(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-10
(45)【発行日】2023-02-20
(54)【発明の名称】負荷試験システム
(51)【国際特許分類】
G01R 31/34 20200101AFI20230213BHJP
【FI】
G01R31/34 E
(21)【出願番号】P 2021107428
(22)【出願日】2021-06-29
(62)【分割の表示】P 2016233031の分割
【原出願日】2016-11-30
【審査請求日】2021-07-01
(73)【特許権者】
【識別番号】391028328
【氏名又は名称】株式会社辰巳菱機
(74)【代理人】
【識別番号】100082658
【氏名又は名称】伊藤 儀一郎
(72)【発明者】
【氏名】近藤 豊嗣
【審査官】小川 浩史
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/169086(WO,A1)
【文献】特許第5968581(JP,B1)
【文献】国際公開第2015/125183(WO,A1)
【文献】実開昭57-14065(JP,U)
【文献】米国特許第4445047(US,A)
【文献】特許第6974913(JP,B2)
【文献】特開2022-186828(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
三相交流非常用発電機の負荷試験を行う負荷試験システムであって、
該負荷試験システムは、
操作電源による起動電力が必要な三相交流非常用発電機と、三相交流非常用発電機の負荷試験を行う、操作電源による起動電力が必要で、前記
三相交流非常用発電機から発電された電力を熱エネルギーとして消費する従来型の負荷抵抗器と、
三相交流非常用発電機の負荷試験が行える、前記三相交流非常用発電機から発電された
交流電力が交流/直流変換器を介して直流電力で入力される並列接続された3つの
キャパシタを使用して形成した二次電池充電体と、
制御装置とを備え、
前記3つのキャパシタを使用して形成した二次電池充電体の各々には、スイッチ部が設けられ、該スイッチ部を介して前記三相交流非常用発電機の一相ずつにそれぞれのキャパシタを使用して形成した二次電池充電体が接続され、3つのキャパシタを使用して形成した二次電池充電体のそれぞれの充電時間が異なった場合に、前記スイッチ部を開閉して前記3つのキャパシタを使用して形成した二次電池充電体のそれぞれが前記三相交流非常用発電機との接続を離脱、脱着操作ができるよう構成され、
前記制御装置
により、あらかじめ優先的に
前記3つのキャパシタを使用して形成した二次電池充電体を充電するよう切り替えスイッチが切り替えられて
充電され、
前記3つのキャパシタ
を使用して形成した二次電池充電体の充電が完了したとき、前記三相交流非常用発電機の
発電電力送出用接続を、前記
三相交流非常用発電機から発電された電力を熱エネルギーとして消費する従来型の乾式負荷抵抗器に
前記切り替えスイッチを切り替える制御が前記制御装置により行われ、
前記制御装置による
切り替えスイッチの切り替えによって、前記三相交流非常用発電機から発電された電力を熱エネルギーとして消費する従来型の負荷抵抗器に接続されて負荷試験が続行している間、前記
3つのキャパシタを使用して形成した二次電池充電体につき、充電された
キャパシタを使用して形成した二次電池充電体から充電されていない
キャパシタを使用して形成した二次電池充電体に取り替える作業が行え、
前記取り替え作業の終了後は、前記切り替えスイッチにより三相交流非常用発電機から発電された電力を熱エネルギーとして消費する従来型の負荷抵抗器に送出する接続を3つのキャパシタを使用して形成した二次電池充電体への接続に切り替えられて前記3つのキャパシタを使用して形成した二次電池充電体への充電が行える、
ことを特徴とする負荷試験システム。
【請求項2】
前記3つの
キャパシタを使用して形成した二次電池充電体がフル充電状態となったとき、
前記各キャパシタを使用して形成した二次電池充電体側に接続されている検出器が前記3つの
キャパシタを使用して形成した二次電池充電体のフル充電状態を検知し、アラーム信号で報知する、
ことを特徴とする請求項1記載の負荷試験システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、非常用発電機などの負荷試験用の負荷抵抗を有する負荷試験システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来負荷試験装置には、複数の負荷抵抗の直列接続や並列接続の接続条件を選択的に切り替えることで、発電機などの電源の出力に応じた負荷試験を行うようにした、いわゆる乾式負荷試験装置が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来は非常用発電機などの動作試験、即ち負荷試験によって精製された電力が負荷抵抗として熱エネルギーとなって消費されるものであったために、当該電力エネルギーが無駄となっていた。
そこで、本発明は、非常用発電機などの動作試験、すなわち負荷試験で無駄に消費する電力エネルギーを低減できる負荷試験システムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の負荷試験システムは、
三相交流非常用発電機の負荷試験を行う負荷試験システムであって、
該負荷試験システムは、
操作電源による起動電力が必要な三相交流非常用発電機と、三相交流非常用発電機の負荷試験を行う、操作電源による起動電力が必要で、前記三相交流非常用発電機から発電された電力を熱エネルギーとして消費する従来型の負荷抵抗器と、
三相交流非常用発電機の負荷試験が行える、前記三相交流非常用発電機から発電された交流電力が交流/直流変換器を介して直流電力で入力される並列接続された3つのキャパシタを使用して形成した二次電池充電体と、
制御装置とを備え、
前記3つのキャパシタを使用して形成した二次電池充電体の各々には、スイッチ部が設けられ、該スイッチ部を介して前記三相交流非常用発電機の一相ずつにそれぞれのキャパシタを使用して形成した二次電池充電体が接続され、3つのキャパシタを使用して形成した二次電池充電体のそれぞれの充電時間が異なった場合に、前記スイッチ部を開閉して前記3つのキャパシタを使用して形成した二次電池充電体のそれぞれが前記三相交流非常用発電機との接続を離脱、脱着操作ができるよう構成され、
前記制御装置により、あらかじめ優先的に前記3つのキャパシタを使用して形成した二次電池充電体を充電するよう切り替えスイッチが切り替えられて充電され、
前記3つのキャパシタを使用して形成した二次電池充電体の充電が完了したとき、前記三相交流非常用発電機の発電電力送出用接続を、前記三相交流非常用発電機から発電された電力を熱エネルギーとして消費する従来型の乾式負荷抵抗器に前記切り替えスイッチを切り替える制御が前記制御装置により行われ、
前記制御装置による切り替えスイッチの切り替えによって、前記三相交流非常用発電機から発電された電力を熱エネルギーとして消費する従来型の負荷抵抗器に接続されて負荷試験が続行している間、前記3つのキャパシタを使用して形成した二次電池充電体につき、充電されたキャパシタを使用して形成した二次電池充電体から充電されていないキャパシタを使用して形成した二次電池充電体に取り替える作業が行え、前記取り替え作業の終了後は、前記切り替えスイッチにより三相交流非常用発電機から発電された電力を熱エネルギーとして消費する従来型の負荷抵抗器に送出する接続を3つのキャパシタを使用して形成した二次電池充電体への接続に切り替えられて前記3つのキャパシタを使用して形成した二次電池充電体への充電が行える、
ことを特徴とし、
または、
前記3つのキャパシタを使用して形成した二次電池充電体がフル充電状態となったとき、前記各キャパシタを使用して形成した二次電池充電体側に接続されている検出器が前記3つのキャパシタを使用して形成した二次電池充電体のフル充電状態を検知し、アラーム信号で報知する、
ことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、負荷試験で無駄に消費する電力エネルギーを低減することができるとの優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明による負荷試験システムの構成説明図(1)である。
【
図2】本発明による負荷試験システムの構成説明図(2)である。
【
図3】本発明による負荷試験システムの構成説明図(3)である。
【
図4】本発明によるキャパシタ二次電池ユニットの構成を説明する断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、この発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
【0009】
(実施例1)
図1に実施例の構成を示す。
符号1は、非常用発電機を示す。該非常用発電機1は、例えば200Vの電圧の電力容量100kWを生成し送出できる、三相交流非常用発電機1などが該当する。しかしながら前記の規格による非常用発電機1に限定されるものではない。
【0010】
このような非常用発電機1については、商業ビルなどの施設に常備されてはいるが、例えば突発的に停電したときなど緊急に使用しなければならないとき、すぐに作動して使用できなければ常備しておく意味がない。
【0011】
そのため、前記非常用発電機1は定期的に動作試験を行っておく必要がある。いわゆる非常用発電機の負荷試験と称される動作試験を定期的に行う必要がある。
【0012】
その動作試験、すなわち負荷試験の一例を挙げると、前記非常用発電機1を連続で30分乃至1時間程度作動させ、その発電動作に異常がないか否かを確認すること、すなわち、前記のように100kW容量の非常用発電機1であれば、その約3分の1の容量、例えば34kW程度の電力が約1時間程度作動させて、正常に安定的に発電できて送出できるか否かの発電試験(負荷試験)が一例としてあげられる。また、非常用発電機1を複数回ON、OFFして異常がないか否かの試験などが挙げられる。
【0013】
ここで、非常用発電機1の正常な発電試験、すなわち負荷試験は、非常発電機に接続されている負荷(室内のエアコン、照明器具、エレベーター稼働電源など)を実際に稼働させ、高負荷状態を維持出来るか否かを試験することが好ましいが、現実問題として困難である。そこで、いわゆる模擬負荷を接続し非常用発電機に負荷を与えて負荷試験を行っている。
【0014】
ところで、非常用発電機1を始動させるには、例えば、直流電源装置からの制御電源、バッテリーからのセルモーター方式、空気を貯めて始動させるエアー起動方式等によって生成された操作電源による電力供給が必要とされる。
【0015】
非常用発電機1などの発電装置は制御する直流電源が喪失すると、一切稼働しないものとなる。
現状では、非常用発電機1とセットになっている始動用直流電源装置は、商用電源にて取得し、該商用電源を交流/直流変換器により直流に変換してバッテリーに充電し、停電時など緊急時に使用すべく非常用発電機1などの発電装置を起動している。
【0016】
しかしながら、商用電源が喪失するとバッテリーに電力があるうちはいいとしても、バッテリーの電力が喪失すると、非常用発電機1は起動しないものとなる。
【0017】
そこで、非常用発電機1は、災害時、非常時どんな時にでも、支障なく稼働させるために、始動用直流電源装置へ商用電源からだけでなく、いずれかから供給した電力、例えば当該負荷試験システムで生成した電力の供給を受けられる構成とすることが必要となる。
【0018】
よって、本発明では非常用発電機1を動かす為の操作電源を別の外部電源(商用電源)からのみ受電せずに、非常用発電機1で負荷試験を行うために発電した電力を使用し、さらには負荷試験装置を動かす為の負荷試験装置の操作電源をも前記商用電源からではなく、いずれかから供給出来る電力、例えば前記非常用発電機1で負荷試験を行うために発電した電力を使用するものとしたのである。
【0019】
従来、模擬負荷には、湯を沸かすことで負荷を与える「水負荷試験装置」や、いわゆるニクロム線のような棒状の加熱抵抗体を用いた「乾式試験装置」などが用いられていた。しかし、本発明の負荷試験システムは従来の負荷試験装置とは全く異なる構成を採用し、負荷試験で発電する電力を無駄にしない構成を採用するものとした。
【0020】
しかして、本発明による負荷試験システムの実施例1における構成図は
図1に示す構成となる。
まず、非常用発電機1は、切り替えスイッチ2を介し、非常用発電機1から発電された交流電力が入力される並列接続された複数の交流/直流変換機能付き充電器21・・・に接続される。
【0021】
尚、
図1から理解される様にソーラーパネルなど他の発電装置22からの直流電力も前記複数の交流/直流変換機能付き充電器21・・・と共にその出力側に並列に接続してもかまわない。
【0022】
また、非常用発電機1と前記並列接続された複数の交流/直流変換機能付き充電器21・・・との間には、容量変更スイッチ25を介して接続してあり、該容量変更スイッチ25を切り替えることにより、充電する容量が変更できるように構成されている。
【0023】
尚、符号23は、非常用発電機1を稼働する操作電源である。該操作電源23の入力電力については後述する。
【0024】
ここで、非常用発電機1から発電された交流電力は、並列接続された複数の交流/直流変換機能付き充電器21、この実施例では9個の交流/直流変換機能付き充電器21に入力される。
【0025】
そして、充電容量が例えば各々4kWに設定されている前記複数の交流/直流変換機能付き充電器21に入力された交流電力は、直流に変換されると共に、所定の出力電圧、例えば48Vに設定された出力電圧で、例えばリチウムイオンバッテリーなどの蓄電池24側に送出されて入力されるものとなる。
【0026】
ここで、蓄電池24の入力電圧は並列接続された複数の交流/直流変換機能付き充電器21の前記出力電圧と略同様な電圧、あるいは前記の出力電圧より低い電圧に設定されており、またその充電容量は34kW程度に設定されている。
【0027】
よって、非常用発電機1で発電された交流の電力は、交流/直流変換機能付き充電器21によって直流に変換されると共に、前記蓄電池24側に送出されて充電されるものとなる。
【0028】
ところで、非常用発電機1の負荷試験は、試験すべき非常用発電機1の発電容量が100kWのものとすると、その3分の1の容量、すなわち34kWの発電電力の負荷を一気にかけるのではなく、4段階の発電容量に分けて電力を出力する、即ち負荷を上昇させてかけていく試験となる。よって、1回目は、約9kWの発電容量を生成し、その約9kWの発電電力を出力して負荷としてかけるものとなる。
【0029】
すると、交流/直流変換機能付き充電器21は3個接続し、充電器の充電容量を12kWにして前記非常用発電機1からの発電電力を入力する必要がある。
【0030】
次に、2回目は、負荷をかける容量を上げ、17kWの負荷をかける試験となる。この場合は交流/直流変換機能付き充電器21を5個接続し、全体の充電容量を20kWにしておく。
【0031】
さらに、3回目は26kWの負荷をかける。そのため、交流/直流変換機能付き充電器21を7個接続して充電容量を28kWにして試験を行うものとなる。
【0032】
最後に、34kWの負荷をかける試験となる。即ち、100kW容量の非常用発電機1につき、約3分の1の発電容量である約34kWの電力を送出し、負荷をかける試験となる。この場合、交流/直流変換機能付き充電器21は9個接続し、充電容量が36kWにして試験を行うものとなる。なお、これらの制御については制御装置を設け、該制御装置によって詳細に制御できるよう構成されている。
【0033】
そして、上記の負荷試験で非常用発電機1の動作に異常がなければ、負荷試験は正常に終了するものとなる。
【0034】
ここで、従来の負荷試験では、非常用発電機1の発電した電力がすべて熱エネルギーとして消費されていたが、本発明ではその発電電力を有効に利用できるものとした。
【0035】
即ち、複数の交流/直流変換機能付き充電器21によって、非常用発電機1が負荷試験を行うために試験的に発電した交流電力は、蓄電池24内に充電される。この蓄電池24が例えば36kWの電力容量のものであれば、前記の負荷試験によって約30分乃至約1時間で充電が完了できるものとなる。
【0036】
さらに、蓄電池24の出力側には
図1に示すように、直流/交流変換器26が接続されており、この直流/交流変換器26を介して、負荷抵抗器6の操作電源27に操作用の電力、例えば高温となった抵抗器を冷却する冷却ファンの動力用電力などを供給でき、また、操作電源切り替えスイッチ28を切り替えることにより前述した非常用発電機1の操作電源23についてもその操作用の電力を供給出来るように構成してある。かかる制御も制御装置で行えるようになっている。
【0037】
図1において、従来型の負荷抵抗器6についても非常用発電機1からの発電電力が送出でき、負荷試験が出来るように構成されている。従って、例えば、蓄電池24へのフル充電が完了したときなど、一旦切り替えスイッチ2を切り替え、従来型の負荷抵抗器6を使用して負荷試験を行うことも出来る。
【0038】
尚、
図1の構成において、切り替えスイッチ2は、並列接続された複数の交流/直流変換機能付き充電器21側にあらかじめ制御装置の制御により切り替えられており、負荷試験で発電した電力は優先的に蓄電池24に充電されるものとなっている。
【0039】
そして、蓄電池24への充電がフル充電状態となったとき、たとえばその状態を検出器で検出して、自動的に従来型の負荷抵抗器6側に切り替わるように制御装置により制御されている。
【0040】
(実施例2)
次に、
図2に実施例2の構成例を示す。
図2では、交流/直流変換器4を介して複数台の二次電池充電体3に接続した構成を有する実施例である。
【0041】
ここで、本実施例における非常用発電機1は、三相交流の電力を生成し、送出する発電機1であるが、これにはまず、制御装置16により、前記の切り替えスイッチ2があらかじめ優先的に二次電池充電体3側に切り替えられてあり、前記非常用発電機1の電源入力部7から複数台の二次電池充電体3側に接続されて動作試験すなわち負荷試験が行われる様構成されている。
【0042】
なお、ここで接続される3台の二次電池充電体3には、直流電力で充電される。よって、その間には交流/直流変換器4を介在させて交流を直流に変換しなければならない。
【0043】
前述の様に、前記切り替えスイッチ2は優先的に3台の二次電池充電体3側に切り替えられており、優先的に切り替えられている第1スイッチ部8から3相交流電力が交流/直流変換器4に送出される。
【0044】
前記交流/直流変換器4により変換された直流電力は、該交流/直流変換器4に各々接続されている3つの二次電池充電体3に供給される。そして、前記3つの二次電池充電体3は非常用発電機1の動作試験即ち負荷試験で使用される発電電力を無駄にすることなく充電して保存するものとなる。
【0045】
3つの二次電池充電体3には、その入力側で各々スイッチ部18が設けられ、該スイッチ部18を介して三相交流の一相ずつがそれぞれの二次電池充電体3に接続されている。
【0046】
そして、さらに、たとえば3つの二次電池充電体3のそれぞれの充電時間が若干異なった場合などには、該スイッチ部18を開閉して前記3つの二次電池充電体3のそれぞれが離脱、脱着操作ができるよう構成されている。このスイッチ部18についても切り替えスイッチ装置19としてその切り替え制御が制御装置16で行えるよう構成されている。
【0047】
ここで、この二次電池充電体3の形成に当たっては、複数のリチウムイオン電池を直列或いは並列に接続して形成することが出来ない。リチウムイオン電池を複数使用し、それを直列或いは並列にして使用すると高熱を発し、もって発火の可能性が高くなる。また各リチウムイオン電池の直列、或いは並列接続に際し、各々のリチウムイオン電池の電圧バランスを保持するなどの調整が困難である。よって、それを防止するために複雑な保護回路を形成しなければならなくなる。
【0048】
従って、充電完了後、一旦連携してある結線から外すと、再度リチウムイオン電池で形成した二次電池充電体3内の回路を組み直さなければならない。即ち、電圧調整などの調整をし直さなければならない。よって、二次電池充電体の形成にリチウムイオン電池を使用することは適当ではない。
【0049】
尚、二次電池用の電池として一般的なのはニッケルなどを利用した乾電池がある。前記の乾電池を大量個数配置して二次電池充電体を形成することが考えられるが、二次電池用乾電池は容量が小さく、またその重量も容量に比較して重い。よって、二次電池用の乾電池を使用することも本発明には適当ではない。
【0050】
そこで、キャパシタを使用した二次電池を使用して二次電池充電体3を形成することが考えられる。現在キャパシタを使用した二次電池が可及的に開発されており、該キャパシタを使用して形成した二次電池充電体3であれば、容量の大きい二次電池充電体3の回路を組むに当たり、簡単に直列或いは並列に接続でき、複雑な保護回路も必要としない。また、発火の可能性も少ない。さらに、二次電池充電体3を充電完了後に、負荷試験システムから外し、新しいキャパシタ二次電池充電体3を接続したとしても、リチウムイオン電池で形成する二次電池充電体のように、いわゆる電圧調整などの調整をする必要もない。
【0051】
ここで、キャパシタを使用した二次電池について説明すると、例えば、キャパシタ電池とは、方形の平板状をなす電極9、10と電解液11の界面に形成される電気二重層状態を誘電体の代わりに利用するものである。
【0052】
通常、電気二重層キャパシタは、正極電極9、負極電極10、電解液11、そして対向する電極の短絡防止用セパレータ12を有して構成される。さらに、外側はフイルム樹脂などで形成された被覆材13で覆われており、例えば、4V、1A/hの規格を有して略方形平板状をなすキャパシタ電池ユニット14が形成されるものとなる(
図4参照)。
【0053】
この大きさは、横幅約100cm、縦幅約70cm、厚み約2cm~3cm程度であり、その重量は100g~200g程度で構成される。
そして、このキャパシタ電池ユニット14を複数個、例えば40個程度直列に接続して8kWh程度の容量を有するキャパシタ二次電池充電体3が形成されるのである。
しかも、このキャパシタを使用した二次電池3は、発熱量がきわめて少なく、また直列あるいは並列に接続するに際し、複雑な保護回路の配置も必要ない。
【0054】
このように、キャパシタを使用した二次電池3であれば、複数枚のキャパシタ電池ユニット14を直列に接続し、別途保護回路を要することなく容量8kWh程度のキャパシタ二次電池充電体3として形成できる。
【0055】
尚、キャパシタ二次電池充電体3は、全体として8kWhの充電容量を有するものとして構成したが、これに限定されるものではなく、前記のキャパシタ電池ユニット14の数個を変更してそれを直列或いは並列に接続することにより充電容量を自在に変更したキャパシタ二次電池充電体3を構成することが出来る。
【0056】
図2では、前記の規格からなるキャパシタ電池ユニット14を前記の様に接続した二次電池充電体3を三台接続してある。
【0057】
ここで、非常用発電機1を稼働させると、該非常用発電機1から200Vの電圧の交流電力が発電される。そして発電された交流の電力は、三相交流の送出電力側に接続された交流/直流変換器4によって交流から直流に変換され、該交流/直流変換器4に各々接続されているキャパシタ二次電池充電体3が前記直流電力によって充電される。このように、非常用発電機1の負荷試験を行うと共に、発電した電力を無駄にすることなくキャパシタ二次電池充電体3に充電して保存することが出来る。
【0058】
ここで、キャパシタを使用した二次電池はきわめて瞬時に充電がなされるものであり、またその内部抵抗がきわめて小さいため、電気抵抗による発熱量がきわめて少ない。そして、例えば負荷試験開始約1時間経過時には前記各々のキャパシタ二次電池充電体3はフル充電状態となる。1つのキャパシタ二次電池充電体3で8kWhの容量、3つのキャパシタ二次電池充電体3で合計約24kWhの容量の直流電力が充電、保存されるものとなる。
【0059】
前記三つのキャパシタ二次電池充電体3、場合によって設置される急速充電器17に接続された電池充電体20がフル充電状態となったとき、各キャパシタ二次電池充電体3側に接続されているフル充電検出器5がそれらのフル充電状態を検知し、それらの検知をアラーム信号によって報知する。尚、アラーム信号には音や照明灯などがある。
【0060】
しかしながら、前記非常用発電機1の試験は終了しない。なぜなら100Wの発電容量のうち、少なくともその3分の1の34kWの容量の発電を確認するまで行う必要があるからである。
【0061】
すなわち、各々のキャパシタ二次電池充電体3の充電が完了したときに、切り替えスイッチ2が第2スイッチ15側に切り替えられ、発電試験中の非常用発電機1の3相交流の交流電力送出用接続は、三相交流用の従来型乾式負荷抵抗器6側に接続が変わる。
【0062】
すなわち、従来の棒状抵抗器ユニットを使用した交流負荷抵抗器6で、非常用発電機1での発電した交流電力の負荷試験が続行出来るよう構成してある。
【0063】
ここで、非常用発電機1の接続が交流の負荷抵抗器6に接続され、負荷試験が続行している間に、前記キャパシタ二次電池充電体3につき、フル充電されたキャパシタ二次電池充電体3から充電されていないキャパシタ二次電池充電体3に取り替える作業が行われる。
【0064】
そして、取り替え後に、前記切り替えスイッチ2につき、キャパシタ二次電池充電体3側に再び切り替え、負荷試験が続行されるのである。
【0065】
ところで、前述したように、キャパシタ二次電池充電体3は、充電時に生ずる発熱量がきわめて少ないため冷却ファンによって冷却する必要がない。
よって、負荷試験システム自体の重量をきわめて軽量化できる。4V、1A/hの規格を有するキャパシタ電池ユニット14は約100g~200g程度の重量であり、これを40個使用したとしても4kg~8kg程度の重量である。
【0066】
そして、充電が完了したキャパシタ二次電池3については、各種の利用方法が考えられる。
なお、本発明の負荷試験システムは、UPS(無停電源装置)等の一般的電源設備PSの負荷試験にも用いることが出来る。
さらに、非常時に用いるために停止中の火力発電機や停止中の原子力発電機等でもよい。さらに、負荷試験を行う他の電源設備としては、風力発電機やソーラパネル(太陽光発電装置)等であっても良い。
【0067】
符号16は制御装置を示す。ここで、制御装置16は、非常用発電機1の電源入力部7からの発電電力送出制御、キャパシタ二次電池充電体3、急速充電器17などの充電制御および負荷抵抗器負荷抵抗器6への接続切り替え制御を行うと共に、前記キャパシタ二次電池充電体3のフル充電検出や非常用発電機1の約3分の1程度容量の発電量の検出などが行われる。
【0068】
該制御装置16は、切り替えスイッチ2などを動作制御し、大部分の接続制御としてキャパシタ二次電池充電体3側の選択を行わせると共に、選択した前記キャパシタ二次電池充電体3の接続条件を変える制御をも行い、充電電圧及び充電電流がキャパシタ二次電池充電体3の充電電圧及び充電電流の仕様に対応するように構成する。
【0069】
この充電電圧及び充電電流は、直列および/又は並列接続を異ならせて組み込んだ各キャパシタ二次電池充電体3の充電に最適な値又はこれに近い値に設定される。
【0070】
なお、急速充電器17およびこれに接続された電池充電体20は急速充電の必要に応じて用いられ、また補助用電池としても用いられる。また、急速充電器17の外に充電済みの各キャパシタ二次電池充電体3も補助用電池として用いることも出来る。
【0071】
従来、負荷試験システムにおいて、その稼働の際の操作電源23、27は、現場の商用電源から供給を受けたり、可搬式の発電装置を用意して確保したりしていた。
【0072】
しかしながら、接続や結構段取り準備に手間がかかるとの課題があった。よって、前述したように前記充電してある電力、例えば電池充電体20やキャパシタ電池充電体3などの電力を操作用の電力として使用できるものとしたのである。
【0073】
なお、負荷抵抗器6の内部に充電できる電力貯蔵部としての電池充電体を設けることにより、負荷試験中に瞬時たりとも操作電源を切ることなく試験続行することもできる。
【0074】
例えば、瞬時電源喪失時は、速やかに、負荷抵抗器6内蔵の、あるいは前述した充電された補助電源の非常電源にて、速やかに冷却ファンを起動させて棒状抵抗ユニットの冷却作業(1分乃至2分)を行う。そして負荷試験システムを速やかに停止するのである。
【0075】
このように操作電源23、27を負荷試験システムの内部に設置したりすれば、現場の商用電源から供給を受けたり、可搬式の発電装置を用意して確保したりする必要がない。
【0076】
次に、本発明による負荷試験システムの動作につき説明する。
この負荷試験システムは、非常用発電機1が設置されている場所や建物内に移動できるよう車両に載置されて使用される。しかし据え置き型として設置して使用してもかまわない。
【0077】
本発明の負荷試験システムにより例えば非常用発電機1の負荷試験が定期的に行われる。この負荷試験において、優先的に実施例1の蓄電池24やキャパシタ二次電池充電体3が非常用発電機1からの電力により充電される。
この際、冷却ファンは必要としない。前記のように内部の電気抵抗が小さいからである。よって、システムの重量を大きく軽量化できる。
【0078】
ところで、従来は、非常用発電機1から供給される電力を棒状抵抗器により構成された負荷抵抗器6のみで単に熱エネルギーに消費していたのに対し、本発明では非常用発電機1の負荷試験において供給される電力を蓄電池24やキャパシタ二次電池充電体3に充電して蓄えることにより、供給される電力を無駄に捨てるような消費をしない。充電された電力は、例えばEV車(電気自動車)のバッテリーや住宅等の建物内の供給電源として用いることが出来、有効に活用できる。
【0079】
即ち、充電された蓄電池24やキャパシタ二次電池充電体3の電力規格をEV車(電気自動車)のバッテリー規格と同じ規格にするなどしておけば、EV車(電気自動車)のバッテリーなどとして簡単に用いることができる。また、住宅等の建物の内部の供給電源としても用いることが出来る。
【0080】
さらに、本発明の負荷試験システムは、負荷試験を行なっていないときには、単に充電装置としても用いることが出来る。
【0081】
すなわち、ソーラーパネル、電気機器や電子機器等の負荷の使用状態で余る余剰電力を、負荷試験システムを充電装置として用い、キャパシタ二次電池充電体3に充電し、前記の余剰電力の無駄なエネルギー消費を防止できる。
【0082】
本発明の負荷試験システムは三相交流の電源に対応するためにR相、S相、T相に対応する3つのキャパシタ二次電池充電体3を設けた例を示したが、電源が単相交流や直流の場合にはR相、S相、T相のうちの一つを用いれば良い。
【0083】
次に、例えば、本発明による負荷試験システムをトラック等の車両などに搭載して、移動する構成としたときの本発明の使用状態を説明する。
前記車両の前輪(車輪)、後輪(車輪)が車輪駆動モータで駆動可能に設けられた車両のトラックが用いられていて、車両がEV車(電気自動車)のときである。
【0084】
このような構成のときは、負荷試験をしながら車両の電源に充電できるというメリットもある。
すなわち、車両内の負荷(例えば空調装置、メータ、ランプ、駆動モータ等を含む)に供給することも出来る。
【0085】
ここで、非常用発電機1の発電試験を実施する場所まで、本発明による負荷試験システムを載せて移動する電気自動車の高性能バッテリーの急速充電電源につき説明する。
【0086】
100kW用の負荷試験システムを搭載した自動車の急速充電の電源容量は約3相200V50kW程度で、充分な負荷容量となる。従って、本発明での蓄電された電力を使用すれば大きな省力化、省エネをすることができ、CO2削減に大きく貢献できる。
【0087】
(実施例3)
図3に本発明の実施例3の構成例を示す。
本実施例では、非常用発電機1が負荷試験により発電した発電電力を、キャパシタ二次電池充電体3へ、また、交流/直流変換機能つき充電器21を介してリチウムイオンバッテリーなどの蓄電池24へ、従来型の乾式負荷抵抗器6へあるいは急速充電器17を介してEV車31のバッテリー29などへそれぞれ出力できる構成例としたものであり、またそれらのいくつかへまとめて出力できて負荷試験が行えるよう構成したものである。
【0088】
図3において、非常用発電機1には、全体切り替えスイッチ装置30を介し、非常用発電機1から発電された交流電力が直流電力に変換されて入力される3つのキャパシタ二次電池充電体3が接続されている。
【0089】
よって、非常用発電機1と3つのキャパシタ二次電池充電体3との間には交流/直流変換器4が介在されており、交流を直流に変換して3つのキャパシタ二次電池充電体3側へ送出している。
【0090】
前記交流/直流変換器4により変換された直流電力は、該交流/直流変換器4に各々接続されている3つのキャパシタ二次電池充電体3に供給される。そして、前記3つのキャパシタ二次電池充電体3は非常用発電機1の動作試験即ち負荷試験で使用される発電電力を無駄にすることなく充電して保存するものとなる。
【0091】
3つのキャパシタ二次電池充電体3には、その入力側で各々スイッチ部18が設けられ、該スイッチ部18を介して三相交流の一相ずつがそれぞれの二次電池充電体3に接続されている。
【0092】
そして、さらに、たとえば3つのキャパシタ二次電池充電体3のそれぞれの充電時間が若干異なった場合には、該スイッチ部18を開閉して前記3つの二次電池充電体3のそれぞれが離脱、脱着操作ができるよう構成されている。このスイッチ部18は切り替えスイッチ装置19としてその切り替え制御が制御装置16で行えるよう構成されている。
【0093】
ここで、前にも説明したように、このキャパシタ二次電池充電体3の形成に当たっては、複数のリチウムイオン電池を直列或いは並列に接続して形成することが出来ない。リチウムイオン電池を複数使用し、それを直列或いは並列にして使用すると高熱を発し、もって発火の可能性が高くなる。また各リチウムイオン電池の直列、或いは並列接続に際し、各々のリチウムイオン電池の電圧バランスを保持するなどの調整が困難である。よって、それを防止するために複雑な保護回路を形成しなければならなくなる。
【0094】
従って、充電完了後、一旦連携してある結線から外すと、再度リチウムイオン電池で形成した二次電池充電体3内の回路を組み直さなければならない。即ち、電圧調整などの調整をし直さなければならない。よって、二次電池充電体の形成にリチウムイオン電池を使用することは適当ではないのである。
【0095】
尚、二次電池用の電池として一般的なのはニッケルなどを利用した乾電池がある。前記の乾電池を大量個数配置して二次電池充電体を形成することが考えられるが、二次電池用乾電池は容量が小さく、またその重量も容量に比較して重い。よって、二次電池用の乾電池を使用することも本発明には適当ではない。
【0096】
そこで、キャパシタを使用した二次電池を使用してキャパシタ二次電池充電体3を形成することが考えられる。現在キャパシタを使用した二次電池が可及的に開発されており、該キャパシタを使用して形成した二次電池充電体3であれば、容量の大きい二次電池充電体3の回路を組むに当たり、簡単に直列或いは並列に接続でき、複雑な保護回路も必要としない。また、発火の可能性も少ない。さらに、二次電池充電体3を充電完了後に、負荷試験システムから外し、新しいキャパシタ二次電池充電体3を接続したとしても、リチウムイオン電池で形成する二次電池充電体のように、いわゆる電圧調整などの調整をする必要もない。
【0097】
前にも説明したが、キャパシタを使用した二次電池について説明すると、例えば、キャパシタ電池とは、方形の平板状をなす電極9、10と電解液11の界面に形成される電気二重層状態を誘電体の代わりに利用するものである。
【0098】
通常、電気二重層キャパシタは、正極電極9、負極電極10、電解液11、そして対向する電極の短絡防止用セパレータ12を有して構成される。さらに、外側はフイルム樹脂などで形成された被覆材13で覆われており、例えば、4V、1A/hの規格を有して略方形平板状をなすキャパシタ電池ユニット14が形成されるものとなる(
図4参照)。
【0099】
この大きさは、横幅約100cm、縦幅約70cm、厚み約2cm~3cm程度であり、その重量は100g~200g程度で構成される。
そして、このキャパシタ電池ユニット14を複数個、例えば40個程度直列に接続して8kWh程度の容量を有するキャパシタ二次電池充電体3が形成されるのである。
しかも、このキャパシタを使用した二次電池3は、発熱量がきわめて少なく、また直列あるいは並列に接続するに際し、複雑な保護回路の配置も必要ない。
【0100】
このように、キャパシタを使用した二次電池3であれば、複数枚のキャパシタ電池ユニット14を直列に接続し、別途保護回路を要することなく容量8kWh程度のキャパシタ二次電池充電体3として形成できる。
【0101】
尚、キャパシタ二次電池充電体3は、全体として8kWhの充電容量を有するものとして構成したが、これに限定されるものではなく、前記のキャパシタ電池ユニット14の数個を変更してそれを直列或いは並列に接続することにより充電容量を自在に変更したキャパシタ二次電池充電体3を構成することが出来る。
【0102】
図3では、前記の規格からなるキャパシタ電池ユニット14を前記の様に接続したキャパシタ二次電池充電体3を三台接続してある。
【0103】
ここで、非常用発電機1を稼働させると、該非常用発電機1から200Vの電圧の交流電力が発電される。そして発電された交流の電力は、三相交流の送出電力側に接続された交流/直流変換器4によって交流から直流に変換され、該交流/直流変換器4に各々接続されているキャパシタ二次電池充電体3が前記直流電力によって充電される。このように、非常用発電機1の負荷試験を行うと共に、発電した電力を無駄にすることなくキャパシタ二次電池充電体3に充電して保存することが出来る。
【0104】
ここで、キャパシタを使用した二次電池はきわめて瞬時に充電がなされるものであり、またその内部抵抗がきわめて小さいため、電気抵抗による発熱量がきわめて少ない。そして、例えば負荷試験開始約1時間経過時には前記各々のキャパシタ二次電池充電体3はフル充電状態となる。1つのキャパシタ二次電池充電体3で8kWhの容量、3つのキャパシタ二次電池充電体3で合計24kWhの容量の直流電力が充電、保存されるものとなる。
【0105】
前記三つのキャパシタ二次電池充電体3がフル充電状態となったとき、各キャパシタ二次電池充電体3側に接続されているフル充電などを検出する検出器5がそれらのフル充電状態を検知し、それらの検知をアラーム信号によって報知する。尚、アラーム信号には音や照明灯などがある。
【0106】
しかしながら、本実施例において、前記非常用発電機1の負荷試験による発電からの受電は前記各々のキャパシタ二次電池充電体3の充電だけで行うものではない。
すなわち、各々のキャパシタ二次電池充電体3の充電による負荷試験のほかにも行える構成となっている。
【0107】
すなわち、全体切り替えスイッチ装置30が切り替えられ、発電試験中の非常用発電機1の3相交流の交流電力送出用接続は、並列接続された複数の交流/直流変換機能付き充電器21・・・側に切り替わり、蓄電池24が充電されるものとなる。
【0108】
本発明において、負荷試験を行う際、いずれの装置、即ちキャパシタ二次電池3或いは蓄電池24のいずれを優先して充電するかは、制御装置16により任意に決定できる。キャパシタ二次電池充電体3から先に充電してもかまわないし、蓄電池24から先に充電してもかまわない。負荷試験を行う現場の状況或いは現場の非常用発電機1の状況によって自由に判断し、設定できるようになっている。
【0109】
尚、
図3から理解される様にソーラーパネルなど他の発電装置22からの直流電力も前記複数の交流/直流変換機能付き充電器21・・・と共にその出力側に並列に接続してあり、この発電装置22からの電力も充電できるようにもなっている。
【0110】
また、非常用発電機1と前記並列接続された複数の交流/直流変換機能付き充電器21・・・との間には、容量変更スイッチ25を介して接続してあり、該容量変更スイッチ25を切り替えることにより、蓄電池24へ充電する容量が変更できるように構成されている。
【0111】
尚、符号23は、非常用発電機1を稼働する操作電源である。
【0112】
ここで、非常用発電機1から発電された交流電力は、並列接続された複数の交流/直流変換機能付き充電器21、この実施例では5個の交流/直流変換機能付き充電器21に入力される。
【0113】
そして、充電容量が例えば各々4kWに設定されている前記複数の交流/直流変換機能付き充電器21に入力された交流電力は、直流に変換されると共に、所定の出力電圧、例えば48Vに設定された出力電圧で、例えばリチウムイオンバッテリーなどの蓄電池24側に送出されて入力されるものとなる。
【0114】
ここで、蓄電池24の入力電圧は並列接続された複数の交流/直流変換機能付き充電器21の前記出力電圧と略同様な電圧、あるいは前記の出力電圧より低い電圧に設定されており、またその充電容量は18kWあるいは36kW程度に設定されている。
【0115】
よって、非常用発電機1で発電された交流の電力は、交流/直流変換機能付き充電器21によって直流に変換されると共に、前記蓄電池24側に送出されて充電されるものとなる。
【0116】
ここで、従来の負荷試験では、非常用発電機1の発電した電力がすべて熱エネルギーとして消費されていたが、本発明ではその発電電力を有効に利用できるものとした。
【0117】
即ち、複数の交流/直流変換機能付き充電器21によって、非常用発電機1が負荷試験を行うために試験的に発電した交流電力は、蓄電池24内に充電される。この蓄電池24が例えば18kWあるいは36kWの電力容量のものであれば、前記の負荷試験によって約30分乃至約1時間で充電が完了できるものとなる。
【0118】
さらに、蓄電池24の出力側には
図3に示すように、直流/交流変換器26が接続されており、この直流/交流変換器26を介して、負荷抵抗器6の操作電源27に操作用の電力、例えば高温となった抵抗器を冷却する冷却ファンの動力用電力などを供給でき、また、前述した非常用発電機1の操作電源23についてもその操作用の電力を供給出来るように構成してある。尚、操作電源23は商用電源などの外部電源からも取得できるようにしておいてもかまわない。
【0119】
図3において、従来型の負荷抵抗器6についても非常用発電機1からの発電電力が送出でき、負荷試験が出来るように構成されている。従って、例えば、蓄電池24への充電が完了したときなど、一旦全体切り替えスイッチ装置30を切り替え、従来型の負荷抵抗器6を使用して負荷試験を行うことも出来る。
【0120】
また、全体切り替えスイッチ装置30には急速充電器17も接続されており、該急速充電器17を介してEV車31のバッテリー29に充電できる構成とされている。
【0121】
ここで、EV車31は、本実施例の構成品を搭載して、負荷試験を行う現地まで運搬するものであり、よって、現地での負荷試験によって生じた発電電力を充電し、負荷試験によって生じた発電電力を無駄なく活用できる構成になっている。
【0122】
そして、このEV車31のバッテリー29の充電については、普通充電器33を介しても行え、もって負荷試験が終了した後、ガレージの中でゆっくりと、EV車31に搭載されてある蓄電池24から普通充電器33を介して充電できるものとなっている。
【0123】
なお、大震災のとき、外部電力喪失で非常用発電装置が動かず原発が動かずに大災害となった経緯がある。身近なインフラ設備に病院に商業ビルに多くの非常用発電装置が大小合わせて、20万台を超え、外部電力を必要としない非常用発電装置と一体の操作電力を兼ね備えた本発明のようなハイブリットの非常用発電装置が必要となる。
【0124】
非常用電源は、見直されており、原発では、3~4か月おきに、定期負荷運転を実施している。ポンプ場等も、水抵抗器が設置されているにもかかわらず、アーク放電で危険なため使用せず、乾式負荷装置を段取りして1/3以上の負荷運転を実施している状況である。
【0125】
しかしながら、本発明によれば、一度、装置を運転稼働すれば、一切、外部電力を使わず、独立した宇宙ステーションとほぼ同じシステムとなるといえる。
【0126】
ここで、電力貯蔵負荷装置についてであるが、非常用発電機の負荷試験で得た電力を貯蔵し、貯蔵には、電気分解をして水素を有機ハイドライドで貯蔵してもかまわない。
【0127】
また、前述したように、蓄電池、燃料電池またはキャパシタ二次電池やLiB等で貯蔵してもかまわない。そして、この貯蔵電力を外部電力の代わりに使用できるという優れた効果がある。
【0128】
さらに、太陽光発電などの外部発電電力も前記蓄電池、燃料電池またはキャパシタ二次電池やLiB等に貯蔵するようにしてある。
【0129】
そして、個々の蓄電池、燃料電池またはキャパシタ二次電池やLiB等が、非常用発電機の最適な負荷となって最適な負荷試験が行えるよう、バランスをとって前記蓄電池、燃料電池またはキャパシタ二次電池やLiB等を選定することが重要である。
【符号の説明】
【0130】
1 非常用発電機
2 切り替えスイッチ
3 キャパシタ二次電池充電体
4 交流/直流変換器
5 検出器
6 負荷抵抗器
7 電源入力部
8 第1スイッチ部
9 正極電極
10 負極電極
11 電解液
12 セパレータ
13 被覆材
14 キャパシタ電池ユニット
15 第2スイッチ
16 制御装置
17 緊急充電器
18 スイッチ部
19 切り替えスイッチ装置
20 電池充電体
21 交流/直流変換機能つき充電器
22 他の発電装置
23 非常用発電機の操作電源
24 蓄電池
25 容量変更スイッチ
26 直流/交流変換器
27 操作電源
28 操作電源切り替えスイッチ
29 バッテリー
30 全体切り替えスイッチ装置
31 EV車
33 普通充電器