(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-10
(45)【発行日】2023-02-20
(54)【発明の名称】ボーディングブリッジ
(51)【国際特許分類】
B64F 1/305 20060101AFI20230213BHJP
【FI】
B64F1/305
(21)【出願番号】P 2018243040
(22)【出願日】2018-12-26
【審査請求日】2021-11-25
(73)【特許権者】
【識別番号】518337876
【氏名又は名称】三菱重工交通・建設エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】古賀 靖浩
(72)【発明者】
【氏名】寺本 和法
(72)【発明者】
【氏名】沖 欣起
【審査官】金田 直之
(56)【参考文献】
【文献】特開昭59-156897(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2020-0066998(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64F 1/305
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続対象の航空機の乗降口と接続可能なヘッド部と、
前記航空機の所定部位を撮像可能な撮像部と、
前記撮像部によって撮像された前記所定部位の撮像データに基づいて、前記所定部位の高さを算出する算出部と、
前記算出部によって算出された前記所定部位の高さに基づいて、前記ヘッド部の駆動を制御する駆動制御部と、
を備え
、
前記算出部は、前記撮像部によって撮像された前記所定部位の第1撮像データに基づいて、前記所定部位の第1高さを算出し、
前記第1撮像データに基づいて算出された前記所定部位の前記第1高さを記憶部に記録する記録制御部と、
前記記憶部に記録された前記第1高さ及び前記第1高さが記録された後に撮像された前記所定部位の第2撮像データに基づいて算出された前記所定部位の第2高さの差と、所定の閾値に基づいて、前記ヘッド部の高さ調整が必要な前記所定部位の位置変化が生じているか否かを判断する判断部と、
を更に備え、
前記判断部によって前記位置変化が生じていると判断された場合、前記駆動制御部は、前記所定部位の前記第1高さと前記第2高さの差に基づいて、前記ヘッド部の駆動を制御するボーディングブリッジ。
【請求項2】
接続対象の航空機の乗降口と接続可能なヘッド部と、
前記航空機の所定部位を撮像可能な撮像部と、
前記撮像部によって撮像された前記所定部位の撮像データに基づいて、前記所定部位の高さを算出する算出部と、
前記算出部によって算出された前記所定部位の高さに基づいて、前記ヘッド部の駆動を制御する駆動制御部と、
を備え
、
前記撮像部によって撮像された前記所定部位の第1撮像データを記憶部に記録する記録制御部を更に備え、
前記算出部は、前記記憶部に記録された前記第1撮像データと、前記第1撮像データが記録された後に撮像された前記所定部位の第2撮像データとに基づいて、前記第1撮像データの前記所定部位の高さと前記第2撮像データの前記所定部位の高さの差を算出し、
前記駆動制御部は、前記算出部によって算出された前記所定部位の高さの差に基づいて、前記ヘッド部の駆動を制御するボーディングブリッジ。
【請求項3】
前記算出部によって算出された前記所定部位の高さの差と、所定の閾値に基づいて、前記ヘッド部の高さ調整が必要な前記所定部位の位置変化が生じているか否かを判断する判断部を更に備え、
前記判断部によって前記位置変化が生じていると判断された場合、前記駆動制御部は、前記ヘッド部の駆動を制御する請求項2に記載のボーディングブリッジ。
【請求項4】
接続対象の航空機の乗降口と接続可能なヘッド部と、
前記航空機の所定部位を撮像可能な撮像部と、
前記撮像部によって撮像された前記所定部位の撮像データに基づいて、前記所定部位の高さを算出する算出部と、
前記算出部によって算出された前記所定部位の高さに基づいて、前記ヘッド部の駆動を制御する駆動制御部と、
を備え
、
前記撮像部は、前記航空機の前記所定部位と前記ヘッド部を同一の画像内に撮像可能であり、
前記算出部は、前記撮像部によって撮像された前記所定部位と撮像された前記ヘッド部の第2所定部位に基づいて、前記所定部位の高さと前記ヘッド部の前記第2所定部位の高さの差を算出し、
前記算出部によって算出された前記所定部位の高さと前記第2所定部位の高さの差と、所定の閾値に基づいて、前記ヘッド部の高さ調整が必要な前記所定部位の位置変化が生じているか否かを判断する判断部を更に備え、
前記判断部によって前記位置変化が生じていると判断された場合、前記駆動制御部は、前記算出部によって算出された前記所定部位の高さと前記第2所定部位の高さの差に基づいて、前記ヘッド部の駆動を制御するボーディングブリッジ。
【請求項5】
前記所定部位は、前記航空機の乗降口、前記航空機の搭乗口に設けられた扉、前記航空機の窓、又は、前記航空機
の表面に設けられたマークである請求項1から
4のいずれか1項に記載のボーディングブリッジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボーディングブリッジに関するものである。
【背景技術】
【0002】
航空機とターミナル建物を結ぶ可動式のボーディングブリッジ(搭乗橋)では、航空機の乗降口と、ボーディングブリッジのヘッドの開口部を接続した後、航空機の積載荷重の変化によって、航空機の高さが変化する。そのため、オペレータが高さの調整を手動で行うか、オートレベラと呼ばれる航空機の高さの変化を検出する装置を用いて、ボーディングブリッジのヘッドの高さを調整している。
【0003】
オートレベラは、ボーディングブリッジの先端側であるヘッド部に設置される。オートレベラは、航空機に直接接触するホイールを備え、航空機の上下方向の移動に伴って回転するホイールの回転量を検出して、航空機の昇降量を算出するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したオートレベラは、航空機にホイールが接触しているため、ボーディングブリッジ側から航空機に対して過度な荷重がかからないような構造とする必要があり、また、ボーディングブリッジの操作に十分な注意を要する。
【0006】
上記の特許文献1には、ボーディングブリッジのキャブ(ヘッド)を航空機の上下動に追従移動させるため、レーザ変位計を用いることが記載されている。しかし、レーザ変位計は、レーザ光によって検出したい対象物と、それ以外の物や人との区別化が困難である。また、レーザ変位計は、航空機やボーディングブリッジの表面における光沢や清浄度、また、天候や設置場所(明るさ、雨による濡れなど)といった様々な条件に影響されやすい。そのため、対象物で反射したレーザ光を受光して正確なデータを得るためには、予め試験を行ったり実際に運用しながらデータを蓄積したりするなど大量のデータを取得する必要があり、手間や時間がかかる。
【0007】
さらに、航空機の積載荷重の変化による高さの変化は、搭乗客が乗り降りする際にも生じている。しかし、特許文献1に記載された技術は、搭乗口を検出することを前提としており、搭乗口を通行する搭乗客がレーザ光を遮ってしまうため、実際にはレーザ変位計による搭乗口の検出は困難である。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、接続対象の航空機に接触せずに、接続対象の航空機の乗降口の高さ変化に対する追従を簡易に実現させることが可能なボーディングブリッジを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明のボーディングブリッジは以下の手段を採用する。
すなわち、本発明に係るボーディングブリッジは、接続対象の航空機の乗降口と接続可能なヘッド部と、前記航空機の所定部位を撮像可能な撮像部と、前記撮像部によって撮像された前記所定部位の撮像データに基づいて、前記所定部位の高さを算出する算出部と、前記算出部によって算出された前記所定部位の高さに基づいて、前記ヘッド部の駆動を制御する駆動制御部とを備える。
【0010】
この構成によれば、ヘッド部が対象の航空機の乗降口と接続可能であり、撮像部が所定部位を撮像し、撮像部によって撮像された所定部位の撮像データが取得される。そして、撮像部によって撮像された所定部位の撮像データに基づいて、所定部位の高さが算出される。また、算出された所定部位の高さに基づいて、ヘッド部の駆動が制御される。これにより、ヘッド部が対象の航空機の乗降口と接続された後、航空機の高さが変化した場合でも、ヘッド部の床の高さを、航空機の乗降口の床の高さに追従させることができる。
【0011】
上記発明において、前記算出部は、前記撮像部によって撮像された前記所定部位の第1撮像データに基づいて、前記所定部位の第1高さを算出し、前記第1撮像データに基づいて算出された前記所定部位の前記第1高さを記憶部に記録する記録制御部と、前記記憶部に記録された前記第1高さ及び前記第1高さが記録された後に撮像された前記所定部位の第2撮像データに基づいて算出された前記所定部位の第2高さの差と、所定の閾値に基づいて、前記ヘッド部の高さ調整が必要な前記所定部位の位置変化が生じているか否かを判断する判断部とを更に備え、前記判断部によって前記位置変化が生じていると判断された場合、前記駆動制御部は、前記所定部位の前記第1高さと前記第2高さの差に基づいて、前記ヘッド部の駆動を制御してもよい。
【0012】
この構成によれば、撮像部によって航空機の所定部位が撮像されて、第1撮像データに基づいて所定部位の第1高さが算出され、算出された第1高さが記憶部に記録される。また、第1高さが記録された後、撮像部によって所定部位が撮像されて、撮像データに基づいて所定部位の第2高さが算出される。そして、記憶部に記録された第1高さ及び第1高さよりも時間的に後の第2高さの差と、所定の閾値に基づいて、ヘッド部の高さ調整が必要な乗降口の位置変化が生じているか否かが判断される。判断部によって所定部位の位置変化が生じていると判断された場合、算出された所定部位の第1高さと第2高さの差に基づいて、ヘッド部の駆動が制御される。
【0013】
上記発明において、前記撮像部によって撮像された前記所定部位の第1撮像データを記憶部に記録する記録制御部を更に備え、前記算出部は、前記記憶部に記録された前記第1撮像データと、前記第1撮像データが記録された後に撮像された前記所定部位の第2撮像データとに基づいて、前記第1撮像データの前記所定部位の高さと前記第2撮像データの前記所定部位の高さの差を算出し、前記駆動制御部は、前記算出部によって算出された前記所定部位の高さの差に基づいて、前記ヘッド部の駆動を制御してもよい。
【0014】
この構成によれば、撮像部によって航空機の所定部位が撮像されて、第1撮像データが記憶部に記録される。また、第1高さが記録された後、撮像部によって所定部位が撮像されて第2撮像データが取得される。そして、記憶部に記録された第1撮像データ及び第1高さよりも時間的に後の第2撮像データとに基づいて、第1撮像データの所定部位の高さと第2撮像データの所定部位の高さの差が算出される。また、算出された所定部位の高さの差に基づいて、ヘッド部の駆動が制御される。
【0015】
上記発明において、前記算出部によって算出された前記所定部位の高さの差と、所定の閾値に基づいて、前記ヘッド部の高さ調整が必要な前記所定部位の位置変化が生じているか否かを判断する判断部を更に備え、前記判断部によって前記位置変化が生じていると判断された場合、前記駆動制御部は、前記ヘッド部の駆動を制御してもよい。
【0016】
この構成によれば、算出部によって算出された所定部位の高さの差と、所定の閾値に基づいて、ヘッド部の高さ調整が必要な所定部位の位置変化が生じているか否かが判断される。判断部によって所定部位の位置変化が生じていると判断された場合、ヘッド部の駆動が制御される。
【0017】
上記発明において、前記撮像部は、前記航空機の前記所定部位と前記ヘッド部を同一の画像内に撮像可能であり、前記算出部は、前記撮像部によって撮像された前記所定部位と撮像された前記ヘッド部の第2所定部位に基づいて、前記所定部位の高さと前記ヘッド部の第2所定部位の高さの差を算出し、前記算出部によって算出された前記所定部位の高さと前記第2所定部位の高さの差と、所定の閾値に基づいて、前記ヘッド部の高さ調整が必要な前記所定部位の位置変化が生じているか否かを判断する判断部を更に備え、前記判断部によって前記位置変化が生じていると判断された場合、前記駆動制御部は、前記算出部によって算出された前記所定部位の高さと前記第2所定部位の高さの差に基づいて、前記ヘッド部の駆動を制御してもよい。
【0018】
この構成によれば、航空機の所定部位とヘッド部が撮像部によって同一の画像内に撮像される。そして、撮像部によって撮像された所定部位と撮像されたヘッド部の第2所定部位に基づいて、所定部位の高さとヘッド部の第2所定部位の差が算出される。ヘッド部の第2所定部位とは、ヘッド部の端部、すなわち、航空機の乗降口と接続するヘッド部の縁部、又は、ヘッド部の縁部付近であり、ヘッド部と航空機の乗降口との相対位置を把握するための基準として、画像内に識別可能な対象として撮像される。そして、算出部によって算出された所定部位とヘッド部の第2所定部位の高さの差と、所定の閾値に基づいて、ヘッド部の高さ調整が必要な乗降口の位置変化が生じているか否かが判断される。判断部によって所定部位の位置変化が生じていると判断された場合、算出された所定部位とヘッド部の第2所定部位の高さの差に基づいて、ヘッド部の駆動が制御される。
【0019】
上記発明において、前記所定部位は、前記航空機の乗降口、前記航空機の搭乗口に設けられた扉、前記航空機の窓、又は、前記航空機表面に設けられたマークでもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、接続対象の航空機に接触せずに、接続対象の航空機の乗降口の高さ変化に対する追従を簡易に実現させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るボーディングブリッジを示す側面図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係るボーディングブリッジを示す縦断面図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係るボーディングブリッジを示すブロック図である。
【
図4】本発明の第1実施形態に係るボーディングブリッジの動作を示すフローチャートである。
【
図5】本発明の第1実施形態に係るボーディングブリッジのヘッドの床と航空機の乗降口を示す概略図である。
【
図6】本発明の第1実施形態の変形例に係るボーディングブリッジの動作を示すフローチャートである。
【
図7】本発明の第2実施形態に係るボーディングブリッジを示すブロック図である。
【
図8】本発明の第2実施形態に係るボーディングブリッジの動作を示すフローチャートである。
【
図9】本発明の第2実施形態に係るボーディングブリッジのヘッドの床と航空機の乗降口を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明に係る実施形態について、図面を参照して説明する。
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態に係るボーディングブリッジ1は、空港のターミナルビルと航空機との間に乗客の通行路を形成して、ターミナルビルと航空機とを連絡し、乗客の直接の乗り降りを可能にする。
ボーディングブリッジ1は、航空機到着前の接続準備のための待機位置と、航空機と接続されるときの接続位置との間で移動する。
【0023】
ボーディングブリッジ1は、
図1及び
図2に示すように、ターミナルビルへ通じる固定橋に固定して設けられるロタンダ2と、ロタンダ2に対して水平方向及び垂直方向に回動可能に接続されている基端トンネル3と、基端トンネル3の先端側(航空機側)で、入れ子式に基端トンネル3の外側に嵌合され、移動可能な先端トンネル4と、先端トンネル4の先端部に固定されたヘッド5などを備える。なお、ボーディングブリッジ1のロタンダ2、基端トンネル3、先端トンネル4及びヘッド5の内部には、乗客が通行する通路がロタンダ2からヘッド5に向けて設置される。
【0024】
ロタンダ2の下部には、固定脚6が地面に固定して設置される。先端トンネル4の長手方向先端側には、可動脚7が設けられる。ボーディングブリッジ1は、固定脚6と可動脚7とによって支持される。基端トンネル3、先端トンネル4及びヘッド5は、可動脚7によって移動可能な通路部40を構成する。なお、ロタンダ2は、ターミナルビルによって支持されて、下部に固定脚6が設置されない場合もある。
【0025】
先端トンネル4の中空部の横断面積は、基端トンネル3の横断面積よりも大きい。先端トンネル4は、基端トンネル3の外周面に沿って移動する。先端トンネル4が航空機の駐機側へ移動することで通路部40の全長が伸長し、先端トンネル4がロタンダ2側へ移動することで通路部40の全長が収縮する。なお、本発明のトンネル部は、基端トンネル3と先端トンネル4の二つのトンネル部の組み合わせに限定されず、三つ以上のトンネル部が連結されて、2段以上の伸縮機構を有するものでもよい。
【0026】
基端トンネル3は、ロタンダ2に対して、ロタンダ2に設けられた鉛直方向に平行な回動軸周りに回動可能である。したがって、基端トンネル3は、回動軸を中心にして水平面内を例えば左右方向に回動可能である。
【0027】
先端トンネル4は、可動脚7に設けられた走行駆動部9が駆動して可動脚7が移動することによって、基端トンネル3や先端トンネル4の長手方向や左右方向に移動する。
【0028】
走行駆動部9は、モータで駆動する車輪11と、車輪11が設置された台車12とを有し、
図2に示すように、例えば2輪で1対の車輪11が台車12に設置される。2輪の車輪11は互いに連結され、鉛直方向に平行な回転軸13を中心にして旋回可能である。
【0029】
走行駆動部9の走行速度は、車輪11の回転速度を変更することによって調整可能である。車輪11における先端トンネル4の長さ方向に対する旋回角度(ステアリング角度)は、2輪の車輪11のそれぞれの回転速度の差、及び、2輪の車輪11のそれぞれの回転方向(正転又は逆転)を変更することによって調整可能である。
【0030】
基端トンネル3は、ロタンダ2に設けられた水平方向に平行な回動軸周りに回動可能である。可動脚7には、昇降駆動部14が設けられる。昇降駆動部14は、例えばモータとボールねじであり、先端トンネル4及びヘッド5の高さを変更する。昇降駆動部14によって、可動脚7の高さが調整され、基端トンネル3,先端トンネル4及びヘッド5が、回動軸を中心にして上下方向に回動することによって、航空機の高さに応じて傾斜される。
【0031】
このようにボーディングブリッジ1が伸縮したり、ロタンダ2に設けられた回動軸を中心にして左右方向及び上下方向に回動したりするため、航空機の駐機状態に応じて、ボーディングブリッジ1を航空機に対して適切に接続することができる。
【0032】
ヘッド5は、先端側に開口が形成され、先端側が航空機の乗降口に接続される。ヘッド5の内部には、ボーディングブリッジ1の走行駆動部9の駆動を開始させたり、走行駆動部9の車輪11の走行方向(ステアリング角度)を操作したりするための操作盤41が設けられている。
【0033】
ヘッド5は、先端トンネル4に対して、ヘッド5に設けられた鉛直方向に平行な回動軸周りに回動可能である。したがって、ヘッド5は、回動軸を中心にして水平面内を例えば左右方向に回動可能である。ヘッド5には、旋回駆動部15が設けられる。旋回駆動部15は、先端トンネル4に対するヘッド5の旋回角度を変更する。
【0034】
また、ヘッド5には、調整床(アジャスタブルフロア)8と、調整床駆動部16(例えば油圧シリンダ)が設置される。調整床駆動部16は、調整床8を駆動して、調整床8の水平度を調整可能である。調整床8は、例えば、ヘッド5の開口部の縁部に対して斜め方向のヒンジ部を有する板材であり、ヘッド5の固定床に対する調整床8の角度を変更することによって、航空機のヘッド5の床の水平度を調整できる。なお、調整床8の構成は上述した例に限定されない。
【0035】
さらに、ヘッド5には、カメラ(撮像部)42が設置される。カメラ42は、例えばヘッド5に設置されて、接続対象の航空機の所定部位、例えば乗降口を撮像可能とされている。カメラ42の撮像データは、総合判断部17に送信される。
【0036】
カメラ42は、2次元データの静止画又は動画を取得する撮像装置でもよいし、複数のカメラによる撮像データから3次元データを取得することが可能なステレオカメラでもよい。
【0037】
ボーディングブリッジ1は、
図3に示すように、制御装置10を備える。制御装置10は、例えば、総合判断部17と、駆動制御部18と、メモリ24などを有する。なお、制御装置10の動作は、予め記録されたプログラムを実行して、CPU等のハードウェア資源によって実現される。
【0038】
総合判断部17は、カメラ42の撮像データに基づく画像処理を行う。総合判断部17は、画像処理によって、カメラ42によって撮像された対象物について、所定部位、例えば乗降口と、それ以外のものを区別する。これにより、乗降口と、乗降客等の乗降口以外のものとが区別され、乗降口の検出精度が向上する。また、総合判断部17は、画像処理によって、カメラ42によって撮像された航空機の乗降口に基づいて、ヘッド5に対する航空機の乗降口の高さ方向の位置変化を算出し、位置変化の発生の有無を判断する。
【0039】
また、総合判断部17は、算出されたヘッド5の高さ方向の位置変化に基づいて、ヘッド5を駆動させて、ヘッド5の開口部が航空機の乗降口に適切に追従して、航空機の乗降口との接続が維持されるようにヘッド5の駆動補正量を算出する。算出された駆動補正量は、駆動制御部18へ送られる。
【0040】
ステレオカメラの場合、二つのレンズの視差から撮像対象とステレオカメラとの距離を得ることができる。したがって、画像解析によって、航空機の乗降口と、カメラ42との間の距離を演算で算出することができる。
【0041】
また、撮像された2次元データは、航空機の機体までの距離データを取得する距離センサー(レーザーセンサーやミリ波センサー等)と組み合わせることで、航空機の追従制御に必要な相対位置が3次元データ(3次元座標上の点)に換算される。したがって、換算されたデータが航空機の追従制御に使用される。
【0042】
総合判断部17は、高さ位置算出部20と、記録制御部21と、判断部22と、高さ位置補正部23を有する。
【0043】
高さ位置算出部20は、
図5に示すように、カメラ42によって撮像された航空機の乗降口51に基づいて、乗降口51の中心L1における床の高さ位置を算出する。高さ位置算出部20は、オートレベリング開始時の床の高さ位置を算出し、記録制御部21は、高さ位置算出部20によって算出されたオートレベリング開始時の床の高さ位置をメモリ24に記録する。また、高さ位置算出部20は、オートレベリング開始後の現在状態の床の高さ位置を算出する。
【0044】
なお、記録制御部21は、オートレベリング開始時のカメラ42によって撮像された航空機の乗降口51の撮像データをメモリ24に記録してもよい。
この場合、高さ位置算出部20は、
図5に示すように、オートレベリング開始時の航空機の乗降口51の撮像データと、オートレベリング開始後の現在状態のカメラ42によって撮像された航空機の乗降口51の撮像データとに基づいて、画像処理によって、オートレベリング開始時の乗降口51の中心L1における床の高さと、オートレベリング開始後の現在状態のカメラ42によって撮像された乗降口51の中心L1における床の高さ位置の差を算出する。
【0045】
判断部22は、メモリ24に記録されたオートレベリング開始時の床の高さ位置と現在状態の床の高さ位置を比較し、高さの差が所定の閾値を超える場合、ヘッド5の高さ調整が必要な航空機の乗降口の位置変化が生じていると判断する。
【0046】
高さ位置補正部23は、高さ位置算出部20によって算出された高さの差に基づいて、カメラ42によって撮像された航空機の乗降口における床の高さと、ヘッド5の開口部における床の高さの差が所定範囲に収まるように、昇降駆動部14を駆動させるための補正量を算出する。
【0047】
駆動制御部18は、調整床駆動制御部27と、昇降駆動制御部28と、旋回駆動制御部29と、走行駆動制御部30を有する。
【0048】
調整床駆動制御部27は、調整床駆動部16の駆動を制御する。調整床駆動制御部27は、例えば、調整床駆動部16の駆動の開始及び停止、調整床駆動部16における駆動量などを制御する。調整床駆動制御部27は、調整床駆動部16を駆動させる駆動信号を生成する。
【0049】
調整床駆動部16は、調整床駆動制御部27で生成された駆動信号に基づいて制御されて、調整床8を駆動する。
【0050】
昇降駆動制御部28は、昇降駆動部14の駆動を制御する。昇降駆動制御部28は、例えば、昇降駆動部14の駆動の開始及び停止、昇降駆動部14における駆動量などを制御する。昇降駆動制御部28は、高さ位置補正部23によって算出された補正量に基づいて、昇降駆動部14を駆動させる駆動信号を生成する。
【0051】
昇降駆動部14は、昇降駆動制御部28で生成された駆動信号に基づいて制御されて、可動脚7を駆動する。昇降駆動部14は、可動脚7を移動させて、ヘッド5における床の高さを変更する。
【0052】
旋回駆動制御部29は、旋回駆動部15の駆動を制御する。旋回駆動制御部29は、例えば、旋回駆動部15の駆動の開始及び停止、旋回駆動部15における駆動量などを制御する。旋回駆動制御部29は、旋回駆動部15を駆動させる駆動信号を生成する。
【0053】
旋回駆動部15は、旋回駆動制御部29で生成された駆動信号に基づいて制御されて、ヘッド5を駆動する。
【0054】
走行駆動制御部30は、走行駆動部9の駆動を制御する。走行駆動制御部30は、例えば、走行駆動部9の駆動の開始及び停止、走行駆動部9における車輪11の回転速度及び回転方向などを制御する。走行駆動制御部30は、走行駆動部9を駆動させる駆動信号を生成する。
【0055】
走行駆動部9は、走行駆動制御部30で生成された駆動信号に基づいて制御されて、車輪11を駆動する。
【0056】
次に、
図4を参照して、本実施形態に係るボーディングブリッジ1の動作を制御する制御方法について説明する。
【0057】
まず、ヘッド5が、航空機の近傍まで移動して、ヘッド5の開口部が航空機の乗降口と接続された後、乗降客の乗降や貨物の積み込み又は積み下ろしが開始されると、航空機の高さに変化が生じる。そこで、ヘッド5の床の高さを航空機の乗降口の床の高さ変化に追従させるオートレベリング制御を行う。
【0058】
まず、例えば操作盤41においてオートレベリング制御開始の入力が行われると、カメラ42は、接続対象の航空機の乗降口を撮像する(ステップS1)。そして、カメラ42の撮像データが総合判断部17に送信される。カメラ42による乗降口の撮像と、撮像データの送信は、オートレベリング制御が終了するまで継続して行われる。
【0059】
総合判断部17では、カメラ42によって撮像された撮像データに対して画像処理が行われる。
【0060】
図5に示すように、カメラ42によって撮像された航空機の乗降口51に基づいて、オートレベリング開始時の乗降口51の中心L1における床の高さ位置が算出される。そして、算出されたオートレベリング開始時の乗降口における床の高さ位置がメモリ24に記録される(ステップS2)。また、昇降駆動制御部28において検出される可動脚7の状態から換算されるオートレベリング開始時のヘッド5における床の高さ位置がメモリ24に記録される(ステップS3)。
【0061】
そして、オートレベリング制御の終了操作が行われた否かが判断され(ステップS4)、オートレベリング制御の終了操作が行われるまで、以下の動作が継続して行われる。
【0062】
カメラ42によって撮像された航空機の乗降口に基づいて、現在状態における乗降口における床の高さ位置が継続して算出される(ステップS5)。
【0063】
次に、メモリ24に記録されたオートレベリング開始時の高さと現在状態の高さの差が算出されて、両者が比較され、高さの差の絶対値が所定範囲内であるか否か、すなわち、所定の閾値を超えるか否かが判断される(ステップS6)。高さの差の絶対値が所定の範囲内である場合、継続して、現在状態の乗降口における床の高さ位置が算出される。
【0064】
一方、高さの差の絶対値が所定の範囲内ではない場合、ヘッド5の高さ調整が必要な航空機の乗降口の位置変化が生じていると判断される。そして、算出された高さの差に基づいて、航空機の乗降口における床の高さと、ヘッド5における床の高さの差が所定範囲に収まるように、オートレベリング開始時のヘッド5における床の高さを基準にして、昇降駆動部14を駆動させるための補正量が算出される(ステップS7)。
【0065】
次に、算出された補正量に基づいて、昇降駆動部14を駆動させる駆動信号が生成される。生成された駆動信号は昇降駆動部14へ送信され、昇降駆動部14が可動脚7を駆動する。これにより、駆動信号を受信した昇降駆動部14によって、可動脚7に設けられたモータ及びボールねじが駆動されて、ヘッド5の高さが変更される(ステップS8)。例えば、航空機の乗降口における床の高さが上昇して、ヘッド5の高さ調整が必要な乗降口の位置変化が生じていると判断された場合、ヘッド5が上昇するように調整される。また、航空機の乗降口における床の高さが下降して、ヘッド5の高さ調整が必要な乗降口の位置変化が生じていると判断された場合、ヘッド5が下降するように調整される。
【0066】
以上の動作が、オートレベリング制御の終了操作がオペレータによって行われるまで継続して行われる。一方、オートレベリング制御の終了操作が行われた場合、オートレベリング制御が終了される。そして、ボーディングブリッジ1は、航空機から離れる動作が開始される操作を待つ状態となる。
【0067】
以上、本実施形態によれば、ヘッド5の高さ位置が、航空機の乗降口の位置変化に追従するように自動的に調整されるため、オペレータの操作が簡易化され、省力化される。また、航空機の乗降口を撮像した撮像データに基づいて制御が行われるため、オートレベリング制御を非接触で行うことが可能である。さらに、撮像データに基づく画像処理によって航空機の乗降口を検出するため、レーザ変位計に比べて、航空機やボーディングブリッジ1の表面における光沢や清浄度、また、天候や設置場所(明るさ、雨による濡れなど)といった様々な条件に影響されにくく、接続対象の航空機の乗降口の位置変化を簡易に検出できる。
【0068】
また、上記実施形態では、後述する第2実施形態と異なり、ヘッド5と航空機の乗降口との相対位置を把握する必要がないため、航空機とヘッド5がカメラ42によって同一の画像内に撮像される必要はない。
【0069】
なお、オートレベリング開始時に撮像された航空機の乗降口の撮像データに基づいて算出された高さをメモリ24に記録するのではなく、オートレベリング開始時の乗降口の撮像データをメモリ24に記録してもよい。以下、
図6を参照して、本実施形態の変形例に係るボーディングブリッジ1の動作を制御する制御方法について説明する。
【0070】
この場合、航空機の乗降口がカメラ42によって撮像され(ステップS11)、オートレベリング開始時の乗降口の撮像データがメモリ24に記録される(ステップS12)。また、昇降駆動制御部28において検出される可動脚7の状態から換算されるオートレベリング開始時のヘッド5における床の高さ位置がメモリ24に記録される(ステップS13)。
【0071】
そして、オートレベリング制御の終了操作が行われた否かが判断され(ステップS14)、オートレベリング制御の終了操作が行われるまで、以下の動作が継続して行われる。
【0072】
カメラ42によって現在状態における乗降口が撮像される(ステップS15)。
【0073】
次に、メモリ24に記録されたオートレベリング開始時の撮像データと現在状態の撮像データに基づいて、画像処理によって、オートレベリング開始時の乗降口における床の高さと、現在状態の乗降口における床の高さの差が算出される(ステップS16)。そして、算出された高さの差の絶対値が所定範囲内であるか否か、すなわち、所定の閾値を超えるか否かが判断される(ステップS17)。高さの差の絶対値が所定の範囲内である場合、継続して、現在状態の乗降口における床の高さ位置が算出される。
【0074】
一方、高さの差の絶対値が所定の範囲内ではない場合は、上述した第1実施形態と同様に、昇降駆動部14を駆動させるための補正量が算出され(ステップS18)、昇降駆動部14によって、ヘッド5の高さが変更される(ステップS19)。
【0075】
また、上述した実施形態及び変形例では、航空機の所定部位として搭乗口の例で説明し、搭乗口を撮像し、搭乗口における床の高さを算出したり、撮像データを比較して床の高さの差を算出したりしたが、本発明はこの例に限定されない。例えば、航空機の搭乗口以外の航空機における予め定められた所定部位を撮像してもよい。航空機における所定部位とは、例えば、航空機の搭乗口に設けられ搭乗口から開いた扉、航空機の窓、又は、航空機表面に印字されているマークなどである。これら所定部位の高さと搭乗口における床の高さの差は予め取得しておき、撮像データから搭乗口における床の高さを算出してもよい。
【0076】
また、搭乗口における床の高さの算出において、高さ方向の決定は、カメラ42の取り付け角度とトンネルの傾き及びヘッド角度から求めることができる。
【0077】
なお、カメラ42としてステレオカメラを用いた場合、航空機の開口部とステレオカメラとの距離データを取得できる。そのため、オートレベリング制御の精度をより向上させることができる。
【0078】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係るボーディングブリッジ1について説明する。以下では、第1実施形態と重複する構成については詳細な説明を省略する。
【0079】
本実施形態に係るボーディングブリッジ1では、カメラ42が、例えばヘッド5の内部に設置されて、ヘッド5の所定部位、例えば床の端部と接続対象の航空機の所定部位、例えば乗降口とを同一の画像内に撮像可能とされる。これにより、航空機の乗降口における床の高さとヘッド5における床の高さの差を直接検出することができ、より確実にオートレベリング制御の精度を高めることができる。
【0080】
総合判断部17は、カメラ42の撮像データに基づく画像処理を行う。総合判断部17は、画像処理によって、カメラ42によって撮像された対象物について、所定部位、例えばヘッド5及び乗降口と、それ以外のものを区別する。これにより、ヘッド5及び乗降口と、乗降客等のヘッド5及び乗降口以外のものとが区別され、ヘッド5及び乗降口の検出精度が向上する。総合判断部17は、画像処理によって、カメラ42によって撮像されたヘッド5における床の端部、例えばヘッド5の開口部における床の縁部と、カメラ42によって撮像された航空機の乗降口における床の縁部に基づいて、航空機の乗降口における床の高さと現在状態のヘッド5における床の高さの差を算出する。
【0081】
ヘッド5の端部は、ヘッド5の端部を示す線状のものでよく、ヘッド5と航空機の乗降口との相対位置を把握するための基準として、画像内に識別可能な対象として撮像されるものである。したがって、航空機の乗降口と接続するヘッド5の縁部だけでなく、ヘッド5の縁部付近で縁部に沿って平行に塗布されたラインや、縁部に設けられたカバー部品の端部でもよい。また、ヘッド5の所定部位は、ヘッド5の端部に限られず、例えばヘッド5に設けられた各種部品やマークなどでもよい。さらに、航空機における所定部位は、第1実施形態と同様に、航空機の搭乗口に限られず、航空機の搭乗口に設けられ搭乗口から開いた扉、航空機の窓、又は、航空機表面に印字されているマークなどでもよい。
【0082】
図7に示すように、総合判断部17は、高さ位置算出部60と、判断部62と、高さ位置補正部63を有する。
【0083】
高さ位置算出部60は、
図9に示すように、カメラ42によって撮像された、ヘッド5の搭乗ラインの中心L2における床の高さ位置と、航空機の乗降口51の中心L1における床の高さ位置の両者に基づいて、ヘッド5における床の高さと航空機の乗降口における床の高さの差Hを算出する。
【0084】
判断部62は、高さ位置算出部60によって算出された高さの差Hが所定の閾値を超える場合、ヘッド5の高さ調整が必要な航空機の乗降口の位置変化が生じていると判断する。
【0085】
高さ位置補正部63は、高さ位置算出部60によって算出された高さの差Hに基づいて、ヘッド5における床の高さと航空機の乗降口における床の高さの差Hが所定範囲に収まるように、昇降駆動部14を駆動させるための補正量を算出する。
【0086】
次に、
図8を参照して、本実施形態に係るボーディングブリッジ1の動作を制御する制御方法について説明する。
まず、ヘッド5が、航空機の近傍まで移動して、ヘッド5の開口部が航空機の乗降口と接続された後、乗降客の乗降や貨物の積み込み又は積み下ろしが開始されると、航空機の高さに変化が生じる。そこで、ヘッド5の床の高さを航空機の乗降口の床の高さ変化に追従させるオートレベリング制御を行う。
【0087】
まず、例えば操作盤41においてオートレベリング制御開始の入力が行われると、カメラ42は、ヘッド5と接続対象の航空機の乗降口とを同一の画像内に撮像する(ステップS21)。そして、カメラ42の撮像データが総合判断部17に送信される。カメラ42によるヘッド5及び乗降口の撮像と、撮像データの送信は、オートレベリング制御が終了するまで継続して行われる。
【0088】
総合判断部17では、カメラ42によって撮像された撮像データに対して画像処理が行われる。
【0089】
そして、オートレベリング制御の終了操作が行われた否かが判断され(ステップS22)、オートレベリング制御の終了操作が行われるまで、以下の動作が継続して行われる。
【0090】
カメラ42によって撮像されたヘッド5と航空機の乗降口に基づいて、現在状態におけるヘッド5における床の高さと乗降口における床の高さの差Hが継続して算出される(ステップS23)。
【0091】
次に、現在状態の高さの差Hの絶対値が所定範囲内であるか否か、すなわち、所定の閾値を超えるか否かが判断される(ステップS24)。高さの差Hの絶対値が所定の範囲内である場合、継続して、現在状態のヘッド5における床の高さと乗降口における床の高さの差Hが算出される。
【0092】
一方、高さの差Hの絶対値が所定の範囲内ではない場合、ヘッド5の高さ調整が必要な航空機の乗降口の位置変化が生じていると判断される。そして、算出された高さの差Hに基づいて、航空機の乗降口における床の高さと、ヘッド5における床の高さの差Hが所定範囲に収まるように、昇降駆動部14を駆動させるための補正量が算出される(ステップS25)。
【0093】
次に、算出された補正量に基づいて、昇降駆動部14を駆動させる駆動信号が生成される。生成された駆動信号は昇降駆動部14へ送信され、昇降駆動部14が可動脚7を駆動する。これにより、駆動信号を受信した昇降駆動部14によって、可動脚7に設けられたモータ及びボールねじが駆動されて、ヘッド5の高さが変更される(ステップS26)。例えば、航空機の乗降口における床の高さが上昇して、ヘッド5の高さ調整が必要な乗降口の位置変化が生じていると判断された場合、ヘッド5が上昇するように調整される。また、航空機の乗降口における床の高さが下降して、ヘッド5の高さ調整が必要な乗降口の位置変化が生じていると判断された場合、ヘッド5が下降するように調整される。
【0094】
以上の動作が、オートレベリング制御の終了操作がオペレータによって行われるまで継続して行われる。一方、オートレベリング制御の終了操作が行われた場合、オートレベリング制御が終了される。そして、ボーディングブリッジ1は、航空機から離れる動作が開始される操作を待つ状態となる。
【0095】
以上、本実施形態によれば、ヘッド5の高さ位置が、航空機の乗降口の位置変化に追従するように自動的に調整されるため、オペレータの操作が簡易化され、省力化される。また、航空機の乗降口を撮像した撮像データに基づいて制御が行われるため、オートレベリング制御を非接触で行うことが可能である。さらに、撮像データに基づく画像処理によって航空機の乗降口を検出するため、レーザ変位計に比べて、航空機やボーディングブリッジ1の表面における光沢や清浄度、また、天候や設置場所(明るさ、雨による濡れなど)といった様々な条件に影響されにくく、接続対象の航空機の乗降口の位置変化を簡易に検出できる。
【0096】
またさらに、航空機の乗降口とヘッド5の両者を同一の画像内に撮像した撮像データに基づいて制御が行われるため、ヘッド5に対する乗降口の位置変化がより確実に検出される。カメラ42としてステレオカメラを用いた場合、航空機の開口部とステレオカメラとの距離データを取得できる。そのため、オートレベリング制御の精度をより向上させることができる。
【0097】
なお、上述した第1及び第2実施形態では、カメラ42がステレオカメラ以外の場合において1台のみ設置される場合について説明したが、本発明はこの例に限定されない。たとえば、カメラ42が複数台設置されて、複数個所で航空機の乗降口における高さを検出できるようにしてもよい。また、カメラ42は、オートレベリング制御のみに用いるカメラではなく、他の制御(例えば航空機への自動接続制御など)に用いられるカメラと兼用されてもよい。
【符号の説明】
【0098】
1 :ボーディングブリッジ
2 :ロタンダ
3 :基端トンネル
4 :先端トンネル
5 :ヘッド
6 :固定脚
7 :可動脚
8 :調整床
9 :走行駆動部
10 :制御装置
11 :車輪
12 :台車
13 :回転軸
14 :昇降駆動部
15 :旋回駆動部
16 :調整床駆動部
17 :総合判断部
18 :駆動制御部
20 :高さ位置算出部
21 :記録制御部
22 :判断部
23 :高さ位置補正部
24 :メモリ
27 :調整床駆動制御部
28 :昇降駆動制御部
29 :旋回駆動制御部
30 :走行駆動制御部
40 :通路部
41 :操作盤
42 :カメラ
51 :乗降口
60 :高さ位置算出部
62 :判断部
63 :高さ位置補正部