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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-10
(45)【発行日】2023-02-20
(54)【発明の名称】蓋体付き容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 17/353 20060101AFI20230213BHJP
   B65D 77/20 20060101ALI20230213BHJP
【FI】
B65D17/353 BRQ
B65D77/20 E
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022123642
(22)【出願日】2022-08-02
【審査請求日】2022-08-16
(31)【優先権主張番号】P 2022062693
(32)【優先日】2022-04-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】320007734
【氏名又は名称】株式会社KY7
(72)【発明者】
【氏名】林 裕義
【審査官】米村 耕一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/069755(WO,A1)
【文献】特開2017-141041(JP,A)
【文献】特開2014-019468(JP,A)
【文献】特開2015-131650(JP,A)
【文献】特開2016-137921(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 17/353
B65D 77/20
B65D 43/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上端に形成された開口部を有する容器と、前記容器に取り付けられ且つ前記開口部を覆う蓋体とを備え、
前記容器は、前記開口部を取り囲む縁部を有し、
前記縁部に沿って前記容器と前記蓋体とを接合する接合部を有し、
前記蓋体は、前記蓋体の平面視上、前記接合部に対応する部分の内側に前記開口部よりも開口面積の小さな小開口部を形成する本体部と、前記接合部に対応する部分よりも内側に前端縁部を有する外周縁を形成し且つ該小開口部を開閉可能に被覆する小蓋部と、前記本体部に対して前記小蓋部を回動可能に繋ぐヒンジ部とを有し、
前記小開口部を形成する前の状態において前記小開口部の外周縁と前記小開口部を連結する連結部が設けられており、
前記本体部は、紙系素材で形成されており、
前記小開口部は、前記蓋体の平面視上、前記蓋体の中心から外側方向に外れた領域に形成されており、
前記小開口部を前記小蓋部で被覆した場合に前記小蓋部の前記外周縁の端面と小開口部の端面とが向かい合うことができるように構成され、
前記接合部は、互いに幅の異なる部分として少なくとも幅太部と、前記幅太部よりも幅の細い幅細部とを有し、
前記幅太部の長手方向の長さが、前記小蓋部の前記前端縁部の長さよりも長く、
前記小開口部を前記小蓋部で被覆した状態で、前記蓋体の平面視上、前記蓋体の中心を起点として前記幅太部に交差する半直線を想定した場合に、少なくとも1つの前記半直線が、前記小蓋部に交差する、
蓋体付き容器。
【請求項2】
前記接合部は、少なくとも互いに幅の異なる部分として少なくとも前記幅太部と、前記幅太部の2つの端部に繋がり前記幅太部よりも幅の細い前記幅細部とを有する、
請求項1に記載の蓋体付き容器。
【請求項3】
前記小開口部を前記小蓋部で被覆した状態で、前記蓋体の平面視上、前記ヒンジ部の中心が、前記半直線のうち前記蓋体の中心を起点として前記幅太部の長手方向に沿った前記幅太部の中央を通る線から外れた位置に形成されている、
請求項1または2に記載の蓋体付き容器。
【請求項4】
前記蓋体の前記小蓋部に、タブ部材が設けられている、
請求項1または2に記載の蓋体付き容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓋体付き容器に関する。
【背景技術】
【0002】
容器に飲食物を収容して蓋を閉じた状態で提供することが広く行われている。例えばコンビニエンスストアにおいてはコーヒー等の飲料を上記した新たな形態で提供することが広く行われている。このように容器の中に収容する飲食料品(以下においては「内容物」とも言う。)がコーヒー等のような飲料物の場合には、購入者は蓋がついた状態の容器を手に取り、その容器を傾けて内容物を飲むといった動作を行う。そのため、蓋体には、容器を傾けたときに内容物が容器の外部に流出するように、飲み口とも言われる開口部(小開口部)を形成しておくことが一般的に行われている。しかしながら、ただ単に飲み口が開口形成されているだけでは、飲み口から埃等が容器の中に入り込むおそれがあり、必ずしも衛生的であるとは言えなかった。そのため、使用前の状態では蓋体に飲み口が開口しないようにしておき、使用者が内容物を飲むときにはじめて飲み口が開口形成されるように構成することが行われている。
【0003】
このような蓋体としては、例えば下記に示す特許文献1や特許文献2に開示されているものが挙げられる。特許文献1に開示されている蓋体は、側壁と天蓋部とを備えており、天蓋部にはタブが形成されている。この蓋体は、使用者がタブを摘んで引き上げると、ベル形又はひょうたん形の孔が開口し、飲み口が形成されるように構成されている。また、特許文献2に開示されている飲料用カップ蓋は、天面(天蓋部)に開口部(飲み口)との小蓋に凸部を設け、この小蓋の凸部を天面部の凹部に嵌合させることで小蓋が開いた状態を維持するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2016/069755号公報
【文献】特開2008-062952号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した特許文献1及び2に開示されている蓋体は、タブや小蓋を直接摘んで飲み口を開口形成する動作と、タブをタブホールに差し込んだり、小蓋の凸部を凹部に嵌合させる動作をスムーズに行うことができず、飲み口を開口形成する動作が非常に行いにくい問題があった。また、タブや小蓋を摘んで飲み口を開口させる際に不用意な力が加わり飲み口の部分に変形を生じる虞があった。
【0006】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、蓋体における飲み口を簡単かつ飲み口の保形性良く開閉することのできる蓋体付き容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、次に示す(1)から()を要旨とする。
(1)上端に形成された開口部を有する容器と、前記容器に取り付けられ且つ前記開口部を覆う蓋体とを備え、
前記容器は、前記開口部を取り囲む縁部を有し、
前記縁部に沿って前記容器と前記蓋体とを接合する接合部を有し、
前記蓋体は、前記蓋体の平面視上、前記接合部に対応する部分の内側に前記開口部よりも開口面積の小さな小開口部を形成する本体部と、前記接合部に対応する部分よりも内側に前端縁部を有する外周縁を形成し且つ該小開口部を開閉可能に被覆する小蓋部と、前記本体部に対して前記小蓋部を回動可能に繋ぐヒンジ部とを有し、
前記小開口部を形成する前の状態において前記小開口部の外周縁と前記小開口部を連結する連結部が設けられており、
前記本体部は、紙系素材で形成されており、
前記小開口部は、前記蓋体の平面視上、前記蓋体の中心から外側方向に外れた領域に形成されており、
前記小開口部を前記小蓋部で被覆した場合に前記小蓋部の前記外周縁の端面と小開口部の端面とが向かい合うことができるように構成され、
前記接合部は、互いに幅の異なる部分として少なくとも幅太部と、前記幅太部よりも幅の細い幅細部とを有し、
前記幅太部の長手方向の長さが、前記接合部の前端縁部の長さよりも長く、
前記小開口部を前記小蓋部で被覆した状態で、前記蓋体の平面視上、前記蓋体の中心を起点として前記幅太部に交差する半直線を想定した場合に、少なくとも1つの前記半直線が、前記小蓋部に交差する
蓋体付き容器。
(2)前記接合部は、少なくとも互いに幅の異なる部分として少なくとも前記幅太部と、前記幅太部の2つの端部に繋がり前記幅太部よりも幅の細い前記幅細部とを有する、
上記(1)に記載の蓋体付き容器。
)前記小開口部を前記小蓋部で被覆した状態で、前記蓋体の平面視上、前記ヒンジ部の中心が、前記半直線のうち前記蓋体の中心を起点として前記幅太部の長手方向に沿った前記幅太部の中央を通る線から外れた位置に形成されている、
上記(1)又は(2)に記載の蓋体付き容器。
)前記蓋体の前記小蓋部に、タブ部材が設けられている、
上記(1)又は(2)に記載の蓋体付き容器。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、小蓋部及び小開口部の少なくとも一部の近くに幅太部が位置した状態が形成されやすくなり、小蓋部及び小開口部の近傍部分の強度が強く、小蓋部及び小開口部から離れた部分の強度が相対的に強くなりにくくなる。このため、小蓋部を摘まんで引き上げた場合に、小蓋部に力がかかっても、幅太部により小開口部の形状を安定させやすくなる。また、小蓋部にかかる力を幅細部に逃がしやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第1の実施形態の蓋体付き容器の一実施例を表す平面図である。
図2図2は、図1のA-A線縦断面の状態を示し、蓋体付き容器の断面を模式的に示す断面図である。
図3図3は、連結部の一実施例を示す断面図である。
図4図4は、第2の実施形態の蓋体付き容器の一実施例を表す平面図である。
図5図5は、第3の実施形態の蓋体付き容器の一実施例を表す平面図である。
図6図6は、第4の実施形態の蓋体付き容器の一実施例を表す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る蓋体について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明に係る蓋体は、コーヒーカップのような各種の飲料物を入れる容器(カップ)に対して用いられる蓋体を例として挙げて説明するが、飲料物を入れる容器の蓋体に限定されるものではなく、飲料物以外の食料品を収容する容器の蓋体としても適用することが可能である。また、本発明に係る蓋体は、飲食物以外の各種物品、例えばボルトやナット等といった部品や、上記した以外の物品を収容することのできる容器にも適用することができる。さらに、本発明に係る蓋体は、平面視したときの形状が円形状であるものの例を用いて以下においては説明するが、蓋体の形状は平面視したときに円形状であるものに限定されることはなく、楕円形状、矩形状、三角形状などの多角形状、面取り矩形状、面取り多角形状等、円形状以外の各種の形状にも適用することができる。
【0011】
以下、本発明に関係した第1の実施形態、第2の実施形態、第3の実施形態、及び第4の実施形態について、順次、図面を参照しながら説明する。本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0012】
以下の説明は本発明の好適な具体例であり、本発明の内容は、これらの実施の形態等に限定されるものではない。また、以下の説明において、説明の便宜を考慮して、前後、左右、上下等の方向及び水平面の方向を示すが、本発明の内容はこれらの方向に限定されるものではない。図1から図6の例では、Z軸方向を上下方向(上側が+Z方向、下側が-Z方向)であるものとし、Z軸方向を法線とする平面上に定められた互いに直交するX軸及びY軸に沿った方向をX軸方向及びY軸方向とし、さらにX軸とY軸で貼られた平面であるXY平面が水平面であるものとし、これらに基づき説明を行う。図1から図6の各図に示す大きさ等の相対的な大小比率は便宜上の記載であり、実際の大小比率を限定するものではない。
【0013】
[1 第1の実施形態]
[1-1 構成]
(蓋体付き容器)
第1の実施形態にかかる蓋体付き容器10は、容器101と、容器101に取り付けられる蓋体11とを備える。また、蓋体付き容器10は、容器101と蓋体11とを接合する接合部50を有する。また、第1の実施形態では、蓋体11の小蓋部14に別体のタブ部材16が設けられている場合を例として説明するが、これは一例であり、小蓋部にタブ部材が設けられていない場合を排除するものではない。また、タブ部材は、小蓋部とは別体のものを小蓋部に設けている場合に限定されず、タブ部材に対応する部分が小蓋部に一体的に形成されていてもよい。また、第1の実施形態の説明では、蓋体付き容器10の平面視上、容器101の横断面において容器101の形状が円形状である場合を例としているが、容器101の形状はこれに限定されず、容器101の横断面において容器101の形状が矩形状でも多角形状でも曲線と直線を組み合わせた形状であってもよい。
【0014】
(蓋体)
蓋体11は、容器101の後述する縁部103に沿って容器101に接合されて用いられるものである。図1の例では、蓋体11の平面視上、蓋体11の外周輪郭の形状がおおむね円形であるが、これに限定されず、例えば蓋体11の外周輪郭の形状が矩形状や楕円形状などであってもよい。蓋体11は、容器101の後述する開口部104の少なくとも一部を覆うことができるような形状に形成されている。図1の例では、蓋体11は、小蓋部14で小開口部13を閉じた状態(小開口部13の領域が小蓋部14でおおむね覆われた状態)において開口部104の全域を被覆するように形成されている。なお、開口部104の全域を被覆する場合には、開口部104を完全に覆いつくす場合や、容器内の空気を外部に逃がすための小孔や所定の機能を有するスリット部や切り欠き部などの細かな孔構造を蓋体11の本体部や小蓋部に形成されている場合が含まれる。
【0015】
(蓋体の材質)
蓋体11の材質は、特に限定されないが、紙系素材であることが好ましい。紙系素材としては、繊維原料のスラリーを網上に抄き取り、乾燥ないし押圧乾燥、抄紙してシート状にして得られる、いわゆる紙や、パルプ系繊維等からなる原料シートを粉砕機で粉砕して得られる粉砕パルプ等の開繊繊維原料を空気流によって積繊し、積繊体の繊維相互をバインダーで固定して得られるいわゆるエアレイドシート等、植物繊維、その他の繊維を膠着させて製造される所謂紙類の他、化学繊維紙、合成紙、耐水紙、コート紙、代替紙、羊皮紙、羊毛紙、ガラス繊維紙、ストーンペーパー、陶紙等や、これらを複数枚積層したもの等が挙げられる。また、紙系素材としては、パルプだけからなるもののほか、非パルプ系の天然繊維や合成繊維、再生繊維等の繊維を含むものであっても良いが、パルプを50質量%以上含むことが好ましく、70質量%以上含むものがより好ましく、更に80質量%以上含むものが好ましいが、特にパルプ100質量%からなるものが好ましい。紙系素材は、合成樹脂や天然樹脂のフィルムや不織布、木箔等の木質系素材等、さらにはアルミ箔等の素材との複合材料も用いることができるが、複合材料とする場合、複合材料全体としてパルプを50質量%以上含有することが好ましく、特に80質量%以上のパルプを含むものが好ましい。パルプ含有分の高いほど、紙系素材が生分解されやすくなるため好ましい。
【0016】
なお、蓋体11は、全体的に上記した紙系素材で形成されていることが好適であるが、このことは一部もしくは全部が紙系素材とは異なる材質で形成されていることを禁止するものではない。例えば、蓋体11は、本体部及び小蓋部を紙系素材で形成し、タブ部材16を樹脂製のフィルム材などで形成してもよい。
【0017】
蓋体11は、小開口部13を有する本体部12と、小開口部13を覆う小蓋部14を備える。また、図1の例に示すように、蓋体11は、小蓋部14に接続されるタブ部材16を備えられてよい。蓋体11では、小蓋部14と小開口部13とで開口形成部20が形成される。
【0018】
(本体部)
本体部12は、後述する接合部50を形成する部分を有し、ヒンジ部15を介して小蓋部14に繋がっている。図1の例では、本体部12は、小蓋部14を持ち上げて小開口部13を形成する前の状態において、小蓋部14に対し、ヒンジ部15の他に、本体部12の小開口部13の端縁部と小蓋部14の端縁部とを連結する連結部17で繋がっていることが好ましい。連結部17の構造は、本体部12の小開口部13の端縁部と小蓋部14の端縁部とが向き合う部分の長手方向に沿った所定の位置で、局所的に小開口部13の端縁部と小蓋部14の端縁部とを連結した構造となっている。なお、連結部17は、図1Bに示すようなミシン目構造(図1Bでは、切れ目30と連結部17の交互配置構造)であってもよいし、図3に示すようにハーフカット部31であってもよい。また、この場合、ハーフカット部31は、本体部12の小開口部13の端縁部に沿って小開口部13の端縁部(外周縁73をなす部分)の全域に形成されてもよいし、局所的に形成されてもよい。
【0019】
(開口形成部)
図1等に示すように、開口形成部20は、小蓋部14の変位に伴い小開口部13が開閉する部分として定義される。開口形成部20は、小開口部13及び小蓋部14を有している部分として定められる。開口形成部20は、図1に示すように小蓋部14が小開口部13を閉じている状態と、小蓋部14が変位して小開口部13が開口している状態となるように形成されている。開口形成部20は、蓋体11の中心CTから外側へ向かう方向(外方向)の所定位置まで中心CTからずれた位置に形成されている。
【0020】
開口形成部20は、容器101に蓋体11を取り付けた状態で小蓋部14を開くと、容器101の空間部105が小開口部13を通じて視認することができるように構成される。
【0021】
(小開口部)
小開口部13は、容器101に対する蓋体11の対向面22と容器101に対する蓋体11の非対向面(蓋体11の露出面21)を貫通形成するように形成される。小開口部13は、蓋体11の平面視上、接合部50に対応する部分の内側に開口部104よりも開口面積の小さな状態となるように形成されている。小開口部13は、蓋体付き容器10において、容器101の空間部105にある内容物(例えば飲料物や飲食物など)の出入口を開口形成するためのものである。本体部12に対して小蓋部14を引き上げた場合に、小開口部13が露出する。
【0022】
(小蓋部)
蓋体11には、小蓋部14が設けられている。小蓋部14は、小開口部13を開閉可能に被覆する。図1の例では、小蓋部14は、本体部12に対して引き上げた状態に変位できるように形成されており、小蓋部14を引き上げる際に小開口部13が形成される。
【0023】
図1の例に示す蓋体11においては、小蓋部14は、蓋体11の平面視上、接合部50に対応する部分よりも内側(中心CT側)に設けられている。図1に示す例では、小蓋部14に対してタブ接合部18で接合されたタブ部材16の動きに連動して、小蓋部14が持ち上げられた状態となるように小蓋部14が変位(回動)する。本体部12と小蓋部14はヒンジ部15で繋がっている。ヒンジ部15を支軸として小蓋部14が持ち上げられるにつれ、小開口部13が露出する。なお、図1の例では、蓋体11の平面視上、蓋体11の露出面21を形成する部分のうち小蓋部14を除いた部分が本体部12となる。
【0024】
小蓋部14の形状や構造は、特に限定されない。また、小蓋部14の形状は、図1に示すように、小蓋部14の外周縁73の少なくとも一部が接合部50に対応する部分(接合部50を形成する部分)に沿って延びているような輪郭形状を有していることが好ましい。図1の例の場合、小蓋部14の外周縁73のうち前端縁部75の形状が、接合領域Rの内側端に沿った形状となっている。また、このとき、前端縁部75の形状は縁部103の内側端に沿った形状となりやすい。このような小蓋部14の形状は第1の実施形態にかかる蓋体11の小蓋部14に適用されてよい。以下、蓋体11の説明では、特に明示しない限り、図1に示すような小蓋部14が用いられている場合を例として説明を続ける。なお、図1に示す小蓋部14の例では、外周縁73は、前端縁部75、前端縁部75とヒンジ部15とをつなぐ側端縁部76で構成されている。
【0025】
小蓋部14の外周縁73は、上述したように連結部17で本体部12に繋がっていてもよい。
【0026】
第2の実施形態にかかる蓋体11においては、小蓋部14が立ち上げられることで小開口部13が露出した後においても小蓋部14で小開口部13を覆う状態とすることができる。小蓋部14が立ち上げられた状態では、小開口部13が露出した状態となる。この状態を開蓋状態と呼ぶ。小蓋部14で小開口部13が覆われた状態を閉蓋状態と呼ぶ。
【0027】
蓋体11においては、開蓋状態となった後でも閉蓋状態とされることが可能であり、閉蓋状態とされた場合に小蓋部14の外周縁73の端面(外周端面)に本体部12の小開口部13の位置に形成された端面が向かい合うことができる。
【0028】
(ヒンジ部)
上述したように、蓋体11には、ヒンジ部15が形成されており、ヒンジ部15は、本体部12に対して小蓋部14を回動可能に繋ぐ。ヒンジ部15は、連結部17と同様にミシン目構造やハーフカット部であってもよい。
【0029】
(タブ部材)
タブ部材16は、図1の例に示すように他端部16Bを含む部分で形成された摘み部19を有する。
【0030】
図1の例では、は、タブ部材16の一端部16Aで小蓋部14に接合されており、この接合によりタブ接合部18が形成されている。小蓋部14におけるタブ接合部18に対応する部分の位置は限定されないが、図1の例では、タブ接合部18が小蓋部14の先端寄りの部分(一端部14Aに近い位置)に接合されている。
【0031】
(接合部)
蓋体付き容器10においては、蓋体11と容器101の接合される部分として接合部50が形成されている。接合部50は、互いに幅の異なる部分として少なくとも幅太部51と、幅太部よりも幅の細い幅細部52とを有する。接合部50の幅は、蓋体11の平面視上、接合部50の長手方向(矢印F方向)を直交する方向且つ本体部12の面方向に沿った接合部50のサイズを示す(図1図3から図6においてH1、H2)。接合部のうち相対的に幅の太い部分として定められた部分が幅太部51(幅がH1)として特定され、幅太部51を除く部分(幅太部51の幅以下の幅となる部分(幅がH2))を幅細部52として定められる。幅太部51と幅細部52の境界位置は、幅太部51に含まれるものとして定義される。したがって、幅太部51から幅細部52に向かって接合部50が徐々に幅細になる場合は、徐々に幅細になる部分は幅太部51に含まれるものとする。接合部50は、幅太部51の長手方向(矢印F方向)に沿った2つの端部に幅細部52が繋がった状態となる。これにより、幅太部51と幅細部52との境界近傍に負荷された力を幅細部のほうに逃すことができる。
【0032】
(幅太部と小蓋部の配置)
蓋体付き容器10においては、幅太部51と小蓋部14の配置が次に示す条件1を満たしている。
【0033】
条件1: 小開口部を小蓋部で被覆した状態で、蓋体の平面視上、蓋体の中心を起点として幅太部に交差する半直線を想定した場合に、少なくとも1つの半直線が、小蓋部に交差する。
【0034】
図1の例では、少なくとも蓋体の中心を起点として幅太部51に交差する半直線M1は、小蓋部14の存在領域を通過しており、すなわち小蓋部14に交差している。半直線M1は、幅太部51の中心CLから幅太部51の長手方向Fに沿ってややずれた位置に交差する半直線となっている。
【0035】
(容器)
容器101は、上方向にむかって径が太くなるような筒状の側壁部107と底面部106を有し内部に空間部105を形成する本体と、本体の上端(側壁部107の上端)で開口した開口部104を有する。図示しないが、容器101の開口部104は縁部103で囲まれており、縁部103は円形状に形成されている。ただし、ここに示す容器101は一例であり、容器101の構成を限定するものではない。たとえば、容器101は縁部103を矩形状に形成されてもよい。容器101は、蓋体11で開口部104を被覆できるものであればよい。また、容器101の内部に収納されるものは、特に限定されず、例えば液体状のもの、固形状のもの、またはそれらの組み合わせなどを例示することができる。
【0036】
図2に示す容器101では、縁部103に、容器101の本体部102を形成する部材を外向きに巻きまわされたカール部108が形成されていたが、容器101はこれに限定されない。縁部103に側壁部107の端面が露出していてもよいし、縁部103に、容器101の開口部104の外側に向かって延びるつば部が形成されていてもよい。
【0037】
[1-2 製造方法]
蓋体付き容器10は、蓋体11を容器101の開口部104の上に配置し、蓋体11と容器101とを接合して接合部50を形成することで製造することができる。蓋体11と容器101との接合方法は特に限定されず、圧着や、ヒートシール等の接合方法と適宜用いることができる。
【0038】
[1-3 作用及び効果]
第1の実施形態にかかる蓋体付き容器10によれば、接合部50は、互いに幅の異なる部分を有し、幅太部51と蓋体11の中心とを結ぶ半直線の少なくとも一つが、蓋体の平面視上、小蓋部に交差する。これにより小蓋部及び小開口部の少なくとも一部の近くに幅太部が位置した状態が形成されやすくなり、小蓋部及び小開口部の近傍部分の強度が強く、小蓋部及び小開口部から離れた部分の強度が相対的に強くなりにくくなる。このため、小蓋部を摘まんで引き上げた場合に、小蓋部に力がかかっても、幅太部により小開口部の形状を安定させやすくなる。また、小蓋部にかかる力を幅細部に逃がしやすくすることができる。
【0039】
[2 第2の実施形態]
上記第1の実施形態の説明においては、蓋体付き容器には、タブ部材16が設けられていた。タブ部材16は、第1の実施形態で説明したものに限定されない。図4に示すように、第1の実施形態にかかる蓋体付き容器であって、タブ部材16で小蓋部14を引き上げた状態とした場合にタブ部材16を着脱自在に固定する固定構造形成部23が設けられていてもよい。以下、この実施形態を、第2の実施形態と称呼する。図4は、第2の実施形態にかかる蓋体付き容器に用いられる蓋体の一実施例を模式的に示す平面図である。
【0040】
(固定構造形成部)
固定構造形成部23は、タブ部材16を引き上げた状態でタブ部材16の位置を着脱自在に固定することができる構造であれば特に限定されない。例えば、図4の例では、固定構造形成部23は、爪部24と受部25とで形成されている。爪部24は、摘み部を折り曲げることで下方向に突出する部分となっている。また、受部25は、本体部12にスリット状に形成されている。受部25は、小蓋部14を引き上げてタブ部材16を本体部12上に位置させた場合に爪部24に向かい合う位置に形成されている。
【0041】
(作用及び効果)
第2の実施形態にかかる蓋体付き容器10によれば、固定構造形成部23が設けられていることで、小蓋部14を引き上げて小開口部13を形成した状態を維持することができる。
【0042】
[3 第3の実施形態]
上記第1の実施形態の蓋体付き容器においては、第1の実施形態で示した条件1の他に、図5に示すように、幅太部51と小蓋部14の配置が後述する条件2を満たしていてもよい。以下、この実施形態を、第3の実施形態と称呼する。図4は、第2の実施形態にかかる蓋体付き容器に用いられる蓋体の一実施例を模式的に示す平面図である。
【0043】
幅太部51と小蓋部14の配置について、条件2はつぎの通りである。
【0044】
条件2: 小開口部を前記小蓋部で被覆した状態で、蓋体の平面視上、ヒンジ部の中心は、前記半直線のうち蓋体の中心を起点として幅太部の長手方向に沿った幅太部の中央を通る線から外れた位置に形成されている。
【0045】
図5に示す例では、蓋体11の平面視上、ヒンジ部の中心HPは、前記半直線のうち蓋体の中心CTを起点として幅太部51の長手方向に沿った幅太部51の中心CLを通る線(半直線MCL)から外れた位置に形成されている。なお、ヒンジ部15の中心HPとは、ヒンジ部15の2つの端部15A、15Bの中間位置を示す。
【0046】
(作用及び効果)
第3の実施形態にかかる蓋体付き容器10によれば、ヒンジ部15の中心CTが半直線MCLからずれていることで、ヒンジ部15の一方の端部15Aに対する幅太部51の中心CLの離間距離と他方の端部15Bに対する幅太部51の中心CLの離間距離を異ならせることができる。例えば、幅太部51の中心CLに対して端部15Bが近く、端部15Aが遠い位置となるように配置することができる。この場合、小蓋部14を引き上げる際に、端部15Aの形状が端部15Bよりも変動しやすくなり、小蓋部14のうち持ち上がりやすい部分と相対的に持ち上がりにくい部分を形成させることができ、小蓋部14を一度に持ち上げずに部分的に徐々に持ち上げることが容易となる。
【0047】
[4 第4の実施形態]
上記第1の実施形態の蓋体付き容器においては、図6に示すように、接合部50は、幅太部51と幅細部52を複数個所に形成していてもよい。この実施形態を、第4の実施形態と称呼する。図6は、第4の実施形態にかかる蓋体付き容器に用いられる蓋体の一実施例を模式的に示す平面図である。
【0048】
本発明に係る蓋体付き容器10は、上記の実施形態で具体的に示したものに限定されるものではない。すなわち、上記したのは本発明を例示したに過ぎず、これらに限定されるものではない。したがって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更してよい。また、上記実施形態は、それぞれの他の実施形態を適宜組み合わせて適用してもよい。
【0049】
本発明は、下記に示す技術的思想を包含する。
(1)上端に形成された開口部を有する容器と、前記容器に取り付けられ且つ前記開口部を覆う蓋体とを備え、
前記容器は、前記開口部を取り囲む縁部を有し、
前記縁部に沿って前記容器と前記蓋体とを接合する接合部を有し、
前記蓋体は、前記蓋体の平面視上、前記接合部に対応する部分の内側に前記開口部よりも開口面積の小さな小開口部を形成する本体部と、該小開口部を開閉可能に被覆する小蓋部と、前記本体部に対して前記小蓋部を回動可能に繋ぐヒンジ部とを有し、
前記接合部は、互いに幅の異なる部分として少なくとも幅太部と、前記幅太部よりも幅の細い幅細部とを有し、
前記小開口部を前記小蓋部で被覆した状態で、前記蓋体の平面視上、前記蓋体の中心を起点として前記幅太部に交差する半直線を想定した場合に、少なくとも1つの前記半直線が、前記小蓋部に交差する、
蓋体付き容器。
(2)前記接合部は、少なくとも互いに幅の異なる部分として少なくとも前記幅太部と、前記幅太部の2つの端部に繋がり前記幅太部よりも幅の細い前記幅細部とを有する、
上記(1)に記載の蓋体付き容器。
(3)前記蓋体の前記本体部は、紙系素材で形成されている、
上記(1)又は(2)に記載の蓋体付き容器。
(4)前記小開口部を前記小蓋部で被覆した状態で、前記蓋体の平面視上、前記ヒンジ部の中心が、前記半直線のうち前記蓋体の中心を起点として前記幅太部の長手方向に沿った前記幅太部の中央を通る線から外れた位置に形成されている、
上記(1)から(3)のいずれかに記載の蓋体付き容器。
(5)前記蓋体の前記小蓋部に、タブ部材が設けられている、
上記(1)から(4)のいずれかに記載の蓋体付き容器。
【符号の説明】
【0050】
10 :蓋体付き容器
11 :蓋体
12 :本体部
13 :小開口部
14 :小蓋部
14a :一端部
15 :ヒンジ部
15A :端部
15B :端部
16 :タブ部材
17 :連結部
18 :タブ接合部
19 :摘み部
20 :開口形成部
21 :露出面
22 :対向面
23 :固定構造形成部
24 :爪部
25 :受部
50 :接合部
51 :幅太部
52 :幅細部
73 :外周縁
75 :前端縁部
76 :側端縁部
101 :容器
102 :本体部
103 :縁部
104 :開口部
105 :空間部
106 :底面部
107 :側壁部
108 :カール部
CL :中心
CT :中心
CT :中心
HP :中心
M1 :半直線
MCL :半直線
R :接合領域

【要約】      (修正有)
【課題】蓋体における飲み口を簡単かつ飲み口の保形性良く開閉することのできる蓋体付き容器を提供する。
【解決手段】蓋体付き容器は、上端に形成された開口部を有する容器と、前記容器に取り付けられ且つ前記開口部を覆う蓋体とを備え、容器は、開口部を取り囲む縁部を有し、縁部に沿って容器と蓋体とを接合する接合部を有し、蓋体は、蓋体の平面視上、接合部に対応する部分の内側に開口部よりも開口面積の小さな小開口部を形成する本体部と、該小開口部を開閉可能に被覆する小蓋部と、本体部に対して小蓋部を回動可能に繋ぐヒンジ部とを有し、接合部は、互いに幅の異なる部分として少なくとも幅太部と、幅太部よりも幅の細い幅細部とを有し、小開口部を小蓋部で被覆した状態で、蓋体の平面視上、蓋体の中心を起点として幅太部に交差する半直線を想定した場合に、少なくとも1つの半直線が、小蓋部に交差する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6