オール(YOK-1304、9.5mg、収率85%)を合成した。
【0149】
1H NMR(300MHz,CDCl3)δ(ppm)1.13(d,J=6Hz,6H),2.15(m,2H),2.33(B,3H),2.80(m,5H),3.91(d,J=6Hz,2H),4.01(m,3H),5.07(s,2H),6.36(dd,J=6Hz and 3Hz,1H),6.53(d,J=3Hz,1H),6.84(d,J=9Hz,1H),7.33(m,10H);ESI-MS Calcd m/z for C28H35NO4[M+H]+451.00 Found 449.59.
【0150】
(製造例5)下記の反応式5に開示された方法により、比較例1および2の化合物を合成した。
【0151】
【0152】
比較例1:メチル(R)-(3-(3,4-ビス(ベンジルオキシ)フェノキシ)-2-ヒドロキシプロピル)グリシネート(YOK-G-1104)の製造
実施例19の製造方法のうち、段階3における2-アミノエタン-1-オールの代わりにグリシンメチルエステルを用いたことを除けば、実施例19の製造方法と同様の過程により、メチル(R)-(3-(3,4-ビス(ベンジルオキシ)フェノキシ)-2-ヒドロキシプロピル)グリシネート(YOK-G-1104)を合成した。
【0153】
1H NMR(300MHz,DMSO-d6)δ(ppm)2.55(m,1H),2.81(m,1H),3.51(s,2H),3.66(s,3H),4.05(m,1H),4.20(m,2H),5.16(s,2H),5.18(s,2H),5.37(br s,1H),5.52(br s,1H),6.57(s,1H),6.67(d,1H),6.96(d,1H),7.32-7.48(m,10H)。
【0154】
比較例2:エチル(R)-(3-(3,4-ビス(ベンジルオキシ)フェノキシ)-2-ヒドロキシプロピル)アラニネート(YOK-A-1104)の製造
実施例19の製造方法のうち、段階3における2-アミノエタン-1-オールの代わりにアラニンエチルエステルを用いたことを除けば、実施例19の製造方法と同様の過程により、エチル(R)-(3-(3,4-ビス(ベンジルオキシ)フェノキシ)-2-ヒドロキシプロピル)アラニネート(YOK-A-1104)を合成した。
【0155】
1H NMR(300MHz,DMSO-d6)δ(ppm)1.21(T,3H),1.27(m,3H),2.56-2.81(m,2H),3.56(m,1H),4.05(m,1H),3.95-4.20(m,4H),5.16(s,2H),5.18(s,2H),5.37(br s,1H),6.57(s,1H),6.67(d,1H),6.96(d,1H),7.32-7.48(m,10H)。
【0156】
実験例1.免疫ブロッティングによる培養細胞内p62タンパク質のオリゴマーと活性評価
前記化合物(実施例1-19)のp62タンパク質のオリゴマー化活性効能を評価するために、ヒト胚腎臓由来細胞のHEK293細胞株を収集した。本化合物のうち代表化合物としてYOK-1104、YOK-2204、YOK-3304、YOK-1204、YOK-4404、YOK-1107、YOK-1109、YOK-2207、YOK-2209、YT-4-1、YT-4-2、YT-6-1、YT-6-2、YT-6-7、YT-6-8、YT-9-1、YT-9-2を選択し、これらの選択された代表化合物の処理による細胞内p62タンパク質の活性化およびオリゴマー化を測定するために、100パイのディッシュにそれぞれの細胞を分注した。細胞がプレートの表面に完全に付着するように24時間追加的に培養した後、細胞を収集し、各サンプルに100ulの溶解バッファー(20mM Tris(pH7.4)、150mM NaCl、1%Triton X-100、2mM NaF、2mM EDTA、2mM beta-glycerophosphate、5mM sodium orthovanadate、1mM PMSF、leupeptin、aproteinin)を注入し、細胞を溶解させた。測定された総タンパク質の濃度ベースで、各サンプルに常温で2時間試験化合物を処理した後、サンプルバッファーを追加して、95℃で10分間反応させた。反応済みのサンプルから25ulを取ってアクリルアミドゲルの各ウェルに分注した後、免疫ブロッティング法を実施した。免疫ブロッティング法は3回以上の独立した実験から代表的なものを図式化した。結果は
図2に示した。
【0157】
図2から確認できるように、本発明によるp62リガンド化合物を処理した場合、化合物の処理により、p62タンパク質の単位体(monomer)の減少と同時に、オリゴマー(oligomer)と高分子量凝集体(high-molecul araggregates)の増加を確認することができる。
【0158】
実験例2.免疫ブロッティングによる培養細胞内オートファジー活性評価
前記化合物(実施例1-19)のオートファジー活性効能を評価するために、子宮頸癌患者由来細胞のHela細胞株を5%二酸化炭素が維持される培養器内で10%FBSと1%ストレプトマイシン/ペニシリンを含有したDMEM培地を用いて培養した。本化合物のうち代表化合物としてYOK-1107、YOK-4404、YOK-1104を選択し、これらの選択された代表化合物の処理によるオートファジー活性度を測定するために、6ウェルプレートにそれぞれの細胞を分注した。細胞がプレートの表面に完全に付着するように24時間の追加的な培養をした。それぞれの化合物がオートファジー現象を増加させることができる濃度を見出すために、試験化合物を1、2、5、10、20μMで希釈して処理した。各化合物の処理後、細胞を再び細胞培養器で24時間培養した後、細胞を収集した。収集された細胞からタンパク質を抽出するために、各サンプルに100ulの溶解バッファー(20mM Tris(pH7.4)、150mM NaCl、1%Triton X-100、2mM NaF、2mM EDTA、2mM beta-glycerophosphate、5mM sodium orthovanadate、1mM PMSF、leupeptin、aproteinin)を注入して細胞を溶解させた。測定された総タンパク質の濃度ベースで各サンプルにサンプルバッファーを追加して、100℃で5分間反応させた。反応済みのサンプルから5ulを取ってアクリルアミドゲルの各ウェルに分注した後、免疫ブロッティング法を実施した。免疫ブロッティング法は3回以上の独立した実験から代表的なものを図式化した。結果は
図3に示した。
【0159】
図3から確認できるように、本発明によるp62リガンド化合物を処理した場合、化合物の濃度に応じて漸増的にマクロオートファジー活性の標識子であるLC3の水準が増加することを確認することができた。
【0160】
実験例3.免疫ブロッティングによる培養細胞内オートファジー活性評価
前記化合物(実施例1-19)のオートファジー活性効能を調べるために、LC3をマーカーとして用いて実験例2と同様の方法で免疫ブロッティング法を行った。相違点としては、活性化に要求される処理時間および活性維持時間を評価するために、1、3、6、12、24、48時間、5μMの本化合物の中から選択された代表化合物としてYOK-1107、YOK-1204、YOK-1304、YOK-2204、YOK-3304、YOK-4404を処理した。他方では、24時間、10μMの本化合物の中から選択された代表化合物YOK-1107、YOK-1109、YOK-2207、YOK-2209、YT-4-1、YT-4-2、YT-6-1、YT-6-2、YT-6-8、YT-6-7、YT-9-1、YT-9-2を処理した。免疫ブロッティング法は3回以上の独立した実験から代表的なものを図式化し、その結果は
図4に示した。
図4から分かるように、本発明によるp62リガンド化合物を処理した場合、化合物の処理によって漸増的にマクロオートファジー活性の標識子であるLC3の水準が増加することを確認することができた。
【0161】
実験例4.免疫ブロッティングによる培養細胞内オートファジー活性評価
対照群化合物のオートファジー活性効能を調べるために、LC3をマーカーとして用いて実験例2と同様の方法で免疫ブロッティングを行った。対照群化合物としては下記の構造を有する化合物を用いた。
【0162】
【0163】
前記化合物を時間別または濃度別に処理して確認し、免疫ブロッティング法は3回以上の独立した実験から代表的なものを図式化した。その結果を
図5に示した。
図5に示されているように、前記対照群化合物は、処理した時間または濃度と関係なく、マクロオートファジー活性の標識子であるLC3の水準が増加しないことを確認することができた。
【0164】
実験例5.免疫蛍光染色法および共焦点顕微鏡による培養細胞内オートファジー活性評価
前記化合物(実施例1-19)のp62タンパク質の活性およびオートファジー現象の活性程度を把握するために、p62とLC3をマーカーとして用いて免疫蛍光染色法を行った。培養された細胞内で新規p62リガンドとその異性体によるp62活性およびオートファジー現象の活性程度を把握するために、子宮頸癌患者由来細胞株のHela細胞株に新規p62リガンド化合物(YOK-1106、YOK-1204、YOK-1504、YOK-2204、YOK-3304、YOK-4404、YOK-1107、YOK-1109、YOK-2207、YOK-2209、YT-4-1、YT-4-2、YT-6-1、YT-9-1およびYT-9-2)を処理して培養した後、オートファジー現象の標識子としてLC3の斑点の発現程度と位置およびp62との斑点位置の共存性を観察した。
【0165】
免疫蛍光染色のために、24-ウェルプレートにカバーガラスを位置させ、細胞を分注して24時間培養した後、5uMの本発明による新規p62リガンドを処理した。化合物の作用のために24時間を追加的に培養した後、培地を除去し、常温でホルムアルデヒドを用いて細胞を固定した。非特異的染色を防止するために、細胞を遮断溶液に常温で1時間反応させた後、遮断溶液を用いて一定比率で希釈したLC3抗体を処理した後、常温で1時間反応させた。抗体処理済みの細胞はPBSで3回洗浄し、遮断溶液を用いてヤギ由来二次抗体を一定比率で希釈した後、常温で30分反応させた。再びPBSで3回洗浄し、細胞内核染色のために、DAPI染色後、共焦点顕微鏡によりp62もLC3の発現程度、細胞内斑点の形成および細胞内共存の程度を観察した。結果は
図5に示した。免疫蛍光染色法は3回以上の独立した実験から代表的なものを図式化した。
【0166】
図6から確認できるように、本発明によるp62リガンド化合物を処理した後、p62タンパク質の細胞内斑点の形成、オートファゴソーム標識子であるLC3の細胞内斑点と位置共存性の増加およびLC3の細胞内斑点の形成増加を表すことを確認することができた。
【0167】
実験例6.免疫蛍光染色法および共焦点顕微鏡による培養細胞内オートファジー活性評価
対照群化合物(YOK-A-1104、YOK-G-1104、YTK-1005、YTK-1105-1)のp62タンパク質の活性およびオートファジー現象の活性程度を把握するために、p62とLC3をマーカーとして用いて実験例4と同様の方法で免疫蛍光染色法を行った。YOK-A-1104、YOK-G-1104は次の化学式を有する化合物である。
【0168】
【0169】
化合物を濃度別に処理してp62またはLC3の細胞内斑点、つまり、オートファゴソームが形成され、p62が伝達される程度を共焦点顕微鏡で観察した。結果は
図7に示した。免疫蛍光染色法は3回以上の独立した実験から代表的なものを図式化した。
図7から確認できるように、対照群化合物を処理した濃度と関係なく、p62タンパク質の細胞内斑点の形成、オートファゴソーム標識子であるLC3の細胞内斑点と位置共存性の増加およびLC3の細胞内斑点の形成が増加しないことを確認することができた。
【0170】
実験例7.免疫蛍光染色法および共焦点顕微鏡による培養細胞内ユビキチン化されたタンパク質がp62で媒介されるオートファジーへの伝達活性評価
前記化合物(実施例1-19)のユビキチン化されたタンパク質のp62で媒介されるオートファジー伝達活性程度を把握するために、p62とFK2をマーカーとして用いて実験例4と同様の方法で免疫蛍光染色法を行った。化合物はYT-4-1、YT-4-2、YT-6-1、YT-6-7、YT-6-8、YOK-4404、YOK-1106、YOK-1107、YOK-1109、YOK-1204、YOK-1204を処理した。化合物を処理した後、p62またはFK2の細胞内斑点、つまり、p62とユビキチン化されたタンパク質がオートファゴソームに伝達される程度を共焦点顕微鏡で観察した。結果は
図8Aおよび8Bに示した。免疫蛍光染色法は3回以上の独立した実験から代表的なものを図式化した。
【0171】
図8Aおよび8Bから確認できるように、本発明によるp62リガンド化合物を処理した後、p62タンパク質とユビキチン化されたタンパク質の標識子であるFK2の細胞内斑点の形成およびこれら斑点の位置共存性の増加を確認することができた。
【0172】
実験例8.免疫蛍光染色法および共焦点顕微鏡による培養細胞内変性ハンチンチンタンパク質がp62で媒介されるオートファジーへの伝達活性評価
前記化合物(実施例1-19)の退行性脳疾患ハンチントン病の主要タンパク質である変性ハンチンチン(Htt-Q103)がp62で媒介されるオートファジー伝達活性程度を把握するために、p62とHtt-Q103-GFPをマーカーとして用いて実験例4と同様の方法で免疫蛍光染色法を行った。化合物はYOK-1106、YOK-1107、YOK-1109、YOK-1204、YOK-2204、YOK-4404、YT-4-1、YT-4-2、YT-6-1、YT-6-7、YT-9-1を用いた。化合物を処理した後、p62またはHtt-Q103-GFPの細胞内斑点、つまり、p62と変性ハンチンチンタンパク質がオートファゴソームに伝達される程度を共焦点顕微鏡で観察した。結果は
図9Aおよび9Bに示した。免疫蛍光染色法は3回以上の独立した実験から代表的なものを図式化した。
【0173】
図9Aおよび9Bから確認できるように、本発明によるp62リガンド化合物を処理した後、p62タンパク質とユビキチン化されたタンパク質の標識子であるFK2の細胞内斑点の形成およびこれら斑点の位置共存性の増加を確認することができた。