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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-10
(45)【発行日】2023-02-20
(54)【発明の名称】包装箱
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/54 20060101AFI20230213BHJP
【FI】
B65D5/54 301G
B65D5/54 BRP
B65D5/54 ZAB
B65D5/54 BSD
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018239951
(22)【出願日】2018-12-21
(65)【公開番号】P2020100425
(43)【公開日】2020-07-02
【審査請求日】2021-10-05
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成30年7月3日~平成30年11月27日に製函テスト及び輸送試験を行った。
(73)【特許権者】
【識別番号】305006624
【氏名又は名称】ダイナパック株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000104113
【氏名又は名称】カゴメ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 由美子
(72)【発明者】
【氏名】尾嶋 文佳
(72)【発明者】
【氏名】平岡 彩予
(72)【発明者】
【氏名】勝丸 透
(72)【発明者】
【氏名】菅野 秋子
【審査官】矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】実開昭58-156622(JP,U)
【文献】特開平09-295634(JP,A)
【文献】特開2012-035909(JP,A)
【文献】特開2018-193114(JP,A)
【文献】登録実用新案第3212538(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの開口部を有する角筒状に連接された複数の側面部の一つであって、自身の上端と交わる方向に延びると共に所定の間隔で並ぶ一組の第1の易開封線が形成されている第1の側面部と、
前記上端から延出し、前記一組の第1の易開封線をつなぐ第2の易開封線が形成され、前記上端にて折り曲げられて、前記開口部の少なくとも一部を塞ぐ蓋フラップと、
を備え、
前記蓋フラップには、前記第2の易開封線から、前記上端とは反対側にある前記蓋フラップの端辺に向かって延びる第3の易開封線が形成されている、
包装箱。
【請求項2】
前記第2の易開封線は、
前記第1の易開封線が延びる方向に延びる一組の第4の易開封線と、
前記一組の第4の易開封線の前記上端とは反対側の端部をつなぐ第5の易開封線からなり、
前記第3の易開封線は、
前記一組の第4の易開封線と前記第5の易開封線がつながる箇所のいずれか一方の近傍にある分離開始部から、前記端辺に向かって延びていることを特徴とする請求項に記載の包装箱。
【請求項3】
前記第3の易開封線は、
前記分離開始部から、前記第1の易開封線が延びる方向と交わる方向であって前記第2の易開封線にて区画された領域から離れる方向に延び、更に前記端辺に向かって延びていることを特徴とする請求項に記載の包装箱。
【請求項4】
前記一組の第1の易開封線及び前記第2の易開封線にて区画された開封部の前記蓋フラップの部分に、前記包装箱を開封する使用者の指を抜き差し可能にする挿入可能部が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載の包装箱。
【請求項5】
前記複数の側面部の一部であって前記第1の側面部の両側に隣接する一組の第2の側面部と、
少なくとも前記第1の側面部の下端と連接され、前記開口部とは反対側の底面を形成する底面部と、
一方の前記第2の側面部の側にある一方の前記第1の易開封線から、前記一方の第2の側面部に向かって延びる第6の易開封線と、
他方の前記第2の側面部の側にある他方の前記第1の易開封線から、前記他方の第2の側面部に向かって延びる第7の易開封線と、
を備え、
前記第6の易開封線及び前記第7の易開封線の少なくともいずれか一方は、前記第1の側面部と前記底面部の境目上、あるいは前記底面部の前記境目側に設けられていることを特徴とする請求項1から請求項のいずれかに記載の包装箱。
【請求項6】
前記底面部は、
前記第1の側面部の前記下端から延出し、前記下端にて折り曲げられて他方の前記開口部の少なくとも一部を塞ぐ底フラップを少なくとも含む複数の底側フラップから構成されており、
前記第6の易開封線及び前記第7の易開封線の少なくともいずれか一方は、前記第1の側面部と前記底フラップの前記境目上、あるいは前記底フラップの前記境目側に設けられていることを特徴とする請求項に記載の包装箱。
【請求項7】
前記複数の側面部は、
前記第1の側面部と、
前記第1の側面部の両側に隣接する一組の第2の側面部と、
前記一組の第2の側面部の間に挟まれ、前記第1の側面部と向かい合う第3の側面部が四角筒状に連接されたものであり、
前記第2の側面部の上端から延出し、前記第2の側面部の上端にて折り曲げられて前記開口部の少なくとも一部を覆う外側蓋フラップと、
前記第2の側面部の下端から延出し、前記第2の側面部の下端にて折り曲げられて他方の前記開口部の少なくとも一部を覆う外側底フラップと、
を備え、
前記第2の側面部、前記外側蓋フラップあるいは前記外側底フラップの少なくともいずれか一つに、前記第1の側面部と前記第2の側面部の境目と略平行に延びる折り曲げ線が形成されていることを特徴とする請求項1から請求項のいずれかに記載の包装箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品等の包装に用いて好適な包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、商品等の内容物の取り出し易さを向上させるため、包装箱の前側面に、包装箱の高さ方向に切り取られて、開口部を形成する開口片を設けた包装箱が知られている(例えば特許文献1参照。)。この開口片は、包装箱の高さ方向に延びる一組の易開封線にて区画された前側面の部分である。この包装箱を開封する使用者は、開口片の上側の部分を保持して手前側に引っ張り、開口片を易開封線に沿って引き裂いて内容物の取り出し口となる開口部を形成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-93601号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の特許文献1に記載された技術では、使用者が開口部を形成するために開口片の上側の部分を手前側に引っ張ると、開口片と隣接する前側面の他の部分も手前側に動いてしまうため、開封片を易開封線に沿ってうまく引き裂くことができない。このため使用者は開口片を引き裂く際に、一方の手で開口片の上側の部分を保持し、他方の手で開口片と隣接する前側面の部分を押さえて開封作業を行う必要があった。即ち、一方の手で開口片の上側を保持して手前側に引っ張ると共に、他方の手で開口片の両側に隣接する前側面の部分の一方を保持し、保持した前側面の部分が、開口片につられて手前側に動かない様に押さえる必要があった。しかしながら、前側面の他方の手で押さえていない他方側の部分は、開口片と共に前側に動いてしまうため、やはり開封片を易開封線に沿って引き裂くことが難しく、開封作業が行いにくいという問題があった。
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、開封作業が容易な包装箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、以下の手段を提供する。
本発明の包装箱は、少なくとも一つの開口部を有する角筒状に連接された複数の側面部の一つであって、自身の上端と交わる方向に延びると共に所定の間隔で並ぶ一組の第1の易開封線が形成されている第1の側面部と、前記上端から延出し、前記一組の第1の易開封線をつなぐ第2の易開封線が形成され、前記上端にて折り曲げられて、前記開口部の少なくとも一部を塞ぐ蓋フラップと、を有することを特徴とする。
【0007】
上記発明においては、前記蓋フラップにおいて、前記第2の易開封線から、前記上端とは反対側にある前記蓋フラップの端辺に向かって延びる第3の易開封線が形成されていることを特徴とすることが好ましい。
【0008】
上記発明においては、前記第2の易開封線は、前記第1の易開封線が延びる方向に延びる一組の第4の易開封線と、前記一組の第4の易開封線の前記上端とは反対側の端部をつなぐ第5の易開封線からなり、前記第3の易開封線は、前記一組の第4の易開封線と前記第5の易開封線がつながる箇所のいずれか一方の近傍にある分離開始部から、前記端辺に向かって延びていることを特徴とすることが好ましい。
【0009】
上記発明においては、前記第3の易開封線は、前記分離開始部から、前記第1の易開封線が延びる方向と交わる方向であって第2の易開封線にて区画された領域から離れる方向に延び、更に前記端辺に向かって延びていることを特徴とすることが好ましい。
【0010】
上記発明においては、前記一組の第1の易開封線及び前記第2の易開封線にて区画された開封部の前記蓋フラップの部分に、前記包装箱を開封する使用者の指を抜き差し可能にする挿入可能部が設けられていることを特徴とすることが好ましい。
【0011】
上記発明においては、前記複数の側面部の一部であって前記第1の側面部の両側に隣接する一組の第2の側面部と、少なくとも前記第1の側面部の下端と連接され、前記開口部とは反対側の底面を形成する底面部と、一方の前記第2の側面部の側にある一方の前記第1の易開封線から、前記一方の第2の側面部に向かって延びる第6の易開封線と、他方の前記第2の側面部の側にある他方の前記第1の易開封線から、前記他方の第2の側面部に向かって延びる第7の易開封線とを備え、前記第6の易開封線及び前記第7の易開封線の少なくともいずれか一方は、第1の側面部と前記底面部の境目上、あるいは前記底面部の前記境目側に設けられていることを特徴とすることを特徴とすることが好ましい。
上記発明においては、前記底面部は、前記第1の側面部の下端から延出し、前記下端にて折り曲げられて他方の前記開口部の少なくとも一部を塞ぐ底フラップを少なくとも含む複数の底側フラップから構成されており、前記第6の易開封線及び前記第7の易開封線の少なくともいずれか一方は、前記第1の側面部と前記底フラップの境目上、あるいは前記底フラップの前記境目側に設けられていることを特徴とする。
【0012】
上記発明においては、前記複数の側面部は、前記第1の側面部と、前記第1の側面部の両側に隣接する一組の第2の側面部と、前記一組の第2の側面部の間に挟まれ、前記第1の側面部と向かい合う第3の側面部からなる四角筒状に連接されたものであり、前記第2の側面部の上端延出し、前記前記第2の側面部の上端にて折り曲げられて前記開口部の少なくとも一部を覆う外側蓋フラップと、前記第2の側面部の下端から延出し、前記第2の側面部の下端にて折り曲げられて他方の開口部の少なくとも一部を覆う外側底フラップとを備え、前記第2の側面部、前記外側蓋フラップあるいは前記外側底フラップの少なくともいずれか一つに、前記第1の側面部と前記第2の側面部の境目と略平行に延びる折り曲げ線が形成されていることを特徴とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の包装箱によれば、開封部を易開封線に沿って容易に切り裂くことができ、内容部を取り出すための開口を、容認に形成できる包装箱を提供できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係る包装箱を説明する展開図である。
図2図2(a)は、本発明の一実施形態に係る包装箱を説明する斜視図である。図2(b)は、本発明の包装箱のシート材の断面図の様子を説明する図である。
図3図2の包装箱の開封方法を説明する図である。
図4図2の包装箱の開封方法を説明する図である。
図5図2の包装箱の開封方法を説明する図である。
図6図2の包装箱の開封方法を説明する図である。
図7】開封された包装箱がつぶされた状態を説明する図である。
図8】つぶされた包装箱を折り畳む方法を説明する図である。
図9】つぶされた包装箱を折り畳む方法を説明する図である。
図10】つぶされた包装箱を折り畳む方法を説明する図である。
図11図11(a)は、開封部を区画する破断線を説明する開封部の拡大図である。図11(b)は、破断線を説明する拡大図(概略図)である。
図12図12(a)は、開封部を区画する破断線を説明する開封部の拡大図である。図12(b)は、破断線を説明する拡大図(概略図)である。
図13図13(a)は、開封部を区画する破断線を説明する開封部の拡大図である。 図13(b)は、開封部を区画する破断線を説明する開封部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
この発明の一実施形態に係る包装箱10について、主に図1から図13を参照しながら説明する。本実施形態では、包装箱10が、商品などを包装したり運搬したりする際に使用される包装箱である例に適用して説明する。なお、以降の説明において、前後、左右、上下の方向は、特に断りの無い限りそれぞれ図中に示す方向とする。また包装箱10の内容物を収容する側を内側と、その反対の側を外側と記載する。
【0016】
1.包装箱の構成の説明
はじめに包装箱10の構成について、主に図1~2を参照して説明を行う。本実施形態に係る包装箱10は、主に図2に示される略直体形の包装箱である。包装箱10は、図1に示す所定の形状に加工されたシート材1が、所定の箇所で折り曲げられて組み立てられたものである。
【0017】
本実施形態においてこのシート材1は、段ボールシートが所定の形状に形成されたものである例に適用して以降の説明を行う。なお、シート材1は、ボール材や他の公知のシート部材が形成されたものであってもよい。本実施形態では、段ボールシートの紙巾方向(段ボールシートの中芯が延びる方向)が、包装箱10の上下方向、即ち包装箱10の底側から蓋側に向かう方向となる様に、シート材1が形成されている例に適用して以降の説明を行う。但し、段ボールシートの紙巾方向が、上記と異なる向きとされていてもよい。
【0018】
包装箱10には、本体部11、一対の外側蓋フラップ21,41、一対の内側蓋フラップ31,51、一対の外側底フラップ22,42、及び一対の内側底フラップ32,52が主に備えられている。
【0019】
本体部11は、包装箱10の四角筒状の側面を構成するものである。この本体部11の一方の開口が、包装箱10の上側(蓋側)の開口部となり、他方の開口が、包装箱10の下側(底側)の開口部となる。本体部11には、左側面部2、前側面部3、右側面部4、及び後側面部5が主に設けられている。左側面部2、前側面部3、右側面部4、及び後側面部5はそれぞれ略長方形の形状をしている。なお、以降において、左側面部2、前側面部3、右側面部4及び後側面部5を総称して「側面部」とも記載する。
【0020】
本体部11は、展開された状態において帯状に延びる長方形状をしている。本体部11は、この展開された状態において、その一方の端側に左側面部2が、他方の端側に後側面部5が配置されており、各側面部が、一方の端側から左側面部2、前側面部3、右側面部4、後側面部5の順番でそれぞれ並んで配置されている。左側面部2と前側面部3の境目には、折り目24が設けられている。また、前側面部3と右側面部4の境目には折り目43が、右側面部4と後側面部5の境目には折り目44がそれぞれ設けられている。
【0021】
なお本実施形態における前側面部3が、特許請求の範囲における第1の側面部とされている。また、本実施形態における左側面部2及び右側面部4が、特許請求の範囲における一組の第2の側面部と、後側面部5が特許請求の範囲における第3の側面部とされている。
【0022】
左側面部2の前側面部3とは反対側の辺から、本体部11を四角筒状に形成する際に用いられる接着部6が、側面部が並ぶ方向に延出している。左側面部2と接着部6の境目には折り目23が設けられている。
【0023】
前側面部3の上側の辺から、略長方形の内側蓋フラップ31が、側面部が並ぶ方向と交わる方向に延出している。前側面部3と内側蓋フラップ31の境目には、折り目35が設けられている。後側面部5の上側の辺から、略長方形の内側蓋フラップ51が同様に延出している。後側面部5と内側蓋フラップ51の境目には、折り目55が設けられている。内側蓋フラップ31及び内側蓋フラップ51は、折り目35,55にて側面部に対して略90°となる様にそれぞれ折り曲げられて、包装箱10の上側の開口部の少なくとも一部を塞ぎ、包装箱10の上面の一部となる部分である。なお本実施形態における前側面部3の上側の辺が、特許請求の範囲における上端とされている。また、本実施形態における内側蓋フラップ31が、特許請求の範囲における蓋フラップとされている。
【0024】
左側面部2の上側の辺から、略長方形の外側蓋フラップ21が、側面部が並ぶ方向と交わる方向に延出している。左側面部2と外側蓋フラップ21の境目には、折り目25が設けられている。また、右側面部4の上側の辺から、略長方形の外側蓋フラップ41が同様に延出している。右側面部4と外側蓋フラップ41の境目には、折り目45が設けられている。外側蓋フラップ21,41は、それぞれ折り目25,45にて側面部に対して略90°となる様にそれぞれ折り曲げられて、包装箱10の上側の開口部を塞ぐ蓋部となる部分であり、包装箱10の上側の面の一部となる部分である。
【0025】
前側面部3の下側の辺からは、矩形の内側底フラップ32が、側面部が並ぶ方向と交わる方向に延出している。前側面部3と内側底フラップ32の境目には、折り目36が設けられている。後側面部5の下側の辺からは、略長方形の内側底フラップ52が同様に延出している。後側面部5と内側底フラップ52の境目には、折り目56が設けられている。内側底フラップ32及び内側底フラップ52は、折り目36,56にて側面部に対して略90°となる様にそれぞれ折り曲げられて、包装箱10の下側の開口部の少なくとも一部を塞ぎ、包装箱10の底面部の一部となる部分である。なお本実施形態における前側面部3の下側の辺が、特許請求の範囲における下端とされている。また内側底フラップ32が、特許請求の範囲における底フラップとされている。
【0026】
左側面部2の下側の辺から、略長方形の外側底フラップ22が、側面部が並ぶ方向と交わる方向に延出している。左側面部2と外側底フラップ22の境目には、折り目26が設けられている。右側面部4の下側の辺から、略長方形の外側底フラップ42が同様に延出している。右側面部4と外側底フラップ42の境目には、折り目46が設けられている。外側底フラップ22,42は、それぞれ折り目26,46にて側面部に対して略90°となる様に折り曲げられて、包装箱10の下側の開口の一部を塞ぎ、包装箱10の底面部の一部となる部分である。本実施形態における、外側蓋フラップ21及び外側蓋フラップ41が、特許請求の範囲における外側蓋フラップとされている。また、本実施形態における外側底フラップ22及び外側底フラップ42が、特許請求の範囲における外側底フラップと、本実施形態における内側底フラップ32,52、及び外側底フラップ22,42が特許請求の範囲における底側フラップとされている。なお以降の説明において、折り目23~26、折り目35,36、折り目43~46及び折り目55,56を総称して「折り目」とも記載する。また、折り目が設けられた各側面との境目や側面とフラップの境目のことを単に「折り目」とも記載する。
【0027】
本実施形態において折り目とは、シート材1を所望の位置で折り曲げやすくするために、シート材1の少なくとも一方の側の面に設けられた直線状の罫線をいう。具体的には、シート材1の所望の部分を、厚さ方向に圧縮し、当該一方の側のライナー及び中芯の部分をつぶした直線状の部分(窪ませた部分)をいう。本実施形態では、包装箱10を組み立てた際に内側を向く側であるシート材1の内側の面に、それぞれの折り目が設けられている例に適用して以降の説明を行う。また、シート材1の紙巾方向と交わる方向に設けられている、折り目25,35,45,55、及び折り目26,36,46,56と対応するシート材1の外側の面の部分には、内側の面に設けられたそれぞれの折り目を挟むようにして、図示されていない一組の補助罫線が、それぞれの折り目と略平行に設けられている。折り目25を例に具体的に説明すると、左側面部2の外側の面の折り目25側の部分に、シート材1の内側の面に向かう厚さ方向に、シート材1を圧縮して形成された直線状の補助罫線25aが、折り目25と略平行にけられている。また、外側蓋フラップ21の外側の面の折り目25側の部分に、シート材1の内側の面に向かう厚さ方向に、シート材1を圧縮して形成された直線状の補助罫線25bが、折り目25と略平行にそれぞれ設けられている(図2(b)参照。)。
【0028】
他の折り目35,45,55、及び折り目26,36,46,56に対応するシート材1の外側の面にも同様に、図示されていない補助罫線がそれぞれ設けられている。この様な補助罫線を設けることで、段ボールシートの紙巾方向と交わる方向に折り目を設けた場合であっても、シート材1を容易に所定の方向に折り曲げ易くすることができる。なお、シート材1を所望の位置で折り曲げることができるものであれば、上記の様な予備罫線を設けない構成としてもよい。また折り目は、他の公知の方法によって設けられたものであってもよい。
【0029】
前側面部3には、一組の易開封線71R,71Lが、折り目24,43と略平行に設けられている。易開封線71Rは、前側面部3の右側(右側面部4の側)の部分に設けられており、また易開封線71Lは、前側面部3の左側(左側面部2の側)の部分に設けられている。本実施形態における易開封線71R,71Lが、特許請求の範囲における一組の第1の易開封線とされている。
【0030】
ここで易開封線とは、包装箱10の開封作業等を行う使用者が、所定の方向の力を加えると、シート材1を所望の方向に引き裂くことができる様に加工されたシート材1の部分をいう。本実施形態では、易開封線71R,71Lが、略くの字の状の切り込みが、所定の間隔を空けて同一の仮想線上に連続して並んで設けられた破断線と、折り目35側に設けられた直線状の切り込みからなる例に適用して以降の説明を行う。なお易開封線は、使用者がシート材1を所定の向きに容易に引き裂くことができる様に加工されたものであれば、他の公知の方法でシート材1が加工されたものであってもよい。以降の説明において、この易開封線の切り込みが並ぶ仮想線が延びる方向を、「易開封線の方向」、あるいは「易開封線が延びる方向」とも記載する。
【0031】
易開封線71Rは、それぞれの端部が、折り目35及び折り目36と交わるようにして設けられている。易開封線71Lも同様に、それぞれの端部が折り目35及び折り目36と交わるようにして設けられている。
【0032】
本実施形態において、易開封線の端部と折り目が交わるようにして設けられている(形成されている)状態には、易開封線の一番端側に配置された切り込みの端部が、折り目上に設けられている場合の他、当該切り込みが、折り目と交差して設けられている状態も含むものとする。また、易開封線の一番端側に配置された切り込みの端部が、対応する折り目と離間して設けられていても、その離間の長さが、使用者が当該易開封線に沿ってシート材1を引き裂く際に、意図した方向にその折り目の部分まで容易に切り裂くことができる程度の長さである場合には、当該易開封線は、折り目と交わって配置されている状態に含まれるものとする。
【0033】
易開封線71Rを例に具体的に説明すると、易開封線71Rの一番底側に配置された切り込みの下側の端部と、折り目36が離間していても、例えばその離間の距離が、易開封線71Rを構成する破断線の切り込みの間隔dの長さと略同一であるか、当該間隔の長さよりも短い長さである場合には、易開封線71Rは、折り目36と交わって設けられている状態であるとする(図13(a)参照。)。あるいは、易開封線71Rの一番底側に配置された切り込みの下側の端部が、折り目36の上側の前側面部3の他の部分よりも厚さが薄くなった部分(前側面部3の内側の面の折り目36を設けたことに伴い他の部分より窪んだ部分)に達している場合は、易開封線71Rは、折り目36と交わって設けられている状態であるとする。あるいは、易開封線71Rの一番底側に配置された切り込みの下側の端部が、前側面部3の外側の面に設けられた予備罫線36aの部分(他の部分よりも窪んでいる部分)に達しているような場合も、易開封線71Rは、折り目36と交わって設けられている状態であるものとする(図13(b)参照。)。なお、他の易開封線と他の折り目についても同様である。
【0034】
本実施形態では、易開封線71R,71Lの最も下端側に設けられた切り込みの下側の端部が、折り目36上にあり、易開封線71R,71Lの最も上端側に設けられた切り込みの上側の端部が、折り目35上にある例に適用して以降の説明を行う。
【0035】
易開封線71Rと折り目36が交わる交点b1(易開封線71Rの切り込みが並ぶ仮想線と折り目36が交わる交点)と、折り目36の右側の端部との間に、易開封線75Rが設けられている。また、易開封線71Lと折り目36が交わる交点b2(易開封線71Lの切り込みが並ぶ仮想線と折り目36が交わる交点)と、折り目36の左側の端部との間に、易開封線75Lが設けられている。本実施形態では、易開封線75R,75Lが、それぞれ折り目36と同じ方向に延びる略H字状の切り込みである例に適用して以降の説明を行う。
【0036】
具体的には、易開封線75R,75Lが、それぞれ折り目36上に設けられた直線状の切り込みと、当該直線状の切り込みの両側に直角に交わる様に設けられた、上記の直線状の切り込みよりも短い切り込みである例に適用して以降の説明を行う。この様に切り込みの両側に直角に交わる短い切り込みを設けたことで、包装箱10に力が加わった場合などに、易開封線75R,75Lの端側から裂け目が広がってしまうことを防ぐことができる。なお易開封線75R,75Lは、他の公知の形状の切り込みや、他の公知の方法で加工された易開封線であってもよい。本実施形態における易開封線75R,75Lが、特許請求の範囲における第6の易開封線、及び第7の易開封線とされている。
【0037】
内側蓋フラップ31には、易開封線72R,72L、易開封線73、易開封線74、貫通孔76及び貫通孔77が主に設けられている。易開封線72Rは、易開封線71Rと折り目35が交わる箇所(易開封線71Rの切り込みが並ぶ仮想線と折り目35の交点)から、折り目35とは反対側にある内側蓋フラップ31の辺38に向かい、内側蓋フラップ31の中央付近まで直線状に延びて形成された破断線である。換言すれば、易開封線72Rは、包装箱10を展開した状態において、易開封線71Rが延びる方向と同一線上に連続して延びて形成された破断線である。本実施形態では易開封線72Rが、易開封線71Rの折り目35側の直線状の切り込みと折り目35が交わる箇所から、辺38に向かい内側蓋フラップ31の中央付近まで直線状に延びている例に適用して以降の説明を行う。
【0038】
易開封線72Lは、易開封線71Lと折り目35が交わる箇所(易開封線71Lの切り込みが並ぶ仮想線と折り目35の交点)から辺38に向かい、内側蓋フラップ31の中央付近まで直線状に延びる破断線である。換言すれば、易開封線72Lは、包装箱10を展開した状態において、易開封線71Lが延びる方向と同一線上に、易開封線71Lから連続して延びている。本実施形態では易開封線72Lが、折り目35側に設けられた易開封線71Lの直線状の切り込みと折り目35が交わる箇所から、辺38に向かい内側蓋フラップ31の中央付近まで直線状に延びている例に適用して以降の説明を行う。また本実施形態では、易開封線72R,72Lが、略くの字状の切り込みが所定の間隔で設けられた破断線である例に適用して以降の説明を行う。なお、易開封線72R,72Lは、他の形状の切り込みが所定の間隔で設けられた破断線であったり、他の公知の方法で設けられた易開封線であったりしても良い。本実施形態では、易開封線72R,72Lの折り目35側の切り込みが、折り目35と交わり、前側面部3まで直線状に延びている例に適用して説明を行う。即ち、易開封線72R,72Lの折り目35側の切り込みが、折り目35と交差し、易開封線71R,71Lの折り目35側の直線状の切り込みと連続的に繋がっている例に適用して以降の説明を行う。
【0039】
易開封線73は、易開封線72R,72Lの辺38側の端部をつなぐ、弧状の易開封線である。本実施形態では、易開封線73が、内側蓋フラップ31の所定の箇所を弧状に切り込んだ切り込みである例に適用して以降の説明を行う。なお易開封線73は、他の公知の方法で形成されたものであってもよい。また易開封線73は、易開封線72R,72Lの辺38側の端部をつなぐものであれば、他の形状をしていてもよい。
【0040】
なお、本実施形態において、易開封線と他の易開封線がつながっている状態とは、易開封線が破断線からなる場合において、一方の破断線の端側の切り込みの端部と、当該破断線に向かって延びる他方の破断線の端部が交わっている場合をいう。あるいは、一方の破断線の端部と他方の破断線の端部が離間していても、その離間の長さが、使用者が当該易開封線に沿ってシート材1を引き裂く際に、意図した方向にそれぞれの破断線の端部の切り込みから裂け目が伸びて、それぞれの切り込みの端部が容易につながる程度の長さであれば、当該易開封線と他の易開封線はつながった状態であるとする。易開封線72Rと開封線73を例に適用して説明すると、易開封線72Rの最も上側に位置する切り込みの上側の端部と、易開封線73の右側の端部が離間した状態であったとしても、その離間の距離が、それらの部分に開封のための力が加わった際に、易開封線72Rの上側の切り込みの端部と易開封線73の右側の端部との間に裂け目が生じ、易開封線72Rの上側の切り込みの端部と易開封線73の端部が容易につながる場合にも、易開封線72Rと易開封線73はつながっている状態であるとする。
【0041】
本実施形態における易開封線72R,72Lが、特許請求の範囲における一組の第4の易開封線とされている。また易開封線73が、特許請求の範囲における第5の易開封線とされている。また、易開封線72R,72L及び易開封線73が、特許請求の範囲における第2の易開封線とされている。
【0042】
易開封線74は、易開封線72Rの辺38側の端部と、易開封線73が交わる箇所の近傍にある分離開始部74aから、辺38よりも所定の距離だけ折り目35側にある内側蓋フラップ31の箇所74bに向かって延びて形成された略L字状の切り込みである。易開封線74は、開封の際に、詳細は後述する蓋側残余部30を左右二つの部分に分割するための易開封線である。なお易開封線74は、蓋側残余部30を左右二つの部分に分割できるものであれば、他の形状をしていてもよい。あるいは易開封線74は、他の公知の方法によって設けられた易開封線でもよい。本実施形態において箇所74bが、10mm程度、易開封線72Rが延びる方向に辺38から折り目35の側に離れた内側蓋フラップ31の部分に設けられている例に適用して以降の説明を行う。なお箇所74bの位置は、包装箱10を開封する際に、易開封線74から延びた裂け目が辺38に達し、使用者が蓋側残余部30を左右二つの部分に分割することができるのであれば、上記とは異なる位置に設けられていてもよい。あるいは、易開封線74が辺38上に設けられていてもよい。即ち易開封線74が、辺38まで延びていてもよい。
【0043】
本実施形態では、分離開始部74aが、易開封線72Rの辺38側の端部と、易開封線73の右側の端部が交わる点から約2~3mm程度右側にずれた箇所に設けられている例に適用して説明を行う。なお、分離開始部74aは、上記以外の場所に設けられていてもよく、例えば分離開始部74aが、易開封線72Rと易開封線73が交わる部分に設けられていてもよい。あるいは分離開始部74aが、易開封線72Rと易開封線73が交わる部分の近傍の易開封線72R上の箇所や、易開封線73上の箇所に設けられていてもよい。
【0044】
あるいは、分離開始部74aは、開封時に使用者が詳細は後述する蓋側残余部30を左右方向に分割するために力を加えた際に、易開封線72Rあるいは易開封線73上の任意の箇所から分離開始部74aまで裂け目が生じ、易開封線72Rあるいは易開封線73と、分離開始部74aがつながる程度の距離であれば、分離開始部74aが、易開封線72R及び易開封線73から離れ、蓋側残余部30の任意の箇所に設けられていてもよい。本実施形態における易開封線74が、特許請求の範囲における第3の易開封線とされている。また辺38が、特許請求の範囲における端辺とされている。
【0045】
本実施形態において、易開封線71R,71L、易開封線72R,72L及び易開封線73にて区画された前側面部3及び内側蓋フラップ31の部分が、開封部37となっている。開封部37は、その周囲に設けられた易開封線71R,71L、易開封線72R,72L及び易開封線73に沿って、辺38の側から前側面部3の底面側に向かって引き裂かれ、内容物を取り出す際の開口の一部となる取出開口部39を形成する部分である。なお以降の説明において、内側蓋フラップ31における開封部37の辺38側を、「開封開始側」とも記載する。
【0046】
内側蓋フラップ31において、易開封線72R,72L及び易開封線73にて区画された、開封部37とは反対の部分が、蓋側残余部30である。蓋側残余部30は、易開封線72Rと内側蓋フラップ31の右側の辺にて挟まれた右領域30aと、易開封線72Lと内側蓋フラップ31の左側の辺にて挟まれた左領域30bとが、辺38と易開封線73で挟まれた端領域30cにてつながった略U字形状の部分である。
【0047】
内側蓋フラップ31における開封部37の開封開始側の部分に、略楕円形状の貫通孔76が設けられている。また貫通孔76よりも折り目35側の部分に、帯状の保持部78を挟んで略楕円形状の貫通孔77が設けられている。貫通孔76及び貫通孔77は、使用者が取出開口部39を形成する際に、手指を抜き差しする部分である。また保持部78は、使用者が包装箱10を開封する際に、貫通孔76及び貫通孔77に挿入した手指等で保持する部分である。本実施形態における貫通孔76,77が、特許請求の範囲における挿入可能部とされている。
【0048】
外側蓋フラップ41及び外側底フラップ42には、折り目44と平行に延びる折り曲げ線47,48がそれぞれ設けられている。折り曲げ線47,48は、包装箱10をつぶして、更にコンパクトな大きさに畳む際に、右側面部4、外側蓋フラップ41及び外側底フラップ42を折り畳むための折り曲げ線である。
【0049】
本実施形態において折り曲げ線47は、外側蓋フラップ41における仮想線49の部分に設けられた、仮想線49が延びる方向延びる二つの切り込みである例に適用して以降の説明を行う。この二つの切り込みは、仮想線49が延びる方向に間隔を空けて並んで配置されている。なお仮想線49は、折り目55の、左側面部2と隣接する側の端部から、包装箱10の前後方向の幅X(左側面部2の前後方向の幅)と同じ長さだけ折り目55の同一線上に離れた位置にある折り目45上の点b3を通り、折り目44と平行に延びる仮想の直線をいう。
【0050】
本実施形態において折り曲げ線48は、外側底フラップ42における仮想線49の部分に設けられた、仮想線49が延びる方向延びる二つの切り込みである例に適用して以降の説明を行う。この二つの切り込みは、仮想線49が延びる方向に間隔を空けて並んで配置されている。
【0051】
なお、折り曲げ線47,48は、右側面部4の仮想線49の部分に設けられていてもよい。あるいは折り曲げ線47,48は、外側蓋フラップ41、外側底フラップ42及び右側面部4の少なくともいずれか一つの、仮想線49よりも折り目43側の部分に設けられていてもよい。また、折り曲げ線47,48を、外側蓋フラップ21、及び外側底フラップ22、あるいは左側面部2に設けてもよい。さらに折り曲げ線47,48は、仮想線49上に設けられた折り目であってもよく、あるいは折り曲げを容易にするために他の公知の方法で設けられた折り曲げ線であってもよい。あるいは折り曲げ線47,48を設けない構成としてもよい。
【0052】
なお本実施形態では、破断線を構成する切り込みや、その他の部分に設けられる切り込みは、シート材1の一方の側から刃が入れられて、少なくともシート材1の一方の側のライナーと、対応する箇所にある中芯の少なくとも一部が切り込まれて形成されたものである例に適用して以降の説明を行う。なお、切り込みは、対応する反対側のライナーの一部が同様に切り込まれていたり、あるいは対応する部分の両方のライナーと中芯が完全に切られ、シート材1を貫通して形成されていたりしてもよい。
【0053】
<易開封線71R,71Lの説明>
続いて易開封線71R,71Lについて、図11(a),図11(b)を参照しながら説明を行う。本実施形態では、易開封線71R,71Lは、略くの字状の切り込みが、所定の間隔で連続的に設けられた破断線である。具体的に易開封線71R,71Lは、切り込みの頂点j1が右側(折り目43側)を向く切り込みeと、切り込みの頂点j2が左側(折り目24側)を向く切り込みfが交互に直線状に並んで配置された破断線である(図11(a)参照。)。
【0054】
切り込みeは、下側に延びる切り込みg1と上側に延びる切り込みh1からなり、切り込みg1と切り込みh1の交わる部分が頂点j1とされている。また、切り込みfは、下側に延びる切り込みg2と上側に延びる切り込みh2からなり、切り込みg2と切り込みh2が交わる部分が頂点j2とされている(図11(b)参照。)。なお、本実施形態では、切り込みg1、切り込みh1、切り込みg2及び切り込みh2の長さがそれぞれ略同一である例に適用して説明を行うが、切り込みg1と切り込みh1の長さが異なっていたり、切り込みg2と切り込みh2の長さが異なっていたりしてもよい。あるいは切り込みg1、切り込みh1、切り込みg2及び切り込みh2の長さがそれぞれ異なっていてもよい。
【0055】
切り込みe及び切り込みfは、それぞれの上下の端部が、易開封線71R,71Lが延びる方向と同一の方向に延びる仮想線A上にあるように、それぞれ配置されている。即ち、切り込みe及び切り込みfは、切り込みg1,g2の下側の端部、及び切り込みh1,h2の上側の端部がそれぞれ同一の仮想線A上にある様に配置されている。また、切り込みeと切り込みfは、その間隔が距離d1となる様に配置されている。具体的に説明すると、切り込みe及び切り込みfは、切り込みeの下側の端部(切り込みg1の下側の端部)と、切り込みeの下側に隣接する切り込みfの上側の端部(切り込みh2の上側の端部)との間が、距離d1となる様に配置されている。また、切り込みeの上側の端部(切り込みh1の上側の端部)と、切り込みeの上側に隣接する切り込みfの下側の端部(切り込みg2の下側の端部)との間が、距離d1となるように、切り込みe及び切り込みfは配置されている。
【0056】
この様にされた易開封線71R,71Lでは、略くの字状の切り込みeと切り込みfが、交互に所定の間隔で並んで配置されている。このため、切り込みeの下側の切り込みg1が延びる方向(切り込みg1の下側の延長線上)には、これに交わる切り込みfが存在しない。また、切り込みeの切り込みh1が延びる方向(切り込みh1の上側の延長線上)にも、これに交わる切り込みfは存在しない。同様に、切り込みfの切り込みg2が延びる方向(切り込みg2の下側の延長線上)にも、切り込みh2が延びる方向(切り込みh2の上側の延長線上)にも、それらに交わる切り込みeは存在しない。
【0057】
例えば輸送時などに、包装箱10に衝撃が与えられ、包装箱10に意図しない力が加えられた際に、易開封線71R,71Lに上下方向に向かう力が加わる場合がある。この場合、切り込みeの下側の端部や、切り込みfの下側の端部から、切り込みg1及び切り込みg2が延びる方向に裂け目が生じる場合がある。しかしながら、上記の様に構成された破断線からなる易開封線71R,71Lであれば、それぞれの破断線を構成する切り込みeと切り込みfは所定の距離d1を空けて配置され、切り込みe及び切り込みfを構成するそれぞれの切り込みg1,g2及び切り込みh1,h2が延びる方向に他の切り込みはないため、切り込みの端部から自然に延びた裂け目が隣接する他の切り込みに連続的につながって、易開封線71R,71Lが自然に裂けてしてしまうことを防ぐことができる。なお、切り込みeと切り込みfの間隔は、切り込みg1,g2及び切り込みh1,h2がそれぞれ延びる方向に、他の切り込みが存在しない様に配置されていれば、等間隔で配置されていなくてもよい。例えば、切り込みeの下側の端部と切り込みeの下側に隣接する切り込みfの上側の端部との間の距離と、切り込みeの上側の端部と切り込みeの上側に隣接する切り込みfの下側の端部との間の距離が異なる長さであってもよい。あるいは、切り込みeと切り込みfの全ての間隔がそれぞれ異なる距離であってもよい。
【0058】
なお、易開封線を、図12(a)に示す様な構成としてもよい。図12(a)、図12(b)を参照して具体的に説明すると、易開封線81R,81Lは、略くの字状の切り込みが、二列に並んだ破断線からそれぞれ構成されている。易開封線81Rを例に具体的に説明をすると、易開封線81Rは、略くの字状の切り込みk1が、所定の間隔で仮想線B上に並ぶ切り込み列B1と、略くの字状の切り込みk2が、仮想線Bと所定の間隔をあけて平行に延びる仮想線C上に並ぶ切り込み列C1から構成されている(図12(a)参照)。なお仮想線B及び仮想線Cは、いずれも易開封線81Rが延びる方向に延びる仮想の直線である。
【0059】
切り込み列B1を構成する切り込みk1は、下側に向かって延びる切り込みm1と、上側に向かって延びる切り込みn1からできている。切り込みm1と切り込みn1が交わる部分が、切り込みk1の頂点とされている。なお、本実施形態では、切り込みm1と切り込みn1の長さが異なる例に適用して以降の説明を行うが、切り込みm1と切り込みn1の長さが略同一であってもよい。切り込みk1は、切り込みm1の下側の端部がそれぞれ仮想線B上に位置する様に、間隔d2を空けて直線状に並んで配置されている。即ち、一つの切り込みk1の切り込みm1の下側の端部と、当該切り込みk1の下側に隣接する他の切り込みk1の切り込みn1の上側の端部との間の、仮想線Bが延びる方向の長さが、距離d2となる様にそれぞれが配置されている。換言すると、仮想線B上に並ぶ切り込みk1のそれぞれの間に、仮想線Bが延びる方向の長さが距離d2の、切り込みが設けられていない第1領域p1が設けられている(図12(b)参照。)。
【0060】
切り込み列C1を構成する切り込みk2は、下側に向かって延びる切り込みm2と、上側に向かって延びる切り込みn2からできている。切り込みk2は、切り込みm2と切り込みn2が交わる頂点が、切り込みk1の頂点と同じ側を向く様にして配置されている。なお、本実施形態では、切り込みm2と切り込みn2の長さが異なる例に適用して以降の説明を行うが、切り込みm2と切り込みn2の長さが略同一であってもよい。切り込みk2は、切り込みm2の下側の端部がそれぞれ仮想線C上に位置する様に、間隔d3を空けて直線状に並んで配置されている。即ち、一つの切り込みk2の切り込みm2の下側の端部と、当該切り込みk2と下側に隣接する他の切り込みk2の切り込みn2の上側の端部との間の、仮想線Cが延びる方向の長さが、距離d3となる様にそれぞれが配置されている。換言すると、仮想線C上に並ぶ切り込みk2の間に、仮想線Cが延びる方向の長さが距離d3の、切り込みが設けられていない第2領域p2が設けられている。
【0061】
切り込みk1と切り込みk2は、易開封線81Rが延びる方向に左右に互い違いに並び、間隔d4を空けて配置されている。具体的に説明すると、切り込みk1は、仮想線B上の、第2領域p2と隣接する部分に設けられている。切り込みk2は、仮想線C上の、第1領域p1と隣接する部分に設けられている。即ち切り込みk1及び切り込みk2は、それぞれの切り込みが設けられていない領域と隣接する部分に、交互に配置されている。
【0062】
切り込みk1は、その上側の端部が、上側に隣接する切り込みk2の下側の端部から仮想線B及び仮想線Cが延びる方向に距離d4だけ離れた位置となる様に配置されている。また切り込みk1は、その下側の端部が、下側に隣接する切り込みk2の上側の端部から仮想線B及び仮想線Cが延びる方向に距離d4だけ離れた位置となる様に配置されている。
【0063】
切り込みk2は、その上側の端部が上側に隣接する切り込みk1の下側の端部から、仮想線B及び仮想線Cが延びる方向に距離d4だけ離れた位置となる様に配置されている。また切り込みk2は、その下側の端部が、下側に隣接する切り込みk1の上側の端部から仮想線B及び仮想線Cが延びる方向に距離d4離れた位置となる様に配置されている。なお、易開封線81Lも、易開封線81Rと同様に構成されている。
【0064】
この様に構成された易開封線81R,81Lでは、切り込みk1と切り込みk2がそれぞれ間隔を空けて互い違いに配置されており、少なくとも切り込み列B1を構成する切り込みk1の切り込みm1が延びる下側の方向(切り込みm1の下側に向かう延長線上)に、隣接する切り込みが存在していない。このため、包装箱10に上下方向の力が加わり、切り込みk1の切り込みm1が延びる下側の方向に切れ目が延びたとしても、当該切れ目が隣接する切り込みk2につながる畏れが少ない。このため、例えば包装箱10の輸送の際などに上下方向の力が加わった場合などであっても易開封線81R,81Lが自然に破断されることが防がれることが期待できる。なお、本実施形態では、切り込みk1及び切り込みk2がそれぞれ仮想線B及び仮想線C上に等間隔で配置されている例に適用して説明を行ったが、下側に延びる切り込みの延長線上に、隣接する切り込みが存在しない様に配置されるのであれば、それぞれが異なる間隔で配置されていてもよい。例えば、切り込みk1が仮想線B上にそれぞれが異なる間隔で配置されていたり、または、切り込みk2が仮想線C上にそれぞれが異なる間隔で配置されていたりしてもよい。あるいは、切り込みk1と仮想線B及び仮想線Cが延びる方向に隣接する切り込みk2との間隔が、それぞれ異なる距離で配置されていてもよい。
【0065】
2.組立方法の説明
続いて包装箱10の組み立て方法について、主に図1から図2を参照して説明を行う。はじめに本体部11を折り目24,43,44にて、隣接するそれぞれの側面部がなす角度が略90°となる様に内側に折り曲げ、本体部11を四角筒状に組み立てる。続いて接着部6を、折り目23にて内側に折り曲げ、その外側の面を、後側面部5の内側の面の左側面部2と隣接する辺の側の部分に公知の接着方法などによって固定する。
【0066】
本体部11を四角筒状に組み立てた後、本体部11の下側の開口部を閉じて包装箱10の底面部を形成する。具体的には、内側底フラップ32を折り目36にて前側面部3に対して略90°となる様に内側に折り曲げる。内側底フラップ52も同様に、折り目56にて後側面部5に対して略90°となる様に内側に折り曲げる。続いてその内側の面が、内側底フラップ32の外側の面と内側底フラップ52の外側の面と重なる様にして、外側底フラップ22を折り目26にて折り曲げる。同様に外側底フラップ42を、その内側の面が内側底フラップ32の外側の面と内側底フラップ52の外側の面と重なる様にして、折り目46にて折り曲げる。外側底フラップ22及び外側底フラップ42を折り曲げて本体部11の下側の開口部を閉じたら、接着テープなどの公知の方法で外側底フラップ22及び外側底フラップ42を固定する。
【0067】
商品等の内容物を包装箱10の内側に収納した後、本体部11の上側の開口部を閉じる。具体的には、内側蓋フラップ31を、折り目35にて前側面部3となす角度が略90°となる様に内側に折り曲げる。また、内側蓋フラップ51を、折り目55にて後側面部5となす角度が90°となる様に内側に折り曲げる。続いてその内側の面が、内側蓋フラップ31の外側の面と内側蓋フラップ51の外側の面に重なる様にして、外側蓋フラップ21を折り目25にて折り曲げる。また、その内側の面が、内側蓋フラップ31の外側の面と内側蓋フラップ51の外側の面に重なる様にして、外側蓋フラップ41を折り目45にて折り曲げる。外側蓋フラップ21及び外側蓋フラップ41を折り曲げて本体部11(包装箱10)の上側の開口部を閉じたら、接着テープなどの公知の方法で外側蓋フラップ21及び外側蓋フラップ41を固定する。
【0068】
3.開封方法の説明
続いて主に図2から図6を参照して、包装箱10の開封方法について説明を行う。
はじめに包装箱10の上側の面である蓋部を開封する。具体的には、外側蓋フラップ21及び外側蓋フラップ41を固定する接着テープなどを取り除き、外側蓋フラップ21及び外側蓋フラップ41を折り戻して外側に引き起こす。続いて内側蓋フラップ31及び内側蓋フラップ51を折り戻して外側に引き起こし、包装箱10の上側の開口部を解放する(図3参照)。
【0069】
続いて、開封部37を引き裂いて、取出開口部39を形成する。具体的には、片方の手の指を貫通孔76及び貫通孔77に挿入して保持部78を保持して、開封部37を前側の方向、即ち包装箱10から前側に離れる方向に引っ張る。この際、蓋側残余部30の左右いずれか一方の側を他方の手で保持し、蓋側残余部30が開封部37につられて前側方向に動かない様に押さえておく。
【0070】
本実施形態では、使用者が右側に手で保持部78を保持し、左側の手で蓋側残余部30の辺38側の左側の部分を押さえて開封作業を行う例に適用し、以下説明を行う。この場合、使用者が保持部78を保持して開封部37の開封開始側を前側に引っ張ると、蓋側残余部30も、開封部37とともに前側の方向に力を受ける。しかしながら、蓋側残余部30の左側の部分(左領域30b)は、使用者の他方の手で押さえられているため、蓋側残余部30の左側の部分は、開封部37につられて前側に動くことが防がれる。また蓋側残余部30の右側の部分である右領域30aは、端領域30cによって左領域30bと一体となっているため、同様に前側に動くことが防がれる。このため、使用者が保持部78を保持して開封部37を前側方向、より具体的には、包装箱10から前側に離れ且つ下側に向かう方向に引っ張ると、易開封線72R,72L及び易開封線73が引き裂かれ、開封部37が内側蓋フラップ31部分から分離される。更に使用者が開封部37を前側方向に引っ張ると、前側面部3が易開封線71R,71Lに沿って引き裂かれて、開封部37が前側面部3から分離する(図4参照)。なお、本実施形態では、易開封線72R,72Lの折り目35側の切り込みが、折り目35と交差し、易開封線71R,71Lの折り目35側の直線状の切り込みと連続的に繋がって設けられているため、易開封線72R,72Lから連続して易開封線71R,71Lに沿って前側面部3を引き裂く作業が行い易い。即ち、易開封線72R,72Lに沿って内側蓋フラップ31を引き裂いた後、続けて易開封線71R,71Lに沿って前側面部3を引き裂き始める際に、容易に前側面部3を引き裂き始めることができる。前側面部3が、易開封線71R,71Lにそってその下側まで引き裂かれると、内側蓋フラップ31及び前側面部3の左右方向の略中心に、取出開口部39が形成される(図5参照)。
【0071】
続いて、内容物を取り出すために、前側面部3を完全に開いた状態にする。具体的には、はじめに蓋側残余部30を易開封線74にて引き裂いて、蓋側残余部30を二つの部分に分割する。更に前側面部3において取出開口部39の左側にある前側面残余部33を易開封線75Lにて引き裂いて前側に広げる。具体的には、内側底フラップ32と前側面残余部33の間のつながっている部分を易開封線75Lにて引き裂いて、左側面部2と同一の面上にくるまで前側面残余部33を折り戻す。この際、前側面残余部33の上側につながる蓋側残余部30は、易開封線74にて左右の部分に引き裂かれているため、蓋側残余部30の左側の一方は、前側面残余部33と共に左側面部2側に移動する。
【0072】
同様に前側面部3において取出開口部39の右側にある前側面残余部34を易開封線75Rにて引き裂いて前側に広げる。具体的には、内側底フラップ32と前側面残余部34の間のつながっている部分を易開封線75Rにて引き裂いて、右側面部4と同一の面上にくるまで前側面残余部34を折り戻す。この際、蓋側残余部30の右側の他方は、前側面残余部34と共に右側面部4側に移動する(図5,6参照。)。
【0073】
この様にすると、前側面部3は完全に開いた状態となり、包装箱10の前側の部分から内容物を取り出すことができる様になる。なお、易開封線75R,75Lが引き裂かれると、内側底フラップ32は開封部37とともに包装箱10の他の部分から分離した状態となり、包装箱10の他の部分から引き離すことができる(図6参照)。
【0074】
4.内容物取り出し後の包装箱の折り畳み方法
包装箱10から内容物を取り出した後、廃棄等のために包装箱10をつぶして折り畳む。はじめに包装箱10の外側底フラップ22及び外側底フラップ42を固定している粘着テープ等を引きはがし、外側底フラップ22,42、及び内側底フラップ32,52をそれぞれ折り戻して、包装箱の下側を開いた状態とする。更に、左側面部2及び右側面部4を折り目24及び折り目43にて折り戻して、前側面残余部33、左側面部2、後側面部5、右側面部4及び前側面残余部34を同一平面上に広げる(図7参照)。更に、開封時に分離させた内側底フラップ32と開封部37を後側面部5の内側の面の上に重ねて配置する(図7参照。)。
【0075】
続いて前側面残余部33を、その内側の面が左側面部2の内側の面と重なる様に折り目24にて折り曲げる。このとき、前側面残余部33とつながっている蓋側残余部30の一方の内側の面が、外側蓋フラップ21の内側の面と重なる様にする。続いて左側面部2を、その内側の面が、後側面部5の内側の面と重なる様に折り目23で折り曲げる。即ち開封時に分離させた内側底フラップ32と開封部37を、後側面部5の内側の面と左側面部2の内側の面で挟む様に、左側面部2を折り目23にて折り曲げる。この際、外側蓋フラップ21の内側の面と、内側蓋フラップ51の面で、開封部37の開封開始側の部分を挟む様にする。また、外側底フラップ22の内側の面と内側底フラップ52の内側の面で、内側底フラップ32を挟む様にする(図8参照。)。
【0076】
続いて右側面部4、外側蓋フラップ41及び外側底フラップ42を、折り曲げ線47,48にて折り曲げる。具体的には、右側面部4、外側蓋フラップ41及び外側底フラップ42の、折り曲げ線47,48よりも折り目43側にある部分の内側の面が、それぞれ左側面部2、外側蓋フラップ21及び外側底フラップ22の外側の面と重なる様に、右側面部4、外側蓋フラップ41及び外側底フラップ42を折り曲げる(図9参照。)。この様にして右側面部4、外側蓋フラップ41及び外側底フラップ42が折り曲げられると、包装箱10をその表面積が小さくなる様に折り畳むことができる(図10参照。)。
【0077】
上記の構成からなる包装箱によれば、開封部37の開封開始側の部分が、内側蓋フラップ31の易開封線72R,72L及び易開封線73からなる略U字状の易開封線によって区画されて設けられている。即ち、内側蓋フラップ31の易開封線72R,72L及び易開封線73で区画された開封部37とは反対側に、蓋側残余部30が設けられている。この蓋側残余部30は、開封部37の右側にある右領域30aと、開封部37の左側にある左領域30bとが、開封部37よりも辺38側にある端領域30cにてつながった略U形状をしている。このため、開封時に使用者が、開封部37の開封開始側の部分を一方の手で保持して前側に引っ張る際に、蓋側残余部30の左右いずれか一方の側を他方の手で押さえれば、蓋側残余部30の手で保持された一方の側の他、端領域30c及び手にて保持された側とは反対側の蓋側残余部30の部分も、開封部37につられて前側に動くことが防がれる。このため、易開封線72R,72L及び易開封線73に、シート材1を引き裂くのに必要な所定の力をそれぞれ伝えることができ、易開封線72R,72L及び易開封線73を容易に切り裂くことができる。このため包装箱10の開封作業を容易に行うことができる。
【0078】
また、開封部37の開封開始側の部分が、内側蓋フラップ31に設けられているため、包装箱10の上側の開口部を閉じた状態では、開封部37の開封開始側が、外側蓋フラップ21及び外側蓋フラップ41で覆われた状態となっている。このため、包装箱10の蓋部が閉じた状態で、開封部37が誤って開封されてしまうことが防がれる。また、取出開口部39が包装箱10の前側の側面に形成されており、包装箱10の前側の側面を完全に開いた状態にすることができる。このため、例えば飲料物など重量のある内容物を上側に持ち上げることなく包装箱10から容易に取り出すことができる包装箱10を提供することができる。
【0079】
更に内側蓋フラップ31には、蓋側残余部30を左右の二つの部分に分割するための易開封線74が設けられている。内容物を包装箱10の前側の側面からより取り出すためには、開封部37を引き裂いた後に包装箱10の前側の側面に残る前側面部3の前側面残余部33及び前側面残余部34を開き、前側の側面を完全に開いた状態とする必要がある。一方、前側面残余部33と前側面残余部34は、蓋側残余部30を介してつながっているため、そのままではそれぞれを広げることができない。しかしながら、易開封線74によって蓋側残余部30を左右二つの部分に分離することで、前側面残余部33及び前側面残余部34が切り離されて、前側面残余部33と前側面残余部34を開いた状態にすることができる。
【0080】
更にこの易開封線74は、易開封線72Rと易開封線73が交わる箇所の近傍にある分離開始部74aから辺38に向かって延びている。例えば分離開始部74aを易開封線73と辺38の間の部分に設けた場合には、分離開始部74aと辺38の距離が短くなり、更に易開封線74が裂ける向きが、開封部37が開封される向きと同じ方向となってしまう。このため、例えば開封部37を開封している際に、易開封線74が自然に裂けてしまい、蓋側残余部30が二つの部分に分離してしまう畏れがある。また、分離開始部74aを、右領域30aや左領域30bの折り目35側の部分に設けた場合には、易開封線74の長さが長くなってしまう。この場合に使用者は、蓋側残余部30を二つに分割するために、長い距離の易開封線74を切り裂かなければならなくなってしまう。また、そのように長い易開封線74を設けることで内側蓋フラップ31の強度が低下する可能性もある。一方、易開封線74を、易開封線72Rと易開封線73が交わる箇所の近傍に設ければ、蓋側残余部30を二つに分離する作業を行い易くすることができると共に、内側蓋フラップ31の強度を低下させてしまう様な畏れもない。
【0081】
更にこの易開封線74は、略L字形状をしている。即ち易開封線74は、分離開始部74aから、開封部37から離れる一方の側に延びて、更に辺38に向かって延びている。開封の際には、分離開始部74aに、開封部37が裂かれる方向(上下方向)の力が加わることになる。このため易開封線74の分離開始部74a側の部分を上下に延びる方向で設けた場合には、開封作業の途中で自然と易開封線74が引き裂かれ、蓋側残余部30が二つに分割されてしまう畏れがある。しかしながら易開封線74の形状を、その分離開始部74a側(開封部37側)の部分が、開封部37が切り裂かれる方向(上下方向)と交わる方向に延びる様にされた略L字形状とすれば、開封時に意図せずに易開封線74が引き裂かれてしまうことを防ぐことができるようになる。
【0082】
更に内側蓋フラップ31における開封部37の開封開始側の部分に、貫通孔76、貫通孔77が設けられている。このような貫通孔を設けることで、使用者はその指を挿入して開封部37の端部を容易に掴むことができるため、開封作業を行いやすくなる。また。貫通孔76と貫通孔77の間に保持部78を設けているため、使用者は開封部37を保持しやすく、更に開封作業が行い易くなる。
【0083】
更に、前側面部3の下側の辺の部分、即ち折り目36上に易開封線75R,75Lが設けられている。内容物を包装箱10の前側の側面から取り出す場合には、開封部37を切り裂いた後に包装箱10の前側の側面に残る、前側面残余部33及び前側面残余部34も開いた状態とする必要がある。この様に易開封線75R,75Lを設ければ、内容物を取り出す際の妨げになるような前側面部3を残すことなく、包装箱10の前側の側面を開いた状態にすることができ。
【0084】
更に、外側蓋フラップ41及び外側底フラップ42の所定の箇所に、折り曲げ線47,48が設けられている。このような折り曲げ線を設けることで、内容物を取り出してつぶした後に、包装箱10をよりコンパクトな大きさに、容易に折り畳むことができる様になる。
【0085】
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。例えば上記実施形態では、易開封線75R,75Lが、折り目36上に設けられている例に適用して説明を行った。一方、易開封線75R,75Lを内側底フラップ32の折り目36側に設けた構成としてもよい。例えば易開封線71R,71Lを、折り目36と交差して内側底フラップ32の側にまで延ばして設け、易開封線75R,75Lを、内側底フラップ32における易開封線71R,71Lの端部から、内側底フラップ32の左右の辺に向かって延びる様に設けてもよい。例えば易開封線75R,75Lを、内側底フラップ32の外側の面に設けられた予備罫線の部分に設けたり、その他の内側底フラップ32の折り目36と近接する部分に設けたりしてもよい。この様な構成とすれば、易開封線75R,75Lを切り裂いて、前側面残余部33及び前側面残余部34を開き、開封部37と内側底フラップ32を引き離すと、包装箱10の前側の側面に内容物の取り出しの妨げとなる前側面部3の下側の部分が残る畏れのない包装箱10とすることが可能となる。
【0086】
あるいは易開封線75R,75Lを、折り目36よりも上側の前側面部3の部分に設けた構成としてもよい。例えば易開封線75R,75Lを、前側面部3の外側の面に設けられた予備罫線の部分に設けたり、その他の前側面部3の折り目36と近接する部分に設けたりしてもよい。その様な箇所に易開封線75R,75Lを設けることで、上下方向の力が集中してしまうなどの理由によって易開封線75R,75Lが自然に裂けてしまったり、あるいは包装箱10の強度が低下してしまったりすることを防ぐことも期待できる。
【0087】
また本実施形態では、四角筒状の本体部11の下側の開口部を、内側底フラップ32,52及び外側底フラップ22,42にて塞ぐ、A式の包装箱を例に適用して説明を行ったが、これに限定される訳ではない。例えば包装箱10が、本体部11が四角筒状に形成されるにともなって、底側のフラップが広げられて底面部が形成されるワンタッチ式の包装箱であってもよい。具体的には、例えば接着などの方法によって一体に形成された内側底フラップ32及び外側底フラップ22と、接着などの方法によって一体に形成された内側底フラップ52及び外側底フラップ42から底面部が構成される包装箱であってもよい。この様なワンタッチ式の包装箱では、内側底フラップ32,52及び外側底フラップ22,42のいずれかの所定箇所に折り畳みのための折り目が設けられており、包装箱10を組み立てるために本体部10を四角筒状に形成すると、当該折り目にて折り畳まれていた内側底フラップ32,52及び外側底フラップ22,42が広がって底面部が形成される。この内側底フラップ32,52及び外側底フラップ22,42にはそれぞれ所定の形状に形成されて係止部が設けられており、底面部が形成された状態で係止部が互いに係止され、底面部が固定されるようになっている。
【0088】
また本実施形態では、包装箱10の本体部11が、両方が開口した四角筒状の形状をしている例に適用して説明を行ったが、本体部11が、一方が塞がれた四角筒状の形状をしていてもよい。具体的には包装箱10が、底面をなす底面部から延出した各側面部が底面との境目にて折り曲げられて包装箱の側面が形成される「たとう型」の包装箱であってもよい。あるいは包装箱10は、上側の開口部の少なくとも一部を塞ぐ蓋フラップが、側面部の上端から延出している包装箱であれば、その他の公知の形状の包装箱であってもよい。また、包装箱10は、六角の筒状の本体部や、側面や八角の本体部から構成されるものであってもよく、あるは本体部の断面(上下方向と交わる方向の断面)がその他の多角形の筒状の側面をなすものであってもよい。
【0089】
また本実施形態では、開封部37の辺38側に、貫通孔76,77を設けた例に適用して説明を行ったが、貫通孔76,77に代えて、略コの字状の切り込みと、当該略コの字状の切り込みの端部をつなぐ折り目からなる押し込み片を設けた構成としてもよい。この様な構成とすれば、使用者が当該押し込み片を包装箱10の内側の方向に押し込むことで、使用者の指を挿入する事ができ、開封部37の端部を保持して開封することができる様になる。また、貫通孔76,77よりも簡易な構成とすることができる。
【符号の説明】
【0090】
1・・・シート材 2・・・左側面部 3・・・前側面部
4・・・右側面部 5・・・後側面部 6・・・接着部 10・・・包装箱
11・・・本体部 21・・・外側蓋フラップ 22・・・外側底フラップ
21・・・外側蓋フラップ 22・・・外側底フラップ
23~26・・・折り目 30・・・蓋側残余部 30a・・・右領域
30b・・・左領域 30c・・・端領域 31・・・内側蓋フラップ
32・・・内側底フラップ 33,34・・・前側面残余部
35,36・・・折り目 37・・・開封部 38・・・辺
39・・・取出開口部 41・・・外側蓋フラップ
42・・・外側底フラップ 43~46・・・折り目
47、48・・・折り曲げ線 49・・・仮想線 51・・・内側蓋フラップ
52・・・内側底フラップ 55,56・・・折り目
71R~72R,71L~72L,73,74,75R,75L・・・易開封線
76,77・・・貫通孔 78・・・保持部 81R,81L・・・易開封線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13