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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-10
(45)【発行日】2023-02-20
(54)【発明の名称】衣類処理装置
(51)【国際特許分類】
   D06F 33/34 20200101AFI20230213BHJP
【FI】
D06F33/34
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019122953
(22)【出願日】2019-07-01
(65)【公開番号】P2021007636
(43)【公開日】2021-01-28
【審査請求日】2022-02-07
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】松井 陽子
【審査官】程塚 悠
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-011618(JP,A)
【文献】特開2011-067604(JP,A)
【文献】特開2010-127490(JP,A)
【文献】特開平05-137888(JP,A)
【文献】特開2019-042186(JP,A)
【文献】特開2006-247062(JP,A)
【文献】特開2013-226241(JP,A)
【文献】特開平10-302141(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 33/30-33/34
D06F 39/02-39/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外箱と、
前記外箱の内部に設けられ、衣類を収容する衣類処理槽と、
衣類を処理する衣類処理剤を貯留するタンクと、
前記タンクに貯留されている衣類処理剤を前記衣類処理槽内に投入する自動投入部と、
使用者が手動で投入する衣類処理剤を前記衣類処理槽内に供給するための手動用供給経路と、
前記手動用供給経路に水を供給する手動用給水弁と、
前記自動投入部が自動で投入する衣類処理剤を前記衣類処理槽内に供給するための自動用供給経路と、
前記自動用供給経路に水を供給する自動用給水弁と、
前記手動用給水弁および前記自動用給水弁の動作を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記手動用給水弁および前記自動用給水弁の動作を制御することにより、前記手動用供給経路および前記自動用供給経路を洗浄する洗浄処理を実行可能であり、前記洗浄処理において、前記手動用給水弁および前記自動用給水弁をそれぞれ単独で動作させる単独動作モードと、前記手動用給水弁および前記自動用給水弁を同時に動作させる同時動作モードと、を実行可能である衣類処理装置。
【請求項2】
外箱と、
前記外箱の内部に設けられ、衣類を収容する衣類処理槽と、
衣類を処理する衣類処理剤を貯留するタンクと、
前記タンクに貯留されている衣類処理剤を前記衣類処理槽内に投入する自動投入部と、
使用者が手動で投入する衣類処理剤を前記衣類処理槽内に供給するための手動用供給経路と、
前記手動用供給経路に水を供給する手動用給水弁と、
前記自動投入部が自動で投入する衣類処理剤を前記衣類処理槽内に供給するための自動用供給経路と、
前記自動用供給経路に水を供給する自動用給水弁と、
前記手動用給水弁および前記自動用給水弁の動作を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記手動用給水弁および前記自動用給水弁の動作を制御することにより、前記手動用供給経路および前記自動用供給経路を洗浄する洗浄処理を実行可能であり、運転履歴に応じて、前記洗浄処理における前記手動用給水弁および前記自動用給水弁の動作を変更する衣類処理装置。
【請求項3】
外箱と、
前記外箱の内部に設けられ、衣類を収容する衣類処理槽と、
衣類を処理する衣類処理剤を貯留するタンクと、
前記タンクに貯留されている衣類処理剤を前記衣類処理槽内に投入する自動投入部と、
使用者が手動で投入する衣類処理剤を前記衣類処理槽内に供給するための手動用供給経路と、
前記手動用供給経路に水を供給する手動用給水弁と、
前記自動投入部が自動で投入する衣類処理剤を前記衣類処理槽内に供給するための自動用供給経路と、
前記自動用供給経路に水を供給する自動用給水弁と、
前記手動用給水弁および前記自動用給水弁の動作を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記手動用給水弁および前記自動用給水弁の動作を制御することにより、前記手動用供給経路および前記自動用供給経路を洗浄する洗浄処理を実行可能であり、前記洗浄処理において、前記手動用給水弁および前記自動用給水弁の動作を停止させる期間を設ける衣類処理装置。
【請求項4】
外箱と、
前記外箱の内部に設けられ、衣類を収容する衣類処理槽と、
衣類を処理する衣類処理剤を貯留するタンクと、
前記タンクに貯留されている衣類処理剤を前記衣類処理槽内に投入する自動投入部と、
使用者が手動で投入する衣類処理剤を前記衣類処理槽内に供給するための手動用供給経路と、
前記手動用供給経路に水を供給する手動用給水弁と、
前記自動投入部が自動で投入する衣類処理剤を前記衣類処理槽内に供給するための自動用供給経路と、
前記自動用供給経路に水を供給する自動用給水弁と、
前記手動用給水弁および前記自動用給水弁の動作を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記手動用給水弁および前記自動用給水弁の動作を制御することにより、前記手動用供給経路および前記自動用供給経路を洗浄する洗浄処理を実行可能であり、センサによる検知結果に応じて、前記洗浄処理における前記手動用給水弁および前記自動用給水弁の動作を変更する衣類処理装置。
【請求項5】
前記衣類処理槽内の水を排出するための排水弁を備え、
前記制御部は、前記排水弁を閉じた状態で前記センサによる検知処理を実行する請求項に記載の衣類処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記自動用給水弁を動作させて前記自動用供給経路を洗浄する場合には前記自動投入部も動作させる請求項1から5の何れか1項に記載の衣類処理装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記洗浄処理を実行する専用の運転コースを備える請求項1からの何れか1項に記載の衣類処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、衣類処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、衣類に所定の処理を施す衣類処理装置の一例である洗濯機においては、使用者による手動により洗剤や柔軟剤などの衣類処理剤が投入される手動投入部を備えたものが提供されている。そして、近年、洗濯機においては、使用者の利便性向上の要望に応えるため、衣類処理剤を自動投入用のタンク内に予め複数回分貯留しておき、洗濯運転中に必要量をタンクから自動的に水槽内へ投入する自動投入部を備えた構成が開発されている(例えば、特許文献1参照)。つまり、手動投入部および自動投入部の双方を備える洗濯機の開発が進められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-11618号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、洗濯機においては、槽内に衣類処理剤を供給する供給経路において、衣類処理剤が固着してしまうという懸念があり、従って、供給経路を洗浄するための技術の開発が進められている。そして、本願発明者は、使用者が手動で投入する衣類処理剤を槽内に供給するための手動用供給経路、および、自動投入部が自動で投入する衣類処理剤を槽内に供給するための自動用供給経路にそれぞれ給水弁が設けられている構成に着目し、この構成を利用して、供給経路を効率良く洗浄することができる技術の開発を進めている。
【0005】
そこで、本実施形態は、手動用供給経路および自動用供給経路にそれぞれ給水弁が設けられている構成において、供給経路を効率良く洗浄することができるようにした衣類処理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態の衣類処理装置は、外箱と、前記外箱の内部に設けられ、衣類を収容する衣類処理槽と、衣類を処理する衣類処理剤を貯留するタンクと、前記タンクに貯留されている衣類処理剤を前記衣類処理槽内に投入する自動投入部と、使用者が手動で投入する衣類処理剤を前記衣類処理槽内に供給するための手動用供給経路と、前記手動用供給経路に水を供給する手動用給水弁と、前記自動投入部が自動で投入する衣類処理剤を前記衣類処理槽内に供給するための自動用供給経路と、前記自動用供給経路に水を供給する自動用給水弁と、前記手動用給水弁および前記自動用給水弁の動作を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記手動用給水弁および前記自動用給水弁の動作を制御することにより、前記手動用供給経路および前記自動用供給経路を洗浄する洗浄処理を実行可能であり、前記洗浄処理において、前記手動用給水弁および前記自動用給水弁をそれぞれ単独で動作させる単独動作モードと、前記手動用給水弁および前記自動用給水弁を同時に動作させる同時動作モードと、を実行可能であるあるいは、運転履歴に応じて、前記洗浄処理における前記手動用給水弁および前記自動用給水弁の動作を変更する。あるいは、前記洗浄処理において、前記手動用給水弁および前記自動用給水弁の動作を停止させる期間を設ける。あるいは、センサによる検知結果に応じて、前記洗浄処理における前記手動用給水弁および前記自動用給水弁の動作を変更する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施形態に係る洗濯機の構成例を概略的に示す縦断側面図
図2】本実施形態に係る給水部の構成例を概略的に示す図
図3】本実施形態に係る洗濯機の制御系の構成例を概略的に示すブロック図
図4】本実施形態に係る通常パターンの一例を概略的に示す図
図5】本実施形態に係る第1変形パターンの一例を概略的に示す図
図6】本実施形態に係る第2変形パターンの一例を概略的に示す図
図7】本実施形態に係る第3変形パターンの一例を概略的に示す図
図8】本実施形態に係る洗濯機の制御例を概略的に示すフローチャート(その1)
図9】本実施形態に係る洗濯機の制御例を概略的に示すフローチャート(その2)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、衣類処理装置に係る複数の実施形態について図面を参照ながら説明する。なお、複数の実施形態において実質的に同一の構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0009】
(第1実施形態)
図1に例示する洗濯機1は、衣類に所定の処理、この場合、少なくとも、洗い処理、すすぎ処理、脱水処理を施すことが可能な衣類処理装置の一例である。また、洗濯機1は、回転槽の回転中心軸が水平方向あるいは水平方向に対して傾斜する方向に延びる、いわゆるドラム式の洗濯機である。
【0010】
洗濯機1は、その外郭を構成する矩形箱状の外箱2の内部に、衣類を洗浄するための洗浄槽3を備えている。洗浄槽3は、衣類処理槽の一例であり、有底円筒状の水槽の内部に、同じく有底円筒状のドラムを回転可能に備えた構成である。ドラムの周壁には多数の小孔が設けられており、また、ドラムの内周面には、衣類をかき上げるためのバッフルが設けられている。洗浄槽3の前面開口部は、外箱2の前面に設けられたドア5によって開閉可能となっている。使用者は、ドア5を開くことにより、洗浄槽3の前面開口部を通して当該洗浄槽3内に衣類を出し入れすることができる。
【0011】
また、洗濯機1は、洗浄槽3内に水を供給するための給水部4、および、洗浄槽3内の水を機外に排水するための排水部6を備えている。給水部4は、例えば水道などの図示しない水源から洗浄槽3に延びる給水経路の途中に給水弁ユニット10などを備えた構成となっている。また、排水部6は、洗浄槽3の底部から機外に延びる排水経路の途中に排水弁7などを備えた構成となっている。排水弁7が閉じられた状態で給水部4により洗浄槽3内に水が供給されることにより、洗浄槽3内に水が溜められる。また、排水弁7が開かれることにより、洗浄槽3内の水が排水経路を介して機外に排出される。
【0012】
図2に例示するように、給水部4は、図示しない水源から洗浄槽3に延びる給水経路の途中に、給水弁ユニット10、自動投入部11、注水ケース12などを備えた構成となっている。給水弁ユニット10の入口は、例えば水道などの図示しない水源に接続されている。また、給水弁ユニット10は、少なくとも2つの給水弁10a,10bを有している。給水弁10aは、手動用給水弁の一例であり、手動用供給経路13aを介して注水ケース12に接続されている。給水弁10bは、自動用給水弁の一例であり、自動用供給経路13bを介して注水ケース12に接続されている。以下、給水弁10aを手動用給水弁10aと称し、給水弁10bを自動用給水弁10bと称する。注水ケース12の出口は、給水ホース14を介して洗浄槽3に接続されている。
【0013】
自動投入部11は、洗剤タンク15および柔軟剤タンク16を備えている。洗剤タンク15および柔軟剤タンク16は、給水部4に対し着脱可能に備えられている。洗剤タンク15内には、運転複数回分の衣類処理剤、この場合、洗浄槽3内の衣類を洗浄するための洗剤を貯留可能となっている。柔軟剤タンク16内には、運転複数回分の衣類処理剤、この場合、洗浄槽3内の衣類に柔軟処理を施すための柔軟剤を貯留可能となっている。
【0014】
洗剤タンク15は、洗剤用計量ポンプ17を介して自動用供給経路13bに接続されている。洗剤用計量ポンプ17は、例えば、モータやソレノイドなどのアクチュエータによってピストンを駆動することにより液体を吸引して送出する構成となっている。洗剤用計量ポンプ17は、洗剤タンク15内から所定量、この場合、1回の運転に使用する量の洗剤を吸引し、その吸引した洗剤を自動用供給経路13b内に送出する。そして、自動用供給経路13b内に送出された洗剤は、給水弁ユニット10の自動用給水弁10bから供給される水とともに注水ケース12内に導入される。そして、注水ケース12内に導入された洗剤は、同じく注水ケース12内に導入された水とともに給水ホース14を介して洗浄槽3内に供給される。これにより、洗剤タンク15内から洗浄槽3内に洗剤が自動的に投入される。なお、洗剤用計量ポンプ17は、液体を吸引するものに限られず、例えば、液体を押し出すものであってもよい。
【0015】
柔軟剤タンク16は、柔軟剤用計量ポンプ18を介して自動用供給経路13bに接続されている。柔軟剤用計量ポンプ18は、例えば、モータやソレノイドなどのアクチュエータによってピストンを駆動することにより液体を吸引して送出する構成となっている。柔軟剤用計量ポンプ18は、柔軟剤タンク16内から所定量、この場合、1回の運転に使用する量の柔軟剤を吸引し、その吸引した柔軟剤を自動用供給経路13b内に送出する。そして、自動用供給経路13b内に送出された柔軟剤は、給水弁ユニット10の自動用給水弁10bから供給される水とともに注水ケース12内に導入される。そして、注水ケース12内に導入された柔軟剤は、同じく注水ケース12内に導入された水とともに給水ホース14を介して洗浄槽3内に供給される。これにより、柔軟剤タンク16内から洗浄槽3内に柔軟剤が自動的に投入される。なお、柔軟剤用計量ポンプ18は、液体を吸引するものに限られず、例えば、液体を押し出すものであってもよい。
【0016】
また、注水ケース12内には、手動投入用ケース12aが出し入れ可能に収容されている。手動投入用ケース12a内には、使用者の手動によって洗剤が投入される図示しない手動洗剤投入部、および、使用者の手動によって柔軟剤が投入される図示しない手動柔軟剤投入部が設けられている。手動洗剤投入部に投入されている洗剤、あるいは、手動柔軟剤投入部に投入されている柔軟剤は、給水弁ユニット10から手動用供給経路13aを介して注水ケース12内に注水される水とともに給水ホース14を介して洗浄槽3内に供給される。
【0017】
以上のように構成される給水部4において、手動用供給経路13aは、使用者が手動で投入する洗剤や柔軟剤などの衣類処理剤を洗浄槽3内に供給するための供給経路を構成している。また、自動用供給経路13bは、自動投入部11が自動で投入する洗剤や柔軟剤などの衣類処理剤を洗浄槽3内に供給するための供給経路を構成している。
【0018】
次に、洗濯機1の制御系の構成例について説明する。図3に例示する制御装置50は、制御部の一例である。制御装置50は、例えば、マイクロコンピュータを主体として構成されており、制御プログラムや各種の設定情報に基づいて洗濯機1の動作全般を制御する。制御装置50には、排水弁7、手動用給水弁10a、自動用給水弁10b、洗剤用計量ポンプ17、柔軟剤用計量ポンプ18、図示しないドラム回転モータなどの各種の駆動系の構成要素が接続されており、制御装置50は、これらの動作を制御する。また、制御装置50には、センサの一例として水温センサ19が接続されている。水温センサ19は、例えばサーミスタなどを主体として構成されており、この場合、給水弁ユニット10に供給される水の温度を検知可能に構成されている。
【0019】
また、制御装置50には、操作部20が接続されている。操作部20は、例えば外箱2の前面上部に設けられている表示パネル40に形成されるタッチボタンや、表示パネル40の近傍に設けられる機械式の操作ボタンなどを含む。操作部20は、運転に関連する各種の情報、例えば、実行する運転コースや運転時間などを設定するための設定ボタン、運転を開始したり一時停止したりするためのボタンを含む。また、操作部20は、自動投入部11による洗剤や柔軟剤などの衣類処理剤の自動投入の実行または不実行を設定するための設定ボタンを含む。この場合、操作部20は、洗剤の自動投入および柔軟剤の自動投入について、それぞれ別個に実行または不実行を設定できるようになっている。
【0020】
また、制御装置50には、記憶部21が接続されている。記憶部21は、例えばメモリなどの記憶媒体により構成されており、運転に関連する各種の情報、例えば、操作部20を介して設定された設定内容などを記憶する。また、記憶部21には、過去における運転履歴、例えば、過去に実行された運転の実行回数を記憶することができ、さらに、衣類処理剤の自動投入の実行が設定された状態で運転が実行された回数と、衣類処理剤の自動投入の実行が設定されていない状態で運転が実行された回数とに分けて、運転回数を記憶することが可能となっている。
【0021】
本実施形態に係る洗濯機1において、制御装置50は、複数の供給経路、この場合、手動用供給経路13aおよび自動用供給経路13bを洗浄する洗浄処理を実行可能に構成されている。この場合、制御装置50は、手動用給水弁10aおよび自動用給水弁10bの動作を制御することにより供給経路の洗浄処理を実行するように構成されている。以下、この洗浄処理について詳細に説明する。
【0022】
本実施形態に係る洗濯機1において、制御装置50は、洗浄処理を複数のパターンにより切り換えて実行可能に構成されている。以下、それぞれのパターンについて順に説明する。
【0023】
(通常パターン)
図4に例示するように、通常パターンは、複数、この場合、2つの洗浄セットを含んでいる。そして、第1セットは複数、この場合、7つの期間を含み、第2セットは複数、この場合、7つの期間を含んでいる。
【0024】
第1セットの第1期間では、制御装置50は、所定時間、例えば、10秒程度の時間、手動用給水弁10aを動作させる。このとき、制御装置50は、自動用給水弁10bの動作を停止させる。これにより、第1セットの第1期間では、手動用供給経路13aに水が供給されるようになる。そして、第1セットの第2期間では、制御装置50は、所定時間、例えば、10秒程度の時間、自動用給水弁10bを動作させる。このとき、制御装置50は、手動用給水弁10aの動作を停止させる。これにより、第1セットの第2期間では、自動用供給経路13bに水が供給されるようになる。
【0025】
ここで、第1セットの第1期間および第2期間においては、制御装置50は、手動用給水弁10aおよび自動用給水弁10bをそれぞれ単独で動作させている。即ち、制御装置50は、手動用給水弁10aおよび自動用給水弁10bを単独動作モードにより動作させている。また、制御装置50は、この単独動作モードにおいて、手動用給水弁10aを動作させる時間と自動用給水弁10bを動作させる時間とを同じ時間で設定している。但し、制御装置50は、手動用給水弁10aを動作させる時間と自動用給水弁10bを動作させる時間とを異なる時間で設定するようにしてもよい。
【0026】
そして、第1セットの第3期間,第4期間,第5期間では、制御装置50は、手動用給水弁10aおよび自動用給水弁10bの双方の動作を停止させる。これにより、第1セットの第3期間,第4期間,第5期間では、手動用供給経路13aおよび自動用供給経路13bへの水の供給が何れも停止されるようになる。そして、第1セットの第6期間では、制御装置50は、所定時間、例えば、10秒程度の時間、自動用給水弁10bを動作させる。このとき、制御装置50は、手動用給水弁10aの動作を停止させる。これにより、第1セットの第6期間では、自動用供給経路13bに水が供給されるようになる。
【0027】
なお、洗浄処理においては、洗剤タンク15内や柔軟剤タンク16内の洗浄を行うことも可能である。この場合、使用者は、洗剤タンク15内、柔軟剤タンク16内に水またはお湯を貯留する。また、使用者は、洗剤タンク15内や柔軟剤タンク16内を洗浄するポンプ洗浄処理の実行を、操作部20を介して設定する。なお、洗浄処理において洗剤タンク15内や柔軟剤タンク16内に貯留する液体は、洗浄用の液剤であってもよい。洗浄用の液剤としては、例えば、クエン酸などの洗浄機能を有する成分を含む液剤、水、お湯などが考えられる。
【0028】
そして、制御装置50は、ポンプ洗浄処理の実行が設定されている場合には、第1セットの第1期間から第6期間において、自動投入部11を動作させる。自動投入部11を動作させる所定時間、換言すれば、第1期間の開始から第6期間の終了までの所要時間は、例えば、300秒程度の時間である。また、自動投入部11を動作させる場合には、洗剤用計量ポンプ17および柔軟剤用計量ポンプ18の双方を動作させてもよいし、洗剤用計量ポンプ17および柔軟剤用計量ポンプ18の何れか一方を動作させてもよい。また、洗剤用計量ポンプ17および柔軟剤用計量ポンプ18を交互に切り換えながら動作させてもよいし、洗剤用計量ポンプ17および柔軟剤用計量ポンプ18を同時に動作させてもよい。
【0029】
なお、上述したポンプ洗浄処理において動作させるポンプ17,18の設定、換言すれば、どのポンプ17,18を動作させるのかの設定は、例えば、使用者により操作部20を介して設定することが可能となっている。なお、ポンプ洗浄処理において動作させるポンプ17,18の設定は、制御装置50が、例えば洗濯機1の運転履歴などに応じて自動的に設定するようにしてもよい。
【0030】
そして、第1セットの第7期間では、制御装置50は、手動用給水弁10aおよび自動用給水弁10bの動作を停止させる。また、制御装置50は、自動投入部11の動作を停止させる。即ち、この第7期間は、実質的に洗浄が行われない待機期間として設けられている。自動用給水弁10b、手動用給水弁10a、自動投入部11の動作を停止させる所定時間、換言すれば、待機期間である第7期間の時間は、例えば、20秒程度の時間である。
【0031】
次に、第2セットの第1期間では、制御装置50は、所定時間、例えば、10秒程度の時間、手動用給水弁10aを動作させる。このとき、制御装置50は、自動用給水弁10bの動作を停止させる。これにより、第2セットの第1期間では、手動用供給経路13aに水が供給されるようになる。そして、第2セットの第2期間,第3期間,第4期間,第5期間では、制御装置50は、手動用給水弁10aおよび自動用給水弁10bの双方の動作を停止させる。これにより、第2セットの第2期間,第3期間,第4期間,第5期間では、手動用供給経路13aおよび自動用供給経路13bへの水の供給が何れも停止されるようになる。そして、第2セットの第6期間では、制御装置50は、所定時間、例えば、10秒程度の時間、自動用給水弁10bを動作させる。このとき、制御装置50は、手動用給水弁10aの動作を停止させる。これにより、第2セットの第6期間では、自動用供給経路13bに水が供給されるようになる。
【0032】
なお、制御装置50は、ポンプ洗浄処理の実行が設定されている場合には、第2セットの第1期間から第6期間において、自動投入部11を動作させる。自動投入部11を動作させる所定時間、換言すれば、第1期間の開始から第6期間の終了までの所要時間は、例えば、300秒程度の時間である。また、自動投入部11を動作させる場合には、洗剤用計量ポンプ17および柔軟剤用計量ポンプ18の双方を動作させてもよいし、洗剤用計量ポンプ17および柔軟剤用計量ポンプ18の何れか一方を動作させてもよい。また、洗剤用計量ポンプ17および柔軟剤用計量ポンプ18を交互に切り換えながら動作させてもよいし、洗剤用計量ポンプ17および柔軟剤用計量ポンプ18を同時に動作させてもよい。
【0033】
なお、上述したポンプ洗浄処理において動作させるポンプ17,18の設定は、使用者による操作部20を介した手動操作により設定するようにしてもよいし、制御装置50が自動的に設定するようにしてもよい。
【0034】
そして、第2セットの第7期間では、制御装置50は、手動用給水弁10aおよび自動用給水弁10bの動作を停止させる。また、制御装置50は、自動投入部11の動作を停止させる。即ち、この第7期間は、実質的に洗浄が行われない待機期間として設けられている。自動用給水弁10b、手動用給水弁10a、自動投入部11の動作を停止させる所定時間、換言すれば、待機期間である第7期間の時間は、例えば、40秒程度の時間である。即ち、制御装置50は、第1セットにおける待機期間と第2セットにおける待機時間とを異なる時間で設定している。なお、制御装置50は、第1セットにおける待機期間と第2セットにおける待機時間とを同じ時間で設定してもよい。
【0035】
また、以上のように構成される通常パターンにおいて、制御装置50は、排水弁7の動作も制御するように構成されている。この場合、制御装置50は、第1セットの第1期間では排水弁7を閉じ、以降の第1セットの第2期間の開始から第2セットの第7期間の終了まで排水弁7を開くように構成されている。
【0036】
制御装置50は、以上のように構成される通常パターンに加えて、さらに、複数、この場合、3つの変形パターンを実行可能に構成されている。以下、それぞれの変形パターンについて説明する。
【0037】
(第1変形パターン)
第1変形パターンは、上述した通常パターンをベースとして、手動用給水弁10aの動作時間に変更を加えたパターンとなっている。即ち、図5に例示するように、制御装置50は、第1セットの第1期間および第2期間にわたって連続して手動用給水弁10aを動作させる。従って、制御装置50は、所定時間、例えば、20秒程度の時間、手動用給水弁10aを動作させる。このとき、制御装置50は、自動用給水弁10bの動作を停止させる。
【0038】
そして、第1セットの第3期間では、制御装置50は、所定時間、例えば、10秒程度の時間、自動用給水弁10bを動作させる。このとき、制御装置50は、手動用給水弁10aの動作を停止させる。ここで、第1セットの第1期間,第2期間,第3期間においては、制御装置50は、手動用給水弁10aおよび自動用給水弁10bをそれぞれ単独で動作させている。即ち、制御装置50は、手動用給水弁10aおよび自動用給水弁10bを単独動作モードにより動作させている。また、制御装置50は、この単独動作モードにおいて、手動用給水弁10aを動作させる時間と自動用給水弁10bを動作させる時間とを異なる時間で設定している。
【0039】
そして、第1セットの第4期間,第5期間では、制御装置50は、手動用給水弁10aおよび自動用給水弁10bの双方の動作を停止させる。そして、第1セットの第6期間では、制御装置50は、所定時間、例えば、10秒程度の時間、自動用給水弁10bを動作させる。このとき、制御装置50は、手動用給水弁10aの動作を停止させる。そして、第1セットの第7期間では、制御装置50は、手動用給水弁10aおよび自動用給水弁10bの動作を停止させる。
【0040】
第2セットにおける手動用給水弁10aおよび自動用給水弁10bの動作は、この場合、第1セットと同様である。但し、制御装置50は、第2セットにおける手動用給水弁10aおよび自動用給水弁10bの動作を、第1セットにおける手動用給水弁10aおよび自動用給水弁10bの動作と異なる内容で設定してもよい。また、この第1変形パターンにおける自動投入部11および排水弁7の動作は、上述した通常パターンと同様である。但し、制御装置50は、この第1変形パターンにおける自動投入部11および排水弁7の動作を、上述した通常パターンと異なる内容で設定してもよい。
【0041】
(第2変形パターン)
第2変形パターンは、上述した通常パターンをベースとして、自動用給水弁10bの動作時間に変更を加えたパターンとなっている。即ち、図6に例示するように、制御装置50は、第1セットの第1期間および第2期間にわたって連続して自動用給水弁10bを動作させる。従って、制御装置50は、所定時間、例えば、20秒程度の時間、自動用給水弁10bを動作させる。このとき、制御装置50は、手動用給水弁10aの動作を停止させる。
【0042】
そして、第1セットの第3期間では、制御装置50は、所定時間、例えば、10秒程度の時間、手動用給水弁10aを動作させる。このとき、制御装置50は、自動用給水弁10bの動作を停止させる。ここで、第1セットの第1期間,第2期間,第3期間においては、制御装置50は、手動用給水弁10aおよび自動用給水弁10bをそれぞれ単独で動作させている。即ち、制御装置50は、手動用給水弁10aおよび自動用給水弁10bを単独動作モードにより動作させている。また、制御装置50は、この単独動作モードにおいて、手動用給水弁10aを動作させる時間と自動用給水弁10bを動作させる時間とを異なる時間で設定している。
【0043】
そして、第1セットの第4期間,第5期間では、制御装置50は、手動用給水弁10aおよび自動用給水弁10bの双方の動作を停止させる。そして、第1セットの第6期間では、制御装置50は、所定時間、例えば、10秒程度の時間、自動用給水弁10bを動作させる。このとき、制御装置50は、手動用給水弁10aの動作を停止させる。そして、第1セットの第7期間では、制御装置50は、手動用給水弁10aおよび自動用給水弁10bの動作を停止させる。
【0044】
第2セットにおける手動用給水弁10aおよび自動用給水弁10bの動作は、この場合、第1セットと同様である。但し、制御装置50は、第2セットにおける手動用給水弁10aおよび自動用給水弁10bの動作を、第1セットにおける手動用給水弁10aおよび自動用給水弁10bの動作と異なる内容で設定してもよい。また、この第2変形パターンにおける自動投入部11および排水弁7の動作は、上述した通常パターンと同様である。但し、制御装置50は、この第2変形パターンにおける自動投入部11および排水弁7の動作を、上述した通常パターンと異なる内容で設定してもよい。
【0045】
(第3変形パターン)
第3変形パターンは、上述した通常パターンをベースとして、自動用給水弁10bおよび手動用給水弁10bの動作時間に変更を加えたパターンとなっている。即ち、図7に例示するように、制御装置50は、第1セットの第1期間では、自動用給水弁10bおよび手動用給水弁10bの双方を動作させる。ここで、第1セットの第1期間においては、制御装置50は、手動用給水弁10aおよび自動用給水弁10bの双方を同時に動作させている。即ち、制御装置50は、手動用給水弁10aおよび自動用給水弁10bを同時動作モードにより動作させている。また、制御装置50は、この同時動作モードにおいて、手動用給水弁10aを動作させる時間と自動用給水弁10bを動作させる時間とを同じ時間で設定している。
【0046】
そして、第1セットの第2期間では、制御装置50は、所定時間、例えば、10秒程度の時間、手動用給水弁10aを動作させる。このとき、制御装置50は、自動用給水弁10bの動作を停止させる。
【0047】
そして、第1セットの第3期間,第4期間,第5期間では、制御装置50は、手動用給水弁10aおよび自動用給水弁10bの双方の動作を停止させる。そして、第1セットの第6期間では、制御装置50は、所定時間、例えば、10秒程度の時間、自動用給水弁10bを動作させる。このとき、制御装置50は、手動用給水弁10aの動作を停止させる。そして、第1セットの第7期間では、制御装置50は、手動用給水弁10aおよび自動用給水弁10bの動作を停止させる。
【0048】
第2セットにおける手動用給水弁10aおよび自動用給水弁10bの動作は、この場合、第1セットと同様である。但し、制御装置50は、第2セットにおける手動用給水弁10aおよび自動用給水弁10bの動作を、第1セットにおける手動用給水弁10aおよび自動用給水弁10bの動作と異なる内容で設定してもよい。また、この第3変形パターンにおける自動投入部11および排水弁7の動作は、上述した通常パターンと同様である。但し、制御装置50は、この第3変形パターンにおける自動投入部11および排水弁7の動作を、上述した通常パターンと異なる内容で設定してもよい。
【0049】
以上に説明した洗浄処理に係る複数のパターンを、制御装置50は、条件に応じて適宜切り換えて実行可能に構成されている。次に、制御装置50が洗浄処理のパターンを切り換える際の制御フローの一例について説明する。
【0050】
図8に例示するように、制御装置50は、過去に実行された運転の実行回数が所定回数を超えているか否かを確認する(A1)。なお、このステップA1における所定回数は、適宜変更して設定することができ、この場合、例えば30回が設定されている。また、過去に実行された運転の実行回数は、制御装置50が運転を実行するたびに記憶部21に実行回数を記憶しておくことで特定することができる。
【0051】
制御装置50は、過去に実行された運転の実行回数が所定回数を超えていない場合(A1:NO)には、洗浄処理のパターンを通常パターンに設定して洗浄処理を実行する(A2)。一方、制御装置50は、過去に実行された運転の実行回数が所定回数を超えている場合(A1:YES)には、手動回数が自動回数よりも多いか否かを確認する(A3)。手動回数は、衣類処理剤の自動投入の実行が設定されていない状態で運転が実行された回数である。また、自動回数は、衣類処理剤の自動投入の実行が設定されている状態で運転が実行された回数である。手動回数および自動回数は、制御装置50が運転を実行するたびに記憶部21にそれぞれの実行回数を記憶しておくことで特定することができる。
【0052】
制御装置50は、手動回数が自動回数よりも多くない場合(A3:NO)には、洗浄処理のパターンを第2変形パターンに設定して洗浄処理を実行する(A4)。一方、制御装置50は、手動回数が自動回数よりも多い場合(A3:YES)には、洗浄処理のパターンを第1変形パターンに設定して洗浄処理を実行する(A5)。
【0053】
また、図9には、図8に例示した制御フローとは異なる制御フローの一例を示している。即ち、制御装置50は、過去に実行された運転の実行回数が所定回数を超えていない場合(B1:NO)、あるいは、手動回数が自動回数よりも多くない場合(B3:NO)には、洗浄処理のパターンを通常パターンに設定して洗浄処理を実行する(B2)。一方、制御装置50は、手動回数が自動回数よりも多い場合(B3:YES)には、洗浄処理のパターンを第3変形パターンに設定して洗浄処理を実行する(B5)。
【0054】
以上に説明した洗濯機1によれば、制御装置50は、手動用給水弁10aおよび自動用給水弁10bの動作を制御することにより、手動用供給経路13aおよび自動用供給経路13bを洗浄する洗浄処理を実行可能である。この構成によれば、手動用給水弁10aおよび自動用給水弁10bの動作を適宜切り換えることにより、手動用供給経路13aおよび自動用供給経路13bへの給水を意図的に切り換えることができ、手動用供給経路13aおよび自動用供給経路13bのそれぞれの洗浄を行うことができる。即ち、洗濯機1によれば、手動用供給経路13aおよび自動用供給経路13bにそれぞれ給水弁10a,10bが設けられている構成を利用して、供給経路13a,13bをそれぞれ効率良く洗浄することができる。
【0055】
また、洗濯機1によれば、制御装置50は、洗浄処理において、手動用給水弁10aおよび自動用給水弁10bをそれぞれ単独で動作させる単独動作モードと、手動用給水弁10aおよび自動用給水弁10bを同時に動作させる同時動作モードと、を実行可能である。
【0056】
ここで、複数の給水弁10a,10bをそれぞれ単独で動作させる単独動作モードによれば、手動用給水弁10aが接続する手動用供給経路13aあるいは自動用給水弁10bが接続する自動用供給経路13bにそれぞれ水を集中して供給することができる。一方、複数の給水弁10a,10bを同時に動作させる同時動作モードによれば、手動用給水弁10aが接続する手動用供給経路13aおよび自動用給水弁10bが接続する自動用供給経路13bに水を分散して供給することができる。従って、洗濯機1によれば、このように給水弁10a,10bの動作モードを適宜切り換えることにより、手動用供給経路13aおよび自動用供給経路13bに対する水の供給態様、換言すれば、洗浄態様を適宜切り換えることができる。
【0057】
具体的な例を説明すると、洗浄処理の初期のおいては、例えば自動用供給経路13b内に衣類処理剤が残っている場合が想定され、このような場合に多量の水が自動用供給経路13b内に集中的に供給されると、泡立ち、水漏れ、泡漏れなどが発生することが懸念される。そのため、洗浄処理の初期においては、給水弁10a,10bを同時動作モードで動作させることにより、それぞれの供給経路13a,13bに水を分散させて自動用供給経路13b内に供給される水量を抑制するようにするとよい。そして、洗浄処理の開始から所定時間が経過した後においては、自動用供給経路13b内に残っていた衣類処理剤もある程度あるいは完全に洗い流されていると想定されるから、給水弁10a,10bの動作モードを単独動作モードに切り換えるようにするとよい。これにより、自動用供給経路13b内に集中して多量の水を供給することができ、自動用供給経路13b内を効率良く洗浄することができる。
【0058】
以上の通り、洗濯機1によれば、給水弁10a,10bの動作モードを単独動作モードおよび同時動作モードに適宜切り換えることにより、供給経路13a,13b内の汚れ具合に応じた適切な洗浄を行うことが可能となる。
【0059】
また、洗濯機1によれば、制御装置50は、自動用給水弁10bを動作させて自動用供給経路13bを洗浄する場合には自動投入部11も動作させることが可能である。この構成によれば、自動用給水弁10bを動作させて自動用供給経路13bを洗浄する場合に、洗剤タンク15内および柔軟剤タンク16内に水またはお湯を貯留した状態で自動投入部11を動作させることにより、洗浄タンク15内および柔軟剤タンク16内の洗浄も行うことができる。なお、この動作において水またはお湯を貯留するタンクは、洗剤タンク15および柔軟剤タンク16の何れか一方だけであってもよい。
【0060】
また、洗濯機1によれば、制御装置50は、運転履歴に応じて、洗浄処理における手動用給水弁10aおよび自動用給水弁10bの動作を変更することが可能である。洗濯機1の運転履歴、例えば、運転の実行回数が多くなるにつれて、手動用供給経路13a内や自動用供給経路13b内の汚れが増加することが想定される。そのため、運転の実行回数に応じて洗浄処理における手動用給水弁10aおよび自動用給水弁10bの動作を適宜変更することにより、供給経路13a,13b内の汚れ具合に応じた洗浄処理を行うことができる。なお、運転履歴としては、運転の実行回数に限られるものではなく、例えば、前回の洗浄処理を実行してからの経過時間などを参照するようにしてもよい。
【0061】
なお、このとき、制御装置50は、過去の運転履歴において手動回数が自動回数よりも多い場合には、単独動作モードで手動用給水弁10aを単独で動作させることにより、手動用供給経路13a内を集中的に洗浄することができる。一方、制御装置50は、過去の運転履歴において自動回数が手動回数よりも多い場合には、単独動作モードで自動用給水弁10bを単独で動作させることにより、自動用供給経路13b内を集中的に洗浄することができる。
【0062】
また、洗濯機1によれば、制御装置50は、洗浄処理において、手動用給水弁10aおよび自動用給水弁10bの双方の動作を停止させる期間、つまり、待機期間を設けることが可能である。この構成によれば、この待機期間において、手動用供給経路13a内や自動用供給経路13b内の汚れが水に溶解する効果あるいは汚れが水によって剥がれ落ちる効果を期待することができ、供給経路13a,13b内の洗浄を一層効果的に行うことが可能である。また、例えば、この待機期間において排水弁7を開くことにより、洗浄槽3内に溜められた洗浄に供された水を機外に迅速に排出することができ、供給経路13a,13bの洗浄処理によって除去された汚れが洗浄槽3内に再付着することを抑制することができる。
【0063】
(第2実施形態)
この実施形態では、制御装置50は、水温センサ19による検知結果、即ち、給水弁ユニット10に供給される水の温度に応じて、洗浄処理における手動用給水弁10aおよび自動用給水弁10bの動作を変更するように構成されている。具体的には、制御装置50は、水温センサ19が検知する水温が所定の上限温度よりも高い場合には、手動用給水弁10aを動作させる動作時間および自動用給水弁10bを動作させる動作時間の少なくとも何れか一方を所定の標準動作時間よりも短くする。また、制御装置50は、水温センサ19が検知する水温が所定の下限温度よりも低い場合には、手動用給水弁10aを動作させる動作時間および自動用給水弁10bを動作させる動作時間の少なくとも何れか一方を所定の標準動作時間よりも長くする。なお、所定の上限温度、下限温度、標準動作時間は、適宜変更して設定することができる。
【0064】
第2実施形態によれば、水温が高い場合には、水により汚れを除去しやすいので、給水弁10a,10bの動作時間を短くしたとしても、十分に供給経路13a,13bを洗浄することができ、また、洗浄時間の短縮を図ることができる。一方、水温が低い場合には、水により汚れを除去しにくくなるので、給水弁10a,10bの動作時間を長くすることで、供給経路13a,13bの洗浄を促進することができる。
【0065】
(第3実施形態)
この実施形態では、水温センサ19は、洗浄槽3内に設けられており、洗浄槽3内の水の温度を検知するように構成されている。洗浄処理の実行中において、洗浄槽3内には手動用供給経路13a内あるいは自動用供給経路13b内を通過した水が供給される。そのため、洗浄槽3内の水の温度を検知することで、手動用供給経路13a内あるいは自動用供給経路13b内に供給される水の温度を間接的に検知することができる。
【0066】
そして、制御装置50は、この場合、排水弁7を閉じた状態で水温センサ19による検知処理を実行するように構成されている。そして、この実施形態においても、制御装置50は、水温センサ19による検知結果に応じて、洗浄処理における手動用給水弁10aおよび自動用給水弁10bの動作を変更するように構成されている。
【0067】
第3実施形態によれば、洗浄槽3内の水の温度に基づき供給経路13a,13b内に供給される水の温度を間接的に検知する構成において、洗浄槽3内の水の温度を検知する場合には、排水弁7を閉じた状態とする。この構成によれば、洗浄槽3内に十分な量の水が溜められた状態で水温を検知することができる。従って、間接的に水温を検知する場合であっても、その検知精度の向上を図ることができ、ひいては、給水弁10a,10bの動作の制御を水温に応じて精度良く行うことができる。
【0068】
(その他の実施形態)
なお、本実施形態は、上述した複数の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の変更や拡張を行うことができる。例えば、上述した複数の実施形態を適宜組み合わせて実施することができる。また、洗濯機1は、3つ以上の複数の供給経路を備え、且つ、複数の供給経路にそれぞれ給水弁を備えた構成としてもよい。この場合も、複数の給水弁の動作を適宜切り換えることにより、複数の供給経路をそれぞれ効率良く洗浄することができる。また、センサは、水温センサ19に限られるものではなく、例えば、においセンサ、水質センサ、湿度センサ、濁度センサなどであってもよい。また、洗濯機1は、このような複数種類のセンサを備える構成としてもよい。
【0069】
また、洗浄処理を構成するセット数は、2つに限られるものではなく、1つであってもよいし、3つ以上の複数であってもよい。また、1セットを構成する期間は、7期間に限られるものではなく、適宜変更して設定することができる。
【0070】
また、洗濯機1は、上述した洗浄処理を実行するための専用の運転コースを備える構成としてもよい。このような専用の運転コースの実行を操作部20の操作により選択可能に構成することで、使用者の意思に応じて洗浄処理を実行することができる。なお、このような専用の運転コースの実行は、例えば、制御装置50が洗濯機1の運転履歴に応じて自動的に実行するように構成してもよい。即ち、制御装置50は、運転の実行回数が所定回数を超えたことに基づき、例えば通常の洗濯コースの完了後、洗浄槽3内から衣類が取り出されてドア5が閉じられたことに応じて専用の運転コースを自動的に実行するように構成してもよい。なお、ドア5が閉じられたことは、例えば、周知のドアロックセンサの検知結果に基づき判定することができる。
【0071】
また、制御装置50は、洗浄処理に待機期間を設ける場合には、その待機期間を開始する前に、供給経路13a,13bに強い水流で水を供給する仕上げ行程を実行するように構成するとよい。この構成によれば、待機期間に入る前に供給経路13a,13b内の汚れの除去を促進することができ、洗浄性能の一層の向上を図ることができる。
【0072】
また、制御装置50は、自動投入部11の動作、換言すれば、洗剤用計量ポンプ17や柔軟剤用計量ポンプ18の動作を停止する前に、給水弁10a,10bを動作させるように構成するとよい。この構成によれば、自動投入部11の動作の停止後において当該自動投入部11から流出する衣類処理剤の残液を、給水弁10a,10bから供給される水によって洗浄槽3内に押し流すことができ、衣類処理剤の残液が供給経路13a,13b内に残ってしまうことを回避することができる。
【0073】
また、タンクは、洗剤を貯留する洗剤タンク15や柔軟剤を貯留する柔軟剤タンク16に限られるものではなく、例えば、消臭剤を貯留する消臭剤タンク、除菌剤を貯留する除菌剤タンクなど、衣類に何らかの処理を施す種々の処理剤を貯留するタンクであれば種々の種類のタンクを適宜採用することができる。また、給水部4に備えられる複数のタンクは、同じ種類の処理剤を貯留するタンクであってもよいし、異なる種類の処理剤を貯留するタンクであってもよい。また、洗濯機1は、給水部4に1つのタンクを備える構成としてもよし、3つ以上の複数のタンクを備える構成としてもよい。また、洗剤用計量ポンプ17および柔軟剤用計量ポンプ18は、液体を吸引するものに限られず、例えば、液体を押し出すものであってもよい。
【0074】
また、本実施形態は、回転槽の回転中心軸が鉛直方向に延びる、いわゆる縦軸型の洗濯機にも適用することができる。また、本実施形態は、乾燥機能を有する洗濯機にも適用することができる。また、本実施形態は、乾燥機能を有しない洗濯機にも適用することができる。また、本実施形態は、例えば、衣類の消臭、脱臭、除菌など、衣類に対して何らかの処理を施す装置であれば、種々の衣類処理装置に適用することができる。
【0075】
以上、本発明の複数の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0076】
図面中、1は洗濯機(衣類処理装置)、2は外箱、3は洗浄槽(衣類処理槽)、7は排水弁、10aは手動用給水弁、10bは自動用給水弁、11は自動投入部、13aは手動用供給経路、13bは自動用供給経路、15は洗剤タンク(タンク)、16は柔軟剤タンク(タンク)、19は水温センサ(センサ)、50は制御装置(制御部)を示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9