(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-10
(45)【発行日】2023-02-20
(54)【発明の名称】光ケーブル用トレイ、把持具、及び光ケーブル用クロージャ
(51)【国際特許分類】
G02B 6/46 20060101AFI20230213BHJP
【FI】
G02B6/46
(21)【出願番号】P 2019053422
(22)【出願日】2019-03-20
【審査請求日】2021-11-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000231936
【氏名又は名称】日本通信電材株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】高山 喜寛
(72)【発明者】
【氏名】寳田 一志
(72)【発明者】
【氏名】今泉 剛
【審査官】大西 孝宣
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-064913(JP,A)
【文献】特開2004-212897(JP,A)
【文献】特開2008-065035(JP,A)
【文献】特開2015-026007(JP,A)
【文献】特開2001-100050(JP,A)
【文献】米国特許第07418186(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/00
G02B 6/02
G02B 6/245 - 6/25
G02B 6/46 - 6/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ケーブルの接続部を収容するための本体を備える光ケーブル用トレイであって、
前記本体は、前記光ケーブルを挿通した状態で把持するための把持具を着脱可能な複数の着脱部を有し、
前記複数の着脱部のそれぞれは、前記把持具の位置決めが可能な1以上の位置決め部材を有し、
前記複数の着脱部の少なくとも一つの着脱部は、前記把持具に代えて光アダプタを着脱可能であり、
前記少なくとも一つの着脱部における前記位置決め部材の少なくとも一部は、前記光アダプタの位置決めが可能であ
り、
前記本体は、底面部と、前記底面部から立設する複数の壁部とを有し、
前記壁部は、少なくとも1以上の他の壁部と平行になるように形成され、
前記着脱部は、前記底面部の一部と、互いに平行な第1の壁部および第2の壁部とを含んで構成され、
前記位置決め部材が、前記第1の壁部および前記第2の壁部のうち少なくとも一方に設けられており、
前記位置決め部材として、前記底面部に垂直なリブを有し、
前記リブは、前記底面部と平行な方向であって前記第1の壁部に平行な長さ方向における前記把持具の位置決めをし、かつ、前記底面部と平行な方向であって前記長さ方向と直交する幅方向における前記光アダプタの位置決めをし、
前記第1の壁部は、前記第2の壁部と対向する面に、前記底面部に垂直な第1のリブ及び第2のリブを有し、
前記第1の壁部は、前記第2の壁部と対向する前記面であって、前記第1のリブと前記第2のリブとの間に第1突起部を有し、
前記第1突起部は、前記長さ方向および前記幅方向に直交する高さ方向における前記把持具の位置決めをし、
前記第2の壁部は、前記第1の壁部と対向する面に、第2突起部を有し、
前記第2突起部は、前記高さ方向における前記光アダプタの位置決めをする、
光ケーブル用トレイ。
【請求項2】
前記複数の着脱部のそれぞれは、前記把持具に代えて光アダプタを着脱可能であり、
前記複数の着脱部における前記位置決め部材の少なくとも一部は、前記光アダプタの位置決めが可能である、
請求項1に記載の光ケーブル用トレイ。
【請求項3】
前記複数の着脱部は、前記底面部の外周を形成する一つの辺に沿って並んで設けられており、
前記複数の着脱部は、第1の着脱部と、前記第1の着脱部に隣接する第2の着脱部と、を有し、
前記第1の着脱部および前記第2の着脱部は、前記複数の壁部のうち一つの壁部を共有し、
当該一つの壁部の第1の側面は、前記第1の着脱部の前記第2の壁部の形成に関与し、当該一つの壁部の第2の側面は、前記第2の着脱部の前記第1の壁部の形成に関与する、
請求項
1に記載の光ケーブル用トレイ。
【請求項4】
請求項1から請求項
3のいずれか一項に記載の前記光ケーブル用トレイに装着可能であり、前記光ケーブルを挿通した状態で前記光ケーブルを把持することが可能な把持具であって、
前記着脱部
を構成する前記第1の壁部と対向する1方以上の側面に設けられたレバー板と、
前記レバー板に設けられ、前記光ケーブル用トレイの前記位置決め部材と係合可能な爪部と、
を有し、
前記レバー板は前記着脱部
を構成する前記第1の壁部から離れる方向へ弾性変形可能であり、
前記弾性変形により、前記位置決め部材と前記爪部との前記係合を解除可能な、把持具。
【請求項5】
請求項1から請求項
3のいずれか一項に記載の前記光ケーブル用トレイを備えた、光ケーブル用クロージャ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ケーブル用トレイ、把持具、及び光ケーブル用クロージャに関する。
【背景技術】
【0002】
光ケーブル用クロージャとして、光ケーブル同士の接続部を収容するための光ケーブル用トレイを備えたものが知られている(特許文献1から特許文献7参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-100050号公報
【文献】特開2004-212897号公報
【文献】特開2013-113891号公報
【文献】特開2008-262128号公報
【文献】特開2013-113926号公報
【文献】特開平10-133030号公報
【文献】特表2000-505567号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
光ケーブルの接続方法は、融着接続やコネクタ接続など、多様である。しかし、従来の光ケーブル用トレイは、融着接続とコネクタ接続の両方に対応可能なものは少なかった。また、これら両方に対応可能な光ケーブル用トレイであっても、コネクタ接続をする場合は、例えば、光アダプタを光ケーブル用トレイに配置するための部品を取り付ける必要がある等、作業が煩雑になっていた。
【0005】
本開示の目的は、光ケーブル同士を接続する場合に、簡便な方法で複数種類の接続方法に対応することが可能な光ケーブル用トレイ、把持具、及び光ケーブル用クロージャを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る光ケーブル用トレイは、
光ケーブルの接続部を収容するための本体を備える光ケーブル用トレイであって、
前記本体は、前記光ケーブルを挿通した状態で把持するための把持具を着脱可能な複数の着脱部を有し、
前記複数の着脱部のそれぞれは、前記把持具の位置決めが可能な1以上の位置決め部材を有し、
前記複数の着脱部の少なくとも一つの着脱部は、前記把持具に代えて光アダプタを着脱可能であり、
前記少なくとも一つの着脱部における前記位置決め部材の少なくとも一部は、前記光アダプタの位置決めが可能である。
【0007】
本開示の一態様に係る把持具は、
前記光ケーブル用トレイに装着可能であり、前記光ケーブルを挿通した状態で前記光ケーブルを把持することが可能であって、
前記着脱部と対向する1方以上の側面に設けられたレバー板と、
前記レバー板に設けられ、前記光ケーブル用トレイの前記位置決め部材と係合可能な爪部と、
を有し、
前記レバー板は前記着脱部から離れる方向へ弾性変形可能であり、
前記弾性変形により、前記位置決め部材と前記爪部との前記係合を解除可能である。
【0008】
本開示の一態様に係る光ケーブル用クロージャは、前記光ケーブル用トレイを備える。
【発明の効果】
【0009】
上記開示の構成によれば、光ケーブル同士を接続する場合に、簡便な方法で複数種類の接続方法に対応することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の一実施形態に係る光ケーブル用トレイの斜視図である。
【
図2】
図1に示す光ケーブル用トレイの上面図である。
【
図3】
図1に示す光ケーブル用トレイの正面図である。
【
図4】
図1に示す光ケーブル用トレイに把持具を装着した状態を示す斜視図である。
【
図6】
図5に示す把持具を別方向から見た場合の斜視図である。
【
図7】
図1に示す光ケーブル用トレイに、把持具および光アダプタを装着した状態を示す上面図である。
【
図8】
図7に示す光ケーブル用トレイの斜視図である。
【
図9】本開示の一実施形態に係る光ケーブル用クロージャの一部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示の一態様に係る光ケーブル用トレイは、
光ケーブルの接続部を収容するための本体を備える光ケーブル用トレイであって、
前記本体は、前記光ケーブルを挿通した状態で把持するための把持具を着脱可能な複数の着脱部を有し、
前記複数の着脱部のそれぞれは、前記把持具の位置決めが可能な1以上の位置決め部材を有し、
前記複数の着脱部の少なくとも一つの着脱部は、前記把持具に代えて光アダプタを着脱可能であり、
前記少なくとも一つの着脱部における前記位置決め部材の少なくとも一部は、前記光アダプタの位置決めが可能である。
上記の構成によれば、光ケーブル同士を接続する場合に、簡便な方法で複数種類の接続方法に対応することが可能になる。
【0012】
前記光ケーブル用トレイは、
前記複数の着脱部のそれぞれは、前記把持具に代えて光アダプタを着脱可能であり、
前記複数の着脱部における前記位置決め部材の少なくとも一部は、前記光アダプタの位置決めが可能であることが好ましい。
上記の構成によれば、光ケーブル同士を接続する場合に、簡便な方法で複数種類の接続方法に対応することが可能になる。
【0013】
前記光ケーブル用トレイは、
前記本体が、底面部と、前記底面部から立設する複数の壁部とを有し、
前記壁部が、少なくとも1以上の他の壁部と平行になるように形成され、
前記着脱部が、前記底面部の一部と、互いに平行な第1の壁部および第2の壁部とを含んで構成され、
前記位置決め部材が、前記第1の壁部および前記第2の壁部のうち少なくとも一方に設けられていることが好ましい。
上記の構成によれば、簡単な構造で、把持具の位置決め及び光アダプタの位置決めを行うことが容易になる。
【0014】
前記光ケーブル用トレイは、
前記位置決め部材として、前記底面部に垂直なリブを有し、
前記リブが、前記底面部と平行な方向であって前記第1の壁部に平行な長さ方向における前記把持具の位置決めをし、かつ、前記底面部と平行な方向であって前記長さ方向と直交する幅方向における前記光アダプタの位置決めをすることが好ましい。
上記の構成によれば、簡単な構造で、把持具の位置決め及び光アダプタの位置決めの正確性を向上できる。
【0015】
前記光ケーブル用トレイは、
前記第1の壁部が、前記底面部に垂直な第1のリブ及び第2のリブを有し、
前記第1の壁部が、前記第1のリブと前記第2のリブとの間に第1突起部を有し、
前記第1突起部が、前記長さ方向および前記幅方向に直交する高さ方向における前記把持具の位置決めをし、
前記第2の壁部が、第2突起部を有し、
前記第2突起部が、前記高さ方向における前記光アダプタの位置決めをすることが好ましい。
上記の構成によれば、把持具の位置決め及び光アダプタの位置決めの正確性を更に向上できる。
【0016】
前記光ケーブル用トレイは、
前記複数の着脱部が、前記底面部の外周を形成する一つの辺に沿って並んで設けられており、
隣接する2つの前記着脱部が、1つの前記壁部を共有するように構成されることが好ましい。
上記構成によれば光ケーブルの接続部を本体に収容する際に、本体の外部へと延びる光ケーブルの向きを一方向に揃えることができる。そのため、作業性を向上させることができる。また、本開示の構成によれば、複数の着脱部を設ける際の部材を少なくすることができる。そのため、製造コストの削減や、光ケーブル用トレイの省スペース化に貢献できる。
【0017】
本開示の一態様に係る把持具は、
前記光ケーブル用トレイに装着可能であり、前記光ケーブルを挿通した状態で前記光ケーブルを把持することが可能な把持具であって、
前記着脱部と対向する1以上の側面に設けられたレバー板と、
前記レバー板に設けられ、前記光ケーブル用トレイの前記位置決め部材と係合可能な爪部と、
を有し、
前記レバー板は前記着脱部から離す方向へ弾性変形可能であり、
前記弾性変形により、前記位置決め部材と前記爪部との前記係合を解除可能である。
上記構成によれば、光ケーブル用トレイへの把持具の装着および脱着を行うことが容易になる。
【0018】
本開示の一態様に係る光ケーブル用クロージャは、
前記光ケーブル用トレイを備えている。
上記構成によれば、光ケーブル同士を接続する場合に、簡便な方法で複数種類の接続方法に対応することが可能になる。
【0019】
[本開示の実施形態の詳細]
以下、本開示に係る光ケーブル用トレイ、把持具、及び光ケーブル用クロージャの実施の形態の例を、図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明では、異なる図面であっても同一又は相当の要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。
【0020】
[光ケーブル用トレイ]
図1は、本開示の一実施形態に係る光ケーブル用トレイの斜視図である。
図2は、
図1に示す光ケーブル用トレイの上面図である。
図3は、
図1に示す光ケーブル用トレイの正面図である。
【0021】
図1から
図3に示す光ケーブル用トレイ1(以下、本体1ともいう)は、複数の着脱部2と、底面部3と、周壁21と、光ケーブル収容部22と、接続固定部23と、ケーブル固定具取付部24と、U字受け26と、ヒンジ部27と、舌片28と、を備えている。
【0022】
まず、着脱部2以外の構造について説明をする。底面部3は、本体1の支持基板である。周壁21は、底面部3から立設されている。周壁21は、底面部3の外周の一部を除く部分に設けられており、本実施形態では、底面部3の三方を囲うようにU字状に設けられている。光ケーブル収容部22は、底面部3から立設された囲い壁によって形成されている。囲い壁の一部には、光ケーブルの導入および導出をするための切り欠きが形成されている。囲い壁の内部には、光ケーブルの余長を収容可能である。接続固定部23は、例えば、光ケーブルを融着接続した場合の接続部を固定することが可能な部位である。接続固定部23は、メカニカルスプライス接続をした際の接続部を固定可能なように構成してもよい。
【0023】
ケーブル固定具取付部24は、後述するケーブル固定具61を取り付けることが可能なように構成されている。ケーブル固定具取付部24には、孔25a及び25bが設けられている。U字受け26は、周壁21上に設けられている。ヒンジ部27は、周壁21から本体1の外側へと迫り出すように設けられている。U字受け26及びヒンジ部27は、本体1の上に他の光ケーブル用トレイ1を重ねる場合に、本体1の上に位置する光ケーブル用トレイ1を支持する。舌片28(28a~28e)は、底面部3から立設された壁(周壁21など)から本体1の内部へ向けて突き出すように設けられている。舌片28は、光ケーブルを光ケーブル用トレイ1の内部に収容する際に、光ケーブルが光ケーブル用トレイ1からはみ出さないように押さえる役割を有する。
【0024】
次に、着脱部2の構成について説明をする。着脱部2は、後述する把持具41及び光アダプタ51のいずれをも着脱(装着および取り外し)可能なように構成されている。具体的には、着脱部2は、底面部3の一部と、底面部3から立設された互いに平行な2つの壁部4と、位置決め部材とによって構成されている。
【0025】
例えば、着脱部2aの場合、底面部3の一部と、壁部4aと、壁部4aと平行な壁部4bと、によって構成されている。着脱部2aは、位置決め部材として、壁部4aの右側面(壁部4bと対向する面)に設けられたリブ5~7及び突起部8と、壁部4bの左側面(壁部4aと対向する面)に設けられた突起部10と、底面部3に設けられたアダプタ係止孔11とを有している。
【0026】
着脱部2aと隣接する着脱部2bは、底面部3の一部と、壁部4bと、壁部4bと平行な壁部4cと、によって構成されている。壁部4bの右側面(壁部4cと対向する面)には、壁部4aの右側面と同様に、リブ5~7及び突起部8が設けられている。壁部4cの左側面(壁部4bと対向する面)には、壁部4bの左側面と同様に、突起部10が設けられている。すなわち、壁部4bの左側面は、着脱部2aの形成に関与し、壁部4bの右側面は、着脱部2bの形成に関与する。このように、隣接する着脱部2a及び2bは、壁部4bを共有している。
【0027】
複数の着脱部2は、底面部3の外周を形成する一つの辺に沿って並んで設けられている。すなわち、上面視した場合(
図2参照)、複数の壁部4それぞれは、互いに平行、かつ、底面部3の外周を形成する一つの辺に対して垂直である。ケーブル固定具取付部24の左側には、着脱部2a~2bを含む4つの着脱部(以下、左側着脱部ともいう)2が並んでおり、ケーブル固定具取付部24の右側には、着脱部2c~2dを含む4つの着脱部(以下、右側着脱部ともいう)2が並んでいる。なお、左側着脱部2と右側着脱部2とは、一つの辺に沿って並んで設けられていなくてもよく、例えば、互いに対向する2つの辺上に別々に設けられていてもよい。また、左側着脱部2と右側着脱部2とは、左右対称の構造を有しているが、互いに同一の構造を有していてもよい。例えば、右側着脱部2においても、左側着脱部2と同様に、壁部4の左側面にリブ5~7及び突起部8、及び切り欠き9を設け、壁部4の右側面に突起部10を設けてもよい。
【0028】
次に、
図4から
図8を用いて、把持具、光アダプタ、及びこれらの位置決めについて説明をする。以下の説明において、「長さ方向」とは、底面部3と平行な方向であって、壁部4に平行な方向をいう。「幅方向」とは、底面部3と平行な方向であって、長さ方向と直交する方向をいう。「高さ方向」とは、長さ方向および幅方向に直交する方向をいう。「第1の壁部」とは、着脱部2を構成する2つの壁部4のうち、当該着脱部2に対してリブ5~7、突起部8、及び切り欠き9を提供する側をいう。「第2の壁部」とは、着脱部2を構成する2つの壁部4のうち、当該着脱部2に対して突起部10を提供する側をいう。「等しい」とは、厳密に等しい場合だけではなく、両者の差が十分に小さく、実質的に等しいと評価される場合をも含む。
【0029】
[把持具]
図4は、
図1に示す光ケーブル用トレイ1に把持具41を装着した状態を示す斜視図である。
図5は、
図4に示した着脱部2d及び把持具41を拡大した拡大図である。
図6は、
図5に示した把持具41を別方向から見た場合の斜視図である。
図7は、
図1に示す光ケーブル用トレイ1に、把持具41および光アダプタ51を装着した状態を示す上面図である。
図8は、
図7に示す光ケーブル用トレイ1の斜視図である。
【0030】
まず、把持具41と、把持具41の位置決めについて説明をする。
図4に示すように、各着脱部2には、把持具41を装着することができる。
図5及び
図6に示すように、把持具41は、突き出し部42a及び42bと、凹み部43及び47と、レバー板44及び46と、爪部45と、複数の把持構造48とを備えている。また、着脱部2dは、底面部3の一部と、第1の壁部4fと、第2の壁部4eとを備えている。
【0031】
突き出し部42a及び42bと、凹み部43と、レバー板44と、爪部45とは、把持具41の側面のうち、第1の壁部4fと対向する面に形成されている。凹み部43は、突き出し部42aと突き出し部42bとの間に形成された凹んだ空間であり、把持具41の長さ方向における位置決めに利用される。具体的には、長さ方向において、凹み部43の長さ(突き出し部42aの内側端と、突き出し部42bの内側端との間の距離)と、リブ5の外側端とリブ6の外側端との間の長さとが等しい。そのため、リブ5及び6と、突き出し部42a及び42bとによって、把持具41の長さ方向の動きを制限することができる。なお、長さ方向の位置決めに用いるリブの数は、1本でもよいし、3本以上であってもよい。1本のリブによって位置決めをする場合、例えば、当該リブと嵌合する嵌合溝を把持具41に設けてもよい。
【0032】
また、把持具41と着脱部2dとは、幅方向において互いに等しい長さを有する箇所を備えている。具体的には、突き出し部42a及び42bの近傍における幅方向の長さと、第1の壁部4fと第2の壁部4eとにおける対向面間の距離とが等しい。このような構成により、把持具41の幅方向の動きを制限し、把持具41の幅方向における位置決めを可能にしている。
【0033】
凹み部43には、第1の壁部4fに対向するようにレバー板44が形成されている。レバー板44と対になるレバー板46は、把持具41の上面から飛び出すように形成されている。本実施形態では、レバー板44及び46、把持具41におけるその他の部分(把持具41の本体)は、所定の弾性を有する樹脂によって形成されている。すなわち、レバー板44に対して、第1の壁部4fから離す方向への力を加えた場合、レバー板44が弾性変形して、レバー板44がレバー板46の方へ、すなわち第1の壁部4fから離れる方向へ動くことになる。
【0034】
また、レバー板44には、爪部45が形成されている。爪部45と、第1の壁部4fにおいてリブ5及びリブ6の間に形成された突起部8とは、互いに対応する位置に形成されている。把持具41を着脱部2に装着する場合、突き出し部42bをリブ5に当接させ、かつ、突き出し部42aをリブ6に当接させながら、上から下へ押し込むようにする。把持具41がある程度押し込まれると、爪部45の下端と突起部8の上端とがぶつかって、それ以上は押し込めなくなる。しかし、その状態でレバー板44及び46に対して互いに近づけるように力を加えることで、レバー板44が弾性変形し、爪部45に突起部8を乗り越えさせることができる。その結果、把持具41の底面が底面部3と接触するまで、把持具41を押し込むことができる。また、その状態では、爪部45の上端と突起部8の下端とがぶつかるので、高さ方向への動きが制限される。すなわち、爪部45と突起部8とが係合することによって、把持具41の高さ方向の位置決めがなされる。なお、レバー板44は、先端が逆L字状である。把持具41を装着した状態において、逆L字状の先端は、第1の壁部4fにおけるリブ5及びリブ6の間の切り欠き9の上方に位置することなる。切り欠き9は、レバー板44及び46を指でつまみやすいように設けられている。着脱部2dから把持具41を取り外す際は、レバー板44及び46に対して互いに近づけるような力を加えながら、爪部45に突起部8を乗り越えさせ、把持具41を上へと引き上げればよい。
【0035】
なお、上記のように把持具41を脱着させることができれば、レバー板44及び46や、把持具41の材質は制限されない。例えば、レバー板44及び46を、把持具41よりも剛性の高い樹脂で形成してもよい。また、レバー板44及び46を、1枚のU字型の板バネを用いて構成してもよい。板バネを用いる場合、把持具41の本体は、弾性を有さずともよい。また、所定の弾性を有する樹脂を用いて、レバー板44及び46を含む把持具41全体を一体的に成型してもよい。レバー板44及び46は金属によって形成されていてもよい。
【0036】
凹み部47及び把持構造48は、把持具41の側面のうち、第2の壁部4eと対向する面に形成されている。凹み部47は、把持具41を着脱部2dに装着する場合に、把持具41が突起部10とぶつからないようにするために設けられている。すなわち、凹み部47の位置は、突起部10の位置と対応し、突起部10を複数設ける場合には、凹み部47も複数あってもよい。なお、本実施形態において、突起部10は、光アダプタ51の位置決めに関与し、把持具41の位置決めには関与しないが、把持具41の位置決めに関与するように構成してもよい。例えば、突起部10と凹み部47の長さ方向における長さを互いに等しくし、突起部10と凹み部47を係合させて、把持具41の長さ方向の位置決めをしてもよい。
【0037】
把持構造48(48a~48d)は、高さ方向に4つ並んで設けられている。把持具41は、光ケーブルを把持構造48に挿通した状態で把持する。把持構造48は、把持具41における第2の壁部4eに対向する面に設けられた溝であり、把持具41を長さ方向に貫通している。把持構造48は、所定の弾性を有する部材により形成されており、光ケーブルを上下から挟み込むようにして把持する。把持する光ケーブルの外形に応じて、溝を形成する部材が弾性変形する。そのため、複数種類の光ケーブルを把持することができる。
【0038】
また、把持構造48の溝の内部には、鬼目が設けられていてもよい。例えば、光ケーブルがフラット型ドロップケーブルの場合はその本体を、光ケーブルが丸型ドロップケーブルの場合は内部のルースチューブを、鬼目を用いて挟み込むことで、どちらの光ケーブルをも安定して把持することができる。すなわち、1種類の把持具41によって、複数種類の光ケーブルに対して安定した把持力を発揮できる。なお、溝の高さは、ターゲットとする光ケーブルの径や種類によって、適宜変更してもよい。例えば、光ケーブルの径や種類に応じた把持構造をもつ複数種類の把持具41を用意してもよい。本開示の光ケーブル用トレイ1は、把持具41が着脱式であるため、光ケーブルの種類に応じて把持具41の種類を変えることができる。そのため、単一の光ケーブル用トレイ1によって、複数種類の光ケーブルに対応することが容易である。
【0039】
[光アダプタ]
次に、光アダプタ51、光アダプタ51の位置決めについて説明をする。
図7及び
図8に示すように、着脱部2には、把持具41に代えて、光アダプタ51を着脱可能である。本開示の光ファイバ用トレイに適用できる光アダプタ51の種類は、特に制限はなく、例えば、LCコネクタ用アダプタであってもよいし、SCコネクタ用アダプタであってもよい。さらにはその他のコネクタ用アダプタであってもよい。光アダプタ51は、長さ方向における両端に、光コネクタ52及び53を装着可能である。光コネクタ52及び53は、光アダプタ51の種類や形状に応じて、適宜変更可能である。光コネクタ52及び53には、光ケーブルが接続される。光アダプタ51を用いる場合、光アダプタ51が光ケーブルの接続部になる。なお、複数の着脱部2のうち少なくとも一つが、把持具41に代えて光アダプタ51を着脱可能であればよい。
【0040】
図示はしないが、光アダプタ51の底面には、アダプタ係止孔11と係合可能な形状を有する係止部が設けられている。係止部は、例えば、光アダプタ51の底面から下方へと突き出す突起であり、アダプタ係止孔11に対応する形状を有することが好ましい。係止部とアダプタ係止孔11とを係合させることで、光アダプタ51の長さ方向および幅方向における動きを制限できる。すなわち、光アダプタ51の係止部とアダプタ係止孔11とは、光アダプタ51の長さ方向および幅方向における位置決めに関与する。
【0041】
着脱部2に光アダプタ51を装着する場合、第1の壁部に設けられたリブ5~7が、光アダプタ51の幅方向における位置決めに関与する。光アダプタ51の幅方向の長さは、着脱部2の幅方向の長さ(第1の壁部と第2の壁部とにおける対向面間の距離)よりも短い。着脱部2に光アダプタ51を装着する場合、リブ5~7は、幅方向における光アダプタ51と着脱部2の長さの差を埋めるスペーサとして機能する。すなわち、幅方向におけるリブ5の先端から第2の壁部4までの距離と、光アダプタ51におけるリブ5と対応する箇所の幅は等しい。リブ6及び7についても同様である。なお、幅方向におけるリブ7の先端から第2の壁部4までの距離は、リブ5及び6の場合よりも長くなっている。このように、各リブの幅方向の長さは、光アダプタの形状に応じて変更可能である。
【0042】
光アダプタ51の高さ方向における位置決めには、突起部10が関与する。突起部10は、光アダプタ51の高さに対応する位置に設けられている。突起部10の頂上部は丸みを帯びており、光アダプタ51を着脱部2へと押し込むように力を加えると、光アダプタ51を突起部10の下へと乗り越えさせることができる。その状態では、突起部10の下端と光アダプタ51の上端とがぶつかるため、光アダプタ51の高さ方向における動きが制限される。すなわち、光アダプタ51の高さ方向における位置決めがなされる。
【0043】
図8において、各左側着脱部2には、光アダプタ51が装着されており、各右側着脱部2には、把持具41が装着されている。この場合、例えば、一方の光ケーブル(例えば、幹線ケーブルから引き出されたドロップケーブル)の先端がコネクタ52に接続される。また、他方の光ケーブル(例えば、ドロップケーブル)が把持具41に挿通され、当該他方の光ケーブルの先端がコネクタ53に接続される。そして、アダプタ51において、光ケーブル同士が光学的に接続される。一方で、光ケーブル同士を融着接続する場合、各左側着脱部2には、光アダプタ51に代えて、把持具41が装着される。そして、左側着脱部2側の把持具41から挿通された一方の光ケーブルと、左側着脱部2側の把持具41から挿通された他方の光ケーブル同士が融着接続され、両者が光学的に接続される。また、融着接続された光ケーブル同士の接続部は、接続固定部23において、光ケーブル用トレイ1に固定される。
【0044】
[光ケーブル用クロージャ]
次に、
図9を用いて、光ケーブル用クロージャについて説明をする。
図9は、本開示の一実施形態に係る光ケーブル用クロージャ60の一部を示す斜視図である。
図9において、上記した光ファイバ用トレイ1は、ケーブル固定具61に固定されている。ケーブル固定具61は、光ケーブル通過孔62(62a~62d)と、取付板63と、ねじ64とを備えている。光ケーブル用クロージャ60の内部へと引き込まれた光ケーブルは、光ケーブル通過孔62に挿通され、光ファイバ用トレイ1が収納される領域へと導かれる。取付板63には、光ファイバ用トレイ1の孔25a及び25bに対応する孔が設けられている。孔25aとこれに対応する孔同士、孔25bとこれに対応する孔同士を重ね合わせて、上からねじ64によって固定することが可能である。
【0045】
光ケーブル用クロージャ60の形状や大きさ等は、少なくとも着脱部2を備える1以上の光ファイバ用トレイ1を収容可能であれば、特に制限はされない。本実施形態においては、光ケーブル用クロージャ60は、光ファイバ用トレイ1と光ファイバ用トレイ1´とを少なくとも備えている。光ファイバ用トレイ1´は、少なくとも着脱部2を備えており、光ファイバ用トレイ1と同じものであってもよい。光ファイバ用トレイ1´は、光ファイバ用トレイ1又は光ケーブル固定具25に固定されている。また、図示はしていないが、光ファイバ用トレイ1の上方や、光ファイバ用トレイ1´の下方には、さらに、光ファイバ用トレイ1又は1´が重ねられていてもよい。
【0046】
以上、本開示を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。また、上記説明した構成部材の数、位置、形状等は上記実施の形態に限定されず、本開示を実施する上で好適な数、位置、形状等に変更することができる。
【符号の説明】
【0047】
1:光ケーブル用トレイ(本体)
2(2a~2d):着脱部
3:底面部
4(4a~4f):壁部
5:リブ(第1のリブ)
6:リブ(第2のリブ)
7:リブ(第3のリブ)
8:突起部(第1突起部)
9:切り欠き
10:突起部(第2突起部)
11:アダプタ係止孔
21:周壁
22:光ケーブル収容部
23:接続固定部
24:ケーブル固定具取付部
25(25a,25b):孔
26:U字受け
27:ヒンジ
28(28a~28e):舌片
41:把持具
42(42a,42b):突き出し部
43,47:凹み部
44,46:レバー板
45:爪部
48(48a~48d):把持構造
51:光アダプタ
52,53:光コネクタ
61:ケーブル固定具
62(62a~62d):光ケーブル通過孔
63:取付板
64:ねじ