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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-10
(45)【発行日】2023-02-20
(54)【発明の名称】切断線およびこれを備えた包装箱
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/42 20060101AFI20230213BHJP
   B65D 5/54 20060101ALI20230213BHJP
【FI】
B65D5/42 F
B65D5/54 G
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018231614
(22)【出願日】2018-12-11
(65)【公開番号】P2020093802
(43)【公開日】2020-06-18
【審査請求日】2021-09-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000115980
【氏名又は名称】レンゴー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100177644
【弁理士】
【氏名又は名称】児玉 和樹
(72)【発明者】
【氏名】橋本 章
(72)【発明者】
【氏名】多田 公比古
【審査官】▲高▼橋 杏子
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-118760(JP,A)
【文献】登録実用新案第3193456(JP,U)
【文献】実開昭59-186218(JP,U)
【文献】特開2008-044248(JP,A)
【文献】特開2009-190795(JP,A)
【文献】特開2011-001083(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/00-5/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装箱の一面を切断するために複数の切目(20,52)と複数の継目(25)とを交互に配置した切断線であって、
前記複数の切目は、前記一面を折り曲げたときの中心線(CL)を中心とした波状に配置され、
前記複数の継目は、前記中心線に対して前記中心線に直交する振幅方向に離れた位置に配置された複数の外側継目(26)と、前記中心線上に配置された複数の内側継目(27)と、を含み、
前記切目は、
曲線状または直線状に形成された切目本体(21,53)と、
前記切目本体の前記中心線から振幅方向に離れた位置にある端部から前記中心線の側または前記中心線とは反対側に向かって延設された外側切目部(22,50)と、を含み、
前記切目本体と前記外側切目部との成す角度が鈍角であり、
前記外側継目を挟んで隣り合う一対の前記外側切目部は、互いに逆方向に延設され、且つ前記外側継目を挟んで重なり合うように対向し、
前記一面を折り曲げた状態において、前記外側継目は破断する、または破断し易いように弱められ、前記内側継目は破断しないことを特徴とする切断線。
【請求項2】
包装箱の一面を切断するために複数の切目(20)と複数の継目(25)とを交互に配置した切断線であって、
前記複数の切目は、前記一面を折り曲げたときの中心線(CL)を中心とした波状に配置され、
前記複数の継目は、前記中心線に対して前記中心線に直交する振幅方向に離れた位置に配置された複数の外側継目(26)と、前記中心線上に配置された複数の内側継目(27)と、を含み、
前記切目は、
曲線状または直線状に形成された切目本体(21)と、
前記切目本体の前記中心線に接している端部から前記中心線を越えた反対側、または前記切目本体の側に向かって延設された内側切目部(23,51)と、を含み、
前記切目本体と前記内側切目部との成す角度が鈍角であり、
前記内側継目を挟んで隣り合う一対の前記内側切目部は、互いに逆方向に延設され、且つ前記内側継目を挟んで重なり合うように対向し、
前記一面を折り曲げた状態において、前記外側継目は破断する、または破断し易いように弱められ、前記内側継目は破断しないことを特徴とする切断線。
【請求項3】
包装箱の一面を切断するために複数の切目(20,52)と複数の継目(25)とを交互に配置した切断線であって、
前記複数の切目は、前記一面を折り曲げたときの中心線(CL)を中心とした波状に配置され、
前記複数の継目は、前記中心線に対して前記中心線に直交する振幅方向に離れた位置に配置された複数の外側継目(26)と、前記中心線上に配置された複数の内側継目(27)と、を含み、
前記切目は、
曲線状または直線状に形成された切目本体(21,53)と、
前記切目本体の前記中心線から振幅方向に離れた位置にある端部から前記中心線の側または前記中心線とは反対側に向かって延設された外側切目部(22,50)と、
前記切目本体の前記中心線に接している端部から前記中心線を越えた反対側、または前記切目本体の側に向かって延設された内側切目部(23,51)と、を含み、
前記切目本体と前記外側切目部との成す角度、および前記切目本体と前記内側切目部との成す角度が鈍角であり、
前記外側継目を挟んで隣り合う一対の前記外側切目部は、互いに逆方向に延設され、且つ前記外側継目を挟んで重なり合うように対向し、
前記内側継目を挟んで隣り合う一対の前記内側切目部は、互いに逆方向に延設され、且つ前記内側継目を挟んで重なり合うように対向し、
前記一面を折り曲げた状態において、前記外側継目は破断する、または破断し易いように弱められ、前記内側継目は破断しないことを特徴とする切断線。
【請求項4】
前記外側継目は、前記中心線から波状の振幅方向に最も離れた位置に配置されていることを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載の切断線。
【請求項5】
請求項1ないしのいずれかに記載の切断線が前記一面に形成されていることを特徴とする包装箱。
【請求項6】
一端面に開口部を有し、一列に並設された複数のトレイ(1T)と、
前記複数のトレイの前記開口部を塞ぐ蓋体(1L)と、を備え、
前記蓋体には、請求項1ないしのいずれかに記載の切断線が、隣り合う前記トレイ同士の境界に沿って形成されていることを特徴とする包装箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装箱の一面を切断するために複数の切目と複数の継目とを交互に配置した切断線およびこれを備えた包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の段ボール製の包装箱は、天面、底面、一対の長側面および一対の短側面を備えている。天面には、中心線と斜めに交差する第1の分離予約線と、第1の分離予約線の両端から短側面に向かって延びた一対の第2の分離予約線とが形成されている。各々の長側面には、長手方向に直線状に延びた第5の分離予約線が形成されている。第1、第2および第5分離予約線は、所謂ジッパーである。この包装箱を開封する場合、ユーザは、天面の中央付近に両手の親指を入れ、両手を互いに離す方向に引っ張る(旋回させる)。すると、天面は、第1および第2分離予約線に沿って切断される。その後、ユーザは、一対の長側面を一対の第5の分離予約線に沿って切断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-110446号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の包装箱では、ユーザは天面を両手で掴んで互いに逆方向に引っ張ることができるため、天面を比較的容易に切断することができた。しかしながら、直線状の第5の分離予約線に沿って長側面を切断するには、ジッパーの切断方向を確認し、慎重に切断しなければならなかった。また、長側面を1度折り曲げただけでは、第5の分離予約線の切目と切目の間の継目は破断しないため、長側面を第5の分離予約線に沿って小さな力で容易に切断することができなかった。長側面を第5の分離予約線で容易に切断するためには、例えば、長側面を何度も折ったり戻したりして第5の分離予約線(の継目)を十分に弱めなければならなかった。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するために、包装箱の一面を折り曲げることで容易に切断することができる切断線およびこれを備えた包装箱を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した目的を達成するため、本発明は、包装箱の一面を切断するために複数の切目と複数の継目とを交互に配置した切断線であって、前記複数の切目は、前記一面を折り曲げたときの中心線を中心とした波状に配置され、前記複数の継目は、前記中心線に対して前記中心線に直交する振幅方向に離れた位置に配置された複数の外側継目を含み、前記一面を折り曲げた状態において、前記外側継目は破断する、または破断し易いように弱められる。
【0007】
この場合、前記複数の継目は、前記中心線上に配置された複数の内側継目を含み、前記一面を折り曲げた状態において、前記内側継目は破断しないことが好ましい。
【0008】
この場合、前記切目は、曲線状または直線状に形成された切目本体と、前記切目本体の前記中心線から振幅方向に離れた位置にある端部から前記中心線の側または前記中心線とは反対側に向かって延設された外側切目部と、を含み、前記切目本体と前記外側切目部との成す角度が直角または鈍角であることが好ましい。
【0009】
他の場合、前記切目は、曲線状または直線状に形成された切目本体と、前記切目本体の前記中心線に接している端部から前記中心線を越えた反対側、または前記切目本体の側に向かって延設された内側切目部と、を含み、前記切目本体と前記内側切目部との成す角度が直角または鈍角であることが好ましい。
【0010】
また、他の場合、前記切目は、曲線状または直線状に形成された切目本体と、前記切目本体の前記中心線から振幅方向に離れた位置にある端部から前記中心線の側または前記中心線とは反対側に向かって延設された外側切目部と、前記切目本体の前記中心線に接している端部から前記中心線を越えた反対側、または前記切目本体の側に向かって延設された内側切目部と、を含み、前記切目本体と前記外側切目部との成す角度、および前記切目本体と前記内側切目部との成す角度が直角または鈍角であることが好ましい。
【0011】
また、この場合、前記外側継目を挟んで隣り合う一対の前記外側切目部は、互いに逆方向に延設され、前記内側継目を挟んで隣り合う一対の前記内側切目部は、互いに逆方向に延設されていることが好ましい。
【0012】
また、この場合、前記外側継目は、前記中心線から波状の振幅方向に最も離れた位置に配置されていることが好ましい。
【0013】
上記した目的を達成するため、本発明の包装箱は、上記のいずれかに記載の切断線が前記一面に形成されている。
【0014】
また、上記した目的を達成するため、本発明の包装箱は、一端面に開口部を有し、一列に並設された複数のトレイと、前記複数のトレイの前記開口部を塞ぐ蓋体と、を備え、前記蓋体には、上記のいずれかに記載の切断線が、隣り合う前記トレイ同士の境界に沿って形成されている。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、包装箱の一面を折り曲げることで容易に切断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1実施形態に係る包装箱を示す斜視図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る包装箱のトレイのブランクを示す平面図である。
図3】本発明の第1実施形態に係る包装箱の蓋体のブランクを示す平面図である。
図4】本発明の第1実施形態に係る切断線の一部を拡大して示す平面図である。
図5】本発明の第1実施形態に係る包装箱のトレイを組み立てた状態を示す斜視図である。
図6】本発明の第1実施形態に係る包装箱の組立過程を示す斜視図である。
図7】本発明の第1実施形態に係る包装箱を分割する過程を示す斜視図である。
図8A】本発明の第1実施形態に係る切断線で折り曲げた蓋体を斜め後方から示す斜視図である。
図8B】本発明の第1実施形態に係る切断線で折り曲げた蓋体を斜め前方から示す斜視図である。
図9】本発明の第1実施形態に係る包装箱を分割した状態を示す斜視図である。
図10】本発明の第2実施形態に係る包装箱を示す斜視図である。
図11】本発明の第2実施形態に係る包装箱のブランクを示す平面図である。
図12】本発明の第2実施形態に係る切断線を示す平面図である。
図13】本発明の第2実施形態に係る包装箱を開封した状態を示す斜視図である。
図14】本発明の第2実施形態に係る包装箱を切断線で折り返した状態を示す斜視図である。
図15】本発明の第2実施形態に係る包装箱を分割した状態を示す斜視図である。
図16】本発明の第3実施形態に係る切断線の一部を拡大して示す平面図である。
図17】本発明の第4実施形態に係る切断線の一部を拡大して示す平面図である。
図18】本発明の第5実施形態に係る切断線の一部を拡大して示す平面図である。
図19】本発明の第1実施形態の第1変形例に係る切断線の一部を拡大して示す平面図である。
図20】本発明の第1実施形態の第2変形例に係る切断線の一部を拡大して示す平面図である。
図21】本発明の第1実施形態の第5変形例に係る切断線の一部を拡大して示す平面図である。
図22】本発明の第1実施形態の第6変形例に係る切断線の一部を拡大して示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付の図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。なお、図面に示す「Fr」は「前」を示し、「Rr」は「後」を示し、「L」は「左」を示し、「R」は「右」を示し、「U」は「上」を示し、「D」は「下」を示している。前後方向は、左右方向に直交し、上下方向は前後方向と左右方向とに直交している。本明細書では方向や位置を示す用語を用いるが、それらの用語は説明の便宜のために用いるものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0018】
[第1実施形態:包装箱の概要]
図1ないし図3を参照して、包装箱1の構成について説明する。図1は包装箱1を示す斜視図である。図2は包装箱1のトレイ1Tのブランク5を示す平面図である。図3は包装箱1の蓋体1Lのブランク6を示す平面図である。
【0019】
図1に示すように、包装箱1は、全体として背の低い略直方体状に形成されている。包装箱1は、3つのトレイ1Tの上面開口部1Aを1つの蓋体1Lで閉じることで封緘される箱(以下「トレイリッダー」ともいう。)である。3つのトレイ1Tは、左右方向に一列に並設され、互いに連結されている。各トレイ1Tは、上端面(一端面)に上面開口部1A(図5参照)を有しており、その内部には、複数の内容物(図示せず)が収容される。蓋体1Lは、3つのトレイ1Tに架け渡され、3つのトレイ1Tの上面開口部1Aを塞いでいる。
【0020】
トレイ1Tは、図2に示すブランク5を組み立てることで形成される。蓋体1Lは、図3に示すブランク6を組み立てることで形成される。ブランク5,6は、例えば、一枚の紙製の段ボールシートを抜型等で打ち抜いて形成される。段ボールシートは、例えば、波状の中しん9Aの表裏に表ライナ9Bと裏ライナ9C(図5参照)とを貼り合せた両面段ボールシートである。なお、図2および図3は、表ライナ9B側を示している。本明細書では、段ボールの中しん9Aと平行な方向を「段方向」と呼び、段方向(中しん9A)に直交する方向を「流れ方向」と呼ぶこととする。図面に示す「X」は「段方向」を示し、「Y」は「流れ方向」を示している。また、本明細書では、「上(天)」、「下(底)」およびこれに類する用語は、包装箱1を組み立てた状態(組立状態)における上(天)、下(底)およびこれに類する概念を指している。
【0021】
[トレイのブランク]
図2に示すように、トレイ1Tのブランク5は、底壁10と、一対の側壁11と、一対の上内フラップ12と、一対の下外フラップ13と、4つの側内フラップ14と、を含んでいる。
【0022】
<底壁、側壁、上内フラップ>
底壁10、一対の側壁11および一対の上内フラップ12は、この順番で段方向中央から両外側に向かって一列に並べられている。底壁10は、段方向よりも流れ方向に長い略長方形状に形成されている。一対の側壁11は、第1折曲線L1を介して底壁10の段方向両端部に連設されている。各側壁11は、底壁10と略同じ大きさとなる略長方形状に形成されている。一対の上内フラップ12は、第1折曲線L1を介して一対の側壁11の段方向両端部に連設されている。各上内フラップ12は、側壁11よりも流れ方向に僅かに短い略長方形状に形成されている。各上内フラップ12の段方向の寸法(延出寸法)は、底壁10の段方向の寸法の半分以下に設定されている。
【0023】
<下外フラップ、側内フラップ>
一対の下外フラップ13は、第2折曲線L2を介して底壁10の流れ方向両端部に連設されている。各下外フラップ13は、底壁10の側から先端に向かって僅かに幅狭くなる略台形状に形成されている。各下外フラップ13の流れ向の寸法(延出寸法)は、側壁11の段方向の寸法の略半分に設定されている。4つの側内フラップ14は、第2折曲線L2を介して一対の側壁11の流れ方向両端部に連設されている。各側内フラップ14は略長方形状に形成され、その流れ向の寸法(延出寸法)は下外フラップ13の延出寸法と略同一に設定されている。
【0024】
[蓋体のブランク]
図3に示すように、蓋体1Lのブランク6は、3つの天壁15と、6つの上外フラップ16と、を含んでいる。
【0025】
<天壁>
3つの天壁15は、段方向に一列に並べられ、切断線17を介して連設されている。各天壁15は、底壁10と略同じ大きさであり、段方向よりも流れ方向に長い略長方形状に形成されている。詳細は後述するが、切断線17は、複数の切目20を流れ方向に間隔をあけて並べて構成されている。
【0026】
<上外フラップ>
6つの上外フラップ16は、3つの天壁15の流れ方向両端部に第3折曲線L3を介して連設されている。また、段方向に隣り合う上外フラップ16同士は、ジッパー18を介して連設されている。各上外フラップ16は略長方形状に形成され、その流れ方向の寸法(延出寸法)は下外フラップ13の延出寸法と略同一に設定されている。段方向に隣り合う上外フラップ16同士の先端部には、切込部16Aがジッパー18に沿って凹設されている。
【0027】
なお、第1~第3折曲線L1~L3は、段ボールシートを裏ライナ9C側から厚み方向に直線状に潰した汎用罫線である。汎用罫線は、裏ライナ9Cを内側に向けるように段ボールシートを折曲させる機能を有している。上記した第1~第3折曲線L1~L3は、汎用罫線に限らず、例えば、汎用罫線上に複数の切目を所定間隔に形成したリード罫等、段ボールシートを折り曲げるための線であれば如何なるものでもよい。
【0028】
ジッパー18は、一対の切断線17の両端部から流れ方向両側に向かって延設されている。ジッパー18は、略Y字状に形成された複数の切目を流れ方向に間隔をあけて並べて構成されている。なお、切込部16Aの近傍に形成されたジッパー18の切目は直線状に形成されている。
【0029】
切断線17とジッパー18とは、蓋体1L(包装箱の一面)を切断する機能を有している。具体的には、切断線17は、段方向に隣り合う天壁15同士を分離させるために形成されている。ジッパー18は、段方向に隣り合う上外フラップ16同士を分離させるために形成されている。つまり、蓋体1Lは、切断線17とジッパー18とに沿って切断されることで三分割される。
【0030】
[切断線]
次に、図4を参照して、切断線17について説明する。図4は切断線17の一部を拡大して示す平面図である。
【0031】
切断線17は、複数の切目20と複数の継目25とを流れ方向に交互に配置することで構成されている。切目20は、刃物を段ボールシートの厚み方向に貫通させることで形成される。継目25は、切目20と切目20との間の継ぎ合わせ部分である。
【0032】
<切目>
複数の切目20は、蓋体1L(一面)を折り曲げたときの中心線CLを中心とした波状に配置されている。中心線CLは、波の振動の中央を通り、流れ方向に沿って延びている。複数の切目20は、段方向(中心線CLに直交する振幅方向)に振動する略正弦波の軌道上に間隔をあけて配置されている。複数の切目20は、2本毎に中心線CLを行ったり来たりするように配置されている。つまり、4つの切目20によって1波長が形成されている。
【0033】
<継目>
複数の継目25は、複数の外側継目26と、複数の内側継目27と、を含んでいる。複数の外側継目26は、中心線CLに対して段方向(中心線CLに直交する振幅方向)に離れた位置に配置されている。複数の内側継目27は、中心線CL上に配置されている。外側継目26は、中心線CLから波状の段方向(振幅方向)に最も離れた位置に配置されている。つまり、外側継目26は、振幅のピークに対応する位置に配置されている。なお、「内側継目27が中心線CL上に配置される」とは、厳密に内側継目27が中心線CLと一致することを要求する意味ではなく、内側継目27が中心線CLから僅かにずれることを許容する意味である。
【0034】
<切目の詳細>
次に、図4を参照して、各々の切目20の詳細について説明する。各々の切目20は、切目本体21と、外側切目部22と、内側切目部23と、を含んでいる。
【0035】
(切目本体)
切目本体21は、中心線CLとは反対側に凸となる曲線状に形成されている。中心線CLを境に段方向片側にて隣接する一対の切目本体21は、流れ方向両端部を中心線CLに接触させ、互いに近づくに従って中心線CLから段方向に離れるように傾斜している。
【0036】
(外側切目部)
外側切目部22は、切目本体21の中心線CLから段方向(振幅方向)に離れた位置にある端部から中心線CLの側または中心線CLとは反対側に向かって延設されている。外側切目部22は直線状に形成されており、切目本体21と外側切目部22との成す角度は鈍角になっている。隣り合う一対の外側切目部22の間には、上記した外側継目26が形成されている。なお、中心線CLの側に向かって屈曲した外側切目部22の先端部は、中心線CLに接触しているが、中心線CLから離れていてもよいし、中心線CLを越えるように交差していてもよい。
【0037】
(内側切目部)
内側切目部23は、切目本体21の中心線CLに接している端部から中心線CLを越えた反対側、または切目本体21の側に向かって延設されている。内側切目部23は直線状に形成されており、切目本体21と内側切目部23との成す角度は鈍角になっている。隣り合う一対の内側切目部23の間には、上記した内側継目27が形成されている。なお、中心線CLは、切目本体21と内側切目部23との交点を結ぶように設定されている。
【0038】
1つの切目本体21に接続された外側切目部22と内側切目部23とは、同一の側に折り曲げられている。すなわち、外側切目部22が中心線CLの側に屈曲している場合には、内側切目部23は中心線CLを越えた反対側に屈曲している。一方、外側切目部22が中心線CLとは反対側に屈曲している場合には、内側切目部23は中心線CLで跳ね返るように切目本体21の側に屈曲している。なお、図3に示すように、切断線17の両端に位置する切目20(切目本体21)は、中心線CLに沿って直線状に形成されている。また、その切目20には、外側切目部22が省略され、中心線CLから離れる方向に屈曲した内側切目部23のみが形成されている。また、図3で右端の切目20に隣接する切目20(切目本体21)では、外側切目部22と内側切目部23とが互いに逆側に折り曲げられている。
【0039】
また、図4に示すように、外側および内側切目部22,23が中心線CLの側に屈曲した切目20と、外側および内側切目部22,23が中心線CLとは反対側に屈曲した切目20とは、流れ方向に交互に配置されている。外側継目26を挟んで隣り合う一対の外側切目部22は、互いに逆方向に延設され(屈曲し)、且つ略平行に形成されている。内側継目27を挟んで隣り合う一対の内側切目部23は、互いに逆方向に延設され(屈曲し)、且つ略平行に形成されている。
【0040】
[包装箱の組立]
次に、図1図5および図6を参照して、包装箱1を組立工程について説明する。図5はトレイ1Tを組み立てた状態を示す斜視図である。図6は包装箱1の組立過程を示す斜視図である。なお、包装箱1は、作業者によって手作業で組み立てられてもよいし、製函機によって自動または半自動で組み立てられてもよい。ここでは、一例として、作業者が包装箱1を組み立てる場合について説明する。
【0041】
まず、図5を参照して、トレイ1Tの組立工程について説明する。作業者は、ブランク5(図2参照)の裏ライナ9Cを上方に向けた状態とし、第1折曲線L1に沿って一対の側壁11を略直角に折り曲げる(立ち上げる)。続いて、作業者は、第2折曲線L2に沿って4つの側内フラップ14を内側に折り曲げる。次に、作業者は、第2折曲線L2に沿って一対の下外フラップ13を折り曲げ(立ち上げ)、接着剤(例えば、ホットメルト等)を介して下外フラップ13を側内フラップ14に接着する。
【0042】
以上によって、上面開口部1Aを有するトレイ1Tが完成する(図5参照)。作業者は、上面開口部1Aからトレイ1Tの内部に内容物を入れて底壁10上に配置する。その後、作業者は、一対の上内フラップ12を内側に折り曲げて上面開口部1Aの一部を閉じる(図6参照)。また、作業者は、上記と同様の手順を繰り返し、3つのトレイ1Tを組み立てる。なお、以上の説明では、組み立てられたトレイ1Tに内容物が収納されていたが、トレイ1Tの組立工程はこれに限定されない。例えば、先に内容物を底壁10に載置し、その後、内容物を包むように側壁11や側内フラップ14等を折り曲げることでトレイ1Tが組み立てられてもよい。
【0043】
次に、図6に示すように、作業者は、側壁11を接触させる姿勢で3つのトレイ1Tを左右方向に並べる。この際、隣接する側壁11同士は、接着剤を介して接着される。なお、隣接する側壁11同士は接着されなくてもよい。
【0044】
続いて、作業者は、表ライナ9Bを上に向けた蓋体1L(ブランク6)を3つのトレイ1Tの上に被せる。この際、蓋体1Lに形成された2つの切断線17(ジッパー18)が隣り合うトレイ1T同士の境界に沿うように、蓋体1Lが3つのトレイ1T上に配置される。また、蓋体1Lの3つの天壁15は、接着剤を介して3つのトレイ1Tの各上内フラップ12に接着される。
【0045】
次に、作業者は、第3折曲線L3に沿って6つの上外フラップ16を折り曲げ、接着剤を介して上外フラップ16をトレイ1Tの側内フラップ14に接着する。
【0046】
以上によって、トレイ1Tの上面開口部1Aが蓋体1L(天壁15)によって閉塞され、包装箱1が封緘された状態になる(図1参照)。つまり、包装箱1の組立が完了する。なお、第1実施形態では、下外フラップ13と側内フラップ14との固定やトレイ1Tと蓋体1Lとの固定に接着剤が採用されていたが、接着剤に代えて、粘着テープ等を用いてもよい。
【0047】
[包装箱の分割]
次に、図7ないし図9を参照して、包装箱1を分割する工程について説明する。図7は包装箱1を分割する過程を示す斜視図である。図8Aは切断線17で折り曲げた蓋体1Lを斜め後方から示す斜視図である。図8Bは切断線17で折り曲げた蓋体1Lを斜め前方から示す斜視図である。図9は包装箱1を分割した状態を示す斜視図である。
【0048】
蓋体1Lには、2つの切断線17が、隣り合うトレイ1T同士の境界に沿って形成されているため、切断線17に沿って蓋体1Lを切断することで包装箱1を3分割にすることができる。ここでは、右端に位置する1つのトレイ1Tおよび1つの天壁15等を分離(分割)する場合について説明する。
【0049】
まず、図7に示すように、作業者は、1つのトレイ1Tを隣接した他のトレイ1Tから引き剥がしながら、切断線17(中心線CL)を中心にして蓋体1Lを上方に回動させる(折り曲げる)。この際、1つのトレイ1Tに接着された上外フラップ16は、下端から上方に向かってジッパー18に沿って切断され、他のトレイ1Tに接着された上外フラップ16から分離される。トレイ1Tおよび天壁15は、中心線CLに沿って約90度折り曲げられる。なお、トレイ1Tおよび天壁15の折り曲げ角度は、90度未満であってもよいし、90度以上(180度未満)であってもよい。
【0050】
上記したように、内側継目27は中心線CL上に配置されている(図4参照)。このため、図8Aおよび図8Bに示すように、蓋体1L(一面)が中心線CLを中心にして折り曲げられた状態において、内側継目27は、折れ曲がるだけで破断しない。正確には、段ボールシートの厚さによって折り曲げ部分では内側よりも外側で長くなるため、裏ライナ9Cが破けることもある。すなわち、「内側継目27は破断しない」とは、内側継目27が完全に破断した状態にならないことを意味するものであり、外側継目26の一部(裏ライナ9C等)が破断することを許容する意味である。
【0051】
また、切断線17(切目本体21)は波状に形成されているため(図4参照)、中心線CLを中心に蓋体1Lを折り曲げる過程で、天壁15の波状の山部(または谷部)は、トレイ1Tの内側に入り込むことになる。この際、天壁15の山部(または谷部)は、中心線CLから離れて位置した外側継目26を引き千切りながらトレイ1Tの内側に食い込んで行く。したがって、蓋体1L(一面)が中心線CLを中心にして折り曲げられた状態において、外側継目26は破断する。また、外側継目26は、完全に破断せず、破断し易いように弱められることもある。なお、「外側継目26は破断し易いように弱められる」とは、例えば、外側継目26の表ライナ9B(の一部)を残して中しん9A(の一部)と裏ライナ9Cが破断する等、外側継目26の大部分が破断することを意味する。
【0052】
以上のように、蓋体1Lが略直角に折り曲げられた状態で、1つの天壁15は、隣接した他の天壁15に対し、概ね複数の内側継目27によって接続されている(図8Aおよび図8B参照)。
【0053】
次に、図9に示すように、作業者は、折り曲げた天壁15を他の天壁15から引き離す方向に引っ張り、内側継目27を破断させる。これにより、1つのトレイ1Tおよび1つの天壁15等が、他のトレイ1T等から分離(分割)される。上記と同様の手順によって、包装箱1を3分割にすることができる。なお、分割したトレイ1Tから上外フラップ16や天壁15を引き剥がすことで、分割したトレイ1Tを開封することができる(図示せず)。
【0054】
以上説明した第1実施形態に係る切断線17では、外側継目26が中心線CLから波の振幅方向にずれていた(図4参照)。この構成によれば、蓋体1L(天壁15)を切断線17(中心線CL)で折り曲げると、中心線CLからのずれに起因した力が外側継目26に作用し、外側継目26の全部または大部分を破断することができる。これにより、切断線17を挟んで隣接する天壁15同士は、主に内側継目27を介して繋がれた状態になるため、外側継目26および内側継目27を介して繋がれた状態に比べて、小さな力で容易に蓋体1L(天壁15)を切断することができる。
【0055】
ところで、輸送中の衝撃等による意図しない継目25の破断を抑制するためには、継目25を長く形成することが好ましい。仮に、外側切目部22と内側切目部23とが存在しない場合、蓋体1Lを切断線17に沿って切断するためには、隣接する一対の切目本体21の端部を結ぶラインに沿って継目25を正確に破断しなければならない。しかし、継目25を長く形成した場合、一対の切目本体21の端部を結ぶラインから脱線して破断が進行し、蓋体1L(天壁15)を切断線17に沿って切断できないことがある。これに対し、第1実施形態に係る切断線17では、外側継目26を挟んで一対の外側切目部22が形成され、内側継目27を挟んで一対の内側切目部23が形成されていた(図4参照)。この構成によれば、一対の切目本体21の端部を結ぶラインから脱線した継目25の破断方向を、各切目部22,23と交差させることができる。これにより、継目25の破断方向を切目本体21の側に戻すことができ、継目25を適切に破断させる(または弱める)ことができる。
【0056】
また、第1実施形態に係る切断線17では、外側継目26が波形状の頂点付近に配置されていた(図4参照)。この構成によれば、外側継目26が中心線CL付近に配置された場合に比べて、蓋体1Lの折り曲げに伴って外側継目26に生じる力を梃子の原理で大きくすることができる。これにより、外側継目26を簡単に破断することができる。
【0057】
また、第1実施形態に係る包装箱1によれば、蓋体1Lを切断線17に沿って折り曲げた後に切断することで、トレイ1Tを他のトレイ1Tから分離することができる。これにより、トレイ1Tを小分けにすることができるため、使用するトレイ1Tのみを分離して開封し、未使用のトレイ1Tを開封することなく保管することができる。
【0058】
なお、第1実施形態に係る包装箱1では、3つのトレイ1Tが並設されていたが、これに限らず、トレイ1Tは2つ以上並設されていればよい。また、蓋体1Lには、隣り合うトレイ1T同士の境界の数に応じて、1つ以上の切断線17が形成されていればよい。
【0059】
また、第1実施形態に係る包装箱1では、蓋体1Lの上外フラップ16がジッパー18を介して連設されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、ジッパー18に代えて、ミシン線やライナーカット等でもよく、段ボールシートを切断するための線であれば如何なるものでもよい。また、ジッパー18が省略され、6つの上外フラップ16が互いに分離した状態で設けられてもよい(図示せず)。
【0060】
[第2実施形態]
次に、図10ないし図12を参照して、第2実施形態に係る包装箱2について説明する。図10は包装箱2を示す斜視図である。図11は包装箱2のブランク7を示す平面図である。図12は切断線44を示す平面図である。なお、以下、他の実施形態に関する説明では、第1実施形態に係る包装箱1(切断線17)と同一または対応する構成には同一の符号を付し、それらの説明は省略する。
【0061】
第1実施形態に係る包装箱1は、一列に並べられた3つのトレイ1Tに1つの蓋体1Lを被せたトレイリッダーであったが、第2実施形態に係る包装箱2は、天面をフラップで閉じるラップアラウンドケースである(図10参照)。包装箱2は、全体として背の高い略直方体状に形成されている。包装箱2は、図11に示すブランク7を組み立てることで形成される。
【0062】
図11に示すように、ブランク7は、底壁30と、一対の側壁31と、一対の天壁32と、一対の下外フラップ33と、4つの側内フラップ34と、4つの上外フラップ35と、開封構造36と、を含んでいる。
【0063】
<底壁、側壁、天壁>
底壁30、一対の側壁31および一対の天壁32は、この順番で段方向中央から両外側に向かって一列に並べられている。底壁30は、段方向よりも流れ方向に長い略長方形状に形成されている。一対の側壁31は、第3折曲線L3を介して底壁30の段方向両端部に連設されている。各側壁31は、底壁30よりも段方向に長い略長方形状に形成されている。
【0064】
一対の天壁32は、第3折曲線L3(汎用罫線)を介して一対の側壁31の段方向両端部に連設されている。各天壁32は略長方形状に形成され、その段方向の寸法(延出寸法)は底壁10の段方向の寸法の半分よりも長くなるように設定されている。一方(図11で下側)の天壁32は、他方の天壁32よりも延出寸法が僅かに長く形成されている。一方の天壁32の先端側は、先端に向かって幅狭くなる略台形状に形成されている。また、一方の天壁32の先端側には、流れ方向に間隔をあけて一対の切込部32Aが凹設されている。
【0065】
<下外フラップ、側内フラップ>
一対の下外フラップ33は、第4折曲線L4(汎用罫線)を介して底壁30の流れ方向両端部に連設されている。各下外フラップ33は略長方形状に形成され、その流れ向の寸法(延出寸法)は底壁30の段方向の寸法の略半分に設定されている。4つの側内フラップ34は、第4折曲線L4を介して一対の側壁31の流れ方向両端部に連設されている。各側内フラップ34は略長方形状に形成され、その流れ向の寸法(延出寸法)は下外フラップ33の延出寸法と略同一に設定されている。
【0066】
<上外フラップ>
4つの上外フラップ35は、第4折曲線L4を介して一対の天壁32の流れ方向両端部に連設されている。各上外フラップ35は略四角形状に形成され、その流れ向の寸法(延出寸法)は下外フラップ33等の延出寸法と略同一に設定されている。略台形状に形成された天壁32の先端部には上外フラップ35は形成されておらず、一方の上外フラップ35は他方の上外フラップ35よりも段方向の寸法が短く形成されている。
【0067】
<開封構造>
図11に示すように、開封構造36は、包装箱2を二分割するために、底壁30、一対の側壁31および一対の天壁32に亘って形成されている。開封構造36は、各天壁32に形成された一対の第1ジッパー41と、各側壁31に形成された一対の第2ジッパー42と、各側壁31に形成された第3ジッパー43と、底壁30に形成された切断線44と、を含んでいる。なお、2組形成された一対の第1ジッパー41は、底壁30を中心として対称に形成されているため、以下、特に明記しない限り、1つの天壁32に形成された一対の第1ジッパー41について説明する。これと同様の理由により、1つの側壁31に形成された一対の第2ジッパー42および第3ジッパー43について説明する。
【0068】
(第1ジッパー)
一対の第1ジッパー41は、天壁32の流れ方向両側にて段方向(第4折曲線L4)と略平行に延設されている。一方の天壁32に形成された一対の切込部32Aは、一対の第1ジッパー41に対応する位置に形成されている。各第1ジッパー41は、略L字状に形成された複数の切目を段方向に間隔をあけて並べて構成されている。一対の第1ジッパー41は、天壁32を先端から基端(側壁31)に向かって切断する機能を有している。
【0069】
(第2ジッパー)
一対の第2ジッパー42は、一対の第1ジッパー41の末端部から底壁30の側に向かって互いに接触(交差)するように略V字状に延設されている。一対の第2ジッパー42の交差した先端部は、側壁31の流れ方向略中央にて、側壁31の段方向中央よりもやや底壁30の側(下側)に位置している。各第2ジッパー42は、略L字状に形成された複数の切目を段方向に間隔をあけて並べて構成されている。一対の第2ジッパー42は、側壁31を先端(上端)から底壁30の側(下方)に向かって切断する機能を有している。
【0070】
(第3ジッパー)
第3ジッパー43は、一対の第2ジッパー42のV字の先端から第3折曲線L3(底壁30)までの間にて段方向と略平行に延設されている。第3ジッパー43は、略L字状に形成された複数の切目を段方向に間隔をあけて並べて構成されている。この第3ジッパー43では、流れ方向一方に屈曲した切目と、流れ方向他方に屈曲した切目とが交互に配置されている。第3ジッパー43は、側壁31を、一対の第2ジッパー42のV字の先端から底壁30に向かって切断する機能を有している。
【0071】
(切断線)
切断線44は、一対の側壁31に形成された一対の第3ジッパー43の先端同士を結ぶように形成されている。つまり、切断線44は、底壁30を横断するように形成されている。切断線44は、第1実施形態に係る切断線17と概ね同様の構造を有している。すなわち、図12に示すように、切断線44は、複数の切目20と複数の継目25とを段方向に交互に配置することで構成されている。複数の切目20は、底壁30(一面)を折り曲げたときの中心線CLを中心とした波状に配置されている。
【0072】
図12に示すように、1つの切目本体21に接続された外側切目部22と内側切目部23とは、互いに逆側に折り曲げられている。すなわち、外側切目部22が中心線CLの側に屈曲している場合には、内側切目部23は中心線CLで跳ね返るように切目本体21の側に屈曲している。一方、外側切目部22が中心線CLとは反対側に屈曲している場合には、内側切目部23は中心線CLを越えた反対側に屈曲している。なお、切断線44の両端に位置する切目20(切目本体21)には、内側切目部23が省略され、中心線CLから離れる方向に屈曲した外側切目部22のみが形成されている。また、この両端の切目20に隣接する切目20(切目本体21)では、外側切目部22と内側切目部23とが同じ側に折り曲げられている。
【0073】
[包装箱の組立]
次に、図10を参照して、包装箱2を組立工程について説明する。作業者は、ブランク7(図11参照)の裏ライナ9Cを上方に向けた状態とし、第3折曲線L3に沿って一対の側壁31を折り曲げ、第4折曲線L4に沿って4つの側内フラップ34を内側に折り曲げる。次に、作業者は、第4折曲線L4に沿って一対の下外フラップ33を折り曲げて側内フラップ34に接着する。
【0074】
次に、作業者は、上面の開口部から内部に内容物を入れて底壁30に配置する。続いて、作業者は、第3折曲線L3に沿って一方(後方)の天壁32を内側に折り曲げた後、第3折曲線L3に沿って他方(前方)の天壁32を内側に折り曲げる。前方の天壁32の先端部は、後方の天壁32の台形部分に重なる。また、作業者は、第4折曲線L4に沿って4つの上外フラップ35を下方に折り曲げて側内フラップ34に接着する。
【0075】
以上によって、包装箱2が封緘され、包装箱2の組立が完了する。なお、以上の説明では、途中まで組み立てられた包装箱2に内容物が収納されていたが、これに限らず、先に内容物を底壁30に載置し、その後、側壁31や側内フラップ34等を折り曲げてもよい。また、第2実施形態では、前方(他方)の天壁32の先端部が後方(一方)の天壁32の台形部分の上に重なっていたが、これに限らず、後方の天壁32の台形部分が前方の天壁32の先端部の上に重なってもよい。つまり、後方の天壁32の台形部分が上面に露出してもよい。また、第2実施形態では、下外フラップ33や上外フラップ35の固定に接着剤が採用されていたが、接着剤に代えて、粘着テープ等を用いてもよい。
【0076】
[包装箱の分割(開封)]
次に、図13ないし図15を参照して、包装箱2を分割(開封)する工程について説明する。包装箱2は、開封構造36を用いて開封したり二分割されたりする。図13は包装箱2を開封した状態を示す斜視図である。図14は包装箱2を切断線44で折り返した状態を示す斜視図である。図15は包装箱2を分割した状態を示す斜視図である。
【0077】
まず、作業者は、前方の天壁32の先端部を把持して引き上げ、その天壁32を一対の第1ジッパー41に沿って切断する。また、作業者は、切断した天壁32または前方の側壁31の上端部を把持して引き下げ、前方の側壁31を一対の第2ジッパー42に沿って切断する。そして、図13に示すように、作業者は、第1および第2ジッパー41,42に沿って切断した天壁32と側壁31との一部を取り除く。なお、上記と同様に、後方に位置する天壁32と側壁31との一部も切断して取り除く。
【0078】
以上によって、第1ジッパー41と第2ジッパー42とに囲まれた範囲に開口が形成され、包装箱2が開封された状態になる(図13参照)。なお、この状態で、開口から内容物を取り出すことができるため、包装箱2を二分割せずに、この状態で使用(店頭展示等)してもよい
【0079】
次に、作業者は、開口を挟んで左右両側に残された天壁32を把持して左右両側に引っ張る。すると、図14に示すように、一対の側壁31が第3ジッパー43に沿って切断され、底壁30が切断線44(中心線CL)に沿って約180度折れ曲がる。底壁30(一面)が中心線CLを中心にして折り曲げられた状態において、内側継目27は破断せず、外側継目26は破断する、または破断し易いように弱められる。この状態で、底壁30は、概ね複数の内側継目27によって接続されている。なお、底壁30の折り曲げ角度は、180度未満であってもよい。
【0080】
次に、図15に示すように、作業者は、折り返された底壁30を引き離す方向に引っ張り、内側継目27を破断させ、1つの包装箱2を二分割にする。
【0081】
以上説明した第2実施形態に係る包装箱2(切断線44)によれば、底壁30を切断線44に沿って折り曲げた後に切断することで、底壁30を小さな力で容易に切断することができる等、第1実施形態に係る包装箱1(切断線17)と同様の作用、効果を得ることができる。
【0082】
なお、第2実施形態に係る包装箱2では、一対の天壁32の先端同士がオーバーラップするように形成されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、一対の天壁32の先端同士が突き合わせとなるように形成されてもよい(図示せず)。
【0083】
また、第2実施形態に係る包装箱2では、開封構造36として第1~第3ジッパー41~43が設けられていたが、これらの第1~第3ジッパー41~43に代えて、ミシン線やライナーカット等が採用されてもよい。
【0084】
なお、第1および第2実施形態に係る切断線17,44では、1つの切目本体21に接続された外側切目部22と内側切目部23とが同じ側に折り曲げられた切目20と、1つの切目本体21に接続された外側切目部22と内側切目部23とが互いに異なる側に折り曲げられた切目20とが含まれていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、切断線は、外側および内側切目部22,23が同じ側に折り曲げられた切目20のみで構成されてもよいし、外側および内側切目部22,23が互いに異なる側に折り曲げられた切目20のみで構成されてもよい(図示せず)。
【0085】
[第3実施形態]
次に、図16を参照して、第3実施形態に係る切断線45について簡単に説明する。図16は切断線45の一部を拡大して示す平面図である。
【0086】
第3実施形態に係る切断線45では、切目本体21が傾斜した直線状に形成されている。この場合、複数の切目20は、略三角波の軌道上に間隔をあけて配置される。なお、複数の切目20は、略矩形波の軌道上に間隔をあけて配置されてもよい(図示せず)。すなわち、複数の切目20が形成する「波状」とは、正弦波、三角波および矩形波等の波形を意味する。
【0087】
[第4実施形態]
次に、図17を参照して、第4実施形態に係る切断線46について簡単に説明する。図17は切断線46の一部を拡大して示す平面図である。
【0088】
第4実施形態に係る切断線46では、外側切目部50と内側切目部51とが曲線状に形成されている。継目25を挟んで隣接する外側切目部50と内側切目部51とが、略円形を成すように形成されている。
【0089】
[第5実施形態]
次に、図18を参照して、第5実施形態に係る切断線47について簡単に説明する。図18は切断線47の一部を拡大して示す平面図である。
【0090】
第1~第4実施形態に係る切断線17,44~46では、1つの外側継目26が波形状の頂点付近に配置されていたが、第5実施形態に係る切断線47では、2つの外側継目26が波形状の頂点からずれた位置に配置されている。具体的には、中心線CLを境に段方向片側にて隣接する一対の切目20の間に、第2切目52が形成されている。第2切目52の第2切目本体53の両端部には、中心線CLとは反対側に延設された一対の外側切目部22が連設されている(中心線CLの側に延設されてもよい。)。一対の切目本体21と第2切目本体53との間には、2つの外側継目26が形成されている。第5実施形態に係る切断線47では、1波長当たり4つの外側継目26が形成されている。
【0091】
以上説明した第3~第5実施形態に係る切断線45~47(図16ないし図18参照)によれば、包装箱1,2の一面を小さな力で容易に切断することができる等、第1および第2実施形態に係る切断線17,44と同様の作用、効果を得ることができる。また、第3~第5実施形態に係る切断線45~47の各々の特徴は相互に組み合わされてもよい。
【0092】
なお、第1実施形態に係る切断線17では、全ての切目本体21に、外側切目部22と内側切目部23とが連設されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、図19に示すように、内側切目部23が省略され、切目20が、切目本体21と外側切目部22とで構成されてもよい(第1変形例)。また、例えば、図20に示すように、外側切目部22が省略され、切目20が、切目本体21と内側切目部23とで構成されてもよい(第2変形例)。これらの場合でも、一対の切目本体21の端部を結ぶラインから脱線した外側または内側継目26,27の破断方向を切目本体21の側に戻すことができ、外側または内側継目26,27を適切に破断させることができる。
【0093】
さらに、他にも、包装箱1に収容する内容物が軽量であったり、輸送経路が短距離であったりして、輸送中の衝撃等による継目25の破断リスクが低い場合には、外側切目部22および内側切目部23を省略してもよい。つまり、切断線17(切目20)が切目本体21のみで構成されてもよい(第3変形例(図示せず))。また、外側および内側切目部22,23を含む切目20と、外側切目部22のみを含む切目20と、内側切目部23のみを含む切目20と、切目本体21のみからなる切目20とを、規則的または無作為に組み合わせてもよい(第4変形例(図示せず))。
【0094】
また、第1実施形態に係る切断線17では、中心線CL上に内側継目27が設けられていたが、本発明はこれに限定されない。図21に示すように、内側継目27、外側切目部22および内側切目部23が省略され、切目本体21が中心線CLと交差するように形成されてもよい(第5変形例)。つまり、略S字状の切目本体21(切目20)と外側継目26(継目25)とが交互に配置されてもよい。この場合、蓋体1Lを切断線17で折り曲げるだけで蓋体1Lを切断(または切断容易な状態に)することができる。また、図22に示すように、外側切目部22を省略せずに、外側切目部22が略S字状の切目本体21に連設されてもよい(第6変形例)。
【0095】
なお、以上説明した第1実施形態の第1~第6変形例に係る切断線17の特徴は、第2~第5実施形態に係る切断線44~47に適用されてもよい(図示せず)。
【0096】
また、第1~第5実施形態(変形例を含む。以下同じ。)に係る切断線17,44~47では、切目本体21(第2切目本体53)と外側切目部22との成す角度、および切目本体21(第2切目本体53)と内側切目部23との成す角度が、鈍角に設定されていたが、これに限らず、直角に設定されてもよい(図示せず)。
【0097】
また、第1~第5実施形態に係る包装箱1,2は、紙製の両面段ボールシートで形成されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、段ボールシートは、中しん9Aの片面にライナを貼り付けた片面段ボールシートであってもよいし、片面段ボールシートを両面段ボールシートに貼り合せた複両面段ボールシートであってもよい。また、例えば、包装箱1は、紙製の段ボールシートに代えて、厚紙や樹脂製の板等で形成されていてもよい。
【0098】
なお、上記実施形態の説明は、本発明に係る切断線およびこれを備えた包装箱における一態様を示すものであって、本発明の技術範囲は、上記実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0099】
1,2 包装箱
1T トレイ
1L 蓋体
17,44~47 切断線
20 切目
21 切目本体
22,50 外側切目部
23,51 内側切目部
25 継目
26 外側継目
27 内側継目
52 第2切目
53 第2切目本体(切目本体)
CL 中心線
図1
図2
図3
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図5
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図8A
図8B
図9
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