(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-10
(45)【発行日】2023-02-20
(54)【発明の名称】半導体装置の製造装置、および、半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/52 20060101AFI20230213BHJP
H01L 21/60 20060101ALI20230213BHJP
【FI】
H01L21/52 F
H01L21/60 311T
(21)【出願番号】P 2021565367
(86)(22)【出願日】2020-11-10
(86)【国際出願番号】 JP2020041939
(87)【国際公開番号】W WO2021124732
(87)【国際公開日】2021-06-24
【審査請求日】2021-09-03
(31)【優先権主張番号】P 2019227360
(32)【優先日】2019-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】519294332
【氏名又は名称】株式会社新川
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】瀬山 耕平
(72)【発明者】
【氏名】高橋 誠
【審査官】堀江 義隆
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/170645(WO,A1)
【文献】特開2012-174755(JP,A)
【文献】特開2017-069554(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/52
H01L 21/60
H05K 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板が載置されるステージと、
前記ステージに対して相対的に、任意のポイントに移動可能なボンディングヘッドと、
前記ボンディングヘッドの位置を検出する位置検出手段と、
前記ボンディングヘッドに取り付けられ、チップを保持するボンディングツールと、
前記ボンディングヘッドに取り付けられ、前記ステージ上面または前記ステージに載置された基板上面である載置面を上方から撮像する第一カメラと、
コントローラと、
を備え、前記コントローラは、
前記ボンディングヘッドを前記任意のポイントに移動させたうえで、前記ボンディングツールを駆動して、前記チップを前記載置面に載置させる載置処理と、
前記チップが載置された後の前記載置面を前記第一カメラに撮像させた画像を検査画像として取得する検査画像取得処理と、
前記検査画像内における前記チップの位置に基づいて、前記ボンディングツールに対する前記第一カメラのオフセット量であるカメラオフセット量の補正量をエリア補正量として算出する補正値算出処理と、
算出されたエリア補正量と、前記位置検出手段で検出された前記任意のポイントの位置と、を対応付けて記憶装置に記憶する記憶処理と、
を1以上のポイントそれぞれについて実行するように構成されている、
ことを特徴とする半導体装置の製造装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置の製造装置であって、
前記コントローラは、前記補正値算出処理において、前記検査画像内におけるチップの実位置と、設計上の前記カメラオフセット量から求まる前記検査画像内における前記チップの理想位置と、の差分に基づいて前記エリア補正
量を算出する、ことを特徴とする半導体装置の製造装置。
【請求項3】
請求項2に記載の半導体装置の製造装置であって、さらに、
前記ボンディングツールを下側から撮像する第二カメラを備え、
前記コントローラは、前記載置処理に先立って、前記ボンディングツールに保持された前記チップを前記第二カメラに撮像させた画像をツール画像として取得するツール画像取得処理を、実行するように構成されており、
前記コントローラは、前記ツール画像に基づいて前記チップの中心に対する前記ボンディングツールの中心のオフセット量であるチップオフセット量を算出し、前記チップオフセットおよび設計上の前記カメラオフセット量に基づいて、前記検査画像内における前記チップの理想位置を算出する、
ことを特徴とする半導体装置の製造装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の半導体装置の製造装置であって、
前記コントローラは、前記載置処理の実行後、前記ボンディングヘッドを水平移動させることなく、前記検査画像取得処理を実行する、ことを特徴とする半導体装置の製造装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の半導体装置の製造装置であって、
前記位置検出手段は、前記ボンディングヘッドの駆動系に搭載された位置センサを含む、ことを特徴とする半導体装置の製造装置。
【請求項6】
ボンディングツールおよび第一カメラが取り付けられたボンディングヘッドを、ステージの上の任意のポイントに移動させるステップと、
前記ボンディングツールで保持されたチップを、前記ステージの上面または前記ステージに載置された基板の上面である載置面に載置するステップと、
前記チップが載置された後の前記載置面を前記第一カメラに撮像させた画像を検査画像として取得するステップと、
前記検査画像内における前記チップの位置に基づいて、前記ボンディングツールに対する前記第一カメラのオフセット量であるカメラオフセット量の補正量をエリア補正量として算出するステップと、
算出されたエリア補正量と、前記任意のポイントの位置と、を対応付けて記憶装置に記憶するステップと、
を1以上のポイントそれぞれについて実行する、ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項7】
基板が載置されるステージと、
前記ステージに対して相対的に移動可能なボンディングヘッドと、
前記ボンディングヘッドに取り付けられ、チップを前記基板にボンディングするボンディングツールと、
前記ボンディングヘッドに取り付けられ、前記ステージ上面または前記ステージに載置された基板上面である載置面を上方から撮像する第一カメラと、
コントローラと、
を備え、前記コントローラは、
前記ボンディングヘッドを任意のポイントに移動させたうえで、前記ボンディングツールを駆動して、参照チップを前記載置面に載置させる第一載置処理と、
前記参照チップが載置された後の前記載置面を前記第一カメラに撮像させた画像を参照画像として取得する参照画像取得処理と、
前記参照画像に基づいて前記参照チップの真上に検査チップを載置できるように前記ボンディングヘッドを位置決めしたうえで、前記ボンディングツールを駆動して、検査チップを前記参照チップの上に載置させる第二載置処理と、
前記検査チップが載置された後の前記載置面を前記第一カメラに撮像させた画像を検査画像として取得する検査画像取得処理と、
前記検査画像内における前記参照チップと前記検査チップとの位置ずれに基づいて、前記ボンディングツールに対する前記第一カメラのオフセット量であるカメラオフセット量の補正量をエリア補正量として算出する補正値算出処理と、
算出されたエリア補正量と、前記任意のポイントの位置と、を対応付けて記憶装置に記憶する記憶処理と、
を1以上のポイントそれぞれについて実行するように構成されている、
ことを特徴とする半導体装置の製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書では、基板上に半導体チップを実装して半導体装置を製造する半導体装置の製造装置、および、半導体装置製造方法を開示する。
【背景技術】
【0002】
従来から、基板上に半導体チップを実装して半導体装置を製造する技術が広く知られている。かかる半導体装置の製造技術では、半導体チップを目標位置に確実に実装することが求められている。そのため、ボンディングヘッドに、半導体チップをボンディングするボンディングツールと、基板を撮像するカメラと、を設け、カメラでの撮像画像に基づいて基板に対するボンディングツールの相対位置を判断し、半導体チップを目標位置に実装することが従来から提案されている。
【0003】
かかる技術によれば、半導体チップをより確実に目標位置に実装できる。ここで、撮像画像に基づいて基板に対するボンディングツールの相対位置を正確に算出するためには、ボンディングツールとカメラとのオフセット量(以下「カメラオフセット量」という)の正確な値が必要となる。しかし、カメラオフセット量は、製造装置の歪み(特に、ボンディングヘッドの駆動系の歪み)や温度変化等に起因して変動することが多く、カメラオフセット量の正確な値を取得することは難しかった。その結果、従来技術では、半導体チップの位置精度が低下する場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6256486号公報
【文献】特開2004-146776号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1および特許文献2には、ボンディングツールで保持されたチップおよび基板の双方を同時に撮像可能な上下二視野カメラを設け、この二視野カメラで得られた画像に基づいて、検査用のチップが基板の目標位置に位置するようにボンディングヘッドを駆動し、載置されたチップの実際の位置から、必要な補正量を算出する技術が開示されている。
【0006】
かかる特許文献1,2によれば、チップの位置誤差をある程度、低減できる。しかしながら、特許文献1,2は、高価な上下二視野カメラが必要であり、コスト増加を招くおそれがあった。また、特許文献1では、補正量算出に当たって、アライメントマークが付された専用の基板が必要であった。また、特許文献2では、補正量算出の手順が非常に複雑で、時間がかかっていた。
【0007】
そこで、本明細書では、より簡易な手順で、半導体チップを実装する際の位置精度をより向上できる半導体装置の製造装置および半導体装置の製造方法を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書で開示する半導体装置の製造装置は、基板が載置されるステージと、前記ステージに対して相対的に、任意のポイントに移動可能なボンディングヘッドと、前記ボンディングヘッドの位置を検出する位置検出手段と、前記ボンディングヘッドに取り付けられ、チップを保持するボンディングツールと、前記ボンディングヘッドに取り付けられ、前記ステージ上面または前記ステージに載置された基板上面である載置面を上方から撮像する第一カメラと、コントローラと、を備え、前記コントローラは、前記ボンディングヘッドを前記任意のポイントに移動させたうえで、前記ボンディングツールを駆動して、前記チップを前記載置面に載置させる載置処理と、前記チップが載置された後の前記載置面を前記第一カメラに撮像させた画像を検査画像として取得する検査画像取得処理と、前記検査画像内における前記チップの位置に基づいて、前記ボンディングツールに対する前記第一カメラのオフセット量であるカメラオフセット量の補正量をエリア補正量として算出する補正値算出処理と、算出されたエリア補正量と、前記位置検出手段で検出された前記任意のポイントの位置と、を対応付けて記憶装置に記憶する記憶処理と、を1以上のポイントそれぞれについて実行するように構成されている、ことを特徴とする。
【0009】
この場合、前記コントローラは、前記補正値算出処理において、前記検査画像内におけるチップの実位置と、設計上の前記カメラオフセット量から求まる前記検査画像内における前記チップの理想位置と、の差分に基づいて前記エリア補正値を算出してもよい。
【0010】
また、この場合、さらに、前記ボンディングツールを下側から撮像する第二カメラを備え、前記コントローラは、前記載置処理に先立って、前記ボンディングツールに保持された前記チップを前記第二カメラに撮像させた画像をツール画像として取得するツール画像取得処理を、実行するように構成されており、前記コントローラは、前記ツール画像に基づいて前記チップの中心に対する前記ボンディングツールの中心のオフセット量であるチップオフセット量を算出し、前記チップオフセットおよび設計上の前記カメラオフセット量に基づいて、前記検査画像内における前記チップの理想位置を算出してもよい。
【0011】
また、前記コントローラは、前記載置処理の実行後、前記ボンディングヘッドを水平移動させることなく、前記検査画像取得処理を実行してもよい。
【0012】
また、前記位置検出手段は、前記ボンディングヘッドの駆動系に搭載された位置センサを含んでもよい。
【0013】
本明細書で開示される半導体装置の製造方法は、ボンディングツールおよび第一カメラが取り付けられたボンディングヘッドを、ステージの上の任意のポイントに移動させるステップと、前記ボンディングツールで保持されたチップを、前記ステージの上面または前記ステージに載置された基板の上面である載置面に載置するステップと、前記チップが載置された後の前記載置面を前記第一カメラに撮像させた画像を検査画像として取得するステップと、前記検査画像内における前記チップの位置に基づいて、前記ボンディングツールに対する前記第一カメラのオフセット量であるカメラオフセット量の補正量をエリア補正量として算出するステップと、算出されたエリア補正量と、前記任意のポイントの位置と、を対応付けて記憶装置に記憶するステップと、を1以上のポイントそれぞれについて実行する、ことを特徴とする。
【0014】
本明細書で開示される他の半導体装置の製造装置は、基板が載置されるステージと、前記ステージに対して相対的に移動可能なボンディングヘッドと、前記ボンディングヘッドに取り付けられ、チップを前記基板にボンディングするボンディングツールと、前記ボンディングヘッドに取り付けられ、前記ステージ上面または前記ステージに載置された基板上面である載置面を上方から撮像する第一カメラと、コントローラと、を備え、前記コントローラは、前記ボンディングヘッドを任意のポイントに移動させたうえで、前記ボンディングツールを駆動して、参照チップを前記載置面に載置させる第一載置処理と、前記参照チップが載置された後の前記載置面を前記第一カメラに撮像させた画像を参照画像として取得する参照画像取得処理と、前記参照画像に基づいて前記参照チップの真上に検査チップを載置できるように前記ボンディングヘッドを位置決めしたうえで、前記ボンディングツールを駆動して、検査チップを前記参照チップの上に載置させる第二載置処理と、前記検査チップが載置された後の前記載置面を前記第一カメラに撮像させた画像を検査画像として取得する検査画像取得処理と、前記検査画像内における前記参照チップと前記検査チップとの位置ずれに基づいて、前記ボンディングツールに対する前記第一カメラのオフセット量であるカメラオフセット量の補正量をエリア補正量として算出する補正値算出処理と、算出されたエリア補正量と、前記任意のポイントの位置と、を対応付けて記憶装置に記憶する記憶処理と、を1以上のポイントそれぞれについて実行するように構成されている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本明細書で開示する半導体装置の製造装置および製造方法によれば、より簡易な手順で、半導体チップを実装する際の位置精度をより向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図2】半導体チップを基板上の目標位置にボンディングする際の流れを示すフローチャートである。
【
図5】カメラオフセット誤差が生じる様子を示すイメージ図である。
【
図6】エリア補正量の取得の流れを示すフローチャートである。
【
図7A】エリア補正量の取得の流れを示すイメージ図である。
【
図7B】エリア補正量の取得の流れを示すイメージ図である。
【
図7C】エリア補正量の取得の流れを示すイメージ図である。
【
図9】エリア補正量の他の取得手順を示すフローチャートである。
【
図10】エリア補正量の他の取得手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して半導体装置の製造装置10の構成について説明する。
図1は、製造装置10の構成を示す模式図である。この製造装置10は、基板100に複数の半導体チップ110をボンディングすることで半導体装置を製造する。
【0018】
製造装置10は、ピックアップユニット12と、ボンディングヘッド14と、ステージ16と、コントローラ18と、を有している。ピックアップユニット12は、ダイシングテープ120に載置された半導体チップ110を突き上げる突き上げピン20と、突き上げられた半導体チップ110をその底面で保持するピックアップヘッド22と、を有する。ピックアップヘッド22は、水平方向に延びる回転軸Oを中心に回転可能となっている。ピックアップヘッド22が、180度回転することで、ピックアップした半導体チップ110を厚み方向に180度反転させることができる。これにより、半導体チップ110のうちダイシングテープ120に接着されていた面が上方に向く。
【0019】
ボンディングヘッド14は、図示しないXY駆動機構により、ステージ16の上面と平行な水平方向に移動する。XY駆動機構は、駆動源(モータ等)と、移動位置を検出するセンサ(例えばエンコーダ等)と、を備えている。このボンディングヘッド14には、半導体チップ110を吸着保持するボンディングツール24が設けられている。このボンディングツール24は、図示しないZ軸駆動機構により水平方向と直交する鉛直方向に昇降可能であるとともに、鉛直方向に延びる軸Aを中心として回転可能となっている。
【0020】
また、ボンディングヘッド14には、第一カメラ26も設けられている。第一カメラ26は、光軸が下方に延びる姿勢でボンディングヘッド14に取り付けられており、ステージ16の上面または当該ステージ16に載置された基板100の上面(以下「載置面」と呼ぶ)を撮像する。ボンディングツール24および第一カメラ26は、いずれも、ボンディングヘッド14に固定されているため、両者は、ボンディングヘッド14とともに移動する。
【0021】
なお、以下では、ボンディングツール24の中心軸に対する第一カメラ26の光軸のオフセット量を「カメラオフセット量Ocm」と呼ぶ。このカメラオフセット量Ocmの設計上の値は、基礎カメラオフセット量Ocm_bとして、コントローラ18のメモリに予め記憶されている。ただし、駆動系の歪みや温度変化等に起因して、実際のカメラオフセット量Ocmと基礎カメラオフセット量Ocm_bとの間には、若干の誤差が発生する場合がある。そこで、本例では、半導体チップ110のボンディング処理に先立って、実際のカメラオフセット量Ocmと基礎カメラオフセット量Ocm_bと誤差を補正するためのエリア補正量Cを算出しているが、これについては後述する。
【0022】
ステージ16は、図示しない搬送機構により搬送された基板100を真空吸着して支持する。ステージ16の近傍には、光軸が上方に延びる姿勢で配置された第二カメラ28が、設けられている。第二カメラ28は、ボンディングツール24の底面および当該ボンディングツール24で保持された半導体チップ110を撮像する。
【0023】
コントローラ18は、製造装置10の各部の駆動を制御するもので、例えば、各種演算を実行するプロセッサと、各種プログラムおよびデータを記憶するメモリと、を有する。このコントローラ18は、ピックアップユニット12およびボンディングヘッド14を駆動して、基板100上に複数の半導体チップ110をボンディングさせる。また、コントローラ18は、ボンディングの位置精度を向上するために、複数のポイントPi(i=1,2,・・・,imax)それぞれについて、上述したエリア補正量Cを算出し、記憶するが、これについては後述する。
【0024】
次に、半導体チップ110を基板100上の目標位置にボンディングする際の流れについて、
図2を参照して説明する。半導体チップ110を基板100にボンディングする際、コントローラ18は、まず、ボンディングヘッド14およびピックアップユニット12を駆動して、ボンディングツール24の底面に半導体チップ110を保持させる(S10)。続いて、コントローラ18は、ボンディングツール24が第二カメラ28の視野に入るようにボンディングヘッド14を移動させたうえで、第二カメラ28で、半導体チップ110を保持したボンディングツール24の底面を撮像させる(S12)。以下では、このボンディングツール24の底面を撮像した画像を「ツール画像40」と呼ぶ。
図3は、このツール画像40の一例を示す図である。
【0025】
図3に示すように、ツール画像40には、ボンディングツール24の底面と、当該底面に吸着保持された半導体チップ110と、が写っている。コントローラ18は、このツール画像40に基づいて、X軸に対する半導体チップ110の傾きを算出し、当該傾きを補正するように(すなわち半導体チップ110の辺がX軸と平行になるように)、ボンディングツール24を軸A回りに回転させる。また、得られたツール画像40は、コントローラ18のメモリに一時記憶される。
【0026】
ツール画像40が得られれば、コントローラ18は、基板100の上側にボンディングヘッド14を移動させる(S14)。その状態で、コントローラ18は、第一カメラ26を駆動して、載置面(すなわち基板100上面)を撮像させる(S16)。以下では、この第一カメラ26で得られる画像を「載置面画像42」と呼ぶ。
図4は、載置面画像42の一例を示す図である。
【0027】
載置面画像42が得られれば、コントローラ18は、この載置面画像42、ツール画像40、カメラオフセット量Ocmに基づいて、半導体チップ110と目標位置Ptgとの相対位置関係を算出する(S18)。
【0028】
この算出原理について
図4を参照して説明する。半導体チップ110の中心Pcpに対する目標位置Ptgのオフセット量である最終オフセット量Osは、Os=Ocp+Ocm+Otgとなる。ここで、Ocpは、半導体チップ110の中心Pcpに対するボンディングツール24の中心軸Ptlのオフセット量(以下「チップオフセット量Ocpという」)である。このチップオフセット量Ocpは、ツール画像40を分析することで算出できる。また、Ocmは、ボンディングツール24の中心軸Ptlに対する第一カメラ26の光軸位置Pcmのオフセット量、すなわち、カメラオフセット量Ocmである。このカメラオフセット量Ocmは、予め記憶された基礎カメラオフセット量Ocm_bと、後述するエリア補正量Cと、に基づいて算出できる。
【0029】
さらに、Otgは、第一カメラ26の光軸位置Pcmに対する目標位置Ptgのオフセット量(以下「目標オフセット量Otg」という)である。この目標オフセット量Otgは、載置面画像42を分析することで算出できる。すなわち、
図4に示すように、通常、基板100には、位置決めの基準となる基板側マーク102が、存在する。
図4の図示例では、基板側マーク102は、十文字状のマークであり、基板100の四隅近傍に設けられている。第一カメラ26は、この基板側マーク102が写り込むような画角で載置面を撮像する。したがって、載置面画像42には、基板側マーク102が、写り込んでいる。載置面画像42内における目標位置Ptgは、この基板側マーク102を基準として特定できる。また、載置面画像42の中心位置は、第一カメラ26の光軸位置Pcmとみなすことができる。そして、目標オフセット量Otgは、載置面画像42の中心位置(第一カメラ26の光軸位置Pcm)に対する載置面画像42内における目標位置Ptgのオフセット量から求めることができる。
【0030】
半導体チップ110の中心Pcpと目標位置Ptgとの相対位置関係、すなわち、最終オフセット量Osが算出できれば、コントローラ18は、この最終オフセット量Os分だけボンディングヘッド14を移動させる。これにより、ボンディングツール24で保持された半導体チップ110は、目標位置Ptgの真上に位置することになる。この状態になれば、コントローラ18は、ボンディングツール24を下降させ、半導体チップ110を目標位置Ptgにボンディングさせる。
【0031】
以上の説明で明らかな通り、本例では、半導体チップ110の位置決めに当たって、チップオフセット量Ocp、カメラオフセット量Ocm、および、目標オフセット量Otgを利用している。換言すれば、半導体チップ110を正確に位置決めするためには、チップオフセット量Ocp、カメラオフセット量Ocm、および、目標オフセット量Otgそれぞれの正確な値が必要となる。ここでチップオフセット量Ocpおよび目標オフセット量Otgの正確な値は、ツール画像40および載置面画像42から算出することができる。
【0032】
一方、カメラオフセット量Ocmは、ツール画像40および載置面画像42から把握することはできず、予め、正確な値を記憶しておく必要がある。ここで、上述した通り、コントローラ18のメモリには、カメラオフセット量Ocmの設計上の値、すなわち、基礎カメラオフセット量Ocm_bが記憶されている。ただし、ボンディングヘッド14の駆動系の歪み等に起因して、実際のカメラオフセット量Ocmと基礎カメラオフセット量Ocm_bとの間には、誤差(以下「カメラオフセット誤差」という)が生じる場合がある。
【0033】
これについて、
図5を参照して説明する。
図5は、カメラオフセット誤差が生じる様子を示すイメージ図である。ボンディングヘッド14の駆動系には、機械的な歪みが生じる場合がある。例えば、
図5に示すように、ボンディングヘッド14のX方向の移動をガイドするXガイドレール15xに撓みが生じる場合がある。この場合、ボンディングヘッド14の位置によって、ボンディングツール24に対する第一カメラ26の相対位置が変化し、カメラオフセット誤差が発生する場合がある。また、Xガイドレール15xの撓みに伴い、第一カメラ26の光軸またはボンディングツール24の中心軸が傾く場合がある。この場合、載置面画像42内における、ボンディングツール24の中心軸に対する第一カメラ26の光軸の相対位置が変化し、カメラオフセット誤差が発生する。こうしたカメラオフセット誤差は、ボンディングヘッド14の位置によって異なる。例えば、上述したXガイドレール15xの撓み量は、当該Xガイドレール15xの中心に近づくほど、大きくなりやすいため、カメラオフセット誤差も、Xガイドレール15xの中心に近づくほど、大きくなりやすい。
【0034】
半導体チップ110を正確に位置決めするためには、ボンディングヘッド14の位置によって異なるカメラオフセット誤差を正確に補正する必要がある。そこで、本例では、半導体チップ110のボンディングに先だって、このカメラオフセット誤差を補正するためのエリア補正量Cを、複数のポイントPiそれぞれについて取得している。以下、このエリア補正量Cの取得について説明する。
【0035】
図6は、エリア補正量Cの取得の流れを示すフローチャートである。また、
図7A~
図7Cは、エリア補正量Cの取得の流れを示すイメージ図である。
図6に示す処理は、半導体チップ110のボンディングに先だって行われる。また、コントローラ18のメモリには、複数のポイントPiの座標値が予め記憶されている。この複数のポイントPiの個数や配置間隔、配置範囲等は、特に限定されない。例えば、通常、一つの基板100には、複数の目標位置が設定されており、半導体チップ110は、この複数の目標位置に実装される。複数のポイントPiは、この複数の目標位置と同じであってもよい。
【0036】
エリア補正量Cを取得する際、コントローラ18は、まず、パラメータiを初期化し、i=1とする(S30)。続いて、コントローラ18は、ピックアップユニット12およびボンディングヘッド14を駆動して、検査チップ130を、ボンディングツール24の先端に保持させる(S32)。ここで、検査チップ130は、ボンディングツール24で取り扱えるものであれば特に限定されない。したがって、検査チップ130は、例えば、実際にボンディングされる半導体チップ110でもよい。また、検査チップ130は、エリア補正量Cの算出のために特別に設けられた専用チップでもよい。この場合、検査チップ130には、何らかのアライメントマークが付されてもよい。
【0037】
次に、コントローラ18は、ボンディングヘッド14および第二カメラ28を駆動して、ツール画像40を取得する(S34)。具体的には、コントローラ18は、
図7Aに示すように、ボンディングツール24が第二カメラ28の真上に位置するようにボンディングヘッド14を移動させたうえで、第二カメラ28に、ボンディングツール24およびこれに保持された検査チップ130を撮像させる。検査チップ130がX軸に対して傾いている場合、コントローラ18は、当該傾きを解消するように、ボンディングツール24を軸A回りに回転させる。また、この撮像で得られたツール画像40は、コントローラ18のメモリに一時記憶される。
【0038】
次に、コントローラ18は、ボンディングヘッド14を、ポイントPiに移動させる(S36)。この移動は、ボンディングヘッド14の駆動系に搭載された位置センサ(例えば、エンコーダー等)の検知結果に基づいて制御される。ポイントPiに到達すれば、コントローラ18は、
図7Bに示すように、ボンディングツール24を下降させて、検査チップ130を載置面に載置させる(S38)。ここで、載置面は、上述した通り、ステージ16の上面でもよいし、ステージ16に載置された基板100の上面でもよい。いずれの場合であっても、載置面には、特別なアライメントマークは、不要である。換言すれば、本例の場合、エリア補正量Cの取得のために、専用の基板100等を用意する必要はない。
【0039】
検査チップ130を載置面に載置できれば、コントローラ18は、
図7Cに示すように、第一カメラ26を駆動して、載置面および当該載置面に載置された検査チップ130を撮像させる(S40)。以下では、この載置面および検査チップ130を撮像した画像を「検査画像44」と呼ぶ。
【0040】
検査画像44が得られれば、コントローラ18は、この検査画像44およびツール画像40に基づいて、エリア補正量Cを算出する(S42)。これについて、
図8を参照して説明する。
図8が、検査画像44の一部拡大図である。
【0041】
本例では、検査画像44内における検査チップ130の実位置と理想位置と、の差分に基づいてエリア補正量Cを算出する。ここで、検査チップ130の理想位置とは、カメラオフセット量Ocmが、基礎カメラオフセット量Ocm_bと等しい場合、換言すれば、カメラオフセット誤差がゼロの場合における、検査チップ130の検査画像44内での位置のことである。
図8では、検査チップ130の実位置を実線で、理想位置を、二点鎖線で図示している。
【0042】
理想位置は、検査画像44の中心(すなわち第一カメラ26の光軸)から、L=Ocm_b+Ocp分、ずれた位置となる。基礎カメラオフセット量Ocm_bは、繰り返し述べる通り、メモリに予め記憶されている。また、チップオフセット量Ocpは、ツール画像40から求めることができる。
【0043】
また、検査チップ130の実位置は、検査画像44を画像解析することで算出できる。例えば、検査チップ130に、アライメントマークが付されている場合には、当該アライメントマークをパターンマッチング等の技術を用いて抽出し、抽出されたアライメントマークの検査画像44内での座標を特定すればよい。
【0044】
検査画像44内での検査チップ130の実位置および理想位置が、それぞれ算出できれば、コントローラ18は、両者の差分を算出し、その値を相殺する値をエリア補正量Cとして算出する。例えば、
図8に示すように、検査チップ130の理想位置が、実位置からみて、(-X1,-Y1)だけズレていたとする。この場合、コントローラ18は、このズレを相殺する値(X1,Y1)をエリア補正量Cとして算出する。半導体チップ110をボンディングツール24する際には、基礎カメラオフセット量Ocm_bに、このエリア補正量Cを加算した値を、カメラオフセット量Ocmとして用いればよい。
【0045】
エリア補正量Cが算出できれば、コントローラ18は、当該エリア補正量Cと、現在のポイントPiの位置と、を対応づけて、メモリに記憶する(S44)。一つのポイントPiについて、エリア補正量Cが算出できれば、パラメータiをインクリメントしたうえで(S46)、ステップS32に戻る。そして、同様の手順で新たなポイントPiにおけるエリア補正量Cを算出する。なお、新たなポイントPiのエリア補正量Cの取得に用いる検査チップ130は、ピックアップユニット12から新たに供給されるチップでもよいし、載置面に既に載置された検査チップ130でもよい。したがって、例えば、複数のポイントPiそれぞれに一つずつ検査チップ130を載置するようにしてもよい。また、別の形態として、一つの検査チップ130を複数のポイントPiに順番に載置しながら、複数のエリア補正量Cを順次、取得するようにしてもよい。いずれにしても、全てのポイントPiについてエリア補正量Cが算出できれば(すなわちS46でYesとなれば)、処理は終了となる。
【0046】
ここで、これまでの説明で明らかな通り、エリア補正量Cが補正する誤差は、載置面上の絶対位置を基準とする誤差ではなく、第一カメラ26とボンディングツール24とのカメラオフセット誤差である。そのため、本例では、エリア補正量Cを取得するために検査チップ130を載置する場合でも、当該検査チップ130の載置面に対する相対位置を厳密に管理する必要がない。その結果、検査チップ130の位置決めのための複雑な手順が不要であり、エリア補正量Cを、簡易な手順で得ることができる。
【0047】
また、このエリア補正量Cの算出に当たっては、検査チップ130の載置面に対する相対位置を厳密に管理する必要がないため、載置面に特別なアライメントマーク等が付されている必要がない。結果として、補正量算出のための特別な載置面を用意する必要がなく、補正量取得に要するコストや手間を低減できる。さらに、本例では、ボンディングツール24と載置面とを同時に撮像する必要がないため、高価な上下二視野のカメラが不要であり、コストをより低減できる。さらに、本例では、複数のポイントPiそれぞれについて、エリア補正量Cを算出し、記憶することで、位置依存の誤差にも対応でき、ボンディングの位置精度をより向上できる。
【0048】
次に、エリア補正量Cの取得手順の他の例について
図9~
図13を参照して説明する。
図9、
図10は、エリア補正量Cの他の取得手順を示すフローチャートである。また、
図11、
図12は、
図9、
図10のフローチャートに従った取得手順の様子を示すイメージ図である。この例では、エリア補正量Cの取得のために、検査チップ130に加え、参照チップ140を用いる。参照チップ140は、検査チップ130より先に載置面に載置され、検査チップ130の位置決め目標として用いられるチップである。この参照チップ140は、その形状やサイズ等は、特に限定されない。この参照チップ140には、画像解析で当該参照チップ140の位置を把握しやすくするために、何らかのアライメントマークが設けられていてもよい。
【0049】
検査チップ130は、この参照チップ140の上に載置される。この検査チップ130の形状やサイズ等も特に限定されない。ただし、参照チップ140の表面にアライメントマークが付されている場合、検査チップ130は、透明材料、例えば、ガラスやポリカーボネート、アクリル、ポリエステル、透明セラミック等で構成される透明チップであってもよい。かかる構成とすることで、参照チップ140の上に検査チップ130を重ねても、参照チップ140のアライメントマークを確認できる。また、参照チップ140と同様に、検査チップ130の表面にも何らかのアライメントマークを設けてもよい。また、検査チップ130は、参照チップ140より小さいサイズでもよい。かかる構成とすることで、参照チップ140に対する位置がずれた状態で検査チップ130を参照チップ140の上に載置した場合でも、検査チップ130が参照チップ140から落下しにくくなる。
【0050】
エリア補正量Cを取得する場合、コントローラ18は、まず、パラメータiを初期化し、i=1とする(S50)。続いて、コントローラ18は、ボンディングヘッド14およびピックアップユニット12を駆動して、ボンディングツール24の先端に参照チップ140を保持させる(S52)。
【0051】
次に、コントローラ18は、ボンディングヘッド14および第二カメラ28を駆動して、ツール画像40を取得する(S54)。具体的には、コントローラ18は、
図11Aに示すように、ボンディングツール24が第二カメラ28の真上に位置するようにボンディングヘッド14を移動させたうえで、第二カメラ28に、ボンディングツール24およびこれに保持された参照チップ140を撮像させる。コントローラ18は、このツール画像40に基づいて、参照チップ140のX軸に対する傾きを算出し、当該傾きを解消するように、ボンディングツール24を軸A回りに回転させる。
【0052】
次に、コントローラ18は、ボンディングヘッド14を、ポイントPiに移動させる(S56)。この移動は、ボンディングヘッド14の駆動系に搭載された位置センサ(例えば、エンコーダー等)の検知結果に基づいて制御される。ポイントPiに到達すれば、コントローラ18は、
図11Bに示すように、ボンディングツール24を下降させて、参照チップ140を載置面に載置させる(S58)。ここで、載置面は、ステージ16の上面でもよいし、ステージ16に載置された基板100の上面でもよい。
【0053】
参照チップ140が載置面に載置されれば、コントローラ18は、ボンディングツール24に検査チップ130を保持させる(S60)。そして、コントローラ18は、ボンディングヘッド14および第二カメラ28を駆動して、ツール画像40を取得する(S62)。すなわち、コントローラ18は、
図11Cに示すように、ボンディングツール24が第二カメラ28の真上に位置するようにボンディングヘッド14を移動させたうえで、第二カメラ28に、ボンディングツール24およびこれに保持された検査チップ130を撮像させる。コントローラ18は、このツール画像40に基づいて、検査チップ130のX軸に対する傾きを算出し、当該傾きを解消するように、ボンディングツール24を軸A回りに回転させる。また、コントローラ18は、このツール画像40をメモリに一時記憶する。
【0054】
続いて、コントローラ18は、ボンディングヘッド14をポイントPiに移動させたうえで(S64)、
図12Aに示すように、参照チップ140が載置された載置面を第一カメラ26に撮像させる(S66)。以下では、この参照チップ140が載置された載置面を撮像した画像を「参照画像」と呼ぶ。次に、コントローラ18は、ボンディングツール24で保持されている検査チップ130が参照チップ140の真上に位置するように、ボンディングヘッド14を移動させる(S68)。すなわち、コントローラ18は、参照画像およびステップS62で取得されたツール画像40に基づいて、載置面に載置された参照チップ140と、ボンディングツール24に保持された検査チップ130と、の相対位置を算出する。この相対位置の算出手順は、カメラオフセット量Ocmとして、基礎カメラオフセット量Ocm_bを用いる点を除けば、
図5を参照して説明した手順と同じである。すなわち、コントローラ18は、ツール画像40に基づいて、検査チップ130に対するボンディングツール24のオフセット量であるチップオフセット量Ocpを算出する。また、コントローラ18は、参照画像に基づいて、第一カメラ26の光軸(すなわち参照画像の中心)に対する目標位置(すなわち参照チップ140)のオフセット量である目標オフセット量Otgを算出する。そして、コントローラ18は、この算出されたチップオフセット量Ocpと、目標オフセット量Otgと、基礎カメラオフセット量Ocm_bと、を加算した値を、最終オフセット量Osとして算出する。実際のカメラオフセット量Ocmが、基礎カメラオフセット量Ocm_bと同じ場合、算出された最終オフセット量Osは、検査チップ130に対する参照チップ140のオフセット量となる。そのため、Ocm=Ocm_bの場合、ボンディングヘッド14を、この最終オフセット量Os分だけ移動させれば、検査チップ130を参照チップ140の真上に位置することになる。
【0055】
コントローラ18は、検査チップ130が、参照チップ140の真上に位置すれば、
図12Bに示すように、ボンディングツール24を駆動して、検査チップ130を参照チップ140の上に載置させる(S70)。続いて、コントローラ18は、
図12Cに示すように、第一カメラ26に載置面を撮像させ、検査画像44を取得する(S74)。
【0056】
検査画像44が得られれば、コントローラ18は、この検査画像44に基づいて、エリア補正量Cを算出する(S76)。これについて
図13を参照して説明する。
図13は、検査画像44の一例を示す図である。この
図13において、参照チップ140は、二点鎖線で、検査チップ130は、実線で図示されている。本例では、検査画像44内における検査チップ130の置と参照チップ140の位置と、の差分に基づいてエリア補正量Cを算出する。すなわち、本例では、Ocm=Ocm_bとして、検査チップ130を参照チップ140に対して位置決めし、参照チップ140の上に載置している。したがって、Ocm=Ocm_bの場合、参照チップ140の中心Pr(白抜きのバツ印)と検査チップ130の中心Pe(黒塗りのバツ印)は、一致するはずである。逆に、Ocm≠Ocm_bであり、両者の間にオフセット誤差が生じている場合、当該オフセット誤差の分だけ、検査チップ130は参照チップ140に対してズレる。したがって、検査画像44を解析し、参照チップ140に対する検査チップ130のズレ量を抽出すれば、当該ズレを補正するためのエリア補正量Cが得られる。
【0057】
図13の例では、検査チップ130は、参照チップ140に対して、(X1,-Y1)だけズレている。したがって、この場合、当該ズレを補正するためのエリア補正量Cは、(-X1,Y1)となる。
【0058】
エリア補正量Cが算出できれば、コントローラ18は、当該エリア補正量Cと、ポイントPiの座標値と、を対応づけて、メモリに記憶する(S78)。一つのポイントPiについて、エリア補正量Cが算出できれば、パラメータiをインクリメントしたうえで(S82)、ステップS52に戻る。そして、同様の手順で新たなポイントPiにおけるエリア補正量Cを取得する。なお、新たなポイントPiのエリア補正量Cの取得に用いる参照チップ140および検査チップ130は、ピックアップユニット12から新たに供給されるチップでもよいし、載置面に既に載置された参照チップ140および検査チップ130でもよい。全てのポイントPiについてエリア補正量Cが取得できれば(すなわち、ステップS80でYesとなれば)、処理は終了となる。
【0059】
ここで、これまでの説明で明らかな通り、本例では、検査チップ130に先立って載置した参照チップ140を、検査チップ130の載置目標位置として用いている。そのため、載置面に特別なアライメントマーク等が付されている必要がない。結果として、補正量算出のための特別な載置面を用意する必要がなく、補正量算出に要するコストや手間を低減できる。また、本例では、理論上の目標位置ではなく、載置面に地裁に載置された参照チップ140を、目標位置としている。したがって、カメラオフセット誤差、ひいては、エリア補正量Cを、より正確に算出することができる。
【0060】
さらに、本例では、ボンディングツール24と載置面とを同時に撮像する必要がないため、高価な上下二視野のカメラが不要であり、コストをより低減できる。さらに、本例では、複数のポイントPiについて、エリア補正量Cを算出し、記憶することで、位置依存の誤差にも対応でき、ボンディングの位置精度をより向上できる。
【符号の説明】
【0061】
10 半導体装置の製造装置、12 ピックアップユニット、14 ボンディングヘッド、15x Xガイドレール、16 ステージ、18 コントローラ、20 突き上げピン、22 ピックアップヘッド、24 ボンディングツール、26 第一カメラ、28 第二カメラ、40 ツール画像、42 載置面画像、44 検査画像、100 基板、102 基板側マーク、110 半導体チップ、120 ダイシングテープ、130 検査チップ、140 参照チップ、C エリア補正量、Ocm カメラオフセット量、Ocm_b 基礎カメラオフセット量、Os 最終オフセット量、Otg 目標オフセット量、Ocp チップオフセット量。