(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-10
(45)【発行日】2023-02-20
(54)【発明の名称】丁合装置
(51)【国際特許分類】
B65H 39/06 20060101AFI20230213BHJP
B65H 7/06 20060101ALI20230213BHJP
【FI】
B65H39/06
B65H7/06
(21)【出願番号】P 2019119104
(22)【出願日】2019-06-26
【審査請求日】2022-03-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000110217
【氏名又は名称】トッパン・フォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100206999
【氏名又は名称】萩原 綾夏
(72)【発明者】
【氏名】丸山 哲也
【審査官】大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-219212(JP,A)
【文献】特開2003-191662(JP,A)
【文献】特開平7-61650(JP,A)
【文献】特開2018-104130(JP,A)
【文献】特開平1-150646(JP,A)
【文献】特開2008-13371(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 7/00- 7/20
B65H 39/00-39/16
B65H 43/00-43/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
突出した所定数の搬送ピンで搬送する搬送ライン上の搬送方向に沿って定められた所定数の丁合位置で、丁合対象上に単位丁合物が順次供給されて最終的に一括丁合物とされ、供給された単位丁合物が丁合対象上からはみ出した状態を検知する検知手段が当該搬送ライン上の所定の丁合位置の下流側に所定数設けられる丁合装置であって、
前記検知手段は、
前記搬送ラインの幅方向の一方の側端側に配置され、可動することで検知状態となる検知可動体を備える検知部と、
前記搬送ラインの幅方向に懸架される線形状のものであり、一端が前記検知部の検知可動体に取り付けられ、他端が当該搬送ラインの幅方向の他方の側端側で回動自在に支持され、当該線形状が当該搬送ピンを通過させる通過位置に対応する部分を屈曲させた形状とし、当該屈曲形状の下部を当該搬送ライン上に位置されるべき前記一括丁合物の上面から当該搬送ピンの突出高さの範囲内の高さ位置として前記はみ出した単位丁合物と接触することにより回動する接触検知体と、
を有することを特徴とする丁合装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定種類のパンフレットや個別の帳票等を順次積み重ねて一括丁合物とさせる丁合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば所定数のパンフレットや所定枚数の帳票体を積み重ねて丁合し、総てを丁合した丁合物を封緘体に封入した後に、個別先に配送することが行われており、封緘体に封入される丁合物が個別先に合致し、折れなどのない状態となっている必要がある。そのために丁合過程で丁合対象を積み重ねた際の積み重ね位置からのはみ出しを効果的に検知することが望まれる。
【0003】
従来、丁合物を封緘体に封入させる装置として、例えば特許文献1に記載されている封書作成装置が知られている。特許文献1には、搬送ライン上を整列状態にして順次移送する複数の区分けポケットを移動させながら用紙などの丁合物を単位用紙供給部から、また識別コードを有する切断用紙を切断用紙供給部から受け入れて単位用紙と切断用紙とからなる丁合物を袋綴じするものであり、それぞれが受け入れ位置で適正に供給されているかを検出するジャムセンサーがそれぞれ設けられていることが記載されている。
【0004】
上記特許文献1に記載されているジャムセンサーがどのようなセンサーかの詳細は記載されていないが、例えば特許文献2に記載されているような検出手段が知られている。特許文献2には、形態欠陥検出装置に関し、折り加工された枚葉帳票に対して折り合わせ面どうしを接着するシーリング加工部への直前の帳票搬送経路に設置され、レーザー光線投光部と受光部とが一体に組み込まれた光回帰型光電センサと回帰型反射板とを用い、レーザー光線投光部から上記帳票の上面よりも3~5mm上に接近し上記枚葉帳票の全幅を通過する光路となるようにレーザー光線を当該枚葉帳票の走行方向に対して直角方向、かつ平行方向に投光し、上記光回帰型光電センサと枚葉帳票を挟んでその両側に向かい合わせで配置した上記回帰型反射板に入射させて反射させ、同一光路を逆進して戻ったレーザー光線を受光部に受光させることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第4038294号公報
【文献】特許第5412811号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載されているように搬送ラインで移送させる区分けポケットを構成する搬送ピンが搬送ライン上に突出している搬送系では、特許文献2に記載されているような光学センサを用いることは、光線が直線状に照射、反射されることから、上記搬送ピンで光学センサが反応してしまい、例えば供給される丁合物が丁合対象の丁合物上に位置されずに搬送ピン上に位置されたり、供給途中に位置されるようなはみ出しを検出することができないという問題がある。
【0007】
そこで、本発明は上記課題に鑑みなされたもので、丁合対象上に供給される単位丁合物のはみ出しを搬送ピンで搬送する形態であっても確実に検知させる丁合装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1の発明では、突出した所定数の搬送ピンで搬送する搬送ライン上の搬送方向に沿って定められた所定数の丁合位置で、丁合対象上に単位丁合物が順次供給されて最終的に一括丁合物とされ、供給された単位丁合物が丁合対象上からはみ出した状態を検知する検知手段が当該搬送ライン上の所定の丁合位置の下流側に所定数設けられる丁合装置であって、前記検知手段は、前記搬送ラインの幅方向の一方の側端側に配置され、可動することで検知状態となる検知可動体を備える検知部と、前記搬送ラインの幅方向に懸架される線形状のものであり、一端が前記検知部の検知可動体に取り付けられ、他端が当該搬送ラインの幅方向の他方の側端側で回動自在に支持され、当該線形状が当該搬送ピンを通過させる通過位置に対応する部分を屈曲させた形状とし、当該屈曲形状の下部を当該搬送ライン上に位置されるべき前記一括丁合物の上面から当該搬送ピンの突出高さの範囲内の高さ位置として前記はみ出した単位丁合物と接触することにより回動する接触検知体と、を有する構成とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、突出した所定数の搬送ピンで搬送する搬送ライン上で順次供給された単位丁合物が丁合対象上からはみ出した状態を検知する検知手段が、可動することで検知状態となる検知可動体を備える検知部と、搬送ラインの幅方向に懸架される線形状のものであり、一端が検知部の検知可動体に取り付けられ、他端が当該搬送ラインの幅方向の他方の側端側で回動自在に支持され、当該線形状が当該搬送ピンを通過させる位置に対応する部分を屈曲させた形状とし、当該屈曲形状の下部を当該搬送ライン上に位置されるべき一括丁合物の上面から当該搬送ピンの突出高さの範囲内の高さ位置としてはみ出した単位丁合物と接触することにより回動する接触検知体とを有する構成とすることにより、搬送ピンで搬送する形態であっても搬送ピンの存在にかかわりなく丁合対象上に供給される単位丁合物のはみ出しを確実に検知させることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の丁合装置が適用される丁合物封入封緘装置の概略構成図である。
【
図3】
図2のはみ出した単位丁合物の検知状態の説明図である。
【
図4】本発明の丁合装置の搬送に関する他の構成説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図により説明する。
図1に、本発明の丁合装置が適用される丁合物封入封緘装置の概略構成図を示す。
図1(A)において、丁合物封入封緘装置11は、搬送方向に沿って搬送幅規制端12A,12Bが設けられた搬送ライン12が搬送面上に2列の搬送溝13A,13Bが形成され、当該搬送溝13A,13Bより丁合間隔ごとにそれぞれ搬送ピン14A,14Bが突出され、図示しない搬送機構により環状に駆動されて移動する。この実施形態では、2つの搬送ピン14A,14Bとして示したが、1列若しくは3列以上の搬送溝としてもよく、当該搬送溝の列数に応じて搬送ピンを対応させることとしてもよい。
【0012】
搬送ライン12の近傍に搬送方向の上流側から下流側に沿って、例えば共通丁合物供給部15A~15Cが配置される。当該共通丁合物供給部15A~15Cからは単位丁合物であって、例えばパンフレットのような個別対象となされない共通の共通丁合用紙21A~21Cが搬送ライン12上に供給されるもので、この供給位置が丁合位置となる。なお、共通丁合物供給部は丁合対象数に応じてそれぞれ配置されることとなる。
【0013】
また、搬送ライン12の近傍であって、上記共通丁合物供給部15A~15Cの下流側に沿って、個別丁合物供給部16A~16Cが配置される。当該個別丁合物供給部16A~16Cは、連続用紙に個別情報が可変情報として印刷されて枚葉とした単位丁合物であって、例えば個別帳票のような個別丁合用紙22A~22Cが搬送ライン12上に供給されるもので、この供給位置が丁合位置となる。なお、個別丁合物供給部は丁合対象数に応じてそれぞれ配置されることとなる。
【0014】
総ての上記個別丁合物供給16A~16Cで丁合された単位丁合物21A~21C,22A~22Cが積み重ねられて丁合された一括丁合物23となるもので、ここまでの構成が丁合装置となる。
【0015】
上記一括丁合物23は、上記個別丁合物供給16A~16Cの下流側の搬送ライン12上に配置された封入封緘部17に搬送される。当該封入封緘部17は、一括丁合物23を、例えばフィルム封緘体24に封入して封緘し、搬送ライン12上を搬送ピン14A,14Bで搬送してストックするものである。
【0016】
一方、各個別丁合物供給16A~16Cの下流側に、供給された単位丁合物22A~22Cがそれまでに積み重ねられた単位丁合物の丁合対象上からはみ出した状態を検知する検出手段18A~18Cがそれぞれ配置される。なお、この実施形態では当該検出手段18A~18Cを各個別丁合物供給16A~16Cの各下流側に配置させた場合を示すが、適宜、共通丁合物供給部15A~15Cの下流側に配置させることとしてもよい。
【0017】
上記検出手段18A~18Cについて、代表して検出手段18Aが、
図1(B)に示すように、搬送ライン12の幅方向における一方の側端側の搬送幅規制端12Aに設けられた支持部19Aに検知部31が取り付けられ、当該検知部31は下方に検知可動体31Aを備える。当該検知可動体31Aが、例えば15度可動すると検知部31でスイッチングされて検知状態となる。
【0018】
上記検知可動体31Aには、接触検知体32の一端が取り付けられる。当該接触検知体32は、搬送ライン12の幅方向に懸架される線形状のものであり、他端が当該搬送ライン12の幅方向における他方の側端側の搬送幅規制端12Bに設けられた支持部19Bに回動自在に支持される。
【0019】
また、上記接触検知体32は、その線形状が当該搬送ピン14A,14Bを通過させる通過位置に対応する部分を屈曲させた形状とし、当該屈曲形状の下部32Aを当該搬送ライン12上に位置されるべき一括丁合物(23)の上面から当該搬送ピン14A,14Bの突出高さの範囲内の高さ位置とさせている。
【0020】
具体的には、一端が取り付けられる検知可動体31Aより下方に垂下され、上記高さ位置で搬送ライン12の幅方向に水平状態で折曲されて接触検知体32の下部32Aとなり、搬送ピン14Aを回避させるように上方側に屈曲させ、続いて下部32Aを介してここからさらに搬送ピン14Bを回避させるように上方側に屈曲させて下部32Aから上方に伸びて搬送ライン12の搬送幅規制端12Bに設けられた支持部19Bに回動自在に支持されるものである。
【0021】
すなわち、接触検知体32がはみ出した単位丁合物に接触することで回動し、これを検知可動体31Aを介して検知部31で検知させることとなるものである。このような接触検知体32は、線形状のものであれば、金属製のワイヤや樹脂製のものであってもよい。また、本実施形態では、上記屈曲形状を角形状とした場合を示しているが、搬送ピン14A,14Bを通過させるものであればどのような屈曲形状であってもよい。
【0022】
ここで、
図2に、単位丁合物のはみ出し状態の説明図を示す。
図2(A)は、例えば個別丁合物供給部16A(16B、16C)より供給される単位丁合物としての単位丁合用紙22A(22B、22C)が丁合対象上への搬送方向にずれて、その一部が搬送ピン14A,14B上に被さってはみ出した状態の場合を示している。
【0023】
また、別のはみ出し状態として、
図2(B)では、例えば個別丁合物供給部16A(16B、16C)より供給される単位丁合物としての単位丁合用紙22A(22B、22C)が丁合対象上まで届かずに、供給方向の後端部分(搬送方向の側部側)が搬送ライン12の一方の搬送幅規制端12Aに被さってはみ出した状態の場合を示している。後述の
図3では、個別丁合物供給部16A(16B、16C)より供給される単位丁合物22A(22B、22C)が
図2(A)のはみ出し状態となった場合として説明する。
【0024】
そこで、
図3に、
図2のはみ出した単位丁合物の検知状態の説明図を示す。
図3(A)は、
図2(A)のように個別丁合用紙22Aが搬送ピン14A,14Bに被さった状態から、
図3(B)に示すように当該搬送ピン14A、14Bで搬送され、
図3(C)への進行となる。
【0025】
図3(C)において、はみ出した個別丁合用紙22Aは、その進行で接触検知体32の、その下部32Aを含めて何れかに接触状態となり、そのまま当該接触検知体32が押されることによって回動する。これに伴って検知可動体31Aが可動して検知部31で検知状態となる。ちなみに、当該検知部31によってはみ出し検知されたときには、丁合物封入封緘装置11は、例えば停止状態に制御されて作業者によって位置調整される。
【0026】
このように、丁合用紙のはみ出しを光学系による検知ではなく、搬送させる搬送ピン14A、14Bの通過させる形状の接触検知体32で検知させることから、搬送ピン14A,14Bで搬送する形態であっても当該搬送ピン14A,14Bの存在にかかわりなく丁合対象上に供給される単位丁合物のはみ出しを確実に検知させることができるものである。
【0027】
次に、
図4に、本発明の丁合装置の搬送に関する他の構成説明図を示す。
図4において、少なくとも上記検出手段18A(18B、18C)の上流側に積み重ね押え部41を設けたものである。当該積み重ね押え部41は、積み重ねられた丁合物の厚さに影響を与えないために、例えば板バネのような部材が使用される。
【0028】
上記積み重ね押え部41は、積み重ねられた丁合物が搬送中に浮いた状態となって検知手段18A(18B、18C)で検知されないようにするためであり、誤検知を防止することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明の丁合装置は、所定種類のパンフレットや個別の帳票等を積み重ねて丁合する機構の製造、使用、販売等の産業に利用可能である。
【符号の説明】
【0030】
11 丁合物封入封緘装置
12 搬送ライン
12A,12B 搬送幅規制端
13A,13B 搬送溝
14A,14B 搬送ピン
15A~15C 共通丁合物供給部
16A~16C 個別丁合物供給部
17 封入封緘部
18A~18C 検出手段
19A,19B 支持部
21A~21C 共通丁合用紙
22A~22C 個別丁合用紙
23 一括丁合物
24 フィルム封緘体
31 検知部
31A 検知可動体
32 接触検知体
32A 下部
41 積み重ね押え部