(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-10
(45)【発行日】2023-02-20
(54)【発明の名称】シール装置及びホッパ装置並びに粒状物の冷却装置
(51)【国際特許分類】
F27B 21/00 20060101AFI20230213BHJP
F16J 15/14 20060101ALI20230213BHJP
C22B 1/20 20060101ALN20230213BHJP
【FI】
F27B21/00 D
F27B21/00 B
F16J15/14 G
C22B1/20 Z
(21)【出願番号】P 2019139832
(22)【出願日】2019-07-30
【審査請求日】2022-01-27
(73)【特許権者】
【識別番号】314017543
【氏名又は名称】Primetals Technologies Japan株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】尾仲 由光
(72)【発明者】
【氏名】永井 孝典
【審査官】相澤 啓祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-197228(JP,A)
【文献】特公昭35-015651(JP,B1)
【文献】実開昭53-153006(JP,U)
【文献】特開平04-139380(JP,A)
【文献】中国実用新案第205037775(CN,U)
【文献】実開昭63-119650(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F27B 21/00-21/14
F27D 7/00-15/02
C22B 1/00-61/00
F16J 15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側壁及び外側壁を有する環状の桶部と、
前記桶部の前記内側壁と前記外側壁との間に設けられ、前記桶部の底面と離れて位置する下端を有する仕切板と、を備え、
前記桶部に供給されるシール液に前記仕切板の下端部が浸された状態で、前記内側壁側の内側空間と、前記外側壁側の外側空間とを密封するように構成された液封式のシール装置であって、
内部に貯留された前記シール液を溢出させるための溢出部を有する貯留タンクと、
前記貯留タンクからの前記シール液を前記桶部に導くための供給管と、
前記桶部から前記シール液を排出して前記貯留タンクに戻すための排出管と、
前記貯留タンクと前記供給管との間に設けられ、前記貯留タンクの前記溢出部からの前記シール液を集めて前記供給管に送り込むための集液部と、をさらに備え、
前記集液部からの前記シール液が、前記供給管を介して、かつ、ポンプを介さずに、前記桶部に供給されるように構成され、
前記集液部は、高さ方向において、前記供給管の出口開口よりも上方に位置する
シール装置。
【請求項2】
前記貯留タンクの溢出部は、前記外側壁と前記仕切板との間に形成される液室における前記シール液の想定最高液位よりも上方に位置する
請求項1に記載のシール装置。
【請求項3】
前記貯留タンクの前記溢出部は、前記供給管の前記出口開口よりも上方に位置する
請求項1又は2に記載のシール装置。
【請求項4】
前記貯留タンクの前記溢出部は、前記排出管の入口開口よりも上方に位置する
請求項1乃至3の何れか一項に記載のシール装置。
【請求項5】
前記貯留タンクは、前記シール液に混入したダストを前記シール液から分離するための分離部を含み、
前記貯留タンクは、前記分離部で前記ダストが分離された前記シール液を前記溢出部から溢出させるように構成された
請求項1乃至4の何れか一項に記載のシール装置。
【請求項6】
前記桶部内の前記シール液の液位を計測するための液位センサと、
前記液位センサによる前記液位の計測値に基づいて、前記シール液を補給するように構成された補給部と、
をさらに備える請求項1乃至5の何れか一項に記載のシール装置。
【請求項7】
前記液位センサは、前記桶部内の前記シール液に接触せずに前記液位を計測するように構成された非接触式の液位センサである
請求項6に記載のシール装置。
【請求項8】
前記桶部の前記内側壁は、下方に向かうにつれて前記外側壁に近づくように傾斜する傾斜部を含む外表面を有する
請求項1乃至7の何れか一項に記載のシール装置。
【請求項9】
前記桶部の内部において、径方向にて前記仕切板よりも前記内側壁側にて前記仕切板に対向するように設けられ、下方に向かうにつれて前記外側壁に近づくように傾斜するガイド面を備える
請求項1乃至8の何れか一項に記載のシール装置。
【請求項10】
前記排出管の入口開口は、前記桶部の内部において、前記ガイド面よりも前記外側壁側に位置する
請求項9に記載のシール装置。
【請求項11】
中心軸周りを回転可能に設けられ、粒状物の供給を受けるための受入れ空間を有する環状ホッパと、
前記環状ホッパの上方に設けられた静止フードと、
請求項1乃至10の何れか一項に記載のシール装置と、を備え、
前記桶部は、前記環状ホッパに取り付けられ、
前記仕切板は、前記静止フードに取り付けられた
ホッパ装置。
【請求項12】
前記貯留タンクは、前記環状ホッパの上方に位置するフロア上に設けられる
請求項11に記載のホッパ装置。
【請求項13】
前記静止フードに接続され、前記環状ホッパの前記受入れ空間からのガスが流れるダクトをさらに備え、
前記供給管の出口開口及び前記排出管の入口開口は、周方向において前記ダクトと前記静止フードとの接続部とはずれて位置する
請求項11又は12に記載のホッパ装置。
【請求項14】
平面視において、前記中心軸と前記供給管の出口開口を結ぶ線分と、前記中心軸と前記排出管の入口開口を結ぶ線分とのなす角度が10度以下であり、
前記供給管の前記出口開口は、前記環状ホッパの回転方向において、前記排出管の前記入口開口よりも上流側に位置する
請求項11乃至13の何れか一項に記載のホッパ装置。
【請求項15】
請求項11乃至14の何れか一項に記載のホッパ装置と、
前記環状ホッパの前記受入れ空間に冷却流体を供給するための冷却部と、
を備える粒状物の冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、シール装置及びホッパ装置並びに粒状物の冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
装置からの流体の漏れや装置への流体の侵入を抑制するために液封式のシール装置が用いられることがある。液封式シール装置において、シール液を溜め置く桶(ボックス、槽)にダスト(粉塵)が混入して桶内に蓄積すると、過負荷による運転停止や装置の破損につながるおそれがあるため、桶内におけるダストの蓄積の抑制が図られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、水封式シール装置と、シール水に混入したダストを該シール水から除去するための水浄化装置と、を備えた焼結鉱冷却装置が開示されている。この焼結鉱冷却装置は、環状ホッパを含む回転式の焼結鉱冷却装置であり、水封式シール装置は、回転する環状ホッパと、上部固定フードとの間をシールするように構成されている。水封式シールの水封ボックス(桶)内のシール水は、ボックス内に混入して堆積したダスト(焼結鉱等の粉塵)とともに排水ポンプにより水浄化装置の浄化槽(ダスト沈降槽)に移送され、この浄化槽でシール水からダストが沈降して除去される。このように浄化されたシール水が、給水ポンプにより、供給管を介して水封ボックスに戻されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、シール液を用いる液封式のシール装置では、シールを確実に行うために桶(ボックス)内にて所定の液位を維持する必要がある。この点、特許文献1では、所定水位を維持するために、水封ボックスから浄化槽にシール水を移送するための排水ポンプ、及び、浄化槽から水封ボックスにシール水を戻すための給水ポンプをそれぞれ適切に制御する必要があり、このため、装置構成や制御が複雑となる場合がある。
【0006】
上述の事情に鑑みて、本発明の少なくとも一実施形態は、簡素な構成で液封式シール装置におけるダストの堆積を効果的に抑制可能なシール装置及びホッパ装置並びに粒状物の冷却装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の少なくとも一実施形態に係るシール装置は、
内側壁及び外側壁を有する環状の桶部と、
前記桶部の前記内側壁と前記外側壁との間に設けられ、前記桶部の底面と離れて位置する下端を有する仕切板と、を備え、
前記桶部に供給されるシール液に前記仕切板の下端部が浸された状態で、前記内側壁側の内側空間と、前記外側壁側の外側空間とを密封するように構成された液封式のシール装置であって、
内部に貯留された前記シール液を溢出させるための溢出部を有する貯留タンクと、
前記貯留タンクからの前記シール液を前記桶部に導くための供給管と、
前記桶部から前記シール液を排出して前記貯留タンクに戻すための排出管と、
前記貯留タンクと前記供給管との間に設けられ、前記貯留タンクの前記溢出部からの前記シール液を集めて前記供給管に送り込むための集液部と、をさらに備え、
前記集液部からの前記シール液が、前記供給管を介して、かつ、ポンプを介さずに、前記桶部に供給されるように構成され、
前記集液部は、高さ方向において、前記供給管の出口開口よりも上方に位置する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の少なくとも一実施形態によれば、簡素な構成で液封式シール装置におけるダストの堆積を効果的に抑制可能なシール装置及びホッパ装置並びに粒状物の冷却装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】一実施形態に係る焼結鉱(粒状物)の冷却装置の概略断面図である。
【
図2】
図1に示す冷却装置を平面視したときの模式図である。
【
図3】一実施形態に係るシール装置の桶部近傍の概略断面図である。
【
図4】一実施形態に係るシール装置の桶部近傍の概略断面図である。
【
図5】一実施形態に係るシール装置の桶部近傍の概略断面図である。
【
図6】一実施形態に係るシール装置の概略構成図である。
【
図7】一実施形態に係るシール装置の概略構成図である。
【
図8】一実施形態に係るシール装置の概略構成図である。
【
図9】一実施形態に係るシール装置の概略構成図である。
【
図10】一実施形態に係るシール装置の桶部近傍の概略断面図である。
【
図11】一実施形態に係るシール装置の桶部近傍の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0011】
以下、本発明に係る粒状物の冷却装置の一実施形態として、焼結鉱の冷却装置について説明するが、本発明はこれに限定されない。なお、焼結鉱は、銑鉄の原料である鉄鉱石に、前処理として焼結処理を施したものである。焼結鉱の粒径は、一般的に5mm以上200mm以下程度である。
【0012】
図1は、幾つかの実施形態に係るシール装置が適用されるホッパ装置を含む焼結鉱(粒状物)の冷却装置の概略断面図である。
図2は、
図1に示す冷却装置を平面視したときの模式図であり、冷却装置の各構成要素の配置関係を示すものである。
【0013】
図1に示すように、一実施形態に係る粒状物の冷却装置100は、シール装置30A,30Bを含むホッパ装置1と、ホッパ装置1に供給される焼結鉱(粒状物)5を冷却するための冷却部10と、を備えている。ホッパ装置1は、中心軸Oの周りを回転可能に設けられた環状ホッパ2と、環状ホッパ2の上方に設けられた環状の静止フード18と、環状ホッパ2と静止フード18との間をシールするためのシール装置30(30A,30B)と、を備えている。また、ホッパ装置1は、焼結鉱5が堆積される環状テーブル12と、環状テーブル12に堆積した焼結鉱5をかき出すためのスクレーパ24と、を備えている。
【0014】
環状ホッパ2は、鉛直方向に沿った中心軸Oの周りに円周状に設けられる内側板3及び外側板4を含み、内側板3の壁面である内周壁3aと、外側板4の壁面である外周壁4aとによって、環状の受入れ空間6が画定される。また、環状ホッパ2の上方には、図示しない焼結炉からの高温の焼結鉱5(粒状物)を、環状ホッパ2の受入れ空間6に供給するための供給シュート27が設けられている。環状の静止フード18は、環状ホッパ2の上部において、環状ホッパ2の上部を覆うように設けられている。
【0015】
環状テーブル12は、環状ホッパ2の受入れ空間6の下方において中心軸O周りに設けられている。環状テーブル12の上には、受入れ空間6に供給された焼結鉱5が堆積するようになっている。
【0016】
環状テーブル12、内側板3及び外側板4は、これらの内周側に設けられた架構21によって支持されている。架構21は、基礎13上において中心軸Oの位置に設けられた中心軸受14と回転自在に結合されている。
【0017】
環状テーブル12の下方の架構21の下面には、複数の円形状のレール15が固設されている。また、基礎13上には、円形状の複数のレール15に対応して、複数の支持ローラ16が円形状に配置されており、環状テーブル12及び環状ホッパ2が、レール15を介して、支持ローラ16上に回転自在に支持されている。支持ローラ16のうち複数個には、駆動モータ17が接続されており、駆動モータ17による支持ローラ16の回転摩擦力により、環状テーブル12及び環状ホッパ2が、中心軸Oの周りを回転するようになっている。
【0018】
スクレーパ24は、環状ホッパ2の外周壁4aの下端と環状テーブル12との間に設けられている。また、スクレーパ24は、環状テーブル12上に堆積した焼結鉱5(粒状物)を環状テーブル12の径方向外側に導くように構成されている。これにより、環状テーブル12上及び環状ホッパ2の受入れ空間6に堆積された焼結鉱5が冷却装置100の外部に徐々に排出されるようになっている。
【0019】
冷却部10は、環状ホッパ2の受入れ空間6に冷却流体(例えば空気)を供給するように構成される。
図1に示す例示的な実施形態では、冷却部10は、環状ホッパ2の受入れ空間6に外部から空気を取り入れるための内側ルーバ7、外側ルーバ8及び中央ルーバ9と、環状ホッパ2の上方に設けられる排気ダクト19に接続される吸引ファン20と、を含む。
【0020】
内側ルーバ7及び外側ルーバ8は、環状ホッパ2の内側板3及び外側板4の下部にそれぞれ組み込まれており、環状ホッパ2の外部から空気(冷却流体)を取り込む通路を形成している。中央ルーバ9は、径方向において内側板3と外側板4との中央付近の位置に設けられている。中央ルーバ9には、環状ホッパ2の内部において内側板3と外側板4との間に径方向に沿って延びるように設けられた通風ダクト(不図示)を介して、環状ホッパ2の外部から取り込んだ空気(冷却流体)が供給されるようになっている。
【0021】
排気ダクト19(ダクト)は、環状ホッパ2の上部を覆うように設けられた環状の静止フード18に接続されている。排気ダクト19に接続される吸引ファン20によりフード18内の空気を吸引することにより、外部の空気を内側ルーバ7、外側ルーバ8及び中央ルーバ9から取り込み、取り込んだ外部の空気を環状ホッパ2内の焼結鉱5に通過させて、焼結鉱5を冷却するようになっている。焼結鉱5を冷却した後の高温の空気(排ガス)は、排気ダクト19を介して、冷却装置100の外部に排出される。即ち、排気ダクト19には、環状ホッパ2の受入れ空間6からのガス(冷却空気)が流れるようになっている。
【0022】
吸引ファン20の上流側には、吸引ファン20に吸引される空気に含まれる塵を除塵する除塵機が設けられていてもよい。また、排気ダクト19からの高温の排ガスは、排熱回収をするためのボイラに供給されるようになっていてもよい。
【0023】
なお、排気ダクト19は、周方向に離れた複数の箇所にて、静止フード18に接続されていてもよい。例えば
図2に示す例示的な実施形態では、周方向に離れた3か所の接続部52にて、排気ダクト19が静止フード18に接続されている。また、
図2に示すように、排気ダクト19と静止フード18との接続部52は、周方向において供給シュート27とずれて位置していてもよい。
【0024】
シール装置30(30A,30B)は、回転運動をする環状ホッパ2と、静止フード18との間を介した流体の漏れを抑制するためのシール装置であり、径方向外側に位置する外周側のシール装置30Aと、シール装置30Aよりも径方向内側に位置する内周側のシール装置30Bと、を含む。以下、シール装置30A及びシール装置30Bを、まとめてシール装置30とも表記する。
【0025】
シール装置30は、環状ホッパ2に取り付けられる環状の桶部32と、静止フード18に取り付けられる円周状の仕切板38と、を備えた液封式のシール装置である。なお、シール装置30Aの桶部32は、環状ホッパ2の外側板4に取り付けられている。また、シール装置30Bの桶部32は、環状ホッパ2の内側板3に取り付けられている。
【0026】
シール装置30の桶部32は、円周状の内側壁34及び外側壁36を有する。仕切板38は、径方向にて桶部32の内側壁34と外側壁36との間の位置している。仕切板38は上方から桶部32に挿入され、仕切板38の下端38a(
図3参照)は桶部32の底面33(
図3参照)から離れた状態となっている。桶部32には所定量のシール液94(例えば水)が供給され、該シール液94に仕切板38の下端部が浸された状態で、内側壁34側の内側空間90(ホッパ装置1の内部空間)と、外側壁36側の外側空間92(ホッパ装置1の外部空間)とが密封されるようになっている。
なお、シール装置30の詳細については後述する。
【0027】
上述したように、環状ホッパ2は、環状テーブル12とともに鉛直方向に沿った中心軸Oの周りを回転するように構成されている。環状ホッパ2が回転している間、供給シュート27を介して高温の焼結鉱5が上方から環状ホッパ2の受入れ空間6に供給されるようになっている。このように供給された焼結鉱5は、円周状の層を形成しながら、環状テーブル12上及び環状ホッパ2の受入れ空間6に堆積されるようになっている。
【0028】
受入れ空間6には、環状ホッパ2の下部に設けられたルーバ7,8,9を介して冷却空気が取り込まれ、この冷却空気は、排気ダクト19に接続される吸引ファン20に吸引されて、受入れ空間6内を上方に向けて流れる。したがって、受入れ空間6内に堆積された焼結鉱5は、受入れ空間6内を流れる冷却空気によって冷却される。このとき、シール装置30によって、環状ホッパ2と静止フード18との間を介した内側空間90から外側空間92への冷却空気の漏れ、あるいは、外側空間92から内側空間90への空気の侵入が抑制される。
【0029】
環状テーブル12上に堆積した焼結鉱5は、環状ホッパ及び環状テーブルの回転に伴い、環状ホッパ2の下方に設けられたスクレーパ24によって径方向外側に導かれ、環状ホッパ2の外周壁4aの下端と環状テーブル12との間に形成される開放部を介して、環状ホッパ2から排出されるようになっている。ホッパ2から排出された焼結鉱5は、コンベヤ29によって輸送されるようになっている。
【0030】
次に、幾つかの実施形態に係るシール装置30についてより詳細に説明する。なお、以下の説明では、径方向外側に位置するシール装置30Aについて図示して説明するが、径方向内側に位置するシール装置30Bについても同様の説明が適用できる。ここで、
図3~
図5は、一実施形態に係るシール装置30の桶部32近傍の概略断面図である。
図3は
図2のA-A断面図に相当し、
図4は
図2のB-B断面図に相当し、
図5は
図2のC-C断面図に相当する。また、
図6~
図9は、それぞれ、一実施形態に係るシール装置30の概略構成図である。
図6~
図9では、桶部32、貯留タンク40、及び、集液部50(後述)の高さ方向における位置関係が図示されている。
【0031】
シール装置30は、上述したとおり、内側壁34及び外側壁36を有する環状の桶部32と、桶部32の内側壁34と外側壁36との間に設けられる仕切板38と、を備えている(
図3~
図5も参照)。仕切板38は、支持板37を介して静止フード18に取り付けられていてもよい。また、仕切板38は、その下端38aが桶部32の底面33と離れて位置するように設けられており、内側壁34と仕切板38との間に形成される内側空間90側の液室98と、外側壁36と仕切板38との間に形成される外側空間92側の液室99とが連通可能となっている。また、シール装置30は、外側空間92と液室99との連通を許容しながら液室99の上方にて液室99を覆うように設けられたカバー58を含んでいてもよい。カバー58を設けることにより、外側空間92からの異物が液室99に侵入するのを防ぐことができる。
図3~
図5に示す実施形態では、カバー58は、仕切板38に固定されている。
【0032】
なお、
図3~
図5に示すように、シール装置30は、内側空間90からからの焼結鉱5等を含むダスト(粉塵)の桶部32への混入を抑制するためのシール部56を含んでいてもよい。
図3~
図5に示すシール部56は、桶部32を構成する内側壁34の上端に固定されたブラケット54に取り付けられ、内側壁34と支持板37との間の上下方向の隙間を塞ぐように設けられている。シール部56は、ブラシシールであってもよい。
【0033】
また、
図1に示すように、シール装置30は、シール液94を貯留するための貯留タンク40と、貯留タンク40と桶部32との間に設けられる供給管42及び排出管44と、貯留タンク40と供給管42との間に設けられる集液部50と、を備えている。
【0034】
貯留タンク40は、シール液94を貯留可能な貯留部39と、貯留部39に貯留された(即ち、貯留タンク40の内部に貯留された)シール液94を溢出(オーバーフロー)させるための溢出部41と、を含む。貯留部39は、規定量のシール液94を貯留するように構成されている。すなわち、貯留部39の容量を超えるシール液94が貯留タンク40に流入した場合、容量超過分のシール液94が溢出部41から溢出されるようになっている。
【0035】
供給管42は、貯留タンク40からのシール液94を桶部32に導くように構成されている。
図4及び
図6~
図9に示すように、供給管42は、集液部50に接続される入口42aと、典型的には桶部32の内部に設けられる出口開口42bと、を有している。貯留タンク40から溢出したシール液94は、集液部50を介して供給管42の入口42aに導入され、供給管42を通過し、供給管42の出口開口42bから桶部32に供給されるようになっている。
【0036】
排出管44は、桶部32からシール液94を排出して貯留タンク40に戻すように構成されている。
図5に示すように、排出管44は、桶部32の内部に設けられる入口開口44aを有している。幾つかの実施形態では、排出管44には、
図1に示すように、シール液94を昇圧して貯留タンク40に圧送するための排出ポンプ46と、排出管44におけるシール液94の逆流(即ち、貯留タンク40から桶部32への流れ)を抑制するための逆止弁48と、が設けられている。なお、シール液94が逆流しても排出管44の長さが短い場合は桶部32からシール液94は溢れないので、逆止弁48を設けなくてもよい。
【0037】
図4及び
図5に示すように、供給管42又は排出管44の一部(典型的には下端部)は、仕切板38に接合されていてもよい。このような供給管42又は排出管44を得るために、例えば、仕切板38に上下方向に沿って延びるスリットを形成し、このスリットに供給管42又は排出管44の下端部を嵌合させ、供給管42又は排出管と仕切板38とを溶接により接合するようにしてもよい。
【0038】
集液部50は、例えば
図6~
図9に示すように、貯留タンク40と供給管42との間に設けられ、貯留タンク40の溢出部41からのシール液94を集めて供給管42に送り込むように構成されている。言い換えると、集液部50は、貯留タンク40の溢出部41からのシール液94をこぼさないように供給管42へ導くように構成されている。集液部50は、供給管42よりも上方に設けられている。
【0039】
幾つかの実施形態では、集液部50は、例えば
図6に示すように、シール液94が流入する供給管42の入口(接続部51)の高さが溢出部41とほぼ同じになるような集液桝60を含む。この場合、貯留タンク40から溢出したシール液94は、集液桝60に溜まる時間はほとんどなく、集液部50と供給管42との接続部51を介して、シール液94が供給管42に導かれる。
【0040】
図6に示す例示的な実施形態では、集液部50は、貯留タンク40の溢出部41に接続され供給管42に向けて水平方向に延びる底面を有する集液桝60を含む。貯留タンク40の溢出したシール液94は、溢出部41から集液桝60(集液部50)に直接移送されて、底面の開口部である接続部51を介して供給管42に導かれるようになっている。集液桝60の底面は、貯留タンク40の溢出部41とほぼ同じ高さに設けられている。溢出したシール液94の液量が供給管42に流れ込む液量よりも多い場合であっても、シール液94は集液桝60の側面によって集液桝60の外(シール液94の循環系路外)にこぼれることなく供給管42に導かれる。また、集液桝60の底面は、供給管42よりも上方に設けられている。集液桝60を極限まで小さくした場合は、集液桝60は底面がなく側面のみで構成されるので、接続部51は側面に形成するようにしてもよい。
【0041】
幾つかの実施形態では、集液部50は、例えば
図7~
図9に示すように、ある程度の量のシール液94を貯留可能な集液槽62を含む。この場合、貯留タンク40から溢出したシール液94は、集液槽62に一時的に溜められ、順次、接続部51を介してシール液94が供給管42に導かれる。
【0042】
図7に示す例示的な実施形態では、集液部50は、貯留タンク40の溢出部41から溢出したシール液94を受けるように構成された集液槽62を含む。集液槽62は、貯留タンク40の溢出部41よりも下方、かつ、供給管42よりも上方に設けられている。
【0043】
図8及び
図9に示す例示的な実施形態では、シール装置30は、貯留タンク40の溢出部41から溢出したシール液94を受けて貯留するように構成された受液部70と、を含む。受液部70は、貯留タンク40の溢出部41よりも下方に位置している。また、集液部50は、受液部70からのシール液94を受けるように構成された集液槽62を含む。集液槽62と受液部70との間には送液管72が設けられており、受液部70に貯留されたシール液94は、送液管72に設けられた送液ポンプ74によって、送液管72を介して全量が集液槽62に送られるようになっている。送液ポンプ74は常にシール液94を集液槽62に送るように構成してもよいし、受液部70にシール液94が所定量溜まったらその都度集液槽62に送るように構成してもよい。
【0044】
図8に示す例示的な実施形態では、受液部70は、貯留タンク40の溢出部41よりも下方にて貯留タンク40に取り付けられたトレイを含む。
図9に示す例示的な実施形態では、受液部70は、貯留タンク40の溢出部41よりも下方に設けられた中間タンクを含む。
【0045】
なお、
図8及び
図9に示す実施形態のように、貯留タンク40の溢出部41と集液部50との間に受液部70、送液管72、及び送液ポンプ74を含む構成においては、貯留タンク40の溢出部41は、必ずしも、集液部50より上方に位置していなくてもよく、例えば、集液部50よりも下方に設けられていてもよいし、あるいは、桶部32より下方に設けられていてもよい。
【0046】
幾つかの実施形態では、集液部50は、接続部51において、供給管42の入口42aの流路断面積の2倍以上の流路面積を有していてもよい。これにより、貯留タンク40の溢出部41からのシール液94をこぼさずに適切に供給管42へ導きやすくなる。なお、集液桝60の場合、底面の面積を、接続部51における流路面積と見做すことができる。
【0047】
図1及び
図6~
図9に示すように、シール装置30は、集液部50からのシール液94が、供給管42を介して、かつ、ポンプを介さずに、桶部32に供給されるように構成されている。また、集液部50は、高さ方向において、供給管42の出口開口42bよりも上方に位置している。
【0048】
液封式シール装置の桶部32には、環状ホッパ2で冷却される焼結鉱等に由来するダストが、冷却空気とともに流れ込んで、桶部32内のシール液94に混入することがある。桶部32内にてダストが蓄積したり、蓄積したダストが固着したりすると、過負荷による運転停止や装置の破損につながるおそれがある。
【0049】
この点、上述の実施形態によれば、貯留タンク40に溢出部41を設けたので、桶部32から排出管44を介して排出される液と同量のシール液94を貯留タンク40から溢出(オーバーフロー)させることができる。そして、溢出部41からのシール液94を供給管42に送り込むための集液部50を、供給管42の出口開口42bよりも上方に設けたので、集液部50と供給管42の出口開口42bとのヘッド差により、上述のオーバーフロー液を集液部50から桶部32へと自重により供給することができる。すなわち、例えば特許文献1の水封式シールのように給水ポンプ及び排水ポンプによる給水量及び排水量の制御をしなくても、桶部32内の液位を維持することができる。したがって、簡易な構成で、桶部32内の液位を維持しながら、供給管42から桶部32へのシール液94の連続的な供給、及び、排出管44を介した桶部32からのシール液94の連続的な排出を行うことができる。これにより、桶部32内のダストの撹拌及びダストの排出がしやすくなる。したがって、上述の実施形態によれば、簡素な構成で、桶部32内でのダストの堆積を効果的に抑制可能である。
【0050】
幾つかの実施形態では、貯留タンク40の溢出部41は、内側空間90と外側空間92のうち、貯留タンク40が配置される一方に設けられる内側壁34又は外側壁36と、仕切板38との間に形成される液室(液室98又は99)におけるシール液94の想定最高液位よりも上方に位置する。
【0051】
例えば、
図1、
図6及び
図7に示す実施形態では、貯留タンク40の溢出部41は、内側空間90と外側空間92のうち、貯留タンク40が配置される外側空間92に設けられる外側壁36と仕切板38との間に形成される液室99におけるシール液94の想定最高液位よりも上方に位置している。
【0052】
供給管42の出口開口42b(シール液の出口)及び排出管44の入口開口44a(シール液の入口)は、通常、
図4や
図5に示すように、桶部32おけるシール液94の液位よりも低い位置に設けられる。
上述の実施形態では、外側壁36と仕切板38との間に形成される液室99(即ち、貯留タンク40が配置される外側空間92側の液室)における想定最高液位よりも上方に貯留タンク40の溢出部41が位置する。即ち、例えば
図1に示すように、貯留タンク40の溢出部41が、排出管44の入口開口44aよりも上方に位置するようにしたので、シール液94の循環(供給及び排出)の停止時におけるサイフォン現象による桶部32から貯留タンク40への排出管44を介したシール液94の抜け出しを抑制することができる。また、例えば
図6又は
図7に示すように、貯留タンク40の溢出部41が、供給管42の出口開口42bよりも上方に位置するようにしたので、溢出部41と同じ高さ、又は、高さ方向にて溢出部41と供給管42の出口開口42bとの間に集液部50を設けることにより、貯留タンク40から桶部32に至るまで、シール液94の自重でシール液94を移送することができる。よって、シール装置30の構成をより簡素化することができる。
【0053】
なお、液室98におけるシール液94の想定最高液位は、内側壁34の90%高さの位置であってもよい。また、液室99におけるシール液94の想定最高液位は、外側壁36の90%高さの位置であってもよい。
【0054】
幾つかの実施形態では、例えば
図1、
図6及び
図7に示すように、貯留タンク40の溢出部41は、供給管42の出口開口42bよりも上方に位置する。
【0055】
この場合、貯留タンク40の溢出部41が、供給管42の出口開口42bよりも上方に位置するようにしたので、例えば
図1、
図6及び
図7に示すように、溢出部41と同じ高さ、又は、高さ方向にて溢出部41と供給管42の出口開口42bとの間に集液部50を設けることにより、貯留タンク40から桶部32に至るまで、シール液94の自重でシール液94を移送することができる。よって、シール装置30の構成をより簡素化することができる。
【0056】
幾つかの実施形態では、例えば
図1に示すように、貯留タンク40の溢出部41は、排出管44の入口開口44a(
図5参照)よりも上方に位置する。
【0057】
この場合、貯留タンク40の溢出部41が、排出管44の入口開口44aよりも上方に位置するようにしたので、シール液94の循環(供給及び排出)の停止時におけるサイフォン現象による桶部32から貯留タンク40への排出管44を介したシール液94の抜け出しを抑制することができる。
【0058】
幾つかの実施形態では、例えば
図1に示すように、貯留タンク40は、環状ホッパ2の上方に位置するフロア26上に設けられる。
幾つかの実施形態では、貯留タンク40は、静止フード18の上方に位置するフロア上に設けられていてもよい。
【0059】
上述の実施形態によれば、貯留タンク40を環状ホッパ2よりも上方に設けたので、貯留タンクの溢出部41が、環状ホッパ2に取り付けられる桶部32と同程度の高さに位置する供給管42の出口開口42bよりも上方に位置することとなる。よって、溢出部41と同じ高さ、又は、高さ方向にて溢出部41と供給管42の出口開口42bとの間に集液部50を設けることにより、貯留タンク40から桶部32に至るまで、シール液94の自重でシール液94を移送することができる。よって、シール装置30の構成を簡素化することができる。また、上述の実施形態によれば、貯留タンク40を環状ホッパ2よりも上方に設けたので、貯留タンク40の溢出部41が、桶部32と同程度の高さに位置する排出管44の入口開口44aよりも上方に位置することとなる。よって、シール液94の循環(供給及び排出)の停止時におけるサイフォン現象による桶部32から貯留タンク40への排出管44を介したシール液94の抜け出しを抑制することができる。
【0060】
幾つかの実施形態では、例えば
図6~
図9に示すように、貯留タンク40は、シール液94に混入したダスト96をシール液94から分離するための分離部63を含む。そして、貯留タンク40は、分離部63でダスト96が分離されたシール液94を溢出部41から溢出させるように構成される。
【0061】
上述の実施形態では、排出管44を介して桶部32から貯留タンク40に移送されたシール液94に含まれるダスト96を該シール液94から分離するとともに、ダスト96が分離されたシール液94を溢出部41から溢出させて供給管42を介して桶部32に供給する。したがって、桶部32内でのダストの堆積をより効果的に抑制可能である。また、貯留タンク40に分離部63を設けたので、貯留タンク40と分離部63とを別々に設ける場合に比べてシール装置30をコンパクト化又は簡素化することができる。
【0062】
一実施形態では、分離部63は、貯留タンク40の水平方向の断面積が上方に向かうにつれて拡大する断面積拡大部68を含んでいてもよい(
図6~
図9参照)。この場合、貯留タンク40内にて、シール液94の流速を遅くする部分を形成することができる。これによりダストを沈降させやすくなり、シール液94からのダスト96の分離を促進することができる。
【0063】
あるいは、一実施形態では、分離部63は、貯留タンク40内において水平方向に沿って延在するように設けられる少なくとも1つの邪魔板66を含んでいてもよい(
図6~
図9参照)。この場合、貯留タンク40内にて、ダストが浮遊したり、貯留タンク40の壁面を伝って上昇するのを阻害することにより、ダストが貯留タンク40内にて上昇し難くなる。これによりダストを沈降させやすくなり、シール液94からのダスト96の分離を促進することができる。
【0064】
あるいは、一実施形態では、分離部63は、貯留タンク40内において鉛直方向に沿って延在するように設けられる少なくとも1つの仕切壁64を含んでいてもよい(
図6~
図9参照)。この場合、貯留タンク40内にて、仕切壁64によってダストが堰き止められて、溢出部41に近づくのを阻害することができる。これによりダストを沈降させやすくなり、シール液94からのダスト96の分離を促進することができる。
【0065】
幾つかの実施形態では、シール装置30は、桶部32内のシール液94の液位を計測するための液位センサ82(
図3参照)と、液位センサ82による液位の計測値に基づいて、シール液94を補給するように構成された補給部80(
図3及び
図6参照)と、をさらに備えている。
【0066】
一実施形態では、例えば
図6に示すように、補給部80は、工場ユーティリティ側からの補給ライン85、補給ライン85に設けられたバルブ88と、バルブ88の開閉を制御するための制御部83と、を備えている。液位センサ82での液位の計測結果は、制御部83に送られるようになっており(
図3参照)、制御部83は、受け取った計測結果に基づいて、バルブ88の開閉を制御して、シール液をシール装置30に補給するように構成されている。また補給部80は、補給用のシール液が貯留される補給液タンクからシール液をシール装置30に供給するように構成してもよい。
【0067】
上述の実施形態によれば、桶部32内のシール液94の液位の計測値に基づいてシール液94を補給するようにしたので、蒸発等によるシール液の減少分を適切に補給することができる。なお、
図6においては、補給部80からのシール液を貯留タンク40に供給する例について図示しているが、シール装置30においてシール液94を補給する位置はこれに限定されず、供給管42、排出管44、集液部50及び貯留タンク40等を含むシール液循環系統のどこに補給するようにしてもよい。
【0068】
幾つかの実施形態では、液位センサ82は、桶部32内のシール液94に接触せずに液位を計測するように構成された非接触式の液位センサである。非接触式の液位センサは、例えば、レーダー式の液位センサであってもよい。
図3~
図6に示す例示的な実施形態では、液位センサ82は、外側壁36及び外側空間92側の液室99よりも上方に設けられたカバー58の上方に設置されており、液室99におけるシール液94の液位を検出するように構成されている。
【0069】
シール液に接触して液位を計測する接触式の液位センサ(例えば電極レベル計)を用いて液位を計測する場合、液位センサにダストが付着して誤作動する場合がある。この点、上述の実施形態によれば、桶部32内のシール液94に接触せずに液位を計測可能な液位センサを用いて液位を計測するようにしたので、ダスト等の付着による液位センサの誤検出を抑制することができる。
【0070】
また、放射角が小さいレーダー式の液位センサを用いることで、ダスト付着の影響を低減することができ、ダスト付着による誤検知を効果的に抑制することができる。
【0071】
幾つかの実施形態では、液位センサ82は、内側空間90側の液室98と、外側空間92側の液室99のうち、外側空間92側の液室99における液位を計測するように構成されていてもよい。
【0072】
桶部32の内部には、内側空間90から焼結鉱5等のダストが侵入する場合がある。これは、シール部56によるダスト浸入の抑制効果が限定的であるためである。例えば、環状ホッパ2の内部に供給される焼結鉱5の重さによって、環状ホッパ2が沈下した場合、シール部56と、支持板37との間に隙間が形成され、この隙間を介して、内側空間90から焼結鉱5等のダストが桶部32に侵入することがある。この場合、内側空間90側の液室98のシール液94にダストが混入する。
【0073】
この点、上述の実施形態では、比較的ダストの混入量が少ない外側空間92側の液室99における液位を計測するようにしたので、液位をより精度良く検出することができる。これにより、補給部80により、より適切な量のシール液94を補給しやすくなる。
【0074】
図10及び
図11は、それぞれ、一実施形態に係るシール装置30の桶部32近傍の概略断面図であり、
図2のC-C断面に相当する図である。
【0075】
幾つかの実施形態では、例えば
図10に示すように、桶部32の内側壁34は外表面34aを有し、該外表面34aは、下方に向かうにつれて外側壁36に近づくように傾斜する傾斜部102を含む。ここで、内側壁34の外表面34aとは、内側壁34が構成する桶部32の外側の表面のことである。
【0076】
上述の実施形態では、上述の傾斜部102により、内側空間90にダストが存在する場合に、ダストを含むガス(冷却空気等)の流れが、桶部32の内側壁34の近傍にて上昇するのを抑制することができる。あるいは、上述の傾斜部102を設けたので、ダストを含むガス流れが桶部の内側壁34に衝突したときに、流れに含まれるダストを、傾斜部102を含む内側壁34の外表面34aに沿って降下させることができる。したがって、桶部32へのダストの混入を効果的に抑制することができ、これにより、桶部32内でのダストの堆積をより効果的に抑制することができる。
【0077】
傾斜部102は、上下方向における内側壁34の延在範囲内にて、任意の領域に設けられてもよい。
図10に示す例示的な実施形態では、傾斜部102は、内側壁34の下端(桶部32の底面33に接続する部位)を含む上下方向の範囲内に位置している、他の実施形態では、傾斜部102は、上下方向にて、内側壁34の下端と上端との間の一部の範囲内に位置していてもよい。
【0078】
幾つかの実施形態では、例えば
図10及び
図11に示すように、シール装置30は、桶部32の内部において、径方向にて仕切板38よりも内側壁34側にて仕切板38に対向するように設けられ、下方に向かうにつれて外側壁36に近づくように傾斜するガイド面104を備える。
【0079】
図10に示す例示的な実施形態では、ガイド面104は、桶部32の内側壁34の内表面34bによって形成されている。ここで、内側壁34の内表面34bとは、内側壁34が構成する桶部32の内側の表面のことである。
図11に示す例示的な実施形態では、ガイド面104は、桶部32の仕切板38と内側壁34との間に形成される液室98に設けられた傾斜板106の表面によって形成されている。
【0080】
上述の実施形態では、桶部32の内部において、仕切板38よりも内側壁34側にて仕切板38に対向し、下方に向かうにつれて外側壁36に近づくように傾斜するガイド面104を設けたので、桶部32の内側壁34側の液室98のシール液94に混入したダストが、液室98内を沈下するのに従い、径方向にて仕切板38及び外側壁36に近づくように案内することができる。これにより、桶部32内にてダストが排出し難い場所(例えば内側壁34と底面33との間に形成される隅部)に堆積するのを抑制することができ、これにより、桶部32内でのダストの堆積をより効果的に抑制することができる。
【0081】
ガイド面104は、上下方向における内側壁34の延在範囲内にて、任意の領域に設けられてもよい。
図10に示す例示的な実施形態では、ガイド面104は、内側壁34の下端(桶部32の底面33に接続する部位)を含む上下方向の範囲内に位置している、他の実施形態では、ガイド面104は、上下方向にて、内側壁34の下端と上端との間の一部の範囲内に位置していてもよい。
【0082】
幾つかの実施形態では、例えば
図10及び
図11に示すように、排出管44の入口開口44aは、桶部32の内部において、ガイド面104よりも外側壁36側に位置する。
【0083】
上述の実施形態によれば、ガイド面104よりも外側壁36側に、排出管44の入口開口44aを設けたので、ガイド面104により外側壁36側に案内されたダストを、排出管44の入口開口44aに円滑に導くことができる。これにより、排出管44を介して、シール液94とともにダストを効率的に桶部32から排出することができる。よって、桶部32内でのダストの堆積をより効果的に抑制することができる。
【0084】
幾つかの実施形態では、例えば
図2に示すように、シール装置30(
図2におけるシール装置30A及び30B)の供給管42の出口開口42b及び排出管44の入口開口44aは、周方向において排気ダクト19(ダクト)と静止フード18との接続部52とはずれて位置する。
【0085】
上述の実施形態によれば、供給管42の出口開口42b及び排出管44の入口開口44aを、周方向にて排気ダクト19と静止フード18との接続部52とずらして配置したので、周方向において、供給管42の出口開口42b又は排出管44の入口開口44aの近くに(すなわち、周方向にて排気ダクト19とずれた位置に)貯留タンク40を配置することができる。よって、桶部32と貯留タンク40との間における配管(供給管42又は排出管44等)の引き回しを短くすることができ、装置を簡素化することができる。
【0086】
なお、平面視における貯留タンク40の位置は、
図2に示す例に限定されない。
図2に示す例示的な実施形態では、径方向外側に位置するシール装置30Aの貯留タンク40は、環状ホッパ2の外側板4よりも径方向外側に位置し、径方向内側に位置するシール装置30Bの貯留タンク40は、環状ホッパ2の内側板3よりも径方向内側に位置している。
他の実施形態では、シール装置30A及び/又はシール装置30Bの貯留タンク40は、径方向において、環状ホッパ2の内側板3と外側板4との間(すなわち、環状ホッパ2の受入れ空間6の直上)に位置していてもよいし、あるいは、平面視において、環状ホッパ2の内側板3又は外側板4と少なくとも部分的に重なるように配置されていてもよい。
【0087】
幾つかの実施形態では、平面視において、環状ホッパ2の中心軸Oと供給管42の出口開口42bを結ぶ線分S1と、中心軸Oと排出管44の入口開口44aを結ぶ線分S2とのなす角度θ(
図2参照)が10度以下であるとともに、供給管42の出口開口42bは、環状ホッパ2の回転方向において、排出管44の入口開口44aよりも上流側に位置する。なお、
図2において、径方向外側に位置するシール装置30Aの供給管42の出口開口42bと中心軸Oとを結ぶ線分をS1と示し、シール装置30Aの排出管44の入口開口44aと中心軸Oとを結ぶ線分をS2と示している。
【0088】
上述の実施形態にでは、供給管42の出口開口42bと、排出管44の入口開口44aを、上記角度θが10度以下となるように周方向において近接して設けるとともに、環状ホッパ2の回転方向において供給管42の出口開口42bを排出管44の入口開口44aよりも上流側に配置している。したがって、供給管42の出口開口42bからのシール液94の供給により桶部32内でダストを巻き上げることができるとともに、供給管42の近傍にて供給管42の下流側に設けられた排出管44の入口開口44aから、上述のように巻き上げられたダストを吸込やすくなる。これにより、桶部32内でのダストの堆積をより効果的に抑制可能である。
【0089】
以下、幾つかの実施形態に係るシール装置及びホッパ装置並びに粒状物の冷却装置について概要を記載する。
【0090】
(1)本発明の少なくとも一実施形態に係るシール装置は、
内側壁及び外側壁を有する環状の桶部と、
前記桶部の前記内側壁と前記外側壁との間に設けられ、前記桶部の底面と離れて位置する下端を有する仕切板と、を備え、
前記桶部に供給されるシール液に前記仕切板の下端部が浸された状態で、前記内側壁側の内側空間と、前記外側壁側の外側空間とを密封するように構成された液封式のシール装置であって、
内部に貯留された前記シール液を溢出させるための溢出部を有する貯留タンクと、
前記貯留タンクからの前記シール液を前記桶部に導くための供給管と、
前記桶部から前記シール液を排出して前記貯留タンクに戻すための排出管と、
前記貯留タンクと前記供給管との間に設けられ、前記貯留タンクの前記溢出部からの前記シール液を集めて前記供給管に送り込むための集液部と、をさらに備え、
前記集液部からの前記シール液が、前記供給管を介して、かつ、ポンプを介さずに、前記桶部に供給されるように構成され、
前記集液部は、高さ方向において、前記供給管の出口開口よりも上方に位置する。
【0091】
上述したように、液封式シール装置の桶部には、ダストが混入することがある。この点、上記(1)の構成によれば、貯留タンクに溢出部を設けたので、桶部から排出管を介して排出される液と同量のシール液を貯留タンクから溢出(オーバーフロー)させることができる。そして、溢出部からのシール液を供給管に送り込むための集液部を、供給管の出口開口よりも上方に設けたので、集液部と供給管の出口開口とのヘッド差により、上述のオーバーフロー液を集液部から水封桶へと自重により供給することができる。したがって、簡易な構成で、桶部内の液位を維持しながら、供給管から桶部へのシール液の連続的な供給、及び、排出管を介した桶部からのシール液の連続的な排出を行うことができ、これにより、桶部内のダストの撹拌及びダストの排出がしやすくなる。したがって、上記(1)の構成によれば、簡素な構成で、桶部内でのダストの堆積を効果的に抑制可能である。
【0092】
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)の構成において、
前記貯留タンクの溢出部は、前記外側壁と前記仕切板との間に形成される液室における前記シール液の想定最高液位よりも上方に位置する。
【0093】
供給管の出口開口(シール液の出口)及び排出管の入口開口(シール液の入口)は、通常、桶部おけるシール液の液位よりも低い位置に設けられる。
上記(2)の構成では、外側壁と仕切板との間に形成される液室(即ち、貯留タンクが通常配置される外側空間側の液室)における想定最高液位よりも上方に貯留タンクの溢出部が位置する。即ち、貯留タンクの溢出部が、排出管の入口開口よりも上方に位置するようにしたので、シール液の循環(供給及び排出)の停止時におけるサイフォン現象による桶部から貯留タンクへの排出管を介したシール液の抜け出しを抑制することができる。また、即ち、貯留タンクの溢出部が、供給管の出口開口よりも上方に位置するようにしたので、溢出部と同じ高さ、又は、高さ方向にて溢出部と供給管の出口開口との間に集液部を設けることにより、貯留タンクから桶部に至るまで、シール液の自重でシール液を移送することができる。よって、シール装置の構成をより簡素化することができる。
【0094】
(2’)幾つかの実施形態では、上記(1)の構成において、
前記貯留タンクの溢出部は、前記内側空間と前記外側空間のうち、前記貯留タンクが配置される一方に設けられる前記内側壁又は前記外側壁と、前記仕切板との間に形成される液室における前記シール液の想定最高液位よりも上方に位置する。
【0095】
上記(2’)の構成では、内側空間と外側空間のうち、貯留タンクが配置される一方側の液室における想定最高液位よりも上方に貯留タンクの溢出部が位置する。即ち、貯留タンクの溢出部が、排出管の入口開口よりも上方に位置するようにしたので、シール液の供給及び排出の停止時におけるサイフォン現象による桶部から貯留タンクへの排出管を介したシール液の抜け出しを抑制することができる。また、即ち、貯留タンクの溢出部が、供給管の出口開口よりも上方に位置するようにしたので、溢出部と同じ高さ、又は、高さ方向にて溢出部と供給管の出口開口との間に集液部を設けることにより、貯留タンクから桶部に至るまで、シール液の自重でシール液を移送することができる。よって、シール装置の構成をより簡素化することができる。
【0096】
(3)幾つかの実施形態では、上記(1)又は(2)の構成において、
前記貯留タンクの前記溢出部は、前記供給管の前記出口開口よりも上方に位置する。
【0097】
上記(3)の構成によれば、貯留タンクの溢出部が、供給管の出口開口よりも上方に位置するようにしたので、溢出部と同じ高さ、又は、高さ方向にて溢出部と供給管の出口開口との間に集液部を設けることにより、貯留タンクから桶部に至るまで、シール液の自重でシール液を移送することができる。よって、シール装置の構成をより簡素化することができる。
【0098】
(4)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(3)の何れかの構成において、
前記貯留タンクの前記溢出部は、前記排出管の入口開口よりも上方に位置する。
【0099】
上記(4)の構成によれば、貯留タンクの溢出部が、排出管の入口開口よりも上方に位置するようにしたので、シール液の循環(供給及び排出)の停止時におけるサイフォン現象による桶部から貯留タンクへの排出管を介したシール液の抜け出しを抑制することができる。
【0100】
(5)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(4)の何れかの構成において、
前記貯留タンクは、前記シール液に混入したダストを前記シール液から分離するための分離部を含み、
前記貯留タンクは、前記分離部で前記ダストが分離された前記シール液を前記溢出部から溢出させるように構成される。
【0101】
上記(5)の構成によれば、排出管を介して桶部から貯留タンクに移送されたシール液に含まれるダストを該シール液から分離するとともに、ダストが分離されたシール液を溢出部から溢出させて供給管を介して桶部に供給する。したがって、桶部内でのダストの堆積をより効果的に抑制可能である。また、貯留タンクに分離部を設けたので、貯留タンクと分離部とを別々に設ける場合に比べてシール装置をコンパクト化又は簡素化することができる。
【0102】
(6)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(5)の何れかの構成において、
前記シール装置は、
前記桶部内の前記シール液の液位を計測するための液位センサと、
前記液位センサによる前記液位の計測値に基づいて、前記シール液を補給するように構成された補給部と、
をさらに備える。
【0103】
上記(6)の構成によれば、桶部内のシール液の液位の計測値に基づいてシール液を補給するようにしたので、蒸発等によるシール液の減少分を適切に補給することができる。
【0104】
(7)幾つかの実施形態では、上記(6)の構成において、
前記液位センサは、前記桶部内の前記シール液に接触せずに前記液位を計測するように構成された非接触式の液位センサである。
【0105】
上記(7)の構成によれば、桶部内のシール液に接触せずに液位を計測可能な液位センサを用いて液位を計測するようにしたので、ダスト等の付着による液位センサの誤検出を防止することができる。
【0106】
(8)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(7)の何れかの構成において、
前記桶部の前記内側壁は、下方に向かうにつれて前記外側壁に近づくように傾斜する傾斜部を含む外表面を有する。
【0107】
上記(8)の構成によれば、桶部の内側壁の外表面に、下方に向かうにつれて外側壁に近づくように傾斜する傾斜部を設けたので、内側空間にダストが存在する場合に、ダストを含むガスの流れが、桶部の内側壁の近傍にて上昇するのを抑制することができる。あるいは、上述の傾斜部を設けたので、ダストを含むガス流れが桶部の内側壁に衝突したときに、流れに含まれるダストを、傾斜部を含む内側壁の外表面に沿って降下させることができる。したがって、桶部へのダストの混入を効果的に抑制することができ、これにより、桶部内でのダストの堆積をより効果的に抑制することができる。
【0108】
(9)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(8)の何れかの構成において、
前記シール装置は、
前記桶部の内部において、径方向にて前記仕切板よりも前記内側壁側にて前記仕切板に対向するように設けられ、下方に向かうにつれて前記外側壁に近づくように傾斜するガイド面を備える。
【0109】
上記(9)の構成によれば、桶部の内部において、仕切板よりも内側壁側にて仕切板に対向し、下方に向かうにつれて外側壁に近づくように傾斜するガイド面を設けたので、桶部の内側壁側の液室のシール液に混入したダストが、液室内を沈下するのに従い、径方向にて仕切板及び外側壁に近づくように案内することができる。これにより、桶部内にてダストが排出し難い場所(例えば内側壁と底面との間に形成される隅部)に堆積するのを抑制することができ、これにより、桶部内でのダストの堆積をより効果的に抑制することができる。
【0110】
(10)幾つかの実施形態では、上記(9)の構成において、
前記排出管の入口開口は、前記桶部の内部において、前記ガイド面よりも前記外側壁側に位置する。
【0111】
上記(10)の構成によれば、ガイド面よりも外側壁側に、排出管の入口開口を設けたので、ガイド面により外側壁側に案内されたダストを、排出管の入口開口に円滑に導くことができる。これにより、排出管を介して、シール液とともにダストを効率的に桶部から排出することができる。よって、桶部内でのダストの堆積をより効果的に抑制することができる。
【0112】
(11)本発明の少なくとも一実施形態に係るホッパ装置は、
中心軸周りを回転可能に設けられ、粒状物の供給を受けるための受入れ空間を有する環状ホッパと、
前記環状ホッパの上方に設けられた静止フードと、
上記(1)乃至(10)の何れか一項に記載のシール装置と、を備え、
前記桶部は、前記環状ホッパに取り付けられ、
前記仕切板は、前記静止フードに取り付けられる。
【0113】
上記(11)の構成によれば、貯留タンクに溢出部を設けたので、桶部から排出管を介して排出される液と同量のシール液を貯留タンクから溢出(オーバーフロー)させることができる。そして、溢出部からのシール液を供給管に送り込むための集液部を、供給管の出口開口よりも上方に設けたので、集液部と供給管の下端とのヘッド差により、上述のオーバーフロー液を集液部から水封桶へと自重により供給することができる。したがって、簡易な構成で、桶部内の液位を維持しながら、供給管から桶部へのシール液の連続的な供給、及び、排出管を介した桶部からのシール液の連続的な排出を行うことができ、これにより、桶部内のダストの撹拌及びダストの排出がしやすくなる。したがって、上記(11)の構成によれば、簡素な構成で、桶部内でのダストの堆積を効果的に抑制可能である。
【0114】
(12)幾つかの実施形態では、上記(11)の構成において、
前記貯留タンクは、前記環状ホッパの上方に位置するフロア上に設けられる。
【0115】
上記(12)の構成によれば、貯留タンクを環状ホッパよりも上方に設けたので、貯留タンクの溢出部が、環状ホッパに取り付けられる桶部と同程度の高さに位置する供給管の出口開口よりも上方に位置することとなる。よって、溢出部と同じ高さ、又は、高さ方向にて溢出部と供給管の出口開口との間に集液部を設けることにより、貯留タンクから桶部に至るまで、シール液の自重でシール液を移送することができる。よって、シール装置の構成を簡素化することができる。また、上記(12)の構成によれば、貯留タンクを環状ホッパよりも上方に設けたので、貯留タンクの溢出部が、桶部と同程度の高さに位置する排出管の入口開口よりも上方に位置することとなる。よって、シール液の循環(供給及び排出)の停止時におけるサイフォン現象による桶部から貯留タンクへの排出管を介したシール液の抜け出しを抑制することができる。
【0116】
(13)幾つかの実施形態では、上記(11)又は(12)の構成において、
前記ホッパ装置は、
前記静止フードに接続され、前記環状ホッパの前記受入れ空間からのガスが流れるダクトをさらに備え、
前記供給管の出口開口及び前記排出管の入口開口は、周方向において前記ダクトと前記静止フードとの接続部とはずれて位置する。
【0117】
上記(13)の構成によれば、供給管の出口開口及び排出管の入口開口を、周方向にてダクトと静止フードとの接続部とずらして配置したので、周方向において、供給管の出口開口又は排出管の入口開口の近くに(すなわち、周方向にてダクトとずれた位置に)貯留タンクを配置することができる。よって、桶部と貯留タンクとの間における配管の引き回しを短くすることができ、装置を簡素化することができる。
【0118】
(14)幾つかの実施形態では、上記(11)乃至(13)の何れかの構成において、
平面視において、前記中心軸と前記供給管の出口開口を結ぶ線分と、前記中心軸と前記排出管の入口開口を結ぶ線分とのなす角度が10度以下であり、
前記供給管の前記出口開口は、前記環状ホッパの回転方向において、前記排出管の前記入口開口よりも上流側に位置する。
【0119】
上記(14)の構成によれば、供給管の出口開口と、排出管の入口開口を、周方向において近接して設けると共に、環状ホッパの回転方向において供給管の出口開口を排出管の入口開口よりも上流側に配置している。したがって、供給管の出口開口からのシール液の供給により桶内でダストを巻き上げることができるとともに、供給管の近傍にて供給管の下流側に設けられた排出管の入口開口から、上述のように巻き上げられたダストを吸込やすくなる。これにより、桶部内でのダストの堆積をより効果的に抑制可能である。
【0120】
(15)本発明の少なくとも一実施形態に係る粒状物の冷却装置は、
上記(11)乃至(14)の何れか一項に記載のホッパ装置と、
前記環状ホッパの前記受入れ空間に冷却流体を供給するための冷却部と、
を備える。
【0121】
上記(15)の構成によれば、貯留タンクに溢出部を設けたので、桶部から排出管を介して排出される液と同量のシール液を貯留タンクから溢出(オーバーフロー)させることができる。そして、溢出部からのシール液を供給管に送り込むための集液部を、供給管の出口開口よりも上方に設けたので、集液部と供給管の下端とのヘッド差により、上述のオーバーフロー液を集液部から水封桶へと自重により供給することができる。したがって、簡易な構成で、桶部内の液位を維持しながら、供給管から桶部へのシール液の連続的な供給、及び、排出管を介した桶部からのシール液の連続的な排出を行うことができ、これにより、桶部内のダストの撹拌及びダストの排出がしやすくなる。したがって、上記(15)の構成によれば、簡素な構成で、桶部内でのダストの堆積を効果的に抑制可能である。
【0122】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
【0123】
本明細書において、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
また、本明細書において、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
また、本明細書において、一の構成要素を「備える」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【符号の説明】
【0124】
1 ホッパ装置
2 環状ホッパ
3 内側板
3a 内周壁
4 外側板
4a 外周壁
5 焼結鉱
6 受入れ空間
7 内側ルーバ
8 外側ルーバ
9 中央ルーバ
10 冷却部
12 環状テーブル
13 基礎
14 中心軸受
15 レール
16 支持ローラ
17 駆動モータ
18 静止フード
19 排気ダクト
20 吸引ファン
21 架構
24 スクレーパ
26 フロア
27 供給シュート
29 コンベヤ
30 シール装置
30A シール装置
30B シール装置
32 桶部
33 底面
34 内側壁
34a 外表面
34b 内表面
36 外側壁
37 支持板
38 仕切板
38a 下端
39 貯留部
40 貯留タンク
41 溢出部
42 供給管
42a 入口
42b 出口開口
44 排出管
44a 入口開口
46 排出ポンプ
48 逆止弁
50 集液部
51 接続部
52 接続部
54 ブラケット
56 シール部
58 カバー
60 集液桝
62 集液槽
63 分離部
64 仕切壁
66 邪魔板
68 断面積拡大部
70 受液部
72 送液管
74 送液ポンプ
80 補給部
82 液位センサ
83 制御部
84 補給液タンク
85 補給ライン
86 補給ポンプ
88 バルブ
90 内側空間
92 外側空間
94 シール液
96 ダスト
98 液室
99 液室
100 冷却装置
102 傾斜部
104 ガイド面
106 傾斜板
O 中心軸