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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-10
(45)【発行日】2023-02-20
(54)【発明の名称】集塵装置
(51)【国際特許分類】
   A47L 5/36 20060101AFI20230213BHJP
【FI】
A47L5/36
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019015261
(22)【出願日】2019-01-31
(65)【公開番号】P2020120984
(43)【公開日】2020-08-13
【審査請求日】2021-11-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニックホールディングス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000133445
【氏名又は名称】株式会社ダスキン
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100157808
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 耕平
(72)【発明者】
【氏名】藤原 祐児
(72)【発明者】
【氏名】羽田野 剛
(72)【発明者】
【氏名】難波 康二
(72)【発明者】
【氏名】中垣 祐一
(72)【発明者】
【氏名】金子 利之
(72)【発明者】
【氏名】生駒 洋平
【審査官】村山 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-309827(JP,A)
【文献】国際公開第2015/025481(WO,A1)
【文献】特開2012-245318(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 5/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
塵埃を集めるための集塵装置であって、
前記塵埃が流入する流入口が形成された前面を有している筐体と、
前記流入口を通じて前記塵埃を前記筐体内に引き込む集塵機構と、
前記集塵機構の起動及び停止を要求する動作要求部と、
前記塵埃を掻き取るように構成された下縁をそれぞれ有している第1掻取部及び第2掻取部と、を備え、
前記動作要求部は、前記集塵機構を起動するためのオン位置と前記集塵機構を停止させるためのオフ位置との間で変位するスイッチ片を含み、
前記スイッチ片は、前記流入口の開口方向において前記流入口に重ならない位置で前記流入口の隣に配置されているとともに、外力を受けて前記オフ位置から前記オン位置に変位し、前記外力の消失に応じて、前記オン位置から前記オフ位置に戻るように構成されており、
前記前面は、上前壁と前記上前壁の下方で後方に凹設された凹前壁とによって形成されており、
前記第1掻取部は、前記第1掻取部の前記下縁が床面から上方に離間した位置に配置されるように、前記凹前壁によって形成された凹空間内で下方に突出し、
前記第2掻取部の前記下縁は、前記第1掻取部の前記下縁よりも高く且つ前方の位置に配置されている、集塵装置。
【請求項2】
塵埃を集めるための集塵装置であって、
前記塵埃が流入する流入口が形成された前面を有している筐体と、
前記流入口を通じて前記塵埃を前記筐体内に引き込む集塵機構と、
前記集塵機構の起動及び停止を要求する動作要求部と、を備え、
前記動作要求部は、前記集塵機構を起動するためのオン位置と前記集塵機構を停止させるためのオフ位置との間で変位するスイッチ片を有しており、
前記スイッチ片は、前記流入口の開口方向において前記流入口に重ならない位置で前記流入口の隣に配置されているとともに、外力を受けて前記オフ位置から前記オン位置に変位し、前記外力の消失に応じて、前記オン位置から前記オフ位置に戻るように構成されており、
前記前面には、前記スイッチ片の出没を許容するように前記スイッチ片の断面と相補的な開口部が形成されており、
前記集塵装置は、前記開口部を通じて前記筐体内に入り込んだ物を前記筐体の外に押し出すように、前記開口部によって前記スイッチ片と前記前面との間に形成された境界の後方で前記スイッチ片から突出している押出部を更に備えている、集塵装置。
【請求項3】
塵埃を集めるための集塵装置であって、
前記塵埃が流入する流入口が形成された前面を有している筐体と、
前記流入口を通じて前記塵埃を前記筐体内に引き込む集塵機構と、
前記集塵機構の起動及び停止を要求する動作要求部と、を備え、
前記動作要求部は、前記集塵機構を起動するためのオン位置と前記集塵機構を停止させるためのオフ位置との間で変位するスイッチ片を有しており、
前記スイッチ片は、前記流入口の開口方向において前記流入口に重ならない位置で前記流入口の隣に配置されているとともに、外力を受けて前記オフ位置から前記オン位置に変位し、前記外力の消失に応じて、前記オン位置から前記オフ位置に戻るように構成されており、
前記前面には、前記スイッチ片の出没を許容する開口部が形成されており、
前記筐体は、前記筐体内における前記スイッチ片の動作域の下方に位置している排出口が形成された底壁と、前記底壁から下方に突出した脚部と、を有している、集塵装置。
【請求項4】
前記スイッチ片は、前記流入口の側方に配置されている
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の集塵装置。
【請求項5】
前記動作要求部は、前記流入口を前記スイッチ片と挟むように前記流入口について前記スイッチ片とは反対側に配置された他のもう1つのスイッチ片を含み、
前記他のスイッチ片は、外力を受けて前記オフ位置から前記オン位置に変位するとともに、前記外力の消失に応じて、前記オン位置から前記オフ位置に戻る
請求項に記載の集塵装置。
【請求項6】
前記動作要求部は、前記2つのスイッチ片のうち少なくとも一方が前記オフ位置から前記オン位置に変位すると、前記集塵機構を起動する
請求項に記載の集塵装置。
【請求項7】
前記動作要求部は、前記スイッチ片が前記オン位置から前記オフ位置に変位したときから所定の期間が経過するまで、前記集塵機構に集塵を継続させるように構成されている
請求項1乃至のいずれか1項に記載の集塵装置。
【請求項8】
前記スイッチ片は、前記スイッチ片の前端を形成しているとともに高さ方向に延びている前縁面を含んでいる
請求項乃至のいずれか1項に記載の集塵装置。
【請求項9】
前記スイッチ片は、前記スイッチ片の前端を形成しているとともに高さ方向に延びている前縁面を有しており、
前記凹前壁には、前記スイッチ片の出没を許容する開口部が形成され、
前記スイッチ片は、前記開口部に没入することにより前記オフ位置から前記オン位置に変位し、
前記スイッチ片が、前記オフ位置にあるときに、前記スイッチ片の前記前縁面は、前記上前壁よりも後方に位置している
請求項に記載の集塵装置。
【請求項10】
記動作要求部は、前記スイッチ片が前記オフ位置から前記オン位置に変位すると、前記集塵機構に集塵を要求する集塵要求信号を出力する信号発生部を有している集塵指令部を含み、
前記筐体は、前記筐体内の他の空間から離隔された離隔空間を、前記開口部からの前記スイッチ片の没入部位に対応する位置に形成するように構成され、
前記信号発生部は、前記他の空間内に配置されている
請求項2又は3に記載の集塵装置。
【請求項11】
前記集塵機構へ電力を供給する電源コードを更に備え、
前記筐体は、前記底壁が後方に突出するように前記底壁の前端と後端との間で立設された後壁を含み、
前記電源コードは、前記後壁から前記筐体の外に延出している
請求項に記載の集塵装置。
【請求項12】
前記集塵機構へ電力を供給する電源コードを更に備え、
前記筐体の外面には、前記電源コードが収容される収容凹部が形成されている
請求項1乃至1のいずれか1項に記載の集塵装置。
【請求項13】
前記筐体の前記前面から前方に突出したバンパ部を更に備え、
前記バンパ部は、前記筐体よりも軟質である
請求項1乃至1のいずれか1項に記載の集塵装置。
【請求項14】
前記バンパ部は、前記筐体から取り外し可能である
請求項1に記載の集塵装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塵埃を集めるための集塵装置に関する。
【背景技術】
【0002】
塵埃を集めるための様々な集塵装置が開発されている(特許文献1を参照)。集塵装置は、塵埃が流入する流入口が形成された筐体と、流入口から筐体内へ塵埃を吸引するように構成された集塵機構とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-39378号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
塵埃は、流入口を通じて筐体内に集められるので、作業者は、筐体内に塵埃を集めるための集塵作業を流入口の周囲で行う。
【0005】
上述の集塵機構は、筐体の上面に配置された操作ボタンを有している。操作ボタンは、集塵機構を作動及び停止させるために、作業者によって手動式に操作される。したがって、作業者は、流入口の周囲での集塵作業の他に、操作ボタンに対する操作も行う必要がある。このことは、作業者に煩わしさを感じさせる。
【0006】
本発明は、作業者に煩わしさを感じさせることなく、集塵機構を信頼性高く動作させることができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一局面に係る集塵装置は、塵埃を集めるために用いられる。集塵装置は、塵埃が流入する流入口が形成された前面を有している筐体と、流入口を通じて塵を筐体内に引き込む集塵機構と、集塵機構の起動及び停止を要求する動作要求部と、塵埃を掻き取るように構成された下縁をそれぞれ有している第1掻取部及び第2掻取部と、を備えている。動作要求部は、集塵機構を起動するためのオン位置と集塵機構を停止させるためのオフ位置との間で変位するスイッチ片を含んでいる。スイッチ片は、流入口の開口方向において流入口に重ならない位置で流入口の隣に配置されているとともに、外力を受けてオフ位置からオン位置に変位し、外力の消失に応じて、オン位置からオフ位置に戻るように構成されている前面は、上前壁と上前壁の下方で後方に凹設された凹前壁とによって形成されている。第1掻取部は、第1掻取部の下縁が床面から上方に離間した位置に配置されるように、凹前壁によって形成された凹空間内で下方に突出している。第2掻取部の下縁は、第1掻取部の下縁よりも高く且つ前方の位置に配置されている
【0008】
上記の構成によれば、塵埃は、流入口を通じて筐体内に引き込まれるので、塵埃を集塵装置内に集めるための集塵作業は、流入口の周囲で行われる。スイッチ片は、流入口の隣に配置されているので、作業者は、集塵作業をしながらスイッチ片に外力を与えることができる。たとえば、作業者は、塵埃が付着した清掃具を流入口に接近させ、清掃具を用いて、スイッチ片に外力を与えることができる。スイッチ片は、外力を受けてオフ位置からオン位置に変位するので、作業者は、集塵作業の一連の動作の中で集塵機構を起動することができる。集塵作業の後には、スイッチ片に作用していた外力は失われる。たとえば、作業者が、清掃具を流入口から離すと、外力はスイッチ片に作用しない。このとき、スイッチ片は、オン位置からオフ位置に戻るので、集塵作業の完了に応じて、集塵機構は停止される。第1掻取部は、第2掻取部よりも下方の位置で下方に突出している。第1掻取部の下縁は、床面から上方に離間した位置にあるので、作業者は、除塵対象物を、凹前壁によって形成された凹空間に差し込み、床面と第1掻取部の下縁との間の空間に配置することができる。このとき、第1掻取部の下縁は、除塵対象物の上面に当たる。第1掻取部の下縁は、塵埃を掻き取るように構成されているので、除塵対象物の上面の塵埃は第1掻取部の下縁によって掻き取られる。第2掻取部の下縁は、第1掻取部よりも高い位置に配置されているので、比較的厚い除塵対象物の上面から塵埃を掻き取るのに好適に利用可能である。第2掻取部の下縁は、第1掻取部の下縁よりも前方に位置しているので、厚い除塵対象物は、第1掻取部に妨げられることなく第2掻取部の下方に配置される。
本発明の他の局面に係る集塵装置は、塵埃を集めるために用いられる。集塵装置は、塵埃が流入する流入口が形成された前面を有している筐体と、流入口を通じて塵埃を筐体内に引き込む集塵機構と、集塵機構の起動及び停止を要求する動作要求部と、を備えている。動作要求部は、集塵機構を起動するためのオン位置と集塵機構を停止させるためのオフ位置との間で変位するスイッチ片を有している。スイッチ片は、流入口の開口方向において流入口に重ならない位置で流入口の隣に配置されているとともに、外力を受けてオフ位置からオン位置に変位し、外力の消失に応じて、オン位置からオフ位置に戻るように構成されている。前面には、スイッチ片の出没を許容するようにスイッチ片の断面と相補的な開口部が形成されている。集塵装置は、開口部を通じて筐体内に入り込んだ物を筐体の外に押し出すように、開口部によってスイッチ片と前面との間に形成された境界の後方でスイッチ片から突出している押出部を更に備えている。
上記の構成によれば、スイッチ片は、開口部に相補的な断面を有しているので、開口部の大部分は、スイッチ片によって塞がれる。したがって、開口部を通じた筐体内への塵埃の進入は生じにくい。しかしながら、開口部が、スイッチ片と筐体の前面との間の境界を形成するので、当該境界を通じて、境界よりも薄い物(たとえば、コイン)が、筐体内に入り込むことがある。押出部は、境界の後方で、スイッチ片から突出しているので、上述の物は、押出部に引っ掛かり、筐体内に完全には入り込みにくくなる。スイッチ片がオン位置からオフ位置へ変位すると、押出部は、スイッチ片とともに前方に移動し、開口部に接近する。この結果、筐体に不完全に入り込んだ物は、押出部によって筐体の外に押し出される。
本発明の更に他の局面に係る集塵装置は、塵埃を集めるために用いられる。集塵装置は、塵埃が流入する流入口が形成された前面を有している筐体と、流入口を通じて塵埃を筐体内に引き込む集塵機構と、集塵機構の起動及び停止を要求する動作要求部と、を備えている。動作要求部は、集塵機構を起動するためのオン位置と集塵機構を停止させるためのオフ位置との間で変位するスイッチ片を有している。スイッチ片は、流入口の開口方向において流入口に重ならない位置で流入口の隣に配置されているとともに、外力を受けてオフ位置からオン位置に変位し、外力の消失に応じて、オン位置からオフ位置に戻るように構成されている。前面には、スイッチ片の出没を許容する開口部が形成されている。筐体は、筐体内におけるスイッチ片の動作域の下方に位置している排出口が形成された底壁と、底壁から下方に突出した脚部と、を有している。
上記の構成によれば、開口部を通じて筐体内に入り込んだ小さな塵埃は、以下の如く、筐体の外に排出される。脚部が、底壁から下方に突出しているので、底壁と床面との間には、空間が形成されている。底壁には、筐体内におけるスイッチ片の動作域の下方に位置するように排出口が形成されているので、開口部に没入するスイッチ片とともに筐体内に入り込んだ小さな塵埃は、筐体内で落下し、排出口を通じて、底壁の下方の空間に排出される。
【0009】
スイッチ片は、流入口の開口方向において流入口に重ならない位置に配置されているので、流入口を通じて筐体内に引き込まれる塵埃に接触しにくい。したがって、スイッチ片の変位が、塵埃によって妨げられるリスクは低い。すなわち、集塵機構の起動及び停止に対する動作要求部の要求機能は、信頼性高く維持される。
【0010】
上記の構成に関して、前記スイッチ片は、前記流入口の側方に配置されていてもよい。
【0011】
上記の構成によれば、集塵装置は、以下の如く、横長の除塵対象物からの除塵に好適に利用可能である。スイッチ片は、流入口の側方に配置されているので、作業者が横長の除塵対象物を流入口に接近させると、スイッチ片は、除塵対象物に当たり外力を受ける。この結果、スイッチ片は、オフ位置からオン位置に変位し、集塵機構が起動される。
【0012】
上記の構成に関して、前記動作要求部は、前記流入口を前記スイッチ片と挟むように前記流入口について前記スイッチ片とは反対側に配置された他のもう1つのスイッチ片を含んでもよい。前記他のスイッチ片は、外力を受けて前記オフ位置から前記オン位置に変位するとともに、前記外力の消失に応じて、前記オン位置から前記オフ位置に戻ってもよい。
【0013】
上記の構成によれば、2つのスイッチ片が流入口を挟むように流入口の側方に配置されているので、作業者は、横長の除塵対象物を用いて、これらのスイッチ片のうち少なくとも一方に外力を与えることができる。
【0014】
上記の構成に関して、前記動作要求部は、前記2つのスイッチ片のうち少なくとも一方が前記オフ位置から前記オン位置に変位すると、前記集塵機構を起動してもよい。
【0015】
上記の構成によれば、2つのスイッチ片の配置間隔よりも狭い幅の除塵対象物であっても、以下の如く、集塵機構を作動させることができる。2つのスイッチ片の配置間隔よりも狭い幅の除塵対象物であっても、2つのスイッチ片のうち一方をオフ位置からオン位置に変位させることは可能である。2つのスイッチ片のうち一方のみが、オフ位置からオン位置に変位しても、動作要求部は集塵機構を起動する。したがって、狭い幅の除塵対象物からの除塵が行われる場合であっても、作業者は、一方のスイッチ片をオフ位置に変位させ、除塵対象物からの除塵を開始することができる。
【0016】
上記の構成に関して、動作要求部は、スイッチ片がオン位置からオフ位置に変位したときから所定の期間が経過するまで、集塵機構に集塵を継続させるように構成されていてもよい。
【0017】
上記の構成によれば、スイッチ片がオン位置からオフ位置に変位したときから所定の期間が経過するまで、動作要求部が集塵機構に集塵を継続させる。したがって、外力の消失後に流入口の周囲に塵埃が残っている場合、集塵機構は、流入口の周囲の塵埃を吸い込むことができる。
【0018】
上記の構成に関して、前記スイッチ片は、前記スイッチ片の前端を形成しているとともに高さ方向に延びている前縁面を含んでいてもよい。
【0019】
上記の構成によれば、集塵装置は、軟質部位及び硬質部位が鉛直方向に並んだ除塵対象物からの除塵に好適に利用可能である。たとえば、除塵対象物がモップであるならば、軟質部位は、モップの毛によって形成され、モップの毛が植設された部位が硬質部位になる。スイッチ片の前縁面は、スイッチ片の前端を形成しているので、外力を受けやすい。このとき、前縁面は、高さ方向に延びているので、鉛直方向に並んだ軟質部位及び硬質部位の両方に当たる。軟質部位がスイッチ片の前縁面に与える外力は、スイッチ片をオフ位置からオン位置へ変位させるのに十分ではないことがあるけれども、硬質部位は、軟質部位よりも大きな外力をスイッチ片の前縁面に与える。したがって、スイッチ片は、オフ位置からオン位置へ信頼性高く変位することができる。
【0020】
上記の構成に関して、スイッチ片は、スイッチ片の前端を形成しているとともに高さ方向に延びている前縁面を有していてもよい。凹前壁には、スイッチ片の出没を許容する開口部が形成されていてもよい。スイッチ片は、開口部に没入することによりオフ位置からオン位置に変位してもよい。スイッチ片が、オフ位置にあるときに、スイッチ片の前縁面は、上前壁よりも後方に位置していてもよい。
【0021】
上記の構成によれば、前記スイッチ片が、前記オフ位置にあるときに、スイッチ片の前縁面は、筐体の上前壁よりも後方に位置している。すなわち、スイッチ片の前端は、凹前壁によって形成された凹空間内にある。したがって、筐体が前方に倒れても、スイッチ片は、床面によって押されることはない。筐体が前方に倒れたときに、スイッチ片は開口部に没入せず、オフ位置からオン位置に変位しない。すなわち、集塵機構が意図せず起動されることが防止される。
【0028】
上記の構成に関して、動作要求部は、スイッチ片がオフ位置からオン位置に変位すると、集塵機構に集塵を要求する集塵要求信号を出力する信号発生部を有している集塵指令部を含んでいてもよい。筐体は、筐体内の他の空間から離隔された離隔空間を、開口部からのスイッチ片の没入部位に対応する位置に形成するように構成されていてもよい。信号発生部は、他の空間内に配置されていてもよい。
【0029】
上記の構成によれば、集塵指令部の信号発生部は、開口部からのスイッチ片の没入部位に対応する位置に形成された離隔空間から離隔された他の空間に配置されているので、開口部を通じて離隔空間内に進入した塵埃は、信号発生部に接触しない。したがって、塵埃が信号発生部の故障を誘発するリスクは低くなる。
【0030】
上記の構成に関して、集塵装置は、集塵機構へ電力を供給する電源コードを更に備えていてもよい。筐体は、底壁が後方に突出するように底壁の前端と後端との間で立設された後壁を含んでいてもよい。電源コードは、後壁から筐体の外に延出していてもよい。
【0031】
上記の構成によれば、底壁は、後壁を越えて後方に突出しているので、建物の壁に後壁が対向するように集塵装置が配置されると、後壁からの底壁の突出量の分だけ建物の壁と後壁との間に空間が形成される。電源コードは、後壁から筐体の外に延出しているので、この空間を利用して延設可能である。
【0032】
上記の構成に関して、集塵装置は、前記集塵機構へ電力を供給する電源コードを更に備えていてもよい。前記筐体の外面には、前記電源コードが収容される収容凹部が形成されていてもよい。
【0033】
上記の構成によれば、集塵装置の不使用時には、電源コードは、筐体の外面の収容凹部に収容される。
【0034】
上記の構成に関して、集塵装置は、筐体の前面から前方に突出したバンパ部を更に備えていてもよい。バンパ部は、筐体よりも軟質であってもよい。
【0035】
上記の構成によれば、バンパ部が、筐体の前面よりも前方に突出しているので、集塵作業中に用いられる物(たとえば、モップの柄)は、筐体よりも先にバンパ部に当たりやすい。したがって、筐体は、集塵作業中に用いられる物との接触からバンパ部によって保護される。バンパ部は、筐体よりも軟質であるので、集塵作業中に用いられる物と接触しても大きな騒音を立てにくい。
【0036】
上記の構成に関して、前記バンパ部は、前記筐体から取り外し可能であってもよい。
【0037】
上記の構成によれば、バンパ部は、筐体から取り外し可能であるので、除塵対象物との接触によって傷ついても交換可能である。
【発明の効果】
【0038】
上述の集塵装置は、作業者に煩わしさを感じさせることなく、集塵機構を信頼性高く作動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】例示的な集塵装置の概略的な斜視図である。
図2】集塵装置の概略的な斜視図である。
図3】集塵装置の概略的な正面図である。
図4】集塵装置の概略的な縦断面図である。
図5】集塵装置の概略的な縦断面図である。
図6】集塵装置の概略的な縦断面図である。
図7】集塵装置の集塵機構の一部の概略的な展開斜視図である。
図8】集塵装置の電源コードから吸引モータへの電力供給経路の概略図である。
図9】集塵装置のスイッチ片の概略的な斜視図である。
図10】集塵装置の概略的な縦断面図である。
図11】スイッチ片及び起動スイッチの概略的な側面図である。
図12】スイッチ片及び起動スイッチの概略的な側面図である。
図13】集塵装置の電源コードから吸引モータへの電力供給経路の概略図である。
図14】集塵装置の集塵指令部の例示的な処理動作を表す概略的なフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1及び図2は、例示的な集塵装置100の概略的な斜視図である。図3は、集塵装置100の概略的な正面図である。図1及び図2を参照して、集塵装置100が説明される。
【0041】
集塵装置100は、塵埃を清掃作業後の清掃具(たとえば、モップ)から掻き取り、掻き取られた塵埃を吸引並びに集めるように構成されている。集塵装置100は、塵埃が流入する流入口154が形成されているとともに塵埃が集められる内部空間を形成している筐体110と、塵埃を吸引するとともに吸引された塵埃を貯留する集塵機構(図示せず)と、清掃具から塵埃を掻き取る第1掻取部121及び第2掻取部122とを備えている。加えて、集塵装置100は、外部電源から集塵機構へ電力を供給する電源コード(図示せず)を備えている。
【0042】
筐体110は、略六角板状の底壁111(図2を参照)と、底壁111から上方に離間した位置に配置された略矩形板状の天壁112(図1を参照)と、底壁111と天壁112との間で立設された略矩形筒状の周壁113とを含んでいる。加えて、筐体110は、底壁111に取り付けられた4つの脚部171~174を含んでいる。
【0043】
図2に示されるように、底壁111は、底壁111の直下に位置する略矩形状の主板部131と、主板部131から後方に突出した略台形状の突出部132と、を含んでいる。主板部131の4つの角隅部のうち前側の2つの角隅部には、略矩形状の4つの排出口133が形成されている。これらの排出口133は、前後方向に長い。これらの排出口133は、筐体110の内部空間に意図せず入り込んだ塵埃の排出に利用される。突出部132は、集塵装置100が設置された建物の壁から集塵装置100を離間させるために形成されている。
【0044】
脚部171,172は、排出口133の後端と隣り合うように主板部131から下方に突出した略矩形板状の部位である。脚部173,174は、主板部131の後側の2つの角隅部において主板部131から下方に(すなわち、集塵装置100が設置された床面に向けて)突出した略矩形板状の部位である。これらの脚部171~174は、所定の厚さを有し、底壁111を床面から僅かに離間させる。
【0045】
周壁113は、上前壁134、凹前壁135、後壁136、右壁137及び左壁138を含んでいる。右壁137及び左壁138は、底壁111の主板部131の右縁及び左縁から立設された略矩形板状の部位である。右壁137及び左壁138は、側方に互いに離間している。
【0046】
後壁136は、底壁111の前端と後端との間で、底壁111から立設されている略矩形板状の部位である。後壁136は、底壁111の主板部131と突出部132との間の位置から立設されている。したがって、底壁111の突出部132は、後壁136から後方に突出している。後壁136は、右壁137及び左壁138の後縁に接続されている。後壁136は、多数の排気口が形成された略矩形状の排気領域141を含んでいる。排気領域141は、高さ方向において、略中央に形成されている。排気領域141中の排気口は、塵埃の吸引に用いられた空気の排気に利用される。後壁136には、排気領域141の下側において、電源コードが接続される接続口142及び集塵装置100の不使用時において電源コードが収容される収容凹部143が凹設されている。接続口142は、収容凹部143よりも右壁137の近くに形成されている。収容凹部143は、接続口142よりも左壁138の近くに形成されている。後壁136には、排気領域141の上側において、横長の凹部144が形成されている。凹部144は、集塵装置100の持ち運びに利用される。
【0047】
上前壁134及び凹前壁135は、後壁136から前方に離間した位置に配置され、筐体110の前面を形成している。図1図3及び図4を参照して、上前壁134及び凹前壁135が説明される。図4は、右壁137及び左壁138に平行な仮想平面上における集塵装置100の概略的な縦断面図である。
【0048】
図1に示されるように、凹前壁135は、上前壁134と底壁111との間で後方に凹設された凹空間を形成している。凹前壁135は、図4を参照して、3つの壁部位に分けて説明される。これらの壁部位のうち1つは、上前壁134の下縁から後方に突出した部位であり、以下の説明において、「上取付壁145」と称される。他のもう1つの壁部位は、上取付壁145の後縁から下方に屈曲するように形成されており、以下の説明において、「中取付壁146」と称される。残りの1つの壁部位は、中取付壁146の下縁から後方に突出しており、以下の説明において、「下取付壁147」と称される。これらの取付壁145,146,147は、第1掻取部121及び第2掻取部122の取付に利用される。
【0049】
図3に示されるように、中取付壁146は、正面視において、下方に開口した略C型の板状の部位である。中取付壁146は、3つの板状部位を有している。これらの板状部位のうち1つは、底壁111と右壁137とによって形成された角隅部に配置されており、以下の説明において、「右板部151」と称される。他のもう1つの板状部位は、底壁111と左壁138とによって形成された角隅部に配置されており、以下の説明において、「左板部152」と称される。残りの板状部位は、右板部151と左板部152との間で横方向に延びており、以下の説明において、「中央板部153」と称される。中央板部153の下縁は、底壁111よりも高い位置で横方向に延設されており、中央板部153の下縁と底壁111の前縁との間で、塵埃が流入する流入口154が形成されている。右板部151及び左板部152それぞれには、鉛直方向に長い略矩形状の開口部155が形成されている。
【0050】
筐体110の内部構造に関して、図5及び図6が参照される。図5は、右壁137の近くで右壁137に平行に設定された仮想的な第1鉛直平面上における集塵装置100の概略的な縦断面図である。図6は、上前壁134及び凹前壁135の近くで第1鉛直平面に直角に設定された仮想的な第2鉛直平面上における集塵装置100の概略的な縦断面図である。
【0051】
筐体110は、底壁111と右壁137とによって形成された角隅部及び底壁111と左壁138とによって形成された角隅部において左右一対の隔壁構造を有している。これらの隔壁構造は、中取付壁146の右板部151及び左板部152の後方で、筐体110内の他の空間から離隔された一対の離隔空間を形成している。右側の隔壁構造によって形成された離隔空間は、底壁111の右前の角隅部に形成された2つの排出口133に連なる内部空間を形成している。左側の隔壁構造によって形成された離隔空間は、底壁111の左前の角隅部に形成された2つの排出口133に連なる内部空間を形成している。これらの内部空間は、上述の開口部155にも繋がっている。右側の隔壁構造が以下に説明される。左側の隔壁構造は、右側の隔壁構造と左右対称である。右側の隔壁構造の説明は、左右対称の構造を考慮して、左側の隔壁構造に援用される。
【0052】
隔壁構造は、上隔壁部161、後隔壁部162、前隔壁部163、左支持壁164及び右支持壁165を含んでいる。上隔壁部161は、底壁111から上方に離間した位置において、底壁111と略平行な姿勢を有している略矩形板状の部位である。上隔壁部161は、凹前壁135の上取付壁145よりも高い位置に配置されている。後隔壁部162は、底壁111から上隔壁部161の後縁に向けて立設された略矩形状の部位である。前隔壁部163は、上隔壁部161の前縁から下方に屈曲された板状部位であり、凹前壁135の中取付壁146の上縁に繋がっている。左支持壁164は、右側の開口部155の左縁に沿って、底壁111と上隔壁部161との間で立設されている。左支持壁164には、貫通孔166が形成されている。右支持壁165は、開口部155の幅より僅かに長い距離だけ左支持壁164から右側に離間した位置で、上隔壁部161から下方に突出した略台形板状の部位である。右支持壁165には、左支持壁164の貫通孔166と略同軸の貫通孔167が形成されている。上隔壁部161の下縁は、底壁111から上方に離間している。
【0053】
第1掻取部121は、図4に示されるように、凹前壁135の下取付壁147に固定された板状部材である。第1掻取部121は、横方向に長い。第1掻取部121は、下取付壁147から下方に突出し、凹前壁135によって形成された凹空間内で流入口154の上部を覆っている。第1掻取部121の下縁は、底壁111よりも高い位置にあり、波形に形成されている(図1を参照)。
【0054】
第2掻取部122は、図4に示されるように、上取付壁145及び中取付壁146によって形成された角隅部に固定された板状部材である。第2掻取部122は、横方向に長い。第2掻取部122の下縁は、第1掻取部121の下縁よりも前方且つ高い位置にあり、波形に形成されている(図1を参照)。第1掻取部121及び第2掻取部122の下縁の波形形状は、モップの毛部位の上面から塵埃を除去するのに好適である。
【0055】
集塵機構は、図4において、符号200で全体的に示されている。図7は、集塵機構200の一部の概略的な展開斜視図である。図4及び図7を参照して、集塵機構200が説明される。
【0056】
集塵機構200は、塵埃が貯留される集塵部210と、流入口154から集塵部210へ塵埃及び塵埃とともに吸引された空気を案内する管部220と、流入口154に吸引力を生じさせる吸引機構230とを有している。管部220は、底壁111、後壁136及び天壁112に沿って延びる略C型の流路を形成している。C型の管部220によって囲まれた領域内に、集塵部210及び吸引機構230が配置されている。吸引機構230は、集塵部210の下側に配置されている。
【0057】
管部220は、底壁111上に据え付けられた上流管部221と、上流管部221から上方に延びる流路を形成している中間管部222と、中間管部222と集塵部210とを繋ぐ下流管部223とを含んでいる。
【0058】
上流管部221は、図7に示されるように、流入口154から後方に向けて狭まるテーパ流路を形成している台形管部224と、台形管部224の後端から上方に屈曲した屈曲管部225とを含んでいる。台形管部224の上面には多数の放音孔が形成されている。放音孔は、テーパ流路を流れる空気から生じた音を放出するために形成されている。台形管部224の前端は、流入口154に嵌め込まれている。屈曲管部225は、台形管部224の後端から、底壁111と後壁136とによって形成された角隅部に沿って上方に湾曲している。屈曲管部225の下流端は、上方に開口している。
【0059】
中間管部222は、略J字型の流路を形成している。中間管部222の上流端は、屈曲管部225の下流端に連結されている。中間管部222は、屈曲管部225の下流端から後壁136に沿って延設され、後壁136と天壁112とによって形成された角隅部に沿って湾曲している。中間管部222の下流端は、前方に開口している。
【0060】
下流管部223として、エルボ管が用いられている。下流管部223の上流端は、中間管部222の下流端に連結されている。下流管部223は、下方に屈曲し、集塵部210の上部に接続されている。
【0061】
集塵部210は、塵埃を捕捉する一方で、塵埃とともに吸引された空気の通過を許容する通気性の袋体を用いて形成されている。集塵部210は、上前壁134の上縁よりも高い位置且つ天壁112よりも低い位置において筐体110内で固定されている。
【0062】
吸引機構230は、上前壁134の後方且つ中間管部222の前方に配置されている。吸引機構230は、台形管部224の上方且つ集塵部210の下方で固定されている。吸引機構230は、集塵部210内の空気を下方に吸い出すように構成された吸引ファン231と、吸引ファン231を駆動する吸引モータ232とを含んでいる。吸引モータ232は、吸引ファン231の下側に配置されている。
【0063】
集塵装置100は、テーパ流路を流れる空気から発せられる音を吸収する吸音構造を更に有している(図7を参照)。吸音構造は、台形管部224の多数の放音孔が形成された領域の上側に形成されている。吸音構造は、略台形板状の吸音部材241と、吸音部材241が収容される収容空間を形成している箱部位とを有している。箱部位は、台形管部224の多数の放音孔が形成された領域を囲むように台形管部224の上面から立設された収容壁部242と、収容壁部242によって形成された収容空間内に吸音部材241を保持する略台形状の蓋部243とを用いて形成されている。吸音部材241は、台形管部224の上面に形成された多数の放音孔を塞いでいる。吸音部材241は、収容壁部242によって形成された収容空間と相補的である。収容壁部242によって形成された収容空間は、上方に開口している。蓋部243は、収容壁部242及び吸音部材241に被せられ、収容壁部242に固定されている。
【0064】
集塵装置100は、上前壁134の上縁と天壁112の前縁との間の開口領域に挿入された引出部250を更に備えている(図1及び図4を参照)。引出部250は、筐体110から前方に引き出される。引出部250には、筐体110の内部で集塵部210が固定されている。引出部250が前方に引き出されると、集塵部210は、筐体110の外に露出する。
【0065】
集塵装置100は、上前壁134の下縁に沿って配設されたバンパ部260を更に備えている。バンパ部260は、清掃具の硬質部位(たとえば、モップの柄)との接触に起因して筐体110及び引出部250が傷つくことを防止するために用いられている。バンパ部260は、上前壁134から前方に突出するように上前壁134に取り付けられている。バンパ部260は、上前壁134から取り外し可能である。バンパ部260は、筐体110及び引出部250の形成に用いられている材料(たとえば、硬質樹脂)よりも軟質の材料から形成されている。
【0066】
図8は、電源コード300から吸引モータ232への電力供給経路の概略図である。図1図2図4及び図8を参照して、電力供給経路が説明される。
【0067】
集塵装置100は、吸引モータ232への電力供給部位として、電源コード300に加えて、メインスイッチ310と、動作要求部330とを備えている。
【0068】
電源コード300は、外部電源に接続されるプラグ301と、後壁136の接続口142に差し込まれるコネクタ302と、プラグ301とコネクタ302との間で延びる電力ケーブル303とを含んでいる。集塵装置100が使用されていないときには、電源コード300は、後壁136の収容凹部143内に収容される。
【0069】
メインスイッチ310は、コネクタ302から吸引モータ232へ延びる電力供給経路上に配置されたメインスイッチ回路311と、後壁136の凹部144の右端部に露出したスイッチボタン312(図2を参照)とを含んでいる。メインスイッチ回路311は、スイッチボタン312に対する手動操作に応じて、コネクタ302と吸引モータ232との間で形成された電気回路を閉じたり開いたりする。
【0070】
動作要求部330は、集塵装置100の起動及び停止を要求するように構成されている。動作要求部330は、一対のスイッチ片331,332と、起動スイッチ361と、コンデンサ362とを含んでいる。図1図3乃至図10を参照して、動作要求部330が説明される。図9は、スイッチ片331の概略的な斜視図である。スイッチ片332は、スイッチ片331とは左右対称の構造を有している。スイッチ片331に対する説明は、左右対称な構造を考慮して、スイッチ片332に援用される。図10は、集塵装置100の概略的な縦断面図である。図10に示されるスイッチ片331は、図5に示されるスイッチ片331とは姿勢において相違している。
【0071】
図1に示されるように、スイッチ片331は、右側の開口部155を通じて、凹前壁135の右板部151から前方に突出している。スイッチ片332は、左側の開口部155を通じて、凹前壁135の左板部152から前方に突出している。スイッチ片331は、流入口154の右端の右隣に位置している。スイッチ片332は、流入口154の左端の左隣に位置している。すなわち、これらのスイッチ片331,332は、流入口154の側方に位置している。流入口154は、これらのスイッチ片331,332の間に位置し、これらのスイッチ片331,332は、流入口154の開口方向において、流入口154とは重なっていない。スイッチ片331,332の配置間隔は、流入口154の幅よりも僅かに大きい。
【0072】
スイッチ片331は、横方向に延設された軸部334と、軸部334から下方に離間した位置に配置されたスイッチ板335と、スイッチ板335と軸部334とを繋ぐようにこれらと一体的に形成された接続棒336とを含んでいる。軸部334及び接続棒336は、上述の離隔空間内に配設されている。スイッチ板335の一部は、離隔空間内に配置されている。スイッチ板335の残りの部分は、開口部155を通じて筐体110から突出している。
【0073】
図6に示されるように、スイッチ片331の軸部334の右端は、右支持壁165の貫通孔167に嵌め込まれている。軸部334は、左支持壁164の貫通孔166に挿通されている。この結果、スイッチ片331は、右支持壁165及び左支持壁164によって支持されている。スイッチ片331は、軸部334周りに回動し、開口部155に対して出没する。軸部334周りの回動の結果、スイッチ片331は、図5に示される位置と図10に示される位置との間で変位することができる。図5に示される位置は、以下の説明において、「オフ位置」と称される。スイッチ片331がオフ位置にあるとき、集塵機構200は停止している。図10に示される位置は、「オン位置」と称される。スイッチ片331がオン位置にあるとき、集塵機構200は作動している。スイッチ片331がオフ位置にあるときにおける開口部155からのスイッチ片331の突出量は、スイッチ片331がオン位置にあるときにおける開口部155からのスイッチ片331の突出量よりも大きい。離隔空間内におけるスイッチ片331の動作域の下方の位置において、図3を参照して説明された排出口133が底壁111に形成されている。
【0074】
図9に示されるように、スイッチ板335は、前縁面337と、前縁面337の上端から後方且つ上方に傾斜した傾斜縁面338とを有している。前縁面337及び傾斜縁面338は、スイッチ片331がオフ位置から筐体110内に没入しオン位置に達しても、筐体110の外に露出している(図10を参照)。スイッチ片331がオフ位置にあるとき、前縁面337は、スイッチ板335の前端を形成し、高さ方向に延びている(図4を参照)。このとき、前縁面337の上端は、第1掻取部121の下縁よりも高い位置にある。傾斜縁面338は、第2掻取部122の下縁よりも高い位置にある。スイッチ片331がオフ位置にあるとき、前縁面337は、上前壁134よりも後方に位置している。
【0075】
図3に示されるように、スイッチ板335の厚さは、開口部155の幅よりも僅かに小さな値に設定されている。すなわち、スイッチ板335の断面の形状は、開口部155の形状と相補的である。
【0076】
図11は、オフ位置にあるスイッチ片331及び起動スイッチ361の概略的な側面図である。図12は、オン位置にあるスイッチ片331及び起動スイッチ361の概略的な側面図である。図10乃至図12を参照して、スイッチ片331及び起動スイッチ361が説明される。
【0077】
スイッチ片331は、軸部334から後方に突出した押圧部339を更に有している。押圧部339は、起動スイッチ361を開閉させるために用いられる。
【0078】
起動スイッチ361は、離隔空間の上部に配置され、押圧部339の後方で固定されている。起動スイッチ361は、押圧部339によって機械式に動作するレバー構造を有している。図11に示されるように、スイッチ片331がオフ位置にあるとき、起動スイッチ361は、押圧部339によっては押されず、開状態にある。図12に示されるように、スイッチ片331がオン位置にあるとき、起動スイッチ361は、押圧部339によって押され、閉状態になる。その後、スイッチ片331がオフ位置に戻ると、起動スイッチ361のレバー部位(すなわち、押圧部339との接触部位)は、自身の復元力によって、元の位置に戻り、起動スイッチ361は、開状態になる。
【0079】
起動スイッチ361が閉状態にあるとき、電力は、コンデンサ362を通じて、吸引モータ232へ供給される。この間、コンデンサ362には、所定量の電力が貯えられる。コンデンサ362に貯えられた電力は、起動スイッチ361が、その後、開状態になったときに消費される。
【0080】
図9に示されるように、集塵装置100は、離隔空間に入り込んだ板状の物を筐体110の外に押し出すために、右側のスイッチ片331のスイッチ板335と一体的に形成された押出部350を有している。左側のスイッチ片332に設けられた押出部350は、右側のスイッチ片331に設けられた押出部350と左右対称である。したがって、押出部350に関する以下の説明は、左右対称の構造を考慮して、左側のスイッチ片332に設けられた押出部350に援用される。
【0081】
押出部350は、スイッチ板335の右面から右方に突出した3つのリブ351と、スイッチ板335の左面から左方に突出した2つのリブ352とを含んでいる。これらのリブ351,352は、スイッチ板335の後端部に形成されている。3つのリブ351は、スイッチ板335の右側で鉛直方向に間隔を空けて並んでいる。2つのリブ352は、スイッチ板335の左側で鉛直方向に間隔を空けて並んでいる。3つのリブ351の右端は、筐体110(図6を参照)の右壁137の内面の近傍まで突出している。2つのリブ352の突出量は、右側のリブ351の突出量よりも小さい。2つのリブ352の左端は、左支持壁164の右面の近傍に位置している。図3に示されるように、3つのリブ351は、スイッチ板335の右面と開口部155の右側の長手縁を形成している凹前壁135の鉛直縁部との間の境界の後方に位置している。2つのリブ352は、スイッチ板335の左面と開口部155の左側の長手縁を形成している凹前壁135の鉛直縁部との間の境界の後方に位置している。
【0082】
集塵装置100の動作が以下に説明される。
【0083】
スイッチボタン312(図2を参照)が操作され、メインスイッチ回路311が閉じられる。その後、清掃具の清掃部位(たとえば、モップの先端)が、凹前壁135(図1を参照)によって形成された凹空間に差し込まれる。このとき、スイッチ片331,332のうち少なくとも一方のスイッチ板335が清掃具によって押される。すなわち、スイッチ片331,332は、スイッチ片331,332が開口部155に没入する方向に作用する外力を清掃具から受ける。清掃具によって押されたスイッチ片331,332は、開口部155に没入し、オフ位置(図5を参照)からオン位置(図10を参照)に変位する。オフ位置からオン位置へのスイッチ片331,332の変位に応じて、スイッチ片331,332の押圧部339は、起動スイッチ361を閉状態にする。メインスイッチ回路311及び起動スイッチ361がともに閉じられる結果、電力が、電源コード300を通じて、外部電源から吸引モータ232へ供給される。吸引モータ232は、電力供給に応じて作動し、吸引ファン231(図4を参照)を動作させる。この間、コンデンサ362には、電力が貯えられる。
【0084】
吸引ファン231は、集塵部210内の空気を吸い込み、集塵部210の内部空間を負圧環境にする。このとき、集塵部210に接続された管部220の内部空間も負圧環境になり、筐体110の外の空気が流入口154を通じて流入し、管部220及び集塵部210を順次通過する。集塵部210から吸い出された空気は、排気領域141の多数の排気口を通じて、筐体110の外に排気される。
【0085】
吸引ファン231の起動後、清掃具は、凹前壁135(図1を参照)によって形成された凹空間内で動かされる。清掃具の清掃部位(たとえば、モップの毛部)の大部分が、第1掻取部121の下縁と床面との間に入り込むほど清掃部位が薄いならば、清掃部位に付着した塵埃は、第1掻取部121によって主に掻き取られる。清掃部位が比較的厚いならば、清掃部位に付着した塵埃は、第2掻取部122によって主に掻き取られる。掻き取られた塵埃は、流入口154から管部220(図4を参照)に流入する空気とともに筐体110内に吸引される。塵埃は、管部220を通じて集塵部210に流入する。集塵部210は、塵埃を捕捉する。
【0086】
清掃部位から塵埃が十分に除去されると、清掃具は、凹前壁135(図1を参照)によって形成された凹空間から引き抜かれる。この結果、スイッチ片331,332に作用していた外力がなくなり、スイッチ片331,332の自重によって、オン位置からオフ位置へ戻る。オン位置からオフ位置へのスイッチ片331,332の変位の結果、スイッチ片331,332の押圧部339は、起動スイッチ361を押さなくなり、起動スイッチ361が開状態になる。コンデンサ362には、上述の如く、電力が貯えられているので、吸引モータ232は、コンデンサ362内の電力を消費して、吸引ファン231を駆動し続ける。コンデンサ362によって得られる電圧が、吸引モータ232及び吸引ファン231が動作するのに必要とされる電圧を下回るまで、集塵装置100は、流入口154の周囲の空気を吸引し続ける。
【0087】
集塵部210内に溜められた塵埃がある程度の量に達すると、引出部250(図1を参照)が前方に引き出される。この結果、集塵部210が筐体110の外に露出する。塵埃が溜まった集塵部210は、新たな集塵部210と交換される。新たな集塵部210が引出部250に設置された後、引出部250は筐体110内に押し込まれる。
【0088】
集塵装置100が長期間に亘って使用されないとき、電源コード300(図8を参照)は、筐体110から取り外されてもよい。電源コード300は、折り畳まれ、後壁136の収容凹部143に収容される。
【0089】
集塵装置100は、以下の如く、作業者に煩わしさを感じさせることなく、信頼性高く動作することができる。
【0090】
一対のスイッチ片331,332は、流入口154の右隣及び左隣に配置されている。これらのスイッチ片331,332は、流入口154の側方に配置されているので、作業者が、横長の清掃部位を有している清掃具(たとえば、モップ)を流入口154に近づけると、スイッチ片331,332は、清掃具の清掃部位によって押される。スイッチ片331,332は、清掃具から外力を受け、オフ位置(図5を参照)からオン位置(図10を参照)へ変位する。このとき、起動スイッチ361が閉状態になり、吸引機構230(図4を参照)が起動される。この結果、流入口154の近くの空気及び清掃具に付着している塵埃が吸引機構230によって吸引される。空気とともに集塵装置100内に流入した塵埃は、集塵部210に貯留される。
【0091】
上述の如く、スイッチ片331,332は、清掃具から除塵するために清掃具を流入口154に近づけるだけで、オフ位置からオン位置へ変位される。したがって、清掃具を清掃するための動作に加えて、集塵装置100を起動させるための動作を別途行うことは必要とされない。したがって、集塵装置100は、作業者に煩わしさを感じさせることなく起動される。
【0092】
清掃具が流入口154から離されると、スイッチ片331,332に作用していた外力はなくなる。この結果、スイッチ片331,332は、自重でオン位置からオフ位置に戻る。このとき、スイッチ片331,332の押圧部339は、起動スイッチ361を押さなくなり、起動スイッチ361が開く。コンデンサ362内の蓄電量が、その後、徐々に減り、集塵装置100が停止される。集塵装置100の停止時においても、作業者は、集塵装置100を手動で操作しなくてもよい。したがって、集塵装置100は、作業者に煩わしさを感じさせることなく停止される。
【0093】
スイッチ片331,332がオン位置にある間、コンデンサ362には電力が貯えられているので、集塵装置100は、コンデンサ362内の電力を利用して、集塵を続ける。この結果、清掃具が流入口154から引き離された後に、集塵装置100の周囲に残っている塵埃も集塵装置100内に貯留される。したがって、作業者は、清掃具を流入口154から引き離した後に、集塵装置100の周囲を清掃しなくてもよい。
【0094】
スイッチ片331,332に対応してそれぞれ設けられた起動スイッチ361のうち一方が閉状態になると、吸引モータ232への給電が行われる。すなわち、吸引モータ232への給電のために、スイッチ片331,332の両方がともにオフ位置からオン位置へ変位する必要はない。したがって、スイッチ片331,332の配置間隔よりも幅狭の清掃具が清掃されるときも、作業者は、スイッチ片331,332のうちいずれか一方をオン位置に変位させたまま、清掃具から塵埃を除去することができる。
【0095】
起動スイッチ361は、スイッチ片331,332の押圧部339によって押されることにより、機械式に開閉する構造を有している。したがって、起動スイッチ361は、光学的或いは電磁的に回路を開閉するスイッチ装置と較べて、塵埃に対して頑健な構造を有している。したがって、集塵装置100は、信頼性高く、起動及び停止される。また、起動スイッチ361は、離隔空間の上部に配置されているため、離隔空間に入り込んだ塵埃によって起動スイッチ361の動作が阻害されるリスクは低いので、集塵装置100は、信頼性高く、起動及び停止される。
【0096】
スイッチ片331,332は、流入口154の近くに配置されているけれども、流入口154の開口方向において、流入口154とは重なっていない。したがって、流入口154を通じて筐体110内に吸引される塵埃は、スイッチ片331,332とは接触しにくく、スイッチ片331,332と開口部155を形成している凹前壁135の縁部との間の境界に嵌り込みにくい。スイッチ片331,332の変位が塵埃によって阻害されるリスクは低いので、集塵装置100は、信頼性高く、起動及び停止される。
【0097】
スイッチ片331,332がオフ位置にあるとき、スイッチ板335の前縁面337は、高さ方向に延びている。このことは、除塵対象物が、鉛直方向に並んだ軟質部位及び硬質部位を有しているときに、スイッチ片331,332をオフ位置からオン位置へ変位させることに有効である。たとえば、除塵対象物がモップであるとき、モップの毛は、上述の軟質部位を形成し、モップの毛が植設された部位は、上述の硬質部位を形成している。モップが流入口154に近づけられると、スイッチ板335の前縁面337は、モップの毛の部分と、モップの毛が植設された硬質部位とに接触する。前縁面337の一部は、モップの毛の中に潜り込み、大きな外力を受けないけれども、モップの毛が植設された硬質部位は、強い力で前縁面337を押す。したがって、清掃具の硬質部位との前縁面337の接触部位は、スイッチ片331,332をオフ位置からオン位置へ変位させるのに十分な外力を受けることができる。
【0098】
モップが薄いとき、モップの毛の多くは、第1掻取部121の下縁と床面との間の空間に入り込む。モップが、その後動かされると、モップの毛に付着した塵埃は、第1掻取部121の波形の下縁によって掻き取られる。スイッチ片331,332がオフ位置にあるとき、前縁面337の上端は、第1掻取部121の下縁より高い位置にあるので、スイッチ片331,332は、モップの毛が植設された硬質部位によってオフ位置からオン位置へ押される。
【0099】
モップが厚いとき、モップの毛の多くは、第2掻取部122と床面との間に入り込む。モップが、その後動かされると、モップの毛に付着した塵埃は、第2掻取部122の波形の下縁によって掻き取られる。
【0100】
上述の如く、集塵装置100は、厚い清掃具及び薄い清掃具から塵埃を除去することができる。したがって、集塵装置100は、様々な厚さの清掃具の清掃に利用可能である。
【0101】
清掃具が、流入口154に近づけられるとき、清掃具の柄が、集塵装置100の前部に接触することがある。バンパ部260は、上前壁134から前方に突出しているので、清掃具の柄は、筐体110よりもむしろバンパ部260に接触しやすい。したがって、清掃具の柄が、筐体110及び筐体110の前面に現れる引出部250を傷つけるリスクは低い。バンパ部260が清掃具との接触によって傷ついたとしても、バンパ部260は、筐体110から取り外し可能であるので、新たなバンパ部260との交換が可能である。
【0102】
バンパ部260は、筐体110及び引出部250よりも軟質である。したがって、清掃具の柄がバンパ部260に接触しても、大きな音は生じにくい。
【0103】
スイッチ片331,332は、開口部155と相補的な断面を有しているので、開口部155が形成された凹前壁135とスイッチ片331,332との間に形成される空隙は狭くなる。しかしながら、この空隙の幅よりも小さな塵埃が、空隙を通じて、筐体110内に形成された離隔空間に入り込むことがある。離隔空間に入り込んだ塵埃は、底壁111に形成された排出口133を通じて、脚部172~174によって形成された底壁111の下側の空間に落下する。
【0104】
スイッチ板335の側面及び開口部155を形成している凹前壁135の縁部との間には鉛直方向に長い空隙が形成されている。この空隙と相補的な断面を有する程度の大きさの物(たとえば、コイン)の一部が、離隔空間に偶発的に入り込むことが考えられる。この場合、離隔空間に部分的に入り込んだ物は、この空隙の後方に位置している押出部350に当たる。押出部350は、スイッチ板335と一体的に形成されているので、スイッチ片331,332がオン位置からオフ位置へ戻ると、押出部350は、スイッチ片331,332とともに前方に移動する。離隔空間に部分的に入り込んだ物は、前方に移動している押出部350によって、筐体110の外に押し出される。
【0105】
スイッチ片331,332がオフ位置にあるとき、スイッチ板335の前縁面337は、上前壁134の前面よりも後方に位置している。筐体110からのスイッチ板335の突出部位は凹前壁135によって形成された凹空間内に収まっているので、集塵装置100が前方に転倒しても、スイッチ片331,332が床面によって押されるリスクは低い。すなわち、前方に転倒した集塵装置100が意図せず起動するリスクは低い。
【0106】
底壁111は、後壁136から後方に突出している。したがって、後壁136が集塵装置100が配置された建物の壁と対向するように、集塵装置100が設置されたときに、後壁136と建物の壁との間には、空間が形成される。この空間は、電源コード300の延設に利用可能である。加えて、この空間は、後壁136の排気領域141を通じた吸引ファン231からの排気にも利用される。
【0107】
電源コード300は、筐体110から分離可能である。したがって、集塵装置100の不使用時には、電源コード300は、筐体110から取り外され、後壁136の収容凹部143内に収容され得る。
【0108】
上述の実施形態に関して、スイッチ片331,332は、自重でオン位置からオフ位置に戻る。しかしながら、オフ位置に向けてスイッチ片331,332を付勢する部材(たとえば、スイッチ片331,332の軸部334に取り付けられた捻りコイルバネ)が用いられてもよい。この場合、スイッチ片331,332は、信頼性高くオフ位置へ復帰することができる。
【0109】
上述の実施形態に関して、2つのスイッチ片331,332が用いられている。しかしながら、これらのスイッチ片331,332のうち一方のみが用いられてもよい。
【0110】
上述の実施形態に関して、スイッチ片331,332は、流入口154の側方に配置されている。しかしながら、スイッチ片331,332は、清掃具の硬質部位の高さに合わせて流入口154の上側に配置されてもよい。
【0111】
上述の実施形態に関して、集塵装置100は、スイッチ片331,332がオフ位置に復帰した後も、吸引を継続する。この吸引継続機能が必要とされないならば、コンデンサ362は必要とされない。
【0112】
スイッチ片331,332は、特定の形状に限定されない。スイッチ片331,332の形状は、清掃対象の清掃具の構造に合わせて設計されてもよい。
【0113】
上述の実施形態に関して、集塵装置100は、第1掻取部121及び第2掻取部122を有しているので、薄いモップ及び厚いモップから効果的に塵埃を除去することができる。薄いモップのみが除塵対象であるならば、第1掻取部121のみが用いられてもよい。厚いモップのみが除塵対象であるならば、第2掻取部122のみが用いられてもよい。吸引機構230が、除塵に十分な吸引力を発生することができるならば、第1掻取部121及び第2掻取部122は用いられなくてもよい。
【0114】
上述の実施形態に関して、第1掻取部121及び第2掻取部122の下縁は、波形形状を有している。この形状は、モップの毛部位から塵埃を除去するのに好適である。しかしながら、第1掻取部121及び第2掻取部122の下縁は、除塵対象物から塵埃を効果的に掻き取ることができるように、除塵対象物の形状に合わせて他の形状を有してもよい。
【0115】
上述の実施形態に関して、離隔空間へ進入した物を押し出すために、押出部350が、スイッチ片331,332と一体的に形成されている。進入物を押し出す機能が必要とされないならば、押出部350は、形成されなくてもよい。押出部350に変えて、又は、押出部350に追加して、スイッチ板335の側面に低い摩擦力で接触する部位が開口部155の周縁に設けられていてもよい。この場合、開口部155の周縁に設けられた低摩擦部位が、離隔空間への物の侵入のリスクを低減することができる。
【0116】
上述の実施形態に関して、集塵要求信号及び停止要求信号を生成する信号生成回路は、離隔空間の外に配置されている。しかしながら、信号生成回路は、離隔空間内に配置されてもよい。この場合、信号生成回路は、信号生成回路を塵埃から保護するカバー部材によって覆われることが好ましい。
【0117】
上述の実施形態に関して、電源コード300は、筐体110から分離可能である。しかしながら、電源コード300は、筐体110から分離不能であってもよい。
【0118】
上述の実施形態に関して、バンパ部260が、筐体110から前方に突出している。集塵装置100の外表面の傷や集塵装置100及び清掃具の接触に起因する音が問題にならないならば、バンパ部260は用いられなくてもよい。
【0119】
上述の実施形態に関して、モップが清掃具として例示されている。しかしながら、集塵装置100は、他の種類の清掃具からの除塵に利用されてもよい。
【0120】
上述の実施形態に関して、収容凹部143は、後壁136に形成されている。しかしながら、収容凹部143は、筐体110の外面を形成している他の部位に設けられてもよい。
【0121】
上述の実施形態に関して、スイッチ片331,332は、筐体110に対して回動可能に取り付けられている。しかしながら、スイッチ片331,332の変位は、直線的であってもよい。この場合、スイッチ片331,332は、リニアガイドを用いて、開口部155に対して出没するように筐体110に取り付けられてもよい。
【0122】
上述の実施形態に関して、機械式の起動スイッチ361が用いられている。しかしながら、与えられた信号に応じて、開閉する回路が用いられてもよい。図13は、電源コード300から吸引モータ232への代替的な電力供給経路の概略図である。図8図10図11及び図13を参照して、電力供給経路が説明される。
【0123】
図8の起動スイッチ361に代えて、起動スイッチ回路320が用いられている。図10及び図11の押圧部339に代えて、位置判定部341が用いられている。図8のコンデンサ362に代えて、遅延部342が用いられている。位置判定部341及び遅延部342は、吸引モータ232の動作に対する指令を与える集塵指令部333を構成している。
【0124】
起動スイッチ回路320は、コネクタ302から吸引モータ232へ延びる電力供給経路上に配置されている。起動スイッチ回路320は、集塵指令部333からの要求に応じて、電力供給経路を開いたり閉じたりするように構成されている。
【0125】
集塵指令部333は、スイッチ片331,332の変位に応じて、起動スイッチ回路320を閉じたり開いたりするように構成されている。集塵指令部333の位置判定部341は、スイッチ片331,332の位置を検出する位置センサ(図示せず)と、位置センサによって検出された位置に基づいて集塵要求信号又は停止要求信号を生成する信号生成部(図示せず)とを用いて構成されてもよい。集塵要求信号は、集塵機構200に集塵を要求するために生成される。停止要求信号は、集塵機構200の停止を要求するために生成される。位置センサは、スイッチ片331,332の軸部334の回転位置又はスイッチ板335の位置を検出するように構成されていてもよい。信号生成部は、一般的な回路技術を用いて形成されてもよい。信号生成部として形成された回路は、上述の離隔空間の外において、筐体110内で固定されていることが好ましい。
【0126】
集塵要求信号は、位置判定部341から遅延部342を経由することなく、起動スイッチ回路320へ出力される。停止要求信号は、位置判定部341から遅延部342を経由して起動スイッチ回路320へ出力される。遅延部342は、停止要求信号の受信時刻から所定の遅延期間の経過後に停止要求信号を起動スイッチ回路320へ伝達するように構成されている。遅延期間は、清掃具が集塵装置100から引き離された後に集塵装置100の周囲に散らばる塵埃が集塵装置100によって吸引されるのに十分な長さに設定されている。遅延部342は、信号を遅延して中継する遅延回路であってもよい。遅延回路は、好ましくは、上述の離隔空間の外において筐体110内で固定される。
【0127】
集塵指令部333の処理動作が、図13及び図14を参照して説明される。図14は、集塵指令部333の例示的な処理動作を表す概略的なフローチャートである。
【0128】
(ステップS110)
集塵指令部333は、スイッチ片331,332の変位を待つ。スイッチ片331,332のうち少なくとも一方の変位が、位置判定部341によって検出されると、ステップS120が実行される。
【0129】
(ステップS120)
位置判定部341は、スイッチ片331,332のうち少なくとも一方が、オフ位置からオン位置へ変位したか、オン位置からオフ位置へ変位したかを判定する。スイッチ片331,332のうち少なくとも一方が、オフ位置からオン位置へ変位したとの判定結果が得られるならば、ステップS130が実行される。他の場合には、ステップS140が実行される。
【0130】
(ステップS130)
上述のステップS120の判定処理において、オフ位置からオン位置への変位が生じたことの判定結果が得られると、位置判定部341は、集塵要求信号を生成する。集塵要求信号は、起動スイッチ回路320へ出力される。起動スイッチ回路320は、集塵要求信号に応じて閉じ、吸引モータ232への電力供給が開始される。その後、ステップS110が実行される。
【0131】
(ステップS140)
上述のステップS120の判定処理において、オン位置からオフ位置への変位が生じたことの判定結果が得られると、位置判定部341は、停止要求信号を生成する。停止要求信号は、遅延部342へ出力される。その後、ステップS150が実行される。
【0132】
(ステップS150)
遅延部342は、計時を開始する。その後、ステップS160が実行される。
【0133】
(ステップS160)
遅延部342は、ステップS150の処理からの経過期間が、所定の遅延期間を超えることを待つ。経過時間が、遅延期間を超えると、ステップS170が実行される。
【0134】
(ステップS170)
遅延部342は、停止要求信号を、起動スイッチ回路320へ出力する。起動スイッチ回路320は、停止要求信号に応じて開き、吸引モータ232への電力供給が停止される。この結果、集塵装置100の集塵動作が停止する。
【0135】
図13に示される電気的な構造が利用される場合、スイッチ片331,332がオン位置からオフ位置へ復帰した後の集塵継続期間が、一定の長さに保たれる。集塵継続期間が、コンデンサ362内の電力量に依存する図8の電気的な構造とは異なり、集塵継続期間は、遅延部342において設定された遅延期間になる。したがって、図13に示される電気的な構造は、集塵継続期間が過度に短くならない点において有利である。
【産業上の利用可能性】
【0136】
本実施形態の原理は、清掃作業に用いられる装置に好適に利用される。
【符号の説明】
【0137】
100・・・・・・・・・・集塵装置
110・・・・・・・・・・筐体
111・・・・・・・・・・底壁
121・・・・・・・・・・第1掻取部
122・・・・・・・・・・第2掻取部
133・・・・・・・・・・排出口
135・・・・・・・・・・凹前壁
136・・・・・・・・・・後壁
143・・・・・・・・・・収容凹部
154・・・・・・・・・・流入口
155・・・・・・・・・・開口部
171~174・・・・・・脚部
200・・・・・・・・・・集塵機構
260・・・・・・・・・・バンパ部
300・・・・・・・・・・電源コード
330・・・・・・・・・・動作要求部
331,332・・・・・・スイッチ片
333・・・・・・・・・・集塵指令部
337・・・・・・・・・・前縁面
350・・・・・・・・・・押出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14